JP2016204190A - 酸化アルミニウム単結晶の製造方法 - Google Patents

酸化アルミニウム単結晶の製造方法 Download PDF

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敏男 東風谷
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憲冶 村下
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Abstract

【課題】粒界の発生を抑制した高品質な酸化アルミニウム単結晶を、再現性よく製造できる酸化アルミニウム単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】酸化アルミニウム単結晶用原料を原料融液とした後、原料融液に種結晶を接触させて成長結晶を得る融液固化法による酸化アルミニウム単結晶の製造方法において、種結晶を原料融液表面と種結晶の下端部との間の距離が2mm以上10mm以下となる種結晶保持位置に保持し、種結晶の表面を融解させる種結晶表面融解工程と、種結晶表面融解工程において種結晶の表面が融解した時の原料融液の温度を基準として、種結晶と原料融液とを接触させる時の原料融液の温度を決定する原料融液温度決定工程と、を有し、種結晶表面の少なくとも一部の表面粗さRaが0.3μm以上1.0μm以下であり、種結晶を種結晶保持位置に保持後0.2℃/min以下の温度で炉体内温度を上昇させる酸化アルミニウム単結晶の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化アルミニウム単結晶の製造方法に関する。
酸化アルミニウム単結晶は、青色LEDや白色LEDを作製する際のエピタキシャル成長用基板結晶として多く利用されている。これらのLEDは、省エネルギーの観点で照明分野への普及が拡大することが予想されており多方面から注目されている。
酸化物単結晶の育成方法は様々あるが、LN(LiNbO)、LT(LiTaO)、YAGや酸化アルミニウムなどの酸化物単結晶材料の大部分は、結晶特性に優れ、大きな結晶径のものが得られることから融液固化法で育成されている。特に、融液固化法の一つであるチョクラルスキー法(Cz法)は、汎用性があり技術的完成度が高いことから最も広く用いられている。
チョクラルスキー法によって酸化物単結晶を製造する場合には、まずルツボに酸化物原料を充填し、高周波誘導加熱法や抵抗加熱法によりルツボを加熱し原料を融解する。原料が融解した後、所定の結晶方位に切り出した種結晶を原料融液表面に接触させ、種結晶を所定の回転速度で回転させながら所定の速度で上方に引き上げて単結晶を成長させる(例えば、特許文献1参照)。
しかし、酸化アルミニウム単結晶をチョクラルスキー法で代表される融液固化法で結晶成長させると、結晶中に小傾角粒界が発生しやすい。エピタキシャル成長用結晶基板となるウエハーに小傾角粒界(以下、単に「粒界」という)が形成されていると、LED特性に悪影響を与えるといわれており、このため、融液固化法では所望のエピタキシャル成長用基板結晶を得ることが難しいとされている。
これまで融液固化法で酸化アルミニウム単結晶を育成する際、種結晶の結晶方位をc軸とした場合には、滑り面であるc面内の温度分布に起因した転位の集積により粒界を形成することが知られている。これに対して結晶方位をa軸にして結晶育成した場合には、粒界の生成がある程度抑制されるため、工業的には、a軸方向に育成した結晶からc軸方向に横抜きをしてエピタキシャル成長用基板結晶を作製する方法が用いられている。
そして、特許文献1には、種結晶として用いる結晶として、所定の結晶方位に切り出したものを用いる旨記載されており、a軸方向に切り出した酸化アルミニウム単結晶を用いることも開示されている。
特開2008−260641号公報
しかしながら、a軸育成としても粒界の発生を十分に抑制した高品質な酸化アルミニウム単結晶を再現性よく製造することが困難であった。そして、c軸方向に横抜きをしてエピタキシャル成長用基板結晶を作製した場合でも、結晶に粒界が発生しているとエピタキシャル成長用基板結晶として使用できないため、歩留まりが大きく低減してしまうという問題があった。
そこで、上記従来技術が有する問題に鑑み、粒界の発生を抑制した高品質な酸化アルミニウム単結晶を、再現性よく製造できる酸化アルミニウム単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明は、炉体内のルツボに酸化アルミニウム単結晶用原料を入れて加熱融解して原料融液とした後、原料融液に種結晶を接触させて成長結晶を得る融液固化法による酸化アルミニウム単結晶の製造方法において、
前記種結晶を、前記原料融液の上方であって、前記原料融液表面と前記種結晶の下端部との間の距離が2mm以上10mm以下となる種結晶保持位置に保持し、前記種結晶の表面を融解させる種結晶表面融解工程と、
前記種結晶表面融解工程において前記種結晶の表面が融解した時の前記原料融液の温度を基準として、前記種結晶と前記原料融液とを接触させる時の前記原料融液の温度を決定する原料融液温度決定工程と、を有し、前記種結晶表面の少なくとも一部の表面粗さRaが0.3μm以上1.0μm以下であり、前記種結晶を前記種結晶保持位置に保持した後、0.2℃/min以下の温度で炉体内温度を上昇させる酸化アルミニウム単結晶の製造方法を提供する。
本発明によれば、粒界の発生を抑制した高品質な酸化アルミニウム単結晶を、再現性よく製造できる酸化アルミニウム単結晶の製造方法を提供することができる。
単結晶育成装置の説明図 種結晶表面融解工程における種結晶と原料融液との位置の関係の説明図 種結晶の表面変化の説明図
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
本実施形態の酸化アルミニウム単結晶の製造方法の構成例について説明する。
本実施形態の酸化アルミニウム単結晶の製造方法は、炉体内のルツボに酸化アルミニウム単結晶用原料を入れて加熱融解して原料融液とした後、原料融液に種結晶を接触させて成長結晶を得る融液固化法による酸化アルミニウム単結晶の製造方法である。
そして、以下の工程を有している。
種結晶を、原料融液の上方であって、原料融液表面と種結晶の下端部との間の距離が2mm以上10mm以下となる種結晶保持位置に保持し、種結晶の表面を融解させる種結晶表面融解工程。
種結晶表面融解工程において種結晶の表面が融解した時の原料融液の温度を基準として、種結晶と原料融液とを接触させる時の原料融液の温度を決定する原料融液温度決定工程。
さらに、種結晶表面の少なくとも一部の表面粗さRaが0.3μm以上1.0μm以下であることが好ましい。また、種結晶を種結晶保持位置に保持した後、0.2℃/min以下の温度で炉体内温度を上昇させることが好ましい。
本発明の発明者らは、上記従来技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねたところ、粒界の発生を抑制した高品質な酸化アルミニウム単結晶を再現性よく得られない原因としては、再現性良く温度を測定できない点にあることを見出した。酸化アルミニウムの融点は約2050℃と非常に高温であり、熱電対等により再現性良く温度を測定することが難しい。そのため、従来の製造方法においては、種結晶を原料融液と接触させる温度のバラつきが大きく、結晶育成の条件が安定しないため粒界の発生を抑制した高品質な酸化アルミニウム単結晶を再現性よく製造できなかったと考えられる。
そして、融液固化法によって酸化アルミニウム単結晶を育成する際に種結晶表面を詳しく観察したところ、種結晶を融液に接触させる操作(以下、「シーディング」という)時の種結晶の表面状態により最適なシーディングのタイミングを選択できることを見出した。すなわち、シーディング前に種結晶を所定の種結晶保持位置に配置し、その表面状態を観察することにより、最適なシーディングのタイミングを選択できることを見出した。具体的には、種結晶保持位置に種結晶を保持し、種結晶の表面を融解させ、種結晶の表面が融解した時点の原料融液の温度を基準として、種結晶と原料融液とを接触させる時の原料融液の温度を決定することができる。
本実施形態の酸化アルミニウム単結晶の製造方法は、例えば公知の単結晶育成装置を用いて実施することができる。具体的には例えば、図1に示すような単結晶育成装置10を用いることができる。
単結晶育成装置10は、酸化アルミニウム単結晶用原料を入れるルツボ11を炉体16内の支持軸12の上に配置している。そして、酸化アルミニウム単結晶用原料を加熱融解するために、ルツボ11の側面に側面ヒータ13が、また、ルツボ11の下方に円盤状のボトムヒータ14がその中心部に支持軸12が貫通する形で配置されている。側面ヒータ13の周囲、ボトムヒータ14の下方には、断熱材15が炉体16の内面に沿って設けられている。また、ルツボ11上部に上下動可能な引き上げ軸17が、断熱材15を貫通する形で設けられている。
ルツボ11の材質は特に限定されるものではないが、十分な耐熱性を有し、酸化アルミニウム単結晶用原料と反応しない材質であることが好ましく、例えば、モリブデン、タングステンもしくはそれらの合金のいずれかを好ましく用いることができる。
また、側面ヒータ13及びボトムヒータ14、断熱材15の材質についても特に限定されるものではないが、例えばカーボン製のヒータ、断熱材を好ましく用いることができる。側面ヒータ13およびボトムヒータ14の発熱体としては例えばカーボン粒子あるいは炭素繊維の成形体を好ましく用いることができる。また、断熱材15としては例えばカーボンフェルト断熱材を好ましく用いることができる。
本実施形態の酸化アルミニウム単結晶の製造方法においては、上述のように、炉体16内のルツボ11に酸化アルミニウム単結晶用原料を充填し、加熱融解して原料融液18とした後、原料融液18に種結晶19を接触させて単結晶20の育成を行う。
この際、酸化アルミニウム単結晶用原料については特に限定されるものではなく、通常の酸化アルミニウム単結晶用原料を用いることができる。酸化アルミニウム単結晶用原料は、少なくとも実質的にAlとOの2元素からなる酸化アルミニウムを含んでいる。そして、目的とする酸化アルミニウム単結晶の種類に合わせて、AlとOのほかに、Ti、Cr、Si、Ca、Mg等を含んでいてもよい。このうちSi、Ca、Mgなどは、焼結助剤の成分として不可避的に含まれうるが、その含有量は極力少ないことが望ましい。特に、Siは10重量ppm以下であることが好ましい。また、酸化アルミニウム単結晶用原料の直径や密度は、特に制限されないが、取り扱い上、密度は、酸化アルミニウム単結晶の密度に近い方が望ましい。
酸化アルミニウム単結晶用原料として酸化アルミニウム焼結体を用いる場合、例えば、半導体製造用の市販品を使用できる。また、次に示すような方法によって製造することもできる。例えば、焼成するとαアルミナに転化するαアルミナ前駆体のゾル又はゲルにαアルミナ粒子を種結晶として添加する。次いで、αアルミナ前駆体としてゾルを用いた場合は、ゾルをゲル化した後、この種結晶を添加されたαアルミナ前駆体のゲルを900℃〜1350℃の温度で焼結し、得られる焼結生成物を粉砕したものを単結晶用材料とする。また、ベルヌーイ法で製造された酸化アルミニウム単結晶用原料を粉砕して得られるクラックル原料も使用できる。
ルツボ11に酸化アルミニウム単結晶用原料を充填した後、側面ヒータ13及びボトムヒータ14を作動させて酸化アルミニウム単結晶用原料を加熱する前に、炉体16内を不活性ガスで置換しておくことが好ましい。そして、上述のように、側面ヒータ13及びボトムヒータ14を作動させて酸化アルミニウム単結晶用原料を加熱し、原料融液18とする。
この際、原料融液18を生成した後、原料融液18の温度は特に限定されるものではなく、少なくとも、酸化アルミニウム単結晶用原料の融点以上であれば足りる。ただし、少なくとも種結晶19を種結晶保持位置に保持する前に、すなわち、種結晶表面融解工程前に、原料融液18の温度を、酸化アルミニウム単結晶用原料の融点(m)よりも15℃以上30℃以下高温に制御する原料融液温度制御工程を行うことが好ましい。すなわち、少なくとも種結晶19を種結晶保持位置に保持する前に原料融液18の温度Tは、m+15≦T≦m+30に制御されることが好ましい。
これは、原料融液18の温度Tがm+15℃未満の場合、種結晶19を原料融液18表面に近づけた際、種結晶19を近づけたことにより原料融液18の熱が奪われて原料融液18の表面が固化してしまう場合があるためである。また、原料融液18の温度Tが、m+30℃よりも高い場合、種結晶19を原料融液18に近づけた際に種結晶19自身が融解してしまう場合があるためである。特に、原料融液温度制御工程において、原料融液18の温度は、酸化アルミニウム単結晶用原料の融点よりも20℃以上25℃以下高温に制御することがより好ましい。
原料融液温度制御工程を行う場合、熱電対により原料融液18表面を直接測定するのは困難であるが、例えば炉体16内の適当な場所の温度を代替値とすることができる。例えば、断熱材15の内部の温度を代替値とすることができる。この場合、比較的低温での温度測定のため、熱電対の劣化を抑えることができる。
断熱材15に設置した熱電対の検出温度は、ルツボ11内の酸化アルミニウム単結晶用原料が融解する際にプラトーになる。このため、断熱材15の温度がプラトーのときに、ルツボ11内の酸化アルミニウム単結晶用原料が融点になっていると判断でき、プラトーになった際の検出温度から、所望の温度だけ昇温することにより原料融液の温度を制御することができる。用いる熱電対の種類は特に限定されるものではなく、検出する温度域に対応した熱電対を用いることができ、例えば、白金ロジウム熱電対を好ましく用いることができる。また、熱電対に限らず、例えば、放射温度計を用いることもできる。
そして、酸化アルミニウム単結晶用原料を原料融液18とした後に、上述した種結晶表面融解工程を行うことができる。種結晶表面融解工程においては、種結晶19を、原料融液18の上方であって、原料融液表面と種結晶の下端部との間の距離が2mm以上10mm以下となる種結晶保持位置に保持し、種結晶の表面を融解させることができる。
種結晶表面融解工程において用いる種結晶19は、単結晶の酸化アルミニウムを用いることができ、その形状については特に限定されるものではないが、以降に説明する種結晶表面融解工程において、種結晶表面を構成する面方位により融解の状態が異なるため、種結晶の形状は円柱状のように特定面で構成されない形状よりも、多角形の棒状の方が、特定の面に注目して種結晶表面融解を確認しやすく、好ましい。例えば種結晶19として直方体形状のものを用いることができる。
種結晶表面融解工程における種結晶19と原料融液18との位置の関係について図2を用いて説明する。図2は種結晶表面融解工程における種結晶19および原料融液18の位置関係を模式的に示したものであり、その他の構成は記載を省略して示している。図2に示したように種結晶表面融解工程においては種結晶19は、原料融液18の上方の種結晶保持位置に配置される。
ここで、種結晶保持位置としては、原料融液18の表面181と、種結晶19の下端部、すなわち、種結晶19の原料融液18側の端部と、の間の距離hが、2mm以上10mm以下となる位置とすることが好ましい。特に距離hは、3mm以上5mm以下であることがより好ましい。
これは、原料融液18の表面181と、種結晶19の下端部との間の距離hが10mmよりも長くなると、原料融液18表面の温度を適切に反映せず、シーディングを行う際の温度を適切に決定することができない場合があるためである。また、原料融液18の表面181と、種結晶19の下端部との間の距離hが2mmよりも短いと、種結晶19表面が融解した際に生成する融液が、種結晶19を伝って種結晶下端部に垂れ下がり、原料融液18と種結晶19とが接触してしまう場合があるためである。
また、種結晶表面融解工程において、種結晶19を種結晶保持位置に保持した後、炉体16内温度を上昇させることが好ましい。炉体16内温度は、上記側面ヒータ13及びボトムヒータ14の温度を制御することにより昇温させることができる。なお、この際、原料融液18の温度も併せて昇温することとなる。このように炉体16内温度を昇温した際に、種結晶19の表面が融解する温度を検出することができる。
特に、種結晶19の表面が融解する温度をより正確に検出するために、種結晶表面融解工程において、種結晶19を種結晶保持位置に保持した後、0.2℃/min以下の温度で炉体16内温度を上昇させることが好ましい。これは、炉体内温度の上昇を0.2℃/min以下とすることにより、種結晶19表面の融解判定を適切に行うことが可能になり、後述する原料融液温度決定工程において決定するシーディング温度をより正確に選択することが可能になるためである。シーディング温度をより正確に選択することにより、特に安定した品質の酸化アルミニウム、すなわち、粒界をより確実に含まない酸化アルミニウムをより確実に得ることが可能になる。
種結晶19の表面が融解したことを検出する手段は特に限定されるものではないが、例えば、種結晶19の表面をカメラにより撮影し、撮影した画像から種結晶19下端部周辺の光のコントラスト差の変化を目視により確認、検出することができる。また、種結晶19の表面をカメラにより撮影した画像について画像処理を行い、その結果から種結晶19の表面が融解したことを自動的に検出することもできる。
種結晶19の表面が融解した温度の測定には原料融液温度制御工程の場合と同様に熱電対を用いることができる。すなわち、炉体16内の適当な場所、例えば、断熱材15の内部に設けた熱電対を用いることができ、該場所での温度を原料融液18の温度の代替値とすることができる。この場合、熱電対は断熱材15内部に設置しているため、原料融液18の温度を直接に検出するものではないが、種結晶19の表面が融解した際の検出温度を基準とすることにより後述の原料融液降温工程等において原料融液18の温度を再現性良く制御できる。なお、熱電対に限らず、例えば、放射温度計を用いることもできる。
種結晶19の表面が融解した状態について図3を用いて説明する。図3(b)、(c)は、炉体16の上部に設けられた図1において図示しない覗き窓から、種結晶19の状態を観察した際の写真を示している。覗き窓は一部を除き断熱材で覆われており、視野部は図に示すように略長方形の形状を有し、該視野部から炉体16内の種結晶19周辺の様子が観察できる。
図3(b)、(c)において示した視野部内の各部材について図3(a)に示した模式図を用いて説明する。図3(a)に示すように、覗き窓からは、種結晶19及び原料融液18の表面181が見えている。そして、種結晶19については図3(a)に示すように覗き窓から2つの面が確認できる。
そして、図3(b)は、種結晶の表面が融解する前の状態を、図3(c)は、種結晶19の表面が融解した状態を示している。
図3(b)に示すように、種結晶19の下端部において光のコントラストが低い状態では、種結晶19の表面は融解していない状態と判断できる。そして、図3(c)に示すように種結晶19の下端部において光のコントラストが高くなった場合に、種結晶19表面が融解したと判断できる。これは、種結晶19表面が融解することにより、光を透過しやすくなるため、光のコントラストが発生すると考えられる。また、種結晶19表面が融解した場合、図3(c)に示すように種結晶19の観察している面の表面の融解により発生した表面の凹凸により光のコントラスト差として黒線191が生じている。このことから、シード面内の光のコントラスト差から種結晶の表面状態を検知し、黒線191が見えるタイミングを種結晶19の表面が融解したタイミングとして判断することも出来る。
このように種結晶19の表面が融解したか否かを種結晶19表面に発生した光のコントラストの高低により判断する場合、光のコントラストの変化がより判断しやすいように、種結晶表面の少なくとも一部を予め梨地状に荒らしておくことが好ましい。この際、種結晶19の梨地状とした部分の表面粗さは特に限定されるものではないが、種結晶19の表面が融解した際に光のコントラストの変化を識別できる程度の表面粗さとしておくことが好ましい。具体的には、例えば、種結晶表面の少なくとも一部の表面粗さRaを0.3μm以上1.0μm以下とすることが好ましく、0.4μm以上0.7μm以下とすることがより好ましい。これは、種結晶19表面の表面粗さRaが0.3μmよりも小さいと、種結晶19表面が融解する前から透明に見える場合があり、かえって光のコントラストの変化を判断しにくくなる恐れがあるためである。また、種結晶19表面の表面粗さRaが1.0μmより大きいと、種結晶19の表面が荒れているため、原料融液18と接触させた際に複数の凹凸部より核が発生することで粒界が発生しやすくなる場合があるためである。なお、上述の種結晶表面の表面粗さRaは、種結晶表面融解工程を行う前の種結晶表面の表面粗さを意味している。また、表面粗さは例えばJIS B 0601により評価を行うことができる。
この際、種結晶表面全体を梨地状とすることもできるが、少なくとも観察している面について梨地状としていればよい。例えば、直方体の形状をした種結晶19の側面がc面とm面から構成されている場合、表面の融解を観察するためには、c面より融解しやすいm面の方が融解状態を観察しやすいことから、種結晶19のm面を梨地状とすることが好ましい。
そして、種結晶19は、図3(c)に示したように種結晶19の表面が融解した状態となってから更に種結晶保持位置に保持しておくと種結晶19全体が融解する恐れがある。このため、種結晶19の表面が融解した温度を検出し、種結晶表面融解工程を終了した後、種結晶19は原料融液18の表面181から離隔した位置に一旦移動する種結晶位置移動工程を行うことが好ましい。具体的に種結晶19を移動する位置は特に限定されるものではないが、例えば、原料融液18の表面181と種結晶19の下端部との間の距離が50mm以上になる位置に移動することが好ましい。なお、炉体16内の雰囲気を壊さないため、種結晶19はこの場合も炉体16内に配置しておくことが好ましい。
次に、種結晶表面融解工程において、種結晶19の表面が融解した時の原料融液18の温度を基準として、種結晶19と原料融液18とを接触させる時の原料融液18の温度を決定する原料融液温度決定工程を行う。
種結晶19と原料融液18とを接触させる時の原料融液18の温度、すなわち、シーディング温度Tは特に限定されるものではなく、種結晶表面融解工程における、種結晶19表面が融解した時の原料融液18の温度Tmeltを基準として選択することができる。例えば、種結晶19の表面が融解した時の原料融液の温度Tmeltから、0.5℃以上4℃以下低い温度を、種結晶19と原料融液18とを接触させる時の原料融液18の温度、すなわち、シーディング温度Tと決定することが好ましい。特に、種結晶の表面が融解した時の原料融液の温度から1.5℃以上3℃以下低い温度をシーディング温度Tとすることがより好ましい。すなわち、Tmelt−4≦T≦Tmelt−0.5の関係を満たすことが好ましく、Tmelt−3≦T≦Tmelt−1.5の関係を満たすことがより好ましい。
シーディング温度Tを、種結晶19の表面が融解した時の原料融液の温度Tmeltよりも0.5℃以上低い温度とすることにより、シーディングの際、または、シーディングの直前に、原料融液18からの熱の移動により種結晶19が完全に融解することをより確実に防止できる。このため、上記のようにT≦Tmelt−0.5とすることが好ましい。
また、シーディング温度Tを、種結晶19の表面が融解した時の原料融液の温度Tmeltから4℃を超えて低い温度とした場合、シーディングの際、原料融液18の温度が低下し、結晶が急成長し、粒界が生じる恐れがある。このため、上記のようにTmelt−4≦Tとすることが好ましい。
以上の原料融液温度決定工程において、シーディング温度を算出する手段は特に限定されるものではなく、種結晶表面融解工程における、種結晶19の表面が融解した時の原料融液18の温度から、オペレータが算出することもできる。また、例えば、種結晶表面融解工程において、種結晶19の表面が融解した時の原料融液18の温度を種結晶19の表面をカメラにより撮影した画像の画像処理を行い、自動的に検出する場合には同時にシーディング温度も算出するように構成することもできる。
以上に、本実施形態の酸化アルミニウムの単結晶の製造方法について説明してきたが、本実施形態の酸化アルミニウムの単結晶の製造方法においてはさらに、原料融液降温工程や、シーディング工程等を設けることができる。
原料融液降温工程は、原料融液18の温度を原料融液温度決定工程において決定されたシーディング温度に降温する工程である。原料融液降温工程においては、例えば、側面ヒータ13および/またはボトムヒータ14の温度を調整することにより行うことができる。この際、原料融液温度決定工程において決定されたシーディング温度に降温することから、例えば、上述のように種結晶19の表面が融解した時の原料融液18の温度から、原料融液18の温度を0.5℃以上4℃以下降温することが好ましい。また、種結晶19の表面が融解したときの原料融液18の温度から、原料融液の温度を1.5℃以上3℃以下降温することがより好ましい。
なお、原料融液降温工程における温度制御は、例えば上述の種結晶表面融解工程の場合と同様に熱電対を用いて行うことができる。すなわち、炉体16内の適当な場所、例えば、断熱材15の内部に設けた熱電対を用いることができ、該場所での温度を原料融液18の温度の代替値とすることができる。
原料融液のように高温の被測定物の場合、熱電対の表示温度は再現性を欠く場合が多いが、温度差については比較的正確に表示することができる。このため、種結晶表面融解工程において、種結晶表面が融解した際の検出温度を基準として、該検出温度から所定温度低い温度までの降温を再現性よく実施することができる。このように、原料融液を直接接触しない場所に設置した熱電対を用いることにより、比較的低温での温度測定が可能となり、指標として用いる温度差の再現性が向上する。なお、熱電対に限らず、例えば、放射温度計を用いることもできるが、種結晶表面融解工程と同じ温度検出手段を用いることが好ましい。
そして、原料融液降温工程の後、原料融液と、種結晶とを接触させるシーディング工程を行うことができる。
シーディング工程の後は単結晶20の育成を行う結晶育成工程を行うことができる。結晶育成工程における結晶育成方法は特に限定されるものではなく、公知の結晶育成方法を用いることができる。例えば、種結晶19を回転させながら、徐々に引き上げることにより単結晶20を育成することができる。
得られた単結晶20については、用途に応じて任意の形状に加工する形状加工工程を実施することができる。例えば単結晶20をウエハー状にスライスして、ウエハーの両面または片面、場合によっては端面部分についてもポリッシュ研磨を行うことができる。
本実施形態の酸化アルミニウム単結晶の製造方法により得られたウエハーは例えばエピタキシャル成長用基板結晶として好ましく用いることができる。単結晶中には粒界がなく、該エピタキシャル成長用基板結晶を用いて、優れた特性を有するGaN結晶膜等の電子部品材料や光学用部品材料を製造することができる。
以上、本実施形態の酸化アルミニウム単結晶の製造方法について説明してきたが、本実施形態の酸化アルミニウム単結晶の製造方法によれば、種結晶表面が融解したときの原料融液の温度を基準としてシーディング温度を決定する。種結晶表面の融解は、種結晶の素材固有の物性値である融点により一義的に決定される。そのため、計測誤差や電気的なノイズ、測定素子の劣化等の影響を受けることがない。従って、熱電対等よって測定した原料融液温度のみに基づいてシーディング温度を決定する場合と比較して、シーディング温度をより再現性良く決定することが可能になる。このため、粒界の発生を抑制した高品質な酸化アルミニウム単結晶を、再現性よく製造できる。
以下に具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示した単結晶育成装置10を用いて以下の手順により、酸化アルミニウム単結晶20の製造を行った。
図1に示した単結晶育成装置10において、ルツボ11としてはモリブデン製ルツボを用いた。また、断熱材15としてカーボンフェルト断熱材を、側面ヒータ13及びボトムヒータ14としてカーボン製ヒータをそれぞれ用いた。
(原料融液温度制御工程)
ルツボ11内に酸化アルミニウム単結晶用原料としてクラックル原料を充填した後、炉体16内をアルゴンガスで置換してから、側面ヒータ13及びボトムヒータ14により、ルツボ11内の酸化アルミニウム単結晶用原料を融解し原料融液18とした。この際、ルツボ11内の原料融液18を酸化アルミニウム単結晶用原料の融点である、2050℃よりも15℃高い温度に設定した。なお、この際の温度は、断熱材15に設置した図示しない白金ロジウム熱電対により測温し、該熱電対により検出した温度を原料融液18の温度とした。断熱材15の温度は、ルツボ11内の酸化アルミニウム単結晶用原料が融解する際にプラトーになる。つまり、断熱材15の温度がプラトーのときに、ルツボ11内の酸化アルミニウム単結晶用原料が融点(2050℃)になっていると判断できるので、ルツボ11内の酸化アルミニウム単結晶用原料を融点より15℃高くしたい場合は、断熱材15温度をプラトー領域の値より15℃高くすれば良い。
(種結晶表面融解工程)
原料融液18の温度が上記設定温度で安定したことを確認してから、図2に示すように、原料融液18の上方であって、原料融液表面181と種結晶19の下端部との間の距離hが2mmとなる種結晶保持位置に保持した。この際、種結晶19としては直方体形状を有する酸化アルミニウム単結晶を用い、種結晶19は表面全体の表面粗さRaが0.4μmになるように均一に荒らした状態にしたものを用いた。
次いで、側面ヒータ13及びボトムヒータ14により炉体16内の温度を0.2℃/minの昇温速度で昇温した。この際、種結晶19の表面を覗き窓から撮影した画像から、種結晶19の表面が図3(c)に示した状態になった時の原料融液18の温度を断熱材15に設置された図示しない熱電対により検出したところ1515℃であった。このため、1515℃を、種結晶19の表面が融解した時の原料融液18の温度として記録し、後述する原料融液温度決定工程における基準温度とした。
種結晶19の表面が融解したことを確認した後、種結晶19は、原料融液表面181と、種結晶19の下端部との間の距離が50mmになる位置に移動させた。
(原料融液温度決定工程)
種結晶表面融解工程において、種結晶19の表面が融解した時の原料融液18の温度を基準として、種結晶19と原料融液18とを接触させる時の原料融液18の温度、すなわちシーディング温度を決定した。ここでは、シーディング温度を種結晶19の表面が融解した時の原料融液18の温度1515℃よりも0.5℃低い温度、すなわち、1514.5℃とした。
(原料融液降温工程)
原料融液18の温度を原料融液温度決定工程で決定したシーディング温度まで降温した。具体的には、側面ヒータ13及びボトムヒータ14をオフにし、断熱材15に設置された熱電対により検出した温度で1514.5℃まで降温した。
(シーディング工程、結晶育成工程)
原料融液18と種結晶19とを接触させるシーディング工程をおこなった。さらにその後、種結晶19を回転させながら、徐々に引き上げることにより単結晶20を製造した。
以上の手順により、5ロット酸化アルミニウム単結晶を作製した。作製した酸化アルミニウム単結晶について、ライトボックスと偏光板を用いて偏光検査を行ったところ、いずれのロットでも単結晶20内に粒界が無いことが確認できた。
[実施例2]
種結晶19について、種結晶表面の表面粗さRaが0.7μmで均一に荒らした状態にしたものを用いた点以外は実施例1と同様にして酸化アルミニウム単結晶を製造した。
この方法により作製した酸化アルミニウム単結晶について実施例1と同様にして偏光検査を行ったところ、いずれのロットでも単結晶内に粒界が認められなかった。
[実施例3]
原料融液温度制御工程において、ルツボ11内の原料融液18を酸化アルミニウム単結晶用原料の融点である、2050℃よりも30℃高い温度に設定した点以外は実施例1と同様にして酸化アルミニウム単結晶を製造した。
なお、この際の温度制御は、断熱材15に設置した熱電対で検出した温度がプラトーのときを2050℃と判断し、熱電対の検出温度で、プラトーになった温度から30℃高い温度まで昇温することにより行った。
この方法により作製した酸化アルミニウム単結晶について実施例1と同様にして偏光検査を行ったところ、いずれのロットでも単結晶内に粒界が認められなかった。
[実施例4]
種結晶表面融解工程において種結晶19を、原料融液18の上方であって、原料融液表面181と種結晶19の下端部との間の距離hが5mmとなる種結晶保持位置に保持した点以外は実施例1と同様にして酸化アルミニウム単結晶を製造した。
この方法により作製した酸化アルミニウム単結晶について実施例1と同様にして偏光検査を行ったところ、いずれのロットでも単結晶内に粒界が認められなかった。
[実施例5]
種結晶表面融解工程において種結晶19を、原料融液18の上方であって、原料融液表面181と種結晶19の下端部との間の距離hが10mmとなる種結晶保持位置に保持した点以外は実施例1と同様にして酸化アルミニウム単結晶を製造した。
この方法により作製した酸化アルミニウム単結晶について実施例1と同様にして偏光検査を行ったところ、いずれのロットでも単結晶内に粒界が認められなかった。
[実施例6]
種結晶表面融解工程において、種結晶19を種結晶保持位置に保持した後、側面ヒータ13及びボトムヒータ14により炉体16内の温度を0.05℃/minの昇温速度で昇温した点以外は実施例1と同様にして酸化アルミニウム単結晶を製造した。
この方法により作製した酸化アルミニウム単結晶について実施例1と同様にして偏光検査を行ったところ、いずれのロットでも単結晶内に粒界が認められなかった。
[実施例7]
原料融液温度決定工程において、シーディング温度を種結晶19の表面が融解した時の原料融液18の温度よりも4℃低い温度とした点以外は実施例1と同様にして酸化アルミニウム単結晶を製造した。すなわち、本実験例では、種結晶19の表面が融解したときの原料融液18の温度が1517℃であったことから、1513℃をシーディング温度とし、原料融液降温工程において、該シーディング温度まで降温した。
この方法により作製した酸化アルミニウム単結晶について実施例1と同様にして偏光検査を行ったところ、いずれのロットでも単結晶内に粒界が認められなかった。
[実施例8]
原料融液温度決定工程において、シーディング温度を種結晶19の表面が融解した時の原料融液18の温度よりも5℃低い温度とした点以外は実施例1と同様にして酸化アルミニウム単結晶を製造した。すなわち、本実験例では、種結晶19の表面が融解したときの原料融液18の温度が1550℃であったことから、1545℃をシーディング温度とし、原料融液降温工程において、該シーディング温度まで降温した。
この方法により作製した酸化アルミニウム単結晶について実施例1と同様にして偏光検査を行ったところ、数本のロットで粒界の発生が認められることがあった。これは、シーディングを行った際、原料融液18の温度が低下し、結晶が急成長をするぎりぎりの温度であるためと考えられる。
[比較例1]
種結晶19について、種結晶表面の表面粗さRaが0.1μmで均一に荒らした状態にしたものを用いた点以外は実施例1と同様にして酸化アルミニウム単結晶を製造した。
この方法により作製した酸化アルミニウム単結晶について実施例1と同様にして偏光検査を行ったところ、いずれのロットでも粒界の発生が認められた。これは、種結晶19が融解する際に生じる種結晶19表面での光のコントラストの変化の検出が難しかったため、種結晶表面融解工程において、種結晶19の表面が融解したタイミングの判断に若干のずれが生じたためと考えられる。
[比較例2]
種結晶19について、種結晶表面の表面粗さRaが1.1μmで均一に荒らした状態にしたものを用いた点以外は実施例1と同様にして酸化アルミニウム単結晶を製造した。
この方法により作製した酸化アルミニウム単結晶について実施例1と同様にして偏光検査を行ったところ、いずれのロットでも粒界の発生が認められた。これは、種結晶19表面の表面粗さRaが大きいため、原料融液18と接触させた際に複数の凹凸部より核が発生することで粒界が発生しやすくなったためと考えられる。
[比較例3]
種結晶表面融解工程において、種結晶19を種結晶保持位置に保持した後、側面ヒータ13及びボトムヒータ14により炉体16内の温度を0.5℃/minの昇温速度で昇温した点以外は実施例1と同様にして酸化アルミニウム単結晶を製造した。
この方法により作製した酸化アルミニウム単結晶について実施例1と同様にして偏光検査を行ったところ、いずれのロットでも粒界の発生が認められた。これは、種結晶表面融解工程における炉体内温度の昇温速度が速かったため、種結晶19の表面が融解したタイミングの判断に若干のずれが生じたためと考えられる。
[比較例4]
種結晶表面融解工程において種結晶19を、原料融液18の上方であって、原料融液表面181と種結晶19の下端部との間の距離hが1mmとなる種結晶保持位置に保持した点以外は実施例1と同様にして酸化アルミニウム単結晶を製造した。
この方法により種結晶表面を融解させたところ、融解と同時に種結晶と原料融液が接触し、原料融液から種結晶への熱の移動により、種結晶が融解したため、以後の工程を実施することができなかった。
[比較例5]
種結晶表面融解工程において種結晶19を、原料融液18の上方であって、原料融液表面181と種結晶19の下端部との間の距離hが12mmとなる種結晶保持位置に保持した点以外は実施例1と同様にして酸化アルミニウム単結晶を製造した。
原料融液温度決定工程において、シーディング温度を決定し、原料融液降温工程において、原料融液18の温度を原料融液温度決定工程で決定したシーディング温度まで降温した。その後、シーディング工程において、種結晶19を原料融液にシーディングしようとしたところ、シーディングを行う前に種結晶19が融解してしまった。これは、種結晶表面融解工程において、原料融液表面181と種結晶19との間の距離が離れていたため、原料融液18表面の温度を適切に反映せず、シーディング温度を適切に決定することができなかったためと考えられる。
11 ルツボ
16 炉体
18 原料融液
181 原料融液表面
19 種結晶
20 (酸化アルミニウム)単結晶

Claims (3)

  1. 炉体内のルツボに酸化アルミニウム単結晶用原料を入れて加熱融解して原料融液とした後、原料融液に種結晶を接触させて成長結晶を得る融液固化法による酸化アルミニウム単結晶の製造方法において、
    前記種結晶を、前記原料融液の上方であって、前記原料融液表面と前記種結晶の下端部との間の距離が2mm以上10mm以下となる種結晶保持位置に保持し、前記種結晶の表面を融解させる種結晶表面融解工程と、
    前記種結晶表面融解工程において前記種結晶の表面が融解した時の前記原料融液の温度を基準として、前記種結晶と前記原料融液とを接触させる時の前記原料融液の温度を決定する原料融液温度決定工程と、を有し、前記種結晶表面の少なくとも一部の表面粗さRaが0.3μm以上1.0μm以下であり、前記種結晶を前記種結晶保持位置に保持した後、0.2℃/min以下の温度で炉体内温度を上昇させる酸化アルミニウム単結晶の製造方法。
  2. 前記種結晶の表面が融解した時の前記原料融液の温度から、前記原料融液の温度を0.5℃以上4℃以下降温する原料融液降温工程と、
    前記原料融液降温工程の後、前記原料融液と、前記種結晶と、を接触させるシーディング工程と、を有する請求項1に記載の酸化アルミニウム単結晶の製造方法。
  3. 前記種結晶表面融解工程の前に、
    前記原料融液の温度を、前記酸化アルミニウム単結晶用原料の融点よりも15℃以上30℃以下高温に制御する原料融液温度制御工程を有する請求項1または2に記載の酸化アルミニウム単結晶の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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