JP2020186281A - 塗膜、塗膜積層体、塗膜積層体の作製方法及び電子デバイス - Google Patents

塗膜、塗膜積層体、塗膜積層体の作製方法及び電子デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、自己組織化する有機化合物を用いた欠陥のない非常に緻密な塗膜、それを用いた塗膜積層体及び当該塗膜積層体の作製方法を提供することである。さらに、当該塗膜を用いた電子デバイスを提供することである。【解決手段】本発明の塗膜は、置換基を有する有機化合物を含有する塗膜であって、前記有機化合物が、3、4又は6回の回転対称性を有し、かつ、前記塗膜の厚さが10nm以下であり、当該塗膜の隣接する基板又は下層の膜に対する被覆率が、90〜100%の範囲内であることを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、塗膜、塗膜積層体、塗膜積層体の作製方法及び電子デバイスに関する。より詳しくは、欠陥のない非常に緻密な塗膜及び塗膜積層体等に関する。
薄膜は、有機半導体を用いたあらゆる電子デバイスを保護するためのガスバリアー膜をはじめ、表示デバイスの構成層、偏光膜、分離膜、保護膜、生体膜など、工学や医療、農業といった幅広い分野で利用されている。
薄膜の製造には、大型の装置が不要であり低環境負荷である点、または材料効率が高いといった点から、真空蒸着法よりも、インクジェット印刷法やスピンコート法などを含むウェットプロセスでの製造が好ましい。
薄膜にはいずれの用途の場合にも、その化合物が有する機能を最大限に発現するために、欠陥がなく連続性を有し、かつ配向した高秩序性の構造をとることが理想的である。
近年、比較的低分子量の化合物を利用する自己組織化単分子膜(self−assembled monolayer:SAM)が、各種基板表面の特性を改質させる作用を有することから、種々のデバイスへの適用の可能性の検討がなされ注目されてきている。
SAMは、金属、酸化インジウム・スズ(ITO)、シリコン、及びガラスなどの基板の上に特定の構造を有する有機化合物分子を化学吸着させた際に、分子間におけるファン・デル・ワールス力の相互作用により、自発的に自己組織化して、分子が高度に規則的に配向した構造を有する分子集合体を形成することにより得られるものである。
しかしながら、この自己組織化単分子膜の生成は、自己整合的に生じることから、基材の表面特性によって、分子サイズの欠陥や穴が膜に出来てしまうことがある。これら分子サイズの欠陥が起こると、例えば、自己組織化単分子膜のガスバリアー機能が損なわれてしまうことから、自己組織化単分子膜を、ガスバリアー層若しくは保護層(パッシベーション層)として、製品等に用いる場合、製品の基材が限られてしまうという問題があり、実際には、実用上十分な性能を有する膜の形成が困難で、改善の余地があるとされている(例えば、特許文献1〜5参照。)。
したがって、欠陥がなく連続性を有し、かつ配向した高秩序性の構造を有する薄膜の研究・開発が望まれている。
特開2002−327283号公報 特開2006−22103号公報 国際公開第2014/111980号 国際公開第2014/125527号 国際公開第2016/010061号
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、自己組織化する有機化合物を用いた欠陥のない非常に緻密な塗膜、それを用いた塗膜積層体及び当該塗膜積層体の作製方法を提供することである。さらに、当該塗膜を用いた電子デバイスを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、置換基を有する有機化合物を含有し、当該有機化合物が、特定の回転対称性を有し、かつ、厚さが10nm以下で、特定の被覆率を有する塗膜により、上記課題が解決できることを見出した。更には、本発明の塗膜を用いた電子デバイスは、非常に高性能であることも見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.置換基を有する有機化合物を含有する塗膜であって、
前記有機化合物が、3、4又は6回の回転対称性を有し、かつ、
前記塗膜の厚さが10nm以下であり、当該塗膜の隣接する基板又は下層の膜に対する被覆率が、90〜100%の範囲内であることを特徴とする塗膜。
2.前記塗膜の表面の算術平均粗さRaが、5nm以下であることを特徴とする第1項に記載の塗膜。
3.前記塗膜の表面の算術平均粗さRaと、当該塗膜の裏面に隣接する基板又は膜の表面の算術平均粗さRa′との関係が、下記式1で規定する条件を満たすことを特徴とする第1項又は第2項に記載の塗膜。
(式1):Ra≦Ra′
4.前記有機化合物の他に少なくとも2成分を含有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の塗膜。
5.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の塗膜に隣接して、さらに他の塗膜が積層されていることを特徴とする塗膜積層体。
6.第5項に記載の塗膜積層体を作製する塗膜積層体の作製方法であって、
隣接した少なくとも2層の塗膜を同時に積層する塗布法で積層体を形成することを特徴とする塗膜積層体の作製方法。
7.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の塗膜を有することを特徴とする電子デバイス。
8.前記電子デバイスが、エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする第7項に記載の電子デバイス。
9.前記電子デバイスが、太陽電池、半導体、LED又は二次電池であることを特徴とする第7項に記載の電子デバイス。
本発明の上記手段により、自己組織化する有機化合物を用いた欠陥のない非常に緻密な塗膜と、それを用いた塗膜積層体及び当該塗膜積層体の作製方法を提供することができる。さらに、当該塗膜を用いた電子デバイスを提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
〈有機化合物の配向性と溶解性〉
高配向性を示す有機化合物では同時に溶解性が低くなり、このトレードオフを打破する分子設計は非常に困難を極める。しかし、本発明者らが長年のデバイスの研究を進める中で、高配向性と高溶解性を両立した化合物を見出した。
すなわち、下記化合物(A)(ヘキサ−2−ピリジルベンゼン(以下、「HPB」と略称する。))は有機EL材料の一つであり、溶媒に対して高溶解性を示す一方、塗布成膜後には高配向性の膜を形成することが本発明者等の検討過程で見出されている。
Figure 2020186281
上記化合物(A)は、溶液中において溶媒との間に水素結合を形成することで平面性が低下し、化合物間の相互作用が弱められることによって溶解性が向上する。この溶液を用いて形成した塗膜は、成膜後に加熱によって溶媒が少しずつ離脱していくことで分子同士が再び配向して積層することで、高密度なものとなる。
〈最密充填構造形成のメカニズム〉
では仮に、上記条件における水素結合と異なり、成膜後にも消滅しない結合である場合には、化合物の配列はどうなるだろうか。
ここで、トリプチセンという化合物の場合を考える。トリプチセンは、3つのベンゼン環が120°の角度で連結された、三枚羽のプロペラ状の化合物である。福島らは、このトリプチセンに長鎖のアルコキシ基を付加させた、下記化合物(B)で示される誘導体を合成し、これを加熱溶融状態としたのちに徐々に冷却することで、大面積で緻密な薄膜が得られたことを報告している(例えば、特許文献3〜5参照。)。
Figure 2020186281
一般的に、芳香環を多く含む化合物は、CH―π又はπ―π相互作用により高配向性を示すが、それぞれの化合物間で高配向性の領域であるドメインが生じるため、欠陥となる多数のドメイン境界が形成されてしまう。
ところがこの誘導体の場合、一定の方向に置換基を有しているため、トリプチセンの芳香環由来の強固な相互作用は働かない。よって、熱力学的に最も安定になるように配列していく。このとき、トリプチセンは3回回転対称性の分子構造を有しているため、自ら互いに入れ子になるような最密充填構造を形成する。よって、非常に緻密で欠陥の無い膜を形成することができる。同時に、側鎖間でファン・デル・ワールス力が作用するため誘導体同士が離散せず、かつ膜の成長方向も定まるため、理論的には無限大となるような大面積の塗膜を得ることができる、と推測できる。
このように、ここで挙げたトリプチセン誘導体と、前述した化合物(1)の両者について、溶液中で化合物間に働く大きな束縛力がなくなった際、マクロなスケールで最も安定な構造となるように分子が配列して高配向性の塗膜が得られる、というメカニズムは、非常に類似したものとみなすことができる。
〈本発明の意義〉
よって、このように最密充填構造を自ら形成しうる部分構造と、この配列の方向性を制御する置換基を有する化合物を用いることにより、欠陥のない非常に緻密で大面積の塗膜が得られることを見出した。
従来知られている自己組織化単分子膜(SAM)も、類似のメカニズムで高配向性の膜を形成するが、基板と化合物との組み合わせが非常に限定される。また、基板の表面処理が必要であることや、基板が貴金属の場合が多くフレキシブルデバイスには向かないことなどの問題が知られていた。一方、本発明に係る有機化合物を含む塗膜は基板種に依らずに緻密な塗膜を得ることができることがわかった。かつ、置換基部分の末端を修飾することにより、塗膜に機能性を付与できる。
よって以上のことから、本願発明は従来技術と比較し十分な進歩性を有するものである。
2回回転対称性(A)及び3回回転対称性(B)の模式図 自己組織化する有機化合物を用いた塗膜の構造を示す模式図 塗膜の形成に用いるインクジェット・プリント法の一例を示す模式図 本発明の塗膜をバリアー膜として具備した有機エレクトロルミネッセンス素子の構成の一例を示す概略構成図 本発明の塗膜をバリアー膜として具備した有機エレクトロルミネッセンス素子の他の構成の一例を示す概略構成図 本発明の塗膜をバリアー膜として具備した太陽電池の構成の一例を示す概略構成図
本発明の塗膜は、置換基を有する有機化合物を含有する塗膜であって、前記有機化合物が、3、4又は6回の回転対称性を有し、かつ、前記塗膜の厚さが10nm以下であり、当該塗膜の隣接する基板又は下層の膜に対する被覆率が、90〜100%の範囲内であることを特徴とする。この特徴は、下記実施態様に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、前記塗膜の表面の算術平均粗さRaが、5nm以下であることが、電子デバイスに適用した際、又は塗膜積層体を形成した際に、より優れた効果を発現することができる点で好ましい。
また、前記塗膜の表面の算術平均粗さRaと、当該塗膜の裏面に隣接する基板又は膜の表面の算術平均粗さRa′との関係が、前記式(1)で規定する条件を満たすことが、緻密な塗膜を得るために、好ましい。
さらに、前記有機化合物の他に少なくとも2成分を含有することが、種々の目的に対応可能とするため好ましい。
本発明の塗膜は、当該塗膜に隣接して他の塗膜が積層されてなる塗膜積層体とすることもこの好ましい。塗膜積層体の作製委方法としては、上記塗膜と当該塗膜に積層する膜を同時に塗布法で形成することが、効率の観点から好ましい。また、前記塗布法が、スピンコート法又はインクジェット・プリント法であることが、塗膜形成の精度及び効率の観点から好ましい。
本発明の塗膜は、電子デバイスに好適に用いることができる。特に、電子デバイスとしては、エレクトロルミネッセンス素子及び太陽電池に好適に用いることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《本発明の塗膜の概要》
本発明の塗膜は、置換基を有する有機化合物を含有する塗膜であって、前記有機化合物が、3、4又は6回の回転対称性を有し、かつ、前記塗膜の表面の算術平均粗さRaが5nm以下であることを特徴とする。
本発明の実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、前記塗膜の厚さを10nm以下としたとき、当該塗膜の隣接する基板又は下層の膜に対する被覆率が、90〜100%の範囲内となることが好ましい。
また、前記塗膜の表面の算術平均粗さRaと、当該塗膜の裏面に隣接する基板又は膜の表面の算術平均粗さRa′との関係が、前記式(1)で規定する条件を満たすことが、緻密な塗膜を得るために、好ましい。
さらに、前記有機化合物の他に少なくとも2成分を含有することが、種々の目的に対応可能とするため好ましい。
以下、本発明に係る各構成要素について、順次詳細な説明をする。
〔化合物設計〕
本発明に係る有機化合物としては、3、4又は6回の回転対称性を有し、かつ置換基を有する化合物であれば、特に限定されない。
例として、図1に2回回転対称性(A)及び3回回転対称性(B)の模式図を示す。
二次元構造を形成するに際し、2回回転対称性(A)の場合には、新たな分子の結合可能な位置は限定され、また分子間の回転及び並進運動が生じてしまう。
一方3回回転対称性(B)の場合には、あらゆる方向から充填構造を形成することが可能である。また、4回及び6回回転対称性化合物の場合も同様である。さらに、密に自己充填し、回転及び並進運動が生じない観点から、3回、4回及び6回回転対称性の化合物がより好ましい。
上記に加えて、置換基を有していることにより、各化合物の置換基同士の間でファン・デル・ワールス力が作用することによって、膜の安定性も付与することができる。また、結合する方向も制御することができるため、任意の3次元構造を形成させることが可能となる(図2参照。)。
本発明に係る有機化合物が有する置換基の種類としては特に限定されないが、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ホルミル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられる。
加えて、置換基の向く方向は決定されるため、末端の設計によって膜の表面に機能を付与することが可能となる。例えば、トリフルオロメチル基(CF)で修飾することで、撥水性の膜を作製することができる(例えば、下記化合物(C)参照。)。
Figure 2020186281
〔自己充填〕
「自己充填」とは、分子が自ら安定な構造を形成するよう規則正しく配列することである。下記(式2)で示す熱力学の第二法則から考えると、エントロピーすなわち乱雑さは増大する方向に向かうと思われる。
(式2): dS/dt≧0
しかし、この法則には(1)孤立系であること、(2)系を構成する粒子は理想気体分子であること、という前提がある。実際の化合物の場合には、化学結合を加味する必要があり、例えば、定温定圧の場合には下記(式3)が成立する。
(式3): ΔG=ΔH−TΔS
式中、Gはギブスエネルギー、Hはエンタルピー、Tは絶対温度を表す。
自発的な変化が生じるのはΔG<0となるときである。一般的には、ΔSが増大する傾向にあるが、この際に化学結合のエネルギーが不安定化する(ΔH>0)と、必ずしもΔGは負となるとはいえない。本発明に係る有機化合物では、化合物が個々に分散しているよりもファン・デル・ワールス力により隣接する方がエネルギー的に安定するため、互いに分子が配列して充填した構造を形成する。
〔算術平均粗さ:Ra〕
本発明の塗膜を構成する有機化合物は前述したように均一に配列しているため、塗膜表面の算術平均粗さRaは5nm以下となる。より好ましくは、1nm以下である。
また、膜形成時の基板は一般的に、平滑な膜を形成するために基板も平滑である場合がほとんどだが、前記塗膜に隣接する基板又は膜の算術平均粗さRa′と、前記塗膜のRaとの差は小さいことが好ましい。
ただし、厚く積層させた場合、より好ましくは、下記(式4)で表される関係が成り立つことが好ましい。
(式4): Ra≦Ra′
本発明においては、算術平均粗さRaは原子間力顕微鏡(AFM)を用いて膜表面のRaを算出した。なお、Raは表面粗さ規格(JIS B 0601−2001)に従って求めた値である。
〔被覆率〕
本発明の塗膜の厚さを10nm以下とした場合にも、塗膜の最表面をAFMで観察した際、基板又は下層の膜が露出せず、被覆率が90%以上であるものを好ましい。欠陥なく高性能の膜が得られる点から、より好ましくは95%以上である。
例えば、薄膜の用途の一例である有機エレクトロルミネッセンスでは、電流のリークの発生原因である薄膜の欠陥部をカバーするため、一般的に膜を10nm以上とする必要がある。一方で本発明に係る化合物を用いた膜の場合、非常に薄い膜厚であっても表面の被覆率が高いため、フレキシビリティを阻害する膜の厚膜化は不要である。
〔粘度〕
塗膜の形成に用いる塗布液の粘度は、室温(20〜25℃)において、0.1〜100mPa・sであるとき、インクジェット法、スピンコート法、ディスペンサー方式、ダイコート法、ディップ法などの各種塗布法に適用できる。中でも、大面積・微細なパターニングまで作製することができる観点から、インクジェット・プリント法が好適に用いられる。この場合、射出性を保証するため、0.1〜50mPa・sが好ましく、より好ましくは1〜10mPa・sである。
〔塗膜の構成成分〕
塗膜の形成に用いる塗布液は、下記に一例を示す有機化合物の他に、少なくとも溶媒を含んでいればよく、2種以上の化合物から構成されていてもよい。この場合、溶媒を2種以上含むことや、別の高秩序に配向する化合物、または発光性材料などを含んでいてもよい。
1)ヘキサアリールベンゼン誘導体
本発明に適用可能なヘキサアリールベンゼン誘導体は、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物である。
Figure 2020186281
式中、Rは環状構造を有する置換基を表し、n1は6である。6つのRは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。6つのRが異なる構造を有する場合、1位、3位及び5位の置換基と、2位、4位及び6位の置換基は、それぞれ同一の構造を有する置換基である。
一般式(1)で表される構造を有する化合物は、3回転対称性又は6回転対称性を有する。
で表される代表的な置換基としては、下記例が挙げられる。
・芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素環基、芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)
・芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)フタラジニル基等)
・複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)
・アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)
・アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)
・アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)
・アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)
等が挙げられる。
以下に具体的な環状構造を有する置換基を表す。
Figure 2020186281
Figure 2020186281
ヘキサアリールベンゼン誘導体の具体的な化合物として、後述する例示化合物1〜22が挙げられる。
2)トリフェニレン誘導体
本発明においては、3回転対称性を有するトリフェニレン誘導体も適用することができる。具体的な化合物例としては、後述の例示化合物24〜26を挙げることができる。
3)トリアリールボラン誘導体
本発明においては、3回転対称性を有する下記一般式(2)で表される構造を有するトリアリールボラン誘導体も適用することができる。
Figure 2020186281
上記一般式(2)においては、R、R及びRは、環状構造を有する置換基を表す。
、R、R、R、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、鎖状アルキル基、アルコキシ基、エステル基、又はシアノ基を表す。
、R及びRで表される環状構造を有する置換基の一例を下記に示す。*は、ベンゼン環との結合位置を示す。
Figure 2020186281
具体的な化合物例としては、後述の例示化合物27〜31を挙げることができる。
4)トリプチセン誘導体
トリプセン誘導体としては、下記一般式(3)で表される構造を有するトリプセン誘導体が好ましい一例として挙げることができる。
Figure 2020186281
式中、Rは、炭素数2から60の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を表し、当該炭化水素基は1つ又は2つ以上の置換基を有してもよく、また、当該炭化水素基の中の1つ又は2つ以上の炭素原子が酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、又は−NR−(ここで、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜30のアリール基を表す。)で置換されていてもよい。
は、水素原子、又は炭素数1から4の飽和又は不飽和の炭化水素基を表し、Rは、基−R−Z、水素原子、又は炭素数1から4の飽和又は不飽和の炭化水素基を表し、3つのRは、同一又は異なっていてもよくそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキル置換アミノ基、ジアルキル置換アミノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2〜10のアルキニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキルチオ基、ホルミル基、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキルカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキルカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基、又は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群から選ばれる1〜5個のヘテロ原子を有し炭素原子を2〜10個有する5〜8員の置換基を有してもよいヘテロアリール基を表す。
Xは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、炭素原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる1〜5個の原子及び水素原子で構成される2価の原子団からなるリンカー基を表す。
Zは、水素原子、固体基板の表面に結合若しくは吸着し得る基;又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、炭素原子、リン原子、ハロゲン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる1〜15個の原子及び水素原子で構成される1価の原子団からなる末端基を表す。
一般式(3)で表される構造を有するトリプセン誘導体の具体例としては、例えば、後述する例示化合物33〜36を挙げることができる。
本発明に適用可能なトリプセン誘導体の他の例示化合物及びその合成方法については、例えば、国際公開第2014/111980号、同2014/125527号、同2016/010061号等の記載内容を参照することができる。
〈本発明に係る有機化合物の例〉
以下において、本発明に用いられる有機化合物の例を示すが、これら等の例示化合物に限定されるものではない。
Figure 2020186281
Figure 2020186281
Figure 2020186281
Figure 2020186281
Figure 2020186281
Figure 2020186281
Figure 2020186281
〔自己充填構造形成用化合物の合成〕
本発明において、自己充填構造形成用化合物は従来公知の合成方法に準じて合成することができる。
以下に、本発明に係る自己充填構造形成用化合物の合成方法の一例を示す。
(例示化合物1:ヘキサ−2−ピリジルベンゼンの合成)
Figure 2020186281
上記合成スキームに従い、例示化合物1であるヘキサ−2−ピリジルベンゼンを合成することができる。
Biotage社製マイクロウェーブ合成装置用サンプルバイヤルに、2−フェニルピリジンを0.155g、2−クロロピリジンを0.908g、ピバル酸を20.4mg、炭酸ナトリウムを0.636g、溶媒としてNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を5.0mL、触媒として[RuCl(η−C)]を30.6mg加え、窒素ガスバブリングしたのち専用キャップで栓をし、マイクロウェーブ装置に装着し、220℃で1時間加熱撹拌した。反応後、室温まで冷却し、溶媒のNMPを減圧留去した後、シリカゲルクロマトグラムで精製を行い、目的物である例示化合物1を0.990g(収率93%)を得た。
〔塗膜のX線回折スペクトル特性〕
本発明の塗膜においては、本発明に係る有機化合物の分子からなる塗膜をシリコンウェハ上に作製し、当該塗膜をX線回折測定したとき得られるX線回折スペクトルにおいて、最高強度のピークの強度が500counts以上であり、かつ当該ピークの半値幅が1.0度以下であることが好ましい。
本発明において、X線回折測定には、Out of Plsane測定法(2θ/ω法)に準じ、薄膜単結晶解析X線回折装置「X′Pert MRD XL」(Malvern Panalytical社製)を用いることができる。
〔塗膜形成用塗布液の調製〕
本発明おいては、自己充填構造形成用化合物を、当該化合物を溶解することが可能な有機溶媒に溶解して塗膜形成用塗布液を調製する。
塗膜形成用塗布液の調製に適用可能な溶媒としては、本発明に係る自己充填構造形成用化合物を溶解することが可能な有機溶媒であれば特に制限はなく、例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール等の1価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類及びその誘導体;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート等のグリコールエステル;前記の多価アルコール類又は前記のエステル類のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノエーテル又はモノエーテルエステル類;
乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤;ジオキサンやTHFなどの環式エーテル類;ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルアセトアミド(DMA)などのアミド類;ジメチルスルホキサイド(DMSO)などの硫黄含有溶媒;などを挙げることができる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
好ましい有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルアセトアミド(DMA)などのアミド類、ジオキサンやTHFなどの環式エーテル類、ジメチルスルホキサイド(DMSO)などの硫黄含有溶媒などが挙げられる。特に好ましい溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)などの極性溶媒が挙げられる。
〔塗膜の形成方法〕
本発明の塗膜は、自己充填構造形成用化合物を、当該化合物を溶解することが可能な有機溶媒に溶解して塗膜形成用塗布液を調製した後、当該塗布液を湿式塗布法により、単膜として形成する方法、プラスチック基材上にバリアー層を設けてバリアーフィルムを形成し方法、又は、電子デバイスを構成する電子部品上に付与して、塗膜を形成する方法等で、塗布した後、乾燥工程で、塗膜中の有機溶媒を徐々に除くことにより、規則正しい自己組織化を生じさせ、秩序化された低分子有機化合物の薄膜である塗膜を形成する。
本発明に適用可能な湿式塗布法としては、インクジェット・プリント法、スピンコート法、キャスト法、スクリーン印刷法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)等が挙げられ、均質な薄膜が得られやすく、かつ高生産性の点から、湿式塗布法がインクジェット・プリント法又はスピンコート法であることが好ましい。
(インクジェット・プリント法)
本発明の塗膜の作製方法においては、湿式塗布法としてインクジェット・プリント法を適用することが好ましい。
以下、インクジェット・プリント法に使用するインクジェットヘッド、インク液滴の射出条件、インクジェット記録方法について、図を交えて説明する。
〈インクジェットヘッド〉
インクジェット・プリント法で用いられるインクジェットヘッドとしては、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でもよい。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)、放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いてもよい。また、印字方式としては、シリアルヘッド方式、ラインヘッド方式等を制限なく用いることができる。
〈塗膜の形成方法〉
インクジェット・プリント法による塗膜形成方法には、ワンパス印字法とマルチパス印字法がある。ワンパス印字法は、所定の印字領域に複数のインクジェットヘッドを固定配置し、1回のヘッドスキャンで印字する方法である。これに対し、マルチパス印字法(シリアルプリント方式ともいう。)は、所定の印字領域を複数回のヘッドスキャンで印字する方法である。
ワンパス印字法では、所望とする塗布パターンの幅以上の幅に亘ってノズルが並設された広幅のヘッドを用いることが好ましい。同一の基材上に、互いにパターンが連続していない独立した複数の塗布パターンを形成する場合は、少なくとも各塗布パターンの幅以上の広幅ヘッドを用いればよい。
図3は、ワンパス印字法のインクジェット・プリント法を用いた塗膜の形成方法の一例を示す概略図である。
図3は、インクジェットヘッド30を具備したインクジェットプリンターを用いて、例えば、フレキシブル基材F上に、塗膜形成用塗布液より構成されているインクを吐出して、塗膜2を具備したバリーフィルムを形成する方法の一例を示してある。
図3に示すように、フレキシブル基材Fを連続的に搬送しながら、インクジェットヘッド30により塗膜形成用塗布液を含むインクを、インク液滴として順次射出して、塗膜2を形成する。
本発明の塗膜の作製方法に適用可能なインクジェットヘッド30としては、特に限定はなく、例えばインク圧力室に圧電素子を備えた振動板を有しており、この振動板によるインク圧力室の圧力変化でインク液を吐出させる剪断モード型(ピエゾ型)のヘッドでもよいし、発熱素子を有しており、この発熱素子からの熱エネルギーによりインク液の膜沸騰による急激な体積変化によりノズルからインク液を吐出させるサーマルタイプのヘッドであってもよい。
インクジェットヘッド30には、射出用のインク液の供給機構などが接続されている。インク液の供給はタンク38Aにより行われる。インクジェットヘッド30内のインク液圧力を常に一定に保つようにこの例ではタンク液面を一定にする。その方法としては、インク液をタンク38Aからオーバーフローさせてタンク38Bに自然流下で戻している。タンク38Bからタンク38Aへのインク液の供給は、ポンプ31により行われており、射出条件に合わせて安定的にタンク38Aの液面が一定となるように制御されている。
本発明適用可能なインクジェットヘッドとしては、例えば、特開2012−140017号公報、特開2013−010227号公報、特開2014−058171号公報、特開2014−097644号公報、特開2015−142979号公報、特開2015−142980号公報、特開2016−002675号公報、特開2016−002682号公報、特開2016−107401号公報、特開2017−109476号公報、特開2017−177626号公報等に記載されている構成からなるインクジェットヘッドを適宜選択して適用することができる。
(スピンコート法)
本発明においては、湿式塗布法の他の例として、スピンコート法を挙げることができる。スピンコート法とは、平滑な基材を高速回転させる事により遠心力で塗膜を形成する方法である。主には、枚葉により塗膜を形成する方法が主であり、上記インクジェット・プリント法に比較すると生産性がやや低い。
《塗膜積層体》
本発明の積層体は、本発明の塗膜と別種の塗膜を積層した構成で、当該別種の塗膜が無機材料からなることを特徴とする。
〔別種の塗膜〕
本発明の塗膜と積層する別種の塗膜としては、無機材料から構成されていることを特徴とする。
本発明に適用可能な無機材料から構成される別種の塗膜としては、金属酸化物、金属酸窒化物又は金属窒化物が挙げられ、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム・スズ酸化物(ITO)、酸化アルミニウム等の金属酸化物、窒化ケイ素等の金属窒化物、酸窒化ケイ素、酸窒化チタン等の金属酸窒化物等が挙げられる。
上記無機材料から構成される塗膜の形成方法は、特に限定されず、いかなる方法でもよいが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、CVD法(例えば、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法など)、湿式塗布法、ゾル・ゲル法等を用いることができる。
《バリアーフィルム》
本発明の塗膜は、フレキシブル基材上に形成してバリアーフィルム(以下、ガスバリアーフィルムともいう。)とすることができる。
バリアーフィルムの形成に適用可能なフレキシブル基材としては、特に限定は無く、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル又はポリアリレート類、有機無機ハイブリッド樹脂等を挙げることができる。
《塗膜の応用分野:電子デバイスへの適用》
本発明の塗膜は、電子デバイスに適用することが特徴である。本発明の塗膜を適用する電子デバイスとしては、有機エレクトロルミネッセンス素子、太陽電池、半導体、LED及び二次電池や、液晶ディスプレイ等を好ましい例として挙げることができるが、その代表例として、有機エレクトロルミネッセンス素子及び太陽電池への適用例について説明する。
[有機EL素子への適用例1]
〔有機EL素子の基本構成〕
はじめに、本発明の塗膜を適用する有機EL素子の基本構成について、図を交えて説明する。
図4に、本発明の塗膜を具備した有機エレクトロルミネッセンス素子の構成の一例の概略構成図を示す。
図4に示す有機EL素子1は、フレキシブル基材Fの全面に、本発明の塗膜2(バリアー膜)を形成し、その上に、第1電極4(陽極)、発光層を含む有機機能層群6、第2電極7(陰極)が積層され、その積層体の周辺部を第1封止層8で封止した後、有機EL素子1の全面を、第2封止層9で被覆した構成である。
一般に適用されているフレキシブル基材Fは、水分の透過性が比較的高く、また、フレキシブル基材内部に水分を含有している場合があり、外部環境からの水蒸気、酸素、有害ガス等が浸透しやすく、その結果、上部に構成している有機機能層群6等にダメージを与えるため、フレキシブル基材Fと、有機機能層群6等の構成層の間に、塗膜を設け、有機EL素子としての耐久性を向上させる。
〔有機EL素子の主な構成材料〕
上記図4で説明した有機EL素子の主な構成で、すでにその詳細を説明した塗膜を除く構成層の詳細について説明する。
(基材)
本発明において、有機EL素子に適用可能なフレキシブル基材Fとしては、フレキシブル性を備えた基材であればよく、例えば、薄膜ガラス、樹脂フィルム、メタルホイル、ファブリック(例えば、生地や織物等)、紙、エラストマー(ゴム生地)等を適用することができ、また、透明であっても不透明であってもよい。
有機EL素子として、フレキシブル基材F側から発光を取り出すボトムエミッション型の場合には、フレキシブル基材Fは光透過性であることが好ましい。光透過性であるということは、可視光領域における全光線透過率が20%以上であることをいい、50%以上であることが好ましく、80%以上の透明性を有していることがより好ましい。特に好ましいフレキシブル基材Fは、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート(PC)、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド(PI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名、JSR社製)あるいはアペル(商品名、三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
フレキシブル基材Fは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。フレキシブル基材が2層以上の積層構造である場合、各基材は同じ種類であってもよいし異なる種類であってもよい。また、有機EL素子を作製した後に剥離、分離できる構成でもよい。
フレキシブル基材F表面には、フレキシブル基材上に形成する塗膜2との密着性を高めるため、表面活性化処理が施されていてもよいし、下地層が設けられていてもよい。また、耐衝撃性を高めるため、ハードコート層が設けられていてもよい。
表面活性化処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等が挙げられる。
下地層及びハードコート層の材料としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等が挙げられ、なかでも紫外線硬化型樹脂を好ましく使用できる。下地層は単層でもよいが、多層構造であると密着性がより向上する。予めハードコート層が形成されている市販のプラスチック基材を用いても良いし、フレキシブル基材の必要な部分にのみ塗布、硬化して、下地層やハードコート層を設置しても良い。
(陽極)
有機EL素子の陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、金属の電気伝導性化合物、又はこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。
ここで、「金属の電気伝導性化合物」とは、金属と他の物質との化合物のうち電気伝導性を有するものをいい、具体的には、例えば、金属の酸化物、ハロゲン化物等であって電気伝導性を有するものをいう。
このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウム・スズ酸化物(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。上記陽極は、これらの電極物質からなる薄膜を、蒸着やスパッタリング等の公知の方法により、前記基板上に形成させることで作製することができる。
また、この薄膜にフォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、また、パターン精度を余り必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
陽極から発光を取り出す場合には、光透過率を10%より大きくすることが望ましい。また、陽極としてのシート抵抗は、数百Ω/sq.以下が好ましい。さらに陽極の膜厚は、構成する材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
(有機機能層群)
有機機能層群には少なくとも発光層が含まれるが、発光層とは広義には、陰極と陽極とからなる電極に電流を流した際に発光する層のことを指し、具体的には、陰極と陽極とからなる電極に電流を流した際に発光する有機化合物を含有する層を指す。
本発明に用いられる有機EL素子は、必要に応じ、発光層の他に、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層及び電子輸送層を有していてもよく、これらの層が陰極と陽極とで挟持された構造をとる。
具体的には、
(i)陽極/発光層/陰極
(ii)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(iii)陽極/発光層/電子注入層/陰極
(iv)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
(v)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(vi)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
等の構造が挙げられる。
本発明に係る各有機機能層群において、具体的な構成や形成方法等に関しては特に限定はなく、公知の構成や材料、また形成方法を適用することができる。例えば、特開2013−089608号公報の段落番号〔0014〕〜同〔0121〕、特開2014−120334号公報の段落番号〔0065〕〜同〔0262〕、特開2015−201508号公報の段落番号〔0044〕〜同〔0118〕等に記載されている内容を参照することができる。
〈発光層〉
発光層は、電極又は電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。発光層は単一の組成を持つ層であってもよいし、同一又は異なる組成をもつ複数の層からなる積層構造であってもよい。
この発光層自体に、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層及び電子輸送層等の機能を付与してもよい。すなわち、発光層に(1)電界印加時に、陽極又は正孔注入層により正孔を注入することができ、かつ陰極又は電子注入層より電子を注入することができる注入機能、(2)注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる輸送機能、(3)電子と正孔の再結合の場を発光層内部に提供し、これを発光につなげる発光機能のうちの少なくとも一つの機能を付与してもよい。なお、発光層は、正孔の注入されやすさと電子の注入されやすさに違いがあってもよく、また、正孔と電子の移動度で表される輸送機能に大小があってもよいが、少なくともどちらか一方の電荷を移動させる機能を有するものが好ましい。
この発光層に用いられる発光材料の種類については、特に制限はなく、従来、有機EL素子における発光材料として公知のものを用いることができる。このような発光材料は、主に有機化合物であり、所望の色調により、例えば、Macromol.Symp.125巻17〜26頁に記載の化合物が挙げられる。また、発光材料はp−ポリフェニレンビニレンやポリフルオレンのような高分子材料でもよく、さらに前記発光材料を側鎖に導入した高分子材料や前記発光材料を高分子の主鎖とした高分子材料を使用してもよい。なお、上述したように、発光材料は、発光性能の他に、正孔注入機能や電子注入機能を併せ持っていてもよいため、後述する正孔注入材料や電子注入材料のほとんどが発光材料としても使用できる。
有機EL素子を構成する層において、その層が2種以上の有機化合物で構成されるとき、主成分をホスト、その他の成分をドーパントといい、発光層においてホストとドーパントを併用する場合、主成分であるホスト化合物に対する発光層のドーパント(以下発光ドーパントともいう)の混合比は好ましくは質量で0.1〜30質量%未満である。
発光層に用いるドーパントは、大きく分けて、蛍光を発光する蛍光性ドーパントとリン光を発光するリン光性ドーパントの2種類がある。
蛍光性ドーパントの代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体、その他公知の蛍光性化合物等が挙げられる。
本発明においては、少なくとも1層の発光層がリン光性化合物を含有するのが好ましい。
本発明においてリン光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.001以上の化合物である。
リン光量子収率は、好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.1以上である。上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に用いられるリン光性化合物は、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率が達成されればよい。
リン光性ドーパントはリン光性化合物であり、その代表例としては、好ましくは元素の周期律表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくは、イリジウム化合物、オスミウム化合物、ロジウム化合物、パラジウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)であり、中でも好ましくはイリジウム化合物、ロジウム化合物、白金化合物であり、最も好ましくはイリジウム化合物である。
ドーパントの例としては、以下の文献又は特許公報に記載されている化合物である。J.Am.Chem.Soc.123巻4304〜4312頁、国際公開第2000/70655号、同2001/93642号、同2002/02714号、同2002/15645号、同2002/44189号、同2002/081488号、特開2002−280178号公報、同2001−181616号公報、同2002−280179号公報、同2001−181617号公報、同2002−280180号公報、同2001−247859号公報、同2002−299060号公報、同2001−313178号公報、同2002−302671号公報、同2001−345183号公報、同2002−324679号公報、同2002−332291号公報、同2002−50484号公報、同2002−332292号公報、同2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、同2002−338588号公報、同2002−170684号公報、同2002−352960号公報、同2002−50483号公報、同2002−100476号公報、同2002−173674号公報、同2002−359082号公報、同2002−175884号公報、同2002−363552号公報、同2002−184582号公報、同2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、同2002−226495号公報、同2002−234894号公報、同2002−235076号公報、同2002−241751号公報、同2001−319779号公報、同2001−319780号公報、同2002−62824号公報、同2002−100474号公報、同2002−203679号公報、同2002−343572号公報、同2002−203678号公報等。
発光ドーパントは1種のみを用いてもよいし、複数種類を用いてもよく、これらドーパントからの発光を同時に取り出すことにより、複数の発光極大波長を持つ発光素子を構成することもできる。また、例えばリン光性ドーパントと、蛍光性ドーパントの両方が加えられていてもよい。複数の発光層を積層して有機EL素子を構成する場合、それぞれの層に含有される発光ドーパントは同じであっても異なっていても、単一種類であっても複数種類であってもよい。
さらには、前記発光ドーパントを高分子鎖に導入した、又は前記発光ドーパントを高分子の主鎖とした高分子材料を使用してもよい。
上記ホスト化合物としては、例えば、カルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するものが挙げられ、後述の電子輸送材料及び正孔輸送材料もその相応しい一例として挙げられる。
青色又は白色の発光素子、表示装置及び照明装置に適用する場合には、ホスト化合物の蛍光極大波長が415nm以下であることが好ましく、リン光性ドーパントを用いる場合、ホスト化合物のリン光の0−0バンドが450nm以下であることがさらに好ましい。発光ホストとしては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
発光ホストの具体例としては、例えば以下の文献に記載されている化合物が好適である。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
発光ドーパントはホスト化合物を含有する層全体に分散されていてもよいし、部分的に分散されていてもよい。発光層にはさらに別の機能を有する化合物が加えられていてもよい。
上記の材料を用いて、例えば蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(ラングミュア・ブロジェッ ト法)、インクジェット・プリント法、印刷法等の公知の方法により薄膜化することにより、発光層を形成することができるが、形成された発光層は、特に分子堆積膜であることが好ましい。
ここで、分子堆積膜とは、上記化合物の気相状態から沈着され形成された薄膜や、該化合物の溶融状態又は液相状態から固体化され形成された膜のことである。通常、この分子堆積膜とLB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは、凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区別することができる。
本発明においては、上記の発光材料であるリン光性ドーパント及びホスト化合物を本発明の電子デバイス用有機材料として用いることが好ましい。すなわち、発光層を、当該リン光性ドーパント及びホスト化合物と、有機溶媒と、セルロースナノファイバーを含む溶液(電子デバイス作製用組成物)を、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法等の塗布によって形成することが、分子堆積膜からなる発光層を形成することができるため好ましい。中でも、均質な膜が得られやすく、かつ、ピンホールが生成しにくい等の観点から、インクジェット・プリント法が好ましい。
そして、当該リン光性ドーパント及びホスト化合物と、有機溶媒と、セルロースナノファイバーを含む塗布液において、50℃以下、大気圧条件下での有機溶媒に対する溶存二酸化炭素濃度を1ppm〜前記有機溶媒に対する飽和濃度とすることが好ましい。溶存二酸化炭素濃度を上記範囲とする手段としては、リン光性ドーパント及びホスト化合物と、有機溶媒とを含む溶液に炭酸ガスをバブリングする方法、又は、有機溶媒及び二酸化炭素を含有する超臨界流体を用いた超臨界クロマトグラフィー法が挙げられる。
〈正孔注入層及び正孔輸送層〉
正孔注入層に用いられる正孔注入材料は、正孔の注入、電子の障壁性のいずれかを有するものである。また、正孔輸送層に用いられる正孔輸送材料は、電子の障壁性を有するとともに正孔を発光層まで輸送する働きを有するものである。したがって、本発明においては、正孔輸送層は正孔注入層に含まれる。
これら正孔注入材料及び正孔輸送材料は、有機物、無機物のいずれであってもよい。具体的には、例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、ポルフィリン化合物、チオフェンオリゴマー等の導電性高分子オリゴマーが挙げられる。これらのうちでは、アリールアミン誘導体及びポルフィリン化合物が好ましい。
アリールアミン誘導体の中では、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物が好ましく、芳香族第三級アミン化合物がより好ましい。
上記芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)ビフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5061569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(以下、α−NPDと略す。)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが三つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料として使用することができる。
また、本発明においては、正孔輸送層の正孔輸送材料は、415nm以下に蛍光極大波長を有することが好ましい。すなわち、正孔輸送材料は、正孔輸送能を有しつつかつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tgである化合物が好ましい。
正孔注入層及び正孔輸送層は、上記正孔注入材料及び正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット・プリント法、印刷法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
本発明においては、上記正孔注入材料及び正孔輸送材料を、本発明の電子デバイス用有機材料として用いることが好ましい。そして、上記正孔注入材料及び正孔輸送材料と、有機溶媒と、セルロースナノファイバーを含む溶液(電子デバイス作製用組成物)を、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法等の塗布によって形成することが好ましい。中でも、均質な膜が得られやすく、かつ、ピンホールが生成しにくい等の観点から、インクジェット・プリント法が好ましい。
正孔注入層及び正孔輸送層の厚さについては、特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度である。なお、上記正孔注入層及び正孔輸送層は、それぞれ上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。また、正孔注入層と正孔輸送層を両方設ける場合には、上記の材料のうち、通常、異なる材料を用いるが、同一の材料を用いてもよい。
〈電子注入層及び電子輸送層〉
電子注入層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
この電子注入層に用いられる材料(以下、電子注入材料ともいう)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。
また、特開昭59−194393号公報に記載されている一連の電子伝達性化合物は、該公報では発光層を形成する材料として開示されているが、本発明者らが検討の結果、電子注入材料として用いうることが分かった。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子注入材料として用いることができる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alqと略す。)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も電子注入材料として用いることができる。
その他、メタルフリーやメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも電子注入材料として好ましく用いることができる。また、正孔注入層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子注入材料として用いることができる。
電子輸送層に用いられる好ましい化合物は、415nm以下に蛍光極大波長を有することが好ましい。すなわち、電子輸送層に用いられる化合物は、電子輸送能を有しつつかつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tgである化合物が好ましい。
電子注入層は、上記電子注入材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法、プリント法、印刷法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
本発明においては、上記電子注入材料を、本発明の電子デバイス用有機材料として用いることが好ましい。そして、上記電子注入材料と、有機溶媒と、セルロースナノファイバーを含む溶液(電子デバイス作製用組成物)を、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法等の塗布によって形成することが好ましい。中でも、均質な膜が得られやすく、かつ、ピンホールが生成しにくい等の観点から、インクジェット法が好ましい。
また、電子注入層としての厚さは特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。この電子注入層は、これらの電子注入材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよいし、又は同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
なお、本明細書においては、前記電子注入層のうち、発光層と比較してイオン化エネルギーが大きい場合には、特に電子輸送層と呼ぶこととする。したがって、本明細書においては、電子輸送層は電子注入層に含まれる。
上記電子輸送層は、正孔阻止層(ホールブロック層)ともいわれ、例えば、国際公開第2000/70655号、特開2001−313178号公報、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第237頁等に記載されているものが挙げられる。特に発光層にオルトメタル錯体系ドーパントを用いるいわゆる「リン光発光素子」においては、前記(v)及び(vi)のように電子輸送層(正孔阻止層)を有する構成を採ることが好ましい。
(バッファー層)
陽極と発光層又は正孔注入層の間、及び、陰極と発光層又は電子注入層との間には、バッファー層(電極界面層)を存在させてもよい。
バッファー層とは、駆動電圧低下や発光効率向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(第123〜166頁)に詳細に記載されており、陽極バッファー層と陰極バッファー層とがある。
陽極バッファー層は、特開平9−45479号、同9−260062号、同8−288069号等の各公報にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層は、特開平6−325871号、同9−17574号、同10−74586号等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
上記バッファー層はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その厚さは0.1〜100nmの範囲が好ましい。さらに、上記基本構成層の他に、必要に応じてその他の機能を有する層を適宜積層してもよい。
(陰極)
上述のように有機EL素子の陰極としては、一般に仕事関数の小さい(4eV未満)金属(以下、電子注入性金属と称する)、合金、金属の電気伝導性化合物又はこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、インジウム、希土類金属、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が挙げられる。
本発明においては、上記に列挙したものを陰極の電極物質として用いてもよいが、陰極は第13族金属元素を含有してなることが好ましい。すなわち本発明では、後述するように陰極の表面をプラズマ状態の酸素ガスで酸化して、陰極表面に酸化皮膜を形成することにより、それ以上の陰極の酸化を防止し、陰極の耐久性を向上させることができる。
したがって、陰極の電極物質としては、陰極に要求される好ましい電子注入性を有する金属であって、緻密な酸化皮膜を形成しうる金属であることが好ましい。
前記第13族金属元素を含有してなる陰極の電極物質としては、具体的には、例えば、アルミニウム、インジウム、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が挙げられる。なお、上記混合物の各成分の混合比率は、有機EL素子の陰極として従来公知の比率を採用することができるが、特にこれに限定されない。上記陰極は、上記の電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、前記有機化合物層(有機EL層)上に薄膜形成することにより、作製することができる。
また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましく、膜厚は、通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光光を透過させるために、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方を透明又は半透明にすると、発光効率が向上して好ましい。
(封止層)
本発明においては、有機EL素子を構成する陽極(第1電極)から陰極(第2電極)までの有機ELユニットの周辺部を、封止層により封止構造を形成する。
封止層の構成材料及び形成方法は、前述のガスバリアー層の形成で記載したケイ素含有ポリマー等の材料とその形成方法を、同様に適用することができる。
本発明に係る封止層は、図2で示すように第1封止層8と第2封止層9により構成されていることが好ましい形態である。第1封止層8及び第2封止層9は、同一の材料で形成しても、あるいは異なる材料で形成してもよい。
例えば、第1封止層8をポリジメチルシロキサン(略称:PDMS)で形成し、第2封止層をパーヒドロポリシラザン(略称:PHPS)で形成する方法を一例として挙げることができる。
〔有機EL素子への適用例2〕
図5に示す有機EL素子は、電極、有機機能層群等の基本的な構成は上記説明した適用例1と同じであるが、フレキシブル基材に代えて、水分や酸素の透過性が低いガラス基材Gを使用し、最表面部に、封止部材として、プラスチック基材F上に本発明の塗膜2を設けたガスバリアーフィルムで封止構成も、本発明において好ましい形態である。
[太陽電池への適用]
次いで、本発明の塗膜の適用が可能な太陽電池の構成について、図を交えて説明する。
〔太陽電池の基本構成〕
図6に、本発明の塗膜を具備した太陽電池の構成の一例の概略構成図を示す。
本発明の塗膜が適用可能な太陽電池は、少なくとも、第1基板、第1電極、有機光電変換ユニット、第2電極、及び第2基板を具備した太陽電池であり、本発明の塗膜を第1基板と第2基板との間、更に詳しく、第1基板と、第1電極との間に設ける構成であることが好ましい。
図6に示すように、太陽電池50の基本的構成は、少なくとも、第1基板52、第1電極54、正孔輸送層55と電子輸送層56とからなる光電変換ユニット57、第2電極58、封止層59、接着剤層60、及びアルミニウム箔61とPETフィルム62とからなるアルペットAPで構成される第2基板63を備えた構成である。
さらに、図6で示すように、第1基板52と第1電極54との間に、本発明の塗膜53と、それに積層する構成で、塗膜53とは構成が異なる別種の塗膜64を設けた構成である。このマリアー膜64の構成材料としては無機材料、例えば、金属酸化物であることが好ましい。
〔太陽電池の構成要素〕
(第1基板)
第1基板としては、強度、耐久性、光透過性があればよく、合成樹脂及びガラスなどを使用できる。合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムなどの熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリイミド、及びフッ素樹脂などが挙げられる。強度、耐久性、コストなどの観点から、ガラス基板を用いることが好ましい。
第1基板としては、上記基材のほか金属箔を用いることもできる。金属箔は、フレキシブル太陽電池の一方の電極であると同時に、基材としての役割を果たしてもよい。
上記金属箔を構成する金属としては特に限定されず、耐久性に優れ、かつ、電極として用いることができる導電性を有するものが好ましく、例えば、アルミニウム、チタン、銅、金等の金属や、ステンレス鋼(SUS)等の合金を用いることができる。これらの材料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なかでも、上記金属箔を構成する金属は、ステンレス鋼(SUS)を含むことが好ましい。上記金属箔を構成する金属としてステンレス鋼(SUS)を用いることで、上記金属箔が強靱になり曲げに対する耐性が向上するため、曲げ変形に起因する光電変換効率のばらつきを抑えることができる。上記金属箔を構成する金属は、アルミニウムを含むことも好ましい。上記金属箔を構成する金属としてアルミニウムを用いることで、上記金属箔と、有機無機ペロブスカイト化合物を含有する光電変換層との線膨張係数の差が小さくなるため、アニール時の歪みの発生を更に抑えることができる。
上記金属箔の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は500μmである。上記金属箔の厚さが5μm以上であれば、得られるフレキシブル太陽電池の機械的強度が充分となり、取り扱い性が向上し、500μm以下であれば、上記金属箔の曲げ等が可能となり、フレキシブル性が向上する。上記金属箔の厚さのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は100μmである。
(第1電極)
第1電極としては透明電極を用いることが好ましい、透明電極を構成する透明導電層3の材料としては、例えば、スズ添加酸化インジウム(ITO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、及び高い導電性を有する高分子材料などが挙げられる。
高分子材料としては、例えば、ポリアセチレン系、ポリピロール系、ポリチオフェン系、ポリフェニレンビニレン系の高分子材料が挙げられる。また、高い導電性を有する炭素系薄膜を用いることもできる。透明電極の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、及び分散物を塗布する方法などが挙げられる。
(有機光電変換ユニット)
本発明において、「有機光電変換ユニット」とは、光を吸収して電子と正孔を発生させる機能を有し、正孔輸送層、光電変換層、電子輸送層、混合層、電荷ブロック層、電荷注入層、及び励起子拡散防止層など各種機能層のいずれかの層に有機化合物を含有する単層構造体又は多層構造の積層体をいい、いわゆるバルクヘテロ層に相当する。
太陽電池は、正孔輸送層と電子輸送層の組を複数組有する、いわゆるタンデム型構成を採ってもよい。タンデム型に構成された素子は、開放電圧が高く変換効率が高い点で特に好ましい。その際、中間層として再結合層が配される。すなわちタンデム型の素子の典型例として、正極/正孔輸送層/電子輸送層/正孔輸送層/電子輸送層/金属酸化物層/負極の構成が例示される。
本発明では、上記の機能層以外に、必要に応じて他の構成層を設けてもよい。
他の構成層も、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に形成することができる。
以下、主な機能層について説明する。
〈1〉正孔輸送層
正孔輸送層は、正極又は正極側へ正孔を受け取り輸送する機能を有する層である。
正孔輸送層は、単層であっても複数層の積層であってもよい。正孔輸送層の少なくとも一層は、光を吸収して電子と正孔を発生する電荷発生能を有していることが好ましい。正孔輸送層は、1種又は2種以上の正孔輸送材料を用いて形成することができる。
前記正孔輸送材料としては、例えば、カルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、Chem. Rev. 2007, 107, 953−1010にHole Transport materialとして記載されている化合物群が挙げられる。
電荷発生能を有する正孔輸送層の材料としては、例えば、ポルフィリン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体などが挙げられ、これらの例として、Chem. Rev. 1993, 93, 449−406に記載のものが挙げられる。
正孔輸送層の形成方法としては、溶剤塗布法、真空蒸着法などが挙げられる。溶剤塗布法としては、例えば、スピンコート、スプレーコート、バーコート、ダイコート等を挙げることができる。
正孔輸送層の厚さとしては、1〜500nmの範囲内であることが好ましく、2〜200nmの範囲内であることがより好ましく、5〜100nmの範囲内であることがさらに好ましい。正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
〈2〉電子輸送層
電子輸送層は、負極又は負極側へ電子を輸送する機能を有する層である。
電子輸送層は、単層であっても複数層の積層であってもよい。電子輸送層の少なくとも一層は、光を吸収して電荷を発生する電荷発生能を有していることが好ましい。電子輸送層は、1種又は2種以上の電子輸送材料を用いて形成することができる。
前記電子輸送材料は、例えば、フラーレン誘導体、パラフェニレンビニレン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物及びこれらから誘導されるイミド類やヘテロ環類、8−キノリノール誘導体の金属錯体、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等が挙げられる。
電荷発生能を有する電子輸送層の材料としては、フラーレン類、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ペリレンテトラカルボン酸無水物から誘導されるイミド類やヘテロ環類、が挙げられる。それらの例としては、Chem. Rev. 2007, 107, 953−1010にElectron Transport Materialsとして記載されているものが挙げられる。
電子輸送層の形成方法としては、溶剤塗布法、真空蒸着法などが挙げられる。
電子輸送層の厚さとしては、1〜500nmの範囲内であることが好ましく、2〜200nmの範囲内であることがより好ましく、5〜100nmの範囲内であることがさらに好ましい。電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
(第2電極)
本発明に係る第2電極としては、例えば、ITO、IZO、IWZO、ITZO、AZO、BZO、GZO、ZnO、SnOなど酸化物電極や、Au、Ag、Ti、Zn、Mo、Ta、AgNW、Na、NaK、Li、Mg、Al、MgAg、MgIn、AlLi、CuIなどの薄膜金属や金属化合物又は有機金属が挙げられる。2種類以上の組み合わせの積層であっても構わない。
また、第2電極の形成方法としては、CVD法、スパッタ、蒸着、及び塗布などによる形成方法が挙げられる。膜厚も光透過しない膜厚であればよく、限定されるものではない。
(封止層)
本発明の太陽電池は、封止層で覆うことにより、光電変換層を含む積層体を大気環境、特に水や酸素等のガスから保護して充分な耐久性を得ることができ、より光電変換効率が高く、より耐久性に優れた太陽電池とすることができる。
封止層の材料としては、特に限定されず、公知の材料を用いることができ、有機材料でも無機材料でもよい。
通常、封止層の性能としては、水蒸気透過度(環境条件:25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が約0.01g/[m・day]以下、酸素透過度が約0.01cm/[m・day・atm]以下、抵抗率が1×1012Ω・cm以上、ガスバリアー性を有する透明絶縁膜であることが好ましい。
特に、酸素透過度が0.001cm/[m・day・atm]以下の値であり、かつ、水蒸気透過度が約0.001g/[m・day]以下の値となるようなハイバリアー性の多層膜で構成されていることが好ましい。なお、「水蒸気透過度」とは、JIS(日本工業規格)−K7129(1992年)に準拠した赤外センサー法により測定された値であり、「酸素透過度」とは、JIS−K7126(1987年)に準拠したクーロメトリック法により測定された値である。
上述した封止層の形成材料としては、光電変換素子の劣化を招く、例えば、水や酸素等のガスの有機光電変換素子への浸入を抑制できる材料であれば、任意の材料を用いることができる。
例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化モリブデン等の無機材料からなる被膜で構成することができる。有機光電変換素子では、ガスバリアー性や透明性、分割時の割断性などを考慮して、封止層が窒化ケイ素や酸化ケイ素などのケイ素化合物を主原料とする無機材料被膜で構成されていることが好ましい。
なお、封止層の脆弱性を改良するためには、上記無機材料被膜だけでなく、有機材料との複合材料からなる被膜、又はこれらの被膜を積層したハイブリッド被膜を併せて構成してもよい。この場合、無機材料からなる被膜及び有機材料からなる被膜の積層順序は任意であるが、有機材料/無機材料でも、両者を交互に複数積層してもよい。これにより、有機光電変換素子を水分や酸素によるダメージを回避するための、良好なバリアー機能有する封止層を得ることが可能となる。
また、上記封止層を第1の封止層として、当該封止層の上層に更なる水分ブロックを施す第2に封止層を設けてもよい。例えば金属ホイルなどの光学特性を考慮しなくてかまわない第2の封止層を形成することが好ましい。また、金属層はアルミニウム箔、ジュラルミン箔、チタン箔、銅箔、リン青銅箔、SUS304箔、インバー箔、マグネシウム合金箔、またそれら混合箔などが挙げられる。通常これら金属ホイル箔は薄いと、ピンホールや欠陥が、厚くすることでそれら封止欠陥を防止することを可能とする。好ましくは、5〜50μm程度の厚さに形成することで、金属箔のピンホールや欠陥を除去した箔を用意する事が可能となる。
本発明の塗膜の適用が可能な太陽電池の詳細については、例えば、特開2014−075194号公報、特開2014−078742号公報、特開2014−131065号公報、特開2014−179225号公報、特開2014−229436号公報、特開2014−232610号公報、特開2015−012058号公報、特開2015−128185号公報、特開2015−141944号公報、特開2015−149483号公報、特開2016−174169号公報、特開2017−118151号公報等に記載されている内容を参照することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
本発明の実施例等において用いる有機化合物を以下に示す。
Figure 2020186281
実施例1
下記の方法に従って、Raの異なる基板上に形成した塗膜(厚膜)のRaを比較した。
〔サンプルの作製〕
(サンプル1−1の作製)
化合物B−1を含有するジクロロベンゼン溶液(500μM、50μL)を調製し、パスツール・ピペットを用いてガラス基板上に滴下した。その後、スピンコーターを用いて2000rpmでスピンコートした。その後得た膜を100℃で3時間真空加熱乾燥を行い、サンプル1−1を得た。
(サンプル1−2の作製)
上記サンプル1−1の作製において、用いる基板をガラス基板からポリイミド(PI)基板に変更したこと以外は同様にして、サンプル1−2を得た。
(サンプル1−3〜1−10の作製)
サンプル1−1の作製において、基板及び化合物を以下の表Iに示すものに変更したこと以外は同様にして、サンプル1−3〜1−10を得た。
〔評価〕
(算術平均粗さ:Ra及びRa′の測定)
得られたサンプル1−1〜1−10について、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて膜表面のRaを算出した。なお、Raは表面粗さ規格(JIS B 0601−2001)に従って求めた値である。Raが5nm以下である場合に「○」、5nmよりも大きい場合を「×」とし、表Iに記載した。
また、基板のRa′との関係について、Ra/Ra′≦1となるものを「〇」、それ以外を「×」として評価を行い、同様に表Iに記載した。なお、用いた各基板のRaは、ガラス基板(研磨)は5nm、及びポリイミド基板は10nmであった。
Figure 2020186281
表Iに記載の結果より明らかなように、本発明に係る有機化合物を用いたサンプルは、表面粗さ特性に優れた効果を発現することがわかる。
実施例2
実施例2では、膜厚の異なる塗膜の表面被覆率の比較を行った。
〔サンプルの作製〕
(サンプル2−1の作製)
化合物B−2を含むキシレン溶液(300μM、50μL)を調製し、パスツール・ピペットを用いてAl基板上(Ra=1nm)に滴下した。その後、スピンコーターを用いて2400rpmでスピンコートした。その後、形成した膜を140℃で3時間真空加熱乾燥を行い、サンプル2−1を得た。このサンプル2−1をAFMで測定したところ、膜厚はおよそ5nmであった。
(サンプル2−2〜2−5の作製)
サンプル2−1の作製において、表IIに記載の膜厚となるよう化合物B−2の濃度及びスピンコーターの回転数を変更した以外は同様にして、サンプル2−2〜2−5を得た。
(サンプル2−6〜2−15の作製)
サンプル2−1の作製において、化合物を表II記載の化合物の種類に変更し、各膜厚となるようした以外は同様にして、サンプル2−6〜2−15を得た。
〔評価〕
得られたサンプル2−1〜2−15について、AFMを用いて基板に対する塗膜の被覆率を算出した。なお、被覆率は測定した面積のうち、塗膜が占める割合をいい、70〜90%未満の場合を△、90%以上の場合を○、95%以上の場合を◎、90%よりも小さい場合を×として表IIに記載した。
Figure 2020186281
表IIに記載の結果より明らかなように、本発明に係る有機化合物により形成した薄膜は、基材に対する被覆性能に優れていることがわかる。
実施例3
下記の方法に従って、溶媒2種と化合物から構成される塗膜を作製した。
300mgの化合物A−6を、25mlのシクロへキシルベンゼン、25mlのイソプロピルビフェニルに溶解させた溶液を、インクジェットヘッド(エプソン社製;MJ800C)を用いてシリコン基板上に吐出し、200℃、10分間の乾燥処理により、膜厚40nmの塗膜を得た。
この膜について、AFMを用いてRa及び被覆率を実施例1及び2と同様にして評価したところ、良好な結果が得られた。よって、本願の化合物を含む3成分系からなる溶液を用いて塗布(インクジェット法)した場合にも、2成分系の場合と同様に緻密で欠陥のない薄膜が得られることがわかった。
実施例4
本発明の塗膜を形成したガスバリアーフィルムを作製し、これを電子デバイスの一例として、有機EL素子に適用した。
《ガスバリアーフィルムの作製》
〔ガスバリアーフィルム1の作製〕
自己充填構造を形成する有機化合物として例示化合物A−7を用い、例示化合物A−7を2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールに溶解させ、0.1M/Lのバリアー膜形成用塗布液1を調製した。
次いで、3cm×3cmのサイズのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人フィルムソリューション株式会社製、以下「PET」と略記する。)上に、スピンコート法により、500rpm、60秒の条件で湿式塗布を行い、ホットプレートを用いて100℃で30分間加熱乾燥して、自己組織化膜として厚さが50nmのバリアー膜1を有するガスバリアーフィルム1を作製した。
〔ガスバリアーフィルム2の作製〕
上記ガスバリアーフィルム1の作製において、バリアー膜1上に更に下記の方法により第2のバリアー膜を形成し、バリアー膜積層体とした以外は同様にして、ガスバリアーフィルム2を作製した。
第2のバリアー膜は、バリアー膜1の全面に、特開2004−68143号公報に記載の構成の大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、SiOxからなる無機物のガスバリアー層を層厚500nmとなるように形成した。
〔ガスバリアーフィルム3の作製〕
上記ガスバリアーフィルム1の作製において、バリアー膜の形成を行わず、PET単体の構成を、ガスバリアーフィルム3とした。
《有機EL素子の作製》
下記の方法に従って、図5に記載の構成からなるガスバリアーフィルムを具備した有機EL素子1〜7を作製した。
〔有機素子1の作製〕
陽極としてITO(Indium Tin Oxide)を100nm製膜したガラス基板を、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥及びUVオゾン洗浄を行い、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
次いで、HAT−CN(1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル)を10nm蒸着して正孔注入輸送層を設けた。
次いで、α−NPD(4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル)を前記正孔注入層上に蒸着し、厚さ40nmの正孔輸送層を設けた。
ホスト材料としてmCP(1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン)と、発光性化合物としてBis[2−(4,6−difluorophenyl)pyridinato−C2,N](picolinato)iridium(III)(FIrpic)とを、それぞれ94%、6%の体積%になるように共蒸着し、厚さ30nmの発光層を設けた。
その後、BCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)を蒸着し、厚330nmの電子輸送層を設けた。
さらに、銀100nmをさらに蒸着して陰極を設けた。
最後に、陰極を含む全面に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を用いて塗布成膜させ、UVを1分照射し、続いてVUVを1分照射させて、封止層を形成した。
次いで、上記作製したガスバリアーフィルム1のバリアー膜1を形成した面側に、樹脂層として熱硬化型の液状接着剤(エポキシ系樹脂)を厚さ25μmで形成した。
次いで、樹脂層を設けたガスバリアーフィルム1を、上記作製した有機EL素子の封止層と重ね合わせた。
次に、ガスバリアーフィルム1を具備した有機EL素子を減圧装置内に配置し、90℃で0.1MPaの減圧条件下で押圧をかけて5分間保持した。続いて、試料を大気圧環境に戻し、さらに90℃で30分間加熱して接着剤を硬化させた。
上記工程は、大気圧下、含水率1ppm以下の窒素雰囲気下で、JIS B 9920に準拠し、測定した清浄度がクラス100で、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppm以下の大気圧で行った。以上の方法により、ガスバリアーフィルム1を具備した有機EL素子1を作製した。
〔有機素子2及び3の作製〕
上記有機EL素子1の作製において、ガスバリアーフィルム1を、それぞれ上記作製したガスバリアーフィルム2及び3に変更した以外は同様にして、有機EL素子2及び3を作製した。
《有機EL素子の耐久性の評価:ダークスポット耐性の評価》
上記作製した各有機EL素子を60℃、90%RHの環境下で1週間放置した後の発光状態を観察し、ダークスポット耐性の評価を行った。
具体的には、100倍の光学顕微鏡(株式会社モリテックス製 MS−804、レンズMP−ZE25−200)で、有機EL素子の発光部の一部分を拡大して撮影した。次に、撮影画像を2mm四方に切り抜き、それぞれの画像について、ダークスポット発生の有無を観察した。観察結果より、発光面積に対するダークスポットの発生面積比率を求め、下記の基準に従って、ダークスポット耐性を評価した。
◎:ダークスポットの発生面積が、0.1%未満である
○:ダークスポットの発生面積が、0.1%以上、1.0%未満である
△:ダークスポットの発生面積が、1.0%以上、2.5%未満である
×:ダークスポットの発生面積が、2.5%以上、5.0%未満である
××:ダークスポットの発生面積が、5.0%以上である
以上により得られた結果を、表IIIに示す。
Figure 2020186281
表IIIに記載の結果より明らかなように、本発明の特定の有機化合物により構成した塗膜を具備したガスバリアーフィルム、又は本発明に係るバリアー膜1に隣接して、他の構成の塗膜(バリアー膜2)を積層した構成の積層体からなるガスバリアーフィルムを、電子デバイスの一例として有機ELに適用した結果、水分の遮断性に優れ、電子部品等への影響を抑制することができ、ガスバリアー膜としての有効性を確認することができた。
実施例5
PEDOT/PSSの60gを水5Lに溶解させ、PEDOT/PSSの溶液1を得た。また、化合物A−8の60mgをトルエン5Lに溶解させ、溶液2を得た。この溶液を、ITOフィルム(三容真空製)上に溶液1/溶液2の順に、塗布速度30m/分、膜厚がそれぞれ5μm、10μmとなるように、スロット方式により同時塗布を行った。その後、得た膜を80℃で3時間真空加熱乾燥を行い、ITOフィルム上に膜厚50nmのPEDOT/PSS層、膜厚100nmの化合物A−8の層からなる積層体1を作製した。
この積層体1について、実施例1〜3と同様の評価を行ったところ、単独膜の場合と同様に、緻密で欠陥のない薄膜を得ることがわかった。
1 有機EL素子
2 バリアー膜
4 第1電極
6 有機機能層群
7 第2電極
8 第1封止層
9 第2封止層
30 インクジェットヘッド
31、39 ポンプ
32 フィルター
33 配管分岐
34 廃液タンク
35 制御部
36、37、38A、38B タンク
50 太陽電池
52 第1基板
53 ガスバリアー層
54 第1電極
55 電子輸送層
56 正孔輸送層
57 光電変換ユニット
58 第2電極
59 封止層
60 接着剤層
61 アルミニウム箔
62 PETフィルム
63 第2基板
F フレキシブル基材
G ガラス基材

Claims (9)

  1. 置換基を有する有機化合物を含有する塗膜であって、
    前記有機化合物が、3、4又は6回の回転対称性を有し、かつ、
    前記塗膜の厚さが10nm以下であり、当該塗膜の隣接する基板又は下層の膜に対する被覆率が、90〜100%の範囲内であることを特徴とする塗膜。
  2. 前記塗膜の表面の算術平均粗さRaが、5nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の塗膜。
  3. 前記塗膜の表面の算術平均粗さRaと、当該塗膜の裏面に隣接する基板又は膜の表面の算術平均粗さRa’との関係が、下記式を満たすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塗膜。
    (式1):Ra≦Ra′
  4. 前記有機化合物の他に少なくとも2成分を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の塗膜。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の塗膜に隣接して、さらに他の塗膜が積層されていることを特徴とする塗膜積層体。
  6. 請求項5に記載の塗膜積層体を作製する塗膜積層体の作製方法であって、
    隣接した少なくとも2層の塗膜を同時に積層する塗布法で積層体を形成することを特徴とする塗膜積層体の作製方法。
  7. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の塗膜を有することを特徴とする電子デバイス。
  8. 前記電子デバイスが、エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項7に記載の電子デバイス。
  9. 前記電子デバイスが、太陽電池、半導体、LED又は二次電池であることを特徴とする請求項7に記載の電子デバイス。
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