JP2002184576A - 色変換フィルタ基板、および色変換フィルタ基板を具備する色変換カラーディスプレイ - Google Patents

色変換フィルタ基板、および色変換フィルタ基板を具備する色変換カラーディスプレイ

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JP2002184576A
JP2002184576A JP2000382586A JP2000382586A JP2002184576A JP 2002184576 A JP2002184576 A JP 2002184576A JP 2000382586 A JP2000382586 A JP 2000382586A JP 2000382586 A JP2000382586 A JP 2000382586A JP 2002184576 A JP2002184576 A JP 2002184576A
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JP2000382586A
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Goji Kawaguchi
剛司 川口
Yotaro Shiraishi
洋太郎 白石
Yukinori Kawamura
幸則 河村
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動による機能低下を抑制した色変換フィル
タ層および色変換フィルタ基板を提供、および長期にわ
たって安定した発光特性を維持するカラー有機ELディ
スプレイの提供。 【解決手段】 透明な支持基板と、該支持基板上に配置
され蛍光色素を含有する樹脂膜を所望のパターンに形成
してなる単一または複数種類の色変換フィルタ層と、該
色変換フィルタ層を被覆するガスバリア層とを少なくと
も備え、色変換フィルタ層は、該色変換フィルタを形成
する樹脂に対して相分離する化合物が添加されたもので
あることを特徴とする色変換フィルタ基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高精細で、耐環境
性および生産性に優れ、携帯端末機および産業用計測器
の表示などに広範囲の応用可能性を有する、色変換フィ
ルタ基板および該色変換フィルタ基板を具備する有機多
色発光表示素子(ディスプレイ)に関する。特に、本発
明は、色変換方式を用いた多色発光ディスプレイに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、情報通信の高速化と応用範囲の拡
大とが急速に進んでいる。この中で、表示デバイスに
は、「美・軽・薄・優」が求められると同時に、携帯性
や動画表示の要求に対応可能な低消費電力・高速応答性
を有する高精細なフルカラー表示デバイスの考案が広く
なされている。
【0003】有機エレクトロルミネセンス(以下、有機
ELと称する)素子は、Tangらによる印加電圧10V
で、1000cd/m2以上の高輝度で発光する積層型
EL素子の報告(Appl. Phys. Lett., 51, 913 (198
7))以来、項コントラスト、定電圧駆動、広視野角、高
速応答性など液晶表示素子等に比較して優位な特長を生
かして、「美・軽・薄・優」なフラットパネルディスプ
レイへの応用が期待され、実用化に向けての研究が活発
に行われている。
【0004】すでに、緑色モノクロ有機ELディスプレ
イ等が製品化されており、高精細のフルカラーディスプ
レイの完成が待たれている。また、EL素子自体の構成
として、有機低分子の積層体の他に、有機高分子材料を
用いた素子についての検討が進められている。
【0005】有機ELディスプレイのマルチカラー化ま
たはフルカラー化の方法として、3つの方法が検討され
ている。第1の方法は、赤(R)、緑(G)、青(B)
の3原色の発光体をマトリクス上に分離配置し、それぞ
れ発光させる方法である。特開昭57−157487号
公報、特開昭58−147989号公報、および特開平
3−214593号公報などを参照されたい。この方法
は、RGBの3種の発光材料をマトリクス上に高精細に
配置しなくてはならないため、技術的に困難であり、か
つ安価で製造することはさらに困難である。加えて、3
種の発光材料の輝度変化特性および駆動条件がそれぞれ
異なるために、長期間にわたって色再現性を確保するこ
とが困難である等の欠点を有する。
【0006】第2の方法として、白色で発光するバック
ライトにカラーフィルターを用いRGBの3原色を透過
させる方法が提案されている。特開平1−315988
号公報、特開平2−273496号公報、特開平3−1
94885号公報等を参照されたい。この方法におい
て、充分な輝度のRGB光を得るために必要なバックラ
イトに用いる、長寿命かつ高輝度の白色発光の有機EL
発光素子を得ることは技術的に高度に困難な課題であ
り、未だ得られていないのが実状である。
【0007】第3の方法として、発光体の発光を平面的
に分離配置した蛍光体に吸収させ、それぞれの蛍光体か
ら多色の蛍光を発光させる方法が開示されている。特開
平3−152897号公報および特開平5−25886
0号公報等を参照されたい。蛍光体を用いて、ある発光
体から多色の蛍光を発光させる方法は、CRT、プラズ
マディスプレイらの応用に実績を有している。この方法
は、輝度の高い発光素子を光源に適用できる利点を有
し、たとえば、青色光を緑色光および赤色光に波長変換
する色変換方式が提案されている。特開平3−1528
97号公報、特開平8−286033号公報、特開平9
−208944号公報等を参照されたい。ここで、蛍光
色素を含む色変換膜を高精細にパターニングすれば、フ
ルカラーの発光型ディスプレイの構築が可能となる。パ
ターニングの方法としては、(1)無機蛍光体の場合と
同様に、蛍光色素を液状のレジスト(光反応性ポリマ
ー)中に分散させ、これをスピンコート法などで成膜し
た後、フォトリソグラフィー法でパターニングする方法
(特開平5−198921号公報および特開平5−25
8860号公報)、あるいは(2)塩基性のバインダー
に蛍光色素または蛍光顔料を分散させ、これを酸性水溶
液でエッチングする方法(特開平9−208944号公
報)などを挙げることができる。これらの方法は、従来
から知られている湿式の大量生産が可能な設備を応用す
ることが可能であり、安価に生産できる可能性を有す
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】カラーディスプレイと
しての実用に関して重要な課題は、高精細なカラー表示
機能を有することとともに、長期間にわたる安定性(色
再現性を含む)を有することである(たとえば、機能材
料、第18巻、第2号、96頁を参照されたい)。しか
しながら、カラー有機ELディスプレイには、一定期間
の駆動後の電流−輝度特性の低下および色再現性の低下
など、解決しなければならない課題が存在している。
【0009】前述の色変換方式の場合には、有機EL素
子自身の発光特性の低下に加えて、色変換フィルタ層の
機能低下を防止する必要がある。色変換フィルタ層の機
能低下は、含有される蛍光色素の分解による退色あるい
は系中における消光によって生じる。この光退色過程
は、色素自身の分子構造だけではなく、基質(マトリク
ス樹脂)の性質、添加剤の性質等の外的な条件にも依存
して決定される複雑な系である。その素過程として、酸
化反応、還元反応、異性化反応、および二量化反応等を
挙げることができる。
【0010】レジスト中に蛍光色素を分散させてなる色
変換フィルタ層における機能低下を例として、さらに考
察する。蛍光色素は、レジスト中に残存する光重合剤お
よび/または熱硬化剤(重合開始剤)から発生するラジ
カルの攻撃、あるいは反応性多官能モノマーおよびオリ
ゴマーから発生する成長ラジカルの攻撃によって、分解
または消光することが知られている。また、一重項酸素
やヒドロキシルラジカルをはじめとする活性酸素によっ
ても分解または消光することが言われている。染色工
業、第33巻、第5号、218頁を参照されたい。これ
らの反応は、色変換フィルタ層をパターニングする際だ
けではなく、有機EL素子の発光による蛍光色素の励起
によっても発生し得る。したがって、有機ELディスプ
レイを駆動することに伴い、蛍光色素の分解または消光
が発生し、色変換機能の低下が進行することが考えられ
る。
【0011】上記に記載されるような長期にわたって安
定な発光特性を得るためには、色変換フィルタ層の機能
低下を充分に抑えることが必要である。本発明は、この
問題に鑑みてなされたものであり、駆動による機能低下
を抑制した色変換フィルタ層および色変換フィルタ基板
を提供し、長期にわたって安定した発光特性を維持する
カラー有機ELディスプレイの提供を実現することを目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、有機EL
素子の駆動時において色変換フィルタ層内で発生するラ
ジカル種が、蛍光色素の分解または退色の重要な要因で
あると考え、ラジカル種の発生を抑制する添加剤につい
て鋭意検討を重ねた結果、色変換フィルタ層内で相分離
する化合物を添加することにより、色変換フィルタ層を
ミクロに分離された2つ以上の相とすることが、色変換
フィルタ層の特性低下を抑制することを見いだした。
【0013】また、さらに、蛍光色素に対するラジカル
種の攻撃を抑制する添加剤について鋭意検討を重ねた結
果、下記一般式(I)の構造を分子内に有するヒンダー
ドアミン系化合物の添加が、色変換フィルタ層の機能低
下を抑制する効果を有することを見いだした。
【0014】
【化3】
【0015】(式中、R1〜R6は、それぞれC、H、S
i、O、N、P、S、Cl、Br、Fの単独あるいはこ
れらの組合せからなる有機基である) 本発明によれば、上記一般式(I)のヒンダードアミン
系化合物の少なくとも1種以上を、色変換フィルタ層の
重量を基準として、0.01〜10.00質量%添加す
ることによって、色変換フィルタ層の機能(特性)低下
を抑制することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】A.色変換フィルタ基板 本発明の色変換フィルタ基板の一例を、図1に示す。図
1において、支持基板1上に、赤色変換フィルタ層2、
緑色変換フィルタ層3、青色変換フィルタ層4がそれぞ
れ所定のパターンを有して形成されている。後述のよう
に、緑色変換フィルタ層3は緑色フィルタ層であっても
よい。また、青色変換フィルタ層4は、好ましくは青色
フィルタ層である。これらの変換フィルタ層を覆って、
ガスバリア層6が形成されており、その上平面は平坦で
ある。なお、本明細書および図面において、同一の機能
部分を同一の符号にて示した。以下、各層について詳細
に述べる。
【0017】1.色変換フィルタ層 1)有機蛍光色素 本発明において、有機蛍光色素は、発光体から発せられ
る近紫外領域ないし可視領域の光、特に青色ないし青緑
色領域の光を吸収して異なる波長の可視光を蛍光として
発光するものである。好ましくは、少なくとも赤色領域
の蛍光を発する蛍光色素の1種類以上を用い、さらに緑
色領域の蛍光を発する蛍光色素の1種類以上と組み合わ
せてもよい。
【0018】すなわち、光源として青色ないし青緑色領
域の光を発光する有機発光素子を用いる場合、該素子か
らの光を単なる赤色フィルタに通して赤色領域の光を得
ようとすると、元々赤色領域の波長の光が少ないために
極めて暗い出力光になってしまう。したがって、該素子
からの青色ないし青緑色領域の光を、蛍光色素によって
赤色領域の光に変換することにより、十分な強度を有す
る赤色領域の光の出力が可能となる。
【0019】一方、緑色領域の光は、赤色領域の光と同
様に、該素子からの光を別の有機蛍光色素によって緑色
領域の光に変換させて出力してもよい。あるいはまた、
該素子の発光が緑色領域の光を十分に含むならば、該素
子からの光を単に緑色フィルタを通して出力してもよ
い。
【0020】さらに、青色領域の光に関しては、有機発
光素子の光を蛍光色素を用いて変換させて出力させても
よいが、しかしより好ましくは有機発光素子の光を単な
る青色フィルタに通して出力させる。
【0021】発光体から発する青色から青緑色領域の光
を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素として
は、例えばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン
3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホロ
ーダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレ
ッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−
エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−
1,3−ブタジエニル〕−ピリジニウム パークロレー
ト(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキ
サジン系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直
接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光
性があれば使用することができる。
【0022】発光体から発する青色ないし青緑色領域の
光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素として
は、例えば3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエ
チルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベン
ゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリ
ン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミ
ダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(ク
マリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒ
ドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,
1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン
系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシック
イエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソル
ベントイエロー116などのナフタルイミド系色素など
が挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染
料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用
することができる。
【0023】なお、本発明に用いる有機蛍光色素を、ポ
リメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スル
ホンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグ
アナミン樹脂及びこれらの樹脂混合物などに予め練り込
んで顔料化して、有機蛍光顔料としてもよい。また、こ
れらの有機蛍光色素や有機蛍光顔料(本明細書中で、前
記2つを合わせて有機蛍光色素と総称する)は単独で用
いてもよく、蛍光の色相を調整するために2種以上を組
み合わせて用いてもよい。
【0024】本発明に用いる有機蛍光色素は、色変換フ
ィルタ層に対して、該色変換フィルタ層の重量を基準と
して0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重
量%含有される。もし有機蛍光色素の含有量が0.01
重量%未満ならば、十分な波長変換を行うことができ
ず、あるいは含有量が5%を越えるならば、濃度消光等
の効果により色変換効率の低下をもたらす。
【0025】2)マトリクス樹脂 次に、本発明の色変換フィルタ層に用いられるマトリク
ス樹脂は、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジ
スト)を、光および/または熱処理して、ラジカル種ま
たはイオン種を発生させて重合または架橋させ、不溶不
融化させたものである。マトリクス樹脂は、本発明の色
変換フィルタ層を形成するための樹脂である。また、色
変換フィルタ層のパターニングを行うために、該光硬化
性または光熱併用型硬化性樹脂は、未露光の状態におい
て有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望
ましい。
【0026】具体的には、光硬化性または光熱併用型硬
化性樹脂は、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複
数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマー
と、光または熱重合開始剤とからなる組成物、(2)ボ
リビニル桂皮酸エステルと増感剤とからなる組成物、
(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからな
る組成物、および(4)エポキシ基を有するモノマーと
酸発生剤とからなる組成物などを含む。特に(1)のア
クリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと光または熱
重合開始剤とからなる組成物が、高精細なパターニング
が可能であること、および耐溶剤性、耐熱性等の信頼性
が高いことによって好ましい。前述したように、光硬化
性または光熱併用型硬化性樹脂に光および/または熱を
作用させて、マトリクス樹脂を形成する。
【0027】本発明で用いることができる光重合開始
剤、増感剤および酸発生剤は、含まれる蛍光変換色素が
吸収しない波長の光によって重合を開始させるものであ
ることが好ましい。本発明の蛍光変換フィルタ層におい
て、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂中の樹脂自身
が光または熱により重合することが可能である場合に
は、光重合開始剤および熱重合開始剤を添加しないこと
も可能である。
【0028】マトリクス樹脂は、光硬化性または光熱併
用型硬化性樹脂、有機蛍光色素および添加剤(後述)を
含有する溶液または分散液を、支持基板上に塗布して樹
脂の層を形成し、そして所望される部分の光硬化性また
は光熱併用型硬化性樹脂を露光することにより重合させ
て形成される。所望される部分に露光を行って光硬化性
または光熱併用型硬化性樹脂を不溶化させた後に、パタ
ーニングを行う。該パターニングは、未露光部分の樹脂
を溶解または分散させる有機溶媒またはアルカリ溶液を
用いて除去するなどの、慣用の方法によって実施するこ
とができる。
【0029】3)添加剤 本発明における添加剤とは、色変換フィルタ層を形成す
るマトリクス樹脂中に添加された際に、相分離する低分
子化合物または高分子化合物である。その添加により色
変換フィルタ層中に相分離を発生させる。色変換フィル
タ層を2つ以上のミクロに分離された相とすることによ
り、蛍光色素に対する活性酸素の攻撃を有効に防止する
ことができ、その結果として色変換フィルタ層の特性低
下を防止することができる。本発明における添加剤は、
マトリクス樹脂中において相分離を発生させるだけでな
く、光安定剤としての機能を有することが好ましい。本
発明における好ましい添加剤は、下記一般式(I)の構
造を分子内に有するヒンダードアミン系の化合物を含
む。
【0030】
【化4】
【0031】ここで、R1〜R6は、それぞれ独立的に、
C、H、Si、O、N、P、S、Cl、Br、Fの単独
あるいはこれらの組合せからなる基である。
【0032】ここで、N置換基であるR1として好まし
いものは、H、置換または無置換のアルキル基、アリー
ル基、アルコキシ基、アリールオキシ基を含む。特に好
ましいものは、H、メチル、エチル、プロピルのような
低級(C1〜C10)アルキル基、あるいはメトキシ、エ
トキシ、プロポキシ、オクチルオキシのような低級(C
1〜C10)アルコキシ基である。あるいはまた、R1が、
アルコール、酸、エステル、イソシアナートなどのよう
な縮合可能な置換基を有して、架橋基を介してまたは介
さないでR6と結合して、別の一般式(I)のピペリジ
ン部分を、1つまたは複数連結するような構造を形成し
てもよい。
【0033】また、一般式(I)のピペリジン部分の2
位および6位置換基であるR2、R3、R4、R5は、同一
であっても異なってもよく、好ましくは、置換または無
置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基、シリル
基を含む。特に好ましくは、メチル、エチル、プロピル
のような低級アルキル基、フェニル基、ベンジル基等で
ある。
【0034】さらに、一般式(I)のピペリジン部分の
4位置換基であるR6は、好ましくは、置換または無置
換のアルコキシ基、アミノ基、カルボニルオキシ、カル
ボニルアミノ基等を含む。特に好ましくは、R6は、1
つまたは複数のアルコキシ基、アミノ基、オキシカルボ
ニル基、アミノカルボニル基等をさらに有して、それら
置換基を介して、別の一般式(I)のピペリジン部分
を、1つまたは複数連結するような構造を形成してもよ
い(その場合に、R6は、それぞれのピペリジン環の4
位に結合する)。R6を用いて複数のピペリジン部分を
連結することは、本発明の添加剤の分子量を増大させて
揮発性を低下させることにおいて、およびラジカル捕捉
部位の濃度を増大させることにおいて有効である。
【0035】R6は、その構造中に、ヒンダードフェノ
ール等のラジカル捕捉機能を有する部分、あるいはベン
ゾトリアゾール、トリアジン等の紫外線吸収機能を有す
る部分を含むことができる。
【0036】なお、R1〜R6の前述の定義において、
「置換された」とは、S、Cl、Br、Fで置換される
こと、およびC、H、Si、O、N、P、S、Cl、B
r、Fの組合せからなる有機基で置換されることを意味
する。該有機基としては、たとえば、RO−、RC
(O)−、ROC(O)−、RR’N−、RR’NC
(O)−、RS−、RSO−、RS(O)−、RS
(O)O−、ROS(O)−、ROS(O)O−、RS
2−、ROSO2−、ROSO2O−、RSC(O)
−、RC(O)O−、RC(O)NR’−、RC(O)
S−、RR’P−、RR’P(O)−RO(R’O)P
−、RO(R’O)P(O)−、およびRR’R”Si
−(式中、R、R’およびR”は、化学的に許容される
任意の基である)を挙げることができるが、これらに制
限されるものではない。
【0037】以下に、一般式(I)で示される低分子量
のヒンダードアミン系化合物の具体例を(I)−1から
(I)−6に示すが、本発明で用いることができるヒン
ダードアミン系化合物はこれらに限定されるものではな
い。
【0038】
【化5】
【0039】
【化6】
【0040】上記に、本発明の添加剤として用いること
ができる低分子量ヒンダードアミン系化合物を示した。
しかし、色変換フィルタ層すなわちマトリクス樹脂中で
ミクロ相分離を発生させるものであれば、高分子量化合
物もまた使用可能である。以下に、一般式(I)で示さ
れる高分子量のヒンダードアミン系化合物の具体例を
(I)−7および(I)−8に示すが、本発明で用いる
ことができるヒンダードアミン系化合物はこれらに限定
されるものではない。
【0041】
【化7】
【0042】これらヒンダードアミン系化合物は、光あ
るいは熱によって発生するラジカルを捕捉するために、
プラスチックの光安定剤としてよく用いられている。ヒ
ンダードアミン系化合物は、熱および光に対して安定で
あり、また樹脂を着色しないといった優れた特徴を有し
ており、色変換フィルタ層に対する添加剤として適して
いる。
【0043】ただし、ヒンダードアミン系化合物の多く
は塩基性を示す。したがって、色変換フィルタ層中に、
たとえばポリカーボネートなどのような塩基に弱い樹脂
を添加する場合、あるいは他に酸性の化合物を含有する
場合には、注意が必要である。このような場合には、R
1として、メチルのようなアルキル基またはアルコキシ
基を用いることが好ましい。
【0044】また、ヒンダードアミン系化合物以外に、
ベンゾエート系あるいはNi系の光安定剤を併用するこ
とができる。特に、ベンゾエート系安定剤は、ヒンダー
ドアミン系化合物との相乗効果が大きいことが知られて
いる。
【0045】本発明に用いられる添加剤は、色変換フィ
ルタ層の重量を基準として、0.01〜10.00質量
%、より好ましくは0.10〜3.00質量%の量で用
いられる。含有量が0.01質量%未満ならば、充分に
相分離が発生しないためにラジカルの捕捉を充分に行う
ことができず、蛍光色素の分解または消光を抑制するこ
とができない。また、含有量が10.00質量%を越え
る場合には、色変換フィルタ層のパターニング性能に悪
影響を及ぼし、高精細な膜を形成することが困難とな
る。あるいはまた、色変換フィルタ層の機械的強度を低
下させるおそれがある。
【0046】2.ガスバリア層6 ガスバリア層の材料として好ましいものは、可視域にお
ける透明性が高く(400〜700nmの範囲で透過率
50%以上)、Tgが100℃以上であり、2Hの鉛筆
硬度以上の表面硬度を有し、色変換フィルタ上に平滑に
塗膜を形成することができ、および色変換フィルタの機
能を低下させない材料である。そのような材料は、たと
えば、イミド変性シリコーン樹脂(特開平5−1341
12号公報、特開平7−218717号公報、特開平7
−306311号公報等参照)、アクリル、ポリイミ
ド、シリコーン樹脂等中に無機金属化合物(TiO、A
23、SiO2等)を分散したもの(特開平5−11
9306号公報、特開平7−104114号公報等参
照)を含む。紫外線硬化型樹脂としては、エポキシ変性
アクリレート樹脂(特開平7−48424号公報参
照)、アクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーの
反応性ビニル基を有する樹脂、レジスト樹脂(特開平6
−300910号公報、特開平7−128519号公
報、特開平8−273394号公報、特開平9−330
793号公報等参照)、フッ素樹脂(特開平5−364
75号公報、特開平9−330793号公報)等の光硬
化型樹脂および/または熱硬化型樹脂を挙げることがで
きる。あるいはまた、ゾル−ゲル法により形成される無
機化合物(月刊ディスプレイ1997年、3巻、7号に
記載、特開平8−27934号公報等)を用いることも
できる。
【0047】ガスバリア層の形成法には、特に制約はな
く、たとえば、乾式法(スパッタ法、蒸着法、CVD法
等)、あるいは湿式法(スピンコート法、ロールコート
法、キャスト法)等の慣用の手段により形成することが
できる。
【0048】また、ガスバリア層として、電気絶縁性を
有し、ガスおよび有機溶剤に対するバリア性を有し、可
視域における透明性が高く(400〜700nmの範囲
で透過率50%以上)、該ガスバリア層上への陽極7の
成膜に耐えうる硬度(好ましくは2H以上の鉛筆硬度)
を有する材料を用いてもよい。たとえば、SiOx、S
iNx、SiNxy、AlOx、TiOx、TaOx、Zn
x等の無機酸化物あるいは無機窒化物等を使用するこ
とができる。該ガスバリア層の形成方法としては、特に
制約はなく、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法、ディ
ップ法等の慣用の手法により形成することができる。
【0049】さらに、ガスバリア層6は、一般式(I)
の構造を分子内に有するヒンダードアミン系化合物を含
有することができる。ガスバリア層の重量を基準として
0.01〜10.00質量%、より好ましくは0.05
〜10.00質量%の該ヒンダードアミン系化合物を、
ガスバリア層6に対して添加することができる。
【0050】上記ガスバリア層6は、単層であってもよ
く、あるいは複数の層が積層されたものであってもよ
い。
【0051】該ガスバリア層6を、色変換方式有機発光
ディスプレイに適用する際には、考慮しなければならな
い重要な要素がある。すなわち、該ガスバリア層6の膜
厚が表示性能、特に視野角特性に及ぼす影響への配慮で
ある。該色変換方式有機発光ディスプレイにおいて特に
重要な視野角特性とは、ディスプレイに対して見る角度
を変化させた際に生じる色の変化である。
【0052】ガスバリア層6を厚くしすぎると、有機発
光層で発生した励起光が、該ガスバリア層6を介して存
在する色変換層に届くまでの光路長が長くなる。その結
果、斜め方向から見ると、隣接する別の色の画素への励
起光の漏れ(光学的クロストーク)が発生する。ディス
プレイの表示性能として考えると、該光学的クロストー
クによる隣接色の発光量が、本来の色の発光量に比較し
て十分小さいことが要求される。
【0053】一方、ガスバリア層6の下に形成される色
変換フィルタ層は、各色についてその厚さが異なる場合
が多い。ガスバリア層6の上に透明電極および有機発光
層を高精細に作成するためには、ガスバリア層6の上表
面は平坦であることが好ましい。
【0054】3.支持基板 本発明の色変換フィルタに用いられる支持基板1は、前
述の色変換フィルタ層によって変換された光に対して透
明であることが必要である。また、支持基板1は、色変
換フィルタ層およびガスバリア層の形成に用いられる条
件(溶媒、温度等)に耐えるものであるべきであり、さ
らに寸法安定性に優れていることが好ましい。
【0055】支持基板1の材料として好ましいものは、
ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタ
クリレート等の樹脂を含む。コーニングガラスが特に好
ましいものである。
【0056】4.色変換フィルタ基板 前述の支持基板1上に、1種または複数種の色変換フィ
ルタ層を所望されるパターンに形成することにより、本
発明の色変換フィルタ基板を作成する。色変換フィルタ
層は、前述の蛍光変換色素およびレジストを含む組成物
を支持基板1上に塗布し、所望されるパターンを形成す
るためのマスクを通して露光され、パターニングされ
て、所望のパターンを有して作成される。色変換フィル
タ層2は、5μm以上、好ましくは8〜15μmの厚さ
を有する。
【0057】カラーディスプレイを作成する際には、
赤、緑および青の3種の色変換フィルタ層を形成するこ
とが好ましい。発光体として青色または青緑色を発光す
るものを用いる場合には、前述のように、赤および緑の
色変換フィルタ層と青のフィルタ層とを、あるいは赤の
色変換フィルタ層と緑および青のフィルタ層とを形成す
ることも可能である。
【0058】色変換フィルタ層およびフィルタ層の所望
されるパターンは、使用される用途に依存する。赤、緑
および青の矩形または円形の区域を1組として、それを
支持基板全面に作成してもよい。あるいはまた、赤、緑
および青の平行するストライプ(所望される幅を有し、
支持基板1の長さに相当する長さを有する区域)を1組
とし、それを支持基板全面に作成してもよい。特定の色
変換フィルタ層を、他の色の色変換フィルタ層よりも多
く(数的および面積的に)配置することもできる。
【0059】B.色変換方式有機ELカラーディスプレ
イ 本発明の色変換方式カラーディスプレイは、前述の色変
換フィルタ基板と、該フィルタ基板のガスバリア層6上
に設けられた有機EL発光素子とを備える。すなわち、
該発光素子から発せられる近紫外から可視領域の光、好
ましくは青色から青緑色領域の光を、色変換フィルタ層
に入射し、該色変換フィルタ層から異なる波長の可視光
を出射するようにしたものである。
【0060】有機EL発光素子は、第1電極層と第2電
極層との間に有機発光層を扶持し、必要に応じ、正孔注
入層や電子注入層を介在させた構造を有している。具体
的には、下記のような層構成からなるものが採用され
る。
【0061】 (1)陽極/有機発光層/陰極 (2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極 (3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極 (4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰
極 (5)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電
子注入層/陰極
【0062】上記の層構成において、陽極7および陰極
の少なくとも一方は、該有機発光体の発する光の波長域
において透明であることが望ましく、および透明である
電極を通して光を発して、前記蛍光色変換フィルタ層に
光を入射させる。当該技術において、陽極7を透明にす
ることが容易であることが知られており、本発明におい
ても陽極7を透明とすることが望ましい。
【0063】図2に、本発明の有機ELカラーディスプ
レイの一例を示す。図2においては、色変換方式のマル
チカラーまたはフルカラーディスプレイとして使用する
ための、複数の画素を有する有機発光素子の1つの画素
に相当する部分を示している。図1に示した色変換フィ
ルタ基板のガスバリア層6上の、各色変換フィルタ層
2、3および4に対応する位置に透明な陽極(第1電極
層)7が形成され、その上に、正孔注入層8、正孔輸送
層9、有機発光層10、電子注入層11、および陰極
(第2電極層)12が順次積層されている。
【0064】上記各層の材料としては、公知のものが使
用される。青色から青緑色の発光を得るためには、有機
発光層10として、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾ
イミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白
剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベン
ゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好
ましく使用される。
【0065】陽極7はITOなどの透明電極から形成さ
れ、陰極12は金属電極から形成される。陽極7および
陰極12のパターンはそれそれ平行なストライプ状をな
し、互いに交差するように形成されてもよい。その場合
には、本発明の有機発光素子はマトリクス駆動を行うこ
とができ、すなわち、陽極7の特定のストライプと、陰
極12の特定のストライプに電圧が印加された時に、有
機発光層10において、それらのストライプが交差する
部分が発光する。したがって、陽極7および陰極12の
選択されたストライプに電圧を印加することによって、
特定の蛍光色変換フィルタ層および/または単純なフィ
ルタ層が位置する部分のみを発光させることができる。
【0066】また、陽極7をストライプパターンを持た
ない一様な平面電極とし、および陰極12を各画素に対
応するようパターニングしてもよい。その場合には、各
画素に対応するスイッチング素子を設けて、いわゆるア
クティブマトリクス駆動を行うことが可能になる。
【0067】
【実施例】以下、本発明を適用した1つの例を、図面を
参照しながら説明する。
【0068】図3は、透明な支持基板1上に、赤の染料
または顔料を含有する赤色変換フィルタ層2を形成し、
後にガスバリア層6とを形成したテスト用色変換フィル
タの断面図である。図4は、前記テスト用色変換フィル
タ基板上に有機EL発光素子(陽極7/正孔注入層8/
正孔輸送層9/有機発光層10/電子注入層11/陰極
12)を積層した、テスト用色変換方式カラー有機EL
表示素子21の上面図である。図4において、画素A
は、赤色変換フィルタ層2を形成された画素である。一
方、画素Bは、赤色変換フィルタ層を持たない画素であ
る。図5は、図4に記載される切断線V−Vにおけるテ
スト用色変換方式カラー有機EL表示素子21の断面図
である。
【0069】(実施例1) [赤色変換フィルタ層2の作成]蛍光色素として、クマ
リン6(0.6質量部)、ローダミン6G(0.3質量
部)、ベーシックバイオレット11(0.3質量部)
を、溶媒のプロピレングリコールモノエチルアセテート
(PEGMA)120質量部中へ溶解させた。該溶液に
対して、光重合性樹脂の「V259PA/P5」(商品
名、新日鐵化成工業株式会社)100質量部を加えて溶
解させた。次に、この溶液に対して、ヒンダードアミン
系添加剤としてチバガイギー製チヌビン123(式
(I)−3の化合物、0.4質量部)、トリアジン系紫
外線吸収剤としてチバガイギー製チヌビン400(0.
05質量部)を加え、塗液を得た。
【0070】上記のように調製した塗液を、透明基板1
としてのコーニングガラス(50×50×1.1mm)
上に、スピンコート法を用いて塗布し、フォトリソグラ
フ法によりパターニングを実施し、赤色変換フィルタ層
2の5mm平方、膜厚10μmのパターンを得た。
【0071】[ガスバリア層6の作成]この蛍光変換フ
ィルタの上に、UV硬化型樹脂(エポキシ変性アクリレ
ート)をスピンコート法にて塗布し、高圧水銀灯を照射
し、膜厚8μm(赤色変換フィルタ層上において)のガ
スバリア層6の第1層を形成した。この際に、蛍光変換
フィルタのパターンには変形が無く、かつ、第1層上面
は平坦であった。
【0072】前記の第1層上に、第2層として800n
mの厚さを有するSiNx膜をスパッタ法にて堆積させ
て、2層からなるガスバリア層6を形成した。この際
に、JIS5400記載の碁盤目試験にて、ガスバリア
層6を構成する第1層と第2層との密着性を評価したと
ころ、密着性は良好であった(>8点)。
【0073】以上の工程を経て作成されたガスバリア層
6(積層膜)の膜厚は、赤色変換フィルタ層2上におい
て、合計で8.8μmであった。
【0074】[有機EL素子の作成]図2に示すよう
に、上記のようにして製造した色変換フィルタの上に、
陽極7/正孔注入層8/正孔輸送層9/有機発光層10
/電子注入層11/陰極12の6層構成とした有機EL
素子(発光体)を形成した。
【0075】まず、幅4mmのパターンを2本形成する
ことができるメタルマスクを用い、フィルタ部の最上層
をなすガスバリア層6の上面にスパッタ法にて厚さ15
0nmの透明電極(ITO)を成膜した。この透明電極
を陽極7として用いた。
【0076】次いで、前記陽極7を形成した基板を抵抗
加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層8、正孔輸送層
9、有機発光層10、電子注入層11を、真空を破らず
に順次成膜した。成膜に際して、真空槽内圧を1×10
-4Paまで減圧した。正孔注入層8として、銅フタロシ
アニン(CuPc)を100nm積層した。正孔輸送層
9として、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N
−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を20n
m積層した。有機発光層10として、4,4’−ビス
(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVB
i)を30nm積層した。電子注入層11として、アル
ミニウムキレート(トリス(8−ヒドロキシキノリン)
アルミニウム錯体、Alq)を20nm積層した。表1
に、各層に用いた材料の構造式を示す。
【0077】
【表1】
【0078】次に、真空を破ることなしに、陽極(IT
O)7のラインと直交する幅4mmのパターンが得られ
るメタルマスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag
(質量比10/1)層からなる陰極12を形成した。
【0079】こうして得られた有機発光素子をグローブ
ボックス内乾燥窒素雰囲気下(酸素および水分濃度とも
に10ppm以下)において、封止ガラス(図示せず)
とUV硬化接着剤を用いて封止して、テスト用表示素子
とした。
【0080】(実施例2)赤色変換フィルタ層2の作成
において、添加剤を、ヒンダードアミン系化合物チバガ
イギー製チヌビン111FD(0.2質量部)、および
ベンゾトリアゾール系化合物チバガイギー製チヌビン9
28(0.01質量部)に変更したことを除いて、実施
例1の手法を繰り返して、テスト用表示素子を作製し
た。
【0081】(実施例3)赤色変換フィルタ層2の作成
において、添加剤を、ヒンダードアミン系化合物チバガ
イギー製チヌビン144(0.2質量部)、およびベン
ゾトリアゾール系化合物チバガイギー製チヌビン928
(0.01質量部)に変更したことを除いて、実施例1
の手法を繰り返して、テスト用表示素子を作製した。
【0082】(比較例1)赤色変換フィルタ層2の作成
において、添加剤を添加しなかったことを除いて、実施
例1の手法を繰り返して、テスト用表示素子を作製し
た。
【0083】(評価)各実施例および比較例において製
作した素子について、有機EL素子を100cd/m2
にて連続点灯させ、色変換フィルタ層の変換効率の時間
変化を測定した結果を図4に示した。変換効率は以下の
式によって算出した。 変換効率(%)={(画素Aの輝度)/(100cd/
2)}×100 なお、有機EL素子の輝度は画素Bを用いて確認した。
【0084】評価の結果、添加剤無添加の比較例に対
し、添加剤を添加した色変換フィルタは、有機ELパネ
ルの駆動による変換効率の低下が抑制されていることが
確認された。
【0085】
【発明の効果】本発明記載の添加剤を、色変換フィルタ
に添加することにより、有機EL発光素子の駆動による
色変換フィルタの機能低下を抑制した色変換フィルタ基
板を提供すること、および長期にわたって安定した発光
特性を維持する色変換方式有機ELカラーディスプレイ
の提供が可能となる。これによって、信頼性に優れ、広
い視野角特性を有する色変換方式の有機ELディスプレ
イが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色変換フィルタ基板を示す概略断面図
である。
【図2】本発明の色変換フィルタ基板を用いた有機EL
カラーディスプレイの概略断面図である。
【図3】本発明のテスト用色変換フィルタ基板を示す概
略断面図である。
【図4】本発明のテスト用色変換フィルタ基板を用いた
テスト用カラー有機EL表示素子の概略の上面図であ
る。
【図5】図4の切断線V−Vにおける、本発明のテスト
用カラー有機EL表示素子の概略の断面図である。
【図6】本発明の実施例1〜3および比較例について、
色変換フィルタの変換効率の有機EL素子駆動時間依存
性を示したグラフである。
【符号の説明】 1 透明支持基板 2 赤色変換フィルタ 3 緑色変換フィルタ 4 青色変換フィルタ 6 ガスバリア層 7 陽極 8 正孔注入層 9 正孔輸送層 10 有機発光層 11 電子注入層 12 陰極 21 テスト用カラー有機EL表示素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河村 幸則 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB04 AB11 BA06 BB01 BB04 BB06 CA01 CB01 DA01 DB03 EB00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な支持基板と、 該支持基板上に配置され蛍光色素を含有する樹脂膜を所
    望のパターンに形成してなる単一または複数種類の色変
    換フィルタ層と、 該色変換フィルタ層を被覆するガスバリア層とを少なく
    とも備え、該色変換フィルタ層は、該色変換フィルタを
    形成する樹脂に対して相分離する化合物が添加されたも
    のであることを特徴とする色変換フィルタ基板。
  2. 【請求項2】 前記化合物は、光安定剤であることを特
    徴とする請求項1に記載の色変換フィルタ基板。
  3. 【請求項3】 前記光安定剤は、ヒンダードアミン系化
    合物であることを特徴とする請求項2に記載の色変換フ
    ィルタ基板。
  4. 【請求項4】 透明な支持基板と、 該支持基板上に配置され蛍光色素を含有する樹脂膜を所
    望のパターンに形成してなる単一または複数種類の色変
    換フィルタ層と、 該色変換フィルタ層を被覆するガスバリア層とを少なく
    とも備え、該色変換フィルタ層中に、下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1〜R6は、それぞれC、H、Si、O、N、
    P、S、Cl、Br、Fの単独あるいはこれらの組合せ
    からなる基である)の構造を分子内に有するヒンダード
    アミン系化合物を少なくとも1種以上含有することを特
    徴とする色変換フィルタ基板。
  5. 【請求項5】 前記ガスバリア層中に、下記一般式
    (I) 【化2】 (式中、R1〜R6は、それぞれC、H、Si、O、N、
    P、S、Cl、Br、Fの単独あるいはこれらの組合せ
    からなる基である)の構造を分子内に有するヒンダード
    アミン系化合物を少なくとも1種以上含有することを特
    徴とする請求項3に記載の色変換フィルタ基板。
  6. 【請求項6】 前記ヒンダードアミン系化合物は、前記
    色変換フィルタ層の重量を基準として、0.01〜1
    0.00質量%の量で含有されることを特徴とする請求
    項3または4のいずれかに記載の色変換フィルタ基板。
  7. 【請求項7】 前記色変換フィルタ層は5μm以上の膜
    厚を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれ
    かに記載の色変換フィルタ基板。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし6のいずれかに記載の色
    変換フィルタ基板上に、少なくとも、1つまたは複数の
    電気的に独立した領域に形成される透明電極層と、発光
    材料を含有する発光層と、第2電極層とを順次積層して
    なることを特徴とする色変換カラーディスプレイ。
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