JP5607787B1 - 酸性廃水の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】中和剤として使用量が少なく、かつ取扱い性に優れるアルカリ材を用いて、残渣の発生量、及び酸性廃水に含まれる重金属の濃度を低減することができる酸性廃水の処理方法を提供する。
【解決手段】重金属を含有する酸性廃水に、BET比表面積が20m2/gである水酸化ドロマイトを添加することにより、酸性廃水の中和、重金属の処理を行う、酸性廃水の処理方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸性廃水の処理方法に関し、更に詳しくは、重金属を含有する酸性廃水に水酸化ドロマイトを添加することにより、酸性廃水の中和、及び重金属の処理を行う、酸性廃水の処理方法に関する。
メッキ工場等から発生する工場廃水や鉱山廃水には、重金属イオンと共に、高濃度の硫酸イオンが含まれる酸性廃水が発生する。
重金属イオンを含む酸性廃水(工場廃水、坑廃水)を中和し重金属を除去する方法として、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム(消石灰)等のアルカリ材を中和剤として酸性廃水に添加する方法がとられてきた。
しかし、水酸化ナトリウムを用いると、中和反応で生成する金属水酸化物の濾過性が悪く、見かけの汚泥量が多くなり汚泥の脱水および乾燥に多くの時間やエネルギーを要する。
また、水酸化カルシウムを用いた場合、硫酸イオンを含む酸性廃水では硫酸カルシウム(石膏)粒子が析出し、汚泥の量が全体として増加するなどの問題がある。
発生する汚泥は、管理型処分場等へ廃棄する必要があるが、近年処分場の残余年数が少なくなっており、汚泥の処分費は上昇している。廃水処理における全体の処理コストに占める、汚泥処分費の割合は大きく、発生する汚泥量を削減することは処理コストの低減につながる。
このような問題を解決すべく、重金属及び硫酸イオンを含む酸性廃水の処理方法として、中和剤として、水酸化マグネシウム(例えば、特許文献1及び2参照)、又はアルミナ、シリカ、カルシアから選ばれた少なくとも1つの成分を含む水酸化マグネシウム(例えば、特許文献3参照)、さらにはドロマイト仮焼物(例えば、特許文献4参照)を、酸性廃水に添加する方法が提案されている。
特開平10‐277564号公報 特開平8‐197072号公報 特開平10‐113674号公報 特開2004‐49952号公報
しかしながら、特許文献1〜3で開示される水酸化マグネシウムは、pHが水酸化カルシウムに比べて低く、中和に必要となる量が大きく増加する。また、水酸化マグネシウムは高価であり、コストが重視される廃水処理では使いにくい。
特許文献4で開示されるドロマイトの仮焼物は、高い水和熱を持つためその保管および取扱いには注意が必要となる。例えば、ドロマイトの仮焼物を廃水に添加すると急激な発熱を生じるため、中和処理時に温度管理を行う必要がある。また、水と反応し高温を発するため、排水処理場のような水の多い環境では、保存時に発熱し事故の元となる可能性もある。
そのため、酸性廃水の中和剤として、使用量が少なく、かつ取扱い性に優れるアルカリ材が求められている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、中和剤として使用量が少なく、かつ取扱い性に優れるアルカリ材を用いて、残渣の発生量、及び酸性廃水に含まれる重金属の濃度を低減することができる酸性廃水の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、酸性廃水の中和に用いるアルカリ材として特定範囲のBET比表面積を有する水酸化ドロマイトを用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は以下の[1]〜[3]を提供するものである。
[1]重金属を含有する酸性廃水に、BET比表面積が20m2/g以上である水酸化ドロマイトを添加することにより、酸性廃水の中和、及び重金属の処理を行う、酸性廃水の処理方法。
[2]重金属が、鉛及び/又は亜鉛である、前記[1]に記載の酸性廃水の処理方法。
[3]酸性廃水に含まれる硫酸イオン濃度が3000mg/L以上である、前記[1]又は[2]に記載の酸性廃水の処理方法。
本発明によれば、中和剤として使用量が少なく、かつ取扱い性に優れるアルカリ材を用いて、残渣の発生量、及び酸性廃水に含まれる重金属の濃度を低減することができる酸性廃水の処理方法を提供することができる。
実施例1〜2、及び比較例1〜3におけるアルカリ材を添加後の酸性廃水のpHの経時変化を示す図である。 実施例3〜4、及び比較例4〜7におけるアルカリ材を添加後の酸性廃水のpHの経時変化を示す図である。
<水酸化ドロマイト>
本発明の酸性廃水の処理方法では、重金属類を含有する酸性廃水を中和するためのアルカリ材として、BET比表面積が20m2/g以上である水酸化ドロマイトを使用する。
水酸化ドロマイトは、主に軽焼ドロマイトに水を加え水和反応をさせて得られる、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)との混合物である。水酸化ドロマイトは、安価な材料であり、軽焼ドロマイトと比べて保存性が高く、取り扱い性に優れる。
軽焼ドロマイトは、ドロマイトを比較的温和な条件で加熱し、脱炭酸反応させたものであり、酸化カルシウム(CaO)と酸化マグネシウム(MgO)との混合物である。
ドロマイトは、カルサイトと呼ばれる炭酸カルシウム(CaCO3)と、マグネサイトと呼ばれる炭酸マグネシウム(MgCO3)との、理想的にはモル比が1:1の複塩である。成分的にみれば、カルサイトとマグネサイトとの中間に位置する物質である。
本発明で使用する水酸化ドロマイトには、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄、硫黄等の他の成分を本発明の効果を妨げない範囲で含有していてもよい。
本発明で使用する水酸化ドロマイトに含まれる水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムとの質量比〔Ca(OH)2/Mg(OH)2質量比〕は、10/90〜90/10が好ましく、40/60〜90/10がより好ましく、60/40〜85/15がさらに好ましい。この質量比が前記の範囲であれば、発生する残渣質量の低減効果と、酸性廃水中の重金属濃度の低減効果との両方がバランス良く発揮される。
本発明で使用する水酸化ドロマイトのBET比表面積が20m2/g以上である。このBET比表面積が20m2/g未満であると、酸性廃水中和時の反応速度が遅く、短時間で高pH領域まで到達させるためには、水酸化ドロマイトの使用量を増やす必要がある。そのため、重金属処理時に必要な材料の原単位が増えてしまう。この観点から、水酸化ドロマイトのBET比表面積は、25m2/g以上であることが好ましく、30m2/g以上であることがより好ましい。水酸化ドロマイトのBET比表面積の上限は、特に制限はないが、80m2/g以下であることが好ましい。なお、BET比表面積は、実施例に記載の方法により測定することができる。
BET比表面積が20m2/g以上の水酸化ドロマイトの調製方法としては、特に制限はないが、例えば、特開2005−320207号公報に記載された方法を参照することができる。具体的には、軽焼ドロマイトを適量の糖の存在下で水和させることにより、容易に実施することができる。糖としては、スクロース、フルクトースおよびマルトースから選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。
本発明で使用する水酸化ドロマイトは、製造のしやすさの観点から、粉末であることが好ましい。
本発明で使用する水酸化ドロマイトの平均粒径は1mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.1mm、さらに好ましくは0.01〜0.05mmである。ここで平均粒径は湿式レーザ回折法により測定した値であり、形状が球状ではない場合はその外接円としたときの粒径とする。
また、本発明で使用する水酸化ドロマイトの形状には特に制限はなく、例えば樹枝状、りん片状、球状、フレーク状、凝集状とすればよい。
<酸性廃水の処理方法>
本発明の酸性廃水の処理方法では、重金属を含有する酸性廃水に、BET比表面積が20m2/g以上である水酸化ドロマイトを添加することにより、酸性廃水の中和、及び重金属の処理を行う。
水酸化ドロマイトの添加方法としては、重金属を含有する酸性廃水に対して、水酸化ドロマイトを、粉末状で添加し、攪拌する方法、及び水と混合してスラリー状にして添加し、攪拌する方法等、公知の方法を適用することができる。スラリー状で添加する場合、水に対する水酸化ドロマイトの質量比〔水酸化ドロマイト/水〕が0.03〜0.2であることが好ましい。
水酸化ドロマイトの酸性廃水への添加量としては、例えば、酸性廃水中の重金属の種類及びその含有量や酸性廃水のpHに応じて選択でき、中和後の廃水pHが6〜11となるよう添加するのが望ましい。重金属類が含まれない酸性廃水の中和では、排水基準以内のpH5.8〜8.6に調整すればそのまま排出することができる。また、重金属類が含まれる場合には、pH7〜11の間で調節することが好ましい。pHが高くなるほど重金属類は水酸化物を生じ除去しやすくなるが、処理後に排水基準に適合させるために逆中和が必要となる。排水基準以内で重金属類を効率よく除去することができれば、材料添加量の抑制、逆中和工程の削除ができ、全体の処理コストを低減することができる。
水酸化ドロマイトの添加量としては、酸性廃水に対して0.01〜3質量%となる量が好ましい。酸性廃水に対する水酸化ドロマイトの添加量が0.01質量%以上であると、高pH領域にまで酸性廃水を中和できるとともに、重金属の濃度を低減でき、3質量%以下であると、処理コストの増大を抑えることができる。この観点から、水酸化ドロマイトの添加量は、酸性廃水に対して、より好ましくは0.01〜1.0質量%であり、更に好ましくは0.01〜0.8質量%であり、より更に好ましくは0.01〜0.6質量%である。
酸性廃水の処理は、通常、酸性廃水に水酸化ドロマイト又はそのスラリーを添加、混合して中和処理を行い、静置させて重金属を水酸化物として凝集沈殿させることにより行うことができる。
処理時間としては、通常15分〜3時間、好ましくは30分〜1時間である。
水酸化ドロマイトの添加後における廃水のpHは、重金属の濃度を効果的に低減する観点から、pHが9〜12であることが好ましく、pHが9〜11であることがより好ましく、pHが9〜10.5であることが更に好ましい。
酸性廃水中の硫酸イオンは、水酸化ドロマイトと反応して硫酸マグネシウム及び硫酸カルシウム(石膏)を生成する。このうち、硫酸マグネシウムは、水に対する溶解度が高いために、そのほとんどが水に溶ける。一方、硫酸カルシウムは、水に対する溶解度が低いために、そのほとんどが水に溶けずに析出し、残渣となる。このため、本発明において水酸化ドロマイトを用いることにより、アルカリ材として従来の消石灰を使用する処理方法と比べて、発生残渣量を大きく低減することができる。
本発明の処理の対象となる酸性廃水は、例えば、鉱泉水、鉱山廃水(坑廃水)、及びメッキ工場にて発生した工場廃水などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
処理対象物の重金属を含む酸性廃水は、硫酸イオン濃度が3000mg/L以上であることが好ましく、4000mg/L以上であることがより好ましく、5000mg/L以上であることが更に好ましい。硫酸イオン濃度が3000mg/L以上であると、効果的に硫酸マグネシウムを生成することができ、汚泥発生量の抑制効果が高くなる。
本発明の処理の対象となる酸性廃水に含まれる重金属としては、例えば、鉛、亜鉛、砒素、セレン、鉄、マンガン、銅、クロム、カドミウム、水銀、コバルト、ニッケル、及びスズ等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。中でも、鉛、及び亜鉛は排水基準値、及び環境基準値が制定され、後述のように処理が困難であるが、本発明の酸性廃水の処理方法では鉛及び亜鉛濃度を上記基準値以下に低減することができることから、鉛、及び亜鉛が好ましく、亜鉛がより好ましい。酸性廃水には、1種又は2種以上の重金属を含んでいてもよい。
重金属が鉛や亜鉛である場合には、重金属を含む酸性廃水に水酸化ドロマイトを添加すると、中性からアルカリ性領域にかけて、生成する水酸化鉛や水酸化亜鉛の溶解度が低下していき、酸性廃水のpHが9〜10.5程度となったときに水酸化鉛及び水酸化亜鉛の溶解度が最も低下する。しかし、水酸化鉛の溶解度は高く、酸性廃水のpHを調整するだけで、水酸化鉛の濃度を環境基準値以下に低減することは困難である。そのため、共沈作用のある処理剤を併用する必要がある。また、水酸化亜鉛はpHを11以上となると水に再溶解する。このように鉛や亜鉛は、pH調整だけでは処理を十分に行なうことが難しく、共沈効果のある処理材を併用すると効果的に除去できる。本発明でアルカリ材として使用する水酸化ドロマイトに含まれる水酸化マグネシウムは、これらの重金属類を除去する際に共沈効果を発揮するため、酸性廃水に含まれる鉛及び亜鉛の濃度を低減する効果が高く、少ない使用量で鉛及び亜鉛の濃度を環境基準値以下に低減することができると考えられる。
中和反応後、中和された酸性廃水と残渣とを分離する。酸性廃水から分離された残渣(汚泥)は、脱水される。中和され、残渣と分離された酸性廃水は、排水基準に適合させるため、必要に応じてpH調整剤によりpHを調整した後、外部に排出される。脱水処理された残渣は、通常は、管理型処分場に送られて埋め立て処理などの処理がなされる。
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
(BET比表面積の測定方法)
アルカリ材のBET比表面積は、比表面積測定装置「NOVA−2000」(株式会社 セイシン企業製)によって測定した。
(平均粒径の測定方法)
アルカリ材の平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置「SALD−2100」(株式会社島津製作所製)によって測定した。
(アルカリ材)
水酸化ドロマイトは、軽焼ドロマイトに水を反応させて消化させることにより製造し、BET比表面積の異なる水酸化ドロマイトをそれぞれ得た。得られた水酸化ドロマイトの化学組成は、表1に示すとおりである。
消石灰は、表1に示す化学組成を有する市販の工業用特号消石灰を用いた。
軽焼ドロマイトは、表1に示す化学組成を有する一般品(吉澤石灰工業株式会社製)を用いた。
水酸化マグネシウムは、関東化学株式会社製 鹿1級 水酸化マグネシウムを用いた。
<実施例1〜2及び比較例1〜3>
酸性廃水の模擬溶液を用いて各種アルカリ材による中和試験を行い、性能を比較した。
酸性廃水の模擬溶液は、硫酸を蒸留水で薄めて、硫酸の濃度を硫酸イオン換算で6000mg/Lに調整したものを用いた。
(中和試験)
模擬溶液250mLに対し、表1に示すアルカリ材1.20g(0.48質量%)を投入し、pHの経時変化を、pHメーター(D−53、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。溶液の初期pHは1.1、反応時間は15分とした。
反応終了後、5Cの濾紙を用いて吸引濾過により固液分離し、濾液と残渣を得た。濾液の硫酸イオン濃度を、イオンクロマトグラフィ法(761 compact IC、メトローム社製)で分析した。残渣は、110℃で2時間乾燥、デシケーター内で6時間放冷し、固形残渣の乾燥質量を測定した。これらの結果を表1に示す。また、アルカリ材投入後の模擬溶液のpHの経時変化を図1に示す。
Figure 0005607787
<結果>
表1より、実施例1及び2の水酸化ドロマイトは、消石灰と比べて発生残渣量を低減できることが分かる。また、実施例1及び2の水酸化ドロマイトは、比較例1の消石灰と比べて、模擬溶液のpHがより短時間で7.0に到達することが分かる。しかし、比較例2の水酸化ドロマイトは、発生残渣量は少ないが、模擬溶液のpHが反応開始から15分後では7に到達しなかった。これは、比較例1の消石灰と比べ、中和に必要な使用量が増加することを意味する。また、比較例2の水酸化ドロマイトは、中性域のpH7に到達しておらず中和反応が完了していない。そのため、酸性廃水中の硫酸イオンが残存していることが分かる。
実施例1及び2と比較例2とを比べると、BET比表面積が20m2/g以上の水酸化ドロマイトを使うことで、反応時間が短縮し最終到達pHが上がることが分かる。また、水酸化ドロマイトのCa分と反応して生成する硫酸カルシウム(石膏)は、未反応のCa(OH)2粒子の表面に析出し、未反応のCa(OH)2粒子を中に閉じ込め反応を阻害すると言われている。BET比表面積を20m2/g以上に上げることで、反応速度を上げると共に、未反応のアルカリ成分を少なくし効率よく中和を行うことができる。
比較例3で使用した軽焼ドロマイトは、15分後のpHが実施例1及び2の水酸化ドロマイトよりも高く、比較例1の消石灰と同等である。これは、同量のアルカリ材では、実施例1及び2の水酸化ドロマイトと比べて、軽焼ドロマイトの方が水酸化ドロマイトよりもカルシウム成分を多く含むためと考えられる。しかしながら、比較例3の軽焼ドロマイトを用いた場合の残渣乾燥質量は、比較例1の消石灰よりも削減することができるものの、実施例1及び2の水酸化ドロマイトよりも多くなった。よって、水酸化ドロマイトを使用した方が、軽焼ドロマイトよりも更に残渣の発生量を低減できることが分かる。
以上の結果より、BET比表面積20m2/g以上の水酸化ドロマイトを使うことで、消石灰と同等以上の中和能力を持ち、消石灰及び軽焼ドロマイトよりも残渣の発生量を低減させることができることが分かる。
<実施例3〜4及び比較例4〜7>
模擬廃水として作製した重金属を含む硫酸溶液を用いて各種試料による中和試験を行い、性能を比較した。
酸性廃水の模擬溶液としては、硫酸にICP標準液(1000mg/L)の亜鉛(Zn)、及び鉛(Pb)標準液を所定比で混合し、蒸留水で薄めたものを用いた。模擬溶液中の硫酸濃度は、硫酸イオン換算で6000mg/L、鉛及び亜鉛濃度は、それぞれ25mg/L、模擬溶液の初期pHは1.1に調整した。
(中和試験)
模擬溶液250mLに対し、表2に示すアルカリ材1.25g(0.5質量%)を投入したこと以外は、実施例1と同様の方法で、中和試験を行い、濾液と残渣を得た。濾液の硫酸イオン濃度を前記と同じ方法を用いて測定し、亜鉛濃度および鉛濃度を、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)(Varian720-ES、バリアン社製)を用いて分析した。また、実施例1と同様の方法で乾燥残渣質量を測定した。これらの結果を表2に示す。また、アルカリ材投入後の模擬溶液のpHの経時変化を図2に示す。
Figure 0005607787
<結果>
実施例3、4の水酸化ドロマイトは残渣比0.56、0.58となり比較例4の消石灰に対し42〜44質量%の残渣を削減できることが分かる。また、鉛、及び亜鉛の濃度も共に環境基準値以下に低減できることが分かる。
比較例5の水酸化ドロマイトは15分後のpHが7程度であり、重金属を処理するにはpHが低く、15分後の亜鉛濃度が13mg/Lと高い値であった。そのため、重金属濃度を下げるためにpH上げる必要があり、更に添加量を増やす必要があることが分かる。
比較例6の軽焼ドロマイトは、残渣質量比0.89であり、実施例3、4の水酸化ドロマイトよりも残渣乾燥質量が多く、亜鉛の濃度を低減する効果が、実施例3、4の水酸化ドロマイトよりも低いことが分かる。
比較例7の水酸化マグネシウムは、酸性域のままpHが上がらず、全量溶けてしまった。そのため、中和を行うためには更に添加量を増やす必要がある。また、処理後の重金属濃度も、pHが低く水酸化物を生成するpHに及ばず、15分後の鉛濃度が24.7mg/L、亜鉛濃度が25mg/Lと高い値であった。そのため、重金属濃度を下げるためにpHを上げる必要があり、更に添加量を増やす必要があることが分かる。

Claims (3)

  1. 重金属を含有する酸性廃水に、BET比表面積が20m2/g以上である水酸化ドロマイトを添加することにより、酸性廃水の中和、及び重金属の処理を行う、酸性廃水の処理方法であって、水酸化ドロマイトに含まれる水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムとの質量比〔Ca(OH) 2 /Mg(OH) 2 質量比〕が60/40〜85/15である、酸性廃水の処理方法
  2. 重金属が、鉛及び/又は亜鉛である、請求項1に記載の酸性廃水の処理方法。
  3. 酸性廃水に含まれる硫酸イオン濃度が3000mg/L以上である、請求項1又は2に記載の酸性廃水の処理方法。
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