JP3840942B2 - 分岐状ポリアリーレン系共重合体の製法、スルホン化分岐状ポリアリーレン系共重合体の製法およびスルホン化分岐状ポリアリーレン系共重合体からなるプロトン伝導膜 - Google Patents
分岐状ポリアリーレン系共重合体の製法、スルホン化分岐状ポリアリーレン系共重合体の製法およびスルホン化分岐状ポリアリーレン系共重合体からなるプロトン伝導膜 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な分岐状ポリアリーレン系共重合体の製造方法およびスルホン化分岐状ポリアリーレン系共重合体の製造方法および得られたスルホン化分岐状ポリアリーレン系共重合体からなるプロトン伝導膜に関する。プロトン伝導膜は、一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに有用であることが知られている。
【0002】
【従来の技術】
電解質は、通常、(水)溶液で用いられることが多い。しかし、近年、これを固体系に置き替えていく傾向が高まってきている。その第1の理由としては、例えば、上記の電気・電子材料に応用する場合のプロセッシングの容易さであり、第2の理由としては、軽薄短小・省電力化への移行である。
従来、プロトン伝導性材料としては、無機物からなるもの、有機物からなるものの両方が知られている。無機物の例としては、例えば水和化合物であるリン酸ウラニルが挙げられるが、これら無機化合物は界面での接触が十分でなく、伝導層を基板あるいは電極上に形成するには問題が多い。
【0003】
一方、有機化合物の例としては、いわゆる陽イオン交換樹脂に属するポリマー、例えばポリスチレンスルホン酸などのビニル系ポリマーのスルホン化物、ナフィオン(デュポン社製)を代表とするパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー、パーフルオロアルキルカルボン酸ポリマーや、ポリベンズイミダゾールやポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子にスルホン酸基やリン酸基を導入したポリマー〔Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.7,p.2490〜2492(1993)、Polymer Preprints,Japan,Vol.43,No.3,p735〜736(1994)、Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.3,p730(1993)〕などの有機系ポリマーが挙げられる。
【0004】
これら有機系ポリマーは、通常、フィルム状で用いられるが、溶媒に可溶性であること、または熱可塑性であることを利用し、電極上に伝導膜を接合加工できる。しかしながら、これら有機系ポリマーの多くは、プロトン伝導性がまだ十分でないことに加え、耐久性や高温(100℃以上)でプロトン伝導性が低下してしまうこと、スルホン化により脆化し、機械的強度が低下すること、湿度条件下の依存性が大きいこと、あるいは電極との密着性が十分満足のいくものとはいえなかったり、含水ポリマー構造に起因する稼働中の過度の膨潤による強度の低下や形状の崩壊に至るという問題がある。したがって、これらの有機ポリマーは、上記の電気・電子材料などに応用するには種々問題がある。
【0005】
米国特許第5,403,675号明細書では、スルホン化された剛直ポリフェニレンからなる固体高分子電解質が提案されている。このポリマーは、フェニレン連鎖からなる芳香族化合物を重合して得られるポリマー(同明細書カラム9記載の構造)を主成分とし、これをスルホン化剤と反応させてスルホン酸基を導入している。しかしながら、スルホン酸基の導入量の増加によって、プロトン伝導度が向上するものの、同時に得られるスルホン化ポリマーの機械的性質、例えば破断伸び、耐折り曲げ性等の靭性や耐熱水性は著しく損なわれる。
【0006】
また、スルホン化ポリアリーレン系重合体からプロトン伝導膜を得る際には、通常、前記重合体を溶剤に溶解して得られた溶液を基体上にキャスティングして成膜加工を行うが、機械的性質を向上させようとして、より分子量の高い重合体を用いると溶液粘度が上昇する結果、溶液の脱泡処理が困難になったり、また、乾燥工程に時間がかかったり、成膜して得られたフィルム表面に筋状のむらが入りやすくなるなど成膜加工上の問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、主鎖中に屈曲性構造を有するために靭性が高く、スルホン化しても靭性および耐熱水性が低下しにくい重合体、該重合体をスルホン化して得られるスルホン酸基含有重合体を提供することにあり、特に、主としてプロトン伝導膜を得る際に上述した成膜加工上の問題がないスルホン化分岐状ポリアリーレン系共重合体を提供することを目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第一に、
(I)下記一般式(1a)で表される化合物、下記一般式(2a)で表される化合物および下記一般式(3a)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の、フッ素以外のハロゲン原子を2個有するモノマー(A)と、
(II)下記一般式(1b)で表される化合物、下記一般式(2b)で表される化合物、下記一般式(3b)で表される化合物および下記一般式(4b)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の、フッ素以外のハロゲン原子を2個有するモノマー(B)とを、
カップリング反応により共重合させるに際して、
(III)下記一般式(1a’)で表される化合物、下記一般式(2a’)で表される化合物、下記一般式(3a’)で表される化合物、下記一般式(1b’)で表される化合物および下記一般式(2b’)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の、フッ素以外のハロゲン原子を3個以上有する分岐構造形成剤(C)を共存させて、
上記共重合を行うことを特徴とする分岐状ポリアリーレン系共重合体の製造方法を提供する。
【0009】
【化14】
…(1a)
(式中、Xは独立に塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、Aは電子吸引性の基であり、R1〜R8は、同一または異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基である。)
【0010】
【化15】
…(2a)
(式中、X、R1〜R8は、式(1a)に関して定義したとおりであり、Aは独立に式(1a)に関して定義したとおりであり、R1'〜R8'は、同一または異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基である。)
【0011】
【化16】
…(3a)
(式中、X、A、R1〜R8は独立に式(1a)に関して定義したとおりであり、Bは独立に電子供与性の原子または2価の基であり、nは2以上の整数である。)
【0012】
【化17】
…(1b)
(式中、X、Aは式(1a)に関して定義したとおりであり、Bは式(3a)に関して定義したとおりであり、R9〜R15は、同一または異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基であり、Zはアリール基であり、mは0、1または2の整数である。)
【0013】
【化18】
…(2b)
【0014】
【化19】
…(3b)
【0015】
【化20】
…(4b)
(上記一般式(2b)、(3b)および(4b)中、Xは独立に塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、R17〜R24は、同一または異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基である。)
【0016】
【化21】
…(1a’)
(式中、Aは電子吸引性の基であり、Rは独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基である。ただし、全Rのうち少なくとも3個は、同一または異なり、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)
【0017】
【化22】
…(2a’)
(式中、Aは独立に式(1a’)に関して定義したとおりであり、Rは独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基である。ただし、全Rのうち少なくとも3個は、同一または異なり、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)
【0018】
【化23】
…(3a’)
(式中、Aは独立に式(1a’)に関して定義したとおりであり、Bは独立に電子供与性の原子または2価の基であり、Rは独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基である。ただし、全Rのうち少なくとも3個は、同一または異なり、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。nは2以上の整数である。)
【0019】
【化24】
…(1b’)
(式中、Rは独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基である。ただし、全Rのうち少なくとも3個は、同一または異なり、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)
【0020】
【化25】
…(2b’)
(式中、Rは独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基である。ただし、全Rのうち少なくとも3個は、同一または異なり、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)
【0021】
該方法は、電子吸引性基を有し、独立に2個の塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子(以下、単に「ハロゲン」という)を有するモノマー(A)(このモノマー(A)は、本件共重合体の主鎖に屈曲性を付与し、靭性の向上に寄与するものである)と、共重合体主鎖において主としてスルホン化される部位となる2個のハロゲンを有するモノマー(B)とをカップリング反応により共重合させるに際して、ハロゲンを3個以上有する分岐構造形成剤(C)を共存させることを特徴とするものである。
【0022】
該分岐構造形成剤(C)を共重合反応系に共存させると、例えば、モノマー(A)およびモノマー(B)からなる主として直鎖状構造共重合体鎖が、分岐構造形成剤を中心に3方向以上に形成されるようになる。こうして得られた分岐状ポリアリーレン系共重合体は、その後、スルホン化されるのであるが、得られたスルホン化分岐状ポリアリーレン共重合体を溶剤に溶解してキャスティング法により成膜してプロトン伝導膜を得る際に、たとえ高分子量体であっても、分子量が同等である直鎖状共重合体と比較して溶液粘度が低いポリマー溶液を得ることができるため、共重合体の高分子量化に伴う成膜工程における泡抜けや乾燥時間の問題が解消され、良好なスジムラのないフィルムを得ることができるようになる。
【0023】
本発明は、第二に、上記方法で製造された分岐状ポリアリーレン系共重合体をスルホン化剤を用いてスルホン化することを特徴とする分岐状スルホン化ポリアリーレン系共重合体の製造方法を提供する。
そこで、本発明は、第三に、上記方法で製造された分岐状ポリアリーレン系共重合体をスルホン化剤を用いてスルホン化することを特徴とする分岐状スルホン化ポリアリーレン系共重合体の製造方法で得られた分岐状スルホン化ポリアリーレン系共重合体を提供する。
そして、本発明は、第四に、上記分岐状スルホン化ポリアリーレン系共重合体からなるプロトン伝導膜を提供する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
[分岐状ポリアリーレン共重合体の製造]
(1)モノマー(A)
ハロゲンを2有するモノマー(A)としては、例えば、下記一般式(1a)、下記一般式(2a)および下記一般式(3a)で表される化合物(以下、順に、「モノマー(1a)」、「モノマー(2a)」、「モノマー(3a)」という)からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを用いることができる。
(なお、モノマー(1a)〜モノマー(3a)において、ハロゲン(X)にかえて下記式(d)で表される基を有するものを用いてもよい。
−OSO2Y …(d)
(式中、Yはアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはアリール基である)
【0025】
【化26】
…(1a)
(式中、Xは独立に塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、Aは電子吸引性の基であり、R1〜R8は、同一または異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基である)
【0026】
Aは、電子吸引性の基であり、>CO、−CONH−、−(CF2)p−(ここでここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−、−COO−、−SO−、−SO2−などが挙げられる。なお、電子吸引性の基とは、ハメット(Hammett)置換基常数がフェニル基のm位の場合、0.06以上、p位の場合、0.01以上の値となる基をいう。
以下、一般式(1a)等において、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基などが挙げられる。フルオロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ペンタフルオルエチル基などが挙げられる。
【0027】
【化27】
…(2a)
(式中、X、R1〜R8は、式(1a)に関して定義したとおりであり、Aは独立に式(1a)に関して定義したとおりであり、R1'〜R8'は、同一または異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基である。)
【0028】
【化28】
…(3a)
(式中、X、A、R1〜R8は独立に式(1a)で定義したとおりであり、Bは独立に電子供与性の原子または2価の基であり、nは2以上、好ましくは2〜100、特に好ましくは2〜80の整数である。)
Bは、電子供与性の基又は原子であり、例えば、−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、
【0029】
【化29】
【0030】
【化30】
などが挙げられる。
【0031】
ここで、モノマー(1a)として、例えば、次のものを挙げることができる。
(A1-1) 4,4'-ジクロロベンゾフェノン、2,4'-ジクロロベンゾフェノン、3,3'-ジクロロベンゾフェノン、4,4'-ジブロモベンゾフェノン、2,4'-ジブロモベンゾフェノン、3,3'-ジブロモベンゾフェノン、4,4'-ジヨードベンゾフェノン、2,4'-ジヨードベンゾフェノン、3,3'-ジヨードベンゾフェノン
(A1-2) 4,4'-ジクロロベンズアニリド、3,3'-ジクロロベンズアニリド、3,4'-ジクロロベンズアニリド、4,4'-ジブロモベンズアニリド、3,3'-ジブロモベンズアニリド、3,4'-ジブロモベンズアニリド、4,4'-ジヨードベンズアニリド、3,3'-ジヨードベンズアニリド、3,4'-ジヨードベンズアニリド
【0032】
(A1-3) ビス(クロロフェニル)ジフルオロメタン、ビス(クロロフェニル)テトラフルオロエタン、ビス(クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(クロロフェニル)オクタフルオロブタン、ビス(クロロフェニル)デカフルオロペンタン、ビス(クロロフェニル)ドデカフルオロヘキサン、ビス(クロロフェニル)テトラデカフルオロヘプタン、ビス(クロロフェニル)ヘキサデカフルオロオクタン、ビス(クロロフェニル)オクタデカフルオロノナン、ビス(クロロフェニル)エイコサフルオロデカン;ビス(ブロモフェニル)ジフルオロメタン、ビス(ブロモフェニル)テトラフルオロエタン、ビス(ブロモフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(ブロモフェニル)オクタフルオロブタン、ビス(ブロモフェニル)デカフルオロペンタン、ビス(ブロモフェニル)ドデカフルオロヘキサン、ビス(ブロモフェニル)テトラデカフルオロヘプタン、ビス(ブロモフェニル)ヘキサデカフルオロオクタン、ビス(ブロモフェニル)オクタデカフルオロノナン、ビス(ブロモフェニル)エイコサフルオロデカン;ビス(ヨードフェニル)ジフルオロメタン、ビス(ヨードフェニル)テトラフルオロエタン、ビス(ヨードフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(ヨードフェニル)オクタフルオロブタン、ビス(ヨードフェニル)デカフルオロペンタン、ビス(ヨードフェニル)ドデカフルオロヘキサン、ビス(ヨードフェニル)テトラデカフルオロヘプタン、ビス(ヨードフェニル)ヘキサデカフルオロオクタン、ビス(ヨードフェニル)オクタデカフルオロノナン、ビス(ヨードフェニル)エイコサフルオロデカン
【0033】
(A1-4) 2,2-ビス(4-クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ブロモフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-ブロモフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ヨードフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-ヨードフェニル)ヘキサフルオロプロパン
(A1-5) 4-クロロ安息香酸4-クロロフェニル、4-クロロ安息香酸3-クロロフェニル、3-クロロ安息香酸3-クロロフェニル、3-クロロ安息香酸4-クロロフェニル、4-ブロモ安息香酸4-ブロモフェニル、4-ブロモ安息香酸3-ブロモフェニル、3-ブロモ安息香酸3-ブロモフェニル、3-ブロモ安息香酸4-ブロモフェニル
【0034】
(A1-6) ビス(4-クロロフェニル)スルホキシド、ビス(3-クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4-ブロモフェニル)スルホキシド、ビス(3-ブロモフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヨードフェニル)スルホキシド、ビス(3-ヨードフェニル)スルホキシド
(A1-7) ビス(4-クロロフェニル)スルホン、ビス(3-クロロフェニル)スルホン、ビス(4-ブロモフェニル)スルホン、ビス(3-ブロモフェニル)スルホン、ビス(4-ヨードフェニル)スルホン、ビス(3-ヨードフェニル)スルホン
【0035】
ここで、モノマー(2a)として、例えば、次のものを挙げることができる。
(A2-1) 4,4'-ビス(4-クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル
【0036】
(A2-2) 4,4'−ビス(4-クロロベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(4-クロロベンゾイルアミ)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-クロロベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-ブロモベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(4-ブロモベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-ブロモベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-ブロモベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-ヨードベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(4-ヨードベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-ヨードベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-ヨードベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル
【0037】
(A2-3) 4,4'-ビス(4-クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'−ビス(4-クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-ブロモフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'−ビス(4-ブロモフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-ブロモフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-ブロモフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4-ビス(4-ヨードフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'−ビス(4-ヨードフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-ヨードフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-ヨードフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル
【0038】
(A2-4) 4,4'-ビス(4-クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4'-ビス(4-クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'-ビス(3-クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4'-ビス(3-クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'-ビス(4-ブロモフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4'-ビス(4-ブロモフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'-ビス(3-ブロモフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4'-ビス(3-ブロモフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'-ビス(4-ヨードフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4'-ビス(4-ヨードフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'-ビス(3-ヨードフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4'-ビス(3-ヨードフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート
【0039】
(A2-5) 4,4'-ビス〔(4-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(4-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(3-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス[(4-ブロモフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(4-ブロモフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ブロモフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(3-ブロモフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ヨードフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(4-ヨードフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ヨードフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(3-ヨードフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル
【0040】
(A2-6) 4,4'-ビス〔(4-クロロフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4'ビス〔(3-クロロフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-クロロフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-クロロフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'ビス〔(4-クロロフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-クロロフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-クロロフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-クロロフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ブロモフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ブロモフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ブロモフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ブロモフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ブロモフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ブロモフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ブロモフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ブロモフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ヨードフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ヨードフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ヨードフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ヨードフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ヨードフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ヨードフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'ビス〔(4-ヨードフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ヨードフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル
【0041】
ここで、モノマー(3a)として、例えば、2,2-ビス[4-{4-(4-クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ビス[4-{4-(4-クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]スルホン、及び下記の化学式で示される化合物が挙げられる。
【0042】
【化31】
〔上記式中、Xは一般式(3a)に関して定義したとおりである。〕
【0043】
モノマー(3a)は、例えば、次のような反応により、合成することができる。
まず電子吸引性基で連結されたビスフェノールを対応するビスフェノールのアルカリ金属塩とするために、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキサイドのような誘電率の高い極性溶媒中でリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などを加える。
【0044】
通常、アルカリ金属はフェノールの水酸基に対し、過剰気味で反応させ、通常、1.1ないしは2倍当量を使用する。好ましくは、1.2〜1.5倍当量の使用である。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどの水と共沸する溶媒を共存させて、電子吸引性基で活性化されたフッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された芳香族ジハライド化合物、例えば、4,4'-ジフルオロベンゾフェノン、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、4,4'-クロロフルオロベンゾフェノン、ビス(4-クロロフェニル)スルホン、ビス(4-フルオロフェニル)スルホン、4-フルオロフェニル-4'-クロロフェニルスルホン、ビス(3-ニトロ-4-クロロフェニル)スルホン、2,6-ジクロロベンゾニトリル、2,6-ジフルオロベンゾニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、デカフルオロビフェニル、2,5-ジフルオロベンゾフェノン、1,3-ビス(4-クロロベンゾイル)ベンゼンなどを反応させる。反応性から言えば、フッ素化合物が好ましいが、次の芳香族カップリング反応を考慮した場合、末端が塩素原子となるように芳香族求核置換反応を組み立てる必要がある。活性芳香族ジハライドはビスフェノールに対し、2から4倍モル、好ましくは2.2から2.8倍モルの使用である。芳香族求核置換反応の前に予め、ビスフェノールのアルカリ金属塩としていてももよい。反応温度は60℃から300℃で、好ましくは80℃〜250℃の範囲である。反応時間は15分から100時間、好ましくは1時間から24時間の範囲である。最も好ましい方法としては、式(I):
【0045】
【化32】
…(I)
[式中、Aは一般式(1a)に関して定義したとおりである。]
で示される活性芳香族ジハライドとして反応性の異なるハロゲン原子を一個づつ有するクロロフルオロ体を用いることであり、フッ素原子が優先してフェノキシドと求核置換反応が起きるので、目的の活性化された末端クロロ体を得るのに好都合である。
【0046】
または特開平2-159号公報に記載のように求核置換反応と親電子置換反応を組み合わせ、目的の電子吸引性基、電子供与性基からなる屈曲性化合物の合成方法がある。
具体的には電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライド、例えば、ビス(4-クロロフェニル)スルホンをフェノールとで求核置換反応させてビスフェノキシ置換体とする。次いで、この置換体を例えば、4-クロロ安息香酸クロリドとのフリーデルクラフト反応から目的の化合物を得る。ここで用いる電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライドは上記で例示した化合物が適用できる。フェノール化合物は置換されていても良いが、耐熱性や屈曲性の観点から、無置換化合物が好ましい。なお、フェノールの置換反応にはアルカリ金属塩とするのが、好ましく、使用可能なアルカリ金属化合物は上記に例示した化合物を使用できる。使用量はフェノール1モルに対し、1.2〜2倍モルである。
【0047】
反応に際し、上述した極性溶媒や水との共沸溶媒を用いることができる。ビスフェノキシ化合物を塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛などのルイス酸のフリーデルクラフト反応の活性化剤存在下に、アシル化剤として、クロロ安息香酸クロライドを反応させる。クロロ安息香酸クロライドはビスフェノキシ化合物に対し、2−4倍モル、好ましくは2.2〜3倍モルの使用である。フリーデルクラフト活性化剤は、アシル化剤のクロロ安息香酸などの活性ハライド化合物1モルに対し、1.1から2倍当量使用する。反応時間は15分から10時間の範囲で、反応温度は−20℃から80℃の範囲である。使用溶媒は、フリ−デルクラフト反応に不活性な、クロロベンゼンやニトロベンゼンなどを用いることが出来る。
このようにして得られるモノマー(3a)は、IR、NMR、元素分析などにより、その構造を確認することができる。
【0048】
本発明で使用できる一般式(3a)で示されるハロゲン化合物はn=2で示される単量体の他、nが2よりも大きなオリゴマーないしポリマーも使用できる。これらのオリゴマーないしポリマーは、例えば、一般式(3a)において電子供与性基Bであるエーテル性酸素の供給源となるビスフェノールと、電子吸引性基Aである、>C=O、−SO2−、および/または>C(CF3)2とを組み合わした、具体的には 2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビスフェノールのアルカリ金属塩と過剰の4,4'-ジクロロベンゾフェノン、ビス(4-クロロフェニル)スルホンなどの活性芳香族ハロゲン化合物との置換反応をN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、スルホランなどの極性溶媒存在下で前記単量体の合成手法に順次重合して得られる。得られたオリゴマーないしポリマーはポリマーの一般的な精製方法、例えば、溶解−沈殿の操作によって行うことができる。分子量の調整は、過剰の芳香族ジクロライドとビスフェノールとの反応モル比によって行う。芳香族ジクロライドが過剰にあるため、得られるオリゴマー、ポリマーの分子末端は芳香族クロライドになっている。得られたオリゴマー、ポリマーの分子量はGPC、また、オリゴマーであれば、NMRからは数平均分子量を求めることができる。
【0049】
具体的な分子末端に芳香族クロライドを有したオリゴマー、またはポリマーの構造として以下のものを挙げることができる。
【0050】
【化33】
【0051】
【化34】
【0052】
【化35】
【0053】
(2)モノマー(B)
ハロゲンを2有するモノマー(B)としては、例えば、下記一般式(1b)、下記一般式(2b)下記一般式(3b)、および下記一般式(4b)で表される化合物(以下、順に、「モノマー(1b)」、「モノマー(2b)」、「モノマー(3b)」、「モノマー(4b)」という)からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを用いることができる。
【0054】
【化36】
…(1b)
(式中、X、Aは式(1a)に関して定義したとおりであり、Bは式(3a)で定義したとおりであり、R9〜R15は、同一または異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基であり、Zはアリール基であり、mは0、1または2の整数である。)
以下、一般式(1b)等において、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基などが挙げられる。フルオロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ペンタフルオルエチル基などが挙げられる。
【0055】
また、Zにより表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、式:
【0056】
【化37】
[式中、R25〜R33は同一又は異なり水素原子、フッ素原子又はアルキル基であり、アルキル基としては一般式(1b)において例示したものが挙げられる。]で表されるビフェニリル基が挙げられる。
【0057】
【化38】
…(2b)
【0058】
【化39】
…(3b)
【0059】
【化40】
…(4b)
(上記一般式(2b)、(3b)および(4b)中、Xは独立に塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、R17〜R24は、同一または異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基である。)
【0060】
ここで、モノマー(1b)として、例えば、次のものを挙げることができる。
【0061】
【化41】
[式中、X及びZは式(1b)に関して定義したとおりである。]
【0062】
さらに具体的には、モノマー(1b)の例としては、2,4-ジクロロ-4'-フェノキシベンゾフェノン、4'-フェノキシフェニル2,5-ジクロロベンゾエート、4'-フェノキシフェニル2,4-ジクロロベンゾエート、また、下記式で表されるものが挙げられる。
【0063】
【化42】
【0064】
【化43】
【0065】
【化44】
【0066】
【化45】
【0067】
モノマー(1b)は、例えば、2,5-ジクロロ-4'-[(4-フェノキシ)フェノキシ]ベンゾフェノンを例にとると、2,5-ジクロロ-4'-フルオロベンゾフェノンとp -フェノキシフェノールとを出発反応原料とし、これに炭酸カリウムを加えて反応性の高いフェノキシドに変え、また反応溶媒として、ジメチルアセトアミド、トルエン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン系双極子極性溶媒などを用い、反応温度80〜200 ℃で1〜30時間反応させることにより、合成することができる。
モノマー(1b)としては、溶解性、高分子量化の面から、ジクロロ安息香酸誘導体、例えば2,5-ジクロロ-4'フェノキシベンゾフェノン、2,4-ジクロロ-4'-フェノキシベンゾフェノン、4'-フェノキシフェニル2,5-ジクロロベンゾエート、4'-フェノキシフェニル2,4-ジクロロベンゾエートを使用することが好ましい。
【0068】
ここでモノマー(2b)としては、例えば次のものが挙げられる。
p-ジクロロベンゼン、p-ジブロモベンゼン、p-ジヨードベンゼン、2,5-ジクロロトルエン、2,5-ジブロモトルエン、2,5-ジヨードトルエン、2,5-ジクロロ-p-キシレン、2,5-ジブロモ-p-キシレン、2,5-ジヨード-p-キシレン、2,5-ジクロロベンゾトリフルオライド、2,5-ジブロモベンゾトリフルオライド、2,5-ジヨードベンゾトリフルオライド、1,4-ジクロロ-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼン、1,4-ジブロモ-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼン、1,4-ジヨード-2,3,5.6-テトラフルオロベンゼン
中でも、p-ジクロロベンゼン、2.5-ジクロロトルエン、2,5-ジクロロベンゾトリフルオライドが好ましい。
【0069】
ここでモノマー(3b)としては、次のものが挙げられる。
4,4’-ジクロロビフェニル、4,4'-ジクロロ-3,3'-ジプロペニルビフェニル、4,4'-ジブロモビフェニル、4,4'-ジヨードビフェニル、4,4'-ジクロロ-3,3'-ジメチルビフェニル、4,4'-ジクロロ-3,3'-ジフルオロビフェニル、4,4'-ジクロロ-3,3',5,5'-テトラフルオロビフェニル、4,4'-ジブロモオクタフルオロビフェニル、4,4'-ジクロロオクタフルオロビフェニル
中でも、4,4’-ジクロロビフェニル、4,4'-ジブロモビフェニル、4,4'-ジクロロ-3,3'-ジプロペニルビフェニルが好ましい。
【0070】
ここでモノマー(4b)としては、次のものが挙げられる。
m-ジクロロベンゼン、m-ジブロモベンゼン、m-ジヨードベンゼン、2,4-ジクロロトルエン、2,4-ジブロモトルエン、2,4-ジヨードトルエン、3,5-ジクロロトルエン、3,5-ジブロモトルエン、3,5-ジヨードトルエン、2,6-ジクロロトルエン、2,6-ジブロモトルエン、2,6-ジヨードトルエン、2,4-ジクロロベンゾトリフルオライド、2,4-ジブロモベンゾトリフルオライド、2,4-ジヨードベンゾトリフルオライド、3,5-ジクロロベンゾトリフルオライド、3,5-ジブロモトリフルオライド、3,5-ジヨードベンゾトリフルオライド、1,3-ジブロモ-2,4,5.6-テトラフルオロベンゼン
中でも、m-ジクロロベンゼン、2,4-ジクロロトルエン、3,5-ジクロロトルエン、2,4-ジクロロベンゾトリフルオライドが好ましい。
【0071】
(3)分岐構造形成剤(C)
分岐構造形成剤(C)としては、例えば、下記一般式(1a’)、下記一般式(2a’)、下記一般式(3a’)、下記一般式(1b’)および下記一般式(2b’)で表される化合物(以下、順に、「分岐構造形成剤(1a’)」、「分岐構造形成剤(2a’)」、「分岐構造形成剤(3a’)」、「分岐構造形成剤(1b’)」、「分岐構造形成剤(2b’)」という)からなる群から選ばれる少なくとも1種の分岐構造形成剤を用いることができる。
【0072】
【化46】
…(1a’)
(式中、Aは式(1a)に関して定義したとおりであり、Rは独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基である。ただし、全Rのうち少なくとも3個は、同一または異なり、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)
以下、一般式(1a’)等において、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基などが挙げられる。フルオロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ペンタフルオルエチル基などが挙げられる。
【0073】
【化47】
…(2a’)
(式中、Aは独立に式(1a)に関して定義したとおりであり、Rは独立に式(1a’)に関して定義したとおりである。)
【0074】
【化48】
…(3a’)
(式中、Aは独立に式(1a)に関して定義したとおりであり、Bは独立に式(3a)に関して定義したとおりであり、Rは独立に式(1a’)に関して定義したとおりである。nは2以上、好ましくは2〜100、特に好ましくは2〜80の整数である。)
【0075】
【化49】
…(1b’)
(式中、Rは独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基である。ただし、全Rのうち少なくとも3個は、同一または異なり、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)
【0076】
【化50】
…(2b’)
(式中、Rは独立に式(1b’)に関して定義したとおりである。)
以下、一般式(1b’)等において、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基などが挙げられる。フルオロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ペンタフルオルエチル基などが挙げられる。
【0077】
「分岐構造形成剤(1a’)」としては、例えば、次のものを挙げることができる。
【0078】
【化51】
【0079】
「分岐構造形成剤(2a’)」としては、例えば、次のものを挙げることができる。
【0080】
【化52】
【0081】
「分岐構造形成剤(3a’)」としては、例えば、次のものを挙げることができる。
【0082】
【化53】
【0083】
「分岐構造形成剤(1b’)」としては、例えば、1,3,5-トリクロロベンゼン、1,3,5-トリブロモベンゼンを挙げることができる。
「分岐構造形成剤(2b’)」としては、例えば、3,5,4'-トリクロロビフェニル、3,5,4'-トリブロモビフェニル、3,5,3',5'-テトラクロロビフェニル、3,5,3',5'-テトラブロモビフェニルを挙げることができる。
【0084】
これら分岐構造形成剤(C)の配合量は、採用するモノマー(A),モノマー(B)の種類等によってことなるが、共重合させるモノマー(A)およびモノマー(B)の合計量に対して、0.01〜5モル%、好ましくは0.1〜5モル%、より好ましくは0.1〜3モル%用いる。5モル%以上では、分岐構造が密になって架橋構造体となり、溶剤に不溶な共重合体部が生じてしまったり、分岐鎖が短すぎて共重合体溶液の低粘度化効果が得られなかったりする。一方、0.01モル%以下では、分岐が少なすぎて共重合体溶液の低粘度化効果が得られない。
また、分岐構造形成剤(C)が有するハロゲンの数については、上記分岐構造形成剤(1a’)〜(2b’)の構造にもよるが、3〜6個、好ましくは、3〜4個、特に好ましくは3個である。前記ハロゲン数が3個より多いと、場合により、分岐構造が密になって架橋構造体となってしまい、溶剤に不溶な共重合体部が生じてしまう可能性が高くなる。
【0085】
(4)分子量調節剤(D)
上記モノマー(A)、モノマー(B)および分岐構造形成剤(C)のほかに、必要に応じ、分子量調節剤(D)を共重合反応系に少量共存させることができる。
この分子量調節剤(D)は、特に、上記モノマー(A)およびモノマー(B)により形成される分岐状ポリアリーレン系共重合体の分子量が高くなりすぎて、結果として、溶剤不溶部が生じるような場合に、その高分子量化を抑制して分子量を適切に調節(低減化)する目的で用いられるが、上記モノマー(A)、モノマー(B)および分岐構造形成剤(C)の配合比や重合添加率などの共重合条件等によっては、使用する必要がない場合もあるので、あくまでも任意に用いられるものである。
【0086】
この分子量調節剤としては、特に限定されないが、ハロゲン(フッ素を除く)を1個有する単官能低分子量化合物が用いられる。好ましくは、反応性の観点からモノハロゲン化芳香族系化合物が望ましい。
該モノハロゲン化芳香族系化合物としては、例えば、4-クロロベンゾフェノン、4-クロロベンズアニリド、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、4-ブロモベンゾフェノン、4-ブロモベンズアニリド、4-クロロ安息香酸フェニル、4-ブロモ安息香酸フェニル、安息香酸4-クロロフェニル、安息香酸4-ブロモフェニル、[1-(4-クロロフェニル)-3-フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4-クロロジフェニルスルホン、4-ブロモジフェニルスルホン、(4-クロロフェニル)ジフェニルフルオロメタンなどを挙げることができるが、中でも、4-クロロベンゾフェノンが望ましい。
分子量調節剤(D)を用いる場合、その使用量は、モノマー(A)、モノマー(B)、分岐構造形成剤(C)および分子量調節剤(D)のハロゲン(フッ素を除く)官能度の加重平均が1.7〜2.0、好ましくは1.9〜2.0になる量である。
【0087】
[分岐状ポリアリーレン共重合体の製造]
本発明の分岐状ポリアリーレン系共重合体は、分岐構造形成剤(C)(および、必要により上記分子量調節剤(D))の存在下で、上記モノマー(A)および上記モノマー(B)のカップリング反応により共重合させて合成することができる。
【0088】
本発明の分岐状ポリアリーレン系共重合体を製造する際に使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(1)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、配位子成分という)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物、塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などが挙げられる。これらのうち特に、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
また、配位子成分としては、トリフェニルホスフィン、2,2'-ビピリジン、1,5-シクロオクタジエン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが挙げられるが、トリフェニルホスフィン、2,2'-ビピリジンが好ましい。上記配位子成分である化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
【0089】
さらに、あらかじめ配位子が配位された遷移金属錯体としては、例えば、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、硝酸ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'-ビピリジン)、臭化ニッケル(2,2'-ビピリジン)、ヨウ化ニッケル(2,2'-ビピリジン)、硝酸ニッケル(2,2'-ビピリジン)、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられるが、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'-ビピリジン)が好ましい。
上記触媒系に使用することができる上記還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどを挙げることできるが、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、有機酸などの酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。
【0090】
また、触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物、フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられるが、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
【0091】
触媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩または遷移金属錯体が、上記各成分の総計1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満では、重合反応が十分に進行せず、一方、10モルを超えると、分子量が低下するという問題がある。
触媒系において、遷移金属塩および配位子成分を用いる場合、この配位子成分の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不十分となり、一方、100モルを超えると、分子量が低下するという問題がある。
【0092】
また、触媒系における還元剤の使用割合は、上記各成分の総計1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、重合が十分進行せず、一方、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になるという問題がある。
さらに、触媒系に「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記各成分の総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満では、重合速度を上げる効果が不十分であり、一方、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となるという問題がある。
【0093】
分岐状ポリアリーレン系共重合体の合成のため使用することのできる重合溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、γ-ブチロラクタムなどが挙げられ、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドンが好ましい。これらの重合溶媒は、十分に乾燥してから用いることが好ましい。
重合溶媒中における上記各成分の総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜40重量%である。
また、分岐状ポリアリーレン系共重合体を重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜120℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
【0094】
また、このようにして得られるスルホン化分岐状ポリアリーレン系共重合体の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、10×103〜2,000×103、好ましくは20×103〜1,500×103である。10×103未満では、成形フィルムにクラックが発生するなど、成膜性が不十分であり、また強度的性質にも問題がある。一方、2,000×103を超えると、溶解性が不十分となり、加工性が不良になるなどの問題がある。
【0095】
[スルホン化分岐状ポリアリーレン共重合体の製造]
上述した製法により得られた分岐状ポリアリーレン共重合体に、スルホン化剤を用い、常法によりスルホン酸基を導入することによりスルホン化分岐状ポリアリーレン共重合体とすることができる。
スルホン酸基を導入するには、例えば、上記分岐状共重合体を、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、硫酸、亜硫酸水素ナトリウムなどの公知のスルホン化剤を用いて、無溶剤下、あるいは溶剤存在下で、公知の条件でスルホン化することができる。
【0096】
溶剤としては、例えばn-ヘキサンなどの炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのような非プロトン系極性溶剤のほか、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。反応温度は特に制限はないが、通常、-50〜200℃、好ましくは-10〜100℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜1,000時間、好ましくは1〜200時間である。
【0097】
このようにして得られる、本発明のスルホン酸基含有分岐状共重合体中の、スルホン酸基量は、0.5〜3mg当量/g、好ましくは0.8〜2.8mg当量/gである。0.5mg当量/gでは、プロトン伝導性が上がらず、一方3mg当量/gを超えると、親水性が向上し、水溶性ポリマーとなってしまうか、また水溶性に至らずとも耐久性が低下する。
上記のスルホン酸基量は、モノマー(A)およびモノマー(B)の種類や他の成分との組合せを変えることにより、容易に調整することができる。
【0098】
[プロトン伝導膜の製造]
また、本発明のプロトン伝導膜は,上記分岐状スルホン化共重合体からなるが、上記分岐状スルホン化共重合体以外に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸等の有機酸、適量の水などを併用しても良い。
【0099】
本発明の伝導膜を製造するには、上記スルホン化共重合体を溶剤に溶解したのち、キャスティングによりフィルム状に成形するキャスティング法が採用される。
ここで、キャスティング法における溶剤としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン系極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤にはさらにメタノールなどのアルコール系溶剤が混合されていてもよい。
本発明で得られる伝導膜は、例えば一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに利用可能なプロトン伝導性の伝導膜に利用可能である。
【0100】
【実施例】
[合成例1](オリゴマーの合成)
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックをとりつけた1Lの三つ口のフラスコに、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)67.3g(0.20モル)、4,4'-ジクロロベンゾフェノン(4,4'-DCBP)53.5g(0.213モル)、炭酸カリウム71.9g(0.52モル)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)300mL、トルエン150mLをとり、オイルバス中、窒素雰囲気下で加熱し撹拌下130℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean-Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。反応温度を130℃から徐々に150℃まで上げた。その後、反応温度を徐々に150℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、150℃で10時間反応を続けた後、4,4-DCBP10.0g(0.040モル)を加え、さらに5時間反応した。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解した。これをメタノール4Lに再沈殿し、目的の化合物95g(収率85%)を得た。
【0101】
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は11,500、重量平均分子量は27,000であった。に示す。また、得られた重合体はTHF、NMP、DMAc、スルホランなどに可溶で、Tgは154℃、熱分解温度は529℃であった。
得られた重合体は式(II):
【0102】
【化54】
…(II)
で表される構造を有することが推定され、該構造と上記の数平均分子量とから、nの平均値は22.1と求められた。
【0103】
実施例1
2,5-ジクロロ-4'-(4-フェノキシ)フェノキシベンゾフェノン 70.87g(163mmol)、合成例1で得られたオリゴマー59.80g(5.2mmol)、2,4,4'-トリクロロベンゾフェノン 1.43g(5.0mmol)、4,4'-ジクロロベンゾフェノン 5.27g(21mmol)、4-クロロベンゾフェノン 1.30g(6.0mmol)、ヨウ化ナトリウム 3.90g(26mmol)、ビストリフェニルホスフィンニッケルジクロライド3.93g(6mmol)、トリフェニルホスフィン 21.0g(80mmol)、亜鉛 31.4g(480mmol)を還流冷却管、三方コックを取り付けた三口フラスコに入れ、70℃のオイルバスにつけ、窒素置換後、窒素雰囲気下にN-メチル-2-ピロリドン 320mLを加え、オイルバスの温度を80℃に上げて反応を開始した。5時間反応後、NMP200mLで希釈し、1:10塩酸/メタノール溶液に重合反応液を注ぎ、ポリマーを析出させ、洗浄、濾過、真空乾燥し、白色の粉末を得た。収量は、120.8gであった。また、GPC(THF溶媒)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は 122,000であった。
【0104】
上記のようにして得られたポリマー 50gに対し、濃硫酸 500mLを加え室温で24時間、攪拌しスルホン化反応を行った。反応後、大量の純水中に注ぎ、スルホン化ポリマーを析出させた。中性近くになるまでポリマーの水洗浄を続け、濾過によりスルホン化ポリマーを回収し、90℃で真空乾燥した。スルホン化ポリマーの収量は 58.7gであった。スルホン化ポリマーのスルホン化当量は2.0mg当量/gであった。さらに得られたポリマースルホン化ポリマー 30gを用い、NMPとメタノール混合溶媒(50/50:容積比)の15%溶液を調製した。溶液粘度は 2,100 mPa・secであった。ポリマー溶液をドクターブレードを用いてキャストし、100℃、30分、150℃1時間で塗膜を乾燥し、乾燥膜厚60μmの膜を調製した。塗膜表面はべとつかず乾燥しており、表面均質な膜が得られた。
【0105】
実施例2
実施例1の仕込みモノマー組成を、2,5-ジクロロ-4'-(4-フェノキシ)フェノキシベンゾフェノン 81.84g(184mmol)、合成例1で得たオリゴマー 80.50g(5.2mmol)、2,4,4'-トリクロロベンゾフェノン 0.57g(2.0mmol)、4-クロロベンゾフェノン 0.65g(3.0mmol)、に変更し、また反応に用いるNMPの量を360mLに変え、同様に反応を行った。得られたポリマーの収量は 144.9gであった。また、重量平均分子量は、137,000であった。
【0106】
実施例1と同様に得られたポリマー50gを用いスルホン化を行い、57.7gのスルホン化ポリマーを得た。スルホン化ポリマーのスルホン化当量は2.1mg当量/gであった。得られたポリマースルホン化ポリマー30gを用い、NMPとメタノール混合溶媒(50/50:容積比)の15%溶液を調製した。溶液粘度は 2,400 mPa・secであった。溶液から、ドクターブレードを用いてキャストし、100℃、30分、150℃1時間で塗膜を乾燥した。塗膜表面はべとつかず乾燥しており、表面表面均質な膜が得られた。
【0107】
実施例3
実施例1の仕込みモノマー組成を、2,5-ジクロロ-4'-(4-フェノキシ)フェノキシベンゾフェノン43.53g(100 mmol)、2,2-ビス(4-{4-(4-クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン 70.43g(92 mmol)、2,4,4'-トリクロロベンゾフェノン 0.86g(3.0 mmol)、4-クロロベンゾフェノン 1.08g(5.0 mmol)、に変更し、また反応に用いるNMPの量を260mLに変え、同様に反応を行った。得られたポリマーの収量は 99.3gであった。また、重量平均分子量は、142,000であった。
【0108】
実施例1と同様にポリマー50gを用いスルホン化を行い、58.4gのスルホン化ポリマーを得た。スルホン化ポリマーのスルホン化当量は2.0mg当量/gであった得られたポリマースルホン化ポリマー30gを用い、NMPとメタノール混合溶媒(50/50:容積比)の15%溶液を調製した。溶液粘度は 2,700 mPa・secであった。溶液から、ドクターブレードを用いてキャストし、100℃、30分、150℃1時間で塗膜を乾燥した。塗膜表面はべとつかず乾燥しており、表面均質な膜が得られた。
【0109】
実施例4
実施例1の仕込みモノマー組成を、2,5-ジクロロ-4-フェノキシベンゾフェノン 61.08g(178 mmol)、2,4,4'-トリクロロベンゾフェノン 0.57g(2.0 mmol)、4,4'-ジクロロベンゾフェノン 4.02g(16 mmol)、4-クロロベンゾフェノン 0.87g(4.0 mmol)、に代え、また反応に用いるNMPの量を250mLに変え、同様に反応を行った。得られたポリマーの収量は51.2gであった。また、重量平均分子量は、146,000であった。
【0110】
実施例1と同様にポリマー50gを用いスルホン化を行い、61.7gのスルホン化ポリマーを得た。スルホン化ポリマーのスルホン化当量は2.4mg当量/gであった。得られたポリマースルホン化ポリマー30gを用い、NMPとメタノール混合溶媒(50/50:容積比)の15%溶液を調製した。溶液粘度は 2,800 mPa・secであった。溶液から、ドクターブレードを用いてキャストし、100℃、30分、150℃1時間で塗膜を乾燥した。塗膜表面はべとつかず乾燥し、表面表面が乾燥し、均質な膜が得られた。
【0111】
比較例1
実施例1で用いた2,4,4'-トリクロロベンゾフェノンを使用せずに、同様に重合、スルホン化を行った。スルホン化前のポリアリーレンの重量平均分子量は、120,000であった。NMP/メタノール:50/50(容積比)を溶媒に用い、スルホン化ポリマー 15%の溶液を調製した。スルホン化ポリマーのスルホン化当量は2.0mg当量/gであった。溶液粘度は、3,500 mPa・secであった。同様にドクタブレードで塗膜を作成し、乾燥を行った。実施例1と同一の乾燥条件では、塗膜表面は十分に乾燥していなかった。
【0112】
比較例2
実施例2で用いた2,4,4'-トリクロロベンゾフェノンを使用せずに、同様に重合、スルホン化を行った。スルホン化前のポリアリーレンの重量平均分子量は、129,000であった。スルホン化ポリマーのスルホン化当量は2.1mg当量/ggであったNMP/メタノール:50/50(容積比)を溶媒に用い、スルホン化ポリマー15%の溶液を調製した。溶液粘度は、2,800 mPa・secであった。実施例2と同様にドクタブレードで塗膜を作成し、乾燥を行った。塗膜表面にはスジムラが現れ、また十分に乾燥していなかった。
【0113】
比較例3
実施例3で用いた2,4,4'-トリクロロベンゾフェノンを使用せずに、同様に重合、スルホン化を行った。スルホン化前のポリアリーレンの重量平均分子量は、124,000であった。スルホン化ポリマーのスルホン化当量は2.0mg当量/gであった。スルホン化前のポリアリーレンの重量平均分子量は、139,000であった。NMP/メタノール:50/50(容積比)を溶媒に用い、スルホン化ポリマー15%の溶液を調製した。溶液粘度は、3,700 mPa・secであった。実施例3と同様にドクタブレードで塗膜を作成し、乾燥を行った。塗膜表面はべとついており十分に乾燥していなかった。
【0114】
比較例4
実施例4で用いた2,4,4'-トリクロロベンゾフェノンを使用せずに、同様に重合、スルホン化を行った。スルホン化前のポリアリーレンの重量平均分子量は、134,000であった。スルホン化ポリマーのスルホン化当量は2.4mg当量/gであったNMP/メタノール:50/50(容積比)を溶媒に用い、スルホン化ポリマー15%の溶液を調製した。溶液粘度は、4,200 mPa・secであった。同様にドクタブレードで塗膜を作成し、乾燥を行った。実施例4と同一の乾燥条件では、塗膜表面は十分に乾燥していなかった。また表面にスジムラが現れていた。
【0115】
【発明の効果】
本発明により得られた分岐状ポリアリーレン系共重合体は、主鎖中に屈曲性構造を有するために靭性が高く、スルホン化しても靭性および耐熱水性が低下しにくいものであるが、さらに、スルホン化されたのち、そのスルホン化分岐状ポリアリーレン共重合体を溶剤に溶解するに際して、キャスティング法により成膜してプロトン伝導膜を得る成膜工程において、泡抜けや乾燥時間の問題が解消され、スジムラのないフィルムを得ることができるとの特徴を有する。
そして、本発明で得られるプロトン伝導膜は、一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などの伝導膜として利用可能であり、その工業的意義は極めて大である。
Claims (9)
- (I)下記一般式(1a)で表される化合物、下記一般式(2a)で表される化合物および下記一般式(3a)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の、フッ素以外のハロゲン原子を2個有するモノマー(A)と、
(II)下記一般式(1b)で表される化合物、下記一般式(2b)で表される化合物、下記一般式(3b)で表される化合物および下記一般式(4b)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の、フッ素以外のハロゲン原子を2個有するモノマー(B)とを、
カップリング反応により共重合させるに際して、
(III)下記一般式(1a’)で表される化合物、下記一般式(2a’)で表される化合物、下記一般式(3a’)で表される化合物、下記一般式(1b’)で表される化合物および下記一般式(2b’)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の、フッ素以外のハロゲン原子を3個以上有する分岐構造形成剤(C)を共存させて、
上記共重合を行うことを特徴とする分岐状ポリアリーレン系共重合体の製造方法。
- 前記モノマー(A)および前記モノマー(B)の合計量に対して、前記分岐構造形成剤(C)を0.01〜5モル%用いて共重合を行うことを特徴とする請求項1記載の分岐状ポリアリーレン系共重合体の製造方法。
- 前記化合物が、2,4,4'-トリクロロベンゾフェノンであることを特徴とする請求項3記載の分岐状ポリアリーレン系共重合体の製造方法。
- さらに、分子量調節剤(D)を共存させて共重合を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の分岐状ポリアリーレン系共重合体の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項記載の方法で製造された分岐状ポリアリーレン系共重合体をスルホン化剤を用いてスルホン化することを特徴とする分岐状スルホン化ポリアリーレン系共重合体の製造方法。
- 請求項6記載の製造方法で得られた分岐状スルホン化ポリアリーレン系共重合体。
- スルホン酸基を0.5〜3.0ミリグラム当量/g含有することを特徴とする請求項7記載の分岐状スルホン化ポリアリーレン系共重合体。
- 請求項7または8記載の分岐状スルホン化ポリアリーレン系共重合体からなるプロトン伝導膜。
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