JP5248401B2 - ジャガイモコロッケと同等の食感及び食味を再現したおからコロッケ及びその製造方法 - Google Patents

ジャガイモコロッケと同等の食感及び食味を再現したおからコロッケ及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ジャガイモコロッケと同等の食感及び食味を再現したおからコロッケ及びその製造方法に関する。
おからは、豆腐製造工程において、原料の大豆から豆乳を搾ったあとに生じる残りかすであり、その多くは廃棄処分されている。しかし、おからには多くの栄養成分が含まれており、例えば、おから100g中には、たんぱく質6.1g、脂質3.6g、炭水化物13.8g(うち食物繊維11.5g)、各種ミネラル、ビタミンが含まれることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。おからのたんぱく質は、アミノ酸組成に優れ、人の成長や発育に必要な必須アミノ酸を多く含んでいる。また、飽食の現代においては食物繊維の摂取量の減少が進み、肥満や生活習慣病等の増加が懸念されているが、おからには、便通を整え、有害物質の排泄を促進することにより肥満や生活習慣病等の予防や改善に効果がある食物繊維が豊富に含まれている。更に、細胞の新陳代謝を促進し、神経細胞や脳細胞を活性化する働きがある大豆レシチンや、骨粗しょう症や更年期障害を防ぎ、コレステロール値や血圧、及び動脈硬化を改善する効果がある大豆イソフラボン等の成分は、豆乳又はその豆乳から製造される豆腐よりも、残りかすであるおからにより多く含まれている。
このような豊富な栄養成分を有するおからを廃棄処分することは、貴重な食料の損失につながり、食品リサイクル法及び今日の循環型社会の精神にも反するものである。そこで、近年では、おからを食品として有効利用するための種々の試みがなされている。その一例として、おからをコロッケ生地の一部として利用したおからコロッケ及びその製造方法等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。コロッケは、多くの家庭及び外食産業等で愛用されている代表的な惣菜の一つであり、コロッケ生地におからを利用すれば、おからに含まれる種々の栄養成分等を効果的に摂取でき、しかも廃棄物として処理されていたおからを有効活用することができる。
しかし、おからは、ボソボソ、ザラザラとした独特の食感があり、また、パサパサしているのでコロッケとしての成形性が悪い。そのため、一般的なコロッケ生地の主原料であるジャガイモに代えておからを使用しても、ジャガイモコロッケと同等の食感を有する美味しいコロッケを製造することはできない。そこで、上記特許文献1に記載されたコロッケは、コロッケ生地にすり潰した山芋やチーズを添加することにより、食感を滑らかにすると共に、コロッケとしての成形性を持たせている。
また、主原料のおからに、豆乳、クリームコーンを加えてカッターで攪拌し、更にジャガイモや、コーン粉末を添加してコロッケ生地を製造するコロッケ生地の製法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
更に、ジャガイモの一部又は全部に代えて、おからを加温下で粉砕して製造したおから粉砕物(粒径100〜200μm)を用いることにより、おから特有のザラザラとした食感を低減し、コロッケ生地にラードや山芋粉末を加えることにより、おからの食感を向上させた、生コロッケの製造方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2007−209290号公報 特開昭62−186771号公報 特開2006−61033号公報
五訂日本食品標準成分表(平成12年;科学技術庁資源調査会編)
しかしながら、特許文献1乃至特許文献3に記載されたコロッケ等の製造方法においては、山芋やチーズ等のおから以外の材料をコロッケ生地に添加しているので、コロッケ生地中に占めるおからの割合が少なく、おからの有効に利用しているとは言えない。また、コロッケ生地の製造過程において、山芋やチーズ等のおからに比べてはるかに高価な材料を添加する工程を含むので、材料費及び加工費等が高くなり、コロッケの製造コストが非常に高くなるおそれがある。
更に、特許文献3には、山芋やラードを添加したおからコロッケは、これらを添加していないコロッケに比べて形状保持性が高く、油で揚げた後に崩れることが少なかったとする記載がある。この記載は、山芋やラードを添加していないコロッケは、油で揚げた後に崩れるケースがある、すなわち、カッターで粉砕したおから粉砕物だけでは、コロッケとしての十分な粘性が得られないことを示唆するものである。
そこで、本件発明者は、特許文献3に記載されたコロッケの製造方法に従い、カッター(マドー社製、型番:MTK662)を用いて、おからを粉砕し、粒径50〜500μmとしたおから粉砕物を用いてコロッケを試作する再現実験を行った。その結果、試作されたコロッケのうち、山芋やラードを添加していないコロッケは、その形状が崩れてしまうことがあり、また、ジャガイモを用いたコロッケと同等の食感及び食味を再現したものとは言えなかった。
図3に、上記カッターを用いて粉砕したおから粉砕物の顕微鏡写真を示す。カッターは、おから粒子を鋭利な刃物でカットすることにより粉砕するので、図3に示したように、おから粒子は、細胞の損傷が少なく、細胞内に含まれている各種成分(たんぱく質、脂質、糖質、及びリン脂質等)の細胞外への流出は少なく、乳化物の生成は少ない。そのため、カッターによるおから粉砕物を用いたコロッケは、コロッケ生地の粘度が低くなり、形状保持性が悪く、また、マッシュしたジャガイモ独特の食味も滑らかな食感も再現することができない。
おからコロッケは、上述した特許文献以外にも複数の先行例が存在している。しかし、おからコロッケの知名度は未だ低く、スーパーや百貨店の惣菜売り場等における定番商品とされているケースは殆どない。その要因として、これらの先行例に示されるおからコロッケは、何れもおから独特の食感が強く、多くの人に好まれる水準に達していないためと考えられる。従って、おからを主原料としたコロッケにおいて、ジャガイモコロッケと同様の食感及び食味を再現できれば、おからコロッケの需要が伸びると共に、従来は廃棄処分されていたおからの多くを有効利用できるようになると期待される。
本発明は、上記課題を解決するものであり、一般的なコロッケの主原料であるジャガイモに代えておからを使用し、ジャガイモコロッケと同様の食感及び食味を再現し、しかも成形性の良いおからコロッケ及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願発明は、以下の(1)〜(8)を提供する。
(1)おからを主原料とするコロッケの製造方法であって、おからと、おからの30重量%〜100重量%の水とを混和して成る混和物を摩砕して、おからの粒子を小さくするとともにおからに含まれる大豆細胞を破壊し細胞内成分を流出させ、細胞内成分により生成した乳化物とおからとが一体となったおから摩砕物を作製する摩砕工程と、摩砕工程で得られたおから摩砕物からコロッケ生地を作製する生地作製工程と、を含むコロッケの製造方法。
(2)おから摩砕物の乳化物中のリン脂質の含有量が50mg/100g〜200mg/100gであることを特徴とする上記(1)に記載のコロッケの製造方法。
(3)上記(1)又は(2)に記載されたコロッケの製造方法によって製造されるコロッケ。
本発明によれば、おからを摩砕することにより、おからの粒子が小さくなり、同時におから粒子中の大豆細胞の細胞壁を構成するセルロース、ヘミセルロースなどがすり潰され、各おから粒子は角張ることなく、しなやかな状態になる。また、おからを摩砕することにより、おからを構成する大豆細胞が破壊され、リン脂質などの細胞内成分が細胞外に流出し乳化物が生成する。生成した乳化物と小さくなったおから粒子が一体化することで、ジャガイモのような滑らかな食感を再現することができる。また、おから摩砕物は、カッターで粉砕されたおから粉砕物と比較して、より多くの大豆細胞が破壊されることから、より多くのリン脂質等が細胞外へ流出し、より多くの乳化物が生成する。その結果、おから摩砕物はより高い粘度を有し、コロッケとして形成する際の成形性及び形状保持性をより良くすると共に、コロッケを、ジャガイモを主成分とするコロッケによく似た食味とすることができる。ジャガイモのような滑らかな食感を再現するために、また、成形性及び形状保持性を良くするために、おから摩砕物の乳化物中のリン脂質の含有量は50mg/100g〜200mg/100gであることが好ましい。
同製造方法の摩砕工程により作製されるおから摩砕物の粒度分布を示す図。 同おから摩砕物の顕微鏡写真を示す図。 カッターを用いた従来のおから粉砕物の顕微鏡写真を示す図。
本発明の一実施形態に係るコロッケの製造方法及びその製造方法によって作製されるコロッケについて、説明する。本実施形態のコロッケの製造方法は、おからと、おからの30重量%〜100重量%の水とを混和して成る混和物を摩砕して、おからの粒子を小さくするとともにおからに含まれる大豆細胞を破壊し細胞内成分を流出させ、細胞内成分により生成した乳化物とおから粒子とが一体となったおから摩砕物を作製する摩砕工程と、摩砕工程で得られたおから摩砕物からコロッケ生地を作製する生地作製工程とを含む。以下、上記各工程について詳述する。
摩砕工程における、おからと水との混和物の摩砕は、2個の碾き石から成る碾き臼を機械化したマスコロイダー(登録商標)と呼ばれる装置を用いて行われる。マスコロイダーは、投入した材料を固定された碾き石と回転駆動する碾き石との間を通過させることにより材料を摩砕して、摩砕物を生成するものである。上記2つの碾き石の間隔を調整することにより、摩砕物に含まれる材料の粒径を自在に調整することができる。また、碾き石の表面は粗面であるので、摩砕された材料の粒径は必ずしも均一にはならない。この性質を利用し、上述した碾き石の間隔を適宜に調整することにより、摩砕された材料の粒度分布を調節することができる。
好ましくは、摩砕工程で得られるおから摩砕物に含まれるおからは、50%粒径(メディアン径)が100〜200μmであることが好ましい。
図1は、上述の摩砕工程により得られたおから摩砕物中のおから粒子の粒度分布を3回繰り返し測定し、その平均値を示す。おから摩砕物の作製にはスーパーマスコロイダー(登録商標)(増幸産業製、品番:MKZA10−15)を用いた。粒度分布は、光学的手法を用い、光散乱により測定した。具体的には、レーザー回折式粒度分布測定装置(製品名:MICROTRAC FRA)を用いて測定した。本実施形態により作製されたおから摩砕物中のおから粒子の粒径は、50〜400μmの範囲にあるものが全体の過半数を超えて最も多く含まれる。また、粒径50μm以下の微粒のものが10〜30%含まれることも本実施形態で作製されるおから摩砕物の特徴である。また、50%粒径が100〜200μmであることも本実施形態で作製されるおから摩砕物の特徴である。なお、ジャガイモの粒子の50%粒径を同様にして複数回測定したところ、平均155μmであった。この点からも、本実施形態にかかるコロッケは、ジャガイモコロッケと同等の食感及び食味を再現するものである。
図2に、おから摩砕物の顕微鏡写真を示す。おから摩砕物は、おから粒子がすり潰されて大豆細胞が破壊される。上述した従来技術のように、カッターでカットしたおからは、粒子は小さくなるが、大豆細胞の細胞壁を構成するセルロース、ヘミセルロースが鋭利な刃物によって切断され、細胞の損傷は少ない(図3参照)。そのため、おから粒子内に含まれている細胞内成分(たんぱく質、脂質、糖質、及びリン脂質等)の細胞外への流出は少ない。これにより、カッターによるおから粉砕物の粘度は低くなる。
これに対して、マスコロイダーで摩砕されたおから摩砕物は、碾き石により強い力ですり潰されているので、粒子が小さくなるだけでなく、細胞壁のセルロース、ヘミセルロースがすり潰され、しなやかな状態になる。それと同時に、細胞内成分が細胞外に押し出され、すり混ぜられる。細胞内成分の中でも、リン脂質は強い乳化力を持ち、おから摩砕物に含まれる水分と細胞内成分から流出した脂質とを乳化する。また、タンパク質は親水基と疎水基とを有するため乳化を助長する。マスコロイダーでおからをすり潰すと、小さくなったしなやかなおから粒子が作られるだけでなく、同時に、乳化物が形成され、これらがすり混ざり合って一体となる。そのため、マスコロイダーによって摩砕されたおから摩砕物は、カッターで粉砕されたおから粉砕物よりも高い粘度を有し、コロッケとして形成されたときに形状保持性が良く、乳化物と一体となった摩砕おからは、おから風味がマスクされてまろやかになり、ジャガイモと同様の食味と食感とを再現することができる。
おから摩砕物の乳化物中のリン脂質の含有量は50mg/100g〜200mg/100g(ステアロ・オレオ・レシチンとして)であることが好ましく、80mg/100g〜160mg/100gであることがより好ましく、タンパク質の含有量は2.0g/100g〜4.0g/100gであることが好ましく、脂質の含有量は1.0g/100g〜2.5g/100gであることが好ましい。摩砕により、大豆細胞からリン脂質、タンパク質及び脂質が十分流出し、乳化物が形成される。おから摩砕物の乳化物とは、おから摩砕物を遠心操作して得られる上清を意味する。
摩砕工程は2回以上繰り返してもよい。すなわち、1度マスコロイダーで摩砕した摩砕物をマスコロイダーに投入して再び摩砕処理を行ってもよい。摩砕を繰り返し行うことで、おからの粒子を全体的に小さくすることができ、また、細胞内成分の流出量を増加させて乳化を強めることが可能である。したがって、より粘度の高いおから摩砕物が得られるため、コロッケ生地を作製したときの成形性をより高めることが可能となる。
次に、生地作製工程において、得られたおから摩砕物からコロッケ生地を作製する。ジャガイモの代わりにおから摩砕物を使用する以外は、一般的なジャガイモコロッケの製造方法のコロッケ生地の作製と同様に行うことができる。すなわち、おから摩砕物に挽き肉や野菜などを炒めたものを加えて調味料で味を調えた後、小判型や俵型等の形状に成形する。ひき肉は、豚挽き肉や牛豚合い挽き肉などが使用できる。挽き肉に代えて、又は挽き肉に加えて、鮭、ホタテ、蟹、海老等を適宜に使用してもよい。代表的な野菜は玉葱であるが、人参、きのこ、牛蒡、グリンピース、トウモロコシなどを加えてもよい。あるいは、ひき肉や野菜などを加えずにおから摩砕物に調味料を加えて味を調え、成形してもよい。調味料としては、塩や胡椒等が挙げられ、適宜に微量のマヨネーズを添加してもよい。マヨネーズには、よりジャガイモの食味に近づける効果がある。成形したコロッケ生地は、好ましくは10℃以下の温度に冷却される。
次に、成形したコロッケ生地に小麦粉、卵、パン粉の順で衣をつけて、生コロッケを作製する。あるいは、成形したコロッケ生地の表面に小麦粉を薄くまぶした後、又はまぶさずに、水及び小麦粉等から成るバッター液にくぐらせ、これにパン粉をつけることにより、生コロッケを作製してもよい。作製された生コロッケを油で揚げることにより惣菜売り場等で販売されるコロッケとなり、また、作製された生コロッケを冷凍すれば冷凍コロッケとなる。
本実施形態のコロッケ製造方法においては、摩砕工程と生地作製工程の間に、脱水工程を実施してもよい。すなわり、得られたおから摩砕物を、布製の袋に詰め、これを脱水機にかけて、おから摩砕物に含まれる水分を脱水する。脱水機の排水口に目盛り付き容器を配置して、脱水液の液量を測り、その液量が所定量に達したときに脱水を終了する。適切に脱水することで、コロッケ生地の成形性を良くすることができる。本実施形態においては、おから摩砕物の重量の0〜40%の水分が脱水される。なお、脱水工程において得られた脱水液に、乾燥マッシュポテトを添加して、これらの混和物をおから摩砕物に加えてもよい。こうすれば、脱水液を廃棄することなく有効利用することができる。
本実施形態のコロッケ製造方法においては、上述した脱水工程に代えて乾燥マッシュポテトを添加する水分調整工程を実施してもよい。このように、乾燥マッシュポテトを添加することにより、脱水液からおからの栄養成分の一部が流出することを抑制できる。なお、おから摩砕ペーストの水分を調整できるものであれば、必ずしも上記の乾燥マッシュポテトに限られない。
コロッケ生地作製工程においては、おから摩砕物に、ジャガイモを加熱してマッシュしたマッシュポテトを更に添加してもよい。本実施形態のコロッケ製造方法によるおからコロッケは、上述した通り、ジャガイモを添加しなくても、ジャガイモを主原料とするコロッケと同様の食味と食感を再現することができる。そのため、本来的には材料としてのジャガイモの添加は不要である。しかし、おから摩砕物に、マッシュポテトを添加することにより、おからに含まれる各種栄養成分だけでなく、ジャガイモに含まれるビタミンCを摂取できるおからコロッケを作製することができる。
(試験例1)
以下、本実施形態のコロッケの製造方法及びこの製造方法により製造されるコロッケの具体的な実施例について説明する。20kgのおからと50重量%の水を添加してこれらを混和した後、この混和物を摩砕した。摩砕は、スーパーマスコロイダー(登録商標)(増幸産業製、品番:MKZA10−15)を用いて、おから摩砕物を作製した。得られたおから摩砕物を布製の袋に詰め、袋ごと脱水機(回転数1300rpm、バケット径56cm、深さ28cm)に投入して脱水して、おから摩砕ペーストを得た。
上述のようにして作製されたおから摩砕ペーストには、炒めた挽き肉、粗微塵切りした玉葱、及び人参が添加され、塩及び胡椒で味付けして、これらを十分に混和させ、この混和物を小判型の形状に成形してコロッケ生地を作製した。続いて、作製されたコロッケ生地の表面に、小麦粉を薄くまぶした後、バッター液にくぐらせ、これにパン粉をつけることにより、生コロッケが作製された。更に、作製された生コロッケを、約160〜180℃に熱した油で揚げることにより、本実施形態のおからコロッケを作製した。
上述した本実施形態のコロッケ製造方法によって作製されたおからコロッケについて、試食試験を行った。試食試験は、姫路独協大学の協力を得て、同大学の学生(70人)に、上記おからコロッケを試食してもらい、コロッケの材料が何であるかを回答用紙に記載してもらうことにより行った。その結果を下記の表1に示す。
表1から明らかなように、約83%の学生が、本実施形態のコロッケ製造方法によるおからコロッケを、ジャガイモを材料とするコロッケと認識した。従来から提案されているおからコロッケの製造方法は、何れも発明者自身による主観的評価のみを記載しており、客観的に効果があるとは判断し難いものであった。上記の結果は、本実施形態のコロッケ製造方法によるおからコロッケが、ジャガイモを主原料とするコロッケと同様の食味を有することを客観的に示すものである。
(試験例2)
同様の試食試験を、本実施形態に係るコロッケ及び引用文献3に記載のコロッケを用いて同時に行った。本実施形態に係るコロッケは、試験例1に記載した方法で製造した。一方、引用文献3の実施例1に記載のコロッケは、ひび割れや穴あきが多数生じて試食できるレベルではなかったため、引用文献3の段落0025及び図2に基づき、60重量%のカツオだしを用いた。おからの60重量%のカツオだしを加え、よく練り、食塩及びごく少量の薄口醤油で味付けを行った。そこへ炒めて食塩で味付けをした具(人参、椎茸、牛蒡)を加えて混和し、揚げてコロッケとした。67名の姫路獨協大学の学生に両コロッケを試食し評価してもらった。その結果を表2及び3に示す。
表2及び3から明らかなように、本実施形態に係るコロッケはジャガイモコロッケに酷似している一方で、引用文献2に記載のコロッケはジャガイモコロッケから程遠いことが分かる。
(試験例3)
摩砕工程における水の添加量を変化させた場合に、得られるおから摩砕物における、リン脂質(ステアロ・オレオ・レシチンとして)、タンパク質及び脂質の含有量を測定した。水の添加量をおからに対して30重量%〜100重量%とした以外は、試験例1に記載の方法と同様の方法でおから摩砕物を得た。また、比較のため、カッターによるおから粉砕物における各含有量も測定した。カッターの処理時間は10〜30分とした。各処理物から溶液を分離し、それを検体とした。リン脂質の定量は、財団法人日本食品分析センターに依頼するなどして行った。タンパク質の定量はセミミクロケルダール法で行い係数は6.25を用い、脂質の定量はクロロホルム−メタノール混液抽出法で行った。結果を表4及び表5に示す。
これらの摩砕物及びカッター粉砕物を用いて、コロッケを製造した。摩砕物を用いたコロッケを試食した場合、ジャガイモを材料とするコロッケであると回答する者が多い一方、カッター粉砕物を用いたコロッケを試食した場合、おからを材料とするコロッケであると回答する者が多かった。また、摩砕物を用いたコロッケは成形性に優れ、揚げ工程で形が崩れることがなかったが、カッター粉砕物を用いたコロッケは成形性が悪く、揚げ工程で穴あき・ひび割れが生じた。
これらの相違は、摩砕物及びカッター粉砕物におけるリン脂質、タンパク質及び脂質の含有量の相違によるものと考える。摩砕物におけるこれらの含有量は、カッター粉砕物と比較して約2倍〜4倍も高い。リン脂質は乳化剤として作用し、タンパク質は親水基及び疎水基の両方を備えるため穏やかな乳化作用を有し、脂質は乳化に絶対的に必要な成分である。したがって、摩砕物はカッター粉砕物と比較して乳化し易いことが分かる。乳化されることによって、おから風味がマスクされ、コロッケの味がマッシュしたジャガイモみたいにまろやかになると考える。また、乳化されることによって、おから粒子同士が付着されるため、成形性が良くなり、揚げ工程でも形が崩れ難くなったと考える。
このように、本実施形態のコロッケ製造方法によるおからコロッケは、ジャガイモを主原料とするコロッケと同様の食感及び食味を有するので、おからと意識せずに良質のたんぱく質、食物繊維に加え、大豆イソフラボンや、大豆サポニン、大豆レシチンといったおからに含まれる各種の栄養成分を容易に、しかも美味しく摂取することを可能とする。
また、本実施形態のおからコロッケは、山芋やチーズ等のおから以外の材料を添加する必要がないので、コロッケ生地中に占めるおからの割合が多い。2007年版惣菜白書(社団法人日本惣菜協会)によれば、コロッケは、惣菜中における購入頻度が一位であり、購入金額は10年来第一位である。このような消費量の多いコロッケの主原料としておからを多く用い、しかもおからコロッケを一般的なジャガイモコロッケと同様の食感及び食味を有するようにしたことは、おからの食品としての利用可能性を高め、廃棄物として処理されていたおからを有効活用する上でも非常に効果的である。

Claims (3)

  1. おからを主原料とし、ジャガイモを添加しないコロッケの製造方法であって、
    おからと、おからの30重量%以上100重量%未満の水とを混和して成る混和物を摩砕して、おからの粒子を小さくするとともにおからに含まれる大豆細胞を破壊し細胞内成分を流出させ、細胞内成分により生成した乳化物とおから粒子とが一体となったおから摩砕物を作製する摩砕工程と、
    摩砕工程で得られたおから摩砕物からコロッケ生地を作製する生地作製工程と、
    を含むコロッケの製造方法。
  2. おから摩砕物の乳化物中のリン脂質の含有量が50mg/100g〜200mg/100gであることを特徴とする請求項1に記載のコロッケの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載されたコロッケの製造方法によって製造されるコロッケ。
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