JP2002134268A - 有機el素子および有機el素子を用いた有機elディスプレイパネル - Google Patents

有機el素子および有機el素子を用いた有機elディスプレイパネル

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JP2002134268A JP2000328673A JP2000328673A JP2002134268A JP 2002134268 A JP2002134268 A JP 2002134268A JP 2000328673 A JP2000328673 A JP 2000328673A JP 2000328673 A JP2000328673 A JP 2000328673A JP 2002134268 A JP2002134268 A JP 2002134268A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分や有機溶媒成分が吸着することを防止す
るとともに、水分や有機溶媒成分がガス化して、放出さ
れることを効果的に防止することができ、平坦化のため
の有機層との密着性に優れたパッシベーション層を備
え、生産性が高く、かつ、耐久性が向上した有機EL素
子およびそれを用いた有機ELディスプレイパネルを提
供する。 【解決手段】 基板1と、少なくとも一層のパッシベー
ション層4と、電極5、8を備え、前記パッシベーショ
ン層4が、窒化シリコンを含有することを特徴とする有
機EL素子およびかかる構成を有する複数の有機EL素
子を備えた有機ELディスプレイパネル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機EL(エレク
トロルミネッセンス)素子および有機EL素子を用いた
有機ELディスプレイパネルに関するものであり、さら
に詳細には、水分や有機溶媒成分が吸着することを防止
するとともに、水分や有機溶媒成分がガス化して、放出
されることを効果的に防止することができ、平坦化のた
めの有機層との密着性に優れたパッシベーション層を備
え、生産性が高く、かつ、耐久性が向上した有機EL素
子およびそれを用いた有機ELディスプレイパネルに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、占有面積を減少させるという観点
から、フラットディスプレイパネルへの要求が高まって
いる。
【0003】現在のところ、フラットディスプレイパネ
ルとしては、液晶ディスプレイパネルが広く用いられて
いるが、最近では、軽量で、バックライトを必要としな
いエレクトロルミネッセント素子(以下、「EL素子」
という。)を用いたデバイスが注目を集めている。
【0004】EL素子は、無機EL素子と有機EL素子
とに分類され、無機EL素子は、たとえば、ZnSに微
量のMnなどを添加するなど、発光層に無機物を用いた
もので、分散型と薄膜型に分類されるが、いずれも、蛍
光体中の電子が高電界下で、加速されて、発光中心に衝
突して、励起される現象を利用しており、現在、実用化
されている無機EL素子は、交流で動作するものが多
く、輝度は電圧と周波数に依存する。
【0005】また、有機EL素子は、外部から、電子と
ホール(正孔)を注入し、それらの再結合エネルギーに
よって、発光中心を励起するもので、一般に、錫ドープ
酸化インジウム(ITO)などよりなるホール(正孔)
注入電極と、ホール注入電極上に成膜されたトリフェニ
ルジアミンなどを含むホール(正孔)輸送層と、ホール
輸送層上に積層されたアルミキノリノール錯体(Alq
)などの蛍光物質を含む有機発光層と、マグネシウム
などの仕事関数の小さな金属電極(電子注入電極)とを
基本構成として有している。
【0006】無機EL素子が、駆動のために、比較的高
電圧を必要とするのに対し、有機EL素子は、10ボル
ト前後の低電圧によって、数百ないし数万cd/m
いうきわめて高い輝度が得られるという特徴を有してお
り、EL素子のうちでは、有機EL素子が主流となって
いる。
【0007】しかしながら、有機EL素子においては、
水分や有機溶媒成分が吸着することによって、たとえ
ば、発光素子中に、黒い斑点状のダークスポットが発生
し、発生したダークスポットが成長して、有機EL素子
の寿命を低下させるという問題があった。
【0008】また、有機EL素子においては、基板上
に、カラーフィルターなどを形成すると、段差が生じ、
その上に、透明電極および補助配線を形成した場合に
は、透明電極および補助配線が切断されるおそれがある
ため、平坦化のための有機層を設け、有機層上に、IT
O電極などを形成するように構成されているが、ディス
プレイ駆動時に発生する熱などにより、有機層中の水分
や有機溶媒成分が揮発し、ガスとして放出されるため、
発光素子機能が劣化し、信頼性が低下するという問題が
あった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】かかる問題を解決する
ため、たとえば、特開平10−312886号公報は、
有機EL素子に、水分や有機溶媒成分が吸着することを
防止するとともに、有機EL素子に形成されたフォトレ
ジスト層に中の水分や有機溶媒成分が、ガスとして放出
されて、発光素子機能が劣化することを防止するため、
CVD法により、フォトレジスト層上に、保護層を形成
した有機EL素子を開示している。
【0010】しかしながら、CVD法によって形成され
た保護層は、有機層との密着性がきわめて悪いため、そ
の後の熱処理などの工程で、しばしば膜剥離が生じ、信
頼性が低く、歩留まりが悪いだけでなく、耐久性が低い
という問題があった。
【0011】一方、特開平11−260562号公報
は、カラーフィルター層上に、有機層が積層され、さら
に、有機層上に、酸化シリコンを含有した保護層が形成
された有機EL素子を用いた有機ELカラーディスプレ
イを開示している。
【0012】しかしながら、酸化シリコンは吸湿性が高
いため、吸収された水分がガスとして放出されやすく、
経時的に、発光素子機能を劣化させ、耐久性が低いとい
う問題があった。
【0013】したがって、本発明は、水分や有機溶媒成
分が吸着することを防止するとともに、水分や有機溶媒
成分がガス化して、放出されることを効果的に防止する
ことができ、平坦化のための有機層との密着性に優れた
パッシベーション層を備え、生産性が高く、かつ、耐久
性が向上した有機EL素子およびそれを用いた有機EL
ディスプレイパネルを提供することを目的とするもので
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のかかる目的は、
基板と、少なくとも一層のパッシベーション層と、電極
を備え、前記パッシベーション層が、窒化シリコンを含
有することを特徴とする有機EL素子によって達成され
る。
【0015】酸化シリコンとは異なって、窒化シリコン
は吸湿性がなく、したがって、本発明によれば、水分や
有機溶媒成分が吸着することを防止することができるか
ら、水分や有機溶媒成分がガス化し、放出されて、有機
EL素子の発光素子機能が低下することを効果的に防止
することが可能になる。
【0016】また、窒化シリコンはガス透過性がきわめ
て低いため、ディスプレイ駆動によって生じる熱によ
り、水分や有機溶媒成分が、ガス化しても、封じ込める
ことができ、したがって、水分や有機溶媒成分がガス化
し、放出されて、有機EL素子の発光素子機能が低下す
ることを効果的に防止することが可能になる。
【0017】さらに、プラスチック基板を用いた場合に
は、基板からガスが放出されることがあり得るが、本発
明によれば、プラスチック基板から放出されたガスも封
じ込めることができ、プラスチック基板から放出された
ガスによって、発光素子機能が低下することを効果的に
防止することが可能になる。
【0018】本発明の好ましい実施態様においては、有
機EL素子は、さらに、平坦化層を備え、前記パッシベ
ーション層が、前記平坦化層と前記電極との間に形成さ
れている。
【0019】窒化シリコンはガス透過性がきわめて低い
ため、本発明の好ましい実施態様によれば、平坦化層に
含まれている水分や有機溶媒成分が、ディスプレイ駆動
によって生じる熱により、ガス化しても、封じ込めるこ
とができ、したがって、水分や有機溶媒成分がガス化
し、放出されて、有機EL素子の発光素子機能が低下す
ることを効果的に防止することが可能になる。
【0020】さらに、窒化シリコンは、平坦化層と良好
に密着するから、本発明の好ましい実施態様によれば、
有機EL素子、したがって、有機ELディスプレイパネ
ルの生産性および耐久性を向上させることが可能にな
る。
【0021】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記平坦化層が、有機材料または有機溶剤を含有し
ている。
【0022】本発明の前記目的はまた、それぞれ、基板
と、窒化シリコンを含有する少なくとも一層のパッシベ
ーション層と、電極を備えた複数の有機EL素子を備
え、前記複数の有機EL素子が独立して、制御が可能
に、分割されたことを特徴とする有機ELディスプレイ
パネルによって達成される。
【0023】本発明の好ましい実施態様においては、さ
らに、有機EL素子の各々が、平坦化層を備え、前記パ
ッシベーション層が、前記平坦化層と前記電極との間に
形成されている。
【0024】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記平坦化層が、有機材料または有機溶剤を含有し
ている。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明において、窒化シリコンを
含有するパッシベーション層は、CVD法、スパッタリ
ング法などによって成膜することができるが、異物であ
るパーティクルを被覆し、パーティクルが欠陥となるこ
とを防止する観点からは、CVD法、とくに、プラズマ
CVD法によって成膜することが好ましい。
【0026】本発明において、プラズマCVD装置とし
ては、平行平板方式、ECR方式、ICP方式、ヘリコ
ン波プラズマ方式などのいずれをも使用することがで
き、装置コストの観点からは、平行平板方式が好ましい
が、膜の緻密化など、膜質のコントロールが容易で、ま
た、スパッタエッチングの効果の利用が可能である点か
らは、ECRプラズマ方式の方が好ましく、使用され
る。
【0027】本発明において、平行平板型プラズマCV
D装置を用いる場合には、基板温度が、50ないし20
0℃、成膜圧力が、100ないし800パスカル、成膜
パワーが、6インチウエハーに対して、0.8W/cm
ないし3W/cmの範囲にあることが好ましい。成
膜速度は、遅い方が、膜の緻密性が向上するため、パッ
シベーション層としての効果は向上するが、その一方
で、生産性が悪くなるため、成膜速度は、100nm/
分ないし1000nm/分が好ましい。これらの範囲外
では、窒化シリコンの緻密性が悪くなり、パッシベーシ
ョン膜としての効果が低下し、好ましくない。
【0028】プラズマCVDの材料ガスとしては、通
常、SiH 、N、NHが用いられるが、NH
は膜質の制御のために用いられるものであり、NH
用いることは必ずしも必要ではない。本発明において、
窒化シリコンを含有するパッシベーション層を、スパッ
タリング法によって成膜する場合には、とくに、RF電
源を用いた高周波スパッタリング法によって、成膜する
ことが好ましい。RF電源を用いた高周波スパッタリン
グの電力は10ないし100W/平方センチメートルの
範囲が好ましく、周波数は13.56MHz、成膜速度
は5ないし50nm/分、成膜中の圧力は0.1ないし
1.0パスカルであることが好ましい。
【0029】本発明において、窒化シリコンを含有する
パッシベーション層は、632nmの波長における屈折
率が1.8ないし2.2の範囲にあることが好ましく、
632nmの波長における屈折率が1.9ないし2.1
の範囲にあると、さらに好ましい。窒化シリコンを含有
するパッシベーション層の632nmの波長における屈
折率が、1.8未満でも、2.2を越えていても、パッ
シベーション層に数多くの欠陥が生じ、好ましくない。
【0030】本発明において、パッシベーション層に含
有される窒化シリコンSiNxのxが0.5ないし1.
5の範囲にあることが好ましく、xが0.8ないし1.
3の範囲にあると、さらに好ましい。xが0.5未満で
も、1.5を越えていても、パッシベーション層の吸湿
性が増大し、好ましくない。
【0031】本発明において、窒化シリコンを含有する
パッシベーション層は、10ないし30原子%の水素を
含有していることが好ましく、20ないし30原子%の
水素を含有しているとさらに好ましい。窒化シリコンを
含有するパッシベーション層の水素含有量が、10原子
%未満では、平坦化のための有機層との密着性が低下
し、一方、30原子%を越えると、パッシベーション層
の緻密性が低下し、好ましくない。
【0032】窒化シリコンを含有するパッシベーション
層中の水素含有量は、窒化シリコンを含有するパッシベ
ーション層を成膜する際に用いる材料ガスに水素ガスを
添加することによって、増大させることができ、成膜温
度を上昇させることによって、減少させ、低下させるこ
とによって、増大させることができる。また、窒化シリ
コンを含有するパッシベーション層を成膜する際に、材
料ガスの流量を低下させて、成膜レートを低下させる
と、水素含有量は減少し、材料ガスの流量を増大させ
て、成膜レートを増大させることによって、水素含有量
を増大させることができ、平行平板型プラズマCVD装
置によって、窒化シリコンを含有するパッシベーション
層を成膜するときは、上部電極のパワーと下部電極のパ
ワーの比を大きくすることによって、水素含有量を増大
させ、小さくすることによって、水素含有量を減少させ
ることができる。
【0033】本発明において、窒化シリコンを含有する
パッシベーション層は、不純物として、0.5重量%以
下のC、Arなどを含んでいてもよい。
【0034】本発明において、窒化シリコンを含有する
パッシベーション層は、2ないし50nmの平均表面粗
さ(Ra)を有していることが好ましく、10ないし5
0nmの最大表面粗さ(Rmax)を有していることが
好ましい。
【0035】また、本発明において、窒化シリコンを含
有するパッシベーション層は、有機発光層から発せられ
た光の80%以上を透過する透過率を有していることが
好ましい。
【0036】本発明において、窒化シリコンを含有する
パッシベーション層の厚さはとくに限定されるものでは
ないが、5ないし50nm、とくに10ないし30nm
であることが好ましい。
【0037】本発明において、パッシベーション層が1
層であるときは、ごみなどの異物が含まれた場合に、異
物が除去されて、膜の欠陥を生じさせることがあるの
で、パッシベーション層は、2層構造を有していること
が好ましい。
【0038】本発明において、基板が有機発光層から発
せられた光を取り出す側に位置しているときは、基板は
透明でなければならないが、基板が有機発光層から発せ
られた光を取り出す側に位置していないときは、半透明
であっても、不透明であってもよい。
【0039】本発明において、基板の材質はとくに限定
されるものではなく、積層される電極の材質によって、
適宜選択することができる。
【0040】透明な基板を形成するために好ましく使用
することのできる材料としては、ガラスが挙げられ、ガ
ラスのうち、とくに、無アルカリガラスが好ましく使用
される。
【0041】また、ポリカーボネート、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチ
レンナフタレート、ポリエーテルスルホンなどの透明プ
ラスチックや、これらの上に、無機材料からなるパッシ
ベーション膜を形成したものも、本発明の基板として、
使用することができる。
【0042】基板が透明であることを要しない場合に
は、ガラスや前記透明樹脂に加えて、ポリアミドイミ
ド、ポリイミド、ポリアリールエーテルニトリルなどの
比較的耐熱性の高い樹脂、石英、アルミナなどのセラミ
ック、ステンレスなどの金属シートに表面酸化などの絶
縁処理を施したものなどが、基板として、好ましく使用
することができる。
【0043】本発明において、有機EL素子は、基板上
に、カラーフィルター層を備えている。
【0044】カラーフィルター層は、フォトリソグラフ
ィプロセスによって形成しても、蒸着プロセスによって
形成してもよい。
【0045】カラーフィルター層を、フォトリソグラフ
ィプロセスによって形成する場合には、公知の方法およ
び材料を使用することができる。
【0046】有機EL素子を薄層化し、製造コストを低
減させる観点からは、顔料および/または有機染料を蒸
着して、カラーフィルター層を形成することが好まし
い。
【0047】蒸着によって、カラーフィルター層を形成
する場合、顔料としては、無機顔料および有機顔料のい
ずれをも使用可能であり、無機顔料としては、たとえ
ば、金属の複合酸化物などを用いることができ、無機顔
料と有機顔料の混合物を使用することもできる。
【0048】顔料および有機染料のうちでは、カラーバ
リエーションの多さから、有機顔料および有機染料が好
ましく使用され、有機顔料および有機染料のうちでも、
有機顔料は、耐熱性があり、有機溶媒や水に溶解しない
ため、とくに好ましい。
【0049】カラーフィルター層は、顔料および有機染
料を共蒸着して、形成することができる。
【0050】好ましくは、カラーフィルター層は、2種
類以上の顔料および/または2種類以上の有機染料を蒸
着して形成される。2種類以上の顔料および/または2
種類以上の有機染料を蒸着して、カラーフィルター層を
形成する場合には、2種類以上の顔料および/または2
種類以上の有機染料を組み合わせることによって、所望
の光透過特性を有するカラーフィルター層を形成するこ
とが可能になり、緑色のフィルター層など、単一の顔料
または有機染料を蒸着したときには、所望の光透過特性
を有するカラーフィルター層を形成することが困難なと
きにも、所望の光透過特性を有するカラーフィルター層
を形成することが可能になる。
【0051】2種類以上の顔料および/または2種類以
上の有機染料を蒸着して、カラーフィルター層を形成す
る場合には、顔料および/または有機染料を含む各ボー
トを個別に温度制御して、2種類以上の顔料および/ま
たは2種類以上の有機染料を共蒸着して、カラーフィル
ター層を形成することが好ましい。2種類以上の顔料お
よび/または2種類以上の有機染料を共蒸着する場合に
は、同時に蒸着をすることができるから、2以上の蒸着
膜を積層する場合に比し、作業時間を短縮することが可
能になり、また、2種類以上の顔料および/または2種
類以上の有機染料を混合して、蒸着する場合に比し、そ
れぞれの顔料および/または有機染料の蒸気圧が大きく
異なっていても、所望のように、2種類以上の顔料およ
び/または2種類以上の有機染料を含むカラーフィルタ
ー層を形成することが可能になる。
【0052】2種類以上の顔料および/または2種類以
上の有機染料を蒸着して、カラーフィルター層を形成す
る場合には、2種類以上の顔料および/または2種類以
上の有機染料を、それぞれ、蒸着して形成した2以上の
蒸着層を積層して、カラーフィルター層を形成すること
ができる。2種類以上の顔料および/または2種類以上
の有機染料を共蒸着して、カラーフィルター層を形成す
る場合には、それぞれの添加量を正確に制御することが
必要不可欠で、操作が煩雑であるが、2種類以上の顔料
および/または2種類以上の有機染料を、それぞれ、蒸
着して形成した2以上の蒸着層を積層して、カラーフィ
ルター層を形成するする場合には、簡易に、所望の光透
過特性を有するカラーフィルター層を形成することが可
能になるだけでなく、それぞれの顔料および/または有
機染料の蒸気圧が大きく異なっていても、所望の光透過
特性を有するカラーフィルター層を形成することが可能
になる。
【0053】2種類以上の顔料および/または2種類以
上の有機染料を、それぞれ、蒸着して形成した2以上の
蒸着層を積層して、カラーフィルター層を形成する場
合、各蒸着層を、2種類以上の顔料および/または2種
類以上の有機染料を共蒸着して形成することもできる。
【0054】カラーフィルター層は、メタルマスク、シ
ャドウマスクなどのマスクを用い、顔料および/または
有機染料をマスク蒸着して形成されることが好ましい。
顔料および/または有機染料をマスク蒸着することによ
って、カラーフィルター層を形成する場合には、所望の
パターンで、カラーフィルター層を形成することが可能
になる。
【0055】さらに、メタルマスク、シャドウマスクな
どのマスクを用い、顔料および/または有機染料が、メ
タルマスク、シャドウマスクなどのマスクと基板面など
の被蒸着面との隙間から、基板面などの被蒸着面に回り
込むように、蒸着することによって、カラーフィルター
層と、カラーフィルター層が形成されていない領域との
境界部分に形成される壁の角度を数度の範囲に抑制する
ことができ、したがって、カラーフィルター層上に形成
される透明電極および補助配線が切断されるおそれを確
実に防止することが可能になる。
【0056】顔料および/または有機染料を蒸着する条
件はとくに限定されるものではないが、1×10−4
スカル以下で、蒸着速度を0.01ないし1nm/秒程
度とすることが好ましい。
【0057】蒸着によって、カラーフィルター層を形成
する際に用られる有機顔料および有機染料としては公知
の材料を使用することができ、たとえば、赤色用の有機
顔料および有機染料としては、ジケトピロロピロール
系、アンスラキノン系、キナクリドン系、ペリレン系、
アゾ系、ベンズイミダゾロン系などが挙げられ、緑色用
の有機顔料および有機染料としては、ハロゲン化銅フタ
ロシアニン系、アンスラキノン系などが挙げられ、青色
用の有機顔料および有機染料としては、銅フタロシアニ
ン系、インダントロン系などが挙げられる。また、混色
用の黄色用の有機顔料および有機染料としては、イソイ
ンドリン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ジ
スアゾ系などが、紫色用の有機顔料および有機染料とし
ては、ジオキサジン系、アンスラキノン系などが挙げら
れる。
【0058】これらの有機顔料および有機染料の中で、
赤色フィルター層を形成するためには、アゾ系の有機顔
料または有機染料が好ましく用いられ、青フィルター層
を形成するためには、銅フタロシアニン系の有機顔料ま
たは有機染料が好ましく用いられる。また、緑赤色フィ
ルター層は、銅フタロシアニン系の有機顔料もしくは有
機染料の蒸着層と、ジスアゾ系の有機顔料もしくは有機
染料の蒸着層とを積層して形成し、または、銅フタロシ
アニン系の有機顔料または有機染料とジスアゾ系の有機
顔料もしくは有機染料を混合して形成することが好まし
い。
【0059】カラーフィルター層を蒸着によって形成す
る場合、カラーフィルター層は厚いほど、色度が向上
し、薄すぎると、カラーフィルター層としての機能が低
下するが、厚くなりすぎると、顔料の結晶が析出した
り、カラーフィルター層にひび割れが生じるため、一般
に1.5μm以下であることが好ましい。具体的には、
カラーフィルター層の好ましい厚さは、色によって異な
り、赤色フィルター層は、400ないし15000オン
グストロームの厚さを有していることが好ましく、緑色
フィルター層は、200ないし10000オングストロ
ームの青色蒸着層と1000ないし2000オングスト
ロームの青色蒸着層とを積層した厚さを有していること
が好ましく、青色フィルター層は、400ないし150
00オングストロームの厚さを有していることが好まし
い。これら赤色フィルター層、緑色フィルター層および
青色フィルター層の厚さは、要求される光学特性に応じ
て、変化させることができる。
【0060】カラーフィルター層を、フォトリソグラフ
ィプロセスによって、形成する場合には、R、G、Bの
各色によって、厚さが大きく異なることがあるため、カ
ラーフィルター層上に、直接、電極および補助配線を形
成するときは、カラーフィルター層上に形成された透明
電極および補助配線が切断されるおそれがあり、所望の
ように、配線をして、有機ELディスプレイパネルとし
て、機能させることが困難になる場合がある。したがっ
て、本発明において、カラーフィルター層を、フォトリ
ソグラフィプロセスによって、形成する場合には、有機
EL素子は、カラーフィルター層上に、厚さの違いを補
償する平坦化層を有している。
【0061】本発明において、平坦化層を形成する材料
は、とくに限定されるものではなく、たとえば、アクリ
ル樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、環状オレフィン系
樹脂、シロキサン、アルコキシシラン加水重合体、無機
材料などが、好ましく使用される。
【0062】本発明において、平坦化層を設けた場合に
は、本発明にかかる窒化シリコンを含有するパッシベー
ション層は、平坦化層の表面に形成される。
【0063】一方、カラーフィルター層を、蒸着によっ
て形成したときは、薄層化が可能であるため、カラーフ
ィルター層の表面に、平坦化層は形成されず、本発明に
かかる窒化シリコンを含有するパッシベーション層は、
カラーフィルター層の表面に形成される。
【0064】本発明において、カラーフィルター層の電
極側に、有機発光層からの発光光を所定の波長の光に変
換する蛍光変換層を設けることができる。
【0065】フォトリソグラフィプロセスによって形成
されたカラーフィルター層の電極側に、蛍光変換層を設
ける場合には、平坦化層は、蛍光変換層の表面に形成さ
れ、本発明にかかる窒化シリコンを含有するパッシベー
ション層は、蛍光変換層上に形成された平坦化層の表面
に形成される。
【0066】これに対して、蒸着によって形成されたカ
ラーフィルター層の電極側に、蛍光変換層を設ける場合
には、本発明にかかる窒化シリコンを含有するパッシベ
ーション層は、蛍光変換層および/またはカラーフィル
ター層の表面に形成される。
【0067】蛍光変換層は、有機発光層から入射した光
によって、励起され、入射光とは異なる波長の光を生成
して、放出する蛍光物質を含んでいる。蛍光物質は、そ
のエネルギー順位で決定される波長の光を放出する物質
であり、蛍光変換層に含まれる蛍光物質としては、赤
色、緑色、青色などの光の三原色に対応する蛍光を発す
る化合物が好ましく使用される。蛍光物質は、短波長の
光を長波長の光に変換することができるため、青色の発
光光を赤色、緑色、黄色の光に変換させることによっ
て、任意の色(波長)の光を生成することができる。
【0068】本発明において、蛍光変換層に好ましく使
用することのできる蛍光物質の例としては、たとえば、
特開昭63−264692号公報に開示されているキナ
クリドン、ルブレン、スチリル系色素などおよびクマリ
ン、ルモゲンなどの化合物から選択される少なくとも1
種の化合物を挙げることができる。また、下式の構造を
有するトリス(8−キノリナト)アルミニウム(Alq
3)などの8−キノリノールまたはその誘導体を配位子
とする金属錯体、テトラフェニルブタジエン、アントラ
セン、ペリレン、コロネン、12−フタロペリノン誘導
体などの蛍光物質も、蛍光変換層に好ましく使用するこ
とができる。さらには、特開平8−12600号公報に
開示されたフェニルアントラセン誘導体や特開平8−1
2969号に開示されたテトラアリールエテン誘導体な
ども、蛍光変換層用の蛍光物質として使用することがで
きる。
【0069】
【化1】
【0070】本発明において、蛍光変換層を設ける場
合、蛍光変換層の膜厚は、2000nm以下が好まし
く、300nmないし600nm程度がとくに好まし
い。
【0071】本発明において、蛍光変換層は、フォトリ
ソグラフィプロセスによって形成しても、蒸着プロセス
によって形成してもよい。
【0072】蛍光変換層を、フォトリソグラフィプロセ
スによって形成する場合には、公知の方法および材料を
使用することができる。
【0073】有機EL素子を薄層化し、製造コストを低
減させる観点からは、蛍光物質を蒸着して、蛍光変換層
を形成することが好ましい。
【0074】本発明において、蒸着によって、蛍光変換
層を形成する場合には、蛍光変換層は、2種類以上の蛍
光物質を蒸着して、形成されていてもよい。
【0075】本発明において、2種類以上の蛍光物質を
蒸着して、蛍光変換層を形成する場合には、蛍光物質を
含む各ボートを個別に温度制御して、2種類以上の蛍光
物質を共蒸着して、蛍光変換層を形成することが好まし
い。2種類以上の蛍光物質を共蒸着する場合には、同時
に蒸着をすることができるから、2以上の蒸着膜を積層
する場合に比し、作業時間を短縮することが可能にな
り、また、2種類以上の蛍光物質を混合して、蒸着する
場合に比し、それぞれの蛍光物質の蒸気圧が大きく異な
っていても、所望のように、2種類以上の蛍光物質を含
む蛍光変換層を形成することが可能になる。
【0076】本発明において、2種類以上の蛍光物質を
用いて、蒸着によって、蛍光変換層を形成する場合に
は、2種類以上の蛍光物質を、それぞれ、蒸着して形成
した2以上の蒸着層を積層して、蛍光変換層を形成する
ことができる。2種類以上の蛍光物質を共蒸着して、蛍
光変換層を形成する場合には、それぞれの添加量を正確
に制御することが必要不可欠で、操作が煩雑であるが、
2種類以上の蛍光物質を、それぞれ、蒸着して形成した
2以上の蒸着層を積層して、蛍光変換層を形成する場合
には、簡易に、所望の波長変換特性を有する蛍光変換層
を形成することが可能になるだけでなく、それぞれの蛍
光物質の蒸気圧が大きく異なっていても、所望の波長変
換特性を有する蛍光変換層を形成することが可能にな
る。
【0077】また、本発明において、2種類以上の蛍光
物質を、それぞれ、蒸着して形成した2以上の蒸着層を
積層して、蛍光変換層を形成する場合、各蒸着層を、2
種類以上の蛍光物質を共蒸着して形成することもでき
る。
【0078】本発明において、蛍光物質を蒸着する条件
は、とくに限定されるものではないが、1×10−4
スカル以下で、蒸着速度を0.01ないし1nm/秒程
度とすることが好ましい。
【0079】本発明にかかる有機EL素子は、少なくと
も一方が透明な2つの電極の間に、少なくとも一層の有
機発光層を備え、有機発光層は、少なくとも発光機能に
関与する1種または2種の化合物を含んでいる。
【0080】本発明にかかる有機EL素子において、少
なくとも一層の有機発光層から発せられる光の波長はと
くに限定されるものではないが、好ましくは、少なくと
も一層の有機発光層が、少なくとも380ないし780
nmの連続した発光スペクトルを有する白色発光を発す
るように構成されている。
【0081】本発明において、少なくとも一層の有機発
光層が、430nmないし650nm以下の連続した発
光スペクトルを有する白色発光を発するように構成され
ていると、とくに好ましい。
【0082】本発明において、有機発光層は、ホール輸
送性化合物もしくは電子輸送性化合物またはこれらの混
合物であるホスト物質を含み、ホール(正孔)および電
子の注入機能、ホールおよび電子の輸送機能ならびにホ
ールおよび電子の再結合により、励起子を生成させる機
能を有しており、電子的に比較的ニュートラルな化合物
を含んでいることが好ましい。
【0083】有機発光層のホスト物質として用いられる
ホール輸送性化合物としては、トリアゾール誘導体、オ
キサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリ
ールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘
導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導
体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、
スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒ
ドラゾン誘導体、スチルベン誘導体が挙げられ、さら
に、トリフェニルジアミン誘導体が好ましく使用でき
る。
【0084】トリフェニルジアミン誘導体の例として
は、テトラアリールベンジシン化合物(トリアリールジ
アミンないしトリフェニルジアミン:TPD)がとくに
好ましい。
【0085】テトラアリールベンジシン化合物(TD
P)の好ましい具体例は、以下のとおりである。
【0086】
【化2】
【0087】
【化3】
【0088】
【化4】
【0089】有機発光層のホスト物質として用いられる
電子輸送性化合物としては、キノリン誘導体が好ましく
使用することができ、さらには、8−キノリノールない
しその誘導体を配位子とする金属錯体、とくに、下式の
構造を有するトリス(8−キノリナト)アルミニウム
(Alq3)が好ましく使用される。また、フェニルア
ントラセン誘導体やテトラアリールエテン誘導体も、電
子輸送性化合物として使用することができる。
【0090】
【化5】 本発明において、有機発光層は、ホール輸送性化合物も
しくは電子輸送性化合物またはこれらの混合物であるホ
スト物質に、蛍光物質であるドーパントがドープされた
構造を有していることが好ましい。
【0091】また、本発明にかかる有機EL素子は、好
ましくは、互いに積層された2層の有機発光層を備えて
いる。2層の有機発光層を形成する場合には、それぞれ
に、異なった発光波長を有する蛍光物質をドーピングす
ることによって、広い発光波長帯域を確保し、また、発
光色の色彩の自由度を向上させることができる。
【0092】本発明において、ドーパントとして含有さ
せる蛍光物質としては、たとえば、特開昭63−264
692号公報に開示された化合物、具体的には、ルブレ
ン系化合物、クマリン系化合物、キナクリドン系化合
物、ジシアノメチルピラン系化合物などの化合物よりな
る群から選ばれる1種以上の化合物が好ましく使用でき
る。
【0093】本発明に好ましく使用できる蛍光物質の例
を挙げると、以下のとおりである。
【0094】
【化6】
【0095】
【化7】
【0096】
【化8】
【0097】
【化9】
【0098】さらに、本発明においては、特開2000
−26334号公報および特開2000−26337号
公報に記載されているナフタセン系化合物も、ドーパン
トとして含有させる蛍光物質として、好ましく使用する
ことができ、ルブレン系化合物、クマリン系化合物、キ
ナクリドン系化合物、ジシアノメチルピラン系化合物な
どと併用することによって、有機EL素子の寿命を飛躍
的に向上させることができる。
【0099】本発明において、ドーパントとして含有さ
せる蛍光物質として、好ましく使用することのできるナ
フタセン系化合物は、式(I)で示される基本骨格を有
している。
【0100】
【化10】
【0101】式(I)において、RないしRは、そ
れぞれ、非置換または置換基を有するアルキル基、アリ
ール基、アミノ基、複素環基およびアルケニル基のいず
れかを表わし、アリール基、アミノ基、複素環基および
アルケニル基のいずれかであることが好ましくい。
【0102】RないしRで表わされるアリール基と
しては、単環でも、多環でもよく、縮合環や環集合のも
のも含んでいる。総炭素数は、6ないし30であること
が好ましく、置換基を有していてもよい。
【0103】RないしRで表わされるアリール基と
しては、フェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、
ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基、(1−、お
よび2−)ナフチル基、アントリル基、(o−,m−,
p−)ビフェニリル基、ターフェニル基、フェナントリ
ル基などが好ましい。
【0104】RないしRで表わされるアミノ基とし
ては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキ
ルアミノ基などのいずれであってもよい。これらは、総
炭素数1ないし6の脂肪族および/または1なし4環の
芳香族炭素環を有していることが好ましい。具体的に
は,ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルア
ミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ビス
ジフェニルアミノ基、ビスナフチルアミノ基などが含ま
れる。
【0105】RないしRで表わされる複素環基とし
ては、ヘテロ原子として、O、N、Sを含有する5員環
または6員環の芳香族複素環基、炭素数2ないし20の
縮合多環芳香族複素環基などが挙げられる。
【0106】RないしRで表わされるアルケニル基
としては、少なくとも置換基の1つにフェニル基を有す
る(1−および2−)フェニルアルケニル基、(1,2
−および2,2−)ジフェニルアルケニル基、(1,
2,2−)トリフェニルアルケニル基などが好ましい
が、非置換のものであってもよい。
【0107】芳香族複素環基および縮合多環芳香族複素
環基としては、たとえば、チエニル基、フリル基、ピロ
リル基、ピリジン基、キノリル基、キノキサリルなどが
挙げられる。
【0108】RないしRが置換基を有する場合、こ
れらの置換基のうちの少なくとも2つがアリール基、ア
ミノ基、複素環基、アルケニル基およびアリーロキシ基
のいずれかであることが好ましい。アリール基、アミノ
基、複素環基およびアルケニル基については、Rない
しRと同様のものが使用できる。
【0109】RないしRの置換基となるアリーロキ
シ基としては、総炭素数6ないし18のアリール基を有
するものが好ましく、具体的には、(o−,m−,p
−)フェノキシ基などが挙げられる。
【0110】これらの置換基の2種以上が、縮合環を形
成し、あるいは、さらに、置換されていてもよい。置換
されている場合、好ましい置換基は、前記置換基を同様
である。
【0111】RないしRが置換基を有する場合に
は、少なくとも、その2種以上が前記置換基を有してい
ることが好ましい。その置換位置は、とくに限定される
ものではなく,メタ、パラ、オルト位のいずれであって
もよい。また、RとR、R とRは、それぞれ同
じものであることが好ましいが、互いに異なるものであ
ってもよい。
【0112】式(I)において、RないしRのう
ち、少なくとも5種以上、好ましくは6種以上が、非置
換または置換基を有するアルキル基、アリール基、アミ
ノ基、アルケニル基または複素環基である。
【0113】R、R、RおよびRで表わされる
アルキル基としては、炭素数が1ないし6のものが好ま
しいが、直鎖状であっても、分岐を有していてもよい。
、R、RおよびRで表わされるアルキル基の
好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、(n,
i)プロピル基、(n,i,sec,tert)−ブチ
ル基、(n,i,neo,tert)−ペンチル基など
が挙げられる。
【0114】R、R、RおよびRで表わされる
アリール基、アミノ基およびアルケニル基としては、R
ないしRと同様のものが使用できる。また、R
、RとRは、それぞれ同じものであることが好
ましいが、互いに異なるものであってもよい。
【0115】本発明において、ドーパントとして含有さ
せる蛍光物質として、好ましく使用することのできる化
合物には、たとえば、次のものが挙げられる。
【0116】
【化11】
【0117】
【化12】
【0118】二層の有機発光層を設ける場合、各有機発
光層が、2種以上のこれらの蛍光物質を含み、2種以上
の蛍光物質が、異なった発光波長を有していることが好
ましい。
【0119】本発明において、有機発光層におけるドー
パントの含有量は、0.01ないし20重量%であるこ
とが好ましく、さらに好ましくは,0.1ないし15重
量%である。
【0120】本発明において、有機発光層の厚さはとく
に限定されるものではなく、その好ましい厚さは、形成
方法によっても異なるが、通常、5ないし500nm、
さらに好ましくは、10ないし300nmである。
【0121】本発明において、二層以上の有機発光層を
形成する場合、各有機発光層の厚さは、分子層一層分に
相当する厚さから、有機発光層全体の厚さ未満の範囲に
あり、具体的には、1ないし85nm、好ましくは5な
いし60nm、さらに好ましくは5ないし50nmであ
る。
【0122】本発明において、好ましくは、有機発光層
は蒸着によって形成される。
【0123】本発明において、有機発光層を、蒸着によ
って形成する条件は、とくに限定されるものではない
が、1×10−4パスカル以下で、蒸着速度を0.01
ないし1nm/秒程度とすることが好ましい。
【0124】本発明において、好ましくは、有機発光層
は、ホール輸送性化合物と電子注入輸送性化合物の混合
物を含んでいる。
【0125】有機発光層が、ホール輸送性化合物と電子
注入輸送性化合物の混合物を含んでいる場合には,キャ
リアのホッピング伝導パスが形成されるため、各キャリ
アは極性的に優勢な物質中を移動し、逆の極性のキャリ
ア注入が起こり難くなり、したがって、有機発光層に含
まれた化合物がダメージを受けることが防止されるの
で、素子の寿命を向上させることができるという利点が
ある。
【0126】さらに、蛍光物質からなるドーパントを、
ホール輸送性化合物および電子注入輸送性化合物の混合
物を含んだ有機発光層に含有させることによって、有機
発光層自体が有する発光波長特性を変化させることがで
き,発光波長を長波長側に移行させるとともに、発光強
度を向上させ、さらには、有機EL素子の安定性を向上
させることが可能になる。
【0127】有機発光層が、ホール輸送性化合物および
電子注入輸送性化合物の混合物を含んでいる場合、ホー
ル輸送性化合物と電子注入輸送性化合物の混合比は、そ
れぞれのキャリア移動度とキャリア濃度にしたがって決
定されるが、一般的には、重量比で、1/99ないし9
9/1、好ましくは、10/90ないし90/10、さ
らに好ましくは、20/80ないし80/20、最も好
ましくは、40/60ないし60/40が選ばれる。
【0128】ホール輸送性化合物および電子注入輸送性
化合物の混合物を含む有機発光層を形成する場合には、
ホール輸送性化合物と電子注入輸送性化合物を、異なる
蒸着源に入れて、蒸発させ、共蒸着することが好ましい
が、ホール輸送性化合物と電子注入輸送性化合物の蒸気
圧が同程度あるいは非常に近い場合には、あらかじめ同
じ蒸着源内で混合させておき、蒸着することもできる。
【0129】ホール輸送性化合物および電子注入輸送性
化合物の混合物を含む有機発光層を形成する場合、有機
発光層内で、ホール輸送性化合物と電子注入輸送性化合
物とが均一に混合していることが好ましいが、均一に混
合していることは必ずしも必要でない。
【0130】本発明において、有機EL素子は、好まし
くは、少なくとも一層の有機発光層に加えて、ホール注
入電極からのホールの注入を容易にする機能、ホールを
安定的に輸送する機能および電子の輸送を妨げる機能を
有するホール注入輸送層、ならびに、電子注入電極から
の電子の注入を容易にする機能、電子を安定的に輸送す
る機能およびホールの輸送を妨げる機能を有する電子注
入輸送層を備えている。これらの層を備えることによっ
て、有機発光層に注入されるホールや電子を増大させる
とともに、有機発光層内に閉じ込めさせ、再結合領域を
最適化させ、発光効率を向上させることが可能になる。
【0131】本発明において、さらに好ましくは、有機
EL素子は、ホール注入電極、ホール注入電極からのホ
ールの注入を容易にする機能を有するホール注入層、ホ
ールを安定的に輸送するとともに、電子の輸送を妨げる
機能を有するホール輸送層、二層の有機発光層、電子を
安定的に輸送するとともにホールの輸送を妨げる機能を
有する電子輸送層、電子注入電極からの電子の注入を容
易にする機能を有する電子注入層および電子注入電極を
備えている。
【0132】本発明において、ホール注入輸送層、ホー
ル注入層およびホール輸送層に、好ましく使用すること
ができる化合物としては、例えば、テトラアリールベン
ジシン化合物(トリアリールジアミンないしトリフェニ
ルジアミン:TPD)、芳香族三級アミン、ヒドラゾン
誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イ
ミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール
誘導体、ポリチオフェンなどを挙げることができる。こ
れらのうち、テトラアリールベンジシン化合物(トリア
リールジアミンないしトリフェニルジアミン:TP
D)、WO/98/30071号に記載されているトリ
アリールアミン多量体(ATP)が、とくに好ましく使
用することができる。
【0133】トリアリールアミン多量体(ATP)の好
ましい具体例は、以下のとおりである。
【0134】
【化13】
【0135】
【化14】
【0136】
【化15】
【0137】本発明において、さらには、特開昭63−
295695号公報、特開平2−191694号公報、
特開平3−792号公報、特開平5−234681号公
報、特開平5−239455号公報、特開平5−299
174号公報、特開平7−126225号公報、特開平
7−126226号公報、特開平8−100172号公
報、EP0650955A1などに記載されている各種
有機化合物も、ホール注入輸送層、ホール注入層および
ホール輸送層に使用することができる。
【0138】本発明において、2種以上のこれらの化合
物を併用してもよく、2種以上のこれらの化合物を併用
する場合には、一層中に混合しても、また、2以上の層
として、積層してもよい。
【0139】ホール注入輸送層を分割して、ホール注入
層およびホール輸送層を設ける場合には、前記化合物の
中から、好ましい組み合わせを選択して、使用すること
ができる。このとき、ITOなどのホール注入電極側か
ら、イオン化ポテンシャルの小さい化合物の層の順に、
積層することが好ましい。また、ホール注入電極表面に
は、薄膜性の良好な化合物の層を形成することが好まし
い。とくに、前記ATPをホール注入層に用い、前記T
PDをホール輸送層に用いると、好ましい。前記ATP
をホール注入層に用い、前記TPDをホール輸送層に用
いることによって、駆動電圧が低下し、電流リークの発
生やダークスポットの発生および成長を防止することが
できる。
【0140】本発明において、ホール注入輸送層、ホー
ル注入層およびホール輸送層は、前記化合物を蒸着する
ことによって形成することができる。蒸着によって、素
子化する場合には、均一で、ピンホールのない1ないし
10nm程度の薄膜を形成することができるため、ホー
ル注入層にイオン化ポテンシャルが小さく、可視波長の
光を吸収する化合物を用いても、発光色の色調変化や再
吸収による発光効率の低下を防止することができる。
【0141】本発明において、電子注入輸送層を、電子
注入層と電子輸送層とに分割することもでき、電子注入
輸送層、電子注入層および電子輸送層に、好ましく使用
することができる化合物としては、たとえば、トリス
(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)などの
8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする有機
金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、
ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導
体などを挙げることができる。
【0142】本発明において、電子注入輸送層、電子注
入層および電子輸送層は、前記化合物を蒸着することに
よって形成することができる。
【0143】本発明において、有機発光層、ホール注入
輸送層あるいはホール注入層およびホール輸送層、なら
びに、電子注入輸送層あるいは電子注入層および電子輸
送層の各層を、蒸着によって形成する条件はとくに限定
されるものではないが、1×10−4パスカル以下で、
蒸着速度を0.01ないし1nm/秒程度とすることが
好ましい。各層は、1×10−4パスカル以下の減圧下
で、連続して、形成されることが好ましい。1×10
−4パスカル以下の減圧下で、連続して、各層を形成す
ることによって、各層の界面に不純物が吸着されること
を防止することができるから、高特性の有機EL素子を
得ることが可能になるとともに、有機EL素子の駆動電
圧を低下させ、ダークスポットが発生し、成長すること
を抑制することができる。
【0144】本発明において、有機発光層、ホール注入
輸送層、ホール注入層、ホール輸送層、電子注入輸送
層、電子注入層あるいは電子輸送層に、2種以上の化合
物を含有させる場合には、化合物を入れた各ボートを個
別に温度制御して、共蒸着によって、有機発光層、ホー
ル注入輸送層、ホール注入層、ホール輸送層、電子注入
輸送層、電子注入層あるいは電子輸送層を形成すること
が好ましい。
【0145】本発明において、前記ホール注入輸送層ま
たは前記ホール注入層および前記ホール輸送層に代え
て、あるいは、これらに加えて、ホールの導通パスを備
え、電子をブロックする機能を有する高抵抗の無機ホー
ル注入輸送層を設けることもできる。
【0146】このように、ホールの導通パスを備え、電
子をブロックする機能を有する高抵抗の無機ホール注入
輸送層を設けることによって、有機発光層にホールを効
率よく注入することができ、発光効率を向上させること
が可能となるとともに、駆動電圧を低下させることが可
能になる。さらには、ホールの導通パスを備え、電子を
ブロックする機能を有する高抵抗の無機ホール注入輸送
層を設けることによって、有機ELディスプレイパネル
および有機EL素子の厚さを減少させることができ、蒸
着によって、カラーフィルター層ないしカラーフィルタ
ーを形成することによって薄層化された有機ELディス
プレイパネルおよび有機EL素子をより一層薄層化する
ことが可能となる。
【0147】本発明において、無機ホール注入輸送層の
主成分として、シリコンやゲルマニウムなどの金属ある
いは半金属の酸化物を用い、これに、仕事関数が4.5
eV以上、好ましくは、4.5ないし6.0eVの金
属、半金属およびこれらの酸化物、炭化物、窒化物、ケ
イ化物、硼化物のいずれか1種以上を含有させて、ホー
ルの導通パスを形成すると、ホール注入電極から有機発
光層へ、ホールを効率よく注入することができるだけで
なく、有機発光層からホール注入電極への電子の移動を
抑制して、有機発光層において、ホールと電子とを効率
よく再結合させることができ、好ましい。
【0148】高抵抗の無機ホール注入輸送層を設ける場
合には、従来の有機のホール注入輸送層や、有機のホー
ル注入層、有機のホール輸送層を有する有機EL素子に
比して、同等か、それ以上の輝度を得ることができ、し
かも、耐熱性、耐候性が高いので、寿命が長く、無機材
料であるホール注入電極との接続性も良好になり、その
ため、リークやダークスポットの発生も少ないという利
点がある。さらには、比較的高価な有機物質とは異な
り、無機ホール注入輸送層を形成するための無機物質
は、安価で、入手がしやすく、無機ホール注入輸送層の
形成も容易であるので、有機EL素子ないし有機ELデ
ィスプレイパネルの製造コストを低減させることができ
る。
【0149】高抵抗の無機ホール注入輸送層の抵抗率
は、1Ω・cmないし1×1011Ω・cmであること
が好ましく、1×10Ω・cmないし1×10Ω・
cmであることが、とくに好ましい。無機ホール注入輸
送層の抵抗率をかかる範囲に設定することによって、高
い電子ブロック性を維持しつつ、ホール注入効率を飛躍
的に向上させることが可能になる。高抵抗の無機ホール
注入輸送層の抵抗率は、シート抵抗と膜厚からも求める
ことができる。
【0150】高抵抗の無機ホール注入輸送層は、シリコ
ンとゲルマニウムの酸化物(Si −xGe)O
主成分とすることが好ましく、ここに、xは0ないし
1、yは1.7ないし2.2、好ましくは、1.7ない
し1.99である。無機ホール注入輸送層の主成分は、
酸化シリコン(すなわち、xが0.5以下)でも、酸化
ゲルマニウム(すなわち、xが0.5を越えている)で
もよく、それらの混合薄膜であってもよい。yが、この
範囲より大きくても、小さくても、ホール注入機能が低
下し、好ましくない。組成は、たとえば、ラザフォード
後方散乱、化学分析などによって調べることができる。
【0151】無機ホール注入輸送層は、さらに、仕事関
数が4.5eV以上、好ましくは、4.5ないし6.0
eVの金属、半金属およびこれらの酸化物、炭化物、窒
化物、ケイ化物、硼化物のいずれか1種以上を含有して
いることが好ましい。仕事関数が4.5eV以上、好ま
しくは、4.5ないし6.0eVの金属、半金属として
は、Au、Cu、Fe、Ni、Ru、Sn、Cr、I
r、Nb、Pt、Mo、W、Ta、Pd、Coを挙げる
ことができる。これらの金属、半金属およびこれらの酸
化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硼化物は混合して用
いることができ、その場合の混合比は任意である。これ
らの含有量は、好ましくは、0.2ないし40モル%、
より好ましくは、1ないし20モル%である。これらの
含有量が、0.2モル%よりも少ないと、ホール注入機
能が低下し、一方、40モル%よりも多いと、電子ブロ
ック機能が低下し、好ましくない。これらを2種以上併
用する場合には、合計の含有量がかかる範囲内にあるこ
とが好ましい。
【0152】前記金属、半金属およびこれらの酸化物、
炭化物、窒化物、ケイ化物、硼化物は、通常、高抵抗の
無機ホール注入輸送層中に、分散状態で、含有されてい
る。分散粒子の粒径は、通常、1ないし5nm程度であ
る。これらの導体である分散粒子間に、主成分である高
抵抗のシリコンとゲルマニウムの酸化物を介して、ホー
ルを輸送するためのホッピングパスが形成されるものと
考えられる。
【0153】高抵抗の無機ホール注入輸送層は、さら
に、不純物として、Hや、スパッタガスとして用いるN
e、Ar、Kr、Xeなどを、合計5分子%以下含有し
ていてもよい。
【0154】高抵抗の無機ホール注入輸送層の組成は均
一でなくてもよく、平均として、かかる組成を有してい
れば、膜厚方向に濃度勾配を有していてもよい。
【0155】高抵抗の無機ホール注入輸送層は、通常、
非晶質状態である。
【0156】高抵抗の無機ホール注入輸送層は、0.3
ないし100nmの膜厚を有していることが好ましく、
より好ましくは、1ないし100nmであり、5ないし
30nmの膜厚を有していると、とくに好ましい。高抵
抗の無機ホール注入輸送層の膜厚が、0.3nm未満で
も、100nmを越えていても、ホール注入の機能が十
分に発揮されなくなる。
【0157】高抵抗の無機ホール注入輸送層は、スパッ
タリング、蒸着など、各種の物理的あるいは化学的な薄
膜形成方法によって、形成することができるが、スパッ
タリング法によって形成することが好ましい。とくに、
主成分であるシリコンとゲルマニウムの酸化物と、仕事
関数が4.5eV以上の金属、半金属およびこれらの酸
化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硼化物のいずれか1
種以上を、ターゲットとして、別個にスパッタリングす
る多元スパッタリング法によって、無機ホール注入輸送
層を形成することが好ましい。多元スパッタリング法に
よれば、それぞれのターゲットに適した条件で、スパッ
タリングすることができる。また、主成分のターゲット
上に、金属、半金属およびこれらの酸化物、炭化物、窒
化物、ケイ化物、硼化物のいずれか1種以上の小片を配
置し、これらの面積比を適当に調整することによって、
組成を調整すれば、一元スパッタリング法によって、無
機ホール注入輸送層を形成することもできる。
【0158】無機ホール注入輸送層をスパッタリング法
によって形成する場合、スパッタガスの圧力は、0.1
ないし1パスカルの範囲に設定することが好ましい。ス
パッタガスとしては、スパッタリングに、通常、用いら
れる不活性ガス、たとえば、Ar、Ne、Xe、Krな
どを使用することができ、必要に応じて、窒素ガスを用
いることもできる。スパッタリング時において、これら
のスパッタガスに加えて、1ないし99%の酸素ガスを
混合するようにしてもよい。
【0159】スパッタリング法としては、RF電源を用
いた高周波スパッタリング法や、DCスパッタリング法
を使用することができ、RF電源を用いた高周波スパッ
タリングの電力は0.1ないし10W/平方センチメー
トルの範囲が好ましく、成膜速度は0.5ないし10n
m/分、とくに、1ないし5nmの範囲が好ましい。
【0160】成膜時の基板温度は、25ないし150℃
程度である。
【0161】本発明において、前記電子注入輸送層また
は前記電子注入層および前記電子輸送層に代えて、ある
いは、これらに加えて、電子の導通パスを備え、ホール
をブロックする機能を有する高抵抗の無機電子注入輸送
層を設けることもできる。
【0162】このように、電子の導通パスを備え、ホー
ルをブロックする機能を有する高抵抗の無機電子注入輸
送層を、有機発光層と電子注入電極との間に、設けるこ
とによって、有機発光層に電子を効率よく注入すること
ができ、発光効率を向上させることが可能となるととも
に、駆動電圧を低下させることが可能になる。さらに
は、電子の導通パスを備え、ホールをブロックする機能
を有する高抵抗の無機電子注入輸送層を設けることによ
って、有機ELディスプレイパネルおよび有機EL素子
の厚さを減少させることができ、蒸着によって、カラー
フィルター層ないしカラーフィルターを形成することに
よって薄層化された有機ELディスプレイパネルおよび
有機EL素子をより一層薄層化することが可能となる。
【0163】高抵抗の無機電子注入輸送層は、好ましく
は、第一成分として、仕事関数が4eV以下、好ましく
は、1eVないし4eVであって、Li、Na、K、R
b、CsおよびFrよりなる群から選ばれる1種以上の
アルカリ金属元素、または、Mg、CaおよびSrより
なる群から選ばれる1種以上のアルカリ金属土類元素、
または、LaおよびCeよりなる群から選ばれる1種以
上のランタノイド系元素の酸化物を含有している。これ
らの中では、とくに、酸化リチウム、酸化マグネシウ
ム、酸化カルシウム、酸化セリウムが好ましい。これら
の元素を混合して用いる場合、混合比は任意に決定する
ことができる。これらの元素を混合して用いる場合、混
合物中に、酸化リチウムが、LiO換算で、50モル
%以上が含有されていることが好ましい。
【0164】高抵抗の無機電子注入輸送層は、さらに、
第二成分として、Zn、Sn、V、Ru、SmおよびI
nよりなる群から選ばれる1種以上の元素を含有してい
る。第二成分の含有量は、好ましくは、0.2ないし4
0モル%、より好ましくは、1ないし20モル%であ
る。第二成分の含有量が、0.2モル%より少ないと、
電子注入機能が低下し、他方、40モル%を越えると、
ホールブロック機能が低下し、好ましくない。第二成分
として、2種以上の元素を併用する場合、合計の含有量
がかかる範囲内にあることが好ましい。第二成分は、金
属の状態で存在しても、酸化物の状態で存在してもよ
い。
【0165】このように、高抵抗である第一成分中に、
第二成分として、Zn、Sn、V、Ru、SmおよびI
nよりなる群から選ばれる1種以上の元素を、0.2な
いし40モル%含有させて、導電パスを形成することに
より、電子注入電極から有機発光層に、効率よく、電子
を注入することができる。これは、第一成分中に、第二
成分を含有させることによって、絶縁物質中に、導電物
質が島状に存在することになり、電子注入のためのホッ
ピングパスが形成されるためと考えられる。
【0166】第一成分中に、第二成分を、0.2ないし
40モル%含有させることにより、さらに、有機発光層
から電子注入電極へのホールの移動を抑制することが可
能になり、有機発光層において、ホールと電子とを効率
よく再結合させることができる。
【0167】高抵抗の無機電子注入輸送層を設ける場合
には、従来の有機の電子注入輸送層や、有機の電子注入
層、有機の電子輸送層を有する有機EL素子に比して、
同等か、それ以上の輝度を得ることができ、しかも、耐
熱性、耐候性が高いので、寿命が長く、無機材料である
電子注入電極との接続性も良好になり、そのため、リー
クやダークスポットの発生も少ないという利点がある。
さらには、比較的高価な有機物質とは異なり、無機電気
注入輸送層を形成するための無機物質は、安価で、入手
がしやすく、無機電子注入輸送層の形成も容易であるの
で、有機EL素子ないし有機ELディスプレイパネルの
製造コストを低減させることができる。
【0168】高抵抗の無機電子注入輸送層の抵抗率は、
1Ω・cmないし1×1011Ω・cmであることが好
ましく、1×10Ω・cmないし1×10Ω・cm
であることが、とくに好ましい。無機電子注入輸送層の
抵抗率をかかる範囲に設定することによって、高いホー
ルブロック性を維持しつつ、電子注入効率を飛躍的に向
上させることが可能になる。この場合、シート抵抗は4
端子法などによって測定することができる。
【0169】第一成分の酸化物は、通常、化学量論組成
(stoichiometric composition)であるが、これか
ら、多少偏倚して、非化学量論組成(non‐stoichiomet
ry)となっていてもよい。第二成分の酸化物も同様であ
る。
【0170】高抵抗の無機電子注入輸送層は、さらに、
不純物として、Hや、スパッタガスとして用いるNe、
Ar、Kr、Xeなどを、合計5分子%以下含有してい
てもよい。
【0171】高抵抗の無機電子注入輸送層は、通常、非
晶質状態である。
【0172】高抵抗の無機電子注入輸送層は、0.2な
いし30nmの膜厚を有していることが好ましく、0.
2ないし20の膜厚を有していると、とくに好ましい。
高抵抗の無機電子注入輸送層の膜厚が、0.2nm未満
でも、30nmを越えていても、電子注入の機能が十分
に発揮されなくなる。
【0173】高抵抗の無機電子注入輸送層は、スパッタ
リング、蒸着など、各種の物理的あるいは化学的な薄膜
形成方法によって、形成することができるが、スパッタ
リング法によって形成することが好ましい。とくに、第
一成分と第二成分を、ターゲットとして、別個にスパッ
タリングする多元スパッタリング法によって、無機電子
注入輸送層を形成することが好ましい。多元スパッタリ
ング法によれば、それぞれのターゲットに適した条件
で、スパッタリングすることができる。また、大地成分
と第二成分の混合ターゲットを用いて、一元スパッタリ
ング法によって、無機電子注入輸送層を形成することも
できる。
【0174】無機電子注入輸送層をスパッタリング法に
よって形成する場合、スパッタガスの圧力は、0.1な
いし1パスカルの範囲に設定することが好ましい。スパ
ッタガスとしては、スパッタリング法に、通常、用いら
れる不活性ガス、たとえば、Ar、Ne、Xe、Krな
どを使用することができ、必要に応じて、窒素ガスを用
いることもできる。スパッタリング時において、これら
のスパッタガスに加えて、1ないし99%の酸素ガスを
混合するようにしてもよい。
【0175】スパッタリング法としては、RF電源を用
いた高周波スパッタリング法や、DCスパッタリング法
を使用することができ、RF電源を用いた高周波スパッ
タリングの電力は0.1ないし10W/平方センチメー
トルの範囲が好ましく、成膜速度は0.5ないし10n
m/分、とくに、1ないし5nmの範囲が好ましい。
【0176】成膜時の基板温度は、25ないし150℃
程度である。
【0177】本発明において、ホール注入電極は、ホー
ル注入輸送層あるいはホール注入層に、ホールを効率よ
く、注入することのできる材料によって形成されること
が好ましく、仕事関数が4.5ないし5.5eVの材料
によって形成されることが好ましい。ホール注入電極を
形成するために、好ましく使用できる材料としては、た
とえば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドー
プ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In
)、酸化錫(SnO)および酸化亜鉛(ZnO)
のいずれかを主成分とした酸化物が挙げられる。これら
の酸化物は、その化学量論組成から、多少偏倚した組成
を有していてもよい。錫ドープ酸化インジウム(IT
O)における酸化インジウムに対する酸化錫の混合比は
1ないし20重量%が好ましく、さらに好ましくは、5
ないし12重量%である。また、亜鉛ドープ酸化インジ
ウム(IZO)における酸化インジウムに対する酸化亜
鉛の混合比は、通常、12ないし32重量%である。
【0178】本発明において、ホール注入電極は、仕事
関数を調整するため、酸化シリコン(SiO)を含ん
でいてもよい。酸化シリコン(SiO)の含有量は、
錫ドープ酸化インジウム(ITO)に対するモル比で、
0.5なしし10%であることが好ましい。酸化シリコ
ンを含有させることによって、錫ドープ酸化インジウム
(ITO)を増大させることができる。
【0179】本発明において、有機発光層から発せられ
た光を取り出す側の電極は、通常、400ないし700
nmの発光波長帯域の光、とくに、各発光光に対する光
透過率が50%以上であることが好ましくは、さらに好
ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上の光透
過率を有している。光透過率がこれ以下の場合には、発
光素子として必要な輝度を得ることができない。
【0180】本発明において、有機発光層から発せられ
た光を取り出す側の電極の厚さは、50ないし500n
mであることが好ましく、50ないし300nmであれ
ば、さらに好ましい。厚すぎると、光透過率が低下し、
また、剥離のおそれが生じ、好ましくない。一方、薄す
ぎると、強度が低下し、好ましくない。
【0181】本発明において、電子注入電極は、電子注
入輸送層あるいは電子注入層に、電子を効率よく、注入
することのできる材料によって形成されることが好まし
い。
【0182】有機材料によって、電子注入輸送層あるい
は電子注入層が形成されている場合には、電子注入電極
を形成するために、好ましく使用できる材料としては、
たとえば、K、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、
Sr、Ba、Sn、Zn、Zrなどの金属元素単体、ま
たは、安定性を向上させるために、これらの金属元素を
含む二成分もしくは三成分の合金を挙げることができ
る。これらの金属元素を含む二成分もしくは三成分の合
金の具体例としては、Ag・Mg(Ag:0.1ないし
50原子%)、Al・Li(Li:0.01ないし14
原子%)、In・Mg(Mg:50ないし80原子
%)、Al・Ca(Ca:0.01ないし20原子%)
を挙げることができる。
【0183】本発明において、電子注入電極の厚さは、
0.1nm以上であることが好ましく、さらに好ましく
は0.5nm以上、最も好ましくは1nm以上である。
電子注入電極の厚さの上限値はとくに限定されないが、
通常は、1ないし500nm程度である。
【0184】これに対して、無機材料によって、無機電
子注入輸送層が形成されている場合には、低仕事関数
で、電子注入性を有している必要がないので、電子注入
電極を形成するための材料はとくに限定されるものでは
なく、通常の金属を用いることができる。金属の中で
は、Al、Ag、In、Ti、Cu、Au、Mo、W、
Pt、PdおよびNiよりなる群、とくに、Alおよび
Agよりなる群から選ばれる1種または2種以上の金属
元素が、導電率や取り扱いやすさの観点から、好ましく
使用することができる。
【0185】さらに、有機発光層や電極の劣化を防止す
るために、有機EL素子を、封止板などによって封止す
ることが好ましい。封止板は、湿気の侵入を防ぐため
に、接着性樹脂層を用いて、有機EL素子に接着され、
有機EL素子が封止される。封止ガスとしては、Ar、
He、Nなどの不活性なガスが好ましい。封止ガスの
水分含有量は、100ppm以下が好ましく、さらに好
ましく、は10ppm以下、最も好ましくは、1ppm
以下である。封止ガスの水分含有量の下限値はとくに限
定されるものではないが、通常、0.1ppm程度であ
る。
【0186】封止板は、平板状であることが好ましく、
好ましい材料としては、ガラスや、石英、樹脂などの透
明または半透明材料が挙げられるが、これらのうち、ガ
ラスと樹脂がとくに好ましく使用される。ガラスとして
は、コスト面から、アルカリガラスが好ましく使用さ
れ、とくに、表面処理が施されていないソーダガラスが
安価であり、好ましい。樹脂としては、基板と同様な材
料を好ましく使用することができる。
【0187】封止板は、スペーサーを用いて、所望の高
さに保持することができる。スペーサーとしては、樹脂
ビーズ、シリカビーズ、ガラスビーズ、ガラスファイバ
ーなどが使用可能であるが、これらのうち、ガラスビー
ズがとくに好ましい。
【0188】また、スペーサーを使用しないで、封止板
に凹部を形成することもでき、封止板に凹部を形成した
ときに、スペーサーを使用することもできる。封止板に
凹部を形成した上で、スペーサーを使用するときは、2
ないし8μmのスペーサーを用いることが好ましい。
【0189】封止板を接着する接着剤としては、安定し
た強度を保つことができ、気密性が良好なものであれば
とくに限定されるものではないが、カチオン硬化型の紫
外線硬化型エポキシ樹脂接着剤が好ましく使用される。
【0190】本発明にかかる有機EL素子および有機E
Lディスプレイパネルは、通常、直流駆動型あるいはパ
ルス駆動型の有機EL素子および有機ELディスプレイ
パネルとして用いられるが、交流によって駆動すること
もできる。
【0191】
【実施例】以下において、本発明の効果を、一層明らか
にするため、比較例および実施例を掲げる。
【0192】比較例1 無アルカリガラス基板上に、感光性を有するアクリル樹
脂として、東京応化工業株式会社製の商品名「CFP
R」を塗布し、露光、現像後、オーブンにより、220
℃で、4時間にわたって、焼成した。
【0193】こうして形成されたアクリル樹脂層上に、
プラズマCVD法によって、以下の条件で、シリコン酸
化膜を形成した。
【0194】RF電源電力:0.9ないし1.7W/平
方センチメートル ガス流量:SiH:1〜50cc/秒、 NO:600〜3000cc/秒 ガス圧力:133〜400Pa 成膜温度:150〜200℃ 膜厚:50〜200nm こうして形成されたシリコン酸化膜を超音波で洗浄し
て、パーティクルを除去し、150℃で、1時間にわた
って、焼成して、脱水、乾燥した。
【0195】その後、シリコン酸化膜上に、プラズマC
VD法により、同様にして、シリコン酸化膜を形成し、
超音波で洗浄したところ、膜剥離が発生した。
【0196】比較例2比較例1と同様にして形成したア
クリル樹脂層上に、プラズマCVD法によって、以下の
条件で、シリコン酸化膜を形成した。
【0197】RF電源電力:0.9ないし1.7W/平
方センチメートル ガス流量:テトラエトキシオルソシリケート(TEO
S):30〜100cc/秒、 O:300〜1200cc/秒 ガス圧力:333〜466Pa 成膜温度:150〜200℃ 膜厚:50〜200nm こうして、シリコン酸化膜が形成された基板を超音波で
洗浄して、パーティクルを除去し、150℃で、1時間
にわたって、焼成して、脱水、乾燥した。
【0198】その後、シリコン酸化膜上に、プラズマC
VD法により、同様にして、シリコン酸化膜を形成し、
超音波で洗浄したが、膜剥離は観察されなかった。
【0199】比較例3 比較例1と同様にして形成したアクリル樹脂層上に、プ
ラズマCVD法によって、以下の条件で、シリコン酸窒
化膜を形成した。
【0200】RF電源電力:0.9ないし1.7W/平
方センチメートル ガス流量:テトラエトキシオルソシリケート:30〜1
00cc/秒、 N:300〜1200cc/秒 ガス圧力:333〜466Pa 成膜温度:150〜200℃ 膜厚:50〜200nm こうして、シリコン酸窒化膜が形成された基板を超音波
で洗浄して、パーティクルを除去し、150℃で、1時
間にわたって、焼成して、脱水、乾燥した。
【0201】その後、シリコン酸窒化膜上に、プラズマ
CVD法により、同様にして、シリコン酸窒化膜を形成
し、超音波で洗浄したが、膜剥離は観察されなかった。
【0202】比較例4 比較例1と同様にして形成したアクリル樹脂層上に、プ
ラズマCVD法によって、以下の条件で、シリコン酸窒
化膜を形成した。
【0203】RF電源電力:0.9ないし1.5W/平
方センチメートル ガス流量:SiH:1〜50cc/秒、 N:2000cc/秒 NO:50〜500cc/秒 ガス圧力:133〜400Pa 成膜温度:150〜200℃ 膜厚:50〜200nm こうして、シリコン酸窒化膜が形成された基板を超音波
で洗浄して、パーティクルを除去し、150℃で、1時
間にわたって、焼成して、脱水、乾燥した。
【0204】その後、シリコン酸窒化膜上に、プラズマ
CVD法により、同様にして、シリコン酸窒化膜を形成
し、超音波で洗浄したが、膜剥離は観察されなかった。
【0205】実施例1 比較例1と同様にして形成したアクリル樹脂層上に、プ
ラズマCVD法によって、以下の条件で、シリコン窒化
膜を形成した。
【0206】RF電源電力:0.9ないし2.5W/平
方センチメートル ガス流量:SiH:30〜100cc/秒、 N:300〜1200cc/秒 ガス圧力:333〜466Pa 成膜温度:150〜200℃ 膜厚:50〜200nm こうして、シリコン窒化膜が形成された基板を超音波で
洗浄して、パーティクルを除去し、150℃で、1時間
にわたって、焼成して、脱水、乾燥した。
【0207】その後、シリコン窒化膜上に、プラズマC
VD法により、同様にして、シリコン窒化膜を形成し、
超音波で洗浄したが、膜剥離は観察されなかった。
【0208】窒化シリコン(SiNx)の組成は、x=
1.3であった。
【0209】実施例2 比較例1と同様にして形成したアクリル樹脂層上に、プ
ラズマCVD法によって、以下の条件で、シリコン窒化
膜を形成した。
【0210】RF電源電力:0.9ないし2.5W/平
方センチメートル ガス流量:SiH:30〜100cc/秒、 N:2000cc/秒 NH:30〜100cc/秒 ガス圧力:333〜466Pa 成膜温度:150〜200℃ 膜厚:50〜200nm こうして、シリコン窒化膜が形成された基板を超音波で
洗浄して、パーティクルを除去し、150℃で、1時間
にわたって、焼成して、脱水、乾燥した。
【0211】その後、シリコン窒化膜上に、プラズマC
VD法により、同様にして、シリコン窒化膜を形成し、
超音波で洗浄したが、膜剥離は観察されなかった。
【0212】窒化シリコン(SiNx)の組成は、x=
1.3であった。
【0213】比較例5 比較例1と同様にして形成したアクリル樹脂層上に、R
Fマグネトロンスパッタと、SiOターゲットを用い
て、RF電源電力2.5W/平方センチメートルで、シ
リコン酸化膜を形成した。成膜条件は以下のとおりであ
った。 ガス流量:Ar:40cc/秒 ガス圧力:0.35Pa 成膜温度:室温 膜厚:60nm こうして、シリコン酸化膜が形成された基板を超音波で
洗浄し、150℃で、1時間にわたり、焼成した後、シ
リコン酸化膜上に、RFマグネトロンスパッタと、Si
ターゲットを用いて、RF電源電力2.5W/平方
センチメートルで、シリコン酸窒化膜を形成した。成膜
条件は以下のとおりであった。
【0214】ガス流量:Ar:40cc/秒、 N:4.75cc/秒 ガス圧力:0.35Pa 成膜温度:室温 膜厚:20nm こうして、シリコン酸化膜およびシリコン酸窒化膜が形
成された基板を超音波で洗浄したが、膜剥離は観察され
なかった。
【0215】実施例3 無アルカリガラス基板上に、フォトレジストとして、日
本ゼオン株式会社製の商品名「ZPP1850」を塗布
し、露光、現像後、オーブンにおいて、180℃で、4
時間にわたって、焼成した。
【0216】こうして形成されたレジスト層上に、プラ
ズマCVD法により、比較例3および4と同様にして、
シリコン酸窒化膜を形成し、比較例3および4と同様
に、超音波で洗浄し、150℃で、1時間にわたり、焼
成した後、再度、シリコン酸窒化膜を成膜して、超音波
で洗浄したが、膜剥離は観察されなかった。
【0217】また、上述のようにして形成されたレジス
ト層上に、プラズマCVD法によって、実施例1と同様
にして、シリコン窒化膜を形成した後、実施例1と同様
にして、超音波で洗浄し、150℃で、1時間にわた
り、焼成した後、再度、シリコン窒化膜を成膜して、超
音波で洗浄したが、膜剥離は観察されなかった。
【0218】一方、上述のようにして形成されたレジス
ト層上に、プラズマCVD法によって、比較例1と同様
にして、シリコン酸化膜を形成した後、比較例1と同様
にして、超音波で洗浄し、150℃で、1時間にわた
り、焼成した後、再度、シリコン酸化膜を成膜して、超
音波で洗浄したところ、膜剥離が発生した。
【0219】比較例1ないし4ならびに実施例1ないし
3から、シリコン窒化膜およびシリコン酸窒化膜の場合
には、アルカリ樹脂層上に形成しても、レジスト層上に
形成しても、膜剥離の発生は認められず、シリコン窒化
膜の場合は、CVD法に代えて、スパッタ法によって、
成膜をしても、膜剥離の発生が認められず、平坦化のた
めの下地有機層との密着性に優れていることが判明し
た。
【0220】一方、シリコン酸化膜の場合には、材料ガ
スとして、テトラエトキシオルソシリケートを用いたと
きには、膜剥離の発生が認められなかったものの、材料
ガスとして、SiHを用いた場合には、シリコン酸化
膜を、アルカリ樹脂層およびレジスト層のいずれに形成
しても、膜剥離が発生し、平坦化のための下地有機層と
の密着性が低いことが判明した。
【0221】実施例4 比較例2、4および5ならびに実施例1およびと同様に
して、アクリル樹脂層上に、保護膜を形成し、632n
mの波長での屈折率を測定した。
【0222】さらに、保護膜が形成された基板を、90
℃以上に加熱した有機膜剥離液(富士フイルムオーリン
株式会社製:「MS−2001」)に、30分にわたっ
て、浸漬し、アクリル樹脂層あるいはレジスト層に生じ
た孔(欠陥)の数によって、膜の欠陥を評価した。
【0223】屈折率の測定結果および膜の欠陥の評価結
果は、表1に示されている。
【0224】
【表1】 表1から、保護膜の屈折率が高くなるほど、欠陥の数は
減少し、保護膜がシリコン窒化膜の場合に、膜質が良好
で、実施例2の屈折率が1.9のシリコン窒化膜は、欠
陥がなく、最も良好な結果が得られたことがわかる。
【0225】この結果、SiOの屈折率は1.45
で、SiNの屈折率は2.00であるので、保護膜の
組成がSiに近づくほど、膜質が向上し、保護機
能が向上することが判明した。
【0226】実施例5 比較例1ならびに実施例1および2と同様にして、アク
リル樹脂層上に、保護膜を形成し、RBS(Ratherford
Backscattering Spectrometry)法により、保護膜の
組成を分析した。
【0227】分析結果は表2に示されている。
【0228】
【表2】 表2に示されるように、比較例1のシリコン酸化膜は
4.2原子%の水素を含有しているに過ぎないのに対
し、実施例1および2のシリコン窒化膜は、それぞれ、
22原子%の水素、29原子%の水素を含有しており、
比較例1のシリコン酸化膜に比して、水素を多量に含ん
でいることがわかった。
【0229】この結果から、実施例1および2のシリコ
ン窒化膜が、下地有機層であるアクリル樹脂層との密着
性が優れているのは、水素を多量に含んでいるため、下
地有機層と水素結合を形成するためと推測することがで
きる。
【0230】実施例3にしたがって形成したレジスト層
上に、比較例1ならびに実施例1および2と同様にし
て、保護膜を形成し、RBS(Ratherford Backscatte
ringSpectrometry)法により、保護膜の組成を分析した
ところ、同様な結果が得られた。
【0231】実施例6 図1ないし図5に示されるようにして、有機EL素子を
作成し、素子寿命を評価した。
【0232】まず、図1に示されるように、無アルカリ
ガラス基板1上に、R、G、B用のカラーフィルター2
(富士フイルムオーリン株式会社製:商品名「CR−7
001」「CB−7001」、「CG−7001」)を
形成した。
【0233】次いで、カラーフィルターの凹凸を緩和す
るため、感光性を有するアクリル樹脂(東京応化工業株
式会社製:商品名「CFPR」)を塗布して、アクリル
樹脂層を形成し、露光、現像後、オーブンにて、220
℃で、4時間にわたって、焼成した。
【0234】このときのアクリル樹脂層3の膜厚は約
1.7μmであった。
【0235】図2に示されるように、こうして、基板上
に形成したアクリル樹脂層3上に、以下の条件で、シリ
コン窒化膜を、50ないし100nmの膜厚に形成し
た。
【0236】RF電源電力:0.9ないし2.5W/平
方センチメートル ガス流量:SiH:30〜100cc/秒、 N:2000cc/秒 NH:30〜100cc/秒 ガス圧力:333〜466Pa 成膜温度:150〜200℃ 膜厚:50〜200nm こうして、シリコン窒化膜が形成された基板を超音波で
洗浄して、パーティクルを除去し、150℃で、1時間
にわたって、焼成して、脱水、乾燥した。
【0237】その後、シリコン窒化膜上に、プラズマC
VD法によって、全く同様にして、50ないし100n
mの膜厚のシリコン窒化膜を形成し、パッシベーション
層4とした。
【0238】図3に示されるように、以上のようにして
形成されたパッシベーション層4上に、O/Arの雰
囲気で、0.4パスカルの減圧下で、スパッタリングに
よって、100nmの膜厚の透明電極(ITO)5を形
成し、フォトリソグラフィーによって、配線を形成し
た。
【0239】次いで、図4に示されるように、透明電極
5のエッジを保護するために、レジストと用いて、エッ
ジカバー6を形成した。
【0240】こうして得られた基板を、UV/Oによ
って、1時間にわたって、処理し、表面の有機成分を除
去した後、図5に示されるように、真空蒸着装置によっ
て、有機発光層7および電極8を形成し、有機EL素子
#1を得た。
【0241】さらに、上述のようにして、基板1上に形
成したアクリル樹脂層3上に、2層のシリコン窒化膜よ
りなるパッシベーション層4に代えて、比較例5と同様
にして、シリコン酸化膜とシリコン酸窒化膜を形成し
て、パッシベーション層4を形成し、上述したのと同様
にして、透明電極5、配線、エッジカバー6、有機発光
層7および電極8を形成し、有機EL素子#2を得た。
【0242】また、カラーフィルター2上に、アクリル
樹脂層3を形成することなく、比較例2と同様にして、
2層のシリコン酸化膜を形成して、パッシベーション層
4を形成し、上述したのと同様にして、透明電極5、配
線、エッジカバー6、有機発光層7および電極8を形成
し、有機EL素子#3を得た。
【0243】こうして得られた有機EL素子#1、#2
および#3を、アルゴンガス雰囲気下で、定電流駆動し
て、ダークスポットの生成、成長を観察するとともに、
電流のリークが発生して、有機EL素子が破壊に至るま
での時間を測定した。
【0244】また、有機EL素子#1を、大気中で、定
電流駆動して、電流のリークが発生して、有機EL素子
が破壊に至るまでの時間を測定した。
【0245】測定結果は、図6に示されている。
【0246】図6に示されるように、シリコン酸化膜と
シリコン酸窒化膜よりなるパッシベーション層4を備え
た有機EL素子#2が、230時間で、電流のリークが
発生して、破壊に至り、ガスを発生させる原因となる水
分や有機溶媒成分を含むアクリル樹脂層3を備えていな
いにもかかわらず、2層のシリコン酸化膜よりなるパッ
シベーション層4を備えた有機EL素子#3が、300
時間で、電流のリークが発生して、破壊に至るのに対
し、本発明にかかる2層のシリコン窒化膜よりなるパッ
シベーション層4を備えた有機EL素子#1は、340
時間を経過するまで、破壊せず、窒化シリコンを含むパ
ッシベーション層4を設けることによって、有機EL素
子の耐久性が大幅に向上することが判明した。
【0247】図6に示されるように、2層のシリコン窒
化膜よりなるパッシベーション層4を備えた有機EL素
子#1であっても、水分や有機物が存在する大気中にお
いては、有機EL素子の劣化が著しく、20時間で、有
機EL素子が破壊に至ることがわかった。これは、有機
EL素子が湿気や有機物などに弱いことを示すものであ
る。
【0248】実施例7 実施例6と同様にして、基板1上に形成されたアクリル
樹脂層3上に、比較例2と同様にして、2層のシリコン
酸化膜を形成して、パッシベーション層4を形成し、上
述したのと同様にして、透明電極5、配線、エッジカバ
ー6、有機発光層7および電極8を形成し、有機EL素
子#4を得た。
【0249】実施例6において作成した有機EL素子#
1、#2および#3と、有機EL素子#4を、アルゴン
ガス雰囲気下で、定電流駆動して、ダークスポットの生
成、成長を観察した。
【0250】観察結果は、図7に示されている。
【0251】図7に示されるように、2層のシリコン酸
化膜よりなるパッシベーション層4を備えた有機EL素
子#4においては、48時間経過後のダークスポット面
積が、通電開始時の約2.8倍に増大し、シリコン酸化
膜とシリコン酸窒化膜よりなるパッシベーション層4を
備えた有機EL素子#2においては、約2.4倍に増大
したのに対し、本発明にかかる2層のシリコン窒化膜よ
りなるパッシベーション層4を備えた有機EL素子#1
においては、約1.6倍で、ガスを発生させる原因とな
る水分や有機溶媒成分を含むアクリル樹脂層3を備えて
いない有機EL素子#3におけるのと大きな差がないこ
とが判明した。
【0252】ここに、通電開始時に、すでに、ダークス
ポットが発生しているのは、ダークスポット評価用の実
験器具にセットするまでの間に、有機EL素子#1、#
2、#3および#4が大気に曝されたためである。
【0253】本発明は、以上の実施例に限定されること
なく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々
の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含さ
れるものであることはいうまでもない。
【0254】たとえば、前記実施例においては、いずれ
も2層のシリコン窒化膜により、パッシベーション層を
形成しているが、パッシベーション層が2層構造である
ことは必ずしも必要ではなく、単層でも、あるいは、3
層以上でもよい。
【0255】
【発明の効果】本発明によれば、水分や有機溶媒成分が
吸着することを防止するとともに、水分や有機溶媒成分
がガス化して、放出されることを効果的に防止すること
ができ、平坦化のための有機層との密着性に優れたパッ
シベーション層を備え、生産性が高く、かつ、耐久性が
向上した有機EL素子およびそれを用いた有機ELディ
スプレイパネルを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例6における有機EL素子作成の
ステップを示す工程図である。
【図2】図2は、実施例6における有機EL素子作成の
ステップを示す工程図である。
【図3】図3は、実施例6における有機EL素子作成の
ステップを示す工程図である。
【図4】図4は、実施例6における有機EL素子作成の
ステップを示す工程図である。
【図5】図5は、実施例6における有機EL素子作成の
ステップを示す工程図である。
【図6】図6は、実施例6における有機EL素子#1、
#2、#3の破壊に至る時間を測定した結果を示すグラ
フである。
【図7】図7は、実施例7における有機EL素子#1、
#2、#3、#4のダークスポットの生成、成長を観察
した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板 2 カラーフィルター 3 アクリル樹脂層 4 パッシベーション層 5 透明電極 6 エッジカバー 7 有機発光層 8 電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山谷 学 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 青山 恵 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB04 AB11 AB13 AB15 AB18 BA06 BB00 BB06 CA01 CA05 CB01 DA01 DB03 EA01 EB00 FA01 FA02

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、少なくとも一層のパッシベーシ
    ョン層と、電極を備え、前記パッシベーション層が、窒
    化シリコンを含有することを特徴とする有機EL素子。
  2. 【請求項2】 さらに、平坦化層を備え、前記パッシベ
    ーション層が、前記平坦化層と前記電極との間に形成さ
    れたことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 【請求項3】 前記平坦化層が、有機材料または有機溶
    剤を含有していることを特徴とする請求項2に記載の有
    機EL素子。
  4. 【請求項4】 さらに、蒸着によって形成されたカラー
    フィルター層を備え、前記パッシベーション層が、前記
    カラーフィルター層と前記電極との間に形成されたこと
    を特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  5. 【請求項5】 632nmの波長における前記パッシベ
    ーション層の屈折率が1.8ないし2.2の範囲にある
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記
    載の有機EL素子。
  6. 【請求項6】 632nmの波長における前記パッシベ
    ーション層の屈折率が1.9ないし2.1の範囲にある
    ことを特徴とする請求項5に記載の有機EL素子。
  7. 【請求項7】 前記窒化シリコンがSiNxで表わした
    ときに、xが0.5ないし1.5の範囲内にあることを
    特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の有
    機EL素子。
  8. 【請求項8】 前記窒化シリコンがSiNxで表わした
    ときに、xが0.8ないし1.3の範囲内にあることを
    特徴とする請求項7に記載の有機EL素子。
  9. 【請求項9】 前記パッシベーションが、10原子%な
    いし30原子%の水素を含有することを特徴とする請求
    項1ないし8のいずれか1項に記載の有機EL素子。
  10. 【請求項10】 前記パッシベーションが、20原子%
    ないし30原子%の水素を含有することを特徴とする請
    求項9に記載の有機EL素子。
  11. 【請求項11】 前記パッシベーション層が、CVD法
    によって成膜されたことを特徴とする請求項1ないし1
    0のいずれか1項に記載の有機EL素子。
  12. 【請求項12】 前記パッシベーション層が、プラズマ
    CVD法によって成膜されたことを特徴とする請求項1
    1に記載の有機EL素子。
  13. 【請求項13】 前記パッシベーション層が2層よりな
    ることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項
    に記載の有機EL素子。
  14. 【請求項14】 それぞれ、基板と、窒化シリコンを含
    有する少なくとも一層のパッシベーション層と、電極を
    備えた複数の有機EL素子を備え、前記複数の有機EL
    素子が独立して、制御が可能に、分割されたことを特徴
    とする有機ELディスプレイパネル。
  15. 【請求項15】 さらに、前記有機EL素子の各々が、
    平坦化層を備え、前記パッシベーション層が、前記平坦
    化層と前記電極との間に形成されたことを特徴とする請
    求項14に記載の有機ELディスプレイパネル。
  16. 【請求項16】 前記平坦化層が、有機材料または有機
    溶剤を含有していることを特徴とする請求項15に記載
    の有機ELディスプレイパネル。
  17. 【請求項17】 さらに、前記有機EL素子の各々が、
    蒸着によって形成されたカラーフィルター層を備え、前
    記パッシベーション層が、前記カラーフィルター層と前
    記電極との間に形成されたことを特徴とする請求項14
    に記載の有機ELディスプレイパネル。
  18. 【請求項18】 632nmの波長における前記パッシ
    ベーション層の屈折率が1.8ないし2.2の範囲にあ
    ることを特徴とする請求項14ないし17のいずれか1
    項に記載の有機ELディスプレイパネル。
  19. 【請求項19】 632nmの波長における前記パッシ
    ベーション層の屈折率が1.9ないし2.1の範囲にあ
    ることを特徴とする請求項18に記載の有機ELディス
    プレイパネル。
  20. 【請求項20】 前記窒化シリコンがSiNxで表わし
    たときに、xが0.5ないし1.5の範囲内にあること
    を特徴とする請求項14ないし19のいずれか1項に記
    載の有機ELディスプレイパネル。
  21. 【請求項21】 前記窒化シリコンがSiNxで表わし
    たときに、xが0.8ないし1.3の範囲内にあること
    を特徴とする請求項20に記載の有機ELディスプレイ
    パネル。
  22. 【請求項22】 前記パッシベーションが、10原子%
    ないし30原子%の水素を含有することを特徴とする請
    求項14ないし21のいずれか1項に記載の有機ELデ
    ィスプレイパネル。
  23. 【請求項23】 前記パッシベーションが、20原子%
    ないし30原子%の水素を含有することを特徴とする請
    求項22に記載の有機ELディスプレイパネル。
  24. 【請求項24】 前記パッシベーション層が、CVD法
    によって成膜されたことを特徴とする請求項14ないし
    23のいずれか1項に記載の有機ELディスプレイパネ
    ル。
  25. 【請求項25】 前記パッシベーション層が、プラズマ
    CVD法によって成膜されたことを特徴とする請求項2
    4に記載の有機ELディスプレイパネル。
  26. 【請求項26】 前記パッシベーション層が2層よりな
    ることを特徴とする請求項14ないし25のいずれか1
    項に記載の有機ELディスプレイパネル。
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