JP5262060B2 - 建築物 - Google Patents

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Description

本発明は耐力壁を備えた建築物に関し、詳しくは耐力壁を建築物における家具の一部として利用する技術に関する。
従来、室内空間に耐力壁を複数設置するとともに、その耐力壁間のスペースを収納等の機能空間として利用する技術が提案されている(例えば、「特許文献1」、「特許文献2」参照)。
特開2003−35050号公報 特開2002−276048号公報
前記特許文献1の技術においては、有孔板を面材として備えた耐力壁が開示されているが、この耐力壁の孔は採光のために利用されるものである。また、前記特許文献1及び特許文献2の技術において、耐力壁間を収納スペースとして利用することが提案されているが扉を備える以外に具体的な構造が明示されていない。
本発明は上記の課題を解決するために、複数配置した耐力壁間に収納ユニット、キッチンユニット又は洗面台ユニット等を直接組付けることにより、組付けに必要な部品点数、経費を削減することができる建築物を提供するものである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、構造体の荷重を支承する耐力壁を備えた建築物であって、戸境壁に対して略直交する梁に固定されることにより、前記戸境壁から離間して、前記戸境壁に対して略直交し且つ互いに略平行となるように室内空間に複数配置され、多数の孔が規則的に配列された面材で構成された耐力壁と、隣接する耐力壁間に前記孔を利用して架設される板状部材又は棒状部材を含む住設ユニットとが、設けられたものである。
請求項2においては、請求項1に記載の建築物であって、前記複数の耐力壁は、基本寸法(モジュール)ごとに略同一間隔で配置されるものである。
請求項3においては、請求項1に記載の建築物であって、前記複数の耐力壁は、基本寸法(モジュール)の倍数を組み合わせた間隔で配置されるものである。
請求項4においては、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の建築物であって、前記住設ユニットは、前記板状部材を棚板とする収納ユニット、前記板状部材にシンクを備えたキッチンユニット、前記板状部材に洗面ボウルを備えた洗面台ユニット、前記板状部材に照明笠を備えた照明ユニット、及び、前記板状部材に洗浄ボウル及び換気扇を備えたペットルームユニットのうち何れか一つのユニットであるものである。
請求項5においては、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の建築物であって、前記耐力壁の上部又は下部に、円形状若しくは長円形状の機能孔が開口され、前記機能孔に配線又は配管が挿通されて支持されるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、例えば、収納ユニット、キッチンユニット、或いは洗面台ユニットといった住設ユニットを構造躯体である耐力壁に直接組付けることができるので、組付けに必要な部品点数、経費を削減することができる。また、構造体の強度を向上させるための耐力壁を複数配置しても、これらの耐力壁によって挟まれたスペースを収納、キッチン又は洗面台などの機能空間として利用することで、無駄な空間が生じない。さらに、耐力壁を採光性・意匠性に富んだインテリア家具として利用できる。
請求項2においては、耐力壁間の間隔が基本寸法(モジュール)ごとに略同一間隔で配置されるので、耐力壁間に設けられる住設ユニットの設置箇所を交換することが容易であり、室内のデザインに合わせた配置形態を実現できる。また、各ユニットの設置箇所を交換しても余分なスペースが発生せず、違和感のない室内構成にすることができる。
請求項3においては、耐力壁間の間隔が基本寸法(モジュール)の倍数を組み合わせた間隔で配置されるので、耐力壁間に設けられる住設ユニットの設置箇所を容易に交換することができる。
請求項4においては、それぞれユニットとして構成されるので、組み付けが容易であり、生活スタイルに応じてユニットの配置変更を行うことができる。
請求項5においては、配線又は配管を耐力壁で直接支持できるので、組付けに必要な部品点数、経費を削減することができる。また、配線又は配管をインテリアの一部として利用できる。
次に、発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の技術的範囲は実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
図1は本発明に係る集合住宅の全体的な構成を示した概略平面図である。
図2は本発明に係る耐力壁の斜視図である。
図3は本発明に係る耐力壁の一階における取付状態を示す正面図である。
図4は耐力壁と梁及び基礎梁との連結構造を示した側面図である。
図5は本発明の実施例1に係る概略平面図である。
図6は本発明に係る耐力壁の実施例1における使用状態を示す斜視図である。
図7は実施例1における洗面台ユニットを示す斜視図である。
図8は架設用部材の正面図及び側断面図である。
図9は本発明の実施例2に係る概略平面図である。
図10は本発明の実施例3に係る概略平面図である。
図11は本発明の実施例4に係る概略平面図である。
図12(a)は本発明のペットルームユニットの正面図、(b)は(a)におけるE−E線断面図、(c)は同じくC−C線断面図、(d)は同じくD−D線断面図である。
[全体構成]
本発明に係る集合住宅の全体的な構成について、図1を用いて説明する。
前記集合住宅10は、例えば単身者若しくは夫婦が居住することを想定したワンルームタイプの集合住宅であり、一方向に長い平面視略矩形状を成し、図1に示すように桁行方向(図1中矢印Aの方向)に沿って複数の住戸が配列されている。
前記集合住宅10では、その梁行方向(図1中矢印Bの方向)における一端側に桁行方向に沿って各住戸の共用部分であるバルコニー15・15・15・・・が設けられ、他端側に共用部分としての共用廊下16が設けられる。これらバルコニー15・15・15・・・と共用廊下16との間に各住戸の専用部分である室内空間11・11・11・・・が設けられており、隣接する室内空間11・11間は、梁行方向に延びる戸境壁12で仕切られている。
そして、この戸境壁12には、耐力壁21・21・21・・・が、前記戸境壁12と略直交して設けられるとともに、前記戸境壁12に沿って複数略等間隔に配設されている。前記耐力壁21・21・21・・・は、室内空間11をより広く使用可能とするため、一つの室内空間11を構成する一組の戸境壁12・12のうち、一側の戸境壁12に沿って設けられる。この耐力壁21・21・21・・・により、地震時に集合住宅10が水平方向の揺れを受けた場合でも躯体に捩れを発生させず、集合住宅10の耐震強度が向上するのである。
[耐力壁]
次に、本発明に係る耐力壁21について、図1及び図2を用いて説明する。
一枚の耐力壁21は、図2に示すように、二本の柱材23・23と、この柱材23・23間に架設された面材22とで構成される。
前記耐力壁21の左右両端部に位置する柱材23・23は、鋼管やH型鋼を木材で被覆して成るものである。柱材23を木材で被覆することによって、面材22端部の鋭利な部分が保護されて安全性の向上が図られる。また、柱材23は室内空間11に露出する部材であるので、木材で被覆することによってインテリア性の向上が図られる。但し、柱材23は、鋼管又は型鋼のみ、或いは、木材のみで構成することもできる。
前記面材22は、鉄板や鋼板等の金属板によって形成され、多数の孔24・24・24・・・が規則的に配列されたいわゆるパンチングメタル(有孔板)が採用される。面材22としてパンチングメタルを採用することで、面材22の軽量化を図るとともに、面材22に採光性を備えて、耐力壁21によって室内空間11内に生じる影の低減が図られている。
また、前記面材22の上部には、円形状若しくは長円形状の機能孔が複数個開口される。詳しくは、本実施例においては配線用孔25、ダクト用孔26、配管用孔27である。これらの機能孔25、26、27は、後述するようにそれぞれ配線71・ダクト72及び配管73が挿通され、配線71・ダクト72及び配管73が別途支持部材を設けることなく支持される構成となっている。
なお前記面材22は、壁面を木材又は化粧パネルで被覆し、この木材又は化粧パネルに、面材22における孔24・24・24・・・及び機能孔25、26、27と同一の箇所に同形状の孔を開口して構成することも可能である。これにより、柱材23及び室内空間11とのデザイン的な調和を図り、インテリア性を向上させることができる。
また前記機能孔25・26・27は、前記面材22の下部に開口し、この機能孔25・26・27に配線71・ダクト72及び配管73を挿通して支持させる構成にすることも可能である。
また、図1及び図2に示すように、前記耐力壁21・21・21・・・は室内空間11のどちらか一方の戸境壁12に沿うように、複数枚が等間隔に配置される。本実施例では、耐力壁21は梁行方向に沿って、桁行方向(戸境壁12と直交する方向)に複数配置されており、原則として隣り合う室内空間11において左右対称となるように配置されている。このように構成することにより、集合住宅10の桁行方向への耐力が向上するため、地震等の振動による横揺れ(桁行方向への揺れ)に対する耐震強度を大きくすることが可能となる。そして、前記耐力壁21は、複数枚が戸境壁12に対して垂直かつ等間隔に配置されることにより、不規則に耐力壁21を配列する場合と比較してねじれが発生し難く、地震時における桁行方向の水平荷重を支持しやすい建築物を構成することができるのである。
さらに、二つの隣接する室内空間11・11の浴室41やトイレ42等の水回り部分を、耐力壁21を設けた戸境壁12と反対側の戸境壁12付近にまとめることができるため、二つの室内空間11・11間で配管スペース等を共用することで省スペース化を図ることができ、さらに隣室の生活音の影響を最小限にすることができる。
[取付方法]
次に、耐力壁21の取付方法について図3及び図4を用いて説明する。図3は本発明に係る耐力壁の一階における取付状態を示す正面図、図4は耐力壁と梁及び基礎梁との連結構造を示した側面図である。
本実施例に係る集合住宅10の躯体を構成する梁14は、桁行方向に略等間隔に複数並設されており、二本の長尺部材14a・14aを接合して成るものである。具体的には、
一組の溝形鋼(C型鋼)からなる長尺部材14a・14aを背中合わせに螺結して梁14が構成されているのである。そして、後述する取付板17が長尺部材14a・14aに挟持され、取付板17と長尺部材14a・14aとがともにボルトにより締結されることで、この取付板17梁14に固設されている。
前記耐力壁21の一階上端部及び二階より上階の上下端部では、耐力壁21の左右両端部に設けられた柱材23・23の上端部(二階より上階については上端部及び下端部)より、梁14に固設された取付板17・17を挟持するための二枚の板状部材(挟持ステー28・28)が耐力壁21の幅方向と平行に突設されている。前記二本の挟持ステー28・28の間に取付板17・17を介挿し、ボルトを前記挟持ステー28・28と取付板17・17とを貫通させて固定しているのである。
前記耐力壁21の一階下端部においては、耐力壁21から取付板18・18が耐力壁21の幅方向と平行に突設されており、該取付板18・18がベースプレート19・19から突出した二本の挟持板20・20によって挟持され、該挟持板20・20及び前記取付板18・18にボルトを貫通させて固定している。前記ベースプレート19・19は、基礎梁13・13にアンカーボルト29によって固定されている。そのため、前記耐力壁21が基礎梁13に固定されることとなり、集合住宅10全体の桁行方向への耐力が向上するのである。
このように構成することにより、取付板17・17を介して耐力壁21の上部を長尺部材14a・14aからなる梁14に固定して、また、取付板18・18を介して耐力壁21の下部を桁行方向に平行な二本の長尺部材14a・14aからなる梁14若しくは基礎梁13に固定することにより、耐力壁の役割を果たすことが可能となっている。そのため、戸境壁12を薄くすることが可能となり、室内に突出する柱を無くすことが可能となるため、各室内空間11の間取りについて、レイアウトの自由度が向上する。
また、ボルトを着脱することにより耐力壁21を前記梁14より容易に着脱することが可能となっている。このため、耐力壁21の簡易な施工が可能となり、耐力壁21と梁14とを分割することにより搬送することが容易となる。
[実施例1]
次に、本発明の実施例1に係る家具ユニットの配置方法について、図5乃至図8を用いて説明する。図5は本発明の実施例1に係る概略平面図、図6は本発明に係る耐力壁21の実施例1における使用状態を示す斜視図、図7は実施例1における洗面台ユニットを示す斜視図、図8は架設用部材61a、61b、62a、62b等の正面図及び側断面図である。
図5に示すように、耐力壁21・21・21・・・は室内空間11の一側に、戸境壁12に沿って複数枚が等間隔に配置される。また、浴室41・トイレ42及びベッド43が、耐力壁21を設けた戸境壁12と反対側の戸境壁12付近に配置される。
本実施例においては、耐力壁21・21・21・・・間のスペースに、玄関ドア51側からバルコニー窓52側に向かって順に、キッチンユニット31、照明ユニット32、ハンガー収納ユニット33、洗面台ユニット34、収納ユニット35及び洗濯機スペース36が設けられている。
前記キッチンユニット31、照明ユニット32、ハンガー収納ユニット33、洗面台ユニット34、並びに、収納ユニット35は、いわゆる住宅設備がユニットとして構成された住設ユニットである。
前記ハンガー収納ユニット33には、隣接する耐力壁21・21間に架設される棒状部材が備えられ、前記ハンガー収納ユニット33以外の住設ユニットには、隣接する耐力壁21・21間に架設される板状部材が備えられる。前記棒状部材又は板状部材は、隣接する耐力壁21・21間と略等しい幅を有するものであって、前記隣接する耐力壁21・21に架け渡されるものである。
そして、前記キッチンユニット31では前記板状部材にシンクが備えられ、前記照明ユニット32では前記板状部材に照明笠が備えられ、前記洗面台ユニット34では前記板状部材に洗面ボウルが備えられ、前記収納ユニット35では前記板状部材が棚板とされる。
図6は実施例1における使用例として、ハンガー収納ユニット33、洗面台ユニット34、収納ユニット35が耐力壁21に架設された状態を示す斜視図である。
ハンガー収納ユニット33、洗面台ユニット34、収納ユニット35は、アルミ、ステンレス若しくは硬質プラスチックで形成された架設用部材61a、61b、62a、62b等によって、耐力壁21に取り付けられる。詳しくは、図8に示す棚板用雄部材61a、棚板用雌部材61b、掛止用雄部材62a、掛止用雌部材62b、ハンガーパイプ用雌部材62c等で構成された架設用部材によって固設されるのである。
図8に示すように、前記棚板用雄部材61a及び掛止用雄部材62aは一側が細くボルト状に形成され、この細く形成された側は雄ねじが形成され、面材22の孔24に挿通可能に構成されている。そして、この棚板用雄部材61a及び掛止用雄部材62aの雄ねじ部分を孔24に挿通し、ナット状に雌ねじが形成された棚板用雌部材61b又は掛止用雌部材62bと螺合させることにより、架設用部材61a、61b、62a、62bが耐力壁21に固定されるのである。
このようにして固定された棚板用雄部材61a及び棚板用雌部材61bに棚板63を載置することによって収納棚が形成される。棚板63は、木材、アルミ、ステンレス若しくは硬質プラスチックから成り、耐力壁21・21間の間隔と同じ横幅で長方形状の平板に形成される。また、棚板63の、棚板用雄部材61a又は棚板用雌部材61bとの接する箇所には窪み63aが形成される。この窪み63aに棚板用雄部材61a又は棚板用雌部材61bが嵌合することによって、棚板63の水平位置が固定され、棚板63がずれ落ちることがないように構成されている。
本実施例においては、図6に示すように収納ユニット35による収納スペースが棚板63・63・63・・・によって形成されている。この棚板用雄部材61a及び棚板用雌部材61bについては、耐力壁21における孔24のうち任意の箇所に固定することが可能であるので、収納棚の高さを容易に調節することができる。なお、棚板用雄部材61a及び棚板用雌部材61bについては棚板63からの荷重を支持するため、掛止用雄部材62a及び掛止用雌部材62bよりも厚みを大きくして形成されている。
一方、掛止用雄部材62a及び掛止用雌部材62bを使用する際は、図8に示すように面材22と、掛止する対象物との双方に雄ねじ部を挿通し、掛止用雄部材62aと掛止用雌部材62bとを螺合させることにより、掛止する対象物を面材22に固定するのである。本実施例においては、図6に示すように対象物として木材、アルミ、ステンレス若しくは硬質プラスチック等で形成される洗面台ユニット34が耐力壁21・21間に配設されている。
図7に示すように洗面台ユニット34は、左右側方を側板34f・34f、上方を天板34h、前方を前板34iで囲まれた筐体に構成され、耐力壁21・21間の間隔と同じ横幅で構成される。そして、この洗面台ユニット34の内部には洗面鏡34a、洗面ボウル34b、収納用扉34c・34c、収納棚34d、蛇口34e等が配設される。
そして、この洗面台ユニット34を耐力壁21・21間に設置するときは、掛止用雄部材62a又は棚板用雄部材61aの雄ねじ部を面材22と前記側板34fとに挿通し、掛止用雌部材62bを螺合して固定させるのである。このように、洗面台ユニット34を構造躯体である耐力壁21に直接組付けることができるので、組付けに必要な部品点数、経費を削減することができるのである。
図5に示すキッチンユニット31及び照明ユニット32についても、洗面台ユニット34と同様に左右側方を側板、上方を天板、前方を前板で囲まれた筐体に構成され、耐力壁21・21間の間隔と同じ横幅で構成される。そして、キッチンユニット31内部にはシンク、コンロ、換気扇等が設けられ、照明ユニット32内部には照明笠が設けられるのである。これら各ユニットを設置する際にも、上記洗面台ユニット34と同様に掛止用雄部材62a及び掛止用雌部材62b等の架設用部材によって固定されるのである。
そして、これら各住設ユニット31、32,33,34,35の横幅は耐力壁21・21間の間隔と略同一に構成されているので、耐力壁21・21間に設けられる住設ユニット31、32,33,34,35の設置箇所を交換することが容易であり、室内空間11のデザインに合わせた配置形態を実現できる。また、各住設ユニット31、32,33,34,35の設置箇所を交換しても余分なスペースが発生せず、違和感のない室内空間11の構成にすることができる。
また、掛止用雌部材62bに替えてハンガーパイプ用雌部材62cを掛止用雄部材62aと螺合させることにより、ハンガー収納ユニット33によるハンガー収納スペースを形成することができる。このハンガー収納ユニット33にはハンガーパイプ用雌部材62cの他、収納棚63、ハンガー収納ユニット用扉33aが配設されている。
[機能孔]
次に、前記機能孔25、26、27について、図2及び図6を用いて説明する。
上述したように、前記耐力壁21における面材22の上部には、円形状若しくは長円形状の機能孔25、26、27が開口され、本実施例においては配線用孔25、ダクト用孔26、配管用孔27が設けられている。図6に示すようにこれらの機能孔25、26、27は、それぞれ配線71・ダクト72及び配管73が挿通され、配線71・ダクト72及び配管73が別途支持部材を設けることなく支持される構成となっている。このように、配線71・ダクト72及び配管73等を耐力壁21で直接支持できるので、組付けに必要な部品点数、経費を削減することができるのである。
本実施例では、ダクト72は天井裏のスペースを通じて耐力壁21・21・21・・・と対向する浴室41及びトイレ42の排気口と室外とを連通し、このダクト72によって浴室41及びトイレ42の空気が室外に排気される構成としている。
また、本実施例では配線71・ダクト72及び配管73はカバー64・64・64・・・にて覆われる構成としているが、カバー64・64・64・・・は取り外してもよく、配線71・ダクト72及び配管73をインテリアの一部として利用する構成にすることもできる。
[別実施例]
次に、本発明の実施例2乃至実施例4に係る家具ユニットの配置方法について、図9乃至図11を用いて説明する。なお本実施例以降に説明する耐力壁21の各実施例において、実施例1と共通する部分については、同符号を付してその説明を省略する。
実施例2においては図9に示すように、浴室41・トイレ42が、耐力壁21を設けた戸境壁12付近に配置される。ここで、浴室41の空間を確保するため、浴室41の配置箇所の耐力壁12・12の間隔を、他の部分における間隔の2倍にしている。即ち、他の部分における基本寸法(モジュール)M1に対して、耐力壁12を一枚取り外すことによって基本寸法(モジュール)M1の2倍の拡大寸法M2を確保しているのである。
このように、耐力壁21・21・・・を、基本寸法(モジュール)の倍数を組み合わせた間隔で配置することができる。即ち、耐力壁12の間隔を変更することによって、室内空間の住宅設備の組み合わせに関する自由度を大幅に向上させることが可能になるのである。また、このときの住設ユニットについても、基本寸法(モジュール)の倍数の横幅で形成すればよいので規格の統一が容易となり、製作コストを抑えることができる。
なお、本実施例では浴室41を配置箇所を拡大寸法M2としたが、耐力壁12・12・・・の配置形態は限定されるものではなく、他の住設ユニットの配置箇所を拡大寸法M2にしたり、あるいは基本寸法(モジュール)の3倍の間隔の拡大寸法にすることも可能である。
また、本実施例においては、浴室41・トイレ42を含めた住宅設備が耐力壁21を設けた戸境壁12付近に配置されるため、排気管・給排水管等の設備を集中して配設することにより、配線又は配管等の維持管理が容易となるように構成している。
実施例3においては図10に示すように、浴室41・トイレ42が、耐力壁21を設けた戸境壁12と反対側の戸境壁12付近で、玄関ドア51側に配置され、室内空間11が分割されることなく、いわゆるワンルームとして構成されている。このような場合、室内デザインに対応して家具の配置形態を変更することが可能となる。具体的には、耐力壁21・21・21・・・間のスペースに、玄関ドア51側からバルコニー窓52側に向かって順に、洗濯機スペース36、洗面台ユニット34、キッチンユニット31、照明ユニット32、ハンガー収納ユニット33、収納ユニット35が設けられており、室内空間11を一つの部屋として利用しやすい構成となっている。
また、実施例4においては図11に示すように、浴室41・トイレ42が、耐力壁21を設けた戸境壁12と反対側の戸境壁12付近に配置され、浴室41・トイレ42よりも玄関ドア51側にはベッドルーム53が構成されている。このような場合についても、耐力壁21・21・21・・・間のスペースに、玄関ドア51側からバルコニー窓52側に向かって順に、ハンガー収納ユニット33、収納ユニット35、洗濯機スペース36、洗面台ユニット34、キッチンユニット31、照明ユニット32を配置することで、室内空間11のバルコニー窓52側がダイニングスペースとして利用し易くなるのである。
ここで、複数の耐力壁21・21・・・は、基本寸法(モジュール)ごとに略同一間隔で配置されるとともに、収納ユニット35、キッチンユニット31又は洗面台ユニット34等の家具の横幅が耐力壁21・21間の間隔と略同一に形成されているので、これらの家具の設置箇所を容易に変更することができ、室内空間11のデザインに合わせた配置形態を実現できる。また、各ユニットの設置箇所を交換しても余分なスペースが発生せず、違和感のない室内空間11の構成にすることができるのである。
次に、本発明に係る家具ユニットの一つであるペットルームユニット80について、図12を用いて説明する。図12(a)は本発明のペットルームユニット80の正面図、(b)は(a)におけるE−E線断面図、(c)は同じくC−C線断面図、(d)は同じくD−D線断面図である。
ペットルームユニット80は板状部材を組み合わせた筐体81、洗浄台82、換気扇83、排気ダクト84等で構成される。筐体81の上部は後面を開口し、下部は前面を開口して形成され、前記洗面台ユニット34と同様に架設用部材61a、61b、62a、62b等を孔24に挿通させることで面材22に固設される。筐体81の下部は仕切り板81cによって左右に仕切られており、正面視において左側が飼育スペース81a、右側がトイレスペース81bである。トイレスペース81bの奥は仕切り板81dによって区切られたダクトスペース81eとなっており、洗浄台82に連通する排水管82d、排気ダクト84等が配設される。
筐体81の上部にはペットを洗浄可能な洗浄台82が組みつけられ、洗浄台82は洗浄ボウル82a、コック82b、シャワー82c、排水管82d等で構成される。また、同じく筐体81の上部には、前記トイレスペース81bに連通して換気扇83が配設される。なお、本実施例においてはペットルームユニット80の上方には棚板63・63が架設され、収納スペースを設ける構成としている。
以上のように構成されるペットルームユニット80において、ペットの食事や睡眠等、日常の生活は飼育スペース81aで行われ、ペットの排泄はトイレスペース81bで行われる。その際、該トイレスペース81bの上面に配設された換気扇83が排泄の際の臭いを吸気し、排気ダクト84を通じて排気するので、人の生活エリアに臭いが漏れることを防ぐことができる。
また、洗浄台82が筐体81の上部に配設されているので、ペットの身体や備品等を洗う場合の作業が簡易となる。即ち、ペットが食事をこぼしたり、排泄に失敗して糞尿が漏れたりした場合でも即座にペット自身、備品及び付近の設備を洗浄することが可能となるのである。さらに、ペットルームユニット80に電気設備を配設して、ドライヤでペットの身体を乾かしたり、飼育スペース81aに照明設備を設けたりする構成にすることも可能である。
このように、ペットルームユニット80が家具ユニットの一つとして耐力壁21・21間に設けられる。これにより、人とペットが生活空間を共にすることができ、生活パートナーとして家族同様に生活することができる。また、ペットの気になる臭いを人の生活空間に侵入させることなく、ペットの洗浄等の手入れも簡易に行うことができる。
さらに、ペットの寿命は概ね人よりも短い場合が多く、ペットの死亡等によって飼育の必要がなくなる場合がある。そのような場合においても、ペットルームユニット80を取り外し、他のユニットに交換することができ、生活スタイルの変化に対応した室内デザインにすることが可能となるのである。
また、前記ペットルームユニット80に代えて、熱帯魚等の観賞用水棲動物を飼うための水槽ユニットを配置することも可能である。前記水槽ユニットは水槽の他、給排水のためのポンプが設けられ、常に清浄な水を供給することが可能となる。
以上のように、構造体の荷重を支承する耐力壁21を備えた建築物であって、戸境壁12に対して略直交し且つ互いに略平行となるように室内空間11に複数配置され、多数の孔24が規則的に配列された面材22で構成された耐力壁21と、隣接する耐力壁21・21間に前記孔24を利用して架設される板状部材又は棒状部材を含む住設ユニット31、32,33,34,35とが設けられる。
これにより、例えば、収納ユニット35、キッチンユニット31、或いは洗面台ユニット34といった住設ユニットを構造躯体である耐力壁21に直接組付けることができるので、組付けに必要な部品点数、経費を削減することができる。また、構造体の強度を向上させるための耐力壁21を複数配置しても、これらの耐力壁21によって挟まれたスペースを収納、キッチン又は洗面台などの機能空間として利用することで、無駄な空間が生じない。さらに、耐力壁21を採光性・意匠性に富んだインテリア家具として利用できる。
また、前記複数の耐力壁21は、基本寸法(モジュール)ごとに略同一間隔で、若しくは基本寸法(モジュール)の倍数を組み合わせた間隔で配置される。これにより、耐力壁21・21間に設けられる住設ユニット31、32,33,34,35の設置箇所を交換することが容易であり、室内空間11のデザインに合わせた配置形態を実現できる。また、各住設ユニット31、32,33,34,3の設置箇所を交換しても余分なスペースが発生せず、違和感のない室内空間11の構成にすることができる。
また、前記住設ユニットは、前記板状部材を棚板とする収納ユニット35、前記板状部材にシンクを備えたキッチンユニット31、前記板状部材に洗面ボウルを備えた洗面台ユニット34、前記板状部材に照明笠を備えた照明ユニット32、及び、前記板状部材に洗浄ボウル及び換気扇を備えたペットルームユニット80のうち何れか一つのユニットとされる。これにより、それぞれユニットとして構成されるので、組み付けが容易であり、生活スタイルに応じてユニットの配置変更を行うことができる。
さらに、前記耐力壁21の上部又は下部には、円形状若しくは長円形状の機能孔25・26・27が開口され、前記機能孔25・26・27には配線71・ダクト72及び配管73が挿通され、この機能孔によって配線71・ダクト72及び配管73が支持される。これにより、組付けに必要な部品点数、経費を削減することができる。また、配線71・ダクト72及び配管73をインテリアの一部として利用できる。
さらに、前記耐力壁21の一側端部又は両側端部に柱材23が設けられる。これにより、耐力壁21の意匠性を向上させることができる。
本発明に係る集合住宅の全体的な構成を示した概略平面図。 本発明に係る耐力壁の斜視図。 本発明に係る耐力壁の一階における取付状態を示す正面図。 耐力壁と梁及び基礎梁との連結構造を示した側面図。 本発明の実施例1に係る概略平面図。 本発明に係る耐力壁の実施例1における使用状態を示す斜視図。 実施例1における洗面台ユニットを示す斜視図。 架設用部材の正面図及び側断面図。 本発明の実施例2に係る概略平面図。 本発明の実施例3に係る概略平面図。 本発明の実施例4に係る概略平面図。 (a)は本発明のペットルームユニットの正面図、(b)は(a)におけるE−E線断面図、(c)は同じくC−C線断面図、(d)は同じくD−D線断面図。
10 集合住宅
12 戸境壁
21 耐力壁
22 面材
23 壁柱
24 孔
31 キッチンユニット
33 ハンガー収納ユニット
34 洗面台ユニット
35 収納ユニット
80 ペットルームユニット

Claims (5)

  1. 構造体の荷重を支承する耐力壁を備えた建築物であって、
    戸境壁に対して略直交する梁に固定されることにより、前記戸境壁から離間して、前記戸境壁に対して略直交し且つ互いに略平行となるように室内空間に複数配置され、多数の孔が規則的に配列された面材で構成された耐力壁と、
    隣接する耐力壁間に前記孔を利用して架設される板状部材又は棒状部材を含む住設ユニットとが、設けられたことを特徴とする建築物。
  2. 前記複数の耐力壁は、基本寸法(モジュール)ごとに略同一間隔で配置されることを特徴とする、請求項1に記載の建築物。
  3. 前記複数の耐力壁は、基本寸法(モジュール)の倍数を組み合わせた間隔で配置されることを特徴とする、請求項1に記載の建築物。
  4. 前記住設ユニットは、
    前記板状部材を棚板とする収納ユニット、
    前記板状部材にシンクを備えたキッチンユニット、
    前記板状部材に洗面ボウルを備えた洗面台ユニット、
    前記板状部材に照明笠を備えた照明ユニット、
    及び、前記板状部材に洗浄ボウル及び換気扇を備えたペットルームユニットのうち何れか一つのユニットであることを特徴とする、
    請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の建築物。
  5. 前記耐力壁の上部又は下部に、円形状若しくは長円形状の機能孔が開口され、
    前記機能孔に配線又は配管が挿通されて支持されることを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の建築物。
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