JP2010146760A - 色変換フィルタパネル、パネル型有機el発光部およびカラー有機elディスプレイ - Google Patents

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Abstract

【課題】カラー有機ELディスプレイを構成する色変換フィルタパネルの色変換層に含まれる色変換色素およびパネル型有機EL発光部の有機EL層に含まれる発光材料等のガスバリア層形成時に発生するプラズマ、高エネルギー粒子、高速電子、紫外線等による色変換層中の色変換色素および有機EL層中の発光色素の分解およびそれに伴う機能の低下を防止可能な保護層を有する色変換フィルタパネルおよびパネル型有機EL発光部、ならびに、それらのいずれか一方または双方を構成に含むカラー有機ELディスプレイを提供する。
【解決手段】色変換フィルタパネルの色変換層上、およびパネル型有機EL発光部の有機EL層および透明電極の開放面上に配置される保護層が、ヘキサアザトリフェニレン誘導体、好ましくはヘキサアザトリフェニレン・ヘキサニトリル(HAT−6CN)を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、カラー有機ELディスプレイに関し、さらに詳しくは、カラー有機ELディスプレイを構成する色変換フィルタパネルの色変換層および/または有機EL発光部の有機EL層のプラズマ、高エネルギー粒子、高速電子、紫外線等の放射線による機能低下を防止可能な保護層を具備した色変換フィルタパネルおよびパネル型有機EL発光部、ならびに色変換フィルタパネルおよびパネル型有機EL発光部のいずれか一方または双方を構成に含む有機ELディスプレイに関する。
単色発光する有機EL発光部を用いて、多色発光を実現する方法の一つとして色変換法が知られている。色変換法は、有機EL発光部で発光させた光を吸収し、吸収波長とは異なる波長分布に変換して発光する色変換層を含む色変換フィルタパネルを有機EL発光部の前面に配設して多色発光させる方法であり、高分子樹脂に蛍光色素を分散させた色変換層を含む色変換フィルタパネルが開示されている(特許文献1等)。この方式は、EL発光が単色発光するものでよいこと、さらに色変換層とカラーフィルタとの組み合わせによって良好な色再現性が得られることから、製造が比較的に容易であり大画面ディスプレイへの展開が積極的に検討されている。
前記開示された方法において、色変換層で十分な色変換効率を得るためには、色変換層の厚さを10μm程度まで厚くする必要があり、その上面に有機EL発光部を連続して形成するためには、色変換層の形成による色変換フィルタパネル表面の凹凸を平坦化する技術や、カラーフィルタや平坦化層から生じる水分を遮断し、色変換層および有機EL層を保護する技術など、特殊な技術がさらに要求されることから、これらは有機ELディスプレイのコストアップの要因となっている。
カラーフィルタ層からの水分が色変換層や有機EL層に拡散するのを防止する手段として、カラーフィルタ上および色変換層上のそれぞれに平坦化層を介しまたは介さずにガスバリア層を配設する方法が提案されている(特許文献2)。
また、有機EL発光部の電極間にドライプロセスを用いて発光機能および色変換機能を有する有機発光媒体層を配設する方法が提案されている(特許文献3等)。良好な発光機能および色変換機能を有する発光材料を選択できれば、これらに開示された構造で水分発生に伴う課題が解決された高効率かつ薄膜(1μm以下)の多色発光有機ELディスプレイを実現できる可能性がある。
さらに発展させた色変換層の厚さを低減する方法として、色変換層の構成材料をインク化し、インクジェット法により色変換層をパターン形成する方法が提案され(特許文献4等)、インクの広がりを抑制して精密パターニングを行うために、基板側に予め隔壁を配置する方法が提案されている(特許文献5等)。
これらの方法において、色変換フィルタパネルに配置される色変換層や有機EL発光部に配設される色変換機能および/または発色機能を有する層は、色変換機能や発色機能が外気中の水分により容易に低下してしまうことから、さらに無機材料からなるガスバリア層により保護される。
無機材料からなるガスバリア層は、通常、スパッタ法やCVD法を用いて形成されるが、その成膜過程において発生するプラズマ、中性原子やイオン化原子などの高エネルギー粒子、高速電子、紫外線等によって色変換色素や発色色素の分解およびそれに伴う色変換機能や発色機能の低下ないし喪失が免れない。
この課題を解決する手段として、有機EL発光部の第二電極(透明電極)とパッシベーション層(ガスバリア層)との間に、パッシベーション層形成時のプラズマのダメージから有機発光媒体層を保護する保護発光材料層を設けることが提案されている(特許文献6)。この保護発光材料層は、有機発光媒体層を構成する発光材料、たとえば、Alq3などの低分子材料、ポリスピロなどの高分子材料、金属錯体などの発光材料をドープしたアクリル樹脂やポリビニルカルバゾールなど樹脂材料で構成される。
色変換層や有機発光媒体層をプラズマ等によるダメージから保護する目的に金属錯体を含むバッファ層を用いた場合、金属錯体が可視光線の波長域において光吸収能を有することにより、バッファ層の光透過率が低下する。また、金属錯体は、それらの種類に応じて可視光域の特定の波長において吸光度が極大になるといった著しい波長依存性を有する。さらに、金属錯体はフォトルミネッセンス現象によって発光し、画素の色純度を低下させる。
近年、下記一般式(1)
Figure 2010146760
で表されるヘキサアザトリフェニレン誘導体を高収率で製造する方法およびそれらの用途が開示(特許文献7)されて以来、それらの有機EL発光部への応用が種々提案されている(特許文献8等)。
特許文献7には、一般式(1)中のRがニトリル基(−CN基)であるヘキサアザトリフェニレン・ヘキサニトリル(以下「HAT−6CN」と記す)、ならびにHAT−6CNを出発物質とする一般式(1)中のRが、カルボキシアミド基(−CONH2)、カルボキシ基(−COOH)およびその低級アルキルエステル、トリス酸無水物の具体的な製造方法、それらの主な物性、ならびにそれらの各種用途、たとえば廃液処理および金属回収における金属および金属イオンの捕捉剤、熱酸化安定性を有する耐熱性ポリマー、ポリマー架橋剤および金属充填剤の分散剤などが開示されている。
特許文献8等は、ヘキサアザトリフェニレン誘導体の金属との親和性および半導体としての特性に注目して、有機EL発光部の陽極/陰極間に狭持される有機発光媒体層(有機EL層)中にヘキサアザトリフェニレン誘導体を存在させ、正孔移動度および/または電子移動度を制御することを提案している。
特開平08−286033号公報 国際公開第2007/055287号パンフレット 特開平02−216790号公報 特開2000−122072号公報 特開2005−203215号公報 特開2007−095418号公報 米国特許第4,780,536号明細書 特表2006−503443号公報
本発明は、色変換フィルタパネルの色変換層上、およびパネル型有機EL発光部の透明電極および有機EL層の開放面上に、ガスバリア層形成時に発生するプラズマ、高エネルギー粒子、高速電子、紫外線等による色変換層中の色変換色素および有機EL層中の発光色素の分解およびそれに伴う機能の低下を防止可能な保護層を有する色変換フィルタパネルおよびパネル型有機EL発光部を提供することを目的とする。
また、前記保護層を含む色変換フィルタパネルおよびパネル型有機EL発光部のいずれか一方または双方を構成に含む有機ELディスプレイを提供することを目的とする。
本発明者らは、無機材料からなるガスバリア層などの成膜時に発生するプラズマ、電子線等による、色変換色素の発色機能や有機EL発光材料の発光機能などの低下を防止可能な保護層形成材料を探索した結果、ヘキサアザトリフェニレン誘導体を含む薄膜が優れた防止能力を有することを見出した。
本発明の色変換フィルタパネルは、有機EL発光部と組み合わされてカラー有機ELディスプレイを構成する色変換フィルタパネルであって、該色変換フィルタパネルは、透光性基板、該透光性基板の少なくとも一部の上に配置された入射光の波長範囲を所望の色調の波長範囲に変換して出光する色変換層、少なくとも前記色変換層上面に被覆された保護層、および該保護層上面に被覆された無機材料からなるガスバリア層を少なくとも含み、前記保護層が、下記一般式(1)、
Figure 2010146760
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ニトリル基(−CN)、ニトロ基(NO2)、カルボキシ基(−COOH)およびその低級アルキルエステル基(−COOR´、ここにR´は炭素数1〜10の炭化水素基を表す)、カルボキシアミド基(−CONH2)、アリールアミノ基、アミド基、芳香族炭化水素基、複素環基およびRの2つが一緒になって環を形成している酸無水物基(−CO−O−CO−)よりなる群から選択される同種または異種の置換基を表す)で表されるヘキサアザトリフェニレン誘導体を含む薄膜からなることを特徴とする。
前記保護層は、下記一般式(2)
Figure 2010146760
で表されるヘキサアザフェニレン−ヘキサニトリル(HAT−6CN)を含む薄膜であることができる。
前記保護層は、少なくとも色変換層上に配置されたインクジェット法またはスピンコート法による塗布膜、もしくは抵抗加熱蒸着法または電子ビーム加熱蒸着法による蒸着膜であることができる。
前記色変換層は、前記透光性基板上の所定の領域にインクジェット法によりパターン配置された所定の色変換色素を含む薄膜からなることを特徴とする。
前記色変換フィルタパネルは、前記透光性基板上に、さらに分離隔壁を含んでいてもよい。
前記透光性基板は、透明基板の単独、透明基板上に縦横格子状またはストライプ状に配置されたブラックマトリクス含む基板、透明基板上にストライプ状に配置されたカラーフィルタを含む基板、もしくは透明基板上にブラックマトリクスおよび前記カラーフィルタの双方を含む基板のいずれであってもよく、さらにブラックマトリクスおよび/またはカラーフィルタ上に平坦化層および該平坦化層上に無機保護層を含んでいてもよい。
本発明のパネル型有機EL発光部は、反射電極、透明電極、前記反射電極と透明電極間に狭持された有機発光層を含む有機EL層、前記透明電極および有機EL層の開放面上を被覆する保護層、および該保護層の開放面上を被覆する無機バリア層を少なくとも含み、前記保護層が、下記一般式(1)
Figure 2010146760
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ニトリル基(−CN)、ニトロ基(NO2)、カルボキシ基(−COOH)およびその低級アルキルエステル基(−COOR´、ここにR´は炭素数1〜10の炭化水素基を表す)、カルボキシアミド基(−CONH2)、アリールアミノ基、アミド基、芳香族炭化水素基、複素環基およびRの2つが一緒になって環を形成している酸無水物基(−CO−O−CO−)よりなる群から選択される同種または異種の置換基を表す)で表されるヘキサアザトリフェニレン誘導体の薄膜からなることを特徴とする。
前記保護層は、前記一般式(1)中のRがニトリル基(−CN)であるヘキサアザトリフェニレン−ヘキサニトリル(HAT−6CN)を含む薄膜であることができる。
前記保護層は、インクジェット法またはスピンコート法による塗布膜、もしくは抵抗加熱蒸着法または電子ビーム加熱法による蒸着膜であることができる。
前記透明電極は、導電性金属酸化物電極および金属薄膜電極のいずれであってもよい。
本発明のカラー有機ELディスプレイは、色変換フィルタパネルと有機EL発光部との組み合わせからなる有機ELディスプレイであって、色変換フィルタパネルおよび有機EL発光部のいずれか一方、または双方が前記色変換フィルタパネルおよび/または前記パネル型有機EL発光部からなることを特徴とする。
前記カラー有機ELディスプレイは、前記色変換フィルタパネル上に連続して有機EL発光部が形成されたボトムエミッション型ディスプレイ、および前記色変換フィルタパネルの受光面と、パネル型有機EL発光部の発光面とを対向させ、透明樹脂層を介して貼り合わせたトップエミッション型ディスプレイのいずれであってもよい。
本発明の色変換フィルタパネルおよびパネル型有機EL発光部において、色変換フィルタパネルの色変換層上および/またはパネル型有機EL発光部の透明電極および有機EL層の開放面上に配置されたヘキサアザトリフェニレン誘導体を含む保護層が、該保護層上に無機材料からなるガスバリア層または無機バリア層をスパッタ法、CVD法等により成膜する工程において発生するプラズマ、高エネルギー粒子、高速電子、紫外線等による色変換層中の色変換色素および有機EL層中の発光材料の分解およびそれに伴う色変換機能または発光機能の低下および喪失を回避する。その結果、色変換フィルタパネルにおいては高い初期発色光度が得られ、また、それらの保護層を有する色変換フィルタパネルおよび/またはパネル型有機EL発光部を構成に含むカラー有機ELディスプレイにおいては高い初期輝度が得られる。
また、本発明の色変換フィルタパネルを用いてトップエミッション型カラー有機ディスプレイを製造する場合、図1および2に示したように色変換層上に設けられたヘキサアザトリフェニレン誘導体からなる保護層上に無機バリア層を介して有機EL発光部の透明電極、絶縁層、有機EL層および反射電極を順次、成膜法に制限を受けることなく積層することができ、従来の色変換層上に設けた平坦化層上に被覆された無機バリア層上に透明電極以下の有機EL発光部を積層する方法に比較して製造工程が短縮されるばかりでなく、ディスプレイの合計厚さを薄くできる利点をも有する。
本発明を添付図1〜6に基づいて詳細に説明する。図1および図2は、本発明の色変換フィルタパネルの模式的断面図でありそれぞれ異なる実施形態を示す。図3は本発明のパネル型有機EL発光部の一実施形態を示す模式的断面図を、図4〜6は本発明のカラー有機ELディスプレイの模式的断面図でありそれぞれ異なる実施形態を示す。
色変換フィルタパネル10
本発明の色変換フィルタパネルは、図4〜6に示したように単色発光する有機EL発光部20と組み合わされてカラー有機ELディスプレイを構成する色変換フィルタパネル10であって、図1および2に示したように、透光性基板100上の少なくとも1部に有機EL発光部20で発光させた所定波長範囲の光を受光し、所望の色調の波長範囲の光に変換する色変換層120、色変換層120をパターン形成するための色変換形成領域を画定する分離隔壁110、少なくとも色変換層120上にヘキサアザトリフェニレン誘導体を含む保護層130および保護層上にガスバリア層140を含む。
透光性基板100は、その上に各種の層を積層する際の積層条件において透明性などの変質のない寸法安定に優れた透明なガラスシート、プラスチックシート、プラスチックフィルムなどの透明基板101の単独であってもよく、透明基板101上に、ブラックマトリクス103のみが配置された基板、カラーフィルタ105のみが配置された基板およびブラックマトリクス103およびカラーフィルタ105の双方が配置された基板のいずれであってもよい。また、図2に示したように透明基板101上に配置されたブラックマトリクス103および/またはカラーフィルタ105上に所望により、平坦化層107を有していてもよく、さらに、平坦化層107上に無機保護層(図示なし)を有していてもよい。
フルカラー有機ELディスプレイ用の透光性基板100は、図1および2に示したように、透明基板101上に、サブピクセル寸法の開口部を有して縦横格子状またはストライプ状、好ましくは縦横格子状に配置されたブラックマトリクス103、ブラックマトリクス103による開口部により露出した透明基板101面に接して赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の繰り返しでストライプ状に配置されたカラーフィルタ105R、GおよびBが配置され、カラーフィルタR、GおよびBのサブピクセル各1個で単位画素を構成している。
ブラックマトリクス103は、可視光を吸収して透過させない可視光不透過層であり、赤色カラーフィルタ105Rは、600nm以上の波長範囲の赤色光(R)を、緑色カラーフィルタ105Gは600〜500nmの波長範囲の緑色光(G)を、青色カラーフィルタ105Bは550〜400nmの波長範囲の青色光(B)をそれぞれ選択的に透過させる層である。
ブラックマトリクス103およびカラーフィルタ105は、液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ用に用いられている種々の材料および形成方法、たとえばフォトリソ法を用いて透明基板101上に積層、配置することができる。ブラックマトリクス103およびカラーフィルタ105形成材料として、パターニングが容易なフォトレジストに顔料を分散させた顔料分散型材料が好適である。
所望による平坦化層107は、ブラックマトリクス103およびカラーフィルタ105の変質を、それらの上に配置される色変換層120等の形成条件から保護すると共に、ブラックマトリクス103およびカラーフィルタ105による表面の凹凸を平坦化し、その上に形成される色変換層120等の寸法精度を向上させる層である。
このような平坦化層107は、光透過性に富み、かつ、カラーフィルタを劣化させることのない材料および形成方法を用いて形成される。平坦化層107に適用可能な材料として、有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性の光硬化型または光熱硬化型樹脂組成物、たとえば、分子中に複数の(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系多官能モノマーまたはオリゴマーと光および/または熱重合開始剤とを含む組成物、ポリビニル桂皮酸エステルと増感剤とからなる組成物、鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからなる組成物、エポキシ基を有するモノマーと光酸発生剤とからなる組成物などが挙げられる。平坦化層107は、これらの組成物の溶液を用い塗布法により塗膜を形成し、光および/または熱処理してラジカル種、イオン種を発生させて重合または架橋させ、不溶不融化させて形成するのが一般的である。層厚には特に制限はないが、平坦性を保持するためには2μm以上が好ましい。
平坦化層107上は、その上に形成される色変換層120を平坦化層107等からの水分、溶媒蒸気等から保護する、図示のない無機保護層で、通常被覆される。無機保護層は、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOxなどの無機酸化物、無機窒化物等の薄膜からなり、その形成方法には特に制限はなく、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法などを採用することができる。
分離隔壁110は、色変換層120をパターン形成する領域を画定する隔壁であり、透光性基板100上に色変換層120の形成前にパターン形成される高さが3μm以上の、好ましくは逆台形の断面形状を有する隔壁である。分離隔壁110は、平坦化層107の形成に使用される樹脂材料と同様の樹脂材料を用い塗布法により形成することができ、通常、透光性基板100のブラックマトリクス103上に、ブラックマトリクス103により形成されたサブピクセル寸法を有する開口部を覆わないようにストライプ状に配置される。
また、無機保護層と同様の無機材料および方法を用いて形成してもよい。この場合、分離隔壁110のパターニングには、ドライエッチング法、より好ましくは、プラズマエッチング法が採用される。具体的には、透光性基板100上に無機材料膜を形成し、無機材料膜上に分離隔壁に沿ったパターンを無機剤材料と有効な選択比の取れるフォトレジストにより形成して、無機材料膜をCF4、SF6、CHF3、Arなどのエッチングガスを用いてドライエッチングを行ってパターニングした後、エッチングガスをO2に代え、O2プラズマエッチングを行ってフォトレジストをエッチング除去することにより形成することができる。フォトレジストのエッチングに際して、反応性を高めるために、CF4などのフッ素系ガスの少量をO2中に添加してもよい。さらに、所望により、分離隔壁110の側面は親水または溌水処理されてもよい。
色変換層120は、所定の波長範囲の光を受光し、所望の色調の波長範囲に変換して透光性基板100側に出光する層である。本発明においては、有機EL発光部20で発光させた400〜600nmの波長範囲の青緑色光を、600nm以上の波長範囲の赤色光に変換する赤色変換層120Rが、赤色カラーフィルタ105R上に、500〜600nmの波長範囲の緑色光に変換する緑色変換層120Gが、緑色カラーフィルタ105G上にそれぞれ配置される。400〜550nmの波長範囲の青色光に変換する青色変換層120Bを青色カラーフィルタ105B上に配置することもできるが、通常、有機EL発光部で発光させた光は、青色光領域に十分な強度を有することから省略することができる。
これらの色変換層120は、光源からの光を吸収し異なる波長の光を発光する種々の色変換色素の組み合わせを含む、層厚が2000nm(200μm)以下、好ましくは100〜2000nm、さらに好ましくは100〜1000nm以下の層である。
色変換層120の形成材料は、色変換色素としてトリス8−キノリノラトアルミニュウム錯体(Alq3)などのアルミニウムキレート系色素、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、クマリン135などのクマリン系色素などを含む。また、ソルベントイエロー43、ソルベントイエロー44などのナフタルイミド系色素、ジエチルキナクドリン(DEQ)などのキナクドリン誘導体、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM−1、DCM−2およびDCJTB)などのシアニン系色素、4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラフェニル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン、ルモゲンFレッド、ナイルレッドなどを含むことができる。さらにまたローダミンB、ローダミン6Gなどのキサンテン系色素、ピリジン1などのピリジン系色素などの低分子系有機蛍光色素、ポリフェニレン、ポリアレーン、ポリフルオレンに代表される高分子蛍光材料などを色変換色素として含むこともできる。これらの色素は、所望に応じて複数を混合使用することができ、青色から緑色、さらに赤色への変換時など、波長シフト幅が広い場合には特に有効である。
色変換層120は、色変換色素を透光性基板100上の分離隔壁110により画定された所定の領域、好ましくは、色変換色素を含むインクを調製し、インクジェット法を用いて形成する。また他の方法として、前記基板上に精密にインクを塗布できる湿式法、例えばノズルコート法等にて作製してもよい。
インクジェット用インクの調製に用いられる溶媒は、インクの調製に用いる各色素を溶解するものであればよく、トルエンなどベンゼン系溶媒、クロロホルムなど塩素系溶媒、メタノールなどのアルコール系溶媒、ケトン系などの非極性溶媒および極性溶媒のいずれをも使用することができ、それらは単独で使用してもよく、また、混合溶媒として使用してもよい。
インクの調製は、水分および酸素の影響を排除する、不活性ガス、たとえば、窒素、アルゴンなど、雰囲気下に行うことが好ましい。また、インク塗膜の乾燥は、窒素ガス中あるいは減圧下に、溶媒が蒸発する温度で行う。
保護層130は、下記一般式(1)で表されるトリフェニレン誘導体を含む層厚が20〜100nm、好ましくは50〜100nm、可視光透過率が70%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の層である。
Figure 2010146760
一般式(1)で表されるトリフェニレン誘導体として、式中のRが水素原子であるヘキサアザトリフェニレン、ハロゲン原子であるヘキサフルオロ−ヘキサアザトリフェニレン、ヘキサクロル−ヘキサアザトリフェニレン等、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基であるヘキサアザトリフェニレン−ヘキサメチル、ヘキサアザトリフェニレン−ヘキサエチル、ヘキサアザトリフェニレン−ヘキサシクロヘキシルなど、アルコキシ基であるヘキサアザトリフェニレン−ヘキサオキシメチル、ヘキサアザトリフェニレン−ヘキサオキシエチル等、ニトリル基(−CN)であるヘキサアザトリフェニレン−ヘキサニトリル(HAT−6CN)、ニトロ基(NO2)であるヘキサニトロ−ヘキサアザトリフェニレン、カルボキシ基(−COOH)であるヘキサアザトリフェニレン−ヘキサカルボン酸およびその低級アルキルエステル基(−COOR´、ここにR´は炭素数1〜10の炭化水素基を表す)であるヘキサアザトリフェニレン−ヘキサカルボン酸メチルなど、カルボキシ基の2つが一緒になって環を形成している酸無水物基(−CO−O−CO−)であるヘキサアザトリフェニレン−トリス酸無水物などが挙げられる。また、式中のRが、カルボキシアミド基(−CONH2)、アリールアミノ基、アミド基、芳香族炭化水素基、複素環基である誘導体、これらの置換基の2種以上を含む誘導体などが挙げられる。
好ましい誘導体は、一般式(1)中のRが、ニトリル基(−CN)、ニトロ基(−NO2)など分子中に水素を含まない誘導体、中でも下記一般式(2)
Figure 2010146760
で表されるヘキサアザトリフェニレン−ヘキサニトリル(HAT−6CN)である。
HAT−6CNをはじめとしてその他のヘキサアザトリフェニレン誘導体は、それ自体で緻密な膜を形成することができるばかりでなく、種々の材料と重合させることにより成膜可能な種々なポリマーを形成することができ(特許文献7参照)、保護層130はヘキサアザトリフェニレン骨格を含むポリマーの層であってもよい。
HAT−6CNなどのヘキサアザトリフェニレン誘導体を含む層は、高い光透過性および耐熱性を有するばかりでなく、保護層130上へのガスバリア層140の成膜工程において発生するプラズマ、中性原子やイオン化原子などの高エネルギー粒子、高速電子、紫外線等を遮断し、それらによる保護層130下に存在する色変換色素などの有機物質の分解および色変化機能の低下を阻止する。
保護層130は、前記一般式(1)で表されるヘキサアザトリフェニレン誘導体自体であってもよく、それらから選択される1種または複数種を含む組成物であってもよい。ヘキサアザトリフェニレン誘導体の単独からなる保護層130を色変換層120上に形成する方法として、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム加熱蒸着法等の低エネルギーの成膜粒子による方法を採用することができる。また、インクジェット法、スピンコーティング法等の塗布法を採用してもよい。
塗布法に採用される保護層形成用組成物に用いられる溶媒は、保護層130の形成に用いるヘキサアザトリフェニレン誘導体を溶解するものであればよく、たとえば、トルエンなどのベンゼン系非極性溶媒、アセトニトリル、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、メタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶媒、ケトンなどのケトン系溶媒等の極性溶媒が挙げられる。これらは単体または2種以上の混合溶媒として使用することができる。
ヘキサアザトリフェニレン骨格を含むポリマーを用いて高分子平坦化層を形成し、保護層130とすることができる。このようなポリマーとして、フタロニトリルをHAT−6CNで架橋させたポリマー、ヘキサアザトリフェニレン−トリス酸無水物とポリアミンとの反応で得られるポリイミドポリマーなどを用いることができる。
保護層130は、少なくとも色変換層120上に配置されていることが要求されるが、それには限定されず、分離隔壁110上、青色カラーフィルタ103B上など色変換層120以外の領域にも配置されていてもよい。
ガスバリア層140は、波長範囲が400〜700nmの可視光領域にある光の透過率が50%以上の膜厚が0.1〜2μmのガスおよび有機溶剤に対してバリア性を有する無機薄膜からなり、水分や酸素の介在による色変換層120の色変換機能の劣化を防止する。
ガスバリア層140形成材料として、前記無機保護層や分離隔壁110に用いられる材料と同様の無機酸化物、無機窒化物、たとえば、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOxなどが挙げられる。
ガスバリア層140は、色変換色素等をプラズマ、高速粒子などから保護する保護層130上に成膜されることにより、その成膜方法には制限はなく、CVD法、真空蒸着法、スパッタリング法など任意の成膜方法を採用して形成することができる。
本発明の色変換フィルタパネル10においては、ヘキサアザトリフェニレン誘導体を含む保護層130を有することにより、保護層130上にガスバリア層140を直接、CVD法や真空蒸着法により形成しても、ガスバリア層140成膜時に発生するプラズマ、高エネルギー粒子、高速電子、紫外線等により色変換層120に含まれる色変換色素が分解され、色変換機能が劣化することがなく、色変換層120は高い初期発光強度(相対値)を有する。
本発明の色変換フィルタパネル10は、図4に示したように、その上に連続して有機EL発光部を構築していくことにより、ボトムエミッション型のカラー有機ELディスプレイを構成することができ、また、図5および6に示したように色変換フィルタパネルとは独立して製造したパネル型有機EL発光部20と透明樹脂層30を介して組み合わせることにより、トップエミッション型のカラー有機ELディスプレイを構成することができる。
パネル型有機EL発光部20
本発明のパネル型有機EL発光部20は、図3に示したように、パネル基板200上に発光部の単位画素またはサブピクセルに対応して配置された複数の反射電極210および反射電極210上に単位画素寸法またはサブピクセル寸法の開口部を有して反射電極210間に配置された絶縁層220、反射電極210および絶縁層220上に積層、配置された有機EL層230、有機EL層230上に反射電極210に対応して配置された透明電極240、有機EL層230および透明電極240の開放面上を被覆する保護層250および保護層250上を被覆する無機バリア層260で構成され、前記反射電極210が、パネル基板200を構成する複数のスイッチング素子203のそれぞれに接続されているアクティブマトリクス駆動方式のパネルである。
パネル基板200は、ガラス基板、プラスチック基板、金属基板などの支持基板201上に、反射電極210に対応して配置された複数のTFT素子などのスイッチング素子203を有し、高分子平坦化層205によりスイッチング素子203による表面の凹凸が平坦化されている。
反射電極210は、単位画素またはサブピクセルに対応して配置された部分電極であり、それぞれはスルホール等を介して対応したパネル基板200を構成するスイッチング素子203に接続された陽極または陰極のいずれかである。
反射電極210は、Al、Ag、Mo、W、Ni、Cr等の高反射率を有する金属、NiP、NiB、CrP、CrB等の高反射率を有するアモルファス合金、NiAl等の高反射率を有する微結晶性合金などで構成され、使用材料に依存して、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法など種々の方法および所望の形状のマスクを用いてパネル基板200上にパターン形成される。
反射電極210を陰極に使用する場合、反射電極210と有機EL層230との間に有機EL層230に対する電子注入効率を向上させる図示のない陰極保護層を配置することが好ましい。また、高反射率を有する反射電極材料に対して仕事関数の小さい材料、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属などを高反射率を有する各材料に添加して合金化し、電子注入効率を向上させてもよい。
一方、反射電極210を陽極に使用する場合、反射電極210と有機EL層230間に図示のない導電性透明金属酸化物層を配置して有機EL層230に対する正孔注入効率を向上させることが好ましい。導電性透明金属酸化物として、インジウム添加酸化スズ(ITO)、酸化スズ、酸化インジウム、インジウム添加酸化亜鉛(IZO)、酸化亜鉛、亜鉛−アルミニウム酸化物、亜鉛−ガリウム酸化物、これらの酸化物にフッ素またはアンチモン等をドープした無機酸化物などが挙げられる。
有機EL層230は、少なくとも有機発光層を含み、所望に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。採用可能な具体的な有機EL層の層構成を下記に示す。
陽極/有機発光層/陰極
陽極/正孔注入層有機発光層/陰極
陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
有機発光層は、前記色変換フィルタパネル10と組み合わせてカラー有機ディスプレイを構成する有機EL発光部20においては、波長範囲が400〜600nmの青色ないし青緑色光の発光を実現することが肝要である。このような有機発光層に適用可能な材料として、たとえば、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリジン系化合物などが好適に使用される。また、有機発光層230の発光を所望により白色光とすることもできるが、この場合、公知の赤色ドーパントを使用することが要求される。
有機EL層230を構成するその他の各層の材料として多くの材料が知られており、それらを特に制限することなく使用することができる。また、それらの各層は、蒸着法など公知の方法を用いて積層することができる。
透明電極240は、有機EL層230上に反射電極210のパターンに対応して通常ストライプ状に配置され、反射電極210が陰極として用いられる場合には陽極を、反射電極210が陽極として用いられる場合には陰極を構成する。
透明電極240は、導電性透明金属酸化物電極または透明金属薄膜電極のいずれであってもよい。導電性透明金属酸化物電極は、前記導電性金属酸化物と同様の材料を用いて、通常、有機EL層230上に真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、好ましくはスパッタリング法を用いて透明導電膜を形成した後、フォトリソグラフ法等を用いてパターニングすることにより形成される。一方、透明金属薄膜電極は、Au、MgAgなどの金属薄膜のメタルマスクを用いた各種の蒸着法によるパターン形成により、形成することができる。
透明電極240を陰極として使用する場合、透明電極240と有機EL層230との間に図示のない陰極保護層を配置し、有機EL層に対する電子注入効率を向上させることが好ましい。陰極保護層の形成材料として、Li、Na、K、Csなどのアルカリ金属、Ba、Srなどのアルカリ土類金属、これらを含む合金、希土類金属またはこれらの金属のフッ化物などを用いることができる。これらの陰極保護層の膜厚は、透明性を確保する観点から10nm以下とすることが好ましい。
保護層250は、その上を被覆する無機バリア層260の成膜時に発生するプラズマ、高エネルギー粒子、高速電子、紫外線等により、有機EL層を構成する有機材料、特に有機発光層を構成する材料が分解され、発光効率が低下するのを防止する、前記色変換フィルタパネル10を構成する保護層130と同様の一般式(1)で表されるヘキサアザトリフェニレン誘導体、好ましくは、一般式(2)で表されるヘキサアザトリフェニレン−ヘキサニトリル(HAT−6CN)を含む層である。
無機バリア層260は、有機EL層を構成する各材料の水分、有機溶剤等による分解を防止する層であり、前記色変換フィルタパネル10のガスバリア層140と同様の材料からなる。
本発明のパネル型有機EL発光部20は、それ自体でトップエミッション型のモノクロ有機ELディスプレイとして使用できるが、図5および6に示したように透明樹脂層30を介して色変換フィルタパネル10と組み合わせることにより、トップエミッション型のカラー有機ELディスプレイを構成することができる。
カラー有機ELディスプレイ
本発明のカラー有機ELディスプレイは、図4〜6に示したように、色変換フィルタパネル10と有機EL発光部20との組み合わせからなり、図4は、色変換フィルタパネル10上に、連続して有機EL発光部を構築したボトムエミッション型カラー有機ELディスプレイの一実施形態を、図5および6は、色変換フィルタパネル10と、独立して製造されたパネル型有機EL発光部20とを透明樹脂層30を介して組み合わせたトップエミッション型カラー有機ELディスプレイの異なる実施形態をそれぞれ表す。
ボトムエミッション型カラー有機ELディスプレイ
本発明のボトムエミッション型カラー有機ELディスプレイの一実施形態は、図4に示したように、前記本発明の色変換フィルタパネル10上に有機EL発光部が連続して構築され、色変換フィルタパネル10および有機EL発光部の全積層構造部分が、色変換フィルタパネル10の透光性基板100を構成する透明基板101の外周シール境界に沿って配置された外周シール構造体(不図示)を介して配置される封止板40により密封される。
本カラー有機ELディスプレイにおいて、透明電極240は、図4に示したように、色変換フィルタパネル10のガスバリア層140上の分離隔壁110により画定された領域、または、図示のない平坦化層としての保護層130上のガスバリア層140上に、各カラーパターンに対応したストライプ状に配置される。
透明電極240は、前記パネル型有機EL発光部20の透明電極240の形成に用いたものと同様の導電性透明金属酸化物または透明金属および方法を用いて形成することができる。また、色変換層120が保護層130によりプラズマ、高エネルギー粒子、高速電子、紫外線等から保護されていることから、指向性の高いより高エネルギーの成膜方法を採用することができる。たとえば、プラズマCVD法、スパッタリング法などを採用して形成することができ、この場合、分離隔壁110をマスクとすることにより、色変換フィルタパネル10の各サブピクセルとの対応性の優れたパターンを有する透明電極240を形成できる。また、分離隔壁110上および側壁を被覆するガスバリア層140が、透明電極240間の絶縁層として機能する。
色変換フィルタパネル10の保護層130が、平坦化層として形成されている場合(図示なし)、各透明電極240のパターン間に透明電極240上に色変換フィルタパネルのサブピクセルに対応した開口部を有する絶縁層が配置される。
前記パネル型有機EL発光部20と同様の有機EL層230が、透明電極240および絶縁層として機能するガスバリア層140または絶縁層の開放面上に前記と同様の方法で積層される。
前記パネル型有機EL発光部20と同様の材料からなる反射電極220が、有機EL層230の開放面上に、色変換フィルタパネル10の各サブピクセル上で交叉するように透明電極240のパターンに直交して配置され、色変換フィルタパネル10上に有機EL発光部が構築される。
最終的に、色変換フィルタパネル10の透光性基板100を構成する透明基板101の外周シール境界に沿って配置された常用の外周シール構造体(1部のみ図示)で、透明基板101上に構築された全積層構造部分を密封することにより、ボトムエミッション型カラー有機ELディスプレイを製造することができる。
本発明のボトムエミッション型カラー有機ELディスプレイにおいては、色変換フィルタパネル10が、色変換層120上にプラズマ、高エネルギー粒子、高速電子、紫外線等を遮断する保護層130を有することにより、保護層130上のガスバリア層140上に分離隔壁110を利用してサブピクセルのパターンに整合する透明電極240を配置できる利点を有する。
トップエミッション型カラー有機ELディスプレイ
本発明のトップエミッション型カラー有機ELディスプレイは、図5および6に示したように、本発明の色変換フィルタパネル10とパネル型有機EL発光部20とを、透明樹脂層30を介して貼り合わせ、両者を構成する全積層構造部分を、色変換フィルタパネル10の透光性基板および有機EL発光部20のパネル基板の外周シール境界に沿って外周シール構造体(図示なし)で密封した形態である。図5は、有機EL発光部に従来のパネル型有機EL発光部20を用いた形態を、図6は、有機EL発光部に、前記本発明のパネル型有機EL発光部20を用いた形態を示す。
本発明のトップエミッション型カラー有機ELディスプレイにおいて、透明樹脂層30は、色変フィルタパネル10のガスバリア層140、ならびに有機EL発光部20の無機バリア層260の双方に密着可能な接着性を有する透光性に優れた熱硬化性樹脂、たとえば、エポキシ系樹脂接着剤などからなり、色変換フィルタパネルの色変換層形成領域を越えて外周シール境界内に充填される。
トップエミッション型ディスプレイは、色変換フィルタパネル10上に、透明樹脂30を1点ないし複数点に点状配置するか、もしくは分離隔壁110に直角に棒状配置し、パネル型有機EL発光部20を減圧下に位置合わせして圧着させることにより、透明樹脂30を色変換フィルタパネル10の画面領域に押し広げ、外周シール境界に沿って付与された未硬化の外周シール材を露光して仮硬化させた後、減圧を破って色変換フィルタパネル10と有機EL発光部20とをさらに圧着し、加熱して透明樹脂30および外周シール材を完全硬化させ外周シール構造体を構築することにより製造される。
本発明のトップエミッション型カラー有機ELディスプレイにおいて、色変換フィルタパネルおよびパネル型有機EL発光部のいずれか一方が、前記本発明の色変換フィルタパネル10で構成されるか、または前記本発明の有機EL発光部20で構成されていればよい。好ましくは、図5に示したように少なくとも色変換フィルタパネルが前記本発明の色変換フィルタパネル10で構成され、さらに好ましくは、図6に示したように、色変換フィルタパネルおよび有機EL発光部の双方が、本発明の前記色変換フィルタパネル10および本発明の前記有機EL発光部20で構成される。
本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明する。
(実施例1)
色変換フィルタパネル10の調製
透光性基板100の調製
200mm×200mm×0.7mm厚さの透明ガラス基板(商品名:1737ガラス、コーニング社製)101上に、フォトリソグラフ法により長さ方向131μm×幅方向37μmのサブピクセル寸法の開口部を有する、縦横のパターン幅がそれぞれ10μm、厚さ1μmの縦横格子状のブラックマトリクス103を黒色顔料分散型フォトレジスト(CK−7001、富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて形成した。
次いで、フォトリソグラフ法により、赤色顔料分散型フォトレジスト(CR−7001、富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)、緑色顔料分散型フォトレジスト(CG−7001、富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)および青色顔料分散型フォトレジスト(CB−7001、富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて、ブラックマトリクス103による開口部により露出した透明ガラス基板101に密着させて、パターン幅47μm、厚さ1μmの赤色カラーフィルタ105R、緑色カラーフィルタ103Gおよび青色カラーフィルタ105Bのそれぞれを、パターン間隔84μmのストライプ状にR−G−Bの繰り返しで形成し透光性基板100を調製した。
分離隔壁110の形成
各カラーフィルタ105間のブラックマトリクス101上に、フォトリソグラフ法により、感光性樹脂組成物(商品名:VPA100P5.0、新日鐵化学(株)製)を用いて、上辺幅14μm、下辺幅10μm、高さ4μmの断面形状が逆台形を有する分離隔壁110をストライプ状に形成した。
色変換層120の形成
トルエン1000重量部に、クマリン6(第1色素)+DEQ(第2色素)(クマリン6:DEQ=48:2(モル比)50重量部を溶解して緑色変換層形成用インク、ならびにトルエン1000重量部に、クマリン6(第1色素)+DCM−2(第2色素)(クマリン6:DCM−2=48:2)50重量部を溶解して赤色変換層形成用インクのそれぞれを調製した。
インクジェット装置(商品名:UJ200、UniJet社製)を用い、窒素雰囲気中で調製した色変換層形成用インクをマルチノズルにより1サブピクセルに対して3滴(1滴≒14pl)を滴下し、窒素雰囲気を破ることなく真空乾燥炉を用い、真空度1.0×10-3Pa、温度100℃の条件で乾燥し、膜厚500nmの緑色変換層120Gおよび赤色変換層120Rのそれぞれを、対応した緑色カラーフィルタ105Gおよび赤色カラーフィルタ105R上に形成した。
保護層130の形成
色変換層120を形成した基板を、窒素雰囲気を破ることなく抵抗加熱蒸着装置内に移送して装着し、1×10-4Paの減圧下で下記一般式(2)で表されるHAT−6CNを蒸着速度2Å/sで蒸着させ、青色カラーフィルタ105Bおよび色変換層120RおよびB上に膜厚50nmの保護層130を形成した。得られた保護層130の波長域250〜340nmの光透過率は20%以下であり、可視光域の光透過率は90%以上であった。
Figure 2010146760
ガスバリア層140の形成
窒素雰囲気を破ることなく保護層130を形成した基板をプラズマCVD装置に移送し、プラズマCVD法により基板温度100℃で、原料ガスとしてモノシラン(SiH4)、アンモニア(NH3)および窒素(N2)を用いて膜厚1μmの窒化シリコン(SiNx)を堆積させガスバリア層140を形成し、図1に示す色変換フィルタパネル10を調製した。
(実施例2)
色変換フィルタパネル10の調製
実施例1において、保護層130の形成方法を、インクジェット法に代えた以外は、実施例1と同様に処理し、色変換フィルタパネル10を調製した。
保護層130の形成
色変換層130の形成に続き、窒素雰囲気を破ることなく、色変換層130の形成に用いたものと同様のインクジェット装置を用い、アセトニトリル1000重量部にHAT−6CN50重量部を溶解して調製したインクを、色変換層130および青色カラーフィルタ103B上にマルチノズルにより1サブピクセル当たり3滴(1滴≒14pl)滴下した後、窒素雰囲気を破ることなく真空乾燥炉に移送し、真空度1.0×10-3Pa、温度100℃の条件で乾燥させ、膜厚50nmの保護層130を形成した。
(比較例1)
色変換フィルタパネルの調製
実施例1において保護層130に代えて高分子平坦化層を形成した以外は、実施例1と同様の手順で透光性基板100上に分離隔壁110、色変換層130R、G、高分子平坦化層およびガスバリア層140を形成し比較用の色変換フィルタパネルを調製した。高分子平坦化層は、スピンコート法によりアクリル系樹脂組成物を塗布、乾燥、硬化させて形成した。
(実施例3)
ボトムエミッション型カラー有機ELディスプレイ
透明電極240の形成
実施例1で調製した色変換フィルタパネル10上に、スパッタ法を用いてIZO膜を200nmの厚さに堆積させ、レジスト剤(商品名:TFR−1250、東京応化工業(株)製)を用いたフォトリソグラフ法によりパターニングを行い、各サブピクセルに対応した位置に長さ方向に延びる幅39μmのストライプ状の透明電極240(陽極)を形成した。
有機EL層230の形成
透明電極240を形成した色変換フィルタパネル10を抵抗加熱蒸着装置に装着し、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層および電子注入輸送層を、1×10-4Paの減圧下に順次積層し有機EL層230を形成した。
正孔注入層として膜厚100nmの銅フタロシアニン(CuPc)、正孔輸送層として膜厚20nmの4,4´−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)、有機発光層として膜厚30nmの4,4´−ビス(2,2´−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)および電子注入輸送層として膜厚20nmのAlq3を積層した。
反射電極220の形成
次いで、真空を破ることなしに、メタルマスクを用いて膜厚200nmのMg/Al(Mg:Al=10:1重量比)膜を、幅方向に延びるパターン幅130μm、パターン間隔141μmのストライプ状に積層し、透明電極240に直交する反射電極(陰極)を形成した。
封止
得られた積層体を、グローブボックス内に移送し、酸素濃度および水分濃度が共に10ppm以下の乾燥窒素雰囲気下において、封止ガラス板40およびUV硬化型接着剤を用いて色変換フィルタパネルの透明ガラス基板101の外周シール境界に沿って接着して積層構造体の全体を密封し、図4に示したボトムエミッション型カラー有機ELディスプレイを調製した。
(比較例2)
ボトムエミッション型カラー有機ELディスプレイ
実施例3において、色変換フィルタパネル10を、比較例1で調製した色変換フィルタパネルに代えた以外は、実施例3と同様の手順で比較用のボトムエミッション型カラー有機ELディスプレイを調製した。
(実施例4)
パネル型有機EL発光部20の調製
パネル基板200の準備
200mm×200mm×0.7mm厚さの無アルカリガラス(商品名:イーグル2000、コーニング社製)201上に、サブピクセルに対応した複数のTFT203、TFT覆う膜厚3μmの平坦化層205および平坦化層上に膜厚約300nmのSiO2からなるパッシベーション層を有し、平坦化層205およびパッシベーション層にTFT203と反射電極220とを接続するコンタクトホールを設けたパネル基板200を準備した。
反射電極210の形成
パネル基板200上に、RF−プレーナマグネトロンスパッタ装置を用いて膜厚50nmのIZO膜を成膜した後、レジスト剤(商品名:OFRP−800、東京応化工業(株)製)を用いたフォトリソグラフ法により、Arガスをエッチングガスに用いてIZO膜をパターニングしてサブピクセル毎に島状に分離したIZO下地層を形成し、コンタクトホールを介してTFTと1対1で接続した。次いで、スパッタ法を用いて膜厚10nmのAg膜を形成し、引き続いて前記同様にエッチングを行って長さ方向131μm×幅方向37μmの複数の島状に分離した反射電極210を、長さ方向141μm、幅方向47μmのパターン間隔で形成した。
有機EL層230の形成
反射電極210を形成したパネルを、抵抗加熱蒸着装置に装着し、反射電極210上に陰極保護層として膜厚1.5nmのLi膜を成膜した後、真空槽内を1×10-4Paにまで減圧し、膜厚20nmのAlq3からなる電子輸送層、膜厚30nmのDPVBiからなる有機発光層、膜厚10nmのα−NPDからなる正孔輸送層、および膜厚100nmのCuPcからなる正孔注入層のそれぞれを成膜速度0.1nm/sで順次積層し、有機EL層230を形成し、さらに、有機EL層230上にダメージ緩和層として膜厚50nmのMgAg膜を形成した。
透明電極240の形成
ダメージ緩和層を形成したパネルを、真空を破ることなしに対向スパッタ装置に移送し、表示部に対応する位置に開口部を設けたメタルマスクを介して、膜厚200nmのIZO膜を堆積させ、透明電極240を形成した。
無機バリア層260の形成
透明電極240を形成したパネルを、真空を破ることなしにCVD装置に移送し、有機EL層230および透明電極240の開放面上に無機バリア層260として膜厚2μmのSiNxを成膜してパネル型有機EL発光部20を調製した。なお、本実施例においては、絶縁層220および保護層250の形成を省略した。
トップエミッション型有機ELディスプレイの調製
実施例1と同様の手順で調製した1枚の透明基板101上に複数の色変換フィルタパネル10を配置したパネルの分離隔壁110上に位置するガスバリア層140上に、光硬化性樹脂(商品名:CR−600、日立化成工業(株)製)を用いて、直径10μm×高さ5μmのフォトスペーサを141μm間隔で配置して形成した。
フォトスペーサを形成したパネルを、酸素濃度および水分濃度がいずれも5ppm以下の雰囲気に保持した貼り合わせ装置内に移動し、色変換フィルタパネル10のプロセス面(無機バリア層形成面)を上に向けて装着し、ディスペンサを用いて各色変換フィルタパネル10の透明基板101の外周シール境界に沿ってエポキシ系紫外線硬化接着剤(商品名:XNR−5516、ナガセケムテックス社製)を切れ目なく塗布し、接着層を形成した。
引き続いて、各色変換フィルタパネル10の中央付近に、透明樹脂層30として屈折率1.58の熱硬化型エポキシ接着剤の所定量をメカニカルバルブを用いて滴下した後、前記調製した1枚のパネル基板200上に複数の有機EL発光部20を配置したパネルを、プロセス面(無機バリア層260形成面)を色変換フィルタパネル10のプロセス面に対面させてセットし、貼り合わせ装置内を10Paまで減圧して有機El発光部20と色変換フィルタパネル20とを間隔30μmまで接近させ、両者のサブピクセル位置の位置合わせを行い、引き続いて、貼り合わせ装置内を大気圧に戻しつつ両パネルに僅かに荷重をかけた。
このとき、両パネルは、互いに向き合って接近し、色変換フィルタパネル10上のフォトススペーサ先端が有機EL発光部20に接触した位置で停止した。また、色変換フィルタパネル10の中央付近に滴下した熱硬化型エポキシ接着剤は、フォトスペーサによって形成された両パネル間の間隙に広がり、画面領域の全面に充填された。
色変換フィルタパネル側から、外周シール境界に沿って塗布された接着剤のみに紫外線を照射して仮硬化させ、一般環境に取り出し、自動ガラススクライバーとブレイク装置を使用して個々のパネルに分割し、個々のパネルを加熱炉により80℃に1時間加熱した後、炉内で30分間自然冷却し、透明樹脂層30として画面領域の全面に充填された熱硬化型エポキシ接着剤および外周シール境界に沿って塗布され仮硬化された接着剤の双方を完全硬化させた。
最後に、ドライエッチングにより有機EL発光部20の外部接続用の端子領域に形成されたパッシベーション層を除去し、異方導電性接着剤を用いて制御ICを接着して、図5に示したようなトップエミッション型カラー有機ELディスプレイを調製した。
(比較例3)
実施例4において、色変換フィルタパネル10を実施例1と同様の方法で色変換層120までを調製した保護層130およびガスバリア層140のない色変換フィルタパネルに代えた以外は、実施例4と同様の手順で比較用のトップエミッション型カラー有機ELディスプレイを調製した。
(実施例5)
パネル型有機EL発光部20の調製
実施例4において、透明電極240を金属電極に代え、有機EL層230および透明電極240の開放面上に保護層250を形成した以外は、実施例4と同様の手順で有機EL発光部20を調製した。
透明電極240の形成
実施例4と同様の手順で、有機EL層230までを調製した。次いで、有機EL層230上に、サブピクセルに対応する位置に開口部を設けたメタルマスクを介して、蒸着法によりMgAgを20nmの厚さに堆積させ透明電極240を形成した。
保護層250の形成
透明電極240を形成したパネルを、真空を破ることなく抵抗加熱蒸着装置内に移送して装着し、減圧して1×10-4Pa以下に達した雰囲気下に、抵抗加熱蒸着法によりHAT−6CNを2Å/sの蒸着速度で有機EL層230および透明電極240の開放面上に蒸着させ、膜厚50nmの保護層250を形成した。形成された保護層250は、250〜340nm波長域の光の透過率は20%以下であり、可視光の透過率は90%以上であった。
無機バリア層260の形成
保護層250上に実施例4と同様の手順で、SiNxを2μmの厚さに堆積させて無機バリア層を形成し、図3に示すパネル型有機EL発光部20を調製した。
トップエミッション型カラー有機ELディスプレイの調製
実施例1と同様の手順で調製した1枚の透明ガラス基板101上に複数の色変換フィルタパネル10を配置したパネルと、上記調製した1枚のパネル基板200上に複数の有機EL発光部20を配置したパネルとを、実施例4と同様の手順で貼り合わせ、図6に示すトップエミッション型カラー有機ELディスプレイを調製した。
(比較例4)
トップエミッション型カラー有機ELディスプレイ
実施例5の有機EL発光部20の調製において、透明電極240の膜厚を40nmに変更し、保護層250の形成を省略した有機EL発光部20に代えた以外は、実施例5と同様に処理してトップエミッション型カラー有機ELディスプレイを調製した。
(評価1)
色変換フィルタパネル10の無機バリア層側に光源を配置して波長範囲が450〜490nmの単色光を照射し、色変換フィルタパネルを通して出射した波長530nmの緑色光および波長610nmの赤色光の出射光強度を分光光度計(商品名:CS−1000、コニカミノルタ(株)製)を用いて測定した。比較例1で調製した色変換フィルタパネルの出射光強度を100とした相対値を初期強度として表1に示す。
Figure 2010146760
(評価2)
実施例3〜5および比較例2〜4で調製したカラー有機ELディスプレイを電流量を一定にして駆動し、各色の初期輝度および初期色度を測定した。比較例2の輝度を100とした相対値としての初期輝度および初期色度を表2に示す。
Figure 2010146760
評価例1および2は、ヘキサアザトリフェニレン誘導体からなる保護層を設けた色変換フィルタパネル10およびパネル型有機EL発光部20は、保護層を設けていないものに比較して高い初期強度あるいは初期輝度を有し、色変換層を構成する色変換色素や、有機EL層を構成する有機物質の無機バリア層あるいは無機パッシベーション層の形成による機能低下が防止されていることを示す。また、保護層を設けたことによる色度の変化は認められない。さらに、パネル型有機EL発光部20においては、保護層250を設けることにより、金属透明電極240の厚さを薄くすることができる。
本発明の色変換フィルタパネルの一実施形態を示す模式的断面図である。 本発明の色変換フィルタパネルの別の実施形態を示す模式的断面図である。 本発明の有機EL発光部の一実施形態を示す模式的断面図である。 本発明のボトムエミッション型カラー有機ELディスプレイの一実施形態を示す模式的断面図である。 本発明のトップエミッション型カラー有機ELディスプレイの一実施形態を示す模式的断面図である。 本発明のトップエミッション型カラー有機ELディスプレイの別の実施形態を示す模式的断面図である。
符号の説明
10 色変換フィルタパネル
100 透光性基板
101 透明基板
103 ブラックマトリクス
105 カラーフィルタ
105R 赤色カラーフィルタ
105G 緑色カラーフィルタ
105B 青色カラーフィルタ
107 平坦化層
110 分離隔壁
120 色変換層
120R 赤色変換層
120G 緑色変換層
130 保護層
140 ガスバリア層
20 有機EL発光部
200 パネル基板
201 支持基板
203 スイッチング素子
205 平坦化層
210 反射電極
220 絶縁層
230 有機EL層
240 透明電極
250 保護層
260 無機バリア層
40 封止板

Claims (13)

  1. 有機EL発光部と組み合わされてカラー有機ELディスプレイを構成する色変換フィルタパネルであって、該色変換フィルタパネルは、透光性基板、該透光性基板の少なくとも一部の上に配置された入射光の波長範囲を所望の色調の波長範囲に変換して出光する色変換層、少なくとも前記色変換層上面に被覆された保護層、および該保護層上面に被覆された無機材料からなるガスバリア層を少なくとも含み、前記保護層が、下記一般式(1)、
    Figure 2010146760
    (式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ニトリル基(−CN)、ニトロ基(NO2)、カルボキシ基(−COOH)およびその低級アルキルエステル基(−COOR´、ここにR´は炭素数1〜10の炭化水素基を表す)、カルボキシアミド基(−CONH2)、アリールアミノ基、アミド基、芳香族炭化水素基、複素環基およびRの2つが一緒になって環を形成している酸無水物基(−CO−O−CO−)よりなる群から選択される同種または異種の置換基を表す)で表されるヘキサアザトリフェニレン誘導体を含む薄膜からなることを特徴とする色変換フィルタパネル。
  2. 前記保護層が、下記一般式(2)
    Figure 2010146760
    で表されるヘキサアザフェニレン−ヘキサニトリル(HAT−6CN)を含む薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の色変換フィルタパネル。
  3. 前記保護層が、少なくとも色変換層上に配置されたインクジェット法またはスピンコート法による塗布膜、もしくは抵抗加熱蒸着法または電子ビーム加熱蒸着法による蒸着膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の色変換フィルタパネル。
  4. 前記色変換層が、前記透光性基板上の所定の領域にインクジェット法によりパターン配置された所定の色変換色素を含む薄膜からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の色変換フィルタパネル。
  5. 前記透光性基板上に分離隔壁をさらに含む請求項1ないし4のいずれかに記載の色変換フィルタパネル。
  6. 前記透光性基板が、透明基板の単独、もしくは透明基板ならびに該透明基板上に縦横格子状またはストライプ状に配置されたブラックマトリクスおよび/または赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の繰り返しでストライプ状に配置されたカラーフィルタを含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の色変換フィルタパネル。
  7. 前記透光性基板が、透明基板上のブラックマトリクスおよび/またはカラーフィルタ上に平坦化層をさらに含む請求項1ないし6のいずれかに記載の色変換フィルタパネル。
  8. パネル型の有機EL発光部であって、該有機EL発光部は、反射電極、透明電極、前記反射電極と透明電極間に狭持された有機EL層、前記透明電極および有機EL層の開放面上を被覆する保護層、および該保護層の開放面上を被覆する無機バリア層を少なくとも含み、前記保護層が、下記一般式(1)
    Figure 2010146760
    (式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ニトリル基(−CN)、ニトロ基(NO2)、カルボキシ基(−COOH)およびその低級アルキルエステル基(−COOR´、ここにR´は炭素数1〜10の炭化水素基を表す)、カルボキシアミド基(−CONH2)、アリールアミノ基、アミド基、芳香族炭化水素基、複素環基およびRの2つが一緒になって環を形成している酸無水物基(−CO−O−CO−)よりなる群から選択される同種または異種の置換基を表す)で表されるヘキサアザトリフェニレン誘導体を含む薄膜からなることを特徴とするパネル型有機EL発光部。
  9. 前記保護層が、下記一般式(2)
    Figure 2010146760
    で表されるヘキサアザフェニレン−ヘキサニトリル(HAT−6CN)を含む薄膜であることを特徴とする請求項8に記載のパネル型有機EL発光部。
  10. 前記保護層が、前記透明電極および有機EL層の開放面上に配置されたインクジェット法またはスピンコート法による塗布膜、もしくは抵抗加熱蒸着法または電子ビーム加熱蒸着法による蒸着膜であることを特徴とする請求項8または9に記載のパネル型有機EL発光部。
  11. 前記透明電極が、導電性金属酸化物薄膜電極または金属薄膜電極であることを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載のパネル型有機EL発光部。
  12. 色変換フィルタパネルの受光面上に連続して単色発光する有機EL発光部を形成したボトムエミッション型ディスプレイであって、
    色変換フィルタパネルが、請求項1ないし7のいずれかに記載の色変換フィルタパネルであることを特徴とするカラー有機ELディスプレイ。
  13. 色変換フィルタパネルの受光面と、パネル型有機EL発光部の出光面とを対向させ、透明樹脂層を介して貼り合わせたトップエミッション型カラー有機ELディスプレイであって、
    前記色変換フィルタパネルおよびパネル型有機EL発光部の少なくとも一方または双方が、請求項1ないし7のいずれかに記載の色変換フィルタパネルおよび/または請求項8ないし11のいずれかに記載のパネル型有機EL発光部のいずれかであることを特徴とするカラー有機ELディスプレイ。
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