JP5258585B2 - オフセット印刷用新聞用紙 - Google Patents
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Description
本発明は、このような内添サイズ剤の使用を抑えて抄造される新聞用紙であって、コールドセット型オフセット印刷輪転機で使用されるオフセット印刷用新聞用紙に関するものである。
一方、カラー印刷では、複数の色を複数回に分けて重ねて塗布するので、輪転機に供給されるオフセット印刷用新聞用紙(以下、単に新聞用紙という)の状態によっては、色ずれが発生する可能性がある。
まず、新聞印刷用輪転機では、輪転機に供給された新聞用紙に対して、湿し水を付与しながら印刷を行う。湿し水が付与されると新聞用紙は伸長するので、輪転機の印刷部は、かかる伸長を補正して、1色目が印刷された画線部と2色目以降の画線部の位置が一致するように印刷位置を調整している。
ここで、新聞印刷用輪転機では、シート状の新聞用紙に対して連続して印刷を行っており、複数本のロールに巻き取られた新聞用紙を順次つなぎながら輪転機に供給する必要がある。
しかし、各ロールに巻き取られている新聞用紙の物性は必ずしも一致しないので、物性が異なる新聞用紙がつながれた場合には、その継ぎ目部分の前後で湿し水が付与したときにおける新聞用紙の伸長量に差が生じる。
すると、輪転機の印刷部は、紙継ぎ前の新聞用紙の物性に合わせて印刷位置を調整しているので、新しい新聞用紙に変わると1色目が印刷された画線部と、2色目以降の画線部に見当ずれ(位置ずれ)が生じる。この見当ずれが色ずれである。
とくに、新聞用紙は他の印刷用紙(例えば、塗工印刷用紙等)に比べ、1時間当たり20万部といった高速・大量の印刷を行うことに加え、坪量が40〜43g/m2と低いので、湿し水が付与されたときにおける伸長の個体差が大きくなるから、色ずれに対して格段の配慮が必要である。
(3)特許文献3には、表面処理剤として、カチオン性澱粉と、スチレン系モノマーとアニオン性モノマーから合成された水溶性共重合体から成るスチレン系サイズ剤の2成分を含有するものを採用した技術が開示されている。
(4)特許文献4には、表面サイズ剤として、スチレン系モノマーとカチオン性ビニルモノマーを含む共重合物である水溶性の表面サイズ剤を採用した技術が開示されている。
(5)特許文献5には、表面処理剤として、澱粉類とアルコール成分の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸エステル及びエチレン性不飽和カルボン酸を少なくとも含有するモノマーから合成された共重合体を主体とするものを採用し、表面処理剤と水との接触角の特性を規定した技術が開示されている。
(7)特許文献7には、原紙の表面に、化工澱粉、アルキルケテンダイマーおよび防滑剤を含有する塗工層を設け、表面の動摩擦係数を0.40〜0.70の範囲とする技術が開示されている。
(8)特許文献8は、表面サイズ剤組成物として、ケテン二量体系サイズ剤と水溶性高分子化合物とを特定範囲の質量比で含有するものが開示されている。
また、特許文献7には、アルキルケテンダイマーとともに防滑剤を使用することによって印刷時における表面の滑りの問題は解消している。しかし、化工澱粉、およびアルキルケテンダイマーの2成分の塗布量が0.5〜2.0g/m2で、これらの配合比が化工澱粉10部に対して、アルキルケテンダイマーが0.5〜3.0部とされており、アルキルケテンダイマーの塗布量が0.024〜0.46g/m2と多く、塗工装置の汚れの問題が懸念される。
そして、新聞印刷用輪転機のカラー印刷時に発生する色ずれを防止できる条件は、現在のところ把握できていない。
なお、本明細書において、「耐水張力」とは、オフセット印刷用新聞用紙からなるCD方向の長さが15mm、MD方向の長さが250mmの紙片を、定速伸張形引張試験機に対して紙片のMD方向の両端が保持されかつ紙片を保持する部材間の距離が180mmとなるように取り付け、定速伸張形引張試験機によって紙片をそのMD方向に沿って伸長させ、紙片に付与される引張荷重が6.0Nとなった時点で紙片の伸張を止めて紙片の中央部に15μlの水を付着させたときに、水の付着後、紙片から定速伸張形引張試験機に対して加わる引張荷重が6.0Nから4.0Nに低下するまでに要する時間をいう。
第2発明のオフセット印刷用新聞用紙は、第1発明において、前記接着剤の塗工量が、片面当り0.3g〜1.0g/m 2 であることを特徴とする。
第3発明のオフセット印刷用新聞用紙は、第1または第2発明において、前記接着剤中の前記ポリアクリルアミド系接着剤の質量割合が、5〜10質量%であることを特徴とする。
第4発明のオフセット印刷用新聞用紙は、第1、第2または3発明において、JAPAN TAPPINo.32−2に準拠した試験方法において、滴下水量5μlを吸水する時間が30秒以上であることを特徴とする。
第4発明によれば、吸水抵抗が大きいので、印刷時の吸水に起因する伸びを抑えることができるから、印刷時における色ずれを防止することができる。
上述した所定の値とは、後述する方法で測定された耐水張力の値が、3.5秒以上、好ましくは3.5〜10秒である。これは、耐水張力が3.5秒未満であると色ずれの発生が多くなるし、耐水張力が10秒より大きくなれば色ずれは発生しないものの、色ずれの抑制に対する効果が頭打ちになるからである。
上記のごとく、本発明では、新聞用紙の性質の特定に耐水張力を採用したが、以下ではかかる耐水張力の測定方法について説明する。
以下では、耐水張力の測定に、JIS P8113(2006年)に規定されている定速伸張形引張試験機を用いる場合を説明しているが、耐水張力の測定に使用する機械は特に限定されず、以下で説明するように作動させることができるものであればよい。
まず、この紙片におけるMD方向の両端を、定速伸張形引張試験機のクリップによって保持させる。このとき、紙片を保持しているクリップ間の距離が180mmとなるように保持させる。
ついで、定速伸張形引張試験機のクリップを移動させて、紙片をそのMD方向に沿って引張り伸長させる。そして、紙片に付与される引張荷重が6.0Nとなった時点でクリップの移動を停止する。言い換えれば、紙片からクリップに対して6.0Nの引張り力が加わった状態となるようにクリップの位置を固定する。この紙片に付与される6.0Nの引張荷重は、オフセット印刷輪転機において新聞用紙に加わる張力と同程度となる荷重である。
また、JIS P8135(1998年)の湿潤引張強さ試験方法は、水に通常1時間浸漬させた紙の強度を測定しており、サイズ性と引張り特性を同時に測定しているといえる。しかし、実際の印刷工程において紙に付着する湿し水の量は、この試験において紙に付着する水の量よりも少ないので、この試験も色ずれの評価方法としては精度が低いものであった。
実際の印刷時に発生する色ずれを評価するためには、短時間での水の浸透具合と、水が浸透した直後の紙の引張り特性とを同時に評価すべきである。つまり、オフセット印刷時の張力により生じる紙のわずかな伸長を評価すべきである。
また、紙片に水を付着させる方法に制限はなく、スポイドやピペットで水を滴下する方法、一定量の水を付与した筆(刷毛)で水を付着させる方法、ロール転写による方法等が挙げられる。そして、本発明では紙片に付着させる水の量は15μlとしているが、正確に15μlとしなければならないのではなく、若干の誤差があっても耐水張力の値には影響しない。
また、本発明のオフセット印刷用新聞用紙は、上記耐水張力の条件を満たすとともに、JAPAN TAPPINo.32−2に準拠した試験において、吸水時間(滴下水量5μl)が30秒以上、好ましくは、30〜200秒であることが好ましい。これは、吸水時間が30秒より低いと紙片の張力低下の進行が速くなるため耐水張力が不足するからであり、また、200秒を超えても色ずれ防止の効果は頭打ちとなるからである。
本発明の新聞用紙は、以下方法により、上記のごとき耐水張力を調整することができる。例えば、ジェットワイヤー比(原料噴出速度/抄紙機ワイヤー速度比)を調整する、針葉樹クラフトパルプを増配する、パルプの叩解を進める、内添サイズ剤をパルプに添加する、湿潤紙力増強剤をパルプに添加する、原紙の坪量を増加させる、填料の添加量を抑える等の方法によって、新聞用紙の耐水張力を調整することはできる。
しかし、上記の耐水張力調整方法に代えて、または、上記の耐水張力調整方法とともに、以下に説明する原紙に塗工する表面処理剤の成分や塗工量を調整して耐水張力を調整すれば、より効果的かつ確実に上記のごとき耐水張力を実現することができる。
まず、本発明の新聞用紙に採用する表面処理剤等について説明する前に、本発明の新聞用紙の原紙について簡単に説明する。
原紙は、古紙脱墨パルプ(DIP)を主原料としたものであり、機械パルプも含有している。古紙脱墨パルプは新聞古紙、雑誌古紙等を脱インキして得られるものであり、資源の再利用の観点から、高配合するのが好ましい。機械パルプには、サーモメカニカルパルプ(TMP)、グランドウッドパルプ(GP)、リファイナーグランドウッドパルプ(RGP)、プレッシャライズドグランドウッドパルプ(PGW)などが使用できる。これらの機械パルプは新聞用紙の不透明度向上に寄与するため、適量が混合される。
なお、原紙の原料となるパルプには、古紙脱墨パルプ、機械パルプ以外のパルプ、例えば、針葉樹クラフトパルプ(NKP)、広葉樹クラフトパルプ(LKP)などの化学パルプを適宜配合することができる。かかる化学パルプは、新聞用紙の強度向上に寄与する。
例えば、不透明度を向上させることを目的に填料を添加する場合には、ホワイトカーボン、カオリン、タルク、炭酸カルシウム等が添加される。
また、鹸化ロジンサイズ剤、ロジンエマルジョンサイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸等のサイズ剤や、硫酸バンド、カチオン澱粉、カチオン性ポリアクリルアミド樹脂等の定着剤を、必要に応じて内添することができる。
その他、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、スライムコントロール剤、ピッチコントロール剤、消泡剤、染料等の添加剤も、必要に応じて内添することができる。
本発明の新聞用紙は、上記のごとき原紙の表面に表面処理剤を塗工することによって、所望のサイズ性・耐水張力が得られるように調整されている。
以下に、表面処理剤に含まれる表面サイズ剤および接着剤、およびその塗工量について説明する。
なお、表面処理剤には、後述する表面サイズ剤および接着剤以外の物質、例えば、顔料、防滑剤、滑剤、増粘剤、消泡剤、染料など公知の薬品が含まれているが、これらの物質は、オフセット印刷用新聞用紙に要求されるサイズ性や耐水張力以外の性質、例えば、白色度や不透明度、摩擦係数等を所望の状態とするために適宜混合することができる。
本発明の新聞用紙に使用される表面処理剤には、表面サイズ剤として、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と、高分子系表面サイズ剤とを含んだものを使用しているが、このように2つの表面サイズ剤を利用するのは、以下の理由による。
アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤を新聞用紙に使用した場合、高いサイズ効果を得ることはできるものの、その添加量が多くなると印刷時の滑りや紙流れによるしわ入り、断紙等が発生する可能性が高くなる。
しかし、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤とともに高分子系表面サイズ剤を使用すれば、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の量を抑えることができるし、高分子系表面サイズ剤による滑り防止効果が得られるので、上記問題が発生することを防ぐことができる。つまり、上記のごとき2つの表面サイズ剤を利用することによって、高いサイズ効果を得つつ、印刷時の滑りや紙流れによるしわ入り、断紙等を防ぐことができるのである。
つぎに、本発明で使用するアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤を詳細に説明する。
本発明で使用するアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤としては、下記一般式[化1]
一般式[化1]:
R1−CH=C−O
| |
R2−HC−C=O
(式中、R1、R2は、炭素数8〜30の飽和または不飽和炭化水素基)
であらわされるアルキルケテンダイマー(AKD)が用いられる。AKDは乳化剤によって水に分散されて用いられる。式中、R1
、R2 は同一又は異なる炭化水素基を示す。この炭化水素基としては、例えば、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコデシル等のアルキル基、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル等のアルケニル基、オクチルフェニル、ノニルフェニル等のアルキル置換フェニル基、ノニルシクロヘキシル等のアルキル置換シクロアルキル基、フェニルエチル等のアラルキル基等が例示できる。これらのケテンダイマー系化合物は、1種あるいは2種以上併用して用いることができる。
表面サイジングに用いる表面サイズ剤には、熱及び機械的衝撃に対する安定性が要求されるが、一般的なケテンダイマー系化合物は、牛脂を原料とした炭素数16、18の直鎖飽和脂肪酸の混合物から製造されたものを用いている。
表面サイジングを行う場合には、紙層形成後の紙表面に表面処理剤を、ゲートロールコーター、2ロールサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター等を用いて塗工する。この表面サイジングの目的は、紙にサイズ性を付与する以外に、紙に表面強度あるいは印刷適性を付与することが含まれる場合がある。これらの機能を付与するために、酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉系接着剤、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子が使用されるが、これらの物質は予め高温でクッキング処理を行い糊化して用いなければならない。これらの水溶性高分子物質と表面サイズ剤を併用する場合、両者の水溶液を混合して用いることになる。この際、水溶性高分子物質はクッキング処理により高温の状態にあり、両者の水溶液の混合によって表面サイズ剤も高温になる。この時の温度は通常40〜60℃であり、表面サイズ剤は広い温度範囲に耐えられる熱安定性を必要とされる。
融点が40℃以下であるケテンダイマー系化合物を含有する製紙用サイズ剤組成物は、塗工液を使用する温度範囲にわたって、熱及び機械的安定性が優れているため、粕等の発生も極めて少なく、塗工装置の汚れを軽減させることができ操業性を高めることができる。
本発明で使用する高分子系表面サイズ剤としては、スチレンマレイン酸系共重合体、スチレンアクリル酸系共重合体、オレフィンマレイン酸系共重合体などのアニオン性高分子化合物、スチレン系ポリマーなどのカチオン性高分子化合物などがあるが、サイズ効果が高く、適正な粘度であるという性質を有していればよく、とくに限定されない。
ここで、原紙に塗工された状態において、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量が片面0.001〜0.02g/m2であり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤の塗工量の比率が1対4〜4対1であることが好ましい。
また、上記塗工量であっても、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤の塗工量の比率が1対4を超えて高分子系表面サイズ剤が多くなるとアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の割合が小さくなるのでサイズ度が不足する。逆に、4対1を超えてアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤が多くなると塗工装置の汚れのトラブルが起こりやすくなる。
したがって、新聞用紙に印刷時における色ずれを生じさせない程度のサイズ度を付与し、かつ、塗工装置に汚れ等のトラブルが発生することも防ぐには、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量が片面0.001〜0.02g/m2とし、かつ、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤の塗工量の比率が1対4〜4対1となるように表面処理剤を調整して塗工することが好ましい。
表面処理剤には接着剤も含まれているので、表面サイズ剤のサイズ効果を維持しつつ、印刷時のパイリング発生も抑えることができる。
使用する接着剤はとくに限定されないが、ポリアクリルアミド(PAM)系接着剤と澱粉系接着剤を含むことが好ましい。この場合、分子量が小さく紙表面への分散性が良い澱粉系接着剤と、分子量が大きく接着した部位の被覆能力の高いポリアクリルアミド系接着剤とを併用することにより、表面処理剤の紙層への浸透を防ぐことができる。すると、表面処理剤が紙表面に留まりやすくなるので、表面サイズ剤のサイズ効果を高くすることができ、加えて耐水張力を高くすることができるので、色ずれの発生を抑制することができる。
澱粉系接着剤としては、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉等を使用することができる。
本発明の新聞用紙に塗工する接着剤の塗工量は、片面当り固形分で0.3g/m2以上1.0g/m2以下とするのが好ましい。
接着剤の塗工量が片面当り0.3g/m2よりも少ないと表面処理剤を紙面に均一に塗工することが難しく、塗工むらが生じやすくなる一方、塗工量が片面当り1.0g/m2を越えると、インキ乾燥不良やネッパリトラブルを起こしやすくなるからである。
また、表面処理剤を塗工された紙は乾燥工程を経てカレンダー処理を施されるが、カレンダー処理を行うカレンダー装置としては両面が金属ロールで処理されるマシンカレンダー、弾性ロールと金属ロールから構成されるソフトカレンダー、シューカレンダー等を使用することができる。
実施例1の新聞用紙は、坪量43.0g/m2の新聞用紙であり、原紙に対して、表面処理剤を塗工し、その後、乾燥、カレンダー処理を行って製造したものである。この実施例1の新聞用紙の原紙、表面処理剤、および表面処理剤の塗工量は以下のとおりである。
1)原紙
原紙は、パルプ原料としてDIP(カナダ標準濾水度180ml)を80質量%、TMP(カナダ標準濾水度110ml)を20質量%の割合で混合したパルプ原料100質量部に対し、歩留まり向上剤(製品名:ND260/ハイモ株式会社製)を0.02質量部、カオリンを5質量部添加し、ハイブリッドフォーマー型抄紙機で抄造した。
2)表面処理剤
表面処理剤の表面サイズ剤および接着剤には、以下のものを使用した。
(1)表面サイズ剤
表面サイズ剤には、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤(製品名:SE2395/星光PMC株式会社製)、高分子系表面サイズ剤(オレフィン系表面サイズ剤、製品名:ポリマロンOM−25/荒川化学工業株式会社製)を使用した。
(2)接着剤
接着剤には、酸化澱粉(製品名:MS9000/日本食品化工株式会社製)とポリアクリルアミド系接着剤(製品名:ポリマセットHP−710/荒川化学工業株式会社製)を固形分で9:1に混合したものを使用した。
3)塗工量
上記のごとき表面サイズ剤および接着剤を含む表面処理剤は、接着剤の片面当りの塗工量が0.4g/m2、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.015g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.015g/m2となるように、ゲートロールコーターで原紙両面同じ塗工量で塗工した。
実施例2の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と表面サイズ剤の塗工量のみが異なるものであり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.001g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.004g/m2となるように塗工した。
実施例3の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と表面サイズ剤の塗工量のみが異なるものであり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.02g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.005g/m2となるように塗工した。
実施例4の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と表面サイズ剤の塗工量のみが異なるものであり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.02g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.02g/m2となるように塗工した。
実施例5の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と、使用した高分子系表面サイズ剤と、表面サイズ剤の塗工量が異なるものであり、高分子系表面サイズ剤としてスチレン系表面サイズ剤(製品名:ポリマロンNS−25/荒川化学工業株式会社製)を使用し、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.001g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.001g/m2となるように塗工した。
実施例6の新聞用紙は、実施例5の新聞用紙と、使用した接着剤と、接着剤および表面サイズ剤の塗工量が異なるものである。接着剤には、酸化澱粉(製品名:MS9000/日本食品化工株式会社製)とポリアクリルアミド系接着剤(製品名:ポリマセットHP−710/荒川化学工業株式会社製)を固形分で19:1に混合したものを使用した。また、接着剤の片面当りの塗工量は0.8g/m2、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.01g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.005g/m2となるように塗工した。
実施例7の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と、原紙の材料のみが異なるものである。
実施例7の新聞用紙の原紙は、パルプ原料としてDIP(カナダ標準濾水度180ml)を50質量%、TMP(カナダ標準濾水度110ml)を30質量%、針葉樹晒クラフトパルプ(カナダ標準濾水度450ml)を20質量%の割合で混合したパルプ原料100質量部に対し、歩留まり向上剤(製品名:ND260/ハイモ株式会社製)を0.02質量部、ポリアミドエピクロロヒドリン系湿潤紙力増強剤(製品名:WS4024/星光PMC株式会社製)を0.2質量部、中性ロジンエマルジョンサイズ剤(製品名:CC1404/星光PMC株式会社製)を0.2質量部、硫酸バンド0.8質量部、カオリンを5質量部添加し、ハイブリッドフォーマー型抄紙機で抄造した。
実施例8の新聞用紙は、実施例7の新聞用紙と、接着剤および表面サイズ剤の塗工量が異なるものであり、接着剤の片面当りの塗工量が0.8g/m2、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.02g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.08g/m2となるように塗工した。
比較例1の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と表面サイズ剤およびその塗工量が異なるものであり、表面サイズ剤としてアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤を使用せず、高分子系表面サイズ剤のみを使用している。そして、表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.03g/m2となるように塗工した。
比較例2の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と表面サイズ剤およびその塗工量が異なるものであり、表面サイズ剤としてアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤のみを使用し、片面当りの塗工量が0.025g/m2となるように塗工した。
比較例3の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と表面サイズ剤の塗工量のみが異なるものであり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.0008g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.004g/m2となるように塗工した。
比較例4の新聞用紙は、実施例1の新聞用紙と表面サイズ剤の塗工量のみが異なるものであり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.025g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.005g/m2となるように塗工した。
比較例5の新聞用紙は、実施例5の新聞用紙と接着剤およびその塗工量が異なるものであり、接着剤としてポリアクリルアミド系接着剤を使用せず酸化澱粉のみを使用し、接着剤の片面当りの塗工量が0.4g/m2となるように塗工した。
(耐水張力)
JISP8113(2006年)紙および及び板紙−引張特性の試験方法−第2部:定速伸張法に基づき、横方向(CD方向)15mm、縦方向(MD方向)250mmの紙片を、定速伸張形引張試験機(オートグラフAG−I 500N/株式会社島津製作所製)のクリップに180mmの間隔ではさみ、伸張を開始し、引張荷重が6.0Nとなった時点で伸張を止め、紙片の中央部に筆で15μlの水を付着させ、引張荷重が6.0Nから4.0Nに低下するまでに要する時間を測定した。引張荷重は紙片の巾15mm当たりの荷重である。同測定を5回繰り返し、平均値を算出した。なお、サンプルはJIS P8111(1998年)に準じ、事前に23℃±1℃、(50±2)%r.h.の標準状態で24時間調湿したものを標準状態で測定した。
JAPAN TAPPINo.32−2に準拠、滴下水量5μlで測定した。
新聞巻取を新聞輪転印刷機にかけ、両出し12万部/時の印刷速度で、墨藍紅黄の順で4色カラー印刷を行った。巻込み長20mを残して旧巻取から新巻取への紙継ぎを行い、50部を排紙した直後の墨を基準とした場合の黄色のずれ量を測定した。10回の紙継ぎを行い、ずれ量の平均値を算出し、下記の基準で色ずれを評価した。
◎:ずれ量が0.1mm未満、
○:ずれ量が0.1mm以上0.5mm未満、
×:ずれ量が0.5mm以上
実施例1〜8、比較例1〜5のオフセット印刷用新聞用紙の表面処理剤の塗工条件、および、耐水張力、吸水時間、塗工装置の汚れと色ずれの評価結果を図1に示す。
Claims (4)
- 耐水張力が3.5秒以上となるように、原紙の両面に表面処理剤が塗工されており、
前記表面処理剤が、
接着剤と、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と、高分子系表面サイズ剤とを含んでおり、
前記アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量が、片面当り0.001〜0.02g/m 2 であり、
前記アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と前記高分子系表面サイズ剤の塗工量の比率が、1対4〜4対1であり、
前記接着剤が、
ポリアクリルアミド系接着剤と澱粉系接着剤とを含んでおり、
該接着剤中の前記ポリアクリルアミド系接着剤の質量割合が、5質量%以上である
ことを特徴とするオフセット印刷用新聞用紙。 - 前記接着剤の塗工量が、
片面当り0.3g〜1.0g/m 2 である
ことを特徴とする請求項1記載のオフセット印刷用新聞用紙。 - 前記接着剤中の前記ポリアクリルアミド系接着剤の質量割合が、5〜10質量%である
ことを特徴とする請求項1または2記載のオフセット印刷用新聞用紙。 - JAPAN TAPPINo.32−2に準拠した試験方法において、滴下水量5μlを吸水する時間が30秒以上である
ことを特徴とする請求項1、2または3記載のオフセット印刷用新聞用紙。
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