JP5270682B2 - イソソルビド系ポリカーボネート、製造方法、及びそれから形成される物品 - Google Patents

イソソルビド系ポリカーボネート、製造方法、及びそれから形成される物品 Download PDF

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Description

本開示は、脂肪族ジオールを含むポリカーボネート、特にイソソルビド系ポリカーボネート、及びその製造方法に関する。
生物学的資源に由来する脂肪族ジオールに基づくポリマーは、安価で、再生可能な資源から誘導することができ、かつ生分解性の物質及び製品の製造において、プラスチック産業及び製造業において非常に関心がもたれているものである。とくに興味深いのは、イソソルビドから導かれるポリマーであり、より具体的には、2,6-ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン-4,8-ジオール、1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール、及び2,3,3a,5,6,6a-ヘキサヒドロフロ[3,2-b]フラン-3,6-ジオール、及びこれらの異性体に言及する。そのような脂肪族ジオールが、ビスフェノールモノマーなどのポリカーボネートの製造において有用である他のモノマーを調製するのに用いられる石油供給原料ではなく、再生可能資源、すなわち糖類から生成できることから、これらの物質は、化学産業、とりわけポリカーボネートなどのポリマー原料の製造にとって大変関心が高い。
しかしながら、実用的な適用において、イソソルビドを包含するポリカーボネートが有用であるためには、性質のバランスがとれている必要がある。通常、ポリカーボネートは、所望の機械的特性のために十分に高い分子量をもち、かつ成形及び押出し適用において有用であるために十分に低いガラス転移温度及びフローを有している必要がある。そのような生物由来物質をポリカーボネート中に含有する際に付随する問題は、例えば押出し及び成形中に遭遇する、高温プロセス中及び後のポリカーボネートの所望の機械的及び光学的特性を保持することである。分子量の所望の特性を別の面で有する、イソソルビドを含むポリカーボネートは、押出しまたは成形条件下において、望まない分解、及び望まない色の変化において比例した増加及び分子量において減少をもたらし得る。前者は外観に好ましくない影響を及ぼす一方で、後者はポリカーボネートの溶融流動性及び機械的特性に悪影響を及ぼし得る。
分子量及びメルトフロー(melt flow)の所望のバランスの典型的な解決策は、例えば、ポリカーボネート中に組み入られた、レゾルシノールに由来するポリカーボネートのセグメントなどの、低ガラス転移温度組成物のセグメントである、「ソフトブロック(soft blocks)」を含むことであった。これによって、ポリカーボネートの総ガラス転移温度を低下させることができ、メルトフローを上昇させることができる。典型的なソフトブロックには、レゾルシノール、脂肪族ジオール、及び脂肪族二酸が含まれる。そのうち、紫外線光(UV)に対してそのようなソフトブロックの透明度、それ故に、脂肪族ブロックのUV安定性をブロックするため、脂肪族ソフトブロックを含むことは望ましいが、通常、脂肪族ソフトブロックをポリカーボネート中に組み入れることは困難であり、十分に高い分子量のポリマーを得ることを困難にする。さらには、これらソフトブロックを組み入れることが困難であることはソフトブロック及び他のモノマーの反応性の違いに形を変え、ランダムコポリマーの代わりにブロックコポリマーの形成に導かれる。同じく、ブロックコポリマーの形成は異種ブロックの相分離へと導かれ、これは、明白なガラス転移温度を有する領域を形成することによる所望の総Tg低下をなくし、その結果、ヘイズ及び層間剥離などのプロセス問題へと導かれる相分離など、ソフトブロック含有コポリカーボネートに悪影響を及ぼし得る。
従って、十分に高い分子量及び耐熱性を有する一方で、十分に低いガラス転移温度を有することで重合及び加工を可能にすると同時に、相分離及び組成物中の機械特性の低下を抑制するイソソルビド系ポリカーボネートに対して、当技術分野でなお必要性が存在している。
上記及び他の当技術分野の欠陥は、一実施形態では、イソソルビド単位;C14〜44脂肪族二酸、C14〜44脂肪族ジオール、またはこれらの組合せに由来する脂肪族単位;及び任意選択で、イソソルビド単位及び脂肪族単位とは異なる追加の単位を含むポリカーボネートポリマーにより克服され、ここで、イソソルビド単位、脂肪族単位、及び追加の単位は、それぞれカーボネート単位であるか、或いはカーボネート単位及びエステル単位の組合せである。
別の実施形態では、ポリカーボネートポリマーは、a) 55〜97.5mol%のイソソルビド単位;b) 2.5〜15mol%の脂肪族単位;及びc) 0〜42.5mol%の、イソソルビド単位及び脂肪族単位とは異なる追加;を含み、ここで、イソソルビド単位、脂肪族単位、及び追加の単位は、カーボネート単位、またはカーボネート単位及びエステル単位の組合せであり、イソソルビド単位、脂肪族単位、及びカーボネート単位のmol%の数の和は100mol%であり、ここで、コポリマーの分子量は、ポリスチレン標準と比較してゲル浸透クロマトグラフィーで測定した場合、約39,000g/molより大きく、脂肪族単位の質量パーセントは、ポリカーボネートポリマーの全質量に対して14〜22質量%である。
別の実施形態では、ポリカーボネートポリマーは、
a) 式(2a):
Figure 0005270682
のイソソルビドに由来するイソソルビド単位、
b) 式(11):
Figure 0005270682
のC14〜44脂肪族二酸から得られる脂肪族単位
(式中、m及びm’は独立に0〜38であり、n及びn’は独立に0〜38であり、かつm+m’+n+n’の和は、8〜38の整数である)、または
式(12):
Figure 0005270682
のC14〜44脂環式ジオール
(式中、t及びt’は独立して0〜38であり、u及びu’は独立して0〜38であり、かつt+t’+u+u’の和は8〜38の整数である)、または
式(11)のC14〜44脂環式二酸及び式(12)のC14〜44脂環式ジオールの組合せ、及び
c) 任意に、イソソルビド単位及び脂環式単位とは異なる追加の単位
(ここで、イソソルビド単位、脂肪族単位、及び追加の単位は、カーボネート単位、またはカーボネート単位及びエステル単位の組み合わせであり、ポリカーボネートポリマーの分子量は、ポリスチレン標準と比較してゲル浸透クロマトグラフィーで測定した場合、約39,000g/molより大きく、ポリカーボネートポリマーのガラス転移温度は135℃以下であり、脂肪族単位の質量%は、ポリカーボネートポリマーの全質量に対して14〜22質量%である)
を含む。
別の実施形態では、熱可塑性組成物は、ポリカーボネートポリマー、及び追加のポリマー、添加剤、または追加のポリマーと添加剤との組合せを含む。
以下に示す図面の説明は、例示するものであり、限定するものではない。
上記及び他の特徴は、以下の詳細な説明により例示される。
例示的なイソソルビドオリゴマーの異なる末端基に対応する誘導生成物を示す31P核磁気共鳴スペクトルである。
本明細書では、ポリエステルポリカーボネートを含む、イソソルビド系ポリカーボネートが記載されている。驚くべきことに、本明細書に開示するとおり、イソソルビド及び13超の炭素数を有する脂肪族二酸またはジオールのエステル単位を含む、イソソルビド系ポリカーボネート及びポリエステル-ポリカーボネートは、高分子量(すなわち、39,000g/mol超のMw)及び135℃以下のガラス転移温度(Tg)を有するものとして調製することができる。イソソルビド系ポリエステル-ポリカーボネートは、触媒の存在下で活性化カーボネート源を用いる溶融重合法により調製することができる。イソソルビド系ポリカーボネートは、衝撃強度及び透明性、ならびに生物学的由来の物質(すなわち、植物などの地球に優しい生物系供給原料から派生するポリマー前駆体)を高含量有するなどの有用な機械特性を有することができる。それに加えて、イソソルビド系ポリカーボネートは、低いバックグランド色、良好なUV安定性、及び良好なMw安定性を有することができる。
本明細書で使用する場合、用語「ポリカーボネート」は、一般に、式(1):
Figure 0005270682
のカーボネート反復構造単位を有するホモポリカーボネート及びコポリカーボネートを包含し、式中、R1基は、脂肪族、芳香族、またはこれらの組合せでもよいジヒドロキシ化合物に由来する。
本明細書に開示するポリカーボネートは、式(1)のカーボネート単位のR1基が、脂肪族基、特に、イソソルビドなどの脂環式ジオールに含まれる縮合フラン構造に基づく基などの、縮合環アルキルオキシ基を含む、脂肪族ジオール系ポリカーボネートである。具体的には、イソソルビド系ポリエステル-ポリカーボネートは、式(2)に示すイソソルビド系カーボネート単位を含む。
Figure 0005270682
式(2)のイソソルビド系カーボネート単位は、イソソルビドの異性体混合物またはイソソルビドの個々の異性体から誘導することができる。式(2)のイソソルビド系カーボネート単位の立体化学は、特に限定されない。具体的には、イソソルビドは、一般式(2a):
Figure 0005270682
を有しており、単一のジオール異性体またはジオール異性体の混合物であってもよい。一般式(2a)のイソソルビドの立体化学も、特に限定されない。こうしたジオールは、対応するヘキシトールの脱水により調製される。ヘキシトールは、対応する糖(アルドヘキソース)から商業的に生産される。式(2a)の脂肪族ジオールは、式(2b)の1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール;式(2c)の1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-マンニトール;及び式(2d)の1,4:3,6-ジアンヒドロ-L-イジトール、ならびに前記ジオールの2種または複数の組合せを包含する。イソソルビドは、Cargill社、Roquette社、及びShanxi社を含む様々な化学物質供給業者より入手可能である。
Figure 0005270682
特定の実施形態では、式(2b)のジオールは、式(2c)及び(2d)の他のジオールよりTgの高いコポリマーを生成できる、硬質で、化学的にも熱的にも安定な脂肪族ジオールであるので望ましい。
本明細書に開示するようなイソソルビド系ポリカーボネートを含むポリカーボネートは、式(2a)の脂肪族ジオールとは異なる、例えばビスフェノールなどのジヒドロキシ化合物に由来する単位をさらに含むことができる。一実施形態では、式(1)の各R1基はさらに2価の芳香族基であり、例えば、式(3):
HO-A1-Y1-A2-OH (3)
の芳香族ジヒドロキシ化合物から導かれ、式中、式中A1及びA2の各々は、単環式2価アリーレン基であり、Y1は、単結合またはA1とA2とを隔てる1個もしくは2個の原子を有する架橋基である。例示的な実施形態では、1個の原子がA1とA2とを隔てる。別の実施形態では、A1及びA2がそれぞれフェニレンであるとき、Y1は、フェニレン上のヒドロキシ基の各々に対してパラ位にある。このタイプの基の例示的な非限定な例としては、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-C(O)-、メチレン、シクロヘキシルメチレン、2-[2,2,1]-ビシクロヘプチリデン、エチリデン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、及びアダマンチリデンが挙げられる。架橋基Y1は、炭化水素基、またはメチレン、シクロヘキシリデン、もしくはイソプロピリデンなどの飽和炭化水素基でもよい。
式(3)の範囲内に含まれるものには、一般式(4):
Figure 0005270682
のビスフェノール化合物があり、式中、Ra及びRbは各々、ハロゲン原子または1価炭化水素基であり、かつ同じまたは異なることがあり;p及びqは、各々独立に0〜4の整数であり;Xaは、単結合、または式(5a)もしくは(5b)の基:
Figure 0005270682
のいずれか1つを表し、式中、Rc及びRdは、各々独立に、水素、C1〜12アルキル、C1〜12シクロアルキル、C7〜12アリールアルキル、C1〜12ヘテロアルキル、または環式C7〜12ヘテロアリールアルキルであり、Reは、2価のC1〜12炭化水素基である。特に、Rc及びRdは、各々同じ水素またはC1〜4アルキル基であり、具体的には同じC1〜3アルキル基であり、より具体的にはメチルである。
ある実施形態では、Rc及びRdは、一緒になってC3〜20環式アルキレン基、または炭素原子及び2価以上のヘテロ原子を含む、ヘテロ原子含有C3〜20環式アルキレン基を表す。これらの基は、単一の飽和もしくは不飽和環、または縮合環が飽和、不飽和、もしくは芳香族である多環式縮合環系の形態を取ることができる。具体的なヘテロ原子含有環式アルキレン基は、2価以上のヘテロ原子を少なくとも1個、及び炭素原子を少なくとも2個含む。ヘテロ原子含有環式アルキレン基の中の例示的ヘテロ原子としては、-O-、-S-、及び-N(Z)-が挙げられ、式中Zは、水素、ヒドロキシ、C1〜12アルキル、C1〜12アルコキシ、またはC1〜12アシルから選択される置換基である。
特定の例示的実施形態では、Xaは、式(6):
Figure 0005270682
の置換C3〜18シクロアルキリデンであり、式中、Rr、Rp、Rq、及びRtは、各々独立に、水素、ハロゲン、酸素、またはC1〜12有機基であり;Iは、直接結合、炭素、または2価の酸素、硫黄もしくは-N(Z)-であり、ここで、Zは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜12アルキル、C1〜12アルコキシ、またはC1〜12アシルであり;hは0〜2であり、jは1または2であり、iは0または1の整数であり、kは0〜3の整数であり、但し、Rr、Rp、Rq、及びRtの少なくとも2つは、一緒になって脂環式、芳香族、またはヘテロ芳香族の縮合環である。縮合環が芳香族である場合、式(6)に示すような環は、環が縮合している箇所で不飽和炭素-炭素結合を有することが理解されよう。kが1であり、iが0である場合、式(6)に示すような環は炭素原子4個を含有し、kが2である場合、示すような環は炭素原子5個を含有し、kが3である場合、その環は炭素原子6個を含有する。一実施形態では、2つの隣接基(例えば、Rq及びRtが一緒になって)は、芳香族基を形成し、別の実施形態では、Rq及びRtが一緒になって1つの芳香族基を形成し、Rr及びRpが一緒になって第2の芳香族基を形成する。
kが3であり、iが0であるとき、置換または非置換のシクロヘキサン単位を含有するビスフェノール、例えば、式(7):
Figure 0005270682
のビスフェノールが使用され、式中、置換基Ra’及びRb’は、脂肪族または芳香族で、直鎖、環式、二環式、分岐、飽和または不飽和でもよく、Rgは、C1〜12アルキルまたはハロゲンであり、r及びsは独立に0〜4の整数であり、tは0〜10の整数である。rが0であり、sが0であり、tが0であるとき、水素が各価標を埋めることは理解されよう。一実施形態では、各Ra’及びRb’は、独立にC1〜12アルキルである。特定の実施形態では、r及び/またはsが1以上である場合、各Ra’及びRb’の少なくとも1個は、シクロヘキシリデン架橋基に対してメタ位に配置される。置換基Ra’、Rb’、及びRgは、適当な個数の炭素原子を含むとき、直鎖、環式、二環式、分岐、飽和、または不飽和であってもよい。特定の実施形態では、Ra’、Rb’、及びRgは、それぞれC1〜4アルキルであり、特にメチルである。更に別の実施形態では、Ra’、Rb’、及びRgは、C1〜3アルキル、特にメチルであり、r及びsは0または1であり、tは0〜5、特に0〜3である。tが3であり、r及びsが0であり、Rgがメチルである式(7)の有用なシクロヘキサン含有ビスフェノールは、例えば、フェノール2モルと、例えば3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンなどの水素化イソホロン1モルとの反応生成物から誘導されるものを包含し、高いガラス転移温度及び高い熱変形温度を有するポリカーボネートポリマーの作製に有用である。このようなイソホロン架橋ビスフェノール含有ポリカーボネート、またはそのポリカーボネートの少なくとも1種を他のビスフェノールポリカーボネートと共に含む組合せは、Bayer Co.からAPEC(登録商標)の商品名で得ることができる。
適切なビスフェノール化合物の幾つかの例示的な非限定例には、以下の化合物:4,4'-ジヒドロキシビフェニル、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルメタン、1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、1,1-ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3メチルフェニル)シクロヘキサン1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、trans-2,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブテン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンチン、(α,α'-ビス(4-ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-ジブロモ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-ジクロロ-2,2-ビス(5-フェノキシ-4-ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)-2-ブタノン、1,6-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,6-ヘキサンジオン、エチレングリコールビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7-ジヒドロキシピレン、6,6'-ジヒドロキシ-3,3,3',3'-テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビスフェノール」)、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタリド、2,6-ジヒドロキシジベンゾ-p-ジオキシン、2,6-ジヒドロキシチアントレン、2,7-ジヒドロキシフェノキサチン、2,7-ジヒドロキシ-9,10-ジメチルフェナジン、3,6-ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6-ジヒドロキシジベンゾチオフェン、及び2,7-ジヒドロキシカルバゾールなど、ならびに前記ジヒドロキシ芳香族化合物の少なくとも1種を含む組合せが挙げられる。
式(3)で表される種類のビスフェノール化合物の具体例としては、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(以後では「ビスフェノールA」または「BPA」)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル) n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-1-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-t-ブチルフェニル)プロパン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタリミジン、2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタリミジン(「PPPBP」)、及び9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンが挙げられる。前記ジヒドロキシ芳香族化合物の少なくとも1種を含む組合せも、使用することができる。
他種類のジオールは、イソソルビド系ポリカーボネート中に存在することができる。例えば、R1は、式(8):
Figure 0005270682
のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導されることができ、式中、各Rfは、独立にC1〜12アルキルまたはハロゲンであり、uは0〜4である。uが0であるとき、Rfが水素であることは理解されよう。典型的には、ハロゲンは塩素または臭素になり得る。ある実施形態では、-OH基が相互にメタ位に置換されており、Rf及びuが上記の通りである式(8)の化合物は、本明細書では一般にレゾルシノールとも称する。式(8)で表現できる化合物の例には、レゾルシノール(uが0の場合)、5-メチルレゾルシノール、5-エチルレゾルシノール、5-プロピルレゾルシノール、5-ブチルレゾルシノール、5-t-ブチルレゾルシノール、5-フェニルレゾルシノール、5-クミルレゾルシノール、2,4,5,6-テトラフルオロレゾルシノール、2,4,5,6-テトラブロモレゾルシノールなどの置換レゾルシノール化合物;カテコール;ヒドロキノン;2-メチルヒドロキノン、2-エチルヒドロキノン、2-プロピルヒドロキノン、2-ブチルヒドロキノン、2-t-ブチルヒドロキノン、2-フェニルヒドロキノン、2-クミルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラ-t-ブチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6-テトラブロモヒドロキノンなどの置換ヒドロキノン;または前記化合物の少なくとも1種を含む組合せが挙げられる。
分岐基を有する多様な種類のポリカーボネートも、有用であると想定されているが、但し、このような分岐は、ポリカーボネートの所望の性質に有意な悪影響を及ぼさないことを前提とする。分岐ポリカーボネートブロックは、重合中に分岐剤を添加することにより調製することができる。こうした分岐剤には、ヒドロキシ、カルボキシル、カルボン酸無水物、ハロホルミル、及び前記官能基の混合物から選択される、少なくとも3個の官能基を含有する多官能有機化合物が挙げられる。具体的な例には、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、トリメリット酸三塩化物、トリス-p-ヒドロキシフェニルエタン、イサチン-ビス-フェノール、トリス-フェノールTC(1,3,5-トリス((p-ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン)、トリス-フェノールPA(4(4(1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)-エチル)α,α-ジメチルベンジル)フェノール)、4-クロロホルミルフタール酸無水物、トリメシン酸、及びベンゾフェノンテトラカルボン酸が挙げられる。分岐剤は、約0.05〜約2.0質量%の量で添加することができる。線状ポリカーボネート及び分岐ポリカーボネートを含む混合物は、使用することができる。
イソソルビド系ポリエステル-ポリカーボネートを含むポリカーボネートは、カーボネート単位と、エステル単位を含む他種類のポリマー単位とを含むコポリマー、ならびにホモポリカーボネート及びコポリカーボネートの少なくとも1種を含む組合せもまた包含することができる。この種のポリカーボネートコポリマーの具体的タイプは、ポリエステル-ポリカーボネートの名でも知られているポリエステルカーボネートである。このようなコポリマーは、式(1)の反復カーボネート鎖単位の他に、式(9):
Figure 0005270682
の反復単位を含む、オリゴマーエステル含有ジヒドロキシ化合物(本明細書では、ヒドロキシ末端封止オリゴマーアリレートエステルとも称する)に由来するカーボネート単位をさらに含有し、式中、Dは、ジヒドロキシ化合物に由来する2価基であり、例えば、C2〜120アルキレン基、C6〜120脂環式基、C6〜120芳香族基、またはそのアルキレン基が、炭素原子を2〜約6個、特に炭素原子を2、3もしくは4個含有するC2〜200ポリオキシアルキレン基でもよく;Tは、ジカルボン酸に由来する2価基であり、例えば、C2〜120アルキレン基、C6〜120脂環式基、C6〜120アルキル芳香族基、またはC6〜120芳香族基でもよい。
一般に、ポリエステル-ポリカーボネートは、式(9)の構造を有することができ、ある実施形態では、Dは、直鎖、分岐鎖、または環式(多環式を含む)構造を有するC2〜120アルキレン基である。別の実施形態では、Dは、上記式(3)のジヒドロキシ芳香族化合物に由来する。さらに別の実施形態では、Dは、上記式(7)のジヒドロキシ芳香族化合物に由来する。特定の実施形態では、本明細書に開示するように、Dは、式(2a)の脂肪族ジオールに由来する基である。脂肪族鎖が長い鎖、例えば、約18個超の炭素原子を有する場合、結晶化を防ぐために鎖が分岐している必要がある。それ故に、脂肪族アルキレン鎖がポリマー中で結晶化しないように、特定の実施形態では、Dは、分岐鎖構造を有するC14〜C120のアルキレン基である。
ポリエステル単位の調製に使用し得る芳香族ジカルボン酸の例には、イソフタール酸またはテレフタール酸、1,2-ジ(p-カルボキシフェニル)エタン、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’-ビス安息香酸、及び前記各酸の少なくとも1種を含む組合せが挙げられる。縮合環を含有する酸として、1,4-、1,5-または2,6-ナフタレンジカルボン酸なども存在することができる。特定のジカルボン酸は、テレフタール酸、イソフタール酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、またはそれらの組合せである。特定の1つのジカルボン酸は、イソフタール酸及びテレフタール酸の組合せを含み、イソフタール酸対テレフタール酸の重量比は約91:9から約2:98である。別の特定の実施形態では、DがC2〜6アルキレン基であり、Tが、p-フェニレン、m-フェニレン、ナフタレン、2価の脂環式基、またはそれらの組合せである。この部類のポリエステルには、ポリ(アルキレンテレフタレート)が含まれる。
他の化学結合(例えば、ホスゲンなどのカーボネート前駆体、またはジアリールカーボネート)が存在しない状態でエステル単位が形成される場合、個々のエステルはオリゴマー化してポリエステル単位を形成し、これはポリエステルブロックとも称する。続いて、ポリエステル単位は、カーボネート前駆体及びジヒドロキシ化合物の存在下で共重合してポリエステル-ポリカーボネートを形成することができる。このようなポリエステル-ポリカーボネートのポリエステル単位中の反復エステル単位の個数は、典型的には4以上、具体的には5以上、より具体的には8以上である。また、ある実施形態でも、式(9)のエステル単位の個数は、100以下、具体的には90以下、より具体的には70以下である。式(9)のエステル単位の個数に対する下限値及び上限値が、独立に組合せ可能であることは理解されよう。特定の実施形態において、ポリエステル-ポリカーボネートにおける式(10)のエステル単位の個数は、4〜50、特に5〜30、より特に8〜25、さらに特に10〜20であってよい。逆に、カーボネート前駆体などのその他の化学結合の存在下でエステル単位が形成される場合、個々のエステル単位、または2もしくは3の反復エステル単位のより小さいブロックを有し、1つまたは複数の他の化学結合(例えば、カーボネート単位)が散在する、よりランダムなポリエステル-ポリカーボネートを形成することができる。概して、ポリエステル-ポリカーボネートでは、ポリエステル-ポリカーボネートコポリマーにおけるエステル単位対カーボネート単位のモル比は、最終組成物の所望の性質に応じて広範に変動し、例えば1:99から99:1、具体的には10:90から90:10、より具体的には25:75から75:25に変動し得る。
ある実施形態では、ポリエステル-ポリカーボネートのエステル単位は、イソフタール酸及びテレフタール酸(またはそれらの誘導体)の組合せとレゾルシノールとの反応から誘導し得る。別の特定の実施形態では、ポリエステル-ポリカーボネートのポリエステル単位は、イソフタール酸及びテレフタール酸の組合せとビスフェノールAとの反応から誘導される。特定の実施形態では、ポリエステル-ポリカーボネートのカーボネート単位は、式(2a)の脂肪族ジオールに由来することができる。その代替としてまたはそれに加えて、例示的な実施形態では、カーボネート単位は、レゾルシノール及び/またはビスフェノールAに由来することができる。別の例示的な実施形態では、ポリエステル-ポリカーボネートのカーボネート単位は、レゾルシノール及びビスフェノールAに由来し、レゾルシノールカーボネート単位とビスフェノールAカーボネート単位とのモル比が1:99から99:1を生じることができる。
上記に開示するように、特定の実施形態では、エステル単位は、式(2a)のイソソルビドから誘導され、式(9a):
Figure 0005270682
のポリエステル単位を提供し、式中、T1は、C4〜120脂肪族二酸と式(2a)の脂肪族ジオールとの反応生成物から誘導されるC2〜118脂肪族基であり、zは、1以上の整数である。
本明細書に開示するように、脂肪族系ポリカーボネートはさらには、式(2)のカーボネート単位に加えて、式(2a)(すなわち、イソソルビド)と同一ではないが、13個超の炭素数を有する脂肪族ジオールに由来する脂肪族カーボネート単位であるか、或いは13個超の炭素数を有する脂肪族二酸に由来する脂肪族エステル単位の組合せ、イソソルビドと13個超の炭素数を有する脂肪族ジオールとの組合せ、のいずれかの脂肪族単位を包含する。具体的には、イソソルビド系ポリカーボネートは、式(2)のカーボネート単位に加えて、13個超の炭素数を有する脂肪族ジオールに由来する追加の脂肪族カーボネート単位を含む、イソソルビド系コポリカーボネートであり;或いは、イソソルビド系ポリカーボネートは、式(2)のカーボネート単位に加えて、イソソルビド系ポリエステルポリカーボネートのエステル単位のT1が、13個超の炭素原子を有する脂肪族二酸、ならびにイソソルビド及び/または13個超の炭素数を有する脂肪族ジオールに由来する、式(9)のエステル単位を含む、イソソルビド系ポリエステル-ポリカーボネートである。故に、特定の実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネートは、C14〜44脂肪族二酸、C14〜44脂肪族ジオール、及びこれらの組合せに由来する脂肪族単位を包含する。
C14〜44脂肪族二酸またはC14〜44脂肪族ジオールはそれぞれ、一般式(10):
X-(L)-X (10)
を有する、直鎖または分岐した、二官能性のアルキレンまたはアルケニレン化合物であり、式中、各Xは、カルボン酸(-C(O)OH)またはメチルオール(-CH2OH)官能基である(ここで、各々は1個の炭素原子を含む)。一実施形態では、式(10)の各Xは、同じである。また式(10)において、Lは、11個超の炭素原子を有する連結基を表す。より具体的には、Lは、分岐したC12〜42アルキレン基またはC12〜42アルケニレン基である。Lはまた、環状炭素部分構造、具体的には、単環式、多環式、または縮合多環式C3〜12シクロアルキル基、C3〜12シクロアルケニル基、C3〜12シクロアルキリデニル基、C3〜12シクロアルキレン基、またはC3〜12シクロアルキレニレン(cycloalkylenylene)基を含む。具体的な実施形態では、Lは、2個のアルキル分岐鎖を有するC12〜42アルキレン基である。具体的な実施形態では、式(10)の化合物は、分岐した、2量体のC36またはC44脂肪酸またはアルコールである。別の実施形態では、式(10)の化合物は、分岐または直鎖の、C13〜18二量体脂肪酸またはアルコールである。C36またはC44二量体脂肪酸またはアルコールは、アルキレンまたはアルケニレン鎖の結晶化を防止するために、分岐していなければならない。
脂肪族二酸は、分岐鎖のジカルボン酸であってよく、所望であれば環状基を包含することができる。具体的には、ある実施形態では、脂肪族二酸は、式(11):
Figure 0005270682
を含む、C14〜44脂肪族二酸またはこれらの誘導体であり、式中、m及びm’は独立に0〜38であり、n及びn’は独立に0〜38であり、m+m’+n+n’の和は8〜38の整数である。具体的な実施形態では、C36脂肪族二酸は式(11)の構造を有しており、式中、m及びm’は独立に0〜30であり、n及びn’は独立に0〜30であり、m+m’+n+n’の和は30である。別の具体的な実施形態では、C36脂肪族二酸は式(11)の構造を有しており、式中、各m及びm’は、独立に5〜10であり、各n及びn’は、独立に5〜10であり、m+m’+n+n’の和は30である。例示的な実施形態では、m及びm’は独立に7または8であり、n及びn’は独立に7または8であり、m+m’+n+n’の和は30である。具体的な実施形態では、C44脂肪族二酸は式(11)の構造を有しており、式中、m及びm’は独立に0〜30であり、n及びn’は独立に0〜30であり、m+m’+n+n’の和は38である。例示的な実施形態では、m及びm’は独立に12または13であり、n及びn’は独立に6または7であり、m+m’+n+n’の和は38である。このような二酸は、一般に二量体脂肪酸とも称され、容易に入手可能な、生物学的に誘導された原材料の縮合により得ることができる。
具体的な実施形態では、イソソルビド系ポリエステル-ポリカーボネートは、式(11a):
Figure 0005270682
を有するエステル単位を含むことができ、式中、m、m’、n、及びn’ならびにこれらの和は式(11)において記載したとおりであり、zは1以上の整数である。例示的な実施形態では、式(11a)において、各m及びm’は、独立に7または8であり、各n及びn’は、独立に7または8であり、m+m’+n+n’の和は30である。
別の実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネートは、13超個の炭素原子を有する脂肪族ジオールに由来するカーボネート単位を含む、イソソルビド系コポリカーボネートである。ある実施形態では、この脂肪族ジオールは、式(12):
Figure 0005270682
のC14〜44脂肪族ジオールであり、式中、t及びt’は独立に0〜38であり、u及びu’は独立に0〜38であり、t+t’+u+u’の和は8〜38の整数である。具体的な実施形態では、C36脂肪族ジオールは式(12)の構造を有し、式中、t及びt’は独立に0〜30であり、u及びu’は独立に0〜30であり、、t+t’+u+u’の和は30である。別の具体的な実施形態では、C36脂肪族ジオールは式(12)の構造を有し、各t及びt’は独立に5〜10であり、各u及びu’は独立に5〜10であり、t+t’+u+u’の和は30である。例示的な実施形態では、C36脂肪族ジオールは式(12)の構造を有し、式中、t及びt’は独立に7または8であり、u及びu’は独立に7または8であり、t+t’+u+u’の和は30である。別の具体的な実施形態では、C44脂肪族ジオールは式(12)の構造を有し、式中、t及びt’は独立に0〜30であり、u及びu’は独立に0〜30であり、t+t’+u+u’の和は38である。例示的な実施形態では、C44脂肪族ジオールは式(12)の構造を有し、式中、t及びt’は独立に12または13であり、u及びu’は独立に6または7であり、t+t’+u+u’の和は38である。
具体的な実施形態では、イソソルビド系コポリカーボネートは、式(2)のカーボネート単位に加えて、式(12a):
Figure 0005270682
のカーボネート単位を含み、式中、t、t’、u、及びu’、ならびにこれらの和は、式(12)で定義したとおりであり、wは1以上の整数である。
別の具体的な実施形態では、イソソルビド系ポリエステル-ポリカーボネートは、式(2)及び(12a)両方のカーボネート単位ならびに式(11a)のエステル単位に加えて、式(14):
Figure 0005270682
のエステル単位を含むことができ、式中、m、m’、n、及びn’、ならびにこれらの和は、式(11)で定義したとおりであり、t、t’、u、及びu’、ならびにこれらの和は、式(12)で定義したとおりであり、zは1以上の整数である。例示的な実施形態では、式(14)において、各m、m’、t、及びt’は、独立に7または8であり、各n、n’、u、及びu’は、独立に7または8であり、m+m’+n+n’及びt+t’+u+u’の各々の和は30である。
ある実施形態では、13個以上の炭素を有する有用な脂肪族二酸またはジオールは、2種の不飽和脂肪族酸類の付加反応から導くことができる。本明細書で使用される「不飽和」は、単不飽和化、二不飽和化、三不飽和化、多不飽和化、またはこれらの少なくとも1つの組合せを意味してよい。脂肪族二酸の不飽和部位の場合、シス異性体、トランス異性体、またはシス異性体及びトランス異性体の組合せは反応性不飽和脂肪酸中に存在してもよく(例えば、単一の脂肪族二酸は、シス及びトランスの異性化二重結合のそれぞれの少なくとも1つ有し得る)、或いは不飽和脂肪酸の異なる異性体を組み合わせてもよい(例えば、トランス脂肪酸及びシス脂肪酸の組合せが用いられる)ことが理解されよう。脂肪族二酸を形成するために反応し得る脂肪酸には、C3〜37不飽和酸、具体的にはC4〜30不飽和酸、より具体的にはC6〜22不飽和酸、さらに具体的にはC12〜22不飽和酸が含まれ、但し、反応する不飽和酸中の炭素の合計数は、生成する脂肪族二酸がC14〜44二酸であるように選択される。
例示的な不飽和酸として、ヒマワリ油、菜種油、トールオイル、ヒマシ油、大豆油などを含む植物油に由来する不飽和脂肪酸が含まれる。具体的な不飽和脂肪酸としては、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、及びドデセン酸の異性体;C14不飽和酸、例えば、ミリストレイン酸(C9〜C10において不飽和);C16不飽和酸、例えば、パルミトレン酸(C9〜C10において不飽和);C18不飽和酸、例えば、オレイン酸(C9〜10において不飽和);バクセン酸(C11〜C12において不飽和)、リノレイン酸(C9〜C10及びC12〜C13において不飽和)、α-リノレイン酸(C9〜C10、C12〜C13、C15〜C16において不飽和)、及びアラキドン酸;C20酸、例えば、ガドレイン酸(C9〜C10において不飽和)及び(4個の不飽和部位を有する)エイコサペンタエン酸;C22酸、例えば、エルカ酸(C14〜C15において不飽和)及び(6個の不飽和部位を有する)ドコサヘキサエン酸が含まれる。上記の組合せを用いてもよい。具体的な実施形態では、有用な脂肪族二酸は、2個のC18不飽和酸(例えば、オレイン酸、リノレイン酸、またはこれらの組合せ)の反応により得ることができるC36脂肪族二酸である。さらに具体的な実施形態では、C44脂肪族二酸は、エルカ酸の二量化により調製することができる。
2個の不飽和脂肪酸の反応は、異なる不飽和脂肪酸の不飽和部位間での炭素-炭素結合形成反応によって達成することができ、単結合、複数の単結合(少なくとも二不飽和脂肪族モノマーが用いられる場合)、架橋炭素環を形成するための環化二量体化、またはこのような他の不飽和脂肪間の炭素-炭素結合の形成をもたらすことができる。このような反応によって生成物及び異性体の混合物が調製され、かつこのような生成物及び異性体の組合せのすべてが本明細書において想定されることは理解されよう。不飽和二酸間反応は、ラジカル開始反応、金属触媒反応、光開始反応、酸触媒反応、または任意の適切な方法によって達成することができる。ある実施形態では、C14〜44脂肪族二酸を形成するための不飽和脂肪酸の反応は、モンモリロナイト(montmorillonite)などの触媒特性を有する粘土を含む無機触媒の使用によって達成することができる。脂肪族二酸はまた、2つの短鎖不飽和脂肪酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸など)と、1つまたは複数の、酸性基を有しない不飽和化合物との縮合により得ることもできる。C14〜44脂肪族二酸基が植物由来の生物学的原料(例えば、植物油)に由来することが望ましいが、石油派生物、石炭抽出物、動物源、木材などの他の植物原料などの、他の市販の原材料より調製することも可能であり、植物または穀物源に限定される必要はない。天然源に由来する二量体脂肪酸はUniqema社、Cognis社、及びOleon社を含む化学物質供給業者より入手可能である。
イソソルビド系ポリカーボネート中に存在する各種類のカーボネート単位及び/またはエステル単位の相対量は、そのコポリマーの所望の特性に依存することになろう。一般に、イソソルビド系のポリカーボネートまたはポリエステル-ポリカーボネートは、式(2)のカーボネート単位または式(9a)のエステル単位を含むイソソルビド単位を、55〜97.5mol%、具体的には60〜95mol%、より具体的には65〜90mol%含むことになろう。一実施形態では、イソソルビドカーボネートまたはエステル単位は、式(2a)のイソソルビドに由来する。一実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネートまたはポリエステル-ポリカーボネートは、脂肪族単位を2.5〜15mol%、具体的には3〜13mol%、より具体的には5〜10mol%含むことになり、ここで、脂肪族単位は、式(12)の脂肪族ジオール及び/または式(11)の脂肪族二酸に由来する、カーボネート単位及び/またはエステル単位である。一実施形態では、脂肪族単位は、式(12a)のカーボネート単位、式(11a)のエステル単位、式(14)のエステル単位、またはこれらの組合せを包含する。イソソルビド系ポリカーボネートは、カーボネート及び/またはエステル単位であってもよく、イソソルビド系ポリカーボネート中のイソソルビド単位または脂肪族単位とは異なる、追加の単位を、0〜42.5mol%、具体的には2〜40mol%、より具体的には5〜30mol%をさらに含むことができる。一実施形態では、追加のカーボネート単位のそれぞれは、式(3)のジヒドロキシ芳香族化合物に由来する。例示的な実施形態では、追加のカーボネート単位はビスフェノールAに由来する。イソソルビド単位、脂肪族単位、及び追加の単位は、カーボネート、またはカーボネート単位及びエステル単位の組合せであり、イソソルビド単位、脂肪族単位、及び追加の単位の上記mol%値の和が100mol%であることは理解されよう。別の実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネートは、イソソルビド単位、脂肪族単位、及び追加の単位から本質的に成る。
ある実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネートは、式(2)のカーボネート単位及び式(12a)のカーボネート単位から本質的に成る。別の実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネートはさらに、式(1)のカーボネート単位から本質的に成り、ここで、式(1)のカーボネート単位は、式(2)及び(12a)のカーボネート単位とは異なる。別の実施形態では、イソソルビド系ポリエステル-ポリカーボネートは、式(2)のカーボネート単位と式(11a)のエステル単位とから本質的に成る。別の実施形態では、イソソルビド系ポリエステル-ポリカーボネートはさらに、式(1)のカーボネート単位から本質的に成り、ここで、式(1)のカーボネート単位は、式(2)のカーボネート単位とは異なる。さらに別の実施形態では、イソソルビド系ポリエステル-ポリカーボネートは、式(2)及び(12a)のカーボネート単位と、式(11a)及び(14)のエステル単位とから本質的に成る。別の実施形態では、イソソルビド系ポリエステル-ポリカーボネートは、式(1)のカーボネート単位から本質的に成り、ここで、式(1)のカーボネート単位は、式(2)及び(12a)のカーボネート単位とは異なる。具体的な実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネート及び/またはイソソルビド系ポリエステル-ポリカーボネートはさらに、式(4)及び/または(7)のジヒドロキシ芳香族化合物に由来するカーボネート単位からそれぞれ本質的に成る。例示的な実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネート及び/またはイソソルビド系ポリエステル/ポリカーボネートはそれぞれ、ビスフェノールA及び/またはレゾルシノールに由来するカーボネート単位から本質的に成る。
ある実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネート(コポリカーボネートまたはポリエステル-ポリカーボネート)中の生物学的派生物質の含有量は、イソソルビド系ポリカーボネートの全質量に対して、50質量パーセント(質量%)以上、具体的には55質量%以上、より具体的には60質量%以上、さらにより具体的には65質量%以上である。具体的な実施形態では、式(2a)のイソソルビドに由来する単位の含有量は、イソソルビド系ポリカーボネート中の生物学的派生物質の全質量に対して、65〜95質量%、具体的には70〜90質量%、より具体的には75〜90質量%、さらにより具体的には78〜86質量%である。別の具体的な実施形態では、式(11)の脂肪族二酸及び/または式(12)の脂肪族ジオールに由来する脂肪族単位の含有量は、イソソルビド系ポリカーボネート中の生物学的派生物質の全質量に対して、5〜35質量%、具体的には10〜30質量%、より具体的には15〜25質量%、さらにより具体的には14〜22質量%である。ある実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネートの生物含量(biocontent)は、式(2a)のイソソルビドに由来する単位、及び式(11)の脂肪族二酸に由来する単位及び/または式(12)の脂肪族ジオールに由来する単位を包含する。具体的な実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネートの生物含量は、式(2a)のイソソルビドに由来する単位、及び式(11)の脂肪族二酸に由来する単位及び/または式(12)の脂肪族ジオールに由来する単位から本質的に成る。
一実施形態では、生物供給源からのモノマーの含量は、イソソルビドポリカーボネートポリマー中の全モノマーの60mol%超を包含する。別の実施形態では、70mol%超を包含する。さらに別の実施形態では、80mol%超を包含する。さらに別の実施形態では、90mol%超を包含する。
本明細書に開示するイソソルビド系ポリカーボネートを含む、ポリカーボネートの分子量は、ポリスチレン(PS)標準に基づいてユニバーサル較正法(universal calibration method)を用いてゲル透過クロマトグラフィーで測定することができる。一般に、ポリカーボネートは、PS標準に基づいて、約5,000g/mol超の重量平均分子量(Mw)を有することができる。ある実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネートは、PS標準に基づいて、約39,000g/mol以上のMwを有することができる。具体的な実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネート(イソソルビド系ポリエステル-ポリカーボネートを含む)は、PS標準に基づいて、39,000〜100,000g/mol、具体的には40,000〜90,000g/mol、より具体的には40,000〜80,000g/mol、さらにより具体的には40,000〜70,000g/molのMwを有する。別の実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネートは、ポリカーボネート(PC)標準に基づいて、20,000〜70,000g/mol、具体的には21,000〜65,000g/mol、より具体的には22,000〜60,000g/mol、さらにより具体的には25,000〜60,000g/molのMwを有している。
ある実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネートは、PS標準に基づいて、15,000〜65,000g/mol、具体的には16,000〜60,000g/mol、より具体的には17,000〜55,000g/mol、さらにより具体的には18,000〜50,000g/molの数平均分子量(Mn)を有している。イソソルビド系ポリカーボネートの多分散度(Mw/Mn)は、3以下、具体的には2.5以下、より具体的には2.3以下である。具体的な実施形態では、多分散度は2.0〜2.3である。
本明細書に記載するような分子量(Mw及びMn)ならびにそれらから計算されるような多分散度は、架橋スチレン-ジビニルベンゼンカラム、及び規定のPSまたはPC標準を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定される。GPC試料は、塩化メチレンまたはクロロホルムなどの溶媒中で約1mg/mlの濃度に調製し、流速約0.2〜1.0ml/分で溶出させた。
イソソルビド系ポリカーボネートのガラス転移温度(Tg)は、135℃以下とすることができる。ある実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネートのガラス転移温度は、85〜130℃であり、具体的には90〜130℃、より具体的には90〜125℃、さらにより具体的には90〜120℃である。
本明細書に開示するイソソルビド系ポリカーボネートを含む、ポリカーボネートは、ASTM D1238-04に従って5kgの荷重下で250℃で測定した場合、0.5〜80、より具体的には2〜40cm3/10分の溶融体積比(MVR)を有することができる。
イソソルビド系ポリカーボネートは、さらに、実質的に透明になるように製造することができる。この場合、イソソルビド系ポリカーボネートは、ASTM D1003-00に従って3.2mmのプラークを用いて測定した場合に、55%以上、具体的には60%以上、より具体的には70%以上、さらにより具体的には80%以上、さらにより具体的には90%の透明度を有することができる。その代替またはそれに加えて、イソソルビド系ポリカーボネートは、ASTM D1003-00に従って厚さ3.2mmのプラークを用いて測定した場合に、15%以下、具体的には10%以下、より具体的には5%以下のヘイズを有することができる。具体的な実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネートは、ASTM D1003-00に従って厚さ3.2mmのプラークを用いて測定した場合に、約5%未満、より具体的には4%以下、さらに具体的には3%以下のヘイズを有する、イソソルビド系ポリカーボネートのホモポリマーまたはコポリマーである。
それに加えて、熱可塑性組成物の色彩機能及び安定性は、押出ペレットを用いた分光光度法により測定することができ、CIE(Commission Internationale de l'Eclairage:国際照明委員会)に規定されるCIELAB色彩測定法に基づいて分類することができる。試験物質の色空間を表すのに用いるE、L、a、及びbの値は、式(1):
Figure 0005270682
によって関連している。
前記式中、Lは、明(L=100)及び暗(L=0)間の差を表す。aの値は、緑色(-a)及び赤色(+a)の違いを表し、bは、黄色(+b)及び青色(-b)の違いを表す。各パラメータの値は、色の違いの大きさを表す。色彩機能の正味偏差は総合偏差値Eによって示され、この値は三次元における2点間のユークリッド距離である。従って、点a及びb間の色差、ならびに標準色からの正味偏差は、総合偏差値ΔEabによって求められる。
ある実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネートは、押出ペレットを用いて測定した場合、押出及び/または成形後に測定すると、Lが70以上、具体的には75以上、より具体的には80以上、さらにより具体的には81以上の初期色(initial color)を有する。別の実施形態では、押出及び/または成形後に測定したとき、aの値は-0.5〜10であり、具体的には0〜8である。別の実施形態では、押出及び/または成形後に測定したとき、bの値は10〜30、具体的には12〜29、より具体的には14〜28、さらにより具体的には15〜28である。
幾つかの実施形態では、ポリカーボネートはまた、式(1)のカーボネート単位と、式(15):
Figure 0005270682
のジオルガノシロキサン単位ブロックを含有するシロキサン含有ジヒドロキシ化合物(本明細書では、「ヒドロキシアリール末端封止ポリシロキサン」とも称する)から誘導されるポリシロキサンブロックとを含むポリシロキサン-ポリカーボネートも包含することができ、式中、出現する各Rは、同じまたは異なっており、C1〜13の1価有機基である。例えば、Rは、C1〜C13アルキル基、C1〜C13アルコキシ基、C2〜C13アルケニル基、C2〜C13アルケニルオキシ基、C3〜C6シクロアルキル基、C3〜C6シクロアルコキシ基、C6〜C14アリール基、C6〜C10アリールオキシ基、C7〜C13アラルキル基、C7〜C13アラルコキシ基、C7〜C13アルキルアリール基、またはC7〜C13アルキルアリールオキシ基でもよい。前記の基は、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、またはそれらの組合せで完全にまたは部分的にハロゲン化することができる。透明なイソソルビド系ポリカーボネートが望ましいある実施形態では、Rはハロゲンを含有しない。前記R基の組合せは、同一のイソソルビド系ポリカーボネートにおいて使用することができる。
式(15)におけるEの値は、イソソルビド系ポリカーボネートの異なる単位それぞれの種類及び相対量、イソソルビド系ポリカーボネートの所望の特性、ならびに類似の検討要因に応じて大きく変動することができる。一般に、Eは、約2〜約1,000、具体的には約2〜約500、より具体的には約2〜約100の平均値を有することができる。ある実施形態では、Eは、約4〜約90、具体的には約5〜約80、より具体的には約10〜約70の平均値を有する。Eの値が小さく、例えば約40未満である場合、ポリシロキサンを含有する単位を比較的多量に増やして使用することが、望ましくなり得る。逆にEの値が大きく、例えば約40超である場合、ポリシロキサンを含有する単位を比較的少量に減らして使用することが、望ましくなり得る。
一実施形態では、ポリシロキサン単位は、式(16):
Figure 0005270682
の反復構造単位により与えられ、式中、Eは、上記に定義したとおりであり;各Rは、同じまたは異なり、上記に定義したとおりであり;各Arは、同じまたは異なり、置換または非置換のC6〜C30アリーレン基であり、ここでその結合は芳香族部分に直接連結している。式(16)のAr基は、C6〜C30ジヒドロキシ芳香族化合物、例えば以下に詳述する式(4)または(8)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導することができる。前記ジヒドロキシ芳香族化合物の少なくとも1種を含む組合せもまた使用することができる。例示的なジヒドロキシ芳香族化合物は、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、l,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-1-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニルスルフィド)、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、及び1,1-ビス(4-ヒドロキシ-t-ブチルフェニル)プロパン、または前記ジヒドロキシ化合物の少なくとも1種を含む組合せである。
このような単位を含むポリカーボネートは、式(16a):
Figure 0005270682
の対応するジヒドロキシ化合物から誘導することができ、式中、Ar及びEは上記のとおりである。式(12a)の化合物は、ジヒドロキシ芳香族化合物と、例えばα,ω-ビスアセトキシ-ポリジオルガノシロキサンオリゴマーとの相間移動条件下での反応により得ることができる。式(12a)の化合物は、ジヒドロキシ芳香族化合物と、例えばα,ω-ビスクロロ-ポリジメチルシロキサンオリゴマーとの、酸スカベンジャーの存在下における縮合生成物から得ることもできる。
別の実施形態では、ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(17):
Figure 0005270682
の単位を含み、式中、R及びEは、上記のとおりであり、各R6は、独立に2価のC1〜C30有機基であり、オリゴマー化されたポリシロキサン単位は、対応するジヒドロキシ化合物の反応残基である。式(17)に対応するポリシロキサンブロックは、式(17a):
Figure 0005270682
の対応するジヒドロキシ化合物から誘導され、式中、R及びE及びR6は、式(17)について記載したとおりである。
特定の実施形態では、ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(18):
Figure 0005270682
の反復構造単位により与えられ、式中、R及びEは、上記に定義したとおりである。式(18)のR7は、2価のC2〜C8脂肪族基である。式(18)の各Mは、同じまたは異なってもよく、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C8アルキルチオ、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、C2〜C8アルケニル、C2〜C8アルケニルオキシ基、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8シクロアルコキシ、C6〜C10アリール、C6〜C10アリールオキシ、C7〜C12アラルキル、C7〜C12アラルコキシ、C7〜C12アルキルアリール、またはC7〜C12アルキルアリールオキシであり、各nは、独立に0、1、2、3または4である。
一実施形態では、Mは、ブロモもしくはクロロ、メチル、エチルもしくはプロピルなどのアルキル基、メトキシ、エトキシもしくはプロポキシなどのアルコキシ基、またはフェニル、クロロフェニルもしくはトリルなどのアリール基であり;R7は、ジメチレン、トリメチレンまたはテトラメチレン基であり;Rは、C1〜8アルキル、トリフルオロプロピルなどのハロアルキル、シアノアルキル、またはフェニル、クロロフェニルもしくはトリルなどのアリールである。別の実施形態では、Rは、メチル、またはメチル及びトリフルオロプロピルの組合せ、またはメチル及びフェニルの組合せである。さらに別の実施形態では、Mはメトキシであり、nは1であり、R7は2価のC1〜C3脂肪族基であり、Rはメチルである。
式(18)の単位を含むポリシロキサン-ポリカーボネートは、対応するジヒドロキシポリジオルガノシロキサン(18a):
Figure 0005270682
から誘導することができ、式中、R、E、M、R7、及びnは、上記のとおりである。このようなジヒドロキシポリシロキサンは、式(19):
Figure 0005270682
の水素化シロキサン(式中、R及びEは、すでに定義したとおりである)と、脂肪族不飽和一価フェノールとの間で、白金触媒付加をもたらすことにより調製することができる。例示的な脂肪族性不飽和一価フェノールには、例えば、オイゲノール、2-アリルフェノール、4-アリル-2-メチルフェノール、4-アリル-2-フェニルフェノール、4-アリル-2-ブロモフェノール、4-アリル-2-t-ブトキシフェノール、4-フェニル-2-フェニルフェノール、2-メチル-4-プロピルフェノール、2-アリル-4,6-ジメチルフェノール、2-アリル-4-ブロモ-6-メチルフェノール、2-アリル-6-メトキシ-4-メチルフェノール、4-アリルフェノール、及び2-アリル-4,6-ジメチルフェノールが含まれる。前記の化合物の少なくとも1種を含む組合せもまた、使用することができる。
ある実施形態では、ポリシロキサン-ポリカーボネートは、対応するジヒドロキシポリシロキサン化合物から誘導され、ポリシロキサンブロック及びカーボネート単位の全質量に対して、0.15〜30質量%、具体的には0.5〜25質量%、より具体的には1〜20質量%の量で存在する、ポリシロキサンブロックを含むことができる。特定の実施形態では、ポリシロキサンブロックは、ポリシロキサンブロック及びカーボネート単位の全質量に対して、1〜10質量%、具体的には2〜9質量%、より具体的には3〜8質量%の量で存在する。
ポリシロキサン-ポリカーボネートはさらに、式(4)のジヒドロキシ芳香族化合物に由来する式(1)のカーボネート単位を含む。例示的なある実施形態では、ジヒドロキシ芳香族化合物はビスフェノールAである。ある実施形態では、ポリシロキサン-ポリカーボネートを含むカーボネート単位は、ポリシロキサンブロック及びカーボネート単位の全質量に対して、70〜99.85質量%、具体的には75〜99.5質量%、より具体的には80〜99質量%の量で存在する。特定の実施形態では、カーボネート単位は、ポリシロキサンブロック及びカーボネート単位の全質量に対して、90〜99質量%、具体的には91〜98質量%、より具体的には92〜97質量%の量で存在する。
本明細書に開示されるイソソルビド系ポリカーボネート以外のポリカーボネートは、典型的には界面相間移動プロセス法または溶融重合法を用いて製造することができる。界面重合の反応条件は変化し得るが、例示的なプロセスでは、一般に、苛性ナトリウムまたはカリウム水溶液中に2価フェノール反応剤を溶解または分散させる工程と、その生成混合物を例えば塩化メチレンなどの水不混和溶媒に添加する工程と、例えばトリエチルアミンなどの触媒または相間移動触媒塩の存在下、制御されたpH条件、例えば約8〜約10の下で、反応剤をカーボネート前駆体(例えば、ホスゲンなど)と接触させる工程とを伴う。
しかし、本明細書で開示されるように、イソソルビド系ポリカーボネートまたはポリエステル-ポリカーボネートは、溶融重合プロセスにより調製するのが望ましい。一般に、溶融重合プロセスでは、ポリカーボネートは、(複数の)ジヒドロキシ反応剤(すなわち、イソソルビド、脂肪族ジオール及び/または脂肪族二酸、ならびにあらゆる追加のジヒドロキシ化合物)と、ジアリールカーボネートエステル(例えば、ジフェニルカーボネートなど)、或いはより具体的なある実施形態では、活性化カーボネート(例えば、ビス(メチルサリチル)カーボネートなど)とを、エステル交換触媒の存在下で溶融状態で共反応させることにより調製される。この反応は、1つまたは複数の完全混合型(continuously stirred)反応器(CSTR)、管型(plug flow)反応器、ワイヤー接触流下(wire wetting fall)重合器、自然流下(free fall)重合器、ワイパー混合式薄膜(wiped film)重合器、BANBURY(登録商標)ミキサー、単軸もしくは二軸押出機、または前出機器の組合せなどの典型的な重合装置中で実施してもよい。揮発性1価フェノールは、蒸留により溶融反応剤から除去され、ポリマーは溶融残渣として単離される。ポリカーボネートを調製するとりわけ有用な溶融プロセスでは、アリール上に電子吸引性置換基を有するジアリールカーボネートエステルを使用する。電子吸引性置換基を有する特に有用なジアリールカーボネートエステルの例としては、ビス(4-ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2-クロロフェニル)カーボネート、ビス(4-クロロフェニル)カーボネート、ビス(メチルサリチル)カーボネート、ビス(4-メチルカルボキシフェニル)カーボネート、ビス(2-アセチルフェニル)カルボキシレート、ビス(4-アセチルフェニル)カルボキシレート、または前記の少なくとも1種を含む組合せが含まれる。
この溶融重合には、本明細書ではα触媒とも称し、金属陽イオン及び陰イオンを含む、第1の触媒を含むエステル交換触媒が含まれる。ある実施形態では、前記陽イオンは、Li、Na、K、Cs、Rb、Mg、Ca、Ba、Sr、またはこれらの少なくとも1種を含み組合せを含む、アルカリまたはアルカリ土類金属である。前記陰イオンは、水酸化物(OH-)、スーパーオキシド(O2-)、チオレート(HS-)、スルフィド(S2-)、C1〜20アルコキシド、C6〜20アリールオキシド、C1〜20カルボキシレート、重リン酸塩を含むリン酸塩、C1〜20ホスホン酸塩、重硫酸塩を含む硫酸塩、重亜硫酸塩及びメタ重亜硫酸塩を含む亜硫酸塩、C1〜20スルホン酸塩、重炭酸塩を含む炭酸塩、またはこれらの少なくとも1種を含む組合せである。アルカリ土類金属イオン及びアルカリ金属イオンの両方を含む有機酸の塩もまた使用することができる。触媒として有用な有機酸の塩は、ギ酸、酢酸、ステアリン酸、及びエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩により例示される。触媒は、不揮発性の無機酸の塩も含むことができる。ここで「不揮発性」とは、言及している化合物が、周囲の温度及び圧力で許容し得る蒸気圧を有していないことを意味する。特に、こうした化合物は、ポリカーボネートの溶融重合が通常行われる温度で揮発性でない。不揮発酸の塩は、亜リン酸のアルカリ金属塩;亜リン酸のアルカリ土類金属塩;リン酸のアルカリ金属塩;及びリン酸のアルカリ土類金属塩である。例示的なエステル交換触媒として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、ギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、NaH2PO3、NaH2PO4、Na2H2PO3、KH2PO4、CsH2PO4、Cs2H2PO4、Na2SO3、Na2S2O5、メシル酸ナトリウム、メシル酸カリウム、トシル酸ナトリウム、トシル酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸マグネシウム二ナトリウム(EDTAマグネシウム二ナトリウム塩)、またはこれらの少なくとも1種を含む組合せが含まれる。前記リストは例示的なものであり、それに限定されると見なすべきでないことは理解されよう。ある実施形態では、エステル交換触媒は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩から本質的に成るα触媒である。ある例示的な実施形態では、エステル交換触媒は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、NaH2PO4、またはこれらの少なくとも1種を含む組合せから本質的に成る。
α触媒の量は、溶融重合の条件に従って大きく変動することができ、約0.001〜約500μmolであってよい。ある実施形態では、α触媒の量は、溶融重合中に存在する脂肪族ジオール及び他の任意のジヒドロキシ化合物の1molあたり、約0.01〜約20μmol、具体的には約0.1〜約10μmol、より具体的には約0.5〜約9μmol、さらにより具体的には約1〜約7μmolになり得る。
さらに、本明細書においてβ触媒とも称する、第2のエステル交換触媒を、溶融重合プロセス中に含んでもよいが、但し、このような第2のエステル交換触媒を含めることが、イソソルビド系ポリカーボネートの所望の特性に有意な悪影響を及ぼさないことが前提である。例示的なエステル交換触媒はさらに、上記した式(R3)4Q+Xの相間移動触媒の組合せを含み得るが、式中、各R3は、同じまたは異なり、C1〜10アルキル基であり;Qは、窒素またはリン原子であり;Xは、ハロゲン原子またはC1〜8アルコキシ基またはC6〜18アリールオキシ基である。例示的な相間移動触媒塩には、例えば、[CH3(CH2)3]4NX、[CH3(CH2)3]4PX、[CH3(CH2)5]4NX、[CH3(CH2)6]4NX、[CH3(CH2)4]4NX、CH3[CH3(CH2)3]3NX、及びCH3[CH3(CH2)2]3NXが含まれ、式中、Xは、Cl-、Br-、C1〜8アルコキシ基、またはC6〜18アリールオキシ基である。このようなエステル交換触媒の例には、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化メチルトリブチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルホスホニウム、酢酸テトラブチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウムフェノレート、またはこれらの少なくとも1種を含む組合せが含まれる。他の溶融エステル交換触媒には、アルカリ土類金属塩またはアルカリ金属塩が含まれる。幾つかの実施形態では、β触媒が所望の場合、β触媒は、α触媒に対して、10以下、具体的には5以下、より具体的には1以下、さらにより具体的には0.5以下のモル比で存在することができる。他の実施形態では、本明細書に開示する溶融重合では、上記したようなα触媒だけを使用し、いずれのβ触媒も実質的に含まない。本明細書で定義する場合、「実質的に含まない」とは、β触媒が溶融重合反応から排除されてしまった場合を意味することができる。特定の実施形態では、β触媒は、溶融重合反応に使用する全成分の全質量に対して、約10ppm未満、具体的には約1ppm未満、より具体的には約0.1ppm以下、より具体的には約0.01ppm以下、さらにより具体的には約0.001ppm以下の量で存在する。
活性化カーボネートを用いる溶融プロセスの使用は、特に好ましい。本明細書で使用する場合、用語「活性化カーボネート」は、エステル交換反応においてジフェニルカーボネートより反応性が高いジアリールカーボネートと定義される。ある実施形態では、活性化カーボネートは、式(20):
Figure 0005270682
を有し、式中、Arは、置換C6〜30芳香族基である。特定の実施形態では、活性化カーボネートは、式(21):
Figure 0005270682
を有し、式中、Q1及びQ2は、各々独立に、それぞれA1及びA2上に存在し、カーボネート連結基に対してオルト位にある活性化基であり;A1及びA2は、各々独立に、同じまたは異なってもよい芳香環であり;「d」及び「e」は、0から、それぞれ芳香環A1及びA2上に置換されている置換可能な水素原子の個数に等しい最大値までの値を有し、「d+e」の和は1以上であり;R1及びR2は、各々独立に、C1〜30脂肪族基、C3〜30脂環式基、C5〜30芳香族基、シアノ、ニトロ、またはハロゲンであり;「b」は、0から、芳香環A1上の置換可能な水素原子の個数に等しい最大値から引くことの「d」までの値を有し;「c」は、0から、芳香環A2上の置換可能な水素原子の個数に等しい最大値から引くことの「e」までの整数である。芳香環上のR1またはR2置換基の個数、種類、及び位置は、それらがカーボネートを不活性化し、ジフェニルカーボネートより反応性が低いカーボネートを生じない限り、制限されない。
適切な活性化基Q1及びQ2の非限定例には、下記に示す構造を有する(アルコキシカルボニル)アリール基、ハロゲン、ニトロ基、アミド基、スルホン基、スルホキシド基、またはイミン基:
Figure 0005270682
が含まれ、式中、Xは、ハロゲンまたはニトロ;M1及びM2は、独立にN-ジアルキル、N-アルキルアリール、脂肪族官能基、または芳香族官能基を含み;R3は、脂肪族官能基または芳香族官能基である。
活性化カーボネートの具体的非限定例には、ビス(o-メトキシカルボニルフェニル)カーボネート、ビス(o-クロロフェニル)カーボネート、ビス(o-ニトロフェニル)カーボネート、ビス(o-アセチルフェニル)カーボネート、ビス(o-フェニルケトンフェニル)カーボネート、ビス(o-ホルミルフェニル)カーボネートが含まれる。A1及びA2上の置換基の種類及び個数が異なる、これらの構造の非対称組合せもまた、カーボネート前駆体として使用することができる。ある実施形態では、活性化カーボネートは、式(22):
Figure 0005270682
を有するエステル置換ジアリールカーボネートであり、式中、R4は、独立に出現するごとにC1〜20脂肪族基、C4〜20脂環式基、またはC4〜20芳香族基であり、R5は、独立に出現するごとにハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1〜20脂肪族基、C4〜20脂環式基、またはC4〜20芳香族基であり、fは、独立に出現するごとに0〜4の値を有する整数である。一実施形態では、置換基-CO2R4の少なくとも1個は、式(22)のオルト位に結合している。
具体的なエステル置換ジアリールカーボネートの例として、ビス(メチルサリチル)カーボネート(CAS登録番号82091-12-1)〔別名BMSCまたはビス(o-メトキシカルボニルフェニル)カーボネート〕、ビス(エチルサリチル)カーボネート、ビス(プロピルサリチル)カーボネート、ビス(ブチルサリチル)カーボネート、ビス(ベンジルサリチル)カーボネート、ビス(メチル-4-クロロサリチル)カーボネートなどが含まれるが、それらに限定されない。一実施形態では、ビス(メチルサリチル)カーボネートが、より低い分子量及びより高い蒸気圧のために、溶融ポリカーボネート合成における活性化カーボネートとして使用される。
オルト位に存在するとき、活性化カーボネートを生じないと予想されそうな非活性化基の幾つかの非限定例は、アルキル基、シクロアルキル基、またはシアノ基である。非活性化カーボネートの幾つかの具体的な非限定例は、ビス(o-メチルフェニル)カーボネート、ビス(p-クミルフェニル)カーボネート、ビス(p-(1,1,3,3-テトラメチル)ブチルフェニル)カーボネート、及びビス(o-シアノフェニル)カーボネートである。このような構造の非対称組合せも、非活性化カーボネートとして使用することができる。
末端封止剤(連鎖停止剤とも称する)は、分子量の成長速度を制限し、ポリカーボネートの分子量を制御するために、使用することができる。例示的な連鎖停止剤には、ある種のモノフェノール化合物(すなわち、単一のフリーヒドロキシ基を有するフェニル化合物)、モノカルボン酸塩化物、及び/またはモノクロロホルメートが含まれる。フェノール系連鎖停止剤は、フェノールと、p-クミルフェノールなどのC1〜22アルキル置換フェノールと、レゾルシノールモノベンゾエートと、パラ及び三級ブチルフェノールとクレゾール、ならびにp-メトキシフェノールなどのジフェノールのモノエーテルにより例示される。8〜9個の炭素原子の分岐鎖アルキル置換基を有するアルキル置換フェノールについては、特に言及することができる。ある種のモノフェノールUV吸収剤、例えば、4-置換-2-ヒドロキシベンゾフェノン及びその誘導体、アリールサリチレート、レゾルシノールモノベンゾエートなどのジフェノールのモノエステル、2-(2-ヒドロキシアリール)ベンゾトリアゾール及びその誘導体、2-(2-ヒドロキシアリール)-1,3,5-トリアジン及びその誘導体なども、封止剤として使用することができる。
末端基は、モノマー比、不完全重合、鎖切断など、ならびに任意の追加の末端封止基の選択肢から、カルボニル源(すなわち、ジアリールカーボネート)に由来してもよく、ヒドロキシ基、カルボキシ基などの誘導化可能な官能基を含んでもよい。ある実施形態では、本明細書に定義されるイソソルビド系ポリカーボネートポリマーを含む、ポリカーボネートの末端基は、ジアリールカーボネートから誘導される構造単位であり、前記構造単位は末端基であってよい。さらなる実施形態では、その末端基は、活性化カーボネートから誘導される。このような末端基は、ヒドロキシ基が、活性化カーボネートのカーボネートカルボニルの代わりに、活性化カーボネートからのエステルカルボニルと反応するといった条件の下で、適切に置換された活性化カーボネートのアルキルエステルと、ポリカーボネートポリマー鎖の末端におけるヒドロキシ基とのエステル交換反応から誘導されてもよい。このような方法では、活性化カーボネートに由来するエステル含有化合物または部分構造から誘導され、かつ溶融重合反応中に存在する構造単位は、エステル末端基を形成することができる。ある実施形態では、サリチル酸エステルから誘導されるエステル末端基は、BMSCの残基または他の置換もしくは非置換のビス(アルキルサリチル)カーボネート(例えば、ビス(エチルサリチル)カーボネート、ビス(プロピルサリチル)カーボネート、ビス(フェニルサリチル)カーボネート、ビス(ベンジルサリチル)カーボネートなど)の残基であってよい。特定の実施形態では、BMSCが活性化カルボニル源として使用される場合、末端基は、BMSCから誘導され、かつその残基であって、式(22a):
Figure 0005270682
の構造を有する、サリチル酸エステルから誘導されるエステル末端基である。より具体的な実施形態では、その末端基は、式(22b):
Figure 0005270682
の構造を有する、イソソルビドサリチル酸エステル(-IS-Sal-OH)に由来するエステル末端基であり、イソソルビド系ポリカーボネート成長ポリマーの末端における最後から2番目のイソソルビド単位(エステルまたはカーボネート)のフリーヒドロキシ基は、式(22a)に示すようなエステル交換生成物(すなわち、エステル末端基)を形成する。エステル末端基の量は、溶融重合反応の条件によって大きく変動し得る。ある実施形態では、溶融重合においてα触媒及びβ触媒の組合せが使用される場合、活性化カーボネートから調製されるイソソルビド系ポリカーボネートポリマーは、ポリカーボネートの質量に対して、2,000ppm未満、具体的には1,500ppm未満、より具体的には1,000ppm未満の量の末端基を含んでいる。別の実施形態では、α触媒だけが溶融重合において用いられる場合、活性化カーボネートから調製されるイソソルビド系ポリカーボネートポリマーは、ポリカーボネートの質量に対して、500ppm以下、具体的には400ppm以下、より具体的には300ppm以下、さらにより具体的には200ppm以下の量の末端基を含んでいる。特定の実施形態では、末端基は式(22a)の末端基である。
活性化芳香族カーボネートを用いる重合反応用の反応剤は、固体形態または溶融形態のいずれかで反応器中に投入することができる。反応剤の反応器中への初期投入及び重合の反応性条件下におけるこれらの物質の後続混合は、窒素雰囲気などの不活性ガス雰囲気中で行い得る。1種または複数の反応剤の投入は、重合反応の後期にも行い得る。反応混合物の混合は、撹拌などの当技術分野で公知の任意の方法により実現される。反応性条件には、時間、温度、圧力、及び反応剤の重合に影響する他の要因が含まれる。典型的に、活性化芳香族カーボネートは、モノマー単位化合物(すなわち、イソソルビド、芳香族ジヒドロキシ化合物、及び脂肪族二酸またはジオール)の総モル数に対して、約0.8〜約1.3、より好ましくは0.9〜約1.1、及びその間のあらゆる部分範囲のモル比で添加される。特定の実施形態では、活性化芳香族カーボネートとモノマー単位化合物とのモル比は、1.013対1.29、具体的には1.015対1.028である。別の特定の実施形態では、活性化芳香族カーボネートはBMSCである。
活性化芳香族カーボネートを用いる溶融重合反応は、上記反応混合物に一連の温度-圧力-時間手順を施すことにより行われる。幾つかの実施形態では、これには、段階的に反応温度を徐々に上げる一方で、段階的に圧力を徐々に下げることを伴う。ある実施形態では、圧力は、反応開始時のおよそ大気圧から約1ミリバール(100Pa)以下に低下させ、または別の実施形態では、反応が完了に近づくにつれ、数段階で0.1ミリバール(10Pa)以下に低下させる。温度は、反応混合物のおよそ融点の温度から始めて段階的に変化させ、その後約320℃に増加させ得る。一実施形態では、反応混合物は、室温から約150℃に加熱される。重合反応は、約150℃〜約220℃の温度で開始し、次いで約220℃〜約250℃に増加させ、次いでさらに約250℃〜約320℃、及びその間のあらゆる部分範囲の温度に増加させる。全反応時間は、約30分〜約200分、及びその間のあらゆる部分範囲である。この手順によって、反応剤が反応して、所望の分子量、ガラス転移温度、及び物理的性質を有するポリカーボネートを与えることが、一般に保証されよう。反応が進行することにより、サリチル酸メチルなどのエステル置換アルコール副生物を生成すると共に、ポリカーボネート鎖が構築される。副生物の効率的除去は、圧力減少などの様々な技法により実現し得る。一般に、圧力は、反応開始時に比較的高く始まり、反応全体を通して次第に低下させ、温度は、反応全体を通して上昇させる。特定の製造装置にとって最も効率的な条件を見つけるには、実験が必要である。
反応の進行は、ゲル浸透クロマトグラフィーなどの当技術分野で公知の技法を用いて、反応混合物の溶融粘度または重量平均分子量を測定することによりモニターし得る。こうした性質は、個別の試料を採取することにより測定してもよく、またはオンラインで測定してもよい。所望の溶融粘度及び/または分子量に達した後、最終ポリカーボネート生成物は、固体または溶融形態で反応器から単離し得る。これまでの項で記載したように、脂肪族ホモポリカーボネート及び脂肪族-芳香族コポリカーボネートを作製する方法は、バッチまたは連続プロセスで行ってもよく、本明細書に開示するプロセスが、本質的に好ましくは無溶媒方式で実施されることは、当業者であれば理解されよう。選定する反応器は、理想的には自浄性があり、何らかの「ホットスポット(hot spot)」を最小限に抑えるべきである。しかしながら、市販品と類似したベント式押出機を使用してもよい。
一実施形態では、脂肪族ホモポリカーボネート及び脂肪族-芳香族コポリカーボネートは、1種または複数の触媒が存在している押出機中で調製することもでき、その場合のカーボネート化剤は、活性化芳香族カーボネートである。重合反応用の反応剤は、粉末または溶融形態で押出機に供給することができる。一実施形態では、反応剤は、押出機に添加する前にドライブレンドされる。押出機は、減圧装置(例えば、ベント)を備えてもよく、その装置は、活性化フェノール副生成物を除去し、それ故に、重合反応を完了に向けて推進するように働く。ポリカーボネート生成物の分子量は、数ある要因の中でも、反応剤の供給速度、押出機の種類、押出機のスクリュー設計及び構成、押出機中の滞留時間、反応温度、ならびに押出機上に存在する減圧技法の制御によって、操作し得る。ポリカーボネート生成物の分子量は、活性化芳香族カーボネート、脂肪族ジオール、ジヒドロキシ芳香族化合物などの反応剤の構造、及び使用する触媒にも左右され得る。単一スクリュー、二重スクリュー、ベント、後部フライト、及び前部フライトゾーン、シール、サイドストリームならびにサイズを使用する、異なるスクリュー設計及び押出機構成の多くのものが市販されている。当業者は、市販押出機設計の一般的に知られている主要品を用いて、最良設計を見出すために実験しなければならないこともある。活性化カーボネートを用いるときにMwを制御する最も重要な変数は、ジアリールカーボネート/ジオール、具体的にはBMSC/ジオールの比である。比率がより低いほど、より高い分子量が得られる。表の結果より、得られる最大分子量は、結果とsちえ生じるより高い温度に起因する分解によって抑制することができる。
イソソルビドのイソソルビド系ポリカーボネートは、C14〜44二酸及び/またはC14〜44ジオールに基づくエステル及び/またはカーボネート単位を含み、ここで前記ポリカーボネートはイソソルビド-二酸エステル基及び/またはイソソルビド系カーボネート基を含み、カーボネート源としてBMSCまたはDPCを用いる溶融ルートにより調製され、250℃を超える高温に曝されると、変色する恐れがある。ポリカーボネート中の残存触媒は、この変色の潜在的な一因となり得る。着色体形成の加速におけるポリカーボネート中の残存触媒の作用を阻止するために、計算量のリン酸またはn-ブチルトシレートで、残存する触媒を失活させることもできる。失活したポリカーボネートは、250℃を超える高温に加熱した際に、変色に対する耐性を高める。失活剤の種類、添加方式、及び触媒投入量に対する各失活剤の投入量は、最適な結果を実現するために当業者によって決定される。
低い分子量を有する反応の分解副生成物は、通常、反応及び/または押出中の揮発分除去(devolatilization)によって除かれ、これによってこのような揮発性化合物の量が低減される。通常除去される揮発性物質として、未反応の出発ジオール物質、カーボネート前駆体物質が含まれるが、より具体的には、溶融重合反応の分解生成物である。具体的には、揮発分除去によって除去されるカーボネート前駆体の分解生成物として、反応後(post reaction)に残存する芳香族化合物が含まれ、例えば、例示的な実施形態では、非活性化カーボネート前駆体が使用される、ジフェニルカーボネート(DPC)の反応副生成物に由来するフェノール、及び活性化カーボネート前駆体が使用される、ビス-メチルサリチルカーボネート(BMSC)の反応副生成物に由来するサリチル酸メチル(「MS」と略す)である。ある実施形態では、揮発分除去後のイソソルビド系ポリカーボネート中に残存するカーボネート前駆体分解物質の量は、イソソルビド系ポリカーボネートの全質量に対して、700ppm以下、具体的には650ppm未満、より具体的には625ppm以下、さらにより具体的には600ppm以下である。ある実施形態では、液揮発分除去後の、製造規模方法によって製造されたイソソルビド系ポリカーボネート中に残存するカーボネート前駆体分解物質の量は、イソソルビド系ポリカーボネートの全質量に対して、2,000ppm以下、具体的には1,800ppm以下である。特定の実施形態では、カーボネート前駆体分解物質はMSである。
50質量パーセント(質量%)〜100質量%のイソソルビドを含有する(すなわち、高い生物含量を有する)イソソルビドのポリマーは、イソソルビドカーボネート単位の均一ブロックに伴う高いTgに起因し、イソソルビドホモポリマーが165〜170℃の範囲内にTgを有すると予想されることから、加工するのが困難となり得る。したがって、イソソルビドを有する組成物は、BPAに由来する類似の組成物と比較して幾分高いTgを有することが予想される。このようなイソソルビドカーボネート単位は280℃以上の高い加工温度を必要とされ得、その結果、イソソルビドカーボネート単位の分解へと進み、それ故にポリカーボネート全体が分解される。それに加えて、イソソルビドホモポリマー、または高いイソソルビドカーボネート単位含量(約20イソソルビド単位超のイソソルビドブロック長に変換される)を有し、界面重合法によって調製されたイソソルビド系ポリカーボネートは結晶化され、例えば、ビスフェノールAホモポリカーボネートなどの、イソソルビドコポリマーまたはイソソルビドを含まないポリカーボネートのいずれかよりも加工するのを困難にする。50質量%未満のイソソルビドを含むポリマーは公知であるが、本質的に減少した生物含量もまた有する。
13個未満の炭素原子を有する市販のアルキレン化合物は、エステル単位としてイソソルビド系ポリカーボネート中に含まれてきたが、このような直鎖セグメントを含むことは、直鎖セグメント中に結晶ブロックを形成することによる相分離を含む、望まないポリマー特性をもたらし得る。さらには、高い炭素含量を有する(すなわち、約100個超の炭素原子を有する)アルキレン鎖を含むことは、例え分岐していても、高炭素含量脂肪族ブロックとイソソルビド含有ブロックとの間における混和性の違いより相分離をもたらし得る。それに加えて、このような市販されている13個未満の炭素を有する直鎖アルキレン化合物を含むことにより、得られるポリカーボネートの総ガラス転移温度を低減することができるが、そのようなポリマーを実用的に価値のあるものにするにはそのポリカーボネートの分子量は未だ不適当である。
驚くべきことに、13個超の炭素原子を有する脂肪族単位を含むことは、ポリスチレン標準を用いたGPCによる測定により、39,000g/mol超の所望の高分子量を与え、かつ生物由来物質(イソソルビド及びC14〜44脂肪族化合物)が50質量%以上である高い生物含量を持ちながらも、イソソルビド系ポリカーボネートのガラス転移温度を135℃未満に十分に低くすることを可能にする。具体的には、分岐したC14〜44脂肪族単位を包含すること、とりわけ、対応する二酸またはジオールに由来する、分岐したC36またはC44脂肪族単位を包含することは、鎖中の分岐によってポリカーボネート内において結晶性ドメインを形成する傾向を最小限にするか、またあらゆる観察可能な相分離を最小限にするか、または起きないことを見出した。非分岐の脂肪族化合物は十分に短いアルキレン鎖(すなわち、炭素数13〜約18)を有し、これによってアルキレン鎖が結晶化しないという前提で、分岐及び非分岐脂肪族化合物両方を使用することができることも見出した。したがって、イソソルビド系カーボネート単位及び分岐したC14〜44脂肪族単位から調製されるポリカーボネートは、高いプロセス温度における有用な安定性を可能にし、その後の分解及び色形成に対して強い。
さらには、α触媒を本質的に含む触媒系を用いた溶融エステル交換によるポリカーボネートの調製は、ポリスチレン標準に対して39,000g/mol超の分子量のイソソルビドホモ-及びコポリカーボネートの合成を可能にすることを見出した。この触媒系は、活性化カーボネート(例えば、BMSC)を用いる溶融重合プロセスへの適用に特に有用である。
上記のイソソルビド系ポリカーボネートに加え、イソソルビド系ポリカーボネートと、式(1)のイソソルビド系カーボネート単位を含まない別の熱可塑性ポリマーとの組合せを含む熱可塑性組成物は、例えば、ホモポリカーボネートを含む他のポリカーボネート、及びカーボネート単位中に異なるR1部分を含む他のポリカーボネートコポリマー(すなわち、コポリカーボネート)、ポリシロキサン-ポリカーボネート、ポリエステル-カーボネート(ポリエステル-ポリカーボネートとも称する)、ポリエステル、衝撃改質剤、または上記追加のポリマーの少なくとも1種を含む組合せを用いて調製することができる。これらの組合せは、イソソルビド系ポリカーボネートを1〜99質量%、具体的には10〜90質量%、より具体的には20〜80質量%含むことができ、組成物の残りは、上記追加のポリマーのうちの他のもの、及び/または以下に記載するような添加剤である。ある実施形態では、熱可塑性組成物は、イソソルビド系ポリカーボネート、追加のポリマー、及び/または添加剤を含む。別の特定の実施形態では、イソソルビド系ポリカーボネートを含む熱可塑性組成物は、イソソルビド系ポリカーボネート、任意の追加のポリマーの全質量に対して、50質量%以上、具体的には55質量%以上、より具体的には60質量%以上、さらにより具体的には65質量%以上の総生物含量を有する。
例えば、熱可塑性組成物は、追加のポリマーとして(複数の)衝撃改質剤をさらに含むことができる。適当な衝撃改質剤は、典型的には、共役ジエンだけでなく、オレフィン、モノビニル芳香族モノマー、アクリル酸、及びメタクリル酸、ならびにそれらのエステル誘導体からも誘導される、高分子量エラストマー材料である。共役ジエンから形成されるポリマーは、完全にまたは部分的に水素化することができる。エラストマー材料は、ホモポリマー、またはランダム、ブロック、ラジアルブロック、グラフト、及びコアシェルコポリマーを含むコポリマーの形態を取ることができる。衝撃改質剤の組合せも、使用することができる。
衝撃改質剤の特定な種類は、(i)Tgが約10℃未満、より具体的には約-10℃未満、またはより具体的には約-40℃〜-80℃のエラストマー(すなわち、ゴム状の)ポリマー基材と、(ii)エラストマーポリマー基材にグラフトされた硬質ポリマー上位材(superstrate)とを含む、エラストマー改質グラフトコポリマーである。エラストマー相としての使用に適した材料には、例えば、共役ジエンゴム、例えばポリブタジエン及びポリイソプレン;共役ジエンと、共重合性モノマー、例えば、スチレン、アクリロニトリル、n-ブチルアクリレートまたはエチルアクリレートなどのモノビニル化合物の約50wt%未満とのコポリマー;エチレンプロピレンコポリマー(EPR)またはエチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM)などのオレフィンゴム;エチレン-酢酸ビニルゴム;シリコンゴム;エラストマー性C1〜8アルキル(メタ)アクリレート;C1〜8アルキル(メタ)アクリレートのブタジエン及び/またはスチレンとのエラストマー性コポリマー;あるいは上記エラストマーの少なくとも1種を含む組合せが含まれる。硬質相としての使用に適した材料には、例えば、スチレン及びα-メチルスチレンなどのモノビニル芳香族モノマー、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、ならびにアクリル酸及びメタクリル酸のC1〜6エステル、特にメチルメタクリレートが挙げられる。
具体的な例示的エラストマー改質グラフトコポリマーには、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレン(AES)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)、及びスチレン-アクリロニトリル(SAN)が含まれる。使用する場合、衝撃改質剤は、組成物中の、イソソルビド系ポリカーボネート、及び衝撃改質剤を含む任意の追加のポリマーの総質量対して、一般に、1〜30質量%の量で存在する。ある実施形態では、熱可塑性組成物は、イソソルビド系ポリカーボネート及び衝撃改質剤を含む。特定の実施形態では、衝撃改質剤はMBSである。
イソソルビド系ポリカーボネートに加え、上記熱可塑性組成物は、この種の樹脂組成物中に一般に組み入れられる様々な添加剤を含むことができるが、但し、添加剤は、熱可塑性組成物の所望の特性に有意な悪影響を及ぼさないように選択されることを前提とする。添加剤の組合せもまた使用することができる。このような添加剤は、組成物を形成するための成分の混合中に、適切な時期に混合することができる。
考え得る充填剤または強化剤には、例えば、ケイ酸アルミニウム(ムライト)、合成ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、溶融シリカ、結晶性シリカ黒鉛、天然ケイ砂などのケイ酸塩及びシリカ粉末;窒化ホウ素粉末、ケイ酸ホウ素粉末などのホウ素粉末;TiO2、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物;硫酸カルシウム(無水物、二水和物、または三水和物として);チョーク、石灰石、大理石、沈降炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム;繊維状、モジュラー、針状、層状タルクなどを含むタルク;珪灰石;表面処理珪灰石;中空及び中実ガラス球などのガラス球、ケイ酸塩球、セノスフェア、アルミノケイ酸塩〔アーモスフェア(armosphere)〕など;硬質カオリン、軟質カオリン、焼成カオリン、当技術分野で公知の各種被膜を含み、ポリマーマトリックス樹脂との適合性を促進させたカオリンなどを含むカオリン;炭化ケイ素、アルミナ、炭化ホウ素、鉄、ニッケル、銅などの単結晶繊維または「ウィスカー」;石綿、炭素繊維、E、A、C、ECR、R、S、D、またはNEガラスなどのガラス繊維などの繊維(連続繊維及びチョップトファイバーを含む);硫化モリブデン、硫化亜鉛などの硫化物;チタン酸バリウム、バリウムフェライト、硫酸バリウム、重晶石などのバリウム化合物;粒子状または繊維状のアルミニウム、青銅、亜鉛、銅、及びニッケルなどの金属及び金属酸化物;ガラスフレーク、フレーク状炭化ケイ素、二ホウ化アルミニウム、アルミニウムフレーク、鋼鉄フレークなどのフレーク状充填剤;繊維状充填剤、例えば、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び硫酸カルシウム半水和物などの少なくとも1種を含むブレンドから誘導された繊維などの無機短繊維;木材の粉砕で得られる木粉、セルロース、綿、サイザル、ジュートなどの繊維製品、澱粉、コルク粉、リグニン、グラインドナッツ殻、コーン、籾殻などの天然の充填剤または強化剤;ポリテトラフルオロエチレンなどの有機充填剤;ポリ(エーテルケトン)、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリエステル、ポリエチレン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、ポリ(ビニルアルコール)などの繊維を形成できる有機ポリマーから形成される、強化性有機繊維充填剤、ならびに雲母、粘土、長石、煙塵、フィライト(fillite)、石英、石英岩、トリポリ石、珪藻土、カーボンブラックなどの追加の充填剤または強化剤、あるいは前記充填剤または強化剤の少なくとも1種を含む組合せが含まれる。
充填剤及び強化剤は、金属材料の層で被覆して導電性を促進し、またはシランで表面処理して、ポリマーマトリックス樹脂との接着性及び分散性を改良することができる。それに加え、充填強化剤は、モノフィラメントまたはマルチフィラメント繊維の形態で供給でき、個別に、または他種の繊維と組み合わせて、例えば、共織、または芯/鞘、並列、オレンジ型もしくはマトリックスフィブリル構成を介して、あるいは繊維製造業者に公知の他の方法により組み合わせて使用することができる。例示的な共織構造には、例えば、ガラス繊維-炭素繊維、炭素繊維-芳香族ポリイミド(アラミド)繊維、及び芳香族ポリイミドファイバーグラス繊維などが含まれる。繊維状充填剤は、例えば、ロービング、0〜90°生地などの繊維強化織物;連続ストランドマット、チョップトストランドマット、ティッシュペーパー、紙及びフェルトなどの繊維強化不織材;または組みひもなどの三次元強化剤の形態で供給することができる。充填剤は、含まれている場合、イソソルビド系ポリカーボネート及び任意の追加のポリマーが100質量部に対して、一般に、約1〜約20質量部の量で使用される。
例示的な酸化防止添加剤には、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどの有機亜リン酸エステル;アルキル化モノフェノールまたはポリフェノール;テトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタンなどの、ポリフェノールとジエンとのアルキル化反応生成物;パラクレゾールまたはジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物;アルキル化ヒドロキノン;ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル;アルキリデンビスフェノール;ベンジル化合物;β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸の1価または多価アルコールとのエステル;β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸の1価または多価アルコールとのエステル;ジステアリルチオプロピオネート、ジラウリルチオプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などの、チオアルキルまたはチオアリール化合物;β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸などのアミド、あるいは前記酸化防止剤の少なくとも1種を含む組合せが含まれる。酸化防止剤は、イソソルビド系ポリカーボネート及び任意の追加のポリマーが100質量部に対して、一般に、約0.01〜約0.1質量部の量で使用される。
例示的な熱安定添加剤には、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス-(2,6-ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス-(混合モノ及びジノニルフェニル)ホスファイトなどの有機亜リン酸エステル;ジメチルベンゼンホスホネートなどのホスホン酸エステル、トリメチルホスフェートなどのリン酸エステル、または前記熱安定剤の少なくとも1種を含む組合せが挙げられる。熱安定剤は、イソソルビド系ポリカーボネート、及び任意の追加のポリマーが100質量部に対して、一般に、約0.01〜約0.1質量部の量で使用される。
光安定剤及び/または紫外線(UV)吸収添加剤もまた使用することができる。例示的な光安定添加剤には、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール、及び2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノンなど、または前記光安定剤の少なくとも1種を含む組合せが含まれる。光安定剤は、イソソルビド系ポリカーボネート、及び任意の追加のポリマーが100質量部に対して、一般に、約0.01〜約5質量部の量で使用される。
例示的なUV吸収添加剤には、例えば、ヒドロキシベンゾフェノン;ヒドロキシベンゾトリアゾール;ヒドロキシベンゾトリアジン;シアノアクリレート;オキサニリド;ベンゾオキサジノン;2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(CYASORB(登録商標)5411);2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン(CYASORB(登録商標)531);2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(オクチルオキシ)フェノール(CYASORB(登録商標)1164);2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)(CYASORB(登録商標)UV-3638);1,3-ビス[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス[[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン(UVINUL(登録商標)3030);2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン);1,3-ビス[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス[[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン;粒径がすべて約100nm以下の酸化チタン、酸化セリウム、及び酸化亜鉛などのナノサイズ無機物質、または前記UV吸収剤の少なくとも1種を含む組合せが含まれる。UV吸収剤は、イソソルビド系ポリカーボネート、及び任意の追加のポリマーが100質量部に対して、一般に、約0.01〜約5質量部の量で使用される。
可塑剤、潤滑剤、及び/または離型剤もまた使用することができる。こうした種類の材料間には、相当程度の重複があり、そうした材料には、例えば、ジオクチル-4,5-エポキシヘキサヒドロフタレートなどのフタール酸エステル;トリス(オクトキシカルボニルエチル)イソシアヌレート;トリステアリン;レゾルシノールテトラフェニルジホスフェート(RDP)、ヒドロキノンのビス(ジフェニル)ホスフェート及びビスフェノールAのビス(ジフェニル)ホスフェートなどの二官能または多官能芳香族リン酸エステル;ポリ-α-オレフィン;エポキシ化大豆油;シリコーン油を含むシリコーン;エステル、例えば、アルキルステアリルエステルなど(例えばステアリン酸メチル、ステアリン酸ステアリル、テトラステアリン酸ペンタエリスリトールなど)の脂肪酸エステル;ステアリン酸メチルと、ポリエチレングリコールポリマー、ポリプロピレングリコールポリマー、ポリ(エチレングリコール-co-プロピレングリコール)コポリマーを含む親水性及び疎水性非イオン界面活性剤との組合せ、または前記グリコールポリマーの少なくとも1種を含む組合せ、例えば、適切な溶媒中のステアリン酸メチル及びポリエチレン-ポリプロピレングリコールコポリマー;蜜蝋、モンタンワックス、パラフィンワックスなどのワックスが含まれる。このような材料は、イソソルビド系ポリカーボネート、及び任意の追加のポリマーが100質量部に対して、一般に、約0.1〜約1質量部の量で使用される。
「帯電防止剤」という用語は、導電性及び総合的物理性能を改善するために、ポリマー樹脂中に処理して入れる、及び/または材料もしくは物品上にスプレーすることのできる、モノマー、オリゴマー、またはポリマー性の物質を示す。モノマー性の帯電防止剤の例には、モノステアリン酸グリセロール、ジステアリン酸グリセロール、トリステアリン酸グリセロール、エトキシル化アミン、一級、二級及び三級アミン、エトキシル化アルコール、アルキル硫酸、アルキルアリール硫酸、アルキルリン酸、アルキルアミン硫酸、ステアリルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなど、四級アンモニウム塩、四級アンモニウム樹脂、イミダゾリン誘導体、ソルビタンエステル、エタノールアミド、ベタインなど、または前記モノマー性帯電防止剤の少なくとも1種を含む組合せが含まれる。
例示的なポリマー性帯電防止剤には、ある種のポリエステルアミド、ポリエーテル-ポリアミド(ポリエーテルアミド)ブロックコポリマー、ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、ポリエーテルエステルまたはポリウレタンが含まれ、それぞれ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの、ポリアルキレンオキシド単位であるポリアルキレングリコール部分を含有する。このようなポリマー性帯電防止剤は、市販されており、例えば、PELESTAT(登録商標)6321(Sanyo社製)またはPEBAX(登録商標)MH1657(Atofina社製)、IRGASTAT(登録商標)P18、及びIRGASTAT(登録商標)P22(Ciba-Geigy社製)である。帯電防止剤として使用できる他のポリマー材料は、高温での溶融加工後に真性導電率の一部を保持している、ポリアニリン〔Panipol社からPANIPOL(登録商標)EBの名で市販されている〕、ポリピロール、及びポリチオフェン(Bayer社から市販されている)などの真性導電性ポリマーである。一実施形態では、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、またはこれらの少なくとも1種を含む組合せは、化学的帯電防止剤を含有するポリマー樹脂中に使用して、組成物の静電気を散逸させることができる。帯電防止剤は、イソソルビド系ポリカーボネート、及び任意の追加のポリマーが100質量部に対して、一般に、約0.05〜約0.5質量部の量で使用される。
顔料及び/または染料添加剤などの着色剤もまた存在させることができる。有用な顔料には、例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物及び混合金属酸化物;硫化亜鉛などの硫化物;アルミン酸塩;硫酸スルホケイ酸ナトリウム、クロム酸塩など;カーボンブラック;亜鉛フェライト;群青(ultramarine blue)などの無機顔料;アゾ、ジアゾ、キナクリドン、ペリレン、ナフタレン、テトラカルボン酸、フラバントロン、イソインドリノン、テトラクロロイソインドリノン、アントラキノン、エントロン、ジオキサジン、フタロシアニン、及びアゾレーキ;Pigment Red 101、Pigment Red 122、Pigment Red 149、Pigment Red 177、Pigment Red 179、Pigment Red 202、Pigment Violet 29、Pigment Blue 15、Pigment Blue 60、Pigment Green 7、Pigment Yellow 119、Pigment Yellow 147、Pigment Yellow 150、及びPigment Brown 24などの有機顔料;または前記顔料の少なくとも1種を含む組合せを含むことができる。顔料は、イソソルビド系ポリカーボネート、及び任意の追加のポリマーが100質量部に対して、一般に、約0.001〜約3質量部の量で使用される。
例示的な染料は、一般的に有機物質であり、それには例えば、クマリン460(青)、クマリン6(緑)、ナイル赤などのクマリン染料、ランタニド錯体、炭化水素および置換炭化水素の染料、多環式芳香族炭化水素染料、オキサゾールまたはオキサジアゾールなどのシンチレーション染料、アリールまたはヘテロアリール置換ポリ(C2〜8)オレフィン染料、カルボシアニン染料、インダンスロン染料、フタロシアニン染料、オキサジン染料、カルボスチリル染料、ナフタレンテトラカルボン酸染料、ポルフィリン染料、ビス(スチリル)ビフェニル染料、アクリジン染料、アントラキノン染料、シアニン染料、メチン染料、アリールメタン染料、アゾ染料、インジゴ染料、チオインジゴ染料、ジアゾニウム染料、ニトロ染料、キノンイミン染料、アミノケトン染料、テトラゾリウム染料、チアゾール染料、ペリレン染料、ペリノン染料、ビスベンゾオキサゾリルチオフェン(BBOT)、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、チオキサンテン染料、ナフタルイミド染料、ラクトン染料、近赤外波長で吸収し、可視波長で発光する反ストークスシフト染料などの蛍光体、7-アミノ-4-メチルクマリンなどの発光染料、3-(2'-ベンゾチアゾリル)-7-ジエチルアミノクマリン、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ビス(4-ビフェニリル)オキサゾール、2,2'-ジメチル-p-クアテルフェニル、2,2-ジメチル-p-ターフェニル、3,5,3"",5""-テトラ-t-ブチル-p-キンクフェニル、2,5-ジフェニルフラン、2,5-ジフェニルオキサゾール、4,4'-ジフェニルスチルベン、4-ジシアノメチレン-2-メチル-6-(p-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン、ヨウ化1,1'-ジエチル-2,2'-カルボシアニン、ヨウ化3,3'-ジエチル-4,4',5,5'-ジベンゾチアトリカルボシアニン、7-ジメチルアミノ-1-メチル-4-メトキシ-8-アザキノロン-2、7-ジメチルアミノ-4-メチルキノロン-2、過塩素酸2-(4-(4-ジメチルアミノフェニル)-1,3-ブタジエニル)-3-エチルベンゾチアゾリウム、過塩素酸3-ジエチルアミノ-7-ジエチルイミノフェノキサゾニウム、2-(1-ナフチル)-5-フェニルオキサゾール、2,2'-p-フェニレン-ビス(5-フェニルオキサゾール)、ローダミン700、ローダミン800、ピレン、クリセン、ルブレン、コロネンなど、または前記染料の少なくとも1種を含む組合せが含まれる。染料は、イソソルビド系ポリカーボネート、及び任意の追加のポリマーが100質量部に対して、一般に、約0.0001〜約5質量部の量で使用される。
発泡体が所望である場合、有用な発泡剤には、例えば、低沸点のハロ炭化水素及び二酸化炭素を発生するもの;室温では固体であり、分解温度より高い温度に加熱すると、窒素、二酸化炭素、及びアンモニアガスなどのガスを発生する、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボンアミドの金属塩、4,4'-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどの発泡剤、または前記発泡剤の少なくとも1種を含む組合せが含まれる。発泡剤は、イソソルビド系ポリカーボネート、及び任意の追加のポリマーが100質量部に対して、一般に、約1〜約20質量部の量で使用される。
有用な難燃剤には、リン、臭素、及び/または塩素を含む有機化合物が含まれる。非臭素化及び非塩素化のリン含有難燃剤、例えば、有機リン酸エステル、及びリン-窒素結合を含有する有機化合物は、規制上の理由からある種の用途では好ましくなり得る。
例示的な有機リン酸エステルの1種類は、式(GO)3P=Oの芳香族リン酸エステルであり、式中、各Gは、独立にアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアラルキル基であるが、但し、少なくとも1個のGは芳香族基である。G基の2個が、一緒に結合して環式基、例えば、ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェートを与えることができる。例示的な芳香族リン酸エステルには、フェニルビス(ドデシル)ホスフェート、フェニルビス(ネオペンチル)ホスフェート、フェニルビス(3,5,5’-トリメチルヘキシル)ホスフェート、エチルジフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジ(p-トリル)ホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル) p-トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ(ノニルフェニル)ホスフェート、ビス(ドデシル) p-トリルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2-クロロエチルジフェニルホスフェート、p-トリルビス(2,5,5’-トリメチルヘキシル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェートなどが含まれる。特定の芳香族リン酸エステルは、各Gが芳香族であるもの、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、イソプロピル化されたトリフェニルホスフェートなどである。
二官能または多官能芳香族リン含有化合物、例えば、下式:
Figure 0005270682
の化合物も有用であり、式中、各G1は、独立に、炭素原子1〜約30個を有する炭化水素であり、各G2は、独立に、炭素原子1〜約30個を有する炭化水素または炭化水素オキシであり;各Xは、独立に臭素または塩素であり;mは0〜4であり;nは1〜約30である。例示的な二官能または多官能芳香族リン含有化合物には、レゾルシノールテトラフェニルジホスフェート(RDP)、ヒドロキノンのビス(ジフェニル)ホスフェート及びビスフェノールAのビス(ジフェニル)ホスフェート、各々のオリゴマー及びポリマー相当物などが含まれる。
リン-窒素結合を含有する例示的な難燃化合物には、塩化ホスホニトリル、リンエステルアミド、リン酸アミド、ホスホン酸アミド、ホスフィン酸アミド、トリス(アジリジニル)ホスフィンオキシドが含まれる。存在するとき、リン含有難燃剤は、イソソルビド系ポリカーボネート、及び任意の追加のポリマーが100質量部に対して、一般に、約0.1〜約30質量部、より具体的には約1〜約20質量部の量で存在する。
ハロゲン化物質、例えば、式(23):
Figure 0005270682
のハロゲン化された化合物及び樹脂も難燃剤として使用でき、式中、Rは、アルキレン、アルキリデン、もしくは脂環式連結基、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、イソプロピリデン、ブチレン、イソブチレン、アミレン、シクロヘキシレン、シクロペンチリデンなどであり;または酸素エーテル、カルボニル、アミン、もしくは硫黄含有連結基、例えば、スルフィド、スルホキシド、スルホンなどである。Rはまた、芳香族、アミノ、エーテル、カルボニル、スルフィド、スルホキシド、スルホンなどの基によって結合された、2個または複数のアルキレンまたはアルキリデン連結基から成ることもできる。
式(23)のAr及びAr’は、各々独立に、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、ナフチレンなどの、単一または多重炭素環式芳香族基である。
Yは、有機、無機、または有機金属の基であり、例えば、(a)ハロゲン、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素、または(b)一般式OBのエーテル基で、式中BがXに類似した1価の炭化水素基、または(c)Rによって表される種類の1価の炭化水素基、または(d)他の置換基、例えば、ニトロ、シアノなどで、前記置換基が本質的に不活性であるが、但し、アリール核1個につきハロゲン原子が1個以上、特定すれば2個以上であることを前提とする。
存在するとき、各Xは、独立に、1価の炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、デシルなどのアルキル基、フェニル、ナフチル、ビフェニル、キシリル、トリルなどのアリール基、及びベンジル、エチルフェニルなどのアラルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの脂環式基である。この1価の炭化水素基は、それ自体不活性置換基を含有することができる。
各dは、独立に、1から、ArまたはAr’を含む芳香環上に置換されている置換え可能な水素の個数に等しい最大値までである。各eは、独立に、0から、R上の置換え可能な水素の個数に等しい最大値までである。各a、b及びcは、独立に0を含む整数である。bが0でないとき、aもcも0になることはできない。その他の場合、aまたはcは、どちらもではないが、いずれかが0になることができる。bが0であるとき、芳香族基は直接の炭素-炭素結合により連結される。
芳香族基Ar及びAr’上のヒドロキシ及びY置換基は、芳香環上でオルト、メタまたはパラ位に変化することができ、その基同士は、相互に対して任意の可能な幾何学的関係を取ることができる。
上記式の範囲内には、以下のものが代表的であるビスフェノールが含まれる:2,2-ビス-(3,5-ジクロロフェニル)-プロパン;ビス-(2-クロロフェニル)-メタン;ビス(2,6-ジブロモフェニル)-メタン;1,1-ビス-(4-ヨードフェニル)-エタン;1,2-ビス-(2,6-ジクロロフェニル)-エタン;1,1-ビス-(2-クロロ-4-ヨードフェニル)エタン;1,1-ビス-(2-クロロ-4-メチルフェニル)-エタン;1,1-ビス-(3,5-ジクロロフェニル)-エタン;2,2-ビス-(3-フェニル-4-ブロモフェニル)-エタン;2,6-ビス-(4,6-ジクロロナフチル)-プロパン;2,2-ビス-(2,6-ジクロロフェニル)-ペンタン;2,2-ビス-(3,5-ジブロモフェニル)-ヘキサン;ビス-(4-クロロフェニル)-フェニル-メタン;ビス-(3,5-ジクロロフェニル)-シクロヘキシルメタン;ビス-(3-ニトロ-4-ブロモフェニル)-メタン;ビス-(4-ヒドロキシ-2,6-ジクロロ-3-メトキシフェニル)-メタン;及び2,2-ビス-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパン、2,2ビス-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパン。上記構造式内には、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジブロモベンゼン、1,3-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゼン、及び2,2’-ジクロロビフェニル、多臭化1,4-ジフェノキシベンゼン、2,4’-ジブロモビフェニル、2,4’-ジクロロビフェニルなどのビフェニル、ならびにデカブロモジフェニルオキシドなども含まれる。
ビスフェノールA及びテトラブロモビスフェノールAとカーボネート前駆体、例えばホスゲンとのコポリカーボネートなどのオリゴマー性及びポリマー性ハロゲン化芳香族化合物もまた有用である。金属相乗剤、例えば酸化アンチモンもまた、難燃剤と共に使用することができる。存在するとき、ハロゲン含有難燃剤は、イソソルビド系ポリカーボネート、及び任意の追加のポリマーが100質量部に対して、一般に、約1〜約25質量部、より具体的には約2〜約20質量部の量で存在する。
代替的に、熱可塑性組成物は、塩素及び臭素を本質的に含まないこともできる。本明細書において、塩素及び臭素を本質的に含まないとは、塩素もしくは臭素、または塩素もしくは臭素含有物質を意図的に添加せずに生成される材料を指す。しかしながら、複数の生成物を加工する施設では、ある程度の二次汚染が起こる結果、重量尺度で通常百万分の1の数倍で臭素及び/または塩素濃度が生じ得ることは理解される。これを理解すれば、臭素及び塩素を本質的に含まないとは、臭素及び/または塩素含量が、質量で百万分の約100(ppm)以下、約75ppm以下、または約50ppm以下であると定義できることを、容易に認識することができる。この定義を難燃剤に適用する場合、それは難燃剤の総質量に基づく。この定義を熱可塑性組成物に適用する場合、それは、充填剤をすべて除いた組成物の総質量に基づく。
無機難燃剤、例えば、ペルフルオロブタンスルホン酸カリウム(Rimar塩)、ペルフルオロオクタンスルホン酸カリウム、ペルフルオロヘキサンスルホン酸テトラエチルアンモニウムなどのC1〜16アルキルスルホン酸塩及びジフェニルスルホンスルホン酸カリウムの各塩;例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びバリウム塩)と、無機酸複塩との反応により形成される塩、例えば、炭酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩などのNa2CO3、K2CO3、MgCO3、CaCO3及びBaCO3などのオキソアニオン、またはLiAlF6、BaSiF6、KBF4、K3AlF6、KAlF4、K2SiF6及び/またはNa3AlF6などのフルオロアニオン複塩も、使用することができる。存在するとき、無機難燃剤塩は、イソソルビド系ポリカーボネート、及び任意の追加のポリマーが100質量部に対して、一般に、約0.01〜約10質量部、より具体的には約0.02〜約1質量部の量で存在する。
滴下防止剤、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフィブリル形成性またはフィブリル非形成性フルオロポリマーもまた、組成物中に使用することができる。滴下防止剤は、上記のような硬質コポリマー、例えばスチレン-アクリロニトリルコポリマー(SAN)により封入することができる。SAN内に封入したPTFEは、TSANとして知られている。封入フルオロポリマーは、フルオロポリマーの存在下における封入性ポリマー、例えば水性分散液を重合することにより、作製することができる。TSANは、組成物中でより容易に分散できるので、PTFEに比してかなりの利点をもたらすことができる。例示的なTSANは、封入フルオロポリマーの総質量に対して約50%のPTFE及び約50%のSANを含むことができる。このSANは、そのコポリマーの総質量に対して、約75%のスチレン及び約25%のアクリロニトリルを含むことができる。代替的には、フルオロポリマーは、第2のポリマー、例えば芳香族ポリカーボネート樹脂またはSANなどと何らかの方法で予備ブレンドすることにより、滴下防止剤として使用する凝集物質を形成することができる。どちらの方法も、封入フルオロポリマーを調製するために使用することができる。滴下防止剤は、イソソルビド系ポリカーボネート、及び任意の追加のポリマーが100質量パーセントに対して、一般に、0.1〜10質量パーセントの量で使用される。
放射線安定剤、特にγ線安定剤も存在することができる。例示的なγ線安定剤には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、meso-2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,4-ヘキサンジオールなどのアルキレンポリオール;1,2-シクロペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオールなどのシクロアルキレンポリオール;2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール(ピナコール)などの分岐アルキレンポリオール、ならびにアルコキシ置換環式または非環式アルカンが挙げられる。その例に4-メチル-4-ペンテン-2-オール、3-メチルペンテン-3-オール、2-メチル-4-ペンテン-2-オール、2,4-ジメチル-4-ペンテン-2-オール及び9-デセン-1-オールが含まれる不飽和アルケノール、ならびに、少なくとも1個のヒドロキシ置換三級炭素を有する三級アルコール、例えば、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、2-フェニル-2-ブタノール、3-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブタノン、2-フェニル-2-ブタノールなど、及び1-ヒドロキシ-1-メチルシクロヘキサンなどの環式三級アルコールも有用である。芳香環内不飽和炭素に結合した飽和炭素上にヒドロキシ置換基を有する、ある種のヒドロキシメチル芳香族化合物も、使用することができる。このヒドロキシ置換飽和炭素は、メチロール基(-CH2OH)でもよく、またはR4が複雑もしくは単純な炭化水素である-CR4HOHもしくは-CR4 2OHなどのより複雑な炭化水素基の一員でもよい。具体的なヒドロキシメチル芳香族化合物には、ベンズヒドロール、1,3-ベンゼンジメタノール、ベンジルアルコール、4-ベンジルオキシベンジルアルコール及びベンジルベンジルアルコールが挙げられる。2-メチル-2,4-ペンタンジオール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールは、γ線安定化にしばしば使用される。γ線安定化化合物は、イソソルビド系ポリカーボネート、及び任意の追加のポリマーが100質量部に対して、通常、0.05〜1質量部の量で存在する。
イソソルビド系ポリカーボネートを含む熱可塑性組成物は、多様な方法により製造することができる。例えば、イソソルビド系ポリカーボネート粉末、他のポリマー(存在する場合)、及び/または他の任意選択成分を、場合により充填剤と共にHENSCHEL-Mixer(登録商標)の高速ミキサー中で先ずブレンドする。それだけに限らないが、手練りを含む他の低せん断プロセスも、このブレンドを実現することができる。次いで、そのブレンドを、ホッパーを介して2軸押出機のスロート中に供給する。あるいは、成分の少なくとも1種を、スロートから、及び/または下流のサイドスタッファーから押出機中に直接供給することにより、組成物中に組み入れることができる。添加剤は、所望のポリマー樹脂と共にマスターバッチ中に配合し、押出機に供給することもできる。押出機は、一般に、組成物の流動化に必要な温度より高い温度で操作される。押出物は、水浴中で直接急冷し、ペレット化する。押出物を切断した際にこのように調製されるペレットは、長さ1/4インチまたは所望によりそれより短くすることができる。このようなペレットは、その後の金型成形、形作りまたは成形のために使用することができる。
本明細書に開示するプロセスは、重量平均分子量(Mw)が約39,000g/mol超である脂肪族ポリカーボネート及び脂肪族-芳香族コポリカーボネートの調製に使用することができる。イソソルビド系ポリカーボネートのガラス転移温度(Tg)は、約135℃以下とすることができる。脂肪族-芳香族コポリカーボネートの数平均分子量(Mn)は、約17,000g/mol超である。本明細書に開示するホモ及びコポリカーボネートは、更に、従来のBPAホモポリカーボネートと比較して、低い屈折率(RI)、透明性(高い%透過率及び低いヘイズ)、高い引掻き抵抗性及び低い酸素透過率を示し得る。更に、開示するホモ及びコポリカーボネートは、鏡像異性的に純粋な、または鏡像異性的に濃厚な脂肪族ジオール(例えば、D-(+)-イソソルビドなど)を用いて調製した場合、光学活性でもある。
ホモ及びコポリカーボネートは、それだけに限らないが、フィルム、シート、導光板、表示装置及び発光ダイオード用プリズムを含む、各種物品の作製に使用し得る。更に、ポリカーボネートは、自動車を含む屋外用車両及び装置の外部ボディパネル及びパーツ、標識などの保護グラフィックス、遠隔通信及び電気的接続用ボックスなどの屋外エンクロージャ、ならびに屋根部、壁パネル及びガラスなどの建設用途品のような物品の作製にも使用し得る。開示したポリカーボネートで作製される多層物品には、特に、使用期間中に自然または人工を問わないUV光に曝されると見込まれる物品、最も特定すれば、屋外用物品、即ち屋外での使用を意図した物品が含まれる。適切な物品の例は、自動車、トラック、軍用車及びオートバイの外装及び内装部品であり、パネル、クォーターパネル、ロッカーパネル、トリム、フェンダー、ドア、ラゲージドア(decklid)、トランクリッド、フード、ボンネット、ルーフ、バンパー、ダッシュボード(fascia)、グリル、ミラーハウジング、ピラーアップリケ、クラッディング、ボディサイドモールディング、ホイールカバー、ハブキャップ、ドアハンドル、スポイラー、ウィンドウフレーム、ヘッドランプベゼル、ヘッドランプ、テールランプ、テールランプハウジング、テールランプベゼル、ナンバープレートエンクロージャ、ルーフラック及びステップ(running board);屋外用車両及び装置のエンクロージャ、ハウジング、パネル及びパーツ;電気及び遠隔通信装置のエンクロージャ;屋外用家具;航空機部品;トリム、エンクロージャ、ハウジングを含むボート及び船舶装置;船外モーターハウジング;水深測定器ハウジング、個人用船舶;ジェットスキー;プール;スパ;ホットタブ;階段;階段カバー;ガラス、屋根、窓、床、装飾窓取付具または処理具などの建築・建設用途品;絵、絵画、ポスター及び類似展示品用の処理ガラスカバー;壁パネル及びドア;保護グラフィックス;屋外及び屋内用標識;現金自動預払機(ATM)用のエンクロージャ、ハウジング、パネル及びパーツ;芝生・庭園用トラクター、芝刈り機、及び芝生・庭園用工具を含めた工具のためのエンクロージャ、ハウジング、パネル及びパーツ;窓及びドア用装飾品;スポーツ機具及びおもちゃ;スノーモービル用のエンクロージャ、ハウジング、パネル及びパーツ;レクリエーショナルビークルのパネル及び部品;遊び場用機具;プラスチック・木材両用物品;ゴルフ場マーカー;ユーティリティーピットの蓋;コンピュータのハウジング;デスクトップコンピュータのハウジング;ポータブルコンピュータのハウジング;ラップトップコンピュータのハウジング;パームヘルドコンピュータのハウジング;モニターのハウジング;プリンターのハウジング;キーボード;FAX機のハウジング;複写機のハウジング;電話機のハウジング;携帯電話機のハウジング;電波送信器のハウジング;電波受信器のハウジング;照明設備;照明器具;ネットワークインターフェース器具のハウジング;変圧器のハウジング;空調装置のハウジング;公共輸送機関用の被覆(cladding)及び座席;列車、地下鉄またはバス用の被覆及び座席;計器用ハウジング;アンテナ用ハウジング;衛星放送受信アンテナ(satellite dish)用被覆;コーティングヘルメット及び個人用保護機材;コーティング合成または天然繊維;コーティングした写真フィルム及び写真プリント;コーティングした塗装品;コーティングした染色品;コーティングした蛍光品、コーティングした発泡品、ならびに類似用途品によって示される。
イソソルビド系ポリカーボネートは、以下の非限定例により更に例示される。
イソソルビド系(イソソルビド)ポリカーボネートの分子量(Mw及びMn、ならびに多分散度)を決定するために、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いた。用いた条件は以下のとおりである。架橋スチレン-ジビニルベンゼン混合ベッドカラム(Polymer Laboratories社製、PL-Gel 5マイクロメートルMixed-C 300mm x 7.5mmカラム)を分析のために使用した。カラム温度は、30℃に維持した。カラムは、溶出液として塩化メチレンを用い、流速0.3ml/分で溶出させた。試料溶液は、イソソルビドポリカーボネート10ミリグラム(mg)を10mlのクロロホルムに溶解することにより、試料濃度1.0mg/mlとして調製した。試料溶液10マイクロリットル(μl)をカラムに注入し、試料を17.5分の全操作時間にわたって溶出させた。屈折率(RI)検出器及び254nmの検出波長で測定されるUV検出器の組合せを使用した。
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)によって、10℃/分の走査速度で測定した。
押出し後のペレットの色測定は、Xrite TELEFLASH(登録商標)130を用いて測定した。この計器はペレットの色を直接測定することができ、これによって、色を変化させてしまう成形などの追加のプロセス工程を除くことができる。Xriteの場合、標準光源D65(自然日光、6500ケルビン)、10°の観測角度を選択することにより、L、a、bの値を発生する。測定するペレットは、ガラス製で、直径15cm及び高さ2cmのペトリ皿に集めた。皿を完全に充填し、過剰のペレットを回収し、表面のペレットを平らにした。続いて、充填した皿をXriteから一定の距離及び角度に設置した。測定する際、輝光を発し、反射光を計器で検出することにより色L、a値、及びb値を測定した。各試料を3回測定し、これを3つの皿の位置で繰り返して行われ、前記皿は各位置において測定後に回転させた。L、a、及びbの値は、試験した実施例について報告する。
「少規模」に指定された実施例は233mlガラス反応系で行われ、反応物質の最大容量が120mlを超えないようにした。
方法I.活性化溶融重合によりイソソルビドポリカーボネートを調製する小規模方法
ガラス製で、長さ29cm、外径3.8cm、及び内径3.2cmを有する円筒型重合反応器に、(a)イソソルビド、(b)C36二酸(またはジオール)、(c)任意に、ビスフェノールA、及び(d)ビス(メチルサリチル)カーボネート(BMSC)((a)〜(c)の総モル数あたり、1.01〜1.03molの量で存在する)を投入した。反応の全成分の総量は、30g〜100gであった。次いで、反応器内の雰囲気を、真空源を用いて1ミリバール未満の圧力まで脱気し、窒素でパージした。このサイクルを3回繰り返した後、反応器の内容物を加熱してモノマー混合物を溶融した。最後に、反応器内の圧力を窒素で大気圧まで上げた。次いで、100マイクロリットルの触媒NaOH水溶液(イソソルビド、BPA、及びC36二酸またはジオールの合計モル数に対して5x10-6mol)をマイクロシリンジで添加した。次いで、以下の温度/圧力プロファイルを適用した:(1)180℃、1気圧で15分間(ここで、4rpmの速度での撹拌を6分後に開始した);(2)230℃、1気圧で15分間;(3)230℃、500mbarで15分間;(4)270℃、5分間で500ミリバールから約0.5mbarへと変圧;(5)270℃、約0.5ミリバールで5分間。これらの反応条件下で反応を進行させた後、反応器内の圧力を窒素下で大気圧にし、反応器を排気して過剰の圧力を除いた。生成物の単離は、反応器底部の排出ナットの開放、溶融物質の回収、及び冷却により行った。
方法II.活性化溶融重合によりイソソルビドポリカーボネートを調製する連続プロセス方法(押出し法)
イソソルビド重合は、以下の、方法IIa、IIb、及びIIcに記述する半連続モードのいずれか1つを用いて実施した。
方法IIa.活性化溶融重合によりイソソルビドポリカーボネートを調製するバッチプロセス方法(押出し方法)(バッチ法)
200リットルのステンレス製撹拌タンク反応器に、BMSC、イソソルビド、BPA、及びC36二酸またはジオールを投入した。水酸化ナトリウム(NaOH)触媒水溶液を反応器に添加した。次いで、反応器内を脱気させ、窒素を用いて3回パージして残存の酸素を除き、続いて、800mbarの一定圧力を加えた。次いで、加熱されたオイルヒーターを用いて反応器を180℃に加熱して、モノマーを溶融し、オリゴマー化反応を開始させた。続いて生じる発熱反応により、オリゴマーの温度がオイルの設定温度を超えて上昇した。発熱ピーク温度に到達した後、オイルの温度を150℃まで低下させ、溶融した反応混合物を、170℃に加熱したフィードライン(feed line)を通じて押出機に、およそ11.5kg/1時間の速度で供給した。オリゴマーを押出機に供給する際、ステンレス製反応器は大気圧下にした。使用した押出機は、長さと直径との比(L/D)が約59である、Werner & Pfleiderer 25mm 13-バレル二軸押出機である。押出機内へのフィードは、溶融した混合物の沸騰を防ぐためにフラッシュバルブ(flash-valve)を含んでいる。反応混合物を300rpmの送り速度で反応押出成形する。押出機バレルを260℃に設定し、ダイ(die)を270℃に設定した。その押出機は、5つの前方真空ベント孔と1つの後方ベント孔とを備える。その押出機は、低真空(lo-vac)及び高真空(hi-vac)の2つの真空系を備えている。後方ベント孔及び第1の前方ベント孔は低真空系に連結し、他の前方ベント孔は高真空系に連結している。後方ベント孔の真空圧はおよそ15mbarであり、第1の前方ベント孔の真空圧はおよそ5mbarである。最終的な4つのベント孔の真空圧はおよそ1mbarである。サリチル酸メチル副生成物は、これらのベント孔を通じて揮発分除去によって除かれる。水浴中で凝固したポリマーの溶融ストランドを、ダイを通じて押出機の末端で回収し、ペレット化した。
方法IIb.バッチ式オリゴマー形成-活性化溶融重合によりイソソルビドポリカーボネートを調製するフラッシュ揮発分除去プロセス方法(flash devolatilization process method)(押出し方法)(バッチ-フラッシュ法)
200リットルのステンレス製撹拌タンク反応器に、BMSC、イソソルビド、BPA、及びC36二酸またはジオールを投入した。水酸化ナトリウム(NaOH)触媒水溶液を反応器に添加した。次いで、反応器内を脱気させ、窒素を用いて3回パージして残存の酸素を除き、続いて、800mbarの一定圧力を加えた。次いで、加熱されたオイルヒーターを用いて反応器を180℃に加熱して、モノマーを溶融し、オリゴマー化反応を開始させた。その反応は発熱反応であるため、オリゴマーの温度はオイルの設定温度を超えて上昇する。発熱ピークが開始したとき、オイルの温度を150℃まで低下させた。発熱ピーク温度に到達した後、溶融した反応混合物を、160℃に加熱したフィードラインを通じてフラッシュ揮発分除去システム内に、20kg/1時間の速度で供給した。オリゴマーを押出機に供給する際、ステンレス製反応器は大気圧下にした。フラッシュ揮発分除去システムは、予熱器及びフラッシュ容器(flash vessel)からなる。予熱器はおよそ200℃、200mbarで操作し、フラッシュ容器は190℃、50mbarで操作する。フラッシュ容器の出口におけるポリマーは、約2質量%のMSを含有する。フラッシュ容器の下方に位置する溶融ポンプは、物質を押出機に移送するのに用いられる。使用した押出機は、Werner & Pfleiderer 25mm 13-バレル二軸押出機である(L/Dの比が約59である)。反応混合物を300rpmの送り速度で反応押出成形する。押出バレルを260℃に設定し、ダイを270℃に設定した。その押出機は、5つの前方真空ベント孔と1つの後方ベント孔とを備える。その押出機は、1つの真空系(高真空)を備えており、すべてのベント孔はこの系に連結されており、約1mbarの真空下に存在する。サリチル酸メチル副生成物は、これらのベント孔を通じて揮発分除去により除かれる。水浴中で凝固したポリマーの溶融ストランドを、ダイを通じて押出機の末端で回収し、ペレット化した。
方法IIc.プラグ流反応器オリゴマー形成-活性化溶融重合によりイソソルビドポリカーボネートを調製するフラッシュ揮発分除去プロセス方法(押出し方法)(PFR-フラッシュ)
200リットルのステンレス製撹拌タンク反応器に、BMSC、イソソルビド、任意にBPA、及びC36二酸またはジオールを投入した。ここで、触媒は反応器中に添加していない。次いで、反応器内を脱気させ、窒素を用いて3回パージして残存する酸素を除き、続いて、800mbarの一定圧力に設定した。温度を130℃まで上昇させ、モノマーを溶融し、かつ溶解させた。透明な溶液が得られたとき、温度を100℃まで低下させた。次いで、そのモノマー混合物をPFR(プラグ流反応器)に投入した。オリゴマーをPFRに供給する際、ステンレス製反応器は大気圧下にした。PFRの開始時には、HPLCポンプを用いて水酸化ナトリウム水溶液をモノマー混合物に連続的に添加した。PFRは、180℃〜200℃、4〜5barの圧力下で操作される。PFRより得られたオリゴマーは、フラッシュ揮発分除去システムに移送される。
フラッシュ揮発分除去システムは、予熱器及びフラッシュ容器からなる。予熱器はおよそ200℃、200mbarで操作し、フラッシュ容器は190℃、50mbarで操作する。フラッシュ容器の出口におけるポリマーは、約2質量%のMSを含有する。フラッシュ容器の下部には、物質を押出機に移送する溶融ポンプがある。使用した押出し機は、Werner & Pfleiderer 25mm 13-バレル二軸押出機である(L/Dの比が約59である)。反応混合物を300rpmの送り速度で反応押出成形する。押出バレルを260度に設定し、ダイを270℃に設定する。その押出機は、5つの前方真空ベント孔及び1つの後方ベント孔を備えている。その押出機は、1つの真空系(高真空)を備えており、すべてのベント孔はこの系に連結し、約1mbarの真空度を有している。サリチル酸メチルの副生成物は、これらのベント孔を通じて揮発分除去により除かれる。水浴中で凝固したポリマーの溶融ストランドを、ダイを通じて押出機の末端で回収し、ペレット化した。
実施例1〜16及び比較例1〜15
実施例1〜16及び比較例1〜15は、活性化溶融重合合成法を用いて、表1に示される方法I〜IIに従って調製した。表1に示すように、ポリカーボネートは、イソソルビド(Roquette社より入手可能;原子吸光分光法による典型的なナトリウムレベルは7〜11ppmである);ビスフェノールA;PRIPOL(登録商標)1013 C36二酸(CAS番号[68783-41-5])もしくはPRIPOL(登録商標)2033 C36ジオール(CAS番号[147853-32-5])(それぞれ、Uniqema社より入手可能);ドデカン二酸(dodecanedioic acid)(C12二酸;DDDA);1,12-ドデカンジカルボン酸(C14二酸;DDCA;テトラデカン二酸とも称する)、ヘキサデシル二酸(C16二酸;HDDA)、及び2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)を用いて調製した。データを以下の表1にまとめている。
表1は、上記記載した、BPA及び/またはイソソルビドと、さまざまな炭素レベルまたは鎖長を有する脂肪族鎖から成るモノマーとの各種コポリマーの概要である。DDDAは、両末端がカルボン酸基で終端する直鎖状の(CH2)x鎖(x=10)を含む。C36二酸は、鎖中に34個の炭素原子を有する(カルボキシレート末端基を除く)、より長い脂肪族鎖二酸である。DDDAとは対照的に、C36二酸の脂肪族鎖は分岐しており、これによって結晶化を最小限に抑えるか、或いは防止する。C36モノマーのジオールに由来する直鎖状の脂肪族モノマーも、表1に示す。有利に、DDDAとは対照的に、C36二酸またはジオール物質は生物由来の物質である。
表1に示される組成物を、小規模のバッチ式(実験室反応)(方法I)及び押出システム(方法II)の両方を用いて製造する。「脂肪族鎖」の欄には、DDDA及びC36(二酸またはジオール)の質量パーセントが記載されている。モル含有量とは対照的に、この数字は、ポリカーボネート中の各種脂肪族鎖の含有量を直接比較するために用いることができる。以下の欄には、ガラス転移温度(DSC)、GPCによって測定される分子量(PS標準)を示す。
Figure 0005270682
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比較例1〜4及び11〜13は、イソソルビド、BPA、及びC12二酸(DDDA)のターポリマーを示す。二酸を含まないポリカーボネートコポリマーと比べて二酸を含むポリカーボネートのTgを低下させることは可能であるが、C12二酸を含む高分子量ポリカーボネートターポリマー(Mw >39,000g/mol、PS標準)はデータに示すように調製することができなかった。中規模のスケール(方法II)において、最大分子量は、PSに対して約35,000g/molまで達成する。小規模のスケールにおいても、より多くの量の脂肪族鎖が組み込まれると、形成される分子量は約30,000g/molに制限される。
比較例7及び8は、より長い鎖長(C14、C16)を有する脂肪族二酸モノマーを含むコポリマーより著しく高い分子量のポリマーをもたらすことを示す。実施例1〜10及び13〜16、ならびに比較例6、9、及び10は、各種量のイソソルビド、BPA、及びC36二酸を含むコポリマーを示す。低いTg値を持つ高分子量コポリマーを調製することができる。実施例15及び16は、極めて多い量の脂肪族鎖を有しながら、高分子量のコポリマーが製造可能であることを示している。さらには、C36二酸を0.5mol%含む比較例5及び3mol%含む実施例13は、所望のTg低下を得るために、ある程度の脂肪族鎖の質量パーセント(この場合には、比較例5に示されるように8.5%超)が必要であることを示している。実施例11及び12は、本発明に係るコポリマーを形成するために、脂肪族ジオールもまた使用できることを示す。
BPA-PCは、140〜150℃のTgを有していることが知られており、その値域はポリマーの分子量によって決まる。例えば、DMA法では、通常、DSCと比較してより高いTg値を示し、DSCで測定したTg値もまた、試験条件によって影響され得るように、異なるTgの試験方法によって若干異なる結果が得られうることは、当業者であれば理解されよう。しかしながら、DDDAなどの脂肪族モノマーを添加することによって(すなわち、比較例1〜4、11、12、14、及び15)、通常、Tgが著しく低下することがわかる。これは、とりわけ、すべてが100℃未満のTg値を示す比較例1〜4において観測される。イソソルビドホモポリマーが165〜170℃の範囲内にTgを有することが期待されることから、それ故にイソソルビドを有する組成物は、BPAから誘導される類似の組成物と比較してより高いTg値を有することが期待される。また、直鎖脂肪族モノマー(DDDA)の量を増やすことによる効果も、比較例3を比較例1及び4と比較することにより明らかである。最後に、比較例1及び4の比較は、小規模スケール反応(方法I)により得られるTg値は、中程度のスケールの押出システム(方法IIb)において良く再現されていることがわかる。
単相ポリマー溶解の低下によるより低いプロセス温度を得ることは、所望の粘性特性に著しく悪影響を与え得る。分相系の粘性は、相分離を含まない類似の物質とは異なり得る。しかしながら、高いプロセス(例えば、押出しまたは成形工程)温度における直鎖脂肪族多含有相の、完全またはほぼ完全な混和性によって、著しい改善を図ることができる。
実施例17〜51及び比較例16〜31
実施例17〜51及び比較例16〜31は、活性化溶融重合合成を用いて、表2に示すように方法IIに従って調製した。データを以下の表2にまとめている。
Figure 0005270682
Figure 0005270682
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表2に示すように、物質が特記すべき機械的特性を有しない境となる、39,000g/mol(GPC、PS標準)以上のMwを有する、基本的な所望の性能目標は、幅広い組成物を用いることによって達成し得る(実施例17〜51を参照)。C36二酸(すなわち、DDDA)以外の二酸を使用して調製した組成物は、所望の分子量を与えなかった(比較例16及び17を参照)。脂肪族二酸の含まないことは低いMwという結果になる(比較例19及び20)。分子量に悪影響を及ぼし得る特定の反応条件には、約275℃未満の反応温度が含まれ(実施例17を参照);例えば、266℃の反応温度を有する比較例19、及び251℃の反応温度を有する比較例21は、それぞれ、39,000未満のMw値を有している。しかしながら、実施例41(IS/BPA/C36)、ならびに44及び45(両方ともIS/C36)はそれぞれ、267℃、264℃、及び260℃の反応温度を有しており、所望のMw値をもたらすためにはその他の反応条件が優位になり得ることを示唆している。さらには、実施例19〜22は、トルクが若干異なる条件において実施された組成物であり、実施例41〜43及び比較例21もまた類似の条件による組成物である(ここで、比較例21は、実施例41〜43と比較して低い反応温度を有している)。実施例44及び45ならびに比較例22及び23は91:9のイソソルビド-C36二酸ポリエステル-カーボネートコポリマーである。実施例51及び比較例25〜27は96:4のイソソルビド-C36二酸ポリエステル-ポリカーボネートコポリマーであり、これらもまた反復実験である。反復実験内においてトルクの値が異なるものの、有意な影響を与えるとはみられない。
比較例22〜24ならびに実施例44〜46及び50に示すように、IS及びC36のコポリマーは、一貫性のないバッチ間(batch-to-batch)のポリマー安定性(表2のyes/no基準に基づく)をもたらしており、これは、そのようなコポリマーがバッチ間の再現性に乏しいことを示唆している。さらには、例えば、すべてIS及びC36のコポリマーである、実施例44〜51及び比較例22〜24の場合、残存する組成物の減少では一般に効果的ではなく、これら組成物は一般に所望とする750ppm以下より大きいMSを有する。さらには、比較例25〜27及び実施例51はそれぞれ、バッチ法(方法IIa)を用いて、少量のC36二酸(5mol%)を含むイソソルビド(96mol%)を用いて調製した。同じような条件下において、3つのうち1つのみが所望のMw及びガラス転移温度の性能を与えた(実施例51)。比較の目的で、それぞれイソソルビドホモポリカーボネートである比較例28〜31は、上記方法(方法IIa)に基づいて調製し、期待された高Tg値(158〜164℃)を示し、2つの事例ではPS標準に基づいて高いMwを示した(比較例30〜31)。
製造した後の表2のポリマーの初期の色調は一般に低く、完全に透明であり無色である最大値100に対して、許容される明/暗の度合いを示す約70超のL値を有している一方で、0は完全に不透明であり、かつ黒色である。
核磁気共鳴分析法による末端基の分析
イソソルビドポリカーボネートオリゴマー及びビスフェノールA含有ポリマーは、ポリマー鎖の末端上の遊離の水酸基を、反応性リン含有ラベル化剤を用いて誘導化した後に、1H-及び31P-NMR(それぞれ400MHz及び162MHzで測定)によって評価した。リンNMR試料は、40mgのメシトール(内部標準)及び225mgの試料(イソソルビド系ポリカーボネート)を約4mlのクロロホルム中に溶解させ、約4滴の1,2-フェニレン-ホスホロクロリダイト(2-クロロ-1,2,3-ベンゾジオキソホソホールとも称され、PPCと略される)を添加して誘導化させ、得られた溶液をクロロホルムを用いて100mlに希釈することで調製した。すべてのプロトン共鳴はテトラメチルシランを基準とし;リン共鳴は誘導化されたメシトールを基準とした。異なる各種末端基を識別することができる。イソソルビド基と結合するサリチル酸末端基(本明細書では「IS-Sal-OH」とも称する)は、以下の図及びデータに示すようにリンNMR及びプロトンNMRの両方の手段によって識別し、定量化することができる。別のスベクトルは、IS-Sal-OH及びビスフェノールA-サリチル酸基(BPA-Sal-OH)のピーク(ビスフェノールA及びサリチル酸基)を示す。
イソソルビド及びビスフェノールAの両方から導かれるカーボネート単位を有するコポリカーボネートは、上記記載したとおりに誘導化し、データを以下の表3にまとめた。
Figure 0005270682
IS及びBPAのコポリマーを誘導化し、解析したときの各種OH基のプロトン及びリンNMRのピーク同定を示す。このデータより、IS-Sal-OHは、31P-NMRによってBPA-Sal-OHなどの芳香族-Sal-OHから極めて容易に識別すること可能であることがわかる。31P-NMRスペクトルはさらに図1に示しており、複数の一連の共鳴は表3に示される異なる末端基に対応するように観測される。図1において、124.8ppm及び125.7ppmにおいて2つのピークとして示される(及びその一方で、構造異性体により1H-NMRにおいて複雑な多重線として観測される)IS-Sal-OHの31P-NMR共鳴は、125.4ppmに観測されるBPA-OH(未反応のビスフェノールA末端基)及び125.5ppmに観測されるBPA-IS-OH(1H-及び31P-NMRスペクトルの両方において鋭いピークである)の両方から明確に識別することができる。
単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈から明らかに別のことを指示しない限り、複数の指示対象も包含する。別途定義しない限り、本明細書で使用する技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の技術者が通常理解している意味と同じ意味を有する。同じ成分または性質を対象とするすべての範囲の端点は、包含され、独立に組合せ可能である(例えば、「約25wt%以下、またはより特定すれば、約5wt%〜約20wt%」の範囲は、「約5wt%〜約25wt%」の範囲の端点及びすべての中間値を包含するなど)。本明細書で使用する場合の接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数及び複数を共に含み、それによりその用語の少なくとも1つを包含することを意図している(例えば、colorant(s)は少なくとも1つのcolorantを含む)。「任意選択の(optional)」または「任意に(optionally)」とは、その後で述べる事象または状況が、起こることもあり、起こらないこともあり、その表現は、事象が起こる例も、事象が起こらない例も包含する。本明細書で使用する場合、「組合せ(combination)」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを包含する。すべての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
化合物は、標準的な命名法を用いて記載されている。例えば、任意の指示した基により置換されていない任意の位置は、その価標が、指示したような結合または水素原子により満たされていると理解される。2つの文字または記号の間にないダッシュ(「-」)は、置換基の結合点を示すために使用される。例えば、-CHOは、カルボニル基の炭素を介して結合している。本明細書で使用する場合、用語「ヒドロカルビル」とは、炭素及び水素を含み、場合により少なくとも1個のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、ハロゲンまたは硫黄を有する置換基を広く指し;「アルキル」とは、直鎖または分岐鎖の1価炭化水素基を指し;「アルキレン」とは、直鎖または分岐鎖の2価炭化水素基を指し;「アルキリデン」とは、直鎖または分岐鎖の2価炭化水素基であって、両価標が共通な単一の炭素原子上にあるものを指し;「アルケニル」とは、炭素-炭素二重結合で結合された少なくとも2個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖の1価炭化水素基を指し;「シクロアルキル」とは、少なくとも3個の炭素原子を有する、非芳香族性で1価の単環式または多環式炭化水素基を指し;「シクロアルケニル」とは、少なくとも3個の炭素原子を有し、不飽和度が少なくとも1の非芳香族性で1価の環式炭化水素基を指し;「アリール」とは、1個または複数の芳香環内に炭素だけを含有する1価の芳香族基を指し;「アリーレン」とは、1個または複数の芳香環内に炭素だけを含有する2価の芳香族基を指し;「アルキルアリール」とは、上記に定義したようなアルキル基で置換されたアリール基であって、4-メチルフェニルが例示的なアルキルアリール基であるものを指し;「アリールアルキル」とは、上記に定義したようなアリール基で置換されたアルキル基であって、ベンジルが例示的なアリールアルキル基であるものを指し;「アシル」とは、カルボニル炭素ブリッジ(-C(=O)-)を介して指示した個数の炭素原子が結合した、上記に定義したようなアルキル基を指し;「アルコキシ」とは、酸素ブリッジ(-O-)を介して指示した個数の炭素原子が結合した、上記に定義したようなアルキル基を指し;「アリールオキシ」とは、酸素ブリッジ(-O-)を介して指示した個数の炭素原子が結合した、上記に定義したようなアリール基を指す。使用する場合、構造式中の波線結合は、当技術分野で一般にそうであるように、立体化学が特定されていない一重結合を示すために含められる。
典型的な実施形態を例示のために示してきたが、これまでの説明を本発明における範囲に対する制限と見なすべきではない。従って、多様な改変、適応及び代替形態が、本発明における趣旨及び範囲から逸脱せずに、当業者に思い浮かぶことができる。

Claims (10)

  1. イソソルビド単位;
    C14〜44脂肪族二酸、C14〜44脂肪族ジオール、またはこれらの組合せに由来する脂肪族単位
    (前記脂肪族二酸が、式(11):
    Figure 0005270682
    [式中、m及びm’は独立に0〜38であり、n及びn’は独立に0〜38であり、m+m’+n+n’の和は8〜38の整数である]
    を含む、C14〜44脂肪族二酸またはその誘導体であり、
    前記脂肪族ジオールが、式(12):
    Figure 0005270682
    [式中、t及びt’は独立に0〜38であり、u及びu’は独立に0〜38であり、t+t’+u+u’の和は8〜38の整数である]
    のC14〜44脂肪族ジオールである);及び
    任意選択で、イソソルビド単位及び脂肪族単位とは異なる追加の単位を含み、ここで、イソソルビド単位、脂肪族単位、及び追加の単位は、それぞれカーボネート単位、またはカーボネート単位及びエステル単位の組合せである、ポリカーボネートポリマー。
  2. a) 55〜97.5mol%のイソソルビド単位;
    b) 2.5〜15mol%の脂肪族単位;及び
    c) 0〜42.5mol%の、イソソルビド単位及び脂肪族単位とは異なる追加の単位
    (前記脂肪族単位が、C14〜44脂肪族二酸、C14〜44脂肪族ジオールまたはその組み合わせから導かれ、前記脂肪族二酸が、式(11):
    Figure 0005270682
    [式中、m及びm’は独立に0〜38であり、n及びn’は独立に0〜38であり、m+m’+n+n’の和は8〜38の整数である]
    を含む、C14〜44脂肪族二酸またはその誘導体であり、
    前記脂肪族ジオールが、式(12):
    Figure 0005270682
    [式中、t及びt’は独立に0〜38であり、u及びu’は独立に0〜38であり、t+t’+u+u’の和は8〜38の整数である]
    のC14〜44脂肪族ジオールである)
    を含むポリカーボネートポリマーであって、
    ここで、イソソルビド単位、脂肪族単位、及び追加の単位は、それぞれカーボネート単位、またはカーボネート単位及びエステル単位の組合せであり、かつイソソルビド単位、脂肪族単位、及びカーボネート単位のmol%値の和は100mol%であり、
    前記コポリマーの分子量は、ポリスチレン標準に対してゲル透過クロマトグラフィーで測定して39,000g/mol超であり、脂肪族単位の質量パーセントは、ポリカーボネートポリマーの全質量に対して14〜22質量%である、ポリカーボネートポリマー。
  3. a) 式(2a):
    Figure 0005270682
    のイソソルビドから導かれるイソソルビド単位;
    b) (i) 式(11):
    Figure 0005270682
    [式中、m及びm’は独立に0〜38であり、n及びn’は独立に0〜38であり、m+m’+n+n’の和は8〜38の整数である]
    のC14〜44脂肪族二酸、または、
    (ii) 式(12):
    Figure 0005270682
    [式中、t及びt’は独立に0〜38であり、u及びu’は独立に0〜38であり、t+t’+u+u’の和は8〜38の整数である]
    のC14〜44脂肪族ジオール、または、
    (iii) 式(11)のC14〜44脂肪族二酸及び式(12)のC14〜44脂肪族ジオールの組合せ
    から導かれる脂肪族単位;及び
    c) 任意選択で、イソソルビド単位及び脂肪族単位とは異なる追加の単位;
    を含む、ポリカーボネートポリマーであって、
    ここで、イソソルビド単位、脂肪族単位、及び追加の単位は、カーボネート、またはカーボネート単位及びエステル単位の組合せであり、
    ポリカーボネートポリマーの分子量は、ポリスチレン標準に対してゲル透過クロマトグラフィーで測定して39,000g/mol超であり、
    ポリカーボネートポリマーのガラス転移温度は、135℃以下であり、
    脂肪族単位の質量%は、ポリカーボネートポリマーの全質量に対して14〜22質量%である、ポリカーボネートポリマー。
  4. 前記脂肪族二酸は、式(11)のC36脂肪族二酸であって、式中、m及びm’は独立に0〜30であり、n及びn’は独立に0〜30であり、m+m’+n+n’の和は30であるか、或いは、前記脂肪族ジオールは、式(12)のC36脂肪族ジオールであって、式中、t及びt’は独立に0〜30であり、u及びu’は独立に0〜30であり、t+t’+u+u’の和は30である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリカーボネートポリマー。
  5. 前記イソソルビド単位は、式(2b)、式(2c)、式(2d)、またはこれらの少なくとも1種を含む組合せを含む、請求項3または4に記載のポリカーボネートポリマー。
    Figure 0005270682
  6. 前記追加の単位が、
    式(4):
    Figure 0005270682
    [式中、
    Ra及びRbは、各々独立にハロゲン原子またはC1〜12アルキルを表し;p及びqは、各々独立に0〜4の整数であり;Xaは、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、または式(5a)もしくは(5b)の基:
    Figure 0005270682
    のいずれか1つを表し、式中、Rc及びRdは、各々独立に、水素、C1〜12アルキル、C1〜12シクロアルキル、C7〜12アリールアルキル、C1〜12ヘテロアルキル、または環式C7〜12ヘテロアリールアルキルであり、Reは、2価のC1〜12炭化水素基である]
    のビスフェノール;または、
    式(8):
    Figure 0005270682
    [式中、各Rfは、独立にC1〜12アルキルまたはハロゲンであり、uは0〜4である]
    のジヒドロキシ芳香族化合物;または、
    式(4)のビスフェノール及び式(8)のジヒドロキシ芳香族化合物の組合せを含むジヒドロキシ芳香族化合物から導かれる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリカーボネートポリマー。
  7. 活性化芳香族カーボネートに由来する構造末端基を含み、前記活性化芳香族カーボネートはビス(メチルサリチル)カーボネートであり、前記構造末端基の量は、ポリカーボネートポリマーの質量に対して、2,000ppm未満である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリカーボネートポリマー。
  8. 前記イソソルビド単位は、式(2):
    Figure 0005270682
    のカーボネート基、または、
    式(11a):
    Figure 0005270682
    [式中、m及びm’は独立に0〜38であり、n及びn’は独立に0〜38であり、m+m’+n+n’の和は8〜38の整数であり、zは1以上の整数である]
    のエステル単位
    を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリカーボネートポリマー。
  9. 前記脂肪族単位は、式(12a):
    Figure 0005270682
    [式中、t及びt’は独立に0〜38であり、u及びu’は独立に0〜38であり、t+t’+u+u’の和は8〜38の整数であり、wは1以上の整数である]
    のカーボネート単位;
    式(11a):
    Figure 0005270682
    [式中、m及びm’は独立に0〜38であり、n及びn’は独立に0〜38であり、m+m’+n+n’の和は8〜38の整数であり、zは1以上の整数である]
    のエステル単位;または
    式(14):
    Figure 0005270682
    [式中、m及びm’は独立に0〜38であり、n及びn’は独立に0〜38であり、m+m’+n+n’の和は8〜38の整数であり;t及びt’は独立に0〜38であり、u及びu’は独立に0〜38であり、t+t’+u+u’の和は8〜38の整数であり、zは1以上の整数である]
    のエステル単位
    を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリカーボネートポリマー。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリカーボネートポリマー、及び追加のポリマー、添加剤、または追加のポリマー及び添加剤の組合せを含む熱可塑性組成物であって、前記追加のポリマーは、メタクリレート-ブタジエン-スチレンターポリマーを含む衝撃改質剤である、熱可塑性組成物。
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