JP5269766B2 - インスリン誘導体 - Google Patents

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Description

本発明は、生理学的pH値で可溶性であり、長時間にわたる作用プロファイルを有する、新規のヒトインスリン誘導体に関する。また、本発明は、このような誘導体を含有する薬学的組成物、本発明のインスリン誘導体を使用する糖尿病及び高血糖症を治療する方法、及び糖尿病及び高血糖症の処置におけるこのようなインスリン誘導体の使用に関する。
現在、1型糖尿病及び2型糖尿病の双方の糖尿病の処置は、いわゆる強化インスリン処置に、かなりの程度で頼っている。この治療法によれば、患者は、基礎インスリン必要量を補うための持続型インスリンの1日1又は2回の注射を含む複数回の毎日のインスリン注射に、食事に関連したインスリン必要量を補うための速効型インスリンのボーラス注射が補填された治療を受ける。
持続型インスリン組成物は当該分野でよく知られている。しかして、持続型インスリン組成物の主要な一タイプは、インスリン結晶又は非晶質インスリンの注入可能な水性懸濁液を含む。これらの組成物において、典型的に利用されるインスリン化合物は、プロタミンインスリン、亜鉛インスリン又はプロタミン亜鉛インスリンである。
インスリン懸濁液の使用に関しては、ある種の欠点がある。よって、正確な投与を確実にするためには、定められた量の懸濁液がバイアルから抜き出されるか、又はカートリッジから放出される前に、穏やかに振揺して、インスリン粒子を均質に懸濁させなければならない。また、インスリン懸濁液の保管においては、凝集体形成又は凝固を避けるために、温度を、インスリン溶液の場合よりもより狭い範囲内で保持しなければならない。
WO95/07931(Novo Nordisk A/S)には、LysB29のε-アミノ基が脂質親和性置換基を有している、ヒトインスリン誘導体が開示されている。これらのインスリン誘導体は長時間にわたる作用プロファイルを有しており、生理学的pH値で可溶性である。
WO2005/012347(Novo Nordisk A/S)で公開されている国際特許出願は、B鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基のいずれかに結合する側鎖を有するインスリン誘導体に関連している。
国際特許出願EP2006/050593(Novo Nordisk A/S)には、側鎖に少なくとも一の芳香族基を有するインスリン誘導体が開示されている。
しかしながら、現在までに知られているインスリン誘導体より長時間にわたる作用プロファイルを有するインスリンが、なおも必要とされている。
本発明は、次の式:
Figure 0005269766
[上式中:
Insは親インスリン部分であり、X-X-X-W-[CH]-X-Y-Q-Zは置換基であり、ここで、Insは、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基と、置換基のX、X又はX中のCO基との間のアミド結合を介して置換基に結合しており;
は:
・nが1、2、3、4、5又は6である、-CO-(CH)
・-CO-((CR)-NR-CO)1−4-で、R及びRが互いに独立して、また各q値も独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1−6-O-SO;-(CH)1−6-O-POHとすることができ、qが1-6であり、Rが水素、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1―6-O-SO;-(CH)1−6-O-PO;C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル;C2−6-アルキニル、又はアリール、又はCH-アリールであり、アリール基が-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよく、R及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル又はC2−6-アルキニルであるもの;
・側鎖にカルボン酸を持つアミノ酸、無電荷側鎖を持つアミノ酸、又は負電荷側鎖を持つアミノ酸のアミノ酸アミド残基であって、そのカルボン酸基と共に、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基と共同して、アミド結合を形成する残基;
・残基が上に特定したα-アミノ酸アミド残基及びアミノ酸残基からなる群から選択され、アミド結合を介して、鎖が、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基に結合している、アミド結合を介して結合した2、3又は4の残基からなる鎖、又は
・結合;
であり;
は:
・-CO-
・-COCH(R)-;
・-COCHN(CH)-;
・-COCHN(CH)COCHN(CH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CH)-;
で、RがCOOH又はCONHとすることができるもの;
・-CO-((CH)2−6-NH-CO)1−4-;
・-(CO-(CH)2−6-CO-NH)1−4−;
・-(CO-(CR10)1−6-CO-NH)1−4-;
で、RがH、-COOH、-(CH)1−6COOH、CH、-(CH)1−6CH又はCONHとすることができ、R10がH、-(CH)1−6COOH、CH又は-(CH)1−6CHとすることができるもの;
・結合;
であり;
但し、X又はX中のアミンが残りの置換基と結合を形成するならば、アミンはカルボニル基を介して残りの置換基に結合しなければならず;
は-C=Oであり、但し、X及びXが結合であるならば、Xのみが存在し;
Wは:
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1、2、3又は4の基で置換されていてもよいアリーレンで、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能なもの;
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されたヘテロアリーレンで、ここでR及びRが独立して、炭素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり、また窒素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル、C2−6-アルキニル、C(O)-C1−6-アルキル、C(O)-C2―6-アルケニル、又はC(O)-C2−6-アルキニルからなる群から選択されるもの;又は
・結合;
であり、
mは0、1、2、3、4、5又は6であり;
Xは:
・-O-;
・-C=O;
・-S-;
・-S=O;
・-SO
・次の式:
Figure 0005269766
Figure 0005269766
(上式中:Rは、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル又はC2−6-アルキニルである)
のもの;又は
・結合;
であり;
Yは:
・-(CR)-NR-CO)1−4-で、R及びRが互いに独立して、H、-COOH、又はOHとすることができ、qが1-6であり、Rが水素、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1−6-O-SO;-(CH)1−6-O-PO;C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル;C2−6-アルキニル、又はアリール、又はCH-アリールであり、ここでアリール基が、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は複数の基で置換されていてもよく、R及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであるもの;
・Rが上述したものである-NCOR;又は
・結合;
であり;
Qは、式-(CH)s1-Q-(CH)s2-Q-(CH)s3-Q-(CH)s4-Q-(CH)s5-の鎖であり;ここでQ-Qが互いに独立して、O、S、S(O)、S(O)、P(OH)、-O-P(OH)-O-、-N(COR)-、又は結合とすることができ;Rが水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニルであり;
が:
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいアリーレンで、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能なもの;
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されたヘテロアリーレンで、ここでR及びRが独立して、炭素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり、また窒素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル、C2−6-アルキニル、C(O)-C1−6-アルキル、C(O)-C2―6-アルケニル、又はC(O)-C2−6-アルキニルからなる群から選択されるもの;
とすることができ、ここでs1、s2、s3及びs4は互いに独立して、s1、s2、s3及びs4の合計が4〜22の範囲になるような、0又は1〜10の整数とすることができ;s5は0又は1〜3の整数であり、但し;
−Q、Q及びQは互いに結合を形成しなくてもよく、
−s1、s2及びs3が0又は1であるならば、いずれの-CH-も、次の原子:O、N、S、又はPの2つに結合できず、
−Qがアリーレン又はヘテロアリーレンであるならば、酸素原子を介して脂肪族鎖に結合せず;
−QがCであるならば、硫黄を介して脂肪族鎖に結合せず;
Zは:
-COOH;
-CO-Asp;
-CO-Glu;
-CO-Gly;
-CO-Sar;
-CH(COOH)
-N(CHCOOH)
-SO
-PO
O-SOH;
O-PO;又は
テトラゾ-5-リル;
である]
を有するインスリン誘導体、及びその任意のZn2+錯体に関する。
(定義)
ここで使用される「インスリンアナログ(類似体)」とは、天然に生じるインスリン中に生じる少なくとも一つのアミノ酸残基を欠失させ、及び/又は交換することにより、及び/又は少なくとも一つのアミノ酸残基を付加することによって、天然に生じるインスリン、例えばヒトインスリンの構造から形式的には誘導することができる分子構造を有するポリペプチドを意味する。付加された及び/又は交換されたアミノ酸残基は、コード可能なアミノ酸残基又は他の天然に生じるアミノ酸残基又は純粋に合成のアミノ酸残基の何れかとすることができる。本発明の態様においては、最大17のアミノ酸が修飾される。インスリンアナログは、B鎖の28位が、天然Pro残基から、Asp、Lys又はIleの一つに修飾され得るものであってよい。また、A21位のAsnは、Ala、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Met、Ser、Thr、Trp、Tyr又はVal、特にGly、Ala、Ser、又はThr、好ましくはGlyに修飾されてもよい。さらに、B3位のAsnはLys又はAspに修飾されてよい。インスリンアナログのさらなる具体例は、des(B30)ヒトインスリン;des(B30)ヒトインスリンアナログ;PheB1が欠失しているインスリンアナログ;A鎖及び/又はB鎖がN-末端伸長を有しているインスリンアナログ、及びA鎖及び/又はB鎖がC-末端伸長を有しているインスリンアナログである。例えば、1又は2のArgが、B1位に付加されていてもよい。
本発明の態様においては、最大15のアミノ酸が修飾される。本発明の態様においては、最大10のアミノ酸が修飾される。本発明の態様においては、最大8のアミノ酸が修飾される。本発明の態様においては、最大7のアミノ酸が修飾される。本発明の態様においては、最大6のアミノ酸が修飾される。本発明の態様においては、最大5のアミノ酸が修飾される。本発明の態様においては、最大4のアミノ酸が修飾される。本発明の態様においては、最大3のアミノ酸が修飾される。本発明の態様においては、最大2のアミノ酸が修飾される。本発明の態様においては、1のアミノ酸が修飾される。
「desB30インスリン」、「desB30ヒトインスリン」とは、B30アミノ酸残基を欠く天然インスリン又はそのアナログを意味する。同様に、「desB29desB30インスリン」又は「desB29desB30ヒトインスリン」とは、B29及びB30アミノ酸残基を欠く天然インスリン又はそのアナログを意味する。
「B1」、「A1」等とは、それぞれインスリンのB鎖の1位(N-末端から数える)のアミノ酸残基及びインスリンのA鎖の1位(N-末端から数える)のアミノ酸残基を意味する。特定の位置にあるアミノ酸残基は、例えばB1位のアミノ酸残基がフェニルアラニン残基であることを意味する、PheB1として表される。
ここで使用される「インスリン」とは、CysA7とCysB7の間と、CysA20とCysB19の間にジスルフィド架橋を、またCysA6とCysA11の間に内部ジスルフィド架橋を有するヒトインスリン、ブタインスリン、又はウシインスリンを意味する。
「親インスリン」とは、天然に生じるインスリン、例えばヒトインスリン又はブタインスリンを意味する。また親インスリンはインスリンアナログであってもよい。
「非荷電」なる表現は、4と9の間のpHで帯電していると思われる基又は基類が存在していないことを意味する。例えば、遊離のカルボン酸は存在していない。
「負に帯電」なる表現は、4と9の間のpHで負に帯電していると思われる少なくとも一の基が存在することを意味する。
本発明のインスリン誘導体が「生理学的pH値で可溶性である」と記載されている場合は、インスリン誘導体が生理学的pH値で十分に溶解するインスリン組成物を調製するのに使用可能であることを意味する。このような好ましい溶解度は、インスリン誘導体単独の固有の特性、又はインスリン誘導体と、ビヒクルに含まれる一又は複数の成分との好ましい相互作用の結果のいずれかによるものである。
「アミノ酸アミド残基」とは、アミノ酸のアルファ-カルボキシアミドを意味するか、もしくはアミノ酸が側鎖にカルボン酸を有しているならば、「アミノ酸アミド」とは、特定されるようにアルファ-カルボキシ基のアミド、又は側鎖カルボキシ基のアミドを意味する。
ここで使用される場合、「アリーレン」なる用語は、二価の炭素環式芳香環系、例えばフェニレン、ビフェニリレン、ナフチレン、アントラセニレン、フェナントレニレン、フルオレニレン、インデニレン、ペンタレニレン、アズレニレン等を含むことを意図している。またアリーレンは、上述にて列挙した炭素環系の部分的に水素化された誘導体を含むことも意図している。このような部分的に水素化された誘導体の非限定的例は、1,2,3,4-テトラヒドロナフチレン、1,4-ジヒドロナフチレン等である。本発明の一実施態様において、「アリーレン」はフェニレンを表す。
ここで使用される場合、「ヘテロアリーレン」とは、窒素、酸素及び硫黄から選択される一又は複数のヘテロ原子を有する複素環式芳香族環系、例えばフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、ピラニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,2,3-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,3,5-トリアジニル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、テトラゾリル、チアジアジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、プリニル(purinyl)、キナゾリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル(naphthyridinyl)、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニル、アクリジニル等を含むことを意図している。またヘテロアリールは、上述にて列挙された複素環系の部分的に水素化された誘導体を含むことを意図している。このような部分的に水素化された誘導体の非限定的例は、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサニル、メチレンジオキシベンゼン、ジフェニレンオキシド、ピロリニル、ピラゾリニル、インドリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゼピニル等である。
本発明の一実施態様において、「ヘテロアリール」とは、フリル、チエニル、チアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサニル、メチレンジオキシベンゼン、ジフェニレンオキシド、ピロリニル、ピラゾリニル、インドリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゼピニルを表す。
「ハロゲン」とは、F、Cl、Br及びIからなる群から選択される原子である。
ここで使用される場合「C1−6-アルキル」なる用語は、1〜6の炭素原子を有する、飽和した分枝状又は直鎖状の炭化水素基を表す。代表例には、限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル等が含まれる。
ここで使用される場合、「C2−6-アルケニル」なる用語は、2〜6の炭素原子と少なくとも一の二重結合を有する、分枝状又は直鎖状の炭化水素基を表す。このような基の例には、限定されるものではないが、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、イソ-プロペニル、1,3-ブタジエニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、2,4-ヘキサジエニル、5-ヘキセニル等が含まれる。
ここで使用される場合、「C2−6-アルキニル」なる用語は、2〜6の炭素原子と少なくとも一の三重結合を有する、分枝状又は直鎖状の炭化水素基を表す。このような基の例には、限定されるものではないが、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、2,4-ヘキサジニル等が含まれる。
以下の略語が、明細書及び実施例で使用される:
CV カラム容量
EDTA エチレンジアミン四酢酸
HI ヒトインスリン
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
HSA ヒト血清アルブミン
LC 液体クロマトグラフィー
MALDI マトリックス支援レーザー脱離イオン化
MS 質量分析
NMP N-メチル-2-ピロリドン
RT 室温
SEC サイズ排除クロマトグラフィー
SPA シンチレーション近接アッセイ
Tris トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
vol% 容量パーセンテージ
O.D. 光学密度=吸光度
X2モノマー AspB9 GluB27ヒトインスリン
hGlu ホモ-グルタミン酸
Aad アルファ-アミノ-アジピン酸(ホモグルタミン酸)
Bzl=Bn ベンジル
DIEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
IDA イミノ二酢酸
Sar サルコシン(N-メチル-グリシン)
tBu tert-ブチル
HSTU O-(N-スクシンイミジル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム-ヘ キサフルオロホスファート
TSTU O-(N-スクシンイミジル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム-テ トラフルオロボラート
THF テトラヒドロフラン
EtOAc 酢酸エチル
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
HOAt 1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール
TEA トリエチルアミン
Su N-スクシンイミジル=2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル
TFA トリフルオロ酢酸
DCM ジクロロメタン
DMSO ジメチルスルホキシド
TCL 薄層クロマトグラフィー
RT 室温
ここに引用された刊行物、特許出願及び特許を含む全ての参照は、各文献が、出典明示により個々にかつ特に援用され、その全内容がここに記載されているかの如く、その全体が出典明示によりその全内容がここに援用される(法律により許容される最大範囲)。
全ての表題及び副題は、ここでは便宜的に使用され、決して本発明を限定するものと解すべきではない。
ここに提供される任意かつ全ての例、又は例示的言語(例えば「等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特に請求項に記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も請求項に記載していない要素が本発明の実施に必須であることを示しているものと解すべきではない。
ここでの特許文献の引用及び援用は単に便宜上なされているもので、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使性についての見解を反映させるものではない。
この発明は、適用される法律に容認される場合、ここに付加される請求項に列挙された主題事項の全ての修正点及び等価物を含む。
(発明の記載)
本発明は、インスリン誘導体分子中の置換基に末端芳香族基を設けることが、持続型インスリンの作用のインビボ持続時間と、鈍化させることのない速効型インスリンと持続型インスリンとの混合可能性について重要な役割を担っているとの知見に基づいている。
有利には、本発明のインスリン誘導体は生理学的pH値で可溶性であり、ヒトインスリンのものに匹敵する有効性を有し、鈍化させることなく速攻型インスリンと混合可能である。混合された基礎及びボーラスインスリンの個々の作用プロファイルは、インスリン六量体当たり3を越えるZn(II)を含有する製剤と比較して、製剤中での沈殿リスクを制限するZn(II)をインスリン六量体当たり約3まで又はそれ未満のZn(II)濃度で含む製剤において保持される。
本発明は、次の式:
Figure 0005269766
[上式中:
Insは親インスリン部分であり、X-X-X-W-[CH]-X-Y-Q-Zは置換基であり、ここで、Insは、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基と、置換基のX、X又はX中のCO基との間のアミド結合を介して置換基に結合しており;
は:
・nが1、2、3、4、5又は6である、-CO-(CH)
・-CO-((CR)-NR-CO)1−4-で、R及びRが互いに独立して、また各q値も独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1−6-O-SO;-(CH)1−6-O-POHとすることができ、qが1-6であり、Rが水素、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1―6-O-SO;-(CH)1−6-O-PO;C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル;C2−6-アルキニル、又はアリール、又はCH-アリールであり、アリール基が-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよく、R及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル又はC2−6-アルキニルであるもの;
・側鎖にカルボン酸を持つアミノ酸、無電荷側鎖を持つアミノ酸、又は負電荷側鎖を持つアミノ酸のアミノ酸アミド残基であって、そのカルボン酸基と共に、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基と共同して、アミド結合を形成する残基;
・残基が上に特定したα-アミノ酸アミド残基及びアミノ酸残基からなる群から選択され、アミド結合を介して、鎖が、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基に結合している、アミド結合を介して結合した2、3又は4の残基からなる鎖、又は
・結合;
であり;
は:
・-CO-
・-COCH(R)-;
・-COCHN(CH)-;
・-COCHN(CH)COCHN(CH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CH)-;
で、RがCOOH又はCONHとすることができるもの;
・-CO-((CH)2−6-NH-CO)1−4-;
・-(CO-(CH)2−6-CO-NH)1−4−;
・-(CO-(CR10)1−6-CO-NH)1−4-;
で、RがH、-COOH、-(CH)1−6COOH、CH、-(CH)1−6CH又はCONHとすることができ、R10がH、-(CH)1−6COOH、CH又は-(CH)1−6CHとすることができるもの;
・結合;
であり;
但し、X又はX中のアミンが残りの置換基と結合を形成するならば、アミンはカルボニル基を介して残りの置換基に結合しなければならず;
は-C=Oであり、但し、X及びXが結合であるならば、Xのみが存在し;
Wは:
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1、2、3又は4の基で置換されていてもよいアリーレンで、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能なもの;
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されたヘテロアリーレンで、ここでR及びRが独立して、炭素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり、また窒素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル、C2−6-アルキニル、C(O)-C1−6-アルキル、C(O)-C2―6-アルケニル、又はC(O)-C2−6-アルキニルからなる群から選択されるもの;又は
・結合;
であり;
mは0、1、2、3、4、5又は6であり;
Xは:
・-O-;
・-C=O;
・-S-;
・-S=O;
・-SO
・次の式:
Figure 0005269766
Figure 0005269766
(上式中:Rは、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル又はC2−6-アルキニルである)
のもの;又は
・結合;
であり;
Yは:
・-(CR)-NR-CO)1−4-で、R及びRが互いに独立して、H、-COOH、又はOHとすることができ、qが1-6であり、Rが水素、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1−6-O-SO;-(CH)1−6-O-PO;C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル;C2−6-アルキニル、又はアリール、又はCH-アリールであり、ここでアリール基が、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は複数の基で置換されていてもよく、R及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであるもの;
・Rが上述したものである-NCOR;又は
・結合;
であり;
Qは、式-(CH)s1-Q-(CH)s2-Q-(CH)s3-Q-(CH)s4-Q-(CH)s5-の鎖であり;ここでQ-Qが互いに独立して、O、S、S(O)、S(O)、P(OH)、-O-P(OH)-O-、-N(COR)-、又は結合とすることができ;Rが水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニルであり;
が:
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいアリーレンで、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能なもの;又は
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されたヘテロアリーレンで、ここでR及びRが独立して、炭素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり、また窒素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル、C2−6-アルキニル、C(O)-C1−6-アルキル、C(O)-C2―6-アルケニル、又はC(O)-C2−6-アルキニルからなる群から選択されるもの;
とすることができ、ここで、s1、s2、s3及びs4は互いに独立して、s1、s2、s3及びs4の合計が4〜22の範囲になるような、0又は1〜10の整数とすることができ;s5は0又は1〜3の整数であり、但し;
−Q、Q及びQは互いに結合を形成しなくてもよく、
−s1、s2及びs3が0又は1であるならば、いずれの-CH-も、次の原子:O、N、S、又はPの2つに結合できず、
−Qがアリーレン又はヘテロアリーレンであるならば、酸素原子を介して脂肪族鎖に結合せず;
−QがCであるならば、硫黄を介して脂肪族鎖に結合せず;
Zは:
-COOH;
-CO-Asp;
-CO-Glu;
-CO-Gly;
-CO-Sar;
-CH(COOH)
-N(CHCOOH)
-SO
-PO
O-SOH;
O-PO;又は
テトラゾ-5-リル;
である]
を有するインスリン誘導体、及びその任意のZn2+錯体に関する。
一態様において、本発明は、次の式:
Figure 0005269766
[上式中:
Insは親インスリン部分であり、X-X-X-Q-Zは置換基であり、ここで、Insは、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基と、置換基のX、X又はX中のCO基との間のアミド結合を介して置換基に結合しており;
は:
・nが1、2、3、4、5又は6である、-CO-(CH)
・-CO-((CR)-NR-CO)1−4-で、R及びRが互いに独立して、また各q値も独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1−6-O-SO;-(CH)1−6-O-POHとすることができ、qが1-6であり、Rが水素、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1―6-O-SO;-(CH)1−6-O-PO;C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル;C2−6-アルキニル、又はアリール、又はCH-アリールであり、アリール基が-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよく、R及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル又はC2−6-アルキニルであるもの;
・側鎖にカルボン酸を持つアミノ酸、無電荷側鎖を持つアミノ酸、又は負電荷側鎖を持つアミノ酸のアミノ酸アミド残基であって、そのカルボン酸基と共に、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基と共同して、アミド結合を形成する残基;
・残基が上に特定したα-アミノ酸アミド残基及びアミノ酸残基からなる群から選択され、アミド結合を介して、鎖が、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基に結合している、アミド結合を介して結合した2、3又は4の残基からなる鎖、又は
・結合;
であり;
は:
・-CO-
・-COCH(R)-;
・-COCHN(CH)-;
・-COCHN(CH)COCHN(CH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CH)-;
で、RがCOOH又はCONHとすることができるもの;
・-CO-((CH)2−6-NH-CO)1−4-;
・-(CO-(CH)2−6-CO-NH)1−4−;
・-(CO-(CR10)1−6-CO-NH)1−4-;
で、RがH、-COOH、-(CH)1−6COOH、CH、-(CH)1−6CH又はCONHとすることができ、R10がH、-(CH)1−6COOH、CH又は-(CH)1−6CHとすることができるもの;
・結合;
であり;
但し、X又はX中のアミンが残りの置換基と結合を形成するならば、アミンはカルボニル基を介して残りの置換基に結合しなければならず;
は-C=Oであり、但し、X及びXが結合であるならば、Xのみが存在し;
Qは、式-(CH)s1-Q-(CH)s2-Q-(CH)s3-Q-(CH)s4-Q-(CH)s5-の鎖であり;ここでQ-Qが互いに独立して、O、S、S(O)、S(O)、P(OH)、-O-P(OH)-O-、-N(COR)-、又は結合とすることができ;Rが水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニルであり;
が:
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいアリーレンで、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能なもの;又は
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されたヘテロアリーレンで、ここでR及びRが独立して、炭素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり、また窒素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル、C2−6-アルキニル、C(O)-C1−6-アルキル、C(O)-C2―6-アルケニル、又はC(O)-C2−6-アルキニルからなる群から選択されるもの;
とすることができ、ここでs1、s2、s3及びs4は互いに独立して、s1、s2、s3及びs4の合計が4〜22の範囲になるような、0又は1〜10の整数とすることができ;s5は0又は1〜3の整数であり、但し;
−Q、Q及びQは互いに結合を形成しなくてもよく、
−s1、s2及びs3が0又は1であるならば、いずれの-CH-も、次の原子:O、N、S、又はPの2つに結合できず、
−Qがアリーレン又はヘテロアリーレンであるならば、酸素原子を介して脂肪族鎖に結合せず;
−QがCであるならば、硫黄を介して脂肪族鎖に結合せず;
Zは:
-COOH;
-CO-Asp;
-CO-Glu;
-CO-Gly;
-CO-Sar;
-CH(COOH)
-N(CHCOOH)
-SO
-PO
O-SOH;
O-PO;又は
テトラゾ-5-リル;
である]
を有するインスリン誘導体、及びその任意のZn2+錯体に関する。
一態様において、本発明のインスリン誘導体は、
εB29-(12-(4-カルボキシフェニル)ドデカノイル-γ-Glu)desB30インスリン、
εB29-(−11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイル-γ-Glu)desB30インスリン、
εB29-(12-(3-カルボキシフェニル)ドデカノイル-γ-Glu desB30インスリン、
εB29-(9−[4-(2-カルボキシエチル)フェニル]ノナノイル)-γ-Glu)desB30インスリン、
εB29-(4-[11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイルアミノ]ブチリル)desB30インスリン、
εB29−[12-(5-カルボキシチオフェン-2-イル)ドデカノイル]desB30インスリン、又は
εB29-[12-(5-カルボキシチオフェン-2-イル)ドデカノイル-γ-Glu]desB30インスリン、
からなる群から選択される。
本発明を次の段落に要約する:
1.親インスリンと置換基を有し、該置換基が生理学的pHで負に帯電している末端基;芳香族基と末端基との間に0、1、2又は3の炭素原子を有する芳香族基;少なくとも4のCH基を有する脂肪族鎖;及びリンカーを有し、脂肪族鎖がリンカーを介して親インスリンに結合しており、但し1)芳香族基がアリーレン又はヘテロアリーレンであるならば、酸素を介して脂肪族鎖に結合せず、また2)芳香族基がCであるならば、硫黄を介して脂肪族鎖に結合しないインスリン誘導体。
2.芳香族基がアリーレン又はヘテロアリーレンである、第1項に記載のインスリン誘導体。
3.置換基が1以上の芳香族基を有する、第1又は2項に記載のインスリン誘導体。
4.末端基が-COOHである、第2項に記載のインスリン誘導体。
5.アリーレンが、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORから選択される1又は2の基で置換されていてもよく、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルである、第2項に記載のインスリン誘導体。
6.アリーレンが、C1−3-アルキル、C2−3-アルケニル、C2−3-アルキニル、又は-ORから選択される1又は2の基で置換されていてもよく、ここでRがC1−3-アルキル、C2−3-アルケニル、又はC2−3-アルキニルとすることができる、第5項に記載のインスリン誘導体。
7.ヘテロアリーレン基が、窒素、硫黄又は酸素を有している、第2項に記載のインスリン誘導体。
8.炭素又は窒素原子が置換されていてもよい、第7項に記載のインスリン誘導体。
9.ヘテロアリーレンが、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されており、ここでR及びRが独立して、炭素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり、また窒素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル、C2−6-アルキニル、C(O)-C1−6-アルキル、C(O)-C2―6-アルケニル、又はC(O)-C2−6-アルキニルからなる群から選択される、第8項に記載のインスリン誘導体。
10.リンカーが、次の:負電荷側鎖を有するアミノ酸、又は無電荷側鎖を有するアミノ酸、又は側鎖にカルボン酸を有するアミノ酸のアミノ酸アミド残基から選択されるアミド結合を介して互いに結合している、1-4の残基を含む、第1−10項に記載のインスリン誘導体。
11.リンカーが、β-D-Asp-アミド、β-L-Asp-アミド、γ-L-Glu-アミド、及びγ-D-Glu-アミドからなる群から選択される、第10項に記載のインスリン誘導体。
12.リンカーがアミド結合を介して結合している1-4のアミノ酸残基を含む、第1−11項に記載のインスリン誘導体。
13.リンカーが、少なくとも一の遊離のカルボン酸基又は中性のpHで負に帯電している基を含む、第12項に記載のインスリン誘導体。
14.リンカーがアミド結合を介して結合している1-4のアミノ酸アミド残基を含む、第1−11項に記載のインスリン誘導体。
15.リンカーがアミドを含む、第1−11に記載のインスリン誘導体。
16.リンカーが、式-CONR、-SONR又は-SONRのアミド又はN-置換されたアミドを有し、ここでR 及びRが互いに独立して、水素、-CH、-CH1−6CH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル又はC2−6-アルキニルとすることができ、またR及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能である、第1−11項の何れかに記載のインスリン誘導体。
17.R及びRが水素である、第16項に記載のインスリン誘導体。
18.置換基がLysB29のε-アミノ基に結合している、上述した項の何れかに記載のインスリン誘導体。
19.次の式:
Figure 0005269766
[上式中:
Insは親インスリン部分であり、X-X-X-W-[CH]-X-Y-Q-Zは置換基であり、ここで、Insは、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基と、置換基のX、X又はX中のCO基との間のアミド結合を介して置換基に結合しており;
は:
・nが1、2、3、4、5又は6である、-CO-(CH)
・-CO-((CR)-NR-CO)1−4-で、R及びRが互いに独立して、また各q値も独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1−6-O-SO;-(CH)1−6-O-POHとすることができ、qが1-6であり、Rが水素、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1―6-O-SO;-(CH)1−6-O-PO;C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル;C2−6-アルキニル、又はアリール、又はCH-アリールであり、アリール基が-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよく、R及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル又はC2−6-アルキニルであるもの;
・側鎖にカルボン酸を持つアミノ酸、無電荷側鎖を持つアミノ酸、又は負電荷側鎖を持つアミノ酸のアミノ酸アミド残基であって、そのカルボン酸基と共に、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基と共同して、アミド結合を形成する残基;
・残基が上に特定したα-アミノ酸アミド残基及びアミノ酸残基からなる群から選択され、アミド結合を介して、鎖が、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基に結合している、アミド結合を介して結合した2、3又は4の残基からなる鎖、又は
・結合;
であり;
は:
・-CO-
・-COCHN(CH)-;
・-COCHN(CH)COCHN(CH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CH)-;
で、RがCOOH又はCONHとすることができるもの;
・-CO-((CH)2−6-NH-CO)1−4-;
・-(CO-(CH)2−6-CO-NH)1−4−;
・-(CO-(CR10)1−6-CO-NH)1−4-;
で、RがH、-COOH、-(CH)1−6COOH、CH、-(CH)1−6CH又はCONHとすることができ、R10がH、-(CH)1−6COOH、CH又は-(CH)1−6CHとすることができるもの;又は
・結合;
であり;
但し、X又はX中のアミンが残りの置換基と結合を形成するならば、アミンはカルボニル基を介して残りの置換基に結合しなければならず;
は-C=Oであり、但し、X及びXが結合であるならば、Xのみが存在し;
Wは:
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1、2、3又は4の基で置換されていてもよいアリーレンで、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能なもの;
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されたヘテロアリーレンで、ここでR及びRが独立して、炭素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり、また窒素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル、C2−6-アルキニル、C(O)-C1−6-アルキル、C(O)-C2―6-アルケニル、又はC(O)-C2−6-アルキニルからなる群から選択されるもの;又は
・結合;
であり;
mは0、1、2、3、4、5又は6であり;
Xは:
・-O-;
・-C=O;
・-S-;
・-S=O;
・-SO
・次の式:
Figure 0005269766
Figure 0005269766
(上式中:Rは、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル又はC2−6-アルキニルである)
のもの;又は
・結合;
であり;
Yは:
・-(CR)-NR-CO)1−4-で、R及びRが互いに独立して、H、-COOH、又はOHとすることができ、qが1-6であり、Rが水素、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1−6-O-SO;-(CH)1−6-O-PO;C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル;C2−6-アルキニル、又はアリール、又はCH-アリールであり、ここでアリール基が、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は複数の基で置換されていてもよく、R及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであるもの;
・Rが上述したものである-NCOR;又は
・結合;
であり;
Qは、式-(CH)s1-Q-(CH)s2-Q-(CH)s3-Q-(CH)s4-Q-(CH)s5-の鎖であり;ここでQ-Qが互いに独立して、O、S、S(O)、S(O)、P(OH)、-O-P(OH)-O-、-N(COR)-、又は結合とすることができ;Rが水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニルであり;
が:
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいアリーレンで、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能なもの;又は
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されたヘテロアリーレンで、ここでR及びRが独立して、炭素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり、また窒素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル、C2−6-アルキニル、C(O)-C1−6-アルキル、C(O)-C2―6-アルケニル、又はC(O)-C2−6-アルキニルからなる群から選択されるもの;
とすることができ、ここで、s1、s2、s3及びs4は互いに独立して、s1、s2、s3及びs4の合計が4〜22の範囲になるような、0又は1〜10の整数とすることができ;s5は0又は1〜3の整数であり、但し;
−Q、Q及びQは互いに結合を形成しなくてもよく、
−s1、s2及びs3が0又は1であるならば、いずれの-CH-も、次の原子:O、N、S、又はPの2つに結合できず、
−Qがアリーレン又はヘテロアリーレンであるならば、酸素原子を介して脂肪族鎖に結合せず;
−QがCであるならば、硫黄を介して脂肪族鎖に結合せず;
Zは:
-COOH;
-CO-Asp;
-CO-Glu;
-CO-Gly;
-CO-Sar;
-CH(COOH)
-N(CHCOOH)
-SO
-PO
O-SOH;
O-PO;又は
テトラゾ-5-リル;
である]
を有するインスリン誘導体、及びその任意のZn2+錯体。
20.次の式:
Figure 0005269766
[上式中:
Insは親インスリン部分であり、X-X-X-Q-Zは置換基であり、ここで、Insは、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基と、置換基のX、X又はX中のCO基との間のアミド結合を介して置換基に結合しており;
は:
・nが1、2、3、4、5又は6である、-CO-(CH)
・-CO-((CR)-NR-CO)1−4-で、R及びRが互いに独立して、また各q値も独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1−6-O-SO;-(CH)1−6-O-POHとすることができ、qが1-6であり、Rが水素、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1―6-O-SO;-(CH)1−6-O-PO;C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル;C2−6-アルキニル、又はアリール、又はCH-アリールであり、アリール基が-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよく、R及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル又はC2−6-アルキニルであるもの;
・側鎖にカルボン酸を持つアミノ酸、無電荷側鎖を持つアミノ酸、又は負電荷側鎖を持つアミノ酸のアミノ酸アミド残基であって、そのカルボン酸基と共に、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基と共同して、アミド結合を形成する残基;
・残基が上に特定したα-アミノ酸アミド残基及びアミノ酸残基からなる群から選択され、アミド結合を介して、鎖が、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基に結合している、アミド結合を介して結合した2、3又は4の残基からなる鎖、又は
・結合;
であり;
は:
・-CO-
・-COCH(R)-;
・-COCHN(CH)-;
・-COCHN(CH)COCHN(CH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CH)-;
で、RがCOOH又はCONHとすることができるもの;
・-CO-((CH)2−6-NH-CO)1−4-;
・-(CO-(CH)2−6-CO-NH)1−4−;
・-(CO-(CR10)1−6-CO-NH)1−4-;
で、RがH、-COOH、-(CH)1−6COOH、CH、-(CH)1−6CH又はCONHとすることができ、R10がH、-(CH)1−6COOH、CH又は-(CH)1−6CHとすることができるもの;
・結合;
であり;
但し、X又はX中のアミンが残りの置換基と結合を形成するならば、アミンはカルボニル基を介して残りの置換基に結合しなければならず;
は-C=Oであり、但し、X及びXが結合であるならば、Xのみが存在し;
Qは、式-(CH)s1-Q-(CH)s2-Q-(CH)s3-Q-(CH)s4-Q-(CH)s5-の鎖であり;ここでQ-Qが互いに独立して、O、S、S(O)、S(O)、P(OH)、-O-P(OH)-O-、-N(COR)-、又は結合とすることができ;Rが水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニルであり;
が:
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいアリーレンで、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能なもの;又は
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されたヘテロアリーレンで、ここでR及びRが独立して、炭素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり、また窒素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル、C2−6-アルキニル、C(O)-C1−6-アルキル、C(O)-C2―6-アルケニル、又はC(O)-C2−6-アルキニルからなる群から選択されるもの;
とすることができ、ここで、s1、s2、s3及びs4は互いに独立して、s1、s2、s3及びs4の合計が4〜22の範囲になるような、0又は1〜10の整数とすることができ;s5は0又は1〜3の整数であり、但し;
−Q、Q及びQは互いに結合を形成しなくてもよく、
−s1、s2及びs3が0又は1であるならば、いずれの-CH-も、次の原子:O、N、S、又はPの2つに結合できず、
−Qがアリーレン又はヘテロアリーレンであるならば、酸素原子を介して脂肪族鎖に結合せず;
−QがCであるならば、硫黄を介して脂肪族鎖に結合せず;
Zは:
-COOH;
-CO-Asp;
-CO-Glu;
-CO-Gly;
-CO-Sar;
-CH(COOH)
-N(CHCOOH)
-SO
-PO
O-SOH;
O-PO;又は
テトラゾ-5-リル;
である]
を有する、第19項に記載のインスリン誘導体、及びその任意のZn2+錯体
21.Xが、側鎖にカルボン酸を有するアミノ酸のアミノ酸アミド残基である、第19−20項に記載のインスリン誘導体。
22.Xが、β-D-Asp-アミド、β-L-Asp-アミド、γ-L-Glu-アミド、及びγ-D-Glu-アミドからなる群から選択される、第19−21項の何れかに記載のインスリン誘導体。
23.Xが、それらの側鎖にカルボン酸を有するアミノ酸の、2、3又は4のアミノ酸アミド残基からなる鎖である、第19−20項に記載のインスリン誘導体。
24.Xが、β-L-Asp-アミド-β-L-Asp-アミド、β-L-Asp-アミド-γ-L-Glu-アミド、γ-L-Glu-アミド-γ-L-Glu-アミド、γ-L-Glu-アミド-β-L-Asp-アミド、β-L-Asp-アミド-β-D-Asp-アミド、β-L-Asp-アミド-γ-D-Glu-アミド、γ-L-Glu-アミド-γ-D-Glu-アミド、γ-L-Glu-アミド-β-D-Asp-アミド、β-D-Asp-アミド-β-L-Asp-アミド、β-D-Asp-アミド-γ-L-Glu-アミド、γ-D-Glu-アミド-γ-L-Glu-アミド、γ-D-Glu-アミド-β-L-Asp-アミド、β-D-Asp-アミド-β-D-Asp-アミド、β-D-Asp-アミド-γ-D-Glu-アミド、γ-D-Glu-アミド-γ-D-Glu-アミド、γ-D-Glu-アミド-β-D-Asp-アミドからなる群から選択される、2のアミノ酸アミド残基の鎖である、第19−20又は23項に記載のインスリン誘導体。
25.Xが2〜10の炭素原子を有するアミノ酸残基である、第19−20項に記載のインスリン誘導体。
26.Xが、α-Asp、β-Asp、α-Glu、γ-Glu、α-hGlu及びδ-hGluからなる群から選択される、第25項に記載のインスリン誘導体。
27.Xがγ-Gluである、第25項に記載のインスリン誘導体。
28.Xが、負電荷側鎖を有するアミノ酸、無電荷側鎖を有するアミノ酸、側鎖にカルボン酸を有するアミノ酸のアミノ酸アミド残基からなる群から選択される、2、3又は4の残基からなる鎖である、第19−20項に記載のインスリン誘導体。
29.Xが2つのα-アミノ酸残基からなる鎖であり、一方が、4〜10の炭素原子及び遊離のカルボン酸基を有し、他方が2〜11の炭素原子を有するが、遊離のカルボン酸基を有さない、第28項に記載のインスリン誘導体。
30.Xが、α-Asp-Gly;Gly-α-Asp;β-Asp-Gly;Gly-β-Asp;α-Glu-Gly;Gly-α-Glu;γ-Glu-Gly;Gly-γ-Glu;α-hGlu-Gly;Gly-α-hGlu;δ-hGlu-Gly;及びGly-δ-hGluからなる群から選択される、第29項に記載のインスリン誘導体。
31.Xが2つのα-アミノ酸残基からなる鎖であり、該残基は独立して4〜10の炭素原子を有し、また双方が遊離のカルボン酸基を有する、第28項に記載のインスリン誘導体。
32.Xが、α-Asp-α-Asp;α-Asp-α-Glu;α-Asp-α-hGlu;α-Asp-β-Asp;α-Asp-γ-Glu;α-Asp-δ-hGlu;β-Asp-α-Asp;β-Asp-α-Glu;β-Asp-α-hGlu;β-Asp-β-Asp;β-Asp-γ-Glu;β-Asp-δ-hGlu;α-Glu-α-Asp;α-Glu-α-Glu;α-Glu-α-hGlu;α-Glu-β-Asp;α-Glu-γ-Glu;α-Glu-δ-hGlu;γ-Glu-α-Asp;γ-Glu-α-Glu;γ-Glu-α-hGlu;γ-Glu-β-Asp;γ-Glu-γ-Glu;γ-Glu-δ-hGlu;α-hGlu-α-Asp;α-hGlu-α-Glu;α-hGlu-α-hGlu;α-hGlu-β-Asp;α-hGlu-γ-Glu;α-hGlu-δ-hGlu;δ-hGlu-α-Asp;δ-hGlu-α-Glu;δ-hGlu-α-hGlu;δ-hGlu-β-Asp;δ-hGlu-γ-Glu;及びδ-hGlu-δ-hGluからなる群から選択される、第31項に記載のインスリン誘導体。
33.Xが-CO-((CR)-NR-CO)1−4-であり、R及びRが互いに独立して、また各q値も独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1−6-O-SO;-(CH)1−6-O-POHとすることができ、qが1-6であり、Rが水素、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1―6-O-SO;-(CH)1−6-O-PO;C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル;C2−6-アルキニル、又はアリール、又はCH-アリールであり、アリール基が-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよく、R及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル又はC2−6-アルキニルである、第19−20項に記載のインスリン誘導体。
34.Xが-CO-(CH)-(CHCOOH)-NH-CO-である、第33項に記載のインスリン誘導体。
35.Xが結合である、第19−34項の何れかに記載のインスリン誘導体。
36.Xが:
・-CO-
・-COCHN(CH)-;
・-COCHN(CH)COCHN(CH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CH)-;
で、RがCOOH又はCONHとすることができるもの;
・-CO-((CH)2−6-NH-CO)1−4-;
・-(CO-(CH)2−6-CO-NH)1−4−;
・-(CO-(CR10)1−6-CO-NH)1−4-;
で、RがH、-COOH、-(CH)1−6COOH、CH、-(CH)1−6CH又はCONHとすることができ、R10がH、-(CH)1−6COOH、CH又は-(CH)1−6CHとすることができるもの;
・結合;
である、第19−20項に記載のインスリン誘導体。
37.Xが、-(CO-(CH)-NH-CO)-、又は-(CO-(CH)-NH-CO)-からなる群から選択される、第36項に記載のインスリン誘導体。
38.Xが-CO-である、第36項に記載のインスリン誘導体。
39.Xが結合である、第36−38項に記載のインスリン誘導体。
40.Wがフェニレンである、第19及び21−39項に記載のインスリン誘導体。
41.Wが、窒素、酸素又は硫黄を有する5-7員の複素環系である、第40項に記載のインスリン誘導体。
42.Wが、少なくとも一の酸素又は硫黄を有する5員の複素環系である、第41項に記載のインスリン誘導体。
43.Wが結合である、第19及び21−39項に記載のインスリン誘導体。
44.mが0、1又は2である、第19及び21−43項に記載のインスリン誘導体。
45.Xが-CO-又は結合である、第19及び21−44項に記載のインスリン誘導体。
46.Yが結合である、第19及び21−45項に記載のインスリン誘導体。
47.Qが、式-(CH)s1-Q-(CH)s2-Q-(CH)s3-Q-(CH)s4-Q-(CH)s5-の鎖であり;ここでQ-Qが互いに独立して、O、S、S(O)、S(O)、P(OH)、-O-P(OH)-O-、-N(COR)-、又は結合とすることができ;Rが水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニルであり;
が:
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいアリーレンで、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能なもの;又は
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されたヘテロアリーレンで、ここでR及びRが独立して、炭素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり、また窒素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル、C2−6-アルキニル、C(O)-C1−6-アルキル、C(O)-C2―6-アルケニル、又はC(O)-C2−6-アルキニルからなる群から選択されるもの;
とすることができ、ここで、s1、s2、s3及びs4は互いに独立して、s1、s2、s3及びs4の合計が4〜22の範囲になるような、0又は1〜10の整数とすることができ;s5は0又は1〜3の整数であり、但し、Q、Q及びQは互いに結合を形成しなくてもよく、s1、s2及びs3が0又は1であるならば、いずれの-CH-も、次の原子:O、N、S、又はPの2つに結合できない、第19−46項の何れかに記載のインスリン誘導体。
48.Qがアリーレンである、第47項に記載のインスリン誘導体。
49.QがCである、第47又は48項に記載のインスリン誘導体。
50.Qが、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいアリーレンであり、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能である、第47又は48項に記載のインスリン誘導体。
51.Qがヘテロアリーレンである、第47項に記載のインスリン誘導体。
52.ヘテロアリーレン基が、窒素、硫黄又は酸素を有する、第51項に記載のインスリン誘導体。
53.ヘテロアリーレンが、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換され、ここでR及びRが独立して、炭素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり、また窒素原子上の置換については、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル、C2−6-アルキニル、C(O)-C1−6-アルキル、C(O)-C2―6-アルケニル、又はC(O)-C2−6-アルキニルからなる群から選択される、第51項に記載のインスリン誘導体。
54.Qが5-7員環系である、第46−53項に記載のインスリン誘導体。
55.Qが5員環系である、第54項に記載のインスリン誘導体。
56.Qが二環系である、第46−55項に記載のインスリン誘導体。
57.二環系が2つの5-7員環系を含む、第56項に記載のインスリン誘導体。
58.二環系が1つの6員環と1つの5員環を含み、5員環が窒素、酸素又は硫黄を有することができる、第57項に記載のインスリン誘導体。
59.二環系が6員及び5員環からなり、5員環が置換基の末端にある、第56-58項に記載のインスリン誘導体。
60.Zが置換基に存在しない、第59項に記載のインスリン誘導体。
61.6員環が窒素を有する、第60項に記載のインスリン誘導体。
62.Q、Q及びQが全て結合である、第46−61項に記載のインスリン誘導体。
63.s2、s3及びs4が1である、第46−62項に記載のインスリン誘導体。
64.s1が5、6、7又は8であり、s5が0、1又は2である、第46−63項に記載のインスリン誘導体。
65.s5が0である、第46−64項に記載のインスリン誘導体。
66.s5が1又は2である、第46−64項に記載のインスリン誘導体。
67.Q及びQが酸素である、第46−61及び63−66項に記載のインスリン誘導体。
68.Zが-COOHである、第19−59及び61−67項に記載のインスリン誘導体。
69.Zが-CO-Aspである、第19−59及び61−67項に記載のインスリン誘導体。
70.Zが-CO-Gluである、第19−59及び61−67項に記載のインスリン誘導体。
71.Zが-CO-Glyである、第19−59及び61−67項に記載のインスリン誘導体。
72.Zが-CO-Sarである、第19−59及び61−67項に記載のインスリン誘導体。
73.Zが-CH(COOH)である、第19−59及び61−67項に記載のインスリン誘導体。
74.Zが-N(CHCOOH)である、第19−59及び61−67項に記載のインスリン誘導体。
75.Zが-SOHである、第19−59及び61−67項に記載のインスリン誘導体。
76.Zが-POである、第19−59及び61−67項に記載のインスリン誘導体。
77.ZがO-SOHである、第19−59及び61−67項に記載のインスリン誘導体。
78.ZがO-POである、第19−59及び61−67項に記載のインスリン誘導体。
79.Zが-テトラゾ-5-リルである、第19−59及び61−67項に記載のインスリン誘導体。
80.親インスリンがヒトインスリン又はブタインスリン又はインスリンアナログである、第1−79項の何れかに記載のインスリン誘導体。
81.親インスリンのB30位にあるアミノ酸残基がLysであるか、又は欠失している、第79−80項の何れかに記載のインスリン誘導体。
82.親インスリンがdesB30ヒトインスリンである、第81項に記載のインスリン誘導体。
83.親インスリンのB1位にあるアミノ酸残基が欠失している、第79−82項の何れかに記載のインスリン誘導体。
84.親インスリンのA21位にあるアミノ酸残基がGly又はAsnである、第79−83項の何れかに記載のインスリン誘導体。
85.親インスリンのB3位にあるアミノ酸残基がLysである、第79−84項の何れかに記載のインスリン誘導体。
86.親インスリンのB28位にあるアミノ酸残基がAsp又はLysである、第79−85項の何れかに記載のインスリン誘導体。
87.親インスリンのB29位にあるアミノ酸残基がPro又はThrである、第79−86項の何れかに記載のインスリン誘導体。
88.親インスリンがAspB28ヒトインスリンである、第86項に記載のインスリン誘導体。
89.親インスリンが、GlyA21ヒトインスリン、又はGlyA21desB30ヒトインスリン、又はGlyA21ArgB31ArgB32ヒトインスリンである、第84項に記載のインスリン誘導体。
90.親インスリンがLysB3GluB29ヒトインスリンである、第85項に記載のインスリン誘導体。
91.親インスリンがLysB28ProB29ヒトインスリンである、第86−87項に記載のインスリン誘導体。
92.親インスリンがThrB29LysB30ヒトインスリンである、第81及び87項に記載のインスリン誘導体。
93.インスリン誘導体が、6つのインスリン誘導体当たり、2つの亜鉛イオン、3つの亜鉛イオン、4つの亜鉛イオン、5つの亜鉛イオン、6つの亜鉛イオン、7つの亜鉛イオン、8つの亜鉛イオン、9つの亜鉛イオン、又は10の亜鉛イオンに結合している、上述した項の何れかに記載のインスリン誘導体の亜鉛錯体。
94.薬学的に許容可能な担体と共に、上述した項の何れかに記載のインスリン誘導体を治療的有効量含有する、治療が必要な患者における糖尿病を治療するための薬学的組成物。
95.薬学的に許容可能な担体と共に、速攻で作用を開始するインスリン又はインスリンアナログと混合して、上述した項の何れかに記載のインスリン誘導体を治療的有効量含有する、治療が必要な患者における糖尿病を治療するための薬学的組成物。
96.薬学的に許容可能な担体と共に、上述した項の何れかに記載のインスリン誘導体を治療的有効量、患者に投与することを含む、治療が必要な患者における糖尿病を治療するための方法。
97.薬学的に許容可能な担体と共に、速攻で作用を開始するインスリン又はインスリンアナログと混合して、上述した項の何れかに記載のインスリン誘導体を治療的有効量、患者に投与することを含む、治療が必要な患者における糖尿病を治療するための方法。
98.糖尿病の肺処置用である、第98又は99項に記載の方法。
99.第1−95項の何れかに記載のインスリン誘導体と、AspB28ヒトインスリン;LysB28ProB29ヒトインスリン及びLysB3GluB29ヒトインスリンからなる群から選択される速攻型インスリンアナログとの混合物。
100.NεB29-(12-(4-カルボキシフェニル)ドデカノイル-γ-Glu)desB30インスリン、
εB29-(−11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイル-γ-Glu)desB30インスリン、
εB29-(12-(3-カルボキシフェニル)ドデカノイル-γ-Glu desB30インスリン、
εB29-(9-[4-(2-カルボキシエチル)フェニル]ノナノイル)-γ-Glu)desB30インスリン、
εB29-(4-[11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイルアミノ]ブチリル)desB30インスリン、
εB29-[12-(5-カルボキシチオフェン-2-イル)ドデカノイル]desB30インスリン、又は
εB29-[12-(5-カルボキシチオフェン-2-イル)ドデカノイル-γ-Glu]desB30インスリン、
からなる群から選択される、第1−95項の何れかに記載のインスリン誘導体。
101.実施例に記載するようなインスリン誘導体。
本発明の一態様において、Xは、負電荷側鎖を有するアミノ酸、無電荷側鎖を有するアミノ酸、側鎖にカルボン酸を有するアミノ酸のアミノ酸アミド残基からなる群から選択される、2、3又は4の残基からなる鎖である。Xは、側鎖にカルボン酸を有するアミノ酸のアミノ酸アミド残基であってよい。またXは、2、3又は4の、側鎖にカルボン酸を有するアミノ酸のアミノ酸アミド残基からなる鎖であってもよい。よって、例えばXは、β-D-Asp-アミド、β-L-Asp-アミド、γ-L-Glu-アミド及びγ-D-Glu-アミドからなる群から選択可能である。
本発明の一態様において、Xは、独立して4〜10の炭素原子を有する、3つのアミノ酸残基からなる鎖であり、ここで鎖の少なくとも一のアミノ酸残基は、アミドを有する残基の群から選択される。3つのアミノ酸アミドの組合せは、β-D-Asp-アミド、β-L-Asp-アミド、γ-L-Glu-アミド、及びγ-D-Glu-アミドの任意の組合せとすることができ、64の異なる組合せが可能であることを意味している。
さらなる態様において、Xは、独立して4〜10の炭素原子を有する、4つのアミノ酸残基からなる鎖であり、ここで鎖の少なくとも一のアミノ酸残基は、アミドを有する残基の群から選択される。4つのアミノ酸アミドの組合せは、β-D-Asp-アミド、β-L-Asp-アミド、γ-L-Glu-アミド、及びγ-D-Glu-アミドの任意の組合せとすることができ、256の異なる組合せが可能であることを意味している。
本発明の一態様において、Xは、4〜10の炭素原子を有するアミノ酸残基である。アミノ酸残基は、α-Asp、β-Asp、α-Glu、γ-Glu、α-hGlu及びδ-hGluからなる群から選択されてよい。一態様において、Xはγ-Gluである。
一態様において、Xはアミノ酸残基の鎖である。
アシル化のための出発生成物、親インスリン又はインスリンアナログ又はそれらの前駆体は、よく知られているペプチド合成、又は適切に形質転換された微生物中でのよく知られている組換え生産のいずれかにより生産することができる。よって、インスリン出発生成物は、ポリペプチドをコードするDNA配列を含み、ペプチドの発現を可能にする条件下で適切な栄養培地中でポリペプチドを発現することができる宿主細胞を培養し、その後、得られたペプチドを培地から回収することを含む方法により生産することができる。
細胞を培養するのに使用される培地は、宿主細胞の増殖に適した任意の一般的な培地、例えば適切な栄養補助剤を含む複合培地又は最少培地でありうる。適切な培地は市販供給者から入手可能であり、また刊行されている処方(例えば、American Type Culture Collectionのカタログ)に従い調製することができる。ついで、細胞により産生されたペプチドを、遠心分離又は濾過により培地から宿主細胞を分離し、塩、例えば硫酸アンモニウムにより上清又は濾液のタンパク質様成分を沈殿させ、例えばイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等、当該ペプチドの種類に応じて様々なクロマトグラフィー手順により精製することを含む一般的な手順により、培養培地から回収され得る。
親インスリンをコードするDNA配列は、適切には、例えばゲノム又はcDNAライブラリを調製し、標準的な技術に従い合成オリゴヌクレオチドプローブを使用するハイブリダイゼーションによりポリペプチドの全て又は一部をコードするDNA配列をスクリーニングすることにより得られる、ゲノム又はcDNA由来のものでありうる(例えば、Sambrook, J, Fritsch、EF及びManiatis, T, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York、1989を参照)。また、親インスリンをコードするDNA配列は、確立された標準的な方法、例えばBeaucage及びCaruthers, Tetrahedron Letters 22 (1981), 1859-1869に記載されているホスホアミジト(phosphoamidite)法、又はMatthesら, EMBO Journal 3 (1984), 801-805に記載されている方法により、合成的に調製されてもよい。またDNA配列は、例えばUS4683202、又はSaikiら, Science 239 (1988),487-491に記載されているように、特定のプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応により調製されてもよい。
DNA配列は、便宜的に、組換えDNA手順にかけられている任意のベクターに挿入されてよく、ベクターの選択は、多くの場合、導入される宿主細胞に依存する。例えば、ベクターは自己複製ベクター、すなわち染色体外実体として存在するベクターであってよく、その複製は染色体複製とは無関係、例えばプラスミドである。また、ベクターは、宿主細胞に挿入された場合に、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、組み込まれた内部の染色体と共に複製されるものであってよい。
ベクターは、例えば、親インスリンをコードするDNA配列が、プロモータ等、DNAの転写に必要な付加的なセグメントに作用可能に結合している発現ベクターである。プロモータは、選択された宿主細胞において転写活性を示す任意のDNA配列であってよく、宿主細胞に対して同族又は異種であるタンパク質をコードする遺伝子から誘導されてもよい。種々の宿主細胞において親インスリンをコードするDNAの転写を指向するのに適切なプロモータの例は当該技術でよく知られている。例えば上掲のSambrookらを参照。
また、親インスリンをコードするDNA配列は、必要ならば、適切なターミネーター、ポリアデニル化シグナル、転写エンハンサー配列、及び翻訳エンハンサー配列に作用可能に結合していてもよい。本発明の組換えベクターは、当該宿主細胞においてベクターの複製を可能にするDNA配列をさらに含みうる。
さらに、ベクターは選択可能なマーカー、例えばその産物が宿主細胞における欠損を補完する遺伝子、または、例えばアンピシリン、カイナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ハイグロマイシン、又はメトトレキセートのような薬剤に対して耐性を付与するものをさらに含んでいてもよい。
宿主細胞の分泌経路に本発明のペプチドを向かわせるために、分泌シグナル配列(リーダー配列、プロプレ配列又はプレ配列としても知られている)が、組換えベクター中に提供されてもよい。分泌シグナル配列は、正しいリーディングフレームでペプチドをコードするDNA配列に結合している。分泌シグナル配列は、通常、ペプチドをコードするDNA配列に対し5'に位置している。分泌シグナル配列は、通常ペプチドに関連しているもの、又は他の分泌タンパク質をコードする遺伝子由来のものであってもよい。
親インスリンをコードするDNA配列、プロモータ及び場合によってはターミネーター及び/又は分泌シグナル配列をそれぞれライゲーションし、複製に必要な情報を含む適切なベクター中にそれらを挿入するのに使用される手順は、当業者にはよく知られている(例えば、上掲のSambrookらを参照)。
DNA配列又は組換えベクターが導入される宿主細胞は、本ペプチドを生成可能な任意の細胞であってよく、細菌、酵母、真菌及び高等真核細胞を含む。当該分野でよく知られ使用される適切な宿主細胞の例は、限定されるものではないが、大腸菌、出芽酵母、又は哺乳類BHK又はCHO細胞系である。
ついで、親インスリン分子は、A又はB鎖の選択されたLys位又はB1位のいずれかに、関連置換基を導入することにより、本発明のインスリン誘導体に転換される。置換基は任意の簡便な方法により導入可能で、アミノ基をアシル化するための多くの方法が従来技術に開示されている。さらなる詳細は、以下の実施例により明らかになるであろう。
本発明は、場合によっては、薬学的に許容可能な担体及び/又は薬学的に許容可能な添加剤と共に、本発明のインスリン誘導体の又はインスリン誘導体の亜鉛錯体を治療的有効量含有する薬学的組成物に関し、該組成物は、治療が必要な患者における、1型糖尿病、2型糖尿病、及び高血糖症を引き起こす他の症状を治療するのに提供可能である。
本発明の一態様においては、場合によっては薬学的に許容可能な担体及び/又は薬学的に許容可能な添加剤と共に、本発明のインスリン誘導体又はインスリン誘導体の亜鉛錯体を含有する薬学的組成物を治療的有効量患者に投与することを含む、治療が必要な患者における、1型糖尿病、2型糖尿病、及び高血糖症を引き起こす他の症状を治療するための方法が提供される。
本発明の一態様においては、1型糖尿病、2型糖尿病、及び高血糖症を引き起こす他の症状を治療するのに使用される薬学的組成物を製造するための方法が提供され、該組成物は、場合によっては薬学的に許容可能な担体及び/又は薬学的に許容可能な添加剤と共に、本発明のインスリン誘導体又はインスリン誘導体の亜鉛錯体を含有している。
本発明の一態様においては、治療が必要な患者における、1型糖尿病、2型糖尿病、及び高血糖症を引き起こす他の症状を治療するための薬学的組成物が提供され、該組成物は、場合によっては薬学的に許容可能な担体及び/又は添加剤と共に、速攻で作用を開始するインスリン又はインスリンアナログと混合して、本発明のインスリン誘導体又はインスリン誘導体の亜鉛錯体を含有している。
本発明の一態様においては、場合によっては薬学的に許容可能な担体及び/又は薬学的に許容可能な添加剤と共に、速攻で作用を開始するインスリン又はインスリンアナログと混合して、本発明のインスリン誘導体又はインスリン誘導体の亜鉛錯体を含有する薬学的組成物を治療的有効量、患者に投与することを含む、治療が必要な患者における、1型糖尿病、2型糖尿病、及び高血糖症を引き起こす他の症状を治療するための方法が提供される。
本発明の一態様においては、1型糖尿病、2型糖尿病、及び高血糖症を引き起こす他の症状を治療するのに使用される薬学的組成物を製造するための方法が提供され、該組成物は、場合によっては薬学的に許容可能な担体及び/又は薬学的に許容可能な添加剤と共に、速攻で作用を開始するインスリン又はインスリンアナログと混合して、本発明のインスリン誘導体又はインスリン誘導体の亜鉛錯体を治療的有効量含有している。
本発明の一態様においては、AspB28ヒトインスリン;LysB28ProB29ヒトインスリン及びLysB3GluB29ヒトインスリンからなる群から選択される、速攻型インスリンアナログ、本発明のインスリン誘導体又はインスリン誘導体の亜鉛錯体の混合物である、薬学的組成物が提供される。
本発明の一態様は、場合によっては薬学的に許容可能な担体及び/又は薬学的に許容可能な添加剤と共に、本発明のインスリン誘導体又はインスリン誘導体の亜鉛錯体を治療的有効量含有し、治療が必要な患者における、1型糖尿病、2型糖尿病、及び高血糖症を引き起こす他の症状の肺処置用に提供可能な薬学的組成物に関する。
本発明の一態様は、治療が必要な患者における、1型糖尿病、2型糖尿病、及び高血糖症を引き起こす他の症状を肺治療するための薬学的組成物の適用に関し、該薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体及び/又は添加剤と共に、場合によっては速攻で作用を開始するインスリン又はインスリンアナログと混合して、本発明のインスリン誘導体又はインスリン誘導体の亜鉛錯体を治療的有効量含有する。
本発明の一態様においては、1型糖尿病、2型糖尿病、及び高血糖症を引き起こす他の症状を治療するのに使用される薬学的組成物を製造するための方法が提供され、該組成物は肺に使用され、薬学的に許容可能な担体及び/又は薬学的に許容可能な添加剤と共に、場合によっては速攻で作用を開始するインスリン又はインスリンアナログと混合して、本発明のインスリン誘導体又はインスリン誘導体の亜鉛錯体を治療的有効量含有している。
本発明のインスリン誘導体及び速攻型インスリンアナログは、約90/10%;約70/30%又は約50/50%の比率で混合することができる。
一態様において、本発明は、生理学的pH値で可溶性である、本発明のインスリン誘導体を含有する薬学的組成物に関する。
一態様において、本発明は、約6.5〜約8.5の間のpH値で可溶性である、本発明のインスリン誘導体を含有する薬学的組成物に関する。
一態様において、本発明は、本発明のインスリン誘導体を含有する、長時間にわたる作用プロファイルを有する薬学的組成物に関する。
一態様において、本発明は、約120nmol/ml〜2400nmol/ml、約400nmol/ml〜約2400nmol/ml、約400nmol/ml〜約1200nmol/ml、約600nmol/ml〜約2400nmol/ml、又は約600nmol/ml〜約1200nmol/mlの本発明のインスリン誘導体、又は速攻型インスリンアナログと本発明のインスリン誘導体との混合物を含有する溶液である薬学的組成物に関する。
薬学的組成物
請求項記載の式のこのインスリン誘導体は、例えば、皮下、経口又は肺に投与することができる。
皮下投与用には、該式の化合物は、既知のインスリンの製剤と同じようにして製剤化される。さらに、皮下投与用には、該式の化合物は、既知のインスリンの投与と同じように投与され、一般的に医師はこの手順に通じている。
この発明のインスリン誘導体は、循環インスリン濃度を増加させ、及び/又は循環グルコース濃度を低下させるための用量効果的な方式で、吸入により投与されうる。このような投与は、糖尿病又は高血糖症等の疾患の治療に効果的である。インスリンの効果的な投与を達成するには、この発明のインスリン誘導体を約0.5μg/kg〜約50μg/kgの吸入用量で投与することが必要である。治療的有効量は、インスリンレベル、血中血糖値、患者の健康状態、患者の肺の状態等を含む要因を考慮に入れて、博学な実施者により決定することができる。
吸入による投与は、インスリンの皮下投与に匹敵する程の薬物動態に帰する可能性がある。同様の粒径及び同レベルの肺沈着レベルで比較する場合、典型的には、様々な吸入装置で同様の薬学動態が提供される。
本発明において、この発明のインスリン誘導体は、吸入による治療剤の投与について、当該分野で既知の任意の種々の吸入装置により送達されてよい。これらの装置には、定量吸入器、噴霧器、乾燥パウダー発生器、スプレー等が含まれる。この発明のインスリン誘導体は、乾燥パウダー吸入器又はスプレーにより送達せしめられる。この発明のインスリン誘導体を投与するための吸入装置には、いくつかの好ましい特徴がある。例えば、吸入装置による送達には、有利には信頼性、再現性及び正確性がある。吸入装置は、良好な呼吸のためには、例えば約10μm未満、例えば約1-5μmの小さな粒子を送達させるべきである。この発明の実施に適した商業的に入手可能な吸入装置のいくつかの特定の例は、TurbohalerTM(Astra)、Rotahaler(登録商標)(Glaxo)、Diskus(登録商標)(Glaxo)、SpirosTM吸入器(Dura)、Inhale Therapeuticsから市販されている装置、AERxTM(Aradigm)、Ultravent(登録商標)噴霧器(Mallinckrodt)、Acorn II(登録商標)噴霧器(Marquest Medical Products)、Ventolin(登録商標)定量吸入器(Glaxo)、及びSpinhaler(登録商標)パウダー吸入器(Fisons)等である。
当業者であれば、この発明のインスリン誘導体の処方、送達される製剤の量、及び単一用量の投与による持続時間が、使用される吸入装置の種類に依存することを認識しているであろう。いくつかのエアゾール送達システム、例えば噴霧器において、投与頻度及びシステムが活性化する時間の長さは、主として、エアゾールにおけるインスリンコンジュゲートの濃度に依存するであろう。例えば、より短い期間での投与では、噴霧溶液中、インスリンコンジュゲートをより高い濃度で使用することができる。定量吸入器等の装置は、より高いエアゾール濃度を作り出すことができ、所望される量のインスリンコンジュゲートを送達させるために、より短い期間で操作することができる。パウダー吸入器等の装置は、付与された充填量の薬剤が装置から出されるまで、活性剤を送達する。この種の吸入器において、付与された量のパウダーでのこの発明のインスリン誘導体の量により、単一投与で投与される用量が決定される。
吸入装置により送達される製剤中におけるこの発明のインスリン誘導体の粒子径は、肺、及び下気道又は肺胞に入るインスリンの能力に関して重要である。この発明のインスリン誘導体は、送達されるインスリンコンジュゲートの少なくとも約10%、例えば約10〜約20%、又はそれ以上が肺に沈着するように処方することができる。口呼吸するヒトにとって、肺沈着の最大効率は、約2μm〜約3μmの粒子径で得られることが知られている。粒子径が約5μmを越えると、肺沈着はかなり低減する。約1μm以下の粒子径では肺沈着は低減し、治療的に有効な十分な質量を有する粒子を送達することが困難になる。よって、吸入により送達されるインスリン誘導体の粒子は、約10μm未満、例えば約1μm〜約5μmの範囲の粒子経を有する。インスリン誘導体の処方は、選択される吸入装置に所望される粒子径を生じるように選択される。
有利には、乾燥パウダーとして投与されるために、この発明のインスリン誘導体は、約10μm未満、例えば約1〜約5μmの粒子径を有する粒状形態に調製される。この粒子径により、患者の肺の肺胞への送達が効果的になされる。乾燥パウダーは、多くの粒子が所望の範囲のサイズを有するように製造された粒子から主としてなる。有利には、少なくとも約50%の乾燥パウダーが、約10μm未満の直径を有する粒子から作製される。このような処方は、インスリンコンジュゲート及び他の所望する成分を含有する溶液の噴霧乾燥、製粉又は臨界点濃縮により達成可能である。また本発明に有用な粒子を製造するのに適した他の方法は、当該分野で知られている。
粒子は、通常、容器中において、乾燥パウダー製剤から分離され、運搬気流を介して、患者の肺に移送される。典型的には、現在の乾燥パウダー吸入器において、固形物を破壊する力は、患者の吸入のみによりもたらされる。他の種類の吸入器では、患者の吸入により生じる空気流で、粒子を崩壊させるインペラモータが起動される。
乾燥パウダー吸入器から投与されるこの発明のインスリン誘導体の製剤は、誘導体を含有する微細に分割された乾燥パウダーを典型的には含んでいるが、パウダーは、増量剤、担体、賦形剤、他の添加剤等をさらに含有可能である。添加剤は、例えば特定のパウダー吸入器からの送達に要求されているようにパウダーを希釈し、製剤のプロセシングを容易にし、製剤に有利なパウダー特性を提供し、吸入装置からのパウダーの分散を容易にし、製剤を安定化させ(例えば酸化防止剤又はバッファー)、製剤に風味を付与するために、インスリンコンジュゲートの乾燥パウダー製剤に含有せしめることができる。有利には、添加剤は、患者の気道に悪影響を与えないものである。インスリン誘導体は分子レベルで添加剤と混合することもできるし、又は固体製剤は、添加剤の粒子と混合させるか、又は該粒子上をコートするインスリンコンジュゲートの粒子を含有可能である。典型的な添加剤には、単糖類、二糖類及び多糖類;糖アルコール及び他のポリオール、例えばラクトース、グルコース、ラフィノース、メレジトース、ラクチトール(lactitol)、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトール、デンプン、又はそれらの組合せ;界面活性剤、例えばソルビトール類、ジホスファチジルコリン、又はレシチン等が含まれる。典型的には、添加剤、例えば増量剤は、上述した目的に対して有効な量、多くの場合は製剤の重量に対して約50%〜約90%の量で存在している。インスリンアナログタンパク質等のタンパク質の製剤に対して当該分野で知られている添加剤も本製剤に含めることができる。
この発明のインスリン誘導体を収容するスプレーは、インスリンコンジュゲートの懸濁液又は溶液を、加圧下にて、強いてノズルを通過させることにより製造することができる。ノズルサイズ及び構造、適用圧力、及び液体供給量は、所望する出量及び粒子径が達成されるように選択することができる。例えば、キャピラリー又はノズルフィード部に接続した電場により、電気スプレーを製造することができる。有利には、スプレーにより送達されるインスリンコンジュゲートの粒子は、約10μm未満、例えば約1μm〜約5μmの範囲の粒子径を有する。
スプレーを用いて使用するのに適したこの発明のインスリン誘導体の製剤は、典型的には、溶液1ml当たり、約1mg〜約20mgのインスリンコンジュゲート濃度で、水溶液中にインスリン誘導体を含有している。製剤は、賦形剤、バッファー、等張剤、防腐剤、界面活性剤、及び例えば亜鉛等の薬剤を含有することができる。また製剤は、賦形剤、又はインスリン誘導体を安定化させるための薬剤、例えばバッファー、還元剤、バルクタンパク質、又は炭水化物をさらに含有可能である。インスリンコンジュゲートの処方に有用なバルクタンパク質には、アルブミン、プロタミン等が含まれる。インスリンコンジュゲートの処方に有用な典型的な炭水化物には、スクロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、グルコース等が含まれる。またインスリン誘導体製剤は、エアゾールの形成において、溶液の噴霧化により生じるインスリンコンジュゲートの表面誘起凝集を低減又は防止可能な界面活性剤を、さらに含有することができる。種々の従来からの界面活性剤、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル及びアルコール類、及びポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルを使用することもできる。量は、一般的には、製剤の重量に対して約0.001〜約4%の範囲である。
本発明のインスリン誘導体を含有する薬学的組成物は、治療が必要な患者に非経口的に投与されてよい。非経口投与は、シリンジ、場合によってはペン状シリンジにより、皮下、筋肉内又は静脈内注射することにより実施されてよい。または、非経口投与は、輸液ポンプにより実施することもできる。さらなる選択肢は、目的に対して特異的に考案された組成物、パウダー又は液体等において、インスリンを鼻又は肺に投与することである。
本発明のインスリン誘導体の注射用組成物は、所望する最終生成物を得るために必要に応じて成分を溶解及び混合することを含む、製薬工業の常套的な技術を使用して調製することができる。よって、一手順において、本発明のインスリン誘導体は、調製される組成物の最終容量よりも幾分少ない量の水に溶解される。必要に応じて、等張剤、防腐剤及びバッファーが添加され、必要ならば、塩酸等の酸、又は水酸化ナトリウム水等の塩基を使用して、溶液のpHが調節される。最後に、溶液の容量は、所望の濃度の成分が付与されるように、水を用いて調節される。
本発明の他の態様において、バッファーは酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、シタラート、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン(bicine)、トリシン、リンゴ酸、スクシナート、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸、又はそれらの混合物からなる群から選択される。これらの特定のバッファーの各一が、本発明の別の態様を構成する。
本発明のさらなる態様において、製剤は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、2-フェノキシエタノール、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、及びチオメロサル(thiomerosal)、ブロノポール、安息香酸、イミド尿素、クロロヘキシジン、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロクレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、塩化ベンゼトニウム、クロルフェネシン(chlorphenesine)(3p-クロルフェノキシプロパン-1,2-ジオール)又はそれらの混合物からなる群から選択され得る、薬学的に許容可能な防腐剤をさらに含有する。本発明のさらなる態様において、防腐剤は、0.1mg/ml〜20mg/mlの濃度で存在している。本発明のさらなる態様において、防腐剤は、0.1mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在している。本発明のさらなる態様において、防腐剤は5mg/ml〜10mg/mlの濃度で存在している。本発明のさらなる態様において、防腐剤は10mg/ml〜20mg/mlの濃度で存在している。これらの特定の防腐剤の各一が、本発明の別の態様を構成する。薬学的組成物に防腐剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版、1995が参照される。
本発明のさらなる態様において、製剤は、塩(例えば塩化ナトリウム)、糖又は糖アルコール、アミノ酸(例えば、グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン)、アルジトール(例えばグリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール)ポリエチレングリコール(例えばPEG400)、又はそれらの混合物からなる群から選択され得る等張剤をさらに含有する。任意の糖、例えば単糖類、二糖類又は多糖類、又は水溶性グルカン類、例えばフルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、及びカルボキシメチルセルロース-Naを使用してもよい。一態様において、糖添加剤はスクロースである。糖アルコールは、少なくとも一の-OH基を有するC4-C8炭化水素と定義され、例えばマンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール(galactitol)、ズルシトール、キシリトール、及びアラビトールを含む。一態様において、糖アルコール添加剤はマンニトールである。上述した糖又は糖アルコールは、個々に又は組合せて使用されてよい。使用される量は、糖又は糖アルコールが液状調製物に溶解し、本発明の方法を使用して得られた安定化効果に悪影響を与えない限りは、限定されて固定されるものではない。一態様において、糖又は糖アルコールの濃度は、約1mg/ml〜約150mg/mlである。本発明のさらなる態様において、等張剤は1mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在している、本発明のさらなる態様において、等張剤は1mg/ml〜7mg/mlの濃度で存在している。本発明のさらなる態様において、等張剤は8mg/ml〜24mg/mlの濃度で存在している。本発明のさらなる態様において、等張剤は25mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在している。これらの特定の等張剤の各一が、本発明の別の実施態様を構成する。薬学的組成物に等張剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版、1995が参照できる。
典型的な等張剤は、塩化ナトリウム、マンニトール、ジメチルスルホン及びグリセロールであり、典型的な防腐剤は、フェノール、m-クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル及びベンジルアルコールである。
適切なバッファーの例は、酢酸ナトリウム、グリシルグリシン、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)及びリン酸ナトリウムである。
本発明のインスリン誘導体の鼻投与用の組成物は、例えば、欧州特許第272097号(Novo Nordisk A/S)に記載されているようにして調製されうる。
この発明のインスリン誘導体を含有する組成物は、インスリンに対して敏感な状態の処置に使用することができる。よってそれらは、1型糖尿病、2型糖尿病及び例えば重篤に傷害を被った人及び大手術を受けた人にしばしば見られる高血糖症の処置に使用することができる。任意の患者に対する最適な用量レベルは、用いられる特定のインスリン誘導体の効能、年齢、体重、身体活動性、及び患者の食事、他の薬剤との併用の可能性、治療される状態の重篤度を含む様々な要因に依存する。この発明のインスリン誘導体の毎日の投薬量が、既知のインスリン組成物に対するものと同様の方法で当業者によって各個々の患者に対して決定されることが推奨される。
都合がよいことに、この発明のインスリン誘導体は、他のタイプのインスリン、例えばさらに速効で作用を開始するインスリンアナログと混合して使用してもよい。このようなインスリンアナログの具体例は、例えば、公開番号EP214826(Novo Nordisk A/S)、EP375437(Novo Nordisk A/S)及びEP383472(Eli Lilly & Co)を有する欧州特許出願に記載されている。
本発明を次の段落にさらに要約する:
1a.親インスリンと置換基を有し、該置換基が生理学的pHで負に帯電している末端基;芳香族基と末端基との間に0、1、2又は3の炭素を有する芳香族基;少なくとも4のCH基を有する脂肪族鎖;及びリンカーを有し、脂肪族鎖がリンカーを介して親インスリンに結合しており、但し1)芳香族基がアリーレン又はヘテロアリーレンであるならば、酸素を介して結合せず、また2)芳香族基がCであるならば、硫黄を介して結合しないインスリン誘導体。
2a.芳香族基がアリーレン、ヘテロアリーレン又は多環式系である、第1a項に記載のインスリン誘導体。
3a.置換基が1以上の芳香族基を有する、第1a又は2a項に記載のインスリン誘導体。
4a.末端基が-COOHである、第2a項に記載のインスリン誘導体。
5a.アリーレンが、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-NR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORから選択される1又は2の基で置換されていてもよく、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルである、第2a項に記載のインスリン誘導体。
6a.アリーレンが、C1−3-アルキル、C2−3-アルケニル、C2−3-アルキニル、又は-ORから選択される1又は2の基で置換されていてもよく、ここでRがC1−3-アルキル、C2−3-アルケニル、又はC2−3-アルキニルとすることができる、第5a項に記載のインスリン誘導体。
7a.ヘテロアリーレン基が、窒素、硫黄又は酸素を有している、第2a項に記載のインスリン誘導体。
8a.炭素又は窒素原子が置換されていてもよい、第7a項に記載のインスリン誘導体。
9a.炭素が、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-NR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよく、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルである、第8a項に記載のインスリン誘導体。
10a.窒素が、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル、C2−6-アルキニル、C(O)-C1−6-アルキル、C(O)-C2―6-アルケニル、又はC(O)-C2−6-アルキニルからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよい、第8a項に記載のインスリン誘導体。
11a.多環式系が、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-NR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORから選択される1又は2の基で置換されていてもよく、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルである、第2a項に記載のインスリン誘導体。
12a.リンカーが、アミド結合を介して結合している、1-4のアミノ酸残基を含む、第1a−11a項に記載のインスリン誘導体。
13a.リンカーが、少なくとも一の遊離のカルボン酸基又は中性のpHで負に帯電している基を有する、第12a項に記載のインスリン誘導体。
14a.リンカーがアミド結合を介して結合している1-4のアミノ酸アミド残基を含む、第1a−11a項に記載のインスリン誘導体。
15a.リンカーがアミドを含む、第1a−11aに記載のインスリン誘導体。
16a.リンカーが、式-CONR、-SONR又は-SONRのアミド又はN-置換されたアミドを含み、ここでR 及びRが互いに独立して、水素、-CH、-CH1−6CH、-(CH)1−6-O-PO、CONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル又はC2−6-アルキニルとすることができ、またR及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能である、第1a−11a項のいずれかに記載のインスリン誘導体。
17a.R及びRが水素である、第16a項に記載のインスリン誘導体。
18a.置換基がLysB29のε-アミノ基に結合している、上述した項の何れかに記載のインスリン誘導体。
19a.次の式:
Figure 0005269766
[上式中:
Insは親インスリン部分であり、インスリン部分のB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基又はB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基は、アミド結合を介して、置換基のCO基に結合しており;
は:
・nが1、2、3、4、5又は6である、-CO-(CH)
・-CO-((CR)-NR-CO)1−4-で、R及びRが互いに独立して、また各q値も独立して、水素、-COOH、又はOHとすることができ、qが1-6であり、Rが水素、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1―6-O-SO;-(CH)1−6-O-PO;C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル;C2−6-アルキニル、又はアリーレンであり、アリーレンが-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-NR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよく、R及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル又はC2−6-アルキニルであるもの;
・置換基にカルボン酸基を有するα-アミノ酸アミド残基又はα-アミノ酸残基で、そのカルボン酸基の一つと共に、親インスリンのB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基又はB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基と共同して、アミド結合を形成する残基;
・アミド結合を介して、鎖が、親インスリンのB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基又はB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基に結合している、アミド結合を介して結合した2、3又は4のα-アミノ酸残基又はα-アミノ酸アミド残基からなる鎖;又は
・結合;
であり;
は:
・-CO-
・-COCH(R)-;
・-COCHN(CH)-;
・-COCHN(CH)COCHN(CH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CH)-;
で、RがCOOH又はCONHとすることができるもの;
・-(CO-(CH)2−6-NH-CO)1−4-;
・-(CO-(CH)2−6-CO-NH)1−4−;
・-(CO-(CR10)1−6-CO-NH)1−4-;
で、R及びR10が互いに独立して、H、-COOH、-(CH)1−6COOH、CH、-(CH)1−6CH又はCONHとすることができるもの;又は
・結合;
であり;
Wは:
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-NR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいアリーレンで、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能なもの;
・炭素が、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-NR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいヘテロアリーレンで、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能なもの;
・窒素が、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルからなる群から選択される基で置換されていてもよいヘテロアリーレン;又は
・結合;
であり;
mは0、1、2、3、4、5又は6であり;
Xは:
・-O-;
・-C=O;
・-S-;
・-S(O)-;
・-S(O)-;
・次の式:
Figure 0005269766
Figure 0005269766
(上式中:Rは、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル又はC2−6-アルキニルである)
のもの;又は
・結合;
であり;
Yは:
・-(CR)-NR-CO)1−4-で、R及びRが互いに独立して、H、-COOH、又はOHとすることができ、qが1-6であり、Rが水素、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1−6-O-SO;-(CH)1−6-O-PO;C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル;C2−6-アルキニル、又はアリーレンであり、ここでアリーレンが、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-NR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよく、R及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであるもの;
・R及びRが上述したものである-NR;又は
・結合;
であり;
Qは、式-(CH)s1-Q-(CH)s2-Q-(CH)s3-Q-(CH)s4-Q-(CH)s5-の二価の炭化水素鎖であり;ここでQ-Qが互いに独立して、O、S、S(O)、S(O)、P(OH)、-O-P(OH)-O-、NH、NR;-N(COR)-、又は結合とすることができ;Rが水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニルであり;
が:
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-NR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいアリーレンで、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能なもの;
・炭素が、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-NR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいヘテロアリーレンで、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能なもの;
・窒素が、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいヘテロアリーレン;又は
・多環式系;
とすることができ、ここで、s1、s2、s3及びs4は互いに独立して、s1、s2、s3及びs4の合計が4〜22の範囲になるような、0又は1〜10の整数とすることができ;s5は0又は1〜3の整数であり、但し;Q、Q及びQは互いに結合を形成しなくてもよく、s1、s2及びs3が0又は1であるならば、いずれの-CH-も、次の原子:O、N、S、又はPの2つに結合できず;
Zは:
-COOH;
-CO-Asp;
-CO-Glu;
-CO-Gly;
-CO-Sar;
-CH(COOH)
-N(CHCOOH)
-SO
-PO
O-SOH;
O-PO;又は
テトラゾ-5-リル;又は
生理学的pH値で負の電荷を有する5員及び6員環からなる二環式系;
である]
を有する、第1a項に記載のインスリン誘導体、及びその任意のZn2+錯体。
20a.Xが、4〜10の炭素原子を有するアミノ酸アミド残基である、第19a項に記載のインスリン誘導体。
21a.Xが、β-D-Asp-アミド、β-L-Asp-アミド、γ-L-Glu-アミド、及びγ-D-Glu-アミドからなる群から選択される、第19a−20a項の何れかに記載のインスリン誘導体。
22a.Xがアミノ酸アミド残基の鎖である、第19a項に記載のインスリン誘導体。
23a.Xが、β-L-Asp-アミド-β-L-Asp-アミド、β-L-Asp-アミド-γ-L-Glu-アミド、γ-L-Glu-アミド-γ-L-Glu-アミド、γ-L-Glu-アミド-β-L-Asp-アミド、β-L-Asp-アミド-β-D-Asp-アミド、β-L-Asp-アミド-γ-D-Glu-アミド、γ-L-Glu-アミド-γ-D-Glu-アミド、γ-L-Glu-アミド-β-D-Asp-アミド、β-D-Asp-アミド-β-L-Asp-アミド、β-D-Asp-アミド-γ-L-Glu-アミド、γ-D-Glu-アミド-γ-L-Glu-アミド、γ-D-Glu-アミド-β-L-Asp-アミド、β-D-Asp-アミド-β-D-Asp-アミド、β-D-Asp-アミド-γ-D-Glu-アミド、γ-D-Glu-アミド-γ-D-Glu-アミド、γ-D-Glu-アミド-β-D-Asp-アミドからなる群から選択される、2のアミノ酸アミド残基の鎖である、第19a又は22a項に記載のインスリン誘導体。
24a.Xが4〜10の炭素原子を有するアミノ酸残基である、第19a項に記載のインスリン誘導体。
25a.Xが、α-Asp、β-Asp、α-Glu、γ-Glu、α-hGlu及びδ-hGluからなる群から選択される、第24a項に記載のインスリン誘導体。
26a.Xがγ-Gluである、第25a項に記載のインスリン誘導体。
27a.Xがアミノ酸残基の鎖である、第19a項に記載のインスリン誘導体。
28a.Xが2つのα-アミノ酸残基からなる鎖であり、一方が、4〜10の炭素原子及び遊離のカルボン酸基を有し、他方が2〜11の炭素原子を有するが、遊離のカルボン酸基を有さない、第27a項に記載のインスリン誘導体。
29a.Xが、α-Asp-Gly;Gly-α-Asp;β-Asp-Gly;Gly-β-Asp;α-Glu-Gly;Gly-α-Glu;γ-Glu-Gly;Gly-γ-Glu;α-hGlu-Gly;Gly-α-hGlu;δ-hGlu-Gly;及びGly-δ-hGluからなる群から選択される、第28a項に記載のインスリン誘導体。
30a.Xが2つのα-アミノ酸残基からなる鎖であり、該残基は独立して4〜10の炭素原子を有し、また双方が遊離のカルボン酸基を有する、第27a項に記載のインスリン誘導体。
31a.Xが、α-Asp-α-Asp;α-Asp-α-Glu;α-Asp-α-hGlu;α-Asp-β-Asp;α-Asp-γ-Glu;α-Asp-δ-hGlu;β-Asp-α-Asp;β-Asp-α-Glu;β-Asp-α-hGlu;β-Asp-β-Asp;β-Asp-γ-Glu;β-Asp-δ-hGlu;α-Glu-α-Asp;α-Glu-α-Glu;α-Glu-α-hGlu;α-Glu-β-Asp;α-Glu-γ-Glu;α-Glu-δ-hGlu;γ-Glu-α-Asp;γ-Glu-α-Glu;γ-Glu-α-hGlu;γ-Glu-β-Asp;γ-Glu-γ-Glu;γ-Glu-δ-hGlu;α-hGlu-α-Asp;α-hGlu-α-Glu;α-hGlu-α-hGlu;α-hGlu-β-Asp;α-hGlu-γ-Glu;α-hGlu-δ-hGlu;δ-hGlu-α-Asp;δ-hGlu-α-Glu;δ-hGlu-α-hGlu;δ-hGlu-β-Asp;δ-hGlu-γ-Glu;及びδ-hGlu-δ-hGluからなる群から選択される、第30a項に記載のインスリン誘導体。
32a.Xが-CO-((CR)-NR-CO)1−4-であり、R及びRが互いに独立して、また各q値も独立して、水素、-COOH、又はOHとすることができ、qは1-6であり、Rは水素、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1―6-O-SO;-(CH)1−6-O-PO;C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル;C2−6-アルキニル、又はアリーレンであり、アリーレンが-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-NR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよく、R及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル又はC2−6-アルキニルである、第19a項に記載のインスリン誘導体。
33a.q=1及びq=2であると、R及びRはHであり;q=3であると、RはHであり、Rは-COOHであり;qは3であり、Rは水素である、第32a項に記載のインスリン誘導体。
34a.Xが結合である、第19a−34a項の何れかに記載のインスリン誘導体。
35a.Xが:
・-CO-
・-COCH(R)-;
・-COCHN(CH)-;
・-COCHN(CH)COCHN(CH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CHCH)-COCHCHN(CHCH)-;
・-COCHN(CHCH)-;
・-COCHCHN(CH)-;
で、RがCOOH又はCONHとすることができるもの;
・-(CO-(CH)2−6-NH-CO)1−4-;
・-(CO-(CH)2−6-CO-NH)1−4−;
・-(CO-(CR10)1−6-CO-NH)1−4-;
で、R及びR10が互いに独立して、H、-COOH、-(CH)1−6COOH、CH、-(CH)1−6CH又はCONHとすることができるもの;又は
・結合;
である、第19a項に記載のインスリン誘導体。
36a.Xが、-(CO-(CH)-NH-CO)-、又は-(CO-(CH)-NH-CO)-からなる群から選択される、第35a項に記載のインスリン誘導体。
37a.Xが-CO-又は-COCH(COOH)-である、第35a項に記載のインスリン誘導体。
38a.Xが結合である、第35a−37a項に記載のインスリン誘導体。
39a.Wがフェニレンである、第19a−38a項に記載のインスリン誘導体。
40a.Wが、窒素、酸素又は硫黄を有する5-7員の複素環系である、第39a項に記載のインスリン誘導体。
41a.Wが、少なくとも一の酸素又は硫黄を有する5員の複素環系である、第40a項に記載のインスリン誘導体。
42a.Wが結合である、第19a−38a項に記載のインスリン誘導体。
43a.mが0、1又は2である、第19a−42a項に記載のインスリン誘導体。
44a.Xが-CO-又は結合であり、Yが結合である、第19a−43a項に記載のインスリン誘導体。
45a.Qが、式-(CH)s1-Q-(CH)s2-Q-(CH)s3-Q-(CH)s4-Q-(CH)s5-の鎖であり;ここでQ-Qが互いに独立して、O、S、S(O)、S(O)、P(OH)、-O-P(OH)-O-、NH、NR;-N(COR)-、又は結合とすることができ;Rが水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニルであり;
が:
・-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-NR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいアリーレンで、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能なもの;
・炭素が、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-NR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいヘテロアリーレンで、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能なもの;
・窒素が、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいヘテロアリーレン;又は
・多環式系;
とすることができ、ここで、s1、s2、s3及びs4は互いに独立して、s1、s2、s3及びs4の合計が4〜22の範囲になるような、0又は1〜10の整数とすることができ;s5は0又は1〜3の整数であり、但し;Q、Q及びQは互いに結合を形成しなくてもよく、s1、s2及びs3が0又は1であるならば、いずれの-CH-も、次の原子:O、N、S、又はPの2つに結合できない、第19a−44a項の何れかに記載のインスリン誘導体。
46a.Qがアリーレンである、第45a項に記載のインスリン誘導体。
47a.QがCである、第45a又は46a項に記載のインスリン誘導体。
48a.Qが、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-NR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよいアリーレンであり、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり;R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能である、第45a又は46a項に記載のインスリン誘導体。
49a.Qがヘテロアリーレンである、第45a項に記載のインスリン誘導体。
50a.ヘテロアリーレン基が、窒素、硫黄又は酸素を有する、第49a項に記載のインスリン誘導体。
51a.ヘテロアリーレンが窒素を有し、該窒素が、水素、C1−6-アルキル、C2―6-アルケニル又はC2−6-アルキニルからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよい、第50a項に記載のインスリン誘導体。
52a.ヘテロアリーレンが炭素を有し、該炭素が、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-NR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよく、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり、R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能である、第50a項に記載のインスリン誘導体。
53a.Qが5-7員環系である、第45a−46a項に記載のインスリン誘導体。
54a.Qが5員環系である、第53a項に記載のインスリン誘導体。
55a.Qが多環式系である、第45a項に記載のインスリン誘導体。
56a.多環式系が、-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1―6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-NR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R、又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよく、ここでR及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、又はC2−6-アルキニルであり、R及びRが同じ窒素原子に結合している場合、該窒素原子と共同して、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2のさらなるヘテロ原子を有していてもよく、1又は2の二重結合を有していてもよい、3ないし8員の複素環を形成可能である、第55a項に記載のインスリン誘導体。
57a.Qが二環系である、第55a−56aに記載のインスリン誘導体。
58a.二環系が2つの5-7員環系を含む、第57a項に記載のインスリン誘導体。
59a.二環系が1つの6員環と1つの5員環を含む、第57a−58a項に記載のインスリン誘導体。
60a.5員環が窒素、酸素又は硫黄を有する、第59a項に記載のインスリン誘導体。
61a.Q、Q及びQが全て結合である、第45a−60a項に記載のインスリン誘導体。
62a.s2、s3及びs4が1である、第45a−61a項に記載のインスリン誘導体。
63a.s1が5、6、7又は8であり、s5が0、1又は2である、第45a−62a項に記載のインスリン誘導体。
64a.s5が0である、第45a−63a項に記載のインスリン誘導体。
65a.s5が2である、第45a−63a項に記載のインスリン誘導体。
66a.Q及びQが酸素である、第45a−60a及び62a−65a項に記載のインスリン誘導体。
67a.Zが-COOHである、第19a−66a項に記載のインスリン誘導体。
68a.Zが-CO-Aspである、第19a−66a項に記載のインスリン誘導体。
69a.Zが-CO-Gluである、第19a−66a項に記載のインスリン誘導体。
70a.Zが-CO-Glyである、第19a−66a項に記載のインスリン誘導体。
71a.Zが-CO-Sarである、第19a−66a項に記載のインスリン誘導体。
72a.Zが-CH(COOH)である、第19a−66a項に記載のインスリン誘導体。
73a.Zが-N(CHCOOH)である、第19a−66a項に記載のインスリン誘導体。
74a.Zが-SOHである、第19a−66a項に記載のインスリン誘導体。
75a.Zが-POである、第19a−66a項に記載のインスリン誘導体。
76a.ZがO-SOHである、第19a−66a項に記載のインスリン誘導体。
77a.ZがO-POである、第19a−66a項に記載のインスリン誘導体。
78a.Zが-テトラゾ-5-リルである、第19a−66a項に記載のインスリン誘導体。
79a.Zが6員及び5員環からなる二環系であり、Zが6員環を介して結合している、第19a−66a項に記載のインスリン誘導体。
80a.5員環が、6員環と共有しない、3つの窒素を有している、第79a項に記載のインスリン誘導体。
81a.親インスリンがヒトインスリン又はブタインスリンである、第1a−80a項の何れかに記載のインスリン誘導体。
82a.親インスリンがインスリンアナログである、第1a−80a項の何れかに記載のインスリン誘導体。
83a.親インスリンのB30位にあるアミノ酸残基がLysであるか、又は欠失している、第81a−82a項の何れかに記載のインスリン誘導体。
84a.親インスリンがdesB30ヒトインスリンである、第83a項に記載のインスリン誘導体。
85a.親インスリンのB1位にあるアミノ酸残基が欠失している、第81a−84a項の何れかに記載のインスリン誘導体。
86a.親インスリンのA21位にあるアミノ酸残基がGly又はAsnである、第81−85項の何れかに記載のインスリン誘導体。
87a.親インスリンのB3位にあるアミノ酸残基がLysである、第81a−86a項の何れかに記載のインスリン誘導体。
88a.親インスリンのB28位にあるアミノ酸残基がAsp又はLysである、第81a−87a項の何れかに記載のインスリン誘導体。
89a.親インスリンのB29位にあるアミノ酸残基がPro又はThrである、第81a−88a項の何れかに記載のインスリン誘導体。
90a.親インスリンがAspB28ヒトインスリンである、第88a項に記載のインスリン誘導体。
91a.親インスリンが、GlyA21ヒトインスリン、又はGlyA21desB30ヒトインスリン、又はGlyA21ArgB31ArgB32ヒトインスリンである、第86a項に記載のインスリン誘導体。
92a.親インスリンがLysB3GluB29ヒトインスリンである、第87a項に記載のインスリン誘導体。
93a.親インスリンがLysB28ProB29ヒトインスリンである、第88a−89a項に記載のインスリン誘導体。
94a.親インスリンがThrB29LysB30ヒトインスリンである、第83a及び89a項に記載のインスリン誘導体。
95a.それぞれのインスリン六量体が、2つの亜鉛イオン、3つの亜鉛イオン、4つの亜鉛イオン、5つの亜鉛イオン又は6つの亜鉛イオンに結合している、上述した項の何れかに記載のインスリン誘導体の亜鉛錯体。
96a.薬学的に許容可能な担体と共に、上述した項の何れかに記載のインスリン誘導体を治療的有効量含有する、治療が必要な患者における糖尿病を治療するための薬学的組成物。
97a.薬学的に許容可能な担体と共に、速攻で作用を開始するインスリン又はインスリンアナログと混合して、上述した項の何れかに記載のインスリン誘導体を治療的有効量含有する、治療が必要な患者における糖尿病を治療するための薬学的組成物。
98a.薬学的に許容可能な担体と共に、上述した項の何れかに記載のインスリン誘導体を治療的有効量、患者に投与することを含む、治療が必要な患者における糖尿病を治療するための方法。
99a.薬学的に許容可能な担体と共に、速攻で作用を開始するインスリン又はインスリンアナログと混合して、上述した項の何れかに記載のインスリン誘導体を治療的有効量、患者に投与することを含む、治療が必要な患者における糖尿病を治療するための方法。
100a.糖尿病の肺処置用である、第98a又は99a項に記載の方法。
101a.第1a−95a項の何れかに記載のインスリン誘導体と、AspB28ヒトインスリン;LysB28ProB29ヒトインスリン及びLysB3GluB29ヒトインスリンからなる群から選択される速攻型インスリンアナログとの混合物。
102a.NεB29-(12-(4-カルボキシフェニル)ドデカノイル-γ-Glu)desB30インスリン、
εB29-(−11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイル-ガンマ-Glu)desB30インスリン、
εB29-(12-(3-カルボキシフェニル)ドデカノイル-ガンマ-Glu desB30インスリン、
εB29-(9-[4-(2-カルボキシエチル)フェニル]ノナノイル)-ガンマ-Glu)desB30インスリン、又は
εB29-(4-[11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイルアミノ]ブチリル)desB30インスリン、
からなる群から選択される、第1a−95a項の何れかに記載のインスリン誘導体。
103a.実施例に記載するようなインスリン誘導体。
本発明を以下の実施例によりさらに例証するが、本発明の範囲を制限すると解釈されるものではない。
実施例
HPLC-MS(方法A):
次の機器を使用した:
Hewlett Packard series 1100 G1312A Binポンプ
Hewlett Packard series 1100 カラムコンパートメント
Hewlett Packard series 1100 G1315A DADダイオードアレイ検出器
Hewlett Packard series 1100 MSD
Sedere75蒸発光散乱検出器
機器をHP Chemstationソフトウェアで制御した。
HPLCポンプを:
A:水中に0.05%のTFA
B:アセトニトリルに0.05%のTFA
を含む2つの溶離液貯蔵所に接続した。
アセトニトリル勾配を用いて溶離されるカラムに、適量(好ましくは1μl)のサンプルを注入することによって、分析を40℃で実施する。
使用されるHPLC条件、検出器の設定及び質量分析器の設定を以下に付与する:
カラム:Waters Xterra MS C-18 X 3 mm id 5 mm
勾配: 5%-95%のアセトニトリル、線形、2.7ml/分で、3分間
検出 210nm(DADからのアナログ出力)
ELS(ELSからのアナログ出力)
DAD後、流れを分岐させてELSに約1ml/分、MSに0.5ml/分とした。
HPLC-MS(方法B):
この方法は、勾配を50-99%のアセトニトリルにすることを除けば、HPLC-MS(方法A)と同様である。
HPLC-MS法(方法C):
次の機器を使用する:
Hewlett Packard series 1100 G1312A Binポンプ
Hewlett Packard series 1100 G13 15A DADダイオードアレイ検出器
Sciex 3000トリプルクアドロ極質量分析計
Gilson 215 マイクロインジェクター
Sedex55蒸発光散乱検出器
ポンプ及び検出器は、Macintosh G3コンピュータで動作する、MassChrom1.1.1ソフトウェアにより制御される。Gilson Unipoint Version 1.90はオートインジェクターを制御する。
HPLCポンプを:
A:水中に0.01%のTFA
B:アセトニトリルに0.01%のTFA
を含む2つの溶離液貯蔵所に接続する。
アセトニトリル勾配を用いて溶離されるカラムに、適量(好ましくは10μl)のサンプルを注入することによって、分析を室温で実施する。カラムからの溶離液をUV検出器を通してフロースプリッターに向け、API3000スペクトロメーターのAPI Turboイオンスプレーインターフェイスまで約30μl/分(1/50)で通した。残余の1.48ml/分(49/50)はELS検出器に通す。
使用されるHPLC条件、検出器の設定及び質量分析器の設定を以下の表にまとめる。
Figure 0005269766
HPLC(方法A):
バッファーA:10mMのTris、15mMの(NH)SO、4NのHSOを用いてpH7.3に調節、20%v/vのアセトニトリル
バッファーB:80%v/vのアセトニトリル
流量:1.5ml/分
勾配:0-20分は10-50%のB
カラム:Phenomerex, Jupiter 4.6mm x 15 mm, C4, 5μ, 300Å
カラム温度:40℃
実施例1
εB29-(12-(4-カルボキシフェニル)ドデカノイル-γ-Glu)desB30インスリン
Figure 0005269766
一般的手順(A):カルボン酸のtert-ブチル保護
工程1:4-ヨード安息香酸tert-ブチルエステル
4-ヨード安息香酸(10g、40.3mmol)を無水トルエン(100ml、分子ふるい上で乾燥)に溶解させた。溶液を、窒素流下、70℃で加熱した。トルエン(25ml)にN,N-ジメチルホルムアミド-ジ-tert-ブチルアセタール(24.6g、121mmol)が入った溶液を、約30分以上かけて添加した。反応体を16時間加熱した。加熱ユニットが機能しなくなった時点で、反応体を70℃から室温まで冷却した。溶液を70℃まで加熱し、5時間混合した。サンプルを真空下で濃縮し、AcOEt(400ml)を添加した。ついで、溶液を1:1の飽和NaHCO/水(150ml)、及び飽和NaHCO、水及び飽和NaCl(各75ml)で洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO)、真空下で濃縮したところ、淡褐色の油が生じた。
HPLC-MS(方法A) m/z:327(M+23)。 R=2.43分。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ7.77(d,2H)、7.69(d,2H)、1.58(s,9H)。
一般的手順(B):カルボン酸のメチルエステル保護
工程2:12-ブロモドデカン酸メチルエステル
12-ブロモドデカン酸(10g、35.8mmol)を、メタノール(60ml)及びトルエン(180ml)と共に攪拌した。トリメチルオルトホルマート(38g、358mmol)とAmberlyst A-15(約1g)を添加した。反応体を16時間混合した。加熱ユニットが機能しなくなった時点で、反応体を70℃から室温に冷却した。溶液を70℃まで加熱し、24時間混合した。TLC(2:1 ヘプタン/AcOEt)は、反応が完了したことを示した。トリメチルオルトホルマート(38g、358mmol)及びAmberlyst A-15(1.4g)を添加し、溶液を70℃で16時間攪拌した。サンプルを真空下で濃縮したところ、褐色の油(9.87g)が生じた。0.09トールで真空蒸留したところ、無色の油の2つのフラクション(109-117℃、6.95g;117-129℃、1.17g)が生じた。これらを組合せ、AcOEt(100ml)に溶解させ、飽和NaHCO(2x40ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空下で濃縮した。油を20:1のAcOEt/TEA(10ml)に溶解させ、シリカ床(3cmx7.5cm直径)に添加した。カラムをAcOEt/TEA 20:1(200ml)で溶出させ、濾液を真空下で濃縮した。油をAcOEt(100ml)に溶解させ、1NのHCl(2×40ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空で濃縮したところ、無色の油(7.52g、収率72%)が生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:293及び295(M、M+2)、R=1.64分
H-NMR(CDCl、300MHz)δ3.67(s,3H)、3.41(t,2H)、2.30(t,2H)、1.80-1.90(m,2H)、1.52-1.71(m,2H)、1.37-1.52(m,2H)、1.28(s,12H)。
一般的手順(C):Br-I交換
工程3:12-ヨードドデカン酸メチルエステル
12-ブロモドデカン酸メチルエステル(5.65g、19.3mmol)をアセトン(50ml)に溶解させた。ヨウ化ナトリウム(14.4g、96mmol)を添加し、反応体を窒素下で20時間還流した。サンプルを真空下で濃縮した。水(100ml)を添加し、混合物をAcOEt(2x100ml)で抽出した。有機抽出物をプールし、水プラス少量の飽和NaCl及び飽和NaCl(各100ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濃縮したところ、淡黄色の油(6.37g、97%)が生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:341(M+1)、R=1.88分
H-NMR(CDCl、300MHz)δ3.67(s,3H)、3.19(t,2H)、2.30(t,2H)、1.77-1.87(m,2H)、1.53-1.68(m,2H)、1.18-1.45(m,14H)。
一般的手順(D):C-Cカップリング
工程4:4-(11-メトキシカルボニルウンデシル)安息香酸-tert-ブチルエステル
使用前に、全てのガラス製品を乾燥させた。分子ふるい上でTHFを乾燥させた。LiClを、150℃で1時間乾燥させ、ついで密閉ボトルに保管した。全ての反応溶液を窒素下で作製し、シリンジを介して溶液を移動した。4-ヨード安息香酸-tert-ブチルエステル(3g、9.9mmol)をTHF(7.5ml)に溶解させ、−20ないし−30℃まで冷却した。イソプロピルマグネシウムクロリド(10.9mmol、THFに2M)を5分以上かけて添加し、溶液を30分攪拌した。7.5mlのTHFにCuCN(0.97g、10.9mmol)とLiCl(0.92g、21.7mmol)が入った溶液を添加した。反応体を冷浴から外し、室温で放置した。15分後、亜リン酸トリメチル(0.62ml)を添加した。5分攪拌した後、THF(5ml)の溶液に、-ヨードドデカン酸メチルエステル(2.69g、7.89mmol)を添加した。16時間攪拌した後、反応体を飽和NHCl(6ml)でクエンチした。水(100ml)を添加し、溶液をAcOEt(3x100ml)で抽出した。有機抽出物をプールし、水(100ml)(幾ばくかの飽和NaCl及びMeOHを添加し、相分離を補助した)及び飽和NaCl(100ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空で濃縮したところ、二相残基(5.85g)が生じた。残留物をAcOEtに溶解させ、ガラスフィルター(7,5cm直径x3cm)において、シリカ床に滴下した。200mlのAcOEtをシリカを通して洗浄し、濾液を濃縮したところ、残留物が生じた。これをDCM(10ml)に溶解させ、フラッシュクロマトグラフィー(15cmx40mm、9:1のヘプタン/AcOEtで溶出)で精製した。関連するフラクションをプールし、真空下で濃縮した。これを9:1のヘプタン/AcOEt(7ml)に溶解させ、フラッシュクロマトグラフィー(15cmx40mm、9:1のヘプタン/AcOEtで溶出)で再度精製したところ、無色の油(185mg)が生じた。
H-NMR(CDCl、300MHz)δ7.90(d,2H)、7.21(d,2H)、3.66(s,3H)、2.64(t,2H)、2.30(t,2H)、1.53-1.68(m,13H)、1.12-1.37(m,14H)。
一般的手順(E):鹸化
工程5:4-(11-メトキシカルボニルウンデシル)安息香酸
4-(11-メトキシカルボニルウンデシル)安息香酸-tert-ブチルエステル(185mg、0.47mmol)をTHF(2ml)に溶解させ、1NのNaOH(0.497mmol)を1分以上かけて添加した。混合物を室温で16時間攪拌した。AcOEt(50ml)を添加し、溶液を5%のAcOH(2x25ml)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、真空で濃縮したところ生成物(153mg)が生じた。
HPLC-MS(方法A):m/z:399(M+23)、R=2.86分。
H-NMR(CDCl、300MHz)δ7.90(d,2H)、7.21(d,2H)、2.64(t,2H)、2.35(t,2H)、1.54-1.70(m,13H)、1.15−1.40(m,16H(14H理論値))。
一般的手順(F):EDACを用いたアミド形成
工程6:(S)-2-[12-(4-tert-ブトキシカルボニルフェニル)ドデカノイルアミノ]ペンタン二酸-5-ベンジルエステル-1-tert-ブチルエステル
4-(11-メトキシカルボニルウンデシル)安息香酸(153mg、0.41mmol)をDMF(3ml)に溶解させた。HOBt(60mg、0.45mmol)、EDAC(86mg、0.45mmol)及びDIEA(172mg、1.34mmol)を添加し、溶液を窒素下、室温で30分攪拌した。H-Glu-(OBzl)-OtBu塩化水素(141mb、0.43mmol)を溶液に添加し、室温で16時間攪拌した。サンプルを真空下で濃縮した。AcOEt(50ml)を添加し、溶液を、水で1回、5%のAcOH及び飽和NaHCO(各25ml)で2回洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空下で濃縮したところ、わずかに黄色がかった油(249mg)が生じた。生成物をフラッシュクロマトグラフィー(7.5cmx40mm、1:2のAcOEt/ヘプタンで溶出)で精製したところ、無色の残留物(177mg)が生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:652(M+1)、R=2.68分。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ7.89(d,2H)、7.35(s,5H)、7.21(d,2H)、6.06(d,1H)、5.11(s,2H)、4.52(m,1H)、2.64(t,2H)、2.30-2.54(m,2H)、2.13-2.27(m,3H)、1.90-2.03(m,1H)、1.53-1.67(m,19H(13H+水)、1.46(s,9H)、1.18-1.36(m,14H)。
一般的手順(G):ベンジルエステルの除去
工程7:(S)-2-[12-(4-tert-ブトキシカルボニルフェニル)ドデカノイルアミノ]ペンタン二酸-1-tert-ブチルエステル
(S)-2-[12-(4-tert-ブトキシカルボニルフェニル)ドデカノイルアミノ]ペンタン二酸-5−ベンジルエステル-1-tert-ブチルエステル(175mg、0.27mmol)をTHFに溶解させ、窒素下に配した。10%のパラジウム炭(約20mg)を添加し、フラスコから液体を抜き、窒素を3回充填した。フラスコに、水素を満たしたバルーンを取り付け、室温で一晩乾燥させた。セライトを通して溶液を濾過し、THFで洗浄した。濾液を真空下で濃縮したところ、油(0.15g)が生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:584(M+23)、R=1.95分。
一般的手順(H):カルボン酸のHSTU活性化
工程8:(S)-2-[12-(4-tert-ブトキシカルボニルフェニル)ドデカノイルアミノ]ペンタン二酸-5-tert-ブチルエステル-1-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)エステル
(S)-2-[12-(4-tert-ブトキシカルボニルフェニル)ドデカノイルアミノ]ペンタン二酸-1-tert-ブチルエステル(158mg、0.28mmol)をTHF(6ml)に溶解させた。DIEA(48μl、0.28mmol)を添加し、溶液を氷浴に置いた。HSTU(101mg、0.28mmol)を添加し、溶液を16時間攪拌し、ゆっくりと室温まで温めた。溶媒を真空下で除去し、残留物をAcOEt(25ml)及び5%のAcOH(15ml)の間に分配させた。有機相を5%のAcOH(2x15ml)及び飽和NaHCOで洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮したところ、油(0.16g)が生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:681(M+23)、R=2.17分。
一般的手順(I):インスリンの修飾及び官能基の脱保護
工程9:B29N(eps)-12-(4-カルボキシフェニル)ドデカノイル-ガンマ-GludesB30インスリン
10mlの丸底フラスコにおいて、Des-B30インスリン(126mg、0.022mmol)を、100mMのNaCO(1.5ml)及びアセトニトリル(1.5ml)を添加することによって溶解させた。(S)-2-[12-(4-tert-ブトキシカルボニルフェニル)ドデカノイルアミノ]ペンタン二酸-5-tert-ブチルエステル-1-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)エステル(17mg、0.026mmol)を、アセトニトリル(750 μl)に添加し、最終溶液が50:50の100mM NaCO/アセトニトリルになるように、NaCO(750μl)を添加した。溶液を室温で1時間攪拌した。溶液を15mlの遠心分離用チューブに移し、Milli-Q水(6ml)で洗浄した。溶液を氷上で冷却し、1NのHClを添加することにより、pHを5.1に調節し、沈殿に至らしめた。チューブを10℃で10分、5000rpmの遠心分離にかけた。溶媒を固形物からデカントした。固形物に95:5のTFA/水(2.5ml)を添加した。溶液をRB-フラスコに注ぎ、超95:5のTFA/水(2.5ml)で洗浄した。溶液を室温で30分攪拌し、真空下で濃縮した。DCMを添加し、2回除去し、フラスコを室温で真空下で乾燥させた。生成物を調製用HPLC(2cm直径、C18カラム、アセトニトリル/水/0.05%のTFA)により精製した。関連するフラクションをプールし(2つのバッチ)、水を用いて1:1に希釈した。溶液を氷上で冷却し、1NのNaOHを用い約5のpHに調節することによって、沈殿を誘導した。サンプルを遠心分離(5000rpm、10分、5℃)した。液体をデカントし、ペレットを凍結乾燥したところ、白色の固形物(25.9mg+6.7mg)が生じた。25.9mgを調製用HPLC(1cm直径、Cカラム、アセトニトリル/水/0.05%のTFA)を使用してさらに精製したところ、白色の固形物(13mg)が生じた。
HPLC(方法A):R=4.62分。
MALDI-MS:(CHCA)m/z:6140(M=6138)。
実施例2
εB29-(−11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイル-γ-Glu)desB30インスリン
Figure 0005269766
工程1:11-ヨードウンデカン酸メチルエステル
11-ブロモウンデカン酸メチルエステル(20.2g、72.3mmol)をアセトン(200ml)に溶解させた。ヨウ化ナトリウム(54g、361mmol)を添加し、反応体を窒素下で16時間還流した。室温まで冷却した後、塩を濾過した。濾液を真空下で濃縮し、水(200ml)を添加した。相分離を助けるために、幾ばくかの飽和NaClを添加したAcOEt(2x100ml)を用いて、溶液を抽出した。有機抽出物をプールし、水(100ml)+少量の飽和NaCl、及び飽和NaCl(50ml)で洗浄した。MgSO上で乾燥させた。溶液は赤-オレンジの色をしていた。小さじ3杯の活性炭を添加した。混合後、セライト床を通して、溶液を濾過した。濾液を真空下で濃縮したところ、淡黄色の油(20.96g、89%)が生じた。.
HPLC-MS(方法B):m/z:327(M+1)、R=1.59分。
H-NMR(CDCl、300MHz)δ3.67(s,3H)、3.19(t,2H)、2.30(t,2H)、1.74-1.89(m,2H)、1.53-1.70(m,2H)、1.34-1.46(m,2H)、1.28(br,10H)。
一般的手順(D2):ピペリジン検査を伴うC-Cカップリング
工程2:4-(10-メトキシカルボニルデシル)安息香酸-tert-ブチルエステル
使用前に、全てのガラス製品を乾燥させた。分子ふるい上でTHFを乾燥させた。LiClを、150℃で1時間乾燥させ、ついで密閉ボトルに保管した。全ての反応溶液を窒素下で作製し、シリンジを介して溶液を移動した。4-ヨード安息香酸-tert-ブチルエステル(1.2g、3.95mmol)をTHF(3ml)に溶解させ、−30℃まで冷却した。イソプロピルマグネシウムクロリド(4.34mmol、THFに2M)を5分以上かけて添加し、溶液を−18℃〜−25℃の温度で1時間攪拌した。溶液を−22℃まで冷却し、ついで、THF(4.2ml)にCuCN(0.389g、4.34mmol)とLiCl(0.368g、8.68mmol)の混合物が入ったものを添加した。反応容器を冷却から外し、放置して室温まで温めた(約10分)。亜リン酸トリメチル(0.95ml)を添加し、室温で5分攪拌した後、THF(3ml)に11-ヨード-ウンデカン酸メチルエステル(1.0g、3.16mmol)が入った溶液を添加した。溶液を室温で16時間混合した。飽和NHCl(3ml)を添加し、溶液を水(60ml)に注いだ。溶液をAcOEt(3x35ml)で抽出した。有機抽出物をプールし、相分離を助けるために、幾ばくかの飽和NaClを使用し、水(30ml)を用いて洗浄した。溶媒を真空下で除去したところ、二相残基が生じた。AcOEt(約2ml)を添加し、フラスコをゆっくりと回転させた。高粘度の白色残留物の全てが溶解したわけではなかった。溶解した部分をシリカ(50g)カラムに添加し、AcOEt:ヘプタン 1:11で溶出させた。適切なフラクションを真空下で濃縮したところ、油(1.25g)が生じた。油をアセトン(30mL)に溶解させ、ピペリジン(1mL)を添加した。NaI(0.8g)を添加し、混合物を攪拌して、16時間還流した。混合物を真空下で濃縮し、AcOEt(50mL)と1NのHCl(25ml)の間に分配させた。有機相を1NのHCl(2x25mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空下で濃縮したところ、無色の油(1.1g)が生じた。生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:AcOEt:ヘプタン 1:11、150gのシリカ)で精製したところ、無色の油(0.72g、61%)が生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:399(M+23)、R=2.46分。
H-NMR(CDCl、300MHz)δ7.90(d,2H)、7.21(d,2H)、3.66(s,3H)、2.64(t,2H)、2.30(t,2H)、1.48-1.70(m,13H)、1.27(br、12H)。
実施例1に類似した様式で残りの工程を実施した。
工程3:4-(10-カルボキシデシル)安息香酸-tert-ブチルエステル
一般的手順(E)に類似した様式で化合物を調製したところ、白色の固形物(0.68g)が生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:385(M+23)、R=2.02分。
H-NMR(CDCl、300MHz)δ7.90(d,2H)、7.21(d,2H)、2.64(t,2H)、2.34(t,2H)、1.53-1.71(m,13H)、1.28(br,12H)。
工程4:(S)-2-[11-(4-tert-ブトキシカルボニルフェニル)ウンデカノイルアミノ]ペンタン二酸-5-ベンジルエステル-1-tert-ブチルエステル:
一般的手順(F)に類似した様式で化合物を調製したところ、無色の油(303mg)が生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:660(M+23)、R=2.44分。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ7.89(d,2H)、7.35(m,5H)、7.21(d,2H)、6.05(d,1H)、5.11(s,2H)、4.52(m,1H)、2.63(t,2H)、2.30-2.53(m,2H)、2.12-2.26(m,3H)、1.89-2.03(m,1H)、1.52-1.67(m,13H)、1.46(s,9H)、1.26(br,12H)。
工程5:(S)-2-[11-(4-tert-ブトキシカルボニルフェニル)ウンデカノイルアミノ]ペンタン二酸-1-tert-ブチルエステル:
一般的手順(G)に類似した様式で化合物を調製したところ、無色の油(260mg)が生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:570(M+23)、R=1.71分。
工程6:(S)-2-[11-(4-tert-ブトキシカルボニルフェニル)ウンデカノイルアミノ]ペンタン二酸-5-tert-ブチルエステル-1-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)エステル:
一般的手順(H)に類似した様式で化合物を調製した。
HPLC-MS(方法B):m/z:667(M+23)、R=1.93分。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ7.89(d,2H)、7.21(d,2H)、6.20(d,1H)、4.60(m,1H)、2.84(s,4H)、2.67-2.78(m,1H)、2.56-2.67(m,3H)、2.26-2.40(m,1H)、2.21(t,2H)、2.05-2.15(m,1H)、1.54-1.67(m,13H)、1.48(s,9H)、1.26(br,14H,理論値.12H+AcOEt)
工程7:NεB29-(11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイル-ガンマ-Glu)desB30インスリン
一般的手順(I)に類似した様式で化合物を調製した。
HPLC(方法A):R=6.19分。
MALDI-MS:(CHCA)m/z:6132(M=6124,参照標準(M=5706)はm/z=5712を示した)。
HPLC-MS(方法C):m/z:1532.4((M+4)/4=1532)、R=3.44分。
実施例3
εB29-(12-(3-カルボキシフェニル)ドデカノイル-γ-GludesB30インスリン
Figure 0005269766
工程1:3-ヨード安息香酸tert-ブチルエステル:
一般的手順(A)に類似した様式で化合物を調製したところ、淡褐色の油(1.8g)が生じた。
HPLC-MS(方法A):m/z:327(M+23)、R=2.42分。
H-NMR(CDCl、300MHz)δ8.31(s,1H)、7.95(d,1H)、7.85(d,1H)、7.16(t,1H)、1.59(s,9H)。
工程2:3-(11-メトキシカルボニルウンデシル)安息香酸-tert-ブチルエステル
一般的手順(D)に類似した様式で化合物を調製した。
HPLC-MS(方法B):m/z:413(M+23)、R=2.54分。
H-NMR(CDCl3、400MHz)δ7.78-7.82(m,2H)、7.28-7.36(m,2H)、3.66(s,3H)、2.63(t,2H)、2.30(t,2H)、1.58-1.71(m,13H)、1.21-1.37(m,14H)。
工程3:3-(11-カルボキシ-ウンデシル)安息香酸-tert-ブチルエステル
一般的手順(E)に類似した様式で化合物を調製したところ、290mgが生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:399(M+23)、R=1.89分。
H-NMR(CDCl、300MHz)δ7.73-7.88(m,2H)、7.27-7.38(m,2H)、2.64(t,2H)、2.35(t,2H)、1.54-1.70(m,13H)、1.20-1.41(m,14H)。
工程4:(S)-2-[12-(3-tert-ブトキシカルボニルフェニル)ドデカノイルアミノ]ペンタン二酸-5-ベンジルエステル-1-tert-ブチルエステル
一般的手順(F)に類似した様式で化合物を調製したところ、400mgが生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:652(M+1)、R=2.56分。
H-NMR(CDCl、300MHz)δ7.74-7.85(m,2H)、7.27-7.41(m,7H)、6.06(d,1H)、5.11(s,2H)、4.45-4.58(m,1H)、2.63(t,2H)、2.30-2.55(m,2H)、2.12-2.27(m,3H)、1.89-2.04(m,1H)、1.52-1.67(m,13H)、1.46(s,9H)、1.15-1.37(m,14H)。
工程5:(S)-2-[12-(3-tert-ブトキシカルボニルフェニル)ドデカノイルアミノ]ペンタン二酸-1-tert-ブチルエステル
一般的手順(G)に類似した様式で化合物を調製したところ、370mgが生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:584(M+23)、R=1.86分。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ7.77-7.83(m,2H)、7.28-7.37(m,2H)、6.25(d,1H)、4.45-4.63(m,1H)、2.63(t,2H)、2.32-2.54(m,2H)、2.14-2.32(m,3H)、1.87-1.97(m,1H)、1.56-1.68(m,13H)、1.47(s,9H)、1.19-1.37(m,14H)。
工程6:(S)-2-[12-(3-tert-ブトキシカルボニルフェニル)ドデカノイルアミノ]ペンタン二酸-5-tert-ブチルエステル-1-(2,5-ジオキソ−イロリジン-1-イル)エステル
一般的手順(H)に類似した様式で化合物を調製したところ、390mgが生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:681(M+23)、R=2.06分。
工程7:NεB29-(11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイル-ガンマ-Glu)desB30インスリン
一般的手順(I)に類似した様式で化合物を調製したところ、51mgが生じた。
HPLC(方法A):R=6.25分。
MALDI-MS:(CHCA)m/z:6142(M=6138,参照標準(M=5706)はm/z=5711を示した)。
HPLC-MS(方法C):m/z:1535.7((M+4)/4=1535.5)、R=3.22分。
実施例4
εB29-(9−[4-(2-カルボキシエチル)フェニル]ノナノイル)-γ-Glu)desB30インスリン
Figure 0005269766
工程1:3-(4-ヨードフェニル)プロピオン酸-tert-ブチルエステル
一般的手順(A)に類似した様式で化合物を調製したところ、3.97gが生じた。
HPLC-MS(方法A):m/z:355(M+23)、R=2.39分。
H-NMR(CDCl、300MHz)δ7.60(d,2H)、6.96(d,2H)、2.84(t,2H)、2.50(t,2H)、1.41(s,9H)。
工程2:9-ブロモノナン酸メチルエステル
一般的手順(B)に類似した様式で化合物を調製したところ、無色の油(6.56g)が生じた。
H-NMR(CDCl、300MHz)δ3.67(s,3H)、3.40(t,2H)、2.31(t,2H)、1.78-1.93(m,2H)、1.56-1.70(m,2H)、1.36-1.50(m,2H)、1.26-1.36(m,6H)。
工程3:9-ヨード−ノナン酸メチルエステル
一般的手順(C)に類似した様式で化合物を調製したところ、油(5.48g)が生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:299(M+1)、R=1.19分。
H-NMR(CDCl、300MHz)δ3.67(s,3H)、3.18(t,2H)、2.31(t,2H)、1.73-1.93(m,2H)、1.54-1.72(m,2H)、1.24-1.47(m,8H)。
工程4:9-[4-(2-tert-ブトキシカルボニルエチル)フェニル]ノナン酸メチルエステル
一般的手順(D2)に類似した様式で化合物を調製したところ、590mgが生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:399(M+23)、R=2.10分。
H-NMR(CDCl、300MHz)δ7.09(m,4H)、3.66(s,3H)、2.87(t,2H)、2.47-2.60(m,4H)、2.29(t,2H)、1.50-1.68(m,4H)、1.42(s,9H)、1.26-1.36(s-br,8H)。
工程5:9-[4-(2-tert-ブトキシカルボニルエチル)フェニル]ノナン酸
一般的手順(E)に類似した様式で化合物を調製したところ、白色の残留物(270mg)が生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:385(M+23)、R=1.44分。
H-NMR(CDCl、300MHz)δ7.09(m,4H)、2.87(t,2H)、2.47-2.61(m,4H)、2.34(t,2H)、1.49-1.73(m,4H)、1.41(s,9H)、1.23-1.37(s-br,8H)。
工程6:(S)-2-{9-[4-(2-tert-ブトキシカルボニルエチル)フェニル]ノナノイルアミノ}ペンタン二酸-5-ベンジルエステル-1-tert-ブチルエステル
一般的手順(F)に類似した様式で化合物を調製したところ、340mgが生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:660(M+23)、R=2.28分。
H-NMR(CDCl、300MHz)δ7.29-7.42(m,5H)、7.09(m,4H)、6.06(d,1H)、5.11(s,2H)、4.45-4.61(m,1H)、2.87(t,2H)、2.30-2.61(m,6H)、2.10-2.28(m,3H)、1.88-2.03(m,1H)、1.49-1.74(m,5H,理論値.4H+水)、1.46(s,9H)、1.42(s,9H)、1.22-1.36(s-br,8H)。
工程7:(S)-2-{9-[4-(2-tert-ブトキシカルボニルエチル)フェニル]ノナノイルアミノ}ペンタン二酸-1-tert-ブチルエステル
一般的手順(G)に類似した様式で化合物を調製したところ、330mgが生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:547(M+1)、R=1.46分。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ7.09(m,4H)、6.25(d,1H)、4.49-4.58(m,1H)、2.87(t,2H)、2.47-2.60(m,4H)、2.30-2.47(m,2H)、2.14-2.26(m,3H)、1.82-1.99(m,1H)、1.51-1.68(m,4H)、1.47(s,9H)、1.41(s,9H)、1.25-1.36(s-br,8H)。
工程8:(S)-2-{9-[4-(2-tert-ブトキシカルボニルエチル)フェニル]ノナノイルアミノ}ペンタン二酸-1-tert-ブチルエステル-5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)エステル
一般的手順(H)に類似した様式で化合物を調製したところ、270mgが生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:667(M+23)、R=1.71分。
工程9:NεB29-(9-[4-(2-カルボキシエチル)フェニル]ノナノイル)-ガンマ-Glu)desB30インスリン
一般的手順(I)に類似した様式で化合物を調製したところ、26mgが生じた。
HPLC(方法A):R=5.80分。
MALDI-MS:(CHCA)m/z:6129(M =6124,参照標準(M=5706)はm/z=5711を示した)。
HPLC-MS(方法C):m/z:1531.8((M+4)/4=1532)、R=2.96分。
実施例5
εB29-(4-[11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイルアミノ]ブチリル)desB30インスリン
Figure 0005269766
工程1:4-[10-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシカルボニル)デシル]安息香酸-tert-ブチルエステル
HSTUの代わりにTSTUを使用した以外は、一般的手順(H)に類似した様式で化合物を調製した。
HPLC-MS(方法B):m/z:482(M+23)、R=2.22分。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ7.89(d,2H)、7.21(d,2H)、2.76-2.93(m,4H)、2.54-2.68(m,2H)、1.67-1.81(M,2H)、1.52-1.66(m,11H)、1.35-1.43(M,2H)、1.19-1.35(br,10H)。
工程2:4-[10-(3-カルボキシ-プロピルカルバモイル)デシル]安息香酸-tert-ブチルエステル
4-[10-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシカルボニル)デシル]安息香酸-tert-ブチルエステル(300mg、0.65mmol)を、DMF(3ml)及び4-アミノ酪酸(67mg、0.65mmol)に溶解させた。混合物を窒素下で16時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、AcOEt(35ml)を添加した。溶液を、0.2NのHCl及び水(各15ml)で洗浄した。飽和NaHCOを有機相に添加した(意図しない)。DCM(50ml)を添加した。幾ばくかの有機相を除去し、DCM(100ml)を水相に添加し、一晩放置した。混合物を氷上で冷却し、4NのHClを用いて、pHを1.9に調節した。有機相を単離し、MgSO上で乾燥させ、真空下で濃縮したところ、油(220mg、収率76%)が生じた。
HPLC-MS(方法C):m/z:470(M+23)、R=5.74分。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ7.89(d,2H)、7.21(d,2H)、5.79(br,1H)、3.27-3.40(m,2H)、2.64(t,2H)、2.40(t,2H)、2.18(t,2H)、1.78-1.91(m,2H)、1.51-1.61(m,13H)、1.35-1.43(M,2H)、1.17-1.36(br,12H)。
工程3:4-{10-[3-(2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルオキシカルボニル)プロピルカルバモイル]デシル}安息香酸-tert-ブチルエステル
HSTUの代わりにTSTUを使用した以外は、一般的手順(H)に類似した様式で化合物を調製した。沈殿(DCM/ヘプタン)により、白色の結晶(180mg、収率70%)が生じた。
HPLC-MS(方法B):m/z:568(M+23)、R=1.60分。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ7.89(d,2H)、7.21(d,2H)、5.83(br,1H)、3.30-3.43(m,2H)、2.85(br,4H)、2.57-2.73(m,4H)、2.15(t,2H)、1.92-2.07(m,2H)、1.56-1.64(m,13H)、1.18-1.36(br,12H)。
工程4:NεB29-(4-[11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイルアミノ]ブチリル)desB30インスリン
一般的手順(I)に類似した様式で化合物を調製したところ、30mgが生じた。
HPLC(方法A):R=7.88分。
MALDI-MS:(CHCA)m/z:6067(M=6080,参照標準(M=5706)はM-13を示した)。
HPLC-MS(方法C):m/z:1520.9((M+4)/4=1521)、R=3.54分。
実施例6
εB29-[12-(5-カルボキシチオフェン-2-イル)ドデカノイル]desB30インスリン
Figure 0005269766
工程1:5-メチル-チオフェン-2-カルボン酸-tert-ブチルエステルの合成
Figure 0005269766
5-メチルチオフェン-2-カルボン酸(2g、14mmol)に、トルエン(60mL)を添加し、懸濁液を80℃まで加熱した。N,N-ジメチルホルムアミド-ジtert-ブチルアセタール(16.8mL、70.3mmol)を添加し、混合物を80℃で一晩加熱した。混合物を真空下で、全容量が約10mLになるまで約濃縮し、ジエチルエーテル(100mL)を添加した。有機相を水(2x50ml)で洗浄し、続いてNaHCO3水(10%、2x50mL)で洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO)、真空で溶媒を除去したところ、1.3gの5-メチル-チオフェン-2-カルボン酸-tert-ブチルエステルが生じた。
H NMR(CDCl):δ7.52(d,1H)、6.73(d,1H)、2.50(s,3H)、3.60(q,2H)、1.56(s,9H)。
工程2:5-ブロモメチルチオフェン-2-カルボン酸-tert-ブチルエステルの合成
Figure 0005269766
5-メチルチオフェン-2-カルボン酸-tert-ブチルエステル(10.8g、54.5mmol)に、シクロヘキサン(100mL)とN-ブロモスクインイミド(9.7g、54.5mmol)を添加し、還流にて一晩加熱した。懸濁液をアミノ酸エチル(200mL)に添加し、有機溶液を水(4x100mL)で洗浄した。溶媒を真空で除去したところ、14.9gの5-ブロモメチルチオフェン-2-カルボン酸-tert-ブチルエステルが生じた。
H NMR(CDCl):δ7.61(d,1H)、7.02(d,1H)、4.66(s,2H)、1.67(s,9H)。
工程3:(5-tert-ブトキシカルボニル-チオフェン-2-イルメチル)-トリフェニルホスホニウムブロミドの合成
Figure 0005269766
5-ブロモメチルチオフェン-2-カルボン酸-tert-ブチルエステル(14.9mmol、43.8mmol)に、トルエン(300mL)及びトリフェニルホスフィン(14.1g、53.8mmol)を添加した。混合物を70℃で一晩加熱した。溶媒を真空で除去したところ、(5-tert-ブトキシカルボニル-チオフェン-2-イルメチル)-トリフェニルホスホニウムブロミドが付与された。
HPLC-MS(方法C):m/z=459;Rt=4.65分。
工程4:12-オキソ-ドデカン酸メチルエステルの合成
Figure 0005269766
12-ヒドロキシデカン酸(15.25g、0.07mol)をメタノール(700mL)に溶解させ、HCl水(1N、10ml)を添加し、混合物を窒素下で16時間攪拌し、NaOH水(1N)を用いて、pHを7.2に調節した。溶媒を真空で除去し、残った化合物を酢酸エチル(150ml)とNaHCO水(5%、150ml)の間に分離させた。有機相を単離し、溶媒を真空で除去したところ、固体状の化合物として12-ヒドロキシデカン酸メチルエステルが付与された。塩化オキサリル(6.5mL、75mmol)をDCM(160mL)と混合し、ドライアイス/アセトンを用いて−60Cまで冷却した。DMSO(10.7mL、151mmol)をDCM(20mL)と混合し、10分以上かけて滴下した。12-ヒドロキシデカン酸メチルエステルをDCM(50mL)に溶解させ、45分以上かけて滴下した。トリエチルアミン(47.8mL、343mmol)を滴下し、沈殿を観察した。トリエチルアミンを添加した後、反応混合物を、室温に達するまで放置した。反応混合物を水(200ml)で洗浄し、水相をDCM(3x200ml)で洗浄し、全ての有機相を収集し、飽和NaCl水(300mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空で除去した。残った油を、酢酸エチル/ヘプタン(20:80)を用いて溶出させるシリカにおいて精製したところ、11.7gの12-オキソ-ドデカン酸メチルエステルが生じた。
H NMR(CDCl):δ9.76(s,1H)、3.66(s,3H)、2.42(t,2H)、2.30(t,2H)、1.66-1.54(m,4H)、1.37-1,24(br s,14H)。
工程5:5-(12-メトキシカルボニル-ドデシル)-チオフェン-2-カルボン酸-tert-ブチルエステルの合成
Figure 0005269766
12-オキソ-ドデンカン酸メチルエステル(14.5g、63.4mmol)及び(5-tert-ブトキシカルボニル-チオフェン-2-イルメチル)-トリフェニルホスホニウムブロミド(29.1g、63.4mmol)を、DMF(350mL)に溶解させた。DBUを添加し、混合物を80Cで35分、加熱した。反応混合物を放置して室温まで冷却し、ジエチルエーテル(3x500ml)と水(2000mL)の間に分離させた。有機相を収集し、水(1x500ml)で洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空で除去した。残った粗物質をヘプタン(300mL)に添加し、30分攪拌した、濾過し、溶媒を真空で除去したところ、13.6gの粗物質である、5-(12-メトキシカルボニル-ドデシ-1-エニル)チオフェン-2-カルボン酸-tert-ブチルエステルのE/Z混合物が生じた。この混合物をメタノール(200mL)に溶解させた。2gの10%パラジウム炭(水で50%湿潤)を添加し、混合物を10バールの水素雰囲気下で、90分攪拌し、濾過し、溶媒を真空で除去したところ、11.6gの5-(12-メトキシカルボニル-ドデシル)-チオフェン-2-カルボン酸-tert-ブチルエステル)が生じた。
H NMR(CDCl):δ7.54(d,1H)、6.74(d,1H)、3.66(s,3H)、2.80(t,2H)、2.30(t,2H)、1.63(m,4H)、1.56(s,9H)、1.27(m,16H)。
工程6:5-(12-カルボキシドデシル)-チオフェン-2-カルボン酸-tert-ブチルエステルの合成
Figure 0005269766
5-(12-メトキシカルボニル-ドデシル)-チオフェン-2-カルボン酸-tert-ブチルエステル(75mg、0.13mmol)を、メタノール(2mL)に溶解させた。水にNaOHが入った20%溶液(0.36mL)を添加し、混合物を室温で1時間攪拌した。水(10mL)を添加し、混合物を、水にNaHSOが入った10%溶液、2mLを添加することにより酸性化させた。遠心分離により沈殿物を単離させ、真空で乾燥させたところ、5-(12-カルボキシドデシル)-チオフェン-2-カルボン酸-tert-ブチルエステルが生じ、これは、任意のさらなる精製をすることなく、次の工程で使用される、いくつかの出発物質で汚染されている。
HPLC-MS(方法C):m/z=396;Rt=6.77分。
工程7:B29N(esp)[12-(5-カルボキシチオフェン-2-イル)ドデカノイル]desB30インスリンの合成
5-(12-カルボキシドデシル)-チオフェン-2-カルボン酸-tert-ブチルエステルをTSTUにより活性化させ、DesB30ヒトインスリンにおいてアシル化させ、続いてTFAを用いて、tert-ブチル保護基を除去し、実施例7に記載されているものと同様の手順を使用し、続いて精製を行った。
HPLC-MS(方法C):m/z=1508(m/4);Rt=4.88分。
実施例7
εB29-[12-(5-カルボキシチオフェン-2-イル)ドデカノイル-γ-Glu]desB30インスリン
Figure 0005269766
工程1:(S)-2-[13-(5-tert-ブトキシカルボニルチオフェン-2-イル)-トリデカノイルアミノ]-ペンタン二酸-1-tert-ブチルエステルの合成
Figure 0005269766
5-(12-カルボキシドデシル)-チオフェン-2-カルボン酸-tert-ブチルエステル(31mg、0.078mmol)を、窒素下、室温で0.5時間、THF(1.3mL)にTSTU(28.2mg、0.094mmol)及びDIPEA(0.016mL、0.094mmol)が入ったもので処理した。溶媒を真空で除去し、混合物をNMP(1mL)及びH-Glu-OtBu(31.3mg、0.154mmol)及びDIPEA(0.027mL)に添加した。混合物を室温で一晩攪拌した。混合物をジエチルエーテル(10mL)とNaHSO4の10%水(2x10ml)の間に分離させ、有機相を単離し、溶媒を真空で除去したところ、次の工程で任意のさらなる精製をすることのない、粗(S)-2-[13-(5-tert-ブトキシカルボニルチオフェン-2-イル)−トリデカノイルアミノ]-ペンタン二酸-1-tert-ブチルエステルが付与された。
HPLC-MS(方法C):m/z=582;Rt=8.1分。
工程2:NεB29-[12-(5-カルボキシチオフェン-2-イル)ドデカノイル-γ-Glu]desB30インスリンの合成
ヒトDesB30インスリン(294mg、0.051mmol)をDMSO(3.5mL)に溶解させた。トリエチルアミン(0.071mL、0.51mmol)を添加した。 (S)-2-[13-(5-tert-ブトキシカルボニルチオフェン-2-イル)-トリデカノイルアミノ]-ペンタン二酸-1-tert-ブチルエステル(45.4mg、0.078mmol)を、上述にて記載したようにTSTUを用いて活性化させた。DMSO(0.5mL)に溶解させ、インスリン溶液に添加した。この混合物を室温で30分、注意深く攪拌した。氷浴を用いて冷却した(溶液は凍結)。8mLの水を添加し、凍結していた混合物が溶解するまで、溶液を放置した。1NのHCl水を用いて、pHを5.3に調節し、遠心分離により沈殿物を単離した。単離した化合物を、97.5%のTFAと2.5%のチオフェンの混合物を用いて処理し、ジエチルエーテル(50mL)に注いだ。粗生成物を濾過により単離し、上述にて記載したようにして精製した。
HPLC-MS(方法C):m/z=1549(m/4);1232(m/5)Rt=3.5分。
実施例8:
疎水性度、レセプター親和性、アルブミン親和性及び自己結合特性
本発明のインスリン誘導体の自己結合特性の分析
大きいが可溶性の錯体における自己結合性についての、本発明のインスリン誘導体の能力を、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)を使用して分析する:
カラム:SuperoseTM 6 PC 3.2/30、CV=2.4ml
(Amerham Biosciences)
温度:37℃
SECバッファー:140mMのNaCl、10mMのTrisHCl、0.01%の NaN、pH7.5
注入容量:20μl
流量:0.05ml/分
実施時間:60分及び追加の100分の平衡
この分析用に、本発明のインスリン誘導体は、0.6mMの誘導体、2.1Zn2+/六量体、16mMのフェノール、7mMのホスファート、pH7.8からなる溶液である。ついで、誘導体の保持時間を、次の標準分子の保持時間と比較する:
標準体I: HSA+HSA二量体(66.4kDa+133kDa)
Co(III)インスリン六量体(35.0kDa)
X2インスリン単量体(5.9kDa)
標準体II:ブルーデキストラン(1.5MDa)
チログロブリン(669kDa)
フェリチン(440kDa)
アルドラーゼ(158kDa)
オボアルブミン(44.5kDa)
リボヌクレアーゼ(13.7kDa)
次の等式を使用し、誘導体についてのKavを決定する:
av=(t−t)/(V/(f+t−t))
ここで、tは付与されるピークに対する保持時間であり、tはブルーデキストランに対する保持時間であり、Vは全カラム容量(ここでは2.4ml)であり、fは流量(ここでは0.04ml/分)であり、及びtは、システムにおいてカラムのないブルーデキストランに対する保持時間である。
av値は誘導体の自己結合性の度合いを示し、すなわち、Co(III)インスリン六量体及びX2インスリン単量体に対するKavに類似して大きなKavであることは、大きな自己結合性錯体を形成するための誘導体の傾向が低いか又は無いことを示し、これに対し、Kavが0に近い程非常に小さいか又は負であるということは、大きな溶解性錯体において自己結合する誘導体の傾向が大きいことを示す。
本発明のインスリン誘導体における疎水性度データ
ヒトインスリンに対する、本発明のインスリン誘導体の疎水性度(疎水性指標)、k'relを、溶離液としてA)10%のアセトニトリルを含有する0.1Mのリン酸ナトリウムバッファー、pH7.3、及びB)水に50%のアセトニトリルが入ったものの混合物を使用し、40℃で定組成溶離させることにより、LiChrosorb RP18(5μm、250x4mm)HPLCカラムにおいて測定した。214nmでの溶出液のUV吸収度を追跡することにより、溶出をモニターした。ボイド時間、tを0.1mMの硝酸ナトリウムを注入することにより見出した。ヒトインスリンについての保持時間tヒトを、A及びB溶液の間の比率を変えることにより、少なくとも2tに調節した。k'rel=(t誘導体−t)/(tヒト−t)。本発明の多くのインスリン誘導体について見出されたk'relを、表1に付与する。
ヒト血清アルブミン親和アッセイ
Minileak粒子に固定したヒト血清アルブミンに対する125I-TyrA14-アナログの相対結合定数を23℃で測定した(生理食塩水バッファーにおいてデテミル=1)。
Figure 0005269766
ヒトインスリンに対する疎水性度:k'rel<1:+++、1-10:++、>10:+(HI=1)
ヒトインスリンに対するインスリンレセプター親和性:<5%:+、5-50%:++、>50%:+++
インスリンデテミルに対するヒト血清アルブミン親和性:<0.5:+、0.5-2:++、>2:+++
自己結合性:Kav<0.1:+++、Kav<0.55:++及びKav≧0.55:+
ヒト血清アルブミンに対してKav=0.55、ヒトインスリンCo(III)六量体に対してKav=0.63、
単量体インスリンアナログX2に対してKav=0.72。
n.a.=分析せず。
薬理学的方法
アッセイ(I)
本発明のインスリンのインスリンレセプター結合性
ヒトインスリンレセプターに対する本発明のインスリンアナログの親和性を、SPAアッセイ(シンチレーション近接アッセイ)マイクロタイタープレート抗体捕捉アッセイにより測定した。SPA-PVT抗体-結合ビーズ、抗マウス試薬(Amersham Biosciences、カタログ番号 PRNQ0017)を、25mlの結合バッファー(100mMのHEPES、pH7.8;100mMの塩化ナトリウム、10mMのMgSO、0.025%のトゥイーン(Tween)-20)と混合した。単一のPackard Optiplate(Packard No.6005190)用の試薬混合物は、2.4μlの1:15000に希釈された精製組換えヒトインスリンレセプター−エクソン11、100μlの試薬混合物当たり5000cpmに相当するA14Tyr[125I]-ヒトインスリンの所定量の保存溶液、12μlの1:1000に希釈されたF12抗体、3mlのSPA-ビーズ、及び全体を12mlにする結合バッファーからなる。ついで、全体で100μl添加し、希釈群を適切なサンプルから作製する。ついで、希釈群に100μlの試薬混合物を加え、ゆっくりと振盪させつつ、サンプルを16時間インキュベートした。ついで、1分間遠心分離することにより相分離させ、プレートをトップカウンターで計測した。GraphPad Prism 2.01(GraphPad Software, San Diego、CA)における非線状回帰アルゴリズムを使用し、結合データを適合させた。
モノクローナルmIR抗体の調製
特定の抗体(F12)を、モノクローナル技術により製造した:RBFマウスを、皮下的にFCAに50μgの精製したmIRを注射し、続いてFIAに20μgのmIRを2回注射することにより免疫化した。25μgのmIRを用いて、静脈的に高レスポンダーマウスをブーストし、3日後に脾臓を摘出した。脾臓細胞を、骨髄腫キツネ細胞系を融合させた(Kohler, G & Milstein C.(1976), European J. Immunology, 6:511-19;Taggart RT ら(1983), Science 219:1228-30)。mIR特異性ELISAにおいて、上清を抗体生成についてスクリーニングした。正のウェルをクローンし、ウエスタンブロットで試験した。
アッセイ(II)
ヒトインスリンに対する本発明のインスリン誘導体の有効性
実験日、238-383gでオスのスプラーグドーリーラットを、クランプ実験に使用した。制御された周囲条件下、ラットは餌に自由に接近し、クランプ実験の前には一晩(3pmから)、絶食させた。
実験プロトコル:
外科手順の少なくとも1週間前に、ラットを動物施設に慣れさせた。クランプ実験の約1週間前、ハロタン麻酔下で、頸静脈(注入のため)及び頸動脈(血液のサンプリングのため)にタイゴンカテーテルを挿入し、露出させ、頸部の後ろに固定した。外科手術後、ラットにStreptocilin vet.(Boehringer Ingelheim;0.15ml/ラット、筋肉内)を付与し、回復期間中、動物ケアユニット(25℃)においた。無痛覚とするために、麻酔中にアノルフィン(Anorphin)(0.06mg/ラット、皮下)を投与し、麻酔から十分に回復した(2-3時間)後、再度2日に1回、リマダイル(Rimadyl)(1.5mg/kg、皮下)を投与した。
使用したクランプ技術を、(1)実験日の7amに一晩(前日の3pmから)絶食させたラットを計量し、サンプリング用シリンジ及び注入システム(Harvard 22 Basic pumps,Harvard,及びPerfectum Hypodermicglass syringe,Aldrich)につなぎ、ついで個々のクランプ用ゲージに配し、実験開始前の約45分、そこで休ませた。全実験中、それらの通常の寝具上を、ラットは自由に動くことができ、水飲み場に自由に接近することもできる。血漿血糖値を10分間隔で測定する、30分の基本期間後、試験されるインスリン誘導体及びヒトインスリン(ラット当たり1回の投与レベル、投与レベル当たりn=6-7)を、300分、一定の速度で注入した(静脈内)。10分の間隔で、血漿血糖値を測定し、正常血糖を維持するために、20%水性グルコースの注入を調節した。再懸濁させた赤血球のサンプルを各ラットからプールし、頸動脈カテーテルを介して、約1/2ml容量を戻した。
各実験日において、試験される個々のインスリン誘導体溶液及びヒトインスリン溶液のサンプルを、クランプ実験の前及び終了時に取り出し、ペプチド濃度をHPLCにより確認した。ラットインスリン及びC-ペプチド、並びに試験されるインスリン誘導体及びヒトインスリンの血漿濃度を、研究の前及び終了の時点で測定した。ペントバルビタール過剰投与を使用し、実験の終了時にラットを殺した。
被験化合物及び用量:
試験されるインスリンを、5mMのホスファート、pH7.7に97μMのインスリン誘導体を含有する保管溶液から希釈する。使用準備が整った溶液中の最終濃度は、0.45μMのインスリン誘導体、5mMのホスファート、100mMの塩化ナトリウム、0.007%のポリソルバート(polysorbate)20であった。pHは7.7であり、静脈内注入速度は15及び20pmolx分−1×kg-であった。
参照化合物として使用されるヒトインスリンの保管溶液を、類似した媒体で処方し、6、15又は30pmolx分−1xkg-で静脈内注入した。
双方の保管溶液を−20℃で保管し、使用前に4℃で一晩解凍した。それらを注入用シリンジに移す15分前に、溶液を数回、ゆっくりと上下逆さまにする。
アッセイ(III)
本発明のインスリン誘導体のT50%のブタにおける定量
50%は、試験されるインスリンのA14Tyr[125I]標識された誘導体の注射量の50%が、外部γ計測器を用いて測定して、注射部位から消失した時間である。
実験用動物ケアの原則に従い、薬物動態及び薬力学的研究のために、特定の病原菌を持たないLYYD、糖尿病ではないメスのブタ、デンマーク在来種、ヨークシャー及びデュロックの交雑種を使用した(Holmenlund,Haarloev, Denmark)。ブタは意識があり、4-5ヶ月の年齢、70-95kgの体重であった。実験前に動物を18時間、一晩絶食させた。
125Iを有するTyrA14で標識されたインスリン誘導体の処方された調製物を、先に記載したように、ブタに皮下注射した(Ribel, U., Jorgensen, K, Brange, J, 及びHenriksen, U. The pig as a model for subcutaneous insulin absorption in man. Serrano-Rios,M and Lefebvre, P. J. 891-896. 1985. Amsterdam; New York; Oxford,Elsevier Science Publishers. 1985 (Conference Proceeding))。
実験の開始時に、本発明のインスリン誘導体(被験化合物)60nmol用量とインスリンデテミル60nmol用量(双方ともTyr A14において125I標識された)を、各ブタの頸部の2つの別々の部位に注射する。
皮下注射部位から放射性標識が消失するのを、伝統的な外部ガンマ-計測法の修正法を使用し、モニターする(Ribel, U. Subcutaneous absorption of insulin analogues. Berger, M. 及びGries,F. A. 70-77 (1993). Stuttgart; New York, Georg Thime Verlag (Conference Proceeding))。この修正法を用いると、コードレスポータブル装置を使用して、数日間、皮下沈着物から放射活性が消失するのを連続して測定することができる(Scancys Laboratorieteknik, Varlose, DK-3500, Denmark)。測定を1分間隔で実施し、計測された値をバックグラウンド活性に対して修正する。

Claims (10)

  1. 次の式:
    Figure 0005269766
    [上式中:
    Insは親インスリン部分であり、X-X-X-Q-Zは置換基であり、ここで、Insは、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基と、置換基のX、X又はX中のCO基との間のアミド結合を介して置換基に結合しており;
    は:
    ・nが1、2、3、4、5又は6である、-CO-(CH)
    ・-CO-((CR)-NR-CO)1−4-で、R及びRが互いに独立して、また各q値からも独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1−6-O-SO又は-(CH)1−6-O-POであり、qが1-6であり、Rが水素、-(CH)1−6-COOH;-(CH)1−6-CONH;-(CH)1−6-SOH;-(CH)1−6-PO;-(CH)1―6-O-SO;-(CH)1−6-O-PO;C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル;C2−6-アルキニル、又はアリール、又はCH-アリールであり、アリール基が-COOH、-CH、-SOH、-(CH)1−6-SOH、-PO、-(CH)1−6-O-PO、テトラゾ-5-リル、又はCONH、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、C2−6-アルキニル、水素、ハロゲン、-CN、-CF、-OCF、-S(O)CF、-SCF、-NO、-OR、-SR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-CHC(O)NR、-OCHC(O)NR、-OC(O)R、-OCHC(O)R、-C(O)R又は-C(O)OR、又は-OCHC(O)ORからなる群から選択される1又は2の基で置換されていてもよく、R及びRが独立して、水素、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル又はC2−6-アルキニルであるもの;
    ・側鎖にカルボン酸を持つアミノ酸、無電荷側鎖を持つアミノ酸、又は負電荷側鎖を持つアミノ酸のアミノ酸アミド残基であって、そのカルボン酸基と共に、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基と共同して、アミド結合を形成する残基;
    ・残基が上に特定したα-アミノ酸アミド残基及びアミノ酸残基からなる群から選択され、アミド結合を介して、鎖が、InsのB鎖のN-末端アミノ酸残基のα-アミノ基、又はInsのA又はB鎖に存在するLys残基のε-アミノ基に結合している、アミド結合を介して結合した2、3又は4の残基からなる鎖、又は
    ・結合;
    であり;
    は:
    ・-CO-
    ・-COCH(R)-;
    ・-COCHN(CH)-;
    ・-COCHN(CH)COCHN(CH)-;
    ・-COCHCHN(CHCH)-;
    ・-COCHCHN(CHCH)-COCHCHN(CHCH)-;
    ・-COCHN(CHCH)-;
    ・-COCHCHN(CH)-;
    で、RがCOOH又はCONH であるもの
    ・-CO-((CH)2−6-NH-CO)1−4-;
    ・-(CO-(CH)2−6-CO-NH)1−4-;
    ・-(CO-(CR10)1−6-CO-NH)1−4-;
    で、RがH、-COOH、-(CH)1−6COOH、CH、-(CH)1−6CH又はCONH であり、R10がH、-(CH)1−6COOH、CH又は-(CH)1−6CH であるもの
    ・結合;
    であり;
    但し、X又はX中のアミンが残りの置換基と結合を形成するならば、アミンはカルボニル基を介して残りの置換基に結合しなければならず;
    -C(=O)-であり、但し、X及びXが結合であるならば、Xのみが存在し;
    Qは、式-(CH)s1-Q-(CH)s2-Q-(CH)s3-Q-(CH)s4-Q-(CH)s5-の鎖であり;
    、Q及びQが全て結合であり、QがCであり、s2、s3及びs4が全て1であり、s1が5、6、7又は8であり、s5が0、1又は2であり;
    Zは:
    -COOH;
    -CO-Asp;
    -CO-Glu;
    -CO-Gly;
    -CO-Sar;
    -CH(COOH)
    -N(CHCOOH)
    -SO
    -PO
    O-SOH;
    O-PO;又は
    テトラゾ-5-リル;
    である]
    を有する、インスリン誘導体、又はそのZn2+錯体。
  2. が、β-D-Asp-アミド、β-L-Asp-アミド、γ-L-Glu-アミド、及びγ-D-Glu-アミドからなる群から選択される、請求項1に記載のインスリン誘導体又はそのZn 2+ 錯体
  3. が結合である、請求項1又は2に記載のインスリン誘導体又はそのZn 2+ 錯体
  4. が、-(CO-(CH)-NH-CO)-、又は-(CO-(CH)-NH-CO)-、-CO-又は-COCH(COOH)-からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のインスリン誘導体又はそのZn 2+ 錯体
  5. が結合である、請求項1又は4に記載のインスリン誘導体又はそのZn 2+ 錯体
  6. Zが-COOHである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインスリン誘導体又はそのZn 2+ 錯体
  7. 親インスリンがdesB30ヒトインスリンである、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のインスリン誘導体又はそのZn 2+ 錯体
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のインスリン誘導体又はそのZn 2+ 錯体の治療的有効量を、場合によっては薬学的に許容可能な担体と共に含有する、治療が必要な患者における糖尿病を治療するための薬学的組成物。
  9. 糖尿病の肺処置用である、請求項8に記載の薬学的組成物
  10. εB29-(12-(4-カルボキシフェニル)ドデカノイル-γ-Glu)desB30インスリン、
    εB29-(−11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイル-γ-Glu)desB30インスリン、
    εB29-(12-(3-カルボキシフェニル)ドデカノイル-γ-Glu desB30インスリン、
    εB29-(9-[4-(2-カルボキシエチル)フェニル]ノナノイル)-γ-Glu)desB30インスリン、
    εB29-(4-[11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイルアミノ]ブチリル)desB30インスリン、
    εB29-[12-(5-カルボキシチオフェン-2-イル)ドデカノイル]desB30インスリン、又は
    εB29-[12-(5-カルボキシチオフェン-2-イル)ドデカノイル-γ-Glu]desB30インスリン、
    からなる群から選択される、請求項1に記載のインスリン誘導体又はそのZn 2+ 錯体
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