JP5271216B2 - ノーマルオープン型電磁弁 - Google Patents

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Description

本発明は、ノーマルオープン型電磁弁に関する。
この種の技術としては、下記の特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報では、ノーマルオープン型電磁弁において、プランジャの背面にダンパ室を設け、ボディ内に弁体が配置されている弁室とダンパ室との間に絞り通路を形成する弾性部材が設けられたものが開示されている。この構成により、開弁直後には弾性部材の変形により絞り通路の断面が大きくなり、ダンパ室側に作動液が移動しやすくなるため、自励振動を抑制することができるというものである。
特開2008−121721号公報
電磁弁の大流量化を図るためにはシート径を拡大するとともに、プランジャの先端径を縮小することが望ましい。しかしながら、流量が多くなるためシートとプランジャとの間を流れる作動油の流速が早くなり、プランジャを引き込む側に負圧が大きくなるため、プランジャが発振するおそれがある。上記従来技術のようにダンパ室を設けることでプランジャの発振を抑制することができるが、電磁弁が大型化する問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、プランジャの発振を抑制するとともに、大型化を抑制した電磁弁を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明においては、プランジャの先端部と受け部との間に、流路を開閉する略半球状に形成された部分に連続し、プランジャの軸に対して直角方向から見て略直線状に延びる面と、この略直線状に延びる面とプランジャの外周面との間に連続してプランジャ半径方向に延びる平面部とが形成され、プランジャの先端から平面部までの距離がバルブシート部のシート径の1.5倍であることとした


そのため、プランジャの発振を抑制するとともに、大型化を抑制することができる。
実施例1の電磁弁の断面図である。 実施例1のプランジャの弁体とバルブシートのシート部付近の拡大断面図である。 実施例1のプランジャの先端部分の拡大図である。 実施例1のプランジャの成形方法を示す図である。 実施例1の圧力分布を示す図である。 実施例1のホイルシリンダの液圧のタイムチャートである。 実施例1のプランジャに作用する流体力について説明する図である。 実施例1のホイルシリンダの液圧のタイムチャートである。 実施例1のホイルシリンダの液圧のタイムチャートである。
[実施例1]
〔電磁弁の構成〕
実施例1の電磁弁1は、ブレーキ装置内のノーマルオープン弁として用いられるものである。
図1は電磁弁1の断面図である。電磁弁1は、通電により電磁力を発生するコイル2と、磁性体で形成され電磁力により作動するアーマチュア3と、アーマチュア3と一体に駆動するプランジャ4と、このプランジャ4によって開閉されるオリフィス孔5bを有するバルブシート5、プランジャ4を収容するバルブボディ10を有する。
バルブシート5の一端側には、オリフィス孔5bの開口部にシート部5aが形成されている。このシート部5aはオリフィス孔5bに向かって擂鉢状に形成されている。シート部5aの外周にはコイルスプリング11の端部が装着されるスプリング受部5dが形成されている。バルブシート5の他端側には、軸方向に延びた液路5cが形成されている。
プランジャ4は樹脂形成された非磁性体であって、プランジャ4の一端側はアーマチュア3に接続している。プランジャ4の他端側はコイルスプリング11の端部が装着されるスプリング受部4aが形成されている。プランジャ4は、このスプリング受部4aから他端側に向かって細くなるように形成されており、その先端部にはバルブシート5のシート部5aと当接する弁体4bが形成されている。弁体4bは略半球状に形成されている。弁体4bとスプリング受部4aとの間には受圧部4cが形成されている。この受圧部4cについては後で詳述する。
バルブボディ10には軸方向に貫通する収容孔10aが形成されている。この収容孔10aには、プランジャ4とバルブシート5が収容されている。
電磁弁1は、ブレーキ装置のハウジング6に形成された電磁弁挿入孔6aに挿入される。この電磁弁挿入孔6aには、順にフィルタ7、第1シール8を取付けたバルブシート5、第2シール9を取付けたバルブボディ10が挿入される。バルブボディ10はハウジング6にかしめて固定される。プランジャ4はアーマチュア3と接続されて、バルブボディ10の収容孔10aに挿入される。このときコイルスプリング11は、プランジャ4のスプリング受部4aから弁体4bとの間を囲繞するように配置され、プランジャ4のスプリング受部4aとバルブシート5のスプリング受部5dとに挟まれて、プランジャ4をアーマチュア3側に付勢する。つまりプランジャ4は、弁体4bがバルブシート5のシート部5aから離れる方向に付勢される。
アーマチュア3は、底が半球状に形成されたシリンダ12に収容され、このシリンダ12の開口部はバルブボディ10に溶接して固定される。
コイル2は磁性体で形成されたヨーク14に収容されており、ヨーク14の内周にアーマチュア3が位置するように取付けられる。
なお、開弁時にはマスターシリンダからの作動液がフィルタ7バルブボディ5の液路5c、オリフィス孔5b、バルブボディ10の内周の順に流れ、バルブボディ10の側面に設けられた貫通孔からバルブボディ10の外周に排出され、ハウジング6内の液路を通ってホイルシリンダに供給される。
〔プランジャの構成〕
図2は、プランジャ4の弁体4bとバルブシート5のシート部5a付近の拡大断面図である。受圧部4cは、弁体4bとスプリング受部4aとの間にプランジャ4の半径方向に延びた平面部である。受圧部4cは、弁体4bの大径部4dと外周面4eとの間に連続して設けられている。受圧部4cの外φ1は、シート部5aの孔径(シート径)φ2よりも大きく、コイルスプリング11の内径φ3よりも小さく形成されている。弁体4bの先端から受圧部4cまでの高さhは、シート部5aのシート径φ2の1.5倍程度に形成されている。
図3はプランジャ4の先端部分の拡大図である。
図4は、プランジャ4の成形方法を示す図である。プランジャ4は、内部にプランジャ4の形の空洞13eを有する成形型13に樹脂を射出することによって成形される。樹脂は成形型13に設けられた射出口から射出される。成形型13は第1成形型13a、第2成形型13b、第3成形型13cに分割可能に形成されており、分割する位置にパーティングライン13f,13gを有する。パーティングライン13fは受圧部4cに位置し、パーティングライン13gはスプリング受部4aに位置するように形成されている。
〔作用〕
電磁弁の大流量化を図るためにはシート径を拡大するとともに、プランジャの先端径を縮小することが望ましい。しかしながら、流量が多くなるためシートとプランジャとの間を流れる作動油の流速が早くなり、プランジャを引き込む側に負圧が大きくなるため、プランジャが発振するおそれがある。
図5はプランジャ4の弁体4bとバルブシート5のシート部5aとの間を作動油が流れたときの圧力分布を示す図である。図5に丸で囲った部分に示すように、弁体4bとシート部5aとの間に負圧が発生していることが分かる。この負圧により、プランジャ4はバルブシート5に対して閉まる方向に移動する。プランジャ4が閉まる方向に移動すると、弁体4bとシート部5aとの間を流れる作動油の流量が少なくなるため、流速が遅くなり負圧は小さくなる。そのため、プランジャ4はバルブシート5に対して開く方向に移動する。これを繰り返すためプランジャ4が振動することとなる。
図6はプランジャ4に受圧部4cを設けていないときのホイルシリンダの液圧のタイムチャートである。図6の丸で囲った部分に示しように、液圧が振動している。これはプランジャ4が発振することにより作動油の供給量が一定しないためである。
アーマチュア3の背面にダンパ室を設けて、このダンパ室に作動油を供給することで、プランジャ4の発振を抑えることも可能であるが、ダンパ室を設ける分だけ電磁弁1が大型化する問題があった。
そこで実施例1では、プランジャ4に、弁体4bとスプリング受部4aとの間にプランジャ4の半径方向に延びる受圧部4cを形成し、受圧部4cが形成された部分の外をコイルスプリング11の内径より小さく形成した。
図7は、プランジャ4に作用する流体力について説明する図である。図を見やすくするために断面を示すハッチングは省略している。作動液によりプランジャ4を開弁する方向に作用する力Fは次の式で求めることができる。
ここで、pは液路5cの作動液の液圧とバルブボディ10内の作動液の液圧との差圧を示し、Sはオリフィス孔5bの流路面積、ρは作動液の密度、Qは作動液の流量、u1はオリフィス孔5bを通過する作動液の流速、u2はシート部5aと弁体4bとの間を通過する作動液の流速、u3は受圧部4cに向かって流れる作動液の流速、φは力Fの方向とシート部5aと弁体4bとの間を通過する作動液の方向との間の角度を示す。
上記の式に示すように、プランジャ4を引込む負圧力に対してバルブシート5のオリフィス孔5bから流出した作動油がプランジャ4の受圧部4cに当たることにより、プランジャ4には開弁する方向に圧力が作用する。図8はプランジャ4に受圧部4cを設けたときのホイルシリンダの液圧のタイムチャートである。図8に示すように液圧の振動が抑制されている。これはプランジャ4の発振が抑制され作動の供給が一定となったためである。すなわち、受圧部4cにプランジャ4が開弁する方向に圧力が作用するため、プランジャ4は負圧に対抗する力が作用することとなり、発振を抑えることが可能となる。受圧部4cは、弁体4bとスプリング受部4aとの間に設けた平面部であるため、プランジャ4の軸方向長さを長くすることがなく、電磁弁1の大型化を抑制することができる。また受圧部4cの外径をコイルスプリング11の内径よりも小さくしたためプランジャ4がコイルスプリング11に引っかかることを抑制することができる。
また実施例1では、弁体4bを略半球状に形成し、受圧部4cを弁体4b大径部4dとプランジャ4の外周面4eとの間に連続して設けた。また、受圧部4cと大径部4dとの接続部の隅部をR0.03以下に形成し、受圧部4cと外周面4eとの接続部の角部をR0.1以下に形成した。
よって、受圧部4cの面積を確保することが可能となり、発振の抑制を効率的に行うことができる。
また実施例1では、プランジャ4を受圧部4cの位置がパーティングライン13fとなる成形型13を用いて樹脂の射出成形により形成した。
よって、受圧部4cと大径部4dとの接続部の隅部や、受圧部4cと外周面4eとの接続部の角部のRを小さく形成することが可能となり、面積の大きな受圧部4cを比較的容易に形成することができる。
また実施例1では、弁体4bの先端から受圧部4cまでの高さhをシート部5aのシート径φ2の1.5倍程度に形成した。
図9は、弁体4bの先端から受圧部4cまでの高さhを変えたときのホイルシリンダ液圧のタイムチャートである。図9の上段は電磁弁1を全閉から全開にしたときの液圧を示し、下段は電磁弁1を中間開弁させたときの液圧を示す。電磁弁1を全閉から全開にしたときは、作動油の流速が速いためプランジャ4が発振し易くなる。また電磁弁1を中間開弁させたときには、作動油の流速が比較的遅いためプランジャ4は発振し難い。しかし、電磁弁1を中間開弁させたときには、作動油の流量を一定にさせたいためホイルシリンダの液圧に変曲点がでないようすることが望ましい。
図9に示すように、弁体4bの先端から受圧部4cまでの高さhをシート部5aのシート径φ2の1.2倍程度に形成したときには、プランジャ4の発振は抑制されている。しかしながら、電磁弁1を中間開弁させたときに液圧の変曲点が発生してしまう。弁体4bの先端から受圧部4cまでの高さhをシート部5aのシート径φ2の2.0倍程度に形成したときには、電磁弁1を中間開弁させたときにも液圧の変曲点は発生しない。ししながら、電磁弁1を全閉から全開にしたときには、プランジャ4が発振してしまう。実施例1のように、弁体4bの先端から受圧部4cまでの高さhをシート部5aのシート径φ2の1.5倍程度に形成した場合には、プランジャ4の発振を抑制でき、電磁弁1を中間開弁させたときも液圧の変曲点が発生しない。
また実施例1では、受圧部4cの外φ1を、シート部5aのシート径φ2よりも大きく形成した。
よって、シート部5aから吐出された作動油が効率良く受圧部4cに当たることができ、発振の抑制を効率的に行うことができる。
[効果]
以下に実施例1の効果を列記する。
(1)通電時に磁界を形成するコイル2と、コイル2を収納する磁性材料からなるヨーク14と、ヨーク14の内周側に配置され、コイル2に通電したときにコイル2の軸方向に移動する磁性体のアーマチュア3と、アーマチュア3の移動に伴って移動する非磁性体のプランジャ4と、プランジャ4が移動し、プランジャ4の弁体4bによって開閉するオリフィス孔5bを備えたシート部5aを有するバルブシート5と、プランジャ4に形成されたスプリング受部4aとバルブシート5との間にプランジャ4を囲繞するように配置され、プランジャ4をアーマチュア3方向に付勢するコイルスプリング11と、を備え、プランジャ4は、弁体4bとスプリング受部4aとの間にプランジャ4の半径方向に延びる受圧部4cが形成され、受圧部4cが形成された部分の外をコイルスプリング11の内径より小さく形成した。
バルブシート5のオリフィス孔5bから流出した作動油がプランジャ4の受圧部4cに当たることにより、プランジャ4には開弁する方向に圧力が作用するため、プランジャ4は負圧に対抗する力が作用することとなり、発振を抑えることが可能となる。受圧部4cは、弁体4bとスプリング受部4aとの間に設けた平面部であるため、プランジャ4の軸方向長さを長くすることがなく、電磁弁1の大型化を抑制することができる。また受圧部4cの外径をコイルスプリング11の内径よりも小さくしたためプランジャ4がコイルスプリング11に引っかかることを抑制することができる。
(2)弁体4bは略半球状を成しており、受圧部4cは半球状の大径部4dとプランジャ4の外周面4eとの間に連続して設けられ、受圧部4cと大径部4dとの接続部の隅部をR0.03以下および/または受圧部4cと外周面4eとの接続部の角部をR0.1以下に形成した。
よって、受圧部4cの面積を確保することが可能となり、発振の抑制を効率的に行うことができる。
(3)プランジャ4を受圧部4cの位置がパーティングライン13fとなる成形型13を用いて樹脂の射出成形により形成した。
よって、受圧部4cと大径部4dとの接続部の隅部や、受圧部4cと外周面4eとの接続部の角部のRを小さく形成することが可能となり、面積の大きな受圧部4cを比較的容易に形成することができる。
[他の実施例]
以上、本願発明を実施例1に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば実施例1では、プランジャ4の受圧部4cと大径部4dとの接続部の隅部をR0.03以下に形成し、受圧部4cと外周面4eとの接続部の角部をR0.1以下に形成した。この構成を、プランジャ4の受圧部4cと大径部4dとの接続部の隅部をR0.03より大きく形成し、受圧部4cと外周面4eとの接続部の角部をR0.1より大きく形成しても良い。
また実施例1では、プランジャ4の弁体4bの先端から受圧部4cまでの高さhを、シート部5aのシート径φ2の1.5倍程度に形成した。これにより安定した中間開弁したときの制御性と発振特性とを得ることができた。これは、必ずしも高さhをシート部5aのシート径φ2の1.5倍にしなければ効果がでないというものではない。すなわちシート部5aに対して受圧部4cが近すぎると電磁弁1を中間開弁させたときも液圧の変曲点が発生し、遠すぎると電磁弁1を全閉から全開にしたときにプランジャ4発振してしまう。この点を考慮して、適宜設定すれば良い。
また実施例1では、プランジャ4のスプリング受部4aとバルブシート5のスプリング受部5dとの間にコイルスプリング11を設けている。この構成を、バルブボディ10にスプリング受部を形成して、プランジャ4のスプリング受部4aとバルブボディ10にスプリング受部との間にコイルスプリング11を設けるようにしても良い。すなわち、コイルスプリング11がプランジャ4を開弁方向に付勢することができるように配置することができれば良い。
1 電磁弁
2 コイル
3 アーマチュア
4 プランジャ
4a スプリング受部(受部)
4b 弁体(先端部)
4c 受圧部(平面部)
4d 大径部
4e 外周面
5 バルブシート(バルブシート部材)
5a シート部(バルブシート部)
5b オリフィス孔(流路)
11 コイルスプリング
14 ヨーク

Claims (3)

  1. 通電時に磁界を形成するコイルと、
    前記コイルを収納する磁性材料からなるヨークと、
    前記ヨークの内周側に配置され、前記コイルに通電したときに前記コイルの軸方向に移動する磁性体のアーマチュアと、
    前記アーマチュアの移動に伴って移動する非磁性体のプランジャと、
    前記プランジャが移動し、前記プランジャの先端に略半球状に形成された部分によって開閉する流路を備えたバルブシート部を有するバルブシート部材と、
    前記プランジャに形成された受部と前記バルブシート部材との間に前記プランジャを囲繞するように配置され、前記プランジャを前記アーマチュア方向に付勢するコイルスプリングと、を備え、
    前記プランジャの先端部と前記受部との間には、前記略半球状に形成された部分に連続し、前記プランジャの軸に対して直角方向から見て略直線状に延びる面と、該略直線状に延びる面と前記プランジャの外周面との間に連続して前記プランジャ半径方向に延びる平面部とが形成され、
    前記平面部が形成された部分の外径が前記コイルスプリングの内径より小さく形成され
    前記プランジャの先端から前記平面部までの距離が前記バルブシート部のシート径の1.5倍である
    ことを特徴とするノーマルオープン型電磁弁。
  2. 請求項1に記載のノーマルオープン型電磁弁において、
    前記平面部と前記略直線状に延びる面との接続部の隅部をR0.03以下および/または前記平面部と前記プランジャの外周面との接続部の角部をR0.1以下に形成したことを特徴とするノーマルオープン弁型電磁弁。
  3. 請求項2に記載のノーマルオープン型電磁弁において、
    前記プランジャは、前記平面部の位置がパーティングラインとなる成形型を用いて樹脂の射出成形により形成されていることを特徴とするノーマルオープン型電磁弁。
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