JP2008084701A - 電子デバイス用転写材料、電子デバイスの縁層形成方法及び隔壁形成方法、並びに発光素子 - Google Patents

電子デバイス用転写材料、電子デバイスの縁層形成方法及び隔壁形成方法、並びに発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】被転写面との密着性が高い絶縁層又は隔壁を簡便に形成しうる電子デバイス用転写材料、該転写材料を用いた電子デバイスの絶縁層形成方法及び隔壁形成方法、並びに発光性能に優れた発光素子を提供すること。
を提供する。
【解決手段】転写支持体上に、絶縁層又は隔壁材料層と、電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層と、をこの順に有することを特徴とする電子デバイス用転写材料、これを用いた電子デバイスの絶縁層形成方法及び隔壁形成方法、並びに発光素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、発光素子等の電子デバイスにおける絶縁層又は隔壁の形成に用いられる転写材料、該転写材料を用いた電子デバイスの絶縁層又は隔壁の形成方法、及び、該形成方法を用いて得られた発光素子に関する。
従来より、発光素子等の発光素子の製造においては、様々な手法により絶縁層や隔壁が形成されてきた。絶縁層は、ITO等からなる電極をパターニングすると発生する「パターン端部分(エッジ)の厚みムラや、形状ムラ、傾斜や盛上り」に起因する発光素子の発光不良(例えば、エッジ部が低抵抗になった場合はそこだけが光る、エッジ部が凸凹の場合は有機化合物層が途切れてしまい電極間が繋がり有機発光層へは電流が流れない等)を防止するため、エッジ部分に設ける高抵抗な均一な成膜層である。
従来、絶縁層の形成方法としては、基板上にITO電極をパターニングした後に、SIOなどの無機酸化物を用いてITO電極を形成した基板の全表面に無機酸化物層を製膜し、この無機酸化物層をフォトリソグラフィーを用いてエッチングしてパターン化して、絶縁層を設ける形成方法等がある。
しかしながら、このような絶縁層の形成方法は、エッチング用の特殊溶液を用いるため、基板にダメージを与えるという問題がある。特に、ITO電極を形成した基板の材料として、ガラスではなくフイルムを用いた場合には、より顕著なダメージとなり、最悪の場合は基板が変形してしまい、求めるパターンが得られないという問題がある。
隔壁は、発光素子の駆動方式としてパッシブ駆動等が適用された場合に必要とされる素子の構成要素である。従来の隔壁の形成方法としては、例えば、ITO電極のパターニング工程の後、絶縁層のパターニング工程を行い、それに次いで、隔壁用材料を塗布によりITO電極が形成された基板の全表面に製膜したあとで、フォトリソグラフィーを用いて隔壁用材料をエッチングしてパターンを形成し、該パターンを高温処理して隔壁を設ける方法等がある。
しかしながら、このような隔壁の形成方法についても、エッチング用の特殊液溶液の使用や、隔壁形成時の高温処理により、基板にダメージを与えるという問題がある。
また、絶縁層又は隔壁を形成する他の方法として転写材料を用いた方法がある(例えば、特許文献1〜8参照。)。この方法によれば、基板に耐溶剤性や耐熱性を要求することなく絶縁層や隔壁を形成できる。また、フォトリソグラフィーを用いた絶縁層や隔壁の形成工程に比較して、工程を簡易化することもできる。
しかしながら、上記の文献に記載されるような転写材料を用いて、転写により形成された絶縁層又は隔壁は被転写面との密着性に劣り、剥がれてしまうという問題があった。特に、ポリマー材料からなる絶縁層又は隔壁を転写材料を用いて形成した場合には、基板との密着性低下の問題が顕著であった。
以上のように、基板との密着性の高い絶縁層や隔壁を簡便に形成する技術が要求されているが、未だ提供されていないのが現状である。
特開2001−196186号公報 特表2006−505111号公報 特開2001−210469号公報 特開2001−250693号公報 特開2002−139613号公報 特開2002−139614号公報 特開2003−264069号公報 特開2005−310404号公報
本発明の目的は、被転写面との密着性が高い絶縁層又は隔壁を簡便に形成しうる電子デバイス用転写材料、及び、該転写材料を用いた電子デバイスの絶縁層形成方法及び隔壁形成方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、被転写面との密着性が高い絶縁層又は隔壁を簡便に形成しうる電子デバイス用転写材料を用いることにより得られた、発光性能に優れた発光素子を提供することにある。
本発明者ら前記実情に鑑み、鋭意研究を行ったところ、上記課題を解決しうることを見出し本発明を完成した。即ち、本発明は下記の手段により達成されるものである。
<1> 転写支持体上に、絶縁層又は隔壁材料層と、電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層と、をこの順に有することを特徴とする電子デバイス用転写材料。
<2> 前記転写支持体における絶縁層又は隔壁材料層を有する側の表面は、純水に対する接触角が50°以上であることを特徴とする前記<1>に記載の電子デバイス用転写材料。
<3> 前記転写支持体における前記絶縁層又は隔壁材料層を設ける面の最大表面粗さRmax(JIS B 0601−1982により規定される)が、前記電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層の厚さを100とした場合に0〜50の範囲であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の電子デバイス用転写材料。
<4> 転写支持体上に絶縁層と電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層とをこの順に有する電子デバイス用転写材料を用い、該転写材料における電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層が、基板上の一部又は全面に電極が形成された被転写基板における電極を有する側の面と対面するように、前記転写材料を前記被転写基板に重ねて加熱及び/又は加圧した後、前記転写支持体を引き剥がすことにより前記絶縁層を前記被転写基板の電極を有する側の面に転写して、前記被転写基板上に絶縁層を形成することを特徴とする電子デバイスの絶縁層形成方法。
<5> 転写支持体上に隔壁材料層と電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層とをこの順に有する電子デバイス用転写材料を用い、該転写材料における電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層が、基板上の一部又は全面に電極が形成された被転写基板における電極を有する側の面と対面するように、前記転写材料を前記被転写基板に重ねて加熱及び/又は加圧した後、前記転写支持体を引き剥がすことにより前記隔壁材料層を前記被転写基板の電極を有する側の面に転写して、前記被転写基板上に隔壁を形成することを特徴とする発光素子の隔壁形成方法。
<6> 前記被転写基板上に発光層を含む有機化合物層を形成後、前記転写材料を用いて隔壁を形成することを特徴とする前記<5>に記載の発光素子の隔壁形成方法。
<7> 前記<4>に記載の方法を用いて形成された絶縁層を有することを特徴とする発光素子。
<8> 前記<5>又は<6>に記載の方法を用いて形成された隔壁を有することを特徴とする発光素子。
本発明によれば、被転写面との密着性が高い絶縁層又は隔壁を簡便に形成しうる電子デバイス用転写材料、及び、該転写材料を用いた電子デバイスの絶縁層形成方法及び隔壁形成方法を提供することができる。
また、本発明によれば、被転写面との密着性が高い絶縁層又は隔壁を簡便に形成しうる電子デバイス用転写材料を用いることにより得られた、発光性能に優れた発光素子を提供することができる。
以下、本発明の電子デバイス用転写材料、該転写材料を用いた電子デバイスの絶縁層形成方法及び隔壁形成方法、並びに発光素子について詳細に説明する。
本発明における電子デバイスは、その構成要素として本発明の転写材料を用いて形成された絶縁層及び/又は隔壁を備えたものであり、かかる電子デバイスの代表的な例としては、有機電界発光素子に代表される電界発光素子を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
[1]電子デバイス用転写材料
(1)構成
本発明の電子デバイス用転写材料(以下、単に「本発明の転写材料」と称する場合がある。)は、転写支持体上に、絶縁層又は隔壁材料層と、電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層(以下、単に「有機低分子化合物」と称し、これを含む層を「有機低分子化合物層」とを称する場合がある。)と、をこの順に有することを特徴とする。
本発明の転写材料は、有機電界発光素子に代表される電界発光素子などの電子デバイスにおける絶縁層又は隔壁の形成に好適に用いることができる。
本発明の転写材料は、被転写基板上に絶縁層又は隔壁が形成された際に、被転写基板と絶縁層又は隔壁との間に介在する層である、前記有機低分子化合物層を有することが主たる特徴である。当該有機低分子化合物層を有することにより、本発明の転写材料により形成された絶縁層又は隔壁と被転写面との密着性が向上するものと考えられる。
従って、本発明の転写材料を用いることにより、被転写面との密着性が高い絶縁層又は隔壁を簡便に形成することができる。
さらに、本発明の転写材料を用いた絶縁層及び隔壁の形成は、エッチング等の工程を必要としないため、絶縁層及び隔壁を形成する際の被転写基板に設けられている電極(例えば、ITO電極)等の劣化を効果的に抑制することができる。
本発明の転写材料は、転写支持体上に、絶縁層又は隔壁材料層と、電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層と、をこの順に有することが必要であるが、更に必要に応じて、他の層を有していてもよい。他の層としては、例えば、剥離層、等が挙げられる。
(2)有機低分子化合物層
本発明における有機低分子化合物層は、電荷輸送性の有機低分子化合物を少なくとも1種含有する。
本発明に用いうる有機低分子化合物としては、本発明を適用して製造される発光素子において、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、及び陽極から注入されたホールを障壁する機能のいずれかを有している化合物であれば特に限定されない。その具体例としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体等の金属錯体、メタロフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾール等を配位子とする金属錯体、アニリン共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。
有機低分子化合物は、被転写面の材質、性状、等により適宜選択することができる。例えば、本発明の転写材料を用いて製造される発光素子等における電荷輸送性の有機低分子化合物と同じ化合物、又は構造が近い化合物が好ましく用いられる。構造が近いとは、立体的な構造を示したり、logP値や有無値、SP値などで知られる構造から算出される物理量を指す。
有機低分子化合物層には、必要に応じ、有機低分子化合物以外の他の成分(例えば、水分や酸素等の発光素子を劣化させ得るものが発光素子内に侵入又は透過するのを抑制する機能を有している成分であり、後述の発光素子における保護層や封止層に用いる成分等)を含有してもよい。
水分や酸素等の発光素子を劣化させ得るものが素子内に侵入又は透過するのを抑制する機能を有している成分としては、例えば、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、一酸化ゲルマニウム、二酸化ゲルマニウム等、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとの共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン又はジクロロジフルオロエチレンと他のコモノマーとの共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質、金属(In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等)、金属酸化物(MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等)、金属フッ化物(MgF、LiF、AlF、CaF等)、液状フッ素化炭素(パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等)、液状フッ素化炭素に水分や酸素の吸着剤を分散させたもの等が使用可能である。
有機低分子化合物層における有機低分子化合物の含有量としては、有機低分子化合物層の構成膜厚100部に対して、10部以上が好ましく、20部以上がより好ましく、50部以上がさらに好ましい。
有機低分子化合物層の厚さとしては、形成される絶縁層又は隔壁と被転写面との密着性の観点から、膜を表面に一様に形成できる厚みであればよく、一般的に1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。
有機低分子化合物層は、後述する絶縁層又は隔壁材料層上に、例えば、真空蒸着法真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシ法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザCVD法、熱CVD法、コーティング法等により形成することができる。
(3)絶縁層又は隔壁材料層
(3−1)絶縁層
本発明の転写材料における絶縁層は、少なくとも1種の絶縁材料を含んで構成される層である。この転写材料を用いて転写支持体上の被転写面に転写を行うことにより、電子デバイスの絶縁層を形成できる。
ここで、本発明において、「絶縁層」とは、電子デバイスにおいて、パターニングした陽極の端部を覆う構成部位を指す。
絶縁層に適用しうる絶縁材料としては、抵抗値として、10Ω/□以上が好ましく、10Ω/□以上がより好ましい。10Ω/□以下の場合、電極から通電してしまうため好ましくない。優れた絶縁を得るためには、電極と抵抗が異なることが好ましく、抵抗値の差として、10Ω/□以上が好ましく、10Ω/□以上がより好ましい。更に、加熱による形状・特性等の変化が少ない材料により形成することが好ましい。
具体的には、UV硬化性の樹脂材料(光硬化型のアクリル樹脂、メタリル系樹脂、又は、ノボラック系樹脂など)、ポリイミド系樹脂(感光性ポリイミド樹脂など)、または熱硬化型樹脂等の有機材料、および無機材料、無機物の酸化物、又は無機物と高分子を混合した物質等を用いることができる。
絶縁層には、上記絶縁材料の他、必要に応じて公知の有色物質を含有してもよい。
絶縁層は、無色透明であっても、有色透明であっても、不透明であってもよいが、発光を取り出す場合に、別の個所の発光が混色してこないように有色としてもよい。その透過率としては60%以下が好ましく、70%以下がより好ましい。この透過率は、分光高度計を用いた公知の方法に従って測定できる。
絶縁層の厚さとしては、電極のパターニング部分を覆えることができればよく、通常、電極の厚みの2倍〜20倍が好ましく、5倍〜15倍が更に好ましい。また、フォトレジストを用いる場合、一般的に0.5μmから2μmの厚みで設けられている。
絶縁層の形成方法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法等の一般的な方法を用いることができる。具体的には、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などのレジストを溶媒に溶解したものを、スピンコート法、ディップコート法などの各種塗布法により塗布して有機質層を形成する。続いて、有機質層をフォトリソグラフィー技術、エッチング技術等を用いてパターニングすることにより絶縁層を形成する。
(3−2)隔壁材料層
本発明の転写材料における隔壁材料層は、少なくとも1種の絶縁材料を含んで構成される層である。この転写材料を用いて転写支持体上の被転写面に転写を行うことにより、電子デバイスの隔壁を形成できる。
ここで、本発明において、「隔壁」とは、電子デバイスがパッシブ駆動で駆動される場合において形成され、上部電極をライン上に区切るために設けられる構成部位を指す。例えば、下部電極と上部電極の間に逆テーパ形に形成され、かつ、隔壁層各々が互いに平行になるように配される。上部電極ライン同士は隔壁によって電気的に分断される。
隔壁材料層は、絶縁性を有する層、絶縁性を有さない層のいずれであってもよい。隔壁材料層を絶縁性を有する層として形成する場合には、絶縁層に適用しうる絶縁材料と同一の材料を用いて隔壁を形成することもでき、生産性をより向上させることが可能になる。
隔壁材料層に適用しうる隔壁材料としては、縁材料層に適用しうる絶縁材料して例示した材料が挙げられる。具体的にはポリイミド等の感光性樹脂を配した後、フォトマスクを用いた露光処理及び現像処理を行って隔壁を形成する。
隔壁材料層には、上記隔壁材料の他、必要に応じて、水分吸収剤、ゲッター剤、色付け用物質などを含有してもよい。更に、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、充填剤等を配合してもよい。
水分吸収剤としては、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化リン、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等が挙げられる。不活性液体としてはパラフィン類、流動パラフィン類、フッ素系溶剤(パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等)、塩素系溶剤、シリコーンオイル類等が挙げられる。
ゲッター剤としては市販品を用いることもでき、例えば、サエス・ゲッターズ製GOD/CAI/R/T−F、等を用いることができる。
色付け用物質としては、一般的にインキ組成物として分類されているものであればいずれも使用できる。例えば、印刷インキ、スタンプ用インキ、ボールペン用インキ、水性筆記具用インキとして用いられる、水性顔料インキ、水性染料インキ、油性顔料インキ、油性染料インキ塗料等に用いられている公知の無機又は有機の染顔料を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
顔料あるいは染料顔料としては、例えば、金属微粉末等の無機顔料が挙げられ、具体例としては、酸化チタン、マイカ、鉄黒、カーボンブラック、紺青、群青、青色1号、弁柄、黄酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、青色2号、青色404号、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号等が挙げられる。
染料としては、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系等の有機顔料が挙げられる。具体的には、油溶性染料としては、スダンレッド、DC Red 17、DC Green6、β−カロテン、ダイズ油、スダンブラウン、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5、キノリンイエロー、アナットー(annatto)、カルテノイド誘導体、例えば、リコペン、β−カロテン、ビキシン及びカプサンチン(capsanthin)、日本化薬社製の商品名ジスアゾイエロー、ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、フタロシアニンブルー、カヤセットブラックKR、カヤセットレッドK−BE、カヤセットブルーKFL、オリエント化学社製の商品名オイルイエロー3G、オイルカラー イエロー#105、オレンジ#201、ピンク#312、スカーレット#308、レッド#330、ブラウン#416、グリーンBG、バイオレット#730、クラリアントジャパン株式会社製の商品名レッド5B 02、ブルーB 01、ブラウン B等、及び/又はこれらの混合物が挙げられる。水溶性染料としては、例えば、硫酸銅、硫酸鉄、水溶性スルホポリエステル、ローダミン、天然染料(カロテン、ビート根の絞り汁)、メチレンブルー及びカラメル、も使用することができる。これら色材は単独で、または2種以上混合して用いることができる。その配合量は目的に合わせて異なるが、一般に有色が目視で認識できるためには、0.01〜5質量%の範囲で使用される。
隔壁材料層の厚さとしては、本発明の転写材料により形成された隔壁が、上部電極を電気的に分断できる厚さであれば、特に制限はなく、1〜100μmが好ましく、2〜10μmが更に好ましい。
隔壁材料層の形成方法としては、所定のパターンを形成できれば、その方法は限定されるものではないが、既知のフォトリソグラフィー法を用いてもよく、グラビア法、フレキソ法、スクリーン法などの印刷法や、インクジェット法、ノズル塗布法などを用いることができる。例えば、リソグラフィ法を使用して隔壁材料層を形成する場合には、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、基板上に隔壁材料層の高さに合わせてその形成材料である感光性樹脂を塗布し、樹脂膜を形成する。そして、隔壁材料層の平面形状(配線パターン)に合わせてマスクを施し、樹脂膜を露光・現像することにより、隔壁材料層が転写支持体上に立設される。
なお、本発明の転写材料により形成される隔壁は、基板面垂直方向に延びて溝部を形成するものであればよいが、電極分断しやすいように基板上に立設された状態で逆テーパ状になることが好ましい。
(4)転写支持体
本発明における転写支持体としては、転写材料に適用しうる支持体であれば特に限定されない。転写支持体として、具体的には、化学的及び熱的に安定であって、可撓性を有する材料により構成された支持体(以下、適宜「仮支持体」と称する。)、及び、可撓性を有さず、被転写面の全面を均一に押圧できる支持体(以下、適宜「押圧部材」と称する。)が挙げられる。
押圧部材としては、被転写面の全面を均一に押圧できるものであれば、透明又は不透明のいずれのものも用いることができる。但し、押圧部材側から観察して位置を合わせる場合、散乱、減衰を抑えるため無色透明であることが好ましい。
押圧部材の材料は必要な物性を満足すれば特に限定されない。具体的には、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等からなる無機材料シート、アルミニウム、銅、ステンレス、金、銀等からなる金属箔、ポリイミド、液晶性ポリマー、フッ素樹脂[例えば4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、3フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)等]、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン(PES)、硬質塩化ビニル等からなるプラスチックシート、これらの積層体等が挙げられる。
これらの中でも、加工のしやすさやコストの点からガラス板、ステンレス箔、ポリイミドシート、ポリカーボネートシート等が好ましい。
押圧部材の構造、大きさ等は特に制限されず、製造設備の仕様、目的等に応じて適宜選択することができる。押圧部材の厚さは、製造設備に組み込まれる仕様に合わせて適宜選択することができる。押圧部材の形状は、ロール、板状、又はシート状が好ましい。
また、押圧部材の形成は、特定に限定されないが、凸状に形成されたパターン部と、パターン部より陥没した位置にある非パターン部とを有する凸版であるのがより好ましい。ここで、「パターン部」とは、本発明の転写材料により形成される絶縁層又は隔壁の形状に対応するようにパターニングされた部分を言い、「非パターン部」とは、パターン部以外の部分を言う。
仮支持体は、化学的及び熱的に安定であって、可撓性を有する材料により構成される。具体的には、フッ素樹脂[例えば4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、3フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)]、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN))、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリエーテルスルホン(PES)等の薄いシート、又はこれらの積層体が好ましく、ポリエステル(PET等)、ポリエーテルスルホン等がより好ましい。
仮支持体を形成する樹脂は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基等の反応性基を有していてもよい。仮支持体の厚さは1μm〜300μmが適当であり、更に3μm〜200μmが好ましく、特に5μm〜150μmであることが好ましい。
仮支持体の構成は単層体でも積層体でもよい。
転写支持体における絶縁層又は隔壁材料層を有する側の表面(以下、適宜「転写支持体表面」と称する。)は、転写支持体と絶縁層又は隔壁材料層と剥離性の観点から、純水に対する接触角が50°以上であることが好ましい。該接触角としては、60°以上であることがより好ましく、70°以上であることが特に好ましい。
転写支持体表面と純水との接触角とは、転写支持体表面と純水の接触点から水滴表面に引いた接線とのなす角のことである。
測定法としては、滴下直後の静置された水滴を測定する一般の接触角測定機を用いた測定法であれば特に限定されない。具体的には、協和界面科学(株)製の型番CA−Xで測定することができる。測定は、温度21〜24℃、相対湿度45〜55%程度の一定条件で行うのが好ましい。
転写支持体に塗布法で絶縁層又は隔壁材料層を設ける場合であれば、液がムラ防止の観点から、前記接触角が90°以下であることが好ましい。絶縁層又は隔壁材料層を真空製膜法や転写剥離法などの乾式法で設ける場合には、このような問題がなく、前記接触角については特に上限はない。
図7に、転写支持体表面に形成した液滴の側面図を示す。接触角θを求めるには、転写 転写支持体表面101に滴下した液滴102の頂点103から版と純水との接触点105に直線106を引き、この直線106と転写支持体表面101とのなす角αを測定する。版と液滴102の接線104とのなす角である接触角θは、αの2倍となっている。
転写支持体表面における前記接触角を50°以上とするためには、転写支持体表面に表面処理層(撥水化処理)を行うことが好ましい。
表面処理は、少なくとも転写支持体表面に行えばよい。表面処理(撥水化処理)の方法としては、フッ素化処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、火炎処理、グロー放電処理を挙げることができる。フッ素化処理としては、フロロカーボンガス(CFガス等)を用いたプラズマ処理や、フッ素アルキルカップリング剤(例えばパーフルオロアルキル官能性シラン、好ましくはパーフロロアルキルトリメトシキシラン等)の蒸気に曝す方法等が挙げられる。
撥水化処理に先立って、転写支持体表面にアンダーコート層を設けてもよい。アンダーコート層を設けることにより、表面撥水効果を向上させることができる。
転写支持体表面は、該転写支持体上に形成される絶縁層及び隔壁材料層の平坦性及び均質性を保持する観点から、JIS B 0601−1982で規定される最大表面粗さRmaxが、前記有機低分子化合物層の厚さを100とした場合に、0〜50の範囲であることが好ましく、0〜25であることがより好ましく、1〜10であることが特に好ましい。
転写支持体表面の最大表面粗さRmaxを上記の範囲内にするには、支持体単独表面が荒れている場合、表面に平滑化層を施したり、研磨や、加熱処理等で平滑とすることができる。
最大表面粗さRmaxを測定する方法としては、原子間力顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、触針法、光学顕微干渉法、多重干渉法、光切断法等が挙げられるが、原子間力顕微鏡法及び共焦点顕微鏡法によるのが好ましい。
−剥離層−
転写支持体は、転写支持体表面に剥離層を有してもよい。
剥離層は、離型効果を有する成分(離型剤)を含んでいるのが好ましい。離型効果とは、転写材料を被転写面に重ねて加熱及び/又は加圧し、転写支持体を引き剥がす際に、絶縁層又は隔壁材料層が転写支持体側に融着せず、効率よく被転写面に転写される効果である。
剥離層の厚さとしては、充分な離型効果を発揮させる観点から、0.5nm〜50μmであることが好ましい。
剥離層を形成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリスチレン等のビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン、プロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体、アイオノマー、エチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。中でもビニル系樹脂及びポリエステル系樹脂が好ましい。これらの樹脂は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
剥離層は離型剤を含有してもよい。離型剤としては、ケイ素含有化合物、フッ素含有化合物、ワックス、無機フィラー、有機フィラー、界面活性剤、金属石鹸等が挙げられる。ケイ素含有化合物としては、シラン化合物、シリコーンオイル、シリコーンゴム及びシリコーン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。フッ素含有化合物としては、フッ素系界面活性剤、フッ素系オイル、フッ素ゴム及びフッ素樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。これらの離型剤は単独で用いても2種以上を使用してもよい。
剥離層は、転写支持体表面及び/又は剥離層を形成する樹脂と反応する官能基を有していてもよい。例えば、転写支持体及び/又は剥離層を形成する樹脂として水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基等の反応性基を有する樹脂を用い、これら反応性基に、末端にカルボキシル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基等の官能基を有するケイ素含有化合物、フッ素含有化合物等を反応させることにより、転写支持体に剥離層を固定することができる。
また、剥離層を形成する樹脂として、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基等の反応性基を有する樹脂を用い、上記官能基を有するケイ素含有化合物、フッ素含有化合物等を用いて剥離層内で反応させてもよい。剥離層内で架橋させることにより、剥離層が硬化し離型効果を高めることができる。官能基を有する離型剤は版の表面及び剥離層を形成する樹脂との両方に反応してもよい。
転写支持体表面の反応性基(水酸基等の親水基)は、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、火炎処理、グロー放電処理等の活性化処理によって形成してもよい。官能基を有する離型剤と転写支持体表面及び/又は剥離層を形成する樹脂との反応は熱、光等により行うことができる。従って、転写支持体上に剥離層を形成した後、加熱乾燥する工程により反応を進行させることができる。
官能基を有する離型剤としては、エポキシ変性、ビニル変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性、ポリエーテル変性等の変性シリコーンオイル、変性シリコーン樹脂、変性フッ素樹脂、変性フッ素ゴム等が挙げられる。
剥離層に適用しうる離型剤として具体的には、特開2005−78942号公報の段落番号[0047]〜[0079]に記載されるものが挙げられる。
離型剤の含有量は、剥離層の膜質及び転写率の観点から、剥離層を形成する樹脂に対して好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜40質量%である。
また剥離層には、本発明の効果を妨げない範囲で他の成分を含有していてもよい。
剥離層は湿式法により形成するのが好ましい。これには、剥離層用材料を有機溶剤に所望の濃度に溶解し、得られた溶液を版に塗布する。塗布法としては、均一な膜厚分布が得られれば特に制限はなく、スピンコート法、グラビアコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、エクストルージェンコート法、インクジェット塗布法等が挙げられる。
[2]電子デバイスの絶縁層形成方法
本発明の電子デバイスの絶縁層形成方法(以下、単に「絶縁層形成方法」と称する場合がある。)は、転写支持体上に絶縁層と電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層とをこの順に有する電子デバイス用転写材料を用い、該転写材料における電荷輸送性有機化合物層が、基板上の一部又は全面に電極が形成された被転写基板における電極を有する側の面と対面するように、前記転写材料を前記被転写基板に重ねて加熱及び/又は加圧した後、前記転写支持体を引き剥がすことにより前記絶縁層を前記被転写基板の電極を有する側の面に転写して、前記被転写基板上に絶縁層を形成することを特徴とする。
本発明の絶縁層形成方法について、図面を適宜参照して説明する。
図1は、本発明の絶縁層形成方法による絶縁層形成の一実施態様を示す工程フローである。
図1中、(I)は、転写支持体として凸部を有する押圧部材10aを有する転写材料Aを用いた絶縁層形成の実施態様の一例を示す工程フローを示す(以下、工程フロー(I)と称する。)。
工程フロー(I)では、(I−1)〜(I−3)に示すように、絶縁層12を形成する為の塗布液を押圧部材10aの凸部を有する側の面に塗布することにより、絶縁層12を形成し、更に、該絶縁層12上に蒸着により有機低分子化合物層14を形成することにより押圧部材10aを用いた転写材料Aを作製する。さらに(I−4)〜(I−5)に示すように、転写材料Aにおける有機低分子化合物層14が被転写基板16の電極(不図示)を有する側の面と対面するように、転写材料Aを被転写基板16に重ねて加熱及び/又は加圧をする。その後、押圧部材10aを引き剥がすことにより、絶縁層12が有機低分子化合物層14を介して被転写基板16上に転写される。転写された絶縁層12は、転写終了後の被転写基板16を用いて製造される電子デバイスにおいて絶縁層として機能する。
図1中、(II)は、転写支持体として平版状の仮支持体10bを有する転写材料Bを用いた絶縁層形成の実施態様の一例を示すフローである(以下、工程フロ−(II)と称する。)。
工程フロー(II)では、(II−1)〜(II−3)に示すように、絶縁層12を形成するための塗布液を塗布後、現像して、パターニングすることにより(塗布、現像、パターニングについては不図示)、仮支持体10b上に絶縁層12を形成し、更に、該絶縁層12上に蒸着により有機低分子化合物層14を形成することにより仮支持体10bを用いた転写材料Bを作製する。さらに(II−4)〜(II−5)に示すように、転写材料Bにおける有機低分子化合物層14が被転写基板16の電極(不図示)を有する側の面と対面するように、転写材料Bを被転写基板16に重ねて加熱及び/又は加圧をする。その後、仮支持体10bを引き剥がすことにより、絶縁層12が有機低分子化合物層14を介して被転写基板16上に転写される。転写された絶縁層12は、転写終了後の被転写基板16を用いて製造される電子デバイスにおいて絶縁層として機能する。
本発明に用いうる被転写基板は、基板上の一部又は全面に電極が形成されてなる。
被転写基板は、基板及び電極から構成されていてもよいし、該電極上に更に有機低分子化合物層を有していてもよい。電極上に更に有機低分子化合物層を有する場合、形成される絶縁層(電子デバイスにおける絶縁層)と被転写基板との密着性をより向上させることができる。
有機低分子化合物層に用いうる材料としては、本発明の転写材料における有機低分子化合物層の説明にて挙げた材料を適用できる。密着性の観点からは、転写材料における有機低分子化合物層と、被転写基板における有機低分子化合物層とは同じ組成であることがより好ましい。
被転写基板における基板としては、発光素子等の電子デバイスに適用される基板であれば特に制限なく用いることができる。基板に用いうる材料、形状等の詳細については、後述する発光素子の説明において詳述する内容が同様に適用される。
被転写基板に設けられる電極は、陽極であっても陰極であってもよい。いずれの電極を設けるかは、電子デバイスの構成によって適宜決定される。電極に用いうる材料、形状、電極の形成方法等の詳細については、後述する発光素子の説明において詳述する内容を例示することができる。
図2は、本発明に用いうる被転写基板の構成の一例を示す概略部分断面図である。図2(a)は、基板1上に電極2のみを形成した態様を示し、図2(b)は基板1上に電極2を形成し、更に有機低分子化合物層3を形成した態様を示す。
本発明の絶縁層形成方法における各種の形成条件について詳述する。
絶縁層を被転写基板に転写する際の温度は特に限定的でなく、絶縁層の材質や加熱部材によって変更することができるが、一般に40〜250℃が好ましく、更に50〜200℃が好ましく、特に60〜180℃が好ましい。
ただし、転写する際の温度の好ましい範囲は、加熱部材、転写材料及び被転写基板の耐熱性に関係しており、耐熱性が向上すればそれにともなって変化する。したがって、2種以上の転写材料を使用する場合には、最初に転写する転写材料の転写温度が次に転写する転写材料の転写温度以上であり、2種以上の絶縁層を有する転写材料を使用する場合には、最初に転写する有機化合物層の転写温度が次に転写する有機化合物層の転写温度以上であることが好ましい。
絶縁層を被転写基板に転写する際の圧力は特に限定的でなく、絶縁層の材質や加圧部材によって変更することができるが、一般に0〜10t/cmが好ましく、更に0〜5 t/cmが好ましく、特に0〜2t/cmが好ましい。ただし転写する際の圧力の好ましい範囲は、加圧部材、転写材料及び被転写基板の耐圧性に関係しており、耐圧性が向上すればそれにともなって変化する。
絶縁層又はその高分子成分のガラス転移温度又は流動開始温度が40℃以上で、かつ転写温度+40℃以下であるのが好ましい。2種以上の転写材料を用いる場合には、転写する2種以上の絶縁層は少なくとも1種の共通成分を含有してもよい。
転写前に、被転写基板及び/又は転写材料を予熱してもよい。被転写基板及び/又は転写材料の予熱温度は30℃以上で、かつ転写温度+20℃以下であるのが好ましい。また版を引き剥がす時の温度は―50℃以上で、かつ転写温度以下であるのが好ましい。版を剥離した後で転写された絶縁層を再度加熱してもよい。
絶縁層が被転写基板の被転写面に対面するように転写材料を基板に重ねて加熱する際に、加圧も行ってもよい。
絶縁層が被転写基板の被転写面に対面するように転写材料を基板に重ねる際に、転写材料の基板に対する進入角度を高くすると、気泡などの巻込みが少なくなるので好ましい。また版を基板上に転写された絶縁層から引き剥がす際に、転写支持体の絶縁層に対する剥離角度を大きくするのが好ましい。
被転写基板に転写した絶縁層に対して、あるいは先に転写した絶縁層に転写した新たな絶縁層に対しては、必要に応じて再加熱及び/又は再加圧するのが好ましい。再加熱及び/又は再加圧により絶縁層は基板又は先に転写した絶縁層にいっそう密着させる。再加熱の際の温度は、転写温度±50℃の範囲とするのが好ましい。再加圧の際の圧力は、元の加圧の±100%の範囲とするのが好ましい。
転写を2回以上行う場合には、先に転写した層が次に転写する層に逆転写されないように、先の転写と次の転写の間で、被転写面に密着力を向上するような表面処理を施してもよい。このような表面処理としては、例えばコロナ放電処理、火炎処理、グロー放電処理、プラズマ処理等の活性化処理が挙げられる。表面処理を併用する場合、逆転写しなければ、先の転写材料の転写温度が次の転写材料の転写温度未満であってもよい。
転写材料は、絶縁層の転写に繰り返し用いられるのが好ましい。繰り返し用いる場合、その都度又は複数回使用した後で洗浄を施してもよい。洗浄は一般的な方法を用いることができ、特に制限されないが、版に設けられている所定パターンを傷めないため、溶剤を用いる方法が好ましい。溶剤としては、特に制限はなく、転写支持体上に設ける層の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、n−プロピルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、炭酸ジエチル等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、水が挙げられる。溶剤は版に吹き付けたり散布してもよいし、転写支持体を溶剤に浸漬してもよい。溶剤への溶解を促進するために、超音波処理や、加温処理を施してもよい
本発明の絶縁層形成に適用しうる製造装置としては、転写支持体上に湿式法等により絶縁層を形成した転写材料を送給する装置と、転写材料を加熱及び/又は加圧しながら被転写基板の被転写面に押し当てることにより、絶縁層を被転写基板の被転写面に転写する転写装置と、転写後に転写支持体を絶縁層から引き剥がす装置とを有するのが好ましい。
転写装置に送給する前に転写材料及び/又は被転写基板を予熱する手段を有するのが好ましい。また転写装置の後段に冷却装置を有してもよい。
転写装置の前面には、転写材料の被転写基板に対する進入角度を高くする進入角度調整部を設けてもよく、また転写装置又は冷却装置の後面には、転写支持体の絶縁層に対する剥離角度を大きくする剥離角度調整部を設けてもよい。
以上の製造方法及び装置についての詳細は、特開2002−260854号や特願2001−089663号等に記載の方法を参照することができる。
図3及び図4は、本発明の絶縁層形成方法により、絶縁層が形成された後の被転写基板の構成例を示す概略部分断面図である。
図3(a)は、基板30の表面に電極32を有する被転写基板上に、本発明の絶縁層形成方法により、絶縁層36を形成した後の被転写基板の構成例を示す図である。また、図3(b)は、基板30の表面に電極32及び有機低分子化合物層38を順次有する被転写基板上に、本発明の絶縁層形成方法により、絶縁層36を形成した後の被転写基板の構成例を示す図である。
図4(a)、基板40の表面に電極42を有する被転写基板上に、電極42の周囲(エッジ部)を絶縁するように、本発明の絶縁層形成方法により、絶縁層46を形成した後の被転写基板の構成例を示す図である。また、図3(b)は、基板40の表面に電極42及び有機低分子化合物層48を順次有する被転写基板上に、電極42の周囲(エッジ部)を絶縁するように、本発明の絶縁層形成方法により、絶縁層46を形成した後の被転写基板の構成例を示す図である。
[3]電子デバイスの隔壁形成方法
本発明の電子デバイスの隔壁形成方法(以下、単位「隔壁形成方法」と称する場合がある。)は、転写支持体上に隔壁材料層と電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層とをこの順に有する電子デバイス用転写材料を用い、該転写材料における電荷輸送性有機化合物層が、基板上の一部又は全面に電極が形成された被転写基板における電極を有する側の面と対面するように、前記転写材料を前記被転写基板に重ねて加熱及び/又は加圧した後、前記転写支持体を引き剥がすことにより前記隔壁材料層を前記被転写基板の電極を有する側の面に転写して、前記被転写基板上に隔壁を形成することを特徴とする。
本発明の隔壁形成方法は、隔壁を形成するための転写材料として、転写支持体上に隔壁材料層と電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層とをこの順に有する電子デバイス用転写材料(本発明の転写材料)を用いる以外は、前記した本発明の絶縁層形成方法と同様にして行うことができる。
本発明の絶縁層形成方法について、図面を適宜参照して説明する。
図5に、本発明の絶縁層形成方法による絶縁層形成の工程フローの例を示す。
図5中、(III)は、転写支持体として凸部を有する押圧部材50aを有する転写材料Cを用いた絶縁層形成の実施態様の一例を示す工程フローである(以下、工程フロー(III)と称する。)。
工程フロー(III)では、(III−1)〜(III−3)に示すように、隔壁材料層52を形成する為の塗布液を押圧部材50aの凸部を有する側の面に塗布することにより、隔壁材料層52を形成し、更に、該隔壁材料層52上に蒸着により有機低分子化合物層54を形成することにより押圧部材50aを用いた転写材料Cを作製する。さらに(III−4)〜(III−5)に示すように、転写材料Cにおける有機低分子化合物層54が被転写基板56の電極(不図示)を有する側の面と対面するように、転写材料Cを被転写基板56に重ねて加熱及び/又は加圧をする。その後、押圧部材50aを引き剥がすことにより、隔壁材料層52が有機低分子化合物層14を介して被転写基板56上に転写される。転写された隔壁材料層52は、転写終了後の被転写基板56を用いて製造される電子デバイスにおいて隔壁として機能する。
図5中、(IV)は、転写支持体として平版状の仮支持体50bを有する転写材料Dを用いた隔壁形成の実施態様の一例を示すフローである(以下、工程フロ−(IV)と称する。)。
工程フロー(IV)では、(IV−1)〜(IV−3)に示すように、隔壁材料52を形成する為の塗布液を塗布後、現像して、パターニングすることにより(塗布、現像、パターニングについては不図示)、仮支持体50b上に隔壁材料52を形成し、更に、該隔壁材料52上に蒸着により有機低分子化合物層54を形成することにより仮支持体50bを用いた転写材料Dを作製する。さらに(IV−4)〜(IV−5)に示すように、転写材料Dにおける有機低分子化合物層54が被転写基板56の電極(不図示)を有する側の面と対面するように、転写材料Dを被転写基板56に重ねて加熱及び/又は加圧をする。その後、仮支持体50bを引き剥がすことにより、隔壁材料52が有機低分子化合物層54を介して被転写基板56上に転写される。転写された隔壁材料52は、転写終了後の被転写基板56を用いて製造される電子デバイスにおいて隔壁として機能する。
本発明の隔壁形成方法に適用される被転写基板としては、既述の本発明の絶縁層形成方法の説明において詳述した内容が同様に適用される。
本発明の隔壁形成方法に適用される各種の形成条件については、既述の本発明の絶縁層形成方法の説明において詳述した条件を同様に適用することができる。
本発明の隔壁形成方法の好適な態様の一つは、本発明における被転写基板上に発光層を含む有機化合物層を形成後、本発明の転写材料を用いて隔壁を形成する態様である。
有機電解発光素子などの電子デバイスにおける隔壁は厚みの大きな構造物である。このため、当該隔壁を発光層を含む有機化合物層の形成前に設けると、例えば、蒸着法にて有機化合物層を設ける場合においては、隔壁の厚みに起因してマスクが浮してしまう等の事態を招来し、また、転写法により有機化合物層を形成する場合においても、隔壁の厚みが転写の障害となり、精細な有機化合物層の形成に支障を来す場合がある。特に、隔壁の形成にエッチング等の工程を必要とするフォトリソグラフィー技術を適用する場合には、現像等の工程を経なければならないことから、有機化合物層形成後の隔壁形成は困難である。また、フォトリソグラフィー技術を適用して形成された隔壁は被転写面との密着性にも劣る。
本発明の隔壁形成方法は、転写材料を用いた剥離転写方法を適用したものであり、有機化合物層の形成前後を問わず隔壁形成が可能である。しががって、上記のような問題を生じることがなく、精細な有機化合物層の形成が可能であるとともに、被転写面との密着性も高い隔壁を形成することができる。
図6は、本発明の隔壁形成方法により、隔壁が形成された後の被転写基板の構成例を示す概略部分断面図である。
図6(a)は、基板60の表面に電極62を有する被転写基板上に、本発明の絶縁層形成方法により、隔壁66を形成した後の被転写基板の構成例を示す図である。また、図6(b)は、基板60の表面に電極62及び有機低分子化合物層68を順次有する被転写基板上に、本発明の絶縁層形成方法により、隔壁66を形成した後の被転写基板の構成例を示す図である。
[4]発光素子
本発明の発光素子は、本発明の絶縁層形成方法を用いて形成された絶縁層、及び/又は、本発明の隔壁形成方法を用いて形成された隔壁を有することを特徴とする。本発明の発光素子のシステム、駆動方法、利用形態等は特に限定されないが、代表的な発光素子として、有機電界発光素子を挙げることができる。以下、有機電界発光素子の構成を例に本発明の発光素子の説明を行う。
(1)構成
本発明の発光素子は、少なくとも透明の基板、透明の電極層、少なくとも一層の有機化合物層、透明又は不透明の電極層、透明又は不透明の基板の順で構成されており、有機化合物層のうち少なくとも一層が発光性層であることが好ましい。本発明の発光素子は、かかる構成中に、本発明の絶縁層形成方法を用いて形成された絶縁層、及び/又は、本発明の隔壁形成方法を用いて形成された隔壁を有する。
本発明の発光素子は、本発明の絶縁層形成方法又は/及び隔壁形成方法により形成された隔壁を有することにより、優れた発光性能(例えば、短絡等による画素発光欠陥低減)を発揮する。
さらに、発光素子の全体構成は、基板上に、透明導電層/発光層/背面電極、透明導電層/発光層/電子輸送性層/背面電極、透明導電層/正孔輸送性層/発光層/電子輸送性層/背面電極、透明導電層/正孔輸送性層/発光層/背面電極、透明導電層/発光層/電子輸送性有機化合物層/電子注入層/背面電極、透明導電層/正孔注入層/正孔輸送性層/発光層/電子輸送性層/電子注入層/背面電極等をこの順に積層した構成、その上に更に基板を設けて基板間に有機化合物層を挟みこむ構造にしたり、これらを逆に積層した構成等であってよい。発光層は蛍光発光性化合物及び/又は燐光発光性化合物を含有し、通常透明導電層から発光が取り出される。各層に用いる化合物の具体例については、例えば「月刊ディスプレイ」1998年10月号別冊の「有機ELディスプレイ」(テクノタイムズ社)等に記載されている。
以下、発光素子における、基板、電極、有機化合物層、その他の層について、順次説明する。
(2)基板
基板としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルやポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン共重合体等の高分子材料等からなるものであってよい。基板は単一材料で形成しても、2種以上の材料で形成してもよい。中でも、フレキシブルな有機電界発光素子を形成するためには高分子材料が好ましく、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性及び加工性に優れ、且つ低通気性及び低吸湿性であるポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンや、ポリクロロトリフルオロエチレン、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン−ポリエチレン共重合体等のフッ素原子を含む高分子材料がより好ましい。
基板の形状、構造、大きさ等は発光素子の用途及び目的に応じて適宜選択することができる。形状は板状又は連続ウエブとするのが一般的である。構造は単層構造であっても積層構造であってもよい。基板は単一の部材で形成しても、2以上の部材で形成してもよい。また基板は無色透明であっても有色透明であってもよいが、発光層から発せられる光を散乱又は減衰させることがない点で無色透明であるのが好ましい。
基板における電極側の面、電極と反対側の面又はその両方に、透湿防止層(ガスバリア層)を設けてもよい。透湿防止層を構成する材料としては窒化ケイ素、酸化ケイ素等の無機物を用いるのが好ましい。透湿防止層は高周波スパッタリング法等により成膜できる。また基板支持体には必要に応じてハードコート層やアンダーコート層を設けてもよい。
(3)電極
陽極としては、通常、有機化合物層に正孔を供給する陽極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて一般的な電極の中から適宜選択することができる。
陽極の材料としては、例えば金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、又はこれらの混合物を好適に挙げられ、仕事関数が4.0 eV以上の材料が好ましい。具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の半導性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、前記半導性金属酸化物又は金属化合物の分散物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
陽極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から陽極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。
例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、該陽極の形成は、直流あるいは高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。また、陽極の材料として有機導電性化合物を選択する場合には湿式製膜法に従って行うことができる。
陽極層のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、またマスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
陽極層の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜50μmであり、50nm〜20μmが好ましい。
陽極の抵抗値としては、10Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。10Ω/□以下の場合、バスライン電極を設置することにより性能の優れた大面積発光素子を得ることができる。
陽極は、無色透明であっても、有色透明であっても、不透明であってもうよいが、陽極を透明陽極とし、透明陽極側から発光を取り出す場合にその透過率としては60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。この透過率は、分光高度計を用いた公知の方法に従って測定できる。透明陽極としては「透明導電膜の新展開」(沢田豊監修、シーエムシー刊、1999年)等に詳細に記載されている電極も本発明に適用できる。特に耐熱性の低いプラスチック基板支持体を用いる場合は、透明導電層材料としてITO又はIZOを使用し、150℃以下の低温で製膜するのが好ましい。
陰極としては、通常、有機化合物層に電子を注入する陰極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途や目的に応じて、一般的な電極の中から適宜選択することができる。
陰極の材料としては、例えば、金属単体や、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。陰極の材料の具体例としては、アルカリ金属(例えばLi、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上併用するのが好ましい。
これらの陰極の材料中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
アルミニウムを主体とする材料としては、アルミニウム単独、又はアルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との合金若しくは混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)が挙げられる。
陰極側から光を取り出す場合、透明陰極とは、光に対して、実質上透明(観察する時の光量が必要量に達している状態)で有ればよい。電子注入性と透明性を両立するためには、薄膜金属層と透明導電層の2層構造をとることもできる。なお、薄膜金属層の材料については、特開平2−15595号、特開平5−121172号の各公報に詳述されている。薄膜金属層の厚みは1nm以上50nm以下であることが好ましい。1nm以下であると、均一に薄膜層を製膜することが混難になる。また、50nmより厚いと、光の透過性が悪くなる。
陰極が2層構造をとる場合の透明導電層に用いられる材料としては、導電性、半導性が有り、透明である材料であるならば特に限定されることはない。前記陽極に記載した材料が好適に用いることができ、中でも例えばアンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等を挙げることができる。
透明導電層の厚みは30nm以上500nm以下であることが好ましい。これよりも薄いと導電性、半導性が劣り、これよりも厚いと生産性が悪くなる。
陰極の形成方法は特に制限されず、一般的な方法に従って行うことができるが、真空機器内で行うのが好ましい。例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式が挙げられる。これらの方法の中から材料との適性を考慮して形成方法を選択するのが好ましい。例えば前記陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。また有機導電性材料を用いる場合、湿式製膜法を用いてもよい。
陰極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
陰極と後述する有機化合物層との間にアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
(4)有機化合物層
有機化合物層は発光素子において、一対の電極間に挟持される層である。有機化合物層としては、それぞれの特質から発光層、電子輸送性層、正孔輸送性層、電子注入層、正孔光注入層等が挙げられる。また発色性を向上するための種々の層を挙げることができる。各層に用いる化合物の具体例については、例えば「月刊ディスプレイ」1998年10月号別冊の「有機ELディスプレイ」(テクノタイムズ社)等に記載されている。
有機化合物層及び/又は有機化合物層の成分のガラス転移温度は、40℃以上かつ転写温度+40℃以下が好ましく、50℃以上かつ転写温度+20℃以下がより好ましく、60℃以上かつ転写温度以下が特に好ましい。また転写材料の有機化合物層及び/又は有機化合物層の成分の流動開始温度は、40℃以上かつ転写温度+40℃以下が好ましく、50℃以上かつ転写温度+20℃以下がより好ましく、60℃以上かつ転写温度以下が特に好ましい。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定装置(DSC)により測定することができる。また、流動開始温度は、例えば島津製作所(株)製のフローテスターCFT−500を用い、オリフィス径1mmのオリフィス内より荷重20Kg/cmを印加しながら一定昇温速度で加熱し、流出させて測定することができる。
有機化合物層の形成は、剥離転写方法、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、ディッピング、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の湿式製膜法、印刷法等により形成することができる。
(4−a)発光層
発光性層は少なくとも一種の発光性化合物を含有する。発光性化合物は、特に限定的ではなく、蛍光発光性化合物であっても燐光発光性化合物であってもよい。また蛍光発光性化合物及び燐光発光性化合物を同時に用いてもよい。本発明においては、発光輝度及び発光効率の点から燐光発光性化合物を用いるのが好ましい。
蛍光発光性化合物としては、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、金属錯体(8−キノリノール誘導体の金属錯体、希土類錯体等)、高分子発光性化合物(ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等)等が使用できる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
燐光発光性化合物は、好ましくは三重項励起子から発光することができる化合物であり、オルトメタル化錯体及びポルフィリン錯体が好ましい。ポルフィリン錯体の中ではポルフィリン白金錯体が好ましい。燐光発光性化合物は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明でいうオルトメタル化錯体とは、山本明夫著「有機金属化学 基礎と応用」,150頁及び232頁,裳華房社(1982年)、H. Yersin著「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」,71〜77頁及び135〜146頁,Springer−Verlag社(1987年)等に記載されている化合物群の総称である。オルトメタル化錯体を形成する配位子は特に限定されないが、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体又は2−フェニルキノリン誘導体であるのが好ましい。これら誘導体は置換基を有してもよい。またこれらのオルトメタル化錯体形成に必須の配位子以外に他の配位子を有していてもよい。オルトメタル化錯体を形成する中心金属としては、遷移金属であればいずれも使用可能であり、本発明ではロジウム、白金、金、イリジウム、ルテニウム、パラジウム等を好ましく用いることができる。このようなオルトメタル化錯体を含む有機化合物層は、発光輝度及び発光効率に優れている。オルトメタル化錯体については、特願2000−254171号に具体例が記載されている。
本発明で用いうるオルトメタル化錯体は、Inorg. Chem., 30, 1685, 1991、Inorg. Chem., 27, 3464, 1988、Inorg. Chem., 33, 545, 1994、Inorg. Chim. Acta, 181, 245, 1991、J. Organomet. Chem., 335, 293, 1987、J. Am. Chem. Soc., 107, 1431, 1985等に記載の公知の方法により合成することができる。
発光層中の発光性化合物の含有量は特に制限されないが、例えば0.1〜70質量%であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましい。発光性化合物の含有量が0.1質量%未満であるか又は70質量%を超えると、その効果が十分に発揮されないことがある。
発光層は必要に応じてホスト化合物、正孔輸送材料、電子輸送材料、電気的に不活性なポリマーバインダー等を含有してもよい。なおこれらの材料の機能は1つの化合物により同時に達成できることがある。例えば、カルバゾール誘導体はホスト化合物として機能するのみならず、正孔輸送材料としても機能する。
ホスト化合物とは、その励起状態から発光性化合物へエネルギー移動が起こり、その結果その発光性化合物を発光させる化合物である。その具体例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン化合物、ポルフィリン化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体、メタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾール等を配位子とする金属錯体、ポリシラン化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。ホスト化合物は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。ホスト化合物の発光層における含有率としては0〜99.9質量%が好ましく、さらに好ましくは、0〜99.0質量%である。
正孔輸送材料は、陽極からホールを注入する機能、ホールを輸送する機能、及び陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているものであれば特に限定されず、低分子材料であっても高分子材料であってもよい。その具体例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン化合物、ポルフィリン化合物、ポリシラン化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。正孔輸送材料の発光層における含有率としては0〜99.9質量%が好ましく、さらに好ましくは、0〜80.0質量%である。
電子輸送材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、及び陽極から注入されたホールを障壁する機能のいずれかを有しているものであれば特に限定されない。その具体例としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体等の金属錯体、メタロフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾール等を配位子とする金属錯体、アニリン共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。電子輸送材料の発光層における含有率としては0〜99.9質量%が好ましく、0〜80.0質量%であるのがより好ましい。
ポリマーバインダーとしては、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等が使用可能である。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。ポリマーバインダーを含有する発光層は、湿式製膜法により容易に大面積に塗布形成することができる。
発光層の厚さは10〜200nmとするのが好ましく、20〜80nmとするのがより好ましい。
(4−b)正孔輸送性層
発光素子は、必要に応じて前記正孔輸送材料からなる正孔輸送性層を有してよい。正孔輸送性層は上記ポリマーバインダーを含有してもよい。正孔輸送性層の厚さは10〜200nmとするのが好ましく、20〜80nmとするのがより好ましい。
(4−c) 電子輸送性層
発光素子は、必要に応じて前記電子輸送材料からなる電子輸送性層を有してもよい。電子輸送性層は上記ポリマーバインダーを含有してもよい。電子輸送性層の厚さは10〜200nmとするのが好ましく、20〜80nmとするのがより好ましい。
(5)その他の層
発光素子を構成する層として、発光性能の劣化を防止するために保護層や封止層を設けるのが好ましい。
(5−a)保護層
発光素子は、特開平7−85974号、特開平7−192866号、特開平8−22891号、特開平10−275682号、特開平10−106746号に記載の保護層を有していてもよい。保護層は発光素子の最上面に形成する。ここで最上面とは、例えば基板支持体、透明導電層、有機化合物層及び背面電極をこの順に積層する場合には背面電極の外側表面を表し、基板支持体、背面電極、有機化合物層及び透明導電層をこの順に積層する場合には、透明導電層の外側表面を表す。保護層の形状、大きさ、厚さ等は特に限定的でない。保護層の材料としては、水分や酸素等の発光素子を劣化させ得るものが素子内に侵入又は透過するのを抑制する機能を有しているものであれば特に限定されず、例えば一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、一酸化ゲルマニウム、二酸化ゲルマニウム等が好ましい。
保護層の形成方法は特に限定はなく、例え、ば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシ法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザCVD法、熱CVD法、コーティング法等が適用できる。
(5−b)封止層
発光素子には、水分や酸素の侵入を防止するための封止層を設けるのが好ましい。封止層を形成する材料としては、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとの共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン又はジクロロジフルオロエチレンと他のコモノマーとの共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質、金属(In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等)、金属酸化物(MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等)、金属フッ化物(MgF、LiF、AlF、CaF等)、液状フッ素化炭素(パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等)、液状フッ素化炭素に水分や酸素の吸着剤を分散させたもの等が使用可能である。
外部からの水分や酸素を遮断する目的で、有機化合物層を封止板、封止容器等の封止部材により封止するのが好ましい。封止部材を背面電極側のみに設置しても、発光積層体全体を封止部材で覆ってもよい。有機化合物層を封止でき外部の空気を遮断することができれば、封止部材の形状、大きさ、厚さ等は特に限定されない。封止部材に用いる材料としては、ガラス、ステンレススチール、金属(アルミニウム等)、プラスチック(ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート等)、セラミック等を用いることができる。
封止部材を発光積層体に設置する際には、適宜封止剤(接着剤)を用いてもよい。発光積層体全体を封止部材で覆う場合は、封止剤を用いずに封止部材同士を熱融着してもよい。封止剤としては紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、二液型硬化樹脂等が使用可能である。
さらに封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を挿入してもよい。水分吸収剤の具体例としては酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化リン、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等が挙げられる。不活性液体としてはパラフィン類、流動パラフィン類、フッ素系溶剤(パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等)、塩素系溶剤、シリコーンオイル類等を用いることができる。
発光素子は、前記陽極と前記陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜40ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光させることができる。
本発明の発光素子の駆動については、特開平2−148689号、特開平6−301355号、特開平5−29080号、特開平7−134558号、特開平8−234685号、特開平8−241047号、米国特許5828429号、米国特許6023308号、日本特許第2784615号に記載の方法を利用することができる。
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明する。なお、以下においては、電子デバイスとして有機電界発光素子を例に説明するが、本発明が適用される電子デバイスはこれに限定されるものではない。
[実施例1]
1.転写材料の作製
1−1.転写支持体の作製
片面に100μm巾150μmピッチの凸部(Rmax=0.5nm)を設けてなる厚み0.7mmの石英ガラスからなる押圧部材(以下、転写支持体Aとする。)を準備し、該押圧部材Aの片面を、フッ素系表面防汚コーティング剤を含む溶液(オプツールDSX、デムナムソルベント0.1wt%希釈液、ダイキン工業製)に1分間浸漬した後、該溶液から取出して乾燥し、乾燥後の厚さが10nmの剥離層Aを有する転写支持体Aを得た。
−接触角の測定−
剥離層Aを有する転写支持体Aについて、剥離層Aを有する面の純水に対する接触角を、協和界面科学社製の接触角計、型番DROPMASPER300により測定したところ、114°であった。測定は、温度24℃、相対湿度50%、滴下後10秒の条件で行った。
−表面粗さの測定−
転写支持体Aにおける剥離層Aを有する面の最大表面粗さ(Rmax)を、セイコーインスツルメンツ(株)製、SPI3800N SPA−400を用いて、20000nm×20000nmの面積を0.05nm毎(ピッチ)で格子状にサンプリングしてJIS B 0601−1982に基づき原子間力顕微鏡法で測定したところ0.5nmであった。
1−2.転写材料A1及び転写材料A2の作製
−転写材料A1−
上記で得られた、剥離層Aを有する転写支持体A上に、TFR−H(東京応化工業(株)製のポジ型感光性樹脂)をスピンコータで乾燥膜厚で(1000nm)となるように絶縁層を形成し、露光を行った。次いで、アルバック機工(株)製の小型真空蒸着装置「VPC−410A」により、有機低分子化合物層としてAlq(下記構造)を20nm蒸着した。
なお、Rmax/有機層×100=2.5%であった。
以上のようにして、絶縁層を有する転写材料A1を得た。
−転写材料A2−
上記で得られた、剥離層Aを有する転写支持体A上に、ZPN−1100(日本ゼオン(株)製のフォトレジスト)をスピンコータで乾燥膜厚(3000nm)となるように隔壁材料層を形成し、露光を行った。次いで、アルバック機工(株)製の小型真空蒸着装置「VPC−410A」により、有機低分子化合物層としてAlq(前記構造)を20nm蒸着した。
以上のようにして、隔壁材料層を有する転写材料A1を得た。
Figure 2008084701
2.有機電界発光素子(1)の作製
2−1.被転写基板(陽極、有機化合物層の形成)
0.5mm×2.5cm×2.5cmの白板ガラスを準備し、真空チャンバー内に導入し、SnO含有率が10質量%のITOターゲット(インジウム:錫=95:5(モル比))を用いて、DCマグネトロンスパッタリング(条件:基板の温度250℃、酸素圧1×10 −3 Pa)により、厚さ100nmのITO薄膜からなる透明電極(陽極)を形成した。ITO薄膜の表面抵抗は10Ω/□であった。
その後、フォトリソ法でエッチング処理を行い透明電極層(ITO膜)をパターン状に形成した。透明電極(ITO)を形成したガラス板を洗浄容器に入れ、イソプロピルアルコール(IPA)により洗浄した後、UV−オゾン処理を30分行った。処理した透明電極の表面に、正孔注入層として、銅フタロシアニンを真空蒸着法にて、1nm/秒の速度で10nmの膜厚で設けた。
その上に、正孔輸送材料であるN,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニルベンジジジン(NPD)を真空蒸着法にて1nm/秒の速度で50nmの膜厚で設け、正孔輸送性層を形成した。その上に、燐光発光材料であるオルトメタル錯体としてトリス(2−フェニルピリジル)イリジウム錯体、及び、ホスト材料として4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニルを、真空蒸着法によりそれぞれ0.1nm/秒、1nm/秒の速度で共蒸着して、厚さ40nmの発光層を形成した。
その上に、電子輸送性材料として電子輸送材料としてAlq〔(トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)、前記構造〕を真空蒸着法にて1nm/秒の速度で蒸着し、40nmの電子輸送性層を設けた。
2−2.絶縁層の転写による形成
陽極、有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送性層、発光層、電子輸送性層)を設けた被転写基板と、転写材料A1を、有機化合物層同士が重なるように設置し、0.3MPaの圧力で加圧し、1対のローラー(両方が90℃の加熱ローラー)の間を0.1m/分の速度で通すことにより同時に加熱加圧を行った。次に、転写材料A1を引き剥がすことにより、基板/陽極/有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送性層、発光層、電子輸送性層)/有機低分子化合物層(電子輸送性有層)の上面に絶縁層を陽極のエッジ部分が30μm巾で重なるように形成した。
2−3.隔壁の転写による形成
陽極、有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送性層、発光層、電子輸送性層)/有機低分子化合物層(電子輸送性層)/絶縁層を設けた基板と、転写材料A2を、有機化合物層同士が重なるように設置し、0.3MPaの圧力で加圧し、1対のローラー(両方が70℃の加熱ローラー)の間を0.1m/分の速度で通すことにより同時に加熱加圧を行った。次に、転写材料A2を引き剥がすことにより、基板/陽極/有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送性層、発光層、電子輸送性層)/有機低分子化合物層(電子輸送性層)/絶縁層の上面に隔壁を形成した。
2−4.陰極の形成
基板/陽極/有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送性層、発光層、電子輸送性層)/有機低分子化合物層(電子輸送性有機薄膜層)/絶縁層/隔壁の上面に、フッ化リチウムを真空蒸着法にて1nmの電子注入層を設けた。この上にアルミニウムを真空蒸着法にて150nmの陰極を設けた。
陽極及び陰極より、それぞれアルミニウムのリード線を結線した。
2−5.封止
上記にて得られたものを、アルゴンガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ製)を用いて封止した。
以上のようにして、実施例の有機電界発光素子である有機電界発光素子(1)を得た。
3.評価
以上により作製された転写材料A1及びA2について転写性及び密着性の評価をした。また、有機電界発光素子(1)の発光性能について評価をした。評価方法及び評価基準は以下の通りである。得られた結果を表1に示す。
3−1.密着性
密着性は、JIS D0202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行い、転写層(絶縁層又は隔壁)の剥離状態を目視で観察することにより評価した。
−評価基準−
◎ クラス4B以上(剥離面積5%未満)
○ クラス3B(剥離面積5〜15%)
× クラス2B以下
3−2.転写性
転写性は、転写材料A1及びA2を用い、面積10mm角内をキーエンス社製3次元表面粗さ計LT−8010により測定し、設計通りの構造体ができているかを評価した。
−評価基準−
◎ 良好
○ 転写層(絶縁層又は隔壁)は形成されているが、厚みムラや欠けがある。
× 転写しない
3−3.発光性能
発光性能は、50箇所の100μm角の発光面積が得られている個数により評価した。
−評価基準−
◎ 90%以上(45個以上)
○ 70%以上(35個以上)
× 70%未満(35個未満)
[実施例2]
実施例1にて作製した転写材料A1、転写材料A2において、Alqを用いて形成した有機低分子化合物層(20nm)を、NPD(下記構造)を用いて形成した有機低分子化合物層(20nm)に代えた以外は、実施例1と同様にして、絶縁層を有する転写材料B1、及び隔壁材料層を有する転写材料B2を作製した。更に、転写材料B1及び転写材料B2を用いて、実施例1と同様にして有機電界発光素子(2)を作製した。
得られた転写材料B1、B2、及び有機電界発光素子(2)について、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2008084701
[実施例3]
実施例2において、転写支持体A上に剥離層Aの形成を行わずに、洗浄のみを行った転写支持体Aを用いた以外は、実施例2と同様にして、絶縁層を有する転写材料C1、及び、隔壁材料層を有する転写材料C2を作製した。更に、転写材料C1及び転写材料C2を用いて、実施例2と同様にして有機電界発光素子(3)を作製した。
転写支持体Aの表面における純水に対する接触角、及び、表面粗さを実施例1と同様にして測定した。その結果、接触角は30°であり、最大表面粗さ(Rmax)は0.5nmであった。また、Rmax/有機層×100=2.5%であった。
得られた転写材料C1、転写材料C2、及び有機電界発光素子(3)について、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例2において、剥離層Aを有する転写支持体Aに代えて、片面に100μm巾150μmピッチの凸部(Rmax=20nm)を設けた厚み1mmのステンレス板からなる押圧部材(以下、転写支持体Bとする。)の片面に、下記の組成を有する剥離層B用塗布液を塗布し、乾燥することにより、乾燥後の厚さが3μmの剥離層Bを形成したものを用いた以外は、実施例2と同様にして、絶縁層を有する転写材料D1、及び、隔壁材料層を有する転写材料D2を作製した。更に、転写材料D1及び転写材料D2を用いて、実施例2と同様にして有機電界発光素子(4)を作製した。
−剥離層B用塗布液−
・ポリエステル樹脂
(日本合成化学(株)製、HP320、ガラス転移温度62℃、
軟化点95℃): 30質量部
・シリコーン変性アクリル樹脂溶液(東亞合成(株)製、US3700): 10質量部
・メチルエチルケトン: 30質量部
・トルエン: 30質量部
転写支持体Bにおける剥離層Bを有する面の純水に対する接触角、及び、最大表面粗さ(Rmax)を実施例1と同様にして測定した。その結果、接触角は98°であり、最大表面粗さ(Rmax)は3nmであった。
また、Rmax/有機層×100=2.5%であった。
得られた転写材料D1、転写材料D2、及び有機電界発光素子(4)について、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例4において、転写支持体B上に剥離層Bの形成を行わずに、洗浄のみを行った転写支持体Bを用いた以外は、実施例4と同様にして、絶縁層を有する転写材料E1、及び、隔壁材料層を有する転写材料E2を作製した。更に、転写材料E1及び転写材料E2を用いて、実施例4と同様にして有機電界発光素子(5)を作製した。
転写支持体Bの表面における純水に対する接触角、及び、最大表面粗さ(Rmax)を実施例1と同様にして測定した。その結果、接触角は42°であり、最大表面粗さ(Rmax)は30nmであった。また、Rmax/有機層×100=150%であった。
得られた転写材料E1、転写材料E2、及び有機電界発光素子(5)について、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例2において、剥離層Aを有する転写支持体Aに代えて、厚み0.7mm、Rmax=0.5nmの石英ガラスからなる押圧部材(以下、転写支持体Cとする。)の片面に、前記剥離層B用塗布液を塗布し、乾燥することにより、乾燥後の厚さが3μmの剥離層Bを形成したものを用いた以外は、実施例2と同様にして、絶縁層を有する転写材料F1、及び、隔壁材料層を有する転写材料F2を作製した。更に、転写材料F1及び転写材料F2を用いて、実施例2と同様にして有機電界発光素子(6)を作製した。
転写支持体Cにおける剥離層Bを有する面の純水に対する接触角、及び、最大表面粗さ(Rmax)を実施例1と同様にして測定した。その結果、接触角は98°であり、最大表面粗さ(Rmax)3nmであった。また、Rmax/有機層×100=15%であった。
得られた転写材料F1、転写材料F2、及び有機電界発光素子(6)について、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例1において、剥離層Aを有する転写支持体Aに代えて、0.1mm、Rmax=40nmのポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製、ルミラーT−60)からなる仮支持体(以下、転写支持体Dとする。)の片面に、前記剥離層B用塗布液を塗布し、乾燥することにより、乾燥後の厚さが3μmの剥離層Bを形成したものを用い、更に、絶縁層及び隔壁の形成を、PTPDEK(ケミプロ化成(株)製、ジクロロエタン溶剤で3wt%に希釈したもの)を用い、スピンコータを用いて、乾燥膜厚をそれぞれに合わせて形成することに変更した以外は、実施例1と同様にして、絶縁層を有する転写材料G1、及び、隔壁材料層を有する転写材料G2を作製した。更に、転写材料G1及び転写材料G2を用いて、実施例1と同様にして有機電界発光素子(7)を作製した。
転写支持体Dにおける剥離層Bを有する面の純水に対する接触角、及び、最大表面粗さ(Rmax)を実施例1と同様にして測定した。その結果、接触角は98°であり、最大表面粗さ(Rmax)は3nmであった。また、Rmax/有機層×100=15%であった。
得られた転写材料G1、転写材料G2、及び有機電界発光素子(7)について、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、有機低分子化合物層の形成を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、絶縁層を有する転写材料H1、及び、隔壁材料層を有する転写材料H2を作製した。更に、転写材料H1及び転写材料H2を用いて、実施例1と同様にして比較例の有機電界発光素子(8)を作製した。
得られた転写材料H1、転写材料H2、及び有機電界発光素子(8)について、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例4において、有機低分子化合物層の形成を行わなかった以外は、実施例4と同様にして、絶縁層を有する転写材料I1、及び、隔壁材料層を有する転写材料I2を作製した。更に、転写材料I1及び転写材料I2を用いて、実施例4と同様にして比較例の有機電界発光素子(9)を作製した。
得られた転写材料I1、転写材料I2、及び有機電界発光素子(9)について、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例6の転写材料の作製において、転写支持体C上に剥離層Bの形成を行わずに、洗浄のみを行った転写支持体Cを用い、更に、有機低分子化合物層の形成を行わなかった以外は、実施例6と同様にして、絶縁層を有する転写材料J1、及び、隔壁材料層を有する転写材料J2を作製した。更に、転写材料J1及び転写材料J2を用いて、実施例6と同様にして有機電界発光素子(10)を作製した。
転写支持体Cの表面における純水に対する接触角、及び、最大表面粗さ(Rmax)を実施例1と同様にして測定した。その結果、接触角は42°であり、最大表面粗さ(Rmax)は30nmであった。また、Rmax/有機層×100=150%であった。
得られた転写材料J1、転写材料J2、及び有機電界発光素子(10)について、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例7の転写材料の作製において、有機低分子化合物層の形成を行わなかった以外は、実施例7と同様にして、絶縁層を有する転写材料K1、及び、隔壁材料層を有する転写材料K2を作製した。更に、転写材料K1及び転写材料K2を用いて、実施例1と同様にして比較例の有機電界発光素子(11)を作製した。
得られた転写材料K1、転写材料K2、及び有機電界発光素子(11)について、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2008084701
表1に示されるように、実施例で得られた各転写材料は、転写性及び密着性に優れており、これらの転写材料を用いて得られた実施例の有機電界発光素子は発光性能に優れた素子であることが判る。
一方、比較例で得られた有機低分子化合物層を有さない各転写材料は、密着性に劣るものであった。
本発明の絶縁層形成方法による絶縁層形成の一実施態様を示す工程フローである。 本発明に用いうる被転写基板の概略部分断面図を示し、(a)は、基板上に電極のみを形成した態様であり、(b)は基板上に電極と有機低分子化合物層とを形成した態様である。 本発明の絶縁層形成方法により、絶縁層が形成された後の被転写基板の例を示す概略部分断面図である。 本発明の絶縁層形成方法により、絶縁層が形成された後の被転写基板の例を示す概略部分断面図である。 本発明の隔壁形成方法による隔壁形成の一実施態様を示す工程フローである。 本発明の隔壁形成方法により、隔壁が形成された後の被転写基板の例を示す概略部分断面図である 転写支持体上に形成した液滴を示す側面図である。
符号の説明
10a、50a 転写支持体(押圧部材)
10b、50b 転写支持体(仮支持体)
12 絶縁層
52 隔壁材料層
14、54 有機低分子化合物層
16、56 基板
A、B、C、D 転写材料

Claims (8)

  1. 転写支持体上に、絶縁層又は隔壁材料層と、電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層と、をこの順に有することを特徴とする電子デバイス用転写材料。
  2. 前記転写支持体における絶縁層又は隔壁材料層を有する側の表面は、純水に対する接触角が50°以上であることを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス用転写材料。
  3. 前記転写支持体における前記絶縁層又は隔壁材料層を設ける面の最大表面粗さRmax(JIS B 0601−1982により規定される)が、前記電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層の厚さを100とした場合に0〜50の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子デバイス用転写材料。
  4. 転写支持体上に絶縁層と電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層とをこの順に有する発電子デバイス用転写材料を用い、該転写材料における電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層が、基板上の一部又は全面に電極が形成された被転写基板における電極を有する側の面と対面するように、前記転写材料を前記被転写基板に重ねて加熱及び/又は加圧した後、前記転写支持体を引き剥がすことにより前記絶縁層を前記被転写基板の電極を有する側の面に転写して、前記被転写基板上に絶縁層を形成することを特徴とする電子デバイスの絶縁層形成方法。
  5. 転写支持体上に隔壁材料層と電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層とをこの順に有する電子デバイス用転写材料を用い、該転写材料における電荷輸送性の有機低分子化合物を含む層が、基板上の一部又は全面に電極が形成された被転写基板における電極を有する側の面と対面するように、前記転写材料を前記被転写基板に重ねて加熱及び/又は加圧した後、前記転写支持体を引き剥がすことにより前記隔壁材料層を前記被転写基板の電極を有する側の面に転写して、前記被転写基板上に隔壁を形成することを特徴とする電子デバイスの隔壁形成方法。
  6. 前記被転写基板上に発光層を含む有機化合物層を形成後、前記転写材料を用いて隔壁を形成することを特徴とする請求項5に記載の電子デバイスの隔壁形成方法。
  7. 請求項4に記載の方法を用いて形成された絶縁層を有することを特徴とする発光素子。
  8. 請求項5又は請求項6に記載の方法を用いて形成された隔壁を有することを特徴とする発光素子。
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