JP5262743B2 - 投写型表示装置及びその制御方法、その制御プログラム - Google Patents

投写型表示装置及びその制御方法、その制御プログラム Download PDF

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Description

この発明は、画像を投写表示するための投写型表示装置に関する。
従来から、プロジェクタをはじめとする投写型表示装置において、投写された画像(以下「投写画像」と呼ぶ)の歪みを補正するため、投写型表示装置に備えられたCCD等の撮影装置によりスクリーンを撮影し、撮影画像からスクリーン枠を検出する技術が知られている。(特許文献1)。
特開2006−60447号公報 特開2008−211355号公報
ところで、上述の画像の歪みを補正するための補正量を決定するための処理においては、通常、座標変換などの膨大な計算が行われる。そのため、その補正が反映されたユーザが所望する画像が表示されるまでに、例えば数秒程度のタイムラグが生じる場合があった。このようなタイムラグは、ユーザに不快感を生じさせ、投写型表示装置のユーザビリティの低下の原因となっていた。しかし、これまで、こうした問題に対して十分な工夫がなされてこなかったのが実情であった。
本発明は、投写型表示装置において、ユーザが所望する画像が表示されるまでの時間を低減し、ユーザビリティを向上させる技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
外部から入力された外部画像データに基づいて投写画像を表示する投写型表示装置であって、
前記投写画像を表す画像光を投写面に投写する投写部と、
前記外部画像データを含む投写用画像データが格納される画像データ格納部と、
前記外部画像データを取得して前記画像データ格納部に格納する画像データ取得処理を実行するとともに、前記投写部に前記投写画像を投写させる画像制御部と、
前記投写面を含む投写領域を撮影して撮影画像を生成する撮像部と、
前記撮影画像を用いて、前記投写画像の表示状態を補正するための補正量を決定する補正量決定処理を実行する補正量決定部と、
を備え、
前記画像制御部は、前記補正量決定部が前記補正量決定処理を実行している間は、前記画像データ取得処理を停止し、前記補正量決定処理が終了した後に、決定された前記補正量を用いて前記画像データ格納部に予め格納されていた画像データを補正した仮投写画像を前記投写部に表示させるとともに、前記画像データ取得処理を再開する、投写型表示装置。
この投写型表示装置によれば、画像データ取得処理を一時的に停止させることにより、画像データ取得処理が補正量決定処理と並列処理されることを抑制し、補正量決定処理の処理速度を向上させることができる。また、補正量が決定され、再び通常の投写表示が可能となるまでの復帰時間の間に、予め準備された画像を、補正を反映した上で表示するため、投写表示が復帰するまでの間にユーザが受ける不快感が低減される。即ち、補正処理を開始した後、ユーザが所望する画像が表示されるまでの時間が低減され、投写型表示装置のユーザビリティが向上する。
[適用例2]
適用例1記載の投写表示型装置であって、
前記画像データ格納部は、前記外部画像データを格納する外部画像データ格納部と、前記仮投写画像を生成するための仮投写用画像データを格納する仮投写用画像データ格納部とを有し、
前記画像制御部は、前記画像データ取得処理を停止する際に、停止前に前記外部画像データ格納部に格納した取得済み画像データを、前記仮投写用画像データ格納部に転送し、前記補正量決定処理が終了した後に、前記仮投写用画像データ格納部に格納された前記取得済み画像データから生成した前記仮投写画像を前記投写部に表示させるとともに、前記画像データ取得処理を再開する、投写型表示装置。
この投写型表示装置によれば、補正処理が開始される前に取得されていた画像が、補正量が決定された後、再び通常の投写表示が可能となるまでの復帰時間の間に、補正されて表示される。従って、仮投写画像から外部画像データの投写表示へとシームレスに移行するため、ユーザの不快感が低減され、投写型表示装置のユーザビリティが向上する。
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の投写型表示装置であって、
前記仮投写画像は、再開された前記画像取得処理によって取得された前記外部画像データに基づく前記投写画像が表示されるまでの間表示されている、投写型表示装置。
この投写型表示装置によれば、補正処理が開始される前に取得されていた画像が、補正量が決定された後、再び通常の投写表示が可能となるまでの復帰時間の間に継続的に仮投写画像が表示される。そのため、ユーザの不快感が低減され、投写型表示装置のユーザビリティが向上する。
[適用例4]
外部から入力された外部画像データに基づいて投写画像を表示する投写型表示装置の制御方法であって、
(a)前記外部画像データを取得して画像データ格納部に格納する画像データ取得処理を実行する工程と、
(b)前記画像データ取得処理を一時的に停止して、撮影部によって投写面を含む投写領域を撮影して生成された撮影画像を用いて、前記投写画像の表示状態を補正するための補正量を決定する工程と、
(c)前記補正量が決定された後に、前記補正量を用いて前記画像データ格納部に格納された画像データを補正した仮投写画像を前記投写部に表示させるとともに、前記画像データ取得処理を再開する工程と、
を備える、投写型表示装置の制御方法。
[適用例5]
外部から入力された外部画像データに基づいて投写画像を表示する投写型表示装置の制御プログラムであって、
前記外部画像データを取得して画像データ格納部に格納する画像データ取得処理を実行する機能と、
前記画像データ取得処理を一時的に停止して、撮影部によって投写面を含む投写領域を撮影して生成された撮影画像を用いて、前記投写画像の表示状態を補正するための補正量を決定する機能と、
前記補正量が決定された後に、前記補正量を用いて前記画像データ格納部に格納された画像データを補正した仮投写画像を前記投写部に表示させるとともに、前記画像データ取得処理を再開する機能と、
を備える、投写型表示装置の制御プログラム。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、投写型表示装置及びその制御方法、その装置の機能またはその制御方法を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.実施例:
B.変形例:
A.実施例:
図1は、本発明の実施例におけるプロジェクタの構成を概略的に示すブロック図である。プロジェクタ100は、画像を表す画像光を投写して、スクリーンSCなどの投写面上に画像(以下「表示画像」と呼ぶ)を表示させる。本実施例では、スクリーンSCは、矩形形状であって、その外周に沿って黒色の枠を有しているものとする。
プロジェクタ100は、内部メモリ120と、液晶パネル130と、液晶パネル駆動部132と、レンズ駆動部155と、CPU160と、リモコン制御部170と、撮影部180と、ROM190とを備えている。これらの各構成部は、相互に内部バス102で接続されており、これによって、CPU160が、プロジェクタ100全体の制御を行う。なお、ROM190には、後述するキーストーン補正処理において用いられる測定用画像MIの画像データが格納されている。
プロジェクタ100は、さらに、照明光学系140と、液晶パネル130と、投写光学系150とを備える。なお、投写光学系150は、ズームレンズ152及びフォーカスレンズ154を有しており、レンズ駆動部155は、ズームレンズ152及びフォーカスレンズ154のそれぞれを駆動するためのズームレンズ駆動部156と、フォーカスレンズ駆動部158とを有している。
また、プロジェクタ100は、A/D変換部110を備えている。A/D変換部110は、DVDプレーヤやPC(パーソナルコンピュータ)などの外部の画像ソースからケーブル300を介して入力された入力画像信号に対してA/D変換を行い、デジタル画像信号を出力して内部メモリ120へと送信する。なお、A/D変換部110は、CPU160と図示せざるバスによって接続されており、受信信号のサンプリングのための同期信号の監視処理などがCPU160によって実行される。
内部メモリ120には、画像データの記憶領域として、フレームメモリ122や、画像格納部124、撮影画像メモリ126が設けられている。また、内部メモリ120には、コンピュータプログラムである画像制御部121や、歪み補正部200が格納されている。歪み補正部200は、モジュールとして、パターン検出部210と、枠検出部220と、補正量決定部230とを有している。これらの各プログラム121,200は、CPU160が読み出して実行するが、それぞれの機能については後述する。
液晶パネル駆動部132は、画像制御部121を介して入力された画像データに基づいて、液晶パネル130を駆動する。液晶パネル130は、照明光学系140から照射された照明光を画像を表す有効な画像光へと変調するための画像(以下「有効パネル画像PI」と呼ぶ)を、液晶パネル130の表面(以下「パネル面」と呼ぶ)の画像形成領域IFに形成する。
図2は、液晶パネル130と画像形成領域IFとの関係を概略的に示す説明図である。画像形成領域IFとは、液晶パネル駆動部132に入力されたデジタル画像信号に基づいて有効パネル画像PIを形成可能な液晶パネル130のパネル面上の領域を意味している。図2では、画像形成領域IFを破線で囲まれた領域として示している。図2(A)に示すように、本実施例の画像形成領域IFは、液晶パネル130のパネル面全面より4周それぞれ2ドット程度ずつ小さい領域に設定されている。なお、液晶パネル130のパネル面全面に対する画像形成領域IFの大きさは任意に設定可能である。
図2では、有効パネル画像PIが形成される領域をハッチングを付して示している。通常は、図2(A)に示すように、画像形成領域IFの全領域に有効パネル画像PIが形成される。しかし、後に詳述するキーストーン補正処理を実行する際には、図2(B)に示すように、液晶パネル130の画像形成領域IF中の一部の領域に有効パネル画像PIが形成され、画像形成領域IFの残りの領域には全黒の画像(図2(B)では白色で示す)が形成されることがある。このキーストーン補正時に有効パネル画像PIが形成される画像形成領域IF中の一部の領域を「補正後画像形成領域RIF」と呼ぶ。図2では、補正後画像形成領域RIFを一点鎖線で囲まれた領域として示している。
ここで、例えば、液晶パネル駆動部132に入力されたデジタル画像信号の解像度が液晶パネル130の解像度と比較して小さいときであって、入力されたデジタル画像を拡大することなくそのまま液晶パネル130上に形成する場合を想定する。この場合には、図2(C)に示すように、画像形成領域IFは、上記両解像度の比に対応して、液晶パネル130のパネル面全面よりさらに小さい領域に設定されることとなる。
照明光学系140(図1)から液晶パネル130のパネル面に照射された光は、液晶パネル130によって画像光へと変調される。投写光学系150は、プロジェクタ100の筐体の前面に取り付けられており、画像光へと変調された光を拡大投写する。より具体的には、レンズ駆動部155が、ズームレンズ駆動部156及びフォーカスレンズ駆動部158によって、投写光学系150のズームレンズ152及びフォーカスレンズ154を駆動して、表示画像のズーム状態やフォーカス状態を調整する。ここで、ズーム状態とは、投写光学系150において、液晶パネル130を透過した光を投写する際の拡大の程度(倍率)を意味しており、投写光学系150の焦点距離を変化させることによって調整できる。また、フォーカス状態とは、表示画像の焦点が合っている度合いを意味しており、フォーカスレンズ154を光軸に沿って前後に移動させ、焦点の位置を変化させることにより調整できる。
リモコン制御部170は、リモコン172を通じたユーザからの指示を受信し、内部バス102を介してその指示をCPU160に伝える。なお、本実施例では、プロジェクタ100は、ユーザからの指示を、リモコン172およびリモコン制御部170を通じて受け取るものとしているが、ユーザからの指示を例えば操作パネルなどの他の構成を通じて受け取るものとすることも可能である。
撮影部180は、CCDカメラを有しており、撮影によって撮影画像を生成する。撮影部180は、液晶パネル130の最大の画像形成領域IF(図2(A)参照)に対応する画像が投写される領域すべてを撮影できるように、その設置位置や画角が設定されている。撮影部180により生成された撮影画像は、撮影画像メモリ126に格納され、後述するキーストーン補正処理に用いられる。なお、撮影部180は、CCDカメラの代わりに他の撮影デバイスを有していてもよい。
図3(A)〜(C)は、より具体的に、プロジェクタ100による画像の投写表示処理を説明するための説明図である。図3(A)は、プロジェクタ100における各構成部の機能の連携動作を示す機能ブロック図であり、外部の画像ソース500から取得した画像T1の画像データに基づいてスクリーンSCへの投写を開始した直後の状態を示している。なお、図3(A)では、説明に関連しないプロジェクタ100の内部の各構成部の図示は省略されており、プロジェクタ100の内部の構成部としては、図1で説明したA/D変換部110と、フレームメモリ122と、画像制御部121とが図示されている。また、図3(A)には、図1で説明した、液晶パネル130と、液晶パネル駆動部132と、照明光学系140と、投写光学系150と、レンズ駆動部155とを、説明の便宜上、画像光変調投写部400として書き換えて図示してある。即ち、画像光変調投写部400は、画像制御部121から受信した画像データに基づき、画像光を生成して投写する機能を有する。
図3(B)は、画像ソース500から送信される画像データが表す画像の一例である画像T1を模式的に示す図である。なお、画像T1の内容については、特に限定はなく、ユーザがプロジェクタ100により表示させる任意の画像や、電源を入れることにより表示される商標等、鑑賞の対象となる鑑賞用画像であってもよい。また、画像T1の内容は、スクリーンSCの三次元座標の検出等、特定の目的のために投写される画像であってもよく、模様の有無についても限定はない。
画像制御部121は、A/D変換部110から出力されたデジタル画像信号から生成した画像データをフレームメモリ122に格納する。図3(A)では、画像T1の画像データがフレームメモリ122に格納された状態を模式的に示してある。また、画像制御部121は、フレームメモリ122の画像データに対して画像の表示状態(例えば、輝度、コントラスト、同期、トラッキング、色の濃さ、色合い等)の調整を行った上で、画像光変調投写部400へと出力する。画像光変調投写部400は、画像データに基づいて変調した画像光をスクリーンSCに投写する。
図3(C)は、プロジェクタ100によって画像T1が投写表示された状態を模式的に示している。この図では、画像T1は歪んだ状態で表示されており、画像T1の画像光は、スクリーンSCもしくはスクリーンSC背後の背後壁面BWにかかるように投写されてしまっている。このように、画像の投写表示を開始した直後には、プロジェクタ100の配置状態や、投写光学系150のズーム比、焦点距離などの関係で、投写画像が歪んでしまったり、スクリーンSCからはみ出してしまうなど適切に表示されない場合がある。そこで、本実施例のプロジェクタ100では、キーストーン補正処理を実行することによって、画像の表示状態を適切に調整する。
図4は、プロジェクタ100によるキーストーン補正処理の処理手順を示すフローチャートである。キーストーン補正処理は、スクリーンSC上の表示画像の外周線の各辺がスクリーンSCの枠の各辺と平行となるように、表示画像の台形歪みを補正する処理である。キーストーン補正処理は、ユーザからのリモコン172を通じた指示に応じて実行されるものとしても良いし、プロジェクタ100の起動時や、画像信号の入力開始に応じて自動的に実行されるものとしてもよい。
図5(A)は、ステップS100〜S120の処理におけるプロジェクタ100の各構成部の機能の連携動作を示す図3(A)と同様な機能ブロック図である。図5(A)には、図3(A)で図示された各構成部に加えて、ROM190と、画像格納部124とが図示されている。
ステップS100では、画像制御部121は、外部の画像ソース500からの画像データの取得処理を停止する。具体的には、画像制御部121は、CPU160によるA/D変換部110における入力画像信号のサンプリングのための同期信号の監視処理を停止する。また、画像制御部121は、外部の画像ソース500から入力された画像データをフレームメモリ122に格納する処理や、フレームメモリ122に格納された画像データに対する画像の表示状態を調整するための補正処理などを停止する。なお、図5(A)では、各構成部間におけるデータの受け渡しなどの連携動作の停止を、破線矢印と「×」とで図示してある。このように、CPU160において実行されている処理を予め停止させることによって、後述する補正量決定処理が使用するCPU時間を増加させ、その処理速度を向上させることができる。
ステップ110では、画像制御部121は、フレームメモリ122に格納されている画像T1の複製画像データを画像格納部124に格納する。即ち、画像T1の画像データが画像格納部124に転送される。なお、以後、ステップS110で画像格納部124に格納された画像を、画像T1と区別するため、「画像T1c」と呼ぶ。ステップS120では、画像制御部121は、ROM190に格納されている測定用画像MIを読み込み、画像光変調投写部400に測定用画像MIを投写させる。
図5(B)は、測定用画像MIの一例を示す模式図である。図5(B)の測定用画像MIには、水平方向に延びる3本の直線と、垂直方向に延びる4本の直線とが交差した格子状の図形が図示されている。なお、測定用画像MIは、他の図形や文字、模様などを有するものとしても良く、その表示色や表示サイズは特に限定されない。測定用画像MIは、後述する補正量決定処理に用いるための予め設定された測定点の座標が検出できる画像であればよい。図5(C)は、プロジェクタ100がスクリーンSCに測定用画像MIを投写している状態を示す模式図である。スクリーンSCには、測定用画像MIが歪んだ状態で表示されている。
ステップS130では、画像制御部121は、撮影部180(図1)に、スクリーンSC及びスクリーンSCに投写された測定用画像MIを撮影させて、その撮影画像CIの画像データを生成する。なお、撮影部180は、スクリーンSCと投写画像とを含む領域を撮影できるように、予め、その設定位置や画角が設定されている。画像制御部121は、撮影画像CIの画像データを撮影画像メモリ126に格納する。
図6は、撮影画像CIの一例を示す模式図である。なお、図6には、後述する処理において検出される測定点Ec1〜Ec4を黒丸で図示してある。撮影画像CIでは、スクリーンSCの像が、撮影部180の光軸に対するスクリーンSCの投写面の傾斜角度に応じて歪んで写り込んでいる。また、図では、スクリーンSCに投写された測定用画像MIの像は、歪みのない状態で図示されているが、厳密には、投写光学系150の光軸と撮影部180の光軸の位置がずれている分だけ歪んだ状態で、撮影画像CIに写り込む。
ステップS140(図4)では、歪み補正部200のパターン検出部210(図1)が、撮影画像メモリ126に格納された撮影画像CIの画像データを読み込む。パターン検出部210は、撮影画像CIに写った測定用画像MIの像から4つの測定点Ec1〜Ec4の座標を検出する。各測定点は、例えば、測定用画像MIの輪郭等の特徴点を撮影画像CIから検出することにより特定する。ここで、本実施例における4つの測定点Ec1〜Ec4はそれぞれ、測定用画像MIに含まれる格子状図形の外周枠上に存在する4つの角を形成する点であるものとする。パターン検出部210は、各測定点のCCDカメラのレンズの光軸に垂直な平面上の座標系(以下、「カメラ座標系」とも呼ぶ)における座標を特定する。より具体的には、撮影画像CIの左上角を原点(0,0)とし、左右方向にx軸、上下方向をy軸として、各測定点(Ec1,Ec2,Ec3,Ec4)の座標Ec1(x1,y1)、Ec2(x2,y2)、Ec3(x3,y3)、Ec4(x4,y4)を検出する。即ち、3つの座標Ec1(x1,y1),Ec2(x2,y2),Ec3(x3,y3),Ec4(x4,y4)は、撮影画像CIにおける各測定点の座標である。なお、原点の位置は、撮影画像CIの左上角に限られず、例えば、カメラの光軸上を原点としてもよい。
さらに、ステップS150(図4)では、歪み補正部200の枠検出部220(図1)が、撮影画像CIからスクリーンSCの枠辺を検出する。具体的には、枠検出部220は、撮影画像CIに微分フィルタやラプラシアンフィルタ等の輪郭抽出フィルタをかけてスクリーン枠によるエッジを検出し、このエッジからスクリーンSCの枠辺の位置を特定する。なお、スクリーン枠の左辺および右辺についてエッジ検出をおこなう際には、撮影画像CIの左右方向(水平方向)の輪郭に強く反応する輪郭抽出フィルタを用いるのが好ましく、スクリーンの上辺および下辺について検出をおこなう際には、撮影画像CIの上下方向(垂直方向)の輪郭に強く反応する輪郭抽出フィルタを用いるのが好ましい。スクリーン枠の位置の特定方法としては特に限定はないが、例えば、スクリーンSCの枠部の4頂点のカメラ座標系における座標値を検出することにより特定することができる。
ステップS160(図4)では、補正量決定部230(図1)は、ステップS140で検出された測定点Ec1〜Ec4の座標と、ステップS150で検出されたスクリーンSCの枠辺の位置を参照して、キーストーン補正を実行する際のその補正量を決定する。キーストーン補正は、公知の方法(例えば特開2006−60447号公報に記載の方法)を用いて実行可能である。具体的には、検出されたカメラ座標系におけるスクリーンSCの枠辺の座標値を、射影変換により、投写光学系150の主点を原点とするレンズ座標系の標準座標系に変換する。この射影変換は、プロジェクタ100における投写光学系150の光軸と撮影部180のレンズの光軸との相違を補償するために行われる。この射影変換によって、レンズ座標系におけるスクリーン枠の座標が求められ、この座標値から、液晶パネル130上におけるスクリーンSCに対応する領域を補正後画像形成領域RIF(図2(C))として決定できる。さらに、補正量決定部230は、スクリーンSCの枠辺の位置に基づき、投写画像がスクリーンSC上において、適切な表示倍率で表示されるようにズーム比の調整量を決定する。
図7(A)は、ステップS170の処理におけるプロジェクタ100の各構成部の機能の連携動作を示す機能ブロック図である。図7(A)は、ROM190に換えて歪み補正部200が図示されている点と、各構成部間の矢印の図示が異なる点以外は、ほぼ図5(A)と同じである。ステップS170では、画像制御部121は、画像格納部124に格納した画像T1cの画像データを読み込み、補正量決定部230で決定されたキーストーン補正量や、ズーム比の調整量を反映させた上で、画像光変調投写部400に画像T1cを投写させる。即ち、この処理では、画像ソース500からの画像データを取得することなく、画像T1cが投写される。図7(B)は、プロジェクタ100によって画像T1cが投写表示された状態を模式的に示している。このように、スクリーンSCには、歪みが解消され、適切なズーム状態及びフォーカス状態に調整された画像T1cが表示される。続いて、画像制御部121は、ステップS180において、ステップS100で停止していた画像ソース500からの画像データの取得処理を再開する。
図8(A)〜(C)は、キーストーン補正処理後に、通常の投写処理が再開された後のプロジェクタ100を説明するための説明図である。図8(A)〜(C)は、画像T1に換えて、新たに画像ソース500から取得された画像T2が図示されている点と、スクリーンSCにおける画像T2の表示状態が、図7(B)の画像T1cと同様に補正されている点以外は、ほぼ図3(A)〜(C)と同じである。このように、ステップS180において、画像制御部121が画像取得処理を再開させた後には、プロジェクタ100は、画像ソース500から送信された画像データを、順次、補正を反映した上でスクリーンSCに投写表示する通常の投写表示処理を実行する。
ところで、一般に、一旦停止していたCPUの処理を再開した場合、CPUによって制御されるハードウェアをはじめとする各構成部の処理や連携動作が完全に復帰するのには、ある程度の時間を要する。従って、このプロジェクタ100においても、ステップS180(図4)において、画像取得処理が再開された後、画像ソース500からの画像が、図8のように表示されるまでには、例えば数秒程度の時間がかかる。
ここで、本実施例の比較例として、キーストーン補正処理(図4)において、ステップS170が実行されず、ステップS160の後に、スクリーンSCに全黒画像または全白画像が表示される場合を想定する。この場合には、ステップS180において、画像データ取得処理が再開された後、ユーザが所望する画像が表示されるまでの間には、ステップS160の後に表示された全黒画像または全白画像が表示されたままとなる。即ち、ユーザが所望する画像が表示されないままの時間が数秒間継続されてしまうこととなり、ユーザに不快感を与える結果となる。
しかし、このプロジェクタ100では、予め複製しておいた画像T1cの画像データを、ステップS170において、補正が反映された状態で表示している(図7)。即ち、キーストーン補正処理を開始する前にスクリーンSCに表示されていた画像が、補正量が決定された後に、即座に、その補正を反映した状態で表示されることとなる。従って、ユーザの所望する画像がより早いタイミングで表示されるため、ユーザの不快感は軽減される。また、補正の結果をより早期に確認することができるため、プロジェクタ100におけるユーザビリティが向上する。さらに、プロジェクタ100では、上述したプロジェクタ100の画像取得処理の復帰時間によるタイムラグの間、補正された画像T1cが表示され、画像T1cに続いて、シームレスに、画像ソース500から送信された画像が補正されて表示される。従って、プロジェクタ100による表示が再開されるまでの間にユーザが感じる不快感がさらに軽減される。
このように、本実施例のプロジェクタ100によれば、キーストーン補正処理が開始された後に、CPU160が実行していた画像ソース500からの画像取得処理を一旦停止させるため、その後のキーストーン補正処理の処理速度が向上する。従って、キーストーン補正処理のために、ユーザの所望する画像が表示されない時間帯を低減することができる。また、プロジェクタ100では、補正量決定後に、予め画像格納部124に格納されていた画像を補正して即座に表示するため、通常の画像の投写処理が再開されるまでの間にユーザが感じる不快感を軽減できる。即ち、プロジェクタ100のユーザビリティを向上させることができる。
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
B1.変形例1:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、上記実施例では、キーストーン補正処理などの画像処理は、CPU160が内部メモリ120からコンピュータプログラムを読み出して実行していたが、ASIC(特定用途向け集積回路)により処理がおこなわれるものとしてもよい。
B2.変形例2:
上記実施例では、プロジェクタ100は、キーストーン補正処理実行開始前に投写表示していた画像T1の複製画像T1cを、補正量の決定後に、補正して表示していた(ステップS170,図7)。しかし、プロジェクタ100は、ステップS170において、他の画像を表示するものとしても良い。例えば、スクリーンSCには、投写表示が再開されるまでの時間をユーザに告知する表示がされるものとしても良い。また、キーストーン補正処理による補正結果を視認しやすいパターン画像(例えば、格子状のパターン画像など)が表示されるものとしても良い。さらに、予めROM190に格納されている動画や壁紙が表示されるものとしても良い。
B3.変形例3:
上記実施例において、ステップS170で表示された画像T1cは、通常の投写表示処理が再開されて、画像ソース500からの画像が表示可能となるまで表示されていた。しかし、ステップS170で表示された仮画像は、画像ソース500からの画像が表示可能な状態となった後も、ステップS170で表示した画像の表示が継続されるものとしても良い。この場合には、ユーザのリモコン172を介した指示等をトリガとして、通常の投写表示処理に切り替えられるものとしても良い。
また、上記実施例において、ステップS170で仮に投写表示されていた画像T1cは、画像ソース500からの画像が表示されるまで表示されていた。しかし、仮に投写表示されていた画像T1cの表示は、画像ソース500からの画像の表示が開始される前に終了するものとしても良い。例えば、画像T1cに続いて、他の画像が表示され、その後、画像ソース500からの画像の表示が開始されるものとしても良い。
B4.変形例4:
上記実施例において、画像制御部121は、キーストーン補正処理開始前に表示していた画像T1の画像データを画像格納部124に転送していた。しかし、画像格納部124は省略されるものとしても良く、例えば、フレームメモリ122に格納された画像T1の画像データを用いてステップS170の処理が実行されるものとしても良い。
B5.変形例5:
上記実施例において、投写画像の表示状態を補正するための処理として、キーストーン補正処理や、ズーム状態及びフォーカス状態を調整する補正処理が実行されていた。しかし、これらの補正処理に換えて他の補正処理が実行されるものとしても良い。例えば、画像にユーザが所望する一定の効果を与えるフィルター処理が実行されるものとしても良い。また、上記実施例において、ズーム状態及びフォーカス状態を調整する補正処理や、キーストーン補正処理は、他の方法によって実行されるものとしても良い。例えば、スクリーンSCの外周枠を検出することなく、ステレオカメラ方式による三角測量を用いて、スクリーンSCの投写面の傾斜角度を測定してキーストーン補正処理が実行されるものとしても良い。また、同じく、ステレオカメラ方式による三角測量を用いて、スクリーンSCまでの距離を測定し、ズーム状態やフォーカス状態を調整するものとしても良い。なお、ズーム状態やフォーカス状態の調整は省略されるものとしても良い。
プロジェクタの内部構成を示す概略ブロック図。 液晶パネルの画像形成領域を説明するための模式図。 投写表示処理実行中のプロジェクタを説明するための模式図。 キーストーン補正処理の処理手順を示すフローチャート。 測定用画像の投写表示処理実行中のプロジェクタを説明するための模式図。 撮影部が生成する撮影画像を説明するための模式図。 画像格納部に格納された画像を一時的に投写表示するプロジェクタを説明するための模式図。 投写表示処理が再開されたプロジェクタを説明するための模式図。
100…プロジェクタ
102…内部バス
110…A/D変換部
120…内部メモリ
121…画像制御部
122…フレームメモリ
124…画像格納部
126…撮影画像メモリ
130…液晶パネル
132…液晶パネル駆動部
140…照明光学系
150…投写光学系
152…ズームレンズ
154…フォーカスレンズ
155…レンズ駆動部
156…ズームレンズ駆動部
158…フォーカスレンズ駆動部
160…CPU
170…リモコン制御部
172…リモコン
180…撮影部
190…ROM
200…歪み補正部
210…パターン検出部
220…枠検出部
230…補正量決定部
300…ケーブル
400…画像光変調投写部
500…画像ソース
BW…背後壁面
CI…撮影画像
Ec1〜Ec4…測定点
IF…画像形成領域
MI…測定用画像
PI…有効パネル画像
RIF…補正後画像形成領域
SC…スクリーン
T1,T1c,T2…画像

Claims (5)

  1. 外部から入力された外部画像データに基づいて投写画像を表示する投写型表示装置であって、
    前記投写画像を表す画像光を投写面に投写する投写部と、
    前記外部画像データを含む投写用画像データが格納される画像データ格納部と、
    前記外部画像データを取得して前記画像データ格納部に格納する画像データ取得処理を実行するとともに、前記投写部に前記投写画像を投写させる画像制御部と、
    前記投写面を含む投写領域を撮影して撮影画像を生成する撮像部と、
    前記撮影画像を用いて、前記投写画像の表示状態を補正するための補正量を決定する補正量決定処理を実行する補正量決定部と、
    を備え、
    前記画像制御部は、前記補正量決定部が前記補正量決定処理を実行している間は、前記画像データ取得処理を停止し、前記補正量決定処理が終了した後に、決定された前記補正量を用いて前記画像データ格納部に予め格納されていた画像データを補正した仮投写画像を前記投写部に表示させるとともに、前記画像データ取得処理を再開する、投写型表示装置。
  2. 請求項1記載の投写表示型装置であって、
    前記画像データ格納部は、前記外部画像データを格納する外部画像データ格納部と、前記仮投写画像を生成するための仮投写用画像データを格納する仮投写用画像データ格納部とを有し、
    前記画像制御部は、前記画像データ取得処理を停止する際に、停止前に前記外部画像データ格納部に格納した取得済み画像データを、前記仮投写用画像データ格納部に転送し、前記補正量決定処理が終了した後に、前記仮投写用画像データ格納部に格納された前記取得済み画像データから生成した前記仮投写画像を前記投写部に表示させるとともに、前記画像データ取得処理を再開する、投写型表示装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の投写型表示装置であって、
    前記仮投写画像は、再開された前記画像取得処理によって取得された前記外部画像データに基づく前記投写画像が表示されるまでの間表示されている、投写型表示装置。
  4. 外部から入力された外部画像データに基づいて投写画像を表示する投写型表示装置の制御方法であって、
    (a)前記外部画像データを取得して画像データ格納部に格納する画像データ取得処理を実行する工程と、
    (b)前記画像データ取得処理を一時的に停止して、撮影部によって投写面を含む投写領域を撮影して生成された撮影画像を用いて、前記投写画像の表示状態を補正するための補正量を決定する工程と、
    (c)前記補正量が決定された後に、前記補正量を用いて前記画像データ格納部に格納された画像データを補正した仮投写画像を前記投写部に表示させるとともに、前記画像データ取得処理を再開する工程と、
    を備える、投写型表示装置の制御方法。
  5. 外部から入力された外部画像データに基づいて投写画像を表示する投写型表示装置の制御プログラムであって、
    前記外部画像データを取得して画像データ格納部に格納する画像データ取得処理を実行する機能と、
    前記画像データ取得処理を一時的に停止して、撮影部によって投写面を含む投写領域を撮影して生成された撮影画像を用いて、前記投写画像の表示状態を補正するための補正量を決定する機能と、
    前記補正量が決定された後に、前記補正量を用いて前記画像データ格納部に格納された画像データを補正した仮投写画像を前記投写部に表示させるとともに、前記画像データ取得処理を再開する機能と、
    を備える、投写型表示装置の制御プログラム。
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