JP2004039272A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】光取り出し効率が改善され、素子の輝度が向上された有機エレクトロルミネッセンス素子を提供すること。
【解決手段】基板上に、透明電極、少なくとも発光層を含む1層以上の有機化合物層および背面電極を少なくとも積層した発光素子の発光側表面に、特定形状の2次元周期構造をもつ微細凹凸構造を有する光学フイルムが貼着されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】 なし
【解決手段】基板上に、透明電極、少なくとも発光層を含む1層以上の有機化合物層および背面電極を少なくとも積層した発光素子の発光側表面に、特定形状の2次元周期構造をもつ微細凹凸構造を有する光学フイルムが貼着されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光を効率良く外部に取り出すことにより輝度の向上した有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、電界を印加することにより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子の再結合エネルギーにより蛍光性物質などが発光する原理を利用した自発光素子である。C.W.Tangらによる積層型素子による低電圧駆動有機EL素子の報告{C.W.Tang、S.A.VanSlyke、アプライドフィジックスレターズ(Applied Physics Letters)、51巻、913頁、1987年など}がなされて以来、有機材料を構成材料とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する研究が行われている。Tangらは、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを発光層に、トリフェニルジアミン誘導体を正孔輸送層に用いている。積層構造の利点としては、発光層への正孔の注入効率を高めること、陰極より注入された電子をブロックして再結合により生成する励起子の生成効率を高めること、発光層内で生成した励起子を閉じこめることなどが挙げられる。この例のように有機EL素子の素子構造としては、正孔輸送(注入)層、電子輸送性発光層の2層型、又は正孔輸送(注入)層、発光層、電子輸送(注入)層の3層型等がよく知られている。こうした積層型構造素子では注入された正孔と電子の再結合効率を高めるため、素子構造や形成方法の工夫がなされている。
【0003】
図1に有機EL素子の基本構造の一例を示す。透明基板1の上に透明電極3、2層あるいは3層からなる有機化合物層4、背面電極5を積層した構造に形成されている。ここでは、透明電極3から注入された正孔と背面電極5から注入された電子が有機化合物層4で再結合し、蛍光性物質などを励起することにより発光するものである。そして、有機化合物層4から発光した光は、直接、またはアルミニウムなどで形成される背面電極5で反射して、透明基板1から出射する。
【0004】
しかしながら、図1に示すように、素子内部で発生した光のうち、臨界角以上の角度θで界面(図1では、透明基板1と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができない。このため発光体の屈折率を1.6とすると、発光量全体の20%程度しか有効に利用できないこととなる。
また、有機EL素子においてはキャリア再結合の際にスピン統計の依存性より発光確率に上限が生じる。したがって、発光確率に制限の生じる有機EL素子においては、上記のような全反射による光の取り出し効率低下は、致命的であり、素子としての発光効率や輝度が低下するといった問題を生じさせてしまう。
【0005】
この光の取り出し効率を向上させる手法としては、従来、無機EL素子などの、同等な構造を持つ発光素子において検討されてきた、例えば、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795)や、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394)が提案されている。しかしながら、これらの方法は、発光面積の大きな素子に対しては有効であるが、ドットマトリクスディスプレイ等の画素面積の微小な素子においては、集光性を持たせるレンズや側面の反射面等の形成加工が困難である。更に有機EL素子においては発光層の膜厚が数μm以下となるためテーパー状の加工を施し、素子側面に反射鏡を形成することは現在の微細加工の技術では困難であり、大幅なコストアップをもたらす。また基板ガラスと発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691)もあるが、この方法は前方への光の取り出し効率の改善の効果はあるが全反射を防ぐことはできない。したがって屈折率の大きな無機EL素子に対しては有効であっても、比較的低屈折率の発光体である有機EL素子に対しては大きな改善効果を上げることはできない。
【0006】
有機EL素子としては、基板ガラスと発光層との間に回折格子又はゾーンプレートを構成要素として形成して、光の取り出し効率を向上させる方法が特許第2991183号に記載されている。この方法は、発光層と基板との間に透過型または反射型の回折格子またはゾーンプレートを設けることにより、該界面における出射角を、結果的に光取り出し面に対する入射角を低減させるように変化させることができるため、光取り出し面において全反射を起こすことなく光が外部に取り出されることをその原理とするものである。しかしながら、この方法によっても取り出し効率は十分でなく、また、光の回折を利用しているので光の進行方向が特定方向に限定され、表示素子として利用した場合、文字や画像の視認性が悪化するという問題もあった。更には、製造プロセスの大幅な変更が必要であり、コストアップをもたらすという問題があった。
【0007】
更に、基板ガラスと発光体の間に低屈折率を持つ平坦層を導入し、大気への取り出し効率を高くする方法が特開2001−202827号に記載されているが、この方法でも製造プロセスの大幅な変更が必要であり、コストアップをもたらすことが問題であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、有機エレクトロルミネッセンス素子に有用な光の取り出し方法は未だ不十分であり、この光の取り出し方法の開拓が有機エレクトロルミネッセンス素子の高効率化に不可欠である。
【0009】
従って、本発明の目的は、光取り出し効率が改善され、素子の輝度が向上された有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。
本発明の更なる目的は、製造プロセスが容易な、光取り出し効率が改善され、素子の輝度が向上された有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成されることが見出された。
1.基板上に、透明電極、少なくとも発光層を含む1層以上の有機化合物層および背面電極を少なくとも積層した発光素子の発光側表面に、下記1)〜3)の条件を満足する2次元周期構造をもつ微細凹凸構造を有する光学フイルムが貼着されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
1)凹凸の周期長(P)が0.01μm≦P≦0.35μm。
2)凹凸の高低差(d)が0.01μm≦d≦50.0μm。
3)微細凹凸構造領域の有効屈折率が光学フイルムの観察側表面に近づくにつれて膜厚方向に連続的に小さくなる。
2.前記光学フイルムと前記発光層との間に円偏光板を有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0011】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板上に、透明電極、少なくとも発光層を含む1層以上の有機化合物層および背面電極を少なくとも積層した発光素子の発光側表面、すなわち発光素子の発光表面と大気との界面である光取り出し面に、特定形状の微細凹凸構造が表面に加工された光学フイルムを設けることを特徴とするものである。
【0012】
本発明者らは、従来の方法において一定の光取り出し効率が改善されるものの、依然十分な光取り出し効率が達成できない現状を種々検討した結果、発光側表面と大気との界面である光取り出し面においてなお、全反射するような入射角で到達する光が存在し、それにより取り出し効率が低減していることを見出し、該界面に特定形状の微細凹凸構造が表面に加工された光学フイルムを設けることにより、該入射角で到達した光をも外部に効率よく取り出すことにより、素子の輝度を向上させることができることを見出したものである。
【0013】
一般に、周期構造を持つ微細凹凸構造の凹凸の周期長(P)が、有機化合物層での発光光の波長λに対し、P<λを満足するとき、微細凹凸構造のある深さにおける有効屈折率は、微細凹凸構造を形成する素材と空気の平均屈折率と考えてよいので、光学フイルムの微細凹凸構造を形成する素材の屈折率をnp、特定の深さx(光学フイルムの観察側表面からの深さ)における微細凹凸構造を形成する素材が占める面積占有率をSp(x)、空気の屈折率をna(=1)とすると、特定の深さxにおける微細凹凸構造の有効屈折率(neff)は以下の式(1)で近似できる。
式(1) neff=npSp(x)+na(1−Sp(x))
【0014】
本発明では、発光素子が発光する光のうち、可視域の光の波長(380nm以上720nm以下)に対し、P<λが成立し、neffが光学フイルムの観察側表面に近づくにつれて低下する、すなわちSp(x)が光学フイルムの観察側表面に近づくにつれ低下するように微細凹凸構造を形成したことを特徴とする。
これにより、光学フイルムの微細凹凸構造領域の有効屈折率が光の伝搬方向(光学フイルムの膜厚方向)に連続的に低下し、観察側最表面ではneffが空気の屈折率である1に極めて近くなるので、光にとっては明確な界面(その前後で屈折率差が大きい界面)が存在しないこととなり、全反射を著しく低減することができる。したがって、全反射で外部に取り出せない、あるいは観察側表面以外から周辺部分に放射し、損失していた光を観察側表面に取り出すことができ、素子の輝度を向上させることができる。
【0015】
更に、該微細凹凸構造を有する光学フイルムは、発光素子の最表面に設けられるため、発光素子自体の製造プロセスを変更させる必要がなく、製造上有利である。
【0016】
また、該微細凹凸構造を有する光学フイルムと発光素子との間に円偏光板を配置すると、該円偏光板が反射防止層として機能し、外光の反射によるコントラストの低下を防ぐことができるので、好ましい。該円偏光板は、微細凹凸構造を有する光学フイルム側から、直線偏光子およびλ/4板がこの順になるように配置して形成する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
図2および図3に本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の一例を概略的に示す。
図2(a)において、有機EL素子は、基板1、透明電極3、有機化合物層4、背面電極5の順に積層され、透明基板1の発光側表面に前記微細凹凸構造を有する光学フイルム7を配し、該光学フイルム7と基板1との間に円偏光板6を有する。図2(b)に示すように、微細凹凸構造を有する光学フイルム7は粘着層8を介して貼合されていてもよく、また、背面電極5に乾燥剤9を添加していてもよい。
基板、電極、有機化合物層からなる発光素子の積層順序としては、図3のように、基板1、背面電極5、有機化合物層4、透明電極3としてもよく、この場合は、光学フイルム7は円偏光板6を介し透明電極3の発光側表面上に配置される。
【0018】
本発明で、光学フイルム7が有する微細凹凸構造の凹凸の周期長(P)は、前記式(1)を適用する前提条件として発光素子が発光する光のなかで可視域の光の波長λ(380nm以上720nm以下)より小さいことが必要である。凹凸の周期長(P)が発光する光の波長λより大きい(P>λ)であると、凹凸構造により光が回折してしまうからである。またP≪λの微細凹凸構造を実現するには加工が困難であるので、凹凸の周期長(P)は、0.01μm以上0.35μm以下であり、好ましくは0.02μm以上0.32μm以下であり、より好ましくは0.025μm以上0.30μm以下である。
また、凹凸の高低差(d)は、0.01μm以上50μm以下であり、好ましくは0.02μm以上45μm以下であり、より好ましくは0.025μm以上40μm以下である。
【0019】
更に、微細凹凸構造は、有効屈折率が観察側表面に向けて光学フイルムの膜厚方向に連続的に低下する構造、つまりは前記式(1)により、微細凹凸構造のある深さにおける微細凹凸構造を形成する素材が占める面積占有率Sp(x)が観察側表面に近づくにつれ低下する構造を有する。
このような微細凹凸構造としては、具体的には、図4に示される断面パターンを持つ構造が挙げられる。
また、本発明で微細凹凸構造は、上記の図4で示されるような凹凸構造が平面に周期的に配列することで、2次元周期構造を形成する。この平面上の典型的な配列パターンとしては、図5に示されるようなパターンが挙げられる。
なお、微細凹凸構造の断面パターンおよび配列パターンは、ここで挙げたものに本発明は限定されるものではない。
【0020】
該微細凹凸構造を有する光学フイルムは、微細な凹凸形状を表面に有する金型を使用し、この金型表面に、硬化性樹脂組成物を接触させ、硬化性樹脂組成物を硬化させ、硬化後、剥離することにより、容易に得ることができる。
【0021】
本発明の光学フイルム7は、例えば、図6に示すように、透明基材フイルム21上に、上記特定形状の微細凹凸構造が形成された凹凸部22を上面に有する透明層23を積層したものである。透明層23は、連続した層であることが普通だが、透明基材フイルム21を伴なうときは、互いに離れた凸部の群からなっていてもよい。
【0022】
透明基材フイルム21としては、透明性、平滑性を備え、異物の混入のないものが好ましく、また、加工上および製品の使用上の理由で機械的強度があるものが好ましい。さらに、光学フイルムにディスプレイの熱が伝わって来るような場合には、耐熱性があるものが好ましい。
【0023】
一般的に透明基材フイルム21として好ましいものは、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、もしくはポリウレタン等の熱可塑性樹脂のフイルムである。
【0024】
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフチレートなどのポリエステルは機械強度やコーティング適性の点で好ましい。透明性が高く、光学的に異方性がなく、かつ低屈折率である点では、セルローストリアセテート等が好ましい。透明性と耐熱性を備えた点ではポリカーボネートが好ましい。
【0025】
なお、これらの熱可塑性樹脂のフイルムはフレキシブルで使いやすいが、取り扱い時も含めて曲げる必要が全くなく、硬いものが望まれるときは、上記の樹脂の板やガラス板等の板状のものも使用できる。厚みとしては、8〜1000μm程度が好ましく、25〜300μm程度がより好ましい。板状のものの場合には、この範囲を超えてもよい。
【0026】
上記の透明基材フイルム21には、その上面、もしくは上面および下面に形成する層との接着性の向上のために、通常、行なわれ得る各種の処理、即ち、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理のほか、アンカー剤もしくはプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行なって、プライマー層(図示せず)を形成しておいてもよい。
【0027】
無数の微細凹凸が形成された凹凸部22を有する透明層23は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂組成物としては、凹凸部22を金型を用いたキャスティング法によって形成する際の硬化速度が速く、かつ透明層23の表面の傷付きが起きないよう、硬化後に高い耐擦傷性を有するものが好ましい。電離放射線硬化性樹脂組成物としては、硬化後の硬度が、JIS K5400で示す鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものがより好ましい。また、光学フイルムとして長期間使用するには、表面の耐久性、特に耐擦傷性が必要であり、硬度を高くした方が有利になるため、密度を上げて硬度を高くする必要がある。従って、透明層23の光の屈折率としては、1.4〜1.7、より好ましくは、1.6以下である。なお、この程度の屈折率であると、通常は大気との屈折率差が大きく、大気との界面での全反射が問題となるが、本発明では前記した微細凹凸構造を取ることにより、有効屈折率が表面に向かうにつれて低下し、全反射を起こすことを防いでいる。
【0028】
電離放射線硬化性樹脂組成物としては、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものである。電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線を用いる。
【0029】
電離放射線硬化性樹脂組成物中のプレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物が挙げられる。
【0030】
電離放射線硬化性樹脂組成物中のモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等が挙げられる。
【0031】
通常、電離放射線硬化性樹脂組成物中のモノマーとしては、以上の化合物を必要に応じて、1種若しくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性組成物に通常の塗布適性を与えるために、前記のプレポリマー又はオリゴマーを5質量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95質量%以下とするのが好ましい。
【0032】
電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させたときのフレキシビリティーが要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させたときの耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使う等、電離放射線硬化性樹脂組成物の設計が可能である。ここで、官能基が1のものとして、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。官能基が2のものとして、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクレリート等が挙げられる。
【0033】
電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させたときのフレキシビリティーや表面硬度等の物性を調整するため、電離放射線硬化性樹脂組成物に、電離放射線照射では硬化しない樹脂を添加することもできる。具体的な樹脂の例としては次のものがある。ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂である。中でも、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の添加がフレキシビリティーの向上の点で好ましい。
【0034】
電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化が紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性樹脂組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部である。
【0035】
電離放射線硬化性樹脂組成物には、次のような有機反応性ケイ素化合物を併用してもよい。
【0036】
有機ケイ素化合物の一例は、一般式RmSi(OR′)nで表せるものであり、RおよびR′は炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rの添え字mとR′の添え字nとは、各々が、m+n=4の関係を満たす整数である。
【0037】
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0038】
電離放射線硬化性樹脂組成物に併用し得る有機ケイ素化合物の第二の例は、シランカップリング剤である。
【0039】
具体的には、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0040】
電離放射線硬化性樹脂組成物に併用し得る有機ケイ素化合物の第三の例は、電離放射線硬化性ケイ素化合物である。具体的には、電離放射線の照射によって反応し架橋する複数の官能基、例えば、重合性二重結合基を有する分子量5,000以下の有機ケイ素化合物が挙げられ、より具体的には、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能ポリシロキサン、又はこれらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、もしくはビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。
より具体的には、次のような化合物である。
【0041】
【化1】
【0042】
その他、電離放射線硬化性樹脂組成物に併用し得る有機ケイ素化合物としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物等が挙げられる。
【0043】
電離放射線硬化性樹脂組成物を用いて、透明層23の上面に微細凹凸からなる凹凸部を形成するには、例えば、透明層23を塗布形成する際に、凹凸を有する型付け用フイルムで塗膜を被覆したまま硬化させるか、形成された塗膜に型付け用ロール等の型付け手段を、必要に応じて加熱しつつ押し付けて行なうか、あるいは、剥離面に凹凸を有する剥離性基材上に塗布形成して透明層23を転写し得る転写フイルムを作成し、その転写フイルムを用いて転写する等の方法が採れる。
【0044】
より好ましい形成方法は次の通りである。まず、適当な基材に感光性樹脂を積層したものを準備し、これにレーザー光干渉法により露光を行なう。レリーフホログラム製造用として市販されているフイルム付きの感光材を利用することができる。露光は、レーザー光を2ないしそれ以上に分割して干渉させることによって行ない、周期(P)で硬化部と未硬化部とを得る。露光後、感光性樹脂の種類に応じた現像法、通常は特定の溶剤による未硬化部分の除去により、現像を行なって、周期(P)の微細凹凸が形成された凹凸型面を有する原型を得る。
【0045】
得られた原型は、凹凸を形成しやすくするために、比較的分子量の小さい高分子からなっているため、溶剤に対する耐久性も不十分であり、また、もろいため、この原型を何度も使用して複製を行なうことは好ましくない。そこで、原型にニッケル等の金属でめっきを行なって、第1の金属製の型を形成し、この第1の金属製の型を使用するか、または第1の金属製の型にめっきを行なって、第2の金属製の型を幾つか形成し、得られた第2の金属製の型を使用して複製を行なう事が好ましい。なお、これら金属製の型を金属製スタンパーと言うことが多い。より好ましくは、このようにして得られた型面の形状をロール面に形成し、必要に応じて、殖版(同一版面上に多面付けにすること)した型ロールや型面の形状をロールの面長方向および円周方向に、連続的に形成した型ロールを使用するとよい。
【0046】
なお、型面の形状を複製する際に、原型と第2の金属製の型とは同形状であり、原型と第1の金属製の型とは互いに逆型形状の関係となる。また光学フイルムの微細凹凸の形状と、それを製造するための型上の型面の微細凹凸の形状とは逆型形状となる。以下の説明で用いる型の型面の微細凹凸形状としては、光学フイルムに、得たい微細凹凸形状が得られるよう、逆型形状に形成されているものとする。
【0047】
図7は、型ロールを用いて、光学フイルムを連続的に製造するための装置30を使用して製造する様子を示すものである。図7において、透明基材フイルム21は、図中向かって左側上方より巻き出され、ニップロール31aと型ロール32の間に導かれ、型ロール32の上側を半周した後、ニップロール31bとの間を通過して、向かって右側方向に排出される。型ロール32は型ロール32内に矢印で示す時計回り方向に回転するよう駆動されており、ニップロール31a、および31bは、型ロールの回転に合わせて連れまわり(いずれも回転方向はロール内に矢印で示す)するよう構成されている。また、透明基材フイルム21の巻き出し側にはブレーキが設置され、排出側に設置された巻き上げモータとにより、走行時の張力の調整が可能である。また、両ニップローラ31aおよび31bの間では、張力が一定に保たれている。
【0048】
型ロール32の真下には、ダイヘッド33が設置されており、ダイヘッド33は内部に液溜め34、上方にスリット35を有し、パイプ36を経由して、外部より電離放射線硬化性樹脂組成物37が供給されるよう構成されている。スリット35からは透明基材フイルム21の走行に合わせて、必要量の電離放射線硬化性樹脂組成物37が上方に押出され、型ロール表面に塗付され、型ロール32の凹部32a内にも電離放射線硬化性樹脂組成物37が充填され、ニップロール31aと型ロールとの間を通るときに、塗付量が規制される。
【0049】
型ロール32の上方には、電離放射線照射装置38が設置されており、照射装置38の下を通る際に電離放射線が照射され、透明基材フイルム21上の電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化し、透明層23と透明基材フイルム21とが接着する。この後、硬化した透明層23を透明基材フイルム21と共に、巻き取る。
【0050】
なお、透明基材フイルム21をラミネートするときは、型ロール表面の凹部32aが少なくとも埋まっており、埋めた電離放射線硬化性樹脂組成物の露出面に透明基材フイルムが接していれば足りるが、透明基材フイルムを使用しないときは、電離放射線硬化性樹脂組成物が型面上で連続した皮膜を生成するよう、十分な量の電離放射線硬化性樹脂組成物を適用するとよい。なお、図示の例では型ロール32に電離放射線硬化性樹脂組成物を適用するようにしており、この方が好ましいが、ラミネート時の気泡の抱き込みを防止できるのなら、電離放射線硬化性樹脂組成物を、透明基材フイルム21側に適用した後、型ロール32に接触させてもよい。
【0051】
型ロール32の表面に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布した後、必要ならドクタリングを施してもよい。上記において、電離放射線としては、通常、紫外線、もしくは電子線を用いるが、これら以外であってもよい。また、照射する場所は上方の一個所に限定することはなく、塗付直後から、ニップロール31bを通過するまでの任意の位置に所望の個数の電離放射線照射装置を設置して照射を行なってよい。また、型ロール32の周囲で、充分な場所が確保できない場合には、ニップロール31bを出た後の位置に更に電離放射線照射装置を設置して照射を行なってもよい。
【0052】
電離放射線照射により、電離放射線硬化性樹脂組成物37が硬化するとともに、透明基材フイルム21との間の接着力が生じるので、その後、透明基材フイルム21ごと剥離することにより、透明基材フイルム21上に硬化した電離放射線硬化性樹脂組成物からなる透明層23が積層しており、かつ透明層23の表面に、型面の微細凹凸形状が反映した微細凹凸を有する光学フイルムが得られる。
【0053】
なお、透明基材フイルムを伴なわない光学フイルム7を得るには、透明基材フイルム21のラミネートを省いて行なう方法もあるが、透明基材フイルム21の電離放射線硬化性樹脂組成物を適用する側の表面に剥離性を与えておき、型面から透明層を剥離すると同時に透明基材フイルム21を分離してしまうか、あるいは先に透明基材フイルム21のみ剥離した後に透明層23を剥離するか、もしくは共に剥離後に透明基材フイルム21を剥離することによっても、透明基材フイルム21を伴わない光学フイルム7とすることができる。透明基材フイルム21を工程中に使用した方が、透明層23の厚みの規制がしやすく、空中の塵埃の影響も回避できるので好ましい。
【0054】
本発明では、光学フイルム7に、上記の構成に加えて、使用時の塵埃の付着を防止するための帯電防止処理や、光学フイルムを適用する際の便を考慮して、微細凹凸22を有する面とは反対側に粘着加工を施す等を行なってもよい。
【0055】
帯電防止処理は、具体的には帯電防止剤や導電性微粒子を適用することにより行なえ、透明層23や表面層24をコーティングにより形成する際には、用いる塗料組成物中に混合して適用するとよい。あるいは、帯電防止処理は、帯電防止剤単体を透明層23上に塗付することによって行なってもよい。透明層23の下層に、もしくは透明基材フイルム21を伴なうときは、基材フイルム21と透明層23との間に、導電性微粒子を含んだ塗料組成物を用いて形成した導電性層もしくは金属酸化物薄膜を形成することにより、帯電防止処理を行なってもよい。
【0056】
粘着加工は、ポリアクリル酸エステルやゴム系の粘着剤を直接塗付してもよいが、通常は、離型紙に粘着剤を塗付したものをラミネートすることによって適用し、離型紙は、粘着剤が露出して不用意に接着したり、塵埃が付着するのを防止する意味で、使用するまでの間、貼ったままにしておくとよい。粘着剤層の厚みとしては、20〜40μm程度が好ましい。
【0057】
次に、本発明で反射防止層として、好ましく用いられる円偏光板について説明する。
本発明では、微細凹凸構造を有する光学フイルムと発光素子との間に円偏光板を配置することにより、素子内部に取り込まれた外光が発光素子下部にある背面電極により反射し、再出射することでコントラスト低下が低下するのを抑制できるため好ましい。
円偏光板は、微細凹凸構造を有する光学フイルム側から、直線偏光子およびλ/4板がこの順になるように配置して形成する。
【0058】
直線偏光子は一般に、基材フイルムに二色性物質を吸着、配向させて作成された偏光膜の少なくとも片面に保護膜を貼合して製造される。基材フイルムに用いるポリマーとしては、ポリビニルアルコール(以下、PVA)系ポリマーが一般的である。二色性物質としてはヨウ素あるいは、二色性染料が単独、あるいは組み合わせて用いられる。保護膜としては、低複屈折性、透明性、適度な透湿性、寸度安定性等の物性が求められ、従来セルロースアセテートフイルムが広く用いられている。
【0059】
偏光膜に用いるPVAは通常、ポリ酢酸ビニルをケン化したものであるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のように酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性、偏光性、耐熱、耐湿性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、フイルム強度や耐熱、耐湿性、延伸性などから1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。また、PVAのシンジオタクチシチーについては特に限定されず、目的に応じ任意の値をとることができる。
【0060】
PVAを染色、延伸して偏光膜を得る手順には、原反となるPVAフイルムを乾式または湿式で延伸した後、ヨウ素あるいは二色性染料の溶液に浸漬する方法、ヨウ素あるいは二色性染料の溶液中でPVAフイルムを延伸し配向させる方法、ヨウ素あるいは二色性染料にPVAフイルムを浸漬後、湿式または乾式で延伸し配向させる方法などがある。また、PVA原反を溶液製膜法により製膜する際、PVA溶液中に二色性物質をあらかじめ含有させる手法もとることができる。
【0061】
PVAの延伸工程としては、上に例示した如く連続フィルムの進行方向に張力を付与し、進行方向にフィルムを延伸、配向させる方法が一般的であるが、いわゆるテンター方式等の延伸手段でフィルムの幅手方向に張力を付与し、幅手方向に配向させる方法も適用可能である。
【0062】
延伸は一軸方向に3倍以上行うことが好ましく、4.5倍以上がより好ましい。偏光膜の使用目的により二軸延伸を行ってもよい。延伸後の膜厚は特に限定されないが、取り扱い性、耐久性、経済性の観点より、5〜100μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。
【0063】
染色方法としては上に例示した浸漬法だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、既に述べた液層吸着のみでなく、寄贈による吸着も必要に応じ行うことができる。
【0064】
直線偏光子はヨウ素ではなく二色性色素で染色しても構わない。二色性色素の具体例としては、例えばアゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等の色素系化合物をあげることができる。水溶性のものが好ましいが、この限りではない。又、これらの二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入されていることが好ましい。二色性分子の代表的なものとしては、例えばシー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ72、シー.アイ.ダイレクト.レッド28、シー.アイ.ダイレクト.レッド39、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド83、シー.アイ.ダイレクト.レッド89、シー.アイ.ダイレクト.バイオレット48、シー.アイ.ダイレクト.ブルー67、シー.アイ.ダイレクト.ブルー90、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59、シー.アイ.アシッド.レッド37等が挙げられ、さらに特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の色素等を挙げることができる。特に、シー.アイ.ダイレクト.レッド28(コンゴーレッド)は古くよりこの用途に好ましいとして知られている。これらの二色性分子は遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として用いられる。これらの二色性分子は2種以上を配合することにより、各種の色相を有する偏光子を製造することができる。
【0065】
偏光膜の耐熱、耐湿性を高める観点から、偏光膜の製造工程においてPVAに架橋させる添加物を含ませることが好ましい。架橋剤としては、米国再発行特許第232897号に記載のものが使用できるが、ホウ酸、ホウ砂が実用的に好ましく用いられる。
また、亜鉛、コバルト、ジルコニウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属塩を偏光膜に含有させることも、耐久性を高めることが知られており好ましい。
【0066】
保護膜を接着する接着剤としては特に限定はなく、PVA系、変性PVA系、ウレタン系、アクリル系等、知られているものを任意に用いることができる。接着層の厚みは0.01〜20μmが好ましく、0.05〜10μmがさらに好ましい。
【0067】
λ/4板は、特開平5−27118号および同5−27119号の各公報に記載されたレターデーションが大きい複屈折性フイルムと、レターデーションが小さい複屈折率フイルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた位相差板、特開平10−68816号公報に記載された、特定波長においてλ/4となっているポリマーフイルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/2となっているポリマーフイルムとを積層させて、広い波長領域でλ/4が得られる位相差板、特開平10−90521号公報に記載された二枚のポリマーフイルムを積層することにより広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/26705号に記載された変性ポリカーボネートフイルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/65384号に記載されたセルロースアセテートフイルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板等を使用することができる。さらに、特開2000−206331号、2000−284120号、2000−284126号、2001−21720号、2001−91741号に記載された液晶塗布型の薄膜広帯域λ/4板を使用することもできる。
【0068】
λ/4板の遅相軸は、直線偏光子の透過軸(もしくは吸収軸)と45°の角度で配置されることが望ましいが、λ/4板の光の波長に対する位相遅れの公差を補償するために、直線偏光子とλ/4板との間にλ/2板を配置する場合は異なった角度で配置される場合もある。
【0069】
次いで、本発明の発光素子について説明する。
本発明の発光素子は、基板上に透明電極、少なくとも発光層を含む有機化合物層及び背面電極を積層した発光素子であり、基板上に必要に応じて水分吸収層を設けることができる。
【0070】
本発明で使用する基板は有機化合物層から発せられる光を散乱又は減衰させないことが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルやポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジギリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。有機材料の場合、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
【0071】
前記基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、前記形状としては、板状である。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2種以上の部材で形成されていてもよい。
【0072】
前記基板は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよいが、前記発光層から発せられる光を散乱あるいは減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
【0073】
前記基板には、その表面又は裏面(前記透明電極側)に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
前記透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。該透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
前記熱可塑性基板には、さらに必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
【0074】
以下に本発明の発光積層体(有機化合物層、透明電極、背面電極)について、詳細に説明する。
【0075】
〈有機化合物層〉
本発明において、前記有機化合物層は、少なくとも一層の発光層を含有する。
(有機化合物層の構成)
前記有機化合物層の前記発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記等明電極上に又は前記背面電極上に形成されるのが好ましい。この場合、該有機化合物層は、前記透明電極又は前記背面電極上の前面又は一面に形成される。
前記有機化合物層の形状、大きさ、厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0076】
具体的な層構成としては、透明電極/発光層/背面電極、透明電極/発光層/電子輸送層/背面電極、透明電極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/背面電極、透明電極/正孔輸送層/発光層/背面電極、透明電極/発光層/電子輸送層/電子注入層/背面電極、透明電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/背面電極等が挙げられる。
【0077】
(発光層)
本発明に用いられる発光層は、少なくとも一種の発光材からなり、必要に応じて正孔輸送材、電子輸送材、ホスト材を含んでもよい。
本発明に用いられる発光材としては特に限定されることはなく、蛍光発光性化合物または燐光発光性化合物であれば用いることができる。例えば蛍光発光性化合物としては、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。これらは一種もしくは二種以上を混合して用いることができる。
【0078】
燐光発光性化合物としては特に限定されることはないが、オルトメタル化金属錯体、又はポルフィリン金属錯体が好ましい。
【0079】
前記オルトメタル化金属錯体とは、例えば山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」150頁、232頁、裳華房社(1982年発行)やH.Yersin著「Photochemistry and Photophisics of Coodination Compounds」71〜77頁、135〜146頁、Springer−Verlag社(1987年発行)等に記載されている化合物群の総称である。該オルトメタル化金属錯体を含む前記有機化合物層は、高輝度で発光効率に優れる点で有利である。
【0080】
前記オルトメタル化金属錯体を形成する配位子としては、種々のものがあり、上記文献にも記載されているが、その中でも好ましい配位子としては、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、2−フェニルキノリン誘導体等が挙げられる。これらの誘導体は必要に応じて置換基を有してもよい。
前記オルトメタル化金属錯体は、前記配位子のほかに、他の配位子を有していてもよい。
【0081】
本発明で用いるオルトメタル化金属錯体はInorg.Chem. 1991年, 30号, 1685頁、同 1988年, 27号, 3464頁、同 1994年, 33号, 545頁、Inorg.Chim.Acta 1991年,181号, 245頁、J.Organomet.Chem. 1987年, 335号, 293頁、J.Am.Chem.Soc. 1985年, 107号, 1431頁 等、種々の公知の手法で合成することができる。前記オルトメタル化錯体の中でも、三重項励起子から発光する化合物が本発明においては発光効率向上の観点から好適に使用することができる。
また、ポルフィリン金属錯体の中ではポルフィリン白金錯体が好ましい。
前記燐光発光性の化合物は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記蛍光発光性化合物と燐光発光性化合物を同時に用いてもよい。
本発明においては、発光輝度、発光効率の点から、前記燐光発光性化合物を用いることが好ましい。
【0082】
前記正孔輸送材としては、低分子正孔輸送材、高分子正孔輸送材いずれも用いることができ、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば限定されることはなく、例えば以下の材料を挙げることができる。
カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマ−、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマ−、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送材の前記発光層における含有量としては0〜99.9質量%が好ましく、さらに好ましくは0〜80質量%である。
【0083】
前記電子輸送材としては電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば制限されることはなく例えば以下の材料を挙げることができる。トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物を挙げることができる。
前記電子輸送材の前記発光層における含有量としては0〜99.9質量%が好ましく、さらに好ましくは0〜80質量%である。
【0084】
前記ホスト化合物とは、その励起状態から前記蛍光発光性化合物または燐光発光性の化合物へエネルギーを供給し、その結果、該蛍光発光性または燐光発光性の化合物を発光させる機能を有する化合物のことである。
前記ホスト材としては励起子エネルギーを発光材にエネルギー移動できる化合物ならば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、具体的にはカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
【0085】
前記ホスト化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ホスト化合物の前記発光層における含有量としては0〜99.9質量%が好ましく、さらに好ましくは0〜99.0質量%である。
【0086】
前記その他の成分としては、特に本発明においては発光層には必要に応じて、電気的に不活性なポリマーバインダーを用いることができる。
必要に応じて用いられる電気的に不活性なポリマーバインダーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等を挙げることができる。
前記発光層が前記ポリマーバインダーを含有していると、該発光層を湿式製膜法により容易にかつ大面積に塗布形成することができる点で有利である。
【0087】
(他の有機化合物層)
本発明においては、必要に応じて他の有機化合物層を設けてもよい。例えば透明電極と発光層の間に正孔注入層や正孔輸送層、発光層と背面電極との間に電子輸送層や電子注入層を設けてもよい。
【0088】
正孔輸送層、正孔注入層には、前記正孔輸送材が、電子輸送層、電子注入層には前記電子輸送材が好適に用いられる。
【0089】
(有機化合物層の形成)
前記有機化合物層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、ディッピング、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の湿式製膜法いずれによっても好適に製膜することができる。
【0090】
なかでも、前記湿式製膜法による塗布形成の場合、前記有機化合物層を容易に大面積化することができ、高輝度で発光効率に優れた発光素子が低コストで効率よく得られる点で有利である。
なお、これらの製膜法の種類の選択は、該有機化合物層の材料に応じて適宜おこなうことができる。
前記湿式製膜法により製膜した場合は、製膜した後、適宜乾燥を行なうことができ、該乾燥の条件としては特に制限はないが、塗布形成した層が損傷しない範囲の温度等を採用することができる。
【0091】
前記有機化合物層を前記湿式製膜法で塗布形成する場合、該有機化合物層には、バインダー樹脂を添加することができる。
この場合、該バインダー樹脂としてはポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0092】
前記有機化合物層を湿式製膜法により塗布形成する場合、該有機化合物層の材料を溶解して塗布液を調整する際に用いられる溶剤としては、特に制限はなく、前記正孔輸送材、前記オルトメタル化錯体、前記ホスト材、前記ポリマーバインダー等の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、n−プロピルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、炭酸ジエチル等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。
【0093】
なお、前記塗布液における固形分量溶剤に対する固形分量としては、特に制限はなく、その粘度も湿式製膜方法に応じて任意に選択することができる。
【0094】
〈透明電極〉
前記透明電極としては、通常、前記有機化合物層に正孔を供給する陽極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
前記透明電極を陰極として機能させることもでき、この場合、前記背面電極を陽極として機能させるようにすればよい。
【0095】
前記透明電極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、またはこれらの混合物を好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の半導性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
【0096】
前記透明電極は例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、前記透明電極の材料として、ITOを選択する場合には、該透明電極の形成は、直流あるいは高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行なうことができる。また前記透明電極の材料として有機導電性化合物を選択する場合には湿式製膜法に従って行なうことができる。
【0097】
前記透明電極の前記発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記基板上に形成されるのが好ましい。この場合、該透明電極は、前記基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
【0098】
なお、前記透明電極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0099】
前記透明電極の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜50μmであり、50nm〜20μmが好ましい。
前記透明電極の抵抗値としては、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。
前記透明電極は、無色透明であっても、有色透明であってもよく、該透明電極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。この透過率は、分光光度計を用いた公知の方法に従って測定することができる。
【0100】
なお、前記透明電極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、これらを本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITOまたはIZOを使用し、150℃以下の低温で製膜した透明電極が好ましい。
【0101】
〈背面電極〉
前記背面電極としては、通常、前記有機化合物層に電子を注入する陰極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
前記背面電極を陽極として機能させることもでき、この場合、前記透明電極を陰極として機能させるようにすればよい。
【0102】
前記背面電極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
【0103】
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ度類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
前記アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、又はアルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との合金若しくは混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0104】
なお、前記背面電極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されている。
【0105】
前記背面電極の形成法は、特に制限はなく、公知の方法に従って行なうことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、前記背面電極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行なうことができる。
【0106】
なお、前記背面電極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0107】
前記背面電極の前記発光積層体における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記有機化合物層上に形成されるのが好ましい。この場合、該背面電極は、前記有機化合物層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、前記背面電極と前記有機化合物層との間に前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属のフッ化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。
なお、該誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
【0108】
前記透明電極の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μmであり、50nm〜1μmが好ましい。
前記背面電極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な背面電極は、前記背面電極の材料を1〜10nmの厚みに薄く製膜し、更に前記ITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
【0109】
〈その他の層〉
更に、本発明においては、前記発光積層体における各層への水分や酸素の侵入を防止する目的で、封止層を設けるのも好ましい。
前記封止層の材料としては、例えば、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含む共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン及びジクロロジフルオロエチレンから選択される2種以上の共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Tl、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等の金属酸化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等の液状フッ素化炭素、液状フッ素化炭素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させたもの、などが挙げられる。
【0110】
さらに本発明においては、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤または不活性液体を設けることができる。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが例えば酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
【0111】
本発明の発光素子は、前記透明電極と前記背面電極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜40ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の発光素子の駆動については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号、米国特許5828429号、同6023308号、日本特許第2784615号、等に記載の方法を利用することができる。
【0112】
【実施例】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
直径50mmのガラス基板上に感光性樹脂をスピンコーターを用いて塗布・乾燥したものを感光材として用い、アルゴンレーザー(波長351nm)を用いたレーザー干渉露光装置で、三方向より入射角度44度で露光を行ない、露光後、溶剤現像を行ない、感光性樹脂が硬化した樹脂上に、縦横に整列した微細な凹凸を有す図4の断面Bの断面構造を持ち、図5の三方格子構造のマスタープレートを得た。得られたマスタープレート上の凹凸のピッチは170nm、凹凸の平均高低差は220nmだった。
【0113】
上記で得られたマスタープレートの型面に無電解めっきを行ない、続いてニッケルめっきを行なって、厚み100μmのレプリカを得た。
【0114】
アクリレート系紫外線硬化性樹脂(日本合成ゴム(株)製、品番;Z9009、硬化後の光の屈折率1.59)をレプリカの上に塗布し、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させ、その後、アクリル粘着層を有するタックフイルム(富士写真フイルム(株)製、TD−80U)を硬化した該樹脂に貼り合せた後剥離して、紫外線硬化性樹脂が硬化した皮膜を有する微細な凹凸が形成された光学フイルムAを得た。光学フイルムAの断面の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、微細凹凸構造の凹部(谷の部分)の幅はフイルムから空気界面側に向かって連続的に拡大していた。
【0115】
(実施例2)
実施例1で作製したマスタープレートに、下記手順(微粒子分散液aを調製、原料ドープ調製、紫外線吸収剤溶液bの調製)を経て作製される、セルローストリアセテートドープを塗布して、乾燥、剥離して光学フイルムBを得た。残留溶剤は0.1質量%になるまで乾燥した。完成フイルムの膜厚は80μm、レターデーションは4.5nm、フイルム長手方向の抗張力は135MPaだった。光学フイルムBの断面の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、微細凹凸構造の凹部(谷の部分)の幅はフイルムから空気界面側に向かって連続的に拡大していた。
【0116】
(微粒子分散液aの調製)
・シリカ(日本アエロジル(株)製アエロジルR972) 0.67質量%
・セルロースアセテート(置換度2.8) 2.93質量%
・トリフェニルフォスフェート 0.23質量%
・ビフェニルジフェニルフォスフェート 0.12質量%
・メチレンクロライド 88.37質量%
・メタノール 7.68質量%
なる溶液を調製し、アトライターにて体積平均粒径0.7μmになるよう分散を行った。
【0117】
(原料ドープの調製)
・セルローストリアセテート(置換度2.8) 89.3質量%
・トリフェニルフォスフェート 7.1質量%
・ビフェニルジフェニルフォスフェート 3.6質量%
なる固形分100質量部に対し上記微粒子分散液aを17.9質量部添加し、さらに
・ジクロルメタン 92質量%
・メタノール 8質量%
なる混合溶媒を適宜添加、攪拌溶解しドープを調製した。ドープの固形分濃度は18.5%であった。このドープを濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)にてろ過後さらに燒結金属フィルタ(日本精線(株)製06N、公称孔径10μm)でろ過し、さらにメッシュフィルタ(日本ポール(株)製RM、公称孔径45μ)でろ過した。
【0118】
(紫外線吸収剤溶液bの調製)
・2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−
5−クロルベンゾトリアゾール 5.83質量%
・2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)
ベンゾトリアゾール 11.66質量%
・セルロースアセテート(置換度2.8) 1.48質量%
・トリフェニルフォスフェート 0.12質量%
・ビフェニルジフェニルフォスフェート 0.06質量%
・メチレンクロライド 74.38質量%
・メタノール 6.47質量%
上記処方で紫外線吸収剤溶液を調製し、富士写真フイルム(株)製アストロポア10フィルタにてろ過した。
【0119】
(実施例3)
実施例1で使用したマスタープレートをエンボス版として用い、ポリカーボネート樹脂フイルム(厚み130μm)上に加熱エンボスを行なって凹凸を形成し、光学フイルムCを得た。光学フイルムCの断面の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、微細凹凸構造の凹部(谷の部分)の幅はフイルムから空気界面側に向かって連続的に拡大していた。
【0120】
(比較用光学フイルム)
富士写真フイルム(株)製タックフイルム(TD−80U)およびポリカーボネート樹脂フイルム(厚み130μm)を比較用光学フイルムとして使用した。
【0121】
(評価)
上記の光学フイルムA〜C、および比較用光学フイルムを有機EL表示素子(NEC製FOAM N2001)の観察側表面にアクリル系粘着剤を用いて貼着した。この後、EL表示素子を発光させ、正面方向の輝度をTOPCON製輝度計BM−7で測定した。フイルム無しとの比較により輝度向上率を倍率として算出し、白表示と黒表示の輝度比率からコントラストを算出した。また、画像を表示させたときの文字や図の視認性を目視し、併せて表1に結果を記載した。
【0122】
【表1】
【0123】
表1から、本発明の光学フイルムは比較例と比べ大幅な輝度向上およびコントラスト向上が可能であり、文字や画像の視認性も優れていることが分かる。
【0124】
【発明の効果】
本発明によれば、光取り出し率の改善により、素子の輝度が向上され、コントラストの向上も可能で、視認性にも優れ、更に製造プロセスも容易な、有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL素子の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の有機EL素子の例示する断面図である。
【図3】本発明の有機EL素子を例示する断面図である。
【図4】本発明の微細凹凸構造の形状例を示す断面図である。
【図5】本発明の微細構造の配列パターンの一例を示す図である。
【図6】本発明の光学フイルムを例示する断面図である。
【図7】本発明の光学フイルムの製造装置を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
3 透明電極
4 有機化合物層
5 背面電極
6 円偏光板
6a 直線偏光子
6b λ/4板
7 光学フィルム
8 粘着層
9 乾燥剤
20 有機エレクトロルミネッセンス素子
21 透明基材フィルム
22 凹凸部
23 透明層
31 ニップロール
32 型ロール
33 ダイヘッド
34 液溜め
35 スリット
36 パイプ
37 電離放射線硬化性樹脂組成物
38 電離放射線照射装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、光を効率良く外部に取り出すことにより輝度の向上した有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、電界を印加することにより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子の再結合エネルギーにより蛍光性物質などが発光する原理を利用した自発光素子である。C.W.Tangらによる積層型素子による低電圧駆動有機EL素子の報告{C.W.Tang、S.A.VanSlyke、アプライドフィジックスレターズ(Applied Physics Letters)、51巻、913頁、1987年など}がなされて以来、有機材料を構成材料とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する研究が行われている。Tangらは、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを発光層に、トリフェニルジアミン誘導体を正孔輸送層に用いている。積層構造の利点としては、発光層への正孔の注入効率を高めること、陰極より注入された電子をブロックして再結合により生成する励起子の生成効率を高めること、発光層内で生成した励起子を閉じこめることなどが挙げられる。この例のように有機EL素子の素子構造としては、正孔輸送(注入)層、電子輸送性発光層の2層型、又は正孔輸送(注入)層、発光層、電子輸送(注入)層の3層型等がよく知られている。こうした積層型構造素子では注入された正孔と電子の再結合効率を高めるため、素子構造や形成方法の工夫がなされている。
【0003】
図1に有機EL素子の基本構造の一例を示す。透明基板1の上に透明電極3、2層あるいは3層からなる有機化合物層4、背面電極5を積層した構造に形成されている。ここでは、透明電極3から注入された正孔と背面電極5から注入された電子が有機化合物層4で再結合し、蛍光性物質などを励起することにより発光するものである。そして、有機化合物層4から発光した光は、直接、またはアルミニウムなどで形成される背面電極5で反射して、透明基板1から出射する。
【0004】
しかしながら、図1に示すように、素子内部で発生した光のうち、臨界角以上の角度θで界面(図1では、透明基板1と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができない。このため発光体の屈折率を1.6とすると、発光量全体の20%程度しか有効に利用できないこととなる。
また、有機EL素子においてはキャリア再結合の際にスピン統計の依存性より発光確率に上限が生じる。したがって、発光確率に制限の生じる有機EL素子においては、上記のような全反射による光の取り出し効率低下は、致命的であり、素子としての発光効率や輝度が低下するといった問題を生じさせてしまう。
【0005】
この光の取り出し効率を向上させる手法としては、従来、無機EL素子などの、同等な構造を持つ発光素子において検討されてきた、例えば、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795)や、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394)が提案されている。しかしながら、これらの方法は、発光面積の大きな素子に対しては有効であるが、ドットマトリクスディスプレイ等の画素面積の微小な素子においては、集光性を持たせるレンズや側面の反射面等の形成加工が困難である。更に有機EL素子においては発光層の膜厚が数μm以下となるためテーパー状の加工を施し、素子側面に反射鏡を形成することは現在の微細加工の技術では困難であり、大幅なコストアップをもたらす。また基板ガラスと発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691)もあるが、この方法は前方への光の取り出し効率の改善の効果はあるが全反射を防ぐことはできない。したがって屈折率の大きな無機EL素子に対しては有効であっても、比較的低屈折率の発光体である有機EL素子に対しては大きな改善効果を上げることはできない。
【0006】
有機EL素子としては、基板ガラスと発光層との間に回折格子又はゾーンプレートを構成要素として形成して、光の取り出し効率を向上させる方法が特許第2991183号に記載されている。この方法は、発光層と基板との間に透過型または反射型の回折格子またはゾーンプレートを設けることにより、該界面における出射角を、結果的に光取り出し面に対する入射角を低減させるように変化させることができるため、光取り出し面において全反射を起こすことなく光が外部に取り出されることをその原理とするものである。しかしながら、この方法によっても取り出し効率は十分でなく、また、光の回折を利用しているので光の進行方向が特定方向に限定され、表示素子として利用した場合、文字や画像の視認性が悪化するという問題もあった。更には、製造プロセスの大幅な変更が必要であり、コストアップをもたらすという問題があった。
【0007】
更に、基板ガラスと発光体の間に低屈折率を持つ平坦層を導入し、大気への取り出し効率を高くする方法が特開2001−202827号に記載されているが、この方法でも製造プロセスの大幅な変更が必要であり、コストアップをもたらすことが問題であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、有機エレクトロルミネッセンス素子に有用な光の取り出し方法は未だ不十分であり、この光の取り出し方法の開拓が有機エレクトロルミネッセンス素子の高効率化に不可欠である。
【0009】
従って、本発明の目的は、光取り出し効率が改善され、素子の輝度が向上された有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。
本発明の更なる目的は、製造プロセスが容易な、光取り出し効率が改善され、素子の輝度が向上された有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成されることが見出された。
1.基板上に、透明電極、少なくとも発光層を含む1層以上の有機化合物層および背面電極を少なくとも積層した発光素子の発光側表面に、下記1)〜3)の条件を満足する2次元周期構造をもつ微細凹凸構造を有する光学フイルムが貼着されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
1)凹凸の周期長(P)が0.01μm≦P≦0.35μm。
2)凹凸の高低差(d)が0.01μm≦d≦50.0μm。
3)微細凹凸構造領域の有効屈折率が光学フイルムの観察側表面に近づくにつれて膜厚方向に連続的に小さくなる。
2.前記光学フイルムと前記発光層との間に円偏光板を有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0011】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板上に、透明電極、少なくとも発光層を含む1層以上の有機化合物層および背面電極を少なくとも積層した発光素子の発光側表面、すなわち発光素子の発光表面と大気との界面である光取り出し面に、特定形状の微細凹凸構造が表面に加工された光学フイルムを設けることを特徴とするものである。
【0012】
本発明者らは、従来の方法において一定の光取り出し効率が改善されるものの、依然十分な光取り出し効率が達成できない現状を種々検討した結果、発光側表面と大気との界面である光取り出し面においてなお、全反射するような入射角で到達する光が存在し、それにより取り出し効率が低減していることを見出し、該界面に特定形状の微細凹凸構造が表面に加工された光学フイルムを設けることにより、該入射角で到達した光をも外部に効率よく取り出すことにより、素子の輝度を向上させることができることを見出したものである。
【0013】
一般に、周期構造を持つ微細凹凸構造の凹凸の周期長(P)が、有機化合物層での発光光の波長λに対し、P<λを満足するとき、微細凹凸構造のある深さにおける有効屈折率は、微細凹凸構造を形成する素材と空気の平均屈折率と考えてよいので、光学フイルムの微細凹凸構造を形成する素材の屈折率をnp、特定の深さx(光学フイルムの観察側表面からの深さ)における微細凹凸構造を形成する素材が占める面積占有率をSp(x)、空気の屈折率をna(=1)とすると、特定の深さxにおける微細凹凸構造の有効屈折率(neff)は以下の式(1)で近似できる。
式(1) neff=npSp(x)+na(1−Sp(x))
【0014】
本発明では、発光素子が発光する光のうち、可視域の光の波長(380nm以上720nm以下)に対し、P<λが成立し、neffが光学フイルムの観察側表面に近づくにつれて低下する、すなわちSp(x)が光学フイルムの観察側表面に近づくにつれ低下するように微細凹凸構造を形成したことを特徴とする。
これにより、光学フイルムの微細凹凸構造領域の有効屈折率が光の伝搬方向(光学フイルムの膜厚方向)に連続的に低下し、観察側最表面ではneffが空気の屈折率である1に極めて近くなるので、光にとっては明確な界面(その前後で屈折率差が大きい界面)が存在しないこととなり、全反射を著しく低減することができる。したがって、全反射で外部に取り出せない、あるいは観察側表面以外から周辺部分に放射し、損失していた光を観察側表面に取り出すことができ、素子の輝度を向上させることができる。
【0015】
更に、該微細凹凸構造を有する光学フイルムは、発光素子の最表面に設けられるため、発光素子自体の製造プロセスを変更させる必要がなく、製造上有利である。
【0016】
また、該微細凹凸構造を有する光学フイルムと発光素子との間に円偏光板を配置すると、該円偏光板が反射防止層として機能し、外光の反射によるコントラストの低下を防ぐことができるので、好ましい。該円偏光板は、微細凹凸構造を有する光学フイルム側から、直線偏光子およびλ/4板がこの順になるように配置して形成する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
図2および図3に本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の一例を概略的に示す。
図2(a)において、有機EL素子は、基板1、透明電極3、有機化合物層4、背面電極5の順に積層され、透明基板1の発光側表面に前記微細凹凸構造を有する光学フイルム7を配し、該光学フイルム7と基板1との間に円偏光板6を有する。図2(b)に示すように、微細凹凸構造を有する光学フイルム7は粘着層8を介して貼合されていてもよく、また、背面電極5に乾燥剤9を添加していてもよい。
基板、電極、有機化合物層からなる発光素子の積層順序としては、図3のように、基板1、背面電極5、有機化合物層4、透明電極3としてもよく、この場合は、光学フイルム7は円偏光板6を介し透明電極3の発光側表面上に配置される。
【0018】
本発明で、光学フイルム7が有する微細凹凸構造の凹凸の周期長(P)は、前記式(1)を適用する前提条件として発光素子が発光する光のなかで可視域の光の波長λ(380nm以上720nm以下)より小さいことが必要である。凹凸の周期長(P)が発光する光の波長λより大きい(P>λ)であると、凹凸構造により光が回折してしまうからである。またP≪λの微細凹凸構造を実現するには加工が困難であるので、凹凸の周期長(P)は、0.01μm以上0.35μm以下であり、好ましくは0.02μm以上0.32μm以下であり、より好ましくは0.025μm以上0.30μm以下である。
また、凹凸の高低差(d)は、0.01μm以上50μm以下であり、好ましくは0.02μm以上45μm以下であり、より好ましくは0.025μm以上40μm以下である。
【0019】
更に、微細凹凸構造は、有効屈折率が観察側表面に向けて光学フイルムの膜厚方向に連続的に低下する構造、つまりは前記式(1)により、微細凹凸構造のある深さにおける微細凹凸構造を形成する素材が占める面積占有率Sp(x)が観察側表面に近づくにつれ低下する構造を有する。
このような微細凹凸構造としては、具体的には、図4に示される断面パターンを持つ構造が挙げられる。
また、本発明で微細凹凸構造は、上記の図4で示されるような凹凸構造が平面に周期的に配列することで、2次元周期構造を形成する。この平面上の典型的な配列パターンとしては、図5に示されるようなパターンが挙げられる。
なお、微細凹凸構造の断面パターンおよび配列パターンは、ここで挙げたものに本発明は限定されるものではない。
【0020】
該微細凹凸構造を有する光学フイルムは、微細な凹凸形状を表面に有する金型を使用し、この金型表面に、硬化性樹脂組成物を接触させ、硬化性樹脂組成物を硬化させ、硬化後、剥離することにより、容易に得ることができる。
【0021】
本発明の光学フイルム7は、例えば、図6に示すように、透明基材フイルム21上に、上記特定形状の微細凹凸構造が形成された凹凸部22を上面に有する透明層23を積層したものである。透明層23は、連続した層であることが普通だが、透明基材フイルム21を伴なうときは、互いに離れた凸部の群からなっていてもよい。
【0022】
透明基材フイルム21としては、透明性、平滑性を備え、異物の混入のないものが好ましく、また、加工上および製品の使用上の理由で機械的強度があるものが好ましい。さらに、光学フイルムにディスプレイの熱が伝わって来るような場合には、耐熱性があるものが好ましい。
【0023】
一般的に透明基材フイルム21として好ましいものは、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、もしくはポリウレタン等の熱可塑性樹脂のフイルムである。
【0024】
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフチレートなどのポリエステルは機械強度やコーティング適性の点で好ましい。透明性が高く、光学的に異方性がなく、かつ低屈折率である点では、セルローストリアセテート等が好ましい。透明性と耐熱性を備えた点ではポリカーボネートが好ましい。
【0025】
なお、これらの熱可塑性樹脂のフイルムはフレキシブルで使いやすいが、取り扱い時も含めて曲げる必要が全くなく、硬いものが望まれるときは、上記の樹脂の板やガラス板等の板状のものも使用できる。厚みとしては、8〜1000μm程度が好ましく、25〜300μm程度がより好ましい。板状のものの場合には、この範囲を超えてもよい。
【0026】
上記の透明基材フイルム21には、その上面、もしくは上面および下面に形成する層との接着性の向上のために、通常、行なわれ得る各種の処理、即ち、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理のほか、アンカー剤もしくはプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行なって、プライマー層(図示せず)を形成しておいてもよい。
【0027】
無数の微細凹凸が形成された凹凸部22を有する透明層23は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂組成物としては、凹凸部22を金型を用いたキャスティング法によって形成する際の硬化速度が速く、かつ透明層23の表面の傷付きが起きないよう、硬化後に高い耐擦傷性を有するものが好ましい。電離放射線硬化性樹脂組成物としては、硬化後の硬度が、JIS K5400で示す鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものがより好ましい。また、光学フイルムとして長期間使用するには、表面の耐久性、特に耐擦傷性が必要であり、硬度を高くした方が有利になるため、密度を上げて硬度を高くする必要がある。従って、透明層23の光の屈折率としては、1.4〜1.7、より好ましくは、1.6以下である。なお、この程度の屈折率であると、通常は大気との屈折率差が大きく、大気との界面での全反射が問題となるが、本発明では前記した微細凹凸構造を取ることにより、有効屈折率が表面に向かうにつれて低下し、全反射を起こすことを防いでいる。
【0028】
電離放射線硬化性樹脂組成物としては、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものである。電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線を用いる。
【0029】
電離放射線硬化性樹脂組成物中のプレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物が挙げられる。
【0030】
電離放射線硬化性樹脂組成物中のモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等が挙げられる。
【0031】
通常、電離放射線硬化性樹脂組成物中のモノマーとしては、以上の化合物を必要に応じて、1種若しくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性組成物に通常の塗布適性を与えるために、前記のプレポリマー又はオリゴマーを5質量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95質量%以下とするのが好ましい。
【0032】
電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させたときのフレキシビリティーが要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させたときの耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使う等、電離放射線硬化性樹脂組成物の設計が可能である。ここで、官能基が1のものとして、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。官能基が2のものとして、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクレリート等が挙げられる。
【0033】
電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させたときのフレキシビリティーや表面硬度等の物性を調整するため、電離放射線硬化性樹脂組成物に、電離放射線照射では硬化しない樹脂を添加することもできる。具体的な樹脂の例としては次のものがある。ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂である。中でも、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の添加がフレキシビリティーの向上の点で好ましい。
【0034】
電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化が紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性樹脂組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部である。
【0035】
電離放射線硬化性樹脂組成物には、次のような有機反応性ケイ素化合物を併用してもよい。
【0036】
有機ケイ素化合物の一例は、一般式RmSi(OR′)nで表せるものであり、RおよびR′は炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rの添え字mとR′の添え字nとは、各々が、m+n=4の関係を満たす整数である。
【0037】
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0038】
電離放射線硬化性樹脂組成物に併用し得る有機ケイ素化合物の第二の例は、シランカップリング剤である。
【0039】
具体的には、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0040】
電離放射線硬化性樹脂組成物に併用し得る有機ケイ素化合物の第三の例は、電離放射線硬化性ケイ素化合物である。具体的には、電離放射線の照射によって反応し架橋する複数の官能基、例えば、重合性二重結合基を有する分子量5,000以下の有機ケイ素化合物が挙げられ、より具体的には、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能ポリシロキサン、又はこれらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、もしくはビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。
より具体的には、次のような化合物である。
【0041】
【化1】
【0042】
その他、電離放射線硬化性樹脂組成物に併用し得る有機ケイ素化合物としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物等が挙げられる。
【0043】
電離放射線硬化性樹脂組成物を用いて、透明層23の上面に微細凹凸からなる凹凸部を形成するには、例えば、透明層23を塗布形成する際に、凹凸を有する型付け用フイルムで塗膜を被覆したまま硬化させるか、形成された塗膜に型付け用ロール等の型付け手段を、必要に応じて加熱しつつ押し付けて行なうか、あるいは、剥離面に凹凸を有する剥離性基材上に塗布形成して透明層23を転写し得る転写フイルムを作成し、その転写フイルムを用いて転写する等の方法が採れる。
【0044】
より好ましい形成方法は次の通りである。まず、適当な基材に感光性樹脂を積層したものを準備し、これにレーザー光干渉法により露光を行なう。レリーフホログラム製造用として市販されているフイルム付きの感光材を利用することができる。露光は、レーザー光を2ないしそれ以上に分割して干渉させることによって行ない、周期(P)で硬化部と未硬化部とを得る。露光後、感光性樹脂の種類に応じた現像法、通常は特定の溶剤による未硬化部分の除去により、現像を行なって、周期(P)の微細凹凸が形成された凹凸型面を有する原型を得る。
【0045】
得られた原型は、凹凸を形成しやすくするために、比較的分子量の小さい高分子からなっているため、溶剤に対する耐久性も不十分であり、また、もろいため、この原型を何度も使用して複製を行なうことは好ましくない。そこで、原型にニッケル等の金属でめっきを行なって、第1の金属製の型を形成し、この第1の金属製の型を使用するか、または第1の金属製の型にめっきを行なって、第2の金属製の型を幾つか形成し、得られた第2の金属製の型を使用して複製を行なう事が好ましい。なお、これら金属製の型を金属製スタンパーと言うことが多い。より好ましくは、このようにして得られた型面の形状をロール面に形成し、必要に応じて、殖版(同一版面上に多面付けにすること)した型ロールや型面の形状をロールの面長方向および円周方向に、連続的に形成した型ロールを使用するとよい。
【0046】
なお、型面の形状を複製する際に、原型と第2の金属製の型とは同形状であり、原型と第1の金属製の型とは互いに逆型形状の関係となる。また光学フイルムの微細凹凸の形状と、それを製造するための型上の型面の微細凹凸の形状とは逆型形状となる。以下の説明で用いる型の型面の微細凹凸形状としては、光学フイルムに、得たい微細凹凸形状が得られるよう、逆型形状に形成されているものとする。
【0047】
図7は、型ロールを用いて、光学フイルムを連続的に製造するための装置30を使用して製造する様子を示すものである。図7において、透明基材フイルム21は、図中向かって左側上方より巻き出され、ニップロール31aと型ロール32の間に導かれ、型ロール32の上側を半周した後、ニップロール31bとの間を通過して、向かって右側方向に排出される。型ロール32は型ロール32内に矢印で示す時計回り方向に回転するよう駆動されており、ニップロール31a、および31bは、型ロールの回転に合わせて連れまわり(いずれも回転方向はロール内に矢印で示す)するよう構成されている。また、透明基材フイルム21の巻き出し側にはブレーキが設置され、排出側に設置された巻き上げモータとにより、走行時の張力の調整が可能である。また、両ニップローラ31aおよび31bの間では、張力が一定に保たれている。
【0048】
型ロール32の真下には、ダイヘッド33が設置されており、ダイヘッド33は内部に液溜め34、上方にスリット35を有し、パイプ36を経由して、外部より電離放射線硬化性樹脂組成物37が供給されるよう構成されている。スリット35からは透明基材フイルム21の走行に合わせて、必要量の電離放射線硬化性樹脂組成物37が上方に押出され、型ロール表面に塗付され、型ロール32の凹部32a内にも電離放射線硬化性樹脂組成物37が充填され、ニップロール31aと型ロールとの間を通るときに、塗付量が規制される。
【0049】
型ロール32の上方には、電離放射線照射装置38が設置されており、照射装置38の下を通る際に電離放射線が照射され、透明基材フイルム21上の電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化し、透明層23と透明基材フイルム21とが接着する。この後、硬化した透明層23を透明基材フイルム21と共に、巻き取る。
【0050】
なお、透明基材フイルム21をラミネートするときは、型ロール表面の凹部32aが少なくとも埋まっており、埋めた電離放射線硬化性樹脂組成物の露出面に透明基材フイルムが接していれば足りるが、透明基材フイルムを使用しないときは、電離放射線硬化性樹脂組成物が型面上で連続した皮膜を生成するよう、十分な量の電離放射線硬化性樹脂組成物を適用するとよい。なお、図示の例では型ロール32に電離放射線硬化性樹脂組成物を適用するようにしており、この方が好ましいが、ラミネート時の気泡の抱き込みを防止できるのなら、電離放射線硬化性樹脂組成物を、透明基材フイルム21側に適用した後、型ロール32に接触させてもよい。
【0051】
型ロール32の表面に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布した後、必要ならドクタリングを施してもよい。上記において、電離放射線としては、通常、紫外線、もしくは電子線を用いるが、これら以外であってもよい。また、照射する場所は上方の一個所に限定することはなく、塗付直後から、ニップロール31bを通過するまでの任意の位置に所望の個数の電離放射線照射装置を設置して照射を行なってよい。また、型ロール32の周囲で、充分な場所が確保できない場合には、ニップロール31bを出た後の位置に更に電離放射線照射装置を設置して照射を行なってもよい。
【0052】
電離放射線照射により、電離放射線硬化性樹脂組成物37が硬化するとともに、透明基材フイルム21との間の接着力が生じるので、その後、透明基材フイルム21ごと剥離することにより、透明基材フイルム21上に硬化した電離放射線硬化性樹脂組成物からなる透明層23が積層しており、かつ透明層23の表面に、型面の微細凹凸形状が反映した微細凹凸を有する光学フイルムが得られる。
【0053】
なお、透明基材フイルムを伴なわない光学フイルム7を得るには、透明基材フイルム21のラミネートを省いて行なう方法もあるが、透明基材フイルム21の電離放射線硬化性樹脂組成物を適用する側の表面に剥離性を与えておき、型面から透明層を剥離すると同時に透明基材フイルム21を分離してしまうか、あるいは先に透明基材フイルム21のみ剥離した後に透明層23を剥離するか、もしくは共に剥離後に透明基材フイルム21を剥離することによっても、透明基材フイルム21を伴わない光学フイルム7とすることができる。透明基材フイルム21を工程中に使用した方が、透明層23の厚みの規制がしやすく、空中の塵埃の影響も回避できるので好ましい。
【0054】
本発明では、光学フイルム7に、上記の構成に加えて、使用時の塵埃の付着を防止するための帯電防止処理や、光学フイルムを適用する際の便を考慮して、微細凹凸22を有する面とは反対側に粘着加工を施す等を行なってもよい。
【0055】
帯電防止処理は、具体的には帯電防止剤や導電性微粒子を適用することにより行なえ、透明層23や表面層24をコーティングにより形成する際には、用いる塗料組成物中に混合して適用するとよい。あるいは、帯電防止処理は、帯電防止剤単体を透明層23上に塗付することによって行なってもよい。透明層23の下層に、もしくは透明基材フイルム21を伴なうときは、基材フイルム21と透明層23との間に、導電性微粒子を含んだ塗料組成物を用いて形成した導電性層もしくは金属酸化物薄膜を形成することにより、帯電防止処理を行なってもよい。
【0056】
粘着加工は、ポリアクリル酸エステルやゴム系の粘着剤を直接塗付してもよいが、通常は、離型紙に粘着剤を塗付したものをラミネートすることによって適用し、離型紙は、粘着剤が露出して不用意に接着したり、塵埃が付着するのを防止する意味で、使用するまでの間、貼ったままにしておくとよい。粘着剤層の厚みとしては、20〜40μm程度が好ましい。
【0057】
次に、本発明で反射防止層として、好ましく用いられる円偏光板について説明する。
本発明では、微細凹凸構造を有する光学フイルムと発光素子との間に円偏光板を配置することにより、素子内部に取り込まれた外光が発光素子下部にある背面電極により反射し、再出射することでコントラスト低下が低下するのを抑制できるため好ましい。
円偏光板は、微細凹凸構造を有する光学フイルム側から、直線偏光子およびλ/4板がこの順になるように配置して形成する。
【0058】
直線偏光子は一般に、基材フイルムに二色性物質を吸着、配向させて作成された偏光膜の少なくとも片面に保護膜を貼合して製造される。基材フイルムに用いるポリマーとしては、ポリビニルアルコール(以下、PVA)系ポリマーが一般的である。二色性物質としてはヨウ素あるいは、二色性染料が単独、あるいは組み合わせて用いられる。保護膜としては、低複屈折性、透明性、適度な透湿性、寸度安定性等の物性が求められ、従来セルロースアセテートフイルムが広く用いられている。
【0059】
偏光膜に用いるPVAは通常、ポリ酢酸ビニルをケン化したものであるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のように酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性、偏光性、耐熱、耐湿性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、フイルム強度や耐熱、耐湿性、延伸性などから1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。また、PVAのシンジオタクチシチーについては特に限定されず、目的に応じ任意の値をとることができる。
【0060】
PVAを染色、延伸して偏光膜を得る手順には、原反となるPVAフイルムを乾式または湿式で延伸した後、ヨウ素あるいは二色性染料の溶液に浸漬する方法、ヨウ素あるいは二色性染料の溶液中でPVAフイルムを延伸し配向させる方法、ヨウ素あるいは二色性染料にPVAフイルムを浸漬後、湿式または乾式で延伸し配向させる方法などがある。また、PVA原反を溶液製膜法により製膜する際、PVA溶液中に二色性物質をあらかじめ含有させる手法もとることができる。
【0061】
PVAの延伸工程としては、上に例示した如く連続フィルムの進行方向に張力を付与し、進行方向にフィルムを延伸、配向させる方法が一般的であるが、いわゆるテンター方式等の延伸手段でフィルムの幅手方向に張力を付与し、幅手方向に配向させる方法も適用可能である。
【0062】
延伸は一軸方向に3倍以上行うことが好ましく、4.5倍以上がより好ましい。偏光膜の使用目的により二軸延伸を行ってもよい。延伸後の膜厚は特に限定されないが、取り扱い性、耐久性、経済性の観点より、5〜100μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。
【0063】
染色方法としては上に例示した浸漬法だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、既に述べた液層吸着のみでなく、寄贈による吸着も必要に応じ行うことができる。
【0064】
直線偏光子はヨウ素ではなく二色性色素で染色しても構わない。二色性色素の具体例としては、例えばアゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等の色素系化合物をあげることができる。水溶性のものが好ましいが、この限りではない。又、これらの二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入されていることが好ましい。二色性分子の代表的なものとしては、例えばシー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ72、シー.アイ.ダイレクト.レッド28、シー.アイ.ダイレクト.レッド39、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド83、シー.アイ.ダイレクト.レッド89、シー.アイ.ダイレクト.バイオレット48、シー.アイ.ダイレクト.ブルー67、シー.アイ.ダイレクト.ブルー90、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59、シー.アイ.アシッド.レッド37等が挙げられ、さらに特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の色素等を挙げることができる。特に、シー.アイ.ダイレクト.レッド28(コンゴーレッド)は古くよりこの用途に好ましいとして知られている。これらの二色性分子は遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として用いられる。これらの二色性分子は2種以上を配合することにより、各種の色相を有する偏光子を製造することができる。
【0065】
偏光膜の耐熱、耐湿性を高める観点から、偏光膜の製造工程においてPVAに架橋させる添加物を含ませることが好ましい。架橋剤としては、米国再発行特許第232897号に記載のものが使用できるが、ホウ酸、ホウ砂が実用的に好ましく用いられる。
また、亜鉛、コバルト、ジルコニウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属塩を偏光膜に含有させることも、耐久性を高めることが知られており好ましい。
【0066】
保護膜を接着する接着剤としては特に限定はなく、PVA系、変性PVA系、ウレタン系、アクリル系等、知られているものを任意に用いることができる。接着層の厚みは0.01〜20μmが好ましく、0.05〜10μmがさらに好ましい。
【0067】
λ/4板は、特開平5−27118号および同5−27119号の各公報に記載されたレターデーションが大きい複屈折性フイルムと、レターデーションが小さい複屈折率フイルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた位相差板、特開平10−68816号公報に記載された、特定波長においてλ/4となっているポリマーフイルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/2となっているポリマーフイルムとを積層させて、広い波長領域でλ/4が得られる位相差板、特開平10−90521号公報に記載された二枚のポリマーフイルムを積層することにより広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/26705号に記載された変性ポリカーボネートフイルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/65384号に記載されたセルロースアセテートフイルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板等を使用することができる。さらに、特開2000−206331号、2000−284120号、2000−284126号、2001−21720号、2001−91741号に記載された液晶塗布型の薄膜広帯域λ/4板を使用することもできる。
【0068】
λ/4板の遅相軸は、直線偏光子の透過軸(もしくは吸収軸)と45°の角度で配置されることが望ましいが、λ/4板の光の波長に対する位相遅れの公差を補償するために、直線偏光子とλ/4板との間にλ/2板を配置する場合は異なった角度で配置される場合もある。
【0069】
次いで、本発明の発光素子について説明する。
本発明の発光素子は、基板上に透明電極、少なくとも発光層を含む有機化合物層及び背面電極を積層した発光素子であり、基板上に必要に応じて水分吸収層を設けることができる。
【0070】
本発明で使用する基板は有機化合物層から発せられる光を散乱又は減衰させないことが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルやポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジギリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。有機材料の場合、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
【0071】
前記基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、前記形状としては、板状である。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2種以上の部材で形成されていてもよい。
【0072】
前記基板は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよいが、前記発光層から発せられる光を散乱あるいは減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
【0073】
前記基板には、その表面又は裏面(前記透明電極側)に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
前記透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。該透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
前記熱可塑性基板には、さらに必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
【0074】
以下に本発明の発光積層体(有機化合物層、透明電極、背面電極)について、詳細に説明する。
【0075】
〈有機化合物層〉
本発明において、前記有機化合物層は、少なくとも一層の発光層を含有する。
(有機化合物層の構成)
前記有機化合物層の前記発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記等明電極上に又は前記背面電極上に形成されるのが好ましい。この場合、該有機化合物層は、前記透明電極又は前記背面電極上の前面又は一面に形成される。
前記有機化合物層の形状、大きさ、厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0076】
具体的な層構成としては、透明電極/発光層/背面電極、透明電極/発光層/電子輸送層/背面電極、透明電極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/背面電極、透明電極/正孔輸送層/発光層/背面電極、透明電極/発光層/電子輸送層/電子注入層/背面電極、透明電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/背面電極等が挙げられる。
【0077】
(発光層)
本発明に用いられる発光層は、少なくとも一種の発光材からなり、必要に応じて正孔輸送材、電子輸送材、ホスト材を含んでもよい。
本発明に用いられる発光材としては特に限定されることはなく、蛍光発光性化合物または燐光発光性化合物であれば用いることができる。例えば蛍光発光性化合物としては、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。これらは一種もしくは二種以上を混合して用いることができる。
【0078】
燐光発光性化合物としては特に限定されることはないが、オルトメタル化金属錯体、又はポルフィリン金属錯体が好ましい。
【0079】
前記オルトメタル化金属錯体とは、例えば山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」150頁、232頁、裳華房社(1982年発行)やH.Yersin著「Photochemistry and Photophisics of Coodination Compounds」71〜77頁、135〜146頁、Springer−Verlag社(1987年発行)等に記載されている化合物群の総称である。該オルトメタル化金属錯体を含む前記有機化合物層は、高輝度で発光効率に優れる点で有利である。
【0080】
前記オルトメタル化金属錯体を形成する配位子としては、種々のものがあり、上記文献にも記載されているが、その中でも好ましい配位子としては、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、2−フェニルキノリン誘導体等が挙げられる。これらの誘導体は必要に応じて置換基を有してもよい。
前記オルトメタル化金属錯体は、前記配位子のほかに、他の配位子を有していてもよい。
【0081】
本発明で用いるオルトメタル化金属錯体はInorg.Chem. 1991年, 30号, 1685頁、同 1988年, 27号, 3464頁、同 1994年, 33号, 545頁、Inorg.Chim.Acta 1991年,181号, 245頁、J.Organomet.Chem. 1987年, 335号, 293頁、J.Am.Chem.Soc. 1985年, 107号, 1431頁 等、種々の公知の手法で合成することができる。前記オルトメタル化錯体の中でも、三重項励起子から発光する化合物が本発明においては発光効率向上の観点から好適に使用することができる。
また、ポルフィリン金属錯体の中ではポルフィリン白金錯体が好ましい。
前記燐光発光性の化合物は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記蛍光発光性化合物と燐光発光性化合物を同時に用いてもよい。
本発明においては、発光輝度、発光効率の点から、前記燐光発光性化合物を用いることが好ましい。
【0082】
前記正孔輸送材としては、低分子正孔輸送材、高分子正孔輸送材いずれも用いることができ、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば限定されることはなく、例えば以下の材料を挙げることができる。
カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマ−、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマ−、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送材の前記発光層における含有量としては0〜99.9質量%が好ましく、さらに好ましくは0〜80質量%である。
【0083】
前記電子輸送材としては電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば制限されることはなく例えば以下の材料を挙げることができる。トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物を挙げることができる。
前記電子輸送材の前記発光層における含有量としては0〜99.9質量%が好ましく、さらに好ましくは0〜80質量%である。
【0084】
前記ホスト化合物とは、その励起状態から前記蛍光発光性化合物または燐光発光性の化合物へエネルギーを供給し、その結果、該蛍光発光性または燐光発光性の化合物を発光させる機能を有する化合物のことである。
前記ホスト材としては励起子エネルギーを発光材にエネルギー移動できる化合物ならば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、具体的にはカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
【0085】
前記ホスト化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ホスト化合物の前記発光層における含有量としては0〜99.9質量%が好ましく、さらに好ましくは0〜99.0質量%である。
【0086】
前記その他の成分としては、特に本発明においては発光層には必要に応じて、電気的に不活性なポリマーバインダーを用いることができる。
必要に応じて用いられる電気的に不活性なポリマーバインダーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等を挙げることができる。
前記発光層が前記ポリマーバインダーを含有していると、該発光層を湿式製膜法により容易にかつ大面積に塗布形成することができる点で有利である。
【0087】
(他の有機化合物層)
本発明においては、必要に応じて他の有機化合物層を設けてもよい。例えば透明電極と発光層の間に正孔注入層や正孔輸送層、発光層と背面電極との間に電子輸送層や電子注入層を設けてもよい。
【0088】
正孔輸送層、正孔注入層には、前記正孔輸送材が、電子輸送層、電子注入層には前記電子輸送材が好適に用いられる。
【0089】
(有機化合物層の形成)
前記有機化合物層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、ディッピング、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の湿式製膜法いずれによっても好適に製膜することができる。
【0090】
なかでも、前記湿式製膜法による塗布形成の場合、前記有機化合物層を容易に大面積化することができ、高輝度で発光効率に優れた発光素子が低コストで効率よく得られる点で有利である。
なお、これらの製膜法の種類の選択は、該有機化合物層の材料に応じて適宜おこなうことができる。
前記湿式製膜法により製膜した場合は、製膜した後、適宜乾燥を行なうことができ、該乾燥の条件としては特に制限はないが、塗布形成した層が損傷しない範囲の温度等を採用することができる。
【0091】
前記有機化合物層を前記湿式製膜法で塗布形成する場合、該有機化合物層には、バインダー樹脂を添加することができる。
この場合、該バインダー樹脂としてはポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0092】
前記有機化合物層を湿式製膜法により塗布形成する場合、該有機化合物層の材料を溶解して塗布液を調整する際に用いられる溶剤としては、特に制限はなく、前記正孔輸送材、前記オルトメタル化錯体、前記ホスト材、前記ポリマーバインダー等の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、n−プロピルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、炭酸ジエチル等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。
【0093】
なお、前記塗布液における固形分量溶剤に対する固形分量としては、特に制限はなく、その粘度も湿式製膜方法に応じて任意に選択することができる。
【0094】
〈透明電極〉
前記透明電極としては、通常、前記有機化合物層に正孔を供給する陽極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
前記透明電極を陰極として機能させることもでき、この場合、前記背面電極を陽極として機能させるようにすればよい。
【0095】
前記透明電極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、またはこれらの混合物を好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の半導性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
【0096】
前記透明電極は例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、前記透明電極の材料として、ITOを選択する場合には、該透明電極の形成は、直流あるいは高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行なうことができる。また前記透明電極の材料として有機導電性化合物を選択する場合には湿式製膜法に従って行なうことができる。
【0097】
前記透明電極の前記発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記基板上に形成されるのが好ましい。この場合、該透明電極は、前記基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
【0098】
なお、前記透明電極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0099】
前記透明電極の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜50μmであり、50nm〜20μmが好ましい。
前記透明電極の抵抗値としては、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。
前記透明電極は、無色透明であっても、有色透明であってもよく、該透明電極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。この透過率は、分光光度計を用いた公知の方法に従って測定することができる。
【0100】
なお、前記透明電極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、これらを本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITOまたはIZOを使用し、150℃以下の低温で製膜した透明電極が好ましい。
【0101】
〈背面電極〉
前記背面電極としては、通常、前記有機化合物層に電子を注入する陰極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
前記背面電極を陽極として機能させることもでき、この場合、前記透明電極を陰極として機能させるようにすればよい。
【0102】
前記背面電極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
【0103】
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ度類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
前記アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、又はアルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との合金若しくは混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0104】
なお、前記背面電極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されている。
【0105】
前記背面電極の形成法は、特に制限はなく、公知の方法に従って行なうことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、前記背面電極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行なうことができる。
【0106】
なお、前記背面電極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0107】
前記背面電極の前記発光積層体における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記有機化合物層上に形成されるのが好ましい。この場合、該背面電極は、前記有機化合物層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、前記背面電極と前記有機化合物層との間に前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属のフッ化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。
なお、該誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
【0108】
前記透明電極の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μmであり、50nm〜1μmが好ましい。
前記背面電極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な背面電極は、前記背面電極の材料を1〜10nmの厚みに薄く製膜し、更に前記ITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
【0109】
〈その他の層〉
更に、本発明においては、前記発光積層体における各層への水分や酸素の侵入を防止する目的で、封止層を設けるのも好ましい。
前記封止層の材料としては、例えば、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含む共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン及びジクロロジフルオロエチレンから選択される2種以上の共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Tl、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等の金属酸化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等の液状フッ素化炭素、液状フッ素化炭素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させたもの、などが挙げられる。
【0110】
さらに本発明においては、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤または不活性液体を設けることができる。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが例えば酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
【0111】
本発明の発光素子は、前記透明電極と前記背面電極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜40ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の発光素子の駆動については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号、米国特許5828429号、同6023308号、日本特許第2784615号、等に記載の方法を利用することができる。
【0112】
【実施例】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
直径50mmのガラス基板上に感光性樹脂をスピンコーターを用いて塗布・乾燥したものを感光材として用い、アルゴンレーザー(波長351nm)を用いたレーザー干渉露光装置で、三方向より入射角度44度で露光を行ない、露光後、溶剤現像を行ない、感光性樹脂が硬化した樹脂上に、縦横に整列した微細な凹凸を有す図4の断面Bの断面構造を持ち、図5の三方格子構造のマスタープレートを得た。得られたマスタープレート上の凹凸のピッチは170nm、凹凸の平均高低差は220nmだった。
【0113】
上記で得られたマスタープレートの型面に無電解めっきを行ない、続いてニッケルめっきを行なって、厚み100μmのレプリカを得た。
【0114】
アクリレート系紫外線硬化性樹脂(日本合成ゴム(株)製、品番;Z9009、硬化後の光の屈折率1.59)をレプリカの上に塗布し、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させ、その後、アクリル粘着層を有するタックフイルム(富士写真フイルム(株)製、TD−80U)を硬化した該樹脂に貼り合せた後剥離して、紫外線硬化性樹脂が硬化した皮膜を有する微細な凹凸が形成された光学フイルムAを得た。光学フイルムAの断面の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、微細凹凸構造の凹部(谷の部分)の幅はフイルムから空気界面側に向かって連続的に拡大していた。
【0115】
(実施例2)
実施例1で作製したマスタープレートに、下記手順(微粒子分散液aを調製、原料ドープ調製、紫外線吸収剤溶液bの調製)を経て作製される、セルローストリアセテートドープを塗布して、乾燥、剥離して光学フイルムBを得た。残留溶剤は0.1質量%になるまで乾燥した。完成フイルムの膜厚は80μm、レターデーションは4.5nm、フイルム長手方向の抗張力は135MPaだった。光学フイルムBの断面の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、微細凹凸構造の凹部(谷の部分)の幅はフイルムから空気界面側に向かって連続的に拡大していた。
【0116】
(微粒子分散液aの調製)
・シリカ(日本アエロジル(株)製アエロジルR972) 0.67質量%
・セルロースアセテート(置換度2.8) 2.93質量%
・トリフェニルフォスフェート 0.23質量%
・ビフェニルジフェニルフォスフェート 0.12質量%
・メチレンクロライド 88.37質量%
・メタノール 7.68質量%
なる溶液を調製し、アトライターにて体積平均粒径0.7μmになるよう分散を行った。
【0117】
(原料ドープの調製)
・セルローストリアセテート(置換度2.8) 89.3質量%
・トリフェニルフォスフェート 7.1質量%
・ビフェニルジフェニルフォスフェート 3.6質量%
なる固形分100質量部に対し上記微粒子分散液aを17.9質量部添加し、さらに
・ジクロルメタン 92質量%
・メタノール 8質量%
なる混合溶媒を適宜添加、攪拌溶解しドープを調製した。ドープの固形分濃度は18.5%であった。このドープを濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)にてろ過後さらに燒結金属フィルタ(日本精線(株)製06N、公称孔径10μm)でろ過し、さらにメッシュフィルタ(日本ポール(株)製RM、公称孔径45μ)でろ過した。
【0118】
(紫外線吸収剤溶液bの調製)
・2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−
5−クロルベンゾトリアゾール 5.83質量%
・2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)
ベンゾトリアゾール 11.66質量%
・セルロースアセテート(置換度2.8) 1.48質量%
・トリフェニルフォスフェート 0.12質量%
・ビフェニルジフェニルフォスフェート 0.06質量%
・メチレンクロライド 74.38質量%
・メタノール 6.47質量%
上記処方で紫外線吸収剤溶液を調製し、富士写真フイルム(株)製アストロポア10フィルタにてろ過した。
【0119】
(実施例3)
実施例1で使用したマスタープレートをエンボス版として用い、ポリカーボネート樹脂フイルム(厚み130μm)上に加熱エンボスを行なって凹凸を形成し、光学フイルムCを得た。光学フイルムCの断面の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、微細凹凸構造の凹部(谷の部分)の幅はフイルムから空気界面側に向かって連続的に拡大していた。
【0120】
(比較用光学フイルム)
富士写真フイルム(株)製タックフイルム(TD−80U)およびポリカーボネート樹脂フイルム(厚み130μm)を比較用光学フイルムとして使用した。
【0121】
(評価)
上記の光学フイルムA〜C、および比較用光学フイルムを有機EL表示素子(NEC製FOAM N2001)の観察側表面にアクリル系粘着剤を用いて貼着した。この後、EL表示素子を発光させ、正面方向の輝度をTOPCON製輝度計BM−7で測定した。フイルム無しとの比較により輝度向上率を倍率として算出し、白表示と黒表示の輝度比率からコントラストを算出した。また、画像を表示させたときの文字や図の視認性を目視し、併せて表1に結果を記載した。
【0122】
【表1】
【0123】
表1から、本発明の光学フイルムは比較例と比べ大幅な輝度向上およびコントラスト向上が可能であり、文字や画像の視認性も優れていることが分かる。
【0124】
【発明の効果】
本発明によれば、光取り出し率の改善により、素子の輝度が向上され、コントラストの向上も可能で、視認性にも優れ、更に製造プロセスも容易な、有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL素子の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の有機EL素子の例示する断面図である。
【図3】本発明の有機EL素子を例示する断面図である。
【図4】本発明の微細凹凸構造の形状例を示す断面図である。
【図5】本発明の微細構造の配列パターンの一例を示す図である。
【図6】本発明の光学フイルムを例示する断面図である。
【図7】本発明の光学フイルムの製造装置を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
3 透明電極
4 有機化合物層
5 背面電極
6 円偏光板
6a 直線偏光子
6b λ/4板
7 光学フィルム
8 粘着層
9 乾燥剤
20 有機エレクトロルミネッセンス素子
21 透明基材フィルム
22 凹凸部
23 透明層
31 ニップロール
32 型ロール
33 ダイヘッド
34 液溜め
35 スリット
36 パイプ
37 電離放射線硬化性樹脂組成物
38 電離放射線照射装置
Claims (2)
- 基板上に、透明電極、少なくとも発光層を含む1層以上の有機化合物層および背面電極を少なくとも積層した発光素子の発光側表面に、下記1)〜3)の条件を満足する2次元周期構造をもつ微細凹凸構造を有する光学フイルムが貼着されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
1)凹凸の周期長(P)が0.01μm≦P≦0.35μm。
2)凹凸の高低差(d)が0.01μm≦d≦50.0μm。
3)微細凹凸構造領域の有効屈折率が光学フイルムの観察側表面に近づくにつれて膜厚方向に連続的に小さくなる。 - 前記光学フイルムと前記発光素子との間に円偏光板を有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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