JP2007276271A - 木材切削用刃物 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来例のクロム窒化物被覆層を設けた刃物より、一層切れ味および寿命を改善した木材切削用刃物を提供する。
【解決手段】高速度工具鋼、高クロム合金工具鋼等の工具鋼および超硬合金のいずれかを刃物母材とする木材切削用刃物は、逃げ面および掬い面のいずれか一面または両面に金属成分のみの原子%が、Alが10%以上80%以下であり、残りCrで構成される窒化物または炭窒化物の被膜を有する。また、被膜と刃物母材の間に被膜と刃物母材の中間的な熱膨張係数を持つ層をさらに有することが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】高速度工具鋼、高クロム合金工具鋼等の工具鋼および超硬合金のいずれかを刃物母材とする木材切削用刃物は、逃げ面および掬い面のいずれか一面または両面に金属成分のみの原子%が、Alが10%以上80%以下であり、残りCrで構成される窒化物または炭窒化物の被膜を有する。また、被膜と刃物母材の間に被膜と刃物母材の中間的な熱膨張係数を持つ層をさらに有することが好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は木材切削に利用される回転切削用刃物および平削り用刃物等の木材切削用刃物に関する。
木材切削用刃物においても切れ味の改善、切削寿命の更なる延長を目的に、刃先への各種材料の被覆が行われるようになってきており、これまでにも多くの提案が見られる。
例えば、特願平1-75889号(特開平2-252501号公報参照)、特願平2-257864号(特開平4−135107号公報参照)において、高速度工具鋼、高クロム合金工具鋼等の工具鋼および超硬合金のいずれかを刃物母材とし、逃げ面または掬い面のいずれか1面に、CrN 、Cr2NまたはCrNとCr2Nの混合物からなるクロム窒化物 (以下、単に「クロム窒化物」と記す)の被覆層を厚さ0.5〜6.0μm(特願平1−75889号)または0.2〜6.0μm(特願平2−257864号)だけ設けた木材切削用刃物(回転切削用刃物または平削り用刃物)が開示されており、かかる被覆層を設けた木材切削用刃物は、被覆層側刃先の摩耗が抑えられ、従来の被覆層無しのものに比較して、切れ味および寿命に優れた効果が発揮されることが知られている。
特開平2−252501号公報
特開平4−135107号公報
被覆層を設けた木材切削用刃物は、被覆層側刃先の摩耗が抑えられ、従来の被覆層無しのものに比較して、切れ味および寿命に優れた効果が発揮されるものであるが、さらに、切れ味および寿命に優れた効果を持つ木材切削用刃物に対する強い要請がある。
したがって、本発明の目的は、上述のクロム窒化物被覆層を設けた刃物より、一層切れ味および寿命を改善した木材切削用刃物を提供することにある。
ところで、木材切削用刃物の切れ味および寿命は、一般に木材の切削肌の欠陥(目違い、毛羽立ち、逆目ぼれ)等の発生具合で判断される。一方、これは刃物の側からみれば刃先摩耗によって評価することができる。
この点に関し、前述の従来例の技術では、クロム窒化物を被覆し相応の効果が得られるが、本発明では更に優れた木材切削刃物を開発すべく、種々切削試験を繰り返し皮膜の耐酸化性、耐摩耗性および密着性に及ぼす、様々な元素の影響および皮膜の層構造について詳細な検討を行った結果、Alの所定濃度添加したクロム窒化物、炭窒化物(以下CrAl窒化物等と記す)層を設けることで、耐酸化性を向上させ、摩耗の進行をより効果的に抑制することができることを知り、本発明を完成した。
前述の目的を達成するために、本発明は、高速度工具鋼、高クロム合金工具鋼等の工具鋼および超硬合金のいずれかを刃物母材とする木材切削用刃物であって、逃げ面および掬い面のいずれか一面または両面に金属成分のみの原子%が、Alが10%以上80%以下であり、残りCrで構成される窒化物または炭窒化物の被膜を有することを特徴とする木材切削用刃物を採用するものである。
このように本発明によれば、逃げ面および掬い面のいずれか一面あるいは両面に金属成分のみの原子%が、Alが10%以上80%以下で残りCrで構成される窒化物、炭窒化物を被覆することで、切削肌の欠陥は効果的に防止され、より一層の寿命延長をはかることができるのであって、かかる効果は実用上からは特に著しい。
本発明の木材切削用刃物は、高速度工具鋼、高クロム合金工具鋼等の工具鋼および超硬合金のいずれかを刃物母材とする木材切削用刃物であって、逃げ面および掬い面のいずれか一面あるいは両面に金属成分のみの原子%が、Alが10%以上80%以下であり、残りCrで構成される窒化物、炭窒化物の被膜を有するものである。
次に、本発明の木材切削用刃物において、被膜中に含まれるAlの原子%が10%以上80%以下であるようにした理由を説明する。
まず、本発明において刃物母材として使用する高速度工具鋼、高クロム合金工具鋼等の工具鋼または超硬合金は、いずれもすでに刃物母材として良く知られているものであって、またそれから製作した刃物それ自体もすでに良く知られている内容であるから、これ以上の説明は省略する。
本発明によれば、切削刃物の母材より製作された木材切削用刃物の逃げ面および掬い面のいずれか一面あるいは両面に金属成分のみの原子%が、Alが10%以上80%以下であり、残りCrで構成される窒化物、炭窒化物を被覆することにより、刃先近傍の被覆層の摩耗の進行を効果的に抑制し、長期間に亘って切れ味および寿命を向上させることができる。
一般にクロム窒化物は、大気中で酸化テストを行うと、皮膜表面近傍にCrが外向拡散し、そこでクロム酸化物層を形成する。本発明者の研究によれば、このことが耐酸化性向上の理由と考えられるが、この時、このクロム酸化層はより過酷な摩耗状況、すなわち高温雰囲気下に曝された場合、ポーラスな酸化物結晶を形成する。静的である酸化テストにおいては、最表面に形成されたクロム酸化層が、酸化の進行である酸素の内向拡散に対し、酸化保護膜として機能するものの、動的な切削加工においては、最表面のクロム酸化層は、そのポーラスな構造から容易に剥離してしまい、酸化の進行に対し十分な効果を発揮しない。
しかしながら、CrAl系窒化物は、Crのマトリックス中に置換固溶したAlがCrよりも先に外向拡散し、再表面に緻密なアルミナ層を形成し、酸化の進行である酸素の内向拡散を防ぐ保護層となる。このように形成されたアルミナ層および酸化の進行に伴い、形成されるクロム酸化層の二重の保護層の効果によって、より高い耐酸化性を示すことを確認した。それによって木材切削の欠陥となる毛羽立ちや逆目ぼれの発生を遅らせ、切れ味即ち寿命を向上させることができる。
ここで、上記効果を発揮するために金属成分でAlが10%以上含有されていなければならず、逆に80%を越えて含有すると、皮膜の延性ないしは硬さの低下が顕著になり、切削刃物としての使用に耐えられなくなる。
なお、本発明によれば、CrAl窒化物層の下地層としてCrAl窒化物層と刃物母材との密着性をさらに改善すべく、また切削性能に悪影響を及ぼさない例えばTiNのような刃物母材とCrAl窒化物層との中間的な熱膨張係数をもつ層等を設けてもよい。本発明のCrAl窒化物被覆層を設ける手段は任意の適切なものでよく、特に制限されない。
通常これらの被覆層を設けるには、化学蒸着法(CVD法)、物理蒸着法(PVD)等、種々の方法で被覆処理できるが、刃物母材(特に高速度工具鋼、高クロム合金工具鋼等の工具鋼)への被覆処理温度の関係からくる刃物母材の硬さの低下や密着性の問題を考慮すると、PVD法の一種であるイオンプレーティング法が好ましい。
本発明はスローアウエイ式鉋刃には勿論のこと、逃げ面または掬い面にいずれかから成型加工または再研磨される鉋刃等の、木材切削用の刃物に幅広く応用できる。
(実施例)
次に、比較例および従来例とともに本発明の実施例を説明する。
実施例は、一般的な回転鉋胴に取付けた刃物の下を被削木材の固定されたテーブルが並行往復移動することによって切削される試験機により実施した。
(実施例)
次に、比較例および従来例とともに本発明の実施例を説明する。
実施例は、一般的な回転鉋胴に取付けた刃物の下を被削木材の固定されたテーブルが並行往復移動することによって切削される試験機により実施した。
試験刃物は、所定の寸法に形成してから本発明にかかる複合被覆層を設け、さらに逃げ面側から刃角42度となるように刃付け研磨を行って製作した。成膜は小型アークイオンプレーティング装置を用い、金属成分の蒸発源である各種合金製ターゲット、並びに反応ガスであるN2ガス、CH4ガス、Ar/O2混合ガスから目的の被膜が得られるものを選択し、被膜気体温度400°C、反応ガス圧力3.0Paの条件下にて、被覆基体である試験刃物に、全被膜の厚みが4μmとなるように成膜を行なった。
したがって、被覆層は掬い面のみとなる。切削試験条件は、送材速度8m/分、回転数6000rpm、切削深さ0.8mm、切削方式アップカット、同時装着刃数1枚刃、切削径122mm(φ)、掬い角20度であった。
一部の試験刃物には切削前に刃先ホーニングを行い、そのランド幅 (ホーニングにより刃先に形成される円弧面の幅)は全ての試験刃物において0.5mm前後になるよう設定した。この際、必然的に刃物先端刃角は70度となる。
ちなみに、木材回転切削においては一般に2枚以上の複数の刃物が回転同軸上に装着され使用されるが、各刃先の高さ、つまり切削半径が微妙に異なるため、この刃先高さを揃える方法として、刃物を取り付けた回転鉋胴を回転させながら刃先にラップ砥石を軽く当てることが行われる。この刃先揃え方法をホーニングと称する。
被削材はスプルース(気乾材)を用い、最終切削材長1000mで評価を行った。また被覆層を形成させる刃物母材は、全て同一種の高速度工具鋼(SKH51)とし、被覆層の形成はアーク放電型イオンプレーティング装置で行った。
本発明の実施例の被覆層の構成および結果は表1、表2にまとめて示す。なお、表1、表2中のAlの前の数字はAlの原子%を示すものであり、例えば、Cr25AlNは、Alの原子%が25であることを意味する。
次に、比較例として表3に示す何の被覆処理も施されていない試料No.11の刃物の1000m切削後の刃先後退量は12.5μmであった。また、表4に示す従来例としてCrNおよびCrN+Cr2Nを掬い面、逃げ面および両面に被覆した刃物の刃先後退量は、4.5μmから6.0μmであった。なお、表3中のAlの前の数字はAlの原子%を示すものであり、例えば、Cr5AlNは、Alの原子%が5であることを意味する。また、表4中で、Cr2NはCr2Nと表記している。
一方、本発明の実施例である試料では、掬い面、逃げ面および両面にAl濃度25,50,75%のCrAl窒化物を被覆し、その刃物の切削試験後の刃先後退量は、表1、表2から明らかなように、2.0μmから3.0μmであった。すなわち、刃物母材に被覆されるCrAl窒化物を被覆することによって、刃物寿命にとっては顕著な効果が得られることが確認された。
表3から明らかなように、Alの原子%が5%以下の場合、Al添加の効果が見られず、またAlの原子%が95%では、被膜の靭性が低下し、初期に被膜摩耗が発生し、結果として未被覆の試料より刃先後退量が大きくなった。
Claims (2)
- 高速度工具鋼、高クロム合金工具鋼等の工具鋼および超硬合金のいずれかを刃物母材とする木材切削用刃物であって、逃げ面および掬い面のいずれか一面または両面に金属成分のみの原子%が、Alが10%以上80%以下であり、残りCrで構成される窒化物または炭窒化物の被膜を有することを特徴とする木材切削用刃物。
- 請求項1記載の木材切削用刃物において、前記被膜と前記刃物母材の間に被膜と刃物母材の中間的な熱膨張係数を持つ層をさらに有することを特徴とする木材切削用刃物。
Priority Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2009131159A1 (ja) * | 2008-04-25 | 2009-10-29 | 兼房株式会社 | 木材用刃物 |
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JP2005262388A (ja) * | 2004-03-18 | 2005-09-29 | Sumitomo Electric Hardmetal Corp | 表面被覆切削工具 |
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2006
- 2006-04-07 JP JP2006105760A patent/JP2007276271A/ja active Pending
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