JP2004303562A - 有機エレクトロルミネッセント素子用基板 - Google Patents

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Sayaka Kawashima
さやか 川島
Minoru Komada
実 駒田
Keiji Tokunaga
圭治 徳永
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Abstract

【課題】ガスバリア性が高く、また表面に凹凸やピンホール等がなく、平坦性の良好な有機EL素子用基板を提供する。
【解決手段】透明基材1と、前記透明基材上に形成された色変換層2と、前記色変換層上に形成された平坦化用コート層3と、前記平坦化用コート層上に形成された蒸着膜からなるガスバリア層4とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子用基板を提供する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色変換層を有する有機エレクトロルミネッセント(以下、有機ELと略す場合がある。)素子に用いることが可能な、ガスバリア性が高く、かつ平坦性を有する有機EL素子用基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報の多様化が進んでいる。その中で、固体撮像素子をはじめ、情報分野における表示デバイスには、「美・軽・薄・優」が求められ、さらに低消費電力・高速応答へ向けて活発な開発が進められている。特に、高精細なフルカラー表示デバイスの考案が広くなされている(特許文献1)。
【0003】
液晶表示素子等に比較して、高コントラスト、定電圧駆動、広視野角、および高速応答性等の特徴を有する素子として、1980年代後半に、有機分子の薄膜積層構造を有した有機エレクトロルミネセンス素子が提唱されている。Tangらによる印加電圧10Vで、1000cd/m以上の高輝度で発光する積層型EL素子の報告(非特許文献1)以来、実用化に向けての研究が活発に行われている。また、有機高分子材料を用いた同様の素子も活発に開発が進められている。
【0004】
有機EL素子は、定電圧で高い電流密度が実現できるため、無機EL素子やELDに比較して高い発光輝度および発光効率が期待できる。有機EL素子は、(1)高輝度および高コントラスト、(2)低電圧駆動および高い発光効率、(3)高解像度、(4)広視野角性、(5)速い応答速度、(6)微細化およびカラー化、および(7)軽さおよび薄さ等の、表示素子として優れた特徴を有している。以上の点から、「美・軽・薄・優」なフラットパネルディスプレイへの応用が期待されている。
【0005】
すでに、パイオニア(株)によって、車搭載用の緑色モノクロ有機ELディスプレイ等が1997年11月より製品化されており、今後は多様化する社会のニーズに応えるべく、長期安定性、高速応答性、多色表示、および高精細のフルカラー表示が可能な有機ELカラーディスプレイの実用化が急がれている。
【0006】
有機ELディスプレイのマルチカラー化またはフルカラー化の方法として、次の3つの方法が検討されている。
【0007】
第1の方法は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の発光体をマトリクス上に分離配置し、それぞれ発光させる方法である(例えば、特許文献2、特許文献3、および特許文献4等)。この方法は、RGBの3種の発光材料をマトリクス状に高精細に配置しなくてはならないため、技術的に困難であり、かつ安価で製造することはさらに困難である。加えて、3種の発光材料の寿命がそれぞれ異なるために、時間とともに色度がずれてしまうなどの欠点を有する。
【0008】
第2の方法として、白色で発光するバックライトにカラーフィルタを用いRGBの3原色を透過させる方法が提案されている(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7等)。この方法において、充分な輝度のRGB光を得るために必要なバックライトに用いる、長寿命かつ高輝度の白色発光の有機EL発光素子を得ることは技術的に高度で困難な課題であり、未だ得られていない。
【0009】
近年では、第3の方法として、発光体の発光を平面的に分離配置した蛍光体に吸収させ、それぞれの蛍光体から多色の蛍光を発光させる方法が開示されている特許文献8等)。ここで、蛍光体を用い、ある発光体から多色の蛍光を発光させる方法については、CRT、プラズマディスプレイ等にも応用されている。
【0010】
また、近年においては、有機EL発光素子の発光域の光を吸収し、可視光域蛍光を発光する蛍光材料を含む膜を色変換フィルタとして用いる色変換方式が開示されている(例えば、特許文献8、特許文献9、特許文献10等)。この方法においては、有機EL発光素子の発光色が白色に限定されないため、より輝度が高い有機EL発光素子を光源に適用することができる(例えば、特許文献8、特許文献11、特許文献12、特許文献10等)。
【0011】
これらの公報において、青色光を緑色光および赤色光に波長変換する、青色発光の有機EL発光素子を用いた色変換方式が開示されている。ここで、蛍光材料を含む膜(色変換フィルタ)を高精細にパターニングすれば、発光体の近紫外光ないし可視光のような弱いエネルギー線を用いても、フルカラーの発光型ディスプレイの構築が可能となる。
【0012】
蛍光材料を含む膜(色変換フィルタ)のパターニングの方法としては、(1)無機蛍光体の場合と同様に、蛍光材料として蛍光染料を液状のレジスト(光反応性ポリマー)中に分散させ、これをスピンコート法などで成膜した後、フォトリソグラフィー法でパターニングする方法(特許文献13および特許文献9)、あるいは(2)塩基性のバインダーに蛍光材料として蛍光染料または蛍光顔料を分散させ、これを酸性水溶液でエッチングする方法(特許文献12)などが用いられる。
【0013】
このようなカラーディスプレイとして実用化する上で重要なことは、精細なカラー表示機能を有することとともに、長期安定性を有することである(例えば、非特許文献2を参照)。しかし、有機EL発光素子は、一定期間、駆動すると、電流−輝度特性等の発光特性が著しく低下するという欠点を有する。
【0014】
この発光特性の低下原因の代表的なものは、ダークスポットと呼ばれる発光欠陥点の成長である。このダークスポットは、素子中の酸素あるいは水分による素子の積層構成材料の酸化あるいは凝集に起因するものと考えられている。ダークスポットの成長は、通電中(駆動中)はもちろん、保存中にも進行し、極端な場合には発光面全体に広がる。その成長は、特に、(1)素子の周囲に存在する酸素あるいは水分により加速され、(2)有機積層膜中に吸着物として存在する酸素あるいは水分に影響され、および(3)素子作製時に用いる部品に吸着している水分、もしくは製造時等における水分の浸入にも影響されると考えられている。
【0015】
色変換方式の有機ELカラーディスプレイでは、透明電極の下側に、色変換層が配設されている。前述のとおり色変換層は、樹脂中に色変換用の蛍光材料を混合したものであり、混合する蛍光材料の熱安定性の問題から、200℃を超える温度での乾燥が行えない。このことから、塗布溶液中に含有されている水分、あるいはパターン形成工程中に混入した水分が保持された状態で、色変換層が形成される可能性が高い。色変換層中に保持された水分は、保存もしくは駆動中に色変換層を被覆している樹脂層を透過して素子に達し、ダークスポットの成長を促進する要因となる。
【0016】
この水分の有機EL素子への侵入を防止する手法として、色変換層と有機EL素子との間に、絶縁性の無機酸化膜層を、厚さ0.01〜200μmで配設する技術が知られている(特許文献14)。或いは、色変換層と有機EL素子との間に、オーバーコート層及び絶縁性の無機酸化膜層を配設することが知られている(特許文献10)。前記無機酸化膜層には、有機発光層の寿命を維持するための高い防湿性が要求され、JIS K7126の気体透過度試験方法により測定される、無機酸化膜層における水蒸気または酸素のガス透過係数は、それぞれ10−13cc・cm/cm・s・cmHg以下であることが望ましいとされている。また、前記オーバーコート層は、塗布後の表面の凹凸を平坦化させて、電極の断線を低減させるものである。
【0017】
また、特許文献15、特許文献16に示されるように、カラーフィルタの作製方法として、カラーフィルタ層上に形成した樹脂保護層に対して、DCスパッタリングによりSiO、SiNを形成する方法があり、該方法は透明導電膜の密着性を向上させる効果がある。また、低融点ガラスを焼結する方法が知られている(特許文献17)。この他に、有機EL発光素子を外気から遮断する封止方法として、CVD法によりSiN膜を形成する方法が知られている(特許文献18)。
【0018】
しかしながら、上記いずれの文献に記載された発明においても、有機EL素子の発光層等の劣化を防ぐ防湿性としては十分とは言い難いといえる。
【0019】
また、表面の平坦性に関しては上記各特許文献のいずれにおいても検討されていない。
【0020】
【特許文献1】
特開平8−338905号公報
【特許文献2】
特開昭57−157487号公報
【特許文献3】
特開昭58−147989号公報
【特許文献4】
特開平3−214593号公報
【特許文献5】
特開平1−315988号公報
【特許文献6】
特開平2−273496号公報
【特許文献7】
特開平3−194885号公報
【特許文献8】
特開平3−152897号公報
【特許文献9】
特開平5−258860号公報
【特許文献10】
特開2002−318543号公報
【特許文献11】
特開平8−286033号公報
【特許文献12】
特開平9−208944号公報
【特許文献13】
特開平5−198921号公報
【特許文献14】
特開平8−279394号公報
【特許文献15】
特開平7−146480号公報
【特許文献16】
特開平10−10518号公報
【特許文献17】
特開2000−214318号公報
【特許文献18】
特開2000−223264号公報
【非特許文献1】
Appl.Phys.Lett.,51,913(1987)
【非特許文献2】
機能材料、第18巻、第2号、96頁
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、ガスバリア性が高く、また表面に凹凸やピンホール等がなく、平坦性の良好な、色変換層を有する有機EL素子用基板を提供することが望まれている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透明基材と、上記透明基材上に形成された色変換層と、上記色変換層上に形成された平坦化用コート層と、上記平坦化用コート層上に形成された蒸着膜からなるガスバリア層とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子用基板を提供する。
【0023】
本発明によれば、上記平坦化用コート層上に、上記ガスバリア層が形成されることから、ガスバリア層を緻密で、凹凸やピンホール等のない、ガスバリア性の高い層とすることができる。また、上記ガスバリア層と上記透明基材または上記色変換層との間に上記平坦化用コート層が形成されることから、上記ガスバリア層と上記透明基材等との密着性を向上させることができ、ガスバリア性の高い有機EL素子用基板とすることができるのである。これにより、本発明の有機EL素子用基板上に、有機EL層を形成した際、例えば上記色変換層から発生した酸素や水蒸気等が、有機EL層側に侵入することを防止することができ、有機EL素子に用いた場合にダークスポットの発生や成長等のない、高品質な有機EL素子用基板とすることができるのである。
【0024】
本発明においては、上記平坦化用コート層がカルドポリマーを有することが好ましい。上記カルドポリマーは通常、上記ガスバリア層と密着性が高いことから、平坦化用コート層の全体にガスバリア層を吸着することができ、より緻密にガスバリア層が形成された、ガスバリア性の高い有機EL素子用基板とすることができるからである。
【0025】
また、本発明においては、上記ガスバリア層上に平坦化層を有していることが好ましい。これにより、有機EL素子用基板の表面をより平坦なものとすることができ、本発明の有機EL素子用基板上に、凹凸やピンホール等のない有機EL層を形成することが可能となることから、高品質な有機EL素子を提供することが可能な有機EL素子用基板とすることができるのである。
【0026】
またこの際、上記平坦化層がカルドポリマーを有することが好ましい。これにより、平坦化層とガスバリア層との密着性が高く、ガスバリア層上の微細なピンホール等が平坦化層により埋められた、よりガスバリア層の高い有機EL素子用基板とすることができるからである。
【0027】
また、本発明は、透明基材と、上記透明基材上に形成された色変換層と、上記色変換層上に形成されたオーバーコート層と、上記オーバーコート層上に形成された蒸着膜からなるガスバリア層と、上記ガスバリア層上に形成され、かつカルドポリマーを有する平坦化層とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子用基板を提供する。
【0028】
本発明によれば、上記ガスバリア層と上記平坦化層との密着性が高く、ガスバリア層上の微細なピンホール等が平坦化層により埋められた、ガスバリア性の高い有機EL素子用基板とすることができるのである。また、有機EL素子用基板表面に上記平坦化層が形成されていることから、本発明の有機EL素子用基板上に、凹凸やピンホール等のない有機EL層を形成することが可能となり、高品質な有機EL素子を提供することが可能な有機EL素子用基板とすることができるのである。
【0029】
また、本発明においては、上記透明基材が、室温から150℃までの範囲内における線膨張係数が80ppm以下であり、かつ全光線透過率が85%以上である耐熱性を有する透明樹脂からなるものであってもよく、また上記透明基材が、表面に、室温から150℃までの範囲内における線膨張係数が80ppm以下であり、かつ全光線透過率が85%以上である耐熱性を有する透明樹脂層を有するものであってもよい。これにより、有機EL素子用基板に耐熱性を付与することができ、例えば有機EL素子の製造が高温で行われる工程を有する場合であっても、安定なものとすることができるからである。
【0030】
さらに、本発明においては、上記平坦化層の表面平均粗さが6nm以下であり、最大高低差が60nmであることが好ましい。これにより、平坦化層上に形成されるガスバリア層や、有機EL素子に用いた際の透明電極層や有機EL層等を平坦に形成することができるからである。
【0031】
また、本発明においては、上記ガスバリア層が、透明無機酸化膜、透明無機酸化窒化膜、透明無機窒化膜、もしくは透明金属膜からなる蒸着膜であることが好ましい。このような材料を用いることにより、ガスバリア層のガスバリア性を高いものとすることができるからである。
【0032】
上記発明においては、上記有機エレクトロルミネッセント素子の表面平均粗さが6nm以下であり、最大高低差が60nm以下であることが好ましい。これにより、本発明の有機EL素子用基板上に有機EL層を形成した場合に、ダークスポット等の発生のない高品質なものとすることができるからである。
【0033】
また、本発明においては、上記有機エレクトロルミネッセント素子用基板における酸素透過率が0.3cc/m/day以下であり、水蒸気透過率が0.1g/m/day以下であることが好ましい。これにより、有機EL層が経時で劣化等をすることを防止することができるからである。
【0034】
さらに、本発明においては、上記透明基材と上記色変換層との間に、カラーフィルタ層を有していてもよい。これにより、有機EL素子から発光される光の色調を調整することが可能となるからである。
【0035】
また、上記透明基材における、上記色変換層が形成された面と反対側の面に、上記基材にかかる応力を緩和する応力緩和層が形成されていてもよい。これにより、上記ガスバリア層等が形成された際に発生する応力を低減させることができ、有機EL素子用基板にそりが発生することを防止することができるからである。
【0036】
本発明は、上述した有機エレクトロルミネッセント素子用基板上に透明電極層が形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセントディスプレイ用基板を提供する。本発明によれば、上述した有機EL素子用基板を用いることから、平坦性およびガスバリア性の高い有機ELディスプレイ基板とすることが可能となり、透明電極層の断線等のない高品質なものとすることができるのである。
【0037】
また、本発明は、上記有機エレクトロルミネッセントディスプレイ用基板と、上記透明電極層上に形成された少なくとも発光層を有する有機エレクトロルミネッセント層と、上記有機エレクトロルミネッセント層上に形成された対向電極とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子を提供する。
【0038】
本発明によれば、ガスバリア性および平坦性の高い上記有機ELディスプレイ基板を用いることから、有機EL層を均一に形成することができ、ダークスポットの発生や成長等の有機EL層の経時での劣化の少ない、高品質な有機EL素子とすることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明は、色変換層を有する有機EL素子に用いることが可能な、ガスバリア性が高く、かつ平坦性を有する有機EL素子用基板と、その有機EL素子用基板を用いた有機ELディスプレイ基板と、有機EL素子とに関するものである。
【0040】
以下、それぞれについてわけて説明する。
【0041】
A.有機EL素子用基板
まず、本発明の有機EL素子用基板について説明する。
【0042】
本発明の有機EL素子用基板には、2つの実施態様がある。まず、第1実施態様としては、透明基材と、上記透明基材上に形成された色変換層と、上記色変換層上に形成された平坦化用コート層と、上記平坦化用コート層上に形成された蒸着膜からなるガスバリア層とを有するものであり、第2実施態様としては、透明基材と、上記透明基材上に形成された色変換層と、上記色変換層上に形成されたオーバーコート層と、上記オーバーコート層上に形成された蒸着膜からなるガスバリア層と、上記ガスバリア層上に形成され、かつカルドポリマーを有する平坦化層とを有するものである。
【0043】
本発明によれば、上記どちらの実施態様においても、平坦性を有する上記平坦化用コート層または平坦化層が形成されていることにより、有機EL素子用基板表面の平坦性を高くすることができ、有機EL素子に用いて有機EL層を形成した際に、有機EL層を平坦に形成することができることから、ダークスポット等の形成のない高品質なものとすることができるのである。
【0044】
また、本発明においては、ガスバリア層が上記平坦化用コート層または平坦化層と積層されていることから、ガスバリア層を緻密に形成されたガスバリア性の高い層とすることができ、本発明の有機EL素子用基板上に有機EL層を形成した際、例えば上記色変換層から発生した酸素や水蒸気等が、有機EL層側に侵入することを防止することが可能な有機EL素子用基板とすることができるのである。
【0045】
以下、本発明の有機EL素子用基板について各実施態様ごとに説明する。
【0046】
1.第1実施態様
まず、本発明の有機EL素子用基板の第1実施態様について説明する。本発明の有機EL素子用基板の第1実施態様は、透明基材と、上記透明基材上に形成された色変換層と、上記色変換層上に形成された平坦化用コート層と、上記平坦化用コート層上に形成された蒸着膜からなるガスバリア層とを有するものである。
【0047】
本実施態様の有機EL素子用基板は、例えば図1に示すように、透明基材1と、その透明基材1上に形成された色変換層2(2R、2G、および2B)と、その色変換層2上に形成された平坦化用コート層3と、その平坦化用コート層3上に形成されたガスバリア層4とを有するものである。
【0048】
本実施態様によれば、平坦性を有する上記平坦化用コート層上にガスバリア層が形成されることから、ガスバリア層を緻密な層とすることができ、ガスバリア性を高いものとすることができる。また、ガスバリア層と透明基材または色変換層との間に上記平坦化用コート層が形成されることから、ガスバリア層と透明基材等との密着性を高いものとすることができ、これによりガスバリア性の高いものとすることができるのである。これにより、本実施態様の有機EL素子用基板を、有機EL素子に用いた場合に、有機EL層が経時で上記色変換層から発生する酸素や水素や、有機EL素子外部からの影響を受けることなく、高品質なものとすることができるのである。
【0049】
また、本実施態様においては、上記平坦化用コート層が形成されていることから、有機EL層用基板の表面を平坦なものとすることができ、有機EL素子とした場合に、有機EL層を均一に形成することができ、ダークスポット等のない有機EL素子とすることができる。
【0050】
以下、本実施態様の有機EL素子用基板の各構成について説明する。
【0051】
a.平坦化用コート層
まず、本実施態様の有機EL素子用基板に用いられる平坦化用コート層について説明する。本実施態様に用いられる平坦化用コート層は、後述する色変換層上に形成されるものであり、色変換層による段差を平坦化し、また後述するガスバリア層の形成時に生じる傷つき等から色変換層を保護する、表面が平坦な層である。
【0052】
後述する色変換層は、膜厚が比較的高く、この色変換層上にガスバリア層等を形成した場合には、平坦な層を形成することが困難であり、またガスバリア層形成時に色変換層が侵食される等の問題がある。本実施態様おいては、上記平坦化用コート層を色変換層上に形成することにより、色変換層を保護すると同時に、色変換層による凹凸を解消し、さらに表面を平坦化するのである。これにより、後述するガスバリア層を緻密、かつ平坦に形成することができ、ガスバリア性の高い有機EL素子用基板とすることができるのである。
【0053】
このような平坦化コート層の平坦性としては、表面平均粗さ(Ra)が6nm以下、中でも2nm以下であることが好ましく、また最大高低差(P−V)が60nm以下、中でも20nm以下であることが好ましい。表面粗さおよび上記最大高低差が、上記範囲内であることにより、後述するガスバリア層を上記平坦化用コート層上に形成した場合に、緻密かつ平坦に形成することが可能となるからである。
【0054】
ここで、上記表面粗さおよび最大高低差は、スキャン範囲20μm、スキャン速度90sec/frameの条件下で、原子間顕微鏡(Nanopics:商品名、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定した値である。
【0055】
また、本実施態様に用いられる平坦化用コート層は、可視光に対して透過率の高いものであることが好ましく、具体的には、可視光(400nm〜700nmの範囲内)の透過率が50%以上、中でも85%以上であることが好ましい。これにより、有機EL素子とした際に、明度の高いものとすることができるからである。
【0056】
ここで、上記可視光の透過率は、分光光度計(型番:UV−3100PC 島津製作所製)で測定した値である。
【0057】
また、本実施態様においては、上述したような平坦性を有する層であれば、平坦化コート層の材料等は特に限定されるものではないが、本実施態様においては、有機物を用いることが好ましい。これにより、上記のような平坦性を有する層を形成することが容易であり、また後述する色変換層およびガスバリア層との密着性が良好な平坦化用コート層とすることができるからである。
【0058】
また、本実施態様に用いられる平坦化用コート層は、上記の中でもフルオレン骨格を主成分としたカルドポリマーを有するものであることが好ましい。これにより、平坦化用コート層とガスバリア層との密着性をより良好なものとすることができ、平坦化用コート層全体にガスバリア層を形成することができ、ガスバリア層をより緻密でガスバリア性を高いものとすることができるからである。
【0059】
このようなカルドポリマーとしては、例えば、フルオレン骨格を有するビスフェノール化合物とエピクロヒドリンとから誘導されるエポキシ樹脂、あるいはこのエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とから誘導されるエポキシ(メタ)アクリレート、更にはこのエポキシ(メタ)アクリレートと酸無水物から誘導されるエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物等を挙げることができる。
【0060】
ここで、本実施態様に用いられるカルドポリマーは、下記一般式(1)で示されるビスフェノール化合物から誘導されるフルオレン骨格を有する樹脂を含有することが好ましい。
【0061】
【化1】
Figure 2004303562
【0062】
(RおよびRは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、またはハロゲン原子であり、互いに同じであってもよく、異なるものであってもよい。)
このような一般式(1)で示されるビスフェノール化合物としては、具体的には、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等を挙げることができ、これらはその1種のみを単独で用いることができるほか、2種以上を併用することもできる。
【0063】
本実施態様において、上記カルドポリマーは、エポキシ基を1分子中に2つ以上もつエポキシ樹脂と不飽和モノカルボン酸とを反応させて得たエポキシ(メタ)アクリレート樹脂と多塩基酸無水物から誘導されるエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物であることが好ましい。
【0064】
このようなエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物の形成に用いられるエポキシ樹脂として、具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−ヒドロキフェニル)フルオレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、4,4’−ビフェノール、テトラメチル−4,4’−ビフェノール等のビスフェノール類、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールまたはナフタレンジオールと、1,4−ビスキシレノールとの縮合化合物等の多官能フェノール類や、これら芳香環水素の一部または全てがハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基に置換した多官能フェノール類をエピクロロヒドリンと反応させて得られた1分子中にエポキシ基を2つ以上有するものが挙げられる。このエポキシ樹脂をエポキシ樹脂と等当量のアクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸類を公知の手法により反応させることにより、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂とすることができ、さらに、このエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を多塩基酸無水物と反応させることにより、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂と多塩基酸無水物との付加生成物とすることができるのである。
【0065】
このような付加生成物の形成に用いられる多塩基酸無水物として、具体的には、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物などの脂環式酸無水物類、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート無水物、グリセロールトリストリメリテート無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などの芳香族酸無水物類、無水ヘット酸、テトラブロモ無水フタル酸などのハロゲン系酸無水物類等が挙げられる。また、上記エポキシ樹脂、アクリレート、酸無水物類は1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
【0066】
このようにして得られるエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物の中でも、本実施態様においては、特開昭60−152091号公報、特開平6−1938号公報、特開平8−146311号公報に見られるように同一分子内にカルボキシル基と光重合可能な不飽和基とを有する重量平均分子量1000以上の樹脂が平坦化用コート層に含有されることが好ましい。具体的には、フルオレン骨格を持つエポキシアクリレートの酸付加体である新日鐵化学社製V259M, V301Mや日本化薬社製のクレゾールノボラック型エポキシアクリレートの酸付加体が挙げられる。
【0067】
なお、上記フルオレン骨格を持つエポキシアクリレートは、9,9−ビス(4−ヒドロキフェニル)フルオレンから得られるエポキシ樹脂とアクリル酸類とを反応させて得られるものが好適に用いられる。
【0068】
本実施態様において、平坦化用コート層を形成する樹脂は、熱硬化型樹脂であってもよく、紫外線硬化型樹脂であってもよく、さらに熱紫外線硬化型樹脂であってもよい。ここで、上記樹脂が熱紫外線硬化型樹脂である場合には、軟化点を45℃以上とすることができる点から、平均分子量が3000以上であることが好ましい。
【0069】
上記平坦化用コート層は、上述したよう平坦性を有するものであれば、その組成は特に限定されるものではなく、本実施態様においては、例えば上記カルドポリマーを有する樹脂と、多官能アクリレートモノマー、光重合開始剤または熱重合開始剤、エポキシ基を1分子中に2つ以上有するエポキシ樹脂と、必要に応じて各種添加剤とを混合して、上記色変換層上に塗布し、紫外線や熱等により硬化させることにより形成することができる。上記樹脂が紫外線硬化型樹脂である場合には、光開始剤が用いられ、また上記樹脂が熱硬化型樹脂である場合には、熱重合開始剤が用いられる。
【0070】
ここで、本実施態様に用いられる上記多官能アクリレートとして、具体的には、常圧において100℃以上の沸点を有し、かつ、1分子中に少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する付加重合性化合物であるものが挙げられる。このような材料としては、多価アルコールとα,β−不飽和カルボン酸とを結合して得られるもの、例えばジエチレングリコール(メタ)アクリレート(ジアクリレート又はジメタアクリレートを意味する、以下同じ)、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、 13−プロパンジオール(メタ)アクリレート、 13−ブタンジオール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレートや相当の多官能メタクリレート、 2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンの混合物〔新中村化学(株)製商品名:BEP−500〕等や、グリシル基含有化合物にアクリル酸やメタクリル酸などのα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られるもの、例えばトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジクリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フルオレン環を有するジグリシジルエーテルのアクリル酸付加体〔新日鐵化学(株)製商品名:ASF400 〕等や、不飽和アミド類、例えばメチレンビスアクリロアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド等や、ビニルエステル類、例えばジビニルサクシネート、ジビニルアジベート、ジビニルフタレート、ジビニルテレフタレート、ジビニルベンゼン−1,3−ジスルホネート等が挙げられる。
【0071】
また、本実施態様に用いられる光重合開始剤としては、公知のものを単独に又は数種併用することができ、例えば、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2− モルフォリノ−プロパン−1−オン(市販品チバスペシャリティケミカルズ社製イルガキュア907)、2ーベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(市販品チバスペシャリティケミカルズ社製イルガキュア369)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(チバスペシャリティケミカルズ社製商品名CGI819)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(BASF製Lucirin TPO)、2,4−トリクロロメチル−(ピプロロニル)−6−トリアジン(市販品日本シーベルヘグナー社製商品名トリアジンPP)等が使用できる。
【0072】
また、本実施態様に用いられる熱重合開始剤としては、加熱時にラジカルを発生し、上述したカルドポリマーを有する樹脂および多官能アクリレートモノマーの不飽和基を重合させて硬化膜を形成させることが可能であれば、公知のものを用いることができるが、10時間半減期温度が80℃以上から硬化温度以下であることが好ましく、100℃以上から硬化温度であることがより好ましい。
【0073】
また、さらに上記エポキシ基を1分子中に2つ以上有するエポキシ樹脂としては、加水分解性塩素分が1000ppm未満と少ないエポキシ化合物が好ましく、例えば、油化シェル(株)製テトラメチルジフェニル型エポキシ樹脂YX4000、日本化薬(株)製EOCNシリーズ(EOCN1020, 4400, 102S, 103S, 104Sなど)のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、東都化成(株)製液状3官能エポキシ樹脂ZX−1542、エポキシ化合物中の2級ヒドロキシル基にグリシジル基を導入した多官能エポキシ化合物等が挙げられる。このようなエポキシ樹脂は、加熱等によりエポキシ基が、上述したカルドポリマーを含有する樹脂成分中のカルボキシル基と反応し、上記カルドポリマーを含有する樹脂および多官能アクリレートの不飽和基に加えて架橋構造を形成するものである。
【0074】
また、本実施態様においては、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の各種添加剤や、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の溶媒等を用いることができる。
【0075】
本実施態様に用いられる平坦化用コート層の形成方法としては、後述する色変換層上に、上述した樹脂等を例えばスピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法、ローラーコーター機、ランドコーター機等によるウェットコーティング法により平坦化用コート層を形成することができる。
【0076】
また、材料として、ヘキサメチルジシロキサン、テトラメトキシシラン、オクタテトラメチルシラン、シクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−オキサシクロペンタン、[2−(3−シクロヘキセニル)エチル]トリエトキシシラン、[2−(3−シクロヘキセニル)エチル]トリメトキシシラン、(シクロヘキセニロキシ)トリメチルシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、(3−シクロペンタジエニルプロピル)トリエトキシシラン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、シクロペンタメチレンジメチルシラン、(シクロペンテニロキシ)トリメチルシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロテトラメチルジメチルシラン、シクロトリメチレンジメチルシラン等を用いた場合には、蒸着法等のドライコーティング法により形成することも可能である。
【0077】
本実施態様においては、上述した平坦化用コート層の膜厚は、5μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。これにより、後述する色変換層の表面を平坦化することが可能となり、また後述するガスバリア層形成時に色変換層が侵食されること等を防止することが可能となるからである。
【0078】
b.ガスバリア層
次に、本実施態様に用いられるガスバリア層について説明する。本実施態様に用いられるガスバリア層は、上述した平坦化用コート層上に形成される層であり、かつ蒸着法により形成されたガスバリア性を有する層である。本実施態様においては、このガスバリア層が上記平坦化用コート層上に形成されることにより、本実施態様の有機EL素子用基板にガスバリア性を付与することが可能となり、また平坦性およびガスバリア性に優れた層とすることができるのである。
【0079】
このようなガスバリア層としては、電気絶縁性を有し、かつ有機溶剤に対して耐性を有することが好ましく、さらに可視光に対して透過率が50%以上、中でも85%以上であることが好ましい。これにより、有機EL素子とした際に、明度の高いものとすることができるからである。ここで、可視光に対する透過率は、上述した方法により測定されたものである。
【0080】
また、本実施態様においては、例えば有機ELディスプレイ基板とする際には、ガスバリア層上に透明電極層が形成されることから、その透明電極層の形成の際に加わる硬度を有することが好ましく、具体的には、鉛筆硬度試験 JIS K5400で2H以上の硬度を有することが好ましい。
【0081】
本実施態様に用いられるガスバリア層は、上述したような性質を有し、蒸着法により形成されたものであれば、その材料は特に限定されるものではないが、透明無機酸化膜、透明無機酸化窒化膜、透明無機窒化膜、または金属膜のいずれか1種または2種以上を組み合わせたものであることが好ましい。
【0082】
上記材料の中でも、透明無機酸化膜として、酸化ケイ素膜、酸化窒化ケイ素膜、酸化アルミニウム膜、酸化マグネシウム膜、酸化チタン膜、酸化スズ膜、酸化インジウム合金膜であることが好ましく、また透明無機窒化膜としては、窒化ケイ素膜、窒化アルミニウム膜、窒化チタン膜であることが好ましい。また、透明金属膜としては、アルミニウム膜、銀膜、錫膜、クロム膜、ニッケル膜、チタン膜であることが好ましい。また、上記の中でも、特に上述した平坦化用コート層との密着性が良好であるという面から、酸化ケイ素膜または酸化窒化ケイ素膜であることが特に好ましい。
【0083】
また、本実施態様においては、ガスバリア性を向上させるために、上記の蒸着膜を複数層積層してもよく、その組み合わせは同種、異種を問わない。
【0084】
本実施態様における上記ガスバリア層の形成は、蒸着法により行なわれるものであれば、特に限定されるものではなく、無機酸化物、無機窒化物、無機酸化窒化物または金属等を加熱して基材上に蒸着させる真空蒸着法、無機酸化物、無機窒化物、無機酸化窒化物、または金属を原料として用い、酸素ガスを導入することにより酸化させて、基材上に蒸着させる酸化反応蒸着法、無機酸化物、無機窒化物、無機酸化窒化物、または金属をターゲット原料として用い、アルゴンガス、酸素ガスを導入して、スパッタリングすることにより基材に蒸着させるスパッタリング法、無機酸化物、無機窒化物、無機酸化窒化物、または金属にプラズマガンで発生させたプラズマビームにより加熱させて、基材上に蒸着させるイオンプレーティング法、また酸化ケイ素の蒸着膜を成膜させる場合は、有機ケイ素化合物を原料とするプラズマCVD法等が挙げられる。
【0085】
本実施態様においては、上述したように、ガスバリア層が酸化ケイ素膜または酸化窒化ケイ素膜であることが好ましく、このような酸化ケイ素の薄膜としては、有機ケイ素化合物を原料として、低温プラズマ化学気相成長法を用いて形成した蒸着膜を使用することができる。この有機ケイ素化合物として、具体的には、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。本実施態様においては、上記のような有機ケイ素化合物の中でも、テトラメトキシシラン(TMOS)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を用いることが、取り扱い性や蒸着膜の特性などから特に好ましい。
【0086】
ここで、本実施態様においては、上述したようなガスバリア層の膜厚は、その材料により適宜選択されるものであるが、通常5nm〜5000nmの範囲内であることが好ましく、中でも5nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。また、特に上記酸化アルミニウム膜、または酸化ケイ素膜の場合には、10nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。上記の膜厚の範囲よりも薄いと、水蒸気や酸素等に対するガスバリア性の低下が見られるからである。また、上記膜厚の範囲よりも厚い場合には、例えば本実施態様の有機EL素子用基板を加工する際等に、クラック等が入る可能性があり、これにより水蒸気、酸素ガス等に対するガスバリア性の劣化が見られるからである。
【0087】
c.色変換層
次に、本実施態様に用いられる色変換層について説明する。本実施態様に用いられる色変換層は、後述する透明基材上に形成されるものであり、有機EL層から発光される光を吸収し、可視光域蛍光を発光する蛍光材料を含有する層である。本実施態様において用いられる色変換層は、有機EL発光層からの光を青色、赤色、緑色とすることができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば青色、赤色、緑色の3色の蛍光層をそれぞれ発光する色変換層が形成されているものであってもよいが、例えば有機EL素子に、青色の有機EL発光層を用いる場合には、青色の変換層の替わりに透明樹脂層が形成されたものであってもよい。
【0088】
このような色変換層には、通常、有機EL発光層からの光を吸収し、蛍光を発光する有機蛍光色素と、マトリクス樹脂とが含有されるものである。
【0089】
このような色変換層に含まれる有機蛍光色素は、発光体から発せられる近紫外領域ないし可視領域の光、特に青色ないし青緑色領域の光を吸収して異なる波長の可視光を蛍光として発光するものである。通常、有機EL層の発光層としては、青色の発光層が用いられることから、本実施態様においては、少なくとも赤色領域の蛍光を発する蛍光色素の1種類以上を用いることが好ましく、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素の1種類以上と組み合わせることが好ましい。
【0090】
すなわち、光源として青色ないし青緑色領域の光を発光する有機EL発光層を用いる場合、上記有機EL発光層からの光を単なる赤色フィルタ層に通して赤色領域の光を得ようとすると、元々赤色領域の波長の光が少ないために極めて暗い出力光になってしまう。従って、上記有機EL発光層からの青色ないし青緑色領域の光を、蛍光色素によって赤色領域の光に変換することにより、十分な強度を有する赤色領域の光の出力が可能となるからである。
【0091】
一方、緑色領域の光は、赤色領域の光と同様に、上記有機EL発光層からの光を別の有機蛍光色素によって緑色領域の光に変換させて出力してもよい。あるいはまた、上記有機EL発光層の発光が緑色領域の光を十分に含む場合には、上記有機EL発光層からの光を単に緑色カラーフィルタ層を通して出力してもよい。さらに、青色領域の光に関しては、有機EL発光層の光を蛍光色素を用いて変換させて出力させてもよいが、有機EL発光層の光を単なる青色カラーフィルタ層に通して出力させることが好ましい。
【0092】
上記有機EL発光層から発する青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル〕−ピリジニウム パークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
【0093】
また、上記有機EL発光層から発する青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えば3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
【0094】
なお、本実施態様に用いる有機蛍光色素を、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂およびこれらの樹脂混合物などに予め練り込んで顔料化して、有機蛍光顔料としてもよい。また、これらの有機蛍光色素や有機蛍光顔料(本実施態様においては、前記2つを合わせて有機蛍光色素と総称する)は単独で用いてもよく、蛍光の色相を調整するために2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0095】
本実施態様に用いる有機蛍光色素は、色変換層に対して、その色変換層の重量を基準として0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%含有される。有機蛍光色素の含有量が0.01重量%未満の場合には、十分な波長変換を行うことができず、また上記含有量が5%を越える場合には、濃度消光等の効果により色変換効率が低下するからである。
【0096】
また、本実施態様に用いられるマトリクス樹脂は、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)を、光および/または熱処理して、ラジカル種またはイオン種を発生させて重合または架橋させ、不溶不融化させたものを用いることができ、色変換層のパターニングを行うために、上記光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、未露光の状態において有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望ましい。
【0097】
このような光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤とからなる組成物、(2)ボリビニルケイ皮酸エステルと増感剤とからなる組成物、(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからなる組成物、および(4)エポキシ基を有するモノマーと酸発生剤とからなる組成物などを含む。特に(1)のアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと光または熱重合開始剤とからなる組成物が、高精細なパターニングが可能であること、および耐溶剤性、耐熱性等の信頼性が高いことから好ましい。上述したように、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂に光および/または熱を作用させて、マトリクス樹脂を形成する。
【0098】
また、本実施態様で用いることができる光重合開始剤、増感剤および酸発生剤は、含まれる蛍光変換色素が吸収しない波長の光によって重合を開始させるものであることが好ましい。本実施態様のフィルタ基板の色変換層において、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂中の樹脂自身が光または熱により重合することが可能である場合には、光重合開始剤および熱重合開始剤を添加しないことも可能である。
【0099】
本実施態様に用いられる色変換層は、上述したマトリクス樹脂の材料である光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂および有機蛍光色素を含有する溶液または分散液を、支持基板上に塗布して樹脂の層を形成し、そして所望される部分の光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を露光することにより重合させ、その後パターニングを行うことにより形成することができる。上記パターニングは、未露光部分の樹脂を溶解または分散させる有機溶媒またはアルカリ溶液を用いて除去するなどの、慣用の方法によって実施することができる。
【0100】
本実施態様に用いられる色変換層の膜厚は5μm以上であることが好ましく、中でも8μm〜15μmの範囲内であることが好ましい。また、色変換層の形状は、目的とする有機EL素子により適宜選択されるものであるが、例えば赤、青、および緑の矩形または円形の区域を1組としてそれぞれ透明基材上に形成してもよく、またストライプ状に形成してもよい。また、特定の色変換層を、他の色変換層より多く形成することも可能である。
【0101】
d.透明基材
次に、本実施態様に用いられる透明基材について説明する。本実施態様に用いられる透明基材は、上述した色変換層が上に形成されるものであり、有機EL素子の発光層から発光され、上記色変換層を透過した光を透過させるものであれば特に限定されるものではないが、本実施態様においては、さらに耐溶媒性、耐熱性を有し、寸法安定性に優れているものであることが好ましい。これにより、上述した色変換層等の形成の際にも安定なものとすることができるからである。
【0102】
本実施態様においては、このような透明基材として、例えばガラス板や、有機材料で形成されたフィルム状やシート状のもの等を用いることができる。
【0103】
本実施態様における透明基材としてガラス板が用いられる場合には、可視光に対して透過性の高いものであれば、特に限定されるものではなく、例えば未加工のガラス板であってもよく、また加工されたガラス板等であってもよい。このようなガラス板として、アルカリガラスおよび無アルカリガラスのどちらも使用可能であるが、本実施態様の有機EL素子用基板において、不純物が問題とされる場合には、例えば、パイレックス(登録商標)ガラス等の無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、加工されたガラス板の種類は、本実施態様の有機EL素子用基板の用途に応じて適宜選択されるものであり、例えば透明ガラス基板に塗布加工をしたものや、段差加工を施したもの等が挙げられる。
【0104】
このようなガラス板の膜厚は30μm〜2mmの範囲内であることが好ましく、中でもフレキシブル基板として使用する場合には、30μm〜60μmの範囲内であることが好ましく、リジッドな基板として使用する場合には60μm〜2mmの範囲内であることが好ましい。
【0105】
また、本実施態様における透明基材として用いられる有機材料としては、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、結晶化ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、UV硬化型メタクリル樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0106】
ここで、本実施態様においては、有機EL素子用基板が、上記色変換層の形成の際にかかる熱等に対して、耐熱性を有することが好ましく、このような耐熱性を有する有機材料としては、例えばシクロアルキル骨格を有した極性高分子が挙げられる。具体的には、シクロアルキル骨格を有したアクリレ−ト化合物もしくはメタアクリレ−ト化合物およびその誘導体等を挙げることができる。中でも、上述した特開平11−222508号公報に示されるようなシクロアルキル骨格を有した(メタ)アクリレート化合物(本実施態様において、アクリレ−ト化合物もしくはメタアクリレ−ト化合物を意味する。)およびその誘導体を含む樹脂組成のものを挙げることができる。
【0107】
またこの際、耐熱性を有する有機材料においては、室温から150℃の範囲内において、線膨張係数が80ppm以下であり、かつ全光線透過率が85%以上であることが好ましい。上記線膨張係数が上記値を超えると、高温で基板寸法が安定せず、熱膨張および収縮に伴い、バリア性能が劣化する不都合や、あるいは、熱工程に耐えられないという不具合が生じやすくなるからである。
【0108】
ここで本実施態様における線膨張係数とは、幅5mm、長さ20mmのサンプルを用い、長さ方向に一定荷重(2g)をかけ、25〜200℃までの温度範囲を昇温速度で5℃/分で測定される寸法変動量をいうこととする。また、上記全光線透過率は、スガ試験株式会社製全光線透過率装置(COLOUR S&M COMPUTER MODEL SM−C:型番)を用いて測定した値である。
【0109】
本実施態様の透明基材の耐熱性は、130℃以上、中でも200℃以上、特には250℃以上を実現することが好ましい。
【0110】
また、本実施態様の透明基材は、上述した有機材料と、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂等と2種以上併せて用いることができる。
【0111】
本実施態様において、複数層を積層して透明基材を形成する方法には、例えば上記の各種の樹脂の1種ないしはそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種類以上の各種の樹脂を使用して、多層共押し出し製膜化する方法、さらには2種類以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各層の樹脂のフィルムないしシートを製造し、更に加えて、延伸を要する場合には、例えばテンター方式、あるいはチューブラー方式等を利用して、1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルム、ないしシートを使用することができる。また上記の各種樹脂のフィルム、ないしシートを貼り合わせて使用することもできる。
【0112】
また、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その成膜化に際して例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で種々のプラスチック配合剤や、添加剤を添加することができ、その添加量としては微量から数10%まで、目的に応じて任意に添加できる。上記において、一般的な添加剤としては、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を使用することができる。また改良用樹脂等も使用できる。
【0113】
本実施態様においては、上記のような有機材料を用いて透明基材とする場合には、10μm〜500μmの範囲内、中でも50〜400μmの範囲内、特に100〜300μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内より厚い場合は、本実施態様の有機EL素子用基板を加工する際に耐衝撃性が劣ることや、巻き取り時に巻き取りが困難となり、水蒸気や酸素等のガスバリア性の劣化が見られること等があるからである。また、上記範囲内より薄い場合には、機械適性が悪く、水蒸気や酸素等に対するガスバリア性の低下が見られるからである。
【0114】
また、本実施態様においては、上述した耐熱性を有しない材料を透明基材として用いる場合や、ガラス板を用いる場合等には、その透明基材上に、耐熱性を有する透明樹脂層を形成することが好ましい。このような耐熱性を有する透明樹脂層としては、室温から150℃までの範囲内における線膨張係数が80ppm以下であり、かつ全光線透過率が85%以上であることが好ましく、これにより、透明基材に耐熱性を付与することが可能となるからである。
【0115】
このような透明樹脂層としては、上述した耐熱性を有する有機材料であるシクロアルキル骨格を有した極性高分子であることが好ましい。このような材料として、具体的には、極性を有する(メタ)アクリレート化合物またはその誘導体であることが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル単独重合体または、(メタ)アクリル酸メチルと他の共重合可能なビニル基を持つ単量体の混合物を重合して得られる共重合体が挙げられる(本実施態様において(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタアクリルを意味する。)。上記(メタ)アクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2, 2, 2−トリフルオロエチルアクリレート等のアクリル酸エステル類、エチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、2, 2, 2−トリフルオロエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、スチレン等のビニル化合物、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド化合物等が挙げられる。
【0116】
本実施態様において、上記透明樹脂層は、上記樹脂と、必要に応じて重合開始剤や多官能アクリレートモノマー等の添加剤と混合し、上記透明基材またはガラス基板に塗布後、紫外線照射により硬化させて形成することができる。
【0117】
このような透明樹脂層の膜厚は、5nm〜100μmであることが望ましく、上述した透明基材の膜厚を1とした場合に、透明樹脂層の膜厚が0.00001〜1の範囲内であることが好ましい。
【0118】
e.有機EL素子用基板
次に、本実施態様の有機EL素子用基板について説明する。本実施態様の有機EL素子用基板は、上記透明基材上に、上記色変換層が形成され、その色変換層上に上記平坦化用コート層が形成され、その平坦化用コート層上にガスバリア層が形成されたものであれば、特に限定されるものではない。
【0119】
本実施態様の有機EL素子用基板における酸素透過率が0.3cc/m/day以下、中でも0.1cc/m/day以下であることが好ましく、水蒸気透過率が0.1g/m/day以下、中でも0.05g/m/day以下、であることが好ましい。本発明の有機EL素子用基板の酸素透過率および水蒸気透過率が、上記範囲内であることにより、ガスバリア性の高いものとすることができ、高品質な有機EL素子を形成することが可能な有機EL素子用基板とすることができるからである。
【0120】
ここで、上記酸素透過率は、測定温度23℃、湿度90%Rhの条件下で、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN 2/20:商品名)を用いて測定した値であり、上記水蒸気透過率は、測定温度37.8℃、湿度100%Rhの条件下で、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W 3/31:商品名)を用いて測定した値である。
【0121】
また、本実施態様においては、上記有機EL素子用基板の透過率が、可視光に対して50%以上、中でも85%以上であることが好ましい。これにより、本実施態様の有機EL素子用基板を有機EL素子とした際に、明度の高いものとすることができるからである。ここで、上記透過率は、上述した方法により測定した値である。
【0122】
また、本実施態様においては、上記有機EL素子用基板の表面平均粗さが6nm以下、中でも3nm以下であり、最大高低差が60nm以下、中でも30nm以下であることが好ましい。これにより、本発明の有機EL素子用基板上に形成される層に凹凸やピンホール等が形成されることを防止することができ、有機EL素子におけるダークスポット等の発生を防止することができるからである。
【0123】
本実施態様においては、例えば図2に示すように、上記透明基材1上に、上記色変換層2が形成され、その色変換層2上に上記平坦化用コート層3が形成され、その平坦化用コート層3上にガスバリア層4が形成され、さらに上記ガスバリア層4上に平坦化層5が形成されたものであることが好ましい。これにより、本実施態様の有機EL素子用基板の表面をより平坦なものとすることができるからである。また、本実施態様においては、上記ガスバリア層上に平坦化層およびガスバリア層がこの順で2層から4層の範囲内積層されたものであってもよい。
【0124】
さらに、本実施態様においては、必要に応じて、上記透明基材と、上記色変換層との間にカラーフィルタ層が形成されたものであってもよい。これにより、本実施態様の有機EL素子用基板を用いて有機EL素子とした際に、色再現性の高い有機EL素子とすることができるからである。
【0125】
また、本実施態様の有機EL素子用基板においては、上述した透明基材の、色変換層が形成された面と反対側の面に、応力緩和層が形成されていることが好ましい。これにより、上述した透明基材上に色変換層やガスバリア層等を形成した際に発生する応力を緩和することができ、有機EL素子用基板にそりが発生することを抑えることができるからである。
【0126】
以下、本実施態様の有機EL素子用基板に用いられる平坦化層、カラーフィルタ層、および応力緩和層についてそれぞれ説明する。
【0127】
(平坦化層)
まず、本実施態様の有機EL素子用基板に用いられる色変換層について説明する。本実施態様の有機EL素子用基板において、上記ガスバリア層上に平坦化層が形成されることにより、有機EL素子用基板の表面の平坦性を向上させることができ、有機EL素子とした際に、ダークスポット等の発生および成長を防止することができるのである。
【0128】
本実施態様に用いられる平坦化層は、表面を平坦化することが可能な層であれば、特に限定されるものではないが、本実施態様においては、カルドポリマーを有する層であることが好ましい。これにより、上記ガスバリア層と密着性がよく、上記ガスバリア層の微細なピンホール等を埋めることが可能となり、ガスバリア性を向上させることも可能となるからである。
【0129】
本実施態様においては、上述した平坦化用コート層で説明した樹脂等を用いて、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法、ローラーコーター機、ランドコーター機等によるウェットコーティング法により平坦化層を形成することができる。
【0130】
また、材料として、ヘキサメチルジシロキサン、テトラメトキシシラン、オクタテトラメチルシラン、シクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−オキサシクロペンタン、[2−(3−シクロヘキセニル)エチル]トリエトキシシラン、[2−(3−シクロヘキセニル)エチル]トリメトキシシラン、(シクロヘキセニロキシ)トリメチルシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、(3−シクロペンタジエニルプロピル)トリエトキシシラン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、シクロペンタメチレンジメチルシラン、(シクロペンテニロキシ)トリメチルシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロテトラメチルジメチルシラン、シクロトリメチレンジメチルシラン等を用いた場合には、蒸着法等のドライコーティング法により形成することも可能である。
【0131】
本実施態様に用いられる平坦化層の膜厚は、0.05μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。また、平坦性としては、表面平均粗さ(Ra)が6nm以下、中でも2nm以下であることが好ましく、また最大高低差(P−V)が60nm以下、中でも20nm以下であることが好ましい。これにより、本実施態様の有機EL素子用基板上に、有機EL素子の発光層等を形成した場合であっても、凹凸やピンホールが形成されることなく、ダークスポット等のない、高品質な有機EL素子を形成することが可能となるからである。
【0132】
また、本実施態様の有機EL素子用基板上を、有機ELディスプレイ用基板として用いる場合には、上記平坦化層上に透明電極層が形成されることから、その透明電極層の形成の際に加わる力によっても安定な硬度を有することが好ましく、具体的には、鉛筆硬度試験 JIS K5400で2H以上の硬度を有することが好ましい。
【0133】
ここで、本実施態様に用いられる平坦化層は、上述した平坦化用コート層と同様のものを用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
【0134】
(カラーフィルタ層)
次に、本実施態様に用いられるカラーフィルタ層について説明する。本実施態様に用いられるカラーフィルタ層は、上述した色変換層を透過した光の色調を、さらに調整する層であり、上述した色変換層の各色と対応した位置に、それぞれ青色、赤色、緑色のカラーフィルタ層が形成される。このようなカラーフィルタ層が形成されることにより、本実施態様の有機EL素子用基板を有機EL素子に用いた場合、高純度な発色とすることができ、色再現性の高いものとすることができるのである。
【0135】
本実施態様において用いられるカラーフィルタ層は、通常カラーフィルタに用いることが可能な顔料や樹脂を用いて、フォトリソグラフィー法等により形成することができ、また各色の間にブラックマトリクスが形成されるものであってもよい。
【0136】
(応力緩和層)
次に、本実施態様に用いられる応力緩和層について説明する。本実施対応に用いられる応力緩和層は、上述した透明基材の、上記色変換層が形成された面と反対側の面に形成される層であり、透明基材上に色変換層やガスバリア層等を形成される際に発生する応力を緩和する層である。これにより、本実施態様の有機EL素子用基板にそりが発生することを抑えることができるのである。
【0137】
このような本実施態様に用いられる応力緩和層としては、応力を緩和することが可能な層であれば、特に限定されるものではないが、本実施態様においては、上述したガスバリア層と同様の層を形成することが好ましい。これにより、有機EL素子用基板の反対面にガスバリア性を付与することができるため、さらにガスバリア性の高い有機EL素子用基板とすることができるからである。また、この際応力緩和層は1層に限定されず、例えば上述したガスバリア層と平坦化層とを積層したもの等であってもよい。
【0138】
2.第2実施態様
次に、本発明の有機EL素子用基板における第2実施態様について説明する。本発明における有機EL素子用基板の第2実施態様は、透明基材と、上記透明基材上に形成された色変換層と、上記色変換層上に形成されたオーバーコート層と、上記オーバーコート層上に形成された蒸着膜からなるガスバリア層と、上記ガスバリア層上に形成され、かつカルドポリマーを有する平坦化層とを有するものである。
【0139】
本実施態様の有機EL素子用基板は、例えば図3に示すように、透明基材1と、その透明基材1上に形成された色変換層2と、その色変換層2上に形成されたオーバーコート6層と、そのオーバーコート層6上に形成されたガスバリア層4と、そのガスバリア層4上に形成された平坦化層5とを有するものである。
【0140】
本実施態様によれば、上記ガスバリア層上に、上記平坦化層が形成されていることから、ガスバリア層と平坦化層との密着性が高く、また平坦化層によりガスバリア層が有するピンホールの充填等をすることができることから、ガスバリア性の高い有機EL素子用基板とすることができるのである。また、有機EL素子用基板表面に上記平坦化層が形成されていることから、平坦な表面を有するものとすることができ、有機EL素子用基板上に有機EL層等を形成した場合に、ピンホール等のない、高品質なものとすることができるのである。
【0141】
以下、本実施態様の有機EL素子用基板の各構成について説明するが、上記透明変化層、色変換層、ガスバリア層、については、上述した第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0142】
a.平坦化層
まず、本実施態様に用いられる平坦化層について説明する。本実施態様に用いられる平坦化層は、上記ガスバリア層上に形成される層であり、カルドポリマーを有する表面が平坦な層である。本実施態様に用いられるカルドポリマーは、通常上記ガスバリア層に用いられる材料と、密着性が良好である。これにより、上記ガスバリア層上に形成した際に、ガスバリア層と密着し、またガスバリア層が有する微細なピンホール等を埋めることができることから、ガスバリア性の高い有機EL素子用基板を形成することが可能となるのである。
【0143】
本実施態様に用いられる平坦化層の平坦性としては、表面平均粗さ(Ra)が6nm以下、中でも2nm以下であることが好ましく、また最大高低差(P−V)が60nm以下、中でも20nm以下であることが好ましい。これにより、本実施態様の有機EL素子用基板上に、有機EL素子の発光層等を形成した場合であっても、凹凸やピンホールが形成されることなく、ダークスポット等のない、高品質な有機EL素子を形成することが可能となるからである。
【0144】
また、本実施態様の有機EL素子用基板上を、有機ELディスプレイ用基板として用いる場合には、上記平坦化層上に透明電極層が形成されることから、その透明電極層の形成の際に加わる力によっても安定な硬度を有することが好ましく、具体的には、鉛筆硬度試験 JIS K5400で2H以上の硬度を有することが好ましい。
【0145】
ここで、本実施態様に用いられるカルドポリマーを有する平坦化層については、上述した第1実施態様の平坦化用コート層および平坦化層の項で説明したものと同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0146】
b.オーバーコート層
次に、本実施態様に用いられるオーバーコート層について説明する。本実施態様に用いられるオーバーコート層は、上記色変換層上に形成されるものであり、上記色変換層の段差を平坦化し、また上記色変換層が上記ガスバリア層を形成する際に侵食されること等を防止する層である。
【0147】
本実施態様に用いられるオーバーコート層は、可視光に対して透明な材料であることが好ましく、具体的には、可視光に対して透過率が50%以上、中でも85%以上であることが好ましい。これにより、有機EL素子とした際に、明度の高いものとすることができるからである。ここで、可視光に対する透過率は、上述した方法により測定されたものである。
【0148】
本実施態様に用いられるオーバーコート層として、具体的には、例えばアクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料等を用いることが可能である。これらの材料を用いて、例えばスピンコート法、ロールコート法、バーコート法、キャスト法等の方法で基板上にコーティングし、この塗布膜を所定のフォトマスクを介して露光し、その後、現像液を使用して不要部分を除去してパターンを形成することができる。膜厚は上記色変換層による凹凸を平坦化することが可能であればよく、通常5μm〜10μmとされる。
【0149】
また、上記オーバーコート層は、低融点ガラスフリット、バインダー樹脂、溶剤からなる低融点ガラスペーストを用いて、印刷、塗布により形成することもできる。
【0150】
c.有機EL素子用基板
次に、本実施態様の有機EL素子用基板について説明する。本実施態様の有機EL素子用基板は、透明基材と、上記透明基材上に形成された色変換層と、上記色変換層上に形成されたオーバーコート層と、上記オーバーコート層上に形成された蒸着膜からなるガスバリア層と、上記ガスバリア層上に形成され、かつカルドポリマーを有する平坦化層とを有するものであれば、特に限定されるものではない。本実施態様においても、上記ガスバリア層上に平坦化層およびガスバリア層がこの順で積層されたものであってもよく、また応力緩和層やカラーフィルタ層が形成されたものであってもよい。
【0151】
なお、本実施態様に用いられる応力緩和層やカラーフィルタ層等は、上述した第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0152】
3.その他
また、本発明の有機EL用基板は、透明基材と、その透明基材上に形成された色変換層と、その色変換層上に形成されたオーバーコート層と、そのオーバーコート層上に形成された平坦化層と、その平坦化層上に形成された蒸着膜からなるガスバリア層とを有する実施態様であってもよい。本実施態様によれば、上記平坦化層上にガスバリア層が形成されることから、ガスバリア層を緻密に形成することができ、またガスバリア層と透明基材等との密着性を向上させることができることから、ガスバリア性の高い有機EL素子用基板とすることができるのである。
【0153】
また、必要に応じて平坦化層やガスバリア層が積層されていてもよく、また応力緩和層や、カラーフィルタ層等が形成されていてもよい。
【0154】
ここで、本実施態様に用いられる透明基材、色変換層、オーバーコート層、平坦化層、ガスバリア層、応力緩和層、カラーフィルタ層等は、上述した第1実施態様の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0155】
B.有機ELディスプレイ用基板
次に、本実施態様における有機ELディスプレイ基板について説明する。本発明における有機ELディスプレイ基板は、上述した有機EL素子用基板上に透明電極層が形成されたものである。
【0156】
本発明によれば上述したガスバリア性が高く、平坦性の高い有機EL素子用基板を用いることから、透明電極層の断線等がなく、また本発明の有機ELディスプレイ基板上に例えば発光層等の有機EL層を均一に形成することが可能な、有機ELディスプレイ用基板とすることができる。
【0157】
本発明に用いられる透明電極層としては、可視光に対して透明な電極層であれば、陽極であっても陰極であってもよく、本発明の有機ELディスプレイ基板の用途に応じて適宜選択されるものである。
【0158】
このような陽極として、具体的には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等が好適に用いられる。また、これらの透明電極層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法等により形成することができる。
【0159】
ここで、本発明に用いられる透明電極層の膜厚は50nm〜500nm位の範囲が好ましい。また上記の透明電極層の膜厚よりも薄いと、導電性の低下が見られ、更に上記よりも透明電極層の膜厚が厚い場合には、後加工の工程が進むにつれ、導電膜のクラックなどにより導電性の劣化が見られるので好ましくないからである。
【0160】
C.有機EL素子
次に、本発明の有機EL素子について説明する。本発明の有機EL素子は、上記有機ELディスプレイ基板の、上記透明電極層上に形成された有機EL層と、その有機EL層上に形成された対向電極とを有するものであれば、特に層構成等は限定されるものではなく、有機EL素子の用途等に応じて適宜選択されるものである。
【0161】
本発明によれば、上述した平坦性が高く、かつガスバリア性の高い有機EL素子用基板を用いた有機ELディスプレイ基板上に有機EL層等が形成されることから、有機EL層等を均一に形成することができ、また経時でも酸素や水蒸気等の影響を受けることのない高品質な有機EL素子とすることができるのである。
【0162】
本発明の有機EL素子は、上述した有機ELディスプレイ基板上に形成された透明電極層と、その透明電極層と反対の電極を有し、かつ対向するように形成された対向電極との間に有機EL層が形成されたものである。ここで、本発明でいう有機EL層とは、通常有機EL素子に用いられるものを用いることが可能であり、少なくとも発光層を含む1層もしくは複数層の有機層から形成されるものである。すなわち、有機EL層とは、少なくとも発光層を含む層であり、その層構成が有機層1層以上の層をいう。通常、塗布による湿式法で有機EL層を形成する場合は、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であることから、1層もしくは2層の有機層で形成される場合が多いが、有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、さらに多数層とすることも可能である。
【0163】
発光層以外に有機EL層内に形成される有機層としては、通常有機EL層に用いられる層を用いることが可能であり、例えば正孔注入層や電子注入層といった電荷注入層を挙げることができる。さらに、その他の有機層としては、発光層に正孔を輸送する正孔輸送層、発光層に電子を輸送する電子輸送層といった電荷輸送層を挙げることができるが、通常これらは上記電荷注入層に電荷輸送の機能を付与することにより、電荷注入層と一体化されて形成される場合が多い。その他、EL層内に形成される有機層としては、キャリアブロック層のような正孔あるいは電子の突き抜けを防止し、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
【0164】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0165】
【実施例】
以下、本発明の有機EL素子用基板について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。
【0166】
[実施例1]
<青色カラーフィルタ層の形成>
透明基材として、線膨張係数60ppm、全光線透過率85%、厚み200μmのシート状(30cm×21cm)の(メタ)アクリル系樹脂フィルムを用いた。該(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、含脂環骨格ビス(メタ)アクリレート94重量部と含脂環骨格ビス(モノ)アクリレート6重量部とからなる樹脂組成物を用いてフィルム化したものである。
【0167】
前記(メタ)アクリル系樹脂フィルム上に、青色フィルタ材料(カラーモザイクCB−7001:商品名、富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製)を、スピンコート法を用いて塗布した。その塗膜を、フォトリソグラフィー法によりパターニングを実施し、線幅0.1mm、ピッチ(周期)0.33mm、膜厚6μmのストライプパターンを有する青色カラーフィルタ層を形成した。
【0168】
<緑色変換層の形成>
蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)を、溶媒としてのプロピレングリコールモノエチルアセテート(PEGMA)120重量部中へ溶解させた。得られた溶液に対して、光重合性樹脂として(V−259PA/PH5:商品名、新日鉄化学社製)100重量部を加えて溶解させて塗布溶液を得た。
【0169】
前記工程で得られた青色カラーフィルタ層が形成されている透明基材上に、上記のように調製した塗布溶液をスピンコート法を用いて塗布し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを実施し、線幅0.1mm、ピッチ(周期)0.33mm、膜厚10μmのストライプパターンを有する緑色変換層を形成した。
【0170】
<赤色変換層の形成>
蛍光色素として、クマリン6(0.6重量部)、ローダミン6G(0.3重量部)、ベーシックバイオレット11(0.3重量部)を、溶媒としてのプロピレングリコールモノエチルアセテート(PEGMA)120重量部中へ溶解させた。該溶液に対して、光重合性樹脂(V−259PA/PH5:商品名、新日鉄化学社製)100重量部を加えて溶解させて、塗布溶液を得た。
【0171】
上記青色カラーフィルタ層および緑色変換層を形成した透明基材上に、上記のように調製した塗布溶液をスピンコート法を用いて塗布し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを実施し、線幅0.1mm、ピッチ(周期)0.33mm、膜厚10μmのストライプパターンを有する赤色変換層を形成した。
【0172】
上記のように形成された赤色変換層、緑色変換層および青色カラーフィルタ層のライン状パターンは、それぞれの間の間隙幅を0.01mmとして平行に配置された、各色変換層が形成された。
【0173】
<オーバーコート層の形成>
次に、前記工程で形成された色変換層の上に、アクリル系樹脂(V−259PA/PH5:商品名、新日鉄化学社製)をスピンコート法にて塗布し、紫外線照射(300mJ/cm )することにより硬化させて、オーバーコート層を形成した。オーバーコート層は、各色変換層上において8μmの膜厚を有した。
【0174】
<ガスバリア層の形成>
前記工程で得られたオーバーコート層を設けた基板を、マグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に配置した。ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、酸化窒化珪素の膜厚が100nmになるまで、成膜を行った。
【0175】
成膜圧力:2.5×10−1Pa
アルゴンガス流量:20sccm
窒素ガス流量:9sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
<平坦化層の形成>
前述のガスバリア層の上に、フルオレンを骨格とするカルドポリマーで形成される樹脂(V−259−EH:新日鐵化学社製)をスピンコート法にて塗布し、160℃で1時間加熱した。これにより、平坦化層が形成された、有機EL素子用基板を得た。上記平坦化層は、ガスバリア層上において1μmの膜厚であった。このとき、オーバーコート層のガスバリア層には変形が無く、かつ、平坦化層上面は表面粗さRaが0.8nm、最大高低差P−Vが8nmであった。
【0176】
<有機ELカラーディスプレイの製造>
上記のようにして製造した有機EL素子用基板の上に、透明電極層/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極の6層構成となる有機EL発光素子を次のようにして形成した。
【0177】
前記工程で得た有機EL素子用基板の上に、スパッタ法により透明電極(インジウム亜鉛酸化物)を全面成膜した。このインジウム亜鉛酸化物上に、レジスト剤「OFRP−800」(商品名、東京応化社製)を塗布した後、フォトリソグラフィー法にてパターニングを行い、それぞれの色の色変換層に相当する位置に、幅0.094mm、間隙0.016mm、および膜厚100nmのストライプパターンを有する透明電極層を形成した。
【0178】
透明電極層を形成した有機EL素子用基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層を、真空を破らずに順次全面成膜した。成膜に際して、真空槽内圧を1×10−4Paまで減圧し、正孔注入層として、銅フタロシアニン(CuPc)を膜厚が100nmとなるように積層した。また、正孔輸送層として、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を膜厚が20nmとなるように積層した。有機発光層として、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を膜厚が30nmとなるように積層した。電子注入層として、アルミニウムキレート(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体、Alq)を膜厚が20nmとなるように積層した。
【0179】
次に、真空を破ることなしに、陽極(透明電極層)のストライプパターンと直交する幅0.30mm、間隔0.03mmのパターンが得られるマスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag(質量比10/1)層からなる陰極を形成した。こうして得られた有機EL発光素子をグローブボックス内乾燥窒素雰囲気下(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)において、封止ガラスとUV硬化接着剤を用いて封止して、有機EL素子を得た。
【0180】
得られた有機EL素子について100時間の連続駆動を行った後に、パネル内の単位面積あたりのダークスポット数を計測した結果を下記の表1に示す。
【0181】
[実施例2]
透明基材を下記のものとした以外は実施例1と同様に行った。
【0182】
透明基材として、厚み200μmのシート状(30cm×21cm)のポリカーボネート樹脂フィルム上に、スピンコーティング法にて(メタ)アクリル系樹脂[含脂環骨格ビス(メタ)アクリレート94重量部と含脂環骨格ビス(モノ)アクリレート6重量部とからなる樹脂組成物]を1.0μmの膜厚で塗布し、120℃、2分間ホットプレート上で乾燥させ、その後1J/cm の露光量でUVを照射し、引き続き160℃で60分間熱風乾燥して、透明基材を得た。線膨張係数が63ppm、全光線透過率が89%であった。
【0183】
[実施例3]
透明基材を下記のものとした以外は実施例1と同様に行った。
【0184】
透明基材として、6インチ四方角、厚み0.7mm、全光線透過率87%のガラス上に、スピンコーティング法にて(メタ)アクリル系樹脂[含脂環骨格ビス(メタ)アクリレート94重量部と含脂環骨格ビス(モノ)アクリレート6重量部とからなる樹脂組成物]を1.0μmの膜厚で塗布し、120℃にて2分間ホットプレート上で乾燥させ、その後1J/cmの露光量でUVを照射し、引き続き160℃で60分間熱風乾燥することにより透明基材とした。線膨張係数が62、全光線透過率が88%であった。
【0185】
[実施例4]
透明基材を下記のものとした以外は実施例1と同様に行った。
【0186】
6インチ四方角、厚み0.7mm、全光線透過率が87%のガラス板を用意し、透明基材とした。
【0187】
[実施例5]
ガスバリア層の形成を下記の方法とした以外は実施例1と同様に行った。
【0188】
<ガスバリア層の形成>
上述したオーバーコート層を設けた基板をイオンプレーティング装置のチャンバー内に配置した。昇華材料には酸化珪素を使用し、以下の成膜条件で酸化窒化珪素の膜厚が100nmになるまで、成膜を行った。
【0189】
成膜圧力:1.5×10−1Pa
アルゴンガス流量:18sccm
酸素ガス流量:28sccm
成膜電流値: 60A
[実施例6]
ガスバリア層の形成を下記の方法とした以外は実施例1と同様に行った。
【0190】
<ガスバリア層の形成>
上述したオーバーコート層を設けた基板をプラズマ化学気相蒸着装置内に配置した。原料としてテトラメトキシシラン(TMOS)を用い、以下の成膜条件で、膜厚が100nmなるまで成膜し、金属酸化物を形成した。
【0191】
成膜圧力:30Pa
テトラメトキシシランガス流量:4sccm
酸素ガス流量:12sccm
ヘリウムガス:30sccm
周波数:90KHz
電力:150W
[実施例7]
上述した平坦化層上に、下記の方法によりガスバリア層を形成した以外は実施例1と同様に行った。
【0192】
<ガスバリア層の形成>
上述したオーバーコート層を設けた基板を、マグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に配置した。ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、酸化窒化珪素の膜厚が100nmになるまで、成膜を行った。
【0193】
成膜圧力:2.5×10−1Pa
アルゴンガス流量:20sccm
窒素ガス流量:9sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
[実施例8]
透明基材に応力緩和層を形成した以外は実施例1と同様に行った。
【0194】
<応力緩和層の形成>
透明基材の成膜する面の反対側(裏面)に、応力を緩和し、且つ脱ガス防止層として下記のガスバリア層を形成した。即ち、100nmの膜厚の酸化窒化珪素を設けたシート状(30cm×21cm)の(メタ)アクリル系樹脂フィルムをマグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に配置した。ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、酸化窒化珪素の膜厚が100nmになるまで、成膜を行った。
【0195】
成膜圧力:2.5×10−1Pa
アルゴンガス流量:20sccm
窒素ガス流量:9sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
[比較例1]
平坦化層を形成しないこと以外は上述した実施例1と同様に行った。
【0196】
[比較例2]
平坦化層を形成しないこと以外は上述した実施例2と同様に行った。
【0197】
[比較例3]
平坦化層を形成しないこと以外は上述した実施例3と同様に行った。
【0198】
[比較例4]
平坦化層を形成しないこと以外は上述した実施例4と同様に行った。
【0199】
[比較例5]
平坦化層を形成しないこと以外は上述した実施例5と同様に行った。
【0200】
[比較例6]
平坦化層を形成しないこと以外は上述した実施例6と同様に行った。
【0201】
[比較例7]
平坦化層を形成しないこと以外は上述した実施例7と同様に行った。
【0202】
[比較例8]
平坦化層を形成しないこと以外は上述した実施例8と同様に行った。
【0203】
[評価方法]
実施例1〜8および比較例1〜8で得られた有機EL素子の評価は次のように行った。有機EL素子の駆動は、駆動周波数60Hz、デューティ比1/60、1画素あたりの電流量2mAにおける線順次走査により行い、100時間の連続駆動を行った後に、パネル内の単位面積あたりのダークスポット数を比較した。
【0204】
【表1】
Figure 2004303562
【0205】
表1によれば、平坦化層を設けることにより、ダークスポットの発生、成長が抑制されることが分かる。なお、ダークスポットは、直径0.1〜2mmのものを測定し、2mm以上のものは不良品として測定の対象から除外した。
【0206】
【発明の効果】
本発明によれば、上記平坦化用コート層上に、上記ガスバリア層が形成されることから、ガスバリア層を緻密で、凹凸やピンホール等のない、ガスバリア性の高い層とすることができる。また、上記ガスバリア層と上記透明基材または上記色変換層との間に上記平坦化用コート層が形成されることから、上記ガスバリア層と上記透明基材等との密着性を向上させることができ、ガスバリア性の高い有機EL素子用基板とすることができるのである。これにより、本発明の有機EL素子用基板上に、有機EL層を形成した際、例えば上記色変換層から発生した酸素や水蒸気等が、有機EL層側に侵入することを防止することができ、有機EL素子に用いた場合にダークスポットの発生や成長等のない、高品質な有機EL素子用基板とすることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子用基板の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の有機EL素子用基板の他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の有機EL素子用基板の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 … 透明基材
2 … 色変換層
3 … 平坦化用コート層
4 … ガスバリア層
5 … 平坦化層
6 … オーバーコート層

Claims (15)

  1. 透明基材と、前記透明基材上に形成された色変換層と、前記色変換層上に形成された平坦化用コート層と、前記平坦化用コート層上に形成された蒸着膜からなるガスバリア層とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子用基板。
  2. 前記平坦化用コート層がカルドポリマーを有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセント素子用基板。
  3. 前記ガスバリア層上に平坦化層を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセント素子用基板。
  4. 前記平坦化層がカルドポリマーを有することを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセント素子用基板。
  5. 透明基材と、前記透明基材上に形成された色変換層と、前記色変換層上に形成されたオーバーコート層と、前記オーバーコート層上に形成された蒸着膜からなるガスバリア層と、前記ガスバリア層上に形成され、かつカルドポリマーを有する平坦化層とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子用基板。
  6. 前記透明基材が、室温から150℃までの範囲内における線膨張係数が80ppm以下であり、かつ全光線透過率が85%以上である耐熱性を有する透明樹脂からなることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子用基板。
  7. 前記透明基材が、表面に、室温から150℃までの範囲内における線膨張係数が80ppm以下であり、かつ全光線透過率が85%以上である耐熱性を有する透明樹脂層を有するものであることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子用基板。
  8. 前記平坦化層または前記平坦化用コート層の表面平均粗さが6nm以下であり、最大高低差が60nmであることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子用基板。
  9. 前記ガスバリア層が、透明無機酸化膜、透明無機酸化窒化膜、透明無機窒化膜、もしくは透明金属膜からなる蒸着膜であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子用基板。
  10. 前記有機エレクトロルミネッセント素子の表面平均粗さが6nm以下であり、最大高低差が60nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子用基板。
  11. 前記有機エレクトロルミネッセント素子用基板における酸素透過率が0.3cc/m/day以下であり、水蒸気透過率が0.1g/m/day以下であることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子用基板。
  12. 前記透明基材と前記色変換層との間に、カラーフィルタ層を有することを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子用基板。
  13. 前記透明基材における、前記色変換層が形成された面と反対側の面に、前記基材にかかる応力を緩和する応力緩和層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれかの請求項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子用基板。
  14. 請求項1から請求項13までのいずれかの請求項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子用基板上に透明電極層が形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセントディスプレイ用基板。
  15. 請求項14に記載の有機エレクトロルミネッセントディスプレイ用基板と、前記透明電極層上に形成された少なくとも発光層を有する有機エレクトロルミネッセント層と、前記有機エレクトロルミネッセント層上に形成された対向電極とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子。
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