JP5274047B2 - フェライト系ステンレス鋼材およびその製造方法並びに自動車マフラー - Google Patents

フェライト系ステンレス鋼材およびその製造方法並びに自動車マフラー Download PDF

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本発明は、300〜500℃の燃焼排ガスに曝され、かつその凝結水に接触する自動車マフラー部材や、溶接酸化スケールが形成した状態で腐食環境に曝される温水機器部材に適したフェライト系ステンレス鋼材、およびその製造方法、並びにその鋼材を用いた自動車マフラーあるいは温水機器に関する。
自動車のマフラーを構成する部材は、エンジン稼働中に300〜500℃の燃焼排ガスに曝される一方、稼働初期や停止中など、部材が露点以下の状態においてはエンジン排ガスが部材表面で結露して生じた凝縮水と接触する。自動車マフラー部材には、特にこの凝結水に対する高い耐食性が要求される。
具体的には、自動車排ガスは触媒コンバータによって有害ガスが浄化されたのちにマフラーに到達する。しかし、エンジン稼働初期には触媒コンバータの機能が十分に発揮されず、またコールドスタート時には燃料過多の状態で運転されることから、このような場合にマフラー部材は各種物質を多く含んだ状態の排ガスに曝されることになる。マフラー部材の温度が排ガスの露点以下の場合、排ガスは結露して凝縮水が生じる。凝縮水には無機塩と有機化合物が含有されている。無機塩としてはCl-、SO4 2-、SO3 2-、NO3 -、HCO3 -、CO3 2-のアンモニウム塩が挙げられ、有機化合物としてはアルデヒド、蟻酸、酢酸などのアンモニウム塩が挙げられる。凝縮水は、生成時には通常アルカリ性を呈する。
マフラー内に凝縮水が溜まった状態でマフラー部材の温度が上昇してくると、水分が蒸発してイオン種が濃化するとともに、アンモニウム塩は分解してHCl、H2SO4、H2SO3、HNO3、蟻酸、酢酸等の酸となる。これらの物質は系外に全て排出されるわけではなく、マフラー内で次第に濃化する。つまり、自動車マフラーの構成部材は、排気ガスの凝縮、凝縮水の蒸発を繰り返すうちに次第に厳しい腐食環境に曝されるようになる。
このような腐食環境を考慮して、従来、自動車のマフラー部材にはMoを添加して耐食性レベルを向上させた鋼種が採用されてきた。代表的にはフェライト系ステンレス鋼のSUS436L(低C低N、18Cr−1Mo−Ti)、SUS436J1L(低C低N、17.5Cr−0.5Mo−Nb)などが挙げられる。
その他の開発鋼として、特許文献1にはCr含有量を18.5%以下に抑えるとともに、Moを0.2〜3%添加した鋼が記載されている。この成分系の場合、過酷な腐食環境を想定すると、Moは1%を超えて多量に添加せざるを得ない。
特許文献2には硫黄分の多い燃料の使用やエンジンの高出力化を想定して高耐食性化を図ったフェライト系ステンレス鋼が記載されている。これはCrとMoの含有量を増大して、かつ不動態皮膜にAl濃化層を持たせたものである。
特許文献3には特定の光輝焼鈍条件によってSi濃化層を有する不動態皮膜を形成させ、耐食性改善を試みたものである。ただし、その効果が不安定であり実用化には至っていない。
一方、電気温水器等の温水機器は、溶接構造を有していることから、溶接部(特に溶接熱影響部)での耐食性が重要視される。従来は、SUS444系のフェライト系鋼種が主として採用されてきた。
特開平4−17615号公報 特開平6−41695号公報 特開平6−279950号公報
国外において、短期間の使用でマフラーに不具合を生じた自動車からそのマフラーを回収して調査したところ、マフラー内面のインナーシェル、バッフル、管に腐食が生じていた。それらのマフラー構成部材は一般的なSUS436Lからなるものである。インナーシェルからアウターシェルに孔食が進行する形態の腐食が観察された。腐食の激しい部位の腐食生成物は黄味を帯びており、ガソリン中の硫黄分が腐食に関与したものと推察された。そこで、その国で市販されているガソリンを分析したところ、日本国内のものと比べ数百倍の濃度の硫黄が検出され、かつ塩化物濃度も高いことがわかった。このことから、国際的な自動車市場を考慮すると、硫黄や塩化物などの不純物が多い燃料を使用した場合でも優れた耐久性を呈するマフラー部材の出現が強く望まれる。
発明者らの調査によると、特許文献1〜3に示される開発鋼種を使用しても、硫黄や塩化物などの不純物が多い燃料に十分対応できるマフラーを実現することは難しいことがわかった。また、昨今では資源の高騰により、材料コスト低減には高価なMoの使用量をできるだけ抑えることも重要となる。
一方、温水機器においては、溶接施工で酸化スケールが生成すると耐食性が低下し、トラブルの原因となりやすい。
本発明は、高価なMoの多量添加に頼らないで、マフラーの使用環境において特に硫黄などの不純物が多い燃料を使用した場合の排ガス凝縮水に対する優れた耐食性を具備し、かつ、通常の溶接施工で組み立てられる温水機器において溶接部での耐食性を顕著に向上させたフェライト系ステンレス鋼材を提供することを目的とする。
上記目的は、Moを添加しないか、あるいはMo含有量を1%未満に低減した特定組成のフェライト系ステンレス鋼を用いて、その鋼材の表面にSiとCrが濃化し、かつFe濃度が低い酸化皮膜を形成させることによって達成されることがわかった。また、そのような酸化皮膜は、前処理または後処理と組み合わせた特定条件下での雰囲気焼鈍によって安定して実現できることが明らかになった。
すなわち本発明では、質量%で、C:0.025%以下、Si:2%以下、Mn:1%以下、P:0.045%以下、S:0.01%以下、Cr:16〜25%、Al:0.04%未満、N:0.025%以下であり、かつNi:1%以下、Cu:1%以下、Mo:1%未満、Nb:0.5%以下、Ti:0.4%以下、V:0.5%以下の1種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、表面にXPS(X線光電子分光分析)により測定される最表層の組成が、酸素を含む原子比率でSiとCrの合計:15〜40原子%、Fe:5原子%以下である酸化皮膜を有するフェライト系ステンレス鋼材が提供される。この鋼材は、代表的には鋼板の形態を有し、自動車マフラーの構成部材、あるいは温水機器の構成部材として特に溶接接合に供される部材に好適なものである。
ここで、酸化皮膜の最表層の組成とは、当該鋼材の表面をXPS(例えばESCA)によりエッチングすることなく測定したときの分析値に基づく組成である。分析元素は、O(酸素)、Si、Cr、Al、Fe、Mn、Nb、Ti、Moとし、これらの元素の検出強度から原子%を算出する。なお、本明細書では、XPSにより深さ方向における酸素の検出強度のプロファイルを作成し、このプロファイルにおいて酸素の検出強度が、最表層の1/2になる深さまでを酸化皮膜とみなす。すなわち「酸化皮膜の厚さ」は酸素の検出強度が最表層の1/2になるエッチング深さをいう。エッチング深さは、Si標準試料によるエッチング速度から換算されるエッチング深さを適用する。
このような特異な酸化皮膜は、上記の化学組成に調整された鋼材に対して、前処理として硝酸水溶液中でのアノード電解処理またはフッ酸+硝酸混合水溶液への浸漬処理を施したのち、下記の雰囲気焼鈍条件にて最終焼鈍を施すことにより形成することができる。
〔雰囲気焼鈍条件〕
雰囲気:80〜100体積%H2、残部N2
露点:−45〜−70℃
焼鈍温度:850〜970℃
保持時間:20〜200秒
ここで、上記雰囲気のH2含有量(体積%)は、H2とN2の合計に対するH2の割合を意味する。H2、N2以外には、上記露点に対応する量の水蒸気が含まれ、その他は不可避的不純物成分である。保持時間は、被熱処理鋼材の表面温度が上記焼鈍温度の範囲にある時間である。
前処理が電解処理である場合、および浸漬処理である場合の前処理条件として、それぞれ以下の「前処理条件1」および「前処理条件2」を採用することができる。
〔前処理条件1〕
HNO3濃度:5〜20質量%
温度:40〜60℃
電解電流:30〜300mA/cm2
電解時間:20〜300秒
〔前処理条件2〕
HF濃度:0.5〜6質量%
HNO3濃度:5〜20質量%
温度:40〜60℃
浸漬時間:20〜200秒
また、上記の特異な酸化皮膜は、上記の雰囲気焼鈍条件にて最終焼鈍を施した後、後処理として硝酸水溶液に浸漬する処理を施すことによっても形成することができる。
その場合の後処理条件としては、以下の条件を採用することができる。
〔後処理条件〕
HNO3濃度:5〜30質量%
温度:40〜60℃
浸漬時間:20〜200秒
また本発明では、上記の特異な酸化皮膜を有するフェライト系ステンレス鋼材を構成部材に持つ自動車マフラーが提供される。
さらに、上記の特異な酸化皮膜を有するフェライト系ステンレス鋼材を溶接構成部材(ただし溶接部が温水に接触する部材)に持つ温水機器が提供される。
本発明によれば、Mo添加に頼ることなく、自動車マフラーの使用環境で優れた耐久性を呈するフェライト系ステンレス鋼材が提供された。この鋼材は特に硫黄などの不純物が多いガソリン燃料を使用した場合の排気ガス環境で、従来の材料と比べ、マフラー内部の凝縮水に対する耐食性が顕著に改善されている。また、本発明のフェライト系ステンレス鋼材は、溶接部を温水に曝して使用する温水機器の構成部材として、従来のSUS444系材料と比べ、溶接部での耐食性が同等またはそれ以上に改善されており、Mo含有量を低減したコストパフォーマンスの高い温水機器用材料としても有用である。
以下、本発明を特定するための事項について説明する。
《酸化皮膜》
自動車マフラーを構成する部材は、500℃程度の温度まで繰り返し加熱されるとともに、濃縮した凝縮水に接触して腐食環境に曝される。特に硫黄などの不純物が多いガソリン燃料を使用した排ガスでは、濃縮した凝縮水は前述のように一層厳しい腐食環境となる。このような状況下で、鋼の省Mo化を図りながら従来材より高い耐久性を呈する材料を構築することは、容易ではない。
そこで発明者らは種々研究を重ねてきた。その結果、鋼材表面に、SiとCrが濃化し、かつFe濃度が低い酸化皮膜を形成させることが極めて効果的であることがわかった。
具体的には、鋼材表面の酸化皮膜の最表層の組成が、酸素を含む原子比率でSiとCrの合計:15〜40原子%、Fe:5原子%以下となるようにすることが極めて重要である。このような組成のときにマフラー内の腐食性物質の多い凝縮水に対する耐食性が顕著に高まるメカニズムについては現時点で明確にはなっていない。
酸化皮膜の厚さ(前述のように酸素濃度が深さ方向で最表層の1/2になる深さまでの厚さ)は、極めて薄いもの(例えば5nm程度)であっても構わない。ただし、50nmを超えるような過剰に厚い酸化皮膜を形成するには後述の熱処理、あるいは前処理や後処理に対する負荷が大きくなるので、有益ではない。通常、酸化皮膜厚さは5〜50nm程度とすればよく、8〜30nm程度のものが作りやすい。
《化学組成》
C、Nは、含有量が多いと炭化物、窒化物の生成量を増大させ、マフラーの凝縮水に対する耐食性、溶接性、溶接部の耐食性などを阻害する要因になる。本発明ではC、Nの含有量はできるだけ低いことが望ましい。また、C、N含有量の低減は鋼材の軟質化による加工性向上にもつながり、本発明においては有利である。種々検討の結果、C、Nともそれぞれ0.025質量%以下に制限する必要がある。
Siは、脱酸剤として精錬や鋳造では有用な元素である。本発明では雰囲気焼鈍によりSi濃度の高い酸化皮膜を鋼材表面に形成させる必要がある。そのためには0.2質量%以上のSi含有量を確保しなければならない。一方、多量のSi含有は鋼を硬質化させ、マフラー部材や温水機器部材への加工性を損なう要因になる。また、溶接部の高温割れを助長したり溶接部の靭性を阻害したりする要因にもなる。このため、Si含有量は2質量%以下の範囲に制限される。
Mnは、鋼中に不純物として存在するSと結合して化学的に不安定なMnSを形成し、耐食性を低下させる。また固溶Mnも耐食性を阻害する要因になる。このため、Mn含有量は1質量%以下に制限される。
Pは、鋼材の靭性を損なう要因になる。溶接部を有する温水機器では、特に溶接部の靭性に悪影響を及ぼす。P含有量は0.045質量%以下に制限される。
Sは、Mnと結合して化学的に不安定なMnSを形成する。このMnSは孔食の起点となりやすく、耐食性を低下させる要因となる。またSは、酸性条件下では腐食性の強いS2-となり孔食の成長を助長させる。さらに、溶接部の高温割れにも悪影響を及ぼしやすい。S含有量は0.01質量%以下に制限される。
Crは、不動態皮膜の主要構成元素であり、一般にCr含有量を増大させることでステンレス鋼に特有な孔食、隙間腐食等の局部腐食に対する抵抗力が向上する。本発明ではSi含有量の高い酸化皮膜を形成させることによりマフラー凝縮水に対する耐食性や溶接部での温水に対する耐食性を顕著に向上させるのであるが、耐久性のある耐食性、すなわち長期にわたり安定して高い耐食性を維持するためには、酸化皮膜中へのCrの濃化が必要である。種々検討の結果、雰囲気焼鈍においてCrを酸化皮膜中へ十分に濃化させるためには、鋼中のCr含有量を16質量%以上確保すればよい。18質量%以上とすることがより好ましい。しかし、Cr含有量が高くなりすぎると鋼材の製造性を損ね、コスト増につながる。本発明ではCr含有量は25質量%以下の範囲とする。23質量%以下の範囲に規定することもできる。
Alは、脱酸剤として精錬や鋳造で有効な元素である。しかし、過剰に添加すると、雰囲気焼鈍において酸化皮膜中のAl濃度が高くなりやすく、Siの濃化した酸化皮膜の形成を阻害する要因となる。種々検討の結果、鋼中のAl含有量は0.04質量%未満に制限する必要がある。
Niは、耐食性に対しては腐食の進行を抑制する効果がある。具体的には、鋼材表面の一部で酸化皮膜が失われて、メタル新生面(不動態皮膜が形成されていない表面)が露出した場合に、鋼中のNiはメタル(鋼素地)の溶出速度を低減させる作用を呈し、これにより不動態皮膜の形成が促される。またNiはフェライト系ステンレス鋼材の靭性改善にも有効である。このため、本発明では必要に応じてNiを含有させることができる。上記の作用を十分に発揮させるためには0.1質量%以上のNi含有量を確保することがより効果的である。ただし、過剰のNi含有は鋼材の加工性を低下させる要因になるので、Niを添加する場合は1質量%以下の含有量範囲で行う。
Cuは、適量の添加によりフェライト系ステンレス鋼の孔食電位を向上させるとともに、腐食の進行を抑える効果がある。すなわち、鋼材表面の一部で酸化皮膜が失われて、メタル新生面が露出したときに、上記のNiと同様にCuはメタル(鋼素地)の溶出を抑制する作用を呈し、不動態皮膜の形成を促進させる。このため、本発明では必要に応じてCuを含有させることができる。上記の作用を十分に発揮させるためには0.1質量%以上のCu含有量を確保することがより効果的である。ただし、過剰のCu含有により腐食の進行がむしろ促進される場合がある。したがって、Cuを添加する場合は1質量%以下の含有量範囲で行う。
Moは、一般的にはCrの存在下でステンレス鋼の耐食性を高める作用がよく知られている。しかし本発明では、後述する酸化皮膜によってマフラー環境での基本的な耐食性を大幅に向上させることが可能になる。また、TIG溶接部に形成される酸化皮膜中にはMoは濃化しないことから、温水機器の溶接部における耐食性改善にはMoの添加はそれほど効果的ではない。ただし、腐食が発生した場合には、メタル(鋼素地)における腐食の成長を抑制する作用のあるMoの添加は有益である。このため、本発明では必要に応じてMoを添加することができる。種々検討の結果、Moによるメタルでの腐食の成長を抑制する作用を十分に発揮させるためには0.1質量%以上のMo含有量を確保することがより効果的である。しかし過剰のMo添加は加工性低下やコスト増を招くので、Moを添加する場合は1質量%未満の範囲で行う。
Nbは、C、Nとの親和力が強く、フェライト系ステンレス鋼で問題となる粒界腐食を抑制するのに有効な元素である。このため、本発明では必要に応じてNbを添加することができる。上記作用を十分に発揮させるには0.05質量%以上のNb含有量を確保することがより効果的である。ただし、多量のNb含有は溶接高温割れ感受性を高め、また靭性を阻害する要因にもなる。Nbを添加する場合は0.5質量%以下の範囲で行う。
Tiは、Nbと同様にC、Nを固定し、粒界腐食を抑制するのに有効な元素である。また、固溶Tiは耐食性向上に寄与するとともに、化学的に安定な硫化物を生成し耐孔食性を改善する。このため、本発明では必要に応じてTiを添加することができる。上記作用を十分に発揮させるには0.05質量%以上のTi含有量を確保することがより効果的である。ただし、多量のTi含有は鋼材の表面品質低下や溶接性低下を招く。Tiを添加する場合は0.4質量%以下の範囲で行う。
Vは、溶接部での結晶粒粗大化を抑制するのに有効な元素である。このため、本発明では必要に応じてVを添加することができる。上記作用を十分に発揮させるには0.1質量%以上のV含有量を確保することがより効果的である。ただし、多量のV含有は鋼を硬質にし、加工性の低下を招く。Vを添加する場合は0.5質量%以下の範囲で行う。
その他、ステンレス鋼にはMg、Ca、B、REM(希土類元素)等の元素が混入する場合がある。これらはスクラップ等の副原料や、電気炉を構成する耐火レンガ、炉壁の付着物、スラグなどからの不可避的な混入が考えられる。一部のステンレス鋼種ではこれらの元素の含有を積極的に特性改善に利用する場合もあるが、本発明では耐食性および表面性状が損なわれない許容量として、これらの元素の合計含有量は0.01質量%である必要がある。
《酸化皮膜の形成》
本発明では、熱力学的に安定な前述の酸化皮膜によってマフラー環境での耐食性や、溶接部の温水環境での耐食性を顕著に高めている。その酸化皮膜は、上記の化学組成を有するフェライト系ステンレス鋼板(例えば冷間圧延材)に対して、
(1)「前処理」+「雰囲気焼鈍」の組み合わせ
(2)「雰囲気焼鈍」+「後処理」の組み合わせ
(3)「前処理」+「雰囲気焼鈍」+「後処理」の組み合わせ
のいずれかの工程を施すことにより好適に形成させることができる。
上記(1)(2)(3)のいずれの工程においても、雰囲気処理は以下の条件で行うことが望ましい。
〔雰囲気焼鈍条件〕
雰囲気:80〜100体積%H2、残部N2、より好ましくは80〜95体積%H2、残部N2
露点:−45〜−70℃
焼鈍温度:850〜970℃、より好ましくは850〜950℃
保持時間:20〜200秒
上記(1)または(3)の工程を採用する場合は、硝酸水溶液中でのアノード電解またはフッ酸+硝酸混合水溶液中への浸漬処理を施すことにより、前処理を行う。この前処理により鋼表面のFe酸化物が低減または除去され、雰囲気焼鈍後の皮膜におけるSiおよびCrの比率を高める上で有効となる。前処理条件は例えば下記の「前処理条件1」および「前処理条件2」を採用することができる。
〔前処理条件1〕
HNO3濃度:5〜20質量%
温度:40〜60℃
電解電流:30〜300mA/cm2
電解時間:20〜300秒
〔前処理条件2〕
HF濃度:0.5〜6質量%
HNO3濃度:5〜20質量%
温度:40〜60℃
浸漬時間:20〜200秒
上記(2)または(3)の工程を採用する場合は、硝酸水溶液に浸漬する後処理を施す。この後処理により前記雰囲気焼鈍で形成された酸化皮膜中のFeが優先的に溶解され、Fe濃度が5原子%以下の酸化皮膜を得るために有利となる。例えば下記の「後処理条件」を採用することができる。
〔後処理条件〕
HNO3濃度:5〜30質量%
温度:40〜60℃
浸漬時間:20〜200秒
《自動車マフラー》
以上のようにして、本発明で規定する特異な酸化皮膜を形成した鋼材(例えば鋼板)は、成形加工に供され、自動車マフラーの構成部材(例えば、外筒、内筒、バッフルプレート、チューブなど)に加工される。必ずしもマフラーの全ての部材を本発明に係る鋼材で構成する必要はないが、凝縮水と接触する箇所に本発明の鋼材を適用することが極めて効果的である。各構成部材は、主としてかしめとスポット溶接により接合され、マフラーが構築される。
《温水機器》
また、本発明の鋼材(例えば鋼板)は、温水機器部材としても有用である。例えば電気温水器の缶体を構成する部材(上鏡、銅、下鏡等)に適用することができる。一般にこのような温水器の部材どうしはTIG溶接により接合され、温水器が組み立てられる。TIG溶接に際しては通常、温水器の内側(温水に接触するようになる側)にArガスでバックガスシールを施しながら、外側からアークを飛ばして溶接される。本発明の鋼材を用いた部材も、そのような通常のTIG溶接施工法を適用することができ、溶接部において従来のSUS444系材料と同等以上の良好な耐食性が発揮される。
表1に示す鋼1、鋼2を溶製し、熱間圧延→冷間圧延→950℃仕上げ焼鈍の工程で板厚1mmの冷延焼鈍鋼板を得た。鋼1はSUS430J1Lに相当する発明対象鋼、鋼2はSUS436Lに相当するMo含有量約1質量%の比較鋼である。この冷延焼鈍鋼板から30mm×120mmの試験片を切り出し、全面を#600乾式研磨仕上げとして、試験片を得た。各試験片に対して、前処理、雰囲気焼鈍、後処理を種々の条件で組み合わせた工程を施し、鋼板表面に酸化皮膜を形成させた。
表2に雰囲気処理条件を、表3に前処理条件および後処理条件を示す。
Figure 0005274047
Figure 0005274047
Figure 0005274047
得られた酸化皮膜を通常のXPSにより分析した。表5中に酸化皮膜形成条件、酸化皮膜厚さ(前述の手法による)および最表面のSi+Cr濃度、Fe濃度を示す。なお、No.15、16は、冷延焼鈍鋼板の表面を#600乾式研磨仕上げとした状態の試験片(酸化皮膜の形成を行っていないもの)を分析した。
酸化皮膜を形成させた各試験片(No.15、16は#600乾式研磨仕上げまま)を、煮沸・結露試験に供した。この試験は排気ガスの結露と凝縮水の蒸発が生じる自動車マフラーの内部湿食を模擬したものである。図2に煮沸・結露試験の概要を模式的に示す。すなわちこの試験は、上記のように酸化皮膜を形成させた後に、予め大気中で500℃×2時間の加熱を施した試験片を、300mLの試験液が入ったガラス容器中に半浸漬状態で置き、沸騰状態で4時間加熱して試験液の蒸発を進行させて、容器内の試験液(濃縮液)の量が約50mLになるように液を約6倍に濃縮させ、その後、60℃、80%RHの恒温恒湿状態で10日間保持するというものである。試験片には初めから試験液に漬かっていない「気相部」と、濃縮後の試験液(濃縮液)に漬かっている「液相部」の他、液の蒸発に伴って液相中から気相中に出た部分である「気液相部」が存在する。図1に試験片におけるこれらの領域の大きさ(代表的な値)を示す。
なお、試験液はpHおよび各イオンの濃度が表4に示すように調製されたものを使用した。これは、硫黄濃度が比較的高いガソリンを使用して走行した実車マフラーの凝縮水の分析結果を反映させて、上記試験での濃縮液によってマフラー凝縮水を模擬したものである。
Figure 0005274047
試験後の試験片を20%温硝酸液に浸漬することにより表面の腐食生成物を除去したのち、最も腐食が進行しやすい「気液相部」について倍率8倍のルーペで観察して大きく成長した孔食を10点選び、これらについて光学顕微鏡を用いた焦点深度法にて孔食深さを測定した。10点の孔食深さの測定値のうち最も大きい値を、その試料における最大孔食深さとした。結果を表5に示す。
Figure 0005274047
No.1〜5は雰囲気焼鈍の条件を変えたものである。本発明例であるNo.2、3の孔食深さは、酸化皮膜を形成させていないNo.15よりも大幅に孔食深さが浅くなっており、しかもMoを添加したNo.16よりも孔食深さは浅い。雰囲気焼鈍温度には酸化皮膜中のSi+Cr濃度を高め、かつFe濃度を低減させるための適正範囲が存在し、Si+Cr濃度およびFe濃度が本発明規定範囲のときに凝縮水に対する耐食性が顕著に改善されることがわかる。No.1は雰囲気焼鈍温度が低すぎたことにより酸化皮膜中のSi+Cr濃度が低くFe濃度が高くなった。No.4は雰囲気焼鈍温度が高すぎたことによりSi+Cr濃度が低くなった。No.5は雰囲気の露点が高すぎたことにより酸化皮膜中のSi+Cr濃度が低くFe濃度が高くなった。これらは最大侵食深さが大きく、マフラー凝縮水に対する耐食性が改善されていない。
No.6〜11は前処理条件の影響を見たものである。No.6は前述のNo.3を再掲したものである。本発明例のものは、適正な条件の前処理と、適正な条件の雰囲気焼鈍を組み合わせたことにより、Si+Cr濃度およびFe濃度が本発明規定範囲にある酸化皮膜が形成され、マフラー凝縮水に対する耐食性が顕著に改善された。これに対しNo.7は硝酸電解での電流密度が低すぎ、またNo.8は硝酸濃度が低すぎたことにより、いずれも電解の効果が不十分となり、Fe濃度の高い酸化皮膜が形成された。No.11はフッ酸濃度が低すぎたことにより、酸浸漬の効果が不十分となり、Fe濃度の高い酸化皮膜が形成された。これらは最大侵食深さが大きく、マフラー凝縮水に対する耐食性が改善されていない。
No.12〜14は後処理条件の影響を見たものである。No.12は、適正な条件の雰囲気焼鈍と、適正な条件の後処理を組み合わせたことにより、マフラー凝縮水に対する耐食性が顕著に改善された。これに対しNo.13は硝酸濃度が低すぎ、またNo.14は浸漬液として硫酸を使用したことにより、いずれも酸浸漬の効果が不十分となり、Fe濃度の高い酸化皮膜が形成された。これらは最大侵食深さが大きく、マフラー凝縮水に対する耐食性が改善されていない。
表6に示す鋼3〜鋼5を溶製し、熱間圧延で板厚3mmとし、冷間圧延で板厚1mmとし、その後900〜1030℃範囲に設定された焼鈍温度にて仕上焼鈍を施すことにより冷延焼鈍鋼板を得た。鋼3は本発明対象鋼、鋼4は自動車マフラーに多用されているSUS436L相当鋼、鋼5は温水機器などに適用されているSUS444相当鋼である。この冷延焼鈍鋼板から30mm×120mmの試験片を切り出し、全面を#600乾式研磨仕上げとして、試験片を得た。各試験片に対して、前処理、雰囲気焼鈍、後処理を種々の条件で組み合わせた工程を施し、鋼板表面に酸化皮膜を形成させた。
表7に前処理条件および後処理条件を示す。
雰囲気処理条件は、雰囲気:90体積%H2+N2、露点:−62℃、焼鈍温度:930℃、850℃以上の温度での保持時間:50秒とした。
得られた酸化皮膜を通常のXPSにより分析した。表8に酸化皮膜形成条件、酸化皮膜厚さ(前述の手法による)および最表面のSi+Cr濃度、Fe濃度を示す。
Figure 0005274047
Figure 0005274047
Figure 0005274047
得られた酸化皮膜を通常のXPSにより分析した。表5中に酸化皮膜形成条件、酸化皮膜厚さ(前述の手法による)および最表面のSi+Cr濃度、Fe濃度を示す。
〔自動車マフラーへの適用を考慮した試験〕
表8に示される鋼3の酸化皮膜形成材(No.21〜24)および従来からマフラーに使用されている鋼4の材料(No.25)について、30mm×120mmの試験片を繰り返し煮沸・結露試験に供した。この試験は排気ガスの結露と凝縮水の蒸発が繰り返し生じる自動車マフラーの内部湿食を模擬したものである。図3に繰り返し煮沸・結露試験の概要を模式的に示す。すなわちこの試験は、上記のように酸化皮膜を形成させた後に、予め大気中で500℃×2時間の加熱を施した試験片について、「300mLの試験液が入ったガラス容器中に半浸漬状態で置き、沸騰状態で4時間加熱して試験液の蒸発を進行させて、容器内の試験液(濃縮液)の量が約50mLになるように液を約6倍に濃縮させ、その後、30℃、80%RHの恒温恒湿状態で20時間間保持する」というサイクルを5回施し、その後再度大気中で500℃×2時間の加熱を施し、上記サイクルをさらに5回施すものである。試験片には図1に示したのと同様の大きさの「気相部」、「液相部」および「気液相部」の領域が存在する。
なお、試験液は各サイクル毎に表4に示すものを新たに適用した。
試験後の試験片について、実施例1と同様の方法にて最大孔食深さを求めた。結果を表9に示す。
Figure 0005274047
表9からわかるように、本発明例のものはSi+Cr濃度が高く、Fe濃度が低い適正な酸化皮膜を形成したことにより、高価なMoに頼ることなく、マフラー凝縮水に対する耐食性が顕著に改善された。
〔温水機器への適用を考慮した試験〕
表8に示される鋼3の酸化皮膜形成材(No.21〜24)および従来から温水機器に使用されている鋼5の材料(No.26)から、15×40mmの試験片を切り出し、図4に示すように板の中央部にTIG溶接ビードを形成した。TIG溶接部を形成する際には、溶接裏面(トーチと反対側の裏ビード側の表面)にArバックガスシールを施した。
TIG溶接ビードを形成した試験片を、1000ppmCl-+10ppmCu2+水溶液、80℃に、24時間浸漬した。浸漬後の試験片を20〜30%温硝酸水溶液に浸漬して腐食生成物を除去した後、溶接ビード周辺を倍率8倍のルーペで観察して大きく成長した孔食を10点選び、これらについて光学顕微鏡を用いた焦点深度法にて孔食深さを測定した。10点の孔食深さの測定値のうち最も大きい値を、その試料における最大孔食深さとした。結果を表10に示す。
Figure 0005274047
表10からわかるように、本発明例の材料の最大孔食深さは、温水機器用材料として広く普及しているSUS444(No.26)と同等レベルまたはそれより浅い結果となった。すなわち本発明の鋼板は、徒にMo添加に頼ることなく0.5質量%程度の少量の添加量で、溶接部において最も耐食性が低下しやすい溶接熱影響部での温水環境に対する耐食性が十分に確保されることから、温水機器の用途においても2質量%レベルのMoを含有する従来材に対してコストパフォーマンスが高い。
煮沸・結露試験に供した試験片における「気相部」、「液相部」、「気液相部」の各領域の大きさ(代表的な値)を例示した図。 煮沸・結露試験方法を説明するための模式図。 繰り返し煮沸・結露試験方法を説明するための模式図。 TIG溶接ビードを形成した試験片の形状を模式的に示した図。

Claims (8)

  1. 質量%で、C:0.025%以下、Si:2%以下、Mn:1%以下、P:0.045%以下、S:0.01%以下、Cr:16〜25%、Al:0.04%未満、N:0.025%以下であり、かつNi:1%以下、Cu:1%以下、Mo:1%未満、Nb:0.5%以下、Ti:0.4%以下、V:0.5%以下の1種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、表面にXPS(X線光電子分光分析)により測定される最表層の組成が、酸素を含む原子比率でSiとCrの合計:15〜40原子%、Fe:5原子%以下である酸化皮膜を有するフェライト系ステンレス鋼材。
  2. 自動車マフラー用である請求項1に記載の鋼材。
  3. 温水機器用である請求項1に記載の鋼材。
  4. 質量%で、C:0.025%以下、Si:2%以下、Mn:1%以下、P:0.045%以下、S:0.01%以下、Cr:16〜25%、Al:0.04%未満、N:0.025%以下であり、かつNi:1%以下、Cu:1%以下、Mo:1%未満、Nb:0.5%以下、Ti:0.4%以下、V:0.5%以下の1種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材に、前処理として下記前処理条件1に従い硝酸水溶液中でのアノード電解を施したのち、下記の雰囲気焼鈍条件にて最終焼鈍を施すことにより、XPS(X線光電子分光分析)により測定される最表層の組成が、酸素を含む原子比率でSiとCrの合計:15〜40原子%、Fe:5原子%以下である酸化皮膜を鋼材表面に形成させる請求項1〜3のいずれかに記載のフェライト系ステンレス鋼材の製造方法。
    〔前処理条件1〕
    HNO 3 濃度:5〜20質量%
    温度:40〜60℃
    電解電流:30〜300mA/cm 2
    電解時間:20〜300秒
    〔雰囲気焼鈍条件〕
    雰囲気:80〜100体積%H2、残部N2
    露点:−45〜−70℃
    焼鈍温度:850〜970℃
    保持時間:20〜200秒
  5. 質量%で、C:0.025%以下、Si:2%以下、Mn:1%以下、P:0.045%以下、S:0.01%以下、Cr:16〜25%、Al:0.04%未満、N:0.025%以下であり、かつNi:1%以下、Cu:1%以下、Mo:1%未満、Nb:0.5%以下、Ti:0.4%以下、V:0.5%以下の1種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材に、前処理として下記前処理条件2に従いフッ酸+硝酸混合水溶液へ浸漬する処理を施したのち、下記の雰囲気焼鈍条件にて最終焼鈍を施すことにより、XPS(X線光電子分光分析)により測定される最表層の組成が、酸素を含む原子比率でSiとCrの合計:15〜40原子%、Fe:5原子%以下である酸化皮膜を鋼材表面に形成させる請求項1〜3のいずれかに記載のフェライト系ステンレス鋼材の製造方法。
    〔前処理条件2〕
    HF濃度:0.5〜6質量%
    HNO 3 濃度:5〜20質量%
    温度:40〜60℃
    浸漬時間:20〜200秒
    〔雰囲気焼鈍条件〕
    雰囲気:80〜100体積%H2、残部N2
    露点:−45〜−70℃
    焼鈍温度:850〜970℃
    保持時間:20〜200秒
  6. 質量%で、C:0.025%以下、Si:2%以下、Mn:1%以下、P:0.045%以下、S:0.01%以下、Cr:16〜25%、Al:0.04%未満、N:0.025%以下であり、かつNi:1%以下、Cu:1%以下、Mo:1%未満、Nb:0.5%以下、Ti:0.4%以下、V:0.5%以下の1種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材に、下記の雰囲気焼鈍条件にて最終焼鈍を施した後、後処理として下記後処理条件に従い硝酸水溶液に浸漬する処理を施すことにより、XPS(X線光電子分光分析)により測定される最表層の組成が、酸素を含む原子比率でSiとCrの合計:15〜40原子%、Fe:5原子%以下である酸化皮膜を鋼材表面に形成させる請求項1〜3のいずれかに記載のフェライト系ステンレス鋼材の製造方法。
    〔雰囲気焼鈍条件〕
    雰囲気:80〜100体積%H 2 、残部N 2
    露点:−45〜−70℃
    焼鈍温度:850〜970℃
    保持時間:20〜200秒
    〔後処理条件〕
    HNO 3 濃度:5〜30質量%
    温度:40〜60℃
    浸漬時間:20〜200秒
  7. 請求項1に記載の鋼材を構成部材に持つ自動車マフラー。
  8. 請求項1に記載の鋼材を溶接構成部材に持つ温水機器。
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