JP5261018B2 - 表面被覆切削工具 - Google Patents

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Description

本発明は、基材と該基材上に形成される被覆層とを含む表面被覆切削工具に関する。
各種の切削工具が金属材料の切削加工に広く使用されている。たとえば、CVD(化学蒸着)工具、PVD(物理蒸着)工具、サーメット工具、超硬工具、セラミック工具があり、用途に応じて使用されている。このうち、CVD工具とは、基材上にCVD法による被覆層(セラミックコーティング)が形成された工具であり、PVD工具とは、基材上にPVD法による被覆層(セラミックコーティング)が形成された工具であり、一方サーメット工具、超硬工具、セラミック工具とは、このような被覆層を有さない工具である。
近年、切削速度の高速化に伴い、CVD工具やPVD工具の使用割合が増加している。CVD工具は、一般に耐剥離性に優れるとともに、耐熱性に優れるアルミナ膜を形成することができるため、鋼の旋削工具用途で主に使用されている。また、PVD工具は、被覆層中に圧縮残留応力を有するため、耐欠損性に優れることから機械的衝撃が大きなフライス用途で主に使用されている。
昨今、切削加工業界においては、時間当たりの生産性を高めるため、高速・高能率加工に対する要求が高まっており、CVD工具の厚膜化(すなわち厚い被覆層を形成すること)が進められている。
しかし、CVD工具では基材とアルミナ膜やTiCN膜等の被覆層との熱膨張係数差に起因して、15μm程度に厚膜化すると膜中に大きな引張残留応力が発生して膜強度が低下するとともに、膜の面粗さが大きくなって膜の耐剥離性が低下するという問題が生じていた。このため、CVD法により被覆層を形成した後にこの被覆層に対してブラスト処理を施したり、磨き処理を施すなどの表面処理技術が実施されている(特許文献1)。しかし、CVD法により形成した被覆層全体の引張残留応力を開放することは難しく、15μm以上の被覆層を形成した厚膜CVD工具の耐欠損性を安定させることは困難であった。これに対して、PVD工具はPVD法により形成された被覆層中に圧縮残留応力を付与することができるため、旋削加工でも断続切削などの機械的衝撃の激しい用途において優れた切削性能を期待できる。このため、被覆層中の圧縮残留応力の分布を調整し、耐摩耗性とチッピングに対する耐性を向上させた切削工具が提案されている(特許文献2)。しかしながら、この提案においては被覆層が大きな圧縮残留応力を有するために、10μm以上の厚みを有する被覆層を膜破壊なしに形成することは困難であった。このため、PVD法により形成された被覆層を特定の配向性を有するものとし、10μm程度の膜厚としたPVD工具が提案されている(特許文献3)。しかし、この提案では被覆層は特定の組成および特定の結晶方位を有するもののみに限定されることから応用範囲が制限されるとともに、当該被覆層を膜破壊なしに形成できたとしても切削加工時の衝撃で被覆層が圧縮破壊するという現象を十分に抑制することができず、このため工具寿命をさらに延長させることが求められていた。特に15μm以上の厚みを有する被覆層を形成したCVD工具に対して、耐摩耗性の点で優位性を有する厚膜PVD工具の開発が望まれていた。
また、PVD法により形成された被覆層は非平衡な状態で形成されるため、被覆層の形成時に、結晶に多くのランダムな歪みを生じさせる。結晶の歪みは、結晶粒を構成する結晶子の径を小さくする。小さく多数の結晶子から構成される結晶粒は結晶子1つ1つが脱落することにより、アブレシブ摩耗が進行しやすくなるため、耐摩耗性が低くなる。結晶性の高い被覆層を形成することができるCVD法に比較して、PVD法で耐摩耗性の高い
被覆層を形成することは困難であった。
特開平05−116003号公報 特開2006−082218号公報 特開平09−323204号公報
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、厚い被覆層をPVD法で形成することにより優れた耐摩耗性を有する表面被覆切削工具を提供することにある。
本発明の表面被覆切削工具は、基材と、該基材上に形成される被覆層とを含む表面被覆切削工具であって、被覆層は厚さが2nm以上20nm以下の互いに組成が異なる2種以上の物理蒸着層が繰り返し積層された超多層膜を含み、表面被覆切削工具の少なくとも刃先部における被覆層の厚さが17μm以上50μm以下であって、物理蒸着層はそれぞれ、IVa族元素、Va族元素、VIa族元素、B、SiおよびAlからなる群から選択された少なくとも1種の元素のホウ化物、窒化物、炭化物、酸化物、炭窒化物、窒酸化物または炭窒酸化物からなり、物理蒸着層の各層のX線回折法によるX線回折ピークの最大の回折強度の和Icと、基材のX線回折法によるX線回折ピークの最大の回折強度Isubとの比Ic/Isubが1以上100以下であることを特徴としている。また、その比Ic/Isubは10以上90以下であることが好ましい。
また、上記物理蒸着層の結晶構造が立方晶型であり、上記物理蒸着層の最大の回折強度を有するX線回折ピークが、(111)面、(200)面、(220)面または(311)面に対応するピークであることが好ましい。
また、上記物理蒸着層の最大の回折強度を有するX線回折ピークが(200)面に対応するピークであることが好ましい。
また、上記被覆層全体の残留応力が+1Gpa〜−1Gpaであることが好ましい。
また、上記被覆層を構成する物理蒸着層の少なくとも1層がTiを含むことが好ましい。
また、上記基材は、超硬合金、サーメットまたはcBN焼結体であることが好ましい。
また、上記基材は、超硬合金であって、超硬合金は、WCの結晶粒を含み、結晶粒の平均粒径は、0.3μm以上2.5μm以下であることが好ましい。
以上のような本発明の表面被覆切削工具は、旋削用に好適に用いることができる。
本発明の表面被覆切削工具は、上記のような構成を有することにより、優れた耐摩耗性を有する。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
<表面被覆切削工具>
本発明の表面被覆切削工具は、基材と、該基材上に形成される被覆層とを備えるものである。このような構成を有する本発明の表面被覆切削工具は、たとえばドリル、エンドミル、フライス加工用または旋削加工用刃先交換型切削チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タップ、またはクランクシャフトのピンミーリング加工用チップ等として極めて有用に用いることができる。
このように本発明の表面被覆切削工具は、各種用途に用いることができるものであるが、とりわけ従来においてCVD工具が主として用いられていた旋削用の用途に好適に用いることができる。すなわち、本発明の表面被覆切削工具は、このような旋削用の用途において、従来の厚膜CVD工具に代替するものであり、厚膜CVD工具に比し工具寿命が延長されたものであることから、高速・高能率加工に極めて有効に使用し得るものである。
<基材>
本発明の表面被覆切削工具の基材としては、このような切削工具の基材として知られる従来公知のものを特に限定なく使用することができる。たとえば、超硬合金(たとえばWC基超硬合金、WCの他、Coを含み、あるいはさらにTi、Ta、Nb等の炭窒化物等を添加したものも含む)、サーメット(TiC、TiN、TiCN等を主成分とするもの)、高速度鋼、セラミックス(炭化チタン、炭化硅素、窒化硅素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、およびこれらの混合体など)、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体等をこのような基材の例として挙げることができる。
なかでも、基材としては、超硬合金、サーメットまたはcBN焼結体を用いることが好ましい。超硬合金からなる基材に後述する被覆層を形成した場合には、耐摩耗性のみならず、耐溶着性が向上して、被削材の仕上げ面粗さを向上することができるとともに、長期にわたって安定した切削加工が可能となる傾向にある。サーメットからなる基材に後述する被覆層を形成した場合には、後述する厚膜の被覆層は熱遮蔽の効果を発揮し、基材の高温変形を抑制し、安定かつ高精度な切削加工が可能となる傾向にある。cBN焼結体からなる基材に後述する被覆層を形成した場合には、クレータ摩耗を抑制することができることから、本発明の表面被覆切削工具の寿命を大幅に延長することができる傾向にある。
そして、本発明の基材として特に好ましくは超硬合金を挙げることができ、WCの結晶粒を含み、該結晶粒の平均粒径が0.3μm以上2.5μm以下となる超硬合金を特に好適に用いることができる。上記平均粒径は、より好ましくは0.4μm以上2μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上1.5μm以下である。
通常、鋼旋削用CVD工具の基材として用いられる超硬合金に含まれるWCの結晶粒の平均粒径は3〜5μmである。CVD法により形成される被覆層は引張残留応力を有するため、製造工程でその被覆層中に亀裂が導入されており、被覆層の厚み分だけ予め亀裂が導入された状態になっている。このため、WCの結晶粒の粒度は上記のように3〜5μmと大きくして亀裂進展抵抗を高めている。これに対し、本発明のようにPVD法で被覆した被覆層には亀裂は原則的に存在しないため、亀裂進展抵抗を高めておく必要性は小さく、逆にその平均粒径を0.3〜2.5μmの範囲とすることにより、基材の硬度を高くすることができ耐摩耗性を向上できるほか、強度も大きくなり、優れた耐欠損性を期待できる。さらに、WCの結晶粒の平均粒径をこの範囲とすることにより後述のように基材と被覆層との界面において被覆層を形成する結晶粒がWCの結晶粒と整合して成長することができ、これにより被覆層が微粒化して超硬基材との密着力を向上することができる。この
ため、切削工具として優れた耐剥離性を実現できる。このようなWCの結晶粒の平均粒径は、走査型電子顕微鏡や結晶方位解析装置を用いて基材表面(被覆層との界面領域)中の所定の長さを有する任意の線分(この線分は基材表面に平行な位置関係を有するものとする)上に存在するWCの結晶粒の個数を測定することにより、その所定長さ中に存在するWCの結晶粒の長さをその個数で除することによって求めるものとする。その測定される線分の所定長さは、2〜100μm程度とすることが好ましく、より好ましくは5〜50μm程度とするのが好適である。誤差を排除し、基材全体の数値を代表するのに十分なものであると考えられるからである。
なお、このような平均粒径のWCの結晶粒を含む超硬合金は、原料としてそれぞれ平均粒径0.1〜2.5μmのWC粉末、Co粉末、およびこの両者に加え必要に応じCr32粉末、VC粉末、NbC粉末、TiC粉末およびTaC粉末等から選ばれる少なくとも1種の粉末を、所定の配合比でエタノール中において粉砕混合し、その混合粉末を乾燥後プレス成形し、その成形体を真空中1400℃前後の高温で焼結することによって製造することができる。
このように基材として超硬合金を使用する場合、そのような超硬合金は、組織中に遊離炭素やη相と呼ばれる異常相を含んでいても本発明の効果は示される。
なお、本発明で用いる基材は、その表面が改質されたものであっても差し支えない。たとえば、超硬合金の場合はその表面に脱β層が形成されていたり、サーメットの場合には表面硬化層が形成されていても良く、このように表面が改質されていても本発明の効果は示される。
<被覆層>
本発明の表面被覆切削工具の基材上に形成される被覆層は、1以上の物理蒸着層を含むものである。すなわち、被覆層は、単一組成の1層の物理蒸着層のみから構成されていてもよいし、少なくとも1層の組成が異なる2以上の物理蒸着層によって構成されていてもよい。なお、本発明の被覆層は、基材上の全面を被覆する態様のみに限られるものではなく、部分的に被覆層が形成されていない態様をも含む。
本発明の表面被覆切削工具の少なくとも刃先部における被覆層の厚さは10μm以上50μm以下である。本発明の表面被覆切削工具においては、少なくとも刃先部における被覆層の厚さを10μm以上50μm以下とすることにより、耐摩耗性および耐剥離性が向上して、工具寿命を大幅に延長することが可能となる。ここで、本発明において、刃先部における被覆層の厚さとは、たとえば図1の模式的拡大断面図に示すように、表面被覆切削工具1の基材2上に形成された被覆層3の厚さのうち、すくい面5の刃先部における被覆層3の厚さhのことをいう。なお、図1において、参照符号4は逃げ面を示しており、逃げ面4とすくい面5との交線が稜線部6となる。
また、本発明の被覆層の少なくとも刃先部における厚さは、15μm以上30μm以下とすることがより好ましい。この場合には、被覆層が耐摩耗性、耐剥離性および靭性を兼ね備えて工具寿命をさらに延長することができるとともに、耐欠損性にも優れたものとすることができる傾向にある。
上記のように10μm以上50μm以下といった厚膜のCVD法による被覆層は、引張残留応力の開放が困難であり耐欠損性が低下することから、PVD法による後述の物理蒸着層を有する10μm以上50μm以下の厚膜の本発明における被覆層が優位性を有していることは明らかである。
また、被覆層全体の残留応力は、+1Gpa〜−1Gpaの小さな引張残留応力または小さな圧縮残留応力であることが好ましく、0Gpa〜−0.7Gpaの非常に小さな圧縮残留応力であることより好ましい。被覆層全体の残留応力が+1Gpa〜−1Gpaである場合、特に0Gpa〜−0.7Gpaの非常に小さな圧縮残留応力である場合には、表面被覆切削工具の刃先部の強度が向上するとともに、10μm以上50μm以下といった厚膜の被覆層の圧縮残留応力による自己破壊が起こりにくくなり、さらには耐剥離性(被覆層が基材から剥離するのを防止する性能)を向上させることができる。
上述のように、小さな残留応力は、耐剥離性および刃先部の強度の双方を向上させることができるが、特に、小さな引張残留応力は耐剥離性を主に向上させ、小さな圧縮残留応力は刃先部の強度を向上させることができる傾向にある。
本発明でいう圧縮残留応力とは、被覆層に存する内部応力(固有ひずみ)の一種であって、負の数値(単位:GPa)で表されるものである。一方、本発明でいう引張残留応力とは、これも被覆層に存する内部応力の一種であって、正の数値(単位:GPa)で表されるものである。このような圧縮残留応力および引張残留応力は、ともに被覆層内部に残存する内部応力であることからこれらを単にまとめて残留応力(便宜的に0GPaも含む)と表現することもある。
<物理蒸着層の構成>
本発明の表面被覆切削工具の被覆層は、少なくとも1層以上の物理蒸着層を有している。ここで、物理蒸着層とは、PVD(物理蒸着)法により形成される被膜のことをいう。本発明で用いられるPVD法としては、従来公知のPVD法を特に限定することなく用いることができる。このようなPVD法としては、たとえばバランストマグネトロンスパッタリング法、アンバランストマグネトロンスパッタリング法、アークイオンプレーティング法、蒸着法等を挙げることができる。特に、PVD法としては、アークイオンプレーティング法、バランストマグネトロンスパッタリング法またはアンバランストマグネトロンスパッタリング法を採用することが好ましい。
このような物理蒸着層の組成としては、元素周期律表のIVa族元素(Ti、Zr、Hf等)、Va族元素(V、Nb、Ta等)、VIa族元素(Cr、Mo、W等)、B(ホウ素)、Si(シリコン)およびAl(アルミニウム)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素のホウ化物、窒化物、炭化物、酸化物、炭窒化物、炭酸化物、窒酸化物、炭窒酸化物が用いられる。
また、物理蒸着層は、IVa族元素、Va族元素、VIa族元素、SiおよびAlからなる群から選択された少なくとも1種の元素の窒化物、炭化物、酸化物、炭窒化物、酸窒化物または炭窒酸化物から構成されることが好ましい。このような構成とした場合には、耐摩耗性、耐熱性、化学的安定性および耐溶着性などの性能に優れ、特に耐磨耗性に優れた被覆層を形成することができる傾向にある。特に、組成が異なる物理蒸着層を2層以上積層した場合には、上記の性能を兼ね備えた被覆層とすることができる傾向が大きくなる点でより好ましい。
たとえば、逃げ面の耐摩耗性と耐熱性に優れるTiAlNまたはAlCrNからなる物理蒸着層と、耐クレータ摩耗性と耐溶着性に優れるTiCNまたはAl23からなる物理蒸着層とを組み合わせた場合には、耐摩耗性、耐熱性および耐溶着性に優れた被覆層を得ることができる。
また、単層の厚さが2nm以上20nm以下の互いに組成が異なる2種以上の上記物理蒸着層を繰り返して超多層膜は、超多層膜を構成する各単層を超える耐摩耗性および耐熱
性などの優れた特性を発揮するため好ましい。
また、物理蒸着層の少なくとも1層がTi(チタン)を含む化合物からなることが好ましい。この場合には、本発明の表面被覆切削工具を旋削用として用いた場合に耐摩耗性を向上することができる。
ここで、物理蒸着層がTiNからなる場合には、硬度および化学的安定性に優れたバランスの良い物理蒸着層とすることができる傾向にある。また、物理蒸着層がTiCNからなる場合には、上記のTiNからなる物理蒸着層と比べて、さらに耐摩耗性を高めることができるとともに、耐溶着性に優れる傾向にある。さらに、Tiを含む化合物からなる物理蒸着層が酸素を含む場合には、耐摩耗性が向上するとともに、化学的安定性および耐熱性も向上させることができる傾向にある。
また、Tiを含む化合物としては、たとえば、Ti、(Ti1-xAlx)、(Ti1-xCrx)、(Ti1-xMox)、(Ti1-xZrx)、(Ti1-xSix)、(Ti1-xHfx)、(Ti1-xNbx)、(Ti1-xx)、または(Ti1-x-yAlxSiy)の窒化物、炭窒化物、窒酸化物または炭窒酸化物(式中x、yは1以下の任意の数)等(これらにさらにB、Cr等を含むものも含む)をその好適な組成として例示することができる。なお、上記において、窒素、酸素、炭素の原子比は特に限定されず、従来公知の原子比をいずれも採用できる。
Tiを含む化合物としてより好ましくは、TiCN、TiN、TiSiN、TiSiCN、TiAlN、TiAlCrN、TiAlSiN、TiAlSiCrN、TiBN、TiAlBN、TiSiBN、TiBCN、TiAlBCN、TiSiBCN、TiV、TiNb、TiMo、TiHf、TiW等を挙げることができる。なお、これらの組成中、各原子比は上記一般式の例に倣うものとする。なお、本発明において、他の化合物の化学式を示す場合において、特に原子比を示さない場合は従来公知の原子比を任意に選択できるものとする。
また、物理蒸着層がTiを含む化合物からなる場合には、物理蒸着層を構成する金属成分中におけるTiの組成比は、50原子%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90原子%以上であることがさらに好ましい。物理蒸着層を構成する金属成分中におけるTiの組成比が50原子%以上である場合、なかでも80%以上である場合、特に90原子%以上である場合には、耐摩耗性および化学的安定性に優れるとともに、Ti以外の金属成分を含む場合にはその金属成分の化合物の特性も加えられて、優れた特性を有する物理蒸着層とすることができる傾向にある。
ここで、金属成分としては、上記のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、B、SiおよびAlが挙げられる。また、金属成分中におけるTiの組成比は以下の式(1)で算出される。
金属成分中におけるTiの組成比(原子%)=100×(Tiの原子数)/(IVa族元素の総原子数+Va族元素の総原子数+VIa族元素の総原子数+Bの原子数+Siの原子数+Alの原子数) …(1)
たとえば、物理蒸着層がTiNにCrおよびVの少なくとも一方を添加した(Ti,Cr,V)N膜からなる場合には、摺動性に優れる傾向にある。また、物理蒸着層がTiNにSiおよびAlの少なくとも一方を添加した(Ti,Si,Al)N膜からなる場合には、耐酸化性と耐摩耗性に優れる傾向にある。また、物理蒸着層がTiNにHfを添加した(Ti,Hf)N膜からなる場合には、耐摩耗性と耐溶着性に優れる傾向にある。また、物理蒸着層がTiNにWを添加した(Ti,W)N膜からなる場合には、耐アブレシブ
摩耗に優れる傾向にある。また、物理蒸着層がTiNにZr、TaおよびMoの少なくとも1種を添加した(Ti,Zr,Ta,Mo)N膜からなる場合には、耐摩耗性に優れるとともに、高温での潤滑性にも優れる傾向にある。また、物理蒸着層がTiNにNbを添加した(Ti,Nb)N膜からなる場合には、高温での潤滑性に特に優れる傾向にある。また、物理蒸着層が10原子%未満のNbを添加した(Ti,Nb)N膜からなる場合には、耐溶着性に加えて、耐摩耗性も向上する傾向にある。
特に、物理蒸着層がTiの炭窒化物からなる場合には摺動性および耐溶着性に優れるため、低硬度の被削材の低速加工に優れた特性を有する傾向にある。また、物理蒸着層がTiの酸窒化物または炭酸窒化物である場合には耐摩耗性および耐熱性に優れ、高硬度の被削材の加工や高速加工に優れる傾向にある。
物理蒸着層は、たとえば、カソードアークイオンプレーティング法、バランストマグネトロンスパッタリング法またはアンバランストマグネトロンスパッタリング法などのPVD法で形成されるが、マイナスに帯電した金属イオンを基材に印加したバイアス電圧で引き込むことで、形成途中の物理蒸着層に入射する金属イオンのエネルギを大きくすることができる。この形成途中の金属イオンの衝撃により物理蒸着層に歪みが形成されて、物理蒸着層に小さな圧縮残留応力あるいは小さな引張残留応力に発生させることが可能であるため、結果として、被覆層の靭性が向上し、ひいては表面被覆切削工具の刃先部の強度を被覆層の無い状態に比べて大幅に向上させることが可能となる。なお、物理蒸着層に小さな圧縮残留応力を生じさせるためにはバイアス電圧を小さくする必要があるが、バイアス電圧が小さい場合には緻密な組織が形成されずに被覆層全体の靭性や耐摩耗性が低くなる傾向にある。そこで、バイアス電圧にパルスDC電圧を用いたり、高い成膜圧力や高い成膜温度を採用してそれを補うことによって、小さな圧縮残留応力を有しながら緻密で結晶性の高い組織からなる被覆層の作製を可能としている。
また、旋削加工は連続加工であるため、刃先部の強度はあまり必要とはされないが、たとえば切削加工の開始時および穴や溝のある被削材の加工時などにおいては、断続加工の要素も一般的には含んでおり、その際に表面被覆切削工具の刃先部に衝撃が発生する。
CVD法で形成された被覆層は、被覆層と基材との熱膨張係数の差による引張残留応力が含まれており、断続加工による衝撃に非常に弱い。被覆層の表面の亀裂を起点として亀裂が衝撃により大きく進展し、基材に到達することによって、表面被覆切削工具の刃先部の強度が、被覆層が無い場合と比べて大きく低下する。
一方、PVD法で形成された物理蒸着層の小さな圧縮残留応力あるいは小さな引張残留応力は、刃先部の強度を向上することにより、高送り加工や、高硬度の被削材の加工および高速加工において、表面被覆切削工具の寿命と信頼性を大きく向上することができる傾向にある。
<物理蒸着層の結晶性>
本発明においては、物理蒸着層のミクロな結晶性を高めることにより、大幅に被覆層の耐摩耗性を向上させて高耐摩耗性の表面被覆切削工具を得ている。このような表面被覆切削工具は高能率で高速な切削加工を可能とし、高硬度な被削材や高強度な被削材の切削加工において工具寿命を大幅に延長することができる。
本発明者が鋭意検討した結果、物理蒸着層のミクロな結晶性は、X線回折法によるX線回折ピークの回折強度と大きく相関していることが判明した。そして、物理蒸着層のミクロな結晶性を高めるためには、物理蒸着層のX線回折法によるX線回折ピークの回折強度を大きくすれば良いことも判明した。
特に、被覆層を構成する物理蒸着層の各層のX線回折法によるX線回折ピークの最大の回折強度の和Icと、基材のX線回折法によるX線回折ピークの最大の回折強度Isubとの比Ic/Isubが1以上100以下、特に10以上90以下である場合に、物理蒸着層のミクロな結晶性が高まり、優れた耐摩耗性を有する被覆層が形成されることが判明した。なお、X線回折法としては、従来から公知のθ−2θ法が用いられる。
ここで、被覆層が1層の物理蒸着層から構成される場合には、その1層の物理蒸着層のX線回折法によるX線回折ピークのうち最大の回折強度を有するX線回折ピークの回折強度をその和Icとし、基材のX線回折法によるX線回折ピークの最大の回折強度Isubとの比Ic/Isubが1以上100以下(特に10以上90以下)とされる。また、被覆層が複数の物理蒸着層から構成される場合には、被覆層を構成する物理蒸着層のそれぞれの層についてX線回折法による最大の回折強度を有するX線回折ピークを採取し、その最大の回折強度を足し合わせた和をIcとして、基材のX線回折法によるX線回折ピークの最大の回折強度Isubとの比Ic/Isubが1以上100以下(特に10以上90以下)とされる。
なお、上記の比Ic/Isubが1未満である場合には、物理蒸着層のミクロな結晶性が低くなりすぎて被覆層の耐摩耗性が向上しない。また、上記の比Ic/Isubが100を超える場合には物理蒸着層のミクロな結晶性のみならず、被覆層全体にわたって歪みがなく結晶性の高い過剰に均質な構成となっているため、結晶粒内に小さなクラックが発生すると、一気にクラックが進展し、結果として被覆層の靭性が低下してしまう。また、上記の比Ic/Isubが10以上90以下である場合には被覆層の耐摩耗性および靭性がさらに向上する傾向にある。
本発明のようなミクロな結晶性の高い物理蒸着層とすることにより、徐々に結晶粒の摩耗が進むアブレシブな摩耗に対してはミクロな結晶性の高さによる高い耐摩耗性が発揮され、また、結晶粒微小なクラックから進展する摩耗に対してはPVD法によって導入された被覆層全体のマクロな歪みによって一気にクラックが進展するのが抑制される。
ミクロな結晶性が低い場合には耐摩耗性が損なわれ、被覆層全体の結晶性が高い場合には、微小なクラックに起因して靭性を低下させてしまう。
特に、物理蒸着層の結晶構造が立方晶型である場合には、立方晶型の結晶構造は耐摩耗性に優れ、また異方性がなく機械的に弱い結晶方位を有しないことから、ミクロな結晶性を向上させることによる特性の向上効果が大きくなる傾向にある。
さらに、物理蒸着層の結晶構造が立方晶型である場合に、物理蒸着層の最大の回折強度を有するX線回折ピークが、(111)面、(200)面、(220)面または(311)面に対応するピークである場合(すなわち、低次の結晶面の回折強度が大きい場合)には、優れた耐摩耗性を有することになる。
特に、物理蒸着層の最大の回折強度を有するX線回折ピークが(200)面に対応するピークである場合には、非常に優れた耐摩耗性とすることができる点でより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<表面被覆切削工具の作製>
まず、表面被覆切削工具の基材として、以下の表1に示す材質と工具形状を有する旋削加工用刃先交換型チップ基材を用意した。
ここで、実施例1〜32および比較例1〜4の超硬合金からなる基材としては材種がM20超硬合金(Co:10質量%)からなり、工具形状が型番CNMG120408形状(ISO規格)からなる旋削加工用刃先交換型チップ基材を用いた。
また、実施例33〜40および比較例5のサーメットからなる基材としては材種がP20サーメットからなり、工具形状が型番CNMG120408形状(ISO規格)からなる旋削加工用刃先交換型チップ基材を用いた。
また、実施例41〜44および比較例6のcBN焼結体からなる基材は後述の旋削耐摩耗性試験用のものと一部断続のある旋削耐欠損性試験用のものとに分けて、それぞれ以下のようにして作製した。
旋削耐摩耗性試験用のcBN焼結体からなる基材は以下のようにして作製した。まず、TiN0.7とAlとが80:20(質量比)の割合で配合した結合粉末を超硬合金製ポットおよびボールを用いて混合することによって結合材を得た。次に、この結合材とcBN粉末とを40:60(体積比)となるように配合し、Mo製容器に充填し、圧力5.2GPa、温度1750Kで15分間焼結して焼結体を得た。このようにして得られた焼結体の抗折力をJIS規格に記載の方法で測定したところ105kgf/mm2であった。そして、材種が上記の焼結体からなり、工具形状がSNGN120408型(ISO規格)に加工された旋削加工用刃先交換型チップ基材とした。
一部断続のある旋削耐欠損性試験用のcBN焼結体からなる基材は以下のようにして作製した。まず、Co、Al、WCおよびTiNを43:30:25:2(質量比)の割合で配合した結合粉末を超硬合金製ポットおよびボールを用いて混合することによって結合材を得た。次に、この結合材とcBN粉末とを12:88(体積比)となるように配合し、Mo製容器に充填し、圧力5.2GPa、温度1750Kで15分間焼結した。このようにして得られた焼結体の抗折力をJIS規格に記載の方法で測定したところ105kgf/mm2であった。そして、材種が上記の焼結体からなり、工具形状がSNGN120408型(ISO規格)に加工された旋削加工用刃先交換型チップ基材とした。
なお、表1の工具形状の欄における「A」の表記は型番CNMG120408形状(ISO規格)の工具形状を示しており、「B」の表記はSNGN120408型(ISO規格)の工具形状を示している。
Figure 0005261018
次に、上記の旋削加工用刃先交換型チップ基材について純水を用いた超音波洗浄を行なった後に、それぞれ成膜装置に装着した。
続いて、真空ポンプにより成膜装置のチャンバー内を2時間かけて2×10-4Paの圧力まで減圧するとともに、その成膜装置内に設置されたヒーターにより上記基材の温度を1時間かけて600℃まで加熱した。
次に、アルゴンガスを300ccmの流量で成膜装置のチャンバー内に導入してチャンバー内の圧力を7Paに保持し、上記基材に950VDCのバイアス電圧をかけて、グロー放電を発生させてアルゴンイオンで基材の表面をエッチングした。その後、アルゴンガスを排気した。
続いて、表1の第1層の使用蒸発源の欄に記載されている、あらかじめ成膜装置にセットした蒸発源を用い、成膜装置のチャンバー内に表1の第1層のガスの欄に記載のガスを同欄に記載の流量(ccm)で導入して、表1の第1層の形成方法の欄に記載の方法で、上記の基材上に直接接するように第1層の物理蒸着層を形成した。その後、チャンバー内のガスを排気した。なお、実施例12、13、40および45については、表1の第1層の使用蒸発源の欄に記載されている2種類の蒸発源を交互に用いることによって第1層として超多層膜を形成した。
次に、表1の第2層の使用蒸発源の欄に記載されている、あらかじめ成膜装置にセットした蒸発源を用い、成膜装置のチャンバー内に表1の第2層のガスの欄に記載のガスを同欄に記載の流量(ccm)で導入して、表1の第2層の形成方法の欄に記載の方法で、上記の第1層上に直接接するように第2層の物理蒸着層を形成した。その後、チャンバー内のガスを排気した。なお、実施例12および13については、表1の第2層の使用蒸発源の欄に記載されている2種類の蒸発源を交互に用いることによって第2層として超多層膜を形成した。また、実施例14〜18、33〜45および比較例5〜6については第2層を形成しなかった。
次に、表1の第3層の使用蒸発源の欄に記載されている、あらかじめ成膜装置にセットした蒸発源を用い、成膜装置のチャンバー内に表1の第3層のガスの欄に記載のガスを同欄に記載の流量(ccm)で導入して、表1の第3層の形成方法の欄に記載の方法で、上記の第2層上に直接接するように第3層の物理蒸着層を形成した。その後、チャンバー内のガスを排気した。なお、実施例12、14〜18、33〜45および比較例5〜6については第3層を形成しなかった。
最後に、チャンバー内の基材の温度を200℃にまで冷却した後に取り出すことによって、実施例1〜45および比較例1〜6の表面被覆切削工具として旋削加工用刃先交換型チップをそれぞれ作製した。なお、比較例4については、上記の第1層〜第3層のすべてを熱CVD法で形成することによって旋削加工用刃先交換型チップを作製した。
なお、表1の形成方法の欄のアークの表記はアークイオンプレーティング法を示しており、表1の形成方法の欄のスパッタの表記はアンバランストマグネトロンスパッタリング法を示している。
アークイオンプレーティング法による第1層〜第3層の形成は、上記のガスをチャンバー内に導入した後にチャンバー内の圧力を20Paとし、上記の蒸発源で真空アーク放電を発生させることにより行なった。ここで、真空アーク放電を発生させるためのアーク電流は60Aとした。なお、アークイオンプレーティング法による実施例1〜11および比較例1〜3の第1層の形成時間は1時間〜10時間の範囲で変更された。
また、アンバランストマグネトロンスパッタリング法による第1層〜第3層の形成は、
上記のガスをチャンバー内に導入した後にチャンバー内の圧力を10Paとし、上記の蒸発源を放電させることにより行なった。ここで、スパッタ電力は20kWとし、パルスDC電圧のパルス周波数を100kHzとし、ON時間を1ミリ秒とし、OFF時間を9ミリ秒とした。
また、上記の第1層〜第3層の形成時における基材へのバイアス電圧としては、アークイオンプレーティング法およびアンバランストマグネトロンスパッタリング法のいずれの場合も、形成する層が導電性の場合には基材に−35VのDC電圧を印加し、形成する層が絶縁性の場合にはパルス周波数が50kHzで、ON時間が2ミリ秒、OFF時間が18ミリ秒、ON時間の電圧が−40V、OFF時間の電圧が+50VのパルスDC電圧を印加した。
なお、アークイオンプレーティング法による実施例15〜18の第1層の形成は、バイアス電圧を以下のようにして行なった。
実施例15:−40VのDC電圧
実施例16:−35VのDC電圧
実施例17:ON時間の電圧が−35Vでそれ以外は上記と同一の条件のパルスDC電圧実施例18:ON時間の電圧が−40Vでそれ以外は実施例17と同一の条件のパルスDC電圧
また、アークイオンプレーティング法による実施例26〜32の第1層はバイアス電圧を−55VのDC電圧として形成し、アークイオンプレーティング法による実施例26〜32の第2層はバイアス電圧を変更して形成した(実施例26:−20VのDC電圧、実施例27:−25VのDC電圧、実施例28:−30VのDC電圧、実施例29:−35VのDC電圧、実施例30:−40VのDC電圧、実施例31:−50VのDC電圧、実施例32:−55VのDC電圧)。さらに、アンバランストマグネトロンスパッタリング法による実施例26〜32の第3層はパルスDC電圧のON時間の電圧を−40Vで一定にする一方でOFF時間の電圧を以下のように変更して形成した。
実施例26:OFF時間の電圧が+60V
実施例27:OFF時間の電圧が+50V
実施例28:OFF時間の電圧が+40V
実施例29:OFF時間の電圧が+30V
実施例30:OFF時間の電圧が+20V
実施例31:OFF時間の電圧が+10V
実施例32:OFF時間の電圧が+5V
表2に、上記のようにして作製された実施例1〜45および比較例1〜6の旋削加工用刃先交換型チップの被覆層の構成を示す。
Figure 0005261018
なお、表2の基材、第1層、第2層および第3層の結晶構造は、通常のX線回折法(θ−2θ法)により得られたX線回折パターンから、立方晶型、六方晶型または非晶質のいずれのX線回折パターンであるかを判断した。
また、表2の基材の最大強度ピークおよびIsubならびに第1層〜第3層の最大強度ピークおよびIcoat1〜Icoat3はそれぞれ、通常のX線回折法(θ−2θ法)により得られたX線回折パターンから、最大の回折強度を有するX線回折ピークがどの結晶面に相当するピークであるかを求めて表2の最大強度ピークの欄に記載するとともに、その最大の回折強度を読み取って表2のIsubおよびIcoat1〜Icoat3にそれぞれ記載した。
なお、被覆層が複数層からなる場合には、各層のX線回折ピークをそれぞれ抜き出し、各層の最大の回折強度を有するX線回折ピークの最大の回折強度を読み取ってそれぞれIcoat1〜Icoat3とした。また、各層のX線回折ピークが重なっている場合には、ピーク分離を行なって、それぞれのX線回折ピークの回折強度を読み取った。
また、表2の第1層〜第3層の組成の欄の金属成分の組成比についてはSEM(走査型電子顕微鏡)付帯のEDX(エネルギー分散型X線分析)装置またはTEM(透過型電子顕微鏡)付帯のEDX装置により分析した。また、表2の第1層〜第3層の組成の欄の炭素(C)と窒素(N)の組成比についてはXPS(X線光電子分光)装置により分析した。
また、表2の層厚は、旋削加工用刃先交換型チップの刃先部の垂直断面を切り出し、実施例12、13、40および45の第2層の超多層膜の層厚はそれぞれTEM観察により刃先部の各層の層厚を測定することにより求め、その他の層厚はSEM観察により刃先部の各層の層厚を測定することにより求めた。
また、表3に、上記のようにして基材上に形成された第1層〜第3層からなる被覆層全体の厚さ(総膜厚)、残留応力、IcおよびIc/Isubの値をそれぞれ示す。
Figure 0005261018
ここで、表3の総膜厚は、表2の第1層〜第3層の層厚をすべて足し合わせた値である。
また、表3の残留応力は、上記の基材と測定用の超硬板にそれぞれ上記と同様にして第1層〜第3層を同時に形成した後の反り量の比較により求めた。また、表3における応力の欄の「−」は層に圧縮残留応力が生じていることを意味し、「−」の右に位置する数値は層の圧縮残留応力の大きさを表わしている。
また、表3のIcは表2のIcoat1〜Icoat3の値をすべて足し合わせたものであり、表3のIc/Isubは表3のIcの値を表2のIsubの値で割ったものである。
<実施例1〜32および比較例1〜4の旋削加工用刃先交換型チップの評価>
実施例1〜32および比較例1〜4の超硬合金からなる基材を用いた旋削加工用刃先交換型チップについては、以下の条件により旋削耐摩耗性試験と一部断続のある旋削耐欠損性試験を行なった。その結果を表4に示す。
なお、実施例1〜32および比較例1〜4の旋削加工用刃先交換型チップの旋削耐摩耗性試験においては、逃げ面摩耗量が0.15mmとなるまでの時間を測定してその時間を旋削耐摩耗性試験の工具寿命(分)とした。したがって、表4の旋削耐摩耗性試験の欄の数値が大きいほど耐摩耗性に優れていることを示している。
また、実施例1〜32および比較例1〜4の旋削加工用刃先交換型チップの一部断続のある旋削耐欠損性試験においては、工具が欠損するまでの時間を測定してその時間を一部断続のある旋削耐欠損性試験の工具寿命(分)とした。したがって、表4の一部断続のある旋削耐欠損性試験の欄の数値が大きいほど耐欠損性(靭性)に優れていることを示している。
(実施例1〜32および比較例1〜4の旋削耐摩耗性試験)
被削材:SCM435丸棒
切削速度:270m/min
切込み:2.0mm
送り:0.3mm/rev.
旋削方式:乾式
(実施例1〜32および比較例1〜4の一部断続のある旋削耐欠損性試験)
被削材:SCM435 4本溝入り丸棒(HB270)
切削速度:100m/min
切込み:1.0mm
送り:0.32mm/rev.
旋削方式:乾式
表4に示すように、実施例1〜32の旋削加工用刃先交換型チップは、比較例1〜4の旋削加工用刃先交換型チップと比較して、旋削耐摩耗性試験における工具寿命が長くなっているため、耐摩耗性に優れることが確認された。
<実施例33〜40および比較例5の表面被覆切削工具の評価>
実施例33〜40および比較例5のサーメットからなる基材を用いた旋削加工用刃先交換型チップについては、以下の条件により旋削耐摩耗性試験と一部断続のある旋削耐欠損性試験を行なった。その結果を表4に示す。
なお、実施例33〜40および比較例5の旋削加工用刃先交換型チップの旋削耐摩耗性試験においては、逃げ面摩耗量が0.15mmとなるまでの時間を測定してその時間を旋削耐摩耗性試験の工具寿命(分)とした。したがって、表4の旋削耐摩耗性試験の欄の数値が大きいほど耐摩耗性に優れていることを示している。
また、実施例33〜40および比較例5の旋削加工用刃先交換型チップの一部断続のある旋削耐欠損性試験においては、工具が欠損するまでの時間を測定してその時間を一部断続のある旋削耐欠損性試験の工具寿命(分)とした。したがって、表4の一部断続のある旋削耐欠損性試験の欄の数値が大きいほど耐欠損性(靭性)に優れていることを示している。
(実施例33〜40および比較例5の旋削耐摩耗性試験)
被削材:SCM435丸棒
切削速度:180m/min
切込み:1.5mm
送り:0.25mm/rev.
旋削方式:乾式
(実施例33〜40および比較例5の一部断続のある旋削耐欠損性試験)
被削材:SCM435 4本溝入り丸棒(HB270)
切削速度:100m/min
切込み:1.0mm
送り:0.15mm/rev.
旋削方式:乾式
表4に示すように、実施例33〜40の旋削加工用刃先交換型チップは、比較例5の旋削加工用刃先交換型チップと比較して、旋削耐摩耗性試験および一部断続のある旋削耐欠損性試験における工具寿命が長くなっているため、耐摩耗性および耐欠損性(靭性)に優れることが確認された。
<実施例41〜45および比較例6の表面被覆切削工具の評価>
実施例41〜45および比較例6のcBN焼結体からなる基材を用いた旋削加工用刃先交換型チップについては、以下の条件により旋削耐摩耗性試験と一部断続のある旋削耐欠損性試験を行なった。その結果を表4に示す。
なお、実施例41〜45および比較例6の旋削加工用刃先交換型チップの旋削耐摩耗性試験においては、上記の旋削耐摩耗性試験用の基材に実施例41〜45および比較例6の被覆層を形成した旋削加工用刃先交換型チップを用い、逃げ面摩耗量が0.2mmとなるまでの時間を測定してその時間を旋削耐摩耗性試験の工具寿命(分)とした。したがって、表4の旋削耐摩耗性試験の欄の数値が大きいほど耐摩耗性に優れていることを示している。
また、実施例41〜45および比較例6の旋削加工用刃先交換型チップの一部断続のある旋削耐欠損性試験においては、上記の一部断続のある旋削耐欠損性試験用の基材に実施例41〜45および比較例6の被覆層を形成した旋削加工用刃先交換型チップを用い、工具が欠損するまでの時間を測定してその時間を一部断続のある旋削耐欠損性試験の工具寿命(分)とした。したがって、表4の一部断続のある旋削耐欠損性試験の欄の数値が大きいほど耐欠損性(靭性)に優れていることを示している。
(実施例41〜45および比較例6の旋削耐摩耗性試験)
被削材:硬度HRC63の焼入鋼(SUJ2材)の丸棒
切削速度:150m/min
切込み:0.2mm
送り:0.1mm/rev.
旋削方式:乾式
(実施例41〜45および比較例6の一部断続のある旋削耐欠損性試験)
被削材:外周6箇所にV字状の溝を有する浸炭焼き入れした硬度HRC60のSCM−415材
切削速度:150m/min
切込み:0.2mm
送り:0.1mm/rev.
旋削方式:乾式
表4に示すように、実施例41〜45の旋削加工用刃先交換型チップは、比較例6の旋削加工用刃先交換型チップと比較して、旋削耐摩耗性試験および一部断続のある旋削耐欠損性試験における工具寿命が長くなっているため、耐摩耗性および耐欠損性(靭性)に優れることが確認された。
Figure 0005261018
なお、上記の表2〜表4の比1〜比4の表記はそれぞれ比較例1〜比較例4を示してお
り、上記の表2〜表4の1〜45の表記はそれぞれ実施例1〜実施例45を示している。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の表面被覆切削工具の一例の刃先部近傍の模式的な拡大断面図である。
符号の説明
1 表面被覆切削工具、2 基材、3 被覆層、4 逃げ面、5 すくい面、6 稜線部。

Claims (9)

  1. 基材と、該基材上に形成される被覆層とを含む表面被覆切削工具であって、
    前記被覆層は、厚さが2nm以上20nm以下の互いに組成が異なる2種以上の物理蒸着層が繰り返し積層された超多層膜を含み、
    前記表面被覆切削工具の少なくとも刃先部における前記被覆層の厚さが17μm以上50μm以下であって、
    前記物理蒸着層はそれぞれ、IVa族元素、Va族元素、VIa族元素、B、SiおよびAlからなる群から選択された少なくとも1種の元素のホウ化物、窒化物、炭化物、酸化物、炭窒化物、窒酸化物または炭窒酸化物からなり、
    前記物理蒸着層の各層のX線回折法によるX線回折ピークの最大の回折強度の和Icと、前記基材のX線回折法によるX線回折ピークの最大の回折強度Isubとの比Ic/Isubが1以上100以下であることを特徴とする表面被覆切削工具。
  2. 前記Ic/Isubが10以上90以下であることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
  3. 前記物理蒸着層の結晶構造が立方晶型であり、
    前記物理蒸着層の前記最大の回折強度を有するX線回折ピークが、(111)面、(200)面、(220)面または(311)面に対応するピークであることを特徴とする請求項1または2に記載の表面被覆切削工具。
  4. 前記物理蒸着層の前記最大の回折強度を有する前記X線回折ピークが(200)面に対応するピークであることを特徴とする請求項に記載の表面被覆切削工具。
  5. 前記被覆層全体の残留応力が+1Gpa〜−1Gpaであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  6. 前記被覆層を構成する前記物理蒸着層の少なくとも1層がTiを含む化合物からなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  7. 前記基材は、超硬合金、サーメットまたはcBN焼結体であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  8. 前記基材は、超硬合金であって、
    前記超硬合金は、WCの結晶粒を含み、
    前記結晶粒の平均粒径は、0.3μm以上2.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  9. 前記表面被覆切削工具は、旋削用に用いられることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
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