JP2015082397A - 光取り出し部材、及び有機電界発光装置 - Google Patents

光取り出し部材、及び有機電界発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱プロセスにおける光拡散層の黄変が抑制され、光取り出し効率の向上に寄与する光取り出し部材を提供すること、及び、光取り出し部材を有する、光取り出し効率に優れる有機電界発光装置を提供すること。
【解決手段】透光性基材上に、光拡散粒子と樹脂を含有する光拡散層を有し、上記光拡散層上に、透光性電極、及び上記透光性電極と電気的に絶縁された透光性導電体パターンを有し、上記透光性電極と上記透光性導電体パターンとの間隔が5mm以下である、光取り出し部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、透光性基材上に、光拡散層を有し、光拡散層上に、透光性電極と、透光性電極と電気的に絶縁された透光性導電体パターンを有する光取り出し部材、及び光取り出し部材を有する有機電界発光装置、並びに照明機器に関する。
有機電界発光装置は、基板上に陽極及び陰極からなる一対の電極と、一対の電極の間に、発光層を含む有機層を有する自発光型の発光装置であり、種々の用途への適用が期待されている。
有機電界発光装置では、発光層で発生した光の取り出し効率を向上させるために、光を散乱させる機能を有する光拡散層を設けることが知られている。
特許文献1には、基板上に、酸化チタン微粒子を含むバインダーと、光拡散粒子とを含有する光拡散層形成材料から形成された光拡散層を有する光取り出し部材が記載されている。
また、特許文献1には、光拡散層上に、ITOなどの透光性電極材料を成膜し、パターニングすることで、透光性電極を形成し、更に透光性電極上に発光層などの有機層を成膜して、有機電界発光装置を製造することが記載されている。
特開2012−155177号公報
しかしながら、透光性電極材料の焼成、基板の乾燥等の加熱プロセスを経ることにより、パターニングによって透光性電極材料が除去された領域(非発光領域)の光拡散層が黄変し、外観上好ましくないだけでなく、光を吸収するため、光取り出し効率が低下してしまうという問題がある。
上記光拡散層の変色は、光拡散層に、金属酸化物微粒子を用いた場合に特に顕著となる。これは、金属酸化物微粒子が触媒として作用し、樹脂の酸化を促進するためと考えられる。
したがって、本発明の課題は、加熱プロセスにおける光拡散層の黄変が抑制され、光取り出し効率の向上に寄与する光取り出し部材を提供すること、及び、光取り出し部材を有する、光取り出し効率に優れる有機電界発光装置を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討し、透光性電極のパターニングにおいて、非発光領域に透光性電極と電気的に絶縁された透光性導電体パターンを、透光性電極と特定の間隔で設けることにより、加熱プロセスを経ても光拡散層の黄変を抑制し、高い光取出し効率を実現できることを見出した。
すなわち、上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
〔1〕
透光性基材上に、光拡散粒子と樹脂を含有する光拡散層を有し、上記光拡散層上に、透光性電極、及び上記透光性電極と電気的に絶縁された透光性導電体パターンを有し、
上記透光性電極と上記透光性導電体パターンとの間隔が5mm以下である、光取り出し部材。
〔2〕
上記光拡散層が、さらに金属酸化物微粒子を含有する〔1〕に記載の光取り出し部材。
〔3〕
上記透光性電極と上記透光性導電体パターンとが酸化インジウム錫からなる、〔1〕又は〔2〕に記載の光取り出し部材。
〔4〕
上記透光性電極と上記透光性導電体パターンとの間の距離は1mm以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光取り出し部材。
〔5〕
上記透光性電極と上記透光性導電体パターンとの間の距離は100μm以下である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の光取り出し部材。
〔6〕
〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の光取り出し部材を有する有機電界発光装置。
本発明によれば、加熱プロセスにおける光拡散層の黄変が抑制され、光取り出し効率の向上に寄与する光取り出し部材を提供することができる。また、光取り出し部材を有し、光取り出し効率が優れる有機電界発光装置を提供することができる。
本発明の光取り出し部材の一例を示す断面模式図である。 本発明の有機電界発光装置の一例を示す概略図である。 従来の有機電界発光装置を示す概略図である。
[光取り出し部材]
本発明の光取り出し部材は、透光性基材上に、光拡散粒子と樹脂を含有する光拡散層を有し、光拡散層上に、透光性電極、及び透光性電極と電気的に絶縁された透光性導電体パターンを有し、
透光性電極と透光性導電体パターンとの間隔が5mm以下である。
図1に本発明の光取り出し部材の一例の断面を表す模式図を示した。図1の光取り出し部材10は、透光性基材1の一方の面上に、光拡散粒子2と樹脂とを含有する光拡散層3を有し、光拡散層3の透光性基材1の反対側の面上に透光性電極4と、透光性電極4と電気的に絶縁された透光性導電体パターン5を有する。透光性電極4と透光性導電体パターン5との間隔は5mm以下である。
<透光性電極>
透光性電極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、又はこれらの混合物が好適に挙げられる。具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
透光性電極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、透光性電極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って、光拡散層上に形成することができる。例えば、透光性電極の材料として、ITOを選択する場合には、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。
透光性電極を形成する際のパターニングとしては、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等によって行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
透光性電極の厚みとしては、透光性電極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常、10nm〜10μm程度であり、50nm〜0.3μmが好ましい。
透光性電極の抵抗値としては、103Ω/□(Ω/s.q.)以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。透光性電極は、無色透明であっても、有色透明であってもよい。透光性電極側から発光を取り出すためには、その可視光透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
透光性電極については、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、ここに記載される事項を本発明に適用することができる。
透光性電極の形状、及び大きさは特に制限はなく、有機電界発光装置の用途、目的に応じて、適宜選択することができる。本発明では、特に、有機電界発光装置を照明機器に用いる場合は、光取出し効率の観点から、発光領域の最も短い一辺の長さが、0.1mm以上200mm以下であることが好ましく、0.1mm以上100mm以下であることがより好ましく、0.1mm以上50mm以下であることがさらに好ましく、この発光領域にあわせた透光性電極の大きさとすることが好ましい。
本発明の光取り出し部材を有機電界発光装置に用いる場合は、光取り出し部材の透光性電極を陽極として使用するのが好ましい。
<透光性導電体パターン>
本発明における透光性導電体パターンは、焼成などの加熱プロセスにおいて光拡散層を保護する機能を有する。
透光性導電体パターンの材料、厚み、形状、大きさ等は、透光性電極において記載したものと同様である。
透光性導電体パターンの材料と透光性電極の材料が同じである場合は、透光性電極を形成するためのパターニングの際に、透光性導電体パターンも同時に形成することが好ましい。
透光性導電体パターンは、透光性電極との間隔が5mm以下で設けられ、かつ透光性電極とは電気的に絶縁されている。
透光性電極と透光性導電体パターンの間の距離は、光取出し効率、外観の観点から5mm以下であり、1mm以下がより好ましく、100μm以下が更に好ましい。透光性電極と透光性導電体パターンの間隔の下限値は、透光性電極と透光性導電体パターンとが電気的に絶縁されていれば特に限定されない。
透光性導電体パターンと透光性電極とは電気的に絶縁されているが、透光性導電体パターンを前述の透光性電極とは異なる発光領域を発光させるための電極として用いてもよい。
<光拡散層>
本発明の光取り出し部材に含まれる光拡散層は入射した光を拡散させる機能を有する。
本発明における光拡散層は、光拡散粒子と樹脂(以下、「バインダー」とも呼ぶ)を含有する。
(バインダー)
光拡散層に含まれるバインダーは、ポリマーを含有してなることが好ましい。
ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)熱可塑性樹脂、(2)反応性硬化性樹脂と硬化剤との組み合わせ、又は(3)バインダー前駆体(後述する硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)と重合開始剤との組み合わせから得られるポリマー、などが挙げられる。
(1)熱可塑性樹脂
(1)の熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩ビニル−酸ビ共重合体樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリメタアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、イミド樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂が好ましく、フルオレン構造を有するアクリル又はメタクリルから誘導されるポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂がより好ましく、フルオレン構造を有するポリアクリル樹脂が特に好ましい。
(2)反応性硬化性樹脂と硬化剤との組み合わせ
(2)の反応性硬化性樹脂としては、熱硬化型樹脂及び/又は電離放射線硬化型樹脂を使用することが好ましい。
熱硬化型樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂などが挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラジカル重合性不飽和基{(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、スチリル基、ビニル基等}及び/又はカチオン重合性基(エポキシ基、チオエポキシ基、ビニルオキシ基、オキセタニル基等)の官能基を有する樹脂で、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの反応性硬化性樹脂に必要に応じて、架橋剤(エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、メラミン化合物等)、重合開始剤(アゾビス化合物、有機過酸化化合物、有機ハロゲン化合物、オニウム塩化合物、ケトン化合物等のUV光開始剤等)等の硬化剤、重合促進剤(有機金属化合物、酸化合物、塩基性化合物等)等の従来公知の化合物を加えて使用する。具体的には、例えば、山下普三、金子東助「架橋剤ハンドブック」(大成社、1981年刊行)記載の化合物が挙げられる。
(3)バインダー前駆体と重合開始剤との組み合わせから得られるポリマー
以下、硬化したバインダーの好ましい形成方法である(3)の組み合わせを用いて、光照射により硬化性化合物を架橋又は重合反応させて硬化したバインダーを形成する方法について、主に説明する。
バインダーの前駆体である光硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、ラジカル重合性官能基、及びカチオン重合性官能基のいずれでもよい。
ラジカル重合性官能基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基などが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロイル基が特に好ましく、分子内に2個以上のラジカル重合性基を含有する多官能モノマーを含有することが特に好ましい。
ラジカル重合性多官能モノマーとしては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する化合物から選ばれることが好ましい。好ましくは、分子中に2〜6個の末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。このような化合物群はポリマー材料分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー(即ち2量体、3量体及びオリゴマー)又はそれらの混合物、及びそれらの共重合体などの化学的形態をもつことができる。
ラジカル重合性モノマーとしては、例えば不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類などが挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が特に好ましい。
また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類やアミド類と、単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類との反応物も好適である。更に別の例として、前述の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物としては、例えばアルカンジオール、アルカントリオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサントリオール、イノシットール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン等が挙げられる。これら脂肪族多価アルコール化合物と、不飽和カルボン酸との重合性エステル化合物(モノエステル又はポリエステル)としては、例えば、特開2001−139663号公報の段落番号〔0026〕〜〔0027〕に記載の化合物が挙げられる。
その他の重合性エステルとしては、例えば、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報等に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開平2−226149号公報等に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を有するもの等も好適に用いられる。
更に脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とから形成される重合性アミドの具体例としては、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、特公昭54−21726号公報記載のシクロヘキシレン構造を有するもの等を挙げることができる。
更にまた、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物(特公昭48−41708号公報等)、ウレタンアクリレート類(特公平2−16765号公報等)、エチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物(特公昭62−39418号公報等)、ポリエステルアクリレート類(特公昭52−30490号公報等)、更に、日本接着協会誌20巻7号 300〜308頁(1984年)に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマーも使用することができる。これらラジカル重合性の多官能モノマーは、2種類以上を併用してもよい。
次に、光拡散層のバインダーの形成に用いることができるカチオン重合性基含有の化合物(以下、「カチオン重合性化合物」又は「カチオン重合性有機化合物」とも称する)について説明する。
カチオン重合性化合物は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/又は架橋反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、環状チオエーテル化合物、環状エーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニル炭化水素化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができる。カチオン重合性有機化合物のうちの1種を用いても2種以上を用いてもよい。
カチオン重合性基含有化合物としては、1分子中のカチオン重合性基の数は2〜10個が好ましく、2〜5個がより好ましい。カチオン重合性基含有化合物の重量平均分子量は、3000以下が好ましく、200〜2000がより好ましく、400〜1500が更に好ましい。重量平均分子量が、200以上であれば、皮膜形成過程での揮発が問題となるなどの不都合が生じることがなく、3000以下であれば、光拡散層形成材料との相溶性が悪くなるなどの問題を生じないので好ましい。
エポキシ化合物としては、例えば脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物などが挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのホモポリマー、コポリマーなどを挙げることができる。更に、前述のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。また、脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、又は不飽和脂環族環(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロオクテン、トリシクロデセン等)含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。
芳香族エポキシ化合物としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価もしくは多価のフェノール、又はそのアルキレンオキサイド付加体のモノもしくはポリグリシジルエーテルを挙げることができる。これらのエポキシ化合物として、例えば、特開平11−242101号公報中の段落番号〔0084〕〜〔0086〕に記載の化合物、特開平10−158385号公報中の段落番号〔0044〕〜〔0046〕に記載の化合物等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、脂環式エポキシドが更に好ましい。エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
環状チオエーテル化合物としては、エポキシ化合物のエポキシ環の代わりに、チオエポキシ環を有する化合物が挙げられる。
環状エーテル化合物としてのオキセタニル基を含有する化合物としては、具体的には、例えば特開2000−239309号公報の段落番号〔0024〕〜〔0025〕に記載の化合物等が挙げられる。これらの化合物は、エポキシ基含有化合物と併用することが好ましい。
スピロオルソエステル化合物としては、例えば特表2000−506908号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
ビニル炭化水素化合物としては、例えばスチレン化合物、ビニル基置換脂環炭化水素化合物(ビニルシクロヘキサン、ビニルビシクロヘプテン等)、ラジカル重合性モノマーで記載の化合物、プロペニル化合物{“J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry”,32巻2895頁(1994年)記載等}、アルコキシアレン化合物{“J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry”,33巻2493頁(1995年)記載等}、ビニル化合物{“J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry”,34巻1015頁(1996年)、特開2002−29162号公報等記載}、イソプロペニル化合物{“J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry”,34巻2051頁(1996年)記載等}などが挙げられる。これらは2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、多官能性化合物は、前述のラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも各1種を少なくとも分子内に含有する化合物を用いることが好ましい。例えば、特開平8−277320号公報中の段落番号〔0031〕〜〔0052〕に記載の化合物、特開2000−191737号公報中の段落番号〔0015〕に記載の化合物等が挙げられる。本発明に供される化合物は、これらに限定されるものではない。
以上述べたラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを、ラジカル重合性化合物:カチオン重合性化合物の質量比率で、90:10〜20:80の割合で含有していることが好ましく、80:20〜30:70の割合で含有していることがより好ましい。
−重合開始剤−
バインダーには、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
重合開始剤は、光及び/又は熱照射により、ラジカルもしくは酸を発生する化合物が好ましい。光重合開始剤は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、取り扱いを白灯下で実施することができる。また、近赤外線領域に極大吸収波長を持つ化合物を用いることもできる。
ラジカルを発生する化合物は、光及び/又は熱照射によりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を、開始、促進させる化合物を指す。公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを、適宜、選択して用いることができる。また、ラジカルを発生する化合物は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
ラジカルを発生する化合物としては、例えば、従来公知の有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤等の熱ラジカル重合開始剤、有機過酸化化合物(特開2001−139663号公報等)、アミン化合物(特公昭44−20189号公報記載)、メタロセン化合物(特開平5−83588号公報、特開平1−304453号公報等記載)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物(米国特許第3,479,185号明細書等記載)、ジスルホン化合物(特開平5−239015号公報、特開昭61−166544号公報等)、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、有機ホウ酸化合物、ホスフィンオキサイド化合物、ホスホナート化合物等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。ラジカル発生剤としてより好ましくは、ホスフィンオキサイド化合物、ホスホナート化合物であり、特に好ましくはアシルフォスフィンオキサイド、アシルホスホナート等が挙げられ、具体的にはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである。
有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林等の“Bull.Chem.Soc Japan”,42巻2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号公報、M.P.Hutt,“J.Heterocyclic Chemistry”,1巻(3号)、(1970年)」等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。
カルボニル化合物としては、例えば、「最新 UV硬化技術」60ページ〜62ページ[株式会社技術情報協会刊、1991年]、特開平8−134404号公報の段落番号〔0015〕〜〔0016〕、特開平11−217518号公報の段落番号〔0029〕〜〔0031〕に記載の化合物などが挙げられる。また、アセトフェノン系、ヒドロキシアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサン系、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体、ベンジルジメチルケタール、アシルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martin,“Rad.Tech’98.Proceeding April 19〜22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物が挙げられる。例えば、特開2002−116539号公報の段落番号〔0022〕〜〔0027〕に記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
これらのラジカル発生化合物は、1種のみを添加しても、2種以上を併用してもよい。添加量としては、ラジカル重合性モノマー全量に対し、0.1質量%〜30質量%が好ましく、0.5質量%〜25質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%が更に好ましい。前述の添加量の範囲において、光拡散層形成材料の経時安定性が問題なく高い重合性となる。
次に、光重合開始剤として用いることができる光酸発生剤について詳述する。
光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、又はマイクロレジスト等に使用されている公知の光酸発生剤等、公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。また、光酸発生剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物、オニウム化合物などが挙げられる。これらの中でも、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物が特に好ましい。有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物の具体例は、ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。
オニウム化合物としては、例えばジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられ、例えば特開2002−29162号公報の段落番号〔0058〕〜〔0059〕に記載の化合物、などが挙げられる。
酸発生剤としては、オニウム塩が特に好適に用いられ、中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。
オニウム塩の具体例としては、例えば、特開平9−268205号公報の段落番号〔0035〕に記載のアミル化されたスルホニウム塩、特開2000−71366号公報の段落番号〔0010〕〜〔0011〕に記載のジアリールヨードニウム塩又はトリアリールスルホニウム塩、特開2001−288205号公報の段落番号〔0017〕に記載のチオ安息香酸S−フェニルエステルのスルホニウム塩、特開2001−133696号公報の段落番号〔0030〕〜〔0033〕に記載のオニウム塩等が挙げられる。
光酸発生剤の他の例としては、特開2002−29162号公報の段落番号〔0059〕〜〔0062〕に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、光分解してスルホン酸を発生する化合物(イミノスルフォネート等)等の化合物が挙げられる。
これらの酸発生剤は、1種のみをそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。酸発生剤の添加量は、全カチオン重合性モノマーの全質量に対し0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜15質量%がより好ましく、1質量%〜10質量%が更に好ましい。添加量が、前述の範囲において、光拡散層形成材料の安定性、重合反応性等から好ましい。
光拡散層形成材料は、ラジカル重合性化合物又はカチオン重合性化合物の合計質量に対して、ラジカル重合開始剤を0.5質量%〜10質量%又はカチオン重合開始剤を1質量%〜10質量%の割合で含有していることが好ましく、ラジカル重合開始剤を1質量%〜5質量%、又はカチオン重合開始剤を2質量%〜6質量%の割合で含有することがより好ましい。
−溶媒−
溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばアルコール類、ケトン類、エステル類、アミド類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。具体的には、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート等)、ケトン(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エステル(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、乳酸エチル等)、脂肪族炭化水素(例えばヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例えばメチルクロロホルム等)、芳香族炭化水素(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)、アミド(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等)、エーテル(例えばジオキサン、テトラハイドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等)、エーテルアルコール(例えば1−メトキシ−2−プロパノール、エチルセルソルブ、メチルカルビノール等)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、芳香族炭化水素、ケトン類が好ましく、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンがより好ましく、トルエン、キシレンが特に好ましい。
(光拡散粒子)
光拡散粒子としては、光を拡散可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機粒子であっても、無機粒子であってもよく、2種以上の粒子を含有していても構わない。
有機粒子としては、例えばポリメチルメタクリレート粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、アクリル−スチレン共重合体粒子、メラミン粒子、ポリカーボネート粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、ポリ塩化ビニル粒子、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子、などが挙げられる。
無機粒子としては、例えばZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、などが挙げられる。これらの中でも、TiO、ZrO、ZnO、SnOが特に好ましい。
これらの中でも、光拡散粒子としては、耐溶剤性とバインダー中の分散性の点で架橋状態の樹脂粒子が好ましく、架橋ポリメチルメタクリレート粒子が特に好ましい。
光拡散粒子が、架橋状態の樹脂粒子であることは、溶剤、例えばトルエン中に分散させ、樹脂粒子の溶け難さを見ることで確認することができる。
光拡散粒子の屈折率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0以上3.0以下が好ましく、1.2以上2.0以下がより好ましく、1.3以上1.7以下が更に好ましい。屈折率が、1.0以上3.0以下であると、光拡散(散乱)が強くなりすぎないため、光取り出し効率が向上しやすい。
光拡散粒子の屈折率は、例えば自動屈折率測定器(KPR−2000、株式会社島津製作所製)を用い、屈折液の屈折率を測定してから、精密分光計(GMR−1DA、株式会社島津製作所製)で、シュリブスキー法により測定することができる。
光拡散粒子の平均粒径は、0.5μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上6μm以下がより好ましく、1μm以上3μm以下が更に好ましい。光拡散粒子の平均粒径が、10μm以下であると、光が前方散乱になりにくく、光拡散粒子による光の角度を変換する能力が低下しにくい。光拡散粒子の平均粒径が、0.5μm以上であると、可視光の波長より小さくならず、ミー散乱がレイリー散乱の領域に変化しにくいため、光拡散粒子の散乱効率の波長依存性が大きくならず、有機電界発光装置の色度が変化しにくく、また、後方散乱が強くなりすぎず、光取り出し効率が低下しにくい。
光拡散粒子の平均粒径は、例えば日機装株式会社製ナノトラックUPA−EX150等の動的光散乱法を利用した装置や、電子顕微鏡写真の画像処理により測定することができる。
光拡散層における光拡散粒子の含有量は、30体積%以上66体積%以下が好ましく、40体積%以上60体積%以下がより好ましく、45体積%以上55体積%以下が特に好ましい。含有量が、30体積%以上であると、光拡散層に入射してきた光が光拡散粒子に散乱される確率が高く、光拡散層の光角度を変換する能力が大きいので、光拡散層の厚みを大きくしなくても光取り出し効率が向上する。また、光拡散層の厚みを大きくしなくてよいためコスト低減に繋がり、光拡散層の厚みのバラツキが小さくなり、発光面内の散乱効果にバラツキが生じにくい。一方、含有量が、66体積%以下であると、光拡散層の表面が大きく荒れすぎず、内部にも空洞が生じにくいため、光拡散層の物理的強度が低下しにくい。
(金属酸化物微粒子)
本発明における光拡散層は、光取り出し効率向上の観点から、金属酸化物微粒子を含有するのが好ましい。
金属酸化物微粒子としては、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン等があげられるが、特にプロセス安定性の観点から、光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子が特に好ましい。
酸化チタン微粒子の一次平均粒径は、1nm〜30nmが好ましく、1nm〜25nmがより好ましく、1nm〜20nmが更に好ましい。一次平均粒径が、30nm以下であれば、分散液が白濁せず、沈降が起きにくいため好ましく、1nm以上であれば、結晶構造がはっきりしてアモルファスにならず、経時でゲル化などの変化が起こりにくいため好ましい。
一次平均粒径は、例えば、X線回折装置で測定された回折パターンの半値幅からの計算や電子顕微鏡(TEM)撮影像の直径からの統計計算などにより測定することができる。
酸化チタン微粒子の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、又は不定形状が好ましい。酸化チタン微粒子は、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上を併用して用いることもできる。
光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子は、光触媒活性を有していなければ特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(1)酸化チタン微粒子表面をアルミナ、シリカ、及びジルコニアの少なくとも1種で被覆した酸化チタン微粒子、(2)上記(1)の被覆した酸化チタン微粒子の被覆表面に樹脂を被覆してなる酸化チタン微粒子などが挙げられる。樹脂としては、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)などが挙げられる。
光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子が、光触媒活性を有さないことの確認は、例えばメチレンブルー法により行うことができる。
光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子における酸化チタン微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼが主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。
酸化チタン微粒子は、酸化チタン以外の金属酸化物を添加して複合化させても構わない。
酸化チタン微粒子に複合化させることができる金属酸化物としては、Sn、Zr、Si、Zn、及びAlから選択される少なくとも1種の金属酸化物が好ましい。
金属酸化物のチタンに対する添加量は、1モル%〜40モル%が好ましく、2モル%〜35モル%がより好ましく、3モル%〜30モル%が更に好ましい。
光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子の含有量は、光拡散層中、10体積%以上50体積%以下であることが好ましく、10体積%以上40体積%以下がより好ましく、20体積%以上40体積%以下が更に好ましい。含有量が、10体積%以上であると、光拡散層の屈折率を上げる作用に優れ、光取り出し効果が向上し、50体積%以下であれば、レイリー散乱が強くならず、光取り出し効果が抑制されにくい。
本発明においては、バインダーの屈折率Aと光拡散粒子の屈折率Bとの屈折率差|A−B|(絶対値)は、0.2以上1.0以下であることが好ましく、0.2以上0.5以下がより好ましく、0.2以上0.4以下が更に好ましい。屈折率差|A−B|が、0.2以上であると、光拡散(散乱)が弱くなりすぎず、光取り出し効率が向上しやすく、1.0以下であると、光拡散(散乱)が強くなりすぎず、光取り出し効率が向上しやすい。
光拡散層の平均厚みは、1μm以上10μm以下が好ましく、2μm以上8μm以下がより好ましく、3μm以上6μm以下が特に好ましい。平均厚みが、1μm以上であると、十分な光拡散が得られ、光取り出し効率が向上しやすく、10μm以下であると、光散乱が強くなりすぎず、光取り出し効率が向上しやすい。
光拡散層の平均厚みは、例えば光拡散層の一部を切り取り、走査型電子顕微鏡(S−3400N、日立ハイテク株式会社製)で測定して、求めることができる。
光拡散層は、上記各種材料を、透明基板の上方に、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、エクストルージョンコート法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、光及び/又は熱照射することにより作製することができる。好ましくは、光照射による硬化が、迅速硬化の点から有利である。更には、光硬化処理の後、光重合開始剤による拡散層の硬化(重合反応)を止める上で加熱処理することも好ましい。この場合、加熱温度としては、60℃〜105℃が好ましく、70℃〜100℃がより好ましく、70℃〜90℃が更に好ましい。
光照射の光源は、光重合開始剤の反応する波長(吸収波長)付近であればいずれでもよく、吸収波長が紫外領域の場合、光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長350nm〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。また、吸収波長が赤外領域の場合、光源としてはハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプが挙げられ、波長750nm〜1,400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。
光照射による光ラジカル重合の場合は、空気又は不活性気体中で行うことができるが、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、又は重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。酸素濃度範囲は0〜1,000ppmが好ましく、0〜800ppmがより好ましく、0〜600ppmが更に好ましい。照射する紫外線の照射強度は、0.1mW/cm〜100mW/cmが好ましく、塗布膜表面上での光照射量は、100mJ/cm〜10,000mJ/cmが好ましく、100mJ/cm〜5,000mJ/cmがより好ましく、100mJ/cm〜1,000mJ/cmが特に好ましい。光照射量が、100mJ/cm未満であると、光拡散層が十分に硬化せず、光拡散層上に平坦化層を塗布する際に溶解、また、基板洗浄時に崩壊することがある。一方、光照射量が、10,000mJ/cmを超えると、光拡散層の重合が進み過ぎ表面が黄変し、透過率が低下し、光取り出し効率が低下することがある。また、光照射工程での温度は、15℃〜70℃が好ましく、20℃〜60℃がより好ましく、25℃〜50℃が特に好ましい。温度が、15℃未満であると、光重合による光拡散層の硬化に時間がかかることがあり、70℃を超えると、光重合開始剤自体に影響を及ぼし、光重合(硬化)できなくなることがある。
本発明の光拡散層は、表面が凹凸形状を有している場合は、平坦化層を設けてもよい。これにより、光拡散粒子の密度を増加させても後方散乱の増加を抑制できる。また、平坦化することで異物付着が防止される。
光拡散層の光出射面を平坦にする方法としては、例えば光拡散層から光拡散粒子を取り除いた組成物を平坦化層として光拡散層上に積層する方法などが挙げられる。
<平坦化層>
平坦化層としては、光拡散層において光拡散粒子を含まない組成であることが好ましく、光拡散層と同様にして形成することができる。
平坦化層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜10μmが好ましく、2μm〜8μmがより好ましく、3μm〜7μmが特に好ましい。平坦化層の平均厚みが、1μm以上であると、突出した光拡散層の表面を平坦化することができ、10μm以下であると、平坦化層の光の吸収により光取り出し能が低下しにくい。
光拡散層と平坦化層の合計平均厚みは、2μm〜15μmが好ましく、3μm〜14μmがより好ましく、5μm〜12μmが特に好ましい。合計平均厚みが2μm以上あれば十分な拡散、平坦化ができ、15μm以下であれば、平坦化層での吸収、光拡散層での過剰な拡散により光取り出し効率が低下することがない。
平坦化層の屈折率は、光取り出し効率の観点から、1.7以上2.2以下が好ましく、1.7以上2.1以下がより好ましく、1.7以上2.0以下が更に好ましい。
平坦化層の屈折率は、光拡散層の屈折率と同等乃至高いことが好ましい。
<透光性基材>
本発明の光取り出し部材における透光性基材としては、その形状、構造、大きさ、材料等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、形状としては、例えば平板状などが挙げられ、構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、大きさとしては、光取り出し部材の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
透光性基材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ガラス(無アルカリガラス、ソーダライムガラス等)等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂が好ましく、ロールでの塗布適性の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
透光性基材の表面は、その上に設ける光拡散層との密着性を向上させるため、表面活性化処理を行うことが好ましい。表面活性化処理としては、例えばグロー放電処理、コロナ放電処理などが挙げられる。
透光性基材は、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
透光性基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。
透光性基材の屈折率は、1.3以上1.8以下が好ましく、1.4以上1.7以下がより好ましく、1.4以上1.6以下が更に好ましい。透光性基材の屈折率が、1.3以上であると、透光性基材と光拡散層の屈折率差が大きくなりすぎず、光拡散層からの光が入射する際、フレネル反射が強くなりすぎず、光取り出し効率が向上しやすい。透光性基材の屈折率が、1.8以下であると、基材と空気(光出射側)の屈折率差が大きくなりすぎず、フレネル反射が強くなりすぎず、光取り出し効率が向上しやすい。
[有機電界発光装置]
本発明の有機電界発光装置は、光取り出し部材を有するものであり、光取り出し部材の透光性電極側に有機電界発光層を含む有機層、及び第二の電極(好ましくは反射電極)をこの順に有することが好ましい。
また、有機電界発光装置は、封止缶内に、少なくとも、反射電極、有機電界発光層が封入されていることが好ましく、封止缶内に、透光性電極、反射電極、有機電界発光層、及び光拡散層が封入されていることがより好ましい。
本発明の有機電界発光装置は、透光性電極と光拡散層との間に、バリア層を有することも好ましい。
有機発光層を含む有機層は特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
図2に本発明の有機電界発光装置の一例の断面を表す模式図を示した。図2の有機電界発光装置20は、図1の光取り出し部材10の透光性電極4の上に有機電界発光層を含む有機層7、及び第二の電極8をこの順に有する。
なお、従来の有機電界発光装置の一例の断面を表す模式図を図3に示した。図3の従来の有機電界発光装置は、透光性電極をパターニングして電極として使用する部分以外の部分を除去するため、図2の透光性導電体パターン5が存在しない。
本発明の有機電界発光装置の製造方法は、透光性基板上に、光拡散層形成材料を塗布し、光拡散層を形成する光拡散層形成工程と、
光拡散層上に、光拡散層形成材料から光拡散粒子を除いた平坦化層形成材料を塗布し、平坦化層を形成する平坦化層形成工程と、
平坦化層上に、透光性電極材料を成膜し、パターニングすることによって、透光性電極と、この透光性電極とは電気的に絶縁された透光性導電体パターンを、5mm以下の間隔で作製する工程と、
透光性電極上に、有機発光層を含む有機層と反射電極を形成する工程と、
を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
光拡散層形成工程が、光拡散層形成材料に重合開始剤を添加してから24時間以内に行われ、
平坦化層形成工程が、平坦化層形成材料に重合開始剤を添加してから24時間以内に行われることが、光拡散層形成材料及び平坦化層形成材料の重合が進行して徐々に粘度が変化し、塗布後の膜厚異常、硬化不足などを防ぐことができる点で好ましい。
<反射電極>
反射電極は、陰極として用いられ、通常、有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
反射電極を構成する材料としては、例えば、単体金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独の材料から構成されていてもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上の材料を好適に組み合わせて構成された陰極を使用することもできる。
なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されており、これらの広報に記載の材料は、本発明においても適用することができる。
陰極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前述の陰極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。例えば、陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
陰極を形成するに際してのパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
陰極の厚みは、陰極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜1μmが好ましい。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1〜10nmの厚さに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
(封止缶)
封止缶としては、透光性電極、反射電極、有機発光層を含む有機層、平坦化層、及び光拡散層を含む積層体が封入できる大きさ、形状、構造などを有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
封止缶と透光性電極、反射電極、有機発光層を含む有機層、平坦化層、及び光拡散層を含む積層体の間の空間には、水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。
水分吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウムなどが挙げられる。
不活性液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類;パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤;塩素系溶剤、シリコーンオイル類などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<有機電界発光装置の作製>
−平坦化層用塗布材料1の調製−
表面をアルミナ及びジルコニアで被覆した酸化チタン分散液(平均一次粒径15nmの酸化チタン微粒子が分散、屈折率2.45)「材料名:酸化チタン分散トルエン、商品名:高透明性酸化チタンスラリーHTD−760T、テイカ社製」と、樹脂材料「材料名:フルオレン誘導体(アクリレート)、商品名:オグソールEA−0200、大阪ガスケミカル社製」(以下、「バインダー」ともいう)と、トルエンをローラー、スターラーにより攪拌して溶解させ、更に超音波(ソニファイヤー)により酸化チタン粒子(金属酸化物ナノ粒子)をバインダーに十分に分散させた。酸化チタン粒子と樹脂材料の含有体積比率は25:75とした。このようにして、酸化チタン分散バインダー塗布液1を得た。
最後に重合開始剤(IRGACURE819、BASF社製)を添加して、平坦化層用塗布材料1を得た。
−光拡散層用塗布材料の調製−
酸化チタン分散バインダー塗布液1に光拡散粒子(平均直径1.5μmの架橋アクリル系粒子、屈折率1.49)「材料名:EX−150、綜研化学社製」、及びトルエンをスターラーにて攪拌しながらドープした。酸化チタン分散バインダー塗布液1の固形分と光拡散粒子の含有体積比率は50:50とした。更に超音波(ソニファイヤー)にて光拡散粒子を基材に十分に分散させ、更にスターラー等で良く攪拌した。
最後に拡散層の塗布材料に重合開始剤(IRGACURE819、BASF社製)を添加して、光拡散層用塗布材料1を得た。
酸化チタン分散バインダー塗布液1の硬化後の屈折率は1.8、光拡散粒子の屈折率は1.49であるため、屈折率差が十分に大きく、薄膜でも光取り出しに十分な拡散を得ることができる。
−ガラス基板表面処理−
ガラス基板はシランカップリング処理を行い、光拡散層−ガラス間の密着性を高めた。
−光拡散層の成膜−
洗浄し、表面処理した5cm角のガラス基板にワイヤーバーを用いて光拡散層用塗布材料1を塗布し、その後、UV照射(365nm)を10分間行い硬化させ、光拡散層を形成した(膜厚5μm、屈折率1.76)。
−平坦化層の成膜−
光拡散層の上にワイヤーバーを用いて平坦化層用塗布材料1を塗布し、UV照射を行い硬化させ、平坦化層を形成した(膜厚6μm、屈折率1.76)。
−透光性電極及び透光性導電体パターンの形成−
平坦化層上に、ITOを真空蒸着装置によってスパッタ蒸着して透光性電極と透光性導電体パターンを同時成膜した。透光性電極と透光性導電体パターンの膜厚は100nmとした。蒸着において、シャドウマスクにより、透光性電極と透光性導電体パターンとの間の距離が5mmとなるようにした。透光性電極(図2の符号4)と透光性導電体パターン(図2の符号5)の構成を表す模式図を図2に記載した。ITO成膜後、大気雰囲気下において、240℃で1時間焼成した。焼成後、基板を純水で超音波洗浄し、その後、120℃で2時間乾燥した。
−有機発光層を含む有機層、及び陰極の形成−
上記透光性電極(図2の符号4)上に、HATCN(ヘキサアザトリフェニレン ヘキサカルボニトリル)を厚み10nmとなるように真空蒸着して正孔注入層を形成した。
正孔注入層上に、α−NPD(Bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine)を厚み500nmとなるように真空蒸着して、第一の正孔輸送層を形成した。
第一の正孔輸送層上に、下記構造式で表される有機材料Aを厚み5nmとなるように真空蒸着して、第二の正孔輸送層を形成した。
Figure 2015082397
次に、第二の正孔輸送層上に、MCP(メタ−ジカルバゾリルベンゼン)をホスト材料として、このホスト材料に対して40質量%の燐光発光材料である下記構造式で表される発光材料Aをドープした材料を厚み30nmとなるように真空蒸着して、有機発光層を形成した。
Figure 2015082397
有機発光層上に、下記構造式で表されるBAlq(Bis−(2−methyl−8−quinolinolato)−4−(phenyl−phenolate)−aluminium(III))を厚み39nmとなるように真空蒸着して、第一の電子輸送層を形成した。
Figure 2015082397
第一の電子輸送層上に、下記構造式で表されるBCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)を厚み1nmとなるように真空蒸着して、第二の電子輸送層を形成した。
Figure 2015082397
第二の電子輸送層上にLiFを厚み1nmとなるように蒸着して電子注入層を形成した。
(反射電極形成工程)
電子注入層の上にアルミニウムを厚み200nmとなるように蒸着して、反射電極を形成した。
(封止工程)
窒素ガス雰囲気中にて乾燥剤を貼り付け、透光性基板との設置面に封止材を塗った封止ガラス缶にて、透光性基板以外の構成要素を封止した。
本デバイスでの有機電界発光装置の発光領域の大きさは、30mm×30mmとした。
[実施例2〜5]
透光性電極と透光性導電体パターンとの間隔を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2から4の有機電界発光装置を作製した。
光拡散層に金属酸化物ナノ粒子を含有しないように変更した以外は、実施例3と同様にして、実施例5の有機電界発光装置を作製した。
[比較例1及び2]
透光性電極と透光性導電体パターンとの間隔と、光拡散層の金属酸化物ナノ粒子を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1及び2の有機電界発光装置を作製した。
[比較例0]
光拡散層、及び平坦化層を設けない以外は比較例1と同様にして比較例0の有機電界発素子を作成した。後述するように、比較例0を基準として、他の有機電界発光装置の光取り出し効率を評価した。
作製した有機電界発光装置について、以下のようにして、光取り出し効率、及び外観を評価した。
<光取り出し効率>
東陽テクニカ株式会社製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧を各有機電界発光装置に2mA/cmの電流値になるよう電圧を印加して発光させた。有機EL素子は積分球に配置し光量を測定した。同様に測定した比較例0の有機EL素子との光量比率(下式)にて光取出し効率を求めた。
各実施例及び比較例の光量/比較例0の光量×100(%)=光取り出し効率
<外観判定>
作製した有機電界発光装置外観を観察し、次の基準で判定した。
A:黄変がほぼ、認められないもの
B:黄変が認められるものの目立たないもの
C:黄変が明らかに認められるもの
結果を下記表1に記載した。
Figure 2015082397
表1の結果から、実施例1〜5は、いずれも光取り出し効率が高く、かつ良好な外観が得られることが分かった。
1 透光性基材
2 光拡散粒子
3 光拡散層
4 透光性電極(陽極)
5 透光性導電体パターン
7 有機電界発光層を含む有機層
8 反射電極(陰極)
9 発光領域
10 光取り出し部材
20 有機電界発光装置
L 透光性電極と透光性導電体パターンとの間隔

Claims (6)

  1. 透光性基材上に、光拡散粒子と樹脂を含有する光拡散層を有し、前記光拡散層上に、透光性電極、及び該透光性電極と電気的に絶縁された透光性導電体パターンを有し、
    前記透光性電極と前記透光性導電体パターンとの間隔が5mm以下である、光取り出し部材。
  2. 前記光拡散層が、さらに金属酸化物微粒子を含有する請求項1に記載の光取り出し部材。
  3. 前記透光性電極と前記透光性導電体パターンとが酸化インジウム錫からなる、請求項1又は2に記載の光取り出し部材。
  4. 前記透光性電極と前記透光性導電体パターンとの間の距離は1mm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光取り出し部材。
  5. 前記透光性電極と前記透光性導電体パターンとの間の距離は100μm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光取り出し部材。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の光取り出し部材を有する有機電界発光装置。
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