JP2002184578A - 色変換フィルタ基板、該色変換フィルタ基板を具備する色変換カラーディスプレイ、およびそれらの製造方法 - Google Patents

色変換フィルタ基板、該色変換フィルタ基板を具備する色変換カラーディスプレイ、およびそれらの製造方法

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JP2002184578A
JP2002184578A JP2000384041A JP2000384041A JP2002184578A JP 2002184578 A JP2002184578 A JP 2002184578A JP 2000384041 A JP2000384041 A JP 2000384041A JP 2000384041 A JP2000384041 A JP 2000384041A JP 2002184578 A JP2002184578 A JP 2002184578A
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Makoto Uchiumi
誠 内海
Goji Kawaguchi
剛司 川口
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Fuji Electric Co Ltd
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Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性に優れ、長期にわたって安定した発光
特性を維持する色変換フィルタ基板およびカラー有機E
Lディスプレイの提供。 【解決手段】 透明な支持基板と、該支持基板上に配置
され蛍光色素を含有する樹脂膜を所望のパターンに形成
してなる単一または複数種類の色変換フィルタ層と、該
色変換フィルタ層を被覆し、透明であり、かつ平坦に形
成される高分子膜層と、該高分子膜層上に形成される透
明な無機膜層とを少なくとも備える色変換フィルタ基板
であって、該無機膜層は、珪素と、酸素あるいは窒素の
少なくとも一種とを含有し、該無機膜層は、1未満の水
素対珪素の原子数比を有することを特徴とする色変換フ
ィルタ基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高精細で、耐環境
性および生産性に優れた多色表示を可能とする色変換フ
ィルタ基板および該色変換カラーフィルタ基板を具備す
る有機多色発光表示素子(ディスプレイ)に関する。詳
細には、イメージセンサ、パーソナルコンピュータ、ワ
ードプロセッサ、テレビ、ファクシミリ、オーディオ、
ビデオ、カーナビゲーション、電機卓上計算機、電話
機、携帯端末機および産業用の計測器等の表示用の色変
換フィルタ基板および該色変換フィルタ基板を具備する
有機多色発光表示素子(ディスプレイ)に関する。特
に、本発明は、色変換方式を用いた多色発光ディスプレ
イに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報の多様化が進んでいる。その
中で、固体撮像素子をはじめ、情報分野における表示デ
バイスには、「美・軽・薄・優」が求められ、さらに低
消費電力・高速応答へ向けて活発な開発が進められてい
る。特に、高精細なフルカラー表示デバイスの考案が広
くなされている。
【0003】液晶表示素子等に比較して、高コントラス
ト、定電圧駆動、広視野角、および高速応答性等の特徴
を有する素子として、1980年代後半に、有機分子の
薄膜積層構造を有した有機エレクトロルミネセンス(以
下、有機ELと称する)素子が提唱されている。Tangら
による印加電圧10Vで、1000cd/m2以上の高
輝度で発光する積層型EL素子の報告(Appl. Phys. Le
tt., 51, 913 (1987))以来、実用化に向けての研究が
活発に行われている。また、有機高分子材料を用いた同
様の素子も活発に開発が進められている。
【0004】有機EL素子は、定電圧で高い電流密度が
実現できるため、無機EL素子やLEDに比較して高い
発光輝度および発光効率が期待できる。有機EL素子
は、(1)高輝度および高コントラスト、(2)低電圧
駆動および高い発光効率、(3)高解像度、(4)広視
野角性、(5)速い応答速度、(6)微細化およびカラ
ー化、および(7)軽さおよび薄さ等の、表示素子とし
て優れた特徴を有している。以上の点から、「美・軽・
薄・優」なフラットパネルディスプレイへの応用が期待
されている。
【0005】すでに、パイオニア社によって、車搭載用
の緑色モノクロ有機ELディスプレイ等が1997年1
1月より製品化されており、今後は多様化する社会のニ
ーズに応えるべく、長期安定性、高速応答性、多色表
示、および高精細のフルカラー表示が可能な有機ELデ
ィスプレイの実用化が急がれている。
【0006】有機ELディスプレイのマルチカラー化ま
たはフルカラー化の方法として、3つの方法が検討され
ている。第1の方法は、赤(R)、緑(G)、青(B)
の3原色の発光体をマトリクス上に分離配置し、それぞ
れ発光させる方法である。特開昭57−157487号
公報、特開昭58−147989号公報、および特開平
3−214593号公報などを参照されたい。この方法
は、RGBの3種の発光材料をマトリクス状に高精細に
配置しなくてはならないため、技術的に困難であり、か
つ安価で製造することはさらに困難である。加えて、3
種の発光材料の寿命がそれぞれ異なるために、時間とと
もに色度がずれてしまうなどの欠点を有する。
【0007】第2の方法として、白色で発光するバック
ライトにカラーフィルターを用いRGBの3原色を透過
させる方法が提案されている。特開平1−315988
号公報、特開平2−273496号公報、特開平3−1
94885号公報等を参照されたい。この方法におい
て、充分な輝度のRGB光を得るために必要なバックラ
イトに用いる、長寿命かつ高輝度の白色発光の有機EL
発光素子を得ることは技術的に高度に困難な課題であ
り、未だ得られていない。
【0008】近年では、第3の方法として、発光体の発
光を平面的に分離配置した蛍光体に吸収させ、それぞれ
の蛍光体から多色の蛍光を発光させる方法が開示されて
いる特開平3−152897号公報等)。ここで、蛍光
体を用いて、ある発光体から多色の蛍光を発光させる方
法については、CRT、プラズマディスプレイ等にも応
用されている。
【0009】また、近年においては、有機EL発光素子
の発行域の光を吸収し、可視光域の蛍光を発光する蛍光
材料をフィルタとして用いる色変換方式が開示されてい
る(特開平3−152897号公報、特開平5−258
860号公報等)。この方法においては、有機EL発光
素子の発光色が白色に限定されないため、より輝度が高
い有機EL発光素子を光源に適用することができる。特
開平3−152897号公報、特開平8−286033
号公報、特開平9−208944号公報等において、青
色光を緑色光および赤色光に波長変換する、青色発光の
有機EL発光素子を用いた色変換方式が開示されてい
る。ここで、蛍光色素を含む蛍光変換膜(色変換フィル
タ)を高精細にパターニングすれば、発光体の近紫外光
ないし可視光のような弱いエネルギー線を用いても、フ
ルカラーの発光型ディスプレイの構築が可能となる。
【0010】蛍光変換膜のパターニングの方法として
は、(1)無機蛍光体の場合と同様に、蛍光色素を液状
のレジスト(光反応性ポリマー)中に分散させ、これを
スピンコート法などで成膜した後、フォトリソグラフィ
ー法でパターニングする方法(特開平5−198921
号公報および特開平5−258860号公報)、あるい
は(2)塩基性のバインダーに蛍光色素または蛍光顔料
を分散させ、これを酸性水溶液でエッチングする方法
(特開平9−208944号公報)などを挙げることが
できる。
【0011】カラーディスプレイとして実用化する上で
重要であることは、精細なカラー表示機能を有すること
とともに、長期安定性を有することである(たとえば、
機能材料、第18巻、第2号、96頁を参照された
い)。しかし、有機EL発光素子は、一定期間の駆動す
ると、電流−輝度特性等の発光特性が著しく低下すると
いう欠点を有する。
【0012】この発光特性の低下原因の代表的なもの
は、ダークスポットの成長である。このダークスポット
とは、発光欠陥点のことである。このダークスポット
は、素子中の酸素あるいは水分による素子の積層構成材
料の酸化あるいは凝集に起因するものと考えられてい
る。ダークスポットの成長は、通電中(駆動中)はもち
ろん、保存中にも進行し、極端な場合には発光面全体に
広がる。その成長は、特に、(1)素子の周囲に存在す
る酸素あるいは水分により加速され、(2)有機積層膜
中に吸着物として存在する酸素あるいは水分に影響さ
れ、および(3)素子策せ維持の部品に吸着している水
分もしくは製造時等における水分の浸入にも影響される
と考えられている。
【0013】色変換方式のカラー有機ELディスプレイ
では、図2に示したように透明電極7の下側に、色変換
フィルタ層2、3、4が配設されている。前述のとおり
色変換フィルタは、樹脂中に色変換用の色素を混合した
ものであり、混合する色素の熱安定性の問題から、20
0℃を超える温度での乾燥が行えない。このことから、
塗液中に含有されている水分、あるいはパターン形成工
程中に混入した水分が保持された状態で、色変換フィル
タ層が形成される可能性が高い。色変換フィルタ層中に
保持された水分は、保存もしくは駆動中に高分子膜層を
通じて素子に達し、ダークスポットの成長を促進する要
因となる。
【0014】この水分の有機EL素子への侵入を防止す
る手法として、色変換フィルタ層と有機EL素子との間
に、絶縁性の無機酸化膜層を、厚さ0.01〜200μ
mで配設する技術が知られている(特開平8−2793
94号公報)。無機酸化膜層には、有機発光層の寿命を
維持するための高い防湿性が要求され、JIS K71
26の気体透過度試験方法により測定される、無機酸化
膜層における水蒸気または酸素のガス透過係数は、それ
ぞれ10-13cc・cm/cm2・s・cmHg以下であ
ることが望ましいとされている。
【0015】また、特開平7−146480号公報、特
開平10−10518号公報に示されるように、カラー
フィルタの作製方法として、カラーフィルタ層上に形成
した高分子膜層に対して、DCスパッタリングによりS
iOx、SiNxを形成する方法があり、透明導電膜の密
着性を向上させる効果が知られている。また、低融点ガ
ラスを焼結する方法が知られている(特開2000−2
14318号公報)。この他に、有機EL発光素子を外
気から遮断する封止方法として、CVD法によりSiN
x膜を形成する方法が知られている(特開2000−2
23264号公報)。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】色変換方式のカラー有
機ELディスプレイは、図2に示したように、透明電極
7の下に無機膜層、高分子膜層、色変換フィルタ層が配
設されている。この色変換フィルタ層に対しては、前述
のように色素の熱安定性の問題から、200℃を超える
プロセス温度を用いることができない。このため、色変
換フィルタ層上に形成される全ての層を、200℃未満
のプロセス温度において形成する必要がある。
【0017】このプロセス温度の制限を満たす無機膜層
の形成方法の一例は、スパッタ法である。たとえば、S
iOxを形成する場合には、(1)Siターゲットを用
い、アルゴンおよび酸素ガスを導入してRF電圧を印加
する方法、あるいは(2)石英ターゲットを用い、アル
ゴンガスを導入してRF電圧を印加する方法を採用する
ことができる。この方法により形成されたSiOx
は、可視光透過率に優れ、かつ密着性が良好であるの
で、光ディスク等の保護膜として用いられている。
【0018】しかし、スパッタ法による膜形成の特徴と
して、カバレージが悪くなる傾向がある。たとえば、下
地となる高分子層の表面が平坦でなく、ゴミの付着等に
より急峻な形状を有する場合、スパッタ粒子の回り込み
がおきにくいためにカバレージが低下し、防湿性が低く
なる問題がある。加えて、基板加熱を行わないために、
基板上に付着したスパッタ粒子はマイグレーションを起
こしにくく、基板加熱をした場合に比較してカバレージ
が悪くなる傾向が促進される。
【0019】また、スパッタ法による膜形成では、成膜
速度が小さいために生産性が低くなること、あるいは生
産性向上のためにスパッタチャンバーを複数用いること
により設備費用が多額になるという問題点が存在する。
【0020】本発明は、上述の問題に鑑みてなされたも
のであり、長期にわたって安定した発行特性を維持する
カラー有機ELディスプレイを提供し、また有機EL発
光素子を効率よく形成する方法を実現することを目的と
する。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様であ
る色変換フィルタ基板は、透明な支持基板と、該支持基
板上に配置され蛍光色素を含有する樹脂膜を所望のパタ
ーンに形成してなる単一または複数種類の色変換フィル
タ層と、該色変換フィルタ層を被覆し、透明であり、か
つ平坦に形成される高分子膜層と、該高分子膜層上に形
成される透明な無機膜層とを少なくとも備える色変換フ
ィルタ基板であって、該無機膜層は、珪素と、酸素ある
いは窒素の少なくとも一種とを含有し、該無機膜層は、
1未満の水素対珪素の原子数比を有することを特徴とす
る。
【0022】本発明の第2の態様である色変換方式カラ
ーディスプレイは、第1の態様に記載の色変換フィルタ
基板上に、少なくとも、1または複数の電気的に独立し
た領域に形成される透明電極層と、発光材料を含有する
発光層と、第2電極層とを順次積層してなることを特徴
とする。
【0023】本発明の第3の態様である色変換フィルタ
基板の製造方法は、透明な支持基板を準備する工程と、
蛍光色素を含有する樹脂膜を所望のパターンに形成して
なる単一または複数種類の色変換フィルタ層を該支持基
板上に配置する工程と、透明であり、かつ平坦に形成さ
れる高分子膜層を該色変換フィルタ層を被覆する工程
と、珪素と、酸素あるいは窒素の少なくとも一種とを含
有し、1未満の水素対珪素の原子数比を有する透明な無
機膜層を該高分子膜層上に形成する工程とを少なくとも
備える色変換フィルタ基板の製造方法であって、該無機
膜層を形成する工程は、200℃未満の温度におけるプ
ラズマCVD法により実施され、およびシランとテトラ
エトキシシランとからなる群から選択されるガスと、窒
素、アンモニア、酸素、窒素酸化物、および二酸化炭素
からなる群から選択されるガスとを少なくとも含む原料
ガスを用いることを特徴とする。
【0024】本発明の第4の態様である色変換フィルタ
基板の製造方法は、第3の態様の製造方法において、該
無機膜層を形成する工程が、該支持基板の電位をアース
電位より低くして実施されることを特徴とする。
【0025】本発明の第5の態様である色変換方式カラ
ーディスプレイの製造方法は、透明な支持基板を準備す
る工程と、蛍光色素を含有する樹脂膜を所望のパターン
に形成してなる単一または複数種類の色変換フィルタ層
を該支持基板上に配置する工程と、透明であり、かつ平
坦に形成される高分子膜層を該色変換フィルタ層を被覆
する工程と、珪素と、酸素あるいは窒素の少なくとも一
種とを含有し、1未満の水素対珪素の原子数比を有する
透明な無機膜層を該高分子膜層上に形成する工程と、透
明電極層を、該無機膜層上の1または複数の電気的に独
立した領域に形成する工程と、発光材料を少なくとも含
有する発光層を積層する工程と、第2電極層を積層する
工程とを少なくとも備えた色変換カラーディスプレイの
製造方法であって、該無機膜層を形成する工程は、20
0℃未満の温度におけるプラズマCVD法により実施さ
れ、およびシランとテトラエトキシシランとからなる群
から選択されるガスと、窒素、アンモニア、酸素、窒素
酸化物、および二酸化炭素からなる群から選択されるガ
スとを少なくとも含む原料ガスを用いることを特徴とす
る。
【0026】本発明の第5の態様である色変換方式カラ
ーディスプレイの製造方法は、第5の態様の製造方法に
おいて、該無機膜層を形成する工程が、該支持基板の電
位をアース電位より低くして実施されることを特徴とす
る。
【0027】
【発明の実施の形態】A.色変換フィルタ基板 本発明の色変換フィルタ基板の一例を、図1に示す。図
1において、支持基板1上に、赤色変換フィルタ層2、
緑色変換フィルタ層3、青色変換フィルタ層4がそれぞ
れ所定のパターンを有して形成されている。後述のよう
に、緑色変換フィルタ層3は緑色フィルタ層であっても
よい。また、青色変換フィルタ層4は、好ましくは青色
フィルタ層である。これらの変換フィルタ層を覆って、
高分子膜層5が形成され、さらにその上に無機膜層6が
形成されており、その上平面は平坦である。以下、各層
について詳細に述べる。
【0028】1.色変換フィルタ層 1)有機蛍光色素 本発明において、有機蛍光色素は、発光体から発せられ
る近紫外領域ないし可視領域の光、特に青色ないし青緑
色領域の光を吸収して異なる波長の可視光を蛍光として
発光するものである。好ましくは、少なくとも赤色領域
の蛍光を発する蛍光色素の1種類以上を用い、さらに緑
色領域の蛍光を発する蛍光色素の1種類以上と組み合わ
せてもよい。
【0029】すなわち、光源として青色ないし青緑色領
域の光を発光する有機発光素子を用いる場合、該素子か
らの光を単なる赤色フィルタに通して赤色領域の光を得
ようとすると、元々赤色領域の波長の光が少ないために
極めて暗い出力光になってしまう。したがって、該素子
からの青色ないし青緑色領域の光を、蛍光色素によって
赤色領域の光に変換することにより、十分な強度を有す
る赤色領域の光の出力が可能となる。
【0030】一方、緑色領域の光は、赤色領域の光と同
様に、該素子からの光を別の有機蛍光色素によって緑色
領域の光に変換させて出力してもよい。あるいはまた、
該素子の発光が緑色領域の光を十分に含むならば、該素
子からの光を単に緑色フィルタを通して出力してもよ
い。
【0031】さらに、青色領域の光に関しては、有機発
光素子の光を蛍光色素を用いて変換させて出力させても
よいが、しかしより好ましくは有機発光素子の光を単な
る青色フィルタに通して出力させる。
【0032】発光体から発する青色から青緑色領域の光
を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素として
は、例えばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン
3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホロ
ーダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレ
ッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−
エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−
1,3−ブタジエニル〕−ピリジニウム パークロレー
ト(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキ
サジン系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直
接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光
性があれば使用することができる。
【0033】発光体から発する青色ないし青緑色領域の
光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素として
は、例えば3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエ
チルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベン
ゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリ
ン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミ
ダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(ク
マリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒ
ドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,
1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン
系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシック
イエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソル
ベントイエロー116などのナフタルイミド系色素など
が挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染
料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用
することができる。
【0034】なお、本発明に用いる有機蛍光色素を、ポ
リメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スル
ホンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグ
アナミン樹脂及びこれらの樹脂混合物などに予め練り込
んで顔料化して、有機蛍光顔料としてもよい。また、こ
れらの有機蛍光色素や有機蛍光顔料(本明細書中で、前
記2つを合わせて有機蛍光色素と総称する)は単独で用
いてもよく、蛍光の色相を調整するために2種以上を組
み合わせて用いてもよい。
【0035】本発明に用いる有機蛍光色素は、色変換フ
ィルタ層に対して、該色変換フィルタ層の重量を基準と
して0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重
量%含有される。もし有機蛍光色素の含有量が0.01
重量%未満ならば、十分な波長変換を行うことができ
ず、あるいは含有量が5%を越えるならば、濃度消光等
の効果により色変換効率の低下をもたらす。
【0036】2)マトリクス樹脂 次に、本発明の色変換フィルタ層に用いられるマトリク
ス樹脂は、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジ
スト)を、光および/または熱処理して、ラジカル種ま
たはイオン種を発生させて重合または架橋させ、不溶不
融化させたものである。また、色変換フィルタ層のパタ
ーニングを行うために、該光硬化性または光熱併用型硬
化性樹脂は、未露光の状態において有機溶媒またはアル
カリ溶液に可溶性であることが望ましい。
【0037】具体的には、光硬化性または光熱併用型硬
化性樹脂は、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複
数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマー
と、光または熱重合開始剤とからなる組成物、(2)ボ
リビニル桂皮酸エステルと増感剤とからなる組成物、
(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからな
る組成物、および(4)エポキシ基を有するモノマーと
酸発生剤とからなる組成物などを含む。特に(1)のア
クリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと光または熱
重合開始剤とからなる組成物が、高精細なパターニング
が可能であること、および耐溶剤性、耐熱性等の信頼性
が高いことによって好ましい。前述したように、光硬化
性または光熱併用型硬化性樹脂に光および/または熱を
作用させて、マトリクス樹脂を形成する。
【0038】本発明で用いることができる光重合開始
剤、増感剤および酸発生剤は、含まれる蛍光変換色素が
吸収しない波長の光によって重合を開始させるものであ
ることが好ましい。本発明の蛍光変換フィルタ層におい
て、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂中の樹脂自身
が光または熱により重合することが可能である場合に
は、光重合開始剤および熱重合開始剤を添加しないこと
も可能である。
【0039】マトリクス樹脂は、光硬化性または光熱併
用型硬化性樹脂および有機蛍光色素を含有する溶液また
は分散液を、支持基板上に塗布して樹脂の層を形成し、
そして所望される部分の光硬化性または光熱併用型硬化
性樹脂を露光することにより重合させて形成される。所
望される部分に露光を行って光硬化性または光熱併用型
硬化性樹脂を不溶化させた後に、パターニングを行う。
該パターニングは、未露光部分の樹脂を溶解または分散
させる有機溶媒またはアルカリ溶液を用いて除去するな
どの、慣用の方法によって実施することができる。
【0040】2.高分子膜層5 高分子膜層5の材料として好ましいものは、可視域にお
ける透明性が高く(400〜700nmの範囲で透過率
50%以上)、Tgが100℃以上であり、2Hの鉛筆
硬度以上の表面硬度を有し、色変換フィルタ層上に平滑
に塗膜を形成することができ、および色変換フィルタ層
2〜4の機能を低下させない材料である。そのような材
料は、たとえば、イミド変性シリコーン樹脂(特開平5
−134112号公報、特開平7−218717号公
報、特開平7−306311号公報等参照)、アクリ
ル、ポリイミド、シリコーン樹脂等中に無機金属化合物
(TiO、Al23、SiO2等)を分散した材料(特
開平5−119306号公報、特開平7−104114
号公報等参照)を含む。高分子膜層5において用いるこ
とができる紫外線硬化型樹脂としては、エポキシ変性ア
クリレート樹脂(特開平7−48424号公報参照)、
アクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーの反応性
ビニル基を有する樹脂、レジスト樹脂(特開平6−30
0910号公報、特開平7−128519号公報、特開
平8−273394号公報、特開平9−330793号
公報等参照)、フッ素樹脂(特開平5−36475号公
報、特開平9−330793号公報)等の光硬化型樹脂
および/または熱硬化型樹脂を挙げることができる。あ
るいはまた、ゾル−ゲル法により形成される無機化合物
(月刊ディスプレイ1997年、3巻、7号に記載、特
開平8−27934号公報等)を用いることもできる。
【0041】高分子膜層5の形成法には、特に制約はな
く、たとえば、乾式法(スパッタ法、蒸着法、CVD法
等)、あるいは湿式法(スピンコート法、ロールコート
法、キャスト法)等の慣用の手段により形成することが
できる。
【0042】3.無機膜層6 また、無機膜層6として、電気絶縁性を有し、ガスおよ
び有機溶剤に対するバリア性を有し、可視域における透
明性が高く(400〜700nmの範囲で透過率50%
以上)、無機膜層6上への透明電極層7の成膜に耐えう
る硬度(好ましくは2H以上の鉛筆硬度)を有する材料
を用いることが望ましい。たとえば、該無機膜層とし
て、珪素と、酸素あるいは窒素の少なくとも一種とを含
有するSiOx:H(不純物として水素を含有してもよ
い酸化珪素)、SiNx:H、あるいはSiOxy:H
といった材料以外に、SiOxにAl等の金属を含有し
た材料等を使用することができる。無機膜層6の形成方
法として、CVD法を用いることが望ましい。
【0043】上記無機膜層6は、単一層であってもよ
く、あるいは複数の層が積層されたものであってもよ
い。
【0044】該無機膜層の形成は、シランとテトラエト
キシシランとからなる群から選択されるガスと、窒素、
アンモニア、酸素、窒素酸化物、および二酸化炭素から
なる群から選択されるガスとを少なくとも含む原料ガス
を用いる、200℃未満の温度におけるプラズマCVD
法により実施することができる。窒素酸化物としては、
2Oを用いることが好ましい。
【0045】該無機膜層6としてSiOx膜を形成する
場合、(1)原料ガスとしてテトラエトキシシラン(T
EOS)および酸素、酸素/TEOS=5〜80の流量
比、1〜50Paの成膜圧力、および100〜500W
程度の成膜電力を用いるプラズマCVD法、(2)原料
ガスとしてシランおよびN2O、N2O/シラン=5〜5
0の流量比、1〜20Paの成膜圧力、および100〜
500W程度の成膜電力を用いるプラズマCVD法、あ
るいは(3)原料ガスとしてシランと二酸化炭素とを用
いるプラズマCVD法を用いることができる。特に原料
ガスとしてシランを用いた場合には、形成される膜中へ
の窒素あるいは水素等の原料ガス由来成分の残留を少な
くすることができ、防湿性を高くすることができる。
【0046】また、該無機膜層6としてSiNx膜を形
成する場合、(1)原料ガスとしてシランおよび窒素、
窒素/シラン=5〜80の流量比、1〜20Paの成膜
圧力、および100〜500W程度の成膜電力を用いる
プラズマCVD法、あるいは(2)原料ガスとしてシラ
ンおよびアンモニア、アンモニア/シラン=5〜30の
流量比、1〜50Paの成膜圧力、および100〜50
0W程度の成膜電力を用いるプラズマCVD法、を用い
ることができる。特に、SiNx膜を用いた場合には、
SiOx膜に比較して、水分の透過率が小さくなる傾向
がある。
【0047】また、該無機膜層6としてSiOxy膜を
形成する場合、原料ガスとして、TEOSおよび窒素、
あるいはTEOSおよびN2Oを用いるプラズマCVD
法により形成することができる。
【0048】上述のいずれの方法においても、膜の堆積
速度は20nm/分以上である。このように、本発明の
無機膜層6を高速で堆積させることができるので、生産
性向上に有利である。
【0049】上記のように形成された無機膜層6の防湿
性を評価する1つの方法は、25℃におけるフッ酸、硝
酸および純水の混合液(体積混合比3:2:60)に対
するエッチング速度を評価する方法である。無機膜中に
含有される水素の含有量が小さいほど、エッチング速度
は小さくなり、防湿性が向上する。
【0050】無機膜層6中の平均原子数比は、ラザフォ
ード後方散乱分析法(RBS)によって測定することが
できる。これは固体に高エネルギーのHeイオンを打ち
込み、原子核同士の弾性衝突(ラザフォード散乱)によ
って散乱したHeイオンのエネルギーを調べることによ
って、固体内の元素分布についての情報を得るものであ
る。
【0051】色変換フィルタ基板、および該色変換フィ
ルタ基板を具備する色変換カラーディスプレイにおい
て、充分な防湿性を示すSiOx、SiNx、SiOxy
膜中に含有される珪素に対する水素の平均原子数比(H
/Si)は、いずれの膜においても1未満であった。
【0052】上述の珪素に対する水素の平均原子数比を
達成するための、原料ガスの分解を促進させて膜中の残
留水素を減少させる方法として、基板側にRF電圧を印
加して基板を負電位にすることによって、基板表面近傍
にシース領域を形成し、電離した原料ガスを高エネルギ
ー状態で基板に衝突させる方法がある。基板に印加され
るRF電圧は、周波数13.56MHz、電圧100〜
500Vの電圧を用いることが好ましい。
【0053】プラズマを発生および維持するための放電
の手段としては、容量結合方式、誘導結合方式、マイク
ロ波放電方式のいずれであってもよい。
【0054】4.支持基板1 本発明の色変換フィルタ基板に用いられる支持基板1
は、前述の色変換フィルタ層2〜4を出射する光に対し
て透明であることが必要である。また、支持基板1は、
色変換フィルタ層2〜4および高分子膜層5の形成に用
いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものであるべき
であり、さらに寸法安定性に優れていることが好まし
い。
【0055】支持基板1の材料として好ましいものは、
ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタ
クリレート等の樹脂を含む。ノンアルカリガラスが特に
好ましいものである。
【0056】5.色変換フィルタ基板 前述の支持基板1上に、1種または複数種の色変換フィ
ルタ層を所望されるパターンに形成することにより、本
発明の色変換フィルタ基板を作成する。色変換フィルタ
層は、前述の蛍光変換色素およびレジストを含む組成物
を支持基板1上に塗布し、所望されるパターンを形成す
るためのマスクを通して露光され、パターニングされ
て、所望のパターンを有して作成される。色変換フィル
タ層は、5μm以上、好ましくは8〜15μmの厚さを
有する。
【0057】カラーディスプレイを作成する際には、
赤、緑および青の3種の色変換フィルタ層を形成するこ
とが好ましい。発光体として青色または青緑色を発光す
るものを用いる場合には、前述のように、赤および緑の
色変換フィルタ層と青のフィルタ層とを、あるいは赤の
色変換フィルタ層と緑および青のフィルタ層とを形成す
ることも可能である。
【0058】色変換フィルタ層およびフィルタ層の所望
されるパターンは、使用される用途に依存する。赤、緑
および青の矩形または円形の区域を1組として、それを
支持基板全面に作成してもよい。あるいはまた、赤、緑
および青の平行するストライプ(所望される幅を有し、
支持基板1の長さに相当する長さを有する区域)を1組
とし、それを支持基板全面に作成してもよい。特定の色
変換フィルタ層を、他の色の色変換フィルタ層よりも多
く(数的および面積的に)配置することもできる。
【0059】B.色変換方式有機ELカラーディスプレ
イ 本発明の色変換方式カラーディスプレイは、前述の色変
換フィルタ基板と、該フィルタ基板上に設けられた有機
EL発光素子とを備える。すなわち、該発光素子から発
せられる近紫外から可視領域の光、好ましくは青色から
青緑色領域の光を、色変換フィルタ層に入射し、該色変
換フィルタ層から異なる波長の可視光を出射するように
したものである。
【0060】有機EL発光素子は、透明電極層7と第2
電極層12との間に少なくとも有機発光層10を扶持
し、必要に応じ、正孔注入層8、正孔輸送層9、および
/または電子注入層11を介在させた構造を有してい
る。具体的には、下記のような層構成からなるものが採
用される。
【0061】 (1)陽極/有機発光層/陰極 (2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極 (3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極 (4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰
極 (5)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電
子注入層/陰極 上記の層構成において、陽極および陰極の少なくとも一
方は、前述の色変換フィルタ基板上に形成される透明電
極層7を用いる。本発明において、好ましくは、透明電
極層7を陽極として用いる。
【0062】透明電極層7の材料は、有機EL発光素子
が発する励起光(すなわち、近紫外〜可視域の光、好ま
しくは青色〜青緑色の光)を効率よく透過させる必要が
ある。そのような材料として、前述のようにITO(イ
ンジウム−スズ酸化物)あるいはIn23−ZnO系材
料を用いることができる。
【0063】図2に、本発明の有機ELカラーディスプ
レイの一例を示す。図2においては、色変換方式のマル
チカラーまたはフルカラーディスプレイとして使用する
ための、複数の画素を有する有機発光素子の1つの画素
に相当する部分を示している。図1に示した色変換フィ
ルタ基板の透明電極層7上の、各色変換フィルタ層2、
3および4に対応する位置に、正孔注入層8、正孔輸送
層9、有機発光層10、電子注入層11、および陰極
(第2電極層)12が順次積層されている。
【0064】上記各層の材料としては、公知のものが使
用される。青色から青緑色の発光を得るためには、有機
発光層10として、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾ
イミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白
剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベン
ゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好
ましく使用される。
【0065】陰極12は金属電極から形成される。陽極
7および陰極12のパターンはそれそれ平行なストライ
プ状をなし、互いに交差するように形成されてもよい。
その場合には、本発明の有機発光素子はマトリクス駆動
を行うことができ、すなわち、陽極7の特定のストライ
プと、陰極12の特定のストライプに電圧が印加された
時に、有機発光層10において、それらのストライプが
交差する部分が発光する。したがって、陽極7および陰
極12の選択されたストライプに電圧を印加することに
よって、特定の蛍光色変換フィルタ層および/または単
純なフィルタ層が位置する部分のみを発光させることが
できる。
【0066】また、陽極7をストライプパターンを持た
ない一様な平面電極とし、および陰極12を各画素に対
応するようパターニングしてもよい。その場合には、各
画素に対応するスイッチング素子を設けて、いわゆるア
クティブマトリクス駆動を行うことが可能になる。
【0067】
【実施例】(実施例1)以下、本発明の無機膜層を適用
した場合の1つの例を図面を参照しながら説明する。
【0068】[青色フィルタ層4の作成]透明基板1と
してのノンアルカリガラス(コーニング1737ガラ
ス、50×50×1.1mm)上に、青色フィルタ材料
(富士ハントエレクトロニクステクノロジー製:カラー
モザイクCB−7001)を、スピンコート法を用いて
塗布した。その塗膜を、フォトリソグラフ法によりパタ
ーニングを実施し、線幅0.1mm、ピッチ(周期)
0.33mm、膜厚6μmのストライプパターンを有す
る青色フィルタ4を得た。
【0069】[緑色変換フィルタ層3の作成]蛍光色素
としてクマリン6(0.7質量部)を、溶媒のプロピレ
ングリコールモノエチルアセテート(PEGMA)12
0質量部中へ溶解させた。該溶液に対して、光重合性樹
脂の「V259PA/P5」(商品名、新日鐵化成工業
株式会社)100質量部を加えて溶解させて、塗液を得
た。
【0070】青色フィルタ層4を形成した透明支持基板
1上に、上記のように調製した塗液をスピンコート法を
用いて塗布し、フォトリソグラフ法によりパターニング
を実施し、線幅0.1mm、ピッチ(周期)0.33m
m、膜厚10μmのストライプパターンを有する緑色変
換フィルタ3を得た。
【0071】[赤色変換フィルタ層2の作成]蛍光色素
として、クマリン6(0.6質量部)、ローダミン6G
(0.3質量部)、ベーシックバイオレット11(0.
3質量部)を、溶媒のプロピレングリコールモノエチル
アセテート(PEGMA)120質量部中へ溶解させ
た。該溶液に対して、光重合性樹脂の「V259PA/
P5」(商品名、新日鐵化成工業株式会社)100質量
部を加えて溶解させて、塗液を得た。
【0072】青色フィルタ層4および緑色変換フィルタ
層3を形成した透明支持基板1上に、上記のように調製
した塗液をスピンコート法を用いて塗布し、フォトリソ
グラフ法によりパターニングを実施し、線幅0.1m
m、ピッチ(周期)0.33mm、膜厚10μmのスト
ライプパターンを有する赤色変換フィルタ2を得た。
【0073】上記のように形成された赤色変換フィルタ
層2、緑色変換フィルタ層3および青色フィルタ層4の
ライン状パターンは、それぞれの間の間隙幅を0.01
mmとして平行に配置されている。
【0074】[高分子膜層5の作製]前述の蛍光色変換
フィルタ層2〜4の上に、UV硬化型樹脂(エポキシ変
性アクリレート)をスピンコート法にて塗布し、高圧水
銀灯を照射し、高分子膜層5を形成した。高分子膜層5
は、各蛍光色変換フィルタ層上において8μmの膜厚を
有した。この際に、蛍光変換フィルタのパターンには変
形が無く、かつ、高分子膜層上面は平坦であった。
【0075】[無機膜層6の作製]前述の高分子膜層5
の上に、プラズマCVD法により膜厚240nmのSi
x膜を形成して、色変換フィルタ基板を得た。該プラ
ズマCVDは、150℃の基板温度において、原料ガス
としてはシランおよび窒素を用い、窒素/シランの流量
比=30、50Paの成膜圧力、500Wの成膜電力を
用いた実施された。
【0076】無機膜層6を形成したサンプルに関して、
ラザフォード後方散乱測定装置(日新ハイボルテージ
(株)製)を用いて、膜中の珪素に対する水素の平均原
子数比を測定した。上記により形成された膜中の珪素に
対する水素の平均原子数比(H/Si)は、約0.9で
あった。
【0077】[有機EL素子の作成]図2に示すよう
に、上記のようにして製造した色変換フィルタ基板の上
に、透明電極層7/正孔注入層8/正孔輸送層9/有機
発光層10/電子注入層11/陰極12の6層構成とな
る有機EL発光素子を形成した。
【0078】前述のように形成した色変換フィルタ基板
の上に、スパッタ法により透明電極(IDIXO)を全
面成膜した。このIDIXO上に、レジスト剤「OFR
P−800」(商品名、東京応化製)を塗布した後、フ
ォトリソグラフ法にてパターニングを行い、それぞれの
蛍光変換フィルタ層2〜4に相当する位置に、幅0.0
94mm間隙0.016mm、および膜厚100nmの
ストライプパターンを有する透明電極層7を形成した。
【0079】透明電極層7を形成した色変換フィルタ基
板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層8、正孔
輸送層9、有機発光層10、電子注入層11を、真空を
破らずに順次全面成膜した。成膜に際して、真空槽内圧
を1×10-4Paまで減圧した。正孔注入層8として、
銅フタロシアニン(CuPc)を100nm積層した。
正孔輸送層9として、4,4’−ビス[N−(1−ナフ
チル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NP
D)を20nm積層した。有機発光層10として、4,
4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル
(DPVBi)を30nm積層した。電子注入層11と
して、アルミニウムキレート(トリス(8−ヒドロキシ
キノリン)アルミニウム錯体、Alq)を20nm積層
した。表1に、各層に用いた材料の構造式を示す。
【0080】
【表1】
【0081】次に、真空を破ることなしに、陽極(透明
電極層)7のストライプパターンと直交する幅0.30
mm、間隔0.03mmのパターンが得られるマスクを
用いて、厚さ200nmのMg/Ag(質量比10/
1)層からなる陰極12を形成した。こうして得られた
有機発光素子をグローブボックス内乾燥窒素雰囲気下
(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)におい
て、封止ガラス(図示せず)とUV硬化接着剤を用いて
封止して、カラー有機ELディスプレイを得た。
【0082】(実施例2)以下に記載する方法によって
無機膜層6を作製したことを除いて、実施例1と同様の
方法によりカラー有機ELディスプレイを作製した。
【0083】基板温度80℃において、原料ガスとして
はシランおよび窒素を用い、窒素/シランの流量比=3
0、50Paの成膜圧力、500Wの成膜電力を用いて
プラズマCVDによる成膜を開始した。成膜開始約10
秒後に、基板側に対する電力100WのRF電圧の印加
を開始した。最終的に膜厚240nmを有するSiN x
膜を形成し、無機膜層6とした。
【0084】無機膜層6を形成したサンプルに関して、
ラザフォード後方散乱測定装置(日新ハイボルテージ
(株)製)を用いて、膜中の珪素に対する水素の平均原
子数比を測定した。上記により形成された膜中の珪素に
対する水素の平均原子数比(H/Si)は、約0.3で
あった。
【0085】(比較例1)以下に記載する方法によって
無機膜層6を作製したことを除いて、実施例5と同様の
方法によりカラー有機ELディスプレイを作製した。
【0086】基板温度80℃において、原料ガスとして
はシランおよび窒素を用い、窒素/シランの流量比=3
0、50Paの成膜圧力、500Wの成膜電力を用いて
プラズマCVDによる成膜を行い、膜厚240nmを有
するSiNx膜を形成し、無機膜層6とした。
【0087】無機膜層6を形成したサンプルに関して、
ラザフォード後方散乱測定装置(日新ハイボルテージ
(株)製)を用いて、膜中の珪素に対する水素の平均原
子数比を測定した。上記により形成された膜中の珪素に
対する水素の平均原子数比(H/Si)は、約1.2で
あった。
【0088】[カラー有機ELディスプレイの評価]実
施例1および2、ならびに比較例1にしたがって、それ
ぞれ3個のディスプレイを作製し、駆動試験を行った。
駆動周波数60Hz、デューティ比1/60、1画素あ
たりの電流量2mAにおける線順次走査により駆動し
た。前記条件において100時間の連続駆動を行った後
に、パネル内の単位面積あたりのダークスポット数を比
較した。結果を以下の表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】本発明の無機膜層を用いた場合、カラー有
機ELディスプレイパネル内のダークスポット発生を抑
制できることが明かとなった。
【0091】
【発明の効果】本発明記載の無機膜層を用いることによ
り、有機EL発光素子の特性低下の原因となる水分の発
生を抑制することにより、長期にわたって安定した発光
特性を維持するカラー有機ELディスプレイの提供が可
能となる。また、本発明記載の無機膜層は、CVD法を
用いて作成されるので、生産性が飛躍的に向上する。こ
れによって、信頼性、生産性に優れる色変換方式の有機
ELディスプレイが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色変換フィルタ基板を示す概略断面図
である。
【図2】本発明の色変換フィルタ基板を用いた有機EL
カラーディスプレイの概略断面図である。
【符号の説明】
1 透明支持基板 2 赤色変換フィルタ 3 緑色変換フィルタ 4 青色変換フィルタ 5 高分子膜層 6 無機膜層 7 透明電極層 8 正孔注入層 9 正孔輸送層 10 有機発光層 11 電子注入層 12 陰極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 33/14 H05B 33/14 A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な支持基板と、 該支持基板上に配置され蛍光色素を含有する樹脂膜を所
    望のパターンに形成してなる単一または複数種類の色変
    換フィルタ層と、 該色変換フィルタ層を被覆し、透明であり、かつ平坦に
    形成される高分子膜層と、 該高分子膜層上に形成される透明な無機膜層とを少なく
    とも備える色変換フィルタ基板であって、 該無機膜層は、珪素と、酸素あるいは窒素の少なくとも
    一種とを含有し、 該無機膜層は、1未満の水素対珪素の原子数比を有する
    ことを特徴とする色変換フィルタ基板。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の色変換フィルタ基板上
    に、少なくとも、1または複数の電気的に独立した領域
    に形成される透明電極層と、発光材料を含有する発光層
    と、第2電極層とを順次積層してなることを特徴とする
    色変換方式カラーディスプレイ。
  3. 【請求項3】 透明な支持基板を準備する工程と、 蛍光色素を含有する樹脂膜を所望のパターンに形成して
    なる単一または複数種類の色変換フィルタ層を該支持基
    板上に配置する工程と、 透明であり、かつ平坦に形成される高分子膜層を該色変
    換フィルタ層を被覆する工程と、 珪素と、酸素あるいは窒素の少なくとも一種とを含有
    し、1未満の水素対珪素の原子数比を有する透明な無機
    膜層を該高分子膜層上に形成する工程と、を少なくとも
    備える色変換フィルタ基板の製造方法であって、 該無機膜層を形成する工程は、200℃未満の温度にお
    けるプラズマCVD法により実施され、およびシランと
    テトラエトキシシランとからなる群から選択されるガス
    と、窒素、アンモニア、酸素、窒素酸化物、および二酸
    化炭素からなる群から選択されるガスとを少なくとも含
    む原料ガスを用いることを特徴とする色変換フィルタ基
    板の製造方法。
  4. 【請求項4】 該無機膜層を形成する工程は、該支持基
    板の電位をアース電位より低くして実施されることを特
    徴とする請求項3に記載の色変換フィルタ基板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 透明な支持基板を準備する工程と、 蛍光色素を含有する樹脂膜を所望のパターンに形成して
    なる単一または複数種類の色変換フィルタ層を該支持基
    板上に配置する工程と、 透明であり、かつ平坦に形成される高分子膜層を該色変
    換フィルタ層を被覆する工程と、 珪素と、酸素あるいは窒素の少なくとも一種とを含有
    し、1未満の水素対珪素の原子数比を有する透明な無機
    膜層を該高分子膜層上に形成する工程と、 透明電極層を、該無機膜層上の1または複数の電気的に
    独立した領域に形成する工程と発光材料を少なくとも含
    有する発光層を積層する工程と第2電極層を積層する工
    程とを少なくとも備えた色変換カラーディスプレイの製
    造方法であって、 該無機膜層を形成する工程は、200℃未満の温度にお
    けるプラズマCVD法により実施され、およびシランと
    テトラエトキシシランとからなる群から選択されるガス
    と、窒素、アンモニア、酸素、窒素酸化物、および二酸
    化炭素からなる群から選択されるガスとを少なくとも含
    む原料ガスを用いることを特徴とする色変換カラーディ
    スプレイの製造方法。
  6. 【請求項6】 該無機膜層を形成する工程は、該支持基
    板の電位をアース電位より低くして実施されることを特
    徴とする請求項5に記載の色変換カラーディスプレイの
    製造方法。
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