JP4107090B2 - ハロゲン化芳香族化合物、該化合物の(共)重合体、および該(共)重合体からなるプロトン伝導膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なハロゲン化芳香族化合物、それをモノマー成分として重合したポリアリーレン系(共)重合体、及び該(共)重合体のスルホン化物からなるプロトン伝導膜に関する。プロトン伝導膜は、一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに有用であることが知られている。
【0002】
【従来の技術】
電解質は、通常、(水)溶液で用いられることが多い。しかし、近年、これを固体系に置き替えていく傾向が高まってきている。その第1の理由としては、例えば、上記の電気・電子材料に応用する場合のプロセッシングの容易さであり、第2の理由としては、軽薄短小・省電力化への移行である。
従来、プロトン伝導性材料としては、無機物からなるもの、有機物からなるものの両方が知られている。無機物の例としては、例えば水和化合物であるリン酸ウラニルが挙げられるが、これら無機化合物は界面での接触が十分でなく、伝導層を基板あるいは電極上に形成するには問題が多い。
【0003】
一方、有機化合物の例としては、いわゆる陽イオン交換樹脂に属するポリマー、例えばポリスチレンスルホン酸などのビニル系ポリマーのスルホン化物、ナフィオン(デュポン社製)を代表とするパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー、パーフルオロアルキルカルボン酸ポリマーや、ポリベンズイミダゾールやポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子にスルホン酸基やリン酸基を導入したポリマー〔Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.7,p.2490〜2492(1993)、Polymer Preprints,Japan,Polymer Preprints,Japan,Polymer Preprints,Japan,Polymer Preprints,Japan,Vol.43,No.3,p.735〜736(1994)、Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.3,p.730(1993)〕などの有機系ポリマーが挙げられる。
【0004】
これら有機系ポリマーは、通常、フィルム状で用いられるが、溶媒に可溶性であること、または熱可塑性であることを利用し、電極上に伝導膜を接合加工できる。しかしながら、これら有機系ポリマーの多くは、プロトン伝導性がまだ十分でないことに加え、耐久性や高温(100℃以上)でプロトン伝導性が低下してしまうこと、スルホン化により脆化し、機械的強度が低下すること、湿度条件下の依存性が大きいこと、あるいは電極との密着性が十分満足のいくものとはいえなかったり、含水ポリマー構造に起因する稼働中の過度の膨潤による強度の低下や形状の崩壊に至るという問題がある。したがって、これらの有機ポリマーは、上記の電気・電子材料などに応用するには種々問題がある。
【0005】
米国特許第5,403,675号明細書では、スルホン化された剛直ポリアリーレンからなる固体高分子電解質が提案されている。このポリマーは、フェニレン連鎖からなる芳香族化合物を重合して得られるポリマー(同明細書カラム9記載の構造)を主成分とし、これをスルホン化剤と反応させてスルホン酸基を導入している。しかしながら、スルホン酸基の導入量の増加によって、プロトン伝導度が向上するものの、同時に得られるスルホン化ポリマーの機械的性質、例えば破断伸び、耐折り曲げ性等の靭性や耐熱水性は著しく損なわれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、耐酸化性、耐熱水性や耐熱性、また、靭性等の機械的性質に優れ、また、スルホン化してもスルホン酸基の会合効率が高いため、スルホン酸基の導入量が比較的少量でも効率的なプロトン伝導性を有するとともに、前記特性も低下しにくい(共)重合体、該(共)重合体をスルホン化して得られるスルホン酸基含有(共)重合体、及び該スルホン酸基含有(共)重合体からなる前記特性に優れ、効率的なプロトン伝導性を有するプロトン伝導膜を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第一に、(共)重合体にスルホン酸基を導入するのに有効なモノマーとして有用な化合物を、提供するもので、該化合物は、
一般式(1bm):
【0008】
【化6】
・・・(1bm)
[式中、Aは独立に電子吸引性の基であり、Bは独立に電子供与性の原子または2価の基であり、Xは独立に塩素原子、ヨウ素原子または臭素原子であり、Zはアリール基であり、R1〜R19は、同一または異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基であり、a、bはともに1以上の整数である。]
で表されるハロゲン化芳香族化合物を提供する。
該ハロゲン化芳香族化合物は、(共)重合体中において容易にスルホン化される構造をもたらし、(共)重合体の効率的スルホン化を向上させる。
【0009】
そこで、本発明は、第二に、一般式(1b):
【0010】
【化7】
・・・(1b)
[式中、A、B、Z、R1〜R19、aおよびbは一般式(1bm)において定義のとおりである]
で表される繰り返し単位を有するポリアリーレン系(共)重合体を提供する。
このポリアリーレン系(共)重合体は単独重合体でもよいし、他の繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。
すなわち、本発明は、第三に、一般式(1b)で表される繰り返し単位と、別の2価の芳香族基からなる繰り返し単位とを有するポリアリーレン系共重合体を提供する。
【0011】
本発明は、第四に、かかる共重合体の一種として、上記2価の芳香族基からなる繰り返し単位が、一般式(1a):
【0012】
【化8】
・・・(1a)
[式中、Aは独立に電子吸引性の基であり、Bは独立に電子供与性の原子又は2価の基であり、R20〜R27は、同一または異なり、水素原子、フッ素原子、アリル基またはフルオロ化アルキル基であり、nは0または1以上の整数である。)
で表される単位であることを特徴とするポリアリーレン系共重合体を提供する。
該共重合体は、屈曲性構造を有しているために靭性が向上したものである。
そこで、本発明は、第五に、更にスルホン酸基を有する上記の(共)重合体を提供する。
このスルホン酸基含有(共)重合体は、プロトン伝導膜の材料として有用である。
そこで、本発明は、第六に、上記スルホン酸基含有(共)重合体からなるプロトン伝導膜を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
[ハロゲン化芳香族化合物]
一般式(1bm)で表されるハロゲン化芳香族化合物(以下、「モノマーB」という)は、これをモノマー単位として含む(共)重合体において長側鎖構造を形成するものである。そして、前記(共)重合体をスルホン化すると結合したスルホン酸基のプロトン会合効率が向上する結果、従来公知のスルホン化(共)重合体のプロトン伝導度を比較的低いスルホン酸基当量で発現させることができる。その結果、スルホン化に伴う耐熱水性、靭性、耐酸化性等の物性の低下を抑制し改善することが可能となる。
【0014】
以下、一般式(1bm)について説明する。
Xとしては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
Aは、電子吸引性の基であり、>CO、−CONH−、−(CF2)p−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−、−COO−、−SO−、−SO2−などが挙げられる。なお、電子吸引性の基とは、ハメット(Hammett)置換基常数がフェニル基のm位の場合、0.06以上、p位の場合、0.01以上の値となる基をいう。
【0015】
Bは、電子供与性の基又は原子であり、例えば、−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、
【0016】
【化9】
【0017】
【化10】
などが挙げられる。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基などが、フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが挙げられる。
a、bはともに1以上、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5の整数である。
【0018】
本発明のモノマー(B)としては、例えば、下記式で表される化合物をあげることができる。
【0019】
【化11】
【0020】
【化12】
【0021】
【化13】
【0022】
【化14】
その他の例としては、
【0023】
【化15】
【0024】
【化16】
【0025】
【化17】
【0026】
【化18】
【0027】
【化19】
【0028】
【化20】
【0029】
【化21】
【0030】
【化22】
などが挙げられる。
【0031】
これらの中でも、2,5-ジクロロ-4'-[4-{4-(4-フェノキシ)フェノキシ}ベンゾイル]フェノキシベンゾフェノンが、得られる(共)重合体のスルホン化物に高プロトン伝導性を発現し、耐熱水性、機械的強度および酸化耐性が(共)重合体をスルホン化した後も低下しないので、特に好ましい。
【0032】
モノマー(B)は、例えば、次のような反応により、合成することができる。
上記合成は、下記A)、B)およびC)の3段階から成っている。
A)フリーデルクラフト反応で、塩化アルミニウムなどのルイス酸存在下に、2,5-ジクロロ安息香酸を過剰のジフェニルエーテルと反応させる。
B)A)で得られた2,5-ジクロロ-(4'-フェノキシ)ベンゾフェノンに、フリーデルクラフト反応で、4-フロロ安息香酸クロリドを反応させる。
C)B)で得られた化合物のF(フッ素)と4-ヒドロキシジフェニルエーテルとを、求核置換反応により反応させる。
該反応を図式的に記載すると次のとおりである。
【0033】
【化23】
上記一般式(1bm)において、b=2である化合物の場合は、上記C)の反応段階で、4-ヒドロキシジフェニルエーテルの代わりに、
【0034】
【化24】
の化合物を使用する。また、b>2の場合には、
【0035】
【化25】
の化合物を使用すればよい。
ここで反応させる化合物は、下記の求核置換反応により得られる。
【0036】
【化26】
さらに、
【0037】
【化27】
の化合物と求核置換反応・加水分解を繰り返すことによって、任意にベンゼン環の数を増やすことができる。
上記一般式(1bm)において、a=2である化合物の場合は、上記A)の反応段階で、ジフェニルエーテルの代わりに、
【0038】
【化28】
の化合物を使用する。
ここでは、A=-O-、およびB=>COの場合を例に説明したが、A,Bがそれぞれ異なる電子吸引性基,電子供与性基の場合でも、上記と同様の反応段階により合成することができる。
このようにして得られる本発明のモノマー(B)は、IR、NMR、元素分析などにより、それらの構造を確認することができる。
【0039】
本発明で使用できる一般式(1bm)で示されるハロゲン化芳香族化合物は、a,b=1または2で示される単量体のほか、aおよび/またはbが2よりも多い単量体、オリゴマーないしポリマーも使用できる。
得られたオリゴマー、ポリマーの分子量はGPC、また、オリゴマーであれば、NMRから数平均分子量を求めることができる。
具体的なオリゴマー、またはポリマーの構造としては以下のものを挙げることができる。
【0040】
【化29】
【0041】
【化30】
【0042】
【化31】
【0043】
【化32】
【0044】
【化33】
【0045】
【化34】
【0046】
【化35】
【0047】
【化36】
【0048】
【化37】
【0049】
【化38】
【0050】
【化39】
【0051】
【化40】
【0052】
[ポリアリーレン系(共)重合体]
本発明の(共)重合体は、上記一般式(1b)で表される繰り返し単位(以下、繰返し単位(B)という)のみから構成される単独重合体でもよいし、繰返し単位(B)と他の繰返し単位とから構成される共重合体でもよい。いずれの場合でも、(共)重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」という)は1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
なお、例えば、単量体として下記式(3):
【0053】
【化41】
を用いて得られた(共)重合体をスルホン化したスルホン化ポリマーと、本件発明の繰り返し単位(B)を有する(共)重合体をスルホン化したスルホン化ポリマーとを比較すると、導入されたスルホン酸基当量が同等であっても、本件発明に係るスルホン化ポリマーのほうが、より分子運動性の高い側鎖に導入されたスルホン酸基の局在化のためにプロトン伝導度が高い。
【0054】
該(共)重合体が他の繰返し単位を有する場合には、繰返し単位(1b)の含有量は、スルホン酸基活性がより向上する点で、5〜99.9モル%であることが好ましい。
本発明の(共)重合体が繰返し単位(B)以外の他の繰返し単位(以下「他の繰返し単位」ともいう)を有する場合、他の繰返し単位としては、ポリマーに求められる特性、機能等に応じて種々の単位を選択することができるが、靭性等の機械的性質が良好なプロトン伝導性を有する共重合体を得ようとする場合は、例えば、前記一般式(1a)で表される他の繰り返し単位(以下、総じて「単位(A)」という)が挙げられる。この繰返し単位(B)と単位(A)とを含む共重合体は、スルホン化してプロトン伝導膜材料として用い得ることができる。
【0055】
単位Aを構成するモノマー(以下、「モノマーA」という)として、好ましくは、下記一般式(1a−1m)、(1a−2m)および(1a−3m)で表されるものモノマー(以下、順に「モノマー(A1)」、「モノマー(A2)」、「モノマー(A3)」という)が挙げられる。
<モノマー(A1)>:
【0056】
【化42】
・・・(1a−1m)
(式中、Xは独立に塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子または−OSO2Y(ここで、Yはアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはアリール基を示す)であり、Aは一般式(1bm)について説明したとおりの電子吸引性の基であり、R20〜R27は、一般式(1a)に関して定義したとおりである。)
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基などが、フルオロ化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが挙げられる。
おなじく、−OSO2Y中のZとしては、アルキル基としてメチル基、エチル基などが、ハロゲン化アルキル基としてトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが、アリール基としてフェニル基、p-トリル基などが挙げられる。
【0057】
上記モノマー(A1)の具体例を次にしめす。
(A1-1) 4,4'-ジクロロベンゾフェノン、2,4'-ジクロロベンゾフェノン、3,3'-ジクロロベンゾフェノン、4,4'-ジブロモベンゾフェノン、2,4'-ジブロモベンゾフェノン、3,3'-ジブロモベンゾフェノン、4,4'-ジヨードベンゾフェノン、2,4'-ジヨードベンゾフェノン、3,3'-ジヨードベンゾフェノン、ビス(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ケトン、ビス(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ケトン
(A1-2) 4,4'-ジクロロベンズアニリド、3,3'-ジクロロベンズアニリド、3,4'-ジクロロベンズアニリド、4,4'-ジブロモベンズアニリド、3,3'-ジブロモベンズアニリド、3,4'-ジブロモベンズアニリド、4,4'-ジヨードベンズアニリド、3,3'-ジヨードベンズアニリド、3,4'-ジヨードベンズアニリド
【0058】
(A1-3) ビス(クロロフェニル)ジフルオロメタン、ビス(クロロフェニル)テトラフルオロエタン、ビス(クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(クロロフェニル)オクタフルオロブタン、ビス(クロロフェニル)デカフルオロペンタン、ビス(クロロフェニル)ドデカフルオロヘキサン、ビス(クロロフェニル)テトラデカフルオロヘプタン、ビス(クロロフェニル)ヘキサデカフルオロオクタン、ビス(クロロフェニル)オクタデカフルオロノナン、ビス(クロロフェニル)エイコサフルオロデカン;ビス(ブロモフェニル)ジフルオロメタン、ビス(ブロモフェニル)テトラフルオロエタン、ビス(ブロモフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(ブロモフェニル)オクタフルオロブタン、ビス(ブロモフェニル)デカフルオロペンタン、ビス(ブロモフェニル)ドデカフルオロヘキサン、ビス(ブロモフェニル)テトラデカフルオロヘプタン、ビス(ブロモフェニル)ヘキサデカフルオロオクタン、ビス(ブロモフェニル)オクタデカフルオロノナン、ビス(ブロモフェニル)エイコサフルオロデカン;ビス(ヨードフェニル)ジフルオロメタン、ビス(ヨードフェニル)テトラフルオロエタン、ビス(ヨードフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(ヨードフェニル)オクタフルオロブタン、ビス(ヨードフェニル)デカフルオロペンタン、ビス(ヨードフェニル)ドデカフルオロヘキサン、ビス(ヨードフェニル)テトラデカフルオロヘプタン、ビス(ヨードフェニル)ヘキサデカフルオロオクタン、ビス(ヨードフェニル)オクタデカフルオロノナン、ビス(ヨードフェニル)エイコサフルオロデカン
【0059】
(A1-4) 2,2-ビス(4-クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ブロモフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-ブロモフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ヨードフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-ヨードフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
(A1-5) 4-クロロ安息香酸-4-クロロフェニル、4-クロロ安息香酸-3-クロロフェニル、3-クロロ安息香酸-3-クロロフェニル、3-クロロ安息香酸-4-クロロフェニル、4-ブロモ安息香酸-4-ブロモフェニル、4-ブロモ安息香酸-3-ブロモフェニル、3-ブロモ安息香酸-3-ブロモフェニル、3-ブロモ安息香酸-4-ブロモフェニル
【0060】
(A1-6) ビス(4-クロロフェニル)スルホキシド、ビス(3-クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4-ブロモフェニル)スルホキシド、ビス(3-ブロモフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヨードフェニル)スルホキシド、ビス(3-ヨードフェニル)スルホキシド、ビス(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)スルホキシド
(A1-7) ビス(4-クロロフェニル)スルホン、ビス(3-クロロフェニル)スルホン、ビス(4-ブロモフェニル)スルホン、ビス(3-ブロモフェニル)スルホン、ビス(4-ヨードフェニル)スルホン、ビス(3-ヨードフェニル)スルホン、ビス(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)スルホン、ビス(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)スルホン
<モノマー(A2)>:
【0061】
【化43】
・・・(1a−2m)
(式中、X、R20〜R27は、式(1a−1m)で定義したとおりであり、Aは独立に式(1a−1m)で定義したとおりの電子吸引性の基であり、R20'〜R27'は、同一または異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基またはフルオロ化アルキル基である。)
上記一般式(1a−2m)中のアルキル基、フルオロ化アルキル基としては、一般式(1a−1m)についてのものと同様である。
【0062】
モノマー(A2)の具体例を次にしめす。
(A2-1) 4,4'-ビス(4-クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル
【0063】
(A2-2) 4,4'−ビス(4-クロロベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(4-クロロベンゾイルアミ)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-クロロベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-ブロモベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(4-ブロモベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-ブロモベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-ブロモベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-ヨードベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(4-ヨードベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-ヨードベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-ヨードベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(4-メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル
【0064】
(A2-3) 4,4'-ビス(4-クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'−ビス(4-クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-ブロモフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'−ビス(4-ブロモフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-ブロモフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-ブロモフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4-ビス(4-ヨードフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'−ビス(4-ヨードフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-ヨードフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-ヨードフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-メチルスルフォニロキシフェニスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(4-メチルスルフォニロキシフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス(3-メチルスルフォニロキシフェニスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4'-ビス(3-メチルスルフォニロキシフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル
(A2-4) 4,4'-ビス(4-クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、
【0065】
3,4'-ビス(4-クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'-ビス(3-クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4'-ビス(3-クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'-ビス(4-ブロモフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4'-ビス(4-ブロモフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'-ビス(3-ブロモフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4'-ビス(3-ブロモフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'-ビス(4-ヨードフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4'-ビス(4-ヨードフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'-ビス(3-ヨードフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4'-ビス(3-ヨードフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'-ビス(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4'-ビス(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'-ビス(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4'-ビス(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'-ビス(4-メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4'-ビス(4-メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'-ビス(3-メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4'-ビス(3-メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート
【0066】
(A2-5) 4,4'-ビス〔(4-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(4-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(3-クロロフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス[(4-ブロモフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(4-ブロモフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ブロモフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(3-ブロモフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ヨードフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(4-ヨードフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ヨードフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(3-ヨードフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-メチルスルフォニロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(4-メチルスルフォニロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-メチルスルフォニロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4'-ビス〔(3-メチルスルフォニロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル
【0067】
(A2-6) 4,4'-ビス〔(4-クロロフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4'ビス〔(3-クロロフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-クロロフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-クロロフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'ビス〔(4-クロロフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-クロロフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-クロロフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-クロロフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ブロモフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ブロモフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ブロモフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ブロモフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ブロモフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ブロモフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ブロモフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ブロモフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ヨードフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ヨードフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ヨードフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ヨードフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-ヨードフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ヨードフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'ビス〔(4-ヨードフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-ヨードフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、
【0068】
4,4'-ビス〔(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-トリフルオロメチルスルフォニロキシ)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-メチルスルフォニロキシフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-メチルスルフォニロキシフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-メチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-メチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-メチルスルフォニロキシフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-メチルスルフォニロキシフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(4-メチルスルフォニロキシフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4'-ビス〔(3-メチルスルフォニロキシ)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル
<モノマー(A3)>:
【0069】
【化44】
・・・(1a−3m)
(式中、Aは独立に式(1a−1m)で定義したとおりの電子吸引性の基であり、Bは独立に式(1bm)で説明したとおりの電子供与性の原子または2価の基であり、Xは独立に塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、R20〜R27は、一般式(1a)で定義したとおりであり、nは2以上、好ましくは2〜100、特に好ましくは2〜80の整数である。)
上記モノマー(A3)の具体例としては、例えば、2,2-ビス[4-{4-(4-クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ビス[4-{4-(4-クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]スルホン、および下記の化学式で示されるものが挙げられる。
【0070】
【化45】
[上記式中、Xは一般式(1a−3m)において定義したとおりである。]
本発明で使用できる上記モノマー(A3)としては、n=2で示される単量体の他、nが2よりも大きな「オリゴマー」ないし「ポリマー」も使用できる。
例として、分子末端に芳香族クロライドを有する構造のオリゴマーまたはポリマーの具体的構造式を挙げると下記のとおりである。
【0071】
【化46】
【0072】
【化47】
【0073】
【化48】
【0074】
モノマー(A3)は、例えば、電子供与性基が-O-の場合、電子吸引性基(A)で連結されたビスフェノールと、電子吸引性基で活性化されたフッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された芳香族ジハライド化合物、例えば、4,4'-ジフルオロベンゾフェノン、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、4,4'-クロロフルオロベンゾフェノン、ビス(4-クロロフェニル)スルホン、ビス(4-フルオロフェニル)スルホン、4-フルオロフェニル-4'-クロロフェニルスルホン、ビス(3-ニトロ-4-クロロフェニル)スルホン、2,6-ジクロロベンゾニトリル、2,6-ジフルオロベンゾニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、デカフルオロビフェニル、2,5-ジフルオロベンゾフェノン、1,3-ビス(4-クロロベンゾイル)ベンゼンなどを反応させて合成することができる。好ましくは、活性芳香族ジハライドとして反応性の異なるハロゲン原子を一個づつ有するクロロフルオロ体を用いることであり、下記反応のように、フッ素原子が優先してフェノキシドと求核置換反応が起きるので、目的の活性化された末端クロロ体を得るのに好都合である。
【0075】
【化49】
【0076】
[ポリアリーレン系(共)重合体の合成]
本発明のポリアリーレン系単独重合体は、上記モノマー(B)のカップリング重合により、また、ポリアリーレン系共重合体は、上記モノマー(B)と上記モノマー(A)とのカップリング重合により合成することができる。
本発明のポリアリーレン系(共)重合体を製造する際に使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(1)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、配位子成分という)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
【0077】
ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物、塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などが挙げられる。これらのうち特に、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
また、配位子成分としては、トリフェニルホスフィン、2,2'-ビピリジン、1,5-シクロオクタジエン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが挙げられるが、トリフェニルホスフィン、2,2'-ビピリジンが好ましい。上記配位子成分である化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
【0078】
さらに、あらかじめ配位子が配位された遷移金属錯体としては、例えば、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、硝酸ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'-ビピリジン)、臭化ニッケル(2,2'-ビピリジン)、ヨウ化ニッケル(2,2'-ビピリジン)、硝酸ニッケル(2,2'-ビピリジン)、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられるが、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'-ビピリジン)が好ましい。
上記触媒系に使用することができる上記還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどを挙げることできるが、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、有機酸などの酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。
【0079】
また、触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物、フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられるが、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
触媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩または遷移金属錯体が、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満では、重合反応が十分に進行せず、一方、10モルを超えると、分子量が低下するという問題がある。
【0080】
触媒系において、遷移金属塩および配位子成分を用いる場合、この配位子成分の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不十分となり、一方、100モルを超えると、分子量が低下するという問題がある。
また、触媒系における還元剤の使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、重合が十分進行せず、一方、100モルを超えると、得られる(共)重合体の精製が困難になるという問題がある。
【0081】
さらに、触媒系に「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満では、重合速度を上げる効果が不十分であり、一方、100モルを超えると、得られる(共)重合体の精製が困難となるという問題がある。
ポリアリーレン系(共)重合体の合成のため使用することのできる重合溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、γ-ブチロラクタムなどが挙げられ、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドンが好ましい。これらの重合溶媒は、十分に乾燥してから用いることが好ましい。
【0082】
重合溶媒中における上記モノマーの総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜40重量%である。
また、ポリアリーレン系(共)重合体を重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜120℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
ここで、例えば、モノマー(A3)とモノマー(B)を用いて上記の条件で重合させることにより、一般式:
【0083】
【化50】
(ここで、A,B,Z,R1〜R27,a,b及びnは上述のとおりであり、p及びqは独立にそれぞれの繰返し単位の数を示し、p/qの比(即ち、上記二つの繰返し単位のモル比)は5/95〜99.9/0.1、好ましくは5/95〜99/1である。)
で表される共重合体が得られる。
【0084】
ポリアリーレン系(共)重合体の構造は、例えば、赤外線吸収スペクトルによって、1,230〜1,250cm-1のC−O−C吸収、1,640〜1,660cm-1のC=O吸収などにより確認でき、また、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)により、6.8〜8.0ppmの芳香族プロトンのピークから、その構造を確認することができる。
【0085】
[ポリアリーレン系(共)重合体のスルホン化]
次に、スルホン酸基を有する(共)重合体は、スルホン酸基を有しない上記(共)重合体に、スルホン化剤を用い、常法によりスルホン酸基を導入することにより得ることができる。
スルホン酸基を導入する方法としては、例えば、上記スルホン酸基を有しない(共)重合体を、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、硫酸、亜硫酸水素ナトリウムなどの公知のスルホン化剤を用いて、無溶剤下、あるいは溶剤存在下で、公知の条件でスルホン化することができる。
【0086】
溶剤としては、例えばn-ヘキサンなどの炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのような非プロトン系極性溶剤のほか、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。反応温度は特に制限はないが、通常、-50〜200℃、好ましくは-10〜100℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜1,000時間、好ましくは1〜200時間である。
このようにして得られる、本発明のスルホン酸基含有(共)重合体中の、スルホン酸基量は、0.5〜3meq/g、好ましくは0.8〜2.8 meq/gである。0.5meq/g未満では、プロトン伝導性が上がらず、一方3meq/gを超えると、親水性が向上し、水溶性ポリマーとなってしまうか、また水溶性に至らずとも耐久性が低下する。
【0087】
上記のスルホン酸基量は、モノマー(B)の種類により、また、(共)重合体の場合は、モノマー(A)およびモノマー(B)の種類、組合せを変えることにより、容易に調整することができる。
また、このようにして得られるスルホン酸基含有ポリアリーレン系(共)重合体のスルホン化前の前駆体のポリマーの分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、10×103〜1,000×103、好ましくは20×103〜800×103である。10×103未満では、成形フィルムにクラックが発生するなど、塗膜性が不十分であり、また強度的性質にも問題がある。一方、1,000×103を超えると、溶解性が不十分となり、また溶液粘度が高く、加工性が不良になるなどの問題がある。
【0088】
なお、スルホン酸基含有ポリアリーレン系(共)重合体の構造は、赤外線吸収スペクトルによって、1,030〜1,045cm-1、1,160〜1,190cm-1のS=O吸収、1,130〜1,250cm-1のC−O−C吸収、1,640〜1,660cm-1のC=O吸収などにより確認でき、これらの組成比は、スルホン酸の中和滴定や、元素分析により知ることができる。また、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)により、6.8〜8.0ppmの芳香族プロトンのピークから、その構造を確認することができる。
【0089】
[プロトン伝導膜]
また、本発明のプロトン伝導膜は,上記スルホン酸基含有(共)重合体からなるが、上記スルホン酸基含有(共)重合体以外に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸等の有機酸、適量の水などを併用しても良い。
本発明の伝導膜を製造するには、例えば本発明のスルホン酸基含有(共)重合体を溶剤に溶解したのち、キャスティングによりフィルム状に成形するキャスティング法や、溶融成形法などが挙げられる。
ここで、キャスティング法における溶剤としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン系極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤にはさらにメタノールなどのアルコール系溶剤が混合されていてもよい。
本発明の伝導膜は、例えば一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに利用可能なプロトン伝導性の伝導膜に利用可能である。
【0090】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の各種の測定項目に係る評価については、次のとおりである。
【0091】
[重量平均分子量]
スルホン化前の前駆体ポリマーの重量平均分子量は、溶媒にテトラヒドロフラン(THF)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
[スルホン酸基の量]
得られたスルホン化ポリマーの水洗水がpH4〜6になるまで洗浄して、フリーの残存している酸を除去後、十分に水洗し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解し、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点から、スルホン酸基の量(meq/g)を求めた。
【0092】
[プロトン伝導度]
交流抵抗は、5mm幅の短冊状膜試料の表面に白金線(直径0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。85℃、相対湿度90%の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。
抵抗測定装置として(株)NF回路設計ブロック社製ケミカルインピーダンス測定システムを、恒温恒湿器には(株)ヤマト化学社製のJW241を使用した。白金線は5mm間隔に5本押し当てて極間距離を5〜20mmに変化させ交流抵抗を測定した。
極間距離と抵抗の勾配から下記式に従って膜の比抵抗を算出し、比抵抗の逆数から交流インピーダンス(プロトン伝導度[S/cm]=1/[Ω・cm])を算出した。比抵抗は、下式から算出した。
比抵抗R[Ω・cm]=0.5[cm]×膜厚[cm]×抵抗極間勾配[Ω/cm]
[引張強度特性]
厚さ50μmに製膜したスルホン化ポリマーの幅3mm×長さ65mm(チャック間距離25mm)の試験片を作成し、引張試験機を用い室温の弾性率、破断強度、降伏強度及び伸びを測定した。
【0093】
[耐熱水性]
95℃の熱水中にフィルムを浸漬し、浸漬後の重量保持率を90%以上を○、それ以下を×とした。
[フェントン試薬耐性]
3%過酸化水素、20ppmの硫酸第一鉄の40℃の水溶液中にフィルムサンプルを浸漬し、24時間後の経時変化を外観、重量変化から判断した。外観、および95%以上の重量残存率を示すものを○、外観、重量残存率のいずれか1つでも不充分なものは×とした。
[動的粘弾性の温度依存性]
フィルムサンプルを引っ張りモード(周波数11Hz)の動的粘弾性測定装置で、tanδピーク温度を測定し、ガラス転移に基づく主分散温度とした。
【0094】
−合成例−
[モノマー(A3)重合体の合成]
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックをとりつけた1Lの三つ口のフラスコに、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF) 67.3g(0.20モル)、4,4'-ジクロロベンゾフェノン(4,4'-DCBP) 60.3g(0.24モル)、炭酸カリウム71.9g(0.52モル)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)300mL、トルエン150mLをとり、オイルバス中、窒素雰囲気下で加熱し撹拌下130℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean-Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。反応温度を130℃から徐々に150℃まで上げた。その後、反応温度を徐々に150℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、150℃で10時間反応を続けた後、4,4'-DCBP 10.0g(0.040モル)を加え、さらに5時間反応した。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解した。これをメタノール4Lに再沈殿し、目的の化合物95.0g(収率86.3%)を得た。
得られた重合体(両末端クロロベンゾイル化[4,4'-ジクロロベンゾフェノン・2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン]縮合物)のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は12,200、重量平均分子量は26,800であった。また、得られた重合体はTHF、NMP、DMAc、スルホランなどに可溶で、Tgは110℃、熱分解温度は498℃であった。
得られた重合体は次式:
【0095】
【化51】
で表される構造を有することが推定され、該構造と上記の数平均分子量とから、nの平均値は、23.2と求められた。
【0096】
−実施例1−
<モノマー合成例>
(1)2,5-ジクロロ-4'-フェノキシベンゾフェノンの合成
滴下ロート、窒素導入菅、攪拌羽根、温度計をつけた1L三口フラスコに、ジフェニルエーテル 255g(1.50mol)および塩化アルミニウム 173g(1.30mol)を計りとり、乾燥窒素置換した。反応液を攪拌しながら10〜15℃に冷却し、2,5-ジクロロ安息香酸クロリド 210g(1.00mol)を滴下ロートから、ゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応液を室温に戻しながら、3時間攪拌を続けた。
反応液を300mLの濃塩酸を含む氷水3Lに注ぎ攪拌した。固形分を濾過し、水洗後、酢酸エチル1.8Lに溶解した。これを5%炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧下に溶媒と過剰のジフェニルエーテルを留去した。液状の残渣にメタノール650mLを加えて溶解させ、水を加えて結晶化させた。さらに酢酸エチル/n-ヘキサンで再結晶し、265g(収率77%)の目的物を得た。融点は、99〜100℃であった。
【0097】
(2)2,5-ジクロロ-4'-[4-(4-フルオロベンゾイル)フェノキシ]ベンゾフェノンの合成
滴下ロート、窒素導入菅、攪拌羽根、温度計をつけた1L三口フラスコに、2,5-ジクロロ-4'-フェノキシベンゾフェノン 172g(500mmol)および塩化アルミニウム 86.7g(650mmol)を計りとり、乾燥窒素置換した。ジクロロメタン320mLを加えた後、フラスコを氷浴につけ冷却し、4-フルオロ安息香酸クロリド 87.2g(550mmol)を滴下ロートから攪拌した反応液中に滴下した。滴下終了後、氷浴をはずし徐々に室温に戻した。
3時間反応後、反応液を400mLの濃塩酸を含む氷水3Lに注ぎ、しばらく攪拌した。ジクロロメタン500mLを加えて、生成物を抽出したのち、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、有機溶媒を減圧留去すると目的物の粗結晶221gが得られた。酢酸エチル500mLで再結晶し、目的物166g(収率71%)を得た。融点は、109〜111℃であった。
生成物のIRスペクトルを図1に、また、NMRスペクトルを図2に示す。
【0098】
(3)2,5-ジクロロ-4'-[4-{4-(4-フェノキシ)フェノキシ}ベンゾイル]フェノキシベンゾフェノンの合成
ディーンスターク菅、冷却菅、窒素導入菅、温度計、攪拌羽根を取り付けた1L三口フラスコに、4-フェノキシフェノール 38.0g(204mmol)、炭酸カリウム 36.7g(265mmol)、トルエン150mLおよびN,N-ジメチルアセトアミド300mLを計りとった。内容物を攪拌しながら130℃まで加熱還流し、生成する水をディーンスターク菅から除去した。水の生成が止まったところで徐々に温度をあげながら、トルエンを反応系から留去した。大部分のトルエンを除いた後、2,5-ジクロロ-4'-[4-(4-フルオロベンゾイル)フェノキシ]ベンゾフェノン 93.1g(200mmol)を加え、130℃で15時間反応した。
反応液を2.5Lの水に注ぎ、生成物を沈殿させた。沈殿を濾過して回収し、次に2.5Lのメタノールで洗浄後、真空乾燥して140gの粗生成物を得た。これをテトラヒドロフラン1Lに溶解し、メタノール4Lに再沈殿し目的物94.5g(収率75%)を得た。融点は、143〜144℃であった。生成物のIRスペクトルを図3に示す。IRスペクトルでは、1249cm-1(C-O-C)、1645cm-1(C=O)の吸収を示している。また、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドおよびテトラヒドロフランに可溶であり、メタノールおよび水に不溶であった。
生成物のNMRスペクトルを図4に示す。
【0099】
実施例2
(1)ベースポリマーの調製
撹拌羽根、温度計、冷却管をとりつけた500mL三口フラスコに、2,5-ジクロロ-4'-[4-{4-(4-フェノキシ)フェノキシ}ベンゾイル]フェノキシベンゾフェノン 12.3g(19.5mmol)、上記合成例で得られた両末端クロロベンゾイル化[4,4'-ジクロロベンゾフェノン・2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン]縮合物(数平均分子量:12,200)6.83g(0.560mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド 0.589g(0.900mmol)、ヨウ化ナトリウム 0.507g(3.38mmol)、トリフェニルホスフィン 2.73g(10.4mmol)、亜鉛 4.08g(62.4mmol)をとり、真空乾燥した。乾燥窒素置換後、N-メチルピロリドン54.6mLを加えて、80℃オイルバス中で撹拌し重合させた。
3時間後、10vol%の濃塩酸を含んだメタノール3Lに重合溶液を投入し、重合体を沈殿させた。重合体を取り出して乾燥した後、テトラヒドロフラン300mLに溶解し、不溶部をろ過した。得られた溶液をメタノール3Lに再沈殿し、目的の重合体16.2g(収率91.5%)を得た。この重合体のGPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量は41,800、重量平均分子量は115,000であった。得られた重合体のIRスペクトルを図5に示す。IRスペクトルでは、1245cm-1(C-O-C)、1654cm-1(C=O)の吸収を示している。また、N-メチルピロリドンおよびテトラヒドロフランに可溶であり、アセトン、メタノールおよび水に不溶であった。
【0100】
(2)スルホン化ポリマーの調製
(1)で得られた重合体 15gを濃硫酸150mLに加えて室温で24時間撹拌することによりスルホン化ポリマーの調製を行った。反応溶液を蒸留水5Lに投入し、スルホン化物を沈殿させた。沈殿物をミキサーによって粉砕し、さらに蒸留水5Lによる洗浄を洗浄液が中性になるまで繰り返した。生成物を熱風乾燥しスルホン化ポリマー 16gを得た。このもののイオン交換容量は 1.8meq/gであった。このスルホン化ポリマーのIRスペクトルを図6に示す。IRスペクトルでは、1159cm-1(S=O)、1243cm-1(C-O-C)、1652cm-1(C=O)の吸収を示している。また、N-メチルピロリドンおよびテトラヒドロフランに可溶であり、アセトン、メタノールおよび水に不溶であった。
(3)プロトン伝導膜の調製
(2)で得られたスルホン化ポリマーをNMP/メタノール(50/50(容積比))の混合溶媒に溶解させ、15wt%のポリマー溶液を調製し、ドクターブレードを用い製膜した。塗膜を100℃×30分、150℃×1時間乾燥した。得られたフィルムを水中に4時間浸漬させ、フィルム中に含まれる溶媒を抽出した。抽出後、表面の水を拭き取り、25℃・50%RHの恒温恒湿室で24時間風乾し、評価用フィルムを調製した。プロトン伝導度、力学的性質:引張強度特性(弾性率、降伏強度、引張強度、伸び)、耐熱水性、フェントン試薬耐性)、熱的性質(動的粘弾性の温度依存性、熱分解温度)を測定した。結果を表1に示す。
【0101】
実施例3
(1)ベースポリマー
実施例2における仕込み量を、2,5-ジクロロ-4'-[4-{4-(4-フェノキシ)フェノキシ}ベンゾイル]フェノキシベンゾフェノン 12.2g(19.2mmol)、両末端クロロベンゾイル化[4,4'-ジクロロベンゾフェノン・2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン]縮合物(数平均分子量:12,200)9.27g(0.760mmol)、N-メチルピロリドン61.2mLと変更したほかは、上記重合例1と同様に重合を行った。目的の重合体 18.1g(収率90.5%)を得た。この重合体のGPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量は40,900、重量平均分子量は114,000であった。
(2)スルホン化ポリマー
さらに実施例2(2)と同様にスルホン化を行った。得られたスルホン化ポリマーのイオン交換容量は 1.6meq/gであった。
(3)プロトン伝導膜の調製
実施例2(3)と同様にしてフィルムを調製し、同様な評価を行った。
結果を表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
【発明の効果】
本発明のハロゲン化芳香族化合物は、(共)重合体のスルホン化の際にプロトン伝導度の活性が高いスルホン酸基を導入するのに有用であり、得られるスルホン酸基含有(共)重合体はプロトン伝導膜材料として有用である。
本発明のスルホン化ポリアリーレン系(共)重合体からなるプロトン伝導膜は、従来のものよりも低いスルホン酸基当量でも同程度のプロトン伝導度を発現させることができるため、通常のスルホン化に起因する耐熱水性、靭性、耐酸化性等の物性の低下という不利益を低減させることが可能となる。
したがって、本発明のプロトン伝導膜は、一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などの伝導膜として利用可能であり、この工業的意義は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1(2)で得られた2,5-ジクロロ-4'-[4-(4-フルオロベンゾイル)フェノキシ]ベンゾフェノンのIRスペクトルである。
【図2】 実施例1(2)で得られた2,5-ジクロロ-4'-[4-(4-フルオロベンゾイル)フェノキシ]ベンゾフェノンのNMRスペクトルである。
【図3】 実施例1(3)で得られた2,5-ジクロロ-4'-[4-{4-(4-フェノキシ)フェノキシ}ベンゾイル]フェノキシベンゾフェノンのIRスペクトルである。
【図4】 実施例1(3)で得られた2,5-ジクロロ-4'-[4-{4-(4-フェノキシ)フェノキシ}ベンゾイル]フェノキシベンゾフェノンのNMRスペクトルである。
【図5】 実施例2(1)で得られたベースポリマーのIRスペクトルである。
【図6】 実施例2(2)で得られたスルホン化ポリマーのIRスペクトルである。
Claims (10)
- 一般式(1bm):
[式中、Aは独立に、>C=O、−CONH−、− ( CF 2 ) p −(ここで、pは1〜10の整数である)、−C ( CF 3 ) 2 −、−COO−、−SO−および−SO 2 −からなる群より選択される電子吸引性の基であり、Bは独立に、−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、
で表されるハロゲン化芳香族化合物。 - 前記一般式(1bm)中の電子吸引性の基Aが>C=Oであり、かつ、電子供与性の原子Bが-O-であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化芳香族化合物。
- 請求項1記載の化合物である、2,5-ジクロロ-4'-[4-{4-(4-フェノキシ)フェノキシ}ベンゾイル]フェノキシベンゾフェノン。
- 前記一般式(1b)中の電子吸引性の基Aが>C=Oであり、かつ、電子供与性の原子Bが-O-であることを特徴とする請求項4に記載のポリアリーレン系(共)重合体。
- さらに、一般式(1b)で表される繰り返し単位以外の2価の芳香族基からなる繰り返し単位を有する共重合体であることを特徴とする請求項4または5に記載のポリアリーレン系(共)重合体。
- さらに、分子中にスルホン酸基を有することを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載のポリアリーレン系(共)重合体。
- スルホン酸基を0.5〜3.0 meq/g含有することを特徴とする請求項8記載のポリアリーレン系(共)重合体。
- 請求項8または9に記載のスルホン酸基を有するポリアリーレン(共)重合体からなるプロトン伝導膜。
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