JP2008274500A - 新聞用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】古紙パルプの配合割合や紙灰分の割合が高い場合であっても、白抜け、紙粉等によるブランケットパイリングが効果的に防止され、かつ断紙、表面処理剤を含む塗工液の溶出、色ズレ等がなく、作業性に優れた新聞用紙を提供すること。
【解決手段】古紙パルプを含むパルプと填料とが主原料として配合された基紙の表面と裏面とに、表面処理剤を含む塗工液が塗工されてなる新聞用紙であって、前記基紙の表面と裏面とに、水溶性高分子化合物からなる、少なくとも異なる表面処理剤を含む塗工液がそれぞれの面に塗工され、その表裏面におけるドロップ吸水度の差(絶対値)が0〜20秒であることを特徴とする、新聞用紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、新聞用紙に関する。さらに詳しくは、例えば古紙パルプの配合割合や紙灰分の割合が高い場合であっても、白抜け、紙粉等によるブランケットパイリングが効果的に防止され、かつ断紙、表面処理剤を含む塗工液の溶出、色ズレ等がなく、作業性に優れ、特にオフセット印刷に好適な新聞用紙に関する。
近年、製紙メーカーの環境に対する意識の向上から、新聞用紙における古紙パルプの配合割合が徐々に上昇し、例えば60%を超え、中には80%を超える新聞用紙も珍しくない。また、新聞用紙の中性紙化も進んでおり、酸性紙では抄き込むことができなかった古紙中のチラシ分を紙中に取り込むことが可能で、紙灰分の割合も4%を超えるものが多く、6%を超えるものもある。
古紙パルプの配合割合や灰分が増加すると、一般にオフセット印刷時の印刷面の品質に様々な問題が起こるが、画線部の白抜けは最も重要視される問題の1つである。
白抜けは、一般的には表面強度の弱い面に多く発生し、印刷時に紙の繊維や填料等がインキによって紙表面から剥離され、特にタックの高いベタ面で起こりやすい傾向があるため、カラー面の増大とともに大きな問題となってきている。これまで、白抜けの発生を抑制する方法としては、例えばサイズプレスで塗工する澱粉の塗工量を、紙の表面及び裏面で個別に増加させること(特許文献1参照)や、ポリアクリルアミド等の表面強度向上剤を塗工すること(特許文献2参照)等が提案されている。
しかしながら、いずれの方法も白抜けの発生を完全に抑制することはできず、また澱粉の塗工量を増加させると、乾燥負荷が大きくなるという問題や、塗工液のミスト飛散による抄紙機での断紙を引き起こすという問題があった。さらに、このように表面処理剤を含む塗工液の塗工量を増加させると、ネッパリ(新聞用紙が大量印刷された際、表面処理剤を含む塗工液がブランケットに転移、蓄積して引き起こされるトラブル)が発生するという問題もあった。
このような従来の技術では、先に指摘したとおり、紙の表面と裏面とで表面強度の差が生じているにもかかわらず、表面強度の弱い面に対しては、表面処理剤を含む塗工液の塗工量を増加させるか、プレスパートの操業条件等を調整することしかできず、紙の表面と裏面とで均等な表面強度とする対応はできていない。
前記のごとき塗工処理技術以外にも、白抜けの発生を抑制する技術として、抄紙機のプレスパートの最終プレスで湿紙が直接接触するロールとして、直径が1000〜2000mmの範囲で、セラミック溶射によって表面粗さRaが1.0〜2.0μmとされているセラミック溶射ロールを用い、新聞用紙を製造する技術(特許文献3参照)や、抄紙工程のプレスパートにおける第1プレスのトップロールとボトムロールとによる搾水量の比率(TOP/BOT)が0.8以下で、かつボトムロール表面の溝幅を0.6〜1.0mmとして、新聞用紙を製造する技術(特許文献4参照)や、最終プレスロールでワイヤー面側からフェルトを介して脱水を行わない場合、表面強度が弱いワイヤー面に多くのベッセルが存在し、ブランケットへ取られるベッセルが多くなり、白抜けの発生が増加することに着目し、最終プレスロールにおいて、ワイヤー面側からフェルトを介して脱水させ、紙表面に弱い結合状態で付着しているベッセルを水とともに紙表面から排除する技術(特許文献5参照)が提案されている。
しかしながら、古紙パルプの配合割合が比較的低く、紙灰分の割合も比較的低い新聞用紙の場合には、前記種々の問題は、表面処理剤を含む塗工液を塗布することや、サイズプレスでのロール仕様、搾水条件、操業条件を調整することで略解決することができたものの、例えば古紙パルプの配合割合が60%以上、紙灰分の割合が4%以上、さらには6%を超えるような場合には、特に白抜け発生の問題が依然として解決されていないのが実情である。
特開2004−218100号公報 特開平10−259591号公報 特開2006−328564号公報 特開2002−115192号公報 特開2003−293279号公報
このように、特に古紙パルプの配合割合や紙灰分の割合が高い場合には、紙層の形成時に毛羽立ちが少なく、繊維の絡み合いが低下し、紙の表面強度が低下するとともに、本来表裏差が少ない抄紙設備を用いたとしても、紙面の表裏差が発現し、表面強度においても表裏面で相当の相違やムラが生じていることが従来の問題発生の原因である。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、例えば古紙パルプの配合割合や紙灰分の割合が高い場合であっても、白抜け、紙粉等によるブランケットパイリングが効果的に防止され、かつ断紙、表面処理剤を含む塗工液の溶出、色ズレ等がなく、作業性に優れ、例えば近年の抄速1500m/分を超える抄紙条件下、特にオフセット印刷に好適な新聞用紙を提供することを目的とする。
本発明は、
古紙パルプを含むパルプと填料とが主原料として配合された基紙の表面と裏面とに、表面処理剤を含む塗工液が塗工されてなる新聞用紙であって、
前記基紙の表面と裏面とに、水溶性高分子化合物からなる、少なくとも異なる表面処理剤を含む塗工液がそれぞれの面に塗工され、
その表裏面におけるドロップ吸水度の差(絶対値)が0〜20秒であることを特徴とする、新聞用紙に関する。
本発明によれば、例えば古紙パルプの配合割合や紙灰分の割合が高い場合であっても、白抜け、紙粉等によるブランケットパイリングが効果的に防止され、かつ断紙、表面処理剤を含む塗工液の溶出、色ズレ等がなく、作業性に優れ、例えば近年の抄速1500m/分を超える抄紙条件下、特にオフセット印刷に好適な新聞用紙が提供される。
(実施の形態)
本発明の新聞用紙は、古紙パルプを含むパルプと填料とが主原料として配合された基紙の表面と裏面とに、水溶性高分子化合物からなる、少なくとも異なる表面処理剤を含む塗工液がそれぞれの面に塗工され、その表裏面におけるドロップ吸水度の差(絶対値)が0〜20秒のものである。
まず、本発明に用いられるパルプについて説明する。本発明の新聞用紙の基紙を構成するパルプには、古紙パルプが含まれる。
このように古紙パルプを配合することは、環境保全の面から好ましく、新聞用紙においても、資源の有効利用という観点から、近年特に古紙パルプの利用、高配合化が求められている。ところが一方、古紙パルプの配合割合が高くなると、前記したように、一般に紙層の形成時に毛羽立ちが少なく、繊維の絡み合いが低下し、紙の表面強度が低下するとともに、本来表裏差が少ない抄紙設備を用いたとしても、紙面の表裏差が発現し、表面強度においても表裏面で相当の相違やムラが生じ易い。すなわち、基紙を構成するパルプとして古紙パルプを用いると、特にその配合割合が高くなるにつれて、白抜け、紙粉等によるブランケットパイリングの問題が発生し易い。
特に古紙パルプの中でも、新聞古紙を脱墨処理した新聞脱墨古紙パルプを使用することが、構成原料が新聞用紙の構成原料と近似であり、資源のリサイクルの面で最も効率がよいが、新聞古紙中には、繰り返しリサイクルされた脱墨パルプが存在し、再生化処理の繰り返しにより、繊維の絡み合いの低下が進み、紙の表面強度がより低下し易く、表裏面での相違、ムラがさらに進行し易い。
ところが本発明では、後述するように、基紙の表面に塗工する表面処理剤を含む塗工液と、裏面に塗工する表面処理剤を含む塗工液とが、いずれも水溶性高分子化合物からなるものの、表面裏面に塗工する塗工液には、少なくとも異なる表面処理剤が含まれ、しかも基紙の表裏面におけるドロップ吸水度の差が所定範囲内であるので、基紙に古紙パルプが含まれているにもかかわらず、特にパルプ全量の60〜100質量%と多量に古紙パルプが含まれている場合であっても、本発明の新聞用紙は、白抜け、紙粉等によるブランケットパイリングが効果的に防止され、かつ断紙、表面処理剤を含む塗工液の溶出、色ズレ等がなく、作業性に優れる。
本発明に用いられる古紙パルプとしては、例えば茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、離解・脱墨・漂白古紙パルプ等があげられ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
本発明において、新聞用紙の軽量化及び資源の有効利用という点から、古紙パルプはパルプ全量の60〜100質量%、さらには80〜100質量%配合されることが好ましい。
新聞用紙の基紙の構成成分であるパルプとして、本発明の目的を阻害しない限り、前記古紙パルプの他にも、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の機械パルプ;広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ等の、公知の種々のパルプがあげられ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択し、その割合を調整して使用することができる。
本発明の新聞用紙の基紙には、前記パルプとともに、填料が配合される。
本発明に用いられる填料には特に限定がなく、新聞用紙を構成する基紙に通常配合される、例えばホワイトカーボン、カオリン、エンジニアードカオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイ酸、水和ケイ酸、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、サチンホワイト等の無機填料や有機填料を、単独で又は2種類以上を同時に使用することができる。
前記填料の配合量にも特に限定がないが、あまりにも少ないと、填料による印刷操業性、印刷適性等の向上効果が充分に発現されないおそれがあるので、紙灰分で4%以上、さらには6%以上となるように調整することが好ましく、またあまりにも多いと、新聞用紙の表面強度が低下したり、紙粉が発生する恐れがあるので、紙灰分で20%以下、さらには18%以下となるように調整することが好ましい。
本発明の新聞用紙を構成する基紙を得るには、前記パルプからなるパルプスラリーに、前記填料や、必要に応じて、例えばアルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸等のサイズ剤、硫酸バンド等の凝集剤等を適宜添加し、例えばpH等の条件を調整して、ツインワイヤー型抄紙機、長網型抄紙機等の通常の抄紙機にて抄紙する方法を採用することができる。また本発明の場合、例えば1500m/分以上、さらには1600m/分以上といった抄速での抄紙が可能である。
なお、近年の、高速で新聞用紙を製造する際には、通常ギャップフォーマーと呼ばれるツインワイヤー型抄紙機が用いられる。該ギャップフォーマーのワイヤーパートでは、紙料を2枚のワイヤーで挟んで走行させ、表裏両面から略均等に脱水されて湿紙が形成される。また、両面脱水機構を有しているハイブリッドフォーマー、オントップフォーマー等が好適に使用され、脱水方式としては、通常行われているサクションロール方式やグルーブドプレス方式が採用される。さらにプレス機としては、ストレートスルー型、インバー型、リバース型が種々組み合わされて使用され、得られる新聞用紙(基紙)の表裏面における品質の差異は少なくなってきているが、依然、表裏面の品質差を完全に解消するには至っておらず、目的とする新聞用紙において、表裏面の品質の均一化を図るには、後述するように、表面と裏面とに、少なくとも異なる表面処理剤を含む塗工液をそれぞれの面に塗工し、その表裏面におけるドロップ吸水度の差を特定範囲内に調整することが必要である。
かくして得られる基紙の紙灰分は、得られる新聞用紙の中性紙化を考慮すると、JIS P 8251に記載の「紙及び板紙の灰分試験方法」に準拠して、4%以上、さらには6%以上であることが好ましく、逆に紙灰分があまりにも多いと、例えばオフセット印刷において印刷面の品質が低下したり、抄紙工程や印刷工程において断紙し易くなる恐れがあるので、20%以下、さらには18%以下であることが好ましい。
また基紙の坪量には特に限定がないが、得られる新聞用紙の紙質強度や軽量化を考慮すると、JIS P 8124に記載の「坪量測定方法」に準拠して、36〜48g/m2程度であることが好ましい。
次に、前記基紙の表裏面に水溶性高分子化合物からなる表面処理剤を含む塗工液を塗工して、本発明の新聞用紙を得ることができる。
本発明において、前記基紙の表面に塗工される表面処理剤を含む塗工液と、裏面に塗工される表面処理剤を含む塗工液とは、いずれも水溶性高分子化合物からなるものの、その種類が少なくとも異なることが大きな特徴の1つである。このように、基紙の表面と裏面とに、少なくとも異なる表面処理剤を含む塗工液がそれぞれの面に塗工されるので、基紙に古紙パルプが含まれているにもかかわらず、特に古紙パルプがパルプ全量の60〜100質量%と多量に含まれている場合であっても、白抜け、紙粉等によるブランケットパイリングが効果的に防止され、かつ断紙、表面処理剤を含む塗工液の溶出、色ズレ等がなく、作業性に優れた新聞用紙を得ることができる。
表面処理剤として好適に用いられる水溶性高分子化合物は、例えばポリビニルアルコール(以下、PVAという)、澱粉等があげられ、表面に塗工する表面処理剤と裏面に塗工する表面処理剤とが少なくとも異なる限り特に限定なく、これらは単独で又は同時に用いることができる。本発明においては特に、後述するように、表面に塗工する表面処理剤と裏面に塗工する表面処理剤とが少なくとも異なる限り、いずれも、PVA、ヒドロキシエチル化澱粉、エステル化澱粉及び酸化澱粉から選ばれた少なくとも1種の水溶性高分子化合物を用いることが、前記白抜け、紙粉等によるブランケットパイリングがさらに効果的に防止され、かつ断紙、表面処理剤を含む塗工液の溶出、色ズレ等がなく、より作業性に優れた新聞用紙を得ることができるという点から好ましい。
前記したように、水溶性高分子化合物として例えばPVAがあげられる。一般にPVAを単独で基紙の表裏面に塗工した場合には、後述する澱粉を単独で塗工した場合と比べて、約3倍の表面強度を示し、被膜性に優れる反面、かかる被膜性が高いために、例えばコールドセット型インキのように、用紙中に溶媒が浸透して乾燥する印刷インキを用いると、印刷インキの溶媒の吸収性が低く、充分なインキセット性が得られない恐れがある。またPVAを単独で一定量塗工しようとすると、該PVAを含む処理液の粘性が高く、例えばフィルムトランスファー方式では、断紙、抄紙設備の汚れ、粕、紙面の汚れ等が生じる場合がある。ところが、このようなPVAと後述する澱粉とを併用した場合には、印刷インキの溶媒の用紙中への浸透を適度に促しながら、インキ填料成分を用紙表面に留める被膜性が向上するとともに、インキセット性の低下も充分に抑制される。
PVAの種類には特に限定がなく、本発明で用いることができるPVAには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のPVAの他に、末端をカチオン変性したPVAやアニオン性基を有するアニオン変性PVA等の変性PVAも含まれる。
ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のPVAとしては、平均重合度が300〜3000、さらには1000〜2400、特に1700〜2000のものが、例えば澱粉との相溶性に優れ、均質な被膜が得られ易いという点から好ましい。
また通常のPVAとしては、ケン化度が80〜100のものが好ましく、ケン化度が90〜100の完全ケン化PVAがより好ましい。完全ケン化PVAを用いた場合には、部分ケン化PVAを用いた場合よりも、基紙の表裏面に、耐水性や耐熱性を有する被膜がより得られ易い。
このようなPVAを用いると、例えば澱粉との親和性がよく、短時間で澱粉とPVAとのブレンドが可能であり、操業性をさらに向上させることができるとともに、塗布設備においてミストの発生を低減させることができる。
以上の特性を有するPVAを用いることにより、高いインキ濃度を得ながら、例えばオフセットインキの高いインキセット性を実現することができる。また、印刷後に新聞用紙を積層した際に、裏面へのインキ転写を充分に防止することもできる。
前記澱粉の種類には特に限定がないが、本発明においては、特にヒドロキシエチル化澱粉、エステル化澱粉及び酸化澱粉を好適に用いることができる。
例えば変性澱粉は、紙中に浸透しながら、引張り強度や表面強度を向上させる効果を有するものの、中性又はアニオン性を示すため、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が低く、被膜性が低い。したがって、本発明では、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が高いカチオン性の澱粉を用いることが好ましい。また、ヒドロキシエチル化澱粉、エステル化澱粉及び酸化澱粉を用いた場合には、パルプ繊維に対する定着性が高く、被膜性に優れ、また表面強度も向上する。
前記ヒドロキシエチル化澱粉は、ヒドロキシルエチル基の水素結合による相互作用によって強固にパルプ繊維に定着するので、溶出する澱粉の量が少なく、表面粘着性を低下させることができると考えられる。
本発明で好適に使用することができるヒドロキシエチル化澱粉には、乾式ヒドロキシエチル化澱粉と湿式ヒドロキシエチル化澱粉がある。該乾式ヒドロキシエチル化澱粉は、例えばUSP5,766,366号明細書、USP5,817,180号明細書等に記載されているような、ヒドロキシエチル化澱粉を含水率5〜17%の固体の状態で、塩化水素ガス、塩酸、硫酸等で酸処理するか、若しくは過硫酸アンモニウム、過酸化水素、塩素ガス等で酸化処理することにより、低分子化したものである。湿式ヒドロキシエチル化澱粉は、スラリー(湿式)の状態で低分子化処理したものである。ヒドロキシエチル化澱粉は、粘度安定、耐老化性、フィルム特性が優れている。
前記エステル化澱粉を用いた場合には、インキ濃度及びインキセット性が飛躍的に向上する。かかるエステル化澱粉を得る際の原料澱粉としては、例えば未処理澱粉、処理澱粉の他、各種澱粉含有物があげられる。このような原料澱粉の代表例としては、例えば小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、甘薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチトウモロコシ粉、高アミロース含量トウモロコシ澱粉等の未処理澱粉;小麦澱粉、タピオカ澱粉、コーンフラワー、米粉等の澱粉含有物に、酸化、酸処理化等を行った処理澱粉等があげられる。これらの中でも、タピオカ澱粉は、エステル変性物が、粘性、被膜性、弾力性、伸展性の面で他の穀物澱粉類よりも優れる点で好ましい。
前記エステル化澱粉において、そのエステル化度には特に限定がないが、導入されるエステル結合の平均数で、グルコース単位あたり1〜3、さらには1〜2であることが好ましい。エステル化澱粉の中でも、ヒドロキシエステル化澱粉が好ましい。該ヒドロキシエステル化澱粉は、原料澱粉に酸化処理を施し、カルボキシメチル基をヒドロキシエチル基へ還元反応させることにより、容易にかつ安価に得ることができる。中でも、エステル変性された澱粉の末端基に疎水性基を導入した、疎水性基含有エステル変性タピオカ澱粉を使用することが最適である。
さらに本発明で好適に使用することができるエステル化澱粉としては、末端基にカルボン酸「−COOH」構造を有し、中性領域において「−COO−」のようにイオン化することで、水素結合による繋がりを確保することができずに反発性を示すことに基づく、チキソトロピカルな挙動を示すエステル変性澱粉が、新聞用紙表面への塗布時は流動性を示しながら、塗布後は用紙中に浸透し難く、用紙表面に高い被膜性を呈する点から好ましい。特に前記被膜性の高いPVA等と併用することによって、パルプに配合する填料との親和性が向上し、インキ濃度やインキセット性の向上が図られる。このようなエステル化澱粉としては、タピオカ澱粉を主原料にエステル変性させた1−オクテニルコハク酸エステル化澱粉が特に好ましい。1−オクテニルコハク酸エステル化澱粉は、粘性、被膜弾力性、被覆性の点で特に優れており、例えば前記PVAと併用することにより、印刷操業性及び被覆性と、インキ濃度及びインキセット性との向上を図ることができる。
本発明で好適に用いられる酸化澱粉は、従来より使用されている化工澱粉であり、例えば次亜塩素酸ナトリウム等による酸化反応によって、低分子量化と、分子中へのカルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル基等の導入とを行ったものがあげられる。
なお、本発明に用いられる澱粉としては、例えば平均分子量が20万〜150万程度、さらには30万〜100万程度であり、粘度(50℃、固形分濃度10%)が10〜300mPa・s程度、さらには20〜250mPa・s程度のものが好ましい。
表面処理剤としてPVAと澱粉とを併用する場合、PVA及び澱粉両者を含んだ表面処理剤の粘性や、両者の相溶性、相乗効果の発現等を考慮すると、両者の割合(PVA:澱粉(固形分質量比))は、1:80〜1:100程度であることが好ましい。
基紙の表面と裏面とにそれぞれ塗工する表面処理剤を含む塗工液は、例えば前記PVA、澱粉等の、少なくとも1種の水溶性高分子化合物と、必要に応じて、例えばポリアクリルアミド等の表面紙力剤や、例えばスチレン系ポリマー等の表面サイズ剤とを適宜混合して水を加え、固形分濃度を例えば2〜20%程度に調整することによって得ることができる。
なお、特に本発明において、表面強度が弱い面、例えば裏面には、PVA、ヒドロキシエチル化澱粉、エステル化澱粉からなる表面処理剤を含む塗工液を塗工し、一方表面強度が強い面、例えば表面には、酸化澱粉からなる表面処理剤を含む塗工液を塗工することが好ましい。いずれにしろ、表面強度が比較的強い面に、浸透性が高い低粘度の水溶性高分子化合物、例えば酸化澱粉からなる表面処理剤を含む塗工液を塗工し、表面強度が比較的劣るとともに、表面性(粗さ)も高い面に、被膜性が高い水溶性高分子化合物、例えばヒドロキシエチル化澱粉を塗工することが好適である。
基紙の表裏面に前記表面処理剤を含む塗工液を塗工するには、従来より一般的な塗工液や他の添加剤の塗工に用いられている、例えばトランスファーコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター等の設備を用いることができる。特にトランスファーロールコーター方式の塗工装置、例えばゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレスが好適に用いられる。
ゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレスからなる設備は、オンマシンにて、基紙の表裏面に同時に表面処理剤を含む塗工液を塗工することが可能である。さらに、例えば抄速が1500m/分を超える抄紙条件下や、坪量が36〜48g/m2程度と軽量化が図られた場合であっても、基紙に過度の負荷を掛けることなく、その表裏面に表面処理剤を含む塗工液を塗工することが可能であり、しかも、表面処理剤を含む塗工液を調製する段階で、調製工程を2系統設けることにより、少なくとも異なる種類の表面処理剤を含む塗工液を、表裏面それぞれに塗工するとともに、異なった塗工量で、表裏面それぞれに表面処理剤を含む塗工液を塗工することも可能である。
なお、表裏面に少なくとも異なる素材を塗工する場合、例えば表面のみに顔料が含有された塗工剤を塗工すると、表面と裏面とにおける紙の伸びに差異が生じ、カール等の問題が発生することに着目し、裏面に水を付与して表裏面の紙の伸びを均一にし、カール等の問題解決を図る手段が、前記のごとき少なくとも異なる種類の表面処理剤を含む塗工液を表裏面それぞれの面に塗工する手段の他にも提案されているが、このような手段では、カール等の問題は解決し得るものの、本発明のように、本質的に表裏面の品質の均一化が図られた新聞用紙を得ることは困難である。
表面処理剤を含む塗工液の塗工量は、基紙の表面と裏面とで、それぞれ乾燥固形分で0.3g/m2以上、さらには0.4g/m2以上に調整されていることが好ましく、またそれぞれ乾燥固形分で3.0g/m2以下、さらには2.0g/m2以下に調整されていることが好ましい。該表面処理剤を含む塗工液の塗工量が0.3g/m2未満では、表面処理剤を含む塗工液による、特に古紙パルプの配合割合や紙灰分の割合が高い場合の、白抜け、紙粉等によるブランケットパイリングの防止効果が充分に発現されない恐れがある。一方、表面処理剤を含む塗工液の塗工量が3.0g/m2を超えると、印刷時に表面処理剤を含む塗工液が溶出してオフセット印刷機のブランケットに付着し、再び新聞用紙に転写されることによる印刷不良や、吸水により紙表面の粘着性が増加してブランケットに用紙が取られ、断紙を起こしたり、表面処理剤を含む塗工液により、かえって表裏面間の均一性が低下する恐れがあるので、表面処理剤を含む塗工液は必要以上に塗工しないことが望ましい。
本発明では、塗工前の基紙について、表面及び裏面それぞれの表面強度を、表面強度測定装置(RI試験機(RI−2型印刷適性試験機)、石川島産業機械(株)製)での印刷後の白抜けの有無にて評価し、この評価に基づいて、表面処理剤の種類や濃度を決定することができる。構成する水溶性高分子化合物の種類から、各表面処理剤によって付与される表面強度は既知であるが、例えば表面処理剤を含む塗工液の塗工量を同じにすると、表面処理剤の種類に応じて、付与される表面強度に違いが生じ、また例えば表面処理剤の種類が同じであると、紙の表面強度と表面処理剤を含む塗工液の塗工量とは略比例関係を示すので、塗工前の基紙の表面強度を評価することにより、表面処理剤の選定と塗工量の調整とを行うことができる。
なお、本明細書において、表面強度とは以下の[表面強度評価方法]にしたがって評価したものである。
[表面強度評価方法]
表面強度測定装置(RI試験機(RI−2型印刷適性試験機)、石川島産業機械(株)製)にて試験片に印刷を行った後、印刷後の白抜けの有無を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
1:紙片が破れる。
2:紙片が層間剥離する。
3:紙片面積の75%以上で白抜けが発生している。
4:紙片面積の50%以上で白抜けが発生している。
5:紙片面積の25%以上で白抜けが発生している。
6:紙片に毛羽立ち、白抜けが僅かに認められる。
7:紙片に毛羽立ちが僅かに認められる。
8:紙片に毛羽立ち、白抜けが認められない。
このように、本発明においては、表面処理剤を含む塗工液の塗工量は、基紙の表面と裏面とで同じであっても、異なっていてもよく、基紙の表面及び裏面それぞれに用いる表面処理剤の種類や、基紙の表面及び裏面それぞれの表面強度に応じ、得られる新聞用紙の表裏面におけるドロップ吸水度の差が特定範囲内となり、該表裏面の品質が均一化されるように調整すればよい。
基紙の表裏面に表面処理剤を含む塗工液を塗工して得られた新聞用紙には、さらに、ソフトカレンダー、スーパーカレンダー、グロスカレンダー等のカレンダー設備で平坦化処理を施すことが好ましい。これらカレンダー設備の中でも、新聞用紙の表裏面において、適度のドロップ吸水度差、ベック平滑度差等を容易に付与することができるという点から、弾性ロールと金属ロールとを組み合わせたソフトカレンダーを用いることが好ましい。
ソフトカレンダーによる通紙処理は、そのニップ圧を5〜50kN/m、さらには12〜25kN/mの範囲内に調整して行うことが好ましい。該ニップ圧が5kN/m未満であると、前記ドライヤーパートにおいて金属ロールに接しなかった紙面の平滑性が充分に向上しない恐れがあり、一方50kN/mを超えると、逆に紙面の平滑性が高くなりすぎてしまう恐れがある。
ソフトカレンダーの弾性ロールの硬度は、JIS Z 2246に記載の「ショア硬さ試験−試験方法」に準拠したショア硬さが87〜95°程度であることが好ましい。該ショア硬さが87°未満であると、弾性ロールの耐久性が低く、充分な平滑性が得られない恐れがあり、一方95°を超えると、均一なプロファイルが得られ難くなる恐れがある。また該弾性ロールの粗さは、JIS B 0601に記載の「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語、定義及び表面性状パラメータ」に準拠した表面粗さの最大値が0.5μm程度未満であることが、新聞用紙における紙面のインキ着肉ムラを充分に少なくすることができるので、特に好ましい。
また、ソフトカレンダーの金属ロールに接する面を平滑化するために、弾性ロールと対向する金属ロールの表面温度は、40〜150℃程度、さらには50〜120℃程度、特に60〜100℃程度とすることが好ましい。金属ロールの表面温度をこのような範囲内とすることにより、例えば僅かな密度ムラが影響するような多色刷りにおいても、より均一な濃度の印刷面を、表裏面での差異なしで得ることができる。
かくして得られる本発明の新聞用紙は、その表裏面におけるドロップ吸水度の差(絶対値)が0〜20秒、好ましくは0〜17秒、さらに好ましくは0〜10秒である。該ドロップ吸水度の差(絶対値)が20秒を超えると、新聞用紙の乾燥工程で表裏に乾燥ムラが生じ、操業性が低下するとともに、例えばオフセット印刷時の湿し水により、用紙にカールが生じたり、ペスター時の色ずれが大きくなる問題が生じる。
また新聞用紙の表面及び裏面それぞれのドロップ吸水度は、ペスター時の色ずれやフォルダー部での端折れという点から、いずれも30〜150秒、さらには40〜120秒の範囲内であることが好ましい。
なお、本明細書において、ドロップ吸水度とは、新聞用紙の紙面に滴下した20℃の水5μLが、紙層内に完全に吸収されるまでの時間(秒)をいう。
また本発明の新聞用紙は、その表裏面におけるベック平滑度が、それぞれ25〜65秒の範囲、さらには30〜60秒の範囲、特に35〜55秒の範囲となるように平坦化処理することが、高速輪転機における走行性、インクジェットプリンターや電子写真印刷時におけるロール間での搬送性を確保するという点において好適である。さらに表裏面におけるベック平滑度の差(絶対値)が0〜20秒、さらには0〜15秒であることが、用紙の蛇行や印刷見当ズレを防止する上で好ましい。該ベック平滑度の差(絶対値)が20秒を超えると、紙表面と裏面でインキの着肉の差が大きくなる恐れもある。
新聞用紙の平滑性を向上させるには、従来、例えばソフトカレンダー処理を1ニップ又は2ニップで行う技術が提案されているが、表裏面での品質差が大きな場合には、物理的な平坦化処理による効果が認められるものの、前記したような、例えばギャップフォーマーと呼ばれるツインワイヤー抄紙機、両面脱水機構を有しているハイブリッドフォーマー、オントップフォーマー、サクションロール方式やグルーブドプレス方式による脱水、ストレートスルー型、インバー型、リバース型のプレス等を種々組み合わせて使用することで、表裏面での品質差の是正を大幅に行うことが可能な近年の抄紙機においては、物理的な平坦化処理による効果は小さく、しかも例えば古紙パルプの配合割合が60%以上、紙灰分の割合が4%以上、さらには6%を超えるような新聞用紙の場合には、さらにその効果は小さい。
新聞用紙の表裏面での品質差は、抄紙工程中、ワイヤーパート、プレスパートでの脱水条件が表面と裏面とでは微妙に異なるため、その平滑性において表裏面での差異が生じたり、厚さ方向での填料や微細繊維の分布状態が表面と裏面とでは異なるため、そのインキ転移性において表裏面での差異が生じることに起因すると考えられており、特に平滑度が低い側の紙面ではインキ着肉性がわるく、表面と裏面とで画像の濃度が著しく異なってしまう。
ところが、本発明の新聞用紙では、基紙の表面と裏面とに、いずれも水溶性高分子化合物からなるものの、表面及び裏面各々の性状に合わせた、少なくとも異なる表面処理剤がそれぞれの面に塗工されており、しかも好適にはソフトカレンダー等にて平坦化処理が施されているので、パーマネント効果が発現され、その表裏面におけるベック平滑度の差(絶対値)が好ましくは0〜20秒の範囲内に調整され得る。
なお、本明細書において、ベック平滑度とは、JIS P 8119に記載の「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠して測定した値をいう。
次に、本発明の新聞用紙を以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
製造例1〜14及び比較製造例1〜6(基紙の製造)
表1に示す割合で新聞脱墨古紙パルプ(DIP)及び機械パルプ(TMP)を配合したパルプスラリーをレファイナで叩解し、カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)が150mLのパルプスラリーを調製した。得られたパルプスラリー100質量部に対して、固形分比で、アルキルケテンダイマーサイズ剤(品名:AD−1624、日本PMC(株)製)0.1質量部と硫酸バンド(凝集剤)0.3質量部とを添加し、さらに填料として水和ケイ酸及びタルクを紙灰分で6%となるように添加した後、ツインワイヤー型抄紙機を使用し、表1に示す抄速にて抄紙を行い、坪量が約45g/m2の基紙を得た。
得られた基紙の紙灰分を、JIS P 8128に準拠して測定した。その結果を表1に示す。また基紙の表裏面各々の表面強度を、前記[表面強度評価方法]にしたがって評価した。その結果も表1に示す。
Figure 2008274500
調製例1〜14及び比較調製例1〜8(表面処理剤を含む塗工液の調製)
表2に示す水溶性高分子化合物に、表面サイズ剤としてアクリル系ポリマー(商品名:FD8812、BASF社製)を水溶性高分子化合物固形分100質量部に対して表2に示す割合で添加し、これに水を添加して撹拌混合し、表2に示す固形分濃度の表面処理剤を含む塗工液(表面用又は裏面用)を調製した。
表2に示す水溶性高分子化合物は、各々以下に示すとおりである。
・澱粉1:酸化トウモロコシ澱粉(商品名:MS−3800、日本食品化工(株)製)
・澱粉2:湿式低分子化ヒドロキシエチル化澱粉(商品名:PG−270、PENFORD社製)
・澱粉3:エステル化澱粉(商品名:Filmkote−370、National starch Chemicals社製)
・澱粉4:乾式低分子化ヒドロキシエチル化澱粉(商品名:ETHYLE−2025、STALEY社製)
・PVA:(固形分濃度:10%、商品名:クラレポバールKRE164、(株)クラレ製)
また、調製例3、5、8、11及び12では、表面紙力剤として、PVA(固形分濃度:10%、商品名:クラレポバールKRE164、(株)クラレ製)を、水溶性高分子化合物固形分100質量部に対して10質量部の割合で添加して表面処理剤を含む塗工液を調製した。
実施例1〜14及び比較例1〜8(新聞用紙の製造)
表3に示す基紙及び表面処理剤を含む塗工液の組み合わせで、ゲートロールコーター及びロッドメタリングサイズプレスからなるトランスファーロールコーター方式(実施例1〜12)、ブレードコーター方式(実施例13)、エアードクターコーター方式(実施例14)又はサイズプレス方式(比較例1〜8)の塗工装置を使用し、表面及び裏面の塗工量が、乾燥固形分でそれぞれ表3に示す量となるように、基紙の表裏面それぞれに、表面用表面処理剤を含む塗工液又は裏面用表面処理剤を含む塗工液を塗工し、乾燥させた。この後、ソフトカレンダー(実施例1〜14、比較例5)又はマシンカレンダー(比較例1〜4、6〜8)にて表裏面に平坦化処理を施し、新聞用紙を得た。
なお、実施例1〜14及び比較例5におけるソフトカレンダーでの平坦化処理は、以下の条件にて行った。
ニップ圧:5〜40kN/m
弾性ロールの硬度:ショア硬さ(JIS Z 2246に準拠)90°
弾性ロールの粗さ:表面粗さの最大値(JIS B 0601に準拠)0.4μm
弾性ロールと対向する金属ロールの表面温度:90℃
Figure 2008274500
Figure 2008274500
得られた新聞用紙の表裏面各々について、以下の方法にて各物性を測定した。これらの結果を表4に示す。
(a)表面強度
[表面強度評価方法]にしたがって評価した。
(b)ドロップ吸水度
紙面に滴下した20℃の水5μLが、紙層内に完全に吸収されるまでの時間(秒)を測定した。
(c)ベック平滑度
JIS P 8119に準拠して測定した。
Figure 2008274500
次に、実施例1〜14及び比較例1〜8の新聞用紙について、以下の試験例1〜3に基づいて各特性を調べた。その結果を表5に示す。
試験例1(ブランケットパイリング)
オフセット印刷機(型番:LITHOPIA BTO−N4、三菱重工業(株)製)を使用し、オフセット印刷用インキでカラー4色印刷を連続50000部行った後、ブランケット非画線部での紙粉の発生及び堆積の有無を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:紙粉の発生が全く認められない。
○:紙粉の発生が僅かに認められる。
△:紙粉の発生及びブランケット上での堆積が認められる。
×:ブランケット上に紙粉が多く堆積している。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
試験例2(印面白抜け)
オフセット印刷機(型番:LITHOPIA BTO−N4、三菱重工業(株)製)を使用し、オフセット輪転印刷用インキ(墨)の単色印刷を行い、網点面積率100%のベタ部の印面について白抜けの有無を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:白抜けが全く〜ほとんど認められない。
○:白抜けが僅かに認められる。
△:全面にわたって白抜けが認められる。
×:全面にわたって白抜けが著しい。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
試験例3(紙の粘着性及びブランケットへの澱粉付着)
オフセット印刷機(型番:LITHOPIA BTO−N4、三菱重工業(株)製)を使用し、印刷中の断紙(吸水による紙の粘着性の上昇に起因)の有無及び、印刷後のブランケットへの澱粉付着(澱粉の溶出に起因、ブランケット表面が白っぽくなる)の有無を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:印刷中の断紙の発生及びブランケット表面への澱粉の付着が全くない。
○:印刷中に断紙の発生はなく、ブランケット表面が僅かに白っぽくなる。
△:印刷中に断紙の発生はないが、ブランケット表面が全体的に白っぽくなる。
(ただし、紙粉及び填料によるブランケットパイリングではない)
×:印刷中にブランケットに紙が取られて断紙が発生する。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
Figure 2008274500
表5に示された結果から、実施例1〜14の新聞用紙はいずれも、その表面と裏面とに少なくとも異なる表面処理剤を含む塗工液が塗工され、かつ表裏面におけるドロップ吸水度の差が20秒以下であるので、古紙パルプの配合割合がパルプ全量の60質量%以上、紙灰分の割合も約4%以上といずれも高く、抄速1500m/分を超える抄紙条件であるにもかかわらず、白抜け、紙粉によるブランケットパイリングが充分に防止され、しかも断紙や表面処理剤を含む塗工液の溶出がほとんどなく、オフセット印刷に好適な特性を具備したものであることがわかる。
これに対して比較例1〜8の新聞用紙はいずれも、その表面と裏面とに同じ表面処理剤を含む塗工液が塗工されていたり、いずれか一方の面にしか表面処理剤を含む塗工液が塗工されておらず、かつ表裏面におけるドロップ吸水度の差が20秒を超えるため、白抜け、紙粉によるブランケットパイリング、断紙が発生したり、表面処理剤を含む塗工液が溶出する等、オフセット印刷に好適な特性を具備していないことがわかる。
本発明の新聞用紙は、例えば近年の抄速1500m/分を超える抄紙条件下、特にオフセット印刷等に好適に使用することができる。

Claims (3)

  1. 古紙パルプを含むパルプと填料とが主原料として配合された基紙の表面と裏面とに、表面処理剤を含む塗工液が塗工されてなる新聞用紙であって、
    前記基紙の表面と裏面とに、水溶性高分子化合物からなる、少なくとも異なる表面処理剤を含む塗工液がそれぞれの面に塗工され、
    その表裏面におけるドロップ吸水度の差(絶対値)が0〜20秒であることを特徴とする、新聞用紙。
  2. 基紙が、古紙パルプをパルプ全量の60〜100質量%配合したもので、かつJIS P 8251に準拠した紙灰分が4%以上のものであり、
    基紙の表面と裏面とにそれぞれ塗工される表面処理剤が、いずれも、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチル化澱粉、エステル化澱粉及び酸化澱粉から選ばれた少なくとも1種の水溶性高分子化合物からなる、請求項1に記載の新聞用紙。
  3. 表面処理剤を含む塗工液の塗工量が、基紙の表面と裏面とで、それぞれ乾燥固形分で0.3〜3.0g/m2に調整されている、請求項1又は2に記載の新聞用紙。
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