JP2006269226A - 色変換フィルタおよびそれを用いた色変換発光デバイス - Google Patents

色変換フィルタおよびそれを用いた色変換発光デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】 色変換発光デバイス表面を着色させることなしに、外光が入射した際の非点灯のデバイスの色味(すなわち、反射光の色相)を制御する方法の提供。
【解決手段】 透明基板と、該透明基板上に互いに独立して配設され、異なる出力波長分布を有する少なくとも2種の色変換フィルタ層とを含む色変換フィルタであって、少なくとも2種の色変換フィルタ層は、カラーフィルタ層と色変換層との積層体またはカラーフィルタ層とクリア層との積層体であって、最も長波長の出力波長分布を有する色変換フィルタ層を除く少なくとも2種の色変換フィルタ層の少なくとも1種は、光散乱性色変換層または光散乱性クリア層を含むことを特徴とする色変換フィルタ。
【選択図】 図2

Description

本発明は、色変換フィルタおよびそれを用いた色変換発光デバイスに関する。詳細には、イメージセンサー、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、テレビ、ファクシミリ、オーディオ、ビデオ、カーナビゲーション、電気卓上計算機、電話機、携帯端末機ならびに産業用計測器等の表示用の色変換フィルタおよび該色変換フィルタを具備する有機EL素子を用いた色変換発光デバイスに関する。
現在、さまざまな分野・用途において種々の表示装置が用いられている。これらの表示装置は、その機構に基づいて自発光型と非発光型の2つのタイプに分類される。自発光型表示装置の代表例は、陰極管(CRT)、EL(エレクトロルミネセンス)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、FED(フィールド・エミッション・ディスプレイ)などを含む。一方、非発光型表示装置の代表例は、液晶表示装置である。
自発光型表示装置において多色表示を可能にするためには、1)複数種の色の光(一般的には、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の3原色)を放射する複数種の発光素子を用いる方法(3色塗り分け法)、2)白色光を発光する1種類の素子を用いて、特定波長領域の光を透過させる複数種のカラーフィルタを用いる方法(カラーフィルタ法)、3)比較的高エネルギー域(たとえば、青色ないし青緑色)の光を発する1種類の素子を用い、その発光を波長分布変換して複数種の色の光を放射する方法(色変換法)などが提案されている。図1に、色変換方式の有機ELディスプレイの構成例を示した。
図1において、色変換フィルタ100は、透明基板1上に、複数種のカラーフィルタ層2(R,G,B)および色変換層3(R,G,B)の積層体(以後、本明細書中では色変換フィルタ層と総称する)を有し、該積層体の間隙には遮光層4が形成され、それらの層を覆うように平坦化層6が形成されている。そして、色変換フィルタ100の上に透明電極21、有機EL層22および反射電極23を含む有機EL素子200が形成されて、ディスプレイを構成している。なお、有機EL素子200の発光波長域に依存するが、高エネルギー域である青色変換層3Bは、色変換の機能を持たないクリア層であってもよい。複数種のカラーフィルタ層2は、色変換層から放射される光の色純度を向上させ、より高品位の美しい画像を表示させるための層である。
色変換方式の表示装置における現時点での問題点の1つは、非点灯時の表示装置に外光が入射した場合に、表示装置の表示面が種々の色に色づいてしまうことである。これは、表示装置中の色変換層3(R,G,B)の透過率がRGB各色において異なることにより、偏った波長分布を有する反射光が放射されるために起こる現象である。
表示装置が使用される特定の分野・用途においては、非点灯時の表示装置の色を該装置を取り巻くボディーフレームの色と一致またはそれに釣り合った色味(色相)にすることのように、非点灯時の表示装置の色味を自由に設計可能にすることが求められてきている。
この要求に対して、表示装置表面にフィルムを適用する方法が提案されてきている(特許文献1参照)。
特開平10−177850号公報
しかしながら、従来提案されている方法は、表示装置表面を着色させることに基づくものである。したがって、点灯時に色変換フィルタから放射される光もまた塗料ないしフィルムの影響を受け、所望されない色相を有する光が放射されてしまうこと、あるいはカラーフィルタ層において高められた色純度の低下などの問題を引き起こす恐れがある。
したがって、表示装置表面を着色させることなしに、外光が入射した際の非点灯の表示装置の色味(すなわち、反射光の色相)を制御することができる方法が、当該技術において強く求められている。
本発明の第1の実施形態である色変換フィルタは、透明基板と、該透明基板上に互いに独立して配設され、異なる出力波長分布を有する少なくとも2種の色変換フィルタ層とを含み、前記少なくとも2種の色変換フィルタ層は、カラーフィルタ層と色変換層との積層体またはカラーフィルタ層とクリア層との積層体であって、最も長波長の出力波長分布を有する色変換フィルタ層を除く前記少なくとも2種の色変換フィルタ層の少なくとも1種は、光散乱性色変換層または光散乱性クリア層を含むことを特徴とする。ここで、前記光散乱性色変換層または前記光散乱性クリア層は、光散乱性微粒子またはミクロ相分離を起こす添加物を含んでもよい。
本発明の第2の実施形態である色変換発光デバイスは、第1の実施形態の色変換フィルタと、一対の電極に挟持された有機EL層を含む有機EL素子とを含むことを特徴とする。ここで、有機EL素子は、色変換フィルタ上に形成されてもよい。あるいはまた、有機EL素子を別個の素子支持体上に形成して、色変換フィルタと貼り合わせてもよい。
以上のような構成を採ることにより、色変換フィルタまたは色変換発光デバイスに対して外光が入射する際に、特定色の散乱光を他の色とは独立的に制御して、色変換フィルタまたは色変換発光デバイスからの反射光の色相を制御することが可能となる。したがって、それら色変換フィルタまたは色変換発光デバイスの特定の用途における要求を満たすことが可能となる。また、本発明の構成においては、非点灯時の反射光の色相を制御すると同時に、色変換発光デバイスの点灯時の特性(輝度および色度)を維持することができる。
本発明の第1の実施形態に係る色変換フィルタは、透明基板と、該透明基板上に互いに独立して配設され、異なる出力波長分布を有する少なくとも2種の色変換フィルタ層とを含み、前記少なくとも2種の色変換フィルタ層は、カラーフィルタ層と色変換層との積層体またはカラーフィルタ層とクリア層との積層体であり、および最も長波長の出力波長分布を有する色変換フィルタ層(一般的に赤色変換フィルタ層)を除く前記少なくとも2種の色変換フィルタ層の少なくとも1種は、光散乱性色変換層または光散乱性クリア層を含むことを特徴とする。図2に3種(RGB)の色変換フィルタ層を有する色変換フィルタ100の第1の態様を示し、本実施形態を説明する。
図2において、透明基板1の上に、3種の色変換フィルタ層10(R,G,B)が積層されており、各色変換フィルタ層10の間隙には遮光層4が形成され、それらの層を覆うように平坦化層6が設けられている。図2の例においては、赤色変換フィルタ層10Rは赤色カラーフィルタ層2Rと赤色変換層3Rとの積層体であり、緑色変換フィルタ層10Gは緑色カラーフィルタ層2Gと光散乱性緑色変換層13Gとの積層体であり、青色変換フィルタ層10Bは青色カラーフィルタ層2Bとクリア層5との積層体である。色変換フィルタ100の上面に、透明電極21、有機EL層22および反射電極23を含む有機EL素子200が形成されている。なお、有機EL素子200の発光波長分布に依存して、クリア層5に代えて青色変換層3Bを使用してもよい。
透明基板1は、可視光(波長400〜700nm)に対して透明であり、積層される層の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものであるべきであり、および寸法安定性に優れていることが好ましい。好ましい透明基板は、ガラス基板、およびポリオレフィン、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートを含む)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリカーボネート樹脂、またはポリイミド樹脂などの樹脂で形成された剛直性の樹脂基板を含む。あるいはまた、ポリオレフィン、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートを含む)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリカーボネート樹脂、またはポリイミド樹脂などから形成される可撓性フィルムを、基板として用いてもよい。ガラス、ならびにポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート等の樹脂を含む。ホウケイ酸ガラスまたは青板ガラス等が特に好ましいものである。
カラーフィルタ層2は、入射光の特定の波長成分のみを透過させて、出力光の色純度を向上させるための層である。通常のフルカラーディスプレイの場合、赤色カラーフィルタ層2Rは600nm以上の波長成分を透過させ、緑色カラーフィルタ層2Rは500〜600nmの波長成分を透過させ、青色カラーフィルタ層2Bは400〜500nmの波長成分を透過させるように設計される。カラーフィルタ層2は、感光性樹脂中に色素を分散させた着色感材を塗布し、パターン状露光および現像を行うことによって、所望のパターンに形成されることが一般的である。最近では、耐久性の観点から、色素として顔料を使用することが多くなってきている。カラーフィルタ層2に用いることができる顔料は、アゾレーキ系、不溶性アゾ系、縮合アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、アントラキノン系、ペリノン系、チオイン系、ペリレン系、およびそれらの混合物などを含む。現在市販されているフラットパネルディスプレイ用のカラーフィルタ材料を用いてカラーフィルタ層2を形成してもよい。
色変換層3は、マトリクス樹脂と色変換色素とを含む。色変換色素は、入射する近紫外領域ないし可視領域の光を吸収して波長分布変換を行い、異なる波長の可視光を放射する色素である。赤色変換層3Rにおいては、青色ないし青緑色の光を吸収して赤色領域の光を放射する色素の1種または複数種を用いることができ、必要に応じて青色ないし青緑色の光を吸収して緑色領域の光を放射する色素の1種または複数種と組み合わせて用いてもよい。また、緑色変換層3Gにおいては、青色ないし青緑色の光を吸収して緑色領域の光を放射する色素の1種または複数種を用いることができる。色変換層3における波長分布変換を行うことによって、たとえば赤色または緑色領域の成分が充分に含まれてない光源を用いても充分な強度を有する赤色または緑色光を得ることが可能となる。
光源から発せられる青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の光を放射する赤色変換色素としては、例えばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウムパークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などが挙げられる。
光源から発せられる青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の光を放射する緑色変換色素としては、例えば3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などが挙げられる。
通常のパターニングをする必要がある場合には、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)中に前述の色変換色素を分散させた分散物を塗布、パターン状露光および現像して色変換層4を形成することができる。この場合、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)の硬化物がマトリクス樹脂として機能する。用いることができる光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)は、具体的には、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤とからなる組成物、(2)ボリビニル桂皮酸エステルと増感剤とからなる組成物、(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからなる組成物(ナイトレンが発生して、オレフィンを架橋させる)、および(4)エポキシ基を有するモノマーと酸発生剤とからなる組成物などを含む。特に、(1)のアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと光または熱重合開始剤とからなる組成物を用いることが好ましい。なぜなら、該組成物は高精細なパターニングが可能であり、および重合して硬化した後は耐溶剤性、耐熱性等の信頼性が高いからである。ここで、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂中の樹脂自身が光または熱により重合することが可能である場合には、光重合開始剤および熱重合開始剤を添加しないことも可能である。
あるいはまた、色変換色素およびマトリクス樹脂を含む溶液を調製し、該溶液をスクリーン印刷し、そして乾燥させることによって色変換層3を形成してもよい。この場合のようにフォトリソグラフ法などを用いたパターニングを必要としない場合、マトリクス樹脂としては、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、またはこれらの樹脂混合物を用いることができる。
クリア層5は、透明なマトリクス樹脂からなる層であり、複数種の色変換フィルタ層10を用いる場合にその上面の平坦化を補助するための層である。たとえば、光源が青色(高エネルギー領域)の波長成分を充分に含む場合、図2に示すように青色変換フィルタ層10Bにおいて、青色変換層3Bではなくクリア層5を使用することができる。クリア層5は、色変換色素を含まないことを除いて色変換層3と同様に形成することができる。
平坦化層6は、色変換フィルタ上に形成される有機EL素子200の透明電極21と反射電極23間の短絡の原因となる色変換フィルタ層10の凹凸を平滑化するために、任意選択的に設けることができる層である。色変換フィルタ層10を覆う平坦化層5は、色変換フィルタ層10の機能を損なうことなく形成することができ、かつ適度な弾力性を有する材料から形成することができる。平坦化層6は、単層から構成されてもよいし、複数の材料を積層したものであってもよい。好ましい材料は、表面硬度が鉛筆硬度2H以上であり、0.3MPa以上のヤング率を有し、光出力部上に平滑な塗膜を形成することができ、色変換層3および光散乱性色変換層13の機能を低下させないポリマー材料である。より好ましくは、該材料は、可視域における透明性が高く(400〜800nmの範囲で透過率50%以上)、電気絶縁性を有するポリマー材料である。平坦化層6は、任意選択の層であるが、上記目的のために設けることが好ましい層である。
そのようなポリマー材料の例は、イミド変性シリコーン樹脂、無機金属化合物(TiO、Al、SiO等)をアクリル、ポリイミド、シリコーン樹脂等の中に分散した材料、アクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーの反応性ビニル基を有した樹脂、レジスト樹脂、フッ素系樹脂、または高い熱伝導率を有するメソゲン構造を有するエポキシ樹脂などの光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらポリマー材料を用いて平坦化層6を形成する方法には、特に制限はない。たとえば、乾式法(スパッタ法、蒸着法、CVD法など)、あるいは湿式法(スピンコート法、ロールコート法、キャスト法など)のような慣用の手法により形成することができる。
また、光源が酸素、水分またはアルカリなどに弱い場合、平坦化層6の上にパッシベーション層をさらに設けて、酸素、水分およびアルカリに対するバリア性を付加することによって光源の信頼性を向上させることができる。パッシベーション層は、例えば、SiO、SiN、SiN、AlO、TiO、TaOまたはZnOのような無機酸化物または無機窒化物を使用して形成することができる。また、その形成法は特に制約が無く、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法、ディップ法などの慣用の手段を用いることができる。
図2の構成において、緑色変換フィルタ層10Gは、光散乱性緑色変換層13Gを含む。光散乱性色変換層13は、光散乱性粒子を添加すること、あるいはそのマトリクス樹脂にミクロ相分離を起こさせる添加剤を添加することによって、光散乱性が付与された色変換層である。
光散乱性粒子は、色変換フィルタ層を形成するマトリクス樹脂と異なる屈折率を有し、該マトリクス樹脂に不溶であり、および可視光領域の光に対して透明な微粒子であることができる。光散乱性粒子の材料の屈折率は該マトリクス樹脂の屈折率より大きくても小さくてもよく、かつ該材料の屈折率とマトリクス樹脂の屈折率との差が大きいことが好ましい。光散乱性粒子は、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、または種々のシリコーンポリマーを用いて形成される微粒子であることができる。あるいはまた、SiO、AlO、TiO、TaO、ZnOのような無機酸化物、SiNのような無機窒化物、またはSiOのような無機酸窒化物の微粒子を用いてもよい。
あるいはまた、光散乱性粒子は、マトリクス樹脂に不溶であり、および可視光領域の光に対する反射率が高い微粒子であってもよい。このような反射率が高い微粒子は、AuまたはAgなどの貴金属、またはCuなどの金属を用いて形成することができる。
光散乱性色変換層13は、色変換色素または光散乱性粒子を光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(マトリクス樹脂の前駆体)またはマトリクス樹脂中に分散させた分散物を用いて、前述のように作製することができる。ここで、光散乱性粒子は、高精細なパターニングと充分な光散乱を両立させるために、1μm以下の粒径を有することが好ましい。また、非点灯時の外光の充分な散乱と点灯時の表示出力光の強度とを両立するために、光散乱性粒子は、光散乱性色変換層13の総重量を基準として1〜5質量%の量で添加されることが好ましい。
本発明において色変換層のマトリクス樹脂にミクロ相分離を起こさせる添加剤は、低分子化合物または高分子化合物であってもよく、好ましくはヒンダードアミン系化合物、またはベンゾエート系ないしNi系の光安定剤として知られる化合物であってもよい。これらの添加物の添加により色変換フィルタ層中に相分離を発生させ、2つ以上のミクロに分離された相とすることにより、色変換層における散乱を増大させることができる。本発明に用いられる添加剤は、光散乱性色変換層の重量を基準として、0.01〜10.00質量%、より好ましくは0.10〜3.00質量%の量で用いられる。このような含有量で添加剤を用いることによって、非点灯時の外光の充分な散乱と点灯時の表示出力光の強度とを両立させることが可能となる。
以上のように光散乱性粒子またはミクロ相分離を起こさせる添加剤を添加された光散乱性色変換層13G(緑色変換フィルタ層10Gの一部をなす)に外光が入射した場合、該層中で光が散乱し、その散乱光の一部が当該色のカラーフィルタ層2Gを通して外部へと放射される。したがって、本発明の色変換フィルタから放出される反射光において当該色の成分(緑色成分)が増大し、反射光の色相を当該色(緑色)方向に変化させることが可能となる。
図3に、本実施形態の色変換フィルタ100の第2の態様を示す。第2の態様においては、緑色変換フィルタ層10Gに光散乱粒子または添加剤を含まない緑色変換層3Gを用い、青色変換フィルタ層10Bに光散乱性クリア層15を用いたことを除いて、第1の態様と同様の構成を有する。
緑色変換層3Gは、光散乱性粒子およびマトリクス樹脂にミクロ相分離を起こさせる添加剤を含まないことを除いて、第1の態様の光散乱性緑色変換層13Gと同様にして形成することができる。
光散乱性クリア層15は、透明なマトリクス樹脂に対して光散乱性粒子およびマトリクス樹脂にミクロ相分離を起こさせる添加剤を添加することによって、光散乱性が付与されたクリア層である。添加される光散乱性粒子およびマトリクス樹脂にミクロ相分離を起こさせる添加剤としては、第1の態様に記載のものを用いることができる。第1の態様の光散乱性緑色変換層13Gと同様に、光散乱性粒子を添加する場合は、その添加量を光散乱性クリア層15の総重量を基準として1〜5質量%として、非点灯時の外光の充分な散乱と点灯時の表示出力光の強度とを両立することが好ましい。また、ミクロ相分離を起こさせる添加剤を用いる場合にも、光散乱性クリア層15の重量を基準として0.01〜10.00質量%、より好ましくは0.10〜3.00質量%の量で添加剤を添加して、非点灯時の外光の充分な散乱と点灯時の表示出力光の強度とを両立することが好ましい。
上記の第2の態様に示したように、青色変換フィルタ層10Bの一部をなす光散乱性クリア層15を導入することによって、外光入射時に放出される反射光において当該色の成分(青色成分)が増大し、反射光の色相を当該色(青色)方向に変化させることが可能となる。
なお、前述の第1および第2の態様においては、緑色変換フィルタ層10Gまたは青色変換フィルタ層10Bの一方のみに光散乱性を有する層を導入したが、必要に応じて緑色変換フィルタ層10Gおよび青色変換フィルタ層10Bの両方に光散乱性を有する層を導入してもよい。この場合には、両層に添加する光散乱性粒子および/またはマトリクス樹脂にミクロ相分離を起こさせる添加剤の量を調整して、所望の色相を得ることが可能である。
本発明の第2の実施形態の色変換発光デバイスは、第1の実施形態の色変換フィルタ100と、一対の電極に挟持された有機EL層22を有する有機EL素子200とを含むことを特徴とする。ここで、一対の電極の内、色変換フィルタ100側の電極が透明電極21であり、他方の電極が反射電極23である。有機EL素子200は、図2および図3に示すように色変換フィルタ100の上面に形成されてもよい。あるいはまた、別個の基板(素子支持体)上に反射電極23、有機EL層22、および透明電極21の順に積層した有機EL素子を、色変換フィルタと貼り合わせることによって色変換発光デバイスを形成してもよい。
透明電極21は、有機EL層22に対して効率よく電子または正孔を注入することとともに、有機EL層22の発光波長域において透明であることが求められる。透明電極21は、波長400〜800nmの光に対して50%以上の透過率を有することが好ましい。透明電極21は、透明導電性材料である、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、SnO、ZnOなどの導電性無機化合物を用いて形成することができる。透明電極21は、スパッタ法などを用いて形成することができる。
透明電極21を陰極として用いる場合、有機EL層22と接触する部位にバッファ層を設けて電子注入効率を向上させることが好ましい。バッファ層としては、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との合金や化合物の極薄膜(10nm)を用いることができる。これらの仕事関数の小さい材料を用いることにより効率のよい電子注入を可能とし、さらに極薄膜とすることによりこれら材料による透明性低下を最低限とすることが可能となる。
反射電極23は、好ましくは可視光に対して80%以上の光反射率を有し、高反射率の金属(Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなど)、アモルファス合金(NiP、NiB、CrP、CrBなど)または微結晶性合金(NiAlなど)を用いて形成することができる。
反射電極23を陽極として用いる場合、有機EL層22と接触する側に、仕事関数が大きなITO、IZOなどの導電性金属酸化物の層を有する積層構造として、正孔注入効率を向上させてもよい。
一方、反射電極23を陰極として用いる場合、前述の高反射率金属、アモルファス合金または微結晶性合金に対して、仕事関数が小さい材料であるリチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属を添加して合金化し、電子注入効率を向上させることができる。あるいはまた、前述のようなバッファ層を有機EL層22との界面に形成してもよい。
有機EL層22は、青色から青緑色領域の光を発する。本発明においては、有機EL層22は、少なくとも発光層を含み、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。具体的には、下記のような層構成からなるものが採用される。
(1)発光層
(2)正孔注入層/発光層
(3)発光層/電子注入層
(4)正孔注入層/発光層/電子注入層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層
(上記において、陽極は発光層または正孔注入層に接続され、陰極は発光層または電子注入層に接続される)
上記各層の材料としては、公知のものが使用される。青色から青緑色の発光を得るためには、有機EL発光層中に、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。
本発明において、透明電極21および反射電極23をそれぞれストライプ形状を有する複数の部分電極で構成し、透明電極21のストライプが延びる方向と反射電極23のストライプが延びる方向とを交差する方向(好ましくは、直交する方向)とすることによって、パッシブマトリクス駆動型有機EL素子を形成してもよい。あるいはまた、透明電極21または反射電極23の一方を、TFT等のスイッチング素子と1対1に接続される複数の部分電極で構成し、他方を一体として形成される共通電極で構成することによってアクティブマトリクス型有機EL素子を形成してもよい。
本発明の色変換発光デバイスにおいて、図2および図3に示されるように色変換フィルタ上に有機EL素子を形成する場合、周囲環境に存在する水分および酸素などからデバイスを保護する目的で、ガラスなどの封止基板を用いてデバイスを封止してもよい。封止基板の貼り合わせは、UV硬化型、熱硬化型などの各種接着剤を用いて行うことが可能である。あるいはまた、デバイスの有機EL素子側を封止樹脂で被覆することによって封止を行うことも可能である。
あるいはまた、有機EL素子を色変換フィルタとは別基板(素子支持体)上に形成し、そして有機EL素子と色変換フィルタとを貼り合わせることによって色変換発光デバイスを形成してもよい。貼り合わせには、UV硬化型、熱硬化型などの各種接着剤を用いることができ、該接着剤中に貼り合わせ間隔を規定するためのスペーサを混合してもよい。
(実施例1)
本実施例は、図3に示した構造を有する色変換発光デバイスの作製を例示する。
透明基板1上に、遮光層用塗液(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製CK8400L)をスピンコート法にて全面に塗布し、80℃にて加熱乾燥後、フォトリソグラフ法を用いて幅方向80μm×長手方向300μmの複数の開口部を330μmピッチ(幅方向、長さ方向とも)で有する厚さ1μmの遮光層4を得た。
次いで、青色カラーフィルタ材料(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製カラーモザイクCB−7001)をスピンコート法にて全面に塗布し、フォトリソグラフ法を用いて遮光層4の開口部に合わせて、幅80μm、ピッチ330μm(幅方向)、厚さ2μmの長手方向に延びるストライプパターンを有する青色カラーフィルタ層2Bを形成した。次に、透明レジスト材料(新日鐵化学製:VPA100、パターニング後の屈折率1.59)に光散乱性微粒子としてSiO微粒子(平均粒径0.5μm、屈折率1.46〜1.50)を5質量%(塗液固形分総重量を基準とする)添加した塗液を、スピンコート法にて積層し、フォトリソグラフ法を用いてパターニングを行い青色カラーフィルタ2B上に幅80μm、ピッチ330μm(幅方向)、厚さ10μmのストライプパターンを有する光散乱性クリア層15を形成した。
次いで、緑色および赤色カラーフィルタ材料(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製カラーモザイクCG−7001およびCR−7001)をスピンコート法にて全面に塗布し、フォトリソグラフ法を用いて遮光層4の開口部に合わせて、それぞれ幅80μm、ピッチ330μm(幅方向)、厚さ2μmの長手方向に延びるストライプパターンを有する緑色カラーフィルタ層2Gおよび赤色カラーフィルタ層2Rを形成した。
次に、クマリン6(0.7質量部)を、プロピレングリコールモノエチルアセテート(PEGMA)120質量部に溶解させた色変換色素溶液を調製した。該溶液に対して、100質量部の光重合性樹脂「VPA100」(商品名、新日鐵化成工業株式会社)を添加して溶解させ、塗布液を得た。この塗布液をスピンコート法にて塗布し、フォトリソグラフ法によるパターニングを施して、緑色カラーフィルタ層2G上に、幅80μm、ピッチ330μm(幅方向)、厚さ10μmの長手方向に延びるストライプパターンを有する緑色変換層3Gを形成した。
次に、クマリン6(0.6質量部)、ローダミン6G(0.3質量部)、ベーシックバイオレット11(0.3質量部)を、プロピレングリコールモノエチルアセテート(PEGMA)120質量部に溶解させた色変換色素溶液を調製した。該溶液に対して、100質量部の光重合性樹脂「VPA100」(商品名、新日鐵化成工業株式会社)を添加して溶解させ、塗布液を得た。この塗布液をスピンコート法にて塗布し、フォトリソグラフ法によるパターニングを施して、赤色カラーフィルタ層2R上に、幅80μm、ピッチ330μm(幅方向)、厚さ10μmの長手方向に延びるストライプパターンを有する赤色変換層3Rを形成した。
以上のように形成された遮光層4および色変換フィルタ層10(R,G,B)の上にUV硬化型樹脂(エポキシ変性アクリレート)をスピンコート法にて塗布し、高圧水銀灯を照射して、平坦化層6を形成した。平坦化層6の上面は概平坦であり、各色変換フィルタ層上で2μmの膜厚を有した。
平坦化層6の上に、デュアルカソードを用いた室温における交流スパッタ法により、パッシベーション層(不図示)として膜厚300nmの酸化ケイ素膜を形成した。酸化ケイ素膜の形成においては、ホウ素添加の抵抗率0.1ΩcmのSiのスパッタターゲット、Ar(100sccm)およびO(45sccm)の混合ガスであるスパッタガス、ターゲットと基板との間の距離120mm、成膜圧力0.6Pa、電力密度4W/cm、搬送速度50mm/分の条件を用いた。
以上のように得られた色変換フィルタ100の上に、透明電極21、有機EL層22および反射電極23からなる有機EL素子を積層した。
スパッタターゲットとしてIZO、スパッタガスとしてAr/酸素混合ガスを用いるDCスパッタ法により、膜厚200nmのIZO膜を全面に形成した。そして、フォトリソグラフ法によってレジストをパターニングした後に、シュウ酸をエッチング液としてIZO膜のパターニングを行い、幅100μm、ピッチ330μm(幅方向)のストライプパターンを有する透明電極21を形成した。透明電極のストライプパターンは、各色変換フィルタ層の構成層のストライプパターンと同様に長手方向に延びるものである。パターニングの後にレジストを除去し、乾燥処理(150℃)およびUV処理(室温および150℃)を行った。
次いで透明電極21を形成した積層物を抵抗加熱蒸着装置内に装着して、有機EL層22を形成した。有機EL層22は、正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層の4層構成とした。真空槽内圧を1×10−5Paまで減圧し、厚さ100nmの銅フタロシアニン(CuPc、正孔注入層)、厚さ20nmの4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD、正孔輸送層)、厚さ30nmの4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi、発光層)、および厚さ20nmのアルミニウムトリス(8−キノリノラート)(Alq、電子注入層)を、真空を破ることなく積層して、有機EL層22を得た。さらに真空を破ることなしに、マスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag(質量比10:1)を積層して、ストライプパターンの反射電極23を形成した。反射電極23のストライプパターンは、透明電極21のものと直交して幅方向に延び、幅300μm、ピッチ330μmを有する。
最後に、グローブボックス内の乾燥窒素雰囲気(酸素および水分ともに10ppm以下)中において、封止ガラス(不図示)およびUV硬化型接着剤を用いて、有機EL素子を形成した側を封止して、色変換発光デバイスを得た。
(実施例2)
本実施例は、図2に示した構造を有する色変換発光デバイスの作製を例示する。光散乱性クリア層15に代えてクリア層5を形成したこと、および緑色変換層3Gに代えて光散乱性緑色変換層13Gを形成したことを除いて、実施例1と同様の手順によって色変換発光デバイスを作製した。
クリア層5の形成は、透明レジスト材料(新日鐵化学製:VPA100)をスピンコート法による積層、およびフォトリソグラフ法を用いたパターニングによって行った。クリア層5は、青色カラーフィルタ2B上に幅80μm、ピッチ330μm(幅方向)、厚さ10μmのストライプパターンで形成された。
光散乱性緑色変換層13Gの形成を以下のように行った。クマリン6(0.7質量部)を、プロピレングリコールモノエチルアセテート(PEGMA)120質量部に溶解させた色変換色素溶液を調製した。該溶液に対して、100質量部の光重合性樹脂「VPA100」(商品名、新日鐵化成工業株式会社)を添加して溶解させた。得られた溶液に対して、さらに光散乱性微粒子としてSiO微粒子(平均粒径0.5μm、屈折率1.46〜1.50)を5質量%(塗布液固形分総重量を基準とする)添加して塗布液を得た。この塗布液をスピンコート法にて塗布し、フォトリソグラフ法によるパターニングを施して、緑色カラーフィルタ層2G上に、幅80μm、ピッチ330μm(幅方向)、厚さ10μmのストライプパターンを有する光散乱性緑色変換層3Gを形成した。
(実施例3)
光散乱性クリア層15の形成において、光散乱性微粒子であるSiO微粒子に代えて、マトリクス樹脂にミクロ相分離を起こさせる添加剤としてヒンダードアミン系化合物(チバガイギー製チヌビン123)0.4質量%(固形分総重量を基準とする)を添加したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して色変換発光デバイスを作製した。
(実施例4)
光散乱性緑色変換層13Gの形成において、光散乱性微粒子であるSiO微粒子に代えて、マトリクス樹脂にミクロ相分離を起こさせる添加剤としてヒンダードアミン系化合物(チバガイギー製チヌビン123)0.4質量%(固形分総重量を基準とする)を添加したことを除いて、実施例2の手順を繰り返して色変換発光デバイスを作製した。
(比較例1)
光散乱性クリア層15の形成において、光散乱性微粒子であるSiO微粒子を用いなかったことを除いて、実施例1の手順を繰り返して図1に示す色変換発光デバイスを作製した。
(評価)
実施例1〜4および比較例1で作製した色変換発光デバイスに関して、非点灯時の反射光の色相の主観評価およびL表色系(CIE、JIS Z8729)による物体色評価を行って比較した。なお、物体色評価では、図6に示すような構成を用いた。すなわち、白色光源301(Xeランプなど)からの光線321を、反射ミラー302などを用いて、試料台303に載置された測定試料304(透明基板1を上に向けた色変換発光デバイス)に45゜の角度で入射させ、測定試料204上表面の法線方向に設置した分光放射輝度計305にて反射光322の色相を評価して物体色とした。評価結果を第1表および図4に示す。
Figure 2006269226
第1表に示したように、光散乱性色変換層または光散乱性クリア層を用いた実施例1〜4では、比較例1と比較して、反射光の色相の主観評価および物体色ともに変化した。具体的には、光散乱性クリア層15を含む青色変換フィルタ層10Bを用いた実施例1および3では反射光の色相が青色となり、光散乱性緑色変換層13Gを含む緑色変換フィルタ層10Gを用いた実施例2および4では反射光の色相が緑色となった。なお、各実施例および比較例の色変換発光デバイスにおいて、点灯時の各色の輝度および色度に変化は見られなかった。以上のことから、本願発明の色変換フィルタは、点灯時の発光特性を維持しながら、非点灯時の外光入射の際の各色の色変換フィルタ層を経由する反射光の強度を独立的に制御して、デバイスの物体色を変化させることが可能であることが明らかとなった。
(実施例5)
光散乱性粒子であるSiO微粒子の添加量を、1質量%、3質量%、5質量%(実施例1)、7質量%と変化させて、実施例1の手順を繰り返して色変換発光デバイスを作製した。作製したデバイスの非点灯時のL表色系(CIE、JIS Z8729)による物体色評価を行って比較した。結果を図5に示す。添加量1質量%においても物体色の変化が認められ、添加量5質量%までは、添加量の増大にしたがって物体色が青色方向(aのマイナス方向)に変化した。しかしながら、添加量7質量%においては、デバイス表面が白っぽくなり、かつ点灯時の輝度が大幅に低下した。この検討結果から、光散乱性粒子の添加量としては1質量%以上5質量%以下が適当であることが分かる。
(実施例6)
光散乱性粒子であるSiO微粒子の添加量を、1質量%、3質量%、5質量%(実施例2)、7質量%と変化させて、実施例2の手順を繰り返して色変換発光デバイスを作製した。作製したデバイスの非点灯時のL表色系(CIE、JIS Z8729)による物体色評価を行って比較した。結果を図5に示す。添加量1質量%においても物体色の変化が認められ、添加量5質量%までは、添加量の増大にしたがって物体色が緑色方向(bのマイナス方向)に変化した。しかしながら、添加量7質量%においては、デバイス表面が白っぽくなり、かつ点灯時の輝度が大幅に低下した。この検討結果から、光散乱性粒子の添加量としては1質量%以上5質量%以下が適当であることが分かる。
従来技術の色変換フィルタと有機EL素子とを用いた色変換発光デバイスを示す概略断面図である。 本発明の第1の実施態様の色変換フィルタと、有機EL素子とを用いた色変換発光デバイスを示す概略断面図である。 本発明の第2の実施態様の色変換フィルタと、有機EL素子とを用いた色変換発光デバイスを示す概略断面図である。 実施例1〜4および比較例1の色変換発光デバイスの非点灯時の物体色を示すグラフである。 実施例5〜6および比較例1の色変換発光デバイスの非点灯時の物体色を示すグラフである。 色変換発光デバイスの物体色を評価するための測定系を示す概略図である。
符号の説明
1 透明基板
2(R,G,B) カラーフィルタ層
3(R,G,B) 色変換層
4 遮光層
5 クリア層
6 平坦化層
10(R,G,B) 色変換フィルタ層
13(G) 光散乱性色変換層
15 光散乱性クリア層
21 透明電極
22 有機EL層
23 反射電極
100 色変換フィルタ
200 有機EL素子
301 白色光源
302 反射ミラー
303 試料台
304 測定試料
305 分光放射輝度計
321 光線
322 反射光

Claims (6)

  1. 透明基板と、該透明基板上に互いに独立して配設され、異なる出力波長分布を有する少なくとも2種の色変換フィルタ層とを含む色変換フィルタであって、
    前記少なくとも2種の色変換フィルタ層は、カラーフィルタ層と色変換層との積層体またはカラーフィルタ層とクリア層との積層体であって、
    最も長波長の出力波長分布を有する色変換フィルタ層を除く前記少なくとも2種の色変換フィルタ層の少なくとも1種は、光散乱性色変換層または光散乱性クリア層を含むことを特徴とする色変換フィルタ。
  2. 前記光散乱性色変換層または前記光散乱性クリア層は、光散乱性微粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の色変換フィルタ。
  3. 前記光散乱性色変換層または前記光散乱性クリア層は、ミクロ相分離を起こす添加物を含むことを特徴とする請求項1に記載の色変換フィルタ。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の色変換フィルタと、一対の電極に挟持された有機EL層を含む有機EL素子とを含むことを特徴とする色変換発光デバイス。
  5. 前記有機EL素子が前記色変換フィルタ上に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の色変換発光デバイス。
  6. 前記有機EL素子が素子支持体上に形成されており、前記色変換フィルタと前記有機EL素子とが貼り合わせられていることを特徴とする請求項4に記載の色変換発光デバイス。
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