JP5070621B2 - 表面被覆切削工具 - Google Patents
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Description
<表面被覆切削工具>
本発明の表面被覆切削工具は、基材と、該基材上に形成された被覆層とを備えるものである。このような構成を有する本発明の表面被覆切削工具は、たとえばドリル、エンドミル、フライス加工用刃先交換型切削チップ、旋削加工用刃先交換型切削チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タップ、またはクランクシャフトのピンミーリング加工用刃先交換型切削チップ等として極めて有用である。
本発明の基材を構成する材料としては、このような表面被覆切削工具の基材として知られる従来公知のものを特に限定なく使用することができる。たとえば、超硬合金(たとえばWC基超硬合金を含み、WCの他、Coを含み、あるいはさらにTi、Ta、Nb等の炭化物、窒化物、炭窒化物等を添加したものも含む)、サーメット(TiC、TiN、TiCN等を主成分とするもの)、高速度鋼、セラミックス(炭化チタン、炭化硅素、窒化硅素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、およびこれらの混合体など)、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体、または窒化硅素焼結体等を挙げることができる。
本発明の被覆層は、上記の基材上に形成されるものである。この被覆層は、基材の全面を覆うようにして形成されていてもよいし、基材の一部分のみを覆うようにして形成されていてもよいが、その形成目的が切削工具の諸特性の向上(すなわち切削性能の向上)にあることから、基材の全面を覆うかもしくは一部分を覆う場合であっても切削性能の向上に寄与する部位の少なくとも一部分を覆うことが好ましい。
本発明の被覆層には、1層以上の化学蒸着層が含まれる。化学蒸着層は、基材と接するようにして基材上に形成されるものであり、化学蒸着法により形成される。このような化学蒸着法としては、従来公知の方法を特に限定することなく使用することができ、条件等が限定されることはない。たとえば、850〜1050℃程度の成膜温度を採用することができ、使用するガスとしてもニトリル系のガス等従来公知のガスを特に限定することなく使用することができる。なお、化学蒸着層の化学組成は、上記(被覆層の項)で既に説明した組成を採用することができる。
本発明の化学蒸着層は、アルミナ(酸化アルミニウム(Al2O3))を主体として含む化学蒸着アルミナ層を含むことが好ましい。そして、この化学蒸着アルミナ層は、圧縮残留応力を有していることが好ましい。化学蒸着アルミナ層は、化学蒸着法により形成されるため、上記の通り引張残留応力を有した状態で形成されるが、上記のような処理を施すことにより圧縮残留応力を付与することができる。このように、化学蒸着アルミナ層が圧縮残留応力を有することにより、特に切削工具の刃先において良好な靭性を付与することができる。
本発明の化学蒸着層は、低温度の化学蒸着法で形成されたTiCNを含む層を含むことが好ましい。熱の適用による基材のダメージを低減させつつ、耐摩耗性に優れる炭窒化チタン(TiCN)を含む層を形成させることができるからである。
本発明の物理蒸着層は、上記の化学蒸着層上に物理蒸着法により形成されるものであって、1層以上の層からなるものである。このような物理蒸着法としては、従来公知の物理蒸着法をいずれも採用することができ特に限定されることはない。このような物理蒸着法としては、たとえばマグネトロンスパッタリング法、アーク式イオンプレーティング法、ホロカソード法、イオンビーム法、電子ビーム法、アンバランストマグネトロンスパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリング法等を挙げることができる。
本発明の物理蒸着層は、耐摩耗性を向上させるためにアルミナを主体として含む物理蒸着アルミナ層を含むことが好ましい。この物理蒸着アルミナ層は、物理蒸着法により形成されることから圧縮残留応力を有する。そして、物理蒸着アルミナ層は、α−アルミナを含むことが特に好ましい。切削工具の刃先の耐摩耗性が特に優れたものとなり、耐摩耗性と靭性とを高度に両立させることに資するものとなるからである。
本発明の被覆層は、基材上にまず1層以上の化学蒸着層が形成され、その化学蒸着層上に1層以上の物理蒸着層が形成された構成を有するものである。そして、このような積層構成において、次のような構成を採用することが特に好適である。
上記で各説明したような構成の本発明の表面被覆切削工具は、次のような製造方法により製造することができる。すなわち、かかる製造方法は、基材上に化学蒸着法により1層以上の化学蒸着層を形成する工程と、該化学蒸着層の最表面に対してボンバード処理を行なうことにより該化学蒸着層の少なくとも1層に圧縮残留応力を付与する工程と、該ボンバード処理を行なった該化学蒸着層上に物理蒸着法により1層以上の物理蒸着層を形成する工程と、を含む。該製造方法は、上記のような工程が含まれる限り、他の工程が含まれていても差し支えない。
2.0質量%のTaC、1.0質量%のNbC、1.5質量%のTiC、6.5質量%のCoおよび残部WCからなる組成(ただし不可避不純物を含む)の超硬合金粉末をプレスし、続けて真空雰囲気中で1450℃、1時間焼結し、その後平面研削処理および刃先稜線に対してSiCブラシによる刃先処理(すくい面側から見て0.06mm幅のホーニングを施す)を行なうことにより、JIS B4120(1998改)規定の切削チップCNMA120408と同形状の超硬合金製チップを作製し、これを基材とした。この基材は、表面に脱β層が13.5μm形成されていた。
使用ホルダ:PCLNR2525−43(住友電工ハードメタル社製)
被削材:SCM435(HB=246)丸棒
切削速度:255m/min.
送り:0.27mm/rev.
切込み:2.0mm
湿式/乾式:湿式(水溶性油)
切削時間:6分
<耐欠損性試験の条件>
使用ホルダ:PCLNR2525−43(住友電工ハードメタル社製)
被削材:SCM435(HB=246)角材
切削速度:95m/min.
送り:0.45mm/rev.
切込み:2.0mm
湿式/乾式:乾式
切削時間:1分
評価:20切れ刃を1分間切削した場合の破損数(破損した切れ刃の数)から破損率を求める(すなわち、破損率(%)=破損数/20×100)。
0.5質量%のCr3C2、10.5質量%のCoおよび残部WCからなる組成(ただし不可避不純物を含む)の超硬合金粉末をプレスし、続けて真空雰囲気中で1380℃、1時間焼結し、外径8mmの内部給油式ドリル(JIS K10超硬合金)を作製し、これを基材とした。この基材は、表面に脱β層が形成されていなかった。
被削材:SCM440ブロック材(HB=275)
切削速度:80m/min.
送り:0.24mm/rev.
穴あけ深さ:16mm(止まり穴加工)
湿式/乾式:湿式(水溶性油)
評価:穴寸法精度が規格を外れる時点までに穴あけ加工された穴数を求めた。穴数が多いもの程、耐摩耗性に優れていることを示す。
被削材:SCM440ブロック材(HB=275)
切削速度:80m/min.
穴あけ深さ:40mm(貫通穴加工)
湿式/乾式:湿式(水溶性油)
評価:0.2mm/rev.で1穴あけ、折損しない場合は送りを0.05mm/rev.毎に上げて1穴加工し、折損した時点での送り(送り限界)を求めた。数値(単位:mm/rev.)が大きいもの程、耐折損性(すなわち靭性)に優れていることを示す。
Claims (11)
- 基材と、該基材上に形成された被覆層とを備える表面被覆切削工具であって、
前記被覆層は、化学蒸着法により形成される1層以上の化学蒸着層と、その化学蒸着層上に物理蒸着法により形成される1層以上の物理蒸着層とを含み、
前記化学蒸着層は、少なくともその1層が圧縮残留応力を有し、
前記物理蒸着層は、アルミナを主体として含む物理蒸着アルミナ層を含む表面被覆切削工具。 - 前記被覆層の各層は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素によって構成されるか、または該元素の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される請求項1記載の表面被覆切削工具。
- 前記化学蒸着層は、アルミナを主体として含む化学蒸着アルミナ層を含む請求項1または2に記載の表面被覆切削工具。
- 前記物理蒸着層は、前記化学蒸着アルミナ層上に形成される請求項1〜3のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
- 前記物理蒸着アルミナ層は、前記化学蒸着アルミナ層上に形成される請求項1〜4のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
- 前記化学蒸着アルミナ層は、圧縮残留応力を有している請求項1〜5のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
- 前記化学蒸着アルミナ層は、α−アルミナを含む請求項1〜6のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
- 前記化学蒸着層は、低温度の化学蒸着法で形成されたTiCNを含む層を含む請求項1〜7のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
- 前記化学蒸着層は、1μm以上30μm以下の厚みを有し、前記物理蒸着層は、0.01μm以上10μm以下の厚みを有する請求項1〜8のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
- 前記基材は、超硬合金、サーメット、高速度鋼、セラミックス、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体、または窒化硅素焼結体のいずれかにより構成される請求項1〜9のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
- 前記表面被覆切削工具は、ドリル、エンドミル、フライス加工用刃先交換型切削チップ、旋削加工用刃先交換型切削チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タップ、またはクランクシャフトのピンミーリング加工用刃先交換型切削チップのいずれかである請求項1〜10のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
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