JP5216448B2 - 紫外線照射装置、ベルト重合機、及び、水溶性重合体の製造方法 - Google Patents
紫外線照射装置、ベルト重合機、及び、水溶性重合体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
例えば、光源と単量体混合物の水溶液の間に、波長330〜370nmの範囲の紫外線を用い透過率が80%以上の光透過性材料を介在させて光照射するポリ(メタ)アクリル酸部分中和塩の製造方法(例えば、特許文献1(特開2008−37966号公報)参照)が開示されている。水に対する溶解性や分散性に優れた(メタ)アクリル酸部分中和物及びその製造方法を提供することができるとされている。
本発明は、より少ない照射光の量あるいは強度であっても、光強度を均一かつ充分なものとすることのでき、またメンテナンスも容易となる構造を有する紫外線照射装置、それを備えたベルト重合機、より具体的には当該ベルト重合機を使用して水溶性重合体を製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明はまた、上記紫外線照射装置を備えたベルト重合機でもある。
本発明は更に、上記ベルト重合機を用いて、重合性単量体を含む重合用溶液に光を照射し、連続的に重合を行う工程を含む水溶性重合体の製造方法でもある。
なお、本明細書中、可動式ベルト基材を単にベルト基材ともいう。
また、紫外線発生器設置室と、重合用溶液が供給され展開される重合室とが区別されるように防護用ガラスで仕切られた構造であるので、重合用溶液から発生する揮発性物質などが紫外線発生器設置室内に入り込まなくなり、紫外線発生器の漏電や腐食を防止できる。
また、本発明の形態であると、容易に防護用ガラスが交換、取り外して洗浄できるので、ガラス面の汚染を容易に取り除くことができ、ガラス表面の汚染による、光強度の低下や不均一化を防止することができる。つまり、重合時の重合用溶液の飛沫などによって発生するガラス面の汚染を容易に洗浄することができ、当該汚染により光強度が低下することや光量が不均一になることを防止できる。その結果、より強度の低い光照射条件であっても安定な光重合条件を確保することができるので、原料の単量体が残存することを防止できるのである。
以下に本発明を詳述する。
これにより、紫外線発生器から天井板の内面及び側板の内面に照射される光が乱反射されて重合用溶液側に照射されることになり、重合用溶液に対して照射される光強度をより均一かつ充分なものとすることが可能となる。これによって、品質が一定で残留単量体含量の少ない高品質の水溶性重合体を効率よく製造することが可能となるところに本願発明の重要な技術的意義がある。
このように紫外線発生器設置室と重合室に分かれるように防護用ガラスで仕切られた構造を有し、また上述したように天井板及び側板を備えるために、揮発性物質が、重合室から隣接して設置された紫外線発生器設置室内に基本的に入り込まないものとすることができる。あわせて紫外線照射装置の外側から紫外線発生器設置室内にも基本的に入り込まないものとすることができる。その結果、紫外線発生器が揮発性物質に接触して漏電や腐食が生じることを防ぐことができる。
また、本発明の紫外線照射装置は、紫外線発生器が備わった紫外線発生器設置室が、天井板および側板により明確に区切られているので、紫外線発生器への揮発性物質の影響をより少なくすることができ、電気回路を含め、紫外線発生器の漏電や腐食が生じることを好ましく防止することができるのである。
また原料の重合性単量体の種類によっては、アクリルアミド等の毒性の高い重合性単量体や、(メタ)アクリレート等の揮発性の高い重合性単量体もあるが、本発明の紫外線照射装置は、そういった重合性単量体を扱うときにも有効となる。
更に、防護用ガラスが汚染した時に洗浄するために、側面から防護用ガラスを容易に装着及び脱着することができる。そのために、本発明が採用する特定の構造である紫外線照射装置は、長期にわたって当該水溶性重合体の製造に使用しても、防護用ガラスの汚染により光強度が弱くなることや、ベルト面の光量が不均一化するために残留単量体含量が増えることを防止することができる。これにより、残留単量体含量が低減された高品質の水溶性重合体を光ベルト重合方法にてより安定に製造することが可能となる。なお、例えば当該防護用ガラスがより大きな一枚のガラスにより構成される場合は、ガラスを脱着するためにガラスを吊り上げる工程等が必要となり、更には吊り上げたガラスが装置等に当たってガラスが破損するおそれがある。また、大きなガラスの自重により割れなども生じる可能性がある。この場合、厚みなどでガラスの強度を確保すると自重がさらに増加することになる。よって、洗浄目的のガラス脱着工程が煩雑となり、また安全でないものとなる。また、大きなガラスの場合、ひずみやゆがみや反りが生じる結果、ガラスと紫外線発生器設置室との間にすき間ができ、結果的に重合室から揮発性物質が入り込んで紫外線発生器に漏電や腐食が生じるおそれがある。
また本発明のガラスは、防護用ガラスまたは蒸気防護用ガラスと表現する場合もある。好ましくは、揮発性物質や蒸気の防護用ガラスである。
本発明では、その紫外線照射装置の内面、特に天井板および側板のベルト基材側の内面が紫外線を反射できるような材料で構成されているために、より少ない紫外線の量でも十分な光量を照射することができるようになり、光重合の制御がより簡便になったのであり光重合工程の安定化が達成できたのである。
当該ガラスが、大きい1枚もののガラスで容易に装着および脱着できない場合、上で説明したように、頻繁には取り外して洗浄することが困難となり、従って汚染された状態で光を透過させつつ重合が行われることになる。その場合、上記したように、紫外線発生器側の制御で光量や光の強度を調整する方策しかないのが実情であった。また具体的には以下のような問題点もあった。すなわち、光量が低くなると重合の速度が低下する。従って、生産性が低下するものである。光量の低下を補うため、照射強度を上げると、消費電力代が高額化する。また、重合用溶液に対する照射光の強度が不均一になってしまうと、ベルト基材上の重合体含水ゲルの品質がばらつき、好ましくない。
なお、複数枚に分割されたガラスが桟の上に載っているだけの形態となっているのは、例えばネジ等の固定具を用いてガラスを固定すると、固定具が落ちて重合用溶液中に入ってしまい、結果として製品中にも入ってしまうおそれがあるためである。また、洗浄目的等でのガラス取り替え時の利便性のためである。
ベルト基材上に天井板及び側板を備えている形態とは、具体的には、本発明の紫外線照射装置が、ベルト基材を覆うような構造であり、好ましい構造の一つである。また、側板はベルト基材の端部付近に略垂直に設置され、当該天井板は側板に支えられている形態が、本発明の紫外線照射装置の好ましい形態である。
なお、本発明の紫外線照射装置は、ベルト基材上に設置した場合に上述した形態となるものであり、図1に示した紫外線照射装置は本発明の紫外線照射装置の好ましい形態である。すなわち、図2に示すように当該紫外線照射装置をベルト基材2−16上に設置した場合、本発明の紫外線照射装置がベルト基材2−16を覆うような構造であり、このような構造は好ましい実施形態の1つである。また、側板2−12がベルト基材2−16の端部付近に略垂直に設置され、当該天井板2−11が側板2−12に支えられている形態は、本発明の好ましい形態の1つである。
上記「天井板にベルト基材面を照射する向きに紫外線発生器が取り付けられ」とは、上記天井板の内面に、ベルト基材方向に光が照射されるように紫外線発生器が取り付けられていることを意味する。
本発明における、紫外線を反射する材料で構成されるという技術範囲には、紫外線が反射される材質の採用、あるいは紫外線の反射を促す表面処理であれば特に限定されず含むものである。例えば、金属以外の材質であっても上記内面が紫外線を反射できる材料で構成されていればよい。具体的には、紫外線発生器設置室の内面と重合室の内面とが、同一又は異なって、例えば下記(1)〜(3)の形態により構成されたものであってもよい。(1)通常の金属板単独である形態、(2)通常の金属板単独又はそれ以外のものに、更に反射フィルムを貼った形態、(3)鏡等である形態。
中でも、上記(1)通常の金属板単独である形態が好ましい。上記金属板は、例えば、内面をガラスコート処理してもよい。例えば、SUS板、アルミニウム板、鉄の板等が挙げられ、中でもSUS板が好ましい。SUS板は、例えば通常のSUSを使用することができるが、研磨処理し反射率を高める処理等を実施したものであってもよい。
これにより、上記内面側に照射される光をより充分に反射することができ、重合用溶液に照射される光をより均一かつ充分な光量のものとすることができる。
また上記(2)の形態によっても、本発明の効果が同様に発揮されるものである。
更に、上記(3)鏡等である形態によって、反射率を高め、紫外線光を充分に反射することができる。この場合、紫外線をより均一に、かつ効率よくベルト面、すなわち重合用溶液に対して反射させることが可能になり好ましい形態となる。
上記「重合用溶液が供給され展開される重合室」とは、ベルト基材とともに重合室を構成するものであればよい。すなわち、重合室は、ベルト基材を重合室底面とし、該ベルト基材上に供給され展開される重合用溶液に光を照射することにより連続的に重合が行われるものである。
上記「紫外線発生器が備わった紫外線発生器設置室と重合用溶液が供給され展開される重合室に分かれるように防護用ガラスで仕切られた構造を有し」とは、本発明の技術分野において紫外線発生器設置室と重合室とに分かれるように防護用ガラスによって仕切られていると認められるものであればよい。
なお、防護用ガラスとは、重合用溶液から発生する揮発性物質が紫外線発生器設置室内に流入することを防ぐためのガラスを意味する。本発明の防護用ガラスは好ましくは、蒸気及び/又は揮発性物質防護用ガラスである。
可動式ベルト基材の進行方向の側方側の側面とは、上記ベルト基材の進行方向に対しての右側の側板又は左側の側板を意味する。例えば、ベルト基材の進行方向に対して右側の側面の図は、図1の下図に示される面である。防護用ガラスを装着及び脱着するための側面を当該側方側の側面とすることにより、より容易に防護用ガラスを装着及び脱着することが可能となる。具体的には、例えば防護用ガラスがトレイ上に載せられており、該トレイを紫外線照射装置におけるベルト基材の進行方向の側方側の側面から引き出すことにより、防護用ガラスを容易に装着及び脱着することができる。
本発明の紫外線照射装置は、更に、ベルト基材の進行方向の側方側の側面にのぞき窓がある形態が、防護用ガラスの汚れ等を視認することができる点で好ましい。また、紫外線発生器が点灯しているのを確認することができる点でも好ましい。このような防護用ガラスの上面図及び紫外線照射装置のベルト基材の進行方向の側方側の側面の一例を図3に示す。
上記重合用溶液は、本明細書中、被重合溶液ともいう。
本発明の紫外線照射装置を備えたベルト重合機の一例を図2に示す。
上記重合室は、紫外線照射装置の外部との間にガスの出入りがある構造を有することが好ましい。例えば、本発明の紫外線照射装置における、重合室がガス入口及びガス出口を備えることにより、ガスをガス入口から重合室内に入れ、ガス出口から重合室外に出す構造を有する形態が好ましい。従って、ガスは、本発明の紫外線照射装置の外から重合室内に入り、重合室から再び紫外線照射装置の外に排出されることになる(例えば、図1参照)。このとき、重合室内の揮発性物質あるいは蒸気は、当該ガスに随伴あるいは搬送され、紫外線照射装置の外に排出されることは本発明のより好ましい形態である。これにより、より効率よく、本発明の紫外線発生器設置室内に、揮発性物質あるいは蒸気が入り込みにくくなる。これにより、当該ガスとともに重合用溶液から発生する揮発性物質を紫外線照射装置外に排出することができるので、光量を充分なものとすることができる。また光量の分布も均一なものとすることができる。
上記ガスは、例えば空気等であってもよいが、不活性ガスであることが好ましい。不活性ガスとは、有機反応において一般に不活性ガスとされるものであればよく、例えば窒素、アルゴン等が挙げられるが、安価である点で窒素が好ましい。
本発明の紫外線照射装置が、紫外線発生器設置室がガス入口及びガス出口を備えることにより、ガスをガス入口から紫外線発生器設置室内に入れ、ガス出口から紫外線発生器設置室外に出す構造を有するものとすることができる。
ここで、ガスは、本発明の紫外線照射装置の外から紫外線発生器設置室内に入り、紫外線発生器設置室から再び紫外線照射装置の外に排出されることになる(例えば、図1参照)。
また必要に応じ、上記の桟と防護用ガラスとの間に、シリコン樹脂やフッ素樹脂や耐腐食性のゴムのパッキンやシール材を設置することもできる。
上限は、1.2気圧であることがより好ましい。更に好ましくは、1.1気圧である。下限は、1.005気圧であることがより好ましい。更に好ましくは、1.01気圧である。
上記ガスは、例えば空気等であってもよいが、不活性ガスであることが好ましい。不活性ガスとしては、有機反応において一般に不活性ガスとされるものであればよく、例えば窒素、アルゴン等が挙げられるが、安価である点で窒素が好ましい。
また蛍光灯型の紫外線発生器を設置する場合、設置のしやすさ、設置形態の変更のしやすさの点で、天井部は平面であることが好ましい。
これにより、紫外線発生器の取り付け工程、取り外し工程を経ることなく、簡便に光照射強度を重合に好適なものに調整することができる紫外線照射装置とすることができる。
本発明の紫外線照射装置は、ランプ電圧の異なる紫外線発生器を用いたり、紫外線発生器に反射笠を付けて照射強度を増したり、パンチングメタル等の減光板を設置する等して照射強度を減少させたり、インバーター制御により照射強度を増減させたりすることにより、照射強度を変更することも可能である。例えば、紫外線発生器が重合前段部と後段部とに分けられて配置され、重合前段部に調光可能な蛍光灯型紫外線発生器が設けられた構造を有する形態、重合後段部に調光が困難な高圧水銀ランプが設けられた構造を有する形態であってもよい。
上記紫外線発生器が、発光ダイオード以外の紫外線発生器であることが好ましい。より好ましくは、中紫外線発生器及び/又は近紫外線発生器である。中でも、上記紫外線発生器が近紫外線発生器であることが本発明の紫外線照射装置における特に好ましい形態である。中紫外線の波長範囲は、280〜315nmであり、近紫外線の波長範囲は、315〜400nmである(CIE/ICE国際照明用語集 第4版による)。
これにより、重合速度が適度なものとなり、重合温度、重合熱の制御がより簡単に行うことができ、特に高分子量ポリアクリル酸ナトリウムのような超高分子量重合体を光ベルト重合で製造する場合に最適となる。
上記長軸どうしの間隔とは、本明細書中、蛍光灯型紫外線発生器の長軸方向の向きであり該発生器の中心を通る直線どうしの間隔を意味し、例えば図4における間隔(B)である。間隔(A)は、本明細書中、蛍光灯型紫外線発生器の長軸どうしの間隔には該当しないものである。
このように蛍光管を密に配置することにより、照射をより充分なものとすることができ、また光量分布を均一にすることができるため、本発明の効果をより充分に発揮することができる。
これにより、重合後段において、重合用溶液に対して照射される光量を高めることができ、高品質の水溶性重合体を製造する際に有利となる。
例えば、紫外線照射装置において、蛍光灯型紫外線発生器を取り付けられる際に、先ずベルト基材(重合用溶液)上に蛍光灯型紫外線発生器をベルト基材の進行方向に沿って直列に並べていき、残った蛍光灯型紫外線発生器の長軸長さより短い部分には、蛍光灯型紫外線発生器の長軸方向がベルト基材の進行方向と垂直方向に配列される形態が挙げられる。
このように蛍光灯型紫外線発生器を配列することにより、光量を充分なものとしながら無駄な照射光を実質的に防止できる。
例えば、重合前段部側において蛍光灯型紫外線発生器がベルト基材の進行方向に沿って配列され、重合前段部側及び重合後段部側の残りのベルト基材部分において蛍光灯型紫外線発生器がベルト基材の進行方向と垂直方向に配列された構造を有する形態であってもよい。更に、蛍光灯型紫外線発生器の設置密度が低い領域と高い領域とを有し、ベルト基材の進行方向側に該高い領域が配置されている形態が好ましい(例えば、図1参照)。
装置:UVメーター
メーカー:株式会社カスタム
型式:本体 UVA−365
センサー:UVセンサー(スペクトラ応答性 300nm〜400nm〔355nm中心ポイント〕)
上記上限は、88%がより好ましい。更に好ましくは、85%である。上記下限は、73%がより好ましい。更に好ましくは、75%である。特に好ましくは、78%である。
上記防護用ガラスの厚みの下限は、3.5mmであることがより好ましい。更に好ましくは、4mmである。上限は、19mmであることがより好ましい。
例えば、上記防護用ガラスは、厚みが4〜19mmであることが特に好ましい。
本発明のベルト重合機は、通常のベルト重合機のベルト基材上に本発明の紫外線照射装置を取り付けたもので、連続的に水溶性重合体含水ゲルを得ることができ、当該含水ゲルを乾燥工程等に供することにより、水溶性重合体を効率よく製造することができる。
上記ベルト基材の具体例としては、樹脂製、スチール製、鉄製等が好適である。
より好ましくは、樹脂製、スチール製であり、更に好ましくは、スチール製である。上記スチール製ベルト基材の材質としては、SUS301、SUS304、SUS316、SUS316L等のSUS製や炭素鋼(CS)等、公知のものが使用できる。これらの中でも、SUS製の伝熱性基材が好ましい。より好ましくは、SUS301、SUS304、SUS316、SUS316Lであり、更に好ましくは、SUS301、SUS304である。上記ベルト基材は、ベルト基材上に離型材を有する形態であってもよい。
上記ベルト進行方向側の幅(重合長)としては、1m以上が好ましく、また、30m以下が好ましい。上限は、より好ましくは25mであり、更に好ましくは20mである。下限は、より好ましくは2mであり、更に好ましくは3mである。
本発明の水溶性重合体の製造方法における紫外線照射装置、ベルト重合機の好ましい形態は、上述した本発明の紫外線照射装置、ベルト重合機の好ましい形態と同様である。
上記水溶液重合においては、窒素ガス等の不活性ガスをバブリングする等の方法により、重合用溶液中に溶解している溶存酸素を予め除去した状態で重合を行うことが好ましい。
上記含水ゲルと接するベルト面とは、重合室の底面をいい、ベルト基材の上面を意味する。
上記水溶液重合において、単量体成分を含む水溶液の層厚は、5〜50mmが好ましい。5mm未満であったり、50mmを超えると、得られる重合体に単量体成分が残存するとともに重合体の分子量が充分には高くならないおそれがある。
上記重合用溶液中の単量体成分の重合開始時の濃度は、重合に使用する全単量体成分を含む反応液を100質量%として、20〜60質量%であることが好ましい。20質量%未満であると、単量体成分の濃度が小さ過ぎて重合が充分進まないおそれがあり、60質量%を超えると、重合反応が暴走するおそれがある。
本発明において、ピーク温度とは、重合開始後に反応液の温度が上昇した後に降下又は同温度を保持するときに形成されるピーク温度(極大値)であり、一次ピーク温度とは、該ピークが一つできる場合にはそのピーク温度を意味し、該ピーク温度が複数できる場合には、最初のピーク温度を意味する。
上記一次ピーク温度の制御は、光強度をコントロールすることによっても可能である。例えば光強度が10W/m2を超えると、光量が高過ぎて一次ピーク温度が90℃を超え、充分に高い分子量の重合体を得ることができず、また、不溶解分が多く発生するおそれがある。下限値としては、1W/m2であることが好ましい。1W/m2未満であると、重合反応を充分に促進できないおそれがある。
上記光強度を異なるものとする形態は、本発明の紫外線照射装置において上述した方法を用いて照射強度を適宜増減させることにより達成することができる。
上記光重合開始剤としては、その作用効果を発揮するものであればよいが、例えばアゾ系開始剤が好ましい。アゾ系開始剤としては、2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン2塩酸塩等のアゾ系水溶性開始剤がより好ましい。
上記熱重合開始剤としては、水性媒体に可溶なものであればよいが、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾ系化合物、有機過酸化物等が好適である。
なお、上記重合用溶液は、単量体を含む溶液である。上記重合溶媒としては、水が好適に用いられる。また、水以外にも親水性有機溶媒等を適宜水と併用してもよい。親水性有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、低級エーテル類等が好適である。
また、重合を開始する温度は、50℃以下であることが好ましい。
上記残存単量体濃度(残存モノマー濃度)は、例えば重合体がポリアクリル酸ナトリウムである場合、「食品添加物公定書」、第7版、p.436−437、又は、「飼料添加物の成分規格等収載書」、第10版、p.239−240に記載の純度試験の項に記載の以下の方法で測定されるものである。
〔臭素付加法〕
本品(重合体)約1gを精密に量り、300mlのヨウ素瓶に入れ、水100mlを加え、時々振り混ぜながら約24時間放置して溶かす。この液に臭素酸カリウム・臭化カリウム試液10mlを正確に量って加え、更によく振り混ぜ、塩酸10mlを手早く加え、直ちに密栓して再びよく振り混ぜた後、ヨウ素瓶の上部にヨウ化カリウム試液約20mlを入れ、暗所で20分間放置する。次に栓を緩めてヨウ化カリウム試液を流し込み、直ちに密栓をしてよく振り混ぜた後、0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する(指示薬デンプン試液2mL)。別に同様の方法で空試験を行い、次式により含量を求める。
b:本試験における0.1mol/1チオ硫酸ナトリウム溶液の消費量(ml)
上記不溶解分は、イオン交換水499gに水溶性重合体1.0gを添加し、50分間攪拌した後に25℃とし、500μmの網目のふるいを用いて濾過することにより、含水状態の不溶物を取り出し、下記計算式;
不溶解分(質量%)={不溶物の質量(g)/500(g)}×100
に基づいて算出される値である。なお、本明細書中、不溶解分は、水溶液中のアクリル酸(塩)系水溶性重合体を上記フィルタで濾過後、1分以内に測定される値とする。なお、濾過及び秤量は、25℃、湿度60%以上の条件で行う。
図1に示した紫外線照射装置を備えた図2のベルト重合機を用いて重合を行った。
該重合機は、重合に先立って以下の条件に調整されている。
気相部酸素濃度が8vol%となるように、重合室内は重合室のガス入り口2−5より連続的に窒素が導入されている。重合室内における一次重合ゾーンにおけるベルト基材中央上部の近紫外線強度は3W/m2となるように調光されている。また、二次重合ゾーンにおけるベルト基材中央上部の近紫外線強度は、13W/m2となるように調光されている。
ベルトスピードは36.5cm/minとなるように調整されている。該条件下、アクリル酸ナトリウム36%、グリセリン2.5%(対アクリル酸ナトリウム)、光重合開始剤としての2,2´−アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩0.03g/モル(対アクリル酸ナトリウム)を含むpH10.0で溶存酸素が5ppmの重合液を図2の2−8で示した重合用溶液の供給口より、500kg/Hrの割合で供給した。約25分経過後、ベルト基材の終端部より厚みが約15mmの含水ゲルが連続的に製造された。両端に存在する端ゲル(エッジロープより中央部に向けて10cmまでのゲル)を一つにまとめ以下の手順に従って乾燥粉末を得た。また、端ゲルとは別に中央部に存在するゲルを端ゲルと同様に処理して乾燥粉末を得た。
一次重合ゾーン横置(低密度部)は、38本であり、200mm間隔で設置されている。
二次重合ゾーン横置(高密度部)は、31本であり、63mm間隔で設置されている。
紫外線発生器(UV蛍光ランプ)の仕様は、メロウライン(品名、管長1.2m、定格ランプ電力45Wのブラックライト、型名「FHF32BLB」、東芝ライテック社製)である。なお、上述の蛍光灯型紫外線発生器の本数については、一次重合ゾーンと二次重合ゾーンとの境界に位置する蛍光灯型紫外線発生器は二次重合ゾーンに設置されたものに含めて記載している。また、図2に示されるベルト重合機に備えられる場合には、蛍光灯型紫外線発生器の長さが1230mmであり、重合性溶液をせきとめるためのエッジロープ2−17の間隔が1330mmであるため、蛍光灯型紫外線発生器とエッジロープとの間にそれぞれ50mmの間隔が生じている。
強化ガラスの仕様は、タフライト(厚み4mmの強化ガラス、日本板硝子社製)である。
なお、図中の両端矢印に付された数値は長さ(mm)を表す。
紫外線照射装置の天井板、側板の仕様は、SUS304板である。
また、表1中のUV透過率は、防護ガラスの運転開始前におけるベルト基材面上の近紫外線強度が3W/m2となるように調光した場合の紫外線透過率である。紫外線発生器の光照射強度(近紫外線強度)は、ベルト基材直上において測定される光照射強度であり、光照射強度は、下記の光量計で測定した。
装置:UVメーター
メーカー:株式会社カスタム
型式:本体 UVA−365
センサー:UVセンサー(スペクトラ応答性 300nm〜400nm〔355nm中心ポイント〕)
このような運転条件でトータル30日間稼働した。その間、運転開始後15日目に防護用ガラス全てを洗浄し、再稼働し15日間運転しトータル30日間稼働した。物性測定用のゲルは運動開始後30日後の防護用ガラス洗浄直前にサンプリングしたものである。
上記30日稼働後であり防護ガラス洗浄直前にベルト基材終端部より排出される中央部ゲルをミートチョッパー(平賀工作所製、No.32E型、ダイス径4.5mmΦ)で押出す。
該押出しゲルを200℃で40分間乾燥する。風向はUPフローでありその線速は1.5m/Sである。このようにして乾燥された乾物を卓上粉砕機で粉砕した後、20メッシュパスとなるように分級して乾燥粉末を得た。
上記乾燥粉末の、溶液粘度、残存単量体、不溶解分を測定し、結果を下記表1に示した。
容量500mlのビーカーにメタノール20mlを入れた後、水溶性ポリ(メタ)アクリル酸塩を純分として1g添加する。マグネチックスターラーで攪拌しながら、イオン交換水500mlを添加した後、ジャーテスターを使用し100rpmで50分間攪拌溶解させた後、30℃に温度調整してB型粘度計(株式会社トキメック社製)を用いて30rpmの回転数で測定した。
下記表1に示した条件を変えた以外は実施例1と同様に重合した。結果を下記表1に示した。なお、実施例2においては防護用強化ガラスの厚みは19mmとした。また、実施例3における防護用強化ガラスの厚みは3mmとした。
※2:実施例7における遠紫外線ランプの仕様は、殺菌ランプ GL30形(東芝ライテック社製)であった。
下記表2に示した条件を変えた以外は実施例1と同様にした。また、評価結果を下記表2に示した。
比較例1については、物性の評価に用いた乾燥粉末は、運転開始30日後で、ガラスを洗浄していないベルト重合機を用いて得られたものであった。比較例1に関しては、中央部で得られたゲルと、端ゲルとの両方について評価を行った。端ゲルの粘度は480mPa・sであり、残留単量体量は3.2%であり、不溶解分は3.4%であった。また、中央部のゲルに関しては、粘度は550mPa・sであり、残留単量体量は2.0%であり、不溶解分は2.3%であった。
比較例2については、物性の評価に用いた乾燥粉末は、運転開始30日後のベルト重合機を用いて得られたものであった。
実施例1の紫外線照射装置は、分割されたガラスを装着・脱着することができる構成を有することから、紫外線照射装置を工業的な工程において運転する際に防護用ガラスを効率よく洗浄することができる。そのため、連続的に、繰り返し運転する間に防護用ガラスを洗浄することによって、防護用ガラスの汚染により光強度が弱くなり、水溶性重合体の製品品質に影響を与えるということを充分に防止し、均一かつ充分な光強度を得ることができる。例えば、比較例1では、光重合開始当初は防護用ガラスの汚れ付着もなく、UV透過率は表2にあるように80%であったが、連続稼働させるに従ってガラス表面に汚れが付着し、UV透過率がしだいに低下していく。つまり、防護ガラスの洗浄が不可能な場合、汚れ等でUV透過率が低くなり、その場所のゲルの残存単量体が増加することとなる。また、洗浄が行われない場合には、光重合により発生する防護用ガラスの面内での汚れの分布が大きくなるため、洗浄を行わない場合には、製造されるゲルの均一性も低下することとなる。例えば、実施例1では、中央部と端部との残留単量体の量の差異が0.7%であったのに対し、比較例1では、その差異が1.2%に増加している。また、防護ガラスの経時的な汚れに対して、光量を増加して対応を試みる場合には、中央部等で光量過多となる場所が出始め、不溶解分が増加する場所も発現した。よって比較例1のような防護用ガラスを装着・脱着できない形態では、トータルとしてガラスの洗浄効果がない場合の光ベルト重合における問題点を示すこととなる。
また、実施例1の紫外線照射装置は、天井板、側板を有するものであり、当該天井板及び側板の内面が紫外線を反射する材料で構成されている。そのため、紫外線発生器から当該内面に照射される光が乱反射されて重合用溶液側に照射されることになり、重合用溶液に対して照射される光強度をより均一かつ充分なものとすることができる。
これに対して比較例1は、分割されたガラスを装着・脱着することができる構成を有するものではなく、また天井板、側板を有するものでもない。
これらのことから、紫外線照射装置を工業的に連続的に、繰り返し運転する場合、本発明の実施の形態においては、光強度をより均一かつ充分なものとすることができ、それによってベルト基材端部、中央部のいずれにおいても高品質な水溶性重合体を得ることができるといえる。従来技術においては、分割されたガラスを装着・脱着することができる構成、反射する材料で構成された天井板、側板を有するといった構成を取ることによって、このような効果を予測できるものではなく、この点で本発明は従来技術に対して工業的に有用な技術的貢献を示すものである。
更に、実施例1と防護用ガラスが無い比較例2とを比較すると、実施例1は上述したとおり紫外線発生器の腐食が無いが、比較例2は腐食が有る。すなわち、比較例2のように防護用ガラスがない状態では、重合室からの揮発性物質が直接ブラックライト(紫外線発生器)の電気回路等に影響を及ぼす形態となる。このような場合、連続稼働することによって、ブラックライトの電気回路周辺部に錆が発生し始め、30日間の運転日数の途中で一部のブラックライトが錆等の腐食のために電気が通じなくなる。そして、運転期間の途中で作動しなくなったブラックライトが多くなると、不足した光量を、個々の蛍光灯型紫外線発生器の光量アップ(電圧アップ)等で対応することもできなくなり、光量が不足し始め、不充分な重合の状態のゲルしか製造できなくなる。
このように、本発明の実施形態においては、紫外線発生器が揮発性物質に接触して漏電や腐食が生じることを防ぐうえで有用な構成を有するものである。
1−2、2−2、3−2:防護用ガラス
1−3、2−3:紫外線発生器設置室のガス入口
1−4、2−4:紫外線発生器設置室のガス出口
1−5、2−5:重合室のガス入口
1−6、2−6:重合室のガス出口
1−7、2−7:カーテン
1−8、2−8:重合用溶液の供給口
1−9:紫外線照射装置
1−10、2−10、3−10:桟
1−11、2−11:天井板
1−12、2−12:側板
1−17、2−17:エッジロープ
2−13:重合用溶液(またはゲル)
2−14:ベルト重合機
2−15:ベルト基材の進行方向
2−16:ベルト基材
3−17:トレイ
3−18:トレイ取り出し口
3−19:のぞき窓
Claims (6)
- 可動式ベルト基材上に供給されてなる、重合性単量体を含む重合用溶液に光を照射し、連続的に重合を行うために使用する紫外線照射装置であって、
該紫外線照射装置は、ベルト基材上に天井板及び側板を備え、該天井板にベルト基材面を照射する向きに紫外線発生器が取り付けられ、該天井板及び側板がそれらの内面で紫外線を反射する材料で構成され、
更に、紫外線発生器が備わった紫外線発生器設置室と重合用溶液が供給され展開される重合室に分かれるように防護用ガラスで仕切られた構造を有し、該防護用ガラスが、側面から装着及び脱着できるように複数枚に分割して設置されている
ことを特徴とする紫外線照射装置。 - 前記防護用ガラスは、その近紫外線透過率が70〜90%であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
- 前記紫外線発生器は、近紫外線発生器であることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線照射装置。
- 前記紫外線照射装置は、重合室がガス入口及びガス出口を備えることにより、ガスをガス入口から重合室内に入れ、ガス出口から重合室外に出す構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の紫外線照射装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線照射装置を備えたことを特徴とするベルト重合機。
- 請求項5に記載のベルト重合機を用いて、重合性単量体を含む重合用溶液に光を照射し、連続的に重合を行う工程を含むことを特徴とする水溶性重合体の製造方法。
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