JP2008305730A - 多色発光デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】色変換層をパターン形成する際に、精細度に問題があるメタルマスクを使わずに、色変換層を微細に選択的にパターン形成する、精細度の高い多色発光デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】素子基板上に色変換層をパターン形成する際に、色変換層の蒸着形成前に、付着防止用電極を前もって配設しておき、付着防止用電極に電流を流して加熱し、色変換層を再蒸発させることにより色変換層のパターン形成を行い、多色発光デバイスを製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、蒸着薄膜をパターン形成する方法を利用して、画素の形状に合わせてパターン形成された色変換層により、少なくとも三原色の内、一色以上を発光する多色発光デバイスの製造方法に関する。
近年、有機エレクトロルミネセンス(以下有機ELという。)素子は実用化に向けての研究が活発に行われている。有機EL素子は低電圧で高い電流密度が実現できるため、高い発光輝度および発光効率を実現することが期待され、特に高精細なマルチカラーまたはフルカラー表示が可能な多色有機ELディスプレーの実用化が期待されている。有機ELディスプレーのマルチカラー化またはフルカラー化の方法の一例として、特定波長領域の光を透過させる複数種のカラーフィルターを用いる方法(カラーフィルター法)がある。カラーフィルター法を適用する場合、用いられる有機EL素子は、多色発光して、光の三原色(R、G、B)をバランスよく含む、いわゆる白色光を発光することが求められる。
多色発光有機EL素子を得るために、複数の発光色素を含む発光層を用い、該複数の発光色素を同時に励起する方法や、ホスト発光材料とゲスト発光材料とを含む発光層を用い、ホスト発光材料を励起および発光させると同時に、ゲスト材料へのエネルギー移動および発光をさせる方法、異なる発光色素を含む複数の発光層を用い、それぞれの層において発光色素を励起させる方法、発光色素を含む発光層と該発光層に隣接して発光性ドーパントを含むキャリア輸送層とを用い、発光層においてキャリア再結合によって生成する励起子から、一部の励起エネルギーを発光性ドーパントに移動させる方法などが検討されている。
しかしながら、前述の多色発光有機EL素子は、複数種の発光材料を同時に励起させるか、あるいは複数種の発光材料間のエネルギー移動のいずれかに依拠している。そのような素子において、駆動時間の経過または通電電流の変化に伴って、発光材料間の発光強度バランスが変化し、得られる色相が変化する恐れがあることが報告されている。
多色発光有機EL素子を得るための別法として、単色発光の有機EL素子と色変換膜とを用いる色変換法が提案されている(特許文献1および2を参照。)。用いられる色変換膜は、短波長光を吸収して、長波長光へと変換する一つまたは複数の色変換物質を含む層である。色変換膜の形成法としては、色変換物質を樹脂中に分散させた塗布液を塗布する方法、あるいは色変換物質を蒸着(特許文献1を参照。)、ないしスパッタのようなドライプロセスで堆積させる方法などが検討されている。
しかしながら、色変換膜中の色変換物質の濃度が高くなると、吸収したエネルギーが同一分子間の移動を繰り返すうちに発光を伴わずに失活する、濃度消光と呼ばれる現象が発生する。この現象を抑制するために、色変換物質を何らかの媒体中に溶解または分散させて濃度を低く抑えることが行われている(特許文献2を参照。)。
しかし、色変換物質の濃度を低下させると、吸収すべき光の吸光度が減少し、十分な変換光強度が得られない。前記の問題に関して、色変換膜を厚くして吸光度を高め、色変換の効率を維持することが行われている。このように膜厚10μm程度の厚い色変換膜を用いた場合、段差部での電極パターン断線の発生、高精細化の困難さ、膜中への水分または溶媒の残留によって有機EL素子と組み合わせた場合に、有機EL層が変質し表示欠陥となるなどの問題点が存在する。一方、視野角依存性を減少させるという観点からは、色変換膜を薄くするという相反する要求が存在する。
そこで、厚さを増大させることなしに十分な変換光強度を維持することが可能な色変換膜を提供するために、2μm以下の膜厚を有するホスト-ゲスト系色変換膜を蒸着法によって形成することが検討されている。
しかしながら、蒸着法により色変換膜を形成する場合、表示面の全面に膜を形成すると三原色を分けて発光することが出来ないため、何らかの手段で特定の画素に対応した微細パターン形成が必要になる。現在の所、蒸着材料薄膜をパターン形成する方法としては、メタルマスクによる塗分け法がある。
しかし、メタルマスクによる蒸着パターン形成法は古くから実用化されているが、マスクパターンの微細化に対してはマスク材質と厚さによる限界から、150ppiの精細度レベルが限界であり、それ以上の高精細なパターンに対しては困難さが増し、大面積化には到底及ばず、歩留りも低下するという問題がある。
また、厚膜色変換層のパターニング方法として、支持基板上に凹凸パターンを形成し、その凹凸パターン部に色変換材料を塗布して凹部に色変換材料を埋め込み、その後色変換層を研磨して表面を平坦化してパターニングする方法が検討されている。
しかしながら、上記方法では蒸着法にて形成した色変換層に適用はできない。蒸着法にて形成した色変換層は水分・酸素の影響を受けるためバリア層が必要になる。
また、蒸着膜のパターニング方法として、エキシマレーザー光によるパターニング方法が開示されている(特許文献3を参照。)。レーザー光を走査しパターニングする方法は、描画を行うためにタクトタイムが長くなる点や、レーザー光が照射された周囲の蒸着膜が熱等により変質する欠点を有している。
特開2002−75643号公報 特開2000−230172号公報 特開平9−320760号公報
従来のマスク蒸着によるパターニング方法では、パターンの高精細化が困難であった。レーザー光照射によるパターニング方法は、膜形成に長時間を要する。照射された周囲の膜が影響を受け、変質したり、パターン精度悪化する問題があった。
本発明の目的は、精細度に問題があるメタルマスクを使わずに、色変換層を微細に選択的に形成する、精微度の高い多色発光デバイスの製造方法を提供することである。
上記問題を解決するために、本発明の方法は、透明基板上に、カラーフィルター層、平坦化層、付着防止用電極をこの順に形成する第1の工程と、前記平坦化層および付着防止用電極の上に、蒸着法によって色変換層を形成する第2の工程と、前記色変換層の上に、バリア層および有機EL素子を順次形成する第3の工程を備える多色発光デバイスの製造方法において、前記第2の工程で、付着防止用電極に電流を流して加熱し、色変換層を再蒸発させることにより色変換層のパターニングを行うことを特徴とする。
前記第2の工程で、平坦化層の上にバリア層を形成する工程を付加することができる。
前記第2の工程で、前記透明基板に冷却機構を接触させながら、前期色変換層のパターニングを行うことが好ましい。
前記第2の工程で、前記色変換層のパターニングを、色変換層の蒸着と同時に、または、色変換層の蒸着後に行うことができる。
本発明の多色発光デバイスの製造方法を用いることによって、色変換層を微細に選択的に形成できる。このような方法を用いれば、従来のマスク蒸着の限界よりも高精細なパターン形成ができる多色発光デバイスの作製が可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の製造方法を実施した多色発光デバイスの第1の実施形態の構成例を説明するための断面模式図である。透明基板1の上にブラックマトリクス40と三色のカラーフィルター層30R、30G、30Bを設け、その上に、平坦化層2を形成する。さらに、その上に、付着防止用電極3および色変換層50Rを設け、その上に、第1バリア層4および有機EL素子(陽極5、有機EL層6および陰極7)が順次形成された構造を有する。
本発明の付着防止用電極3a、3bは色変換層50Rの付着防止のために配設されるものであり、光透過性に富み、且つ、平坦化層を劣化させることなく配設できる材料およびプロセスを選択する必要がある。
適用可能な材料としては、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)等の光透過性の導電性金属酸化物、あるいはAu、Ag、Al等の薄膜で光透過性を示す金属を用いることができる。該電極の成膜方法としては、蒸着法、スパッタ法あるいは化学的気相堆積(CVD)法を用いて形成される。好ましくはスパッタ法を用いて形成される。
例えば、付着防止用電極としてIZOを用いた場合、IZOの膜厚を10〜50nm、パターン幅を30〜100μmで形成する。このとき、付着防止用電極1ラインあたり、10μAから1.5mAの電流を通電することにより、200℃以上の温度に加熱することができる。
色変換層50Rは、1種または複数種の色変換色素から形成される層であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm〜1μmの膜厚を有する。色変換層は、ドライプロセス、好ましくは蒸着法(抵抗加熱および電子ビーム加熱を含む。)によって形成される。
色変換層50Rをパターン形成する際、前記付着防止用電極によって色変換色素が加熱され再蒸発するため、色変換層の膜厚は均一でなく、付着防止用電極の近傍では発熱の影響を受けて薄くなり、色変換層50Rに向って厚くなる。従って、図1に示すように、色変換層50R両端の色変換層傾斜部分51Rの膜厚は均一でなく、図の如く傾斜した膜厚分布をもつ。
所望の発光波長の光を得るため、複数種の色変換色素を用いて色変換層50Rを形成する場合、複数種の色変換色素を所定の比率で混合した予備混合物をあらかじめ作製し、その予備混合物を用いて共蒸着を行ってもよい。あるいはまた、複数種の色変換色素を別個の加熱部位に配置し、それぞれの色変換色素を別個に加熱して共蒸着を行ってもよい。特に複数種の色変換色素の間に特性(蒸着速度、蒸気圧など)の大きな差が存在する場合、後者の共蒸着の方法が有効である。
色変換色素とは、光源から発せられる近紫外領域ないし可視領域の光を吸収して波長分布変換を行い、異なる波長の可視光を放射する機能をもつ物質である。特に青色ないし青緑色領域の光を吸収することが好ましい。色変換層の発光波長としては、緑色変換層の場合は500〜550nm、赤色変換層の場合は600〜700nmの範囲が好ましい。
色変換層を形成するための色変換色素としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)などのアルミニウムキレート系色素、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、クマリン135などのクマリン系色素、ソルベントイエロー43、ソルベントイエロー44のようなナフタルイミド系色素、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM−1)、DCM−2およびDCJTBなどのシアニン色素、ローダミンB、ローダミン6Gなどのキサンテン系色素、ピリジン1などのピリジン系色素、4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラフェニル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン、ルモゲンFレッド、ナイルレッドなどを用いることができる。また、公知である各種ELの発光層に用いられているホスト−ゲスト材料を使用しても良い。
色変換色素は有機物のため、水分・酸素に弱い。そのため水分・酸素から色変換色素を第1バリア層4で保護する必要がある。第1バリア層の材料としては、電気絶縁性を有し、ガスおよび有機溶剤に対するバリア性を有し可視域における透明性が高く(400〜700nmの範囲で透過率50%以上。)、該第1バリア層上に、陽極の成膜に耐え得る硬度として、好ましくは鉛筆硬度2H以上の膜硬度を有する材料を用いる。
例えば、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOx等の無機酸化物、無機窒化物等が使用できる。該バリア層の形成方法としては特に制約はなく、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法等の手法により形成できる。
上述の第1バリア層は単層でも、或いは複数の層が積層されたものでもよい。第1バリア層の膜厚は50nm〜10μmであり、好ましい防湿性や光透過性を有する観点から、好適な膜厚は100nm〜5μmである。
カラーフィルター層上面の平坦化層2は、カラーフィルター層(30R,30G,30B)を保護する目的、および膜面を平滑化する目的で配設されるものであり、光透過性に富み、且つカラーフィルターを劣化させることなく配設できる材料およびプロセスを選択する必要がある。平坦化層は膜を平滑化する目的も併せ持つため、一般的には塗布法で形成される。
また、付着防止用電極3が形成されない平坦化層の露出面上に色変換層を形成するため、加熱されにくい性質の材料が好ましい。例えば、熱伝導率が小さく、比熱が大きな材料が好ましく、熱伝導率は、0.5W/m・Kより小さく、比熱は1000J/kg・K以上の材料が好適に選択される。
適用可能な材料としては、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を、光および/または熱処理を与えて、ラジカル種やイオン種を発生させて重合または架橋させ、不溶不融化させたものが一般的である。また、該光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、パターニングを行うため、硬化をする前は有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが好ましい。
具体的に光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂とは、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤からなる組成物膜を光または熱処理して、光ラジカルや熱ラジカルを発生させて重合させたもの、(2)ポリビニル桂皮酸エステルと増感剤からなる組成物を光または熱処理により二量化させて架橋させたもの、(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドからなる組成物膜を光または熱処理によりナイトレンを発生させ、オレフィンと架橋させたもの、(4)エポキシ基を有するモノマーと光酸発生剤からなる組成物膜を光または熱処理により、酸(カチオン)を発生させて重合させたものなどが挙げられる。特に前記(1)の光硬化性又は光熱併用型硬化性樹脂が高精細でパターニングが可能であり、耐溶剤性、耐熱性等の信頼性の面でも好ましい。
その他、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルホン、ポリビニルブチラール、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ノルボルネン系樹脂、メタクリル樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合樹脂、環状オレフィン系等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、イミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいはポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート等と3官能性、あるいは4官能性のアルコキシシランを含むポリマーハイブリッド等も利用することができる。
本発明の多色発光デバイスで用いるカラーフィルター層(30R、30G、30B)は、入射光を分光して、所望される波長域の光のみを透過させる層である。カラーフィルター層は前記基板上に作製され、液晶ディスプレー等、フラットパネルディスプレーに用いられる任意の材料を用いて形成することができ、近年はフォトレジストに顔料を分散させた、顔料分散型カラーフィルターが良く用いられ、市販のフラットパネルディスプレー用材料等の当該技術において知られている任意の材料、例えば、液晶用カラーフィルター材料を用いて形成することができる。
フラットパネルディスプレー用のカラーフィルターは、400nm〜550nmの波長を透過する青色カラーフィルター層30B、500nm〜600nmの波長を透過する緑色カラーフィルター層30G、600nm以上の波長を透過する赤色カラーフィルター層30Rのそれぞれを配列したものが一般的である。
また、各カラーフィルター画素間に、主にコントラストの向上を目的として、可視域を透過しないブラックマトリクス40を配設することが一般的に行われている。ブラックマトリクスは、黒色顔料が含有されたアクリル型の樹脂膜で構成されている。この樹脂膜は、カラーフィルター層と同様に、液晶表示装置用のブラックマトリクスに用いられるものを採用してもよく、通常ウエットプロセスにて作製することができる。例えば感光性の樹脂の中に黒色化するための着色剤を添加して塗布後、フォトリソグラフィー法を用いて所望のブラックマトリクスのパターンを形成する。なおブラックマトリクスは必ずしも必要ではなく、省略してもよい。
ブラックマトリクスを設けることによって、隣接する画素からの光の回り込み、すなわち隣接画素からの発光が、隣の画素に対応したカラーフィルター層に漏れることを効果的に防止することができ、高コントラストを実現することができる。また、カラーフィルター層により形成される段差を低減させることにも有効である。
本発明の多色発光デバイスで用いる透明基板1は、光透過性に富み、且つ、ブラックマトリクス、カラーフィルター層、色変換層等、陽極、発光層の形成に用いられる溶媒・温度等の条件に耐え得るものであり、さらに寸法安定性に優れていることが好ましい。また、多色発光デバイスの性能低下を引き起こさないものであれば良く、例としては、ガラス、各種プラスチック、各種フィルム等が挙げられる。
以下、図2を利用して各層を形成するプロセスについて説明する。図2では、製造プロセスについて一例を挙げて説明するが、形成方法については記載内容のみに限定されるものではない。
まず、図2(a)に示すように、ガラス透明基板1の上に、ブラックマトリクス40を成膜する。成膜法としては、スピンコートにより所定の膜厚に塗布した後、フォトリソグラフィー法を用いて所望のパターンを形成する。
次いで、図2(a)に示すように、三色のカラーフィルター層30R、30G、30Bを順に成膜する。カラーフィルター層は、いずれも次のようなプロセスで成膜・パターン形成する。RGBの各色毎に、スピンコートにより所定の膜厚に塗布した後、プリベーク、露光によるフォトマスクのパターン転写、現像処理によるパターン不要個所の除去、ポストベークを行って、カラーフィルター層を形成する。
さらに、図2(a)に示すように、カラーフィルター層上面へ、透明保護コーティング剤をスピンコートにより、所定の膜厚に塗布した後、プリベーク、露光、現像処理、ポストベークのプロセスを経て、平坦化層2を形成する。
次に、図2(b)に示すように、平坦化層の上面に付着防止用電極3として、例えば、IZO膜を成膜する。成膜法としては、例えば、InOおよびZnOターゲットを用い、酸素ガスを含むスパッタガスによるスパッタ法を用いる事ができる。成膜したIZO上にレジスト剤を塗布した後、フォトリソグラフィー法にてパターニングを行い、緑色フィルターおよび青色フィルターの中間に位置する部位にIZOのストライプパターンを形成する。
図2(b)には、付着防止用電極がパネルの中央部3aに一箇所だけ示してあるが、実際には緑色フィルター層30Gおよび青色フィルター層30Bが存在する部位全体に複数繰り返して形成されている。また、3bのように付着防止用電極は基板端部で引き出されて、互いに短絡される。
次に、図2(c)に示すように、赤色フィルター層30R上部に、色変換層50Rを成膜する。色変換層はメタルマスクを使用せず全面成膜するか、単純な開口部を持つメタルマスクを用いて蒸着により形成される。
色変換層50Rを蒸着する基板には、基板の支持部を介して付着防止用電極に通電用電極が接続されている。色変換層の蒸着プロセス中に、常時または一定周期ごとに通電するにより、付着防止用電極の温度を上昇させ、付着防止用電極上に堆積した色変換材料を除去することが可能となる。また、色変換層の蒸着プロセス後に、付着防止用電極を通電加熱する事によっても、付着防止用電極上に堆積した色変換材料を除去することができる。
前記付着防止用電極を通電加熱することによって、付着防止用電極近傍では色変換層の膜厚はゼロとなり、色変換層50R両端では、図2(c)に示すような傾斜した膜厚分布の色変換層51Rが形成される。
例えば、付着防止用電極3にIZOを用い、平坦化層2に厚さ10μmアクリル樹脂を用いた場合の温度実測値を図5に示す。IZOパターンは、膜厚50nm、幅50μm、配線長200mmであり、電流値は0.6mAとした。およそ45秒で付着防止用電極の温度は200℃に到達し、このとき付着防止用電極から2mm程度離れた位置でのアクリル樹脂表面の温度は100℃程度まで上昇し、その後200℃に漸近した。
前記アクリル樹脂表面の温度上昇を防止するため、付着防止電極への通電をやめ、冷却した後に、再度通電を繰り返すこともできる。このように、付着防止用電極を200〜250℃程度まで繰り返し上昇させることにより、付着防止電極上に堆積した色変換層を再蒸発させることができる。
また、透明基板1に冷却機構(不図示)を接触させ、該基板を冷却させることにより、アクリル樹脂表面の温度上昇を抑制することができる。
水温18℃の冷却水を通水した冷却板を基板に接触させ、付着防止電極にIZOを用い、平坦化層に厚さ10μmアクリル樹脂を用いた場合の温度実測値を図6に示す。IZOパターンは、膜厚50nm、幅50μm、配線長200mmであり、電流値は0.6mAとした。付着防止電極の温度を200℃に到達させた場合、付着防止電極から150μm程度離れた位置でのアクリル表面の温度は、80℃程度まで上昇し、その後200℃に漸近した。
透明基板に冷却機構を接触させた場合、冷却機構がない場合よりも、付着防止用電極に近い位置においても温度上昇を抑制させることが可能となり、高精細な色変換層のパターニングが可能となる。
色変換材料としてアルミキレート系色素を用いた場合、200℃での蒸発レートは約0.05nm/s、300℃での蒸発レートは約0.3nm/sであるため、付着防止電極を加熱することにより、付着防止電極上の色変換材料を除去することが可能となる。
次に、図2(d)に示すように、第1バリア層4として、例えば窒化シリコン膜を成膜する。成膜法としては、例えばモノシラン、アンモニアおよび窒素を用いてプラズマCVD法で形成できる。
上述のようにして、ガラス透明基板の上に色変換層をパターン形成し、第1バリア層を成膜した後、さらにこの上に、有機EL素子(陽極、有機EL層および陰極)を形成する。
陽極5は、ITO、酸化スズ、酸化インジウム、IZO、酸化亜鉛、亜鉛−アルミニウム酸化物、亜鉛−ガリウム酸化物、またはこれらの酸化物に対してF、Sbなどのドーパントを添加した導電性透明金属酸化物を用いて形成することができる。陽極5は、蒸着法、スパッタ法または化学気相堆積(CVD)法を用いて形成され、好ましくはスパッタ法を用いて形成される。
有機EL層6は、少なくとも有機発光層を含み、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。具体的には、有機EL素子(陽極、有機EL層および陰極)は下記のような層構造からなるものが採用される(陽極および陰極は、透明電極または反射電極のいずれかである。)。
(1)陽極/有機発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
有機EL層を構成する各層の材料としては、公知のものが使用される。また、有機EL層を構成する各層は、蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。例えば、青色から青緑色の発光を得るための有機発光層の材料としては、例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などの材料が好ましく使用される。また、必要に応じて白色発光でも良い。その場合は公知の赤色ドーパントが使用される。
陰極7は、例えば、Li,Na,K等のアルカリ金属、Mg,Ca等のアルカリ土類金属等からなる金属単体、もしくはこれらの金属と、Al,Ag,In等との合金等から形成する事ができる。あるいはまた、Al,In,Ti等の金属、もしくはこれらの金属を含有する合金を陰極材料として使用することもできる。陰極7は、用いる材料に依存して、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。
本発明の第2の実施形態における多色発光デバイスは、平坦化膜表面に第2バリア層が付加している構造を有する。該第2バリア層の形成は、後工程である付着防止用電極の形成工程において、平坦化膜の表面が変質することを防止することを目的としている。
図3は、本発明の製造方法を実施した多色発光デバイスの第2の実施形態の構成例を説明するための断面模式図である。
透明基板11の上にブラックマトリクス140と三色のカラーフィルター層(130R,130G,130B)を設け、その上に、平坦化層12を形成する。さらに、その上に第2バリア層24を形成する。その上に付着防止用電極13および色変換層150Rを設ける。その上に、第1バリア層14および有機EL素子(陽極15、有機EL層16および陰極17)が順次形成された構造を有する。
本発明の第2の実施形態は、図3に示すように、まず透明基板11の上に、ブラックマトリクス140、カラーフィルター層(130R,130G,130B)および平坦化層12を順に形成する。透明基板および各層の形成には、前記第1の実施形態で説明した材料および作製方法を同様に利用できる。
該平坦化層12の上に第2バリア層24を形成する。第2バリア層は付着防止用電極13の形成工程において、平坦化層の表面が変質することを防止するために付加するものである。該第2バリア層には前記第1の実施形態の第1バリア層で説明した材料および作製方法を用いることができ、好適な膜厚は100nm〜5μmである。
第2バリア層24の上に、付着防止用電極13、色変換層150R、第1バリア層14および有機EL素子(陽極15、有機EL層16および陰極17)を順次形成する。この際、前記第1の実施形態のプロセスと同様に色変換層傾斜部分151Rも形成される。これら各電極および各層の形成には、前記第1の実施形態で説明した材料および作製方法を同様に用いることができる。
以下、図4を利用して各層を形成するプロセスについて説明する。図4では製造プロセスについて一例を挙げて説明するが、形成方法については記載内容のみに限定されるものではない。
前記第1の実施形態で説明した図2のプロセスと同様に、まず、図4(a)に示すように、ガラス透明基板11の上に、スピンコートおよびフォトリソグラフィー法により所望のパターンのブラックマトリクス140を形成する。次いで、三色のカラーフィルター層をRGBの各色毎にフォトプロセスを利用して、順に成膜しパターン形成する。さらに、図4(a)に示すように、カラーフィルター層の上に、透明保護コーティング剤を成膜して、平坦化層12を形成する。
次に、図4(b)に示すように、第2バリア層24として、例えば窒化シリコン膜をプラズマCVD法で成膜する。
次に、前記第1の実施形態で説明した図2のプロセスと同様に、図4(c)に示すように、平坦化層12の上面に、付着防止用電極13として、例えばIZO膜をスパッタ法を用いて成膜し、フォトリソグラフィー法にてパターニングを行い、緑色フィルター層130Gおよび青色フィルター層130Bの中間に位置する部位にIZOのストライプパターンを形成する。
付着防止用電極はデバイスの中央部13aに一箇所だけでなく、実際には緑色フィルター層および青色フィルター層が存在する部位全体に複数繰り返して形成されている。また、13bのように、付着防止用電極は基板端部で引き出されて、互いに短絡される。
次に、前記第1の実施形態で説明した図2のプロセスと同様に、図4(d)に示すように、赤色フィルター層130R上部に色変換層150Rを形成する。色変換層を蒸着形成する基板には、基板の支持部を介して付着防止用電極に通電用電極(不図示)が接続されており、色変換層の蒸着プロセス中に、常時または一定周期ごとに通電することにより、付着防止用電極の温度を上昇させ、付着防止用電極上に堆積した色変換材料を除去することができる。また、色変換層の蒸着プロセス後に、付着防止用電極を通電加熱する事によっても、付着防止用電極上に堆積した色変換材料を除去することができる。
前記付着防止用電極を通電加熱することによって、該電極近傍では色変換層の膜厚はゼロとなり、色変換層150R両端では、図4(d)に示すような傾斜した膜厚分布151Rとなる
次に、図4(e)に示すように、第1バリア層14として、例えば窒化シリコン膜をプラズマCVD法で成膜する。
上述のようにして、ガラス透明基板11の上に、カラーフィルター層(130R,130G,130B)、平坦化層12、第2バリア層24を形成し、その上に付着防止用電極13を利用して色変換層150Rをパターン形成し、第1バリア層14を成膜した後、さらにこの上に、有機EL素子(陽極15、有機EL層16および陰極17)を形成することにより、多色発光デバイスを作製する。
以下に、具体的な実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
以下、実施例1において図1を参照することとする。
(カラーフィルターおよびブラックマトリクスの形成)
200mm×200mm×0.7mm厚のコーニング社製1737ガラス透明基板1上に、富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ製カラーモザイクCK−7001をスピンコート塗布し、フォトリソグラフ法を用いてパターニングを行い、ブラックマトリクス40を形成した。
引き続いて、富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ製カラーモザイクCR−7001、CG−7001、CB−7001を用い、フォトリソグラフィー法にて赤色カラーフィルター層30R、緑色カラーフィルター層30G、青色カラーフィルター層30Bを形成した。各層の膜厚はそれぞれ1μmであった。
カラーフィルター層はいずれも、スピンコートにより所定の膜厚に塗布した後に、90℃で120秒間プリベークを行った後、高圧水銀ランプを光源とする露光機を用いて405nmで250mJ/cm2の光線をあてフォトマスクのパターン転写を行い、KOHを主成分とする現像液をもちいて現像を行った。この後、220℃のホットプレートで600秒間ポストベークを行った。
作製したカラーフィルター層のサブピクセル寸法は168μm×56μm(精細度150ppi)であり、サブピクセル間のギャップが縦方向10μm、横方向10μm、開口部寸法は158μm×46μmである。前記サブピクセル3個(R、G、B)で1画素であり、縦方向に50画素、横方向に50画素が配列され、1つのパネルが形成されている。このパネルがガラス透明基板面内に5×5配置されている。
(平坦化層の形成)
JSR製透明保護コーティング剤NN810Lを用い、カラーフィルター層上面へ平坦化層2を形成した。平坦化層の膜厚は2μmとした。スピンコートにより所定の膜厚に塗布した後に、100℃で120秒間プリベークを行った後、高圧水銀ランプを光源とする露光機を用いて405nmで450mJ/cm2の光線をあてフォトマスクのパターン転写を行い、TMAHを主成分とする現像液を用いて現像を行った。この後、220℃のホットプレートで900秒間ポストベークを行った。
(付着防止用電極の形成)
平坦化層2の上面にスパッタ法を用いて、膜厚50nmのIZO膜を成膜し付着防止用電極(3a,3b)を形成した。IZO上に東京応化工業製レジスト剤TFR−1250を塗布した後、フォトリソグラフィー法にてパターニングを行い、緑色および青色の中間に位置する、幅48μm、ピッチ168μm、膜厚50nm、ひとつのパネルあたり50本からなるストライプパターンを得た。また、付着防止用電極は発光機能部の外側で短絡され、一面に形成される形状とした。また、付着防止用電極は基板端部で短絡し、接続端子とした。
(色変換層の形成)
抵抗加熱蒸着装置で、Alq3およびDCM−2からなる色変換層(50R,51R)を形成した。Alq3およびDCM−2を蒸着装置内の別個の坩堝にて加熱する共蒸着によって、膜厚300nmの色変換膜を作製した。この際に、Alq3の蒸着速度を0.3nm/s、DCM−2の蒸着速度を0.005nm/sとなるように、それぞれの坩堝の加熱温度を制御した。蒸着工程を100秒、冷却工程を300秒間隔とし、10回繰り返した。本実施例の色変換層は、色変換層の総構成分子数を基準として2モル%のDCM−2を含んだ(Alq3:DCM−2のモル比が49:1である。)。
また、抵抗加熱蒸着装置内で、基板の支持冶具に通電用電極を取り付け、付着防止用電極の接続端子に接触させた。色変換層の作製と同時に、付着防止用電極に150mAの電流を通電し、約50秒で200℃に昇温させ、350秒間非通電とし、昇温・冷却を10回繰り返し、色変換層の蒸着後にも200℃への昇温工程を行った。
(第1バリア層の形成)
真空を破ることなく、プラズマCVD装置にて、原料ガスとしてモノシラン(SiH4)、アンモニア(NH3)及び窒素(N2)を使用するプラズマCVD法を用いて、膜厚1μmの窒化シリコン(SiN)を堆積させ第1バリア層4を形成した。ここで、SiNを堆積する際に、基板温度は100℃以下にて行った。
第1バリア層4形成後の膜厚測定において、付着防止層から60μm離れた位置の色変換層の膜厚は約300nm、パターン幅は約40μmであった。
(有機EL素子の形成)
上記のようにして作製したフィルター部および色変換部の上に、陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子注入輸送層/陰極を順次形成して有機EL素子を形成し、多色発光デバイスを得た。
まず、フィルター部の最外層をなす第1バリア層4の上面にスパッタ法にて陽極5(IZO)を全面成膜した。IZO上に東京応化工業製レジスト剤TFR−1250を塗布した後、フォトリソグラフィー法にてパターニングを行い、それぞれの色の発光部(赤色,緑色、および青色)に位置する、幅48μm、ピッチ168μm、膜厚200nmのストライプパターンからなる陽極を得た。
次いで、前記陽極を形成した基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔輸送層、有機発光層、電子注入輸送層を真空を破らずに順次成膜し、有機EL層6を形成した。成膜に際して真空槽内圧は1×10-4Paまで減圧した。正孔輸送層は4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を50nm積層した。有機発光層はAlq3とDCJTB(0.5質量%)を30nm積層した。電子注入輸送層はAlq3を20nm積層した。
この後、真空を破ることなしに、陽極(IZO)のラインと直交する幅130μm、ピッチ168μmギャップのストライプパターンが得られるマスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag(10:1の重量比率)層を堆積させ、陰極7を形成した。
こうして得られた多色発光デバイスをグロープボックス内乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下。)下において、封止ガラス(不図示)とUV硬化接着剤を用いて封止した。
(発光効率の測定)
作製した多色発光デバイスに、1画素あたりの電流値を50μA、スキャンラインの発光時間を1/50秒としたときの赤色ラインの輝度測定から、発光効率を求めた。
実施例1に対し、色変換層を形成する際、透明基板を冷却する方法を付加した。
抵抗加熱蒸着装置で、Alq3およびDCM−2からなる色変換層(50R、51R)を作製した。Alq3およびDCM−2を蒸着装置内の別個の坩堝にて加熱する共蒸着によって、膜厚300nmの色変換膜を作製した。この際に、Alq3の蒸着速度を0.3nm/s、DCM−2の蒸着速度を0.005nm/sとなるように、それぞれの坩堝の加熱温度を制御した。蒸着工程を100秒、冷却工程を100秒間隔とし、10回繰り返した。
本実施例の色変換層は、色変換層の総構成分子数を基準として2モル%のDCM−2を含んだ(Alq3:DCM−2のモル比が49:1である。)。
また、抵抗加熱蒸着装置で、基板の支持冶具に通電用電極を取り付け、付着防止用電極の接続端子に接触させた。さらに、基板の背面に、内部に冷却水を通水するための溝を形成したCu板を接触させ、水温18℃の冷却水を通水した。色変換層の作製と同時に、付着付着防止用電極に150mAの電流を通電し、約50秒で200℃に昇温、150秒間非通電とし、昇温、冷却を10回繰り返し、色変換層の蒸着後にも200℃への昇温工程を行った。第1バリア層形成後の膜厚測定において、付着防止層から120μm離れた位置の色変換層の膜厚は約300nm、パターン幅は約50μmであった。
実施例1に対し、色変換層を形成する際、透明基板を冷却する方法を付加すると共に、色変換層を形成した後に、付着防止用電極を通電加熱する方法に変更した。
抵抗加熱蒸着装置で、Alq3およびDCM−2からなる色変換層(50R、51R)を作製した。Alq3およびDCM−2を蒸着装置内の別個の坩堝にて加熱する共蒸着によって、膜厚300nmの色変換膜を作製した。この際に、Alq3の蒸着速度を0.3nm/s、DCM−2の蒸着速度を0.005nm/sとなるように、それぞれの坩堝の加熱温度を制御した。本実施例の色変換層は、色変換層の総構成分子数を基準として2モル%のDCM−2を含んだ。Alq3:DCM−2のモル比が49:1である。
色変換層を形成した後に、抵抗加熱蒸着装置内で、基板の支持冶具に通電用電極を取り付け、付着防止用電極(3a、3b)の接続端子に接触させた。さらに、基板の背面に、内部に冷却水を通水するための溝を形成した銅板を接触させ、水温18℃の冷却水を通水した。色変換層の作製後に、付着防止用電極に150mAの電流を通電し、約50秒で200℃に昇温、150秒間非通電とし、昇温、冷却を10回繰り返した。バリア層形成後の膜厚測定から、色変換層の膜厚は約300nm、パターン幅は約50μmであった。
実施例3に対し、平坦化層表面に第2バリア層を付加形成した。図3を参照することとする。
プラズマCVD装置にて、原料ガスとしてモノシラン(SiH4)、アンモニア(NH3)および窒素(N2)を用いるプラズマCVD法を用いて、膜厚300nmの窒化シリコン(SiN)を堆積させ第2バリア層24を形成した。ここで、SiNを堆積する際に基板温度は100℃以下にて行った。
(比較例1)
(メタルマスクによる色変換層の形成)
メタルマスクを使用して色変換層を形成し、多色発光デバイスを作製した。
外形が210mm×210mm、材質がインバー材を用いて、開口部寸法が158μm×46μmの赤色領域に開口部を持つメタルマスクを作製した。メタルマスクの加工精度は、長寸法(位置合わせマーカー間)が15μm、短寸法が2μmであった。
付着防止用電極を形成する工程は行わないで、メタルマスクにより色変換層の形成を行った。付着防止用電極形成および色変換層形成の工程以外は、実施例1に準じて行った。
まず、抵抗加熱蒸着装置で、メタルマスクとガラス透明基板の位置合わせを行い、画像認識装置上での位置合わせ精度を±1μmとした。この後、Alq3およびDCM−2を蒸着装置内の別個の坩堝にて加熱する共蒸着によって、膜厚300nmの色変換膜を作製した。この際に、Alq3の蒸着速度を0.3nm/s、DCM−2の蒸着速度を0.005nm/sとなるように、それぞれの坩堝の加熱温度を制御した。
本実施例の色変換層は、色変換層の総構成分子数を基準として2モル%のDCM−2を含んだ(Alq3:DCM−2のモル比が49:1である。)。
第1バリア層形成後の膜厚測定から、赤色領域における色変換層の膜厚は300nm、緑色および青色領域における色変換層の膜厚は0nmであった。しかし、赤色領域の位置合わせ精度が低く、赤色領域上に色変換層が積層されている割合は、付着防止用電極を用いた場合の70〜80%となった。該デバイスの赤色変換効率は、付着防止用電極を用いた場合の70〜80%となった。
前記実施例および比較例で求めたデバイスの評価結果を表1に示した。
Figure 2008305730
以上のように、平坦化膜上に付着防止用電極を形成することにより、色変換材料のパターニングが可能となり、メタルマスクを用いた場合には実現の難しかった精細度150ppiで、高い発光効率を有する多色発光デバイスを作製することが可能となる。
本発明の多色発光デバイスの第1の実施形態の層構成を示す断面模式図である。 本発明の第1の実施形態の色変換層を形成する製造プロセスを示す図である。 本発明の多色発光デバイスの第2の実施形態の層構成を示す断面模式図である。 本発明の第2の実施形態の色変換層を形成する製造プロセスを示す図である。 冷却機構を用いない場合のIZO電極温度とアクリル温度を示す図である。 冷却機構を用いた場合のIZO電極温度とアクリル温度を示す図である。
符号の説明
1,11 透明基板
2,12 平坦化層
3a,13a 付着防止用電極
3b,13b 基板端部の付着防止用電極
4,14 第1バリア層
5,15 陽極
6,16 有機EL層
7,17 陰極
24 第2バリア層
30R,130R 赤色カラーフィルター層
30G,130G 緑色カラーフィルター層
30B,130B 青色カラーフィルター層
40,140 ブラックマトリクス
50R,150R 色変換層
51R,151R 傾斜部分の色変換層

Claims (5)

  1. 透明基板上に、カラーフィルター層、平坦化層、付着防止用電極をこの順に形成する第1の工程と、前記平坦化層および付着防止用電極の上に、蒸着法によって色変換層を形成する第2の工程と、前記色変換層の上に、バリア層および有機EL素子を順次形成する第3の工程を備える多色発光デバイスの製造方法において、前記第2の工程で、前記付着防止用電極に電流を流して加熱し、前記色変換層を再蒸発させることにより色変換層のパターン形成を行うことを特徴とする多色発光デバイスの製造方法。
  2. 前記第2の工程で、前記平坦化層の上にバリア層を形成する工程を付加したことを特徴とする請求項1に記載の多色発光デバイスの製造方法。
  3. 前記第2の工程で、前記透明基板に冷却機構を接触させながら、前期色変換層のパターン形成を行うことを特徴とする請求項1および2に記載の多色発光デバイスの製造方法。
  4. 前記第2の工程で、前記色変換層のパターン形成を、色変換層の蒸着と同時に行うことを特徴とする請求項1、2および3に記載の多色発光デバイスの製造方法。
  5. 前記第2の工程で、前記色変換層のパターン形成を、色変換層の蒸着後に行うことを特徴とする請求項1、2および3に記載の多色発光デバイスの製造方法。
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