JP5221859B2 - クマリン化合物を含有してなるフィルム、クマリン化合物とマトリクスを含む色変換層、該色変換層を含む色変換フィルタ、補色層、補色フィルタならびに多色発光デバイス - Google Patents

クマリン化合物を含有してなるフィルム、クマリン化合物とマトリクスを含む色変換層、該色変換層を含む色変換フィルタ、補色層、補色フィルタならびに多色発光デバイス Download PDF

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Description

本発明は、クマリン化合物を含有してなるフィルム、クマリン化合物とマトリクスを含む色変換層、該色変換層を含む色変換フィルタ、補色層、補色フィルタならびに多色発光デバイスに関する。
色変換フィルタは、イメージセンサ、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、オーディオ、ビデオ、カーナビゲーション、電話機、携帯端末機ならびに産業用計測器などの表示に適している。
クマリン化合物は、紫外〜可視〜赤外光の広範囲の領域にわたって光吸収能を持つこと、また顕著な発光能を有することから、光吸収剤、発光剤、発光補助剤、光学記録材料等の光学要素や、増感色素、レーザー色素等の色素として広く用いられている。
中でも、可視光に吸収極大波長及び発光波長を有するクマリン6、クマリン7、クマリン153あるいはクマリン343等のクマリン化合物は、色純度に優れた高輝度の可視光を発光することを活かして、有機発光素子において発光材料、色変換材料等として利用されている。
近年、有機発光素子(OLED)は実用化に向けての研究開発が活発に行われている。有機発光素子は低電圧で高い電流密度が実現できるため、無機EL等に比較して高い発光輝度および発光効率を実現することが期待され、特に薄型軽量のフラットパネルディスプレイへの応用が期待されている。車載用途の緑色単色有機ELディスプレイがパイオニア社により1997年11月に既に製品化されているが、今後は多様化する社会のニーズに答えるべく、高輝度で高精細なフルカラー表示が可能で長期安定性および高速応答性を有する有機ELカラーディスプレイの実用化が急がれている。
電界発光素子を用いたフルカラーディスプレイの作製方式としては、電界をかけることにより赤・青・緑にそれぞれ発光する素子を配列する「3色発光方式」、および、白色の発光を、カラーフィルタでカットし、赤・青・緑を表現する「カラーフィルタ方式」、さらに、近紫外光、青色光、青緑色光または白色光を吸収し、波長分布変換を行って可視光域の光を発光する色変換色素をフィルタに用いる「色変換方式」が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
色変換方式は高い色再現性・効率を実現でき、また、3色発光方式と異なり、電界発光素子は単色でよいことから大画面化を達成し易いと考えられており、次世代ディスプレイの候補として有望視されている。また、色変換方式は、有機発光素子の発光色は白色に限定されないため、より輝度の高い有機発光素子を光源に適用することができる。青色発光の有機発光素子を用いた色変換方式においては、青色光を波長変換して緑色光および赤色光を得ている。特に、波長変換により赤色光を得るための蛍光色素として、ローダミン化合物が検討されてきている。この赤色変換色素として、ローダミン系蛍光色素とクマリン系蛍光色素の組み合わせを用いる提案がある(例えば、特許文献2参照。)。
クマリン系蛍光色素としては、クマリン6、クマリン7、クマリン30などが用いられている。
カラーフィルタ方式は電界発光素子が単色で済み、また、色変換方式と比較してプロセス工数が少なく、大画面ディスプレイを作製する上で有利な方式といわれている。
このカラーフィルタ方式は前述のとおり、電界発光素子の白色発光から、カラーフィルタを用いて必要な波長の光のみを透過させ、赤・青・緑といった色を再現するため、元の発光は赤色・青色・緑色の3波長域すべてをバランスよく含んでいる必要がある。
そこで、特許文献3では、白色発光の主色を発光するホスト材料、該ホスト材料の補色を発光するドーパント材料、前記ホスト材料の発光を吸収してより長波長側の可視光を発光する波長変換物質を含む発光部を提案している。
また、ディスプレイとして必要な要件としては、高い色再現性・効率は勿論、高い安定性が挙げられる。しかし、有機蛍光色素を高分子樹脂へ分散させた色変換フィルタにおいては、色素を励起する波長の照射に伴い、蛍光輝度が低下することが知られている(例えば、特許文献3参照。)。これは、励起状態にある色素が蛍光を発し、基底状態へと変化するのではなく、高分子樹脂成分と反応し、機能を失活することが原因と推定される。
そこで、特許文献4では、エレクトロルミネッセンス素子において、青色ないし青緑色の励起光を発生させる化合物としてクマリン系化合物を用い、有機エレクトロルミネッセンス材料とクマリン系化合物を含有するフィルムを貼り付けることにより、発光効率の低下の防止を試みている。
ここで用いているクマリン化合物としては、下記一般式で示されるものを用いている。
Figure 0005221859
(式中R、R、R、R、R、Rは各々に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子、素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を示し、Xは−S−、−NH−、−N(CH)−を示し、Yは水素原子または−NR(R)を示す。
、Rは各々水素原子、メチル基、エチル基、あるいはフェニル基であり、R、R、RとR、R9は互いに結合し、飽和6員環を形成してもよい。さらにR、R、Rは互いに結合し、飽和6員環を形成してもよい。)
また、上記問題を解決するためにナフタイソオキサゾール系の複素多環系化合物を樹脂成分に分散させてなる色変換材料組成物を用いることが提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
また、蛍光色素を包埋したマトリックス樹脂からなる蛍光変換膜がマトリックス樹脂のガラス転移温度以上になったとき、色素と樹脂との相分離の発生や顔料同士の凝集の発生により蛍光変換性能が変化するのを防止するものとして、蛍光色素を不活性な微粒子中に包含したものをバインダー樹脂中に分散させることが提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
一方、N−アルキルスルホンアミド基を有するクマリン化合物の合成に関する報告もある(例えば、非特許文献1参照。)。
特開平8−279394号公報 特開平8−286033号公報 特開2000−243565号公報 特許第2795932号明細書 特開2004−263179号公報 特開2000−212554号公報 特開平6−271599号公報 特開平8−5829号公報 特開平7−333418号公報 Dyes and Pigments 51(2001)153−159
特許文献1に記載の多色発光装置では、蛍光体を樹脂に分散又は可溶化させたものをパターニングしている。特許文献2においても、ローダミン系蛍光顔料とナフタルイミド系又はクマリン系の蛍光顔料を樹脂溶液に溶解したインクを用いてパターニングしている。
特許文献3においても蛍光色素を樹脂溶液に分散させて色変換膜を形成している。特許文献4においても蛍光色素を、樹脂を主成分とするバインダー材料に分散させている。
すなわち、いずれも有機蛍光色素を樹脂へ分散させており、先に述べたように色素を励起する波長の照射に伴い、蛍光輝度が低下するおそれがある。特許文献3では、有機蛍光色素として特定のクマリン化合物を用い、特許文献5ではナフタイソオキサゾール系の複素多環系化合物をもちいているが、波長の照射に伴う蛍光輝度の低下の防止は十分なものとはいえない。
特許文献3のようなEL素子で白色発光する方法では、ELスペクトルの電流依存性が大きくなるという問題や、駆動によって発光バランスが崩れ易くなる結果、色ずれが生じるといった問題がある。そのため、フルカラー有機ELディスプレイとしては寿命が低下してしまうという問題が生じる。
特許文献6では蛍光色素を不活性な微粒子中に包含したものをバインダー樹脂中に分散させることにより、高温履歴による蛍光変換性能変化を防止しているが、波長の照射に伴う蛍光輝度の低下の防止は十分なものとはいえない。
非特許文献1には、N−アルキルスルホンアミド基を有するクマリン化合物が記載されているが、ここには溶液型染料として、布帛の染色に用い、深色効果、濃色効果、耐光性、耐昇華性につき検討しているだけで、このクマリン化合物を有機発光素子における色変換膜用色素として用いることは何等示唆されていない。
すなわち、大画面TVのように、数万時間の耐久性を要求される用途に対し、十分な耐久性を有する色変換フィルタが実現できていないのが現状である。
本発明の課題は、耐久性に優れた特定の構造を持つクマリン化合物を含有するフィルムを提供することにあり、さらに色変換フィルタの耐光性を低下させる主要因である、励起状態の色素とマトリクスとの反応を高い確率で抑止し、耐久性に優れた色変換フィルタ、色変換フィルタに保護機能を一体化して耐久性を更に向上した補色フィルタ、前記フィルタを一つもしくは複数含有してなる多色発光デバイスを提供することにある。
上記課題を鑑み鋭意研究した結果、特定の構造を持つクマリン化合物を含有したフィルム、緑色色変換フィルタ、もしくは前記クマリン化合物とシリコーンポリマーとを組み合わせたフィルム、および緑色色変換フィルタにおいて、耐久性が向上することを知見した。さらに、上記色変換フィルタに赤色蛍光色素を添加することにより、青色発光を赤色発光に変換できる、耐久性が大幅に向上した赤色色変換フィルタを提供できることを知見した。
また、上記緑色色変換フィルタ、もしくは緑色色変換フィルタと赤色色変換フィルタに保護層を一体化することにより、耐久性を更に向上した補色フィルタを提供できることを知見した。
また、これらのフィルタを用いることによって、高耐久・高効率な多色発光デバイスを提供できることを知見した。
本発明の第1の実施形態は下記一般式(I)で表されるクマリン化合物を含有してなることを特徴とするフィルムである。
Figure 0005221859
(式中、Aはベンゼン環又はナフタレン環を表し、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、R及びRはベンゾピラン環と連結して環構造を形成していてもよく、あるいは互いに連結して環構造を形成していてもよく、R及びRは互いに連結して環構造を形成していてもよく、また、R及び/又はRの少なくとも一部が極性官能基で置換されていてもよく、Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、Rは同一又は異なって水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、複素環基、(置換)アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基又はスルホ基を表し、カルボキシル基及びスルホ基は無機塩基又は有機塩基と塩、錯体又は複合体を形成していてもよく、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、N―R又はC−R(R)を表し、Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、複素環基又はハロゲン原子を表し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、R及びRは互いに連結して環構造を形成していてもよく、nは1〜3の整数である。前記ベンゼン環、ナフタレン環、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、複素環基及びアミノ基は置換基を有していてもよく、前記炭素原子数1〜10のアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−、−NR′−、−NR″SO−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、R′及びR″はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、前記炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基及び炭素原子数7〜30のアリールアルキル基は置換基を有していてもよく、前記炭素原子数1〜10のアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−、−NR’−、−NR”SO−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、R〜R、R、R’、R”のいずれか1つ以上が炭素原子数1〜10のアルキル基の場合、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、複素環基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、(置換)アミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基から選ばれる置換基を有していてもよく、この置換基が炭素原子を含有する場合、R〜R、R、R’、R”の置換基を含めた全体の炭素原子数が1〜10の範囲内にある。)
本発明の第2の実施形態は、上記一般式(I)で表されるクマリン化合物とストレート型シリコーンポリマー又は樹脂変性型シリコーンポリマーからなるマトリクスを含有してなることを特徴とし、ある波長の光を吸収し、吸収した波長とは異なる波長の光を含む光を出力する色変換層である。
本発明の第3の実施形態は、透明基板と、1つ又は互いに出力光の波長分布が異なる複数の色変換層を含み、前記色変換層のすくなくとも1つが上記の色変換層を含有してなることを特徴とする色変換フィルタである。
本発明の第4の実施形態は、前記色変換層と該色変換層を保護する保護層を一体化してなり、光の一部を透過し、また、一部を吸収し、吸収した波長と異なる波長の光を放出することを特徴とする補色層である。
本発明の第5の実施形態は、透明基板と、互いに異なる波長域の光を透過する、少なくとも2種類以上のフィルタを独立して配設したカラーフィルタと、前記カラーフィルタ上面に前記補色層を配設してなることを特徴とする補色フィルタである。
本発明の第6の実施形態は、前記色変換フィルタと、電界を印加することにより発光する有機発光体とを組み合わせて形成されてなることを特徴とする多色発光デバイスである。
また、本発明の第7の実施形態は、補色フィルタと、電界を印加することにより発光する有機発光体とを組み合わせて形成されてなる多色発光デバイスである。
本発明において用いられるクマリン化合物は、アミド構造を有し、さらに極性官能基を具えている。このクマリン化合物はアミド構造を有していることから非常に高い耐光性を与える。また、このクマリン化合物にさらに極性官能基が導入されているため、溶解性、特にシリコーンポリマー等の無機マトリクス塗液等の極性溶媒への溶解性に優れ、従って、マトリクスへの相溶性が高い。
このクマリン化合物を含有してなるフィルムは、色変換用に用いた場合、色素を励起する波長の照射に伴う、蛍光輝度の低下が従来の蛍光色素を用いたフィルムに比べ大幅に低減する。すなわち、非常に光安定性に優れたフィルムとなる。
また、本発明の色変換層、該色変換層を用いた本発明の色変換フィルタ、補色層、補色フィルタ及び本発明の多色発光デバイスも上記クマリン化合物を含有するため、光安定性に優れ、また、高い発光輝度を有し、かつ駆動耐久性に優れる。
まず、本発明のクマリン化合物を含有するフィルムについて説明する。
本発明のフィルムは前記化学式(1)及び下記化学式(II)〜(V)から選ばれるいずれかであらわされるクマリン化合物を含有してなる。
Figure 0005221859
Figure 0005221859
Figure 0005221859
Figure 0005221859
(一般式(II)〜(V)中、R〜R、X及びnは、前記一般式(I)と同じである。)
前記各一般式におけるR、R、R、R、R、R、R、R、R、R’及びR”で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、シクロブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、4−シクロヘキシルブチル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、アダマンチル等が挙げられ、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R′及びR″で表される炭素原子数6〜30のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラセン−1−イル、フェナントレン−1−イル等が挙げられ、R、R、R、R、R、R、R、R、R′及びR″で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等が挙げられ、RとRとがベンゾピラン環と連結して形成される環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、ユロリジン環等が挙げられ、RとRと、並びにRとRとが互いに連結して形成される環としては、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、モルフォリン環、チオモルフォリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環等が挙げられ、これらの環は他の環と縮合されていたり、置換されていたりしてもよい。
前記各一般式におけるR、R及びRで表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、R及びRで表される複素環基としては、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、ピペラジル基、ピペリジル基、ピラニル基、ピラゾリル基、トリアジル基、ピロリジル基、キノリル基、イソキノリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、トリアゾリル基、フリル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、チエニル基、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、インドリル基、ユロリジル基、モルフォリニル基、チオモルフォリニル基、2−ピロリジノン−1−イル基、2−ピペリドン−1−イル基、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル基、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル基等が挙げられ、Rで表される(置換)アミノ基としては、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、クロロフェニルアミノ基、トルイジノ基、アニシジノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ホルミルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、トリメチルアンモニオ基、トリエチルアンモニオ基等が挙げられ、前記の四級窒素を持つアミノ基はアニオンと塩を形成していてもよい。
及びRが連結して形成される環としては、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、モルフォリン環、チオモルフォリン環、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、テトラヒドロピラン環等が挙げられ、これらの環は他の環と縮合されていたり置換されたりしていてもよい。
Aで表される前記のベンゼン環及びナフタレン環、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R’及びR”で表される前記の炭素原子数1〜10のアルキル基、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R’及びR”で表される炭素原子数6〜30のアリール基、R、R、R、R、R、R、R、R、R’及びR”で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、R及びRで表される複素環基並びにR4で表されるアミノ基は、いずれも、置換基を有していてもよい。該置換基としては、以下のものが挙げられる。なお、R〜R、R、R’及びR”が、前記の炭素原子数1〜10のアルキル基等の炭素原子を含有する基であり、且つ、それらの基が、以下の置換基の中でも、炭素原子を含有する置換基を有する場合は、該置換基を含めたR〜R、R、R’及びR”全体の炭素原子数が、規定された範囲を満たすものとする。
前記置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、第三アミル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ビシクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、イソヘプチル基、第三ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、第三オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基等のアルキル基;メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、第二ブチルオキシ基、第三ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、アミルオキシ基、イソアミルオキシ基、第三アミルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、第三ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、第三オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、第二ブチルチオ基、第三ブチルチオ基、イソブチルチオ基、アミルチオ基、イソアミルチオ基、第三アミルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、イソヘプチルチオ基、第三ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、イソオクチルチオ基、第三オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基等のアルキルチオ基;ビニル基、1−メチルエテニル基、2−メチルエテニル基、2−プロペニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、イソブテニル基、3−ペンテニル基、4−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ビシクロヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ぺンタデセニル基、エイコセニル基、トリコセニル基等のアルケニル基;ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、スチリル基、シンナミル基等のアリールアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基;ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、ピペリジル基、ピラニル基、ピラゾリル基、トリアジル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、トリアゾリル基、フリル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、チエニル基、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、インドリル基、2−ピロリジノン−1−イル基、2−ピペリドン−1−イル基、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル基、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル基等の複素環基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル基、2−クロロアセチル基、プロピオニル基、オクタノイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、フェニルカルボニル(ベンゾイル)基、フタロイル基、4−トリフルオロメチルベンゾイル基、ピバロイル基、サリチロイル基、オキザロイル基、ステアロイル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基、カルバモイル基等のアシル基;アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、クロロフェニルアミノ基、トルイジノ基、アニシジノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ホルミルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基等の(置換)アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基等が挙げられ、これらの基は更に置換されていてもよい。また、カルボキシル基及びスルホ基は無機塩基又は有機塩基と塩、錯体又は複合体を形成していてもよい。
また、前記一般式(I)〜(V)において、Rは炭素原子数1〜10のアルキル基、特にエチル基が好ましく;Rは炭素原子数1〜10のアルキル基、特にエチル基が好ましく;Rは水素原子が好ましく;Rは水素原子が好ましく;Rは炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましい。
従って、前記一般式(I)〜(V)のいずれかで表されるクマリン化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜36が挙げられる。
Figure 0005221859
Figure 0005221859
Figure 0005221859
Figure 0005221859
前記一般式(I)〜(V)のいずれかで表されるクマリン化合物の製造方法は特に限定されないが、例えば、下記反応式のように、クマリンのスルホン酸ナトリウム誘導体を、塩化チオニルによりクマリンのスルホン酸クロリド誘導体に誘導し、該クマリンのスルホン酸クロリド誘導体にアミン化合物を反応させて目的のクマリン化合物を得ることができる。なお、クマリンのスルホン酸ナトリウム誘導体は、例えば特許文献7に記載されているように、クマリンのスルホン化反応により得ることができる。
Figure 0005221859
前記一般式(I)〜(V)のいずれかで表されるクマリン化合物は、450nm〜600nmの範囲の光を吸収するオレンジ〜青紫の色素としての使用に好適である。例えば、DVD±R等の光学記録層用色素として用いてもよく、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置に用いられる光学フィルタ用の色素として使用してもよく、カラートナー、インクジェット用インキ、塗料用の色素として用いてもよい。また、前記一般式(I)〜(V)のいずれかで表されるクマリン化合物を、銀塩写真用の分光増感色素、あるいは光反応系の増感剤として用いることもできる。
さらに、前記一般式(I)〜(V)のいずれかで表されるクマリン化合物は、450〜600nmの範囲の光を波長分布変換してより長波長の光を放射する色変換色素としても有用である。色変換色素とは、光源から発せられる近紫外領域ないし可視領域の光を吸収して波長分布変換を行い、異なる波長の可視光を放射するものである。特に青色ないし青緑色領域の光を吸収することが好ましい。前記一般式(I)〜(V)のいずれかで表されるクマリン化合物は、波長分布変換により緑色光を放射する緑色変換色素として用いるのに好適である。青色ないし青緑色領域の光を発光する光源を用いて、該光源からの光を単なる緑色カラーフィルタに通して緑色領域の光を得ようとすると、元々緑色領域の波長の光が少ないために極めて暗い出力光になってしまう。しかしながら、青色ないし青緑色の光を吸収する色変換色素によって緑色領域の光に変換することにより、十分な強度を有する緑色領域の光の出力が可能となる。
本発明のフィルムは、前記一般式(I)〜(V)のいずれかで表されるクマリン化合物からなるフィルム、ならびに該クマリン化合物とバインダー(マトリクス)とを含有してなるフィルムを含む。該バインダーとしては、例えば、ゼラチン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、アルギン酸等の天然高分子材料、あるいはポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミドなどの有機合成高分子材料、あるいはシリコーンポリマー、含リンポリマー等の無機合成高分子材料等が用いられる。前記一般式(I)〜(V)のいずれかで表されるクマリン化合物は、前記バインダーと相溶してもよいし、あるいは前記バインダー中に分散されていてもよい。本発明のフィルムの具体的応用例としては、該フィルムを支持体に施したDVD±Rの光学記録層、該フィルムからなる画像表示用光学フィルタ、カラーフィルタに代表される各種フィルタを挙げることができる。
あるいはまた、ウェットエッチングを伴うパターニングの必要がある用途に本発明のフィルムを使用する場合には、本発明のフィルムは、前記一般式(I)〜(V)のいずれかで表されるクマリン化合物と光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)とを含むことが好ましい。この場合には、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)の硬化物が、パターニング後のフィルムのバインダーとして機能する。また、パターニングを円滑に行うために、該光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、未露光の状態において有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望ましい。
本発明のフィルムは、前記一般式(I)〜(V)のいずれかで表されるクマリン化合物、または前記一般式(I)〜(V)のいずれかで表されるクマリン化合物とバインダーとを含む混合物を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法あるいはエクストルージョンコート法によって恒久支持体または一時支持体上に塗布することにより形成することができる。本発明のフィルムは自立性のフィルムであってもよく、その場合には上記の方法にて塗布したフィルムを一時支持体から剥離することによって自立フィルムを得ることができる。
あるいはまた、前記一般式(I)〜(V)のいずれかで表されるクマリン化合物と高分子材料とを含む混合物を押出成形、キャスト成形またはロール成形して、直接的に自立フィルムを形成してもよい。用いることのできる高分子材料は、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン;ノルボルネン樹脂などを含む。
本発明の第2の実施形態は、前記一般式(I)〜(V)のいずれかで表されるクマリン化合物と、ストレート型シリコーンポリマーまたは樹脂変性型シリコーンポリマーで形成されているバインダー(マトリクス)とを含有してなるフィルムである。
以下に、マトリクスであるストレート型シリコーンポリマー、及び変性樹脂シリコーンポリマーについて述べる。
ストレート型シリコーンポリマーとは、有効成分がシリコーンのみからなるもので、他のシリコーン製品と同様に−Si−O−Si−結合を主鎖とし、メチル基などのアルキル基またはフェニル基などの芳香族基を側鎖に持つ。硬化後は非常に架橋密度の高い、3次元架橋構造を形成し、固い皮膜を形成する等の利点を有する。
ストレート型シリコーンポリマーは、下式(VI)に示すようなシラン誘導体を単量体として脱水縮重合させたもので、分岐状構造をとる。ここで、単量体(VI)中に、3官能単量体(n=1の場合)、4官能単量体(n=0の場合)を多く含むことによって、分岐状構造を発達させ、架橋密度を向上させることができる。
Si(OR4−m (VI)
式中、Xはメチル基またはフェニル基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、または置換機を有してもよいアリール基を表す。式(VI)の単量体中にXおよびRが複数存在する場合、XおよびRは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。m=0〜2の整数が好ましく、m=1〜2がより好ましい。一般的にmが小さくなれば、架橋部位が増え、硬度も増す。
得られるストレート型シリコーンポリマーは、下式(VII)、(VIII)及び/又は(IX)の構成単位を含むポリマーである(式中、R〜Rは、それぞれアルキル基またはフェニル基である)。ストレート型シリコーンポリマーは、式(VII)〜(IX)の複数種の構成単位を含んでもよい。
Figure 0005221859
〜Rがメチル基であるメチルシリコーン系ポリマーは、Xがメチル基である式(VI)の単量体から形成されるポリマーである。メチルシリコーン系ポリマーは、単量体(VI)中のSi−ORが加水分解されて得られるシラノール基Si−OHを多量に含むことができ、水−アルコールに親和性を有する。そのようなメチルシリコーン系ポリマーは、溶液中でシリカゾルまたはアルミナゾルを組み合わせることにより極めて硬い皮膜を形成し、ハードコート剤としてプラスチックの表面硬質化に使用されている。R〜Rがフェニル基であるフェニルシリコーン系ポリマーは、Xがフェニル基である式(VI)の単量体から形成されるポリマーであり、メチルシリコーン系ポリマーに比べて優れた皮膜強度を有する。
上記のストレート型シリコーン樹脂の具体例としては、KP−85、KP−64、X−12−2206、X−12−2396、X−12−2397(信越化学工業株式会社製)、SH804、SH805、SH806A、SH840、SR2400(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製)などがあるが、これらに限定されるものではない。
一般的に、樹脂変性型シリコーンポリマーは、シリコーン架橋体と有機系樹脂とがブロック共重合またはグラフト共重合したもの、またはエーテル結合を介して重縮合したものである。より具体的には、−OH基、−COOH基、エポキシ基等の反応性官能基を有する有機系樹脂と、様々な分子量を持ち、比較的多くのシラノール基、メトキシ基などのアルコキシ基を有するシリコーン樹脂との反応生成物である。有機系樹脂として、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などを用いることができる。
樹脂変性型シリコーンポリマーは、シリコーン樹脂の持つすぐれた耐熱性、耐環境安定性に加えて、有機系樹脂の持つ柔軟性、密着性、耐水性、製膜性、電気絶縁性などの特性を併せ持つ有機−無機ハイブリッド材料として知られており、具体的には、イミド変性シリコーン樹脂(特許文献8参照。)、シリコーン変性ポリエステル樹脂(特許文献9参照。)などが提案されている。樹脂変性型シリコーンポリマーは、イオン性染料および非イオン性染料の両方に対して適合性を有するマトリクスとして有用である。但し、有機系樹脂は励起状態の色素と反応し、色素機能を失活させ易いことから、その添加量は最低限に留めるべきである。具体的には、該ポリマーの全重量を基準とする固形分比率で5重量%〜30重量%程度が好ましい。
一例としては、アルコキシシリル基を有する単量体を用いて有機系樹脂を作製した後に、該アルコキシシリル基を前述の式(VI)の単量体と反応させることによって、樹脂変性型シリコーンポリマーを形成することもできる。ここで、該アルコキシシリル基は、1〜3個のアルコキシ基を有するものであってもよい。
あるいはまた、一般的には、シランカップリング剤と称される、下式(X)で表される構造を有するシラン化合物を用いることで、有機と無機のハイブリッド化が簡便に行うこともできる。
Si(OR**4−r (X)
ここで、Yは、メルカプト基、アジド基、アミノ基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基などの有機系樹脂と反応可能な置換基を有する有機基であり、R**は水素原子、アルキル基、アリール基、または置換機を有してもよいアリール基を表す。rは1〜3の整数を示し、好ましくは2〜3である。最初に有機系樹脂と式(X)のシラン化合物とをY上の置換基において反応させ、次に式(X)に由来するSi−OR**基によってシリコーン樹脂と結合可能となる。
これらの式(X)の構造を有するシラン化合物の一例として、例えば、SH6020,SZ6030,SH6040,SZ6075(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製)など、数社で製品化されているものを使用することもできるが、これらに限定されるものではない。
上記の樹脂変性型シリコーンポリマーの具体例としては、SR2107、SR2115、SR2145(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製)などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明の第3の実施形態は、本発明のフィルムに用いたいずれかのクマリン化合物とストレート型シリコーンポリマー又は樹脂変性型シリコーンポリマーからなるマトリクスを含有してなり、ある波長の光を吸収し、吸収した波長とは異なる波長の光を含む光を出力する色変換フィルターである。色変換を受けて放射される光の色相を調整すること、もしくは青色光をより長波長(例えば550〜650nm)の赤色光に色変換する目的として、前記のいずれかのクマリン化合物と別種の色変換色素を組み合わせて用いてもよい。
例えば、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−13−ブタジエニル]−ピリジウム−パークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
用いられる色変換層のバインダー1gあたり0.2マイクロモル以上、好ましくは1〜20マイクロモル、より好ましくは3〜15マイクロモルの色変換色素を用いることが好ましい。本発明のフィルムに用いたいずれかのクマリン化合物とストレート型シリコーンポリマー又は樹脂変性型シリコーンポリマーからなるマトリクスを含有してなるフィルムの場合には、前述の濃度範囲内で用いることにより高効率で色変換を行うと同時に、シリコーンポリマーが励起状態にある色素と高分子成分と反応は抑制するので長期にわたって安定した色変換を行うことが可能である。
また、本発明の色変換層に用いられるシリコーンポリマーは、屈折率が1.40〜1.45と従来の有機マトリクスの1.55に比べ、低屈折率である。そのため、色変換層からの光取り出し効率が従来の有機マトリクスのものにくらべ向上し、高効率の色変換層を形成できる。
本発明の色変換フィルタは、透明基板と一つまたは複数の色変換層とを含み、色変換層の少なくとも一つが前記本発明の色変換層を含むものである。この色変換フィルタは、青色変換層、緑色変換層などのように発光素子からの光を波長分布変換して特定波長の光を放出する色変換層をさらに有しても良い。本実施形態において色変換層を用いる場合として、色変換層によって波長分布変換を受けた光の色純度を向上させることを目的として、色変換層の出力順にカラーフィルタ層(光吸収層)を積層してもよい。色変換層の出力する光に対応して、特定波長域の光を透過させる青色カラーフィルタ層、緑色カラーフィルタ層、赤色カラーフィルタ層などを設けることができる。
図1に、本実施形態に係るカラーディスプレイ用の色変換フィルタの例を示す。図1に示した色変換フィルタは、透明支持体10の上に、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタ層30R,30G,30Bが設けられている。これらのカラーフィルタ層は、色変換層により変換された光の色座標または色純度を最適化するために、必要に応じて設けられるものである。各色のカラーフィルタ層の上に赤、緑、青の色変換層20R、20G、および20Bが設けられており、それぞれの色変換層/カラーフィルタ層積層体(以下、総称として色変換フィルタ層と呼ぶ場合がある)の間に黒色のブラックマスク40が設けられている。このブラックマスク40は、コントラストの向上に有効である。高原となる発光素子は、色変換フィルタの色変換層側に設けられ、当該発光素子からの光は色変換層20RGB、カラーフィルタ層30、透明支持体10の順に通過して外部に取り出される。
ここで緑色変換層20Gおよび赤色変換層20Rは、本発明のフィルムに用いられるいずれかのクマリン化合物と本発明の色変換層に用いられるシリコーンポリマーを含むフィルムからなる。
青色変換層20Bおよび緑色変換層20Gは、それぞれ、近紫外〜可視領域の光を吸収して青色領域の蛍光を発する蛍光色素、および、青色〜青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素と、バインダとを含む層である。バインダとしては、第二の実施形態に記載の任意の物を含むことができる。また、それぞれの色において、外光の入射による視認性の低下を防止する観点から、励起波長と蛍光波長の差の大きな色変換色素を単独で用いることが好ましい。
透明な支持基板の材料としては、可視光透過率に優れ、また、本発明の色変換フィルタ及び本発明の多色発光デバイスの形成プロセスにおいて、色変換フィルタあるいは多色発光デバイスの性能低下を引き起こさないものであれば良く、例としてはガラス基板、各種プラスチック基板、もしくは各種フィルム等があげられる。
各色のカラーフィルタ層30は、所望される波長域の光のみを透過させる機能を持つ。カラーフィルタ層30は、色変換層20RGBによって波長分布変換されなかった光源からの光を遮断し、また色変換層20RGBによって波長分布変換された光の色純度を向上させることに対して有効である。カラーフィルタ層30は、たとえば液晶ディスプレイ用カラーフィルタ材料などを用いて形成してもよい。
光源から発せられる近紫外〜可視領域の光を吸収して、青色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、たとえば前記一般式(I)〜(V)のいずれかで表されるクマリン化合物の他に、クマリン466、クマリン47、クマリン2、およびクマリン102などのクマリン系色素が挙げられる。さらに、各種の蛍光性染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)を使用してもよい。
図1に示したRGBの色変換層を一組の画素として、複数の画素を基板10上にマトリックス状に配置することによって、カラーディスプレイ用の色変換フィルタを形成する事ができる。色変換フィルタ層の所望されるパターンは、使用される用途に依存する。赤、緑、および青の矩形または円形もしくはその中間の形状の区域を一組として、それをマトリックス状に透明支持体全面に作成してもよい。あるいはまた、微小の区域に分割された適当な面積比で配設される二種の色変換層を用いて、単独の色変換層では達成できない単一色を示すようにしてもよい。
図1の例ではRGB各色の色変換層を設けた場合を示したが、青色〜青緑色の光を放出する発光素子を光源として用いる場合には、青色に関して色変換層を用いずに、カラーフィルタ層のみを用いてもよい。さらに、該光源の発光が緑色領域の光を十分に含むならば、緑色についても色変換層を用いること無しに、該光源からの光を単に緑色フィルタのみを通して出力してもよい。
本発明の補色層は前記色変換層と、該色変換層を保護する保護層を一体化してなる。
保護層は、その名の通りに色変換層あるいは色変換フィルタを保護する目的、および膜面の平滑化を目的に配設されるものである。保護層は、光透過性に富む材料から形成され、かつ色変換層、色変換フィルタを劣化させることのないプロセスを選択して配設する必要がある。また、保護層の上面に無機ガスバリア膜または電極として用いられる透明導電膜等を形成する場合、保護層には、さらにスパッタ耐性も要求されることとなる。
前述の通り、保護層は平滑化の目的も併せ持つため、一般的には塗布法で形成される。その際、適用可能な材料としては、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を、光および/または熱処理して、ラジカル種やイオン種を発生させて重合または架橋させ、不溶不融化させたものが一般的である。また、該光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、硬化をする前は有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望ましい。
具体的に光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂とは、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤からなる組成物膜を光または熱処理して、光ラジカルや熱ラジカルを発生させて重合させたもの、(2)ポリビニル桂皮酸エステルと増感剤からなる組成物を光または熱処理により二量化させて架橋したもの、(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドからなる組成物膜を光または熱処理によりナイトレンを発生させ、オレフィンと架橋させたもの、(4)エポキシ基を有するモノマーと光酸発生剤からなる組成物膜を光または熱処理により、酸(カチオン)を発生させて重合させたものなどが挙げられる。特に(1)の光硬化性又は光熱併用型硬化性樹脂が高精細でパターニングが可能であり、耐溶剤性、耐熱性等の信頼性の面でも好ましい。
その他、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルホン、ポリビニルブチラール、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ノルボルネン系樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合樹脂、環状オレフィン系等の熱可塑性樹脂;または、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、イミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いて保護層7を形成することができる。あるいはまた、色変換フィルタのマトリクスにも適用している、ストレート型シリコーンポリマー、あるいはポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート等と3官能性あるいは4官能性のアルコキシシランとから形成される樹脂変性型シリコーンポリマー等も利用することができる。
本発明の補色層において、色変換層と保護層とが一体化しているが、この一体化とは、色変換層を構成する各成分と保護層を形成する成分とが混合されている、好ましくは均一に混合されている状態を示し、さらに、補色層表面に保護層が積層されていてもよい。
本発明の補色層は色変換層を含むので、光の一部を透過し、また、一部を吸収し、吸収した波長と異なる波長の光を放出する。補色をして放射される光の色相を調整すること、もしくは青色光をより長波長(例えば550〜650nm)の緑・赤色光を補色して白色発光する目的として、前記のいずれかのクマリン化合物と別種の色変換色素を組み合わせて用いてもよい。
本発明の第5の実施形態である補色フィルタは透明基板と一つまたは複数の補色層とを含み、補色層の少なくとも一つが本発明の第4の実施形態の補色層を含むものであるこの補色フィルタは、青色変換層、緑色変換層などのように発光素子からの光を波長分布変換して特定波長の光を放出する色変換層をさらに有しても良い。本実施形態において補色層を用いる場合として、補色層によって波長分布変換を受けた光の色純度を向上させることを目的として、カラーフィルタ層(光吸収層)を積層してもよい。色変換層の出力する光に対応して、特定波長域の光を透過させる青色カラーフィルタ層、緑色カラーフィルタ層、赤色カラーフィルタ層などを設けることができる。
図2に、本実施形態に係るカラーディスプレイ用の補色フィルタの例を示す。図1に示した補色フィルタは、透明支持体10の上に、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタ層30R,30G,30Bが設けられている。これらのカラーフィルタ層は、色変換フィルタの項で説明したと同様であり、補色層により変換された光の色座標または色純度を最適化するために、必要に応じて設けられるものである。図2では各色のカラーフィルタ層の上に補色層20が設けられており、それぞれの補色層/カラーフィルタ層積層体(以下、総称として補色フィルタ層と呼ぶ場合がある)の間に黒色のブラックマスク40が設けられている。このブラックマスク40は、コントラストの向上に有効である。光源となる発光素子は、補色フィルタ層の補色層側に設けられ、当該発光素子からの光は補色層20、カラーフィルタ層30、透明支持体10の順に通過して外部に取り出される。
各色のカラーフィルタ層30は、所望される波長域の光のみを透過させる機能を有する。カラーフィルタ層30は補色層20からの白色光を3色(R・G・B)にするのに有効である。カラーフィルタ層30は、例えば、液晶ディスプレイ用カラーフィルタ材料を用いて形成してもよい。
図2に示したRGBの補色層を一組の画素として、複数の画素を基板10上にマトリクス状に配置することによって、カラーディスプレイ用の補色フィルタ層を形成することができる。補色層を全面単層塗りで形成できるため、補色フィルタ層のパターンは特に制限はなく、所望のパターンを形成することができる。
本発明の多色発光デバイスは、発光部(光源)と色変換部または補色部とを有する。発光部としては、電界を印加することにより発光する有機発光体が用いられている。この有機発光体は近紫外から可視域、好ましくは青色から青緑色の光を発するものがもちいられる。本発明の第6の実施形態の多色発光デバイスの色変換部としては、前述の色変換フィルタを用いており、本発明の第7の実施形態である多色発光デバイスでは補色フィルタを用いている。色変換部または補色部としてカラーフィルタ層を持たない光学フィルタを用いる場合、発光部は光学フィルタのいずれかの側に配置されてもよい。色変換部として図3に示されるカラーフィルタ30を有する色変換フィルタまたは図4に示されるカラーフィルタ30を有する補色フィルタを用いる場合、発光部は色変換層20RBGまたは補色層20の側に配置される。
本発明の色変換フィルタまたは補色フィルタを、有機発光素子と組み合わせる場合、色変換フィルタ、補色フィルタから発生する水分から有機発光素子を守る目的で、保護層上面にガスバリア層を積層してもよい。補色フィルタの場合は、補色フィルタ上面にガスバリア層を積層してもよい。ガスバリア層は透明且つピンホールのない緻密な膜が求められ、例えばSiO、SiN、SiN、AlO、TiO、TaO、ZnO等の無機酸化物または無機窒化物等が使用できる。該ガスバリア層の形成方法としては特に制約はなく、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法、ディップ法等の慣用の手法により形成できる。
有機発光体は、一対の電極(第1電極および第2電極)の間に有機発光素子層を挾持し、有機発光素子層は、少なくとも有機発光層を含み、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有している。あるいはまた、正孔の注入および輸送の両方の機能を有する正孔注入輸送層、電子の注入および輸送の両方の機能を有する電子注入輸送層を用いてもよい。具体的には、有機発光体は下記のような層構造からなるものが採用される。
(1)陽極/有機発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
上記の層構成において、陽極および陰極の少なくとも一方は、該有機発光体の発する光の波長域において透明であることが望ましく、および透明である電極を通して光を発して、前記色変換フィルタまたはカラーフィルタに光を入射させる。当該技術において、陽極を透明にすることが容易であることが知られており、本発明においても第1電極を透明な陽極として、および第2電極を陰極として用いることが望ましい。
上記各層の材料としては、公知のものが使用される。例えば、有機発光層として青色〜青緑色の発光を得るためには、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。
第1電極および第2電極のパターンは、それぞれ平行なストライプ状をなし、該パターンが互いに交差するように形成されてもよい。その場合には、本発明の有機発光体はマトリクス駆動を行うことができ、すなわち、陽極の特定のストライプと、陰極の特定のストライプに電圧が印加された時に、それらのストライプが交差する部分において有機発光素子層が発光する。したがって、第1電極および第2電極の選択されたストライプに電圧を印加することによって、特定の色変換フィルタ及び/又はカラーフィルタが位置する部分のみを発光させることができる。
また、第1電極をストライプパターンを持たない一様な平面電極とし、および第2電極を各画素に対応するようにパターニングしてもよい。その場合には、各画素に対応するスイッチング素子を設けて各画素に対応する第2電極に1対1で接続して、いわゆるアクティブマトリクス駆動を行うことが可能になる。
以下、製造例、実施例及び比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
下記製造例1〜12は、本発明に係るクマリン化合物の製造例を示し、下記実施例1〜12は、製造例1〜12で得られた本発明に係るクマリン化合物を用いた本発明の多色発光デバイスの実施例を示し、評価例1においては、製造例1〜12で得られたクマリン化合物の耐光性評価を行い、評価例2においては、製造例1〜12で得られた多色発光デバイスの各色輝度の駆動時間依存性評価を行った。
[製造例1〜12]クマリン化合物の製造
以下に示す合成方法1又は2を用いて、化合物No.1〜5及び7〜13を合成した。得られた化合物についての収率及び分析結果を表1〜2に示す。
なお、表1において、分解点は10℃/分の昇温速度における示差熱分析の質量減少開始温度である。
(合成方法1)化合物No.2、7、11〜13の合成
クマリン化合物のスルホン酸クロリド誘導体2mmol、ヒドロキシ基含有アミン2.5mmol及びピリジン80mmolを仕込み、室温〜70℃で1〜4時間撹拌した。析出物をろ別し、溶媒による洗浄、乾燥を経て目的のクマリン化合物を得た。
(合成方法2)化合物No.1、3〜5、8〜10の合成
クマリン化合物のスルホン酸クロリド誘導体1mmol、ヒドロキシ基含有アミン1.5mmol及びピリジン10mmolを仕込み、室温〜90℃で1〜4時間撹拌した。晶析、溶媒による洗浄、乾燥を経て目的のクマリン化合物を得た。
得られたクマリン化合物の収率、λmax、ε、分解点を表1に、NMR吸収を表2に示す。
Figure 0005221859
Figure 0005221859
[実施例1]多色発光デバイスの形成
(カラーフィルタの形成)
基板1であるコーニング社製1737ガラス上に、富士フィルムARCH製CR7001、CG7001、CB7001を用い、フォトリソグラフ法にて、それぞれが重ならないように、それぞれ幅0.10mm、ピッチ0.33mmのストライプパターンを形成して、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、および青色カラーフィルタを得た。各カラーフィルタの膜厚は1.0μmであった。さらに、青色カラーフィルタであるCB7001の上面にのみ、新日鐵化学製V259PAP5を用い、フォトリソグラフ法にて、厚み10μm、幅0.10mm、ピッチ0.33mmの透明なストライプパターンを形成した。この透明なストライプパターンの形成は、赤色・緑色の色変換フィルタが形成された際に、色ごとの膜厚差を生じないようにするものである。
(赤色変換フィルタの形成)
蛍光色素として、製造例2で得られたクマリン化合物(0.6重量部)とローダミン6G(0.3重量部)、ローダミンB(0.3重量部)を100重量部の信越化学製シリコーンポリマーKP854に溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を用い、スクリーン印刷法により、幅0.1mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmのパターンを形成して、赤色変換フィルタを得た。
(緑色変換フィルタの形成)
蛍光色素として、製造例2で得られたクマリン化合物(0.7重量部)を、100重量部の信越化学工業製シリコーンポリマーKP854に加えて溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を用い、スクリーン印刷法により、幅0.1mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmのパターンを形成して、緑色変換フィルタを得た
(保護層の形成)
新日鐵化学製V259PAP5を用い、前記色変換フィルタおよびカラーフィルタ上面へ保護層7を形成した。保護層の膜厚は5μmとした。
(ガスバリア層の形成)
スパッタ法にて、0.5μmのSiO膜からなるガスバリア層を得た。スパッタ装置はRF−ブレーナマグネトロン、ターゲットはSiOを用いた。製膜時のスパッタガスはArを使用した。形成時の基板温度は80℃で行った。
(有機発光体の作製)
上記のようにして製造したフィルタ部の上に、陽極/有機発光素子層(正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入輸送層の4層)/陰極を順次形成して、図3に示すような有機発光体を形成して、多色発光デバイスを得た。
まず、フィルタ部の最外層をなすガスバリア層の上面にスパッタ法にて透明電極(ITO)を全面成膜した。ITO上にレジスト剤「OFRP−800」(商品名、東京応化製)を塗布した後、フォトリソグラフィー法にてパターニングを行い、それぞれの色の発光部(赤色,緑色、および青色)に位置する、幅0.094mm、ピッチ0.10mm、膜厚100nmのストライプパターンからなる第1電極8(陽極)を得た。
次いで、前記陽極を形成した基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入輸送層を、真空を破らずに順次成膜した。成膜に際して真空槽内圧は1×10−4Paまで減圧した。正孔注入層は銅フタロシアニン(CuPc)を100nm積層した。正孔輸送層は4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を20nm積層した。発光層は4,4′−ビス(2,2′−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を30nm積層した。電子注入輸送層はアルミニウムキレート(Alq)を20nm積層した。
この後、真空を破ることなしに、第1電極8(ITO)のラインと直交する幅0.30mm、ピッチ0.33mmギャップのストライプパターンが得られるマスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag(10:1の重量比率)層を堆積させ、第2電極10(陰極)を形成した。
こうして得られた有機発光素子をグロープボックス内乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)下において、封止ガラス(図示せず)とUV硬化接着剤を用いて封止した。
[実施例2〜13]
緑色変換フィルタの作製において、蛍光色素として、それぞれ製造例1〜12で得られたクマリン化合物(0.7重量部)を100重量部の新日鐵化学製V259PAP5に加えて溶解させたものを塗布液とし、フォトリソグラフ法で緑色変換フィルタを形成した以外は、実施例1と同一の形成方法にて多色発光デバイスを形成した。
[比較例1]
緑色変換フィルタの作製において、蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)を100重量部の新日鐵化学製V259PAP5に加えて溶解させたものを塗布液とし、フォトリソグラフ法で緑色変換フィルタを形成した。
赤色変換フィルタの作成において、蛍光色素としてクマリン6(0.6重量部)とローダミン6G(0.3重量部)、ローダミンB(0,3重量部)を100重量部の新日鐵化学V259PAP5に加えて溶解させたものを塗布液とし、フォトリソグラフ法で赤色変換フィルタを作成した以外は、実施例1と同一の形成方法にて多色発光デバイスを形成した。
[評価]
実施例及び比較例にて形成した多色発光デバイスを電流量一定にして駆動し、各色輝度の駆動時間依存性を評価した。結果を表3及び表4に示す。
Figure 0005221859
Figure 0005221859
表3及び表4より明らかなように、本発明に係るクマリン化合物を用いて作成した色変換フィルタは、クマリン6を用いた比較例1より、初期において優れた変換効率を示し、かつ優れた耐久性を示した。この結果は、本発明に係るクマリン化合物が、優れた色変換効率の実現および色変換膜の光劣化の抑制に非常に有効であることを示している。
[実施例14]多色発光デバイスの形成
(カラーフィルタの形成)
基板1であるコーニング社製1737ガラス上に、富士フィルムARCH製CR7001、CG7001、CB7001を用い、フォトリソグラフ法にて、それぞれが重ならないように、それぞれ幅0.10mm、ピッチ0.33mmのストライプパターンを形成して、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、および青色カラーフィルタを得た。各カラーフィルタの膜厚は1.0μmであった。
(補色層の形成)
蛍光色素として、製造例2で得られたクマリン化合物(0.2重量部)とローダミンB(0.16重量部)を100重量部の信越化学製シリコーンポリマーKP854に溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を用い、スクリーン印刷法により、カラーフィルタ上面へ補色層7を形成した。補色層の膜厚は2μmとした。
得られた補色層7の上に実施例1と同様にしてガスバリア層を形成し、その上に、陽極/有機発光素子層(正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入輸送層の4層)/陰極を順次形成して、図3に示すような有機発光素子を形成し、こうして得られた有機発光素子をグロープボックス内乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)下において、封止ガラス(図示せず)とUV硬化接着剤を用いて封止して多色発光デバイスを得た。
[実施例15〜26]
緑色変換フィルタの作製において、蛍光色素として、それぞれ製造例1〜12で得られたクマリン化合物(0.7重量部)を100重量部の新日鐵化学製V259PAP5に加えて溶解させたものを塗布液とし、フォトリソグラフ法で緑色変換フィルタを形成した以外は、実施例14と同一の形成方法にて多色発光デバイスを形成した。
[比較例2]
新日鐵化学製V259PAP5を用いて膜厚5μmの保護層を形成し、有機発光体における正孔輸送層の膜厚を50nmとした以外は実施例1と同様にして多色発光デバイスを作製した。
[評価]
実施例14〜26及び比較例2にて形成した多色発光デバイスを電流量一定にして駆動し、各色輝度の駆動時間依存性を評価した。結果を表5に示す。
Figure 0005221859
表5から明らかなように、本発明に係るクマリン化合物を用いて作成した補色フィルタは、白色EL素子を用いた比較例2より、初期において優れた変換効率を示し、かつ優れた耐久性を示した。この結果は、本発明に係るクマリン化合物が、優れた色変換効率の実現および色変換膜の光劣化の抑制に非常に有効であることを示している。
本発明のクマリン化合物を含有するフィルムを用いた本発明の色変換フィルタは高精細で高輝度高効率および生産性に優れた多色表示を可能にするものであり、イメージセンサ、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、オーディオ、ビデオ、カーナビゲーション、電話機、携帯端末機ならびに産業用計測器などの表示用の色変換フィルタに好適である。また、本発明の補色フィルタは、光安定性に優れ、高い発光輝度を有し、かつ、駆動安定性に優れた多色発光デバイスを提供することを可能にする。
本発明の色変換フィルタ(1画素分)の一つの実施形態を示す断面図である。 本発明の補色フィルタ(1画素分)の一つの実施形態を示す断面図である。 色変換フィルタを有する多色発光デバイス(1画素分)の一つの実施形態を示す断面図である。 補色フィルタを有する多色発光デバイス(1画素分)の一つの実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1 第2電極(陰極)
2 第1陰極(陽極)
3 有機発光体
4 ガスバリア層
5 保護層
10 透明な支持基板
20R 赤色変換層
20G 緑色変換層
20 補色層
30R 赤色カラーフィルタ
30G 緑色カラーフィルタ
30B 青色カラーフィルタ
40 ブラックマスク

Claims (21)

  1. 下記一般式(I)で表されるクマリン化合物を含有してなるフィルム。
    Figure 0005221859
    (式中、
    Aはベンゼン環又はナフタレン環を表し、
    、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、R及びRはベンゾピラン環と連結して環構造を形成していてもよく、あるいは互いに連結して環構造を形成していてもよく、
    及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、ただし、R及び/又はRの少なくとも一部は極性官能基で置換されており、R及びRは互いに連結して環構造を形成していてもよく、
    は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、Rは同一又は異なって水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、複素環基、(置換)アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基又はスルホ基を表し、カルボキシル基及びスルホ基は無機塩基又は有機塩基と塩、錯体又は複合体を形成していてもよく、
    Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、N―R又はC−R(R)を表し、
    Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、複素環基又はハロゲン原子を表し、
    及びRはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、R及びRは互いに連結して環構造を形成していてもよく、
    nは1〜3の整数である。
    前記ベンゼン環、ナフタレン環、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、複素環基及びアミノ基は、置換基を有していてもよく、
    前記炭素原子数1〜10のアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−、−NR’−、−NR”SO−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、
    R’及びR”はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、R’及びR”の炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基及び炭素原子数7〜30のアリールアルキル基は置換基を有していてもよく、
    前記炭素原子数1〜10のアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−、−NR’−、−NR”SO−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、R〜R、R、R’、R”のいずれか1つ以上が炭素原子数1〜10のアルキル基の場合、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、複素環基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、(置換)アミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基から選ばれる置換基を有していてもよく、この置換基が炭素原子を含有する場合、R〜R、R、R’、R”の置換基を含めた全体の炭素原子数が1〜10の範囲内にある。)
  2. 前記一般式(I)において、Aがベンゼン環であることを特徴とする請求項1記載のクマリン化合物を含有してなるフィルム。
  3. 前記一般式(I)において、Rがすべて水素原子であることを特徴とする請求項2記載のクマリン化合物を含有してなるフィルム。
  4. 前記一般式(I)において、Xが硫黄原子であることを特徴とする請求項2記載のクマリン化合物を含有してなるフィルム。
  5. 前記一般式(I)において、Xが硫黄原子であり、Rがすべて水素原子であることを特徴とする請求項2記載のクマリン化合物を含有してなるフィルム。
  6. 前記極性官能基が水酸基であることを特徴とする請求項1記載のクマリン化合物を含有してなるフィルム。
  7. 及び/又はRがアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、複素環基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、(置換)アミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基から選ばれる置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のクマリン化合物を含有してなるフィルム。
  8. さらに、ストレート型シリコーンポリマー又は樹脂変性型シリコーンポリマーからなるマトリクスを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のクマリン化合物を含有してなるフィルム。
  9. 下記一般式(I)で表されるクマリン化合物とストレート型シリコーンポリマー又は樹脂変性型シリコーンポリマーからなるマトリクスを含有してなる、ある波長の光を吸収し、吸収した波長とは異なる波長の光を含む光を出力する色変換層。
    Figure 0005221859
    (式中、
    Aはベンゼン環又はナフタレン環を表し、
    、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、R及びRはベンゾピラン環と連結して環構造を形成していてもよく、あるいは互いに連結して環構造を形成していてもよく、
    及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、ただし、R及び/又はRの少なくとも一部は極性官能基で置換されており、R及びRは互いに連結して環構造を形成していてもよく、
    は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、Rは同一又は異なって水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、複素環基、(置換)アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基又はスルホ基を表し、カルボキシル基及びスルホ基は無機塩基又は有機塩基と塩、錯体又は複合体を形成していてもよく、
    Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、N―R又はC−R(R)を表し、
    Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、複素環基又はハロゲン原子を表し、
    及びRはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、R及びRは互いに連結して環構造を形成していてもよく、
    nは1〜3の整数である。
    前記ベンゼン環、ナフタレン環、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、複素環基及びアミノ基は置換基を有していてもよく、
    前記炭素原子数1〜10のアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−、−NR’−、−NR”SO−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、
    R’及びR”はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、
    前記炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基及び炭素原子数7〜30のアリールアルキル基は、置換基を有していてもよく、
    前記炭素原子数1〜10のアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−、−NR’−、−NR”SO−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、
    〜R、R、R’、R”のいずれか1つ以上が炭素数炭素数1〜10のアルキル基の場合、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、複素環基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、(置換)アミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基から選ばれる置換基を有していてもよく、この置換基が炭素原子を含有する場合、R〜R、R、R’、R”の置換基を含めた全体の炭素数が1〜10の範囲内にある。)
  10. 前記一般式(I)において、Aがベンゼン環であることを特徴とする請求項9記載の色変換層。
  11. 前記一般式(I)において、Rがすべて水素原子であることを特徴とする請求項10記載の色変換層。
  12. 前記一般式(I)において、Xが硫黄原子であることを特徴とする請求項10記載の色変換層。
  13. 前記一般式(I)において、Xが硫黄原子であり、Rがすべて水素原子であることを特徴とする請求項10記載の色変換層。
  14. 前記極性官能基が水酸基であることを特徴とする請求項10記載の色変換層。
  15. 及び/又はRがアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、複素環基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、(置換)アミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基から選ばれる置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基であることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の色変換層。
  16. 透明基板と、1つ又は互いに出力光の波長分布が異なる複数の色変換層を含み、前記色変換層のすくなくとも1つが請求項10〜15のいずれか1項に記載の色変換層を含有してなることを特徴とする色変換フィルタ。
  17. 請求項10〜15のいずれか1項に記載の色変換層と該色変換層を保護する保護層を一体化してなり、光の一部を透過し、また、一部を吸収し、吸収した波長と異なる波長の光を放出することを特徴とする補色層。
  18. 透過光と、放出される吸収した光とは異なる波長の光とを併せた光が白色光であることを特徴とする請求項17に記載の補色層。
  19. 透明基板と、互いに異なる波長域の光を透過する、少なくとも2種類以上のフィルタを独立して配設したカラーフィルタと、前記カラーフィルタ上面に請求項17または18に記載の補色層を配設してなることを特徴とする補色フィルタ。
  20. 請求項16に記載の色変換フィルタと、電界を印加することにより発光する有機発光体とを組み合わせて形成されてなる多色発光デバイス。
  21. 請求項19に記載の補色フィルタと、電界を印加することにより発光する有機発光体とを組み合わせて形成されてなる多色発光デバイス。
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