JP5283303B2 - 転写材用硬化性樹脂組成物、転写材および保護層の形成方法 - Google Patents
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Description
(1)1分子中に活性メチレン基および/または活性メチン基を合計で2個以上有する化合物(A)、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)および光重合開始剤(C)を含有することを特徴とする転写材用硬化性樹脂組成物は、1液型で貯蔵安定性に優れた樹脂組成物である。
(2)前記転写材用硬化性樹脂組成物は加熱する事により前記転写材用硬化性樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基(α−β不飽和カルボニル基)に活性メチレン基や活性メチン基が付加するマイケル付加反応により半硬化(B−ステージ化)する。よって、前記転写材用硬化性樹脂組成物を基体シート上に塗装した後、加熱することによりB−ステージ化された樹脂層を有する転写材を製造することができ、このB−ステージ化された樹脂層は指で触れても付着感が無い(残タックが無い)ので、基体シートを巻き取り保存する事ができる。
(3)前記転写材のB−ステージ化された樹脂層と成形品等の基材とを接着した後、エネルギー線を照射することにより耐摩耗性および耐薬品性に優れ、かつ転写時に曲面部においてクラックを生じない保護層を形成することができる。
(I).活性メチレン基含有カルボン酸化合物および/または活性メチン基含有カルボン酸化合物と多価アルコールとを反応させて得られる化合物。
(II).多価アミン化合物とジケテンとを反応させて得られる化合物。
(III).活性メチレン基を有する(メタ)アクリルモノマーや活性メチン基を有する(メタ)アクリルモノマーを必須成分として、必要に応じて他のアクリルモノマーや非アクリル系モノマーと共に重合して得られる(メタ)アクリル系樹脂。
(IV).メタントリカルボン酸トリアルキルエステルと多価アルコールとをエステル交換反応させて得られる化合物。
(V).イソシアネート化合物と活性メチレン基含有化合物との付加反応により得られる化合物。
なかでも、(III).の(メタ)アクリル系樹脂が好ましく、活性メチレン基を有する(メタ)アクリルモノマーや活性メチン基を有する(メタ)アクリルモノマーと他のアクリルモノマーと共重合して得られる(メタ)アクリル系樹脂がより好ましい。
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、酢酸ブチル100gを仕込み、撹拌しながら系内温度が110℃になるまで昇温した。次いで、アセトアセトキシエチルメタクリレート(イーストマンケミカルジャパン(株)製:純度95%、以下AAEMという)100gおよびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本乳化剤製:パーブチルO)2gからなる混合液を2時間かけて滴下ロートより滴下した。滴下後110℃で7時間保持した後120℃に昇温し、同温度で8時間反応を続けた。反応終了後、活性メチレン基含有化合物を196g得た。これを重合体(A1)と称する。重合体(A1)は、不揮発分:50.6%、ガードナー粘度(25℃):B―C、ガードナーカラー:1以下、GPCによるスチレン換算数平均分子量:7,700、固形分換算の活性メチレン当量:107g/eqである。
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、酢酸ブチル328gを仕込み、撹拌しながら系内温度が110℃になるまで昇温した。次いで、メチルメタクリレート(以下、MMAという。)81.2g、AAEM247gおよびパーブチルO6.57gからなる混合液を2時間かけて滴下ロートより滴下した。滴下後110℃で7時間保持した後120℃に昇温し、同温度で8時間反応を続けた。反応終了後、活性メチレン基含有化合物を658g得た。これを重合体(A2)と称する。重合体(A2)は、不揮発分:50.6%、ガードナー粘度(25℃):M―N、ガードナーカラー:1以下、GPCによるスチレン換算数平均分子量:8,600、固形分換算の活性メチレン当量:143g/eqである。
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、酢酸ブチル1200gを仕込み、撹拌しながら系内温度が110℃になるまで昇温した。次いで、グリシジルメタアクリレート(以下、GMAという。)1200gおよびパーブチルO24gからなる混合液を2時間かけて滴下ロートより滴下した。滴下後110℃で7時間保持した後120℃に昇温し、同温度で8時間反応を続けた。次いで、90℃まで降温した後、メトキノン1.82gおよびアクリル酸(以下、AAという。)621gを仕込んだ後、トリフェニルホスフィン17.7gを添加後、100℃まで昇温して8時間反応を続けた。反応終了後、MEK1160gおよび酢酸ブチル730gを仕込み、アクロイル基を有する化合物を4945g得た。これをこれを重合体(B)と称する。重合体(B)は、不揮発分:37.7%、ガードナー粘度(25℃):C2−D、ガードナーカラー:1以下、酸価:1.0mgKOH/g、GPCによるスチレン換算数平均分子量:11,700、固形分換算のアクリル当量:218g/eq、固形分換算の水酸基価:258mgKOH/gである。
第1表に示す組成で化合物を配合して、本発明の転写材用硬化性樹脂組成物を調製した。これを組成物M1と略記する。組成物M1の貯蔵安定性の評価を以下の通り行った。第5表に示す。また、組成物M1の活性メチレン基と前記活性メチン基との合計モル数(a)に対する前記(メタ)アクリロイル基のモル数(b)の比〔(b)/(a)〕も第5表に示す。
組成物M1を密閉容器にいれ、これを40℃の条件下に静置した。組成物M1がゲル化するまでの日数を測定した。この日数が多い程貯蔵安定性に優れていることを表す。
ガーゼにMEKを含浸させ、(440g/cm2)の荷重で50往復擦った後の保護層表面の状態を目視観察し、以下の判定に従い評価した。
◎:表面の状態に変化無し。
○:保護層表面が溶解し傷が発生するが、保護層内部まで届く傷は発生しない。
×:保護層が溶解し、内部まで届く傷が発生する。
#0000スチールウールを用い、荷重(440g/cm2)で50往復させた後の保護層表面の傷つき程度を目視観察し、以下の判定に従い評価した。
◎:表面の状態に変化無し。
○:保護層表面に傷が発生するが、保護層内部まで届く傷は発生しない。
×:内部まで届く傷が発生する。
転写材の保護層面と前記ポリエステル樹脂フィルムを重ねてこれをガラス板で挟んだ。このガラス板の上に1kgの重りをのせて常温で1日間保持した。その後、重ね合わせたフィルムを取り出し、フィルム同士を剥離させた。転写材の保護層面がもう片方のフィルムに移る現象(ブロッキング)の有無を目視で観察し、以下の判定に従い、評価した。
◎:ブロッキングの発生が認められない。フィルム同士を剥離させるのもスムーズである。
○:ブロッキングの発生が認められないが、フィルム同士を剥離させる際に抵抗を感じる。
×:ブロッキングが発生する。
成形品曲面の保護層のクラックの発生状態を目視判定し、以下の判定に従い評価した。
○:クラック発生が認められない。
×:クラック発生が認められる。
第1表〜第3表に示す配合で転写材用硬化性樹脂組成物である組成物M2〜M7及び比較対照用組成物M′1〜M′3を調製した。実施例1と同様にして転写材を製造と成形品の保護層を形成した。実施例1と同様の各試験を行いその結果を第5表及び第6表に示す。
SH28PA:SH28PA〔東レ−ダウコーニング(株)製シリコンレベリング剤〕をMEKにて不揮発分10重量%となるように希釈したもの。
イルガキュア184:チバガイギー社製光重合開始剤
DBU:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7をMEKにて不揮発分10重量%にとなるように希釈したもの。
グリシジルエーテル:2−エチルヘキシルグリシジルエーテル〔和光純薬工業(株)製〕をMEKにて不揮発分10重量%となるように希釈したもの。
オクタン酸:ノルマルオクタン酸〔和光純薬工業(株)製〕をMEKにて不揮発分10重量%となるように希釈したもの。
Claims (11)
- 活性メチレン基および/または活性メチン基を有する(メタ)アクリレートとその他の(メタ)アクリレートを必須成分として得られる数平均分子量5000〜25000の(メタ)アクリル系樹脂であって、1分子中に活性メチレン基および/または活性メチン基を合計で2個以上有する化合物(A)、数平均分子量が5000〜25000の範囲であり、アクリル当量が100〜1000の範囲であり、かつ(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)、光重合開始剤(C)およびマイケル付加反応触媒(D)を含有することを特徴とする転写材用硬化性樹脂組成物。
- 前記活性メチレン基と前記活性メチン基との合計モル数(a)に対する前記(メタ)アクリロイル基のモル数(b)の比〔(b)/(a)〕が1〜10である請求項1記載の転写材用硬化性樹脂組成物。
- 前記活性メチレン基の当量と活性メチン基の当量との合計当量が60〜2000である請求項2記載の転写材用硬化性樹脂組成物。
- 前記化合物(B)がグリシジル(メタ)アクリレートを必須成分として重合して得られるエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応して得られるエポキシ(メタ)アクリレートである請求項1記載の転写材用硬化性樹脂組成物。
- 前記エポキシ(メタ)アクリレートの酸価が2以下である請求項4記載の転写材用硬化性樹脂組成物。
- 前記光重合開始剤(C)がベンゾイン類、アセトフェノン類およびケタール類からなる群から選ばれる一種以上の化合物である請求項1〜5のいずれか1項記載の転写材用硬化性樹脂組成物。
- 前記マイケル付加反応触媒(D)が第三級アミンおよび/または第三級ホスフィンである請求項1記載の転写材用硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載の転写材用硬化性樹脂組成物を基体シート上に塗装した後、加熱して前記転写材用硬化性樹脂組成物をBステージ化してなることを特徴とする転写材。
- 前記基体シートがプラスチックシートである請求項8記載の転写材。
- 請求項8または9記載の転写材のB−ステージ化された樹脂層と成形品とを接着した後、エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする成形品の保護層の形成方法。
- 前記エネルギー線の照射を、転写材のB−ステージ化された樹脂層と成形品とを接着し、その後、転写材の基体シートを剥離することにより転写材のB−ステージ化された樹脂層を成形品表面に転写させてから行う請求項10記載の保護層の形成方法。
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