JP2013028476A - 単結晶引上方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】単結晶Cを引き上げる際、前記単結晶とルツボ3とを互いに逆方向に回転させ、前記単結晶の回転速度を、該単結晶と溶融液との固液界面における結晶外周の周方向線速度が150mm/s以上となるように制御し、前記ルツボの回転速度を、0〜5rpmの間で制御することによって、前記溶融液の液面にルツボ中央側から外側に向けて流れる離心流を形成する。
【選択図】図2
Description
また、単結晶Cの引き上げに伴い溶融液Mが減少するが、ルツボ50を上昇制御することにより、炉体55に対し位置固定された輻射シールド51の下端と溶融液面M1との距離は略一定に維持される。ここで、単結晶Cの引き上げが更に進行し、ルツボ50が上昇されると、石英ルツボ50の内壁面と輻射シールド51の外側表面とがより接近し、ルツボ50の熱により輻射シールド51が加熱され、その外側表面の温度は上昇に転じる。一方、輻射シールド51とルツボ50内壁面との間の距離が狭くなるため、輻射シールド51の外側表面を流れるガスの速度が高速化される。
したがって、輻射シールドから溶融液面に異物が落下したとしても、液面上の異物を単結晶から前記離心流によって引き離すことができ、結晶の有転位化を防止することができる。
したがって、輻射シールドから溶融液面に異物が落下したとしても、液面上の異物を単結晶から前記離心流によって引き離すことができ、結晶の有転位化を防止することができる。
[数1]
MP=(0.01〜0.15)×Φ2×(Φ2/Φ1) ・・・(1)
また、前記離心流を形成する際、前記ルツボの内壁面またはその延長面と、カスプ磁場の中立面とが交差する円周上の磁束密度をB0(Gauss)とし、ルツボ内径をΦ2(mm)とし、前記ルツボの側方に配された前記ヒータの発熱部の高さ寸法をL(mm)とすると、前記磁束密度B0は、下記式(2)により規定されることが望ましい。
[数2]
B0=(100〜1000)×(Φ2/L) ・・・(2)
また、前記離心流を形成する際、前記溶融液に印加される磁場強度が、ルツボ中央側よりもルツボ内壁側において強い状態となるよう前記上下一対の電磁コイルが前記ルツボに対して配置されていることが望ましい。
或いは、前記離心流を形成する際、前記溶融液に印加される磁場強度が、ルツボ中央側よりもルツボ内壁側において強い状態となるよう前記上下一対の電磁コイルにそれぞれ流す電流値を制御してもよい。その場合、前記上下一対の電磁コイルの総電流比率C上/C下は、下記式(3)により規定されることが望ましい。
[数3]
10/90≦C上/C下≦49/51 ・・・(3)
この単結晶引上装置1は、円筒形状のメインチャンバ2aの上にプルチャンバ2bを重ねて形成された炉体2と、炉体2内に設けられたルツボ3と、ルツボ3に装填された半導体原料(原料ポリシリコン)を溶融して溶融液Mとする抵抗加熱ヒータ4(以下、単にヒータと呼ぶ)と、育成される単結晶Cを引上げる引上げ機構5とを有している。
また、ルツボ3は二重構造であり、内側が石英ガラスルツボ3a、外側が黒鉛ルツボ3bで構成されている。
また、引上げ機構5は、モータ駆動される巻取り機構5aと、この巻取り機構5aに巻き上げられる引上げワイヤ5bを有し、このワイヤ5bの先端に種結晶Pが取り付けられている。
尚、輻射シールド6は、炉体2内において位置固定されるが、輻射シールド6下端と溶融液面M1との間の距離寸法(ギャップ)は、単結晶Cの育成に伴いルツボ3を上昇させることにより、所定の距離を維持するよう制御される。
先ず、炉体2内が所定の雰囲気(主にアルゴンガス雰囲気)となされ、ルツボ3内に装填された原料ポリシリコンが、ヒータ4による加熱によって溶融され、溶融液Mとされる(図3のステップS1)。
さらに、演算制御装置8bの指令によりモータ制御部10aと昇降装置制御部11aとが作動し、ルツボ3が所定の高さ位置において所定の回転速度(rpm)で回転動作される。
また、演算制御装置8bの指令により、引上機構制御部12が作動し巻取り機構5aが作動してワイヤ5bが降ろされる。そして、ワイヤ5bに取付けられた種結晶Pが溶融液Mに接触され、種結晶Pの先端部を溶解するネッキングが行われてネック部P1が形成開始される(図3のステップS3)。
そして、クラウン工程(図3のステップS5)が開始されて結晶径が拡径され、製品部分となる直胴部を形成する直胴工程(図3のステップS6)に移行する。
これにより、溶融液面M1には、ルツボ中央から外側に向けて遠心力が強く働き、溶融液Mにおいて、結晶外周近傍から外側に向けて流れる離心流(外向流)が形成される。
即ち、溶融液Mにおいて、従来、単結晶C側とルツボ3側との熱密度差異により生じていた自然対流(向心流)が、前記遠心力により抑制され、更には、向心流とは逆方向の離心流が形成される。
しかしながら、溶融液面M1においては、前記のように離心流(外向流)が形成されているため、溶融液面M1に浮上する異物Fは前記離心流によって単結晶Cから引き離される。
そのような中立面NPを形成するため、具体的には、ルツボ3(結晶C)の中心軸上におけるカスプ磁場の中立面NPの高さ位置と溶融液面M1との距離寸法MPが、式(1)を満足するように制御される。尚、式(1)において、Φ1は育成中の結晶直径、Φ2はルツボ内径である。
[数4]
MP=(0.01〜0.15)×Φ2×(Φ2/Φ1) ・・・(1)
[数5]
10/90≦C13/C14≦49/51 ・・・(2)
30/70≦C13/C14≦47/53 ・・・(3)
[数6]
B0[Gauss]=(100〜1000)×(Φ2/L) ・・・(4)
このような制御の下に直胴工程が終了すると、縮径部を形成するテール工程(図3のステップS7)が行われ、単結晶Cの形成が終了する。
これにより溶融液面M1において遠心力を強く働かせることができ、ルツボ中央から外側に向かう離心流(外心流)を形成することができる。
したがって、輻射シールド6から溶融液面M1に異物Fが落下したとしても、液面上の異物Fを単結晶Cから前記離心流によって引き離すことができ、結晶の有転位化を防止することができる。
これにより、ルツボ3内の溶融液Mに印加される磁場強度は、単結晶Cの外周近傍よりもルツボ内壁側において強い状態となり、結晶外周近傍における強制対流が発達する。その結果、離心流(外心流)をより発達させることができる。
即ち、前記実施の形態に記載したように、カスプ磁場を印加しなくても、単結晶Cと溶融液Mとの固液界面における結晶外周の周方向線速度Vθが150mm/s以上となるよう単結晶Cの回転速度SRを制御し、単結晶Cの回転方向とルツボ3の回転方向とを逆方向とし、ルツボ3の回転速度CRを、0〜5rpmの間で制御することによって、溶融液面M1において離心流を形成することができる。
即ち、前記実施の形態に記載したように、カスプ磁場を印加する場合には、その中立面NPの位置を制御することにより、離心流の形成を促進することができる。
したがって、より低速の周方向線速度Vθで(具体的には100mm/s以上)あっても、印加されたカスプ磁場の効果と併せて溶融液面M1に、充分な離心流を形成することができる。
[実験1]
図2に示す前記実施の形態に基づき、先ず、カスプ磁場印加用電磁コイルを駆動せずに(即ち、カスプ磁場の印加なしに)、表1に示す条件で単結晶引き上げを行った。
尚、全ての条件において、直径300mmのシリコン単結晶を100本育成し、単結晶の回転方向とルツボの回転方向とは互いに逆方向とした。ルツボ内径は、788mmであり、ルツボ側方に配されたヒータ発熱部の高さは450mmである。
図4のグラフにおいて、横軸は単結晶の固化率(%)、縦軸は輻射シールド外側表面の温度(℃)である。尚、輻射シールドの外側表面における温度測定位置は、シールド下端から30%の高さ位置、50%の高さ位置、70%の高さ位置とし、それぞれについて温度測定を行った。
即ち、この結果により、輻射シールド外側表面の温度低下によって輻射シールドに異物が付着し、その後の温度上昇によって異物が剥離され、溶融液に落下する虞が大きいことが示された。
また、図6に、比較例1の条件における固化率70%時点での溶融液中の対流パターン(溶融液断面)のシミュレーション結果を示す。図6において、図6(a)にX軸に沿った対流パターン(溶融液断面)を示し、図6(b)にY軸に沿った対流パターン(溶融液断面)を示す。
尚、図5,図6のグラフにおいて、横軸はルツボ径、縦軸はルツボ高さ(溶融液深さ)であり、グラフ中、2度間隔の等温線を示している。
図5(a),(b)の等温線に基づく対流パターンから、実施例1の条件では、溶融液面において離心流が形成されていることが確認された。
一方、比較例1では、図6(a),(b)の等温線に基づく対流パターンから、溶融液面において向心流が形成されていることが確認された。
一方、比較例1のように線速度Vθが100mm/sよりも低い場合、或いは比較例2のようにルツボ回転速度CRが5.0rpmよりも高い場合には、有転位化率が高く、結晶収率が低い結果となった。
一方、比較例1、2の結果は、輻射シールドから剥離して溶融液面に落下した異物が、図6に示したように溶融液面に形成された向心流によって育成中結晶や固液界面近傍に付着し、それが結晶の有転位化を誘発したものと考えられる。
続いて、図2の前記実施の形態に基づき、カスプ磁場印加用電磁コイルを駆動し、カスプ磁場を印加して、表3に示す条件で単結晶の引き上げを行った(実験1の実施例2,3の条件にカスプ磁場印加の条件を加えた)。
また、表4に実験結果(有転位化率(%)、結晶収率(%))を示す。
また、実施例3−1は、線速度Vθが100mm/sであるが、カスプ磁場を印加しない場合(実験1の実施例3)よりも低い有転位化率(7%)となり、また、より高い結晶収率(91.1%)を得ることができた。
即ち、カスプ磁場の中立面NPにおいて、そのルツボ中央における高さ位置が溶融液面M1よりも上方になるようにカスプ磁場を印加することによって、溶融液面において離心流がより形成されやすくなり、その結果、結晶収率が向上し、有転位化率が抑制されることが確認された。
続いて、図2の前記実施の形態に基づき、カスプ磁場印加用電磁コイルを駆動し、カスプ磁場を印加して、表5に示す条件で単結晶の引き上げを行った(実験1の実施例2の条件にカスプ磁場印加の条件を加えた)。また、表6に実験結果(有転位化率(%)、結晶収率(%))を示す。
尚、ルツボ内に占める単結晶の直径Φ1の大きさが大きいほど、距離寸法MPが小さくても充分な離心流を形成可能であるため、距離寸法MPに対し単結晶の直径Φ1は反比例する(ルツボ内径Φ2に対する単結晶の直径の比(Φ2/Φ1)に比例する)。
また、ルツボ内径Φ2が大きいほど、距離寸法MPを大きくする必要があるため、ルツボ内径Φ2は距離寸法MPに比例する。
このため、距離寸法MPは、下記の式(5)により定義可能である(aは係数)。
[数7]
MP=a×Φ2×(Φ2/Φ1) ・・・(5)
ここで、単結晶の直径は300mm、ルツボ内径は、788mmであるため、前記実験結果に基づき距離寸法MPは、下記の式(1)で規定する値が好ましいと考えられる。
[数8]
MP=(0.01〜0.15)×Φ2×(Φ2/Φ1) ・・・(1)
続いて、図2の前記実施の形態に基づき、カスプ磁場印加用電磁コイルを駆動し、カスプ磁場を印加して、表7に示す条件で単結晶の引き上げを行った(実験1の実施例2の条件にカスプ磁場印加の条件を加えた)。また、表8に実験結果(有転位化率(%)、結晶収率(%))を示す。
尚、ルツボ内径Φ2が大きいほど、ルツボの内壁面(或いは、その延長面)と、カスプ磁場の中立面とが交差する円周上の磁束密度B0は大きくなり、ルツボ側方に配されたヒータ発熱部の高さLが大きいほど、磁束密度B0は小さくなるため、磁束密度B0は(Φ2/L)に比例する。
このため、磁束密度B0は、下記の式(6)により定義可能である(bは係数)。
[数9]
B0[Gauss]=b×(Φ2/L) ・・・(6)
ここで、ルツボ内径は、788mmであるため、前記実験結果に基づき磁束密度B0は、下記の式(7)で規定する値が好ましいと考えられる。
[数10]
B0[Gauss]=(100〜1000)×(Φ2/L) ・・・(7)
[数11]
10/90≦C上/C下≦49/51 ・・・(2)
30/70≦C上/C下≦47/53 ・・・(3)
2 炉体
3 ルツボ
4 ヒータ
4a 発熱部
5 引上機構
6 輻射シールド
C 単結晶
M シリコン溶融液
P 種結晶
Claims (7)
- ヒータの加熱によりルツボ内にシリコン溶融液を形成し、前記ルツボからチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げる単結晶引上方法であって、
前記単結晶を引き上げる際、前記単結晶と前記ルツボとを互いに逆方向に回転させ、
前記単結晶の回転速度を、該単結晶と溶融液との固液界面における結晶外周の周方向線速度が150mm/s以上となるように制御し、
かつ、前記ルツボの回転速度を、0〜5rpmの間で制御することによって、
前記溶融液の液面にルツボ中央側から外側に向けて流れる離心流を形成することを特徴とする単結晶引上方法。 - ヒータの加熱によりルツボ内にシリコン溶融液を形成し、前記ルツボの周囲に配置された上下一対の電磁コイルにより、ルツボ内の溶融液に対しカスプ磁場を印加すると共に、前記ルツボからチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げる単結晶引上方法であって、
前記カスプ磁場の中立面を、そのルツボ中央側の高さ位置が、シリコン溶融液面よりも上方であって、且つルツボ内壁側よりも前記溶融液面から離れた位置となるよう山なりに形成し、
前記単結晶を引き上げる際、前記単結晶と前記ルツボとを互いに逆方向に回転させ、
前記単結晶の回転速度を、該単結晶と溶融液との固液界面における結晶外周の周方向線速度が100mm/s以上となるように制御し、
かつ、前記ルツボの回転速度を、0〜5rpmの間で制御することによって、
前記溶融液の液面にルツボ中央側から外側に向けて流れる離心流を形成することを特徴とする単結晶引上方法。 - 前記ルツボ内の溶融液に対しカスプ磁場を印加する際、
前記ルツボの中心軸上におけるカスプ磁場の中立面の高さ位置と溶融液面との距離寸法をMPとし、育成中の結晶直径をΦ1とし、前記ルツボの内径をΦ2とすると、前記距離寸法MPは、下記式(1)により規定されることを特徴とする請求項2に記載された単結晶引上方法。
[数1]
MP=(0.01〜0.15)×Φ2×(Φ2/Φ1) ・・・(1) - 前記離心流を形成する際、
前記ルツボの内壁面またはその延長面と、カスプ磁場の中立面とが交差する円周上の磁束密度をB0(Gauss)とし、ルツボ内径をΦ2(mm)とし、前記ルツボの側方に配された前記ヒータの発熱部の高さ寸法をL(mm)とすると、前記磁束密度B0は、下記式(2)により規定されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載された単結晶引上方法。
[数2]
B0=(100〜1000)×(Φ2/L) ・・・(2) - 前記離心流を形成する際、
前記溶融液に印加される磁場強度が、ルツボ中央側よりもルツボ内壁側において強い状態となるよう前記上下一対の電磁コイルが前記ルツボに対して配置されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載された単結晶引上方法。 - 前記離心流を形成する際、
前記溶融液に印加される磁場強度が、ルツボ中央側よりもルツボ内壁側において強い状態となるよう前記上下一対の電磁コイルにそれぞれ流す電流値が制御されることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載された単結晶引上方法。 - 前記上下一対の電磁コイルの総電流比率C上/C下は、下記式(3)により規定されることを特徴とする請求項6に記載された単結晶引上方法。
10/90≦C上/C下≦49/51 ・・・(3)
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