JP5257469B2 - 排水中の有害物の除去剤とそれを使用した除去方法 - Google Patents

排水中の有害物の除去剤とそれを使用した除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、半焼成ドロマイトを有効成分とし、それに鉄化合物を組み合わせてなる、排水中のフッ素イオンおよび/または重金属イオンを除去するための除去剤と、それを使用して排水中のフッ素イオンおよび/または重金属イオンを除去する方法に関する。本発明は、フッ素イオンの迅速な除去を可能にするほか、とりわけ、6価セレンおよび6価クロムの除去に関して有用である。
本発明において「半焼成ドロマイト」とは、ドロマイト鉱石を600〜900℃の温度で焼成することにより、ドロマイト成分中の炭酸マグネシウムの大部分を脱炭酸させて、酸化マグネシウムとする一方で、炭酸カルシウムはほとんど脱炭酸させず、そのまま残すようにして得た焼成品を指す。
工場廃水、及び工場跡地や汚染土壌の地下水等に含まれるフッ素や重金属等の有害物の処理法としてはさまざま方法が検討されており、フッ素に関しては消石灰を添加しフッ化カルシウムとして除去する方法、重金属類に関しては消石灰と無機系凝集剤を加え凝集沈殿法にて除去する方法などがある。しかし、フッ化カルシウムの溶解度は比較的高く、単にカルシウム塩で処理しただけでは、排水中のフッ素イオンの濃度を、排水基準値である8mg/L以下にすることは困難である。
そこで、この点を改善するため、酸化マグネシウム系の化合物を使用するフッ素含有排水の処理方法が提案された(特許文献1)。酸化マグネシウムを利用して排水中のフッ素イオンを吸着除去する別の方法は、水酸化マグネシウムを700〜1000℃で焼成してBET表面積40〜200m2/gとした酸化マグネシウムを、フッ素イオンを含有するpH4.0以下の排水に添加し、10〜25℃の温度で処理したのち、凝集剤を加えて固液分離することからなる(特許文献2)。
フッ素イオン除去の性能を有する生石灰と酸化マグネシウムとを有利に併用することを意図して、ドロマイトの焼成物を使用する「フッ化物イオン捕捉材」が提案された(特許文献3)。この捕捉材は、「中程度の分解率のドロマイト」であって、「温度600〜880℃で焼成した、MgO、CaOおよびCaCOを主要構成物とし、未分解二酸化炭素が1.5〜47重量%であるもの」と規定され、排水に残留するフッ素イオン濃度を低減するためにも、またフッ素で汚染された土壌からの溶出量を低減するにも用いることができる。
出願人は、ドロマイトを焼成してMgO、CaOおよびCaCOを主要構成成分としたものを、排水中のフッ素イオンを除去するために使用する技術を研究し、排水基準値である8.0mg/Lを満たすとともに、水質汚濁に係る環境基準値である0.8mg/Lをも確実に達成することを可能にする除去剤の限定としては、「未分解二酸化炭素が1.5〜47重量%の焼成ドロマイト」というようなおおざっぱな限定では不完全であって、よりきめ細かく性状を限定する必要があることを知った。限定すべき事項として発明者らが見出したのは、半焼成ドロマイト中の遊離酸化カルシウムの量が1.5重量%以下であることと、遊離酸化マグネシウムの量が7重量%以上であることの2点である。さらに、この特定の組成を有する半焼成ドロマイトが、排水中の重金属イオンの除去にも有効であることを確認した。この排水中のフッ素イオンおよび重金属イオンを除去する技術は、すでに提案した(特許文献4、特許文献5)。しかし、半焼成ドロマイトによるフッ素イオンの除去に関しては、反応速度が遅く、処理に時間がかかることが指摘され、迅速な処理の実現が望まれていた。
一方、重金属の処理に関しては、やはり消石灰で排水のpHを高めて、重金属を水酸化物として分離する方法があるが、亜鉛や鉛のような両性金属は高いpHで水酸化物が再溶解してしまうので、処理できる対象が限定される。汚染土壌やゴミ焼却灰中の重金属の固定化処理にはキレート剤が使用されるが、キレート剤は高価であるから、使用できる場面は限定される。重金属イオンの処理における特別の問題は、メッキ排水やセメント製造業、鉄鋼業からの排水に含まれる、6価セレン、6価クロムが効果的に処理できないことである。
発明者らは、半焼成ドロマイトに鉄系化合物、とくに第一鉄化合物を併用してその還元性能を利用することを企図した。実験の結果、鉄化合物の併用により、フッ素イオンの除去が速やかに行なわれることがわかった。さらに、鉄化合物として第一鉄化合物を選択することにより、重金属イオンとくに6価セレンおよび6価クロムの除去が効果的に行えることを確認した。第一鉄化合物+アルカリ剤+マグネシウム化合物の構成の除去剤を使用すれば、6価のセレンとフッ素イオンとを同時に処理できることが開示されている(特許文献6)が、マグネシウム化合物としては、塩化物、酸化物、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物または硝酸マグネシウムが使用され、半焼成ドロマイトの使用は意図されていない。
特開2005−342578 特開2007−136424 特開2008−80223 特願2009−164291 特願2010−253320 特開2009−81089
本発明は、発明者らが得た上記の新しい知見を活用するものであって、第一の目的は、排水中の重金属イオン、とりわけ6価セレンおよび6価クロムを除去して、環境基準値を満たすものとする上で確実な効果が得られる、半焼成ドロマイトを主成分とする除去剤を提供することであり、第二の目的は、フッ素イオンの除去が速やかに実現する、半焼成ドロマイトを主成分とする除去剤を提供することである。以下の記述においては、フッ素イオンおよび重金属イオンを一括してさすときは、「有害物」という。
本発明による排水中の有害物の除去剤は、ドロマイトを焼成して得られ、遊離の酸化カルシウムの含有量が1.2重量%以下であって、遊離の酸化マグネシウムの含有量が8〜25重量%である半焼成ドロマイトと、水可溶性の鉄化合物とを、半焼成ドロマイト100重量部に対し、水可溶性の鉄化合物を0.1〜100重量部、好ましくは10〜43重量部の割合で配合してなる配合物である。
本発明による排水中の有害物を除去する方法の基本的態様は、上記の除去剤を排水中に投入し、攪拌して接触させ、有害物を不溶性物質として沈殿させ分離することからなる除去方法である。
本発明の排水中の有害物の除去剤は、ドロマイトの半焼成により得られ、重金属イオンおよびフッ素イオンに対する高い吸着除去性能を示す半焼成ドロマイトを主成分とし、それに鉄化合物を配合してなるから、種々の重金属イオンを高い割合で不溶化して排水から除去することができる。とりわけ、6価セレンおよび6価クロムに対しては、鉄化合物として第一鉄化合物を使用し、それによって6価セレンおよび6価クロムをそれぞれ4価セレンおよび3価クロムに還元して、不溶性物質を形成し易くさせるので、従来の除去技術の成績を超える高い除去率を達成することができる。
本発明の除去剤を使用して排水処理を行なえば、排水中の有害物を効果的に除去することができるから、各種の重金属イオンの濃度を、のぞましい限度以下にすることが容易である。すなわち、ヒ素、カドミウム、鉛およびセレンについては、健康項目として0.01mg/L、亜鉛については「水生生物の保全に係る環境基準」として定められた、0.03mg/Lの限度以下に低減することが可能である。同様に、本発明の方法による排水処理は、フッ素イオンに対しては、後記する実施例にみるように、排水中のフッ素イオンの濃度を所望の値に低減するのに必要な時間を、従来技術の半分に短縮することができ、また最終的に到達する残留フッ素濃度を、環境基準に合致する値に低減することが容易である。
本発明の半焼成ドロマイト中に含まれる「遊離酸化カルシウム」の含有量は、日本石灰協会の「日本石灰協会標準試験方法(2006)」に規定の「11.有効石灰の定量方法」に従って分析される、CaOおよびCa(OH)を合計した量(重量%)である。一方、「遊離酸化マグネシウム」の含有量とは、ドロマイト中のMgCOが脱炭酸して生成したMgOの量(重量%)として算出される量をいう。その算出は、つぎの手順に従って行なう。
・まず、JIS R9011の「石灰の分析方法」に規定された方法により、CaO,MgOおよびIg.loss(灼熱減量)を分析する。つぎに、分析によって得た遊離酸化カルシウムの量が1.5重量%に達しているか否かによって、下記のいずれかを選ぶ。
・遊離酸化カルシウムの量が1.5重量%以上のとき:分析で得たMgOの値を、そのまま遊離酸化マグネシウムの量として採用する。
・遊離酸化カルシウムの量が1.5重量%未満のとき:遊離酸化マグネシウムの量は、[分析で得たMgO重量%−MgCOとして存在するMgO重量%]によって算出する。MgCOとして存在するMgO重量%は、
{Ig.loss%−(CaO%÷56×44)}÷44×40
により求める。
排水中の有害物を高度に除去するためには、遊離酸化カルシウムの含有量が低いことが望ましい。従って、ドロマイトの半焼成に当たり、CaCOの脱炭酸はできるだけ抑制することが望ましい。その理由は、有害物、とくに重金属イオンの除去に適切なpHを実現しやすいことにある。すなわち、CaCOの脱炭酸が進んでCaOが多量に生成すると、半焼成ドロマイトを添加した液のpHが上昇しすぎてしまい、両性金属である亜鉛や鉛の再溶出が起こってしまう。一般に、これらの金属水酸化物の溶解度が最も低いpHは9〜10であるといわれている。このようなわけで、遊離酸化カルシウム量は1.5重量%以下であることが必要であり、1.2重量%以下であることが好ましい。
遊離酸化マグネシウムは、生成量が少ないと、半焼成ドロマイトを添加した液のpHが中性付近に止まって、重金属イオンの除去が実現できない。さきに開示したように、フッ素イオンの除去を、不相当に多量の半焼成ドロマイトを消費しないで行なうには、半焼成ドロマイトが、少なくとも7重量%の遊離酸化マグネシウムを含有することが必要であった。遊離酸化マグネシウムの量が10重量%あれば、半焼成ドロマイトを添加した液のpHは9程度になり、重金属の除去に効果的である。後記する実施例で用いた半焼成ドロマイトは、遊離酸化マグネシウムを20重量%程度含有し、液のpHが10となって、この目的にとって十分である。原理的にいえば、遊離酸化マグネシウムの含有量は高いほど有利なわけであるが、その値を高めようとしてドロマイトの焼成を過度に進めると、製品の半焼成ドロマイト中の遊離酸化カルシウムの量が増大してしまい、かえって好ましくない。実用上の遊離酸化マグネシウム量は、20重量%を若干上回る程度、多くとも25重量%が上限となる。
上述のような、排水中の重金属イオンの除去剤として有用な半焼成ドロマイト、すなわち、MgCOの脱炭酸は十分に行なうが、その一方でCaCOの脱炭酸はなるべく抑制した半焼成ドロマイトを得るには、ドロマイトの焼成条件の選択が肝要になる。周知のとおり、ドロマイト鉱石の性状は産地によって変動するので、それぞれの場合に最適な焼成条件は実験的に決定するほかないが、通常は、焼成温度は600〜900℃、時間は1〜48時間の範囲内に見出されるであろう。栃木県葛生産のドロマイトを例にとれば、温度700〜800℃、時間2〜24時間の焼成が適切である。
ドロマイトの焼成に適切な温度および時間は、焼成の条件によって異なる。たとえば、CaCOの脱炭酸を防ぐ目的で、ドロマイトをCO雰囲気下で焼成する試みが報告されており(Journal of Solid Chemistry 33, 181, 1980)、CO雰囲気下や加圧下の焼成であれば、焼成温度は当然に高くなる。熱力学的にいっても、このような条件下では炭酸塩の分解温度が、大気雰囲気の場合よりも高くなるからである。それと反対に、アルカリ土類金属の水酸化物、代表的にはCa(OH)の焼成を減圧下に行なうことによって、その分解温度を低くする技術がある(特開2004−354414、特開2006−21945)。炭酸塩に関しても同様で、減圧下に焼成すれば、分解温度を低下させることができる。このように、ドロマイトの焼成の結果は、焼成条件によって異なるが、要は、遊離酸化カルシウムおよび遊離酸化マグネシウムの量が、前記した範囲に入るような焼成を行なうことである。焼成が適切であるか否かを知る一つの方法は、半焼成ドロマイトの粉末を水に分散させ、得られた液のpHを測定することであって、後記する実施例にみるように、pHがおおよそ10〜12の範囲にあるものが、有害物の除去にとって適切である。
本発明の排水中の有害物を除去する方法は、本発明の除去剤を、有害物を含有する排水に接触させることからなるが、具体的にはさまざまな方法で実施することができる。そのひとつは、粉末状の除去剤を排水に投入して撹拌することにより、効率的に除去剤の性能を発揮させることである。この目的には、有害物吸着後の排水からの除去剤粉末の固液分離に好都合なように、除去剤の粒度を適切に選ぶ必要がある。固液分離には適宜の凝集剤を使用するなど、排水処理の分野で確立された技術を利用することができる。
本発明の排水中の有害物除去技術がとくに有用である、6価セレンおよび6価クロムの除去に当っては、前記したように、まずそれらを4価または3価のイオンに還元する必要がある。
Se(6+)+2Fe(2+)→Se(4+)+2Fe(3+)
Cr(6+)+3Fe(2+)→Cr(3+)+3Fe(3+)
その際、前掲の特許文献6に開示の技術のように、はじめに第一鉄化合物による六価イオンの還元を行ない、その後に半焼成ドロマイトによる処理を行なうことも可能ではあるが、本発明の実施に好都合なのは、半焼成ドロマイトと第一鉄化合物とを適切な割合で配合して一体化して、一挙に排水に接触させる態様である。
上記の6価セレンまたは6価クロム還元に伴って、第一鉄の2価のイオンは3価に酸化されて水酸化物を形成し、沈殿する。6価セレンおよび6価クロムは酸素酸イオンとなってマイナスの電荷を帯びている。6価クロムは還元されて3価になると水酸化物を生じ、沈殿除去が可能になる。また6価セレンが還元されて4価になると、セレンイオンの形態、性質が変化し、鉄の水酸化による共沈作用および半焼成ドロマイトの作用によって、除去が可能になる。本発明では、第一鉄化合物とともに半焼成ドロマイトを使用し、これがもたらすpHおよび除去性能が、これらの有害物質の除去に適切な条件を与える。
[製造例]
表1に示す組成をもつドロマイトを原料として使用し、これを750℃において4時間焼成して、表2に示す遊離CaO量、MgO量および遊離MgO量の半焼成ドロマイトを得た。この半焼成ドロマイトを粉砕して、粒径212μm以下の粗粉末にした。粗粉末状の半焼成ドロマイト5gを200mLの水に分散させた液のpHを、表2にあわせて示す。
表1 原料ドロマイトの分析値 重量%
Figure 0005257469
表2 半焼成ドロマイトの分析値とpH
Figure 0005257469
実施例1〜3および比較例1,2
[フッ素イオンの除去]
フッ素イオンを20mg/L含有する溶液を用意し、その各250mLに対して、上記の半焼成ドロマイト100重量部と塩化第一鉄(4水和物)、塩化第二鉄または硫酸第一鉄(7水和物)20重量部とを配合した除去剤を、いずれも1.2g添加し、撹拌して4時間にわたり反応させた。比較のため、半焼成ドロマイトを単独で添加した場合、および塩化第一鉄を単独で添加した場合についても試験した。除去剤の配合を、添加時の液のpHとともに、表3に示す。
表3 配合
Figure 0005257469
添加後1時間おきに液を採取し、濾過して得た液を分析して、残留するフッ素濃度を調べた。分析は、JIS K 0102「工場排水試験方法」に定めるフッ素分析法に従った。結果を、表4および図1に示す。
表4 フッ素イオンの除去
Figure 0005257469
図1のグラフに見るとおり、半焼成ドロマイトに第一鉄化合物を配合した除去剤を用いることにより、フッ素イオンの除去が速やかに行なわれ、フッ素イオンの初期濃度が20mg/Lあった排水を、排水基準を満たす8mg/L以下に低減するのに、半焼成ドロマイト単独の場合にくらべて約半分の処理時間で足りる。とくに、塩化第一鉄を配合した場合の効果は顕著であって、排水基準を満たすための処理が1時間で終わり、4時間の処理の後には、環境基準の0.8mg/L以下を達成することができた。
参考例1〜4
[6価セレンイオンの還元]
試薬のセレン酸ナトリウムを水に溶解させて、6価セレンを含有する水溶液を用意した。このセレン含有水溶液に対して、塩化第一鉄(4水和物)による6価セレンの還元の効果と、液のpHの影響とを知るため、下記の表5のように、除去剤成分を添加し、一部はpH調整を行なった。参考例3は添加剤を添加後直ちに塩酸を加えて中性にしたもの、参考例4は水酸化ナトリウムを加えて中性としたものである。24時間経過後、濾過して濾液中の6価セレンの濃度をICPにより分析した。その結果を、初期濃度とともに、表4に合せて示す。参考例4の結果から、塩化第一鉄を添加して液のpHを中性にすることにより、6価セレンの還元が行なわれ、不溶化することがわかる。
表5 6価セレンイオンの除去
Figure 0005257469
実施例4〜11
[6価セレンイオンおよびフッ素イオンの同時除去]
試薬のフッ化ナトリウムとセレン酸ナトリウムとを水に溶解させて、フッ素19mg/Lと6価セレン3.5mg/Lとを併せて含有する模擬排水を用意した。この模擬排水に、半焼成ドロマイト、塩化第一鉄(4水和物)または硫酸第一鉄(7水和物)を表6に示す割合で添加して撹拌し、4時間後および24時間後に固液分離を行なって、濾液中のフッ素およびセレンの濃度を測定した。結果を、初期の濃度とともに表7に合せて示す。
表6 添加剤
Figure 0005257469
表7 セレン濃度およびフッ素濃度
Figure 0005257469
実施例9〜11においては、24時間後のセレン濃度が、排水基準である0.1mg/L以下に低減した。効果は、第一鉄化合物として塩化第一鉄を使用したときに高く、半焼成ドロマイト2.0重量%+塩化第一鉄0.2または0.5重量%を併用した実施例9または10においては、処理開始4時間で排水基準値を満たすに至った。フッ素処理に関しては、すべて4時間の処理で環境基準値0.8mg/Lを下回ることができた。このように、本発明の好適な実施態様によるときは、排水中に含まれるフッ素イオンと6価セレンイオンとを、同時に排水基準値を下回る値まで除去することができる。
実施例12〜14および比較例3〜5
[6価クロムイオンおよび亜鉛イオンの同時除去]
ある工業団地の集合排水処理場で採取した実排水を分析して得た、含有されている有害物とその量を、排水基準と対比すれば、表8に示すとおりである。
表8 工場排水中の有害物(mg/L)
Figure 0005257469
この排水に対して、表9に掲げる添加剤を単独または併用して添加し、撹拌して有害物の除去を試みた。1時間後に固液分離して、濾液に残存する全Cr量およびZn量を調べた。結果を、表9に合せて示す。
表9 工場排水の処理
Figure 0005257469
表9の比較例3と4の結果を見ると、半焼成ドロマイトだけでは、添加量を増してもクロムの濃度を下げることができていない。残ったクロム量がはじめに存在していたCr6+の量とほぼ同じであることから、その分が除去できていないことがわかる。これに対し、第一鉄化合物を添加した実施例12〜14においては、クロム量を排水基準値よりはるかに低くすることができている。亜鉛に関しては、消石灰ではpHが高くなりすぎて不溶化できていないが、半焼成ドロマイトを使用した場合には、0.01mg/L以下に低減でき、排水基準を十分に満たしている。なお、この排水は、フッ素に関しては排水基準を満たしていたので、本発明の除去剤による処理でどの程度その除去ができたかを確認しなかったが、すでに示した実施例から容易に推測できるように、大幅に低減できているはずである。
本発明の実施例のデータであって、実施例1〜3においてフッ素イオンの除去を行なったときの排水中のフッ素濃度の時間変化を、比較例とともに示すグラフ。

Claims (8)

  1. ドロマイトを焼成して得られた、遊離酸化カルシウムの含有量が1.2重量%以下であって、遊離酸化マグネシウの含有量が8〜25重量%である半焼成ドロマイトと、水可溶性の鉄化合物とを、半焼成ドロマイト100重量部に対し、水可溶性の鉄化合物を0.1〜100重量部の割合で配合してなる排水中のフッ素および/または重金属イオンの除去剤。
  2. 半焼成ドロマイトが、ドロマイトを、温度600〜900℃に0.5〜48時間焼成し、破砕または粉砕したものである請求項1の除去剤。
  3. 水可溶性の鉄化合物が、第一鉄化合物である請求項1の除去剤。
  4. 第一鉄化合物が、塩化第一鉄または硫酸第一鉄である請求項3の除去剤。
  5. 半焼成ドロマイト100重量部に対し、水可溶性の鉄化合物を10〜43重量部の割合で配合してなる請求項1の除去剤。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の除去剤を排水中に投入し、攪拌して接触させ、フッ素イオンおよび/または重金属イオンを不溶性物質として沈殿させ分離することからなる排水中のフッ素イオンおよび/または重金属イオンの除去方法。
  7. 請求項1ないし5のいずれかに記載の除去剤を排水中に投入し、生成した沈殿物の濾過分離を多段式に行なうことからなる排水中のフッ素および/または重金属イオンの除去方法。
  8. 重金属イオンが6価セレンおよび/または6価クロムであり、水可溶性の鉄化合物が第一鉄化合物である請求項6または7の重金属イオンの除去方法。
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