JP5262227B2 - 芳香族化合物、分岐状ポリアリーレン系共重合体およびそれを用いた固体高分子電解質膜 - Google Patents
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Description
[1]下記一般式(1)で表される芳香族化合物;
てなる。該式(1a)および(1b)の構造単位は、規則的に結合していても、不規則に結合していてもよく、また(1a)で表される構造単位のみが互いに結合した構造ブロックと下記式(1b)で表される構造単位のみが互いに結合した構造ブロックとが結合した構造を形成してもよい。)
、A、Dはそれぞれ独立に直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−SO−
、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−(CH2)j−(jは1〜10の整数である)、−CR''2−(R''は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基からな
る群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、Qは下記式(2)〜(4)で表される構造から選ばれる少なくとも一種の構造である
。)
義であり、H01は下記式(2-a)〜(2-b)で表される構造から選ばれる少なくとも一種の構造
である。
基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基およびシアノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示す。
(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)i−(iは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、R37〜R39は、R1〜R36と同じで
ある。また、sは0〜4の整数を示す。]
[2]下記式(1A)で表される[1]の芳香族化合物。
あり、Bは酸素原子であり、Dは−C(CF3)2−であり、Xは塩素原子である。また、l、mは、l+m=100であり、l,m>0である)
[3]下記式(6)で表されるモノマーおよび下記式(7)で表されるモノマーと、ハロゲン化合物である下記式(8-a)〜(8-c)または(9)で表されるモノマーの少なくとも1種とを縮合させたものである[1]の芳香族化合物。
[4]下記式(1')で表される構造および下記式(5)で表される構造を有する分岐状ポリアリーレン系共重合体;
SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−(CH2)j−(jは1〜10の整数である)、−CR''2−(R''は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基
からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、Qは下記式(2')〜(4')で表される構造から選ばれる少なくとも一種の構
造である。
R1〜R36は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル
基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基およびシアノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示す。
OO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群よ
り選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)i−(iは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、R37〜R39は、R1〜R36と同じである。また、sは0〜4の
整数を示す。]
とも1種の構造を示し、Z01は直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Yは−CO−または−SO2−または−SO−を示し、Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示す。
tは0〜2の整数を示し、uは0〜2の整数を示し、jは0〜2の整数を示す(ただし、uが
1〜2の場合はjは0であり、jが1〜2の場合uは0である)。lおよびkは、1〜4
の整数を示す。]
[5]前記式(5)で表される構造が、下記式(5a)で表される化合物から誘導されるものである[4]の分岐状ポリアリーレン系共重合体。
[7]前記[4]または[5]の分岐状ポリアリーレン系共重合体から得られることを特徴とする固体高分子電解質。
[8][4]または[5]の分岐状ポリアリーレン系共重合体から得られることを特徴とするプロトン伝導膜。
<新規芳香族化合物>
本発明の芳香族化合物(以下、「分岐点を有する芳香族化合物」という。)は、下記一般式(1)で表される。本芳香族化合物を用いてポリアリーレン系高分子を合成することにより、一定個所に特定した分岐点を有する該高分子を得ることができる。
A、Dはそれぞれ独立に直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−SO−
、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−(CH2)j−(jは1〜10の整数である)、−CR''2−(R''は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基からな
る群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、好ましくは−O−、−CO−、−SO2
−、−SO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−(CH2)j−(jは1〜10の
整数である)、−CR''2−(R''は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン
化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基であり、更に好まし
くは−CO−、−SO2−、−CR''2−(R''は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基お
よびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基である
。
たものである。該式(1a)および(1b)の構造単位は、規則的に結合していても、不規則に結合していてもよく、また(1a)で表される構造単位のみが互いに結合した構造ブロックと下記式(1b)で表される構造単位のみが互いに結合した構造ブロックとが結合した構造を形成してもよい。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、好ましくは酸素原子である。
Qは下記式(2)〜(4)で表される構造から選ばれる少なくとも一種の構造であり、
後述のポリアリーレン系高分子の高分子鎖の分岐点となる構造を与える。
義であり、H01は下記式(2-a)〜(2-b)で表される構造から選ばれる少なくとも一種の構造
である。
q、rは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示す。
SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造であり、好ましくは−CO−、
−SO2−、−SO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造であり、さらに好ましくは−CO−、−SO2
−、−SO−である。
た、sは0〜4の整数を示し、好ましくは0〜2であり、更に好ましくは0〜1である。
<芳香族化合物の合成方法>
本発明に係る分岐点を有する芳香族化合物は、下記式(6)で表されるモノマーおよび下記式(7)で表されるモノマーと、ハロゲン化合物である下記式(8-a)〜(8-c)または(9)で表されるモノマーの少なくとも1種とを、縮合させたものである。 具体的には、〔1〕ハロゲン化合物であるモノマーと〔2〕フェノール性水酸基若しくはフェノール性チオール基を有するモノマーとを縮合反応させて得られるものであるが、その際に、〔1〕ハロゲン化合物であるモノマーの一部又は〔2〕フェノール性水酸基若しくはフェノール性チオール基を有するモノマーの一部に分岐点構造を有するモノマーを含めることにより合成される。具体的には、下記式(6)で表されるモノマーおよび下記式(7)で表されるモノマーと、下記式(8-a)〜(8-c)または(9)で表されるモノマーの少なくとも1種とを、縮合させたものである。
ノマー(A)とモノマー(D)の結合により得られる。
分岐構造を有しないモノマー
[モノマー(A)]
[モノマー(B)]
ある。)
分岐構造を有するモノマー
[モノマー(C)]
[モノマー(D)]
上記モノマー(A)の具体例としては、下記式で示されるような化合物が挙げられる。
物なども挙げられる。
キサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン等のビスフェノール化合物、およびその水酸基の酸素原子が硫黄原子に置き換わった化合物が挙げられる。
換わった化合物、−CO−が−SO2−に置き換わった化合物、−SO2−が−CO−に置き換わった化合物、ならびに、フッ素原子が塩素原子に置き換わり、かつ、−CO−が−SO2−に置き換わった化合物なども挙げられる。
まず、フェノール性水酸基またはフェノール性チオール基を有する前記モノマー(B)又は(D)を、対応するアルカリ金属塩とする。このために、誘電率の高い極性溶媒中で、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、または、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などのアルカリ金属化合物を加える。上記誘電率の高い極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキサイド、N,N-ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。上記アルカリ金属は、フェノール性水酸基に対して、通常1.1〜2倍当量、好ましくは1.2〜1.5倍当量で用いる。
(a)分岐点を導入するモノマーにモノマー(C)を用いる場合
モノマー(C)の量は、モノマー(A)1モルに対し、0.01〜0.2モル、好ましく
は0.01〜0.1モル、より好ましくは0.03〜0.1モルの範囲の量で用いられる。モノマー(B)の量は、モノマー(A)と(C)の合計で1モルに対し、0.1〜4.
0モル、好ましくは0.3〜2.8モル、より好ましくは0.5〜2.0モルの範囲の量で用いられる。
(b)分岐点を導入するモノマーにモノマー(D)を用いる場合
モノマー(D)の量は、モノマー(B)1モルに対し、0.01〜0.2モル、好まし
くは0.01〜0.1モル、より好ましくは0.03〜0.1モルの範囲の量で用いられる。モノマー(B)と(D)の量は、モノマー(A)1モルに対し、合計で0.1〜4.
0モル、好ましくは0.3〜2.8モル、より好ましくは0.5〜2.0モルの範囲の量で用いられる。
(c)分岐点を導入するモノマーにモノマー(C)、(D)両方を用いる場合
モノマー(C)のモノマー(A)に対する量およびモノマー(D)のモノマー(B)に対する量は、それぞれそれぞれを単独で用いる場合(上記(a)および(b))と同様で用いられる。それぞれの量は、モノマー(A)と(C)の合計で1モルに対し、モノマー
(B)と(D)の合計で0.1〜4.0モル、好ましくは0.3〜2.8モル、より好ましくは0.5〜2.0モルの範囲の量で用いられる。
なお、次の共重合反応を考えると、分岐点を有する芳香族化合物の末端基がフッ素原子、塩素原子となるよう、モノマー(A)とモノマー(B)とのモル比を調節することが望ましい。また、必要に応じて、反応に用いたモノマー(A)1モルに対して、0.01〜1モルのモノマー(A)を末端キャップ剤として添加してもよい。
Cl−[分岐を有しない構造単位−O−分岐を有する構造単位−O]−[モノマー(A)]−Cl
ここで、[分岐を有しない構造単位−O−分岐を有する構造単位−O]は、1個又は複数の分岐を有しない構造単位と1個又は複数の分岐を有する構造単位が不規則にエーテル結合している構造を示す。また、[モノマー(A)]−Clの構造部分は、モノマー(A)に由来する。
[モノマー(A)]−O−[モノマー(B)]
また、分岐を有する構造単位は、下記式のいずれかで表される構造を有する。
[モノマー(C)]−O−[モノマー(B)]
[モノマー(A)]−O−[モノマー(D)]
ここで、[モノマー(A)]は、モノマー(A)に由来する構造部分を、[モノマー(B)]は、モノマー(B)に由来する構造部分を、[モノマー(C)]は、モノマー(C)に由来する構造部分を、[モノマー(D)]は、モノマー(D)に由来する構造部分をそれぞれ示す。
あり、Bは酸素原子であり、Dは−C(CF3)2−であり、Xは塩素原子である。
上記例示および式(1A)中、l、mは、l+m=100であり、l,m>0である。lと
mは、用いるハロゲン化モノマーの量により調節可能である。mが多くなれば、より分岐構造の多い重合体が得られ、mが少なくなれば分岐構造の少ない重合体が得られる。
本発明に係る分岐状ポリアリーレン系重合体は、前記分岐点を有する芳香族化合物に由来する下記式(1’)で表される構造単位[1]を必須成分として含む。さらに、構造単位[1]とともに、(5)式で表されるスルホン酸基を有する構造単位[2]とを有してなる。より詳しくは、該重合体は、構造単位[1]どうしが式(1’)の両末端の結合手を介して又は式(1’)の分岐点の結合手を介して結合すると共に、これらの結合手の少なくとも一部が構造単位[2]と結合した構造を有する。また、構造単位[2]は、構造単位[1]の末端の結合手に結合してもよいし、構造単位[1]の分岐点の結合手に結合してもよい。
してなる。該式(1a')および(1b')の構造単位は、規則的に結合していても、不規則に結合していてもよく、また(1a')で表される構造単位のみが互いに結合した構造ブロックと下
記式(1b')で表される構造単位のみが互いに結合した構造ブロックとが結合した構造を形
成してもよい。)
SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−(CH2)j−(jは1〜10の整数である)、−CR''2−(R''は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基
からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、Qは下記式(2')〜(4')で表される構造から選ばれる少なくとも一種の構
造である。
R1〜R36は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル
基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基およびシアノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示す。
OO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群よ
り選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)i−(iは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、R37〜R39は、R1〜R36と同じである。また、sは0〜4の
整数を示す。]
前記スルホン酸基を有する構造単位[2]としては、下記式(5)で表される構造を有していることが好ましい。
とも1種の構造を示し、Z01は直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Yは−CO−または−SO2−または−SO−を示し、Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示す。
tは0〜2の整数を示し、uは0〜2の整数を示し、jは0〜2の整数を示す(ただし、uが1〜2の場合はjは0であり、jが1〜2の場合uは0である)。lおよびkは、1〜4の整数を示す。]
分岐状ポリアリーレン系重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算で、1万〜100万、好ましくは2万〜50万、より好ましくは10万〜40万である。
本発明の分岐状ポリアリーレン系重合体は、前記式(6)で表されるモノマーおよび下記式(7)で表されるモノマーと、式(8-a)〜(8-c)または(9)で表されるモノマーの少なくとも1種とを縮合させたのち、得られた前記式(1)で表される芳香族化合物と
、式(10)で表されるスルホン酸化合物とを反応させ、さらにスルホン酸エステル基を加水分解またはエステル交換反応を行い、スルホン酸基としたものである。
具体的には、まず、上記したようにして前記式(1)で表される分岐点を有する芳香族化合物を合成したのち、かかる芳香族化合物と、前記式(5)で表される構造単位の前駆体となる下記式(10)で表される化合物を用い、触媒の存在下で共重合させ、スルホン酸エステル基を有する分岐状ポリアリーレンを製造し、該スルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。
水素基を示し、具体的にはtert−ブチル基、iso−ブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、5員の複素環を有する炭化水素基などが挙げられる。これらのうちネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基がより好ましい。)
上記重合の際に用いられる触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、このような触媒系としては、(i)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。) 、または、配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)と、(ii)還元剤とを必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために「塩」を添加してもよい。
このようなスルホン酸エステル化合物は、たとえば特開2004-137444号公報に記載され
ているように、以下の工程により得ることができる。
(1)スルホン化 スルホン酸ナトリウム塩化(例えば、アセチル硫酸、苛性ソーダ)
例えば、2,5−ジクロロベンゾフェノンの1,2−ジクロロメタン溶液に、5倍モルのアセチル硫酸の1,2−ジクロロメタン溶液を60℃で3〜5時間反応させる。反応後、1−プロパノールで反応を終結させ、3倍モルのNaOH水溶液に注ぐ。得られた溶液を濃縮していくと微粉のスルホン酸ナトリウム塩が得られる。
(2)スルホン酸クロライド化(例えば、塩化ホスホリル)
例えば、2,5−ジクロロベンゾフェノン−3’−スルホン酸ナトリウムに対し、約3〜4倍(重量/容積)の溶媒(スルホラン/アセトニトリル=4/6(容積比)の混合溶媒)に溶解させ、70℃に加温し、塩化ホスホリルを10℃付近で、5時間程度反応させる。反応後、大過剰の冷水で希釈し、生成物を沈殿させる。濾過後、トルエンで再結晶し、精製結晶を得る。
(3)スルホン酸エステル化(例えば、i−ブチルアルコール)
例えば、2,5−ジクロロベンゾフェノン−3’−スルホン酸クロライドに対し、等量以上(通常1〜3倍モル)のi−ブチルアルコールとピリジンを冷却した混合溶液に、スルホン酸クロライドを滴下して反応させる。反応は〜20℃までに抑える。反応時間は反応スケールにもよるが10分〜5時間程度である。反応混合液を希塩酸処理、水洗した後、酢酸エチルで目的物を抽出する。抽出液を濃縮分離後、メタノールで再結晶する。
(1)少量の塩酸を含む過剰量の水またはアルコールに、上記ポリアリーレンを投入し、5分間以上撹拌する方法
(2)トリフルオロ酢酸中で上記ポリアリーレンを80〜120℃程度の温度で5〜10時間程度反応させる方法
(3)ポリアリーレン中のスルホン酸エステル基(−SO3R)1モルに対して1〜3倍
モルのリチウムブロマイドを含む溶液、例えばN−メチルピロリドンなどの溶液中で上記ポリアリーレンを80〜150℃程度の温度で3〜10時間程度反応させた後、塩酸を添加する方法
などを挙げることができる。
本発明の固体高分子電解質膜(以下、電解質膜)は、上記のような方法で得られる、上記構造単位(1)および構造単位(5)を有する分岐状ポリアリーレン系重合体を溶剤中で溶解または膨潤させ、それを基体上に流延してフィルム状に成形するキャスティング法などにより成膜することができる。
エチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γーブチルラクトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン等のエーテル類などが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、溶解性および溶液粘度の観点から、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」ともいう)が好ましい。
の置換速度は速くなるが、フィルムの吸水量も多くなるので、乾燥後に得られるプロトン伝導膜の表面状態が悪化することがある。また、フィルムの浸漬時間は、初期の残存溶媒量、水の使用量および処理温度にもよるが、通常10分〜240時間、好ましくは30分〜100時間の範囲である。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
攪拌機、温度計、Dean−stark管、窒素導入管、冷却管を取り付けた1Lの三口フラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン97.6g(290mmol;モノマー(B))、4,4’−ジクロロベンゾフェノン73.9g(294mmol;モノマー(A))、2,4,4’−ト
リクロロベンゾフェノン4.4g(15mmol;モノマー(C−a))、炭酸カリウム52.2g(377mmol)をはかりとった。窒素置換後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)436mL、トルエン218mLを加えて攪拌した。オイルバスで反応液を130℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean−stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean−stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を190℃に上げ、2時間攪拌を続けた後、反応液を放冷後、テトラヒドロフラン(THF)300mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩をろ過し、ろ液をメタノール3Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物をろ過、乾燥後、THF600mLに溶解し、これをメタノール2Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末をろ過、乾燥し、下記一般式(I)で示される
目的物145gを得た。GPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量は12,000であった。また得られた化合物の1H-NMRスペクトルを図1に示す。
実施例1における、4,4’−ジクロロベンゾフェノンの代わりとして、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン84.5g(294mmol;モノマー(A))を用いること
以外は実施例と同様に行い、下記一般式(II)で示される目的物153gを得た。GPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量は11,000であった。
3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチルの調製
)を加え、100℃のオイルバスで8時間反応させた。所定時間後、反応液を砕氷(1000g)にゆっくりと注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去し、淡黄色の粗結晶(3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸クロリド)を得た。粗結晶は精製することなく、そのまま次工程に用いた。
晶を約30分かけて徐々に加えた。全量添加後、さらに30分撹拌し反応させた。反応後、反応液を塩酸水1000ml中に注ぎ、析出した固体を回収した。得られた固体を酢酸エチルに溶解させ、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去し、粗結晶を得た。これをメタノールで再結晶し、目的物である3-(2,5-ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチルの白色結晶を得た。得られた白色粉末の1H-NMRスペクトルを図2に示す。
ンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル51.4g(128.1mmol)、実施例1
で得られたMn12,000の疎水性ユニット(I)22.5g(1.9mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド3.4g(5.2mmol)、ヨウ化ナトリ
ウム0.58g(3.9mmol)、トリフェニルホスフィン13.64g(52.0mm
ol)、亜鉛20.4g(312mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
、イオン交換水7Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、アセトン、1N塩酸、純水の順で洗浄後、乾燥して目的の重合体50gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(M
w)は218,000、イオン交換容量は2.3meq/gであった。
実施例3における疎水性ユニット(I)の代わりに実施例2で得られた疎水性ユニット
(II)を用いる以外は同様に行い、目的の重合体50gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は201,000、イオン交換容量は2.3meq/gであった。
<比較例1>
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックをとりつけた1Lの三つ口のフラスコに、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロ
パン(ビスフェノールAF)67.3g(0.20モル)、4,4'-ジクロロベンゾフェノン(4,4'-DCBP)60.3g(0.24モル)、炭酸カリウム71.9g(0.52モル)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)300mL、トルエン150mLをとり、オイルバス中、窒素雰囲気下で加熱し撹拌下130℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean-Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められ
なくなった。反応温度を130℃から徐々に150℃まで上げた。その後、反応温度を徐々に150℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、150℃で10時間反応を続けた後、4,4'-D
CBP10.0g(0.40モル)を加え、さらに5時間反応した。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解した。これをメタノ
ール4Lに再沈殿し、下記式(III)で表される化合物95g(収率85%)を得た。
前記比較例1において、4,4’−ジクロロベンゾフェノンの代わりとして、ビス(4-
クロロフェニル)スルホン(BCPS)を使用し、その最初の仕込量を53.5g(0.214モル)とし、後添加する仕込み量を3.3g(0.0133モル)としたこと、また炭酸カリウムの使
用量を58.0g(0.42モル)に変えた以外は、比較例1と同様にして重合を行った。その結果、式(IV)で表される重合体が96%の収率で120g得られた。GPC(THF溶媒)で求
めたポリスチレン換算の数平均分子量は4,600、重量平均分子量は7,600であった。また、得られた重合体はTHF、NMP、DMAc、スルホランなどに可溶で、Tgは158℃、
熱分解温度は513℃であった。
000の疎水性ユニットを用いる以外は同様に行い、目的の重合体52gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は190,000、イオン交換容量は2.3meq/gであった。
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、2,5−ジクロロベンゾフェノン−3’−スルホン酸ネオペンチル51.4g(128.1mmol)、比較例1で用いたMn12,000の疎水性ユニット(III)22.5g(1.9mmol)、2,4,4’−トリクロロベンゾフェノン4.4g(15mmol)、ビス(トリフェニルホ
スフィン)ニッケルジクロリド3.4g(5.2mmol)、ヨウ化ナトリウム0.58g(3.9mmol)、トリフェニルホスフィン13.64g(52.0mmol)、亜鉛20
.4g(312mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
w)は236,000、イオン交換容量は2.3meq/gであった。
[評価方法]
(評価用フィルムの作製)
実施例3,4および比較例1〜3で得られたポリマーをそれぞれ濃度12〜16%でN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、ガラス板上にキャストした後、乾燥して膜厚40μmのフィルムを得た。
重合体の分子量は、GPCによってポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。溶媒として臭化リチウムを添加したN−メチル−2−ピロリドンを用いた。
得られたスルホン化ポリマーの水洗水がpH4〜6になるまで洗浄して、フリーの残存している酸を除去して十分に洗浄し、乾燥した後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解させ、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点からイオン交換容量を求めた。
(耐水性試験)
まず、2×3cmに切削した試料膜を23℃50%RHの環境下で8時間以上静置し状態調節した後、重量、長辺と短辺の長さを精密に測定した。同試料膜を耐熱性樹脂容器に入れ、十分な量の水を加えて密栓した後、オーブンまたはプレッシャークッカー試験機を用い、それぞれ95℃、120℃で24時間加熱処理した。加熱終了後、室温まで放冷し、試料膜を取出し、表面の水滴を軽く拭き取った後、各辺の長さ及び膜厚を測定した。さらに、試料膜を23℃50%RHの環境下で8時間以上静置し状態調節した後、膜の重量を測定した。得られた数値を用い、試料の耐水性について以下の通り算出した。
重量保持率(%)=(試験後の膜重量(g)/試験前の膜重量(g))×100
寸法変化率(%)=(試験後の長辺(cm)/試験前の長辺(cm))+(試験後の短辺(c
m)/試験前の短辺(cm))/2×100
膜厚変化率(%)=(試験後の膜厚(μm))/(試験後の膜厚(μm))×100
[評価結果]
得られたフィルムを用い、耐水性試験およびプロトン伝導度の測定を実施した。結果を表2に示す。
Claims (8)
- 下記一般式(1)で表される芳香族化合物;
- 下記式(1')で表される構造および下記式(5)で表される構造を有する分岐状ポリアリーレン系共重合体;
- 前記重合体が、下記式(6)で表されるモノマーおよび下記式(7)で表されるモノマーと、ハロゲン化合物である下記式(8-a)〜(8-c)または(9)で表されるモノマーの少なくとも1種とを縮合させたのち、得られた芳香族化合物と、下記式(10)で表されるスルホン酸化合物とを反応させ、さらにスルホン酸エステル基を加水分解またはエステル交換反応を行い、スルホン酸基としたものであることを特徴とする請求項4に記載の分岐状ポリアリーレン系共重合体。
- 請求項4または5に記載の分岐状ポリアリーレン系共重合体から得られることを特徴とする固体高分子電解質。
- 請求項4または5に記載の分岐状ポリアリーレン系共重合体から得られることを特徴とするプロトン伝導膜。
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