JP2000087217A - 耐摩耗性に優れたTiN被覆摺動部材 - Google Patents

耐摩耗性に優れたTiN被覆摺動部材

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JP2000087217A
JP2000087217A JP25402598A JP25402598A JP2000087217A JP 2000087217 A JP2000087217 A JP 2000087217A JP 25402598 A JP25402598 A JP 25402598A JP 25402598 A JP25402598 A JP 25402598A JP 2000087217 A JP2000087217 A JP 2000087217A
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Tatsuya Yasunaga
龍哉 安永
Kenji Yamamoto
兼司 山本
Wataru Urushibara
亘 漆原
Atsushi Kato
淳 加藤
Toshiki Sato
俊樹 佐藤
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬度がHv300 〜800 である基材の表面にTiN
被覆層を有するTiN 被覆摺動部材であって、チッピング
が起こり難く、高面圧摺動条件においても充分な耐摩耗
性を有するTiN 被覆摺動部材を提供する。 【解決手段】 基材硬度がHv300 〜800 であると共に、
ダイヤモンドの三角錐圧子を荷重0gfから5gfへ連続負
荷し、更に荷重5gfから0gfへ連続除荷することにより
測定したTiN 被覆層表面のダイナミック硬度HD と塑性
変形硬度HP との差が800 〜1500kgf/mm2 であることを
特徴とする耐摩耗性に優れたTiN 被覆摺動部材、及び、
スクラッチ試験での音波発生最低荷重Laが30N以上で
あり、且つ、TiN 被覆層の破壊の大きさが直径10μm に
達する荷重Lcと前記Laとの差が50N以上であること
を特徴とする耐摩耗性に優れたTiN 被覆摺動部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性に優れた
TiN被覆摺動部材に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】各種機械の摺動部分は激しい摩耗環境に
さらされ、この部分の摩耗により各部品あるいは機械全
体の交換を余儀無くされる場合が多い。近年、このよう
な部材の表面に気相コーティングによりTiNを被覆
し、部材の耐摩耗性を向上させる検討が多数行われてお
り、かかる技術は特公昭63−19590号公報、特開
昭62−56564号公報等に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般にTiN被覆層は
硬度がHv1800〜2000程度と硬い反面、脆いの
で、切削工具等の如く、ある程度硬い基材に被覆した場
合は、優れた耐摩耗性が得られるが、硬度がHv300
〜800である一般的な金属材料に被覆した場合は、基
材の変形に追随できずにチッピングが起こりやすく、高
面圧摺動条件では充分な摩耗抑制効果が得られない。こ
のため、硬度がHv300〜800である一般的な金属
材料へのTiN被覆の適用は、基材の変形があまりおこ
らない低面圧摺動条件で使用される部品(例えば、エン
ジンバルブのカムを支える円板;シム等)に限られてお
り、高面圧摺動条件で使用される部品(例えば、軸受け
全般等)への適用は困難である。
【0004】チッピング特性は、基材の硬度(変形しや
すさ)と被覆層の弾性率、塑性変形特性及び割れ特性つ
まり亀裂伝搬(伝播)特性に影響される。このため基材
の硬度範囲にマッチする最適な被覆層の機械的特性を見
極める必要があるにもかかわらず、一般的なイオンプレ
ーティングやスパッタリング等では被覆層の機械的特性
を任意に変形させることが容易でないため、系統的な調
査は充分になされていない。また、被覆層の弾性率や亀
裂伝搬特性を精密に調べるのは困難であり、これらと耐
摩耗性との関係は充分に明らかにされていない。
【0005】本発明はこのような現状に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、硬度がHv300〜800
である基材の表面にTiN被覆層を有するTiN被覆摺
動部材であって、チッピングが起こり難く、高面圧摺動
条件においても充分な耐摩耗性を有するTiN被覆摺動
部材を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係るTiN被覆摺動部材は、請求項1〜
3記載のTiN被覆摺動部材としており、それは次のよ
うな構成としたものである。
【0007】すなわち、請求項1記載のTiN被覆摺動
部材は、硬度がHv300〜800である基材の表面に
TiN被覆層を有するTiN被覆摺動部材であって、ダ
イヤモンドの三角錐圧子を荷重0gfから5gfへ連続
負荷し、さらに荷重5gfから0gfへ連続除荷するこ
とにより測定したTiN被覆層表面のダイナミック硬度
D と塑性変形硬度HP との差が800〜1500kg
f/mm2 であることを特徴とする耐摩耗性に優れたT
iN被覆摺動部材である(第1発明)。
【0008】請求項2記載のTiN被覆摺動部材は、硬
度がHv300〜800である基材の表面にTiN被覆
層を有するTiN被覆摺動部材であって、半径200μ
m の半球状ダイヤモンド圧子を用いて荷重を連続的に変
化させながらTiN被覆層表面を引っかいていくスクラ
ッチ試験において音波発生が検出される最低荷重Laが
30N以上であり、且つ、TiN被覆層の破壊の大きさ
が直径10μm に達する荷重Lcと前記音波発生検出の
最低荷重Laとの差が50N以上であることを特徴とす
る耐摩耗性に優れたTiN被覆摺動部材である(第2発
明)。ここで、音波発生とは、音波のバックグランドの
2倍以上の強度の信号(音波)が出たことを意味する
(以下同様)。
【0009】請求項3記載のTiN被覆摺動部材は、前
記TiN被覆層が基材に印加するバイアス電位を−5〜
−20Vとしたアークイオンプレーティングにより形成
されてなる請求項1又は2記載の耐摩耗性に優れたTi
N被覆摺動部材である(第3発明)。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、例えば次のような形態
で実施する。硬度がHv300〜800である基材の表
面にアークイオンプレーティングによりTiNを被覆す
る。このとき、基材に印加するバイアス電位を−5〜−
20Vとする。そうすると、本発明に係るTiN被覆摺
動部材が得られる。
【0011】以下、本発明について主にその作用効果を
説明する。
【0012】本発明者らは、前述の如き現状に鑑み、バ
イアス電位を操作することにより被覆層の機械的特性を
広い範囲で容易に変化させ得るアークイオンプレーティ
ング法による実験を多数行った。そして、これにより得
られた被覆層の表面を、ナノインデンターによる方法
〔ナノインデンテーション(Nanoindentation )法〕、
即ち、ダイヤモンドの三角錐圧子を荷重0gfから5g
fへ連続負荷し、更に荷重5gfから0gfへ連続除荷
すること(方法)によって調べることにより、被覆層表
面の弾性率と塑性変形特性を調べ、又、音響検出器付き
のダイヤモンド圧子によるスクラッチ試験によって被覆
層表面の亀裂発生荷重と亀裂伝搬(伝播)特性を調べ
た。更に、これらの特性を種々変化させたときの摺動摩
耗特性を系統的に調べた。
【0013】上記のダイヤモンドの三角錐圧子を荷重0
gfから5gfへ連続負荷し、さらに荷重5gfから0
gfへ連続除荷すること(以降、ナノインデンターによ
る方法あるいはナノインデンテーション法ともいう)に
よる実験の結果、硬度がHv300〜800である基材
の表面にTiN被覆層を有するTiN被覆摺動部材にお
いて、ナノインデンターによる方法(即ち、ダイヤモン
ドの三角錐圧子を荷重0gfから5gfへ連続負荷し、
更に荷重5gfから0gfへ連続除荷すること)により
測定したTiN被覆層表面のダイナミック硬度HD と塑
性変形硬度HPとの差が800〜1500kgf/mm
2 であるときに、極めてチッピングが起こり難く、高面
圧摺動条件においても充分な耐摩耗性を有するという極
めて優れた摺動摩耗特性を示すことが明らかになった。
【0014】そこで、本発明に係るTiN被覆摺動部材
は、前述の如く、硬度がHv300〜800である基材
の表面にTiN被覆層を有するTiN被覆摺動部材であ
って、ダイヤモンドの三角錐圧子を荷重0gfから5g
fへ連続負荷し、さらに荷重5gfから0gfへ連続除
荷することにより測定したTiN被覆層表面のダイナミ
ック硬度HD と塑性変形硬度HP との差が800〜15
00kgf/mm2 であることを特徴とするものである
こととした(第1発明)。従って、このTiN被覆摺動
部材は、極めてチッピングが起こり難く、高面圧摺動条
件においても充分な耐摩耗性を有するという極めて優れ
た摺動摩耗特性を示す。
【0015】上記ナノインデンターの測定原理を図1に
示す。圧子(三角錐)1に0→5gfの連続増加荷重を
負荷したときの最大押し込み深さから最大接触面積A
max が求められ、5→0gfの連続減少除荷を行った後
の圧子1の最終押し込み深さから真実接触面積Ar が求
められる。この最大接触面積Amax から求められる硬度
がダイナミック硬度HD であり、真実接触面積Ar から
求められる硬度が塑性変形硬度HP である。尚、図1に
おいてSはサンプル(試料)である。
【0016】塑性変形硬度HP は表面が塑性変形した量
に対応しており、ダイナミック硬度HD は塑性変形した
量に弾性変形した量を加えたものである。従って、これ
ら両者の差(HD −HP )が大きいものは弾性変形が起
こっても塑性変形が起こり難く、表面に負荷された外力
による応力が被覆層中に蓄積され易いことを表してい
る。又、両者の差が小さいものは弾性変形が塑性変形に
転化し易く、外力による応力が被覆層に蓄積され難いこ
とを表している。
【0017】このため、ダイナミック硬度HD と塑性変
形硬度HP との差(HD −HP )が大きいものは、被覆
層中の応力集中によるチッピングが起こり易いが、この
ような差(HD −HP )が小さいものは、被覆層中の応
力が塑性変形に吸収されて応力集中が起こり難いので、
チッピングが起こり難く、基材硬度がHv300〜80
0程度である基材に被覆されて高面圧摺動条件において
使用される場合においても摺動摩耗特性に極めて優れて
いる。
【0018】一方、前記スクラッチ試験による実験の結
果、硬度がHv300〜800である基材の表面にTi
N被覆層を有するTiN被覆摺動部材において、半径2
00μm の半球状のダイヤモンド圧子を用いて荷重を連
続的に変化させながらTiN被覆層表面を引っかいてい
くスクラッチ試験において音波発生(すなわち、音波の
バックグランドの2倍以上の強度の音波(信号)の発
生)が検出される最低荷重Laが30N以上であり、且
つ、TiN被覆層の破壊の大きさが直径10μmに達す
る荷重Lcと前記音波発生検出の最低荷重Laとの差が
50N以上である場合に、極めてチッピングが起こり難
く、高面圧摺動条件においても充分な耐摩耗性を有する
という極めて優れた摺動摩耗特性を示すことが明らかに
なった。
【0019】そこで、本発明に係るTiN被覆摺動部材
は、前述の如く、硬度がHv300〜800である基材
表面にTiN被覆層を有するTiN被覆摺動部材であっ
て、半径200μm の半球状のダイヤモンド圧子を用い
て荷重を連続的に変化させながらTiN被覆層表面を引
っかいていくスクラッチ試験において音波発生が検出さ
れる最低荷重Laが30N以上であり、且つ、TiN被
覆層の破壊の大きさが直径10μm に達する荷重Lcと
前記音波発生検出の最低荷重Laとの差が50N以上で
あることを特徴とするものであることとした(第2発
明)。従って、このTiN被覆摺動部材は、極めてチッ
ピングが起こり難く、高面圧摺動条件においても充分な
耐摩耗性を有するという極めて優れた摺動摩耗特性を示
す。
【0020】前記スクラッチ試験の測定原理を図2に示
す。半径200μm の半球状ダイヤモンド圧子2に0→
100Nの連続荷重を100N/分の速度で負荷しなが
ら、試料Sを10mm/分で移動させる条件で試験を行
うのが一般的である。かかる圧子2には音響検出器3が
ついており、引っかきにより試料(サンプル)Sと圧子
2の間で発生する微弱な音波(Acoustic Emission )を
検出できる。このような音波は、顕微鏡観察では確認で
きないような微小な亀裂が発生したときに発生するもの
であり、これを検出することにより顕微鏡観察による被
覆層破壊の確認よりも早い段階(低荷重段階)での亀裂
発生挙動を調べることができる。尚、図2において4は
被覆層、5は基材を示すものである。
【0021】スクラッチ試験において音波が発生する最
低荷重(音波発生が検出される最低荷重)Laにおける
亀裂は顕微鏡では観察できない微小なものであるが、摺
動摩耗環境ではこのような微小な亀裂からクラックが伝
搬して、顕微鏡や肉眼でも観察できる大きな割れにつな
がる。従って、音波発生が検出される最低荷重Laと顕
微鏡で確認できる直径10μm 以上の割れが最初に起こ
る荷重(被覆層の破壊の大きさが直径10μm に達する
荷重)Lcとの差が小さいものは、微小亀裂から大きな
割れへのクラック伝搬が起こり易く、表面に負荷された
外力による被覆層の破壊が起こり易いことを示してい
る。又、両者の差(Lc−La)が大きいものは、微小
亀裂から大きな割れへのクラック伝搬が起こり難く、表
面に負荷された外力による被覆層の破壊が起こり難いこ
とを示している。
【0022】従来、スクラッチ試験により被覆層の特性
を調べるといった研究は盛んに行われているが、評価の
仕方は様々であって、被覆層の破壊により圧子にかかる
音波や摩擦抵抗の変化が起こる荷重をモニターした例
(菊地ら、真空、第29巻、第5号(1986)337 )、あ
るいは、破壊形態を顕微鏡で観察した例(Riviere ら、
Surface and Coatings Technology, 45 (1991) 83 )が
ある。しかし、本発明の場合のように、これら両者の評
価を組み合せて、圧子にかかる音波が発生する荷重ある
いは音波が発生する最低荷重Laと被覆層の破壊の大き
さが直径10μmに達する荷重Lcとを定量的に比較し
た例などは見られない。
【0023】LaとLcとの差(Lc−La)が小さい
ものは、摺動時の被覆層のチッピングが起こり易いが、
このような差(Lc−La)が大きいものは、被覆層の
チッピングが起こり難く、基材硬度がHv300〜80
0程度である基材に被覆されて高面圧摺動条件において
使用される場合においても摺動摩耗特性に極めて優れて
いる。但し、LaとLcの差が大きくなるとLaが低く
なる傾向があり、Laが30N未満になると摺動時の摩
耗が亀裂伝搬ではなく摺動相手材によるアブレッシブ摩
耗に支配されるようになり、耐摩耗性がかえって劣化し
てしまうので、Laは30N以上となるようにすること
が必要である。
【0024】以上の如き特性を充たして耐摩耗性に優れ
たTiN被覆層を得るには、バイアス電位により被覆層
の硬度及び残留応力等を広い範囲で容易に制御し得るア
ークイオンプレーティングを用い、適当なバイアス電位
でTiN被覆層を形成して得ることが有効である。
【0025】一般にアークイオンプレーティングによる
TiN被覆層は、切削工具のような硬い基材の耐摩耗性
を改善すること、或いは、エンジンバルブのカムを支え
る円板;シム等のように低面圧摺動条件で摩擦係数を低
減させることを目的として適用されるので、硬度をなる
べく高く(Hv2000以上に)し、その結果摩擦係数
がなるべく低くなるよう、−70〜−100Vの範囲の
バイアス電位が用いられている。−70V以上のバイア
ス電位は、被覆層の硬度を低下させ、摩擦係数を高くす
るので、従来採用されることはなかった。
【0026】しかし、−70〜−100Vの範囲の一般
的なバイアス電位では、被覆層表面のダイナミック硬度
D と塑性変形硬度HP との差が1600kgf/mm
2 以上となる。E.Vancoille らの実験(Thin Solid Fil
ms, 224 (1993)168 )では、アークイオンプレーティン
グにより被覆してなるTiN被覆層表面の塑性変形硬度
P は2382kgf/mm2 であり、一方、ダイナミ
ック硬度HD については記載はないが、負荷・除荷のヒ
ステリシス曲線からダイナミック硬度HD を計算すると
770kgf/mm2 となり、これら両者の差(HD
P )は1612kgf/mm2 となる。かかるTiN
被覆層を硬度Hv300〜800の基材に被覆すると、
摺動時の外力による応力が被覆層中に蓄積されてチッピ
ングが起こり易くなってしまう。
【0027】種々の実験を行った結果、アークイオンプ
レーティングにより硬度がHv300〜800である基
材へTiN被覆層を形成する場合、ダイナミック硬度H
D と塑性変形硬度HP との差が800〜1500kgf
/mm2 となるように、バイアス電位をこれまで使用さ
れることのなかった−5〜−20Vの範囲にすることが
有効であることが明らかになった。即ち、基材に印加す
るバイアス電位を−5〜−20Vとしたアークイオンプ
レーティングによりTiN被覆層を形成すると、ダイナ
ミック硬度HD と塑性変形硬度HP との差が800〜1
500kgf/mm2 であるTiN被覆層が得られるこ
とがわかった。
【0028】スクラッチ試験の結果においても、バイア
ス電位:−70〜−100Vで得られたTiN被覆層で
はLaとLcとの差が30N未満となり、チッピングが
起こり易くなるのに対し、バイアス電位:−5〜−20
Vで得られたTiN被覆層ではLaが30N以上となる
と共にLcとLaとの差が50N以上となることがわか
った。
【0029】故に、本発明に係るTiN被覆層は基材に
印加するバイアス電位を−5〜−20Vとしたアークイ
オンプレーティングにより形成するとよい。即ち、かか
るバイアス電位を採用したアークイオンプレーティング
によれば、確実に前記特性を有する本発明に係るTiN
被覆層を形成して得ることができる(第3発明)。
【0030】以下、本発明に係る数値限定理由について
主に説明する。
【0031】基材の硬度についてはHv300〜800
であるときが、部品全体の強度と靱性のバランスが最も
優れている。基材が軟らかすぎる場合は部品全体の強度
が充分出ず、又、表面が軟らかいので、TiNを被覆し
ても外圧により基材が変形して被覆層自体も割れ易くな
ってしまう。このため、基材の硬度は最低Hv300以
上必要であり、好ましくはHv350以上、より好まし
くはHv400以上であることが望ましい。
【0032】一方、基材が硬すぎる場合は部品全体の靱
性が悪くなり、部品自体が欠けたり折れたりしてしま
う。又、加工性も悪くなり、各種部品を作製するのが困
難になる。このため、基材の硬度はHv800以下であ
ることが必要であり、好ましくはHv700以下、より
好ましくはHv600以下であることが望ましい。
【0033】基材の硬度がHv300〜800であると
きのTiN被覆層の耐摩耗性と機械的特性との関係を調
べた。即ち、チタン合金や工具鋼等の金属を基材とし、
該基材にアークイオンプレーティングの際のバイアス電
位を変化させることにより、種々の特性を有するTiN
被覆層を形成した。各TiN被覆層の機械的特性をナノ
インデンターにより荷重範囲0〜5gfで測定し(ダイ
ヤモンドの三角錐圧子を荷重0gfから5gfへ連続負
荷し、さらに荷重5gfから0gfへ連続除荷すること
により測定し)、ダイナミック硬度HD と塑性変形硬度
P を求めた。又、各TiN被覆層の割れ特性をスクラ
ッチ試験により0〜100Nの荷重で測定し、音波発生
最低荷重Laと被覆層の破壊荷重(破壊の大きさが直径
10μmに達する荷重)Lcを求めた。更に、アルミナ
球を相手材として摺動試験を行い、該試験後の摺動溝を
顕微鏡により観察し、被覆層のダイナミック硬度HD
塑性変形硬度HP 、割れ特性(La、Lc)との関係を
調べた。
【0034】その結果、ダイナミック硬度HD と塑性変
形硬度HP との差が大きい場合、摺動時の基材の変形に
被覆層が追随できなくなり、被覆層に細かい割れが発生
しながらチッピングが起こることにより摩耗が進行する
ことを確認した。又、LaとLcとの差が小さい場合
も、これと同様のことを確認した。
【0035】チッピングが起こり難く、高面圧摺動条件
においても充分な耐摩耗性を有するようにするには、ダ
イナミック硬度HD と塑性変形硬度HP との差を150
0kgf/mm2 以下とする必要があり、好ましくは1
450kgf/mm2 以下、より好ましくは1400k
gf/mm2 以下とすることが望ましい。HD とHP
の差は小さいほどチッピングが起こり難くなるが、80
0kgf/mm2 未満になると、圧子の負荷が全て塑性
変形に転化されてアブレッシブ摩耗が激しくなるので、
D とHP との差を800kgf/mm2 以上とする必
要があり、好ましくは850kgf/mm2 以上、より
好ましくは900kgf/mm2 以上とすることが望ま
しいことがわかった。
【0036】LaとLcとの差が50N未満になるとチ
ッピングが起こり、50N以上になるとチッピングが起
こり難くなるので、LaとLcとの差は50N以上にす
る必要があり、好ましくは55N以上、より好ましくは
60N以上とすることが望ましい。LaとLcとの差が
大きいほどチッピングが起こり難くなるが、その増大と
同時にLaが小さくなる傾向があり、La:30N未満
となると摺動時の摩耗が亀裂伝播支配ではなく、アブレ
ッシブ摩耗となり、かえって摩耗特性が劣化することか
ら、Laは30N以上とする必要があり、好ましくは3
2N以上、より好ましくは35N以上とすることが望ま
しいことがわかった。
【0037】以上の如き特性を充たす耐摩耗性に優れる
TiN被覆層は、バイアス電位を−5〜−20Vとした
アークイオンプレーティングにより得ることができる。
このとき、TiN被覆層の特性をより高水準とするには
バイアス電位を−8〜−18Vにすることが好ましく、
さらに−10〜−15Vとすることが望ましい。
【0038】本発明において基材は硬度がHv300〜
800であることが必要であるが、基材の種類は特には
限定されず、基材として種々のものが使用でき、例えば
チタン合金や工具鋼等の金属を使用することができる。
【0039】
【実施例】(実施例1):〔基材硬度の影響〕 組成、組織を制御して硬度を変化させた各種チタン合
金、工具鋼を基材として用い、これに対してアークイオ
ンプレーティングによりTiNを被覆して、TiN被覆
摺動部材を作製した。このとき、基材に印加するバイア
ス電位を−10Vとした。ナノインデンターによる方法
(ダイヤモンドの三角錐圧子を荷重0gfから5gfへ
連続負荷し、更に荷重5gfから0gfへ連続除荷する
こと)により測定されたTiN被覆層のダイナミック硬
度HD と塑性変形硬度HP との差は900kgf/mm
2 であり、スクラッチ試験により測定された音波発生最
低荷重Laは40N、TiN被覆層が破壊する荷重(T
iN被覆層の破壊の大きさが直径10μm に達する荷
重)Lcは100N、LcとLaとの差は60Nであっ
た。
【0040】上記TiN被覆摺動部材をディスクとし、
アルミナ球(Hv1500)を相手材として、荷重10
N、摺動速度0.5m/秒、摺動距離200mの条件で
ボールオンディスク摩耗試験を行い、試験後の摺動溝の
幅から耐摩耗性を評価した。又、各基材の靱性を評価す
るため、基材(被覆無し)についてのシャルピー衝撃試
験を行い、試験温度0℃におけるシャルピー吸収エネル
ギーを比較した。
【0041】この結果を表1に示す。表1には各試験片
の基材硬度、摺動溝の幅、0℃における基材のシャルピ
ー吸収エネルギーが記載されている。尚、TiN被覆層
の硬度、残留応力は記載していないが、各試験片ともア
ークイオンプレーティング条件が同一であるのでTiN
被覆層の硬度、残留応力は同等である。表1からわかる
如く、TiN被覆層の硬度、残留応力は同等でも、基材
が軟らかいほど摺動溝の幅が大きくなっており、耐摩耗
性が低下している。これは、基材が軟らかいほど摺動時
の基材の変形が大きくなり、硬いTiN被覆層が基材の
変形に追随できずに細かく割れていくためである。
【0042】特に、基材の硬度がHv300以上になる
と摺動溝の幅が急激に小さくなり、さらに基材が硬くな
るにつれて徐々に小さくなっていく。従って、基材の硬
度はHv300以上であることが必要であり、好ましく
はHv350以上、より好ましくはHv400以上であ
ることが望ましい。
【0043】基材の硬度がHv600以上になると基材
のシャルピー吸収エネルギーが急激に小さくなり、Hv
800以上になると30J以下となる。基材のシャルピ
ー吸収エネルギーが小さくなると部品全体の靱性や加工
性が劣化するので、基材の硬度はHv800以下である
ことが必要であり、好ましくはHv700以下、より好
ましくはHv600以下であることが望ましい。
【0044】(実施例2):〔バイアス電位、TiN被
覆層のHD とHP の差の影響〕 SKD11工具鋼(硬度Hv700)を基材として用
い、これに対してアークイオンプレーティングによりT
iNを被覆してTiN被覆摺動部材を作製した。このと
き、基材に印加するバイアス電位を0〜−22Vと変化
させ、これによりTiN被覆層のダイナミック硬度HD
と塑性変形硬度HP を変化させた。TiN被覆層の厚み
は4μm とした。
【0045】上記TiN被覆摺動部材をディスクとし、
アルミナ球(Hv1500)を相手材として、荷重10
N、摺動速度0.5m/秒、摺動距離200mの条件で
ボールオンディスク摩耗試験を行い、試験後の摺動溝の
幅から耐摩耗性を評価した。
【0046】この結果を表2〜3に示す。表2〜3には
各試験片の作製時のバイアス電位、TiN被覆層の塑性
変形硬度HP 、ダイナミック硬度HD 、HD とHP との
差、摺動溝の幅が記載されている。
【0047】表2〜3からわかる如く、バイアス電位が
−20Vよりも低い場合は、TiN被覆層のチッピング
により摩耗幅(摺動溝の幅)が大きくなるが、バイアス
電位が−20V以上になると、摩耗幅が急激に減少して
おり、−18V、−15Vと高くなるにつれて摩耗幅が
小さくなっている。但し、バイアス電位が−5Vよりも
高いと、アブレッシブ摩耗が激しくなって摩耗幅が大き
くなっている。バイアス電位が−5V以下になると、摩
耗幅が急激に小さくなり、−8V、−10Vと低くなる
につれて、さらに摩耗幅が小さくなっている。
【0048】バイアス電位の変化に連動して、ダイナミ
ック硬度HD と塑性変形硬度HP の差(HD −HP )が
1500kgf/mm2 以下になると、摩耗幅が急激に
小さくなり、HD −HP が1450kgf/mm2 、1
400kgf/mm2 と小さくなるにつれて、さらに摩
耗幅が小さくなっており、耐摩耗性が向上している。但
し、HD −HP が800kgf/mm2 未満になると、
アブレッシブ摩耗が激しくなって摩耗幅が大きくなり、
耐摩耗性が劣化している。HD −HP が800kgf/
mm2 以上になると摩耗幅が急激に小さくなり、850
kgf/mm2、900kgf/mm2 と大きくなるに
つれて摩耗幅が小さくなり、耐摩耗性が向上している。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】(実施例3):〔主にTiN被覆層のLc
とLaの差、Laの影響〕 SKD11工具鋼(硬度Hv700)を基材として用
い、これに対してアークイオンプレーティングによりT
iNを被覆してTiN被覆摺動部材を作製した。このと
き、基材に印加するバイアス電位を0〜−22Vと変化
させ、これによりTiN被覆層の亀裂伝搬特性(La、
LcとLaの差)を変化させた。TiN被覆層の厚みは
4μm とした。
【0055】上記TiN被覆摺動部材をディスクとし、
アルミナ球(Hv1500)を相手材として、荷重10
N、摺動速度0.5m/秒、摺動距離200mの条件で
ボールオンディスク摩耗試験を行い、試験後の摺動溝の
幅から耐摩耗性を評価した。
【0056】この結果を表4〜5に示す。表4〜5には
各試験片の作製時のバイアス電位、一般的な半径200
μm の半球状ダイヤモンド圧子に0→100Nの連続荷
重を100N/分の速度で負荷しながらTiN被覆摺動
部材を10mm/分の速度で移動させてTiN被覆層表
面を引っかいていくスクラッチ試験を行ったときの音波
発生検出最低荷重La及びTiN被覆層の破壊の大きさ
が直径10μm に達する荷重Lc、LcとLaとの差、
摺動溝の幅が記載されている。
【0057】表4〜5からわかる如く、バイアス電位が
−20Vよりも低い場合は、TiN被覆層のチッピング
により摩耗幅(摺動溝の幅)が大きくなるが、バイアス
電位が−20V以上になると、摩耗幅が急激に減少して
おり、−18V、−15Vと高くなるにつれて摩耗幅が
小さくなっている。但し、バイアス電位が−5Vよりも
高いと、アブレッシブ摩耗が激しくなって摩耗幅が大き
くなっている。バイアス電位が−5V以下になると、摩
耗幅が急激に小さくなり、−8V、−10Vと低くなる
につれて、さらに摩耗幅が小さくなっている。
【0058】バイアス電位の変化に連動して、音波発生
検出最低荷重LaとTiN被覆層の破壊の大きさが直径
10μm に達する荷重Lcとの差(Lc−La)が50
N以上になると、摩耗幅が急激に小さくなり、Lc−L
aが55N、60Nと大きくなるにつれて、さらに摩耗
幅が小さくなっており、耐摩耗性が向上している。但
し、音波発生検出最低荷重Laが30N未満になると、
アブレッシブ摩耗が激しくなって摩耗幅が大きくなり、
耐摩耗性が劣化している。Laが30N以上になると摩
耗幅が急激に小さくなり、32N、35Nと大きくなる
につれて摩耗幅が小さくなり、耐摩耗性が向上してい
る。
【0059】
【発明の効果】本発明に係るTiN被覆摺動部材は、硬
度がHv300〜800である基材の表面にTiN被覆
層を有するTiN被覆摺動部材であって、チッピングが
起こり難く、高面圧摺動条件においても充分な耐摩耗性
を有しており、従って、高度の耐摩耗性を要する個所の
摺動部材や部品として好適に使用し得るばかりでなく、
特に高面圧摺動条件で使用される部材や部品であって比
較的高水準の靱性を要する(基材をHv300〜800
の一般的な金属材料で構成する必要がある)部材や部品
(例えば、軸受け全般等)として好適に使用し得、優れ
た耐摩耗性を発揮し、これらの部品や部材の使用可能寿
命を大幅に向上させることができるようになるという顕
著な効果を奏する。
【0060】即ち、Hv300〜800の基材の表面に
TiN被覆層を有するTiN被覆摺動部材に関し、従来
のものは、基材の変形があまり起こらない低面圧摺動条
件で使用される部品(例えば、エンジンバルブのカムを
支える円板;シム等)としての使用に限られており、高
面圧摺動条件ではチッピングが起こりやすいため、高面
圧摺動条件で使用される部材や部品(例えば、軸受け全
般等)として使用できなかったが、本発明に係るもの
は、高面圧摺動条件においてもチッピングが起こり難
く、耐摩耗性に優れているため、高面圧摺動条件で使用
される部材や部品としても好適に使用し得、その寿命を
著しく改善し得るようになるという顕著な効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ダイナミック硬度HD 及び塑性変形硬度HP
の測定原理を説明するための模式図である。
【図2】 スクラッチ試験法を説明するための模式図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 漆原 亘 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 加藤 淳 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 佐藤 俊樹 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 Fターム(参考) 4K029 AA02 BA60 BC02 BD04 CA03 CA13 DD06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬度がHv300〜800である基材の
    表面にTiN被覆層を有するTiN被覆摺動部材であっ
    て、ダイヤモンドの三角錐圧子を荷重0gfから5gf
    へ連続負荷し、さらに荷重5gfから0gfへ連続除荷
    することにより測定したTiN被覆層表面のダイナミッ
    ク硬度HD と塑性変形硬度HP との差が800〜150
    0kgf/mm2 であることを特徴とする耐摩耗性に優
    れたTiN被覆摺動部材。
  2. 【請求項2】 硬度がHv300〜800である基材の
    表面にTiN被覆層を有するTiN被覆摺動部材であっ
    て、半径200μm の半球状のダイヤモンド圧子を用い
    て荷重を連続的に変化させながらTiN被覆層表面を引
    っかいていくスクラッチ試験において音波発生が検出さ
    れる最低荷重Laが30N以上であり、且つ、TiN被
    覆層の破壊の大きさが直径10μm に達する荷重Lcと
    前記音波発生検出の最低荷重Laとの差が50N以上で
    あることを特徴とする耐摩耗性に優れたTiN被覆摺動
    部材。
  3. 【請求項3】 前記TiN被覆層が基材に印加するバイ
    アス電位を−5〜−20Vとしたアークイオンプレーテ
    ィングにより形成されてなる請求項1又は2記載の耐摩
    耗性に優れたTiN被覆摺動部材。
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