JP4666350B2 - 色変換フィルム、色変換フィルタおよびそれを用いた有機elディスプレイ - Google Patents

色変換フィルム、色変換フィルタおよびそれを用いた有機elディスプレイ Download PDF

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本発明は、新規な蛍光変換色素に関する。また、本発明は、高い変換効率を有し長期安定性に優れた多色表示を可能とする色変換フィルタに関する。詳細には、イメージセンサー、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、テレビ、ファクシミリ、オーディオ、ビデオ、カーナビゲーション、電気卓上計算機、電話機、携帯端末機ならびに産業用計測器等の表示用の色変換フィルタに関する。
近年、有機EL素子は実用化に向けての研究が活発に行われている。有機EL素子は低電圧で高い電流密度が実現できるため、無機EL素子またはLEDと比較して高い発光輝度および発光効率を実現することが期待され、特に「美・軽・薄・優」なフラットパネルディスプレイへの応用が期待されている。車搭載用の緑色モノクロ有機ELディスプレイが、パイオニア社により1997年11月にすでに製品化されている。今後は、多様化する社会のニーズに応えるべく、長期安定性および高速応答性を有し、多色表示または高精細なフルカラー表示が可能な有機多色ELディスプレイの実用化が急がれている。
有機ELディスプレイのマルチカラー化またはフルカラー化の方法の1例として、有機EL素子の発光域の光を吸収し、波長分布変換を行って可視光域の蛍光を発光する蛍光材料をフィルタに用いる色変換方式が検討されてきている(特許文献1および2参照)。有機EL素子の発光色は白色に限定されないため、より輝度の高い有機EL素子を光源に適用することができ、青色発光の有機EL素子を用いた色変換方式においては、青色光を緑色光および赤色光に波長変換している。このような蛍光色素を含む蛍光色素変換膜を高精細にパターニングすれば、有機EL素子の近紫外光ないし可視光のような弱いエネルギー線を用いても、フルカラーの発光型ディスプレイを構築できる。
カラーディスプレイとしての実用上の重要課題は、精細なカラー表示機能、色再現性を含めた長期的な安定性を有することに加えて、高い色変換効率を有する色変換フィルタを提供することである。特に、青色ないし青緑色から赤色への色変換効率は満足すべきものではなく、その向上に関して各所で活発な研究が行われている。一般に青色ないし青緑色から赤色への色変換は、単一の色素で行うことが困難であるため、複数の色素の併用、たとえば、青色ないし青緑色から黄色ないし橙色への変換を行う色素(以下、黄色色素と称する)と、黄色ないし橙色から赤色への変換を行う色素(以下、赤色色素と称する)との併用が検討されている。黄色色素としてクマリン系色素が知られており、一方、赤色色素としてローダミン系色素が知られている。
特開平8−279394号公報 特開平8−286033号公報 米国特許2,681,294号明細書
しかしながら、黄色色素であるクマリン系色素の青色ないし青緑色光による光分解が、赤色色素であるローダミン系色素の光分解よりも速いことが問題となってきている。これは、一重項励起状態の色変換色素が蛍光を放射して基底状態へと遷移するのではなく、三重項励起状態を経由して該色素の分解を起こすという経路によるものと考えられている。上記の2つの色変換色素を用いて色変換を行う系においてクマリン系色素のみが分解した場合、青色ないし青緑色から赤色への変換を行うことができなくなるからである。
したがって、黄色色素(青色ないし青緑色から黄色ないし橙色への変換を行う色素)として、より光分解に対する抵抗性が高い色素が強く求められている。
本発明の第1の実施形態の色変換フィルムは、一般式(I)または(II)の構造を有する色素およびバインダーを含むことを特徴とする。
Figure 0004666350
該色変換フィルムは赤色変換色素をさらに含んでもよい。ここで、赤色変換色素は、ローダミン系色素、シアニン系色素、ピリジン系色素およびオキサジン系色素からなる群から選択されてもよい。また、透明支持体をさらに含んでもよい。
本発明の第2の実施形態の色変換フィルタは、透明支持体と、一般式(I)または(II)の構造を有する色素およびバインダーを含む色変換層とを含むことを特徴とする。
Figure 0004666350
該色変換層は赤色変換色素をさらに含んでもよい。ここで、赤色変換色素は、ローダミン系色素、シアニン系色素、ピリジン系色素およびオキサジン系色素からなる群から選択されてもよい。また、異なる色の光を放出する1つまたは複数の別の色変換層をさらに含んでもよい。
本発明の第3の実施形態の有機ELディスプレイは、第2の実施形態の色変換フィルタと、透明電極、有機EL層および反射電極を少なくとも含む有機EL素子とを含むことを特徴とする。ここで、前記有機EL素子は前記色変換フィルタ上に形成されていてもよい。あるいはまた、前記有機EL素子が素子支持体上に形成されており、前記色変換フィルタと前記有機EL素子とが貼り合わせられていてもよい。
以上のような構成を採ることによって、耐光性に優れた色変換フィルムおよび色変換フィルタを形成することができる。特に、赤色変換色素をさらに含むことによって得られる、赤色変換フィルムおよび色変換フィルタの赤色変換層の耐光性を向上させることにおいて、本発明は有効である。さらに、本発明の色変換フィルタを用いた有機ELディスプレイは、特に赤色変換層の耐光性が向上しているので、外光への照射あるいは駆動による経時劣化が少なく、長期にわたって安定した画像表示を可能とする。
本発明の第1の実施形態は、少なくとも青色ないし青緑色から黄色ないし橙色への変換を行う色素(黄色色素)とバインダー(マトリクス樹脂)とを含む色変換フィルムである。より詳細には、黄色色素と、黄色ないし橙色から赤色への変換を行う色素(赤色色素)とを含む赤色変換層を含む色変換フィルムである。
本発明における黄色色素は、以下の一般式(I)または一般式(II)で示す構造を有する。
Figure 0004666350
式中、Rは、直鎖または分枝のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、または置換または無置換のフェニル基である。好ましいアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル(n−、iso-、sec-、tert-を含む)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシルなどを含む。シクロアルキル基の置換基としては低級アルキル基が望ましい。好ましいシクロアルキル基は、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、エチルシクロペンチル、ブチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、シクロオクチル、シクロデシル基など(各位置異性体、立体異性体を含む)を含む。フェニル基の置換基としては低級アルキル基が望ましく、好ましい置換フェニル基は、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、オクチルフェニル基など(各位置異性体ならびに置換基に関する立体異性体を含む)を含む。
およびRは、独立的に、直鎖または分枝のC〜C10のアルキル基、または置換または無置換のC〜C10のシクロアルキル基であり、RおよびRはHであり、ただし、RとR、およびRとRは、一緒になって直鎖または分枝のC〜Cのアルキレン基を形成してもよい。好ましいアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル(n−、iso-、sec-、tert-を含む)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシルなどを含む。シクロアルキル基の置換基としては低級アルキル基が望ましい。好ましいシクロアルキル基は、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、エチルシクロペンチル、ブチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、シクロオクチル、シクロデシル基など(各位置異性体、立体異性体を含む)を含む。好ましいアルキレン基は、エチレン基、メチルエチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、メチルプロピレン基、ジメチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基などを含む。
Xは、直鎖または分枝のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換のフェニル基、ハロゲン基(F、Cl、Br、I)、OR基、OCOR基、SR基、NR基であり、式中RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、H、または直鎖または分枝のC〜Cのアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基である。Xとして好ましいアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル(n−、iso-、sec-、tert-を含む)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシルなどを含む。Xとしてのシクロアルキル基の置換基としては低級アルキル基が望ましい。Xとして好ましいシクロアルキル基は、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、エチルシクロペンチル、ブチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、シクロオクチル、シクロデシル基など(各位置異性体、立体異性体を含む)を含む。フェニル基の置換基としては低級アルキル基が望ましく、好ましい置換フェニル基は、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、オクチルフェニル基など(各位置異性体ならびに置換基に関する立体異性体を含む)を含む。RおよびRとして好ましいアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル(n−、iso-、sec-、tert-を含む)、ペンチル、ヘキシルなどを含む。Xとしてシクロアルキル基の置換基としては低級アルキル基が望ましい。RおよびRとしてのシクロアルキル基の置換基としては低級アルキル基が望ましい。RおよびRとして好ましいシクロアルキル基は、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、エチルシクロペンチル、ブチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、シクロオクチル、シクロデシル基など(各位置異性体、立体異性体を含む)を含む。
Zは、O、SまたはNRである。Rは前述と同様である。
本発明における使用に好ましい一般式(I)の構造を有する黄色色素は、以下のものを含むが、それらに限定されるものではない。
Figure 0004666350
本発明における使用に好ましい一般式(II)の構造を有する黄色色素は、以下のものを含むが、それらに限定されるものではない。
Figure 0004666350
本発明において用いられる一般式(I)および(II)の構造を有する黄色色素は、以下の方法によって合成することができる。
一般式(II)においてX=OHであるものについては、以下に示すような反応により合成することができる。最初に、1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸アルカリ金属塩(III)とm−置換アニリン(IV)とを、適当な溶媒中、ハロゲン化銅(II)などの触媒の存在下で反応させることにより、4−フェニル−1,2−ナフトキノン誘導体(VII)を得る。溶媒としては、反応に悪影響をおよぼさない公知の溶媒(たとえば酢酸などの有機酸、または有機酸と水との混合物など)を使用することができる。スルホン酸アルカリ金属塩(III)とアニリン(VI)との混合比は特に制限されるものではないが、スルホン酸アルカリ金属塩(III)1モルに対して、1〜2モル程度、好ましくは1.2〜1.5モル程度を用いることが望ましい。ハロゲン化ニッケル(II)は、スルホン酸アルカリ金属塩(III)1モルに対して、通常0.9〜1.1モル程度使用される。この反応は、室温または加熱条件で実施することができ、好ましくは室温条件において行われる。
次に、得られた1,2−ナフトキノン誘導体(V)に対して、求核剤(アルキル金属、Grignard反応剤など)を反応させて、一般式(II)の黄色色素(X=OH)を得ることができる(式中、Mはアルカリ金属を示す)。この反応は、反応に悪影響をおよぼさない任意の溶媒(たとえば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどエーテル系溶媒)中で実施することが可能である。また、1,2−ナフトキノン誘導体(V)1モルに対して、通常1〜2モル程度、好ましくは1.2〜1.5モル程度の求核剤を用いることが望ましい。この反応は、室温または冷却条件のいずれにおいても実施することができる。
Figure 0004666350
さらに、得られた一般式(II)を有する黄色色素(II、X=OH)のOH基を種々の基で置換ないし修飾することにより、Xとして広範な種類の置換基を有する黄色色素を得ることが可能である。
あるいはまた、Xがアルキル基である場合の別法として、以下の反応式に示すように、エタノールなどの溶媒中、適当な温度の下で、一般式(II)を有する黄色色素(II、X=OH)に対して、H−Pd/Cなどの還元剤を作用させて一般式(VIII)を有する中間体を形成させ、引き続いて、強塩基(アルカリ金属t−ブトキシドなど)存在下、ハロゲン化アルキルを作用させることによって、一般式(II)を有する黄色色素(II、X=アルキル)を得ることができる。なお、式中、Mはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素のようなハロゲン原子を表し、MはLi、Na、Kのようなアルカリ金属を表す。また、一般式(VIII)を有する中間体は、エノール型を示したが、ケト型との互変異性体である。
Figure 0004666350
また、一般式(I)を有する黄色色素についても、同様の反応により合成することができる。最初に、1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸アルカリ金属塩(III)とm−置換アニリン(IV)とを、適当な溶媒中、ハロゲン化ニッケル(II)などの触媒の存在下で反応させることにより、4−フェニル−1,2−ナフトキノン誘導体(VII)を得る。溶媒としては、反応に悪影響をおよぼさない公知の溶媒(たとえばN,N−ジメチルホルムアミドなど)を使用することができる。スルホン酸アルカリ金属塩(III)とアニリン(VI)との混合比は特に制限されるものではないが、スルホン酸アルカリ金属塩(III)1モルに対して、1〜2モル程度、好ましくは1.2〜1.5モル程度を用いることが望ましい。ハロゲン化ニッケル(II)は、スルホン酸アルカリ金属塩(III)1モルに対して、通常0.9〜1.1モル程度使用される。この反応は、室温または加熱条件で実施することができ、好ましくは40〜60℃の加熱条件において行われる。
Figure 0004666350
次に、4−フェニル−1,2−ナフトキノン誘導体(VII)を、適当な溶媒中、たとえば酢酸銅(II)の存在下で環化させて、1,2−キノン誘導体(VI)を得る。溶媒としては、反応に悪影響をおよぼさない公知の溶媒(たとえばN,N−ジメチルスルホキシド(DMSO)など)を使用することができる。酢酸銅(II)は、4−フェニル−1,2−ナフトキノン誘導体(VII)1モルに対して、通常0.9〜1.1モル程度使用される。この反応は、室温または加熱条件で実施することができ、好ましくは90〜110℃の加熱条件において行われる。この際に、5員環を形成した1,2−キノン誘導体(V)が副生するが、カラムクロマトグラフィーなどの任意の分離手段を用いて1,2−キノン誘導体(VI)を単離し、以下の反応に使用することができる。
最後に、得られた1,2−キノン誘導体(VI)に対して求核剤(アルキル金属反応剤、Grignard反応剤など)を作用させることによって、一般式(I)の黄色色素(X=OH)を得ることができる。この反応は、反応に悪影響をおよぼさない任意の溶媒(たとえば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどエーテル系溶媒)中で実施することが可能である。また、1,2−ナフトキノン誘導体(V)1モルに対して、通常1〜2モル程度、好ましくは1.2〜1.5モル程度の求核剤を用いることが望ましい。この反応は、室温または冷却条件のいずれにおいても実施することができる。そして、一般式(II)の黄色色度の場合と同様に、さらなる置換ないし修飾反応によって、種々のXを有する一般式(I)の黄色色素を得ることができる。
Figure 0004666350
あるいはまた、Xがアルキル基である場合の別法として、以下の反応式に示すように、エタノールなどの溶媒中、適当な温度の下で、一般式(I)を有する黄色色素(I、X=OH)に対して、H−Pd/Cなどの還元剤を作用させて一般式(IX)を有する中間体を形成させ、引き続いて、強塩基(アルカリ金属t−ブトキシドなど)存在下、ハロゲン化アルキルを作用させることによって、一般式(I)を有する黄色色素(I、X=アルキル)を得ることができる。なお、式中、Mはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素のようなハロゲン原子を表し、MはLi、Na、Kのようなアルカリ金属を表す。また、一般式(IX)を有する中間体は、エノール型を示したが、ケト型との互変異性体である。
Figure 0004666350
本発明における赤色色素としては、ローダミン系色素(ローダミンB、ローダミンG、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミンF、ローダミン101、ローダミン110、ローダミン116、ベーシックバイオレット11、ベーシックバイオレット2など)、シアニン系色素(たとえば、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(2−(p−ジメチルアミノフェニル)エテニル)−4H−ピランなど)、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウムパークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などを併用してもよい。色変換を受けて放射される光の色相を調整することを目的として、複数種の赤色色素を混合して用いてもよい。
本実施形態のフィルムに用いることができるバインダー(マトリクス樹脂)としては、例えば、ゼラチン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、アルギン酸等の天然高分子材料、あるいはポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミドなどの合成高分子材料が用いられる。黄色色素は、前記バインダーと相溶してもよいし、あるいは前記バインダー中に分散されていてもよい。
あるいはまた、ウェットエッチングを伴うパターニングの必要がある用途に本実施形態のフィルムを使用する場合には、本発明のフィルムは、一般式(I)または(II)で表される黄色色素と光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)とを含むことが好ましい。さらに、前述の赤色色素を含んでもよい。この場合には、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)の硬化物が、パターニング後のフィルムのバインダーとして機能する。また、パターニングを円滑に行うために、該光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、未露光の状態において有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望ましい。用いることができる光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)は、具体的には、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤とからなる組成物、(2)ボリビニル桂皮酸エステルと増感剤とからなる組成物、(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからなる組成物(ナイトレンが発生して、オレフィンを架橋させる)、および(4)エポキシ基を有するモノマーと酸発生剤とからなる組成物などを含む。特に、(1)のアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと光または熱重合開始剤とからなる組成物を用いることが好ましい。なぜなら、該組成物は高精細なパターニングが可能であり、および重合して硬化した後は耐溶剤性、耐熱性等の信頼性が高いからである。
本発明のフィルムは、黄色色素とバインダーとを含む混合物を、必要に応じて適当な溶媒中に溶解または分散させて、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法あるいはエクストルージョンコート法(特許文献3参照)によって恒久支持体または一時支持体上に塗布し、乾燥することにより形成することができる(必要に応じて、硬化工程をさらに伴ってもよい)。該混合物は、前述の赤色色素をさらに含んでもよい。本発明のフィルムは自立性であってもよく、その場合には上記の方法にて塗布したフィルムを一時支持体から剥離することによって自立フィルムを得ることができる。
本発明の色変換フィルムにおいて、用いられるバインダー1g当たり0.2マイクロモル以上、好ましくは1〜20マイクロモル、より好ましくは3〜15マイクロモルの色変換色素(黄色色素、および必要に応じて赤色色素)を用いることが好ましい。本発明の色変換色素の場合には、前述の濃度範囲内で用いることにより高効率で色変換を行うと同時に、長期にわたって安定した色変換を行うことが可能である。
あるいはまた、黄色色素と高分子材料とを含む混合物を押出成形、キャスト成形またはロール成形して、直接的に自立フィルムを形成してもよい。該混合物は、前述の赤色色素をさらに含んでもよい。用いることのできる高分子材料は、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン;ノルボルネン樹脂などを含む。
前述の自立フィルムにおいても、用いられる高分子材料1g当たり0.2マイクロモル以上、好ましくは1〜20マイクロモル、より好ましくは3〜15マイクロモルの色変換色素(黄色色素、および必要に応じて赤色色素)を用いることが好ましい。本発明の色変換色素の場合には、前述の濃度範囲内で用いることにより高効率で色変換を行うと同時に、長期にわたって安定した色変換を行うことが可能である。
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態の色変換フィルムを色変換層として含む色変換フィルタである。より詳細には、黄色色素と、黄色ないし橙色から赤色への変換を行う色素(赤色色素)とを含む赤色変換層を含む色変換フィルタである。
色変換層の形成は、透明な恒久支持体上に第1の実施形態の色変換フィルムを積層することによって実施される。恒久支持体としては、第1の実施形態に記載の透明支持体、例えば、ガラスなどの無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン;ノルボルネン樹脂などの高分子材料を用いることができる。透明支持体は、剛直であっても可撓性であってもよい。透明支持体は可視光に対して80%以上の透過率を有することが好ましく、86%以上の透過率を有することがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましい。
さらに、異なる色の光を放出する1つまたは複数の別の色変換層をさらに用いて多色表示用の色変換フィルタを形成することもできる。本発明において用いられる他の色変換層としては、青色ないし青緑色を緑色へと変換する緑色変換層、紫外光を青色光へと変換する青色変換層などを用いることができる。
多色表示用色変換フィルタを形成する場合には、一般式(I)または(II)で表される黄色色素と前述の光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)とを用いて、ウェットエッチングによるパターニングに適合させることが好ましい。赤色変換層として用いる場合には、前述の赤色色素をさらに含んでもよい。この場合には、透明支持体上に黄色色素(および、必要に応じて赤色色素)と光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)との混合物を塗布し、当該技術において知られている方法によりパターン露光、現像を行うことにより、パターン状に配置された色変換層を形成することができる。
本発明の色変換フィルタは、放射される光の色純度を向上させることおよびコントラスト比を向上させることを目的として、カラーフィルタ層をさらに含んでもよい。本発明におけるカラーフィルタ層とは、色変換の機能を持たず、選択される範囲の波長の光を透過させる層を意味する。カラーフィルタ層を併用する場合、通常は透明支持体と色変換層との間にカラーフィルタ層が配置される。カラーフィルター層は、液晶ディスプレイなどにおいて用いられている材料など当該技術において知られている任意の材料を用いて形成することができる。
本発明の多色表示用色変換フィルタの一例を図1に示す。透明支持体10の上に、赤色フィルター層14R、緑色フィルター層14G、青色フィルター層14Bが配置されている。赤色フィルター層14Rの上に、本発明の黄色色素および赤色色素を含む赤色変換層12Rが形成され、緑色フィルター層14Gの上に、緑色変換層12Gが形成されている。必要に応じて、各色のフィルター層および色変換層を覆って、平坦化層16を形成してもよい。また、平坦化層16の上にパッシベーション層18を形成して、酸素および水分の透過を防止して、色変換層の長期安定性を向上させてもよい。平坦化層16およびパッシベーション層18は、当該技術において知られている任意の材料を用いて形成することができる。図1に示す多色表示用色変換フィルタは、青色ないし青緑色の光を用いることを想定して青色部はカラーフィルタ層のみの構成としているが、必要に応じて青色変換層を設けてもよいことはもちろんである。
図1に示したRGBの色変換層および/またはカラーフィルタ層を一組の画素として、複数の画素を基板10上にマトリクス状に配置することによって、多色表示ディスプレイ用の色変換フィルタを形成することができる。色変換フィルタ層の所望されるパターンは、使用される用途に依存する。赤、緑および青の矩形または円形の区域を1組として、それをマトリクス状に透明支持体全面に作製してもよい。あるいはまた、赤、緑および青の平行するストライプ(所望される幅を有し、透明支持体10の長さに相当する長さを有する区域)を1組とし、それを整列させて透明支持体全面に作製してもよい。特定の色変換層を、他の色の色変換層よりも多く(数的および面積的に)配置することもできる。
本発明の第3の実施形態は、第2の実施形態の色変換フィルタと、有機EL素子とを用いた有機ELディスプレイである。有機EL素子は、透明電極20と、有機EL層22と、反射電極24とを少なくとも含む。
多色表示用の色変換フィルタ上に有機EL素子を形成するボトムエミッション型の有機多色ELディスプレイの一例を図2に示す。図2においては、図1に示した色変換フィルタの色変換層の上方に、第1の方向に延びる複数のライン形状部分からなる透明電極20と、有機EL層22と、第1の方向と交差する第2の方向に延びる複数のライン形状部分からなる反射電極24とが形成されている。そして、透明電極20のライン形状部分の1つと反射電極24のライン形状部分の1つとが交差する位置の有機EL層22が1つの発光部として機能し、対応する位置に色変換層(青色の場合には青色フィルター層)が設けられている。
透明電極20は、SnO、In、ITO、IZO、ZnO:Alなどの導電性金属酸化物を用いるスパッタ法により形成される。透明電極20を陰極として用いる場合には、透明電極と接触する有機EL層18の構成層を電子注入層とすることが望ましい。透明電極20は、波長400〜800nmの光に対して好ましくは50%以上、より好ましくは85%以上の透過率を有することが好ましい。透明電極20は、通常50nm以上、好ましくは50nm〜1μm、より好ましくは100〜300nmの範囲内の厚さを有することが望ましい。透明電極20は、所望の形状を与えるマスクを用いて第1の方向に延びる複数のライン形状部分を形成してもよいし、フォトリソグラフィなどの当該技術において知られているパターニングを実施して第1の方向に延びる複数のライン形状部分に分割してもよい。
有機EL層22は、有機発光層を少なくとも含み、必要に応じて電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層および/または正孔注入層を含む。これらの各層は、それぞれにおいて所望される特性を実現するのに充分な膜厚を有して形成される。たとえば、下記のような層構成からなるものが採用される。
(1)有機発光層
(2)正孔注入層/有機発光層
(3)有機発光層/電子注入層
(4)正孔注入層/有機発光層/電子注入層
(5)正孔輸送層/有機発光層/電子注入層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層
(7)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
(上記の構成において、陽極として機能する電極が左側に接続され、陰極として機能する電極が右側に接続される)
有機発光層の材料としては、任意の公知の材料を用いることができる。たとえば、青色から青緑色の発光を得るためには、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などの材料が好ましく使用される。あるいはまた、ホスト化合物にドーパントを添加することによって、種々の波長域の光を発する有機発光層を形成してもよい。ホスト化合物としては、ジスチリルアリーレン系化合物(たとえば出光興産製IDE−120など)、N,N’−ジトリル−N,N’−ジフェニルビフェニルアミン(TPD)、アルミニウムトリス(8−キノリノラート)(Alq)等を用いることができる。ドーパントとしては、ペリレン(青紫色)、クマリン6(青色)、キナクリドン系化合物(青緑色〜緑色)、ルブレン(黄色)、4−ジシアノメチレン−2−(p−ジメチルアミノスチリル)−6−メチル−4H−ピラン(DCM、赤色)、白金オクタエチルポルフィリン錯体(PtOEP、赤色)などを用いることができる。
電子注入層の材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはそれらを含む合金、アルカリ金属フッ化物などの電子注入性材料の薄膜(膜厚10nm以下)としてもよい。あるいはまた、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属をドープしたアルミニウムのキノリノール錯体を用いてもよい。本発明においては、透明電極が陽極として機能する場合、透明電極20と有機EL層18が接触する界面に電子注入層を設けて、電子注入性を向上させることが望ましい。電子輸送層の材料としては、2−(4−ビフェニル)−5−(p−tブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェニルキノキサリン類、アルミニウムのキノリノール錯体(たとえばAlq)などを用いることができる。
正孔輸送層の材料としては、TPD、N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルビフェニルアミン(α−NPD)、4,4’,4”−トリス(N−3−トリル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)などのトリアリールアミン系材料を含む公知の材料を用いることができる。正孔注入層の材料としては、フタロシアニン類(銅フタロシアニンなど)またはインダンスレン系化合物などを用いることができる。
有機EL層22を構成するそれぞれの層は、蒸着(抵抗加熱または電子ビーム加熱)などの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。
反射電極24は、1つの方向(第1の方向)に延びるライン形状を有する複数の部分電極から形成される。反射電極24は、高反射率の金属、アモルファス合金、微結晶性合金を用いて形成されることが好ましい。高反射率の金属は、Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなどを含む。高反射率のアモルファス合金は、NiP、NiB、CrPおよびCrBなどを含む。高反射率の微結晶性合金は、NiAlなどを含む。反射電極24を陽極として用いてもよいし、陰極として用いてもよい。反射電極24を陽極として用いる場合、前述の高反射率材料と有機EL層22との間に、SnO、In、ITO、IZO、ZnO:Alなどの導電性金属酸化物を積層して、有機EL層に対する正孔注入効率を向上させてもよい。反射電極24を陰極として用いる場合には、反射電極24と接触する有機EL層22の構成層を電子注入層として、有機EL層22に対する電子注入の効率を向上させてもよい。反射電極24は、用いる材料に依存して、蒸着(抵抗加熱または電子ビーム加熱)、スパッタ、イオンプレーティング、レーザーアブレーションなどの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。反射電極24は、所望の形状を与えるマスクを用いて第2の方向に延びる複数のライン形状部分を形成してもよいし、逆テーパ形状の電極分離隔壁を用いて第2の方向に延びる複数のライン形状部分に分割してもよい。
図3は、色変換フィルタと別の基板上に形成された有機EL素子とを貼り合わせることにより形成されるトップエミッション型の有機多色ELディスプレイの一例を示す。図3の上方に示される色変換フィルタは、図1に示したものと同等の構成を有する。
図3の下方に示される有機EL素子は、素子支持体26上に、反射電極24、有機EL層22、透明電極20が順次積層された構造を有する。有機EL層22は、前述と同様の構成であってもよい。
素子支持体26は、透明であっても不透明であってもよく、積層される層の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものであるべきであり、および寸法安定性に優れていることが好ましい。好ましい材料は、金属、セラミック、ガラス等を含む。あるいはまた、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン;ノルボルネン樹脂などから形成される可撓性フィルムを、素子支持体26として用いてもよい。
透明電極20は、積層順の差異により、その形成時に電極分離隔壁ではなく、フォトリソグラフィなどのパターニング方法を用いることができることを除いて前述と同様である。また、反射電極24においても同様に、その形成時にフォトリソグラフィなどのパターニング方法に代えて逆テーパ形状の電極分離隔壁を用いることが望ましいことを除いて、前述と同様の構成である。
透明電極20以下の層を覆うようにパッシベーション層をさらに設けてもよい。SiOx、SiNx、SiOxNyなどの材料を用いるパッシベーション層を形成することによって、有機EL素子(特に有機EL層)への酸素ないし水分の浸入を防止し、その寿命を向上させることが可能となる。
上記のような色変換フィルタと有機EL素子を、色変換層と発光部との位置を合わせながら、当該技術において知られている方法により貼り合わせることにより、有機多色ELディスプレイを形成することができる。また、貼り合わせにより形成される内部空間に透明充填剤を充填して、外部への光取り出し効率を向上させてもよい。
図3の例では、パッシブマトリクス駆動の有機EL素子を示したが、アクティブマトリクス駆動の有機EL素子を用いて有機多色ELディスプレイを形成することも可能である。この場合には、素子支持体26を、シリコンなどの半導体基板、ガラス、セラミック、樹脂などの誘電体基板上にシリコンなどの半導体層を設けたもので形成することが望ましい。そして、素子支持体26には、画素(ないし副画素)に1対1に対応する複数のスイッチング素子(TFT、MIMなど)が形成される。そして、反射電極24は、ライン形状ではなく、画素(ないし副画素)に対応する複数の部分に分割され、複数の部分のそれぞれは複数のスイッチング素子のそれぞれと1対1で電気的に接続される。さらに、透明電極20は、単一の部分からなる一体型の電極として形成される。
また、上記においては、多色表示用の色変換フィルタを用いた有機多色ELディスプレイを例として説明したが、1種の色変換層(一般式(I)または(II)の構造を有する黄色色素、および必要に応じて赤色色素を含んでもよい)を有する色変換フィルタを用いて、モノクロの有機ELディスプレイを形成してもよいことはいうまでもない。
(合成例1) ベンゾフラノ−1,2−ナフトキノン中間体の合成
乳鉢に、1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸ナトリウム1.0g(3.84ミリモル)と0.26g(1.92ミリモル)のCuClを入れ、少量の酢酸水溶液に溶解させた。次いで、これにm−(ジブチルアミノ)フェノール0.85g(3.84ミリモル)を少量の酢酸水溶液に溶解させて添加し、乳鉢中で摺り合わせた。該混合物を数日間放置して反応させた後に、水を加えて析出物を濾取し、減圧乾燥した。この析出物をジクロロメタンで抽出し、抽出液中のジクロロメタンを濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/酢酸エチル=6/1(体積比))で分離精製することにより、目的とする式(V)の化合物(R=R=n−ブチル、R=R=H)を紫色粉末状結晶として得た(収量586mg、収率40.9%)。得られた化合物の分析結果を以下に示す。
(1)融点:149〜153℃
(2)H−NMR(CDCl):δ(ppm) 1.00(6H,t), 1.37-1.50(4H,m), 1.62-1.74(4H,m), 3.34(4H,t), 6.65(1H,s), 6.80(1H,dd), 7.43(1H,dt), 7.65(1H,dt), 7.88(1H,d), 7.93(1H,d), 8.11(1H,d)
(3)IR(KBr,cm-1):1618
(4)元素分析 計算値:C(76.77 %), H(6.71 %), N(3.73 %)
実測値:C(76.91 %), H(6.83 %), N(3.76 %)
(5)UV−Vis吸収スペクトル
λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1): 410(7800), 533(10800)
(合成例2) 式(II−6)の黄色色素の合成
アルゴンガス雰囲気下、合成例1で得られたナフトキノン中間体(2.0g,5.36×10−3mol)を200mlの無水THFに溶解させ、−108℃に冷却した後、2.0Mのメチルリチウム−ジエチルエーテル溶液(3.1ml,6.97×10−3mol)をシリンジで注入して、−108℃で15分間、その後室温で15分間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、溶媒を減圧除去した。残留物に水を加えて濾過し、濾物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗したのち、減圧濃縮し、残液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/酢酸エチル=10/1)に付して分離精製して、式(II−6)の黄色結晶1.37g(収率65%)を得た。得られた黄色色素の分析結果を以下に示す。
(1)融点:150〜153℃
(2)H−NMR(CDCl):δ(ppm) 0.99(6H,t), 1.35-1.45(4H,m ), 1.59-1.70(4H,m), 1.66(3H,s), 3.36-3.40(4H,t), 3.71(1H, s), 6.73(1H,d), 6.83(1H,dd), 7.44(2H,td), 7.80(1H, dd), 7.96(1H, d), 8.03(1H, dd)
(3)IR(KBr,cm-1):1644, 3432
(4)UV−Vis吸収スペクトル
λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1): 342(8200), 421(21300)
(5)蛍光 スペクトル
λmax/nm: 478
(合成例3) 式(II−2)の黄色色素の合成
アルゴンガス雰囲気下、合成例1で得られたナフトキノン中間体(2.0g,5.36×10−3mol)を200mlの無水THFに溶解させ、−108℃に冷却した後、1.6Mのブチルリチウム−ジエチルエーテル溶液(4.4ml,6.97×10−3mol)をシリンジで注入して、−108℃で15分間、その後室温で15分間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、溶媒を減圧除去した。残留物に水を加えて濾過し、濾物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗したのち、減圧濃縮し、残液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/酢酸エチル=5/2)に付して分離精製して、式(II−2)の黄色結晶0.960g(収率41%)を得た。得られた黄色色素の分析結果を以下に示す。
(1)融点:128〜131℃
(2)H−NMR(CDCl):δ(ppm) 0.74(3H,t), 0.99(6H,t), 1.08-1.18(2H,m), 1.35-1.54(4H,m), 1.60-1.68(6H,m), 1.81-2.00(2H, m), 3.38(4H,t), 3.74(1H,s), 6.73(1H,d), 6.83(1H,dd), 7.40-7.45(2H, m), 7.74(1H, dd), 7.96(1H, d), 8.02(1H,dd)
(3)IR(KBr,cm-1):1645, 3406
(4)UV−Vis吸収スペクトル
λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1): 337(6800), 423(17800)
(5)蛍光 スペクトル
λmax/nm: 477
(合成例4) 式(II−1)の黄色色素の合成
アルゴンガス雰囲気下、合成例1で得られたナフトキノン中間体(1.0g,2.68×10−3mol)を200mlの無水THFに溶解させ、−108℃に冷却した後、1.8Mのフェニルリチウム−ジエチルエーテル溶液(1.5ml,2.68×10−3mol)をシリンジで注入して、−108℃で15分間、その後室温で15分間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、溶媒を減圧除去した。残留物に水を加えて濾過し、濾物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗したのち、減圧濃縮し、残液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ベンゼン/アセトン=10/1)に付して分離精製して、式(II−1)の橙黄色結晶0.216g(収率18%)を得た。得られた黄色色素の分析結果を以下に示す。
(1)融点:164〜168℃
(2)H−NMR(CDCl):δ(ppm) 0.98(6H,t), 1.30-1.60(8H,m ), 3.37(4H,t), 4.53(1H,s), 6.68(1H,d), 6.86(1H, s), 7.17-7.22(3H,m), 7.34-7.38(2H,m), 7.39-7.47(2H,m), 7.61(1H, d), 8.00(1H, d), 8.08(1H, d)
(3)IR(KBr,cm-1):1652, 3449
(4)UV−Vis吸収スペクトル
λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1): 341(7700), 430(21600)
(5)蛍光 スペクトル
λmax/nm: 486
(合成例5) 式(II−7)の黄色色素の合成
水素雰囲気下、合成例3で得られた式(II−2)の黄色色素(0.14g,3.23×10−4mol)を10mlのTHF−エタノール(1:1)混合溶媒に溶解させ、10%Pd/C(20mg)を添加し、10時間にわたって室温にて攪拌した。反応終了後、反応混合物を濾過してPd/Cを除去し、濾液を減圧濃縮して、一般式(VIII)を有する中間体(R〜R=n−ブチル、R=R=H、Z=O)130mg(収率97%)を得た。得られた中間体(0.10g,2.39×10−4mol)をヨウ化ブチル(10ml)に溶解させ、リチウムt−ブトキシド(0.06g,7.50×10−4mol)を添加し、5時間にわたって130℃において攪拌した。反応終了後、反応混合物を塩化メチレン20mlで希釈し、水洗した後に濃縮し、残液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)に付して分離精製して、式(II−7)の黄色結晶0.028g(収率24.8%)を得た。得られた黄色色素の分析結果を以下に示す。
(1)H−NMR(アセトン−d6):δ(ppm) 0.66(6H,t), 0.80-0.94(4H,m), 0.99(6H,t), 1.03-1.12(4H,m), 1.33-1.49(4H,m), 1.62-1.72(4H,m), 1.91-1.99(2H,m), 2.18-2.26(2H,m), 3.50(4H,t), 6.83(1H,d), 7.00(1H, dd), 7.46-7.51(2H,m), 7.64(1H,dd), 8.19(1H,d), 8.25-8.27(1H,m)
(2)IR(KBr,cm-1):1725
(3)UV−Vis吸収スペクトル
λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1): 335(19100), 410(12500)
(4)蛍光 スペクトル
λmax/nm: 452
(合成例6) 式(II−8)の黄色色素の合成
水素雰囲気下、合成例3で得られた式(II−2)の黄色色素(0.1g,2.55×10−4mol)、および塩化アセチル(0.14g,7.65×10−4mol)を10mlの無水THFに溶解させ、2日間にわたって50℃にて攪拌した。反応終了後、反応混合物を塩化メチレン20mlで希釈し、水洗した後に濃縮し、残液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)に付して分離精製して、式(II−8)の黄色結晶0.077g(収率70%)を得た。得られた黄色色素の分析結果を以下に示す。
(1)H−NMR(CDCl):δ(ppm) 0.98(6H,t), 1.34-1.44(4H,m), 1.57(3H,s), 1.59-1.67(4H,m), 3.37(4H,m), 6.74(1H,d), 6.82(1H,dd), 7.37-7.50(3H,m), 7.96(1H,d), 8.07(1H,dd)
(2)IR(KBr,cm-1):1742, 1619
(3)UV−Vis吸収スペクトル
λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1): 419(17000), 332(7600)
(4)蛍光 スペクトル
λmax/nm: 480
(合成例7) 式(II−9)の黄色色素の合成
アルゴンガス雰囲気下、一般式(V)を有するナフトキノン中間体(R=R=n−ブチル、R=R=H、Z=NH:1.0g,2.68×10−3mol)を200mlの無水THFに溶解させ、−108℃に冷却した後、1.0Mのメチルリチウム−ジエチルエーテル溶液(6.4ml,6.40×10−3mol)をシリンジで注入して、−108℃で15分間、その後室温で15分間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、溶媒を減圧除去した。残留物に水を加えて濾過し、濾物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗したのち、減圧濃縮し、残液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/酢酸エチル=2/1)に付して分離精製して、式(II−9)の黄色結晶0.362g(収率34.6%)を得た。得られた黄色色素の分析結果を以下に示す。
(1)融点:137〜140℃
(2)H−NMR(アセトン−d6):δ(ppm) 0.98(6H,t), 1.37-1.47(4H,m), 1.56(3H,s), 1.60-1.70(4H,m), 3.44(4H,t), 4.52(1H,s), 6.72(1H,dd), 6.90(1H, dd), 7.32(1H,td), 7.40(1H,td), 7.76(1H,dd), 8.12(1H,d), 8.17(1H,d), 10.55(1H,s)
(3)IR(KBr,cm-1):3399, 3251, 1601
(4)UV−Vis吸収スペクトル
λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1): 426(14000), 376(13200)
(5)蛍光 スペクトル
λmax/nm: 477
(合成例8) 式(I−6)の黄色色素の合成
アルゴンガス雰囲気下、一般式(VI)のナフトキノン中間体(R=R=n−ブチル、R=R=H、Z=O)(1.0g,2.66×10−3mol)を200mlの無水THFに溶解させ、−108℃に冷却した後、1.0Mのメチルリチウム−ジエチルエーテル溶液(3.1ml,3.19×10−3mol)をシリンジで注入して、−108℃で15分間、その後室温で15分間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、溶媒を減圧除去した。残留物に水を加えて濾過し、濾物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗したのち、減圧濃縮し、残液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)に付して分離精製して、式(I−6)の黄色結晶0.53g(収率50.8%)を得た。得られた黄色色素の分析結果を以下に示す。
(1)融点:113〜116℃
(2)H−NMR(アセトン-d6):δ(ppm) 0.98(6H,t), 1.38-1.44(4H, m), 1.47(3H, s), 1.63-1.71(4H, m), 3.50(4H,t), 4.86(1H,s), 6.07(1H, d), 6.24(1H,s), 6.82(1H,dd), 7.22(1H,dd), 7.53(1H, dd), 7.59(1H, dd), 7.87(1H, dd)
(3)IR(KBr,cm-1):1254, 1643, 3432
(4)UV−Vis吸収スペクトル
λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1): 418(31600), 438(31500)
(5)蛍光 スペクトル
λmax/nm: 462
(合成例9) 式(I−2)の黄色色素の合成
アルゴンガス雰囲気下、一般式(VI)のナフトキノン中間体(R=R=n−ブチル、R=R=H、Z=O)(2.0g,5.32×10−3mol)を200mlの無水THFに溶解させ、−108℃に冷却した後、1.6Mのブチルリチウム−ジエチルエーテル溶液(4.4ml,6.97×10−3mol)をシリンジで注入して、−108℃で15分間、その後室温で15分間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、溶媒を減圧除去した。残留物に水を加えて濾過し、濾物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗したのち、減圧濃縮し、残液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/酢酸エチル=10/1)に付して分離精製して、式(I−2)の黄色結晶0.960g(収率41.5%)を得た。得られた黄色色素の分析結果を以下に示す。
(1)融点:125〜127℃
(2)H−NMR(アセトン-d6):δ(ppm) 0.77(3H,t), 0.98(6H,t), 1.08-1.29(4H, m), 1.38-1.48(4H, m), 1.63-1.80(6H, m), 3.49(4H,t), 4.44(1H,s), 6.24(1H, s), 6.51(1H,d), 6.82(1H,dd), 7.22(1H,dd), 7.49(1H, dd), 7.58(1H, t), 7.87(1H, d)
(3)IR(KBr,cm-1):1224, 1643, 3432
(4)UV−Vis吸収スペクトル
λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1): 420(29700), 438(29300)
(5)蛍光 スペクトル
λmax/nm: 463
(合成例10) 式(I−1)の黄色色素の合成
アルゴンガス雰囲気下、一般式(VI)のナフトキノン中間体(R=R=n−ブチル、R=R=H、Z=O)(2.0g,5.32×10−3mol)を200mlの無水THFに溶解させ、−108℃に冷却した後、0.94Mのフェニルリチウム−ジエチルエーテル溶液(6.8ml,6.4×10−3mol)をシリンジで注入して、−108℃で15分間、その後室温で15分間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、溶媒を減圧除去した。残留物に水を加えて濾過し、濾物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗したのち、減圧濃縮し、残液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/酢酸エチル=10/1)に付して分離精製して、式(I−1)の赤褐色結晶0.33g(収率13.7%)を得た。得られた黄色色素の分析結果を以下に示す。
(1)融点:175〜177℃
(2)H−NMR(アセトン-d6):δ(ppm) 0.99(6H,t), 1.40-1.49(4H,m), 1.65-1.73(4H, m), 3.52(4H, t), 5.33(1H, s), 6.24(1H,s), 6.56(1H,d), 6.85(1H, dd), 7.23-7.15(3H,m), 7.29(1H,dd), 7.34-7.37(2H,m), 7.42(1H, dd), 7.57(1H, dd), 7.89(1H, d)
(3)IR(KBr,cm-1):1222, 1639, 3429
(4)UV−Vis吸収スペクトル
λmax/nm(εmax/dm3mol-1cm-1): 426(28500), 446(31200)
(5)蛍光 スペクトル
λmax/nm: 470
(実施例1)
式(I−2)の構造を有する色素148mg(0.340ミリモル)と、赤色変換色素(ローダミン6G、43mg)とを、光・熱併用硬化型樹脂組成物VP259PA/P5(新日鐵化学株式会社製、25g)中で混合して、塗布液を形成した。この塗布液を、ガラス基板上にスピンコート法を用いて塗布し、500mJ/cmの強度のUV光にて光硬化後、30秒間にわたって150℃に加熱して膜厚10μmの赤色変換層を形成し、色変換フィルタを得た。
(実施例2)
式(I−2)の構造を有する色素に代えて、式(II−2)の構造を有する色素178mg(0.410ミリモル)を用いたこと除いて、実施例1の手順を繰り返して色変換フィルタを得た。
(比較例1)
式(I−2)の構造を有する色素に代えて、178mgのクマリン6(0.508ミリモル)を用いたこと除いて、実施例1の手順を繰り返して色変換フィルタを得た。
(評価)
実施例1、実施例2および比較例1の色変換フィルタに、中心波長470nmの青色光を発する光源(3000cd/m)からの光を照射し、色変換されて出力される赤色光(中心波長565nm)の強度を照射直後および照射200時間後で比較した。結果を第1表に示す(照射直後の比較例1の赤色光の強度を100とした相対値で示す)。
Figure 0004666350
上記の結果から明らかなように、一般式(I)および(II)の構造を有する黄色色素を用いた実施例では、慣用のクマリン系色素を用いた比較例1よりも耐光性が高いことが分かる。したがって、実施例の色変換フィルタを用いることによって、長期にわたる安定性を有する有機ELディスプレイを形成することが可能となる。
(実施例3)
透明支持体10(ガラス)上にブラックマスク材料(富士ハントエレクトロニクステクノロジー製:カラーモザイクCK−7000)をスピンコート法にて塗布後、フォトリソグラフ法によりパターニングを実施し、2つの直交する方向に延びる2つのライン(すなわち、井桁状)パターンを有する、30μm幅、膜厚1.5μmのブラックマスク4を得た。第1の方向のピッチを0.33mm、第1の方向に直交する第2の方向のピッチを0.11mmとした。
ブラックマスクを設けた透明支持体10上に青色フィルタ材料(富士ハントエレクトロニクステクノロジー製:カラーモザイクCB−7001)をスピンコート法にて塗布後、フォトリソグラフ法によりパターニングを実施し、0.1mm幅、0.33mmピッチ、膜厚10μmのラインパターンを有する青色カラーフィルタ層14Bを形成した。
同様のカラーフィルタ材料系を上記透明支持体10上にスピンコート法にて塗布後、フォトリソグラフ法によりパターニングを実施し、0.1mm幅、0.33mmピッチ、膜厚1.5μmのラインパターンを有する赤色および緑色カラーフィルタ層14Gおよび14Rを得た。
緑色蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノエチルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。光重合性樹脂組成物の「V259PA/P5」(商品名、新日鐵化学株式会社)100重量部を加えて溶解させ、塗布液を得た。この塗布溶液を、透明支持体10上にスピンコート法を用いて塗布し、フォトリソグラフ法によりパターニングを実施し、緑色カラーフィルタ層14G上に膜厚10μmのラインパターンの緑色変換層12Gを形成した。
式(I−2)の構造を有する色素1.0重量部、ローダミン6G(0.3重量部)、ベーシックバイオレット11(0.3重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノエチルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。光重合性樹脂組成物の「V259PA/P5」(商品名、新日鐵化学株式会社)100重量部を加えて溶解させ、塗布液を得た。この塗布溶液を、透明支持体10上に、スピンコート法を用いて塗布し、フォトリソグラフ法によりパターニングを実施し、赤色カラーフィルタ層14R上に膜厚10μmのラインパターンの赤色変換層12Rを形成した。
次に、JNPC48(JSR製)をスピンコート法にて塗布して、フォトリソグラフ法にて平坦化層16を形成した。さらに、スパッタ法を用いて、SiOを200nm堆積させて、パッシベーション層18を形成して、色変換フィルタを得た。
別途、光源として、0.1mm×0.1mmの大きさを有する複数の発光部を0.01mm間隔で配列した有機EL素子を準備した。該有機EL素子は、素子支持体上に第1の方向に延びる幅0.1mm、間隔0.1mmの複数のライン形状部分からなる反射電極と、有機EL層と、第2の方向に延びる幅0.1mm、間隔0.1mmの複数のライン形状部分からなる透明電極とを含み、該有機EL層は4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を含み、波長470〜490nmにピークを有する青緑色光を発した。
前記色変換フィルタと有機EL発光素子とを位置合わせをして貼り合わせて、有機多色ディスプレイを得た。
本発明の多色表示用色変換フィルタを示す図である。 本発明の多色表示用色変換フィルタを用いて構成されるボトムエミッション型有機多色ELディスプレイの一例を示す図である。 本発明の多色表示用色変換フィルタを用いて構成されるトップエミッション型有機多色ELディスプレイの一例を示す図である。
符号の説明
10 透明支持体
12(R,G) 色変換層(赤色、緑色)
14(R,G,B) カラーフィルタ層(赤色、緑色、青色)
16 平坦化層
18 パッシベーション層
20 透明電極
22 有機EL層
24 反射電極
26 素子支持体

Claims (11)

  1. 一般式(I)または(II)の構造を有する色素およびバインダーを含むことを特徴とする色変換フィルム。
    Figure 0004666350
    (式中、Rは、直鎖または分枝のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、または置換または無置換のフェニル基であり;RおよびRは、独立的に、直鎖または分枝のC〜C10のアルキル基、または置換または無置換のC〜C10のシクロアルキル基であり;RおよびRはHであり、ただし、RとR、およびRとRは、一緒になって直鎖または分枝のC〜Cのアルキレン基を形成してもよく;Xは、直鎖または分枝のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換のフェニル基、ハロゲン基、OR基、OCOR基、SR基、NR基であり;RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、H、または直鎖または分枝のC〜Cのアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基であり;Zは、O、SまたはNRである。)
  2. 赤色変換色素をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の色変換フィルム。
  3. 前記赤色変換色素は、ローダミン系色素、シアニン系色素、ピリジン系色素およびオキサジン系色素からなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の色変換フィルム。
  4. 透明支持体をさらに含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の色変換フィルム。
  5. 透明支持体と、一般式(I)または(II)の構造を有する色素およびバインダーを含む色変換層とを含むことを特徴とする色変換フィルタ。
    Figure 0004666350
    (式中、Rは、直鎖または分枝のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、または置換または無置換のフェニル基であり;RおよびRは、独立的に、直鎖または分枝のC〜C10のアルキル基、または置換または無置換のC〜C10のシクロアルキル基であり;RおよびRはHであり、ただし、RとR、およびRとRは、一緒になって直鎖または分枝のC〜Cのアルキレン基を形成してもよく;Xは、直鎖または分枝のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換のフェニル基、ハロゲン基、OR基、OCOR基、SR基、NR基であり;RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、H、または直鎖または分枝のC〜Cのアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基であり;Zは、O、SまたはNRである。)
  6. 前記色変換層は赤色変換色素をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の色変換フィルタ。
  7. 前記赤色変換色素は、ローダミン系色素、シアニン系色素、ピリジン系色素およびオキサジン系色素からなる群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の色変換フィルタ。
  8. 異なる色の光を放出する1つまたは複数の別の色変換層をさらに含むことを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の色変換フィルタ。
  9. 請求項5から8のいずれかに記載の色変換フィルタと、透明電極、有機EL層および反射電極を少なくとも含む有機EL素子とを含むことを特徴とする有機ELディスプレイ。
  10. 前記有機EL素子が前記色変換フィルタ上に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の有機ELディスプレイ。
  11. 前記有機EL素子が素子支持体上に形成されており、前記色変換フィルタと前記有機EL素子とが貼り合わせられていることを特徴とする請求項10に記載の有機ELディスプレイ。
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