JP5605913B2 - 単結晶引上方法 - Google Patents
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Description
具体的な引上工程としては、種結晶Pの先端部を溶解し、ネック部P1を形成するネッキング工程、ネック部P1下端から結晶径を直胴部直径にまで拡径した円錐状のクラウン部C1を形成するクラウン工程、製品となる単結晶(直胴部C2)を育成する直胴工程、直胴工程後の単結晶直径を徐々に縮径したテール部(図示せず)を形成するテール工程が行われる。
従来、このドーピング処理としては、ドーパント不純物としてホウ素、燐、砒素、アンチモン等の微量元素を石英ガラスルツボ内のシリコン融液に直接的に添加することによって行われている。
また、結晶面内のドーパント濃度のばらつきによって、結晶と溶融液との固液界面において組成的過冷却が生じ易く、結晶の有転位化を招来するものであった。
これは、クラウン工程においては、直胴工程のように結晶を垂直方向(引上方向)のみに育成するのではなく、結晶を水平方向(径方向)にも育成する必要があるため、単に特許文献1に開示の方法を適用しても、ドーパント濃度の面内均一性の向上を図ることができなかったものと推察される。
[数1]
sω=α/(cω×d) ・・・(1)
α=4×10 -4 ×L 4 −3×10 -7 ×L 3 −6×10 -5 ×L 2 −0.0069×L+0.3 ・・・(2)
この単結晶引上装置1は、円筒形状のメインチャンバ2aの上にプルチャンバ2bを重ねて形成された炉体2と、炉体2内に設けられたルツボ3と、ルツボ3に装填された半導体原料(原料ポリシリコン)Mを溶融する抵抗加熱ヒータ4(以下、単にヒータと呼ぶ)と、育成される単結晶Cを引上げる引上げ機構5とを有している。
また、引上げ機構5は、モータ駆動される巻取り機構5aと、この巻取り機構5aに巻き上げられる引上げワイヤ5bを有し、このワイヤ5bの先端に種結晶Pが取り付けられている。
尚、輻射シールド6下端と溶融液面との間の距離寸法(ギャップ)は、育成する単結晶の所望の特性に応じて所定の距離を維持するよう制御される。
先ず、炉体2内が所定の雰囲気となされ、ルツボ3内に装填された原料ポリシリコンMが、ヒータ4による加熱によって溶融され、シリコン溶融液Mとされる(図2のステップS1)。
さらに、演算制御装置8bの指令によりモータ制御部10aと昇降装置制御部11aとが作動し、ルツボ3が所定の高さ位置において所定の回転速度(rpm)で回転動作される。
尚、クラウン径dの最大値は、高速回転時においてネック部P1への負荷による破損防止を考慮して320mm程度が望ましい。
また、クラウン長Lの最大値は、クラウン部重量によるネック部P1への負荷、及び生産の効率性を考慮して、結晶径の1/2程度が望ましい。
また、クラウン径d及びクラウン長Lの測定方法は限定しないが、例えば、炉体2の外に設けたCCDカメラ(図示せず)等によって測定し、その測定結果をコンピュータ8の演算制御装置8bに入力するようにすればよい。
[数2]
sω=α/(cω×d) ・・・(1)
α=4×10 -4 ×L 4 −3×10 -7 ×L 3 −6×10 -5 ×L 2 −0.0069×L+0.3 ・・・(2)
この制御により、結晶直下の溶融液が効率よく攪拌され、溶融液中のドーパント不純物が拡散される。その結果、結晶中のドーパント濃度の面内均一性が向上される。
一方、式(1)に代入するαの値が、式(2)で規定される値よりも0.002以下になると(クラウン形状がフラット化する)、結晶の水平方向の成長速度が速すぎて、組成的過冷却による有転位化を誘発しやすくなるためである。また、ルツボ回転速度と結晶回転速度との差が大きくなり、溶融液が波立って、有転位化しやすくなるためである。
この直胴工程においても、引き続き、式(1)を満足するようにルツボ3と単結晶Cの回転速度の制御がなされ、それにより結晶直下の溶融液が効率よく攪拌され、単結晶Cのドーパント濃度の面内均一性が向上される。
そして、直胴工程が終了すると、単結晶直径が徐々に縮径されるテール工程に移行し、このテール工程においてテール部(図示せず)が形成され、単結晶Cの育成が完了する(図2のステップS5)。
実施例1では、結晶径200mmの砒素添加結晶の育成を行った。
具体的な実験条件として、砒素のドーピング量を550〜600gとし、クラウン工程において、炉内圧力を100Torr以上、引上速度を0.9〜1.3(mm/min)で制御した。
また、本発明に係る実施形態で示した前記式(1)を満足するように結晶回転速度及びルツボ回転速度の制御を行ったが、更に結晶回転速度は10〜40rpm、ルツボ回転速度は10〜15rpmの間で制御を行った。結晶の回転方向とルツボの回転方向とは同方向とした。
また、式(1)に代入するα値は、図3のグラフに示すクラウン長(横軸)に対するα値(縦軸)の値とした。この実施例1におけるα値は、式(2)により規定されるα値に対して±0.002の範囲内である。
そして、クラウン部形成完了まで引き上げられた複数の単結晶のうち、10本の単結晶を標本として選び、無転位化率、及び抵抗率面内分布を測定した。
実施例2では、結晶の回転方向とルツボの回転方向とを逆方向とした。その他の条件は実施例1と同一にした。
尚、式(1)に代入するα値は、図3のグラフに示すクラウン長(横軸)に対するα値(縦軸)の値とした。この実施例2におけるα値は、式(2)により規定されるα値に対して±0.002の範囲内である。
比較例1では、式(1)に代入するα値は、図3のグラフに示すクラウン長(横軸)に対するα値(縦軸)の値とした。この比較例1におけるα値は、式(2)により規定されるα値に対して0.002以上小さい値である(クラウン部形状はフラット状に近づく)。その他の条件は実施例1と同一にした。
比較例3では、式(1)に代入するα値は、図3のグラフに示すクラウン長(横軸)に対するα値(縦軸)の値とした。この比較例2におけるα値は、式(2)により規定されるα値に対して0.002以上大きい値である(クラウン部形状は鋭角状に近づく)。その他の条件は実施例1と同一にした。
表1に示すように、実施例1では90%の無転位成長率でクラウン部を形成することができた。また、結晶の回転方向とルツボの回転方向とを逆方向とした実施例2においても、80%の高い無転位成長率でクラウン部を形成することができた。
一方、比較例1(α値が小さい場合)では、無転位成長率は70%と、大きく低下しなかったが、クラウン部の育成時間が実施例1,2の場合よりも約2倍を要し、投入ドーパント量が約1.7倍となった。また、比較例2(α値が大きい場合)では、無転位でクラウン部を成長させることができなかった。
図4に示すように、実施例1では、抵抗率面内分布が5%以下となり、引上方向に直交する面において濃度のムラが小さくなった。
実施例2では、実施例1と同様に抵抗率面内分布が5%以下となったが、実施例1よりは分布率が高くなった。
このように比較例1,2において、引上方向に直交する面内において濃度のムラが大きいということは、低抵抗率結晶の育成において予期しない抵抗率の低下(ドーパント濃度の上昇)が発生しやすく、組成的過冷却の発生によって有転位化しやすいことを示している。
2 炉体
3 ルツボ
4 ヒータ
C 単結晶
C1 クラウン部
C2 直胴部
M シリコン溶融液
P 種結晶
P1 ネック部
Claims (2)
- 種結晶をルツボ内のシリコン融液に接触させ、前記ルツボからチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げる単結晶引上方法であって、
前記種結晶から形成した単結晶のネック部を所定径まで拡げ、円錐状のクラウン部を形成する工程において、
前記クラウン部の径をd(mm)、前記クラウン部の引上方向長さをL(mm)とすると、結晶回転速度sω(rpm)とルツボ回転速度cω(rpm)は、式(1)及び式(2)により規定される関係式を満たす回転速度に制御され、
かつ、前記結晶回転速度sωは、10〜40rpmの範囲内となるように制御され、前記ルツボ回転速度cωは、10〜15rpmの範囲内となるように制御されることを特徴とする単結晶引上方法。
[数1]
sω=α/(cω×d) ・・・(1)
α=4×10 -4 ×L 4 −3×10 -7 ×L 3 −6×10 -5 ×L 2 −0.0069×L+0.3 ・・・(2) - 前記クラウン部を形成する工程において、
前記単結晶の回転方向と前記ルツボの回転方向とは、同方向であることを特徴とする請求項1に記載された単結晶引上方法。
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