JP5578987B2 - 微粒子層転写材料、並びに有機電界発光素子及びその製造方法 - Google Patents

微粒子層転写材料、並びに有機電界発光素子及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、微粒子層転写材料、並びに該微粒子層転写材料を用いた有機電界発光装置及び有機電界発光装置の製造方法に関する。
有機電界発光装置は、自発光型の表示装置であり、ディスプレイや照明の用途に期待されている。例えば、有機電界発光ディスプレイは、従来のCRTやLCDと比較して視認性が高く、視野角依存性がない等の表示性能上の利点を有している。また、ディスプレイを軽量化、薄層化できる利点もある。その一方、有機電界発光照明は、軽量化、薄層化が可能であるとの利点に加え、フレキシブルな基板を用いることでこれまで実現できなかった形状の照明を実現できる可能性を有している。
このような有機電界発光装置において、光取り出し効率を向上させるためには、発光層を含む有機層の屈折率程度まで基板を高屈折率化させ、かつ光取り出し層を取り付け、形成する必要がある。
前記光取り出し層を基板の有機層側とは反対面に配置する場合、光取り出し層と基板との間は屈折率の小さい層が入り込むと光取り出し能が低下し、バラツキが生じるため、光取り出し層と基板は密着させる必要がある。
例えば、特許文献1では、凹凸層の隙間(凹部)を他の材料で埋めることが提案されている。この提案によれば、凹凸面に平坦化層を塗布する等、平坦化が可能な場合、隙間の発生は抑制されるものの、転写材料の作製上、プロセスや材料が増えるため、好ましくない。また先に塗布した微粒子層が、次の平坦化層を塗布時に、その溶剤により再溶融する懸念あり。結局平坦化ができず、一部の微粒子が突出した状態が残り、転写時に隙間が発生する可能性が高い。
また、特許文献2では、微粒子層を光取り出し層として用いているが、微粒子層に接着剤を塗布し、接着剤が凹凸を吸収するものである。しかし、一般の接着剤では屈折率が発光層を含む有機電界発光層の屈折率より低く、実施例では市販の光学用接着テープを用いている。その結果、基板と微粒子層間に低屈折率部分ができることになり、光取り出し効率が低下してしまうという課題がある。
したがって、高屈折率化したバインダーに散乱用微粒子を分散させた表面に凹凸を有する微粒子層を高屈折率基板上に隙間無く形成することができ、輝度むらが小さく、光取り出し効率を高めることができる微粒子層転写材料、並びに有機電界発光装置及び有機電界発光装置の製造方法の速やかな提供が望まれているのが現状である。
特開2005−166635号公報 特開2004−311153号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高屈折率化したバインダーに散乱用微粒子を分散させた表面に凹凸を有する微粒子層を高屈折率基板上に隙間無く形成することができ、輝度むらが小さく、光取り出し効率を高めることができる微粒子層転写材料、並びに有機電界発光装置及び有機電界発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 有機電界発光装置における基板の光出射面上に微粒子層を転写するのに用いられる微粒子層転写材料であって、
基材と、該基材上に凹凸緩和層と、該凹凸緩和層上に微粒子層とを少なくとも有することを特徴とする微粒子層転写材料である。
<2> 凹凸緩和層の平均厚みが12μm以上である前記<1>に記載の微粒子層転写材料である。
<3> 微粒子層が、ポリマー、第1の微粒子、及び第2の微粒子を少なくとも含有し、
前記第1の微粒子の平均粒径が0.5μm〜10μmである前記<1>から<2>のいずれかに記載の微粒子層転写材料である。
<4> 第2の微粒子の平均粒径が0.5nm〜100nmであり、かつ前記第2の微粒子の屈折率が2.0以上である前記<3>に記載の微粒子層転写材料である。
<5> 第2の微粒子が酸化チタンである前記<3>から<4>のいずれかに記載の微粒子層転写材料である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の微粒子層転写材料を有機電界発光装置における基板の光出射面に転写する転写工程を少なくとも含む有機電界発光装置の製造方法である。
<7> 微粒子層転写材料の微粒子層と、基板とを熱圧着させて転写する前記<6>に記載の有機電界発光装置の製造方法である。
<8> 基板の非光出射面に、少なくとも発光層を含む有機電界発光層を形成する有機電界発光層形成工程を含む前記<6>から<7>のいずれかに記載の有機電界発光装置の製造方法である。
<9> 基板と、該基板上の陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機電界発光層を有する有機電界発光装置であって、
前記基板の光出射面に、前記<1>から<5>のいずれかに記載の微粒子層転写材料を転写してなり、
前記基板の屈折率Aと前記発光層の屈折率Bとが、次式、A/B≧1.0を満たすことを特徴とする有機電界発光装置である。
<10> 基板の光出射面に、微粒子層、及び凹凸緩和層をこの順に有する前記<9>に記載の有機電界発光装置である。
<11> 基板の光出射面に、微粒子層、凹凸緩和層、及び基材をこの順に有する前記<9>に記載の有機電界発光装置である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、高屈折率化したバインダーに散乱用微粒子を分散させた表面に凹凸を有する微粒子層を、有機電界発光装置の高屈折率基板上に隙間無く形成することができ、輝度むらが小さく、光取り出し効率を高めることができる微粒子層転写材料、並びに有機電界発光装置及び有機電界発光装置の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の微粒子層転写材料の一例を示す概略図である。 図2は、微粒子層転写材料を用いて基板上に転写を行う様子を示す概略図である。 図3Aは、実施例A1の微粒子層転写材料を用い、ガラス基板に転写する工程を示す図である。 図3Bは、実施例A1の微粒子層転写材料をガラス基板に転写後の様子を示す図である。 図4は、比較例B2における転写工程を示す図である。 図5は、比較例B3における転写工程を示す図である。 図6は、実施例B1、B2、B4、B5、B6、B7及び比較例B4の有機電界発光装置を示す概略図である。 図7は、実施例B3の有機電界発光装置を示す概略図である。 図8は、比較例B1の有機電界発光装置を示す概略図である。 図9は、比較例B2,B5の有機電界発光装置を示す概略図である。 図10は、比較例B3の有機電界発光装置を示す概略図である。 図11は、実施例における有機電界発光装置の正面輝度及び面輝度分布(標準偏差)の求め方を示す図である。
(微粒子層転写材料)
本発明の微粒子層転写材料は、基材と、凹凸緩和層と、微粒子層とを少なくとも有し、中間層、カバーフィルム、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記微粒子層転写材料は、前記有機電界発光装置における基板の光出射面上に微粒子層を転写するのに用いられる。前記微粒子層が、前記有機電界発光装置における基板の非光出射面上にあると、例えば、同一基板上に電気回路の電極が露出している場合、微粒子層が前記電極上を覆い、電極の接触不良を招いてしまうことがある。
ここで、前記微粒子層転写材料としては、図1に示すように、基材101上に、凹凸緩和層102と、中間層103と、微粒子層104と、カバーフィルム105とをこの順に有してなる。なお、中間層103は、凹凸緩和層102と微粒子層104の構成によっては省略することもできる。
そして、前記微粒子層転写材料からカバーフィルム105を剥がして、図2に示すように、露出させた微粒子層転写材料の微粒子層104と、基板110とを熱圧着ローラで熱圧着させ、微粒子層104、凹凸緩和層102(中間層含む)、及び基材101を基板110の光出射面に隙間無く、転写する。
<基材>
前記基材としては、その形状、構造、大きさ、材料等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記微粒子層転写材料の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記基材は、微粒子層転写材料を基板に転写後、そのまま残しておいてもよく、また、除去してもよい。
前記基材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
前記基材の表面には、その上に設ける凹凸緩和層との密着性を向上させるため、表面活性化処理を行うことが好ましい。前記表面活性化処理としては、例えばグロー放電処理、コロナ放電処理などが挙げられる。
前記基材は、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。
<凹凸緩和層>
前記凹凸緩和層は、少なくともポリマーを含有し、更に必要応じてその他の成分を含有してなる。
−ポリマー−
前記ポリマーとしては、特に制限はなく、目的応じて適宜選択することができるが、例えば熱可塑性樹脂が好適であり、該熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレンとアクリル酸エステル共重合体とのケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等との(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のケン化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸を総称し、その誘導体の場合も同様である。
更に、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なものを使用することもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、軟化点が80℃以下のものが特に好ましい。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、例えば前記基材との接着力を調節する目的で、実質的に軟化点が80℃を超えない範囲内の各種ポリマー、可塑剤、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、離型剤等を添加することができる。これらの添加によりガラス転移点(Tg)の調整も可能である。
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂とポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアネートとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアネートとポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、ビスフェノールAとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの縮合反応生成物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記可塑剤の前記凹凸緩和層における含有量は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して200質量部以下であることが好ましく、20質量部〜100質量部であることがより好ましい。
前記凹凸緩和層の平均厚みは、12μm以上であることが好ましく、15μm〜30μmであることがより好ましい。
前記平均厚みが、12μm未満であると、前記微粒子層の突出した凹凸部分が前記基板に当接し熱圧着する際に前記凹凸部分が前記凹凸緩和層によって吸収しきれなくなり、前記基板と前記微粒子層の間に隙間が生じることとなり、光取り出し効率が大きく低下することがある。
前記凹凸緩和層の平均厚みは、例えば凹凸緩和層の一部を切り取り、走査型電子顕微鏡(S−3400N、日立ハイテク株式会社製)で測定し、凹凸緩和層の平均厚みを求めることができる。なお、平均厚みは10箇所測定した平均値である。
<微粒子層>
前記微粒子層は、ポリマー、第1の微粒子、及び第2の微粒子を少なくとも含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−第1の微粒子−
前記第1の微粒子としては、屈折率が微粒子層のポリマーの屈折率と異なり、光を散乱可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよく、2種以上の微粒子を含有することが好ましい。
前記有機微粒子としては、例えばポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ、などが挙げられる。
前記無機微粒子としては、例えばZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、などが挙げられる。これらの中でも、TiO、ZrO、ZnO、SnOが特に好ましい。
前記第1の微粒子の屈折率は、前記微粒子層のポリマーの屈折率と異なるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.55〜2.6であることが好ましく、1.58〜2.1であることがより好ましい。
前記第1の微粒子の屈折率は、例えば自動屈折率測定器(KPR−2000、株式会社島津製作所製)を用い、屈折液の屈折率を測定してから、精密分光計(GMR−1DA、株式会社島津製作所製)で、シュリブスキー法により測定することができる。
前記第1の微粒子の平均粒径は、0.5μm〜10μmであることが好ましく、0.5μm〜6μmであることがより好ましい。前記第1の微粒子の平均粒径が、10μmを超えると、光の殆どが前方散乱になり、第1の微粒子による光の角度を変換する能力が低下してしまうことがある。一方、前記第1の微粒子の平均粒径が、0.5μm未満であると、可視光の波長より小さくなり、ミー散乱がレーリー散乱の領域に変化し、第1の微粒子の散乱効率の波長依存性が大きくなり、発光素子の色度が大きく変わってしまったり、光取り出し効率が低下することが予想される。
前記第1の微粒子の平均粒径は、例えば日機装株式会社製ナノトラックUPA−EX150等の動的光散乱法を利用した装置や、電子顕微鏡写真の画像処理により測定することができる。
前記微粒子層における第1の微粒子の体積充填率は、30%〜80%であることが好ましく、50%〜80%であることがより好ましい。前記体積充填率が、30%未満であると、微粒子層に入射してきた光が微粒子に散乱される確率が小さく、微粒子層の光角度を変換する能力が小さいので、微粒子層の厚みを充分に厚くしないと光取出し効率が低下することがある。また、前記微粒子層の厚みを厚くすることはコストの増加に繋がるおそれがある。更に、後方散乱が増えることにより光取出し効率が低下することがある。一方、前記体積充填率が、80%を超えると、微粒子を固定する材料(例えばポリマー)の量が不足し、前記微粒子層の表面が大きく荒れ、内部にも空洞が生じることで、前記微粒子層の物理的強度が低下することがある。
前記微粒子層における第1の微粒子の体積充填率は、例えば重量測定法により測定することができる。まず、粒子比重測定装置(MARK3、株式会社ユニオン・エンジニアリング製)で粒子の比重を測定して、電子天秤(FZ−3000i、エー・アンド・デイ社製)で微粒子の重量を測定する。次に、作製した微粒子層の一部を切り取って、走査型電子顕微鏡(S−3400N、日立ハイテク株式会社製)で微粒子層の厚みを測定し、微粒子層における微粒子の体積充填率を求めることができる。
−第2の微粒子−
前記第2の微粒子は、微粒子層におけるポリマーの屈折率を高く調整するために添加される。
前記第2の微粒子は、平均粒径が0.5nm〜100nmであり、1nm〜50nmであることが好ましい。
前記平均粒径が、0.5nm未満であると、非常に細かい粒子となるため、取り扱い難くなり、100nmを超えると、発光層からポリマーへの入射光を遮蔽する割合が増え、前記ポリマー自体の透過率が低下し、光取り出し効率が低下することがある。
ここで、前記第2の微粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)写真による平均一次粒子径で表す。平均一次粒子径はそれぞれの微粒子の最大径の平均値で表し、長軸径と短軸径を有する場合、各微粒子の長軸径の平均値を平均一次粒子径とする。
前記第2の微粒子は、屈折率が2.0以上であることが好ましく、2.4〜3.0であることがより好ましい。
前記屈折率が、2.0未満であると、屈折率が低いため、ポリマー中に分散させた際の平均屈折率が低くなり、微粒子層と高屈折率の基板との界面での全反射成分が大きくなることがある。
前記第2の微粒子としては、例えばTi、Zr、Ta、In、Nd、Sn、Sb、Zn,La、W、Ce、Nb、V、Sm、Y等の酸化物又は複合酸化物、硫化物を主成分とする粒子が挙げられる。ここで、主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。本発明でより好ましい第2の微粒子はTi、Zr、Ta、In、及びSnから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む酸化物もしくは複合酸化物を主成分とする粒子である。
前記第2の微粒子には、粒子の中に種々の元素が含有されていても構わない(以下、このような元素を含有元素ということがある)。
前記含有元素としては、例えば、Li、Si、Al、B、Ba、Co、Fe、Hg、Ag、Pt、Au、Cr、Bi、P、Sなどが挙げられる。酸化錫、酸化インジウムにおいては粒子の導電性を高めるために、Sb、Nb、P、B、In、V、ハロゲンなどの含有元素を含有させることが好ましく、酸化アンチモンを5質量%〜20質量%含有させたものが特に好ましい。
前記第2の微粒子は、含有元素としてCo、Zr、及びAlから選ばれる少なくとも1つの元素を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子(以下、「特定の酸化物」と称することもある)が挙げられる。これらの中でも、Coが特に好ましい。
Co、Al、及びZrの総含有量は、Tiに対し0.05質量%〜30質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.2質量%〜7質量%であることが更に好ましく、0.3質量%〜5質量%であることが特に好ましく、0.5質量%〜3質量%であることが最も好ましい。
前記含有元素Co、Al、Zrは、二酸化チタンを主成分とする第2の微粒子の内部又は表面に存在する。二酸化チタンを主成分とする第2の微粒子の内部に存在することがより好ましく、内部と表面の両方に存在することが更に好ましい。これらの含有元素のうち金属元素は、酸化物として存在してもよい。
他の好ましい第2の微粒子としては、チタン元素と、酸化物が屈折率1.95以上となる金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素(以下、「Met」とも略称する)との複合酸化物の粒子で、かつ該複合酸化物はCoイオン、Zrイオン及びAlイオンから選ばれる金属イオンの少なくとも1種がドープされてなる無機微粒子(「特定の複酸化物」と称することもある)が挙げられる。ここで、前記酸化物の屈折率が1.95以上となる金属元素としては、Ta、Zr、In、Nd、Sb、Sn、Biなどが挙げられる。これらの中でも、Ta、Zr、Sn、Biが特に好ましい。
前記特定の複合酸化物にドープされる金属イオンの含有量は、複合酸化物を構成する全金属[Ti+Met]量に対して、25質量%を超えない範囲で含有することが屈折率維持の観点から好ましく、0.05質量%〜10質量%がより好ましく、0.1質量%〜5質量%が更に好ましく、0.3質量%〜3質量%が特に好ましい。
ドープされた金属イオンは、金属イオンとして、又は金属原子のいずれの形態で存在してもよく、前記複合酸化物の表面から内部まで適宜に存在することができる。複合酸化物の表面と内部との両方に存在することが好ましい。
前記第2の微粒子は結晶構造を有することが好ましい。前記結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼが主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。このことにより、前記特定の酸化物又は特定の複酸化物の第2の微粒子は、屈折率が2.0〜2.8を有することになり、好ましい。前記屈折率は、2.1〜2.8がより好ましく、2.2〜2.8が更に好ましい。このことにより、二酸化チタンが有する光触媒活性を抑えることができ、微粒子層自身並びに微粒子層と接する上層及び下層のそれぞれの耐候性を著しく改良することができる。
前記特定の金属元素又は金属イオンをドープする方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができ、例えば、特開平5−330825号公報、特開平311−263620号公報、特表平11−512336号公報、ヨーロッパ公開特許第0335773号公報等に記載の方法;イオン注入法[例えば、権田俊一、石川順三、上条栄治編「イオンビーム応用技術」(株)シ−エムシー、1989年刊行、青木康、「表面科学」18巻(5)、262頁、1998、安保正一等、「表面科学」20巻(2)、60頁、1999等記載]等に従って製造できる。
前記第2の微粒子は表面処理してもよい。前記表面処理とは、無機化合物及び/又は有機化合物を用いて該粒子表面の改質を実施するもので、これにより第2の微粒子表面の濡れ性が調整され有機溶媒中での微粒子化、微粒子層用組成物中での分散性や分散安定性が向上する。粒子表面に物理化学的に吸着させる無機化合物としては、例えば、ケイ素を含有する無機化合物(SiO等)、アルミニウムを含有する無機化合物[Al、Al(OH)等]、コバルトを含有する無機化合物(CoO、Co,Co等)、ジルコニウムを含有する無機化合物[ZrO、Zr(OH)等]、鉄を含有する無機化合物(Fe等)、などが挙げられる。
前記表面処理に用いる有機化合物としては、従来公知の金属酸化物や無機顔料等の無機フィラー類の表面改質剤を用いることができる。例えば、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」第一章(技術情報協会、2001年刊行)等に記載されている。
具体的には、第2の微粒子表面と親和性を有する極性基を有する有機化合物、カップリング化合物が挙げられる。前記第2の微粒子表面と親和性を有する極性基としては、例えばカルボキシ基、ホスホノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、環状酸無水物基、アミノ基等が挙げられ、これらを分子中に少なくとも1種を含有する化合物が好ましい。例えば、長鎖脂肪族カルボン酸(例えばステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等)、ポリオール化合物{例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ECH(エピクロルヒドリン)変性グリセロールトリアクリレート等}、ホスホノ基含有化合物{例えばEO(エチレンオキシド)変性リン酸トリアクリレート等}、アルカノールアミン{エチレンジアミンEO付加体(5モル)等}が挙げられる。
前記カップリング化合物としては、従来公知の有機金属化合物が挙げられ、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。具体的には、例えば特開2002−9908号公報、特開2001−310423号公報の段落番号〔0011〕〜〔0015〕に記載の化合物等が挙げられる。これらの表面処理に用いる化合物は、2種類以上を併用することもできる。
前記第2の微粒子は、これをコアとして他の無機化合物からなるシェルを形成したコア/シェル構造の微粒子であることも好ましい。前記シェルとしては、Al、Si、及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素からなる酸化物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−166104号公報記載の内容が挙げられる。
前記第2の微粒子の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状又は不定形状が好ましい。前記第2の微粒子は単独で用いてもよいが、2種類以上を併用して用いることもできる。
前記第2の微粒子の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、ポリマーの屈折率を1.55〜1.95とすることができる範囲であることが好ましい。
−ポリマー−
前記ポリマーとしては、(A)有機バインダー、並びに(B)加水分解性官能基を含有する有機金属化合物及びこの有機金属化合物の部分縮合物、の少なくともいずれかであることが好ましい。
−(A)有機バインダー−
前記(A)の有機バインダーとしては、(1)従来公知の熱可塑性樹脂、
(2)従来公知の反応性硬化性樹脂と硬化剤との組み合わせ、又は
(3)バインダー前駆体(後述する硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)と重合開始剤との組み合わせ、から形成されるバインダーが挙げられる。
前記(1)、(2)又は(3)の有機バインダーと、前記第1の微粒子と、前記第2の微粒子とを含有する微粒子層用組成物が調製されることが好ましい。この微粒子層用組成物は、支持体上に塗布され、塗膜が形成された後、バインダー成分に応じた方法で硬化されて微粒子層が形成される。前記硬化方法としては、特に制限はなく、バインダー成分の種類に応じて適宜選択され、例えば加熱及び光照射の少なくともいずれかの手段により、硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応を生起させる方法が挙げられる。これらの中でも、前記(3)の組み合わせを用いて光照射することにより硬化性化合物を架橋反応又は重合反応させて硬化したバインダーを形成する方法が特に好ましい。
更に、微粒子層用組成物を塗布と同時又は塗布後に、微粒子の分散液に含有される分散剤を架橋反応又は重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した硬化膜中のバインダーは、例えば、前記分散剤とバインダーの前駆体である硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。更に、硬化膜中のバインダーは、アニオン性基が微粒子の分散状態を維持する機能を有するので、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、微粒子を含有する硬化膜中の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良することができる。
{熱可塑性樹脂(A−1)}
前記(1)の熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩ビ−酸ビ共重合体樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリメタアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、イミド樹脂、などが挙げられる。
{反応性硬化性樹脂と硬化剤との組み合わせ(A−2)}
前記(2)の反応性硬化性樹脂としては、熱硬化型樹脂及び/又は電離放射線硬化型樹脂を使用することが好ましい。
前記熱硬化型樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂などが挙げられる。
前記電離放射線硬化型樹脂には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラジカル重合性不飽和基{(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、スチリル基、ビニル基等}及び/又はカチオン重合性基(エポキシ基、チオエポキシ基、ビニルオキシ基、オキセタニル基等)の官能基を有する樹脂で、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂などが挙げられる。
これらの反応性硬化性樹脂に必要に応じて、架橋剤(エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、メラミン化合物等)、重合開始剤(アゾビス化合物、有機過酸化化合物、有機ハロゲン化合物、オニウム塩化合物、ケトン化合物等のUV光開始剤等)等の硬化剤、重合促進剤(有機金属化合物、酸化合物、塩基性化合物等)等の従来公知の化合物を加えて使用する。具体的には、例えば、山下普三、金子東助「架橋剤ハンドブック」(大成社、1981年刊)記載の化合物が挙げられる。
{バインダー前駆体と重合開始剤との組み合わせ(A−3)}
以下、硬化したバインダーの好ましい形成方法である前記(3)の組み合わせを用いて、光照射により硬化性化合物を架橋又は重合反応させて硬化したバインダーを形成する方法について説明する。
前記バインダーの前駆体である光硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、ラジカル重合性官能基、及びカチオン重合性官能基のいずれでもよい。
前記ラジカル重合性官能基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基などが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロイル基が特に好ましく、分子内に2個以上のラジカル重合性基を含有する多官能モノマーを含有することが特に好ましい。
前記ラジカル重合性多官能モノマーとしては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する化合物から選ばれることが好ましい。これらの中でも、分子中に2〜6個の末端エチレン性不飽和結合を有する化合物であることが特に好ましい。このような化合物群はポリマー材料分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー(即ち2量体、3量体及びオリゴマー)又はそれらの混合物、及びそれらの共重合体などの化学的形態をもつことができる。
前記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類などが挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が特に好ましい。
また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類やアミド類と、単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類との反応物も好適である。更に別の例として、前記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物としては、例えばアルカンジオール、アルカントリオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサントリオール、イノシットール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリンなどが挙げられる。これら脂肪族多価アルコール化合物と、不飽和カルボン酸との重合性エステル化合物(モノエステル又はポリエステル)としては、例えば、特開2001−139663号公報の段落番号[0026]〜[0027]に記載の化合物が挙げられる。
その他の重合性エステルとしては、例えば、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報等に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開平2−226149号公報等に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を有するもの等も好適に用いられる。
更に、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とから形成される重合性アミドの具体例としては、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、特公昭54−21726号公報記載のシクロヘキシレン構造を有するもの等を挙げることができる。
更にまた、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物(特公昭48−41708号公報等)、ウレタンアクリレート類(特公平2−16765号公報等)、エチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物(特公昭62−39418号公報等)、ポリエステルアクリレート類(特公昭52−30490号公報等)、更に、日本接着協会誌20巻7号300〜308頁(1984年)に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマーも使用することができる。これらラジカル重合性の多官能モノマーは、2種類以上を併用してもよい。
次に、微粒子層のバインダーの形成に用いることができるカチオン重合性基含有の化合物(以下、「カチオン重合性化合物」又は「カチオン重合性有機化合物」とも称する)について説明する。
前記カチオン重合性化合物は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/又は架橋反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、環状チオエーテル化合物、環状エーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニル炭化水素化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができる。前記カチオン重合性有機化合物のうちの1種を用いても2種以上を用いてもよい。
前記カチオン重合性基含有化合物としては、1分子中のカチオン重合性基の数は2〜10個が好ましく、2〜5個がより好ましい。前記カチオン重合性基含有化合物の平均分子量は3,000以下が好ましく、200〜2,000がより好ましく、400〜1,500が更に好ましい。前記平均分子量が該下限値以上であれば、皮膜形成過程での揮発が問題となるなどの不都合が生じることがなく、また該上限値以下であれば、微粒子層用組成物との相溶性が悪くなるなどの問題を生じないので好ましい。
前記エポキシ化合物としては、例えば脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物が挙げられる。
前記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのホモポリマー、コポリマーなどを挙げることができる。更に、前記のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。また、脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、又は不飽和脂環族環(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロオクテン、トリシクロデセン等)含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。
前記芳香族エポキシ化合物としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価もしくは多価のフェノール、又はそのアルキレンオキサイド付加体のモノもしくはポリグリシジルエーテルを挙げることができる。これらのエポキシ化合物として、例えば、特開平11−242101号公報中の段落番号[0084]〜[0086]に記載の化合物、特開平10−158385号公報中の段落番号[0044]〜[0046]に記載の化合物等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。前記エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
環状チオエーテル化合物としては、前記エポキシ化合物のエポキシ環の代わりに、チオエポキシ環を有する化合物が挙げられる。
環状エーテルとしてのオキセタニル基を含有する化合物としては、具体的には、例えば特開2000−239309号公報中の段落番号[0024]〜[0025]に記載の化合物等が挙げられる。これらの化合物は、エポキシ基含有化合物と併用することが好ましい。
スピロオルソエステル化合物としては、例えば特表2000−506908号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
ビニル炭化水素化合物としては、例えばスチレン化合物、ビニル基置換脂環炭化水素化合物(ビニルシクロヘキサン、ビニルビシクロヘプテン等)、前記ラジカル重合性モノマーで記載の化合物、プロペニル化合物{"J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry",32巻2895頁(1994年)記載等}、アルコキシアレン化合物{"J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry",33巻2493頁(1995年)記載等}、ビニル化合物{"J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry",34巻1015頁(1996年)、特開2002−29162号公報等記載}、イソプロペニル化合物{"J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry",34巻2051頁(1996年)記載等}等を挙げることができる。これらは2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、前記多官能性化合物は、前記のラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも各1種を少なくとも分子内に含有する化合物を用いることが好ましい。例えば、特開平8−277320号公報中の段落番号〔0031〕〜〔0052〕に記載の化合物、特開2000−191737号公報中の段落番号〔0015〕に記載の化合物等が挙げられる。本発明に供される化合物は、これらに限定されるものではない。
以上述べたラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを、ラジカル重合性化合物:カチオン重合性化合物の質量比率で、90:10〜20:80の割合で含有していることが好ましく、80:20〜30:70の割合で含有していることがより好ましい。
次に、前記(3)の組み合わせにおいて、バインダー前駆体と組み合わせて用いられる重合開始剤について詳述する。
前記重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
前記重合開始剤は、光及び/又は熱照射により、ラジカルもしくは酸を発生する化合物であることが好ましい。前記光重合開始剤は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、取り扱いを白灯下で実施することができる。また、近赤外線領域に極大吸収波長を持つ化合物を用いることもできる。
前記ラジカルを発生する化合物は、光及び/又は熱照射によりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を、開始、促進させる化合物を指す。公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを、適宜、選択して用いることができる。また、ラジカルを発生する化合物は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
前記ラジカルを発生する化合物としては、例えば、従来公知の有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤等の熱ラジカル重合開始剤、有機過酸化化合物(特開2001−139663号公報等)、アミン化合物(特公昭44−20189号公報記載)、メタロセン化合物(特開平5−83588号公報、特開平1−304453号公報等記載)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物(米国特許第3,479,185号明細書等記載)、ジスルホン化合物(特開平5−239015号公報、特開昭61−166544号公報等)、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、有機ホウ酸化合物等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
前記有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林等の"Bull.Chem.Soc Japan",42巻2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号公報、M.P.Hutt,"J.Heterocyclic Chemistry",1巻(3号)、(1970年)」等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。
前記カルボニル化合物としては、例えば、「最新 UV硬化技術」60〜62ページ[(株)技術情報協会刊、1991年]、特開平8−134404号公報の段落番号[0015]〜[0016]、特開平11−217518号公報の段落番号[0029]〜[0031]に記載の化合物等が挙げられ、アセトフェノン系、ヒドロキシアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサン系、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体、ベンジルジメチルケタール、アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
前記有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martin,"Rad.Tech'98.Proceeding April 19〜22,1998,Chicago"等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物が挙げられる。例えば、前記特開2002−116539号公報の段落番号[0022]〜[0027]に記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
これらのラジカル発生化合物は、1種のみを添加しても、2種以上を併用してもよい。添加量としては、ラジカル重合性モノマー全量に対し、0.1質量%〜30質量%であることが好ましく、0.5質量%〜25質量%であることがより好ましく、1質量%〜20質量%であることが更に好ましい。前記添加量の範囲において、微粒子層用組成物の経時安定性が問題なく高い重合性となる。
次に、光重合開始剤として用いることができる光酸発生剤について詳述する。
前記光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、又はマイクロレジスト等に使用されている公知の光酸発生剤等、公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。また、前記光酸発生剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物、オニウム化合物などが挙げられる。これらの中でも、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物が特に好ましい。前記有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物の具体例は、前記ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。
前記オニウム化合物としては、例えばジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられ、例えば特開2002−29162号公報の段落番号[0058]〜[0059]に記載の化合物、などが挙げられる。
前記酸発生剤としては、オニウム塩が特に好適に用いられ、中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。
前記オニウム塩の具体例としては、例えば、特開平9−268205号公報の段落番号[0035]に記載のアミル化されたスルホニウム塩、特開2000−71366号公報の段落番号[0010]〜[0011]に記載のジアリールヨードニウム塩又はトリアリールスルホニウム塩、特開2001−288205号公報の段落番号[0017]に記載のチオ安息香酸S−フェニルエステルのスルホニウム塩、特開2001−133696号公報の段落番号[0030]〜[0033]に記載のオニウム塩等が挙げられる。
前記光酸発生剤の他の例としては、特開2002−29162号公報の段落番号[0059]〜[0062]に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、光分解してスルホン酸を発生する化合物(イミノスルフォネート等)等の化合物が挙げられる。
これらの酸発生剤は、1種のみをそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。前記酸発生剤の添加量は、全カチオン重合性モノマーの全質量に対し0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜15質量%がより好ましく、1質量%〜10質量%が更に好ましい。前記添加量が、前記範囲において、微粒子層用組成物の安定性、重合反応性等から好ましい。
前記微粒子層用組成物は、ラジカル重合性化合物又はカチオン重合性化合物の合計質量に対して、ラジカル重合開始剤を0.5質量%〜10質量%又はカチオン重合開始剤を1質量%〜10質量%の割合で含有していることが好ましく、ラジカル重合開始剤を1質量%〜5質量%、又はカチオン重合開始剤を2質量%〜6質量%の割合で含有することがより好ましい。
前記微粒子層用組成物には、紫外線照射により重合反応を行う場合、従来公知の紫外線分光増感剤、化学増感剤を併用してもよい。これらの増感剤としては、例えばミヒラーズケトン、アミノ酸(グリシン等)、有機アミン(ブチルアミン、ジブチルアミン等)などが挙げられる。
また、近赤外線照射により重合反応を行う場合には、近赤外線分光増感剤を併用することが好ましい。併用する近赤外線分光増感剤は、700nm以上の波長域の少なくとも一部に吸収帯を有する光吸収物質であればよく、分子吸光係数が10,000以上の値を有する化合物が好ましい。更には、750nm〜1,400nmの領域に吸収を有し、かつ分子吸光係数が20,000以上の値が好ましい。また、420nm〜700nmの可視光波長域に吸収の谷があり、光学的に透明であることがより好ましい。
前記近赤外線分光増感剤は、近赤外線吸収顔料及び近赤外線吸収染料として知られる種々の顔料及び染料を用いることができる。その中でも、従来公知の近赤外線吸収剤を用いることが好ましい。市販の染料並びに、文献{例えば、「化学工業」1986年5月号45〜51頁の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990年)シーエムシー、「特殊機能色素」[池森・柱谷編集、1986年、株式会社シーエムシー発行]、J.FABIAN,"Chem.Rev.",92巻1197〜1226頁(1992年)}、日本感光色素研究所が1995年に発行したカタログ、並びにExciton Inc.が1989年に発行したレーザー色素カタログ及び特許に記載されている公知の染料が利用できる。
(B)加水分解性官能基を含有する有機金属化合物及びこの有機金属化合物の部分縮合物
前記マトッリクスとして、加水分解可能な官能基を含有する有機金属化合物を用いて、ゾル/ゲル反応により塗布膜形成後に硬化された膜を形成することも好ましい。
前記有機金属化合物としては、例えばSi、Ti、Zr、Al等からなる化合物が挙げられる。
前記加水分解可能な官能基な基としては、例えばアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、水酸基などが挙げられる。これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基が特に好ましい。好ましい有機金属化合物は、下記一般式(2)で表される有機ケイ素化合物及びその部分加水分解物(部分縮合物)である。なお、一般式(2)で表される有機ケイ素化合物は、容易に加水分解し、引き続いて脱水縮合反応が生じることはよく知られた事実である。
一般式(2):(R21β−Si(Y214−β
ただし、前記一般式(2)中、R21は、置換もしくは無置換の炭素数1〜30脂肪族基又は炭素数6〜14のアリール基を表す。Y21は、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子等)、OH基、OR22基、OCOR22基を表す。ここで、R22は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。βは0〜3の整数を表し、好ましくは0、1又は2、特に好ましくは1である。ただし、βが0の場合は、Y21はOR22基又はOCOR22基を表す。
前記一般式(2)において、R21の脂肪族基としては、好ましくは炭素数1〜18(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ベンジル基、フェネチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル、ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基等)が挙げられる。より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは1〜8のものである。R21のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラニル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アルコキシシリル基(トリメトキシシリル、トリエトキシシリル等)、アシルオキシ基{アセトキシ、(メタ)アクリロイル等}、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)などが好ましい。
これらの置換基のうちで、更に好ましくは水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基であり、特に好ましくはエポキシ基、重合性のアシルオキシ基{(メタ)アクリロイル}、重合性のアシルアミノ基(アクリルアミノ、メタクリルアミノ)である。またこれら置換基は更に置換されていてもよい。
前記のようにR22は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、アルキル基は特に限定はないが、例えばR21の脂肪族基と同じものが挙げられ、アルキル基中の置換基の説明はR21と同じである。
前記一般式(2)の化合物の含有量は、前記微粒子層用組成物の全固形分の10質量%〜80質量%が好ましく、20質量%〜70質量%であることがより好ましく、30質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
前記一般式(2)の化合物としては、例えば特開2001−166104号公報の段落番号[0054]〜[0056]に記載の化合物が挙げられる。
前記微粒子層用組成物において、前記有機バインダーは、シラノール基を有するものであることが好ましい。バインダーがシラノール基を有することで、微粒子層の物理強度、耐薬品性、耐候性が更に改良され、好ましい。前記シラノール基は、例えば、微粒子層用組成物を構成するバインダー形成成分として、バインダー前駆体(硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)や重合開始剤、微粒子の分散液に含有される分散剤と共に、架橋又は重合性官能基を有する一般式(2)で表される有機ケイ素化合物を該微粒子層用組成物に配合し、この微粒子層用組成物を透明支持体上に塗布して、前記の分散剤、多官能モノマーや多官能オリゴマー、一般式(2)で表される有機ケイ素化合物を架橋反応又は重合反応させることによりバインダーに導入することができる。
前記の有機金属化合物を硬化させるための加水分解・縮合反応は、触媒存在下で行われることが好ましい。前記触媒としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブトキシチタネート等の金属アルコキシド類;β−ジケトン類又はβ−ケトエステル類の金属キレート化合物類などが挙げられる。具体的には、例えば特開2000−275403号公報中の段落番号[0071]〜[0083]に記載の化合物等が挙げられる。
これらの触媒化合物の組成物中での割合は、有機金属化合物に対し、0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜50質量%がより好ましく、0.5質量%〜10質量%が更に好ましい。なお、反応条件は有機金属化合物の反応性により適宜調節されることが好ましい。
前記微粒子層用組成物において、マトリックスは特定の極性基を有することも好ましい。前記特定の極性基としては、例えばアニオン性基、アミノ基、及び四級アンモニウム基が挙げられる。前記アニオン性基、アミノ基及び四級アンモニウム基の具体例としては、前記分散剤について述べたものと同様のものが挙げられる。
−溶媒−
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばアルコール類、ケトン類、エステル類、アミド類、エーテル類、エーテルエステル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。具体的には、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート等)、ケトン(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エステル(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、乳酸エチル等)、脂肪族炭化水素(例えばヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例えばメチルクロロホルム等)、芳香族炭化水素(例えばベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等)、エーテル(例えばジオキサン、テトラハイドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等)、エーテルアルコール(例えば1−メトキシ−2−プロパノール、エチルセルソルブ、メチルカルビノール等)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノールが特に好ましい。また、ケトン溶媒(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)を主にした塗布溶媒系も好ましく用いられる。
前記ケトン系溶媒の含有量は、前記微粒子層用組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。
特定の極性基を有するマトリックスは、例えば、微粒子層用組成物に、硬化膜形成成分として、特定の極性基を有するバインダー前駆体(特定の極性基を有する硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)と重合開始剤の組み合わせ及び、特定の極性基を有し、かつ架橋又は重合性官能基を有する一般式(2)で表される有機ケイ素化合物の少なくともいずれかを配合し、更に所望により、特定の極性基及び、架橋又は重合性の官能基を有する単官能性モノマーを配合し、該塗布組成物を透明支持体上に塗布して前記の分散剤、単官能性モノマー、多官能モノマーや多官能オリゴマー及び/又は一般式(2)で表される有機ケイ素化合物を架橋又は重合反応させることにより得られる。
前記特定の極性基を有する単官能性モノマーは、微粒子層用組成物の中で微粒子の分散助剤として機能することができ、好ましい。更に、塗布後、分散剤、多官能モノマーや多官能オリオリゴマーと架橋反応、又は、重合反応させてバインダーとすることで微粒子層における第2の微粒子の良好な均一な分散性を維持し、物理強度、耐薬品性、耐候性に優れた微粒子層を作製することができる。
前記微粒子層用組成物を、前記透明基板上に、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、エクストルージョンコート法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、光及び/又は熱照射することにより作製することができる。好ましくは、光照射による硬化が、迅速硬化から有利である。更には、光硬化処理の後半で加熱処理することも好ましい。
光照射の光源は、紫外線光域又は近赤外線光のものであればいずれでもよく、紫外線光の光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長350nm〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。また、近赤外光光源としてはハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプが挙げられ、波長750nm〜1,400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。
光照射による光ラジカル重合の場合は、空気又は不活性気体中で行うことができるが、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、又は重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。照射する紫外線の照射強度は、0.1mW/cm〜100mW/cm程度が好ましく、塗布膜表面上での光照射量は100mJ/cm〜1,000mJ/cmが好ましい。また、光照射工程での塗布膜の温度分布は、均一なほど好ましく、±3℃以内が好ましく、更には±1.5℃以内に制御されることが好ましい。この範囲において、塗布膜の面内及び層内深さ方向での重合反応が均一に進行するので好ましい。
前記微粒子層の平均厚みは、5μm〜200μmであることが好ましく、5μm〜50μmであることがより好ましい。前記平均厚みが、5μm未満であると、微粒子層による十分な光角度変換がなく、十分な光取出し効率が得られないことがあり、200μmを超えると、光が散乱されすぎて、後方散乱の光が増え、有機電界発光素子内部に戻る光が多くなり、光取出し効率が低下する、また、微粒子層が厚いことは高コストに繋がることがある。
前記微粒子層の平均厚みは、例えば微粒子層の一部を切り取り、走査型電子顕微鏡(S−3400N、日立ハイテク株式会社製)で測定し、微粒子層の平均厚みを求めることができる。なお、平均厚みは10箇所測定した平均値である。
<中間層>
前記中間層は、凹凸緩和層と微粒子層のいずれか一方又は両方に溶剤が使用されている場合、両者が混じり合うことを防ぐために凹凸緩和層と微粒子層との間に設けられることが好ましい。なお、前記凹凸緩和層と前記微粒子層が混じり合うことがない構成の場合は中間層を使用しなくてもよい。
前記中間層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリビニルエーテル/無水マレイン酸重合体、カルボキシアルキルセルロースの水溶性塩、水溶性セルロースエーテル類、カルボキシアルキル澱粉の水溶性塩、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド類、水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸の水溶性塩、ゼラチン、エチレンオキサイド重合体、各種澱粉又はその類似物からなる群の水溶性塩、スチレン/マレイン酸の共重合体、マレイネート樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記中間層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm〜3μmが好ましい。
<カバーフィルム>
前記微粒子層上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するためにカバーフィルムを設けることが好ましい。
前記カバーフィルムは、前記基材と同じか又は類似の材料からなってもよいが、前記微粒子層から容易に剥がすことができるものが好ましい。
前記カバーフィルムの材料としては、例えばシリコーン紙、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリテトラフルオルエチレンシートなどが挙げられる。
前記カバーフィルムの厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜100μmが好ましく、10μm〜30μmがより好ましい。
本発明の微粒子層転写材料は、各種用途に用いることができるが、以下に説明する本発明の有機電界発光装置及び有機電界発光装置の製造方法に好適に用いることができる。
(有機電界発光装置の製造方法)
本発明の有機電界発光装置の製造方法は、転写工程と、有機電界発光層形成工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
<転写工程>
前記転写工程は、本発明の前記微粒子層転写材料を有機電界発光装置における基板の光出射面に転写する工程である。
前記転写工程においては、微粒子層転写材料の微粒子層と、基板とを熱圧着させて転写することが好ましい。
ここで、図3Aに示すように、微粒子層転写材料のカバーフィルムを取除き、微粒子層104を加圧、加温下で基板110上に貼り合わせる。前記貼り合わせには、熱圧着ローラ、ラミネーター、真空ラミネーターが使用でき、より生産性を高めるためには、オートカットラミネーターの使用も可能である。
微粒子層転写材料の微粒子層104と基板110とを熱圧着すると、図3Bに示すように、微粒子層表面の凸部分が引っ込み、凹凸緩和層102側に押出され、微粒子層表面が平坦化され、基板110と微粒子層104とが隙間無く、密着される。
<有機電界発光層形成工程>
前記有機電界発光層形成工程は、基板の非光出射面に、少なくとも発光層を含む有機電界発光層を形成する工程である。
前記有機電界発光層の詳細については、後述する有機電界発光装置において説明する。
(有機電界発光装置)
本発明の有機電界発光装置は、基板と、該基板上の陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機電界発光層を有してなり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
前記有機電界発光装置は、前記基板の光出射面に、本発明の前記微粒子層転写材料を転写してなる。
前記有機電界発光装置は、前記基板の光出射面に、微粒子層、凹凸緩和層、及び基材をこの順に有することが、前記基板、前記微粒子層が直接当接することで前記基板から前記微粒子層への他の層を介さずに有機電界発光層からの光を効率よく入射させることができ、光取り出し効率を向上させる点で好ましい。
また、凹凸緩和層及び基材がない(凹凸緩和層及び基材を取り除いた)場合、最外層となる微粒子層の表面は微粒子が一部突出した凹凸面となるため、前記凹凸面への粉塵付着等による汚れ、スクラッチ等による傷など、物理的ダメージを受け、外観上の問題や、光取り出し効率が低下するおそれがある。
したがって、前記汚れや物理的ダメージを軽減する上で前記微粒子層上に凹凸緩和層、及び基材を有することは、微粒子層を保護する点で好ましい。
本発明においては、前記基板の屈折率Aと前記発光層の屈折率Bとが、次式、A/B≧1.0を満たすことが必要である。前記A/Bが1.0未満であると、前記基板と前記有機電界発光層の界面において前記基板からの光の一部に全反射が起き、発光層からの光が基板に取り込む量が減り、光取り出し効率の低下を招くことがある。
前記発光層の屈折率Bは、通常1.7〜1.85である。
−基板−
前記基板としては、その形状、構造、大きさ等を適宜選択すればよく、一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。前記基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。前記基板は、無色透明であっても、有色透明であってもよいが、有機電界発光層から発せられる光を散乱又は減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
前記基板の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ガラス等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)樹脂等の有機材料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記基板としてガラスを用いる場合には、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカ等のバリアコートを施したもの(例えば、バリアフィルム基板)を使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
前記熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
これらの中でも、透明なガラス、石英、サファイア、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン等の透明な合成樹脂が特に好ましい。
前記基板の屈折率Aは、有機電界発光装置の発光層に用いる材質に応じて異なり一概には規定できないが、一般的な有機材料を使用する発光層の場合には、1.70〜1.85であることが好ましい。
前記基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ガラスを用いる場合には、0.2mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましい。
−有機電界発光層−
前記有機電界発光層は、一対の電極、即ち、陽極と陰極とを有し、両電極の間に発光層を有する。両電極間に配置されうる、発光層以外の機能層としては、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
前記有機電界発光層は、陽極と発光層との間に正孔輸送層を有することが好ましく、陰極と発光層との間に電子輸送層を有することが好ましい。更に、正孔輸送層と陽極との間に正孔注入層を設けてもよく、電子輸送層と陰極との間に電子注入層を設けてもよい。
また、前記発光層と正孔輸送層との間に正孔輸送性中間層(電子ブロック層)を設けてもよく、発光層と電子輸送層との間に電子輸送性中間層(正孔ブロック層)を設けてもよい。各機能層は複数の二次層に分かれていてもよい。
前記発光層を含むこれらの機能層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布方式、転写法、印刷法、インクジェット方式等のいずれによっても好適に形成することができる。
−−発光層−−
前記発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
前記発光層は、発光材料を含む。前記発光層は発光材料のみで構成されていてもよいし、ホスト材料と発光材料の混合層でもよい(後者の場合、発光材料を「発光性ドーパント」もしくは「ドーパント」と称する場合がある)。前記発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であってもよく、2種以上が混合されていてもよい。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であってもよい。更に、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。
前記発光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2nm〜500nmであるのが好ましく、外部量子効率の観点で、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
−−−発光材料−−−
前記発光材料は、燐光発光材料、蛍光発光材料等いずれも好適に用いることができる。本発明における発光性ドーパントは、ホスト化合物との間で、イオン化ポテンシャルの差(ΔIp)と電子親和力の差(ΔEa)が、1.2eV>△Ip>0.2eV、及び/又は1.2eV>△Ea>0.2eVの関係を満たすドーパントであることが、駆動耐久性の観点で好ましい。
前記発光層中の発光性ドーパントは、発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されるが、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、2質量%〜50質量%含有されることがより好ましい。
<燐光発光材料>
前記燐光発光材料としては、一般に、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体を挙げることができる。
前記遷移金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、金、銀、銅、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金であり、更に好ましくはイリジウム、白金である。
前記錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer−Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
前記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
これらの中でも、燐光発光材料としては、例えば、US6303238B1、US6097147、WO00/57676、WO00/70655、WO01/08230、WO01/39234A2、WO01/41512A1、WO02/02714A2、WO02/15645A1、WO02/44189A1、WO05/19373A2、WO2004/108857A1、WO2005/042444A2、WO2005/042550A1、特開2001−247859、特開2002−302671、特開2002−117978、特開2003−133074、特開2002−235076、特開2003−123982、特開2002−170684、EP1211257、特開2002−226495、特開2002−234894、特開2001−247859、特開2001−298470、特開2002−173674、特開2002−203678、特開2002−203679、特開2004−357791、特開2006−93542、特開2006−261623、特開2006−256999、特開2007−19462、特開2007−84635、特開2007−96259等の各公報に記載の燐光発光化合物などが挙げられる。これらの中でも、Ir錯体、Pt錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、Ce錯体が好ましく、Ir錯体、Pt錯体、又はRe錯体がより好ましく、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が更に好ましく、発光効率、駆動耐久性、色度等の観点で、3座以上の多座配位子を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が特に好ましい。
前記燐光発光材料の具体例として、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
<蛍光発光材料>
前記蛍光発光材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピラン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、縮合多環芳香族化合物(アントラセン、フェナントロリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、又はペンタセンなど)、8−キノリノールの金属錯体、ピロメテン錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、又はこれらの誘導体などを挙げることができる。
−−−ホスト材料−−−
前記ホスト材料としては、正孔輸送性に優れる正孔輸送性ホスト材料(正孔輸送性ホストと記載する場合がある)及び電子輸送性に優れる電子輸送性ホスト化合物(電子輸送性ホストと記載する場合がある)を用いることができる。
<正孔輸送性ホスト材料>
前記正孔輸送性ホスト材料としては、例えば、以下の材料を挙げることができる。即ち、ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、又はそれらの誘導体等が挙げられる。
これらの中でも、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、芳香族第三級アミン化合物、チオフェン誘導体、分子内にカルバゾール基を有するものが好ましく、t−ブチル置換カルバゾール基を有する化合物がより好ましい。
<電子輸送性ホスト材料>
前記電子輸送性ホスト材料としては、例えば、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、又はそれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等を挙げることができる。これらの中でも、耐久性の点から金属錯体化合物が好ましく、金属に配位する少なくとも1つの窒素原子又は酸素原子又は硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体がより好ましい。前記金属錯体電子輸送性ホストとしては、例えば特開2002−235076号公報、特開2004−214179号公報、特開2004−221062号公報、特開2004−221065号公報、特開2004−221068号公報、特開2004−327313号公報等に記載の化合物が挙げられる。
前記正孔輸送性ホスト材料、電子輸送性ホスト材料の具体例として、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
−−正孔注入層、正孔輸送層−−
前記正孔注入層、又は前記正孔輸送層は、陽極又は陽極側の層から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いられる正孔注入材料、正孔輸送材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。具体的には、ピロール誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、チオフェン誘導体、有機シラン誘導体、カーボン、等を含有する層であることが好ましい。
前記正孔注入層、又は前記正孔輸送層には、電子受容性ドーパントを含有させることができる。前記正孔注入層、又は正孔輸送層に導入する電子受容性ドーパントとしては、電子受容性で有機化合物を酸化する性質を有すれば、無機化合物でも有機化合物でも使用できる。
具体的には、無機化合物は塩化第二鉄や塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモンなどのハロゲン化金属、五酸化バナジウム、及び三酸化モリブデンなどの金属酸化物などが挙げられる。有機化合物の場合は、置換基としてニトロ基、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基などを有する化合物、キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレンなどを好適に用いることができる。
これらの電子受容性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。電子受容性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、正孔輸送層材料に対して0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.05質量%〜20質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
前記正孔注入層、又は正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
−−電子注入層、電子輸送層−−
前記電子注入層、又は前記電子輸送層は、陰極又は陰極側の層から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる電子注入材料、電子輸送材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
具体的には、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フタラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、シロールに代表される有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
前記電子注入層、又は電子輸送層には、電子供与性ドーパントを含有させることができる。前記電子注入層、又は電子輸送層に導入される電子供与性ドーパントとしては、電子供与性で有機化合物を還元する性質を有していればよく、Liなどのアルカリ金属、Mgなどのアルカリ土類金属、希土類金属を含む遷移金属や還元性有機化合物などが好適に用いられる。金属としては、特に仕事関数が4.2eV以下の金属が好適に使用でき、具体的には、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Cs、La、Sm、Gd、及びYbなどが挙げられる。また、還元性有機化合物としては、例えば、含窒素化合物、含硫黄化合物、含リン化合物などが挙げられる。
これらの電子供与性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。電子供与性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、電子輸送層材料に対して0.1質量%〜99質量%であることが好ましく、1.0質量%〜80質量%であることが更に好ましく、2.0質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
前記電子注入層、又は前記電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
−−正孔ブロック層、電子ブロック層−−
前記正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が陰極側に通り抜けることを防止する機能を有する層であり、通常、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として設けられる。
一方、前記電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が陽極側に通り抜けることを防止する機能を有する層であり、通常、発光層と陽極側で隣接する有機化合物層として設けられる。
前記正孔ブロック層を構成する化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。電子ブロック層を構成する化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが利用できる。
前記正孔ブロック層及び電子ブロック層の厚みは、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また正孔ブロック層及び電子ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
−−電極−−
前記有機電界発光素子は、一対の電極、即ち陽極と陰極とを含む。発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は透明であることが好ましい。
通常、陽極は有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、陰極は有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよい。その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。電極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物等が好適に挙げられる。
前記電極としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、その陽極、陰極において、前記反射金属、前記半透明部材としての半透明金属を構成することが好ましい。
前記陽極を構成する材料の具体例としては、例えば、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
前記陰極を構成する材料としては、例えば、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(例えば、Mg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、及びイッテルビウム等の希土類金属などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
前記電極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前記電極を構成する材料との適性を考慮し、適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料としてITOを選択する場合には、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って形成することができる。陰極の材料として金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って形成することができる。
なお、前記電極を形成する際にパターニングを行う場合は、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
前記有機電界発光装置は、フルカラーで表示し得る装置として構成することができる。
前記有機電界発光装置をフルカラータイプのものとする方法としては、例えば「月刊ディスプレイ」、2000年9月号、33〜37ページに記載されているように、色の3原色(青色(B)、緑色(G)、赤色(R))に対応する光をそれぞれ発光する層構造を基板上に配置する3色発光法、白色発光用の層構造による白色発光をカラーフィルタ層を通して3原色に分ける白色法、青色発光用の層構造による青色発光を蛍光色素層を通して赤色(R)及び緑色(G)に変換する色変換法、などが知られている。
この場合は、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)の画素ごとにレーザーパワー、膜厚を適宜調整することが好ましい。
また、上記方法により得られる異なる発光色の層構造を複数組み合わせて用いることにより、所望の発光色の平面型光源を得ることができる。例えば、青色及び黄色の発光素子を組み合わせた白色発光光源、青色(B)、緑色(G)、及び赤色(R)の有機電界発光素子を組み合わせた白色発光光源、等である。
ここで、図6は、本発明の有機電界発光装置の一例を示す概略図である。
この図6の有機電界発光装置は、基板1の光出射面上に、微粒子層6と、凹凸緩和層7と、基材8とを有している。
一方、基板1の非光出射面上に、電極(ITO)2と、有機電界発光層3と、電極4とを有しており、これらが封止缶5で封止されたものである。
前記有機電界発光装置は、例えば、照明機器、コンピュータ、車載用表示器、野外表示器、家庭用機器、業務用機器、家電用機器、交通関係表示器、時計表示器、カレンダ表示器、ルミネッセントスクリーン、音響機器等をはじめとする各種分野において好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例A1)
〔微粒子層転写材料の作製〕
<凹凸緩和層の形成>
厚みが100μmであるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム製の基材上に、下記組成の凹凸緩和層用塗布液を塗布し、乾燥させることにより、平均厚みが20μmである凹凸緩和層を形成した。
なお、凹凸緩和層の平均厚みは、凹凸緩和層の一部を切り取り、走査型電子顕微鏡(S−3400N、日立ハイテク株式会社製)で10箇所測定した平均値である(以下同様にして測定した)。
<<凹凸緩和層用塗布液>>
バインダーA:40質量部、バインダーB:25質量部、可塑剤1:10質量部、界面活性剤1:0.5質量部、及びメチルエチルケトン25質量部を混合して、凹凸緩和層用塗布液を調製した。
−バインダーA−
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比)=55/11.7/4.5/28.8(商品名:アロマテックスFM601、三井化学株式会社製、重量平均分子量=90,000、固形分濃度21質量%)
−バインダーB−
・スチレン/アクリル酸共重合体(モル比)=63/37(商品名:アロセット7055、株式会社日本触媒製、重量平均分子量=8,000、固形分濃度41質量%)
−可塑剤1−
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学株式会社製)
−界面活性剤1−
・下記構造物1・・・30質量%
・メチルエチルケトン・・・70質量%
<中間層の形成>
次に、前記凹凸緩和層上に、下記組成の中間層用塗布液を塗布し、乾燥させることにより、平均厚みが1.6μmである中間層を形成した。
−中間層用塗布液−
ポリビニルアルコール(PVA205(鹸化率=88%)、株式会社クラレ製)2.1質量部、ポリビニルピロリドン(PVP、K−30;アイエスピー・ジャパン株式会社製)0.95質量部、メタノール44質量部、及び蒸留水53質量部を混合して、中間層用塗布液を調製した。
<微粒子層の形成>
次に、中間層上に、下記のようにして調製した微粒子層組成物1を塗布し、乾燥させることにより、平均厚みが10μmである微粒子層を形成した。
<<微粒子層組成物1>>
微粒子分散物1:30質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(MMPG−Ac、ダイセル化学株式会社製)8質量部を、温度24℃(±2℃)で混合して、150rpmで10分間攪拌した。次いで、メチルエチルケトン53質量部、バインダーC:5質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.002質量部、DPHA液4.2質量部、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン0.16質量部、界面活性剤1:0.044質量部を、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で、150rpm、30分間攪拌して、微粒子層組成物を調製した。
−微粒子分散物1−
・第1の微粒子として、日産化学株式会社製 オプトビーズ2000M[固形分100質量%](平均粒径2μm)・・・45質量%
・第2の微粒子として、テイカ社製 微粒子酸化チタン MT−05(平均粒径10nm、屈折率2.72)・・・9.5質量%
・下記構造式で表される分散剤(化合物1)・・・0.5質量%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28(モル比)のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万)・・・5質量%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート・・・40質量%
−バインダーC−
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.8万)・・・27質量%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート・・・73質量%
−DPHA液−
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬株式会社製、商品名:KAYARAD DPHA)・・・76質量%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート・・・24質量%
最後に、作製した微粒子層上に、厚み12μmのポリプロピレン製のカバーフィルムを貼付して設けることにより、実施例A1の微粒子層転写材料を作製した。
(実施例A2)
−微粒子層転写材料の作製−
実施例A1において、前記凹凸緩和層用塗布液のメチルエチルケトン(MEK)の量を25質量部から100質量部に変更した以外は、実施例A1と同様にして、平均厚み5μmの凹凸緩和層を有する実施例A2の微粒子層転写材料を作製した。
(実施例A3)
<微粒子層転写材料の作製>
実施例A1において、微粒子層組成物1を、下記の微粒子層組成物2に代えた以外は、実施例A1と同様にして、実施例A3の微粒子層転写材料を作製した。
<<微粒子層組成物2>>
微粒子分散物2:30質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(MMPG−Ac;ダイセル化学株式会社製)8質量部を、温度24℃(±2℃)で混合して、150rpmで10分間攪拌した。次いで、メチルエチルケトン53質量部、バインダーD:5質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.002質量部、DPHA液4.2質量部、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン0.16質量部、界面活性剤1 0.044質量部を、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で、150rpm、30分間攪拌して、微粒子層組成物を調製した。
−微粒子分散物2−
・第1の微粒子として、日産化学株式会社製 オプトビーズ2000M[固形分100質量%](平均粒径2μm)・・・45質量%
・分散剤(上記構造式で表される化合物1)・・・0.5質量%
・ポリマー(NKエステルA−BPEF(新中村工業株式会社製)、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン/メタクリル酸=72/28(モル比)のランダム共重合物、分子量3.7万)・・・14.5質量%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート・・・40質量%
−バインダーD−
・ポリマー(NKエステルA−BPEF(新中村工業株式会社製)、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン/メタクリル酸=72/28(モル比)のランダム共重合物、分子量3.7万)・・・27質量%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート・・・73質量%
−DPHA液−
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬株式会社製、商品名:KAYARAD DPHA)・・・76質量%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート・・・24質量%
(実施例A4)
−微粒子層転写材料の作製−
実施例A1において、前記凹凸緩和層用塗布液のメチルエチルケトン(MEK)の量を25質量部から50質量部に変更した以外は、実施例A1と同様にして、平均厚み15μmの凹凸緩和層を有する実施例A4の微粒子層転写材料を作製した。
(実施例A5)
−微粒子層転写材料の作製−
実施例A1において、前記凹凸緩和層用塗布液のメチルエチルケトン(MEK)の量を25質量部から75質量部に変更した以外は、実施例A1と同様にして、平均厚み10μmの凹凸緩和層を有する実施例A5の微粒子層転写材料を作製した。
(比較例A1)
−微粒子層転写材料の作製−
実施例A1において、凹凸緩和層及び中間層を設けなかった以外は、実施例A1と同様にして、比較例A1の微粒子層転写材料を作製した。
(比較例A2)
−微粒子層転写材料の作製−
実施例A1において、凹凸緩和層及び中間層を設けなかった以外は、実施例A1と同様にして、微粒子層転写材料を作製した。次に、以下の平坦化処理を行った後、厚み12μmのポリプロピレン製のカバーフィルムを貼付して設けることにより、比較例A2の微粒子層転写材料を作製した。
−平坦化処理−
前記微粒子層組成物1から、オプトビーズ2000Mのみを除いた平坦化層組成物を調製し、微粒子層上に前記平坦化層組成物を塗布した。
なお、平坦化層組成物中の溶剤により前記微粒子層は再溶融し、オプトビーズ2000Mが表面に一部出てきてしまい、微粒子層の表面の完全な平坦化ができなかった。
(実施例B1)
−有機電界発光装置の作製−
ガラス基板(SLH−53、オハラ社製、屈折率1.81)を洗浄容器に入れ、中性洗剤中で超音波洗浄した後、純水中で超音波洗浄し、120℃で120分間加熱乾燥を行った。乾燥後、前記基板上にシランカップリング液〔N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業株式会社製〕をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄、加熱乾燥(80℃で2時間)を行った。
次に、得られたシランカップリング処理ガラス基板に、実施例A1で作製した微粒子層転写材料からカバーフィルムを除去し、除去後に露出した微粒子層の表面と前記シランカップリング処理ガラス基板の表面とが接するように重ね合わせ、ラミネーターを用いて、100℃で2分間加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分の条件でラミネートした。
その後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で露光、100℃で30分間熱処理し、基板と微粒子層間はほぼ隙間無く密着し、基材(ベースフィルム)を保護シートとした、微粒子層付きの高屈折率ガラス基板を作製した。
次に、前記微粒子層付きの高屈折率ガラス基板の微粒子層とは反対側の面に、スパッタ法によりITO(Indium Tin Oxide)を厚みが100nmとなるように成膜した。
次に、前記ITO上に、下記構造式で表される4,4’,4”−トリス(N,N−(2−ナフチル)−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)に、下記構造式で表されるF4−TCNQを0.3質量%ドープした正孔注入層を厚みが150nmになるように共蒸着した。
次に、前記正孔注入層上に、正孔輸送層としてα−NPD(Bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine)を厚みが7nmとなるように真空蒸着法にて形成した。
次に、前記正孔輸送層上に、下記構造式で表される有機材料Aを真空蒸着して、厚み3nmの第2の正孔輸送層を形成した。
次に、第2の正孔輸送層上に、ホスト材料として下記構造式で表される有機材料Bと、該有機材料Bに対して40質量%の燐光発光材料である下記構造式で表される発光材料Aをドープした発光層を30nmの厚みに真空蒸着した。
次に、白色発光層上に電子輸送層として下記構造式で表されるBAlq(Bis−(2−methyl−8−quinolinolato)−4−(phenyl−phenolate)−aluminium(III))を厚みが39nmとなるように真空蒸着した。
次に、電子輸送層上に、下記構造式で表されるBCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)を電子注入層として、厚みが1nmとなるように蒸着した。
次に、電子注入層上にバッファ層としてLiFを厚みが1nm、その上にアルミニウムを電極層として厚みが100nmとなるように蒸着した。
作製した積層体を、真空から窒素雰囲気下の部屋に移し、封止缶にて封止する。なお、封止缶の内側には予め吸湿材を貼っておいた。以上により、図6に示す実施例B1の有機電界発光装置を作製した。
(比較例B1)
−有機電界発光装置の作製−
実施例B1において、シランカップリング処理を行わなかった、洗浄済みのガラス基板(SLH−53、オハラ社製、屈折率1.81)に、実施例A1で作製した微粒子層転写材料を転写せず、微粒子層、中間層、凹凸緩和層、及び基材を設けない以外は、実施例B1と同様にして、図8に示す比較例B1の有機電界発光装置を作製した。
(比較例B2)
−有機電界発光装置の作製−
実施例B1において、実施例A1で作製した微粒子層転写材料を、比較例A1で作製した微粒子層転写材料に代えた以外は、実施例B1と同様にして、図9に示す比較例B2の有機電界発光装置を作製した。
(実施例B2)
−有機電界発光装置の作製−
実施例B1において、実施例A1で作製した微粒子層転写材料を、実施例A2で作製した微粒子層転写材料に代えた以外は、実施例B1と同様にして、図6に示す実施例B2の有機電界発光装置を作製した。
(比較例B3)
<有機電界発光装置の作製>
比較例B1の有機電界発光装置の基板の発光層を設けてない側の面に、下記のようにして作製した粘着層付き微粒子層を貼り付けて、図10に示す比較例B3の有機電界発光装置を作製した。
−粘着層付き微粒子層の作製−
蒸留水179質量部、界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、商品名:ナロアクティーCL−95)46質量部、ナノサイズの微粒子(日産化学株式会社製、スノーテックスZL、固形分40質量%)114質量部、平均粒径2μmの微粒子(日産化学株式会社製、オプトビーズ2000M、固形分100質量%)275質量部、水性ポリウレタン(三井化学株式会社製、タケラックシリーズW−6010、固形分33質量%)359質量部、及び硬化剤(日清紡績株式会社製、V−02−L2、固形分40質量%)27質量部を混合し、スターラーを用い攪拌して、混合塗布液1を調製した。
次に、調製した混合塗布液1を剥離剤(TORAY社製、SYL−OFF)で処理した厚み50μmのPETフィルム上に塗布し、加熱乾燥(120℃で2分間)させ、PETフィルムより剥離し、アクリル系透明粘着材料(3M社製、高透明性接着剤転写テープOptical Clear Adhesive Tape(OCAテープ)8171J)を接着することで粘着層付き微粒子層を作製した。
(実施例B3)
−有機電界発光装置の作製−
実施例B1と同様にして、ガラス基板(SLH−53、オハラ社製、屈折率1.81)を洗浄後、前記基板上にシランカップリング液〔N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業株式会社製〕をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄、加熱乾燥(80℃2時間)を行った。
得られたシランカップリング処理ガラス基板に、実施例A1で作製した微粒子層転写材料からカバーフィルムを除去し、除去後に前面露出した微粒子層の表面と前記シランカップリング処理ガラス基板の表面とが接するように重ね合わせ、ラミネーターを用いて、100℃で2分間加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分の条件でラミネートした。
次に、基材(ベースフィルム)を剥離後、該基板に対して該微粒子層の側から超高圧水銀灯で500mJ/の光でポスト露光後、220℃、15分熱処理し、基材の無い、凹凸緩和層の付いた厚み10μmの微粒子層を作製した。
前記微粒子層付きの高屈折率ガラス基板の微粒子層とは反対面に実施例B1と同様にして、有機電界発光層を形成し、図7に示す基材の無い実施例B3の有機電界発光層を作製した。
(実施例B4)
−有機電界発光装置の作製−
実施例B1において、実施例A1で作製した微粒子層転写材料を、実施例A3で作製した微粒子層転写材料に代えた以外は、実施例B1と同様にして、図6に示す実施例B4の有機電界発光装置を作製した。
(比較例B4)
−有機電界発光装置の作製−
実施例B1において、ガラス基板(SLH−53、オハラ社製、屈折率1.81)を、ガラス基板(コーニング社製、Eagle XG、屈折率1.51)に代えた以外は、実施例B1と同様にして、図6に示す比較例B4の有機電界発光装置を作製した。
(実施例B5)
−有機電界発光装置の作製−
実施例B1において、ガラス基板(SLH−53、オハラ社製、屈折率1.81)の一の面に、実施例B1と同様にして、有機電界発光層を形成した。
次に、ガラス基板の他方の面に、実施例A1で作製した微粒子層転写材料を用いて、実施例B1と同様にして、微粒子層、中間層、凹凸緩和層、及び基材を形成し、図6に示す実施例B5の有機電界発光装置を作製した(最終構成は実施例B1と同じとなる)。
(比較例B5)
−有機電界発光装置の作製−
実施例B1において、実施例A1で作製した微粒子層転写材料を、比較例A2で作製した微粒子層転写材料に代えた以外は、実施例B1と同様にして、図9に示す比較例B5の有機電界発光装置を作製した。
(実施例B6)
−有機電界発光装置の作製−
実施例B1において、実施例A1で作製した微粒子層転写材料を、実施例A4で作製した微粒子層転写材料に代えた以外は、実施例B1と同様にして、図6に示す実施例B6の有機電界発光装置を作製した。
(実施例B7)
−有機電界発光装置の作製−
実施例B1において、実施例A1で作製した微粒子層転写材料を、実施例A5で作製した微粒子層転写材料に代えた以外は、実施例B1と同様にして、図6に示す実施例B7の有機電界発光装置を作製した。
次に、作製した各有機電界発光装置について、以下のようにして、正面輝度、及び面輝度の分布を測定した。結果を表1に示す。
<正面輝度及び面輝度分布測定>
東陽テクニカ株式会社製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧を各有機電界発光装置に印加して発光させた。正面輝度は、発光面中心で10mA/cmの電流値で分光輝度計(トプコン社製、SR−3)を用いて測定した。
具体的には、有機電界発光装置の発光面を図11に示すように9分割し、光取り出し側から前記分光輝度計を用い、それぞれのマスの中心を狙い輝度の測定を行い。9点の輝度の測定結果から平均値と標準偏差を求めた。
*比(A/B)は、基板の屈折率Aと発光層の屈折率Bとの比を表す。
*比(A/B)は、基板の屈折率Aと発光層の屈折率Bとの比を表す。
*比(A/B)は、基板の屈折率Aと発光層の屈折率Bとの比を表す。
表1の結果から、実施例B1は、発光面中心で10mA/cmの電流値で3251cd/mの正面輝度が得られ、比較例B1の有機電界発光装置に比べて輝度が約100%程度上昇している。また、発光面内9点の輝度バラツキはσ(標準偏差)=25.07であった。
比較例B1は、発光面中心で10mA/cmでの電流値で1602cd/mの正面輝度が得られた。また、発光面内9点の輝度バラツキはσ(標準偏差)=57.54であった。
比較例B2は、発光面中心で10mA/cmの電流値で2360cd/mの正面輝度が得られ、比較例B1に比べて約50%程度の輝度が上昇したが、実施例B1に比べ光取り出し能は低下している。
発光面を観察したところ、図4に示すように、微粒子層と基板との界面で空間(泡状のもの)が無数に点在していた。空間ができたことで、基板と微粒子層間に出来た空間により一部の光線が全反射を起こし、実施例B1に比べて光取り出し効率が低下したものとみる。また、発光面内9点の輝度バラツキはσ(標準偏差)=156.4と大きなバラツキが生じていた。前記空間が多く発生している箇所があったり、比較的少ない箇所があり、均一ではなかったため、輝度の場所依存性が大きく現れたものと考える。
実施例B2は、発光面中心で10mA/cmの電流値で2750cd/mの正面輝度が得られ、比較例B1に比べて約75%程度の輝度が上昇し、比較例B2に比較しても輝度が更に向上している。また、発光面内9点の輝度バラツキはσ(標準偏差)=45.15であった。
比較例B3は、発光面中心で10mA/cmの電流値で2401cd/mの正面輝度が得られ、比較例B1に比べて約50%程度の輝度が上昇したが、実施例B1に比べて光取り出し能は低下している。
図5に示すように、基板と微粒子層間にある粘着層の屈折率が低いため、一部の光線が高屈折率基板内(基板−粘着層間)で全反射を起こし、実施例B1に比べて光取り出し効率が低下したものと見られる。また、発光面内9点の輝度バラツキはσ(標準偏差)=69.12であった。
実施例B3は、発光面中心で10mA/cmの電流値で3150cd/mの正面輝度が得られ、比較例B1に比べて約100%程度の輝度が上昇した。また、発光面内9点の輝度バラツキはσ(標準偏差)=29.17であった。
実施例B4は、発光面中心で10mA/cmの電流値で2720/mの正面輝度が得られ、比較例B1に比べて約70%程度の輝度が上昇している。また、発光面内9点の輝度バラツキはσ(標準偏差)=31.24であった。
比較例B4は、発光面中心で10mA/cmの電流値で2405cd/mの正面輝度が得られ、比較例B1に比べて約50%程度の輝度が上昇しているが、実施例B1に比べて光取り出し能は低下している。基板の屈折率層が低いため、一部の光線が有機電界発光層内(ITO電極−ガラス基板間)で全反射を起こし、実施例B1に比べて光取り出し効率が低下したものと見られる。また、発光面内9点の輝度バラツキはσ(標準偏差)=32.67であった。
実施例B5は、発光面中心で10mA/cmの電流値で3234cd/mの正面輝度が得られ、比較例B1に比べて約100%程度の輝度が上昇している。また、発光面内9点の輝度バラツキはσ(標準偏差)=32.67であった。
比較例B5は、発光面中心で10mA/cmの電流値で2520cd/mの正面輝度が得られ、比較例B1に比べて約57%程度の輝度が上昇したが、実施例B1に比べて光取り出し能は低下している。
発光面を観察したところ、比較例B2ほどではないが微粒子層と基板との界面で空間(泡状のもの)が見られた。平坦化を実施したが、微粒子による突起(凸)が完全に消えなかったことで一部に空間ができてしまい、前記空間により一部の光線が全反射を起こし、実施例B1に比べて光取り出し効率が低下したものと思われる。
また、発光面内9点の輝度バラツキはσ(標準偏差)=119.4と大きなバラツキが生じていた。比較例B2と同様、前記空間が多く発生している箇所があったり、比較的少ない箇所があり、均一ではなかったため、輝度の場所依存性が大きく現れたものと考える。
実施例B6は、発光面中心で10mA/cmの電流値で3049cd/mの正面輝度が得られ、比較例B1に比べて約90%程度の輝度が上昇している。また、発光面内9点の輝度バラツキはσ(標準偏差)=35.81であった。
実施例B7は、発光面中心で10mA/cmの電流値で2849cd/mの正面輝度が得られ、比較例B1に比べて約78%程度の輝度が上昇している。また、発光面内9点の輝度バラツキはσ(標準偏差)=43.76であった。
(参考例1)
本発明においては、以下の方法により微粒子層をパターニングしてもよい。
微粒子層を基板に実施例B1と同様にして熱圧着したのち、基材(ベースフィルム)を剥離した。前記露光機で、マスクにより微粒子層を有機電界発光装置の発光予定範囲より広い範囲でパターニング露光し、次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、商品名:T−PD2、富士写真フイルム株式会社製を純水で12倍に希釈した液)にて30℃で50秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し凹凸緩和層と中間層を除去した。
引き続き、炭酸Na系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5%質量のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン性界面活性剤、消泡剤、安定剤含有、商品名:T−CD1、富士写真フイルム株式会社製を純水で5倍に希釈した液)を用い、29℃で30秒、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像して、微粒子層を現像した。
引き続き、洗浄剤(商品名「T−SD3(富士写真フイルム株式会社製)を純水で10倍に希釈した液」を用い、33℃で20秒、コーン型ノズル圧力0.02MPaでシャワーとナイロン毛を有する回転ブラシにより残渣除去を行い、ブラック(K)の画像を得た。
その後更に、該基板に対して該微粒子層の側から超高圧水銀灯で500mJ/の光でポスト露光後、220℃で15分間熱処理することで、前記基板上にパターニングした微粒子層が得られた。
本発明の有機電界発光装置は、例えば、各種照明、コンピュータ、車載用表示器、野外表示器、家庭用機器、業務用機器、家電用機器、交通関係表示器、時計表示器、カレンダ表示器、ルミネッセントスクリーン、音響機器等をはじめとする各種分野において好適に使用することができる。
1 ガラス基板
2 電極(ITO)
3 有機電界発光層
4 電極(Al)
5 封止缶
6 微粒子層
7 凹凸緩和層(中間層含む)
8 基材
9 粘着(接着)層
101 基材
102 凹凸緩和層
103 中間層
104 微粒子層
105 カバーフィルム
110 基板
111 隙間
112 粘着(接着)層

Claims (10)

  1. 有機電界発光装置における基板の光出射面上に微粒子層を転写するのに用いられる微粒子層転写材料であって、
    基材と、該基材上に凹凸緩和層と、該凹凸緩和層上に微粒子層とを少なくとも有し、
    前記基板の前記光出射面に、前記微粒子層、及び前記凹凸緩和層がこの順に形成されていることを特徴とする微粒子層転写材料。
  2. 凹凸緩和層の平均厚みが12μm以上である請求項1に記載の微粒子層転写材料。
  3. 微粒子層が、ポリマー、第1の微粒子、及び第2の微粒子を少なくとも含有し、
    前記第1の微粒子の平均粒径が0.5μm〜10μmである請求項1から2のいずれかに記載の微粒子層転写材料。
  4. 第2の微粒子の平均粒径が0.5nm〜100nmであり、かつ前記第2の微粒子の屈折率が2.0以上である請求項3に記載の微粒子層転写材料。
  5. 第2の微粒子が酸化チタンである請求項3から4のいずれかに記載の微粒子層転写材料。
  6. 粒子層転写材料を有機電界発光装置における基板の光出射面に転写する転写工程を少なくとも含み、
    前記微粒子転写材料が、微粒子層を前記有機電界発光装置上に転写するのに使用されるものであって、
    前記微粒子転写材料が、基材と、該基材上に凹凸緩和層と、該凹凸緩和層上に前記微粒子層とを少なくとも有していて、
    前記基板の前記光出射面に、前記微粒子層、及び前記凹凸緩和層をこの順に形成することを特徴とする有機電界発光装置の製造方法。
  7. 微粒子層転写材料の微粒子層と、基板とを熱圧着させて転写する請求項6に記載の有機電界発光装置の製造方法。
  8. 基板の非光出射面に、少なくとも発光層を含む有機電界発光層を形成する有機電界発光層形成工程を含む請求項6から7のいずれかに記載の有機電界発光装置の製造方法。
  9. 基板と、該基板上の陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機電界発光層を有する有機電界発光装置であって、
    前記基板の光出射面に、微粒子層転写材料を転写してなり、
    前記微粒子転写材料が、微粒子層を前記有機電界発光装置上に転写するのに使用されるものであって、
    前記微粒子転写材料が、基材と、該基材上に凹凸緩和層と、該凹凸緩和層上に前記微粒子層とを少なくとも有していて、
    前記基板の前記光出射面に、前記微粒子層、及び前記凹凸緩和層がこの順に形成されていて、
    前記基板の屈折率Aと前記発光層の屈折率Bとが、次式、A/B≧1.0を満たすことを特徴とする有機電界発光装置。
  10. 基板と、該基板上の陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機電界発光層を有する有機電界発光装置であって、
    前記基板の光出射面に、微粒子層転写材料を転写してなり、
    前記微粒子転写材料が、微粒子層を前記有機電界発光装置上に転写するのに使用されるものであって、
    前記微粒子転写材料が、基材と、該基材上に凹凸緩和層と、該凹凸緩和層上に前記微粒子層とを少なくとも有していて、
    前記基板の前記光出射面に、前記微粒子層、前記凹凸緩和層、及び前記基材がこの順に形成されていて、
    前記基板の屈折率Aと前記発光層の屈折率Bとが、次式、A/B≧1.0を満たすことを特徴とする有機電界発光装置。
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