JP2004031221A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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中村 亮
Kentaro Shirato
白土 健太郎
Toshihiko Baba
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Abstract

【課題】光取り出し効率が改善され、表示素子の輝度が向上された有機エレクトロルミネッセンス素子を得る。
【解決手段】基板1上に、透明電極3、少なくとも発光層を含む有機化合物層4及び背面電極5を少なくとも積層した発光素子の発光側表面に、凹凸の周期長(P)が0.7μm以上10μm以下、且つ凹凸の高低差(d)が0.1μm以上10μm以下の二次元周期構造を有する透過型微細凹凸構造12を有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光取り出し効率の優れた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0002】
【従来技術】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、電界を印加するすることにより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子の再結合エネルギーにより蛍光性物質が発光する原理を利用した自発光素子である。C.W.Tangらによる積層型素子による低電圧駆動有機エレクトロルミネッセンス素子の報告{C.W.Tang、S.A.VanSlyke、アプライドフィジックスレターズ(Applied  Physics Letters)、51巻、913頁、1987年など}がなされて以来、有機材料を構成材料とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する研究が行われている。Tangらは、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを発光層に、トリフェニルジアミン誘導体を正孔輸送層に用いている。積層構造の利点としては、発光層への正孔の注入効率を高めること、陰極より注入された電子をブロックして再結合により生成する励起子の生成効率を高めること、発光層内で生成した励起子を閉じこめることなどが挙げられる。この例のように有機エレクトロルミネッセンス素子の素子構造としては、正孔輸送(注入)層、電子輸送性発光層の2層型、又は正孔輸送(注入)層、発光層、電子輸送(注入)層の3層型等がよく知られている。こうした積層型構造素子では注入された正孔と電子の再結合効率を高めるため、素子構造や形成方法の工夫がなされている。
【0003】
しかしながら、有機エレクトロルミネッセンス素子においてはキャリア再結合の際にスピン統計の依存性により一重項生成の確率に制限があり、従って発光確率に上限が生じる。この上限の値はおよそ25%と知られている。更に有機エレクトロルミネッセンス素子においてはその発光体の屈折率の影響のため、臨界角以上の出射角の光は全反射を起こし外部に取り出すことができない。このため発光体の屈折率が1.6とすると、発光量全体の20%程度しか有効に利用できず、エネルギーの変換効率の限界としては一重項生成確率を併せ全体で5%程度と低効率とならざるを得ない(筒井哲夫「有機エレクトロルミネッセンスの現状と動向」、月刊ディスプレイ、vol.1、No.3、p.11、1995年9月)。発光確率に強い制限の生じる有機エレクトロルミネッセンス素子においては、光の取り出し効率は致命的ともいえる効率の低下を招くことになる。
【0004】
この光の取り出し効率を向上させる手法としては、従来無機エレクトロルミネッセンス素子などの、同等な構造を持つ発光素子において検討されてきた。例えば、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号)や、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号)が提案されている。しかしながら、これらの方法は、発光面積の大きな素子に対しては有効であるが、ドットマトリクスディスプレイ等の画素面積の微小な素子においては、集光性を持たせるレンズや側面の反射面等の形成加工が困難である。更に有機エレクトロルミネッセンス素子においては発光層の膜厚が数μm以下となるためテーパー状の加工を施し素子側面に反射鏡を形成することは現在の微細加工の技術では困難であり、大幅なコストアップをもたらす。
【0005】
また基板ガラスと発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法が特開昭62−172691号に記載されているが、この方法は、前方への光の取り出し効率の改善効果はあるが、全反射を防ぐことはできない。したがって、屈折率の大きな無機エレクトロルミネッセンスに対しては有効であっても、比較的低屈折率の発光体である有機エレクトロルミネッセンス素子に対しては大きな改善効果をあげることはできない。
【0006】
また、基板ガラスと発光体との間に回折格子又はゾーンプレートを構成要素として形成して、光の取り出し効率を向上させる方法が特許第2991183号に記載されている。この方法は、発光層と基板との間に透過型又は反射型の回折格子又はゾーンプレートを設けることにより、該界面において低減された出射角をもち再び素子外部の界面に達し、結果的に光取り出し面に対する入射角を変化させる(低減させる)ことができるため、光取り出し面において全反射を起こすことなく外部に取り出されることをその原理とするものである。しかしながら、この方法によっても取り出し効率は十分ではなく、また、製造プロセスの大幅な変更が必要であり、コストアップをもたらすという問題があった。
【0007】
更に、基板ガラスと発光体の間に低屈折率を持つ平坦層を導入し、大気への取り出し率を高くする方法が特開2001−202827号に記載されているが、この方法でも製造プロセスの大幅な変更が必要であり、コストアップをもたらす。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、有機エレクトロルミネッセンス素子に有用な光の取り出し方法は未だ不十分であり、この光の取り出し方法の開拓が有機エレクトロルミネッセンス素子の高効率化に不可欠である。
【0009】
従って、本発明の目的は、光取り出し効率が改善され、表示素子の輝度が向上された有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。
本発明の更なる目的は、製造プロセスが容易な、光取り出し効率が改善され、表示素子の輝度が向上された有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成されることが見出された。
1.基板上に、透明電極、少なくとも発光層を含む有機化合物層及び背面電極を少なくとも積層した発光素子の発光側表面に、凹凸の周期長(P)が0.7μm以上10μm以下、且つ凹凸の高低差(d)が0.1μm以上10μm以下の二次元周期構造を有する透過型微細凹凸構造を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0011】
2.基板上に透明電極、少なくとも発光層を含む有機化合物層及び背面電極を少なくとも積層した発光素子の発光側表面に、凹凸の周期長(P)が0.7μm以上10μm以下、且つ凹凸の高低差(d)が0.1μm以上10μm以下の二次元周期構造の微細凹凸を有する透過型光学フィルムを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0012】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板上に、透明電極、少なくとも発光層を含む有機化合物層及び背面電極を少なくとも積層した発光素子の発光側表面、すなわち発光素子の発光表面と大気との界面である光取り出し面に、特定形状の透過型微細凹凸構造を設けることを特徴とするものである。
【0013】
本発明者らは、従来の方法において一定の光取り出し効率が改善されるものの、依然十分な光取り出し効率が達成できない現状を種々検討した結果、発光表面と大気との界面である光取り出し面においてなお、全反射するような入射角で到達する光が存在し、それにより取り出し効率が低減していることを見出し、該界面に特定形状の透過型微細凹凸構造を設けることにより、該入射角で到達した光をも外部に効率よく取り出すことができることを見出したものである。本発明によれば、該特定形状の凹凸構造の回折現象により、全反射角以上の入射光を取り出すことができ、光取り出し効率が大幅に向上する。
【0014】
更に、該透過型微細凹凸構造は、発光素子の最表面に設けられるため、発光素子自体の製造プロセスを変更させる必要がなく、製造上有利である。特に、該透過型微細凹凸構造は、上記特定形状の微細凹凸構造を有する透過型光学フィルムを発光素子の発光側表面に設けることにより、容易に設定することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳述する。
図1及び図2に本発明における発光素子の概略図を示した。図1及び図2において、1は基板、3は透明電極、4は有機化合物層、5は背面電極を示す。
【0016】
前記凹凸構造12は、発光素子の発光側最表面に、すなわち、前記発光積層体6において、例えば、基板1、透明電極3、有機化合物層4及び背面電極5がこの順に積層される場合には、該基板1側の最表面上に形成され(図1参照)、基板1、背面電極5、有機化合物層4及び透明電極3がこの順に積層される場合には、該透明電極側の最表面上に形成される(図2参照)。
【0017】
本発明の発光素子の発光側表面に設けられる微細凹凸構造は、凹凸の周期長(P)が0.7μm以上10μm以下であり、好ましくは0.8μm以上8μm以下であり、より好ましくは1μm以上4μm以下である。また、凹凸の高低差(d)は、0.1μm以上10μm以下、好ましくは0.2μm以上8μm以下であり、より好ましくは0.4μm以上4μm以下である。
また、凹凸の高低差(d)/凹凸の周期長(P)の値(以下、d/Pと称する)は、0.1以上1以下であることが好ましく、0.25以上0.60以下であることがより好ましい。
【0018】
上記微細凹凸構造は、発光側表面を構成する素材表面自体にかかる凹凸構造を直接設けてもよいが、上記微細凹凸構造を有する透過型光学フィルムを別途製造し、該光学フィルムを発光素子の発光側表面に設けることにより、容易に設定することができ、製造上有利である。
【0019】
以下、特定形状の微細凹凸構造を有する透過型光学フィルムについて説明する。
該微細凹凸構造を有する光学フィルムは、微細な凹凸形状を表面に有する金型を使用し、この金型表面に、硬化性樹脂組成物を接触させ、必要に応じて、透明基材で被覆した後に、硬化性樹脂組成物を硬化させ、硬化後、剥離することにより、容易に得ることができる。
【0020】
本発明の光学フィルム12は、例えば、図3(a)に示すように、透明基材フィルム21上に、上記特定形状のピッチの無数の微細凹凸が形成された凹凸部22を上面に有する透明層23を積層したものである。透明層23は、連続した層であることが普通だが、透明基材フィルム21を伴なうときは、互いに離れた凸部の群からなっていてもよい。あるいは、光学フィルム12は、図3(b)に示すように、透明層23の表面の凹凸部22上に別の屈折率の異なる透明層からなる表面層24をさらに積層したものであってもよい。表面層24の上面は図では平坦なものとして描いたが、凹凸部22の形状に沿った形状であってもよい。上記の図3(a)、および(b)に示すいずれの例においても、透明基材フィルム21は省いてもよい。また、図3(a)、および(b)に示すいずれの例においても、凹凸部22は、光学フィルム12の片面にのみ形成されたものに限ることなく、光学フィルム12の両面に凹凸部2が形成されていてもよい。
【0021】
透明基材フィルム21としては、透明性、平滑性を備え、異物の混入のないものが好ましく、また、加工上および製品の使用上の理由で機械的強度があるものが好ましい。さらに、光学フィルムにディスプレイの熱が伝わって来るような場合には、耐熱性があるものが好ましい。
【0022】
一般的に透明基材フィルム21として好ましいものは、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、もしくはポリウレタン等の熱可塑性樹脂のフィルムである。
【0023】
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフチレートなどのポリエステルは機械強度やコーティング適性の点で好ましい。透明性が高く、光学的に異方性がなく、かつ低屈折率である点では、セルローストリアセテート等が好ましい。透明性と耐熱性を備えた点ではポリカーボネートが好ましい。
【0024】
なお、これらの熱可塑性樹脂のフィルムはフレキシブルで使いやすいが、取り扱い時も含めて曲げる必要が全くなく、硬いものが望まれるときは、上記の樹脂の板やガラス板等の板状のものも使用できる。厚みとしては、8〜1000μm程度が好ましく、25〜300μm程度がより好ましい。板状のものの場合には、この範囲を超えてもよい。
【0025】
上記の透明基材フィルム21には、その上面、もしくは上面および下面に形成する層との接着性の向上のために、通常、行なわれ得る各種の処理、即ち、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理のほか、アンカー剤もしくはプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行なって、プライマー層(図示せず。)を形成しておいてもよい。
【0026】
無数の微細凹凸が形成された凹凸部22を有する透明層23は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂組成物としては、凹凸部22を金型を用いたキャスティング法によって形成する際の硬化速度が速く、かつ透明層23の表面の傷付きが起きないよう、硬化後に高い耐擦傷性を有するものが好ましい。電離放射線硬化性樹脂組成物としては、硬化後の硬度が、JIS K5400で示す鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものがより好ましい。また、光学フィルムとして長期間使用するには、表面の耐久性、特に耐擦傷性が必要であり、硬度を高くした方が有利になるため、密度を上げて硬度を高くする必要がある。従って、透明層23の光の屈折率としては、1.4〜1.7、より好ましくは、1.6以下である。
【0027】
電離放射線硬化性樹脂組成物としては、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものである。電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線を用いる。
【0028】
電離放射線硬化性樹脂組成物中のプレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物が挙げられる。
【0029】
電離放射線硬化性樹脂組成物中のモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等が挙げられる。
【0030】
通常、電離放射線硬化性樹脂組成物中のモノマーとしては、以上の化合物を必要に応じて、1種若しくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性組成物に通常の塗布適性を与えるために、前記のプレポリマー又はオリゴマーを5質量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95質量%以下とするのが好ましい。
【0031】
電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させたときのフレキシビリティーが要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させたときの耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使う等、電離放射線硬化性樹脂組成物の設計が可能である。ここで、官能基が1のものとして、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。官能基が2のものとして、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクレリート等が挙げられる。
【0032】
電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させたときのフレキシビリティーや表面硬度等の物性を調整するため、電離放射線硬化性樹脂組成物に、電離放射線照射では硬化しない樹脂を添加することもできる。具体的な樹脂の例としては次のものがある。ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂である。中でも、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の添加がフレキシビリティーの向上の点で好ましい。
【0033】
電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化が紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性樹脂組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部である。
【0034】
電離放射線硬化性樹脂組成物には、次のような有機反応性ケイ素化合物を併用してもよい。
【0035】
有機ケイ素化合物の一例は、一般式RSi(OR′)で表せるものであり、RおよびR′は炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rの添え字mとR′の添え字nとは、各々が、m+n=4の関係を満たす整数である。
【0036】
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0037】
電離放射線硬化性樹脂組成物に併用し得る有機ケイ素化合物の第二の例は、シランカップリング剤である。
【0038】
具体的には、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0039】
電離放射線硬化性樹脂組成物に併用し得る有機ケイ素化合物の第三の例は、電離放射線硬化性ケイ素化合物である。具体的には、電離放射線の照射によって反応し架橋する複数の官能基、例えば、重合性二重結合基を有する分子量5,000以下の有機ケイ素化合物が挙げられ、より具体的には、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能ポリシロキサン、又はこれらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、もしくはビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。
より具体的には、次のような化合物である。
【0040】
【化1】
Figure 2004031221
【0041】
その他、電離放射線硬化性樹脂組成物に併用し得る有機ケイ素化合物としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物等が挙げられる。
【0042】
透明層23の上面に形成する光の波長以上のピッチの微細凹凸22の形状としては、図3及び図4(a)に例示するような、断面の上縁の微細凹凸22の形状が正弦曲線のもの以外にも、図4(b)に示すような断面の頂部22aが円弧状で、立ち上がり部分22bが直線状であり、上へ行くほどすぼまった形状のもの、図4(c)に示すような三角波状のもの、もしくは図4(d)に示すような矩形波状のものがある。
【0043】
これらのうちでも、場所により深さが変動する、図4(a)、(b)および(c)の断面形状のものが好ましく、このような断面形状のものを使用すると、透明層23の厚み方向の位置により、光の屈折率が変化する性質が付与される。
【0044】
また、これらのうち、図4(d)に示すものは、どの高さの部分でも水平切断面の面積が変わらないので、透明層23が占める割合が同じであり、波の上の方と下の方とで光の屈折率が変わらない。ただ、ピッチや波の幅を決めることにより、一定でかつ所定の値の屈折率を有する層を形成することができる。このほか、上すぼまりでない図4(e)に示すような形状もあり得るが、型を利用して製造する際に、離型が難しく、好ましくない。
【0045】
電離放射線硬化性樹脂組成物を用いて、透明層23の上面に微細凹凸からなる凹凸部を形成するには、例えば、透明層23を塗布形成する際に、凹凸を有する型付け用フィルムで塗膜を被覆したまま硬化させるか、形成された塗膜に型付け用ロール等の型付け手段を、必要に応じて加熱しつつ押し付けて行なうか、あるいは、剥離面に凹凸を有する剥離性基材上に塗布形成して透明層23を転写し得る転写フィルムを作成し、その転写フィルムを用いて転写する等の方法が採れる。
【0046】
より好ましい形成方法は次の通りである。まず、適当な基材に感光性樹脂を積層したものを準備し、これにレーザー光干渉法により露光を行なう。レリーフホログラム製造用として市販されているフィルム付きの感光材を利用することができる。露光は、レーザー光を2ないしそれ以上に分割して干渉させることによって行ない、ピッチが光の波長以上の硬化部と未硬化部とを得る。露光後、感光性樹脂の種類に応じた現像法、通常は特定の溶剤による未硬化部分の除去により、現像を行なって、ピッチが光の波長以上の無数の微細凹凸が形成された凹凸型面を有する原型を得る。
【0047】
得られた原型は、凹凸を形成しやすくするために、比較的分子量の小さい高分子からなっているため、溶剤に対する耐久性も不十分であり、また、もろいため、この原型を何度も使用して複製を行なうことは好ましくない。そこで、原型にニッケル等の金属でめっきを行なって、第1の金属製の型を形成し、この第1の金属製の型を使用するか、または第1の金属製の型にめっきを行なって、第2の金属製の型を幾つか形成し、得られた第2の金属製の型を使用して複製を行なう事が好ましい。なお、これら金属製の型を金属製スタンパーと言うことが多い。より好ましくは、このようにして得られた型面の形状をロール面に形成し、必要に応じて、殖版(同一版面上に多面付けにすること)した型ロールや型面の形状をロールの面長方向および円周方向に、連続的に形成した型ロールを使用するとよい。
【0048】
なお、型面の形状を複製する際に、原型と第2の金属製の型とは同形状であり、原型と第1の金属製の型とは互いに逆型形状の関係となる。また光学フィルムの微細凹凸の形状と、それを製造するための型上の型面の微細凹凸の形状とは逆型形状となる。以下の説明で用いる型の型面の微細凹凸形状としては、光学フィルムに、得たい微細凹凸形状が得られるよう、逆型形状に形成されているものとする。
【0049】
図5は、型ロールを用いて、光学フィルムを連続的に製造するための装置30を使用して製造する様子を示すものである。図5において、透明基材フィルム21は、図中向かって左側上方より巻き出され、ニップロール31aと型ロール32の間に導かれ、型ロール32の上側を半周した後、ニップロール31bとの間を通過して、向かって右側方向に排出される。型ロール32は型ロール32内に矢印で示す時計回り方向に回転するよう駆動されており、ニップロール31a、および31bは、型ロールの回転に合わせて連れまわり(いずれも回転方向はロール内に矢印で示す)するよう構成されている。また、透明基材フィルム21の巻き出し側にはブレーキが設置され、排出側に設置された巻き上げモータとにより、走行時の張力の調整が可能である。また、両ニップローラ31aおよび31bの間では、張力が一定に保たれている。
【0050】
型ロール32の真下には、ダイヘッド33が設置されており、ダイヘッド33は内部に液溜め34、上方にスリット35を有し、パイプ36を経由して、外部より電離放射線硬化性樹脂組成物37が供給されるよう構成されている。スリット35からは透明基材フィルム21の走行に合わせて、必要量の電離放射線硬化性樹脂組成物37が上方に押出され、型ロール表面に塗付され、型ロール32の凹部32a内にも電離放射線硬化性樹脂組成物37が充填され、ニップロール31aと型ロールとの間を通るときに、塗付量が規制される。
【0051】
型ロール32の上方には、電離放射線照射装置38が設置されており、照射装置38の下を通る際に電離放射線が照射され、透明基材フィルム21上の電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化し、透明層23と透明基材フィルム21とが接着する。この後、硬化した透明層23を透明基材フィルム21と共に、巻き取る。
【0052】
なお、透明基材フィルム21をラミネートするときは、型ロール表面の凹部32aが少なくとも埋まっており、埋めた電離放射線硬化性樹脂組成物の露出面に透明基材フィルムが接していれば足りるが、透明基材フィルムを使用しないときは、電離放射線硬化性樹脂組成物が型面上で連続した皮膜を生成するよう、十分な量の電離放射線硬化性樹脂組成物を適用するとよい。なお、図示の例では型ロール32に電離放射線硬化性樹脂組成物を適用するようにしており、この方が好ましいが、ラミネート時の気泡の抱き込みを防止できるのなら、電離放射線硬化性樹脂組成物を、透明基材フィルム21側に適用した後、型ロール32に接触させてもよい。
【0053】
型ロール32の表面に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布した後、必要ならドクタリングを施してもよい。上記において、電離放射線としては、通常、紫外線、もしくは電子線を用いるが、これら以外であってもよい。また、照射する場所は上方の一個所に限定することはなく、塗付直後から、ニップロール31bを通過するまでの任意の位置に所望の個数の電離放射線照射装置を設置して照射を行なってよい。また、型ロール32の周囲で、充分な場所が確保できない場合には、ニップロール31bを出た後の位置に更に電離放射線照射装置を設置して照射を行なってもよい。
【0054】
電離放射線照射により、電離放射線硬化性樹脂組成物37が硬化するとともに、透明基材フィルム21との間の接着力が生じるので、その後、透明基材フィルム21ごと剥離することにより、透明基材フィルム21上に硬化した電離放射線硬化性樹脂組成物からなる透明層23が積層しており、かつ透明層23の表面に、型面の微細凹凸形状が反映した微細凹凸を有する光学フィルムが得られる。
【0055】
なお、透明基材フィルムを伴なわない光学フィルム12を得るには、透明基材フィルム21のラミネートを省いて行なう方法もあるが、透明基材フィルム21の電離放射線硬化性樹脂組成物を適用する側の表面に剥離性を与えておき、型面から透明層を剥離すると同時に透明基材フィルム21を分離してしまうか、あるいは先に透明基材フィルム21のみ剥離した後に透明層23を剥離するか、もしくは共に剥離後に透明基材フィルム21を剥離することによっても、透明基材フィルム21を伴わない光学フィルム12とすることができる。透明基材フィルム21を工程中に使用した方が、透明層23の厚みの規制がしやすく、空中の塵埃の影響も回避できるので好ましい。
【0056】
本発明の光学フィルム12は、微細凹凸22が表面に露出したままでも、充分効果を発揮するが、不用意な接触による傷付きや汚染を防止する意味で、透明層3よりも光の屈折率が低い樹脂組成物からなる層24を微細凹凸22上に積層しておくことが好ましい。
【0057】
層24をフッ素系樹脂もしくはシリコーン系樹脂の素材で形成すると、いずれも光の屈折率が1.4〜1.5であるため、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる透明層23の一般的な屈折率(アクリレート系の樹脂組成物の硬化物であり、光の屈折率は1.5以上である)よりも低いので好ましく、なお、これら素材の水との接触角が100度以上あるため、防汚性も有していて好ましい。上記のフッ素系樹脂もしくはシリコーン系樹脂等の使用によって、層24に特別の機能を持たせる必要性が低いときは、下層の透明層23との接着を考慮して選択したフッ素系樹脂・シリコーン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を用いて層24を構成してもよい。
【0058】
これらの素材は、蒸着等の乾式工程、もしくは通常のコーティングのような湿式工程のいずれによって形成してもよい。あるいは、透明層23に微細凹凸を与えるための型面に予め塗付しておき、その上から電離放射線硬化性樹脂組成物を適用することにより、積層する方法も採れる。または、上記のフッ素系樹脂もしくはシリコーン系樹脂を、透明層23を形成するための電離放射線硬化性樹脂組成物と混合して、透明層を形成する際に、これらフッ素系樹脂もしくはシリコーン系樹脂をブリードアウトさせることによってよい。
【0059】
本発明の光学フィルム12は、上記の構成に加えて、使用時の塵埃の付着を防止するための帯電防止処理や、光学フィルムを適用する際の便を考慮して、微細凹凸22を有するのとは反対側に粘着加工を施す等を行なってもよい。
【0060】
帯電防止処理は、具体的には帯電防止剤や導電性微粒子を適用することにより行なえ、透明層23や表面層24をコーティングにより形成する際には、用いる塗料組成物中に混合して適用するとよい。あるいは、帯電防止処理は、帯電防止剤単体を透明層23上に塗付することによって行なってもよい。透明層23の下層に、もしくは透明基材フィルム21を伴なうときは、基材フィルム21と透明層23との間に、導電性微粒子を含んだ塗料組成物を用いて形成した導電性層もしくは金属酸化物薄膜を形成することにより、帯電防止処理を行なってもよい。
【0061】
粘着加工は、ポリアクリル酸エステルやゴム系の粘着剤を直接塗付してもよいが、通常は、離型紙に粘着剤を塗付したものをラミネートすることによって適用し、離型紙は、粘着剤が露出して不用意に接着したり、塵埃が付着するのを防止する意味で、使用するまでの間、貼ったままにしておくとよい。粘着剤層の厚みとしては、20〜40μm程度が好ましい。
【0062】
反射防止層7は照明や太陽光等の外光が避けられない環境下でも、外光が背面電極で反射して、液晶ディスプレイの表示内容の視認性が低下することを抑制するため設けることが好ましい。本発明では偏光板とλ/4板を積層した円偏光フィルムが反射防止膜としてよく用いられる。
【0063】
本発明の光学フィルムは、このほか、CRT(陰極線管)ディスプレイ、もしくはプラズマディスプレイ等のディスプレイの表面に積層するか、もしくは観察側に配置しても、ディスプレイ表面における光取り出し率を向上できる。
【0064】
次いで、本発明の発光素子について説明する。
本発明の発光素子は、基板上に透明電極、少なくとも発光層を含む有機化合物層及び背面電極を積層した発光素子であり、基板上に必要に応じて水分吸収層を設けることができる。
【0065】
本発明で使用する基板は有機化合物層から発せられる光を散乱又は減衰させないことが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルやポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジギリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。有機材料の場合、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
【0066】
前記基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、前記形状としては、板状である。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
【0067】
前記基板は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよいが、前記発光層から発せられる光を散乱あるいは減衰等させることがない点で、無色透明で有る事が好ましい。
【0068】
前記基板には、その表面又は裏面(前記透明電極側)に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
前記透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。該透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
前記熱可塑性基板には、さらに必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
【0069】
以下に本発明の発光積層体(有機化合物層、透明電極、背面電極)について、詳細に説明する。
【0070】
〈有機化合物層〉
本発明において、前記有機化合物層は、少なくとも一層の発光層を含有する。
(有機化合物層の構成)
前記有機化合物層の前記発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記等明電極上に又は前記背面電極上に形成されるのが好ましい。この場合、該有機化合物層は、前記透明電極又は前記背面電極上の前面又は一面に形成される。
前記有機化合物層の形状、大きさ、厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0071】
具体的な層構成としては、透明電極/発光層/背面電極、透明電極/発光層/電子輸送層/背面電極、透明電極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/背面電極、透明電極/正孔輸送層/発光層/背面電極、透明電極/発光層/電子輸送層/電子注入層/背面電極、透明電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/背面電極等が挙げられる。
【0072】
(発光層)
本発明に用いられる発光層は、少なくとも一種の発光材からなり、必要に応じて正孔輸送材、電子輸送材、ホスト材を含んでも良い。
本発明に用いられる発光材としては特に限定されることはなく、蛍光発光性化合物または燐光発光性化合物であれば用いることができる。例えば蛍光発光性化合物としては、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。これらは一種もしくは二種以上を混合して用いることができる。
【0073】
燐光発光性化合物としては特に限定されることはないが、オルトメタル化金属錯体、又はポルフィリン金属錯体が好ましい。
【0074】
前記オルトメタル化金属錯体とは、例えば山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」150頁、232頁、裳華房社(1982年発行)やH.Yersin著「Photochemistry and Photophisics of Coodination Compounds」71〜77頁、135〜146頁、Springer−Verlag社(1987年発行)等に記載されている化合物群の総称である。該オルトメタル化金属錯体を含む前記有機化合物層は、高輝度で発光効率に優れる点で有利である。
【0075】
前記オルトメタル化金属錯体を形成する配位子としては、種々のものがあり、上記文献にも記載されているが、その中でも好ましい配位子としては、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、2−フェニルキノリン誘導体等が挙げられる。これらの誘導体は必要に応じて置換基を有しても良い。
前記オルトメタル化金属錯体は、前記配位子のほかに、他の配位子を有していてもよい。
【0076】
本発明で用いるオルトメタル化金属錯体は Inorg.Chem. 1991年, 30号, 1685頁. 、同 1988年, 27号, 3464頁.、同 1994年, 33号, 545頁. Inorg.Chim.Acta 1991年,181号, 245頁. J.Organomet.Chem. 1987年, 335号, 293頁.J.Am.Chem.Soc.  1985年, 107号, 1431頁. 等、種々の公知の手法で合成することができる。
前記オルトメタル化錯体の中でも、三重項励起子から発光する化合物が本発明においては発光効率向上の観点から好適に使用することができる。
また、ポルフィリン金属錯体の中ではポルフィリン白金錯体が好ましい。
前記燐光発光性の化合物は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記蛍光発光性化合物と燐光発光性化合物を同時に用いても良い。
本発明においては、発光輝度、発光効率の点から、前記燐光発光性化合物を用いることが好ましい。
【0077】
前記正孔輸送材としては、低分子正孔輸送材、高分子正孔輸送材いずれも用いることができ、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば限定されることはなく、例えば以下の材料を挙げることができる。
カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマ−、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマ−、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送材の前記発光層における含有量としては0〜99.9質量%が好ましく、さらに好ましくは0〜80質量%である。
【0078】
前記電子輸送材としては電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば制限されることはなく例えば以下の材料を挙げることができる。トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物を挙げることができる。
前記電子輸送材の前記発光層における含有量としては0〜99.9質量%が好ましく、さらに好ましくは0〜80質量%である。
【0079】
前記ホスト化合物とは、その励起状態から前記蛍光発光性化合物または燐光発光性の化合物へエネルギー移動が起こり、その結果、該蛍光発光性または燐光発光性の化合物を発光させる機能を有する化合物のことである。
前記ホスト材としては励起子エネルギーを発光材にエネルギー移動できる化合物ならば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、具体的にはカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
【0080】
前記ホスト化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ホスト化合物の前記発光層における含有量としては0〜99.9質量%が好ましく、さらに好ましくは0〜99.0質量%である。
【0081】
前記その他の成分としては、特に本発明においては発光層には必要に応じて、電気的に不活性なポリマーバインダーを用いることができる。
必要に応じて用いられる電気的に不活性なポリマーバインダーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等を挙げることができる。
前記発光層が前記ポリマーバインダーを含有していると、該発光層を湿式製膜法により容易にかつ大面積に塗布形成することができる点で有利である。
【0082】
(他の有機化合物層)
本発明においては、必要に応じて他の有機化合物層を設けてもよい。例えば透明電極と発光層の間に正孔注入層や正孔輸送層、発光層と背面電極との間に電子輸送層や電子注入層を設けてもよい。
【0083】
正孔輸送層、正孔注入層には、前記正孔輸送材が、電子輸送層、電子注入層には前記電子輸送材が好適に用いられる。
【0084】
(有機化合物層の形成)
前記有機化合物層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、ディッピング、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の湿式製膜法いずれによっても好適に製膜することができる。
【0085】
なかでも、前記湿式製膜法による塗布形成の場合、前記有機化合物層を容易に大面積化することができ、高輝度で発光効率に優れた発光素子が低コストで効率よく得られる点で有利である。
なお、これらの製膜法の種類の選択は、該有機化合物層の材料に応じて適宜おこなうことができる。
前記湿式製膜法により製膜した場合は、製膜した後、適宜乾燥を行うことができ、該乾燥の条件としては特に制限はないが、塗布形成した層が損傷しない範囲の温度等を採用することができる。
【0086】
前記有機化合物層を前記湿式製膜法で塗布形成する場合、該有機化合物層には、バインダー樹脂を添加することができる。
この場合、該バインダー樹脂としてはポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0087】
前記有機化合物層を湿式製膜法により塗布形成する場合、該有機化合物層の材料を溶解して塗布液を調整する際に用いられる溶剤としては、特に制限はなく、前記正孔輸送材、前記オルトメタル化錯体、前記ホスト材、前記ポリマーバインダー等の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、n−プロピルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン形容剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、炭酸ジエチル等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。
【0088】
なお、前記塗布液における固形分量溶剤に対する固形分量としては、特に制限はなく、その粘度も湿式製膜方法に応じて任意に選択することができる。
【0089】
〈透明電極〉
前記透明電極としては、通常、前記有機化合物層に正孔を供給する陽極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
前記透明電極を陰極として機能させることもでき、この場合、前記背面電極を陽極として機能させるようにすればよい。
【0090】
前記透明電極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、またはこれらの混合物を好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の半導性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
【0091】
前記透明電極は例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、前記透明電極の材料として、ITOを選択する場合には、該透明電極の形成は、直流あるいは高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。また前記透明電極の材料として有機導電性化合物を選択する場合には湿式製膜法に従って行うことができる。
【0092】
前記透明電極の前記発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記基板上に形成されるのが好ましい。この場合、該透明電極は、前記基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
【0093】
なお、前記透明電極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0094】
前記透明電極の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜50μmであり、50nm〜20μmが好ましい。
前記透明電極の抵抗値としては、10Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。
前記透明電極は、無色透明であっても、有色透明であってもよく、該透明電極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。この透過率は、分光光度計を用いた公知の方法に従って測定することができる。
【0095】
なお、前記透明電極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、これらを本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITOまたはIZOを使用し、150℃以下の低温で製膜した透明電極が好ましい。
【0096】
〈背面電極〉
前記背面電極としては、通常、前記有機化合物層に電子を注入する陰極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
前記背面電極を陽極として機能させることもでき、この場合、前記透明電極を陰極として機能させるようにすればよい。
【0097】
前記背面電極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
【0098】
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ度類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
前記アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、又はアルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との合金若しくは混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0099】
なお、前記背面電極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されている。
【0100】
前記背面電極の形成法は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、前記背面電極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
【0101】
なお、前記背面電極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0102】
前記背面電極の前記発光積層体における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記有機化合物層上に形成されるのが好ましい。この場合、該背面電極は、前記有機化合物層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、前記背面電極と前記有機化合物層との間に前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属のフッ化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。
なお、該誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
【0103】
前記透明電極の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μmであり、50nm〜1μmが好ましい。
前記背面電極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な背面電極は、前記背面電極の材料を1〜10nmの厚みに薄く製膜し、更に前記ITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
【0104】
〈その他の層〉
更に、本発明においては、前記発光積層体における各層への水分や酸素の侵入を防止する目的で、封止層を設けるのも好ましい。
前記封止層の材料としては、例えば、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含む共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン及びジクロロジフルオロエチレンから選択される2種以上の共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Tl、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等の金属酸化物、MgF、LiF、AlF、CaF等の金属フッ化物、パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等の液状フッ素化炭素、液状フッ素化炭素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させたもの、などが挙げられる。
【0105】
さらに本発明においては、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤または不活性液体を設けることができる。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが例えば酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
【0106】
本発明の発光素子は、前記透明電極と前記背面電極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜40ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の発光素子の駆動については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号、米国特許5828429号、同6023308号、日本特許第2784615号、等に記載の方法を利用することができる。
【0107】
【実施例】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0108】
実施例1
直径76mmのガラス基板上に感光性樹脂をスピンナを用いて塗付したものを感光材として用い、アルゴンレーザー(波長351nm)を用いたレーザー干渉露光装置で、三方向より入射角度40度で露光を行ない、露光後、溶剤現像を行ない、感光性樹脂が硬化した樹脂上に、三方格子配列した微細な凹凸を有する原型を得た。得られた原型上の凹凸のピッチは2.4μm、凹凸の高低差は1.8μmであった。上記で得られた原型の型面に無電解めっきを行ない、続いてニッケルめっきを行なって、厚み100μmの複製型を得る工程を繰り返して実施し、各々で得られた複製型を多面付けし、幅500mm、長さ980mmの大版の型を得た。この大版の型を直径300mm(円周980mm)のロールに貼付けて、型ロールを得た。なお、ここで、継ぎ目が1mm以上間隔があると、電離放射線硬化性樹脂組成物が詰まって、剥離しにくくなるので、溶接により隙間を無くした。アクリレート系紫外線硬化性樹脂(日本合成ゴム(株)製、品番;Z9009、硬化後の光の屈折率1.59)を用い、ただし、脱泡および型形状の再現性の観点から、温度管理により、粘度を100〜2000cps.の間になるよう調整し、型ロールに紫外線硬化性樹脂を塗布し、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させた後、剥離して、紫外線硬化性樹脂が硬化した皮膜の表面に三方格子配列状に微細な凹凸が形成されたフィルムを得た。
【0109】
上記の光学フィルムを用いてNEC製有機EL表示素子(FOMA  N2001)に実装した。
この光学フィルムを用いたときの光量を、積分球を用いたフォトマル(浜松ホトニクス社製R374)で測定したところ、この光学フィルムを用いなかったときの光量と比較して1.53倍の光量が得られ、本発明の光学フィルムが光取り出し効率向上フィルムとして有効であることが分かった。
【0110】
実施例2〜5及び比較例1
実施例1において、原型上の凹凸のピッチ(P)及び凹凸の高低差(d)を、表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と全く同様にして、光学フィルムを作成し、有機EL表示素子に実装して、同様に光取り出し効率を測定した。ここで、光取り出し効率は、比較例を1.00としたときの倍率で表した。数値の大きいほど優れている。
【0111】
【表1】
Figure 2004031221
【0112】
表1から、実施例2〜5は比較例1より明らかに光取り出し効率が大きいことから、本発明の光学フィルムが光取り出し効率向上フィルムとして有効であることが分かった。
【0113】
【発明の効果】
本発明によれば、光取り出し効率が改善され、表示素子の輝度が向上され、更に製造プロセスが容易な、有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を例示する断面図である。
【図2】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を例示する断面図である。
【図3】本発明の微細凹凸構造を有する光学フィルムを例示する断面図である。
【図4】光学フィルムの表面の微細凹凸の形状例を示す断面図である。
【図5】光学フィルムの製造装置を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
3 透明電極
4 有機化合物層
5 背面電極
6 発光積層体
7 反射防止層
12 微細凹凸構造(光学フィルム)
20 有機エレクトロルミネッセンス素子
21 透明基材フィルム
22 凹凸部
23 透明層
24 表面層
31 ニップロール
32 型ロール
33 第ヘッド
34 液溜め
35 スリット
36 パイプ
37 電離放射線硬化性樹脂組成物
38 電離放射線照射装置
40 反射防止偏光板
41 反射防止フィルム
42 偏光板
43 液晶パネル

Claims (2)

  1. 基板上に、透明電極、少なくとも発光層を含む有機化合物層及び背面電極を少なくとも積層した発光素子の発光側表面に、凹凸の周期長(P)が0.7μm以上10μm以下、且つ凹凸の高低差(d)が0.1μm以上10μm以下の二次元周期構造を有する透過型微細凹凸構造を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 基板上に透明電極、少なくとも発光層を含む有機化合物層及び背面電極を少なくとも積層した発光素子の発光側表面に、凹凸の周期長(P)が0.7μm以上10μm以下、且つ凹凸の高低差(d)が0.1μm以上10μm以下の二次元周期構造の微細凹凸構造を有する透過型光学フィルムを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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