JP2006192531A - 表面被覆切削工具およびその製造方法 - Google Patents

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秀樹 森口
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Abstract

【課題】 高温時の耐酸化性に優れるとともに、靭性にも優れた被膜を有する表面被覆切削工具を提供する。
【解決手段】 表面被覆切削工具は、物理蒸着法により形成される第1被膜と物理蒸着法により形成される第2被膜とを含み、第1被膜は、基材と第2被膜との間に位置するものであって、α型酸化アルミニウムによって構成されるものであり、かつ0.2GPa未満の残留応力を有し、該第2被膜は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物の少なくとも1層によって構成されるものであり、かつ圧縮残留応力を有する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、基材上に被膜を形成してなる表面被覆切削工具およびその製造方法に関する。
従来より、切削工具の靭性や耐摩耗性を向上させるために基材の表面に各種の被膜を形成した表面被覆切削工具が用いられてきた。昨今、切削加工技術は高速切削に対する要求が高く、これに伴い切削工具における刃先温度もより高温に曝されるケースが増加している。このため、切削工具の基材上に形成される被膜に対しても、高温時における耐酸化性の向上が要求されている。
このような要求を満たす被膜としては、たとえばAlやCrとともにSiを含んだ窒化物や炭窒化物からなる被膜(特許文献1、特許文献2)や酸化アルミニウムからなる被膜が提案されている。中でも、酸化アルミニウムからなる被膜は高い耐酸化性が示されるため最も注目されている被膜の1つである。
たとえば、特定元素の化合物からなる第1被膜上に酸化アルミニウムからなる第2被膜を物理蒸着法(PVD法)により形成した構成のものが提案されている(特許文献3)。この提案は、従来、最外層としての酸化アルミニウム被膜が化学蒸着法(CVD法)により形成されていたことに起因する問題、すなわち酸化アルミニウム被膜に引張応力が残留するために靭性が劣るという問題を解決するためになされたものである。しかし、第1被膜上にα型のような結晶性の高い酸化アルミニウム被膜を形成させるためには、たとえこの提案のようにPVD法を採用するにしてもかなりの高温が適用されることになり、第1被膜が有する圧縮応力はアニールされて解放されてしまうことから、結果的に高い靭性を得ることはできなかった。
これに対して、CVD法により形成した酸化アルミニウムからなる被膜上に、TiAlNからなる被膜をPVD法により形成した構成のものが提案されている(特許文献4、特許文献5)。しかし、この提案においては、酸化アルミニウムからなる被膜とTiAlNからなる被膜とが異なった成膜方法により形成されるため製造効率が低下するとともに、酸化アルミニウム被膜が引張応力を有したものとなることから結果的に高い靭性を得ることができなかった。しかも、CVD法による酸化アルミニウムからなる被膜上にTiAlNからなる被膜を形成する場合、両被膜間で密着性に劣る場合があり、TiAlNからなる被膜が剥離することがあった。このような剥離の問題を防止する提案は未だなされておらず、上記特許文献1および2においても、そのような剥離を防止するためにSiを含んだ被膜と酸化アルミニウムからなる被膜とを併用することについては全く言及されていない。
特許第2793773号公報 特開2004−106183号公報 特許第3159572号公報 特開2002−263910号公報 特開2002−263911号公報
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、高温時の耐酸化性に優れるとともに、靭性にも優れかつ被膜の層間剥離を生じることがない被膜を有する表面被覆切削工具を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、引張応力が解放された状態もしくは圧縮応力を有する状態の酸化アルミニウム被膜上に耐酸化性に優れかつ靭性に優れる被膜を形成することが最も効果的ではないかという知見を得、この知見に基きさらに検討を重ねることにより、ついに本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明は、基材と、該基材上に形成された被膜とを備える表面被覆切削工具であって、該被膜は、物理蒸着法により形成される第1被膜と物理蒸着法により形成される第2被膜とを含み、該第1被膜は、上記基材と第2被膜との間に位置するものであって、α型酸化アルミニウムによって構成されるものであり、かつ0.2GPa未満の残留応力を有し、該第2被膜は、周期律表のIVa族元素(Ti、Zr、Hf等)、Va族元素(V、Nb、Ta等)、VIa族元素(Cr、Mo、W等)、Al、およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物の少なくとも1層によって構成されるものであり、かつ圧縮残留応力を有することを特徴とする表面被覆切削工具に係る。
また、上記第2被膜のうち少なくとも1層は、Siを含むことができ、上記第1被膜の直上に形成されることが好ましい。
また、上記第1被膜は、α型酸化アルミニウムと、ZrまたはHfの少なくともいずれかの酸化物との複合酸化物によって構成されるものとすることができる。
また、上記第1被膜の平均残留応力をA、上記第2被膜の平均残留応力をBとする場合、A>Bとなることが好ましく、上記第1被膜は、−4GPa以上0GPa以下の残留応力を有し、上記第2被膜は、−10GPa以上−1GPa以下の残留応力を有するものとすることができる。
また、上記被膜は、上記基材と上記第1被膜との間、上記第1被膜と上記第2被膜との間、または上記第2被膜上のいずれか1以上の位置に第3被膜を含み、該第3被膜は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属、または該金属の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって主に構成されるものとすることができる。
また、上記被膜は、さらに第4被膜を含み、該第4被膜は、上記第2被膜上または上記第3被膜上に形成され、かつTi、Cr、Si、V、Al、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成されるものとすることができる。
また、上記基材は、その刃先稜線部の形状がシャープエッジ、0.03mm以下のアールを有するホーニング、ネガランド、または0.03mm以下のアールを有するホーニングとネガランドとを組み合せたもののいずれかとすることができる。また、上記基材は、超硬合金、サーメット、高速度鋼、セラミックス、立方晶型窒化硼素焼結体、またはダイヤモンド焼結体のいずれかとすることができる。
また、本発明の表面被覆切削工具の製造方法は、上記第1被膜を物理蒸着法により形成するステップと、上記第2被膜を物理蒸着法により形成するステップと、を含むことができる。
本発明の表面被覆切削工具は、上述の通りの構成を有することにより、高温時の耐酸化性に優れるとともに、靭性にも優れかつ被膜の層間剥離を生じることがない被膜を有するものである。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明において図面を用いて説明する場合は、当該図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示す。また、各図面はあくまでも説明用の模式的なものであって、各部位を示すサイズの比率は実際の比率と異なる場合を含んでいる。
<表面被覆切削工具>
本発明の表面被覆切削工具は、基材と、該基材上に形成された被膜とを備えるものである。このような基本的構成を有する本発明の表面被覆切削工具は、ドリル、エンドミル、フライス加工用または旋削加工用刃先交換型チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タップ、またはクランクシャフトのピンミーリング加工用チップとして極めて有用である。
<基材>
本発明の表面被覆切削工具の基材としては、このような切削工具の基材として知られる従来公知のものを特に限定なく使用することができる。たとえば、超硬合金(たとえばWC基超硬合金、WCの他、Coを含み、あるいはさらにTi、Ta、Nb等の炭窒化物を添加したものも含む)、サーメット(TiC、TiN、TiCN等を主成分とするもの)、高速度鋼、セラミックス(炭化チタン、炭化硅素、窒化硅素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、およびこれらの混合体など)、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体等をこのような基材の例として挙げることができる。このような基材として超硬合金を使用する場合、そのような超硬合金は、組織中に遊離炭素やη相と呼ばれる異常相を含んでいても本発明の効果は示される。
なお、これらの基材は、その表面が改質されたものであっても差し支えない。たとえば、超硬合金の場合はその表面に脱β層が形成されていたり、サーメットの場合には表面硬化層が形成されていても良く、このように表面が改質されていても本発明の効果は示される。
一方、上記基材は、その刃先稜線部の形状がシャープエッジ、0.03mm以下のアールを有するホーニング、ネガランド、または0.03mm以下のアールを有するホーニングとネガランドとを組み合せたもののいずれかとすることができる。ここで、基材1における刃先稜線部4とは、たとえば図1〜4に示したように、工具において被削材の切り屑と接する側の面であるすくい面2と被削材自体に接触する側の面である逃げ面3とが交差する稜に相当する部分をいう。
そして、この刃先稜線部4の形状は、より具体的には図1に示したようにすくい面2と逃げ面3とが交差する稜(すなわちこれをシャープエッジと呼ぶ)となる場合をはじめ、図2に示したようにそのシャープエッジに対して刃先処理が実施されアールを有するように処理された形状(この形状をホーニングと呼ぶ)や、図3に示したように面取り処理がされた形状(この形状をネガランドと呼ぶ)を含むとともに、図4に示したようにさらにこれらの刃先処理や面取り処理が組み合わされて処理された形状(この形状をホーニングとネガランドとを組み合せた形状と呼ぶ)をも含む。
なお、上記のホーニングにおける0.03mm以下のアールとは、図2に示したようにすくい面2と逃げ面3との交差部に形成される円弧(楕円形状も含む)において、該円弧部と逃げ面3の平面部との交差部にてすくい面2の平面部に対して平行となる直線を引いた場合にその直線とすくい面2の平面部との距離Rが0.03mm以下になることを示す。この距離Rは、より好ましくは0.025mm以下、さらに好ましくは0.02mm以下である。本発明は、このように小さなホーニングを形成した場合にも工具に欠損が生じないことを特徴のひとつとするものであるが、これは後述のように第1被膜が物理蒸着法(PVD法)により形成されたものであることからそれがCVD法により形成される場合に比し基材が高温に曝されることがなく、以って高温暴露による基材と被膜間の元素拡散に伴う基材の劣化を防止し得たことがその要因である。このように小さなホーニングを有する基材を用いることで、工具としての切れ味を向上できる他、被削材の面粗さや面光沢を良好なものとできる。
なお図4は、刃先稜線部4の形状として、0.03mm以下のアールを有するホーニングとネガランドとを組み合せたものを示すものであって、逃げ面3側のホーニングとネガランドとの組み合せ部を拡大して示した概略断面図である。
<被膜>
本発明の表面被覆切削工具の上記基材上に形成される被膜は、少なくとも後述の第1被膜と第2被膜とを含むものである。該第1被膜は、上記基材と後述の第2被膜との間に位置するようにして形成される。
また、このような被膜は、これらの第1被膜と第2被膜以外に、第3被膜や第4被膜を含むことができ、さらに他の被膜を含むことができる。第3被膜は、上記基材と第1被膜との間、上記第1被膜と第2被膜との間、または上記第2被膜上のいずれか1以上の位置に形成され、第4被膜は、上記第2被膜上または上記第3被膜上に形成される。
なお、このような被膜の合計厚みは、0.5μm以上15μm以下とすることが好ましく、より好ましくはその上限が10μm以下、さらに好ましくは7μm以下、その下限が1μm以上、さらに好ましくは2μm以上である。その厚みが0.5μm未満の場合、耐摩耗性や耐酸化性等の特性が十分に示されない場合があり、15μmを超えると耐欠損性が低下するため好ましくない。なお、本発明の被膜には、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znなどが耐摩耗性を低下させない程度に10原子%以下含有する場合を含む。以下、これらの被膜についてさらに詳細に説明する。
<第1被膜>
本発明の第1被膜は、物理蒸着法(PVD法)により単層または多層として形成され、基材と第2被膜との間に位置するものであって、α型酸化アルミニウム(α−Al23)によって構成されるものであり、かつ0.2GPa未満の残留応力を有するものである。このような第1被膜は、高温時の耐酸化性に優れるとともに、高硬度を有することから極めて優れた耐摩耗性を有するものである。しかも、物理蒸着法により形成されたものであることから、0.2GPa未満の残留応力を有したものとなり、このため優れた靭性を有するとともに後述の第2被膜との密着性に優れたものとなる。なお、このように物理蒸着法により形成された第1被膜は、0.2GPa未満の残留応力を有し、被膜の厚み方向に導入された亀裂が少ないもしくは有さないという形状的特徴を有した被膜となるため、第2被膜との密着力に優れる。
本発明は、このように最外層ではなく中間層となる第1被膜として、α型酸化アルミニウムからなる被膜を物理蒸着法により800℃以下の温度で形成することを特徴の1つとしている。これにより、該被膜がCVD法により800℃より高温で形成される場合に比し、基材が高温に曝されることを防止し得、以って基材の強度劣化を防止することができる。さらに、靭性の向上に資する被膜の上にこのα型酸化アルミニウム被膜を形成するといった従来例のような構成ではないため、靭性の向上に資する被膜の圧縮応力がα型酸化アルミニウムの成膜中にアニールされて靭性が低下するという問題を解消することに成功したものである。しかも、後述の第2被膜との密着性にも優れるという有利な効果がもたらされる。
このような第1被膜を形成する物理蒸着法としては、従来公知の物理蒸着法を採用することができるが、非導電性材料であるα型酸化アルミニウムを被覆するためにはスパッタリング法が好ましい。中でも、カソードにパルス電源を用いたマグネトロンスパッタリング法を採用することが好ましい。また、スパッタリング法とアークイオンプレーティング法との組み合せやα型酸化アルミニウム中に導電性物質を分散させて導電性を付与し、アークイオンプレーティング法で成膜する方法も採用できる。
ここで、上記残留応力とは、被膜に残留する内部応力(固有ひずみ)であって、圧縮残留応力と引張残留応力の両者を含む概念である。本発明において単に残留応力という場合は、圧縮残留応力と引張残留応力の両者を含むものとする(なお、引張残留応力が解放されて応力が0GPaになった状態も便宜的に含むものとする)。
また、上記圧縮残留応力とは「−」(マイナス)の数値(単位:本発明では「GPa」を使う)で表される応力をいう。なお、数値を使わずに圧縮残留応力の大小を表現する場合は、上記数値の絶対値が大きくなる程、圧縮残留応力が大きいと表現し、また上記数値の絶対値が小さくなる程、圧縮残留応力が小さいと表現するものとする。一般に、圧縮残留応力が大きくなる程高い靭性を示す。また、引張残留応力とは、「+」(プラス)の数値(単位:本発明では「GPa」を使う)で表される応力をいう。
なお、このような残留応力は、X線応力測定装置を用いたsin2ψ法により測定することができ、工具のすくい面または逃げ面の平坦部に位置する任意の点3点(これらの各点は当該部位の応力を代表できるように互いに0.5mm以上の距離を離して選択することが好ましい)以上の応力を該sin2ψ法により測定し、その平均値を求めることにより測定することができる。
このようなX線を用いたsin2ψ法は、多結晶材料の残留応力の測定方法として広く用いられているものであり、たとえば「X線応力測定法」(日本材料学会、1981年株式会社養賢堂発行)の54〜66頁に詳細に説明されている方法を用いれば良い。
このような第1被膜の残留応力、特にα型酸化アルミニウムの残留応力は、上記の通り、0.2GPa未満であることが好ましく、より好ましくは−4GPa以上0.1GPa以下、さらに好ましくはその上限が0GPa以下、その下限が−3GPa以上、さらに好ましくは−2GPa以上の範囲とすることが好適である。0.2GPaを超える残留応力(引張残留応力)を有する場合には、靭性が劣る(耐欠損性が劣る)ことになる。一方、残留応力が−4GPa未満になると大きな圧縮応力を有することから被膜の自己破壊を生じる場合がある。
また、このような第1被膜は、α型酸化アルミニウムによって構成されるものであるが、このα型酸化アルミニウムと、ZrまたはHfの少なくともいずれかの酸化物との複合酸化物によって構成されるものとすることもできる。ZrまたはHfを含有することにより、酸化アルミニウムの微細化による高硬度化や断熱性の向上という特性を付与することができる。なお、本発明のα型酸化アルミニウム層(第1被膜)には、ZrまたはHf以外の金属(たとえばB、Si、Ti、Cr、Y、Yb等)を20原子%以下含有する場合も含む。
ここで、α型酸化アルミニウムと、ZrまたはHfの少なくともいずれかの酸化物との複合酸化物とは、ZrまたはHfの少なくともいずれか一方または両方が上記α型酸化アルミニウムの結晶格子の正規の位置に置換型として入る場合、該結晶格子間に侵入型として入る場合、金属間化合物を形成する場合、非晶質として存在する場合等、いずれの場合の酸化物も含むものである。
このような第1被膜は、0.2μm以上7μm以下の厚み(多層で形成される場合はその全体の厚み)を有することが好ましく、より好ましくはその上限が6μm以下、さらに好ましくは5μm以下、その下限が0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。その厚みが0.2μm未満の場合、高温時に十分な耐酸化性が示されなくなるとともに十分な耐摩耗性を示さなくなる場合があり、7μmを超えると耐欠損性が低下するため好ましくない。
<第2被膜>
本発明の第2被膜は、物理蒸着法(PVD法)により単層または多層として形成され、周期律表のIVa族元素(Ti、Zr、Hf等)、Va族元素(V、Nb、Ta等)、VIa族元素(Cr、Mo、W等)、Al、およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物(ただしα型酸化アルミニウムは除く)の少なくとも1層によって構成されるものであり、かつ圧縮残留応力を有するものである。このような第2被膜は、高硬度で耐摩耗性に優れるとともに、極めて優れた靭性を示すものである。なお、このように物理蒸着法により形成された第2被膜は、圧縮残留応力を有し、被膜の厚み方向に導入された亀裂を有さないという形状的特徴を有した被膜となる。
このような第2被膜を物理蒸着法により形成するのは、第一に被膜に圧縮残留応力を付与するためであり、第二に第1被膜と同じ成膜方法を採用することにより製造効率を向上させるためである。このような物理蒸着法は、上記の第1被膜について述べたのと同様の方法を採用することができ、特に第1被膜と同一の方法を採用することが好適である。このような第2被膜は、上記の第1被膜上に形成されるものであって、特に第1被膜の直上に形成されても良いし、後述の第3被膜を介して形成されても良い。
そして、この第2被膜は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される。このような化合物としては、たとえば、TiAlN、TiAlSiN、TiAlCrSiN、AlCrN、AlCrSiN、TiZrN、TiAlMoN、TiAlNbN、TiSiN、AlCrTaN、AlTiVN、TiB2、TiCrHfN、CrSiWN、TiAlCN、TiSiCN、AlZrON、AlCrCN、AlHfN、CrSiBON、TiAlWN、AlCrMoCN、TiAlBN、TiAlCrSiBCNO等を挙げることができる。なお、この第2被膜は、これらの化合物の単層だけでなく、これらの化合物からなる層を5nm〜5μmの厚みで積層する場合も含む。
また、この第2被膜のうち少なくとも1層は、より好ましくはSiを含むことが好適である。このような化合物としては、たとえばTiAlSiN、AlCrSiN、TiAlCrSiN、TiSiN、CrSiBON、TiAlSiBN、AlCrSiCN等を挙げることができる。
このように該化合物の構成元素としてSiを含むことにより、第1被膜に対する密着性がさらに向上したとともに、高温時の耐酸化性も飛躍的に向上したものとなる。このように高温時の耐酸化性の向上は、高速切削時に必要とされ、特に本発明のようにα型酸化アルミニウムからなる第1被膜の上に形成される場合において有用となる。なぜなら、このような第1被膜は、低熱伝導性の被膜であることから、第2被膜に発生した熱は基材側に放熱され難く、以って第2被膜の温度上昇が顕著となり高温時の耐酸化性が特に要求されるからである。
さらに本発明の第2被膜は、圧縮残留応力を有することから、高い靭性を示すものとなる。ここで、圧縮残留応力とは、上記の第1被膜について既に説明した通りの内部応力であって、好ましくは−10GPa以上−1GPa以下、さらに好ましくはその上限が−1.5GPa以下、さらに好ましくは−2GPa以下、その下限が−8GPa以上、さらに好ましくは−7GPa以上の範囲の応力とすることが好適である。−1GPaを超える残留応力を有する場合には、靭性が劣る(耐欠損性が劣る)ことになり、一方、残留応力が−10GPa未満になると圧縮応力が大きくなり過ぎて被膜の自己破壊による剥離を生じる場合がある。なお、このような圧縮残留応力は、第1被膜で説明したsin2ψ法を用いた同様の方法により測定することができる。また、第2被膜が多層で形成される場合には、最大の圧縮応力(その絶対値が最大となる圧縮応力)を有する層の応力を第2被膜の圧縮残留応力とするものとする。
そして、このような第2被膜の圧縮残留応力は、上記第1被膜の平均残留応力(上記の方法により測定される平均値をいう。以下同じ)をA、この第2被膜の平均残留応力をBとする場合、A>Bとなるように規定することが特に好ましく、このA>Bという規定の下、第1被膜において−4GPa以上0GPa以下の残留応力を有し、第2被膜において−10GPa以上−1GPa以下の残留応力を有するものとすることが特に好適である。このように規定することにより、第1被膜と第2被膜中には被膜の厚み方向に亀裂がなくなるため第1被膜と第2被膜との密着性に優れたものとなる他、外部からの衝撃に対して強い被膜となり耐欠損性が向上する。
このような第2被膜は、0.3μm以上10μm以下の厚み(多層で形成される場合はその全体の厚み)を有することが好ましく、より好ましくはその上限が7μm以下、さらに好ましくは5μm以下、その下限が0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。その厚みが0.3μm未満の場合には、十分な耐摩耗性が示されなくなるとともに十分な靭性を示さなくなる場合があり、10μmを超えると耐欠損性が低下することがあるため好ましくない。
<第3被膜>
本発明の第3被膜は、所望により、上記基材と第1被膜との間、上記第1被膜と第2被膜との間、または第2被膜上(第2被膜と後述の第4被膜との間)のいずれか1以上の位置に形成されるものであって、基材と第1被膜との両者、第1被膜と第2被膜の両者、または第2被膜と第4被膜の両者の少なくともいずれかに対して優れた密着力を有することにより、被膜の層間剥離を防止する作用を示すものである。
このような第3被膜は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属、または該金属の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって単層または多層として構成される。
このような第3被膜として好適な金属または化合物としては、たとえばCr、Ti、TiAl、TiSi、AlCr、Al、TiN、TiON、TiCN、TiCNO、TiBN、TiCBN、TiAlCN、AlN、AlCrCN、AlON、CrN、CrCN、TiSiN、TiSiCN、Cr23、Ti23、TiO2、TiAlONなどを挙げることができる。なお、この第3被膜が基材と第1被膜との間に形成される場合には、この第3被膜の化合物は第2被膜を形成するのと同じターゲットを用いて形成される場合を含む。
このような第3被膜は、0.01μm以上1μm以下の厚み(多層で形成される場合はその全体の厚み)を有することが好ましく、より好ましくはその上限が0.8μm以下、さらに好ましくは0.7μm以下、その下限が0.03μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上である。その厚みが0.01μm未満の場合、上記密着性を向上させる効果が十分に示されない場合があり、1μmを超えても効果に大差なく経済的に不利となる。
このような第3被膜は、第1被膜や第2被膜と同様に物理蒸着法により形成することが好ましい。製造効率が向上するからである。
<第4被膜>
本発明の第4被膜は、所望により、上記第2被膜上または上記第3被膜上に形成されるものであって、仕上げ面粗さの向上、耐溶着性の向上、耐剥離性の向上、外観品質の向上、使用済コーナーの識別性の容易化、第2被膜に対する保護性の向上(たとえば耐酸化性の向上等)などの作用を示すものである。
このような第4被膜は、Ti、Cr、Si、V、Al、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって単層または多層として構成される。
このような第4被膜として好適な化合物としては、たとえばAlN、ZrN、CrN、AlZrN、AlON、AlHfN、AlCN、ZrCN、TiN、TiCN、TiSiCN、TiBN、Al23(γ型またはアモルファス)などを挙げることができる。
このような第4被膜は、0.1μm以上3μm以下の厚み(多層で形成される場合はその全体の厚み)を有することが好ましく、より好ましくはその上限が2μm以下、さらに好ましくは1.5μm以下、その下限が0.2μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上である。その厚みが0.1μm未満の場合、上記の各効果が十分に示されない場合があり、3μmを超えても効果に大差なく経済的に不利となる。
このような第4被膜は、第1被膜〜第3被膜と同様に物理蒸着法により形成することが好ましい。製造効率が向上する上、層間の密着力も向上するからである。
<製造方法>
本発明の表面被覆切削工具の製造方法は、上記第1被膜を物理蒸着法により形成するステップと、上記第2被膜を物理蒸着法により形成するステップと、を含むことができる。ここで、物理蒸着法としては、上記で説明した方法が採用される。
また、本発明の表面被覆切削工具の製造方法は、上記のように第1被膜および第2被膜以外に第3被膜および第4被膜が形成される場合には、これらの第3被膜および第4被膜も物理蒸着法により形成することが好ましい。
このように本発明の表面被覆切削工具の被膜は、全て物理蒸着法により形成することが好ましい。これにより、極めて高い製造効率を得ることができるからである。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の各被膜の化学組成はXPS(X線光電子分光分析装置)によって確認し、残留応力は上記に説明したsin2ψ法により3点の平均値を求めることによって算出した。また、以下では被膜を物理蒸着法であるアンバランスドマグネトロンスパッタリング法とカソードアークイオンプレーティング法の組み合わせにより形成しているが、公知の他の物理蒸着法によって成膜した場合も含む。
<表面被覆切削工具の作製>
まず、基材として、グレードがJIS規格M20のWC基超硬合金であって、切削チップとしての形状がJIS規格CNMG120408であるものを使用し、これをカソードにパルスDC電源を用いたアンバランスドマグネトロンスパッタリング装置に装着した。
図5は、成膜装置の概略構成を示す模式図である。図5に示す成膜装置10内に複数のアーク蒸発源11、12およびアンバランスドマグネトロンスパッタ蒸発源(以下、UBMスパッタ源と呼ぶ)13を配置し、蒸発源11〜13間の中心点Cを中心としてこれらの蒸発源11〜13間で回転可能な保持具14に基材20である上記切削チップ基材を装着する。なお、必要なガスは、ガス導入口15から成膜装置10内へ導入される。
本実施例では、アーク蒸発源11、12に所定の金属原料(例えば、TiAlやTiSiなど)をセットし、UBMスパッタ源にたとえばAlをセットした。
続いて、真空ポンプにより該装置のチャンバー内を1×10-3Pa以下に減圧するとともに、該装置内に設置されたヒーターにより上記基材の温度を650℃に加熱し、1時間保持した。
次に、アルゴンガスを導入してチャンバー内の圧力を3.0Paに保持し、基板バイアス電源の電圧を徐々に上げながら−1000Vとし、基材の表面のクリーニングを15分間行なった。その後、アルゴンガスを排気した。
次いで、上記基材表面に形成される被膜として、化学組成および積層構成が以下の表1に示したものとなるように金属蒸発源であるターゲットをセットした。No.1〜18の工具の第1被膜であるα型酸化アルミニウム(α−Al23)または複合酸化物については、基材(基板)温度700〜800℃に設定し、酸素ガスを流しながらUBMスパッタ源にパルスDC電力を加えながら反応性スパッタ法で形成した。また第1被膜以外の被膜については、基材(基板)温度400〜600℃に設定し、真空もしくは反応ガスとして窒素、メタン(炭素源として)、酸素のいずれか1以上のガスを導入させながら、アークイオンプレーティング法で上記基材表面に各構成の被膜を形成した。
このようにして、表1に示したNo.1〜21の表面被覆切削工具を作製した。No.1〜18が本発明の実施例であり、No.19〜21は比較例である(ただし、各比較例の下記被膜については以下の成膜方法を採用した)。
No.19の比較例は、第1被膜がCVD法(被覆温度1000℃)により形成されており0.4GPaの引張残留応力を有し、第2被膜がPVD法で形成され−3.0GPaの残留応力を有している。No.20の比較例は、第1被膜がPVD法で形成され0GPaの残留応力を有し、第2被膜がCVD法(被覆温度900℃)により形成されており0.4GPaの引張残留応力を有している。No.21の比較例は、第1被膜および第2被膜が各々CVD法(被覆温度900〜1000℃)により形成されており各々0.4GPa、0.4GPaの引張残留応力を有している。
Figure 2006192531
上記表1において、被膜の積層構成は、左のものから順に基材上に積層させたことを示している(表1中において空欄となっているところは、該当する被膜が形成されないことを示している)。また、上記表1において、「※」の記号を付したものが比較例であり、「形状」とは基材の刃先稜線部の形状を示しており、各記号の意味は、次のとおりである。
1:シャープエッジ
2:0.03mm(すなわち上述の距離Rが0.03mm)のアールを有するホーニング
3:シャープエッジからすくい面および逃げ面の方向に各々0.06mm、0.03mmの幅で面取りしたネガランド
4:ホーニングとネガランドとを組み合せたもの(上記3のネガランドに対して逃げ面側において0.03mm(すなわち上述の距離Rが0.03mm)のアールのホーニングを付与したもの)
5:0.05mm(すなわち上述の距離Rが0.05mm)のアールを有するホーニング。
そして、これらの表面被覆切削工具について、下記の条件により、耐摩耗性試験と断続切削試験を行なった。その結果を以下の表2に示す。耐摩耗性試験では、逃げ面摩耗量が0.15mmとなる時間を測定し、その時間が長いもの程耐摩耗性に優れていることを示している。さらに、切削後の被削材表面の面光沢を調査した結果についても表2中に示した。また、断続切削試験では、工具が欠損するまでの時間を測定し、その時間が長いもの程靭性に優れていることを示している。
<耐摩耗性試験>
被削材:SCM435丸棒
切削速度:250m/min
切込みd:2.0mm
送りf:0.30mm/rev.
乾式/湿式:湿式
<断続切削試験>
被削材:SCM440(4本溝入り丸棒)
切削速度:180m/min
切込み:1.5mm
送り:0.35mm/rev.
乾式/湿式:乾式
Figure 2006192531
上記表2において、「※」の記号を付したものが比較例である。また、「第1被膜残留応力」および「第2被膜残留応力」の欄は、上記のsin2ψ法によりすくい面の平坦部の残留応力を測定した結果を示している。なお、第2被膜が複数層からなるものについては、No.4では「TiAlN」、No.11では「TiSiN」、No.13では「TiAlBN」、No.14では「TiAlWN」、の残留応力を示している。
以上、上記の表2から明らかなように、No.1〜No.18の本発明の実施例の表面被覆切削工具は、いずれも優れた耐摩耗性と靭性とを有するとともに、被膜の層間剥離を生じなかった。また、No.1〜No.18の本発明の実施例の表面被覆切削工具は、上記の耐摩耗性試験の条件を考慮すると高温時の耐酸化性に優れていることが明らかであり、特に第2被膜中にSiを有するものにおいてその傾向が顕著である。これに対して、No.19〜No.21の比較例の表面被覆切削工具は、第1被膜および/または第2被膜をCVD法(被覆温度900〜1000℃)で被覆しているため、0.2GPaを超える引張残留応力を有するため、耐欠損性に劣る。また、高温下での被覆であるため基材と被膜間で元素拡散が起こり易く、基材自体の靭性低下を招いている。さらに、CVD法とPVD法を組み合せたNo.19とNo.20の工具では、両製法の界面(第1被膜と第2被膜の界面)で密着力が十分ではなく、耐摩耗性に劣る結果となった。
また、刃先処理量の大きい(0.05mmのアールを有するホーニング)No.18の工具および比較例であるNo.19、No.20およびNo.21の工具では、基材自体の靭性低下のため小さい刃先処理に耐えられず、局部的なチッピングの発生のため優れた面光沢を得ることはできなかった。
なお、本実施例では、基材として超硬合金製のものを用いたが、サーメット等他の素材のものを用いても同様の効果を得ることができる。また、基材としてチップブレーカを有するものを用いたが、チップブレーカを有していないものや、切削工具の上下面全面が研磨されたような工具(チップ)でも本実施例と同様の効果を得ることができる。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
刃先稜線部の形状がシャープエッジである基材の概略断面図である。 刃先稜線部の形状がホーニングである基材の概略断面図である。 刃先稜線部の形状がネガランドである基材の概略断面図である。 刃先稜線部の形状がホーニングとネガランドとを組み合せたものである基材の概略断面図である。 成膜装置の概略構成を示す模式図である。
符号の説明
1 基材、2 すくい面、3 逃げ面、4 刃先稜線部、10 成膜装置、11,12 アーク蒸発源、13 アンバランスドマグネトロンスパッタ蒸発源、14 保持具、15 ガス導入口、20 基材。

Claims (11)

  1. 基材と、該基材上に形成された被膜とを備える表面被覆切削工具であって、
    前記被膜は、物理蒸着法により形成される第1被膜と物理蒸着法により形成される第2被膜とを含み、
    前記第1被膜は、前記基材と前記第2被膜との間に位置するものであって、α型酸化アルミニウムによって構成されるものであり、かつ0.2GPa未満の残留応力を有し、
    前記第2被膜は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物の少なくとも1層によって構成されるものであり、かつ圧縮残留応力を有することを特徴とする表面被覆切削工具。
  2. 前記第2被膜のうち少なくとも1層は、Siを含むことを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
  3. 前記第2被膜は、前記第1被膜の直上に形成されることを特徴とする請求項2に記載の表面被覆切削工具。
  4. 前記第1被膜は、α型酸化アルミニウムと、ZrまたはHfの少なくともいずれかの酸化物との複合酸化物によって構成されるものである請求項1〜3のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  5. 前記第1被膜の平均残留応力をA、前記第2被膜の平均残留応力をBとする場合、
    A>Bとなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  6. 前記第1被膜は、−4GPa以上0GPa以下の残留応力を有し、前記第2被膜は、−10GPa以上−1GPa以下の残留応力を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  7. 前記被膜は、前記基材と前記第1被膜との間、前記第1被膜と前記第2被膜との間、または前記第2被膜上のいずれか1以上の位置に第3被膜を含み、
    前記第3被膜は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属、または該金属の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって主に構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  8. 前記被膜は、さらに第4被膜を含み、
    前記第4被膜は、前記第2被膜上または前記第3被膜上に形成され、かつTi、Cr、Si、V、Al、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  9. 前記基材は、その刃先稜線部の形状がシャープエッジ、0.03mm以下のアールを有するホーニング、ネガランド、または0.03mm以下のアールを有するホーニングとネガランドとを組み合せたもののいずれかであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  10. 前記基材は、超硬合金、サーメット、高速度鋼、セラミックス、立方晶型窒化硼素焼結体、またはダイヤモンド焼結体のいずれかにより構成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の表面被覆切削工具の製造方法であって、
    前記第1被膜を物理蒸着法により形成するステップと、
    前記第2被膜を物理蒸着法により形成するステップと、
    を含むことを特徴とする表面被覆切削工具の製造方法。
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