JP4405835B2 - 表面被覆切削工具 - Google Patents

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Description

本発明は、ドリル、エンドミル、フライス加工用刃先交換型チップ、旋削用刃先交換型チップ、メタルソー、歯切工具、リーマまたはタップなどの切削工具に関し、特にその表面に耐摩耗性被膜を形成した切削工具に関する。
表面被覆切削工具としては、たとえば、耐摩耗性および表面保護機能改善のため、WC基超硬合金、サーメットまたは高速度鋼などの硬質基材の表面に、硬質被覆層として、(AlxTi1-x-ySiy)(Cz1-z)(ただし、0.05≦x≦0.75、0.01≦y≦0.1、0.6≦z≦1)のようなAlTiSi系の被膜が形成された切削工具が知られている(特許文献1参照)。
しかし、最近の切削工具の動向として、地球環境保全の観点から、切削油剤を用いないドライ加工が求められていること、被削材が多様化していること、加工能率を一層向上させるため切削速度がより高速になってきていることなどから、工具の刃先温度はますます高温になる傾向があり、その結果、工具寿命が短くなるので、工具材料に要求される特性は厳しくなる一方である。
乾式の高速切削加工において良好な性能を示す切削工具としては、たとえば、Siを適量含有したTiを主成分とする窒化物、炭窒化物、酸窒化物もしくは酸炭窒化物と、TiとAlを主成分とする窒化物、炭窒化物、酸窒化物もしくは酸炭窒化物を、TiSi系窒化物などの微細組織構造が、Tiを主成分とする窒化物、炭窒化物、酸窒化物もしくは酸炭窒化物中に、Si34およびSiが独立相として存在するように、それぞれ一層以上交互に被覆し、Tiを主体とする窒化物層を基材表面直上に形成した切削工具が提案されている(特許文献2参照)。 特許文献2によれば、従来のTiAlN膜では、切削加工時の表面酸化で形成されるアルミナ層は、酸素の内向拡散に対し酸化保護膜として機能するものの、動的な切削加工においては、最表面のアルミナ層は、その直下のポーラスなTi酸化物層より容易に剥離してしまい酸化の進行に対して十分でないが、TiSi系被膜は膜自体の耐酸化性が極めて高いだけではなく、最表面にSiを含む非常に緻密なTiとSiの複合酸化物が形成される。したがって、従来問題となっていたポーラスなTi酸化物層が形成されないので、性能が向上するとある。さらに、TiAl系被膜の直上にTiSi系被膜を形成することが重要であるとしている。
また、TiAlN膜よりも耐摩耗性に優れた被膜として、(Alb,[Cr1-αα]c)(C1-dd)からなる被膜または、(Ma,Alb,[Cr1-αα]c)(C1-dd)(ただし、MはTi、Nb、W、TaまたはMo)からなる被膜が知られている(特許文献3参照)。これらは、金属成分のうち、Alを多く含有させ、CrおよびVを添加することで、常温常圧で準安定相である立方晶のAlNを形成し、硬度と耐酸化特性を向上させている。
しかし、切削過程において、高速加工、高能率加工または完全に潤滑油剤を使用しないドライ加工を行うためには、上述の高温下での被膜の安定性および高硬度特性のみでは不十分である。すなわち、いかに特性の優れる膜を、剥離や欠損を発生させずに、密着性よく長時間にわたって基材表面に維持させるかが重要である。
図1(a)に、切削工具の刃先の典型的な構造を模式的に示す。図1(a)に示すように、刃先は、すくい面1と逃げ面2によって構成され、多くの場合、刃先のくさび角θは鋭角または直角である。図1(a)には、くさび角θが鋭角である例を示す。表面被覆切削工具の場合、刃先の基材3に被膜4を形成すると、図1(a)に示されるように、すくい面膜厚aと逃げ面膜厚bに比べ、刃先先端部の膜厚cが最も厚くなる。
つぎに、刃先の理想的な摩耗の進行を、図1(b)〜(d)に示す。工具としての理想的な摩耗は、図1(b)に示すように、まず刃先先端部の被膜が除々に摩耗し、やがて図1(c)のように基材3に達する。その後、さらに摩耗が進行し、図1(d)に示すように、ついには被膜4と基材3が共に露出する。
しかし、発明者らが詳細に工具摩耗部を調査した結果、刃先先端の実際の摩耗は、上述のように理想的には進行せず、図1(e)に示すように、切削開始初期に欠損が生じ、刃先先端部分が既に基材まで無くなっており、基材3が完全に露出していることがわかった。また、欠損により露出した部分の基材は既に酸化しており、上記参考文献のようにいくら膜の耐酸化性および耐摩耗性を高めても、切削初期に基材が露出してしまっては、工具寿命を著しく向上させることは難しいと考えられる。
特許第2793773号公報 特許第3347687号公報 特開2003−34859号公報
本発明の課題は、ドリル、エンドミル、フライス加工用刃先交換型チップ、旋削用刃先交換型チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タップなどの切削工具における耐摩耗性の向上した表面被覆切削工具を提供することにある。
高速加工またはドライ加工といった過酷な条件での切削工具においては、被膜の耐酸化性を向上させることはもちろんであるが、切削初期に起こる刃先の欠損やチッピング、すなわち基材の露出をいかに抑制させるかが非常に重要である。
本発明者らは、被膜の耐欠損性(耐チッピング性)を向上させることを目的として、各種被膜および積層体の構成を検討した結果、工具最表面に役割の異なる2層の被膜が形成されていると、切削性能が向上するという知見を得るに至った。すなわち、弾性回復率の高い最表面層を形成した工具では、図1(f)に示すように、切削初期に刃先が欠損することなく、被膜が摩耗し、内層の耐摩耗性被膜5の欠損を抑制することができるので、長寿命化を図ることができた。そこで、本発明者らは、被膜の耐欠損性(耐チッピング性)を向上させることにより、切削性能が向上するという知見に基づき、さらに鋭意研究を重ねた結果、ついに本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の表面被覆切削工具は、基材表面の直上に耐摩耗性被膜が被覆され、耐摩耗性被膜の直上に耐酸化性被膜が被覆された工具であって、
耐摩耗性被膜が、Tiと、AlまたはSiのいずれか1種類以上の元素と、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素と、により構成される化合物からなり、
耐酸化性被膜が、Alと、CrまたはVまたはSiのいずれか1種類以上の元素と、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素と、により構成される化合物からなることを特徴とする。
耐摩耗性被膜は、(Ti1-x-yAlxSiy)(ただし、0≦x≦0.7、0≦y≦0.2、x+y≠0)と、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素と、により構成される化合物からなる態様が好ましい。また、耐摩耗性被膜は、Tiと、Siと、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素と、により構成される化合物からなる態様がより好ましい。一方、耐酸化性被膜は、(Al1-a-b-cCrabSic)(ただし、0≦a≦0.4、0≦b≦0.4、0≦c≦0.2、a+b+c≠0)と、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素と、により構成される化合物からなる工具が好ましく、耐酸化性被膜は、(Al1-a-b-cCrabSic)(ただし、0≦a≦0.4、0<b≦0.4、0≦c≦0.2、a+b+c≠0)と、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素と、により構成される化合物からなるものがより好ましい。また、耐摩耗性被膜および耐酸化性被膜のうち少なくとも一方は、Bを10原子%以下含む態様が好ましい。
耐酸化性被膜は、その膜厚の1/10以下の押し込み深さになるような押し込み荷重を負荷したときのナノインデンテーション法による硬さ試験において、最大押し込み深さをhmaxとし、荷重除荷後の押し込み深さをhfとした場合、(hmax−hf)/hmaxが、0.2以上0.7以下であるものが好ましい。このナノインデンテーション法による硬さ試験において、硬さが、20GPa以上50GPa以下である工具がより好ましい。
耐摩耗性被膜および耐酸化性被膜の膜厚の合計は、0.8μm以上15μm以下が好ましく、耐摩耗性被膜の膜厚は、2μmを超え10μm以下が好ましい。また、耐摩耗性被膜の圧縮残留応力は、−6GPa以上0GPa以下が好適であり、耐酸化性被膜の結晶構造は、立方晶である態様が好ましい。
本発明の表面被覆切削工具の基材は、WC基超硬合金、サーメット、高速度鋼、セラミックス、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体、窒化硅素焼結体、または酸化アルミニウムと炭化チタンからなる混合体のいずれかが好適である。また、本発明の表面被覆切削工具は、ドリル、エンドミル、フライス加工用刃先交換型チップ、旋削用刃先交換型チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、またはタップとして有用である。
耐摩耗性被膜は、物理的蒸着法により形成されたものが好ましく、物理的蒸着法としては、アーク式イオンプレーティング法またはマグネトロンスパッタリング法が好適である。
本発明によれば、耐摩耗性に優れ、寿命の長い表面被覆切削工具を提供することができる。
<表面被覆切削工具>
本発明の表面被覆切削工具は、基材表面の直上に耐摩耗性被膜を形成し、この耐摩耗性被膜の直上に耐酸化性被膜を有することを特徴とする。切削工具の基材表面に、耐摩耗性被膜を形成するとともに、その上に弾性回復率の高い最表面層を形成することにより、切削初期における欠損を抑制し、切削性能の向上と長寿命化を図ることができる。
本発明の表面被覆切削工具は、特に、ドリル、エンドミル、フライス加工用刃先交換型チップ、旋削用刃先交換型チップ、メタルソー、歯切工具、リーマまたはタップなどの切削工具として好適である。
<基材>
表面被覆切削工具に用いられる基材は、WC基超硬合金、サーメット、高速度鋼、セラミックス(炭化硅素、窒化硅素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムなど)、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体、窒化硅素焼結体、または酸化アルミニウムと炭化チタンからなる混合体のいずれかであることが好ましい。
<被膜>
基材の表面に直接形成する耐摩耗性被膜は、Tiと、AlまたはSiのいずれか1種類以上の元素と、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素とにより構成される化合物からなる。また、耐摩耗性被膜の直上に形成される耐酸化性被膜は、Alと、CrまたはVまたはSiのいずれか1種類以上の元素と、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素とにより構成される化合物からなることを特徴とする。
さらに好ましくは、基材表面に直接被覆される耐摩耗性被膜は、(Ti1-x-yAlxSiy)(ここで、0≦x≦0.7、0≦y≦0.2、x+y≠0)と、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素とにより構成される化合物からなる。種々の検討の結果、Tiを含む膜は、基材との密着力が向上することから、基材に直接被覆する被膜の構成元素としてTiは必要である。
Alを含有することで、耐酸化特性が向上することから、Al量xを0≦x≦0.7と規定する。被膜中にAlが存在すると、被膜の耐酸化性が向上する点で好ましいが、xが0.7を超えると、被膜の硬度が低下するので逆に摩耗は促進される。
Siを含有することで、被膜硬度が向上するので、Si量yを0≦y≦0.2と規定する。被膜中にSiが存在すると、被膜の硬度が向上するので好ましいが、yが0.2を超えると、被膜が脆くなり、逆に摩耗は促進される。また、合金ターゲットを熱間静水圧加圧処理で作製する場合、Si量yが0.2を超えて含有させると、ターゲットが焼成中に割れてしまい、コーティングに使用可能な材料強度が得られない。さらに好ましくは、被膜中のSi量yは0.05≦y≦0.15である。また、AlとSiのうち、Alを含まず、TiSiと、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素と、により構成される化合物からなる耐摩耗性被膜は、表面が酸化した場合、緻密な酸化物が形成される点および基材との密着性が向上する点で、特に好ましい。
耐摩耗性被膜の上には、Alと、CrまたはVまたはSiのいずれか1種類以上の元素と、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素と、により構成される化合物からなる耐酸化性被膜が被覆される。さらに好ましくは、耐酸化性被膜は、(Al1-a-b-cCrabSic)(ただし、0≦a≦0.4、0≦b≦0.4、0≦c≦0.2、a+b+c≠0)と、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素と、により構成される化合物からなる。
金属成分として、Tiを含まず、Alを主成分とすることが特徴である。Alを含有することで、耐酸化特性が向上するとともに、熱伝導率が高くなり、切削加工時の発熱を工具表面から逃がすことができる。また、Alを含有させることにより、表面での潤滑性能に起因すると考えられるが、耐溶着性能が向上するので、切削抵抗も減少し、切りくず排出性も向上する。
Siを除く、CrとVの含有量は、(Al1-a-bCrab)(ただし、0≦a≦0.4、0≦b≦0.4、0≠a+b≦0.4)と規定する。aおよびbを、0≦a≦0.4、0≦b≦0.4(ただし0≠a+b≦0.4)と規定しているのは、aおよびbが0.4を超えると、被膜の硬度が低下し、耐摩耗性が低下するためである。さらに好ましくは、0≦a≦0.4、0<b≦0.4、a+b≦0.4であり、特に、0.3<a+b<0.4が好ましい。
膜中にVがあると、切削時の高温環境で被膜表面が酸化される際、Vの酸化物は低融点であるので、切削時の潤滑剤として作用し、被削材の凝着を抑える効果が期待できる。一方、Crは、表面に緻密な酸化物層を形成し、酸化保護膜として機能するために含有させるのが好ましいが、Vと異なり、表面の潤滑性を維持するためCrを含有させずに構成することもできる。
CrとVを添加することにより、常温常圧で準安定相である立方晶のAl化合物が形成できる。たとえば、窒化物であるAlNを例にとると、通常は六方晶であるが、準安定相である立方晶となった場合の推定格子定数は4.12Åである。これに対して、常温常圧で立方晶が安定相であるCrNおよびVNの格子定数は4.14Åであり、非常に立方晶のAlNと近い。したがって、その引き込み効果によりAlNは立方晶化して、高硬度化する。このため、耐酸化性被膜の結晶構造は、立方晶である態様が好ましい。
耐酸化性被膜は、Siを含有することで、被膜硬度が向上するので、Si量cを0≦c≦0.2と規定する。被膜中にSiが存在すると、被膜の組織が200〜500nmの柱状から、100nm以下の針状へ微細化するととともに、被膜の硬度が向上するので好ましい。しかし、cが0.2を超えると、被膜が脆くなり、逆に摩耗は促進される。また、成膜に用いる合金ターゲットを熱間静水圧加圧処理で作製する場合、Si量cを0.2を超えて含有させると、ターゲットが焼成中に割れてしまい、コーティングに使用可能な材料強度が得られない。さらに好ましくは、被膜中のSi量cは、0.05以上0.15以下である態様が好ましい。
耐摩耗性被膜および耐酸化性被膜のうち少なくとも一方は、Bを10原子%以下含んでいる態様が好ましい。Bが被膜中に含まれると、メカニズムはわかっていないが、さらに高硬度な被膜が得られる。また、切削中の表面酸化によって形成されるBの酸化物が、特にAlの酸化物を緻密化することからも好ましい。さらに、Bの酸化物は低融点であるので、切削時の潤滑剤として作用し、Ti合金の凝着を抑える効果も奏する。しかし、Bの含有量が多くなりすぎると、Siの場合と同様に、ターゲット作製が困難となる。したがって、Bの含有量は、10原子%以下が好ましく、0.1原子%以上、5原子%以下がより好ましい。
<ナノインデンテーション法を利用した数値限定>
耐酸化性被膜に対し、その膜厚の1/10以下の押し込み深さになるように制御された押し込み荷重を負荷したときのナノインデンテーション法による硬さ試験において、最大押し込み深さhmaxとし、荷重除荷後の押し込み深さ(圧痕深さ)をhfとした場合、(hmax−hf)/hmaxが、0.2以上0.7以下である態様が好ましい。
ここで、まず、ナノインデンテーション法について説明する。ナノインデンテーション法は、文献「トライボロジスト、2002年、第47巻、第3号、p.177−183」に詳しく説明されているように、硬さの試験方法の一種である。ナノインデンテーション法は、従来のヌープ硬度測定法(マイクロヌープ法)またはビッカース硬度測定法(マイクロビッカース法)といった押し込み後の圧痕形状から硬度を求める手法と異なり、圧子の押し込み時の荷重と深さの関係から、硬度またはヤング率を求める方法である。
これらの試験方法の比較を表1に示す。従来のヌープ硬度測定法またはビッカース硬度測定法では、押し込み荷重Fが50mN〜10Nと大きかったことから、押し込み深さhが100nm以上となるため、被膜のみの物性評価ではなく、下地基材の影響を受けていた。なお、本明細書における押し込み深さhとは、表1に示すように、荷重をかけて圧子を押し込んだ場合の圧子の先端部分から被膜の表面(圧子により荷重がかけられていない表面部分)までの距離をいう。
Figure 0004405835
上記文献でも指摘されているように、被膜だけの硬度評価を行なうためには、膜厚の約1/10以下の押し込み深さでの測定が必要である。たとえば、1μmの被膜を対象とした場合、押し込み深さは100nm以下としなければならない。また、従来法では、圧痕の大きさを光学顕微鏡での観察により測定するため、圧痕形状を判別するときの測定精度に難点がある。これに対して、ナノインデンテーション法では、機械的に深さを求めるので、正確な測定が可能である。したがって、本明細書においては、膜圧の1/10以下の押し込み深さになるような押し込み荷重を負荷したときのナノインデンテーション法による硬さ試験を採用する。
また、上記の条件下でのナノインデンテーション法による硬さ試験において、圧子を被膜表面に押し込んだ時の荷重と押し込み深さとの関係を概念的に図2に示す。この方法では、圧子駆動部に変位計を設置し、圧子の押し込み深さhを連続的に測定しながら、荷重を最大荷重Pmaxまで除々に増加させ、最大押し込み荷重Pmaxとなったときの押し込み深さhを、最大押し込み深さhmaxとして測定する。その後、荷重ゼロまで除荷させた時の押し込み深さを、荷重除荷後の押し込み深さhfとして測定する。
従来法であるマイクロヌープ法またはマイクロビッカース法では、図2のhf、すなわち荷重除荷後の圧痕形状を測定していた。しかし、かかる方法では上記のとおり測定精度に難点がある。これに対して、ナノインデンテーション法では、最大押し込み深さをhmaxと荷重除荷後の押し込み深さhfを測定することにより、(hmax−hf)から被膜の弾性回復量がわかる。弾性回復量が大きいければ、弾性変形しやすく、小さければ弾性変形しにくい。
本発明では、弾性回復量を表す指標として弾性回復率、すなわち(hmax−hf)/hmaxに注目した。実際の合金の切削で、工具寿命の延長を図るには刃先、特に被膜のチッピング性や欠損性を向上させることが重要である。この点、上記の弾性回復量(hmax−hf)の大きい材料を見いだすことができれば、切削時に刃先にかかる負荷に対して、被膜材料の変形が追随するため、特に切削初期に発生するチッピングや欠損を抑制することが可能となる。
図1(f)に示すように、本発明の表面被覆切削工具では、最上層の耐酸化性被膜6の耐チッピング性が優れることから、基材3と密着して被覆される耐摩耗性被膜5のチッピングが抑えられる。したがって、上述の特許文献1および特許文献3におけるような1層に近い被膜と比較して、耐チッピング性は著しく向上する。本発明のかかる効果を得るためには、このような被膜の構成順序が非常に重要である。
具体的な測定としては、膜厚の1/10以下の押し込み深さになるように制御された押し込み荷重を負荷したときのナノインデンテーション法による硬さ試験において、最大押し込み深さをhmaxとし、荷重除荷後の押し込み深さ(圧痕深さ)をhfとし、これらを測定して、(hmax−hf)/hmaxを求める。
本発明の耐酸化性被膜は、(hmax−hf)/hmaxが0.2以上0.7以下となる態様が好ましい。(hmax−hf)/hmaxが0.2未満であると、切削時の衝撃で刃先のチッピングが発生しやすくなる。一方、(hmax−hf)/hmaxが0.7を超えると、被膜の硬度が低下する。
耐酸化性被膜は、膜厚の1/10以下の押し込み深さになるように制御された押し込み荷重を負荷したときのナノインデンテーション法による硬さ試験において、硬さが20GPa以上50GPa以下である態様が好ましい。硬さが20GPa未満では、硬度が低く、耐摩耗性が問題となる。一方、硬度は高い方が好ましいが、硬度が50GPaを超えると、被膜に蓄積する残留圧縮応力が高くなり、切削前に刃先稜線部における膜の剥離が発生しやすくなる。
耐摩耗性被膜および耐酸化性被膜の膜厚の合計は、0.8μm以上15μm以下が好ましい。膜厚が0.8μm未満では、耐摩耗性の向上が十分ではなく、膜厚が15μmを越えると、被膜中の残留応力が大きくなり、基材との密着強度が低下しやすい。さらに、耐摩耗性の観点から、耐摩耗性被膜の膜厚は、2μmを超える態様が好ましく、3μm以上がより好ましい。また、耐摩耗性被膜の膜厚は、耐欠損性の観点から、10μm以下が好ましく、6μm以下がより好ましい。本明細書においては、膜厚は、表面被覆切削工具を切断し、その断面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察し、測定する。
耐摩耗性被膜の圧縮残留応力は、−6GPa以上0GPa以下が好ましい。圧縮残留応力が0GPaを超えると、被膜に引張応力が残留し、被膜に亀裂が入りやすくなるとともにチッピング性および欠損性が低下しやすい。また、圧縮残留応力が−6GPa未満となると、被膜中の残留応力が大きくなり、基材との密着強度が低下しやすい。
耐摩耗性被膜を基材表面に形成する方法は、結晶性の高い化合物からなる膜を形成することができるプロセスとすることが望ましい。種々の成膜方法を検討した結果、本発明の表面被覆切削工具の製造には、物理的蒸着法が好適である。
物理的蒸着法としては、アーク式イオンプレーティング法またはマグネトロンスパッタリング法が特に好ましい。マグネトロンスパッタリング法には、バランスドマグネトロンスパッタリング法およびアンバランスドマグネトロンスパッタリング法などが好適である。とりわけ、原料元素のイオン率が高い点で、カソードアークイオンプレーティング法が適している。
カソードアークイオンプレーティング法を用いると、耐摩耗性被膜を形成する前に、基材表面に対して金属のイオンボンバードメント処理が可能となるため、被膜の密着性が格段に向上する。したがって、被膜の密着性という意味からも、カソードアークイオンプレーティング法が好ましい。
本発明の表面被覆切削工具は、低硬度ではあるが、結晶構造が六方晶系である最表面層をさらに形成すると好ましい。かかる最表面層は、Alと、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素により構成される化合物からなるものが好適である。高硬度被膜の上に低硬度被膜を形成することにより、よりチッピング性や欠損性が向上する。
実施例1〜19
本発明の表面被覆切削工具について、実施例を挙げて具体的に説明する。実施例中の被覆の化合物組成は、XPS(X線光電子分光分析装置)によって確認し、硬度および弾性回復率は、ナノインデンタ(MTS社製 Nano Indenter XP)により確認した。表面被膜は、カソードアークイオンプレーティング法により形成しているが、バランスドまたはアンバランスドスパッタリング法によっても成膜することは可能である。
<表面被覆切削工具の作成>
まず、表面被覆切削工具の基材として、グレードがJIS規格P30の超硬合金であって、切削チップとしての形状が、JIS規格のSPGN120308のものを用意し、カソードアークイオンプレーティング装置に装着した。
つぎに、真空ポンプにより装置のチャンバ内を減圧するとともに、装置内に設置されたヒータにより基材を温度650℃に加熱し、チャンバ内の圧力が1.0×10-4Paとなるまで真空引きを行った。つぎに、アルゴンガスを導入してチャンバ内の圧力を3.0Paに保持し、基板バイアス電源の電圧を徐々に上げながら−1500Vとし、基材の表面のクリーニングを15分間行った。その後、アルゴンガスを排気した。
ついで、耐摩耗性被膜の化合物組成として、表2に示す化合物となるように、金属蒸発源である合金製ターゲットをセットした。反応ガスは、窒素、メタン、酸素または一酸化炭素のうちいずれか1種以上のガスを導入しながら、基材温度650℃、反応ガス圧2.0Pa、基板バイアス電圧を−60Vに維持したまま、カソード電極に100Aのアーク電流を供給し、アーク式蒸発源から金属イオンを発生させて、被膜を形成した。耐摩耗性被膜が、表2に記載した所定の膜厚となったとき、蒸発源に供給する電流をストップさせた。
Figure 0004405835
引き続き、耐摩耗性被膜の直上に、表2に示す耐酸化性被膜を形成した。被膜成分の金属蒸発源である合金製ターゲットをセットし、反応ガスとして窒素、メタン、酸素または一酸化炭素のうちいずれか1種以上のガスを導入しながら、基板温度650℃、反応ガス圧2.0Pa、基板バイアス電圧を−200Vに維持したまま、カソード電極に100Aのアーク電流を供給し、アーク式蒸発源から金属イオンを発生させて、被膜を形成した。耐酸化性被膜が、表2に示す所定の膜厚となったとき、蒸発源に供給する電流をストップさせた。
通常はこのまま除冷するが、本実施例では、耐酸化性被膜の形成終了と同時に、Heガスを導入し、チャンバ内に充満させて基材の急冷を行なった。このようにして、実施例1〜19の本発明にかかる表面被覆切削工具を得た。基材表面の被膜形成終了後、急冷することにより、詳細なメカニズムは解明されていないが、被膜中の結晶粒が微細化され、柱状組織から針状組織になり、弾性回復量が大きくなった。
得られた表面被覆切削工具の被膜について、耐摩耗性被膜と耐酸化性被膜との膜厚の合計(全膜厚)、硬度、弾性回復率((hmax−hf)/hmax)、残留応力および結晶性について評価した。その結果を表3に示す。
Figure 0004405835
<表面被覆切削工具の寿命評価>
実際に、表4に示す条件による乾式の連続旋削試験および断続旋削試験を行ない、刃先の逃げ面における摩耗量(mm)を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0004405835
比較例1と2
従来品に該当する表面被覆切削工具を、急冷しなかった点および耐酸化性被膜を形成しなかった点を除き、実施例1〜19と同様に作製し、同様に評価した。作製条件を表2に示す。また、評価の結果を表3に示す。
表3の結果から明らかなとおり、耐摩耗性被膜の上に耐酸化性被膜を形成しなかった比較例1と2の切削工具では、切削試験の結果、刃先に欠損の生じたものが多かった。これに対して、耐酸化性被膜を形成した実施例1〜19の切削工具では、刃先の欠損が生じたものはなく、逃げ面における摩耗量が格段に小さく、切削工具の寿命が大きく向上したことが確認された。
実施例20〜22
外径8mmのドリル(JIS K10超硬合金)を基材とした以外は、実施例1、10または12と同様にして表面被覆切削工具を作成した。得られた実施例20(実施例1と同様の被膜を形成した例)、実施例21(実施例10と同様の被膜を形成した例)および実施例22(実施例12と同様の被膜を形成した例)のそれぞれの表面被覆切削工具を用いて、SCM440(HRC30)のドリル穴開け加工を実際に行ない、寿命評価を行なった。
切削条件は、切削速度90m/分、送り量0.2mm/回とし、切削油剤の代わりにエアーブローを使用し、深さ24mmの止まり穴加工を行なった。また、寿命の判定は、被加工材の寸法精度が規定の範囲をはずれた時点とし、その時点までに加工できた穴の個数をもって評価した。その結果を表5に示す。
Figure 0004405835
比較例3と4
外径8mmのドリル(JIS K10超硬合金)を基材とした以外は、比較例1または2と同様にして表面被覆切削工具を作成した。得られた比較例3(比較例1と同様の被膜を形成した例)および比較例4(比較例2と同様の被膜を形成した例)のそれぞれの表面被覆切削工具を用いて、実施例20〜22と同様に、ドリル穴開け加工を実際に行ない、同様に寿命評価を行なった。その結果を表5に示す。
表5の結果から明らかなとおり、比較例3と4に比べて、実施例20〜22における本発明の表面被覆切削工具では、寿命が大きく向上していることが確認された。
実施例23〜25
外径8mmの6枚刃エンドミル(JIS K10超硬合金)を基材とした以外は、実施例1、10または12と同様にして表面被覆切削工具を作成した。得られた実施例23(実施例1と同様の被膜を形成した例)、実施例24(実施例10と同様の被膜を形成した例)および実施例25(実施例12と同様の被膜を形成した例)のそれぞれの表面被覆切削工具を用いて、SKD11(HRC60)のエンドミル側面切削加工を実際に行ない、寿命評価を行なった。
切削条件は、切削速度200m/分、送り0.03mm/刃、切り込み量Ad=12mm、Rd=0.2mmとし、切削油剤は用いず、エアーブローを使用した。また、寿命は、被加工材の寸法精度が規定の範囲をはずれるまでの加工長さで判定した。その結果を表6に示す。
Figure 0004405835
比較例5と6
外径8mmの6枚刃エンドミル(JIS K10超硬合金)を基材とした以外は、比較例1と2と同様にして表面被覆切削工具を作成した。得られた比較例5(比較例1と同様の被膜を形成した例)および比較例6(比較例2と同様の被膜を形成した例)のそれぞれの表面被覆切削工具を用いて、実施例23〜25と同様に切削加工し、同様に寿命を評価した。その結果を表6に示す。
表6の結果から明らかなとおり、比較例5と6に比べて、実施例23〜25における本発明のエンドミルでは、寿命が大きく向上していることが確認された。
実施例26〜28
まず、超硬合金製ポットおよびボールを用いて、40質量%のTiNと10質量%のAlからなる結合材粉末と、50質量%のcBN粉末(平均粒径2.5μm)を混ぜ合わせ、超硬製容器に充填し、圧力5GPa、温度1400℃で60分間焼結した。得られたcBN焼結体を加工し、ISO規格SNGA120408の形状を有する切削用チップを得た。
得られたチップを基材とした以外は、実施例1、10または12と同様にして表面被覆切削工具を作成した。得られた実施例26(実施例1と同様の被膜を形成した例)、実施例27(実施例10と同様の被膜を形成した例)および実施例28(実施例12と同様の被膜を形成した例)のそれぞれの表面被覆切削工具を用いて、焼入鋼の1種であるSUJ2の丸棒(HRC62)の外周旋削加工を行なった。
切削条件は、切削速度120m/分、切り込み0.2mm、送り0.1mm/回とし、乾式で40分間切削を行ない、逃げ面における初期面粗度と、寿命としてRz=3.2μmとなるまでの時間を調べた。その結果を表7に示す。
Figure 0004405835
比較例7と8
実施例26〜28で使用したcBN焼結体からなる切削チップを基材とした以外は、比較例1または2と同様にして表面被覆切削工具を作成した。得られた比較例7(比較例1と同様の被膜を形成した例)および比較例8(比較例2と同様の被膜を形成した例)のそれぞれの表面被覆切削工具を用いて、実施例26〜28と同様に外周旋削加工を行ない、同様に評価した。その結果を表7に示す。
表7の結果から明らかなとおり、比較例7と8に比べて、実施例26〜28における本発明の表面被覆切削工具では、寿命が大きく向上していることが確認された。
実施例29
グレードがJIS規格S20の超硬合金であって、チップ形状がJIS規格のCNMG120408である基材を用いた以外は、実施例12と同様にして表面被覆切削工具を作成した。得られた表面被覆切削工具を用いて、水溶性エマルジョンによる湿式の連続旋削試験を実際に行なった。切削条件は、被削材としてTi合金(Ti−6Al−4V)(HB=310)を用い、切削速度80m/分、送り量0.2mm/回、切り込み1mmとし、刃先の逃げ面における摩耗量が0.2mmとなるまでの時間を測定した。
比較例9と10
実施例29で使用した超硬合金からなる切削チップを基材とした以外は、比較例1または2と同様にして表面被覆切削工具を作成した。得られた比較例9(比較例1と同様の被膜を形成した例)および比較例10(比較例2と同様の被膜を形成した例)のそれぞれの表面被覆切削工具を用いて、実施例29と同様に湿式連続旋削試験を実際にを行ない、同様に評価した。
評価の結果、実施例29の工具によれば、刃先の逃げ面における摩耗量が0.2mmとなるまでに、25分間の切削が可能であったのに対して、比較例9では1分間でチッピングし、比較例10では2分間で刃先がチッピングしたため加工を中断した。このことから、本発明の切削チップでは寿命が大きく向上していることが確認された。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
ドリル、エンドミル、フライス加工用刃先交換型チップ、旋削用刃先交換型チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タップなどとして使用する長寿命の切削工具を提供することができる。
切削工具の刃先の摩耗および欠損の状態を示す模式図である。 ナノインデンテーション法による硬さ試験における、圧子を被膜表面に押し込んだ場合の荷重と押し込み深さとの関係を概念的に示した図である。
符号の説明
1 すくい面、2 逃げ面、3 基材、4 被膜、5 耐摩耗性被膜、6 耐酸化性被膜。

Claims (13)

  1. 基材表面の直上に耐摩耗性被膜が被覆され、該耐摩耗性被膜の直上に耐酸化性被膜が被覆された表面被覆切削工具であって、
    前記耐摩耗性被膜が、Tiと、AlまたはSiのいずれか1種類以上の元素と、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素と、により構成される化合物からなり、
    前記耐酸化性被膜が、(Al 1-a-b-c Cr a b Si c )(ただし、0≦a≦0.4、0<b≦0.4、0.05≦c≦0.2、a+b+c≠0)と、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素と、により構成される化合物からなり、
    前記耐酸化性被膜は、該被膜の膜厚の1/10以下の押し込み深さになるような押し込み荷重を負荷したときのナノインデンテーション法による硬さ試験において、最大押し込み深さをhmaxとし、荷重除荷後の押し込み深さをhfとした場合、(hmax−hf)/hmaxが、0.2以上0.7以下であることを特徴とする表面被覆切削工具。
  2. 前記耐摩耗性被膜は、(Ti1-x-yAlxSiy)(ただし、0≦x≦0.7、0≦y≦
    0.2、x+y≠0)と、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素と、により構成される化合物からなることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
  3. 前記耐摩耗性被膜が、Tiと、Siと、窒素または炭素または酸素のいずれか1種類以上の元素と、により構成される化合物からなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  4. 前記耐摩耗性被膜および前記耐酸化性被膜のうち少なくとも一方は、Bを10原子%以下含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  5. 前記耐酸化性被膜は、該被膜の膜厚の1/10以下の押し込み深さになるような押し込み荷重を負荷したときのナノインデンテーション法による硬さ試験において、硬さが、20GPa以上50GPa以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  6. 前記耐摩耗性被膜および前記耐酸化性被膜の膜厚の合計は、0.8μm以上15μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  7. 前記耐摩耗性被膜の膜厚は、2μmを超え10μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  8. 前記耐摩耗性被膜の圧縮残留応力が、−6GPa以上0GPa以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  9. 前記耐酸化性被膜の結晶構造は、立方晶であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  10. 前記基材は、WC基超硬合金、サーメット、高速度鋼、セラミックス、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体、窒化硅素焼結体、または酸化アルミニウムと炭化チタンからなる混合体のいずれかであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  11. 前記表面被覆切削工具は、ドリル、エンドミル、フライス加工用刃先交換型チップ、旋削用刃先交換型チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、またはタップであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  12. 前記耐摩耗性被膜は、物理的蒸着法により形成されたことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  13. 前記耐摩耗性被膜は、アーク式イオンプレーティング法またはマグネトロンスパッタリング法により形成されたことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
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