JP2015088322A - 光取り出し部材、及び有機電界発光装置 - Google Patents

光取り出し部材、及び有機電界発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】製造プロセスにおける平坦化層の耐久性が高く、光拡散層とバリア層との密着性が高く、かつ発光効率に優れる光取り出し部材を提供すること。また、上記光取り出し部材を有し、発光効率の観点で優れる有機電界発光装置を提供すること。
【解決手段】フレキシブル基板、バリア層、易接着層、光拡散層、及び平坦化層をこの順に有する光取り出し部材であって、易接着層は鉛筆硬度がB以下であり、光拡散層は有機樹脂を含有するバインダーと光拡散粒子を含み、平坦化層は有機樹脂を含有するバインダーを含み、かつ鉛筆硬度がH以上である、光取り出し部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、光取り出し部材、及び有機電界発光装置に関する。
有機電界発光装置は、基板上に陽極及び陰極からなる一対の電極と、一対の電極の間に、発光層を含む有機層を有する自発光型の発光装置であり、種々の用途への適用が期待されている。
有機電界発光装置では、発光層で発生した光の取り出し効率を向上させるために、光を散乱させる機能を有する光拡散層を設けたり、水蒸気や酸素等のガスの侵入を防ぐバリア層を設けたりすることが知られている。
また、有機電界発装置は、軽量化、薄層化が可能であるとの利点に加え、樹脂フィルムなどのフレキシブルな基板を用いることで、これまで実現できなかった形状の照明などを実現できる可能性を有している。
たとえば、特許文献1には、樹脂フィルム上に、ガスバリア層と、表面に光を拡散する構造を有する応力緩和層を積層した有機エレクトロルミネッセンス用樹脂フィルム基板が記載されている。
特開2012−109255号公報
光拡散層は、生産性の観点からは、光拡散粒子とアクリレートなどのバインダー形成用硬化性化合物を含有する組成物を塗布し、硬化させて作製するのが好ましいが、この場合、光拡散層の硬度が高くなる。また、光拡散層は膜厚も厚いため、特にフレキシブルな基板上に、バリア層と光拡散層を積層すると、製造時のハンドリングで基板を曲げた場合や、曲面形状に有機電界発光装置を適用しようとした場合などに層の剥離が生じるという問題がある。
また、有機電界発光装置の作製において、光拡散層の凹凸面上にITO等の透光性電極材料をスパッタ等により成膜することは難しいため、平坦化層を設けることがある。透光性電極材料の成膜やその後のパターニング工程(フォトリソ工程、エッチング工程など)に耐え得るように平坦化層は高硬度であることが好ましいが、フレキシブルな基板を用いた場合、平坦化層が高硬度であると、曲げた場合や、ロール状(ロール・ツー・ロールでの製造など)にした場合に割れや剥離が生じてしまうため、平坦化層の硬度を高くできないという問題があった。
本発明は、以下の目的を達成することを課題とする。
すなわち、本発明は、製造プロセスにおける平坦化層の耐久性が高く、光拡散層とバリア層との密着性が高く、かつ発光効率に優れる光取り出し部材を提供することを目的とする。また、上記光取り出し部材を有し、発光効率の観点で優れる有機電界発光装置を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討し、光拡散層とバリア層の間に特定の硬度の易接着層を設けることにより、発光効率を低下させずに、光拡散層とバリア層との密着性を高めることができ、かつ、高硬度な平坦化層を設けた場合でも割れや剥離を抑制することができることを見出した。
すなわち、上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1]
フレキシブル基板、バリア層、易接着層、光拡散層、及び平坦化層をこの順に有する光取り出し部材であって、
上記易接着層は、鉛筆硬度がB以下であり、
上記光拡散層は、有機樹脂を含有するバインダーと光拡散粒子を含み、
上記平坦化層は、有機樹脂を含有するバインダーを含み、かつ鉛筆硬度がH以上である、
光取り出し部材。
[2]
上記易接着層の平均膜厚が300nm以下である[1]に記載の光取り出し部材。
[3]
上記易接着層がポリオレフィン、又はポリウレタンから形成される[1]又は[2]に記載の光取り出し部材。
[4]
上記易接着層が樹脂の有機溶剤分散物から得られる[1]〜[3]のいずれか一項に記載の光取り出し部材。
[5]
上記光拡散層の有機樹脂を含有するバインダーが、硬化性化合物と重合開始剤とを含む組成物を硬化したものである[1]〜[4]のいずれか一項に記載の光取り出し部材。
[6]
上記光拡散層の膜厚が3μm以上である[1]〜[5]のいずれか一項に記載の光取り出し部材。
[7]
上記平坦化層の有機樹脂を含有するバインダーが、硬化性化合物と重合開始剤とを含む組成物を硬化したものである[1]〜[6]のいずれか一項に記載の光取り出し部材。
[8]
上記バリア層が、有機材料からなる有機層と、無機材料からなる無機層とを積層した多層構造を有する[1]〜[7]のいずれか一項に記載の光取り出し部材。
[9]
上記フレキシブル基板がポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、又はポリエーテルサルフォンフィルムである[1]〜[8]のいずれか一項に記載の光取り出し部材。
[10]
[1]〜[9]のいずれか一項に記載の光取り出し部材の平坦化層上に、第一電極、有機発光層を含む有機層、及び第二電極をこの順に有する有機電界発光装置。
本発明によれば、製造プロセスにおける平坦化層の耐久性が高く、光拡散層とバリア層との密着性が高く、かつ発光効率に優れる光取り出し部材を提供することができる。また、上記光取り出し部材を有し、発光効率の観点で優れる有機電界発光装置を提供することができる。
本発明の光取り出し部材の一例を示す模式図である。 本発明の有機電界発光装置の一例を示す模式図である。
[光取り出し部材]
本発明の光取り出し部材は、フレキシブル基板、バリア層、易接着層、光拡散層、及び平坦化層をこの順に有する積層体である。
本発明の易接着層は鉛筆硬度がB以下であり、光拡散層は有機樹脂を含有するバインダーと光拡散粒子を含み、平坦化層は有機樹脂を含有するバインダーを含み、かつ鉛筆硬度がH以上である。
本発明の光取り出し部材は、有機電界発光装置用の光取り出し部材として用いられることが好ましい。
図1に本発明の光取り出し部材の一例の断面を表す模式図を示した。図1に記載された光取り出し部材10は、フレキシブル基板1の一方の面上に、バリア層2、易接着層3、光拡散層4、平坦化層5をこの順に有する。光拡散層4は、有機樹脂を含有するバインダー41と光拡散粒子42を含む。
<フレキシブル基材>
本発明におけるフレキシブル基板は、可撓性を有するものであれば、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、形状としては、例えば平板状などが挙げられ、構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、大きさとしては、光取り出し部材の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
フレキシブル基板の材料としては、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ガラス(無アルカリガラス、ソーダライムガラス等)等の無機材料(好ましくは厚さが100μm程度の薄膜のもの)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド(PI)、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリエーテルサルフォン(PES)などの樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル、ポリエーテルサルフォン(PES)が好ましく、ロールでの塗布適性の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びポリエーテルサルフォン(PES)が特に好ましい。
フレキシブル基板は、透光性を有することが好ましく、可視光の透過率80%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。
フレキシブル基板の表面は、その上に設ける層との密着性を向上させるため、表面活性化処理を行ってもよい。表面活性化処理としては、例えばグロー放電処理、コロナ放電処理などが挙げられる。
フレキシブル基板の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常10μm以上500μm以下が好ましく、50μm以上100μm以下がより好ましい。
フレキシブル基板の屈折率は、1.3以上1.8以下が好ましく、1.4以上1.7以下がより好ましく、1.4以上1.6以下が更に好ましい。
<バリア層>
本発明におけるバリア層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、有機材料からなる有機層単独であってもよいし、無機材料からなる無機層単独であってもよいし、有機材料からなる有機層と無機材料からなる無機層とを積層した多層構造であってもよい。ガスバリア性能の観点から、バリア層は有機材料からなる有機層と無機材料からなる無機層とを積層した多層構造であることが好ましい。
無機材料としては、例えばSiNx、SiON、SiO、Al、TiOなどが挙げられる。
有機材料としては、例えばシリコーン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマーなどが挙げられる。
バリア層の形成方法としては、特に制限はなく、材料に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布法、CVD法、真空蒸着法、スパッタ法などが挙げられる。
バリア層の屈折率(多層構造の場合は、平均屈折率)は、1.7以上が好ましく、1.8〜2.2がより好ましい。
バリア層の光学的性質は、可視光の光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。
バリア層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜10μmが好ましく、0.1μm〜5μmがより好ましく、0.2μm〜3μmが更に好ましい。バリア層の平均厚みが、0.1μm以上であると、大気中の酸素及び水分の透過を防ぐ封止機能が充分となり、10μm以下であると、光線透過率が向上し、透光性に優れ、また、無機材料を単層で用いる場合、応力差により割れ、隣接層との剥離等が抑制され、バリア性が向上する。
<易接着層>
本発明における易接着層は鉛筆硬度がB以下である。
ここで、「鉛筆硬度がB以下」とは、鉛筆硬度がBであるか、又はBより柔らかいことを表す。鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4に基づいて測定されるものであり、鉛筆引っかき試験で傷を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度である。
易接着層の鉛筆硬度はB以下であり、7B、6B、5B、4B、が好ましく、7B、6Bがより好ましい。
易接着層の鉛筆硬度がB以下であれば、バリア層と光拡散層との密着性が向上し、鉛筆硬度がH以上の平坦化層を積層しても割れや剥がれが生じない。
易接着層の膜厚は、発光効率向上の観点から800nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、300nm以下が更に好ましい。また、密着性を保持する観点からは易接着層の膜厚は100nm以上であることが好ましい。
易接着層の材料としては、上記鉛筆硬度の範囲内であれば特に制限はないが、有機樹脂が好ましく、ポリオレフィン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シアノアクリレート樹脂、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールが挙げられ、ポリオレフィン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニルがより好ましく、ポリオレフィン、ポリウレタンが更に好ましく、ポリオレフィンが特に好ましい。これらの樹脂の含有量は、易接着層の全固形分の70質量%以上99質量%以下であることが好ましく、80質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
易接着層は、有機EL素子の耐久性の観点から水を含有しないことが好ましく、易接着層の含水率は500ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましい。したがって、易接着層は樹脂の有機溶剤分散物を用いて形成されることが好ましい。
<光拡散層>
本発明における光拡散層は、層に入射した光を拡散させる機能を有する。
光拡散層は、有機樹脂を含有するバインダーと光拡散粒子とを含有する。
(バインダー)
光拡散層に含まれるバインダーは、有機樹脂を含有してなることが好ましい。
有機樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)熱可塑性樹脂、(2)反応性硬化性樹脂と硬化剤との組み合わせ、又は(3)バインダー前駆体(後述する硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)と重合開始剤との組み合わせから得られるポリマー、などが挙げられる。生産性の観点からは、(3)のバインダー前駆体(硬化性化合物であって、好ましくは後述する硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)と重合開始剤との組み合わせから得られるポリマーであることが好ましい。すなわち、光拡散層の有機樹脂を含有するバインダーは、硬化性化合物と重合開始剤とを含む組成物を硬化したものであることが好ましい。
(1)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩ビニル−酸ビ共重合体樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリメタアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、イミド樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂が好ましく、フルオレン構造を有するアクリル又はメタクリルから誘導されるポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂がより好ましく、フルオレン構造を有するポリアクリル樹脂が特に好ましい。
(2)反応性硬化性樹脂と硬化剤との組み合わせ
反応性硬化性樹脂としては、熱硬化型樹脂及び/又は電離放射線硬化型樹脂を使用することが好ましい。
熱硬化型樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂などが挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラジカル重合性不飽和基{(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、スチリル基、ビニル基等}及び/又はカチオン重合性基(エポキシ基、チオエポキシ基、ビニルオキシ基、オキセタニル基等)の官能基を有する樹脂で、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの反応性硬化性樹脂に必要に応じて、架橋剤(エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、メラミン化合物等)、重合開始剤(アゾビス化合物、有機過酸化化合物、有機ハロゲン化合物、オニウム塩化合物、ケトン化合物等のUV光開始剤等)等の硬化剤、重合促進剤(有機金属化合物、酸化合物、塩基性化合物等)等の従来公知の化合物を加えて使用する。具体的には、例えば、山下普三、金子東助「架橋剤ハンドブック」(大成社、1981年刊行)記載の化合物が挙げられる。
(3)バインダー前駆体と重合開始剤との組み合わせから得られるポリマー
以下、硬化したバインダーの好ましい形成方法である上記(3)の組み合わせを用いて、光照射により硬化性化合物を架橋又は重合反応させて硬化したバインダーを形成する方法について、主に説明する。
バインダーの前駆体である光硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、ラジカル重合性官能基、及びカチオン重合性官能基のいずれでもよい。
ラジカル重合性官能基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基などが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロイル基が特に好ましく、分子内に2個以上のラジカル重合性基を含有する多官能モノマーを含有することが特に好ましい。
ラジカル重合性多官能モノマーとしては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する化合物から選ばれることが好ましい。好ましくは、分子中に2〜6個の末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。このような化合物群はポリマー材料分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー(即ち2量体、3量体及びオリゴマー)又はそれらの混合物、及びそれらの共重合体などの化学的形態をもつことができる。
ラジカル重合性モノマーとしては、例えば不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類などが挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が特に好ましい。
また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類やアミド類と、単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類との反応物も好適である。更に別の例として、前述の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物としては、例えばアルカンジオール、アルカントリオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサントリオール、イノシットール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン等が挙げられる。これら脂肪族多価アルコール化合物と、不飽和カルボン酸との重合性エステル化合物(モノエステル又はポリエステル)としては、例えば、特開2001−139663号公報の段落番号〔0026〕〜〔0027〕に記載の化合物が挙げられる。
その他の重合性エステルとしては、例えば、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報等に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開平2−226149号公報等に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を有するもの等も好適に用いられる。
更に脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とから形成される重合性アミドの具体例としては、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、特公昭54−21726号公報記載のシクロヘキシレン構造を有するもの等を挙げることができる。
更にまた、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物(特公昭48−41708号公報等)、ウレタンアクリレート類(特公平2−16765号公報等)、エチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物(特公昭62−39418号公報等)、ポリエステルアクリレート類(特公昭52−30490号公報等)、更に、日本接着協会誌20巻7号 300〜308頁(1984年)に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマーも使用することができる。これらラジカル重合性の多官能モノマーは、2種類以上を併用してもよい。
次に、光拡散層のバインダーの形成に用いることができるカチオン重合性基含有の化合物(以下、「カチオン重合性化合物」又は「カチオン重合性有機化合物」とも称する)について説明する。
カチオン重合性化合物は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/又は架橋反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、環状チオエーテル化合物、環状エーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニル炭化水素化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができる。カチオン重合性有機化合物のうちの1種を用いても2種以上を用いてもよい。
カチオン重合性基含有化合物としては、1分子中のカチオン重合性基の数は2〜10個が好ましく、2〜5個がより好ましい。カチオン重合性基含有化合物の重量平均分子量は、3,000以下が好ましく、200〜2,000がより好ましく、400〜1,500が更に好ましい。重量平均分子量が、200以上であれば、皮膜形成過程での揮発が問題となるなどの不都合が生じることがなく、3,000以下であれば、光拡散層形成材料との相溶性が悪くなるなどの問題を生じないので好ましい。
エポキシ化合物としては、例えば脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物などが挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのホモポリマー、コポリマーなどを挙げることができる。更に、前述のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。また、脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、又は不飽和脂環族環(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロオクテン、トリシクロデセン等)含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。
芳香族エポキシ化合物としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価もしくは多価のフェノール、又はそのアルキレンオキサイド付加体のモノもしくはポリグリシジルエーテルを挙げることができる。これらのエポキシ化合物として、例えば、特開平11−242101号公報中の段落番号〔0084〕〜〔0086〕に記載の化合物、特開平10−158385号公報中の段落番号〔0044〕〜〔0046〕に記載の化合物等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、脂環式エポキシドが更に好ましい。エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
環状チオエーテル化合物としては、エポキシ化合物のエポキシ環の代わりに、チオエポキシ環を有する化合物が挙げられる。
環状エーテル化合物としてのオキセタニル基を含有する化合物としては、具体的には、例えば特開2000−239309号公報の段落番号〔0024〕〜〔0025〕に記載の化合物等が挙げられる。これらの化合物は、エポキシ基含有化合物と併用することが好ましい。
スピロオルソエステル化合物としては、例えば特表2000−506908号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
ビニル炭化水素化合物としては、例えばスチレン化合物、ビニル基置換脂環炭化水素化合物(ビニルシクロヘキサン、ビニルビシクロヘプテン等)、ラジカル重合性モノマーで記載の化合物、プロペニル化合物{“J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry”,32巻2895頁(1994年)記載等}、アルコキシアレン化合物{“J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry”,33巻2493頁(1995年)記載等}、ビニル化合物{“J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry”,34巻1015頁(1996年)、特開2002−29162号公報等記載}、イソプロペニル化合物{“J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry”,34巻2051頁(1996年)記載等}などが挙げられる。これらは2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、多官能性化合物は、ラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも各1種を少なくとも分子内に含有する化合物を用いることが好ましい。例えば、特開平8−277320号公報中の段落番号〔0031〕〜〔0052〕に記載の化合物、特開2000−191737号公報中の段落番号〔0015〕に記載の化合物等が挙げられる。本発明に供される化合物は、これらに限定されるものではない。
以上述べたラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを、ラジカル重合性化合物:カチオン重合性化合物の質量比率で、90:10〜20:80の割合で含有していることが好ましく、80:20〜30:70の割合で含有していることがより好ましい。
−重合開始剤−
バインダーは、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
重合開始剤は、光及び/又は熱照射により、ラジカルもしくは酸を発生する化合物が好ましい。光重合開始剤は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、取り扱いを白灯下で実施することができる。また、近赤外線領域に極大吸収波長を持つ化合物を用いることもできる。
ラジカルを発生する化合物は、光及び/又は熱照射によりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を、開始、促進させる化合物を指す。公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを、適宜、選択して用いることができる。また、ラジカルを発生する化合物は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
ラジカルを発生する化合物としては、例えば、従来公知の有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤等の熱ラジカル重合開始剤、有機過酸化化合物(特開2001−139663号公報等)、アミン化合物(特公昭44−20189号公報記載)、メタロセン化合物(特開平5−83588号公報、特開平1−304453号公報等記載)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物(米国特許第3,479,185号明細書等記載)、ジスルホン化合物(特開平5−239015号公報、特開昭61−166544号公報等)、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、有機ホウ酸化合物、ホスフィンオキサイド化合物、ホスホナート化合物等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。ラジカル発生剤としてより好ましくは、ホスフィンオキサイド化合物、ホスホナート化合物であり、特に好ましくはアシルフォスフィンオキサイド、アシルホスホナート等が挙げられ、具体的にはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである。
有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林等の“Bull.Chem.Soc Japan”,42巻2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号公報、M.P.Hutt,“J.Heterocyclic Chemistry”,1巻(3号)、(1970年)」等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。
カルボニル化合物としては、例えば、「最新 UV硬化技術」60ページ〜62ページ[株式会社技術情報協会刊、1991年]、特開平8−134404号公報の段落番号〔0015〕〜〔0016〕、特開平11−217518号公報の段落番号〔0029〕〜〔0031〕に記載の化合物などが挙げられる。また、アセトフェノン系、ヒドロキシアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサン系、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体、ベンジルジメチルケタール、アシルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martin,“Rad.Tech’98.Proceeding April 19〜22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物が挙げられる。例えば、特開2002−116539号公報の段落番号〔0022〕〜〔0027〕に記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
これらのラジカル発生化合物は、1種のみを添加しても、2種以上を併用してもよい。添加量としては、ラジカル重合性モノマー全量に対し、0.1質量%〜30質量%が好ましく、0.5質量%〜25質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%が更に好ましい。上記添加量の範囲において、バインダー形成材料の経時安定性が問題なく高い重合性となる。
次に、光重合開始剤として用いることができる光酸発生剤について詳述する。
光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、又はマイクロレジスト等に使用されている公知の光酸発生剤等、公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。また、光酸発生剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物、オニウム化合物などが挙げられる。これらの中でも、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物が特に好ましい。有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物の具体例は、ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。
オニウム化合物としては、例えばジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられ、例えば特開2002−29162号公報の段落番号〔0058〕〜〔0059〕に記載の化合物、などが挙げられる。
酸発生剤としては、オニウム塩が特に好適に用いられ、中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。
オニウム塩の具体例としては、例えば、特開平9−268205号公報の段落番号〔0035〕に記載のアミル化されたスルホニウム塩、特開2000−71366号公報の段落番号〔0010〕〜〔0011〕に記載のジアリールヨードニウム塩又はトリアリールスルホニウム塩、特開2001−288205号公報の段落番号〔0017〕に記載のチオ安息香酸S−フェニルエステルのスルホニウム塩、特開2001−133696号公報の段落番号〔0030〕〜〔0033〕に記載のオニウム塩等が挙げられる。
光酸発生剤の他の例としては、特開2002−29162号公報の段落番号〔0059〕〜〔0062〕に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、光分解してスルホン酸を発生する化合物(イミノスルフォネート等)等の化合物が挙げられる。
これらの酸発生剤は、1種のみをそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。酸発生剤の添加量は、全カチオン重合性モノマーの全質量に対し0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜15質量%がより好ましく、1質量%〜10質量%が更に好ましい。添加量が、上記範囲において、バインダー形成材料の安定性、重合反応性等から好ましい。
バインダー形成材料は、ラジカル重合性化合物又はカチオン重合性化合物の合計質量に対して、ラジカル重合開始剤を0.5質量%〜10質量%又はカチオン重合開始剤を1質量%〜10質量%の割合で含有していることが好ましく、ラジカル重合開始剤を1質量%〜5質量%、又はカチオン重合開始剤を2質量%〜6質量%の割合で含有することがより好ましい。
光拡散層中のバインダーの屈折率は、光取り出し効率の観点から、1.7以上2.2以下が好ましく、1.7以上2.1以下がより好ましく、1.7以上2.0以下が更に好ましい。
また光拡散層中のバインダーの屈折率は、発光層の屈折率と同等乃至高いことが好ましい。
(光拡散粒子)
光拡散粒子としては、光を拡散可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機粒子であっても、無機粒子であってもよく、2種以上の粒子を含有していても構わない。
有機粒子としては、例えばポリメチルメタクリレート粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、アクリル−スチレン共重合体粒子、メラミン粒子、ポリカーボネート粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、ポリ塩化ビニル粒子、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子、などが挙げられる。
無機粒子としては、例えばZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、などが挙げられる。これらの中でも、TiO、ZrO、ZnO、SnOが特に好ましい。
これらの中でも、光拡散粒子としては、耐溶剤性とバインダー中の分散性の点で架橋状態の樹脂粒子が好ましく、架橋ポリメチルメタクリレート粒子が特に好ましい。
光拡散粒子が、架橋状態の樹脂粒子であることは、溶剤、例えばトルエン中に分散させ、樹脂粒子の溶け難さを見ることで確認することができる。
光拡散粒子の屈折率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0以上3.0以下が好ましく、1.2以上2.0以下がより好ましく、1.3以上1.7以下が更に好ましい。屈折率が、1.0以上3.0以下であると、光拡散(散乱)が強くなりすぎないため、光取り出し効率が向上しやすい。
光拡散粒子の屈折率は、例えば自動屈折率測定器(KPR−2000、株式会社島津製作所製)を用い、屈折液の屈折率を測定してから、精密分光計(GMR−1DA、株式会社島津製作所製)で、シュリブスキー法により測定することができる。
光拡散粒子の平均粒径は、0.5μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上6μm以下がより好ましく、1μm以上3μm以下が更に好ましい。光拡散粒子の平均粒径が、10μm以下であると、光が前方散乱になりにくく、光拡散粒子による光の角度を変換する能力が低下しにくい。光拡散粒子の平均粒径が、0.5μm以上であると、可視光の波長より小さくならず、ミー散乱がレイリー散乱の領域に変化しにくいため、光拡散粒子の散乱効率の波長依存性が大きくならず、有機電界発光装置の色度が変化しにくく、また、後方散乱が強くなりすぎず、光取り出し効率が低下しにくい。
光拡散粒子の平均粒径は、例えば日機装株式会社製ナノトラックUPA−EX150等の動的光散乱法を利用した装置や、電子顕微鏡写真の画像処理により測定することができる。
光拡散層における光拡散粒子の含有量は、30体積%以上66体積%以下が好ましく、40体積%以上60体積%以下がより好ましく、45体積%以上55体積%以下が特に好ましい。含有量が、30体積%以上であると、光拡散層に入射してきた光が光拡散粒子に散乱される確率が高く、光拡散層の光角度を変換する能力が大きいので、光拡散層の厚みを大きくしなくても光取り出し効率が向上する。また、光拡散層の厚みを大きくしなくてよいためコスト低減に繋がり、光拡散層の厚みのバラツキが小さくなり、発光面内の散乱効果にバラツキが生じにくい。一方、含有量が、66体積%以下であると、光拡散層の表面が大きく荒れすぎず、内部にも空洞が生じにくいため、光拡散層の物理的強度が低下しにくい。
光拡散層は、光取り出し効率の観点から、樹脂粒子と、光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子とを含むことが好ましい。
<光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子>
光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子は、光触媒活性を有していなければ特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(1)酸化チタン微粒子表面をアルミナ、シリカ、及びジルコニアの少なくとも1種で被覆した酸化チタン微粒子、(2)上記(1)の被覆した酸化チタン微粒子の被覆表面に樹脂を被覆してなる酸化チタン微粒子などが挙げられる。樹脂としては、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)などが挙げられる。
光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子が、光触媒活性を有さないことの確認は、例えばメチレンブルー法により行うことができる。
光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子における酸化チタン微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼが主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。
酸化チタン微粒子は、酸化チタン以外の金属酸化物を添加して複合化させても構わない。
酸化チタン微粒子に複合化させることができる金属酸化物としては、Sn、Zr、Si、Zn、及びAlから選択される少なくとも1種の金属酸化物が好ましい。
金属酸化物のチタンに対する添加量は、1モル%〜40モル%が好ましく、2モル%〜35モル%がより好ましく、3モル%〜30モル%が更に好ましい。
光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子の含有量は、バインダーに対し、10体積%以上50体積%以下であることが好ましく、10体積%以上40体積%以下がより好ましく、20体積%以上40体積%以下が更に好ましい。含有量が、10体積%以上であると、バインダーの屈折率を上げる作用に優れ、光取り出し効果が向上し、50体積%以下であれば、レイリー散乱が強くならず、光取り出し効果が抑制されにくい。
本発明においては、バインダーの屈折率Aと光拡散粒子の屈折率Bとの屈折率差|A−B|(絶対値)は、0.2以上1.0以下であることが好ましく、0.2以上0.5以下がより好ましく、0.2以上0.4以下が更に好ましい。屈折率差|A−B|が、0.2以上であると、光拡散(散乱)が弱くなりすぎず、光取り出し効率が向上しやすく、1.0以下であると、光拡散(散乱)が強くなりすぎず、光取り出し効率が向上しやすい。
(溶媒)
光拡散層は、上記バインダー若しくはバインダー形成用材料と、光拡散粒子と、必要に応じて重合開始剤とを含有する光拡散層形成用材料により形成することができる。また、光拡散層形成用材料は溶媒を含有してもよい。
溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばアルコール類、ケトン類、エステル類、アミド類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。具体的には、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート等)、ケトン(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エステル(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、乳酸エチル等)、脂肪族炭化水素(例えばヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例えばメチルクロロホルム等)、芳香族炭化水素(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)、アミド(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等)、エーテル(例えばジオキサン、テトラハイドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等)、エーテルアルコール(例えば1−メトキシ−2−プロパノール、エチルセルソルブ、メチルカルビノール等)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、芳香族炭化水素、ケトン類が好ましく、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンがより好ましく、トルエン、キシレンが特に好ましい。
光拡散層の平均膜厚は、3μm以上が好ましく、3μm以上10μm以下がより好ましく、3.4μm以上8μm以下が更に好ましく、3.8μm以上6μm以下が特に好ましい。平均膜厚が3μm以上であると、十分な光拡散が得られ、光取り出し効率が向上しやすく、10μm以下であると、光散乱が強くなりすぎず、光取り出し効率が向上しやすい。
光拡散層の平均膜厚は、光拡散層の一部を切り取り、表面形状測定装置(Dektak 150:Veeco社製)で測定して求めることができる。
光拡散層は、上記各種材料を、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、エクストルージョンコート法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、光及び/又は熱照射することにより作製することが好ましい。より好ましくは、光照射による硬化が迅速硬化の点から有利である。更には、光硬化処理の後、光重合開始剤による光拡散層の硬化(重合反応)を止める上で加熱処理することも好ましい。この場合、加熱温度としては、60℃〜105℃が好ましく、70℃〜100℃がより好ましく、70℃〜90℃が更に好ましい。
光照射の光源は、光重合開始剤の反応する波長(吸収波長)付近であればいずれでもよく、吸収波長が紫外領域の場合、光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長350nm〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。また、吸収波長が赤外領域の場合、光源としてはハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプが挙げられ、波長750nm〜1,400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。
光照射による光ラジカル重合の場合は、空気又は不活性気体中で行うことができるが、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、又は重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。酸素濃度範囲は0〜1,000ppmが好ましく、0〜800ppmがより好ましく、0〜600ppmが更に好ましい。照射する紫外線の照射強度は、0.1mW/cm〜100mW/cmが好ましく、塗布膜表面上での光照射量は、100mJ/cm〜10,000mJ/cmが好ましく、100mJ/cm〜5,000mJ/cmがより好ましく、100mJ/cm〜1,000mJ/cmが特に好ましい。光照射量が、100mJ/cm未満であると、光拡散層が十分に硬化せず、光拡散層上に平坦化層を塗布する際に溶解、また、基板洗浄時に崩壊することがある。一方、光照射量が、10,000mJ/cmを超えると、光拡散層の重合が進み過ぎ表面が黄変し、透過率が低下し、光取り出し効率が低下することがある。また、光照射工程での温度は、15℃〜70℃が好ましく、20℃〜60℃がより好ましく、25℃〜50℃が特に好ましい。温度が、15℃未満であると、光重合による光拡散層の硬化に時間がかかることがあり、70℃を超えると、光重合開始剤自体に影響を及ぼし、光重合(硬化)できなくなることがある。
<平坦化層>
本発明における平坦化層は、有機樹脂を含有するバインダーを含み、かつ鉛筆硬度がH以上である。
ここで、「鉛筆硬度がH以上」とは、鉛筆硬度がHであるか、又はHより硬いことを表す。鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4に基づいて測定されるものであり、鉛筆引っかき試験で傷を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度である。
平坦化層の鉛筆硬度はH以上であり、3H、4H、5H、6Hが好ましく、4H、5Hがより好ましい。
平坦化層の鉛筆硬度がH以上であれば、有機電界発光装置の製造プロセスにおける耐久性が十分となる。
平坦化層の有機樹脂を含有するバインダーとしては、鉛筆硬度がH以上となる材料であれば特に限定されず、光拡散層において光拡散粒子を含まない組成であることが好ましく、光拡散粒子を含まないこと以外は光拡散層と同様にして形成することができ、特に、光拡散層において記載した(3)のバインダー前駆体(硬化性化合物であって、好ましくは硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)と重合開始剤との組み合わせから得られるポリマーであることが好ましい。すなわち、平坦化層の有機樹脂を含有するバインダーは、硬化性化合物と重合開始剤とを含む組成物を硬化したものであることが好ましい。
平坦化層の平均膜厚は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜10μmが好ましく、2μm〜8μmがより好ましく、3μm〜7μmが特に好ましい。平坦化層の平均膜厚が1μm以上であると、突出した光拡散層の表面を平坦化することができ、10μm以下であると、平坦化層の光の吸収により光取り出し能が低下しにくい。
光拡散層と平坦化層の合計平均膜厚は、2μm〜15μmが好ましく、3μm〜14μmがより好ましく、5μm〜12μmが特に好ましい。合計平均膜厚が2μm以上あれば十分な拡散、平坦化ができ、15μm以下であれば、平坦化層での吸収、光拡散層での過剰な拡散により光取り出し効率が低下することがない。
平坦化層の屈折率は、光取り出し効率の観点から、1.7以上2.2以下が好ましく、1.7以上2.1以下がより好ましく、1.7以上2.0以下が更に好ましい。
平坦化層の屈折率は、光拡散層の屈折率と同等乃至高いことが好ましい。
(光取り出し部材の製造方法)
本発明の光取り出し部材の製造方法は、フレキシブル基板上に、バリア層形成材料を塗布し、バリア層を形成するバリア層形成工程と、
上記バリア層上に、易接着層形成材料を塗布し、易接着層を形成する易接着層形成工程と、
上記易接着層上に、光拡散層形成材料を塗布し、光拡散層を形成する光拡散層形成工程と、
上記光拡散層上に、平坦化層形成材料を塗布し、平坦化層を形成する平坦化層形成工程とを含むことが好ましい、また、更に必要に応じてその他の工程を含んでもよい。
光拡散層形成工程が、光拡散層形成材料に重合開始剤を添加してから24時間以内に行われ、平坦化層形成工程が、平坦化層形成材料に重合開始剤を添加してから24時間以内に行われることが、光拡散層形成材料及び平坦化層形成材料の重合が進行して徐々に粘度が変化し、塗布後の膜厚異常、硬化不足などを防ぐことができる点で好ましい。
本発明の光取り出し部材は、プロセス耐性に優れ、かつ光取り出し効率を高めることができるので、有機電界発光装置などに好適に用いることができる。
[有機電界発光装置]
本発明の有機電界発光装置は、上記本発明の光取り出し部材を有する。
本発明の有機電界発光装置は、上記本発明の光取り出し部材の平坦化層上(光拡散層とは反対側の面上)に、第一電極と、少なくともひとつの有機発光層を含む有機層と、第二電極とをこの順に有することが好ましい。
また、封止缶内に、少なくとも、有機層及び第二電極が封入されていることが好ましく、封止缶内に、第一電極、有機層及び第二電極が封入されていることがより好ましい。
図2に本発明の有機電界発光装置の一例の模式図を示す。図2の有機電界発光装置100は図1に記載された光取り出し部材の平坦化層5上に第一電極11、発光層を含む有機層12及び第二電極13をこの順に有し、封止缶14により封止されている。
<第一電極>
本発明の有機電界発光装置は、上記光取り出し部材の平坦化層上(光拡散層とは反対側の面上)に第一電極を有することが好ましい。第一電極は陽極として使用されるのが好ましい。
第一電極は、透光性を有することが好ましく、透光性電極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物が好適に挙げられる。具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
透光性電極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、透光性電極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って、光拡散層上に形成することができる。例えば、透光性電極の材料として、ITOを選択する場合には、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。
透光性電極を形成する際のパターニングとしては、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等によって行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
透光性電極の厚みとしては、透光性電極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常、10nm〜50μm程度であり、50nm〜20μmが好ましい。
透光性電極の抵抗値としては、103Ω/□(Ω/sq.)以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。透光性電極は、無色透明であっても、有色透明であってもよい。透光性電極側から発光を取り出すためには、その可視光透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
透光性電極については、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、ここに記載される事項を本発明に適用することができる。
透光性電極の形状、及び大きさは特に制限はなく、有機電界発光装置の用途、目的に応じて、適宜選択することができる。
<有機層>
本発明の有機電界発光装置の有機層は少なくとも発光層を含む。発光層以外の機能層としては、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
有機層は、陽極と発光層との間に正孔輸送層を有することが好ましく、陰極と発光層との間に電子輸送層を有することが好ましい。更に、正孔輸送層と陽極との間に正孔注入層を設けてもよく、電子輸送層と陰極との間に電子注入層を設けてもよい。
また、発光層と正孔輸送層との間に正孔輸送性中間層(電子ブロック層)を設けてもよく、発光層と電子輸送層との間に電子輸送性中間層(正孔ブロック層)を設けてもよい。各機能層は複数の二次層に分かれていてもよい。
発光層を含むこれらの機能層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布方式、転写法、印刷法、インクジェット方式等のいずれによっても好適に形成することができる。
(発光層)
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
発光層は、発光材料を含む。発光層は発光材料のみで構成されていてもよいし、ホスト材料と発光材料の混合層でもよい(後者の場合、発光材料を「発光性ドーパント」もしくは「ドーパント」と称する場合がある)。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であってもよく、2種以上が混合されていてもよい。ホスト材料は電荷輸送材料が好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であってもよい。更に、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。
発光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2nm〜500nmであるのが好ましく、外部量子効率の観点で、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
発光材料は、燐光発光材料、蛍光発光材料等のいずれも好適に用いることができる。
発光材料は、ホスト化合物との間で、イオン化ポテンシャルの差(ΔIp)と電子親和力の差(ΔEa)が、1.2eV>△Ip>0.2eV、及び/又は1.2eV>△Ea>0.2eVの関係を満たすドーパントであることが、駆動耐久性の観点で好ましい。
発光層中の発光材料は、発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されるが、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、2質量%〜50質量%含有されることがより好ましい。
ホスト材料としては、正孔輸送性に優れる正孔輸送性ホスト材料(正孔輸送性ホストと記載する場合がある)及び電子輸送性に優れる電子輸送性ホスト化合物(電子輸送性ホストと記載する場合がある)を用いることができる。
正孔注入層、又は正孔輸送層は、陽極又は陽極側の層から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いられる正孔注入材料、正孔輸送材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。具体的には、ピロール誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、チオフェン誘導体、有機シラン誘導体、カーボン、等を含有する層が好ましい。
電子注入層、又は電子輸送層は、陰極又は陰極側の層から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる電子注入材料、電子輸送材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
具体的には、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フタラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、シロールに代表される有機シラン誘導体、等を含有する層が好ましい。
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が陰極側に通り抜けることを防止する機能を有する層であり、通常、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として設けられる。
一方、電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が陽極側に通り抜けることを防止する機能を有する層であり、通常、発光層と陽極側で隣接する有機化合物層として設けられる。
正孔ブロック層を構成する化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。電子ブロック層を構成する化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが利用できる。
正孔ブロック層及び電子ブロック層の厚みは、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、正孔ブロック層及び電子ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
<第二電極>
本発明の有機電界発光装置は、有機層の第一電極とは反対側に第二電極を有することが好ましい。第二電極は陰極として使用されるのが好ましい。
第二電極(陰極)は、通常、有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
陰極を構成する材料としては、例えば、単体金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独の材料から構成されていてもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上の材料を好適に組み合わせて構成された陰極を使用することもできる。
これらの中でも、陰極を構成する材料としては、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されており、これらの広報に記載の材料は、本発明においても適用することができる。
陰極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前述の陰極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。例えば、陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
陰極を形成するに際してのパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
本発明において、陰極形成位置は特に制限はなく、有機層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と有機層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
陰極の厚みは、陰極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜1μmが好ましい。
また、陰極は、透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。透光性を有していない場合は反射電極として機能するのが好ましい。なお、透光性を有する陰極は、陰極の材料を1〜10nmの厚さに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透光性を有する導電性材料を積層することにより形成することができる。
(封止缶)
封止缶としては、第一電極、有機層、第二電極、有機層、平坦化層、光拡散層などが封入できる大きさ、形状、構造などを有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
封止缶と第一電極、第二電極、有機層、平坦化層、及び光拡散層などの間の空間には、水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。
水分吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウムなどが挙げられる。
不活性液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類;パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤;塩素系溶剤、シリコーンオイル類などが挙げられる。
有機電界発光装置は、フルカラーで表示し得る装置として構成することができる。
有機電界発光装置をフルカラータイプのものとする方法としては、例えば「月刊ディスプレイ」、2000年9月号、33〜37ページに記載されているように、色の3原色(青色(B)、緑色(G)、赤色(R))に対応する光をそれぞれ発光する層構造を基板上に配置する3色発光法、白色発光用の層構造による白色発光をカラーフィルタ層を通して3原色に分ける白色法、青色発光用の層構造による青色発光を蛍光色素層を通して赤色(R)及び緑色(G)に変換する色変換法、などが知られている。
この場合は、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)の画素ごとにレーザーパワー、厚みを適宜調整することが好ましい。
また、上記方法により得られる、異なる発光色の層構造を複数組み合わせて用いることにより、所望の発光色の平面型光源を得ることができる。例えば、青色及び黄色の発光装置を組み合わせた白色発光光源、青色(B)、緑色(G)、及び赤色(R)の有機電界発光装置を組み合わせた白色発光光源、等である。
有機電界発光装置は、例えば、照明機器、コンピュータ、車載用表示器、野外表示器、家庭用機器、業務用機器、家電用機器、交通関係表示器、時計表示器、カレンダ表示器、ルミネッセントスクリーン、音響機器等をはじめとする各種分野において好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<光拡散層、平坦化層、及び易接着層の平均厚み>
光拡散層、平坦化層、及び易接着層の平均厚みは、各層の一部を切り取り、表面形状測定装置(Dektak 150:Veeco社製)で測定して求めることができる。
<屈折率の測定>
光拡散層及び平坦化層を構成するバインダーの屈折率は、Si基板、又は石英基板上に光の波長程度の厚さにバインダーを成膜し、その成膜した基板上のバインダーをエリプソメーターにて屈折率を測定することができる。
作製した調製例1のシリカ/ポリマー被覆酸化チタン微粒子、調製例2のアルミナ/ポリマー被覆酸化チタン微粒子、並びに表面をアルミナ及びジルコニアで被覆した酸化チタン分散液(平均直径15nmの酸化チタンのナノ粒子が分散、屈折率2.45)「材料名:酸化チタン分散トルエン、商品名:高透明性酸化チタンスラリーHTD−760T」について、以下のようにして、光触媒活性の有無を測定した。その結果、いずれの粒子も光触媒活性が抑制され、光触媒効果の無い酸化ジルコニウム粒子と同等であることが分かった。
<光触媒活性の測定>
光触媒活性の測定は、一般的な方法として公知の「メチレンブルー法」を用いる。「メチレンブルー法」は石英管にメチレンブルー水溶液を入れ、その中に各粒子をドープし、光照射前の透過率を測定後、光照射を行い、メチレンブルー水溶液の透過率の変化を確認することで光触媒活性を定量的に測定した。
<光取り出し部材の作製>
[実施例1]
−バリアフィルムの作製−
ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人デュポン社製、テオネックスQ65FA、厚さ100μm)の平滑面上に、窒化ケイ素をプラズマCVD法により積層することにより無機層を成膜した(膜厚25nm)。この無機層表面上に、下記組成の重合性組成物を乾燥膜厚が1000nmとなるように塗布成膜し、酸素含有量100ppm以下の窒素雰囲気下で紫外線照射量0.5J/cmで照射して硬化させ、有機層を作製した。その有機層表面に、窒化ケイ素をプラズマCVD法により積層することにより無機層を作製した。無機層は膜厚が50nmとなるように調節した。
このバリアフィルムは、フレキシブル基板であるポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムとバリア層の積層体である。
上記で作製したバリアフィルムを洗浄容器に入れ、純水中で超音波洗浄し、120℃で120分間加熱乾燥を行った。その後、UVオゾンクリーナー(UVO−Cleaner 144AX: jelight社製)で6分間照射し、表面処理を行った。
(重合性組成物の組成)
・重合性化合物(アクリレート1) 50g
・重合開始剤(Lamberti社、Esacure KTO46) 1g
・シランカップリング剤
(信越シリコーン社製KBM−5013) 5g
・2−ブタノン 400g
Figure 2015088322
−易接着層の作製−
作製したバリアフィルム上に易接着層形成材料1「材料名:ポリオレフィン樹脂有機溶剤分散液、商品名:サーフレンP−1000、三菱化学(株)製」をダイコーターで塗布し、120℃で20分間乾燥させ、膜厚200nmの易接着層を得た。
−平坦化層形成材料1の調製−
酸化チタン分散液(平均直径15nmの酸化チタンのナノ粒子が分散)「材料名:酸化チタン分散PGME(プロピレングルコールモノメチルエーテル)、商品名:高透明性酸化チタンスラリーHTD−1061T、テイカ社製」と、有機樹脂材料「材料名:フルオレン誘導体(アクリレート)、商品名:オグソールEA−0200、大阪ガスケミカル社製」(以下、「バインダー」ともいう)と、トルエンをローラー、スターラーにより攪拌して溶解させ、更に超音波(ソニファイヤー)によりナノ粒子をバインダーに十分に分散させた。酸化チタン粒子と有機樹脂材料の含有体積比率は3:7とした。このようにして、酸化チタン分散バインダー塗布液1を得た。
最後に重合開始剤(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)を添加して、平坦化層形成材料1を得た。
−光拡散層形成材料1の調製−
酸化チタン分散バインダー塗布液1に光拡散粒子(平均直径1.5μmの架橋アクリル系粒子、屈折率1.49)「材料名:MX−150、綜研化学社製」、及びPGME溶媒をスターラーにて攪拌しながらドープした。酸化チタン分散バインダー塗布液1の固形分と光拡散粒子の含有体積比率は5:5とした。更に超音波(ソニファイヤー)にて光拡散粒子を十分に分散させ、更にスターラー等で良く攪拌した。
最後に拡散層の塗布材料に重合開始剤(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)を添加して、光拡散層形成材料1を得た。
酸化チタン分散バインダー塗布液1の硬化後の屈折率は1.8、光拡散粒子の屈折率は1.49であるため、屈折率差が十分に大きく、薄膜でも光取り出しに十分な拡散を得ることができる。
またトルエンを溶媒としているため、樹脂粒子は十分な耐溶剤性が必要であるが、その点でも本材料の組み合わせは溶剤に強く、また経時変化による分散の劣化(凝集等)においても非常に優れている。
−光拡散層の成膜−
バリアフィルム/易接着層の易接着層上にダイコーターで光拡散層形成材料1を塗布し、その後、UV照射(365nm)で硬化させ、光拡散層を形成した(平均膜厚4μm)。
−平坦化層の成膜−
更に、光拡散層の上にダイコーターで平坦化層形成材料1を塗布し、UV照射を行い硬化させ、平坦化層を形成した(平均膜厚2μm)。
なお、バリア層、光拡散層、平坦化層の成膜はすべてロール・ツー・ロールで行った。
[実施例2、3、6、7]
易接着層又は光拡散層の膜厚をそれぞれ表1のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2、3、6、7の光取り出し部材を作製した。
[実施例4]
易接着層に用いた易接着材料1を、易接着材料2「材料名:ポリオレフィン樹脂水分散液、商品名:アローベースSB−1010、ユニチカ社製」に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例4の光取り出し部材を作製した。
[実施例5]
易接着層に用いた易接着材料1を、易接着材料3「材料名:紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、商品名:ヒタロイド4863、日立化成(株)製」に変更し、これをバリア層上にダイコーターで塗布し、紫外線(365nm)を600mJ/cm照射して易接着層を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例5の光取り出し部材を作製した。
[実施例8]
平坦化層及び光拡散層のバインダーを、「材料名:フルオレン誘導体(アクリレート)、商品名:オグソールEA−HG001、大阪ガスケミカル社製」に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例8の光取り出し部材を作製した。
[実施例9]
易接着層の膜厚を500nmに変更し、平坦化層及び光拡散層のバインダーを、「材料名:フルオレン誘導体(アクリレート)、商品名:オグソールEA−HC931、大阪ガスケミカル社製」に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例9の光取り出し部材を作製した。
[比較例1]
実施例1と同様にして作製したバリアフィルムを、比較例1とした。
[比較例2]
バリアフィルム上に易接着層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の光取り出し部材を作製した。
[比較例3]
バリアフィルム上に易接着層を設けず、光拡散層の平均膜厚を2.5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の光取り出し部材を作製した。
[比較例4]
易接着層に用いた易接着材料1を、易接着材料4「材料名:紫外線硬化型エポキシ樹脂、商品名:XNR5516 HV ナガセケムテックス(株)製」に変更し、これをバリア層上にダイコーターで塗布し、紫外線(365nm)を600mJ/cm照射して易接着層を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例4の光取り出し部材を作製した。
[比較例5]
易接着層に用いた易接着材料1を、易接着材料5に変更し、これをバリア層上にダイコーターで塗布し、紫外線(365nm)を600mJ/cm照射して易接着層を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例5の光取り出し部材を作製した。なお易接着材料5は以下のようにして調製した。
「材料名:フルオレン誘導体(アクリレート)、商品名:オグソールEA−0200、大阪ガスケミカル社製」を49質量%、PGME(プロピレングルコールモノメチルエーテル)を50質量%、重合開始剤(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)を1質量%の割合で添加し、スターラーでよく攪拌して易接着材料5を調製した。
[比較例6]
バインダーを、「材料名:紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、商品名:UV−7510B、日本合成化学工業製」に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例6の光取り出し部材を作製した。
<有機電界発光装置の作製>
−第1電極の成膜−
平坦化層(比較例1はバリア層)上に、スパッタ成膜機にて、ITOを100nmの厚みで金属マスクにより成膜した。
以上により、得られた第1電極上に以下のように有機層(有機EL層)及び陰極を形成した。
−有機EL層、及び陰極の形成−
上記で得られた第1電極上に、真空蒸着装置により、HAT−CN層を10nm蒸着させ、正孔注入層とした。
Figure 2015088322
正孔注入層上に、α−NPD(Bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine)を厚みが500nmとなるように真空蒸着法にて形成し、正孔輸送層とした。
Figure 2015088322
次に、正孔輸送層上に、ホスト材料として下記構造式で表される4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)と、燐光発光材料である下記構造式で表されるトリ−2−フェニルピリジンイリジウム錯体(Irppy)を質量比85:15で共蒸着させ、30nmの厚みの発光層を成膜した。
Figure 2015088322
Figure 2015088322
発光層上に、正孔ブロック層として下記構造式で表されるトリフェニレンを厚みが10nmとなるように真空蒸着して、電子輸送層とした。
Figure 2015088322
次に、電子輸送層上に、下記構造式で表されるトリス(8−キノリノラト)アルミニウムを電子注入層として、厚みが40nmとなるように蒸着した。
Figure 2015088322
次に、電子注入層上にバッファ層として、LiFを1nm、第二電極(陰極)としてアルミニウムを100nm蒸着した。
作製した積層体を、真空から窒素雰囲気下の部屋に移し、フレキシブル基板との設置面に封止材を塗った封止ガラス缶にて有機層側を封止した(図2の構成)。なお、封止缶の内側には予め吸湿剤を貼っておいた。
<評価>
〔密着性〕
PENフィルム上の無機層と有機層の積層体からなるバリア層と、光拡散層との密着性を評価する目的で、JIS K5400に準拠した碁盤目試験を行なった。上記層構成を有する光取り出し部材の平坦化層側の表面にそれぞれカッターナイフで膜面に対して90°の切込みを1mm間隔で入れ、1mm間隔の碁盤目を100個作製した。この上に2cm幅のマイラーテープ[日東電工製、ポリエステルテープ(No.31B)]を貼り付け、テープ剥離試験機を使用して貼り付けたテープをはがした。光取り出し部材上の100個の碁盤目のうち剥離せずに残存したマスの数(n)をカウントした。
また、テープをはがした際に剥離したマスが0個であったものについては、カッターナイフによる切込み線を起点とした剥離を調べるために、更に、光学顕微鏡(STM6−LM:オリンパス社)でマス目の画像を撮り、Photoshop(Adobe社製)による解析で、残存している層の面積を求め、試験前の面積に対する割合を求めた。
以下の判定基準で示した結果を、表1に示す。
A nが0、残存面積95%以上
B nが0、残存面積95%未満
C nが1〜50
D nが51〜100
〔鉛筆硬度〕
易接着層及び平坦化層について、JIS K5600−5−4に準拠した鉛筆引っかき試験を行った。
結果を表1に示す。
〔外部量子効率〕
外部量子収率の測定は、浜松ホトニクス株式会社製の外部量子効率測定装置「C9920−12」を用いて、直流定電流を各有機電界発光装置に印加して発光させ測定した。
結果を表1に示す。
〔素子耐久性〕
発光面の目視観察にて、有機電界発光装置の経時変化の評価を行った。東陽テクニカ(株)製ソースメジャーユニット2400を用いて、直流電流を各素子に印加し、発光させた時の輝度が1000cd/mで駆動させ、温度20℃、湿度60%で駆動させた。100時間放置後の外観上の発光部の面積を測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2015088322
本発明の光取り出し部材、及び有機電界発光装置は、例えば、各種照明、コンピュータ、車載用表示器、野外表示器、家庭用機器、業務用機器、家電用機器、交通関係表示器、時計表示器、カレンダ表示器、ルミネッセントスクリーン、音響機器等をはじめとする各種分野において好適に使用することができる。
1 フレキシブル基板
2 バリア層
3 易接着層
4 光拡散層
41 バインダー
42 光拡散粒子
5 平坦化層
10 光取り出し部材
11 第一電極
12 有機層
13 第二電極
14 封止缶
100 有機電界発光装置

Claims (10)

  1. フレキシブル基板、バリア層、易接着層、光拡散層、及び平坦化層をこの順に有する光取り出し部材であって、
    前記易接着層は、鉛筆硬度がB以下であり、
    前記光拡散層は、有機樹脂を含有するバインダーと光拡散粒子を含み、
    前記平坦化層は、有機樹脂を含有するバインダーを含み、かつ鉛筆硬度がH以上である、
    光取り出し部材。
  2. 前記易接着層の平均膜厚が300nm以下である請求項1に記載の光取り出し部材。
  3. 前記易接着層がポリオレフィン、又はポリウレタンから形成される請求項1又は2に記載の光取り出し部材。
  4. 前記易接着層が樹脂の有機溶剤分散物から得られる請求項1〜3のいずれか一項に記載の光取り出し部材。
  5. 前記光拡散層の有機樹脂を含有するバインダーが、硬化性化合物と重合開始剤とを含む組成物を硬化したものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の光取り出し部材。
  6. 前記光拡散層の膜厚が3μm以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載の光取り出し部材。
  7. 前記平坦化層の有機樹脂を含有するバインダーが、硬化性化合物と重合開始剤とを含む組成物を硬化したものである請求項1〜6のいずれか一項に記載の光取り出し部材。
  8. 前記バリア層が、有機材料からなる有機層と、無機材料からなる無機層とを積層した多層構造を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の光取り出し部材。
  9. 前記フレキシブル基板がポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、又はポリエーテルサルフォンフィルムである請求項1〜8のいずれか一項に記載の光取り出し部材。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の光取り出し部材の平坦化層上に、第一電極、有機発光層を含む有機層、及び第二電極をこの順に有する有機電界発光装置。
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