JP5232247B2 - L−サクシニルアミノアシラーゼ、およびこれを用いたl−アミノ酸の製造方法 - Google Patents

L−サクシニルアミノアシラーゼ、およびこれを用いたl−アミノ酸の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、好熱菌由来の新規なL−サクシニルアミノアシラーゼに関し、特に、N−サクシニル−L−ターシャリーロイシンやN−サクシニル−L−ビフェニルアラニン、N−サクシニル−L−シクロヘキシルグリシン、N−サクシニル−L−ジクロロフェニルアラニン、N−サクシニル−L−ブロモフェニルアラニンなどの立体的にかさ高い非天然アミノ酸を基質として効率的に利用できる新規なL−サクシニルアミノアシラーゼ、およびこの酵素を用いたL−アミノ酸の製造方法に関する。
医薬品、農薬および食品などの多くの産業分野でL−アミノ酸は有用である。例えば産業上有用なL−アミノ酸としては、動物飼料用の添加物、健康食品の成分およびアミノ酸輸液等として使用されるL−リジン、L−スレオニン、L−イソロイシンおよびL−プロリン、肝機能促進薬、アミノ酸輸液および総合アミノ酸製剤等の成分として使用されるL−アルギニンおよびL−オルニチン、肝機能促進薬およびヒスタミンの前駆体として使用されるL−ヒスチジン、甘味料の前駆体として使用されるL−フェニルアラニン、様々な医薬品の中間体として使用されるL−ターシャリーロイシン、L−ビフェニルアラニン、L−シクロヘキシルグリシン、L−ジクロロフェニルアラニン、L−ブロモフェニルアラニンなどが知られている。従って、これらの有用なL−アミノ酸をD−アミノ酸から分離された状態で効率的に得ることが求められている。
L−アミノ酸の製造方法としては、N−アシルアミノ酸のラセミ体を合成し、L−アミノアシラーゼという酵素を用いてラセミ体中のL体のみを加水分解し、L−アミノ酸のみを特異的に生成させる方法が従来から使用されている。この方法で使用するL−アミノアシラーゼとしては、例えば、ペニシリウム・フニコロサム由来のL−アミノアシラーゼ(特許文献1)やストレプトミセス・モバラエンシス由来のL−アミノアシラーゼ(特許文献2)が知られている。
しかし、特許文献1,2に記載のL−アミノアシラーゼは、加水分解能に優れるものの、基質特異性は未だ満足のいくものではなく、N−アシル−L−ターシャリーロイシン、N−アシル−L−ビフェニルアラニン、N−アシル−L−シクロヘキシルグリシン、N−アシル−L−ジクロロフェニルアラニン、N−アシル−L−ブロモフェニルアラニンなどの立体的にかさ高い非天然アミノ酸を基質として認識することができなかった。従って、特許文献1,2に記載のL−アミノアシラーゼを用いた方法では、N−アシル−DL−ターシャリーロイシンなどの立体的にかさ高い非天然アミノ酸を光学分割することができず、医薬品の中間体として有用なL−ターシャリーロイシンなどの立体的にかさ高い非天然アミノ酸を製造することができなかった。
本発明者らは、最近、好熱菌の一種であるゲオバチルス・ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)NCA1503株から採取されたL−サクシニルアミノアシラーゼが、N−サクシニル−L−ターシャリーロイシンを基質として認識することができることを見出し、このL−サクシニルアミノアシラーゼをコードする遺伝子の塩基配列を決定し、特許出願を行った(特許文献3)。特許文献3に記載のL−サクシニルアミノアシラーゼは、N−サクシニル−L−ターシャリーロイシンを基質とすることができるという、従来のL−アミノアシラーゼが有しない基質特異性を有するものの、酵素活性の点でなお課題を有していた。また、特許文献3では、N−サクシニル−L−ターシャリーロイシン以外の立体的にかさ高い非天然アミノ酸に対する基質特異性については、このL−サクシニルアミノアシラーゼがN−サクシニル−L−シクロヘキシルグリシン及びN−サクシニル−L−4−ブロモフェニルアラニンを基質とすることができることが確認されているにすぎない。
特開平5−328972号公報 特開2006−67870号公報 WO2009/136500号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み創案されたものであり、その目的は、医薬品の中間体として有用なL−ターシャリーロイシンやL−ビフェニルアラニン、L−シクロヘキシルグリシン、L−ジクロロフェニルアラニン、L−ブロモフェニルアラニンなどの立体的にかさ高い非天然アミノ酸を効率良く製造することができる新規なL−アミノアシラーゼを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、様々な生物由来のL−サクシニルアミノアシラーゼの酵素活性について検討した結果、ゲオバチルス・ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)のIF012983株から採取されたL−サクシニルアミノアシラーゼが、特許文献3のL−サクシニルアミノアシラーゼと比較してN−サクシニル−L−ターシャリーロイシンを基質として効率良く利用できることを見出した。また、この株から採取されたL−サクシニルアミノアシラーゼは、N−サクシニル−L−ターシャリロイシンのみならず、N−サクシニル−L−ビフェニルアラニン、N−サクシニル−L−シクロヘキシルグリシン、N−サクシニル−L−ジクロロフェニルアラニン、N−サクシニル−L−ブロモフェニルアラニンなどの他の立体的にかさ高い非天然アミノ酸も基質として効率良く利用できることを見出した。そして、本発明者らは、このL−サクシニルアミノアシラーゼをコードする遺伝子の塩基配列を決定し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、(a)〜(d)のいずれか1つで表されることを特徴とするタンパク質が提供される:
(a)配列番号1に記載の塩基配列からなる遺伝子によってコードされるタンパク質;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(c)配列番号1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされ、かつ、L−サクシニルアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ、L−サクシニルアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質。
また、本発明によれば、(a)〜(d)のいずれか1つで表されることを特徴とする遺伝子が提供される:
(a)配列番号1に記載の塩基配列からなる遺伝子;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子;
(c)配列番号1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、L−サクシニルアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列に対応する塩基配列からなり、かつ、L−サクシニルアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
さらに、本発明によれば、上記遺伝子をベクターに挿入して組換えベクターを調製し、この組換えベクターで宿主細胞を形質転換して形質転換体を調製し、この形質転換体を培養する工程を含むことを特徴とする上記タンパク質の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、上記タンパク質を用いてN−サクシニル−DL−アミノ酸中のN−サクシニル−L−アミノ酸を特異的に加水分解する工程を含むことを特徴とするL−アミノ酸の製造方法が提供される。
本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、従来公知のL−アミノアシラーゼとは異なり、N−サクシニル−L−ターシャリーロイシンやN−サクシニル−L−ビフェニルアラニン、N−サクシニル−L−シクロヘキシルグリシン、N−サクシニル−L−ジクロロフェニルアラニン、N−サクシニル−L−ブロモフェニルアラニンなどの立体的にかさ高い非天然アミノ酸を基質として効率良く利用できるので、医薬品の中間体として有用なL−ターシャリーロイシンやL−ビフェニルアラニン、L−シクロヘキシルグリシン、L−ジクロロフェニルアラニン、L−ブロモフェニルアラニンなどを効率良く製造することができる。
実施例2におけるL−ターシャリーロイシンの収率のHPLCによる測定結果を示す。反応開始からの経過時間(hr)を横軸に、L−ターシャリーロイシンへの変換率(%)を縦軸に示す。 実施例5におけるL−ターシャリーロイシンの収率のHPLCによる測定結果を示す。反応開始からの経過時間(hr)を横軸に、L−ターシャリーロイシンへの変換率(%)を縦軸に示す。 実施例6におけるL−ターシャリーロイシンの収率のHPLCによる測定結果を示す。反応開始からの経過時間(hr)を横軸に、L−ターシャリーロイシンへの変換率(%)を縦軸に示す。
本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、(a)配列番号1に記載の塩基配列からなる遺伝子によってコードされるタンパク質、または(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質である。配列番号1は、好熱菌の一種であるゲオバチルス・ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)IFO12983株のL−サクシニルアミノアシラーゼの塩基配列であり、配列番号2は、そのアミノ酸配列である。
上記(a)および(b)のタンパク質は、N−サクシニルアミノ酸のD体とL体のうちL体であるN−サクシニル−L−アミノ酸のみを特異的に加水分解してL−アミノ酸を特異的に生成させることができるという特徴を有する。生体内に、N−アセチルアミノ酸とN−サクシニルアミノ酸は一般的に存在すると考えられるが、上記(a)および(b)のタンパク質は、N−アセチルアミノ酸よりもN−サクシニルアミノ酸に対して100倍以上高い活性を有する。これらのことから、上記(a)および(b)のタンパク質は、N−サクシニル−L−アミノ酸を特異的に加水分解してL−アミノ酸とコハク酸を生成する反応を触媒する酵素、つまりL−サクシニルアミノアシラーゼであると言える。
本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼの最大の特徴は、基質のN−サクシニル−L−アミノ酸として、N−サクシニル−L−ターシャリーロイシンやN−サクシニル−L−ビフェニルアラニン、N−サクシニル−L−シクロヘキシルグリシン、N−サクシニル−L−ジクロロフェニルアラニン、N−サクシニル−L−ブロモフェニルアラニンなどの立体的にかさ高い非天然アミノ酸を効率良く利用することができることにある。特に、これらの立体的にかさ高い非天然アミノ酸のうち、N−サクシニル−L−ターシャリーロイシン、N−サクシニル−L−ビフェニルアラニン、及びN−サクシニル−L−シクロヘキシルグリシンについては、後述の実施例7で示すように、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、特許文献3に記載のL−サクシニルアミノアシラーゼと比較して、これらの非天然アミノ酸を顕著に効率良く利用することができる。本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼと特許文献3に記載のL−サクシニルアミノアシラーゼは、同じ生物の異なる株由来の酵素であり、このような由来の近い酵素同士が大きく異なる酵素活性を有することは極めて驚くべきことであり、当業者が容易に予測できないことである。
本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼの理化学的性質は、以下の(i)〜(v)に示す通りである。
(i)分子量:43kDa(SDS−PAGE);
(ii)基質特異性:N−サクシニルターシャリーロイシン、N−サクシニルビフェニルアラニン、N−サクシニルシクロヘキシルグリシン、N−サクシニルジクロロフェニルアラニン、N−サクシニルブロモフェニルアラニンに作用する;
(iii)温度安定性:30分間熱処理した場合、70℃では安定であり75℃以上では失活する;
(iv)至適温度:pH7〜8で反応させる場合、温度55〜60℃において作用が至適である;および
(v)至適pH:60℃で30分間反応させる場合、pH7において作用が至適である。
また、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、2価または1価の金属イオンを0.1mM〜1Mの終濃度で反応させることで活性を有する。ここで使用する2価または1価の金属イオンとしては、Mn2+,Co2+,Mg2+,Ca2+,Ni2+,Kなどが挙げられ、なかでもCo2+が特に好ましい。Co2+を使用すると、Zn2+を使用したときより活性が2倍以上増加することが判明している。
本発明は、(a)配列番号1に記載の塩基配列からなる遺伝子、および(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子も包含する。これらは、上記(a)および(b)のタンパク質に対応する遺伝子である。
本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、上記(a)および(b)のものに限定されず、(c)配列番号1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされ、かつ、L−サクシニルアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質、または(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ、L−サクシニルアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質も含む。また、本発明の遺伝子は、(c)配列番号1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、L−サクシニルアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、または(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列に対応する塩基配列からなり、かつ、L−サクシニルアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子も含む。これは、タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列の一部に変異が生じたり、またその結果としてタンパク質のアミノ酸配列の一部に変異が生じても、機能的には同等のタンパク質であることが多いからである。また、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼの遺伝子を、由来生物以外の宿主生物(大腸菌など)に組込んで本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼを発現させる場合、発現効率向上のため、宿主生物のコドンユーセージに合わせて塩基配列を変更することもあるからである。
上記(c)のタンパク質をコードする遺伝子は、配列番号1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列またはその一部をプローブとしてコロニー又はプラークハイブリダイゼーションを行うことにより得ることができる。なお、本明細書において用いる用語「ストリンジェントな条件」は、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、例えば、ある塩基配列と60%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上の相同性を有するDNAのみが特異的にハイブリダイズする条件であることができる。
ストリンジェントな条件はハイブリダイゼーション溶液の塩濃度、温度等を調節することにより作り出すことができる。一例を示せば、25%ホルムアミド、より厳しい条件では50%ホルムアミド、4×SSC、50mM HEPES pH7、10×デンハルト溶液、20μg/ml変性サケ精子DNAを含むハイブリダイゼーション溶液中、42℃で一晩プレハイブリダイゼーションを行なった後、標識したプローブを添加し、42℃で一晩保温することによりハイブリダイゼーションを行なう。その後の洗浄における洗浄液および温度条件は「1×SSC、0.1%SDS、37℃」程度で、より厳しい条件としては「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」程度で、さらに厳しい条件としては「0.2%×SSC、0.1%SDS、65℃」程度で実施することができる。SSC、SDSおよび温度条件の組み合わせは例示であり、当業者であれば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する上記もしくは他の要素(例えばプローブ濃度、プローブの長さ、ハイブリダイゼーション反応時間等)を適宜組み合わせることにより、上記と同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
ハイブリダイゼーションによって得られた遺伝子がL−サクシニルアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子であるかどうかは、例えば、得られた遺伝子を大腸菌に導入して形質転換体を作成し、この形質転換体を培養して酵素タンパク質を生成させ、この酵素タンパク質を精製してN−サクシニル−DLアミノ酸に添加してL−アミノ酸の生成をクロマトグラフィーなどで測定することによって確認することができる。
また、上記(d)のタンパク質の遺伝子である、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列に対応する塩基配列からなり、かつ、L−サクシニルアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子は、例えばKOD−Plus−Mutagenesis Kit(東洋紡製)などの市販のキットやPCR法を利用して配列番号1に記載の塩基配列を改変することによって得ることができる。得られた遺伝子がL−サクシニルアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子であるかどうかは、ハイブリダイゼーションによって得られた遺伝子の場合と同様の方法で確認することができる。
本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼの製造は、その遺伝子を適当なベクターに挿入して組換えベクターを調製し、この組換えベクターで適当な宿主細胞を形質転換して形質転換体を調製し、この形質転換体を培養することによって容易に行うことができる。
ベクターとしては、原核および/または真核細胞の各種宿主細胞内で複製保持または自律増殖できるものであれば特に限定されず、プラスミドベクターおよびファージベクター、ウィルスベクター等が包含される。組換えベクターの調製は、常法に従って行えばよく、例えば、これらのベクターに、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼの遺伝子を適当な制限酵素およびリガーゼ、あるいは必要に応じてさらにリンカーもしくはアダプターDNAを用いて連結することにより容易に行うことができる。また、Taqポリメラーゼのように増幅末端に一塩基を付加するようなDNAポリメラーゼを用いて増幅作製した遺伝子断片であれば、TAクローニングによるベクターへの接続も可能である。
また、宿主細胞としては、従来公知のものが使用可能であり、組換え発現系が確立しているものであれば特に制限されないが、好ましくは大腸菌、枯草菌、放線菌、麹菌、酵母といった微生物ならびに昆虫細胞、動物細胞、高等植物などが挙げられ、より好ましくは微生物が挙げられ、特に好ましくは大腸菌(例えば、K12株、B株など)が挙げられる。形質転換体の調製は、常法に従って行えばよい。
得られた形質転換体を、その宿主細胞に応じた適当な培養条件で一定期間培養すれば、組込まれた遺伝子から本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼが発現されて、形質転換体中に蓄積する。
形質転換体中に蓄積した本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、未精製のまま用いることができるが、精製したものを使用しても良い。この精製方法としては、従来公知のものが使用可能であり、例えば、培養後の形質転換体あるいはその培養物を適当な緩衝液中でホモジナイズし、超音波処理や界面活性剤処理などにより細胞抽出液を得、そこから蛋白質の分離精製に常套的に利用される分離技術を適宜組み合わせることにより行うことができる。このような分離技術としては、塩析、溶媒沈澱法等の溶解度の差を利用する方法、透析、限外濾過、ゲル濾過、非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)などの分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーなどの荷電を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動などの等電点の差を利用する方法などが挙げられるが、これらに限定されない。
次に、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼを用いてL−アミノ酸を製造する方法について説明する。本発明によるL−アミノ酸は、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼを用いてN−サクシニル−DL−アミノ酸(ラセミ体)中のN−サクシニル−L−アミノ酸(L体)を特異的に加水分解する工程によって製造される。
この工程は、具体的には、適当な溶液中に、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼと原料のN−サクシニル−DL−アミノ酸を溶解させて反応液を調製し、この反応液を適当な条件で反応させることによって行うことができる。
使用する溶液は、蒸留水で十分であるが、必要により、リン酸塩やトリスなどの緩衝剤を使用してもよい。緩衝剤を使用する場合、その濃度は20〜200mMであることが好ましく、pHは6.5〜8であることが好ましい。
本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、反応液中5〜500mg/L(100〜10000U/L)の濃度で使用されることが好ましい。また、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、上述の通り、2価または1価の金属イオンを0.1mM〜1M(好ましくは0.1〜1mM)の終濃度で添加することにより活性を持つため、反応液中に2価または1価の金属イオンを添加することが必要である。添加する2価または1価の金属イオンの例としては、Mn2+,Co2+、Mg2+,Ca2+,Ni2+およびKが挙げられ、特にCo2+が好適である。
本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼと反応させるN−サクシニル−DL−アミノ酸は、種々の公知の方法によって合成することができ、例えばSakai A.et al.,Biochemistry,2006,45(14),4455−62に記載の方法によって合成することができる。原料のDLアミノ酸の種類は、製造したいL−アミノ酸の種類に応じて適宜選択すればよく、天然に存在する20種のアミノ酸およびその誘導体、並びにターシャリーロイシン、シクロヘキシルグリシン、ブロモフェニルアラニン、ビフェニルアラニン、ジクロロフェニルアラニンなどの非天然アミノ酸およびその誘導体であることができる。
反応液中のN−サクシニル−DL−アミノ酸の濃度は、特に限定されないが、一般的に1重量%〜30重量%である。
本発明のL−アミノ酸の製造方法では、反応液を反応させる温度は、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼが十分作用する温度であれば特に限定されないが、一般的には20〜70℃が好ましく、30〜60℃がより好ましく、55〜60℃がさらに好ましい。また、反応時のpHは、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼが十分作用するpHであれば特に限定されないが、一般的にはpH4〜10が好ましく、pH6〜9がより好ましい。反応時間は、特に限定されないが、一般的に1日〜7日程度である。反応時間は、製造したいL−アミノ酸の種類と所望の収量、収率、使用する酵素や基質の量、量比、反応温度や反応pHなどを考慮し、実験的に適宜選択することができる。
好ましくは、本発明のL−アミノ酸の製造方法は、N−サクシニルラセマーゼを用いてN−サクシニル−D−アミノ酸をラセミ化してN−サクシニル−L−アミノ酸を生成させる工程をさらに含む。本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、N−サクシニル−DL−アミノ酸(ラセミ体)中のL−サクシニル−L−アミノ酸のみを特異的に加水分解するため、このままではラセミ体の残り半分のN−サクシニル−D−アミノ酸は無駄になってしまう。そこで、N−サクシニルラセマーゼを用いてN−サクシニル−D−アミノ酸をラセミ化してN−サクシニル−L−アミノ酸を生成させてやれば、残ったN−サクシニル−D−アミノ酸も結果的にすべてL−アミノ酸に変換することができる。
N−サクシニルラセマーゼは、N−サクシニルアミノ酸のL体をD体に変換する反応とD体をL体に変換する反応の両方を触媒してその比率をほぼ等しく(ラセミ化)する酵素である。本発明の製造方法で使用するN−サクシニルラセマーゼは、N−サクシニルアミノ酸をラセミ化することができれば特に限定されず、特開2007−82534号公報に記載されたN−アシルアミノ酸ラセマーゼや特開2008−61642号公報に記載されたN−アシルアミノ酸ラセマーゼなどの従来公知のものを使用することができる。
N−サクシニルラセマーゼを用いてN−サクシニル−D−アミノ酸をラセミ化する反応は、例えば以下の条件でN−サクシニル−D−アミノ酸、N−サクシニルラセマーゼおよび緩衝剤を含む反応溶液中で混合することにより行なう。反応温度は、使用するN−サクシニルラセマーゼが十分作用する温度であれば特に限定されないが、一般的には25〜70℃が好ましく、37〜70℃がより好ましい。反応時のpHは、使用するN−サクシニルラセマーゼが十分作用するpHであれば特に限定されないが、一般的にはpH5〜9が好ましく、pH6.5〜8がより好ましい。N−サクシニルラセマーゼは、反応液中5〜500mg/L(500〜50000U/L)の濃度で使用されることが好ましい。N−サクシニルラセマーゼは、2価の金属イオンを0.1mM〜1M(好ましくは0.1〜1mM)の終濃度で添加することにより活性を持つ。添加する2価の金属イオンとしては、Mn2+,Co2+,Mg2+,Fe2+およびNi2+が挙げられ、特にCo2+が好適である。Co2+は終濃度0.1mM〜1Mで反応させた時、相対活性でMn2+の終濃度0.1mM〜1Mで反応させた時の2倍以上の活性を有する。N−サクシニルラセマーゼの反応に用いる緩衝剤は、L−サクシニルアミノアシラーゼの反応に用いる緩衝剤と同様のものが使用できる。なお、特開2007−82534号に記載のN−アシルアミノ酸ラセマーゼは、その後の研究により、N−サクシニルアミノ酸をより好適な基質とするN−サクシニルラセマーゼであることが判明している。従って、特開2007−82534号に記載のN−アシルアミノ酸ラセマーゼは、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼと組合せて使用することができる。
前述のN−サクシニルラセマーゼによるラセミ化反応とL−サクシニルアミノアシラーゼによる加水分解反応は、別々に行なうことも可能であるが、同時に行なわれることが好ましい。同時に行われる場合、微視的に見ると、まずN−サクシニル−DL−アミノ酸のうちL体のみが本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼにより脱アシル化(加水分解)され、目的のL−アミノ酸が生成する。基質のL体が消費されるとラセミ状態が解消されるため、N−サクシニルラセマーゼはD体をL体に変換する反応をより促進する。N−サクシニルラセマーゼにより生成したN−サクシニル−L−アミノ酸は、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼにより順次L−アミノ酸へと分解される。この繰返しにより、理論的にはほぼすべてのN−サクシニル−DL−アミノ酸をL−アミノ酸に変換することができる。ラセミ化反応および加水分解反応を同時に行う場合の反応条件は、N−サクシニルラセマーゼおよび本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼが活性を発揮する条件の範囲内であれば特に限定しないが、基質濃度1重量%〜30重量%、pH6〜8、温度30〜60℃で行うことが好ましい。ラセミ化反応および加水分解反応に要する時間は、原料として用いるN−サクシニル−DL−アミノ酸が、所望する量のL−アミノ酸へと変換し得るまでの時間であれば特に制限されず、仕込み量によっても異なるが、一般的に1日〜7日程度である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されない。
N−サクシニル−DL−アミノ酸の合成
(1)N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンの合成
D−ターシャリーロイシン(東京化成工業製)とL−ターシャリーロイシン(東京化成工業製)の等モル混合物10gを水50mlと20%水酸化ナトリウム溶液(ナカライテスク製)15gに溶解し、無水コハク酸8gと20%水酸化ナトリウム溶液(ナカライテスク製)15gを加え、20℃〜40℃で撹拌しながら反応させた。反応液を塩酸で中和後、酢酸エチルで抽出し、濃縮した。ヘキサンで乾燥させて晶析し、N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンの白色粉末を14g得た。
(2)N−サクシニル−DL−バリンの合成
D−バリン(ナカライテスク製)とL−バリン(ナカライテスク製)の等モル混合物10gを水50mlと20%水酸化ナトリウム溶液(ナカライテスク製)17gに溶解し、無水コハク酸(ナカライテスク製)8.8gと20%水酸化ナトリウム溶液(ナカライテスク製)17gを加え、20℃〜40℃で撹拌しながら反応させた。反応液を塩酸(ナカライテスク製)で中和後、酢酸エチル(ナカライテスク製)で抽出し、濃縮した。ヘキサンで乾燥させて晶析し、N−サクシニル−DL−バリンの白色粉末を15g得た。
(3)N−サクシニル−DL−フェニルアラニン、N−サクシニル−DL−トリプトファン、N−サクシニル−DL−アスパラギン、N−サクシニル−DL−セリン、N−サクシニル−DL−チロシン、N−サクシニル−DL−シクロヘキシルグリシン、N−サクシニル−DL−4−ブロモフェニルアラニン、N−サクシニル−DL−ビフェニルアラニン、N−サクシニル−DL−3,4−ジクロロフェニルアラニンの合成
これらのN−サクシニル−DL−アミノ酸は、(2)のN−サクシニル−DL−バリンの合成方法に準じた方法で合成した。
N−サクシニルラセマーゼの調製
(1)特開2008−61642号公報に記載のN−サクシニルラセマーゼの調製
ゲオバチルス・ステアロサーモフィラスNCA1503の染色体DNAを次の方法で分離した。該菌株をLB液体培地(5ml仕込み/30ml容試験管;1.0%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、1.0%NaCl、pH7.4)に1白金耳植菌し、50℃にて一晩振とう培養した。この菌体1ml分から遠心分離(12000rpm、10分間、4℃)により菌体を回収した。回収した菌体よりMagExtractor−genome−キット(東洋紡製)を用いて、取扱説明書に記載された手順により染色体DNAを抽出した。1mlの菌体より約20μgの染色体DNAを取得した。
次に、得られた染色体DNAを鋳型として、ゲオバチルス・ステアロサーモフィラスNCA1503株由来のN−サクシニルラセマーゼ遺伝子(配列番号3)を、PCRで増幅した。PCRプライマーは、5’プライマー(5’−AAG GAG GTA AAA TGG CGA TCA ACA TCG AGT AC−3’(配列番号:4))および3’プライマー(5’−TCT AGA TTA TGC CGT CGC CGT ACG ATG AAA−3’(配列番号:5))を用いた。これらのPCRプライマーおよびKOD Plus DNAポリメラーゼ(東洋紡製)を用いて、上記の染色体DNAを鋳型としてPCR(94℃・15秒、55℃・30秒、68℃・90秒を30サイクル)を行った。
次に、クローニングキットTarget Clone−Plus(東洋紡製)を用いて、そのプロトコールに従って操作を行い、得られた遺伝子をベクターpBluescriptにクローニングし、組換え発現プラスミドpBSNAR1を取得した。このpBSNAR1を用いて、エシェリヒア・コリー(Escherichia coli)JM109株コンピテントセル(東洋紡製)を形質転換し、形質転換体を取得した。この得られた形質転換体は、エシェリヒア・コリーJM109(pBSNAR1)と命名した。
TB培地(500ml)を2L容坂口フラスコ2個に分注し、121℃、20分間オートクレーブを行い、放冷後別途無菌濾過したアンピシリンとイソプロピル−β−D−チオガラクトシドをそれぞれ終濃度が100μg/mlと0.1mMになるように添加した。この培地に、アンピシリン(100μg/ml)を含むLB培地で予め30℃、16時間培養したエシェリヒア・コリーJM109(pBSNAR1)の培養液を5ml接種し、37℃で24時間通気攪拌培養を行った。培養終了後、菌体を遠心分離により集菌し、50mMリン酸緩衝液(pH7.5)に懸濁した後、フレンチプレスにて破砕し、更に遠心分離を行い、上清液を粗酵素液として得た。得られた粗酵素液に対してポリエチレンイミンによる除核酸および硫安分画を行い、50℃、1時間の熱処理後、50mMリン酸緩衝液(pH7.5)で透析を行った。更にDEAEセファロースCL−6B(GEヘルスケアバイオサイエンス製)、およびオクチルセファロース(GEヘルスケアバイオサイエンス製)の各カラムクロマトグラフィーにより分離・精製することにより、精製酵素標品を得た。
(2)特開2007−82534号公報に記載のN−サクシニルラセマーゼの調製
クロロフレクサス・オーランティアカス由来のN−サクシニルラセマーゼ(以下、NAAAR)遺伝子(配列番号6)を、この配列の上流と下流にそれぞれNdeI、BamHIサイトを付加し、細胞工学別冊「植物のPCR実験プロトコール」(p84−89,秀潤社刊)に記載の方法で人工的に合成した。ベクターpBluescriptII KSN+にクローニングし、組換え発現プラスミドpCFNARを取得した。このpCFNARを用いて、エシェリヒア・コリー(Escherichia coli)DH5α株コンピテントセル(東洋紡製)を形質転換し、形質転換体を取得した。得られた形質転換体は、エシェリヒア・コリーDH5α(pCFNAR)と命名した。
TB培地(500ml)を2L容坂口フラスコ2個に分注し、121℃、20分間オートクレーブを行い、放冷後別途無菌濾過したアンピシリンとイソプロピル−β−D−チオガラクトシドをそれぞれ終濃度が100μg/mlと0.1mMになるように添加した。この培地にアンピシリン(100μg/ml)を含むLB培地で予め30℃、16時間培養したエシェリヒア・コリーDH5α(pCFNAR)の培養液を5ml接種し、37℃で24時間通気攪拌培養を行った。培養終了後、菌体を遠心分離により集菌し、50mMリン酸緩衝液(pH7.5)に懸濁した後、フレンチプレスにて破砕し、更に遠心分離を行い、上清液を粗酵素液として得た。得られた粗酵素液に対してポリエチレンイミンによる除核酸および硫安分画を行い、50mMリン酸緩衝液(pH7.5)で透析を行った。更にDEAEセファロースCL−6B(GEヘルスケアバイオサイエンス製)のカラムクロマトグラフィーにより分離・精製することにより、精製酵素標品を得た。
実施例1 本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼの調製
ゲオバチルス・ステアロサーモフィラスIFO12983の染色体DNAを次の方法で分離した。該菌株をLB液体培地(5ml仕込み/30ml容試験管;1.0%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、1.0%NaCl、pH7.4)に1白金耳植菌し、50℃にて一晩振とう培養した。この菌体1ml分から遠心分離(12000rpm、10分間、4℃)により菌体を回収した。回収した菌体よりMagExtractor−genome−キット(東洋紡製)を用いて、取扱説明書に記載された手順により染色体DNAを抽出した。1mlの菌体より約20μgの染色体DNAを取得した。
次に、得られた染色体DNAを鋳型として、ゲオバチルス・ステアロサーモフィラスIFO12983株由来のL−サクシニルアミノアシラーゼ遺伝子(配列番号1)を、PCRで増幅した。PCRプライマーは、5’プライマー(5’−AAG GAG GTA AAA TGA AAG AAA TTA TTC AGC AGA TGA AAG C−3’(配列番号:7))および3’プライマー(5’−TCT AGA TCA ATG ATT TGC AGC GAT AGA GAC ACG−3’(配列番号:8))を用いた。これらのPCRプライマー、およびKOD Plus DNAポリメラーゼ(東洋紡製)を用いて、上記の染色体DNAを鋳型としてPCR(94℃・15秒、55℃・30秒、68℃・90秒を30サイクル)を行った。
次に、クローニングキット(Target Clone(登録商標)−Plus−、東洋紡製)を用いて、そのプロトコールに従って操作を行い、得られたベクターをベクターpBluescriptにクローニングし、組換え発現プラスミドpLSA2を取得した。このpLSA2を用いて、エシェリヒア・コリー(Escherichia coli)JM109株コンピテントセル(東洋紡製)を形質転換し、形質転換体を取得した。得られた形質転換体は、エシェリヒア・コリーJM109(pLSA2)と命名した。
TB培地(500ml)を2L容坂口フラスコ2個に分注し、121℃、20分間オートクレーブを行い、放冷後別途無菌濾過したアンピシリンとイソプロピル−β−D−チオガラクトシドをそれぞれ終濃度が100μg/mlと0.1mMになるように添加した。この培地に、アンピシリン(100μg/ml)を含むLB培地で予め30℃、16時間培養したエシェリヒア・コリーJM109(pLSA2)の培養液を5ml接種し、37℃で24時間通気攪拌培養を行った。培養終了後、菌体を遠心分離により集菌し、50mMリン酸緩衝液(pH7.5)に懸濁した後、フレンチプレスにて破砕し、更に遠心分離を行い、上清液を粗酵素液として得た。得られた粗酵素液に対してポリエチレンイミンによる除核酸および硫安分画を行い、50℃、1時間の熱処理後、50mMリン酸緩衝液(pH7.5)で透析を行った。さらにDEAEセファロースCL−6B(GEヘルスケアバイオサイエンス製)、およびオクチルセファロース(GEヘルスケアバイオサイエンス製)の各カラムクロマトグラフィーにより分離・精製することにより、精製酵素標品を得た。得られた標品は、SDS−PAGEにより、単一であることが確認された。
実施例2 本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼを用いたN−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンからのL−ターシャリーロイシンの合成
上記の(1)で合成したN−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンを蒸留水に溶解させ、0.1Nの水酸化ナトリウム(ナカライテスク製)で、pH調整を行い、5重量% N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシン溶液(pH7〜8)を調製した。この溶液10mlに、0.5mM(終濃度)CoClと5.8mg/mlの実施例1で調製したL−サクシニルアミノアシラーゼの溶液を0.5ml添加し、反応液(pH 7〜8)を調製した。この反応液を撹拌しながら57℃で144時間保持した。反応開始の24時間後、48時間後、72時間後、および144時間後にサンプルを採取し、以下の条件でHPLC測定を行い、サクシニル体とフリー体のピークを確認することで、N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンからのL−ターシャリーロイシンの合成を確認した。
カラム:Inertsil ODS−2(粒径5μm、内4.6mm×長さ250mm)GLサイエンス(株)製
溶離液:pH2.3リン酸水溶液/HPLC用アセトニトリル=80:20
流速:0.8ml/min カラム温度:40℃ 検出器:210nm
HPLC測定の結果を図1に示す。図1からわかるように、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンからL−ターシャリーロイシンを短期間で、理論上の最高収率である50%にほぼ等しい収率(以下、「変換率」ということがある)で合成することができた。
実施例3 本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼを用いたN−サクシニル−DL−バリン、N−サクシニル−DL−フェニルアラニン、N−サクシニル−DL−トリプトファン、N−サクシニル−DL−アスパラギン、N−サクシニル−DL−セリン、N−サクシニル−DL−チロシン、N−サクシニル−DL−シクロヘキシルグリシンからの対応する各L−アミノ酸の合成
N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンの代わりに上記の(2)および(3)で合成したN−サクシニル−DL−バリン、N−サクシニル−DL−フェニルアラニン、N−サクシニル−DL−トリプトファン、N−サクシニル−DL−アスパラギン、N−サクシニル−DL−セリン、N−サクシニル−DL−チロシン、N−サクシニル−DL−シクロヘキシルグリシンを使用して、実施例2と同様の条件で反応を96時間行った。ただし、各N−サクシニル−DL−アミノ酸の濃度は10重量%にした。反応終了後、サンプルを採取して実施例2と同様の条件でHPLC測定を行い、N−サクシニル−DL−バリン、N−サクシニル−DL−フェニルアラニン、N−サクシニル−DL−トリプトファン、N−サクシニル−DL−アスパラギン、N−サクシニル−DL−セリン、N−サクシニル−DL−チロシン、N−サクシニル−DL−シクロヘキシルグリシンに対応する各L−アミノ酸への変換率を算出した。
結果を、表1に示す。表1からわかるように、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、N−サクシニル−DL−バリン、N−サクシニル−DL−フェニルアラニン、N−サクシニル−DL−トリプトファン、N−サクシニル−DL−アスパラギン、N−サクシニル−DL−セリン、N−サクシニル−DL−チロシン、N−サクシニル−DL−シクロヘキシルグリシンから対応する各L−アミノ酸を短期間で、効率良く合成できた。特に、非天然アミノ酸のL−シクロへキシルグリシンについては、短期間で、理論上の最高収率である50%にほぼ等しい収率で合成することができた。
Figure 0005232247
実施例4 本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼおよびN−サクシニルラセマーゼを用いたN−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンからのL−ターシャリーロイシンの合成(i)
N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシン溶液の濃度を1重量%にし、上記の(1)で調製した9.6mg/mlのN−サクシニルラセマーゼ0.1mlを反応液に添加しておいたことを除いては、実施例2と同様の条件で反応を90時間行った。反応終了後、サンプルを採取して実施例2と同様の条件でHPLC測定を行い、L−ターシャリーロイシンの収率を算出したところ、収率は90%以上であり、理論上の最高収率である100%に近い値が得られた。
実施例5 本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼおよびN−サクシニルラセマーゼを用いたN−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンからのL−ターシャリーロイシンの合成(ii)
N−サクシニルラセマーゼとして上記の(2)で調製したものを使用したことを除いては、実施例4と同様にして反応を120時間行い、反応開始の24時間後、48時間後、および120時間後にサンプルを採取して実施例2と同様の条件でHPLC測定を行い、N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンからのL−ターシャリーロイシンの合成を確認した。
HPLC測定の結果を図2に示す。図2からわかるように、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼとN−サクシニルラセマーゼを併用することにより、N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンのほぼすべて(収率90%以上)をL−ターシャリーロイシンに変換できた。
実施例6 本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼと特許文献3に記載のL−サクシニルアミノアシラーゼの酵素活性の比較試験(i)
上記の(1)で合成したN−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンを蒸留水に溶解させ、0.1Nの水酸化ナトリウム(ナカライテスク製)で、pH調整を行い、5重量% N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシン溶液(pH7〜8)を調製した。この溶液10mlに、0.5mM(終濃度)CoClと、10mg/mlに調製した上記の(2)のN−サクシニルラセマーゼ0.1mlを添加した。得られた溶液に、2.5mg/mlに調製した特許文献3の実施例1に記載のL−サクシニルアミノアシラーゼ、または2.5mg/mlに調製した上記実施例1で得られた本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼの溶液を0.1ml添加した。得られた反応液を撹拌しながら50℃で144時間保持した。反応開始の24時間後、48時間後、72時間後、および144時間後にサンプルを採取し、HPLC測定を行い、サクシニル体とフリー体のピークを確認することで、N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンからのL−ターシャリーロイシンの合成を確認した。
HPLC測定の結果を図3に示す。図3からわかるように、特許文献3に記載のL−サクシニルアミノアシラーゼと比較して、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンからL−ターシャリーロイシンへの変換率が顕著に高く、反応性が有意に向上していた。この結果から、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、N−サクシニル−L−ターシャリーロイシンを基質として効率的に利用することができることが明らかである。
実施例7 本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼと特許文献3に記載のL−サクシニルアミノアシラーゼの酵素活性の比較試験(ii)
上記の(3)で合成したN−サクシニル−DL−4−ブロモフェニルアラニン、N−サクシニル−DL−ビフェニルアラニン、N−サクシニル−DL−3,4−ジクロロフェニルアラニン、N−サクシニル−DL−シクロヘキシルグリシン、N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンを使用し、それぞれ10重量%のアミノ酸溶液(pH7.5)を調製した。0.1M HEPES−NaOH(pH7.5)緩衝液0.25ml、0.1M酢酸コバルト溶液0.025ml、各アミノ酸溶液0.5ml、蒸留水4.2mlを混合物した溶液に、5mg/mlに調製した特許文献3の実施例1に記載のL−サクシニルアミノアシラーゼ、または5mg/mlに調製した上記実施例1で得られた本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼの溶液を0.025ml添加した。得られた反応液を、50℃で撹拌しながら4時間反応を行った。反応終了後、サンプルを採取して実施例2と同様の条件でHPLC測定を行い、N−サクシニル−DL−4−ブロモフェニルアラニン、N−サクシニル−DL−ビフェニルアラニン、N−サクシニル−DL−3,4−ジクロロフェニルアラニン、N−サクシニル−DL−シクロヘキシルグリシン、N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンに対応する各L−アミノ酸への変換率を算出した。
結果を、表2に示す。表2からわかるように、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、N−サクシニル−DL−4−ブロモフェニルアラニン、N−サクシニル−DL−ビフェニルアラニン、N−サクシニル−DL−3,4−ジクロロフェニルアラニン、N−サクシニル−DL−シクロヘキシルグリシン、N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンのいずれからも対応する各L−アミノ酸を高変換率で合成できる。これに対して、特許文献3に記載のL−サクシニルアミノアシラーゼは、N−サクシニル−DL−4−ブロモフェニルアラニン及びN−サクシニル−DL−3,4−ジクロロフェニルアラニンについては、対応する各L−アミノ酸を高変換率で合成できるものの、N−サクシニル−DL−ビフェニルアラニン、N−サクシニル−DL−シクロヘキシルグリシン、N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシンについては、変換率がかなり低い。この結果から、本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、特許文献3に記載のL−サクシニルアミノアシラーゼが基質として効率良く利用できない非天然アミノ酸も効率良く利用できることが明らかである。
Figure 0005232247
本発明のL−サクシニルアミノアシラーゼは、L−ターシャリーロイシンやL−ビフェニルアラニン、L−シクロヘキシルグリシン、L−ジクロロフェニルアラニン、L−ブロモフェニルアラニンなどの立体的にかさ高い非天然アミノ酸および天然アミノ酸を効率良く製造できるので、医薬品、農薬、食品などの中間体や原料として有用なL−アミノ酸を製造するために広く利用できる。
配列番号4,5,7,8は、実施例で使用したプライマーの配列である。
配列番号6は、大腸菌株K−12中で効率的に発現されるように設計されたNAAARをコードするDNAの配列である。

Claims (5)

  1. 下記(a)〜(d)のいずれか1つで表されるタンパク質を用いてN−サクシニル−DL−アミノ酸中のN−サクシニル−L−アミノ酸を特異的に加水分解する工程を含むことを特徴とするL−アミノ酸の製造方法
    (a)配列番号1に記載の塩基配列からなる遺伝子によってコードされるタンパク質;
    (b)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (c)配列番号1に記載の塩基配列に対して90%以上の相同性を有する塩基配列からなる遺伝子によってコードされ、かつ、L−サクシニルアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質;
    (d)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ、L−サクシニルアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質。
  2. N−サクシニルラセマーゼを用いてN−サクシニル−D−アミノ酸をラセミ化してN−サクシニル−L−アミノ酸を生成させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
  3. 下記(a)〜(d)のいずれか1つで表されるタンパク質を用いてN−サクシニル−DL−アミノ酸中のN−サクシニル−L−アミノ酸を特異的に加水分解する工程、およびN−サクシニルラセマーゼを用いてN−サクシニル−D−アミノ酸をラセミ化してN−サクシニル−L−アミノ酸を生成させる工程が同時に行なわれることを特徴とする請求項に記載の方法
    (a)配列番号1に記載の塩基配列からなる遺伝子によってコードされるタンパク質;
    (b)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (c)配列番号1に記載の塩基配列に対して90%以上の相同性を有する塩基配列からなる遺伝子によってコードされ、かつ、L−サクシニルアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質;
    (d)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ、L−サクシニルアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質。
  4. N−サクシニル−DL−アミノ酸が、N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシン、N−サクシニル−DL−ビフェニルアラニン、N−サクシニル−DL−シクロヘキシルグリシン、N−サクシニル−DL−ジクロロフェニルアラニン、またはN−サクシニル−DL−ブロモフェニルアラニンであることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の方法。
  5. N−サクシニル−DL−アミノ酸が、N−サクシニル−DL−ターシャリーロイシン、N−サクシニル−DL−ビフェニルアラニン、またはN−サクシニル−DL−シクロヘキシルグリシンであることを特徴とする請求項に記載の方法。
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