JP5258585B2 - オフセット印刷用新聞用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、オフセット印刷用新聞用紙に関する。最近では、抄造時の操業性改善のため、あるいは、中性化による抄造pHの上昇や炭酸カルシウムを填料として内添する際の抄紙系内の汚れを低減するため、内添サイズ剤を減量、または添加せずに抄紙し、表面サイズ剤の塗工によりサイズ度を向上させることが多くなってきている。
本発明は、このような内添サイズ剤の使用を抑えて抄造される新聞用紙であって、コールドセット型オフセット印刷輪転機で使用されるオフセット印刷用新聞用紙に関するものである。
近年、印刷のカラー化、高速化が急速に進んでおり、カラー印刷に適した新聞用紙、つまり印刷適性、印刷作業性がより優れたオフセット印刷用新聞用紙が求められるようになった。
一方、カラー印刷では、複数の色を複数回に分けて重ねて塗布するので、輪転機に供給されるオフセット印刷用新聞用紙(以下、単に新聞用紙という)の状態によっては、色ずれが発生する可能性がある。
以下、新聞印刷用輪転機のカラー印刷時に発生する色ずれについて説明する。
まず、新聞印刷用輪転機では、輪転機に供給された新聞用紙に対して、湿し水を付与しながら印刷を行う。湿し水が付与されると新聞用紙は伸長するので、輪転機の印刷部は、かかる伸長を補正して、1色目が印刷された画線部と2色目以降の画線部の位置が一致するように印刷位置を調整している。
ここで、新聞印刷用輪転機では、シート状の新聞用紙に対して連続して印刷を行っており、複数本のロールに巻き取られた新聞用紙を順次つなぎながら輪転機に供給する必要がある。
しかし、各ロールに巻き取られている新聞用紙の物性は必ずしも一致しないので、物性が異なる新聞用紙がつながれた場合には、その継ぎ目部分の前後で湿し水が付与したときにおける新聞用紙の伸長量に差が生じる。
すると、輪転機の印刷部は、紙継ぎ前の新聞用紙の物性に合わせて印刷位置を調整しているので、新しい新聞用紙に変わると1色目が印刷された画線部と、2色目以降の画線部に見当ずれ(位置ずれ)が生じる。この見当ずれが色ずれである。
かかる色ずれは、輪転機に設けられた見当調整装置により修正が行われるが、色ずれが発生してから見当調整装置による修正が完了するまでにはある程度の時間を要する。このため、色ずれ発生から修正完了までの間に印刷されたものは不良品として排紙されることとなり、この排紙される部数が多いほど印刷効率の悪化につながることになる。
とくに、新聞用紙は他の印刷用紙(例えば、塗工印刷用紙等)に比べ、1時間当たり20万部といった高速・大量の印刷を行うことに加え、坪量が40〜43g/mと低いので、湿し水が付与されたときにおける伸長の個体差が大きくなるから、色ずれに対して格段の配慮が必要である。
以上のごとく、色ずれは、湿し水が付与されたときに新聞用紙が吸収する水の量の影響を受けるので、かかる色ずれ発生を防止するために、サイズ度や吸湿抵抗性の改善に着目して、次のような技術が提案されている。
(1)特許文献1には、原紙の少なくとも一方の面に顔料及び接着剤を主成分とする塗工層を設け、EST12表面・サイズ度テスターによる測定で最大信号強度が0.1〜1.0秒以内となるよう調整した技術が開示されている。
しかし、特許文献1の技術は、色ずれを生じさせないために新聞用紙に必要とされる条件を特定しただけに過ぎず、色ずれを防ぐために必要な新聞用紙のサイズ度を向上させる方法や吸湿抵抗を向上させる方法を示唆するものではない。
表面処理剤を調整することによって、サイズ度や吸湿抵抗性を改善し色ずれ発生を防止する技術として、以下の技術が提案されている。
(2)特許文献2には、表面処理剤として、スチレン系モノマーを含んでなる表面サイズ剤を含有するものを採用し、特定のサイズ度の特性を有するように調整した技術が開示されている。
(3)特許文献3には、表面処理剤として、カチオン性澱粉と、スチレン系モノマーとアニオン性モノマーから合成された水溶性共重合体から成るスチレン系サイズ剤の2成分を含有するものを採用した技術が開示されている。
(4)特許文献4には、表面サイズ剤として、スチレン系モノマーとカチオン性ビニルモノマーを含む共重合物である水溶性の表面サイズ剤を採用した技術が開示されている。
(5)特許文献5には、表面処理剤として、澱粉類とアルコール成分の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸エステル及びエチレン性不飽和カルボン酸を少なくとも含有するモノマーから合成された共重合体を主体とするものを採用し、表面処理剤と水との接触角の特性を規定した技術が開示されている。
以上のごとく、特許文献2〜5には、表面処理剤によって表面サイズ性や吸水抵抗性を改善する技術が開示されてはいるものの、色ずれを改善するために必要な高いサイズ度や高い吸水抵抗性を得ることは難しい。
一方、色ずれ発生を防止することを目的とするものではないが、サイズ度や吸湿抵抗性を改善する方法として、表面処理剤に、少量でサイズ効果が高いケテンダイマー系サイズ剤を採用した技術も開発されている。
(6)特許文献6には、中性新聞用紙にケテンダイマー系サイズ剤及び紙表面加工剤をゲートロールコーターで外添した後、表面温度が50℃以上であるソフトカレンダーに通紙することによりサイズ度を発現させる技術が開示されている。
(7)特許文献7には、原紙の表面に、化工澱粉、アルキルケテンダイマーおよび防滑剤を含有する塗工層を設け、表面の動摩擦係数を0.40〜0.70の範囲とする技術が開示されている。
(8)特許文献8は、表面サイズ剤組成物として、ケテン二量体系サイズ剤と水溶性高分子化合物とを特定範囲の質量比で含有するものが開示されている。
しかるに、ケテンダイマー系サイズ剤はサイズ効果が高い一方、塗工された新聞用紙の表面では滑りが大きくなるため、この滑りに起因する紙流れによるしわ入り、断紙が発生する可能性がある。
特許文献6には、ケテンダイマー系サイズ剤とともに塗工される紙表面加工剤の成分が全く特定されておらず、サイズ性は向上できても、新聞用紙に適用した場合、印刷時における表面の滑りの問題は依然として残ることになる。
また、特許文献7には、アルキルケテンダイマーとともに防滑剤を使用することによって印刷時における表面の滑りの問題は解消している。しかし、化工澱粉、およびアルキルケテンダイマーの2成分の塗布量が0.5〜2.0g/mで、これらの配合比が化工澱粉10部に対して、アルキルケテンダイマーが0.5〜3.0部とされており、アルキルケテンダイマーの塗布量が0.024〜0.46g/mと多く、塗工装置の汚れの問題が懸念される。
一方、特許文献8には、表面サイズ剤組成物にケテン二量体系サイズ剤と水溶性高分子化合物とが特定範囲の質量比で含有されているので、抄紙装置の汚れを軽減することできる旨の記載はある。しかし、特許文献8の技術は、酸化澱粉等による表面紙力付与を必要としない紙に適用されるもので、クラフトパルプの配合率が高い紙や高い表面紙力を必要としない紙に適合される表面サイズ剤に関わるものであって、古紙パルプの配合率が高く、表面紙力付与が必要な新聞用紙には、適用されるものではない。
以上のごとく、上記従来技術では、新聞印刷用輪転機のカラー印刷時に発生する色ずれの防止と、かかる色ずれを防いだ副作用として他の問題(塗工装置の汚れ等)が発生することを防止することはできていない。
そして、新聞印刷用輪転機のカラー印刷時に発生する色ずれを防止できる条件は、現在のところ把握できていない。
特開2005−187949号公報 特開2007−146333号公報 特開2005−76146号公報 WO2005/003457号公報 特開2003−253598号公報 特開平9−111691号公報 特開平7−279094号公報 特開平7−109695号公報
本発明は上記事情に鑑み、十分なサイズ性を有し、多色カラー印刷を行っても色ずれが発生しないオフセット印刷用新聞用紙を提供することを目的とする。
第1発明のオフセット印刷用新聞用紙は、耐水張力が3.5秒以上となるように、原紙の両面に表面処理剤が塗工されており、前記表面処理剤が、接着剤と、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と、高分子系表面サイズ剤とを含んでおり、前記アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量が、片面当り0.001〜0.02g/m であり、前記アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と前記高分子系表面サイズ剤の塗工量の比率が、1対4〜4対1であり、前記接着剤が、ポリアクリルアミド系接着剤と澱粉系接着剤とを含んでおり、該接着剤中の前記ポリアクリルアミド系接着剤の質量割合が、5質量%以上であることを特徴とする。
なお、本明細書において、「耐水張力」とは、オフセット印刷用新聞用紙からなるCD方向の長さが15mm、MD方向の長さが250mmの紙片を、定速伸張形引張試験機に対して紙片のMD方向の両端が保持されかつ紙片を保持する部材間の距離が180mmとなるように取り付け、定速伸張形引張試験機によって紙片をそのMD方向に沿って伸長させ、紙片に付与される引張荷重が6.0Nとなった時点で紙片の伸張を止めて紙片の中央部に15μlの水を付着させたときに、水の付着後、紙片から定速伸張形引張試験機に対して加わる引張荷重が6.0Nから4.0Nに低下するまでに要する時間をいう。
第2発明のオフセット印刷用新聞用紙は、第1発明において、前記接着剤の塗工量が、片面当り0.3g〜1.0g/m であることを特徴とする。
第3発明のオフセット印刷用新聞用紙は、第1または第2発明において、前記接着剤中の前記ポリアクリルアミド系接着剤の質量割合が、5〜10質量%であることを特徴とする。
第4発明のオフセット印刷用新聞用紙は、第1、第2または3発明において、JAPAN TAPPINo.32−2に準拠した試験方法において、滴下水量5μlを吸水する時間が30秒以上であることを特徴とする。
第1〜第3発明によれば、サイズ性と引張り特性を表す耐水張力が高いので、印刷時における色ずれを防止することができる。また、表面処理剤がアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤の両方を含んでいるので、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤によって高いサイズ効果を得つつアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の量を抑えることができる。すると、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤を新聞用紙に使用した場合に問題となる、印刷時の滑りや紙流れによるしわ入り、断紙等を防ぐことができる。しかも、表面処理剤には接着剤も含まれているので、表面サイズ剤のサイズ効果を維持しつつ、印刷時のパイリング発生も抑えることができる。さらに、色ずれを生じさせない程度のサイズ度を付与でき、しかも、塗工装置に汚れ等のトラブルが発生することも防ぐことができる。さらに、分子量が小さく紙表面への分散性が良い澱粉系接着剤と、分子量が大きく接着した部位の被覆能力の高いポリアクリルアミド系接着剤とを適切な割合で併用することにより、表面処理剤の紙層への浸透を防ぐことができる。すると、表面処理剤が紙表面に留まりやすくなるので、表面サイズ剤のサイズ効果をより高くすることができ、加えて耐水張力を高くすることができる。
第4発明によれば、吸水抵抗が大きいので、印刷時の吸水に起因する伸びを抑えることができるから、印刷時における色ずれを防止することができる。
実施例1〜8、比較例1〜5のオフセット印刷用新聞用紙の表面処理剤の塗工条件、および、耐水張力、吸水時間、塗工装置の汚れと色ずれの評価結果を示した図である。
本発明のオフセット印刷用新聞用紙は、輪転機による多色カラー印刷に適した性質を有するように調整されたものであり、実際の印刷に近い条件で測定された耐水張力が所定の値となるように調整されたことに特徴を有している。
具体的には、本発明のオフセット印刷用新聞用紙は、後述する方法で測定された耐水張力の値が、所定の値となるように調整されている。後述する方法で測定された耐水張力は、輪転機による多色カラー印刷時における新聞用紙のサイズ性と引張り特性を適切に表しているので、この数値が高い値であれば、印刷時における色ずれを防止することができる。
上述した所定の値とは、後述する方法で測定された耐水張力の値が、3.5秒以上、好ましくは3.5〜10秒である。これは、耐水張力が3.5秒未満であると色ずれの発生が多くなるし、耐水張力が10秒より大きくなれば色ずれは発生しないものの、色ずれの抑制に対する効果が頭打ちになるからである。
(耐水張力の測定方法)
上記のごとく、本発明では、新聞用紙の性質の特定に耐水張力を採用したが、以下ではかかる耐水張力の測定方法について説明する。
以下では、耐水張力の測定に、JIS P8113(2006年)に規定されている定速伸張形引張試験機を用いる場合を説明しているが、耐水張力の測定に使用する機械は特に限定されず、以下で説明するように作動させることができるものであればよい。
耐水張力の測定には、横方向(CD方向)15mm、縦方向(MD方向)250mmの紙片を使用する。なお、MD方向とは、抄紙機上での紙の進行方向に平行な方向であり、CD方向とは、MD方向と直交する方向である。
まず、この紙片におけるMD方向の両端を、定速伸張形引張試験機のクリップによって保持させる。このとき、紙片を保持しているクリップ間の距離が180mmとなるように保持させる。
ついで、定速伸張形引張試験機のクリップを移動させて、紙片をそのMD方向に沿って引張り伸長させる。そして、紙片に付与される引張荷重が6.0Nとなった時点でクリップの移動を停止する。言い換えれば、紙片からクリップに対して6.0Nの引張り力が加わった状態となるようにクリップの位置を固定する。この紙片に付与される6.0Nの引張荷重は、オフセット印刷輪転機において新聞用紙に加わる張力と同程度となる荷重である。
クリップの位置が固定されると、紙片の中央部に15μlの水を付着させる。水が付着されると紙片は水を吸収するので、水を吸収すると紙片は伸びやすくなる。すると、紙片からクリップに対して加わる引張り力が低下するから、水を紙片に付着させてから引張り力が4.0Nに低下するまでに要する時間を測定し、この時間を耐水張力とする。
従来、色ずれを評価する方法として、サイズ性に関わる、吸水度(水滴の吸収時間)、水滴の接触角、あるいは、引張り特性に関わる、引張り強さ、伸びなどを測定する方法が採られてきたが、これらは、サイズ性と引張り特性を別々に測定する方法であった。
また、JIS P8135(1998年)の湿潤引張強さ試験方法は、水に通常1時間浸漬させた紙の強度を測定しており、サイズ性と引張り特性を同時に測定しているといえる。しかし、実際の印刷工程において紙に付着する湿し水の量は、この試験において紙に付着する水の量よりも少ないので、この試験も色ずれの評価方法としては精度が低いものであった。
新聞印刷用輪転機のカラー印刷部では、紙が1胴目を通過してから4胴目に進むまでの所要時間は短時間であるため、乾燥状態の紙が破断する様な大きな引張荷重による評価や、紙を水に長時間浸漬させて紙の張力が低下している状態での評価では、輪転機における実際の印刷時に発生する色ずれを評価することはできない。
実際の印刷時に発生する色ずれを評価するためには、短時間での水の浸透具合と、水が浸透した直後の紙の引張り特性とを同時に評価すべきである。つまり、オフセット印刷時の張力により生じる紙のわずかな伸長を評価すべきである。
本発明で採用した上記耐水張力の測定方法は、サイズ性と引張り特性を同時に測定でき、しかも、より実際の印刷に近い条件における新聞用紙の前記性質が反映される。よって、新聞用紙について、新聞印刷用輪転機のカラー印刷を行ったときにおける色ずれを適切に評価でき、色ずれを防止できる新聞用紙の性質を特定することができる。
なお、上記定速伸張形引張試験機は、引張荷重が6.0Nになった時点で伸張が止まるようにプログラムが可能な装置が望ましい。
また、紙片に水を付着させる方法に制限はなく、スポイドやピペットで水を滴下する方法、一定量の水を付与した筆(刷毛)で水を付着させる方法、ロール転写による方法等が挙げられる。そして、本発明では紙片に付着させる水の量は15μlとしているが、正確に15μlとしなければならないのではなく、若干の誤差があっても耐水張力の値には影響しない。
(吸水時間)
また、本発明のオフセット印刷用新聞用紙は、上記耐水張力の条件を満たすとともに、JAPAN TAPPINo.32−2に準拠した試験において、吸水時間(滴下水量5μl)が30秒以上、好ましくは、30〜200秒であることが好ましい。これは、吸水時間が30秒より低いと紙片の張力低下の進行が速くなるため耐水張力が不足するからであり、また、200秒を超えても色ずれ防止の効果は頭打ちとなるからである。
(上記耐水張力を満たす新聞用紙)
本発明の新聞用紙は、以下方法により、上記のごとき耐水張力を調整することができる。例えば、ジェットワイヤー比(原料噴出速度/抄紙機ワイヤー速度比)を調整する、針葉樹クラフトパルプを増配する、パルプの叩解を進める、内添サイズ剤をパルプに添加する、湿潤紙力増強剤をパルプに添加する、原紙の坪量を増加させる、填料の添加量を抑える等の方法によって、新聞用紙の耐水張力を調整することはできる。
しかし、上記の耐水張力調整方法に代えて、または、上記の耐水張力調整方法とともに、以下に説明する原紙に塗工する表面処理剤の成分や塗工量を調整して耐水張力を調整すれば、より効果的かつ確実に上記のごとき耐水張力を実現することができる。
(原紙)
まず、本発明の新聞用紙に採用する表面処理剤等について説明する前に、本発明の新聞用紙の原紙について簡単に説明する。
原紙は、古紙脱墨パルプ(DIP)を主原料としたものであり、機械パルプも含有している。古紙脱墨パルプは新聞古紙、雑誌古紙等を脱インキして得られるものであり、資源の再利用の観点から、高配合するのが好ましい。機械パルプには、サーモメカニカルパルプ(TMP)、グランドウッドパルプ(GP)、リファイナーグランドウッドパルプ(RGP)、プレッシャライズドグランドウッドパルプ(PGW)などが使用できる。これらの機械パルプは新聞用紙の不透明度向上に寄与するため、適量が混合される。
なお、原紙の原料となるパルプには、古紙脱墨パルプ、機械パルプ以外のパルプ、例えば、針葉樹クラフトパルプ(NKP)、広葉樹クラフトパルプ(LKP)などの化学パルプを適宜配合することができる。かかる化学パルプは、新聞用紙の強度向上に寄与する。
本発明の新聞用紙では、調成工程で原料となるパルプを混合した後、原紙の性質を向上させるために、パルプに填料を添加(内添)することができる。
例えば、不透明度を向上させることを目的に填料を添加する場合には、ホワイトカーボン、カオリン、タルク、炭酸カルシウム等が添加される。
また、鹸化ロジンサイズ剤、ロジンエマルジョンサイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸等のサイズ剤や、硫酸バンド、カチオン澱粉、カチオン性ポリアクリルアミド樹脂等の定着剤を、必要に応じて内添することができる。
その他、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、スライムコントロール剤、ピッチコントロール剤、消泡剤、染料等の添加剤も、必要に応じて内添することができる。
(表面処理剤)
本発明の新聞用紙は、上記のごとき原紙の表面に表面処理剤を塗工することによって、所望のサイズ性・耐水張力が得られるように調整されている。
以下に、表面処理剤に含まれる表面サイズ剤および接着剤、およびその塗工量について説明する。
なお、表面処理剤には、後述する表面サイズ剤および接着剤以外の物質、例えば、顔料、防滑剤、滑剤、増粘剤、消泡剤、染料など公知の薬品が含まれているが、これらの物質は、オフセット印刷用新聞用紙に要求されるサイズ性や耐水張力以外の性質、例えば、白色度や不透明度、摩擦係数等を所望の状態とするために適宜混合することができる。
(表面サイズ剤)
本発明の新聞用紙に使用される表面処理剤には、表面サイズ剤として、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と、高分子系表面サイズ剤とを含んだものを使用しているが、このように2つの表面サイズ剤を利用するのは、以下の理由による。
アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤を新聞用紙に使用した場合、高いサイズ効果を得ることはできるものの、その添加量が多くなると印刷時の滑りや紙流れによるしわ入り、断紙等が発生する可能性が高くなる。
しかし、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤とともに高分子系表面サイズ剤を使用すれば、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の量を抑えることができるし、高分子系表面サイズ剤による滑り防止効果が得られるので、上記問題が発生することを防ぐことができる。つまり、上記のごとき2つの表面サイズ剤を利用することによって、高いサイズ効果を得つつ、印刷時の滑りや紙流れによるしわ入り、断紙等を防ぐことができるのである。
(アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤)
つぎに、本発明で使用するアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤を詳細に説明する。
本発明で使用するアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤としては、下記一般式[化1]
一般式[化1]:
R1−CH=C−O
| |
R2−HC−C=O
(式中、R1、R2は、炭素数8〜30の飽和または不飽和炭化水素基)
であらわされるアルキルケテンダイマー(AKD)が用いられる。AKDは乳化剤によって水に分散されて用いられる。式中、R1
、R2 は同一又は異なる炭化水素基を示す。この炭化水素基としては、例えば、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコデシル等のアルキル基、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル等のアルケニル基、オクチルフェニル、ノニルフェニル等のアルキル置換フェニル基、ノニルシクロヘキシル等のアルキル置換シクロアルキル基、フェニルエチル等のアラルキル基等が例示できる。これらのケテンダイマー系化合物は、1種あるいは2種以上併用して用いることができる。
ケテンダイマー系化合物は、その融点が40℃以下であることが好ましい。なお、ここで融点とは、上昇融点を言い、キャピラリー法で測定した値である。融点が40℃以下であることが好ましい理由は以下のとおりである。
表面サイジングに用いる表面サイズ剤には、熱及び機械的衝撃に対する安定性が要求されるが、一般的なケテンダイマー系化合物は、牛脂を原料とした炭素数16、18の直鎖飽和脂肪酸の混合物から製造されたものを用いている。
表面サイジングを行う場合には、紙層形成後の紙表面に表面処理剤を、ゲートロールコーター、2ロールサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター等を用いて塗工する。この表面サイジングの目的は、紙にサイズ性を付与する以外に、紙に表面強度あるいは印刷適性を付与することが含まれる場合がある。これらの機能を付与するために、酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉系接着剤、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子が使用されるが、これらの物質は予め高温でクッキング処理を行い糊化して用いなければならない。これらの水溶性高分子物質と表面サイズ剤を併用する場合、両者の水溶液を混合して用いることになる。この際、水溶性高分子物質はクッキング処理により高温の状態にあり、両者の水溶液の混合によって表面サイズ剤も高温になる。この時の温度は通常40〜60℃であり、表面サイズ剤は広い温度範囲に耐えられる熱安定性を必要とされる。
融点が40℃以下であるケテンダイマー系化合物を含有する製紙用サイズ剤組成物は、塗工液を使用する温度範囲にわたって、熱及び機械的安定性が優れているため、粕等の発生も極めて少なく、塗工装置の汚れを軽減させることができ操業性を高めることができる。
融点が40℃以下であるアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、前記一般式〔化1〕で示されるケテンダイマー系化合物の融点以上の温度でケテンダイマー系化合物と保護コロイド及び/又は分散剤とを水性溶媒中に混合し、ホモミキサー、高圧吐出型ホモジナイザー、超音波乳化機等の各種公知の乳化機で均一に分散させることにより得られる。さらに保護コロイド及び/又は分散剤は、公知のものを使用することができる。例えば、カチオン化澱粉等のカチオン性分散剤、ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸塩等のアニオン性分散剤、ソルビタンエステル等のノニオン性分散剤、或いはカチオン性、アニオン性、両性のアクリルアミド系ポリマー等の高分子保護コロイドを挙げることができる。
さらに、表面処理剤に添加されるケテンダイマー系化合物は、その濃度が10〜30質量%、分散相の粒子径が10μm以下であることが好ましい。その理由は、分散が安定し、サイズ効果の発現が良好になるためである。
(高分子系表面サイズ剤)
本発明で使用する高分子系表面サイズ剤としては、スチレンマレイン酸系共重合体、スチレンアクリル酸系共重合体、オレフィンマレイン酸系共重合体などのアニオン性高分子化合物、スチレン系ポリマーなどのカチオン性高分子化合物などがあるが、サイズ効果が高く、適正な粘度であるという性質を有していればよく、とくに限定されない。
(表面サイズ剤の配合割合)
ここで、原紙に塗工された状態において、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量が片面0.001〜0.02g/mであり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤の塗工量の比率が1対4〜4対1であることが好ましい。
アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量が片面0.001g/mより少ないとサイズ度が不足し、0.02g/mより多いと新聞用紙の滑りや塗工装置の汚れのトラブルが起こりやすくなるからである。
また、上記塗工量であっても、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤の塗工量の比率が1対4を超えて高分子系表面サイズ剤が多くなるとアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の割合が小さくなるのでサイズ度が不足する。逆に、4対1を超えてアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤が多くなると塗工装置の汚れのトラブルが起こりやすくなる。
したがって、新聞用紙に印刷時における色ずれを生じさせない程度のサイズ度を付与し、かつ、塗工装置に汚れ等のトラブルが発生することも防ぐには、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量が片面0.001〜0.02g/mとし、かつ、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤の塗工量の比率が1対4〜4対1となるように表面処理剤を調整して塗工することが好ましい。
(接着剤)
表面処理剤には接着剤も含まれているので、表面サイズ剤のサイズ効果を維持しつつ、印刷時のパイリング発生も抑えることができる。
使用する接着剤はとくに限定されないが、ポリアクリルアミド(PAM)系接着剤と澱粉系接着剤を含むことが好ましい。この場合、分子量が小さく紙表面への分散性が良い澱粉系接着剤と、分子量が大きく接着した部位の被覆能力の高いポリアクリルアミド系接着剤とを併用することにより、表面処理剤の紙層への浸透を防ぐことができる。すると、表面処理剤が紙表面に留まりやすくなるので、表面サイズ剤のサイズ効果を高くすることができ、加えて耐水張力を高くすることができるので、色ずれの発生を抑制することができる。
ポリアクリルアミド系接着剤としては、ノニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド(例えば、第3級アミン基及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する水溶性ポリアクリルアミド)、アニオン性ポリアクリルアミド、あるいは両性ポリアクリルアミドなどが使用できる。
澱粉系接着剤としては、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉等を使用することができる。
ポリアクリルアミド系接着剤、澱粉系接着剤以外でも、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース化合物、カゼイン、合成たんぱく、大豆たんぱく等のたんぱく類、また、合成物であるポリビニルアルコールなどの接着剤を使用してもよいし、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ラテックス類などの接着剤を使用してもよい。
(接着剤の塗工量)
本発明の新聞用紙に塗工する接着剤の塗工量は、片面当り固形分で0.3g/m以上1.0g/m以下とするのが好ましい。
接着剤の塗工量が片面当り0.3g/mよりも少ないと表面処理剤を紙面に均一に塗工することが難しく、塗工むらが生じやすくなる一方、塗工量が片面当り1.0g/mを越えると、インキ乾燥不良やネッパリトラブルを起こしやすくなるからである。
なお、本発明において、原紙に表面処理剤を塗工するコーターとしては、ゲートロールコーター、2ロールサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター等が挙げられるが、低塗工量のコーテイングに適したゲートロールコーターが好ましい。
また、表面処理剤を塗工された紙は乾燥工程を経てカレンダー処理を施されるが、カレンダー処理を行うカレンダー装置としては両面が金属ロールで処理されるマシンカレンダー、弾性ロールと金属ロールから構成されるソフトカレンダー、シューカレンダー等を使用することができる。
次に本発明の新聞用紙(実施例)と、比較例の新聞用紙について、紙質(耐水張力、吸水時間)、塗工装置の汚れの有無や色ずれ発生の有無を比較し、本発明の効果を確認した。なお、以下では、とくに断りのない限り、質量%、質量部、塗工量は固形分または有効成分で表している。
(実施例1)
実施例1の新聞用紙は、坪量43.0g/mの新聞用紙であり、原紙に対して、表面処理剤を塗工し、その後、乾燥、カレンダー処理を行って製造したものである。この実施例1の新聞用紙の原紙、表面処理剤、および表面処理剤の塗工量は以下のとおりである。
1)原紙
原紙は、パルプ原料としてDIP(カナダ標準濾水度180ml)を80質量%、TMP(カナダ標準濾水度110ml)を20質量%の割合で混合したパルプ原料100質量部に対し、歩留まり向上剤(製品名:ND260/ハイモ株式会社製)を0.02質量部、カオリンを5質量部添加し、ハイブリッドフォーマー型抄紙機で抄造した。
2)表面処理剤
表面処理剤の表面サイズ剤および接着剤には、以下のものを使用した。
(1)表面サイズ剤
表面サイズ剤には、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤(製品名:SE2395/星光PMC株式会社製)、高分子系表面サイズ剤(オレフィン系表面サイズ剤、製品名:ポリマロンOM−25/荒川化学工業株式会社製)を使用した。
(2)接着剤
接着剤には、酸化澱粉(製品名:MS9000/日本食品化工株式会社製)とポリアクリルアミド系接着剤(製品名:ポリマセットHP−710/荒川化学工業株式会社製)を固形分で9:1に混合したものを使用した。
3)塗工量
上記のごとき表面サイズ剤および接着剤を含む表面処理剤は、接着剤の片面当りの塗工量が0.4g/m、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.015g/m、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.015g/mとなるように、ゲートロールコーターで原紙両面同じ塗工量で塗工した。
(実施例2)
実施例2の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と表面サイズ剤の塗工量のみが異なるものであり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.001g/m、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.004g/mとなるように塗工した。
(実施例3)
実施例3の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と表面サイズ剤の塗工量のみが異なるものであり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.02g/m、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.005g/mとなるように塗工した。
(実施例4)
実施例4の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と表面サイズ剤の塗工量のみが異なるものであり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.02g/m、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.02g/mとなるように塗工した。
(実施例5)
実施例5の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と、使用した高分子系表面サイズ剤と、表面サイズ剤の塗工量が異なるものであり、高分子系表面サイズ剤としてスチレン系表面サイズ剤(製品名:ポリマロンNS−25/荒川化学工業株式会社製)を使用し、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.001g/m、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.001g/mとなるように塗工した。
(実施例6)
実施例6の新聞用紙は、実施例5の新聞用紙と、使用した接着剤と、接着剤および表面サイズ剤の塗工量が異なるものである。接着剤には、酸化澱粉(製品名:MS9000/日本食品化工株式会社製)とポリアクリルアミド系接着剤(製品名:ポリマセットHP−710/荒川化学工業株式会社製)を固形分で19:1に混合したものを使用した。また、接着剤の片面当りの塗工量は0.8g/m、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.01g/m、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.005g/mとなるように塗工した。
(実施例7)
実施例7の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と、原紙の材料のみが異なるものである。
実施例7の新聞用紙の原紙は、パルプ原料としてDIP(カナダ標準濾水度180ml)を50質量%、TMP(カナダ標準濾水度110ml)を30質量%、針葉樹晒クラフトパルプ(カナダ標準濾水度450ml)を20質量%の割合で混合したパルプ原料100質量部に対し、歩留まり向上剤(製品名:ND260/ハイモ株式会社製)を0.02質量部、ポリアミドエピクロロヒドリン系湿潤紙力増強剤(製品名:WS4024/星光PMC株式会社製)を0.2質量部、中性ロジンエマルジョンサイズ剤(製品名:CC1404/星光PMC株式会社製)を0.2質量部、硫酸バンド0.8質量部、カオリンを5質量部添加し、ハイブリッドフォーマー型抄紙機で抄造した。
(実施例8)
実施例8の新聞用紙は、実施例7の新聞用紙と、接着剤および表面サイズ剤の塗工量が異なるものであり、接着剤の片面当りの塗工量が0.8g/m、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.02g/m、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.08g/mとなるように塗工した。
(比較例1)
比較例1の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と表面サイズ剤およびその塗工量が異なるものであり、表面サイズ剤としてアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤を使用せず、高分子系表面サイズ剤のみを使用している。そして、表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.03g/mとなるように塗工した。
(比較例2)
比較例2の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と表面サイズ剤およびその塗工量が異なるものであり、表面サイズ剤としてアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤のみを使用し、片面当りの塗工量が0.025g/mとなるように塗工した。
(比較例3)
比較例3の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と表面サイズ剤の塗工量のみが異なるものであり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.0008g/m、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.004g/mとなるように塗工した。
(比較例4)
比較例4の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と表面サイズ剤の塗工量のみが異なるものであり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.025g/m、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.005g/mとなるように塗工した。
(比較例5)
比較例5の新聞用紙は、実施例5の新聞用紙と接着剤およびその塗工量が異なるものであり、接着剤としてポリアクリルアミド系接着剤を使用せず酸化澱粉のみを使用し、接着剤の片面当りの塗工量が0.4g/mとなるように塗工した。
なお、オフセット印刷用新聞用紙の評価方法は以下の通りとした。
(耐水張力)
JISP8113(2006年)紙および及び板紙−引張特性の試験方法−第2部:定速伸張法に基づき、横方向(CD方向)15mm、縦方向(MD方向)250mmの紙片を、定速伸張形引張試験機(オートグラフAG−I 500N/株式会社島津製作所製)のクリップに180mmの間隔ではさみ、伸張を開始し、引張荷重が6.0Nとなった時点で伸張を止め、紙片の中央部に筆で15μlの水を付着させ、引張荷重が6.0Nから4.0Nに低下するまでに要する時間を測定した。引張荷重は紙片の巾15mm当たりの荷重である。同測定を5回繰り返し、平均値を算出した。なお、サンプルはJIS P8111(1998年)に準じ、事前に23℃±1℃、(50±2)%r.h.の標準状態で24時間調湿したものを標準状態で測定した。
(吸水時間)
JAPAN TAPPINo.32−2に準拠、滴下水量5μlで測定した。
(色ずれ)
新聞巻取を新聞輪転印刷機にかけ、両出し12万部/時の印刷速度で、墨藍紅黄の順で4色カラー印刷を行った。巻込み長20mを残して旧巻取から新巻取への紙継ぎを行い、50部を排紙した直後の墨を基準とした場合の黄色のずれ量を測定した。10回の紙継ぎを行い、ずれ量の平均値を算出し、下記の基準で色ずれを評価した。
◎:ずれ量が0.1mm未満、
○:ずれ量が0.1mm以上0.5mm未満、
×:ずれ量が0.5mm以上
(実験結果)
実施例1〜8、比較例1〜5のオフセット印刷用新聞用紙の表面処理剤の塗工条件、および、耐水張力、吸水時間、塗工装置の汚れと色ずれの評価結果を図1に示す。
実施例1から実施例8に示すオフセット印刷用新聞用紙では、耐水張力が3.5秒以上、吸水時間も30秒以上であり、色ずれの評価が良好であり、塗工装置の汚れも発生していない。
一方、比較例1では、表面サイズ剤としてアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤を使用せず、オレフィン系表面サイズ剤のみを使用した例であり、吸水時間が低く、耐水張力が3.4秒と低いので、色ずれ評価が悪くなっている。
比較例2は、表面サイズ剤としてアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤のみを使用した例であり、表面サイズ剤の塗工量が0.025g/mと多く、塗工装置の汚れが発生し、新聞用紙を連続して製造するのが困難であった。
比較例3は、表面サイズ剤としてアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤を使用しているが、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量が0.0008g/mと少なく、しかもアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤の塗工量の比が1:5であるため、吸水時間が不足し、耐水張力が3.2秒と低いので色ずれ評価が悪くなっている。
比較例4は、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤を併用しているが、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤の塗工量の比率が5:1であり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤が多く、しかも、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量が0.025g/mと多いので、塗工装置の汚れが発生し、新聞用紙を連続して製造するのが困難であった。
比較例5は、接着剤にポリアクリルアミド系接着剤を使用していないので、他の条件は同じの実施例5と比べると吸水時間が25秒と低く、耐水張力が3.1秒と低いので色ずれ評価が悪くなっている。
以上のごとく、本発明の新聞用紙、つまり、所定の表面処理剤を所定の量塗工した新聞用紙では、耐水張力が3.5秒以上、吸水時間も30秒以上の条件を満たすこと、塗工装置の汚れも発生しないことが確認できる。そして、かかる条件を満たす新聞用紙では、色ずれも生じないことが確認できる。
本発明のオフセット印刷用新聞用紙は、内添サイズ剤の使用を抑えて抄造される新聞用紙であって、コールドセット型オフセット印刷輪転機で使用されるものに適している。

Claims (4)

  1. 耐水張力が3.5秒以上となるように、原紙の両面に表面処理剤が塗工されており、
    前記表面処理剤が、
    接着剤と、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と、高分子系表面サイズ剤とを含んでおり、
    前記アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量が、片面当り0.001〜0.02g/m であり、
    前記アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と前記高分子系表面サイズ剤の塗工量の比率が、1対4〜4対1であり、
    前記接着剤が、
    ポリアクリルアミド系接着剤と澱粉系接着剤とを含んでおり、
    該接着剤中の前記ポリアクリルアミド系接着剤の質量割合が、5質量%以上である
    ことを特徴とするオフセット印刷用新聞用紙。
  2. 前記接着剤の塗工量が、
    片面当り0.3g〜1.0g/m である
    ことを特徴とする請求項1記載のオフセット印刷用新聞用紙。
  3. 前記接着剤中の前記ポリアクリルアミド系接着剤の質量割合が、5〜10質量%である
    ことを特徴とする請求項1または2記載のオフセット印刷用新聞用紙。
  4. JAPAN TAPPINo.32−2に準拠した試験方法において、滴下水量5μlを吸水する時間が30秒以上である
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載のオフセット印刷用新聞用紙。
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