JP5277557B2 - 清掃装置、像保持体装置および画像形成装置 - Google Patents

清掃装置、像保持体装置および画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、清掃装置、像保持体装置および画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、感光体などの像保持体に像を形成し、これを記録媒体に転写する。このとき記録媒体に転写されなかったトナーは、像保持体の表面に残留しているので、ゴムなどの素材からなる清掃部材を像保持体表面に押し当てた状態で像保持体を回転させることで、残留トナーを取り除く。特許文献1には、この清掃部材を加振手段によって振動させるための技術が開示されている。また、特許文献2には、省エネルギー化の観点から熱定着する際の温度を低くするために結着樹脂として結晶性樹脂を含むトナーに関する技術が開示されている。
特開2004−286827号公報 特開2005−227672号公報
本発明の目的は、結晶性樹脂を含むトナーを有する現像剤を用いた場合に、清掃部材を支持する支持部材の特性を規定することによって清掃部材へのトナーの固着を低減させることにある。
上述した目的を達成するために、本発明は、結晶性樹脂を含むトナーを有する現像剤によって静電潜像が現像される像保持体の表面に接触し、その表面が移動するときの摩擦力によって振動する清掃部材と、前記清掃部材の振動の振幅を大きくさせることによって、当該清掃部材への前記現像材の固着を低減させる手段とことを特徴とする清掃装置を提供する。
また、本発明は、清掃部材と、結晶性樹脂を含むトナーを有する現像剤によって静電潜像が現像される像保持体の表面に前記清掃部材を接触させるように、当該清掃部材を支持する支持部材とを備え、前記清掃部材及び前記支持部材は、前記像保持体の長手方向に延びる板状の部材であって、前記支持部材の板厚は、前記清掃部材の板厚よりも小さく、且つ、前記支持部材の貯蔵弾性率の大きさに対する損失弾性率の大きさを表す損失係数が、当該清掃部材の前記損失係数に対して小さいことを特徴とする清掃装置を提供する。
本発明の清掃装置において、前記支持部材は、厚さ方向のバネ定数が5グラム重毎ミリメートル以下であることが好ましい。また、前記支持部材の前記損失係数は10-2以下であり、前記清掃部材の前記損失係数は10-2よりも大きいことが好ましい。
また、本発明は、像保持体と、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を、結晶性樹脂を含むトナーを有する現像剤によって現像する現像手段と、清掃部材と、前記像保持体の表面に前記清掃部材を接触させるように、当該清掃部材を支持する支持部材とを有する清掃手段とを備え、前記清掃部材及び支持部材は、前記像保持体の長手方向に延びる板状の部材であって、前記支持部材の貯蔵弾性率の大きさに対する損失弾性率の大きさを表す損失係数が、前記清掃部材の前記損失係数に対して小さいことを特徴とする像保持体装置を提供する。
本発明の像保持体装置において、前記トナーは、形状係数=(トナー径の絶対最大長)/(トナーの投影面積)×(π/4)×100という数式で定義される形状係数が120以上であることを特徴とする。また、前記トナーは、振動周波数6.28ラジアン/秒の振動を与えたときの貯蔵弾性率が104Paとなる温度が、摂氏90度以下であることを特長とする。
また、本発明は、回転する像保持体と、前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電させられた像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を、結晶性樹脂を含むトナーを有する現像剤によって現像する現像手段と、前記現像手段によって現像された像を転写する転写手段と、清掃部材と、前記像保持体の表面に前記清掃部材を接触させるように、当該清掃部材を支持する支持部材とを有し、当該像保持体の表面を清掃する清掃手段とを備え、前記清掃部材及び前記支持部材は、前記像保持体の長手方向に延びる板状の部材であって、前記支持部材の板厚は、前記清掃部材の板厚よりも小さく、且つ、前記支持部材の貯蔵弾性率の大きさに対する損失弾性率の大きさを表す損失係数が、当該清掃部材の前記損失係数に対して小さいことを特徴とする画像形成装置を提供する。
本発明の画像形成装置において、前記清掃手段によって前記像保持体の表面が清掃される場合には、前記帯電手段による帯電、前記潜像形成手段による潜像の形成、又は、前記転写手段による転写がなされている場合よりも、前記像保持体の回転速度を遅くするよう制御する制御手段を備えることを特徴とする。この画像形成装置において、前記清掃手段によって前記像保持体の表面を清掃するときの前記像保持体の回転速度を、前記帯電、前記潜像の形成、前記現像及び前記転写によって像を形成するときの前記像保持体の回転速度よりも遅くするよう制御する制御手段を備えることを特徴とする。
請求項1,2に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、結晶性樹脂を含むトナーを有する現像剤を用いた場合に、清掃部材にトナーが凝集しにくく、その固着を低減させることができる。
請求項に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、結晶性樹脂を含むトナーを有する現像剤を用いた場合に、清掃部材にトナーが凝集しにくく、その固着を低減させることができる。
請求項に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、結晶性樹脂を含むトナーを有する現像剤を用いた場合に、清掃部材にトナーが凝集しにくく、その固着を低減させることができる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
(1)実施形態の構成
まず、本発明の実施形態の構成について説明する。
図1は、本実施形態にかかる画像形成装置1において画像形成を行う要部の構成を示す図である。この画像形成装置1に搭載された感光体10の周囲には、帯電ロール20、露光器30、現像器40、転写ロール50及び感光体クリーナ60が配置されている。さらに、画像形成装置1は、これら各部の制御を司る制御部70を備えている。
感光体10は、円筒状のドラム基体の表面に感光層が形成された像保持体であり、図示せぬ駆動部により、その中心軸を中心として図に示す矢印Aの方向(時計方向)へ回転させられる。帯電ロール20は、その表面が感光体10の表面に接触した帯電部材であり、感光体10の回転に従って回転しつつ、感光体10の表面を所定の電位に帯電させる。露光器30は、帯電させられた感光体10の表面に向けてレーザーまたはLEDを照射(露光)して、感光体10の表面に静電潜像を形成する。
現像器40は、感光体10表面に形成された静電潜像がその感光体10の回転に伴って自身に対向する位置に到達すると、その静電潜像に現像剤Dを供給することによって静電潜像を現像して、感光体10の表面にトナー像を形成する。
図2(a)はこの現像剤Dの拡大図である。同図に示すように、現像剤Dは、トナーTとキャリアCとを主たる成分とする。キャリアCは、トナーTよりも大きい磁性体である。このトナーTは結晶性樹脂を含んでいる。結晶性樹脂を含むことで、融点が低くなったり、柔らかくなったりするという特徴を有するようになる。すなわち、図示せぬ定着装置が、図2(a)の現像剤D以外の現像剤で形成されたトナー像を定着させる場合よりも、図2(a)の現像剤Dで形成されたトナー像を定着させる場合のほうが、定着に要するエネルギーは小さくなる。
図2(b)は、トナーTの拡大図である。同図に示すように、トナーTの球面には複数の外添剤Sが添加されている。この外添剤Sは、その粒子径が1μm以下の微粒子であり、トナーTの流動性の向上、帯電特性の安定化、及びクリーニング性の向上などを目的として添加されるものである。この外添剤Sには、シリカやチタンなどが用いられる。
図1において、転写ロール50は、感光体10の表面に形成されたトナー像がその感光体10の回転に伴って自身の表面に接触する位置に到達すると、静電力などによってそのトナー像を、用紙などの記録媒体に転写する。トナー像が転写された用紙は図示せぬ定着装置へ搬送され、トナー像が定着させられた後に機外へ排出される。
制御部70は、感光体10の回転速度を選択的に切り替えることで、感光体10の回転速度を制御する。
ここで、図3は、図1の感光体クリーナ60の構成を拡大した図である。
感光体クリーナ60は、清掃部材としてのクリーニングブレード61と、支持部材としての板ばね62とを備える。クリーニングブレード61は、感光体10の軸方向と概ね同じ奥行き幅を持つ板状の部材である。板ばね62は、クリーニングブレード61よりも大きな奥行き(長手方向)幅の板状の部材である。板ばね62の一方の面は、画像形成装置1の筐体に取り付けられた金属部材63に、接着又は所定の固定具によって固定されている。板ばね62の他方の面には、クリーニングブレード61が接着により固定されている。図3に示すように、板ばね62がクリーニングブレード61を支持することで、クリーニングブレード61の一角は、接触部Nにおいて、感光体10の表面に所定の圧力で押し当てられるようになっている。そして、感光体10が矢印A方向に回転することで、クリーニングブレード61は、感光体10の表面に残留した現像剤を掻きとる。クリーニングブレード61は、厚さ1〜3mmのポリウレタンゴムや、あるいは、厚さ50〜500μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネイト)といった樹脂など、粘弾性素材によって形成されている。板ばね62は、クリーニングブレード61よりも、貯蔵弾性率の大きさに対する損失弾性率の大きさを表す損失係数が小さくなるように、その素材や寸法が設計されている。損失係数については後で詳述する。本実施形態では、板ばね62として、厚さWが0.08mmのSUS(Steel Use Stainless)を用いる。
(1−1)感光体10の回転とクリーニングブレード61の歪みとの関係
次に、感光体10の回転とクリーニングブレード61の歪みとの関係について説明する。
図4は、感光体10とクリーニングブレード61とが接触する部分の拡大図である。図4(a)に示したように、感光体10が回転していない場合には、クリーニングブレード61の一角が接触部Nにおいて感光体10の表面に接した状態となっている。
次に、感光体10が回転している場合のクリーニングブレード61の様子について説明する。感光体10が図示した矢印A方向に回転している場合には、図4(b)に示したように、クリーニングブレード61は感光体10の表面の接線方向へと引っ張られて歪む。これは、感光体10とクリーニングブレード61との間に生じる摩擦力によるものであり、この摩擦力によってクリーニングブレード61に白抜きの矢印方向への応力が加わるのである。歪の大きさを、感光体10の停止時の接触部Nの位置から、感光体10の回転時の接触部Nの位置までの距離「γ」で表す。感光体10が回転し続けると、γは次第に大きくなるが、クリーニングブレード61の弾性によって元の形状に戻ろうとする力が大きくなると、元の形状に復元しようとして、γは小さくなる。そして、復元しようとする力よりも上記摩擦力による応力が大きくなれば、再びクリーニングブレード61は白抜きの矢印方向へと歪み、γは再び大きくなる。このように、クリーニングブレード61の接触部Nは、左右に往復移動することにより振動する。以下では、これら一連の動作を「自励振動」という。クリーニングブレード61は、回転速度が一定であればこの動作を繰り返すから、一定の振動振幅で自励振動するといえる。クリーニングブレード61の振動振幅の大きさは、感光体10の回転速度に依存し、具体的には回転速度が小さいほど振動振幅が大きくなり、クリーニングブレード61は大きく歪む。
ここで、感光体10の回転速度と、クリーニングブレード61の振動振幅の関係について説明する。
クリーニングブレード61の歪みの大きさは、クリーニングブレード61に加わる応力の大きさによって決まる。応力は弾性応力と粘性応力からなり、弾性応力は歪みと同位相の成分であり、粘性応力は弾性応力と位相がπ/2遅れた成分である。弾性応力は、クリーニングブレード61の歪の大きさに応じて一意に決まる。一方、粘性応力の大きさは歪みの速度に比例して大きくなる。つまり、感光体10の回転速度が大きい場合と小さい場合とで比較すれば、それぞれ弾性応力は同じであるが、粘性応力は前者の方が大きい。
粘性応力は弾性応力よりも位相がπ/2だけ遅れているため、粘性応力は、クリーニングブレード61に加えられた応力の位相をちょうどπ/2だけ遅らせるという、減衰効果をもたらす。すなわち、粘性応力が大きいほど、クリーニングブレード61は歪みにくくなる。
よって、感光体10の回転速度が小さいほど、応力に対して粘性応力が小さいから、クリーニングブレード61はより大きく歪み、自励振動の振動振幅は大きくなる。反対に、感光体10の回転速度が大きいほど、応力に対する粘性応力が大きくなって、クリーニングブレード61の歪みを減衰させる。その一方で、弾性応力は感光体10の回転速度によらず一定であるから、クリーニングブレード61の歪が小さくなり、自励振動の振動振幅は小さくなる。
ここで、図5は、感光体10の回転速度と、クリーニングブレード61の自励振動の振動振幅の関係を図示したグラフである。図5に示したように、感光体10の回転速度が小さいほど、クリーニングブレード61の振動振幅が大きく、回転速度が大きくなるにつれて、振動振幅が小さくなっている。画像形成装置1が、帯電、潜像の形成、現像や転写によって像を形成するときの感光体10の回転速度は、概ね150〜350mm/sであるから、感光体10の清掃時における回転速度は100mm/s以下であることが好ましい。なぜなら、感光体10の回転速度が小さいほど、クリーニングブレード61の振動振幅が大きくなるから、より効果的に感光体10の表面上のトナーを拡散できる。図5から分かるように、回転速度は100mm/s以下になると、クリーニングブレード61の振動振幅が非常に大きくなり(振動振幅が約0.035mm以上)、この程度の振動振幅が、感光体10の清掃に適している。感光体10の表面の清掃時に振動振幅が小さいと、トナーを拡散しきれず、クリーニングブレード61にトナーが固着してしまい、感光体10からトナーを除去しきれなくなるからである。
以上のように、制御部70は、感光体クリーナ60によって感光体10の表面が清掃される際には、画像形成時と比べて感光体10の回転速度を遅くするよう制御する。制御部70は、例えば画像形成プロセスを行っていないときにユーザによって指定されたタイミングや、印刷枚数が所定数に到達したタイミングや、画像形成装置1の電源が投入されたタイミングになると、感光体10に数周だけ低速な回転を行わせて、感光体クリーナ60にその表面を清掃させる。
(1−2)板ばね62の効果
前述したように、本実施形態では、板ばね62の板厚は、クリーニングブレード61の板厚よりも小さく、且つ、板ばね62における損失弾性率の貯蔵弾性率に対する割合によって表される損失係数は、クリーニングブレード61の損失係数よりも小さくなるよう設定されている。このような性質を有する板ばね62によってクリーニングブレード61を支持する理由について説明する。
クリーニングブレード61の素材には、ゴム材や樹脂部材の粘弾性素材を用いることが一般的であるが、これらは粘性体としての性質が強い。一方、板ばね62には、上述したSUS等の金属や、セラミックなどの素材のものが用いられるから、粘性体としての性質は弱く、弾性体としての性質が強い。つまり、粘性体の性質が強い素材で形成されるクリーニングブレード61は、振動に対して減衰が大きく、クリーニングブレード61に付着したトナーを十分に除去して、固着を防ぐためのための振動を持続することが困難である。そこで、粘性体としての性質が弱い板ばね62によってクリーニングブレード61を支持することにより、クリーニングブレード61に生じる振動を持続できるようにするのである。
ここで、クリーニングブレード61の振動振幅と、感光体10の表面の清掃性能との関係について説明する。図6は、板ばね62のクリーニングブレード61を支持する面の他方の面に、制振材64を貼り付けた感光体クリーナ60aの構成を示す図である。制振材64は、厚さ1mmで、損失係数0.8であり、クリーニングブレード61の損失係数0.1および板ばね62の損失係数よりも大きい。よって、制振材64を設けることにより、感光体クリーナ60aにおいては、感光体クリーナ60よりもクリーニングブレード61の振動振幅は小さくなる。図7は、画像形成装置に、感光体クリーナ60を用いた場合と、感光体クリーナ60aを用いた場合とで、印刷枚数に応じて白抜けがどの程度発生したかを実験した結果を説明する図である。図7では、白抜けが発生しないものを「○」で表し、白抜けが発生するものを「×」で表し、白抜けが発生しても、一時的なものですぐ消滅するものを「△」で表している。
図7に示したように、印刷枚数が5000枚に達すると、感光体クリーナ60aを用いた画像形成装置では一時的に白抜けが発生しはじめていることが確認された。これは、感光体クリーナ60aを用いた場合には、印刷枚数5000枚程度でクリーニングブレード61へのトナーの固着が発生していることを意味している。一方、上記実施形態の感光体クリーナ60を用いた画像形成装置1においては、印刷枚数5000枚程度では白抜けは発生していない。印刷枚数が10000枚に達すると、感光体クリーナ60aを用いた画像形成装置では白抜けが断続的に発生することが確認でき、クリーニングブレード61にトナーが固着し清掃性能が低下しているが分かる。一方、感光体クリーナ60を用いた画像形成装置1においては、依然として白抜けが確認されず、清掃性能を低下させるようなクリーニングブレード61へのトナーの固着は発生していないことが分かる。これらの実験結果からは、クリーニングブレード61の振動振幅を大きくすることにより、クリーニングブレード61にトナーが凝集しにくくなり、その結果、トナーの固着を低減し得ることが確認されたといえる。
本実施形態では、クリーニングブレード61が、感光体10の回転よって生じる応力に従って自励振動することにより、感光体10の表面が清掃される。よって振動振幅が大きくなるように、板ばね62の素材や形状を設定する必要がある。すなわち、板ばね62の損失係数は小さいことが好ましい。
ここで図8に、各素材と損失係数との関係の実験結果をグラフに示す。なお、図においては、金属、セラミック、ガラス、木材、シリコーンゴム、ネオプレンゴム、ブチルゴムについての損失係数を示す。なお、それぞれの損失係数は25℃の環境において測定された値である。
まず、上述した各素材の損失係数の測定方法について説明する。まず断面積S、長さLとした部材のサンプルの一端を固定し、サンプルが弛まないように他端から静的な張力を加えた状態で、正弦波振動を与える。そして、応力と弾性応力(歪み)の関係を示す信号(応力波形、歪波形)を出力させる。なお、これは引張り治具を使用する場合であるが、圧縮治具を使用した場合は静的な荷重を加え、せん断治具や曲げ治具を使用した場合は、静的な張力や荷重は通常加えない。ここで、応力と歪みを複素数で考えた場合の複素弾性率E*の算出方法について示す。なお、以下において、DFは動的応力(応力波形の0−ピーク値)、DDは動的歪(歪波形の0−ピーク値)、δは応力波形と歪み波形との位相差、E’は貯蔵弾性率、E’’は損失弾性率、εは自然対数の底、ωは正弦波振動の各振動数をそれぞれ表すものとする。
E*=応力[Pa]/歪み率[%]
=[DF/S*ε{i(ω*t+δ)}]/{DD/L*ε(i*ω*t)}
=[DF/S*ε{cos(ω*t+δ)+i*sin(ω*t+δ)}]/[DD/L*ε{cos(ω*t)+i*sin(ω*t)}]
=(DF*L{cos(ω*t)+i*sin(ω*t)}/(DD*S)
|E*|=(DF*L)/(DD*S)
E*=E’+iE’’
E’=|E*|cosδ E’’=|E*|sinδ
tanδ=E’’/E’
このようにして算出される損失係数tanδは、貯蔵弾性率E’に対する損失弾性率E’’の割合を意味する。図8に示したように、金属やセラミック・ガラスの損失係数tanδは10-2以下の値を示している。一方、クリーニングブレード61に用いられるゴム材(図のシリコーンゴム、ネオプレンゴム、ブチルゴム)の損失係数tanδは、10-2よりも大きい値を示している。よって、本実施形態では、損失係数tanδが10-2以下となることを条件に、板ばね62の素材や寸法等が決定されればよい。この条件によれば、発明者らはクリーニングブレード61の振動振幅が減衰することなく、自励振動が行われることを確認した。板ばね62は、その損失係数がクリーニングブレード61の損失係数に対して小さいことを条件として指定されれば、従来の板ばね62を有さない構成と比較して、クリーニングブレード61の弾性応力を大きくすることができる。
ここで、板ばね62の厚さWと、所定の印刷枚数毎に画像形成時に発生する白抜けの発生の有無について説明する。
図9は、発明者らの実験結果を基にして得られた、板ばね62の厚さWと、印刷枚数ごとの白抜けの発生の様子を説明した図である。図9では、白抜けが発生しないものを「○」で表し、白抜けが発生するものを「×」で表している。
この実験における、クリーニングブレード61と板ばね62の条件は以下の通りである。クリーニングブレード61は、静止状態で、厚さ(板ばね62の厚さ方向の長さ)が1.2mm、感光体10の軸方向の長さが330mm、幅の長さ(厚さ方向および感光体ドラム10の軸方向に直交する方向の長さ)が5mm、硬度が80度とする。また、板ばね62は、静止状態で、感光体10の軸方向の長さが330mm、幅が10mmで、材質はSUSである。このとき、図10にハッチングで図示したような、A4用紙に幅20mm、長さ150mm、画像密度100%(いわゆる、ベタ色)の画像を所定枚数作像した後、用紙全面に画像密度30%の画像を作像し、白抜けの有無を判断した。
図9に示したように、板ばね62の厚さWが0.08mmや0.10mmの場合には、印刷枚数が18000枚に達した場合でも、形成された画像に白抜けが発生しておらず、良好な清掃性能で感光体10の表面が清掃されていることを確認できた。しかし、板ばね62の厚さWを0.20mmとした場合には、印刷枚数が5000枚の時点で、画像に白抜けが発生しており、清掃性能を低下させるようなクリーニングブレード61へのトナーの固着が発生していることを確認した。これは、板ばね62の厚さWが大きいが故に、損失係数が大きくなり、クリーニングブレード61が自励振動していないか、自励振動の振動振幅が小さく、感光体10の表面からトナーが除去しきれていないという理由に基づく。つまり、この実験結果によれば、板ばね62の厚さWを少なくとも0.10mm以下にすれば、清掃性能を低下させるような、クリーニングブレード61へのトナーの固着が低減されることを期待することができることを確認できた。板ばね62の厚さWを大きくすれば、板ばね62のバネ定数が大きくなるから、クリーニングブレード61と感光体10との間に摩擦力が発生しても、板ばね62の変形は小さくなる。つまり、クリーニングブレード61は振動しにくくなる。
なお、板ばね62の厚さWが0.10mmのとき、幅1mmあたりのバネ定数は5グラム重毎ミリメートルである。つまり、板ばね62のバネ定数が5グラム重毎ミリメートル以下であれば、クリーニングブレード61の振動振幅を大きくさせて、それを持続させることができるから、トナーの固着を低減させることが可能となる。
(1−3)トナーの形状とクリーニングブレード61への固着との関係
また、上述した結晶性樹脂を含むトナーを用いる場合、トナーが比較的柔らかいから、その形状によってはクリーニングブレード61にトナーが固着しやすく、清掃性能が低下してしまうことがある。ここでトナーの形状と、クリーニングブレード61へのトナーの固着のしやすさの関係について説明する。図11は、感光体10の表面のトナーTと、感光体10とクリーニングブレード61とを拡大して模式的に表した図である。
図11に示したように、感光体10に付着したトナーTは、その形状が球形に近いほど、転がり抵抗が小さく回転しやすい。そのため、感光体10の回転に従って、トナーTがクリーニングブレード61と感光体10との接触部Nの方向(図左から右方向)へ転がってしまうことがある。クリーニングブレード61は、感光体10の表面に所定の圧力で押さえつけられているから、トナーTがその接触部N付近に到達し、その高さがクリーニングブレード61と感光体10と幅よりも小さくなると、押しつぶされてしまうことがある。これによって、押しつぶされたトナーTが、クリーニングブレード61に固着してしまう。
なお、以下ではトナー形状(球形の度合)は形状係数で表し、トナーの形状係数SFとは、トナーの投影面積と、それに外接する円との面積比を、複数のトナー粒子に対して算出し、その代表値を取ったものである。なお、算出式は下記(1)式によって表される。
(数1)
形状係数SF=((トナー径の絶対最大長)/(トナーの投影面積)×(π/4)×100 ・・・(1)
ここで、トナーの形状と、所定の印刷枚数毎に画像形成時に発生する白抜けの発生の有無について説明する。図12は、発明者らの実験結果を基にして得られた、トナーの形状係数SFと、印刷枚数ごとの白抜けの発生の様子を説明した図である。図12では、白抜けが発生しないものを「○」で表し、白抜けが発生するものを「×」で表している。
図12に示したように、形状係数SFが122や135の場合には、印刷枚数が18000枚に達した場合でも、形成された画像に白抜けが発生しておらず、クリーニングブレード61へのトナーの固着が低減されていることを確認した。この理由は、形状係数SFの値が大きいほど、トナーが楕円球のような形状となるから、転がり抵抗が大きくなり、転がりにくいからである。一方、トナーの形状係数SFが110の場合には、印刷枚数が5000枚の時点で、白抜けの発生を確認しており、クリーニングブレード61に清掃性能を低下させるようなトナーの固着が発生していることを確認した。この理由は、形状係数SFの値が小さいほど、トナーが球形に近い形状となり、転がり抵抗が小さく、転がりやすいからである。つまり、この実験結果によれば、トナーの形状係数をおよそ120以上とすれば、クリーニングブレード61へのトナーの固着を低減することが期待できるできることを確認した。
(1−4)結晶性樹脂を含むトナーの作成方法
次に、本実施形態で説明した結晶性樹脂を含むトナーの作成方法について具体的に説明する。
<樹脂合成例>
<結晶性樹脂>
合成例1<樹脂C1の合成>
テトラデカン2酸248重量部、1,6−へキサンジオール118.2重量部、ジブチルスズオキシド0.12重量部を窒素雰囲気下で、180℃で6時間攪拌した。その後減圧にしながら4時間攪拌し、重量平均分子量Mw=25500の結晶性樹脂C1を得た。融点は75℃であった。
<結晶性樹脂乳化液作製例>
結晶性樹脂C1(50重量部)を酢酸エチル250重量部に溶解し、アニオン界面活性剤ダウファックス2重量部をイオン交換水200重量部に溶解した液を加え、ウルトラタラックスを用い、8000回転で10分間攪拌した後、酢酸エチルを留去し、体積平均粒子径0.20μmの結晶性樹脂ラテックス(F1)を得た。
<非結晶性樹脂>
非結晶性ポリエステル合成
合成例2<樹脂A1(低分子量体)の合成>
テレフタル酸ジメチル97.1重量部、イソフタル酸58.3重量部、無水ドデセニルコハク酸53.3重量部、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物94.9重量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物241重量部、ジブチルスズオキシド0.12重量部を窒素雰囲気下で、180℃で6時間攪拌した。その後減圧にしながら220℃で5時間攪拌し、分子量が30000程度になったら、無水トリメリット酸8重量部を加えさらに2時間攪拌した。重量平均分子量Mw=45900の非結晶性ポリエステル(A1)を得た。ガラス転移点は63℃であった。
<非結晶性樹脂(低分子量体)乳化液作製例1>
非結晶性ポリエステルA1(50重量部)を酢酸エチル250重量部に溶解し、アニオン界面活性剤ダウファックス2重量部をイオン交換水200重量部に溶解した液を加え、ウルトラタラックスを用い、8000回転で10分間攪拌した後、酢酸エチルを留去し、体積平均粒子径0.18μmの非結晶性樹脂ラテックス(D1)を得た。
合成例3<樹脂B1(高分子量体)の合成>
テレフタル酸ジメチル97.1重量部、イソフタル酸38.8重量部、無水ドデセニルコハク79.9重量部、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物94.9重量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物241重量部、ジブチルスズオキシド0.12重量部を窒素雰囲気下で、180℃で6時間攪拌した。その後減圧にしながら220℃で2時間攪拌し、分子量が12000程度になったら、無水トリメリット酸9重量部を加えさらに1時間攪拌した。重量平均分子量Mw=14500の非結晶性ポリエステル(B1)を得た。ガラス転移点は61℃であった。
<非結晶性樹脂(高分子量体)乳化液作製例>
非結晶性樹脂(非結晶性ポリエステル)B1(50重量部)を酢酸エチル250重量部に溶解し、アニオン界面活性剤ダウファックス2重量部をイオン交換水200重量部に溶解した液を加え、ウルトラタラックスを用い、8000回転で10分間攪拌した後、酢酸エチルを留去し、体積平均粒子径0.17μmの非結晶性樹脂ラテックス(E1)を得た。
<その他副資材の調整>
<顔料分散液の調製>
下記組成のものを混合溶解し、ホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)と超音波照射とにより分散し体積平均粒径150nmの青顔料分散液を得た。
・サイアン顔料 C.I.Pigment Blue15:3
(銅フタロシアニン、大日本インキ化学社製) ・・・・・50重量部
・アニオン性界面活性剤ネオゲンSC ・・・・・5重量部
・イオン交換水 ・・・・・200重量部
<離型剤分散液の調製>
下記組成のものを混合し、97℃に加熱した後、ホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)にて分散した。その後、ゴーリンホモジナイザー(盟和商事製)で分散処理し、105℃、550kg/cm2の条件で20回処理して微粒子化することにより、体積平均粒径190nmの離型剤分散液を得た。
・ワックス(WEP−5、日本油脂社製) ・・・・・50重量部
・アニオン性界面活性剤ネオゲンSC ・・・・・5重量部
・イオン交換水 ・・・・・200重量部
<トナー作製例>
<作製例1>
−電子写真用トナー(1)の作製−
下記の組成のものを、丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)で混合分散した後、フラスコ内の内容物を攪拌しながら45℃まで加熱攪拌し、45℃で30分間保持した。
・非結晶性樹脂ラテックス(D1) ・・・・・195重量部
・非結晶性樹脂ラテックス(E1) ・・・・・195重量部
・結晶性樹脂ラテックス(F1) ・・・・・52重量部
・イオン交換水 ・・・・・250重量部
・顔料分散液 ・・・・・33.5重量部
・離型剤分散液 ・・・・・67.5重量部
・10%硫酸アルミニウム水溶液 ・・・・・75重量部
その後、追加の非結晶性樹脂ラテックス(D1)105重量部、および(E1)105重量部を添加し、約30分攪拌した。得られた内容物を光学顕微鏡で観察すると、粒径が約6.5μmの凝集粒子が生成していることが確認された。水酸化ナトリウム水溶液で、pHを7.5に調整し、その後、温度を上げて90℃にしたのち2.5時間攪拌を続けて凝集体を合一させ、冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄後、乾燥して、電子写真用トナー(1)を得た。この電子写真用トナー(1)の粒径を測定すると、体積平均粒径は6.4μmであった。FPIAを用いた形状係数SFは135であった。
<作製例2>
−電子写真用トナー(2)の作製−
作製例1において、90℃での攪拌時間を、4時間にした以外は、同様にトナーを作製した。粒径を測定すると、体積平均粒径は6.4μmであった。形状係数SFは120であった。
<粘弾性測定方法>
本実施形態におけるトナーの動的粘弾性の測定には、レオメトリックサイエンティフィック社製ARES測定装置を用いた。該動的粘弾性測定では、通常を錠剤に成形した後、25mm径のパラレルプレートにセットし、ノーマルフォースを0とした後に、6.28rad/sの振動周波数で正弦波振動を与える。
測定サンプルは、前記パラレルプレートの間隙を2.0mmにセットし、90℃を始点として行った。温度の制御は、測定システム内の温度制御をもって行った。測定時間インターバルは30秒、測定開始後の温度調整精度は±1.0℃以下とした。また、測定中は各測定温度においてひずみ量を維持し、適正な測定値が得られるように調整する。該動的粘弾性測定ではひずみ量により発生する応力は比例関係にあり、任意の温度において応力をひずみ量で割ったものは一定の値を示す。一方で本実施形態のトナーのような樹脂の場合、ひずみ量により発生する応力は測定温度が低いほど少ないひずみ量で大きな応力が測定され、測定温度が高いほど大きいひずみ量を加えないと適当な応力が測定されない。該動的粘弾性測定装置には測定可能な応力に上下限が存在するため、一般に測定温度が変化する条件下においては、全温度領域で測定感度が高い状態で測定するために、ひずみ量を低温度では小さく、高温度では大きくする。該動的粘弾性測定はこのひずみ量の設定を自動でおこなった。
<形状係数SF 測定方法>
形状係数SFの算出式は、上述した式(1)に示したとおりである。形状係数SFは、主に顕微鏡画像または走査電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出することができる。スライドガラス上に散布したトナーの光学顕微鏡の画像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個以上のトナー粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。即ち、本実施形態における形状係数SFは、光学顕微鏡にて観察した画像をルーゼックス画像解析装置にて解析することで算出されたものである。
<粒子径の測定方法>
トナーの粒径の測定は次のように行った。測定装置としてはコールターマルチサイザー−II型(ベックマンーコールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマンーコールター社製)を使用した。
測定法としては分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を1.0mg加える。これを前記電解液100ml中に添加して試料を懸濁した電解液を作製した。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径として50μmアパーチャーを用いて1〜30μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平均分布を求める。測定する粒子数は50000であった。
また測定する粒子が2μm未満の場合、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定した。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とした。
<分子量の測定方法>
特定の分子量分布は、以下の条件で行ったものである。GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
<結晶性樹脂の融点、ガラス転移温度の測定方法>
結晶性樹脂の融点およびトナーのガラス転移温度は、ASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大ピークより求めた。
主体極大ピークの測定には、パーキンエルマー社製のDSC−7を用いることができる。この装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。
(1−5)清掃性能の比較
以上に説明した本実施形態に係る画像形成装置1と、従来の画像形成装置(すなわち、板ばね62を有さない構成)とに、上記結晶性樹脂を含むトナーを用いた場合の、所定の印刷枚数毎に画像形成時に発生する白抜けの発生の有無について説明する。図13は、発明者らの実験結果を基にして得られた、トナーの形状係数SFと、印刷枚数ごとの白抜けの発生の様子を説明した図である。図13では、白抜けが発生しないものを「○」、白抜けが発生するものを「×」で表し、白抜けが発生しても、一時的なものですぐ消滅するものを「△」で表している。
図13に示したように、印刷枚数が10000枚まではいずれの場合も白抜けは発生しないことを確認できた。印刷枚数が14000枚に達すると、従来の画像形成装置では一時的に白抜けが発生しはじめていることを確認し、クリーニングブレード61にトナーの固着が発生しはじめている。一方、本実施形態の画像形成装置1においては、白抜けは発生しておらず、清掃性能を低下させるようなクリーニングブレード61へのトナーの固着は発生していない。印刷枚数が18000枚に達すると、従来の画像形成装置では白抜けが断続的に発生することが確認でき、クリーニングブレード61へトナーが固着している。一方、本実施形態の画像形成装置1においては、白抜けを確認せず、清掃性能を低下させるような、クリーニングブレード61へのトナーの固着は低減されている。
(2)変形例
以上に説明した実施形態の内容を以下のように変形してもよい。
上述した実施形態では、支持部材をSUS等の損失係数が10-2以下となるように形成し、清掃部材をゴム材等の損失係数が10-2よりも大きい素材のもので形成していた。板ばね62は、クリーニングブレード61がより大きく歪むように設けられるものであるから、板ばね62の損失係数がクリーニングブレード61の損失係数よりも小さければ、クリーニングブレード61の自励振動の振動振幅を大きくすることに寄与する。よって、それぞれの部材の組み合わせは、上述した実施形態のものに限定されない。
上述した実施形態においては、像保持体装置を一体に構成した画像形成装置1を例示して説明したが、例えば、感光体クリーナ60や像保持体装置を着脱自在なオプション装置として構成してもよい。すなわち、感光体クリーナ60は、上述した感光体10と、帯電ロール20と、露光器30と、現像器40と、転写ロール50と、制御部70や図示せぬ定着器等を備える画像形成装置に組み込むことでも、同様の画像形成プロセスを実現することができる。また、像保持体装置が、上述した感光体10と、現像器40と、感光体クリーナ60とを備え、帯電ロール20と、露光器30と、転写ロール50、制御部70や図示せぬ定着器等を備える画像形成装置に組み込む構成であってもよい。
画像形成装置の概略構成を示す図である。 現像剤Dを示す図である。 感光体クリーナの構成を拡大した図である。 感光体とクリーニングブレードとが接触する部分の拡大図である。 感光体の回転速度とクリーニングブレードの振動振幅の関係を説明するグラフである。 制振材を有する感光体クリーナの構成を拡大した図である。 制振材の有無と白抜けの発生の度合いとの関係を説明する図である。 各素材の損失係数を比較した図である。 板ばねの厚さと白抜けの発生の度合いとの関係を説明する図である。 実験に用いた画像を模式的に表した図である。 トナーと、感光体とクリーニングブレードとが接触する部分の拡大図である。 トナーの形状係数と白抜けの発生の度合いとの関係を説明する図である。 実施形態に係る画像形成装置と、従来の画像形成装置との白抜けの発生の度合いを比較する図である。
符号の説明
1…画像形成装置、10…感光体、20…帯電ロール、30…露光器、40…現像器、50…転写ロール、60…感光体クリーナ、61…クリーニングブレード、62…板ばね、63…金属部材、64…制振材。

Claims (1)

  1. 回転する像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
    前記帯電手段により帯電させられた像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記像保持体の表面に形成された静電潜像を、結晶性樹脂を含むことで、含まない場合と比較して柔らかいトナーを有する現像剤によって現像する現像手段と、
    前記現像手段によって現像された像を転写する転写手段と、
    清掃部材と、前記像保持体の表面に前記清掃部材を接触させるように、当該清掃部材を支持する支持部材とを有し、当該像保持体の表面を清掃する清掃手段と、
    前記現像及び前記転写によって像を形成しないときであって、前記清掃手段によって前記像保持体の表面を清掃するときの前記像保持体の回転速度を、前記帯電、前記潜像の形成、前記現像及び前記転写によって像を形成するときの前記像保持体の回転速度よりも遅くするよう制御することで、前記像保持体の回転に伴う前記清掃部材の振動の振幅を大きくする制御手段と
    を備えことを特徴とする画像形成装置。
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