JP5588686B2 - 紫外線照射装置、ベルト重合機及び重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、重合体を含む溶液の粘度や重合体の分子量が高いものや、重合体中に残留する単量体の量等が少なくて高品質のものは、特に水溶性重合体として製造されるものは、増粘剤、めん類のほぐれ促進剤や豚の胃潰瘍防止剤用等のように、食品用添加剤や飼料用添加剤等として好適に用いられている。その他、医薬分野においては、湿布薬、パップ剤の粘着性、保水性の向上を目的とした添加剤や親水性軟膏基材として使用され、塗料分野においては、カーペット用コンパウンドの増粘剤、塗料の増粘剤や粘着剤、粘着性向上剤として使用されている。また、製造プロセスの分野においては、アルミナ製造時の赤泥沈降剤、ソーダ工業における塩水精製用凝集剤として多用されている。更に、土木・建築分野においては、掘削土処理剤や浚渫土処理剤、加泥剤として使用され、その他一般工業分野においても、吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤、各種増粘剤として使用され、製紙、洗剤、化粧品、水処理、繊維処理、農・園芸、接着剤、窯業等、様々な技術分野において有用なものである。
近年においては、紫外線照射装置を備えるベルト重合機を用いた製造方法によって高品質の重合体を連続的に製造することは、各種工業化学製品に好適な重合体を安定的に供給するための技術として更に重要性を増している。このような中、紫外線照射装置を備えるベルト重合機に関する新たな技術開発が待たれるところであった。
特に、従来技術における紫外線照射装置は、ベルト重合機のベルト基材上に紫外線発生器(UVランプともいう)が並べて設置されただけのものであり、UVランプの設置に関する工夫は認められない。これら従来技術においては、UVランプがベルト基材上の端から端まで並べられただけのものや、光透過性材料(ガラス)によってベルト基材上で隔てられてUVランプが並べて設置されたものが紫外線照射装置に該当することになる。
このような重合装置によって光ベルト重合方法を実施する場合、UVランプの照射強度が低下し、また光量の分布均一性も低下することになり、ひいては、生産効率の低下、製品品質の低下、製品均一性の低下などを引き起こすことになる。光ベルト重合方法による連続生産においては、生産効率の低下はコスト上昇に跳ね返ることになる。UVランプの照射強度低下に対してワット数を高めたりUVランプの本数を増やしたりして対応したとしても、製品均一性の低下等を抑制することは難しく、そもそも効率的ではなく、省エネ化が求められる昨今の情勢に反することになる。
これによって、実質的にUVランプ表面温度を制御することとなり、UVランプの照度(光量)を適切に保つことが可能となる。ベルト重合機を使用して重合体を連続的に製造する方法においては、その生産効率や製品品質を格段に向上することができる。
本発明の好ましい形態としては、(1)複数個の室に分かれている、(2)各室は独立して冷却用ガスで温度調整している、(3)冷却用ガスの吸気、排気が独自の方式を採用しているなどのことが挙げられる。本発明の紫外線照射装置、ベルト重合機及び重合体の製造方法においては、高い照射強度で重合できる、紫外線発生器の本数が少なくできる、省エネである、光量の分布をより均一化でき、重合体の品質も均一化できるといった有利な効果を奏することができるものである。
なお、本発明の検討を進める中で、当初はUVランプの照度とUVランプ周辺の雰囲気温度とが関連しているものと考えていたが、UVランプの雰囲気温度を調整してもUVランプの照度の維持などに有効ではないことが判明した。通常では、UVランプ周辺の雰囲気温度よりもUVランプ自身の表面温度の方が高く、該表面温度による影響が大きいものと推察される。本発明においては、紫外線照射装置室における排気ガスの温度範囲の設定が実質的にUVランプ表面温度を制御すること、ひいてはUVランプの照度(光量)に大きな影響を与え、上記効果を奏することを見出したものであるが、排気ガスの温度範囲を設定することは、ベルト重合機を用いる各種の生産設備の設計、作製面において充分に実施可能であり、工業的な適応性が高く、この点においても有利であると言える。
以下に本発明を詳述する。
なお、本明細書中、可動式ベルト基材を単にベルト基材ともいう。
本発明の紫外線照射装置(24)は、ベルト基材(19)面を照射する向きに取り付けられた多数の紫外線発生器(1)、(2)が備わった紫外線発生器設置室(23)によって構成されるものである。
上記紫外線発生器設置室(23)の好ましい形態としては、ベルト基材(19)上に天井板(6)及び側板(7)、(8)を備え、該天井板の内面に、ベルト基材方向に光が照射されるように紫外線発生器のランプ部分(1)が取り付けられた形態である。より好ましくは、該天井板(6)及び側板(7)、(8)がそれらの内面で紫外線を反射する材料で構成される形態である。これにより、紫外線発生器から天井板の内面及び側板の内面に照射される光が外部に漏れることなく、効率良く乱反射されて重合用溶液側に照射されることになり、紫外線発生器設置室からの排気ガス温度の制御による光量安定化効果などと相まって、重合用溶液に対して照射される光強度をより均一かつ充分なものとすることが可能となる。更に、品質が実質的に一定で残留単量体含量の少ない高品質の重合体を効率よく安定に製造することが可能となる。
なお、上記ベルト基材上に天井板及び側板を備えた紫外線照射装置は、本発明の技術分野において紫外線照射装置の上面部及び側面部が外部から仕切られていると認められる構造であればよい。具体的には、本発明の紫外線照射装置が、ベルト基材を覆うような構造であり、また、側板はベルト基材の端部付近に略垂直に設置され、当該天井板は側板に支えられている形態とすることが好ましい。
すなわち、本発明の紫外線照射装置の好ましい形態は、図1(図1−1が本発明のベルト重合機を上方から見た概念図であり、図1−2が側方から見た概念図である)に示すとおりである。
上記紫外線発生器設置室は、複数個の室に分かれた構造を有することが好ましい。
すなわち、複数個の各室が別個に形成されたり(例えば、別個に形成された複数個の各室をベルト基材上に連ねて設置した形態)、各室に仕切られて形成されたり(例えば、長く連なっていた紫外線発生器設置室に仕切板を設けて各室に分けた形態)することによって、ベルト基材上に配列されていることが好ましい。ガスの出入りによる排気ガスの温度調節が各室において可能な程度に分かれていればよい。
図1は、ベルト基材上に複数個の各室が配列された一つの形態を例示している。この形態においては、複数個の室をベルト基材の進行方向順に第1室から第8室としている。紫外線発生器の室内での取り付けは、第1室がベルト基材進行方向と紫外線発生器の長尺方向とが交叉するように、第2室から第5室までがベルト基材進行方向と紫外線発生器の長尺方向とが同じとなるようになされている。第6室から第8室も第2室から第5室までと取り付け方向的には同じであるが、紫外線発生器の設置密度が密となっていて、1室あたりの光量が大きく設定されている。第1室から第5室までが重合用(1次重合ゾーン)の紫外線発生器設置室であり、第6室から第8室が後述する残モノ減少用(2次重合ゾーン)の細密配列紫外線発生器設置室である。
例えば、各室の大きさに関しては、第2室から第8室までのように、ベルト基材進行方向と紫外線発生器の長尺方向とが同じとなるように紫外線発生器が室内に取り付けられる場合には、紫外線発生器の長尺方向の寸法によって1つの室の長さ(ベルト基材進行方向の長さ)を設定することができる。なお、図1においては、紫外線が照射されるベルト基材の長さ(重合長)と紫外線発生器設置室を全て合わせたベルト基材進行方向の長さとを合わせるために、第2室から第8室とは異なる大きさの第1室を設けることによって調整されている。このように各室の大きさ、設置個数、設置方法を適宜調整することによって、紫外線が照射されるベルト基材の長さ(重合長)と紫外線発生器設置室を全て合わせたベルト基材進行方向の長さとを調整すればよい。
各室に設置される紫外線発生器(好ましくは蛍光灯型紫外線発生器)の本数としては、1次重合ゾーンは1〜20本が好ましく、5〜15本がより好ましい。2次重合ゾーンは5〜30本が好ましく、10〜25本がより好ましい。また、上記第1室は、1〜10本が好ましく、2〜7本がより好ましい。
なお、紫外線発生器設置室は、その形状や材質において内面で紫外線を反射できるようなものであることが好ましい。形状としては、ベルト基材進行方向又は交叉方向から見て、角型やドーム型等が挙げられる。
上記ランプ室と安定器室とに分ける天井板は、ランプから発生した光がベルト基材面に反射するように、下側が反射材料となっていることが好ましい。
更に、図1においては、安定器の上側にも板(紫外線発生器設置室の上側に設けられた板(5))が設置され、ゴミや埃などが安定器などにかからないような構造となっている。
なお、これら紫外線発生器設置室における構成は、本発明における必須の構成ではないが、これらの構成を採用することによって、本発明の必須の構成要素と相まって、本発明の作用効果をより効果的なものとすることが可能となる。
また後述する原料の重合性単量体の種類によっては、アクリルアミド等の毒性の高い重合性単量体や、(メタ)アクリレート等の揮発性の高い重合性単量体もあるが、本発明の紫外線照射装置の上記好ましい形態は、そういった重合性単量体を扱うときにも有利となる。
更に好ましい形態としては、上記防護用ガラス(4)が、側面から装着及び脱着できるように室毎に設置されている形態である。このような形態であれば、防護用ガラスが汚染した時に洗浄する際に、側面から防護用ガラスを容易に装着及び脱着することができる。これによって、本発明が採用する特定の構造である紫外線照射装置においては、長期にわたる重合体の製造に使用しても、防護用ガラスの汚染により光強度が弱くなることや、ベルト面の光量が不均一化するために残留単量体含量が増えることを防止することができる。そして、紫外線発生器設置室からの排気ガス温度の制御による光量安定化効果などと相まって、更に優れた効果を奏することが可能となる。
上記紫外線発生器設置室と重合室とを仕切るガラスは、好ましくは、揮発性物質や蒸気の防護用ガラスであり、防護用ガラス又は蒸気防護用ガラスと表現される。
外部との間にガスの吸気(吸入)と排気とを行う構造としては、室のどこかに吸気口や排気口を設ける、室に隙間を作って吸気や排気が行われるようにする、吸気装置や排気装置を備える、などが挙げられる。好ましい形態としては、室に吸気するための隙間及び/又は吸気口を作り、更に排気口を設け、排気口においてガスを吸引することによって排気を行う形態である。このような形態において、紫外線発生器設置室の外部との間にガスの吸気と排気とが行われるようにすればよく、例えば、吸気においては、紫外線発生器設置室周囲の空気が吸気されるようにする、ベルト重合機が設置された部屋の外の空気が吸気されるようにする、冷却用ガス発生器から冷却用ガスが吸気されるようにする、などの形態が挙げられる。排気においては、紫外線発生器設置室周囲に排気されるようにする、ベルト重合機が設置された部屋の外に排気されるようにする、冷却用ガス発生器に戻すようにして排気されるようにする、などの形態が挙げられる。
排気ガスの温度が10℃未満であれば、紫外線発生器のランプ部分の温度低下によって光量の低下が生じることになる。60℃を超えると、逆に温度上昇によってランプやその電気系統の寿命に影響を及ぼし、寿命低下をきたすことになる。また、光量の低下に影響し、特に長期間の高温状態は、光量の低下を引き起こすものと推察される。排気ガスの温度を10〜60℃に制御する技術的意義は、上記したようにランプ表面温度を適度に保ち、光量を確保することによって、重合用溶液に対して照射される光強度をより均一かつ充分なものとするところにある。紫外線発生器のランプ表面温度は、ランプから発生する光量に関係し、表面温度範囲としては、10〜70℃であることが好ましい。より好ましくは、25〜65℃であり、更に好ましくは、25〜50℃である。このような範囲であれば、光量安定化(光量低下の抑制、均一性の維持)に効果的である。
本発明においては、紫外線発生器設置室からの排気ガス温度の制御という、工業的に容易に制御できる手法によって光量安定化を達成できたというところにも技術的意義があり、これによって、ベルト重合機を用いた生産工程において制御容易な方法により光量安定化、生産安定化を図ることが可能となる。
しかし、上記複数個の紫外線発生器設置室は、各室が独立して排気ガスの温度を制御する構造を備えたものである方が、排気ガス温度の制御の容易性、簡便性等から好ましい。
本発明において、排気ガスの温度を制御するのは、紫外線発生器におけるUVランプ表面温度を適切に保つことが目的であるが、紫外線発生器設置室が繋がっていてUVランプの数が多くなる場合や、各室独立して排気ガスの温度制御がなされない場合は、室内ガスが多くのUVランプの発熱によって温められ、温度制御が容易ではなくなり、それによってUVランプに対する冷却効率が低下し、また室内温度の均一性が低下するおそれがある。特に、UVランプの端の部分の温度が高くなるが、各室が繋がった形態であれば、UVランプの端に当たったガスが温められ、多く並べられたUVランプに当たったガスが次々に温められ、ガス温度が大きく上昇することになる。
このような場合、すなわち紫外線発生器設置室がベルト基材上の全体に渡って繋がっている場合に、排気口が少ないと(例えばベルト基材上の前後2箇所だけの場合)、排気ガスを特定の範囲内で温度制御するに足りず、温度制御を充分に実施することができないおそれがある。これに対して、各室が独立して排気ガスの温度を制御する構造であれば、容易に温度制御を行うことが可能となる。各室が独立した形態においては、その他にもランプ交換などの便宜性が良いというような効果もある。
上記のように各室が独立し、個々の室毎に排気ガスの温度を制御する(各々の室毎に温調する)構造である場合、例えば、ガスの排気量を制御することによって排気ガスの温度を制御する場合、個々の室毎にガスの排気量を制御する形態や、個々の室毎に排気ガスの温度を温度センサーによって測定し、排気ガス量を調整する形態が好ましい。なお、その他の形態としては、複数個の室に分けられた形態において、一括してガスの排気量を調整してもよい。すなわち、室毎に排気量を調整するのではなく、各室の排気ガスを集めて排気する際に集められた排気ガスの排気量を一括して制御してもよい。
本発明における紫外線発生器設置室においては、ガスを吸気して排気することによって排気ガス温度を制御することになるが、どの位置からどのようにガスを吸気して排気するかによって室内のガスの流れが変わり、室内にあるUVランプの表面温度分布に影響を与えることになる。上記したように、UVランプにおいては、端部の温度がそれ以外の部分よりも高温となり、この端部をどのように冷却するのかが重要である。
図2に、上記好ましい形態の概念図を示す。この図においては、紫外線発生器が一定方向に並列して設置され、紫外線発生器の長尺方向に平行な辺側の全体からガスを吸気している。この場合、紫外線発生器の長尺方向に平行な辺(側板(7))にはガスの吸気が行われるように隙間が形成されている。ガスの排気については、紫外線発生器の端部が並んでいる辺の近傍における中央部の天井板に穴が開けられ、そこからガスが吸引されて排気されるようになっている。図2においては、天井板(6)のUVランプ両端部近傍の中央部2箇所に排気口(9)が設けられ、そこに蛇腹構造の排気管(図1−2における(11))が繋げられて排気されるようにされている。図中の矢印(13)は、吸気ガスの流れを概念的に示したものである。
なお、図1においては、紫外線発生器設置室の第1室において天井板の中央部からガスが排気されるように構成されているが、このように紫外線発生器の設置本数が少なく(例えば、好ましくは1〜10本、より好ましくは2〜7本)、通常の紫外線発生器設置室よりも小さい室の場合には、上記のような構成としてもよい。
例えば、本発明の紫外線照射装置の必須の構成以外における好ましい形態をまとめると次のようになる。すなわち、ベルト基材上に天井板及び側板を備え、該天井板にベルト基材面を照射する向きに紫外線発生器が取り付けられ、該天井板及び側板がそれらの内面で紫外線を反射する材料で構成され、更に、紫外線発生器が備わった紫外線発生器設置室と重合用溶液が供給され展開される重合室に分かれるように防護用ガラスで仕切られた構造を有し、該紫外線発生器設置室が複数個の室に分けられ、且つ、該防護用ガラスが紫外線発生器設置室毎に複数枚に分割して設置され、複数個の室において側面から装着及び脱着できるように設置されている形態である。
上記紫外線を反射する材料で構成されるという技術範囲には、紫外線が反射される材質の採用や紫外線の反射を促す表面処理が含まれる。例えば、金属以外の材質であっても上記内面が紫外線を反射できる材料で構成されていればよい。具体的には、紫外線発生器設置室の内面と重合室の内面とが、同一又は異なって、例えば、(1)通常の金属板単独である形態、(2)通常の金属板単独又はそれ以外のものに、更に反射フィルムを貼った形態、(3)鏡等である形態のいずれかにより構成されたものであってもよい。金属板としては、内面をガラスコート処理したものを用いてもよい。例えば、SUS板、アルミニウム板、鉄の板等が挙げられ、中でもSUS板が好ましい。SUS板は、通常のSUSを使用することができるが、研磨処理し反射率を高める処理等を実施したものであってもよい。これにより、上記内面側に照射される光をより充分に反射することができる。これらの内面反射形態によって、本発明の効果と相まって重合用溶液に照射される光をより均一かつ充分な光量のものとすることができる。
具体的には、例えば防護用ガラスがトレイ(桟)上に載せられており、各室における桟は、ベルト基材の進行方向に対して横断する向きに紫外線照射装置中に架設されることが好ましい。これにより、該トレイを紫外線照射装置におけるベルト基材の進行方向の側方側の側面から引き出すことにより、洗浄目的等で容易に防護用ガラスを側面から装着及び脱着することができる。また必要に応じ、上記トレイ(桟)と防護用ガラスとの間に、シリコン樹脂やフッ素樹脂や耐腐食性のゴムのパッキンやシール材を設置することもできる。更に、ベルト基材の進行方向の側方側の側面にのぞき窓があれば、防護用ガラスの汚れ等を視認することができ、また、紫外線発生器が点灯しているのを確認することができる。
更に、防護用ガラスは、各室においてガラスをネジ等の固定具によって固定してもよいが、固定されておらず、桟の上に載っているだけであることが好ましい。ネジ等の固定具を用いてガラスを固定すると、固定具が落ちて重合用溶液中に入ってしまい、結果として製品中にも入ってしまうおそれがある。
従って、ガスは、本発明の紫外線照射装置の外から重合室内に入り、重合室から再び紫外線照射装置の外に排出されることになる(例えば、図1参照)。このとき、重合室内の揮発性物質や蒸気は、当該ガスに随伴、搬送され、紫外線照射装置の外に排出されることになる。これにより、重合用溶液から発生する揮発性物質を紫外線照射装置外に排出することができ、本発明の効果と相まって光量を充分なものとし、また光量の分布も均一なものとすることができる。
上記重合室に入れるガスとしては、例えば空気等であってもよいが、不活性ガスであることが好ましい。不活性ガスとは、有機反応において一般に不活性ガスとされるものであればよく、例えば窒素、アルゴン等が挙げられるが、安価である点で窒素が好ましい。
本発明の紫外線照射装置においては、ランプ電圧の異なる紫外線発生器を用いたり、紫外線発生器に反射笠を付けて照射強度を増したり、パンチングメタル等の減光板を設置する等して照射強度を減少させたり、インバーター制御により照射強度を増減させたりすることにより、照射強度を変更することも可能である。例えば、紫外線発生器が重合前段部と後段部とに分けられて配置され、重合前段部に調光可能な蛍光灯型紫外線発生器が設けられた構造を有する形態、重合後段部に調光が困難な高圧水銀ランプが設けられた構造を有する形態であってもよい。
従って、本発明における紫外線発生器としては、発光ダイオード以外の紫外線発生器であることが好ましい。より好ましくは、中紫外線発生器及び/又は近紫外線発生器である。中でも、上記紫外線発生器が近紫外線発生器であることが本発明の紫外線照射装置における特に好ましい形態である。中紫外線の波長範囲は、280〜315nmであり、近紫外線の波長範囲は、315〜400nmである(CIE/ICE国際照明用語集 第4版による)。これにより、重合速度が適度なものとなり、重合温度、重合熱の制御がより簡単に行うことができ、特に高分子量ポリアクリル酸ナトリウムのような超高分子量重合体を光ベルト重合で製造する場合に最適となる。
なお、本明細書中、紫外線発生器の光照射強度は、ベルト基材上において測定される光照射強度である。光照射強度は、下記の光量計で測定することができる。
装置:UVメーター
メーカー:株式会社カスタム
型式:本体 UVA−365(商品名)
センサー:UVセンサー(スペクトラ応答性 300nm〜400nm〔355nm中心ポイント〕)
なお、図1に示されるように、紫外線発生器設置室における複数個の室のうち、一部の室だけを上記(2)紫外線発生器の長軸方向をベルト基材の進行方向に対して垂直方向に配列し、その他の大部分を上記(1)紫外線発生器の長軸方向をベルト基材の進行方向に沿って配列してもよく、ベルト基材上における重合長や紫外線発生器の長さなどを勘案して適宜設定すればよい。
このように蛍光管を密に配置することにより、照射をより充分なものとすることができ、また光量分布を均一にすることができるため、本発明の作用効果を更に効果的に発揮することができる。
また、後述する第1次重合ゾーンの各室では、端(ベルト基材端部)において、蛍光灯型紫外線発生器間距離を中央部よりも短くすることが好ましい。例えば、ベルト基材端部の最も端に配置される蛍光灯型紫外線発生器とその隣に配置される蛍光灯型紫外線発生器の長軸どうしの間隔(端の2本の蛍光灯型紫外線発生器間距離)を両端共に15cm以下とすることが好ましい。ベルト基材の端部においては、中央部に比べて重合が充分に進行しにくいことから、ベルト基材端部における蛍光灯型紫外線発生器の配置を中央部よりも密にすることで、当該構成と本発明の構成とが相まって、ベルト基材の中央部と端部とで製造される含水ゲルの品質を均質化し、更に高品質化を実現することができる。
更に、後述する第2次重合ゾーンの各室においては、隙間なく蛍光灯型紫外線発生器を配置し、インバーター制御によって適正な光量となるように調整することが好ましい。
なお、UVランプを長時間使用すれば同じ電力量であっても照射強度が下がってくるため、第1次重合ゾーン及び第2次重合ゾーン共にインバーター制御による光量調整を行うことが好ましく、使用初期においては電力量を下げ、使用時間の経過とともに上げていくというように調整すればよい。
なお、一次重合ゾーン及び二次重合ゾーン共に蛍光灯型紫外線発生器の長軸方向がベルト基材の進行方向に沿って配列された構造とし、蛍光灯型紫外線発生器の設置密度だけを変更するものであってもよく、蛍光灯型紫外線発生器の長軸方向がベルト基材の進行方向に沿って配列された構造と当該進行方向に対して垂直方向に配列された構造とを有するものであってもよい。
上記上限は、88%がより好ましく、更に好ましくは、85%である。上記下限は、73%がより好ましく、更に好ましくは、75%であり、特に好ましくは、78%である。
また上記防護用ガラスは、重合用溶液から発生する揮発性物質から紫外線発生器を防護することができるガラスであればよいが、強化ガラスによって構成されるものであることが好ましい。強化ガラスの具体例としては、例えばタフライト(商品名、強化ガラス、日本板硝子社製)等が挙げられ、その厚みは、例えば、3mmのもの、4mmのもの、19mmのもの等がある。
本発明のベルト重合機は、通常のベルト重合機のベルト基材上に本発明の紫外線照射装置を取り付けたもので、連続的に重合体含水ゲルを得ることができる。
上記ベルト基材としては、樹脂製、スチール製、鉄製等が好適である。より好ましくは、樹脂製、スチール製であり、更に好ましくは、スチール製である。上記スチール製ベルト基材の材質としては、SUS301、SUS304、SUS316、SUS316L等のSUS製や炭素鋼(CS)等、通常用いられる材質のものを使用することができる。これらの中でも、SUS製の伝熱性基材が好ましい。より好ましくは、SUS301、SUS304、SUS316、SUS316Lであり、更に好ましくは、SUS301、SUS304である。このようなベルト基材は、ベルト基材上に離型材を有する形態であってもよい。
上記ベルト基材において、ベルト進行方向側の幅(重合長)としては、1m以上が好ましく、また、30m以下が好ましい。上限は、より好ましくは25mであり、更に好ましくは20mである。下限は、より好ましくは2mであり、更に好ましくは3mである。
また、ベルト進行方向に対して垂直方向側の幅(いわゆるベルト幅)としては、0.3m以上が好ましく、また、3m以下が好ましい。上限は、より好ましくは2.5mであり、更に好ましくは2mである。下限は、より好ましくは0.5mであり、更に好ましくは1mである。
上記製造方法における紫外線照射装置、ベルト重合機の好ましい形態は、上述した本発明の紫外線照射装置、ベルト重合機の好ましい形態と同様である。
なお、重合工程においては、窒素ガス等の不活性ガスをバブリングする等の方法により、重合用溶液中に溶解している溶存酸素を予め除去した状態で重合を行うことが好ましい。
なお、上記含水ゲルと接するベルト面とは、重合室の底面をいい、ベルト基材の上面のことである。重合工程における単量体成分を含む重合用溶液の層厚は、5〜50mmが好ましい。5mm未満であったり、50mmを超えたりすると、得られる重合体に単量体成分が残存すると共に重合体の分子量が充分には高くならないおそれがある。上記層厚は、水溶性重合体を調製する場合の単量体成分を含む水溶液の層厚として特に好適である。
上記ピーク温度とは、重合開始後に反応液の温度が上昇した後に降下又は同温度を保持するときに形成されるピーク温度(極大値)であり、一次ピーク温度とは、該ピークが一つできる場合にはそのピーク温度を意味し、該ピーク温度が複数できる場合には、最初のピーク温度を意味する。
また光強度をコントロールすることによっても可能である。例えば、光強度が10W/m2を超えると、光量が高過ぎて一次ピーク温度が90℃を超え、充分に高い分子量の重合体を得ることができず、また、不溶解分が多く発生するおそれがある。下限値としては、1W/m2であることが好ましい。1W/m2未満であると、重合反応を充分に促進できないおそれがある。重合工程における光照射時間としては、例えば、10W/m2以下の近紫外線の場合、照射時間が3分以上、100分未満であることが好ましい。3分未満であると、一次重合があまり進行せず、結果として高分子量の重合体が得られないおそれがある。100分以上であると、生産性が低くなるおそれがある。
なお、上述した光量(照射強度)及び照射時間の好ましい範囲は、1次重合ゾーンにおける好ましい範囲を意味するものである。
このように異なる強度の近紫外線を2段階に分けて照射することにより、単量体の重合が促進され、本発明の効果をより充分に発揮できる。光強度を異なるものとする方法としては、本発明の紫外線照射装置における上述した手法を用いて照射強度を適宜増減させることにより達成することができる。
上記(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる(メタ)アクリル酸塩、すなわち(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等が好適である。これらの中でも、水溶性重合体板状含水ゲルを調製する場合は、アクリル酸やアクリル酸塩を用いることが好ましく、より好ましくは、アクリル酸ナトリウムである。
α−ヒドロキシアクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド等の不飽和スルホン酸系単量体;(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸等の不飽和ホスホン酸系単量体が挙げられ、これら酸型単量体を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物等も挙げられる。
その他、(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、2−メチルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性単量体;3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ビニルアルコール等の水酸基を有する不飽和単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のカチオン性単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体等が挙げられる。
上記重合用溶液中の単量体成分の重合開始時の濃度は、重合に使用する全単量体成分を含む反応液を100質量%として、20〜60質量%であることが好ましい。20質量%未満であると、単量体成分の濃度が小さ過ぎて重合が充分進まないおそれがあり、60質量%を超えると、重合反応が暴走するおそれがある。
上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体は、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体部分中和塩及び/又は(メタ)アクリル酸水溶性重合体完全中和塩を意味するものである。
上記重合用溶液に用いられる重合溶媒としては、水が好適に用いられる。また、水以外にも親水性有機溶媒等を適宜水と併用してもよい。親水性有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、低級エーテル類等が好適である。
これらの基準は、特に水溶性重合体を製造する際に重要なものとなる。
上記重合体の残存単量体濃度としては、1.5質量%以下であることが好ましい。1.5質量%を超えると、品質が低いものとなり、本発明の作用効果を充分に発揮できないおそれがある。より好ましくは、1質量%以下である。
上記残存単量体濃度(残存モノマー濃度)は、例えば重合体がポリアクリル酸ナトリウムである場合、「食品添加物公定書」、第7版、p.436−437、又は、「飼料添加物の成分規格等収載書」、第10版、p.239−240に記載の純度試験の項における以下の方法で測定することができる。
〔臭素付加法〕
本品(重合体)約1gを精密に量り、300mlのヨウ素瓶に入れ、水100mlを加え、時々振り混ぜながら約24時間放置して溶かす。この液に臭素酸カリウム・臭化カリウム試液10mlを正確に量って加え、更によく振り混ぜ、塩酸10mlを手早く加え、直ちに密栓して再びよく振り混ぜた後、ヨウ素瓶の上部にヨウ化カリウム試液約20mlを入れ、暗所で20分間放置する。次に栓を緩めてヨウ化カリウム試液を流し込み、直ちに密栓をしてよく振り混ぜた後、0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する(指示薬デンプン試液2ml)。別に同様の方法で空試験を行い、次式により含量を求める。
b:本試験における0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の消費量(ml)である。
上記不溶解分の値は、イオン交換水499gに重合体1.0gを添加し、50分間攪拌した後に25℃とし、500μmの網目のふるいを用いて濾過することにより、含水状態の不溶物を取り出し、下記計算式;
不溶解分(質量%)={不溶物の質量(g)/500(g)}×100
に基づいて算出することができる。なお、本明細書中、不溶解分とは、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の場合、水溶液中の該重合体を上記フィルタで濾過後、1分以内に測定される値とする。濾過及び秤量は、25℃、湿度60%以上の条件で行う。
好ましくは、水溶性重合体、特に(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体(更に好ましくはアクリル酸(塩)系水溶性重合体)を製造するために本発明の重合体の製造方法を適用することであり、これによって食品添加物などにも好適に用いることができる高品質な水溶性重合体の粉体を得ることができる。
図1に示したような紫外線照射装置を備えたベルト重合機を用いて重合を行った。
該ベルト重合機は、ベルト基材幅1550mm、製品幅1330mm(ベルト基材の両端に設けられた高さ30mmのエッジロープ間の距離)であり、重合長10900mmとなっている。なお、図1中に示されているエッジロープ(20)は紫外線照射装置に含まれるものではなく、ベルト重合機(25)におけるベルト基材(19)に付随しているものである。
紫外線照射装置は、紫外線発生器設置室及び重合室から構成され、紫外線発生器設置室については、ベルト基材上に天井板及び側板を備え、該天井板及び側板がそれらの内面で紫外線を反射するSUS304板で構成され、ベルト基材方向に光が照射されるように紫外線発生器のランプ部分が取り付けられている。紫外線発生器の下側(ベルト基材側)には、強化ガラスが各室にはめ込まれている。重合室としては、紫外線発生器設置室と同様に側板が備えられ、底面がベルト基材、上面が紫外線発生器設置室の強化ガラスとなっている。
本実施形態においては、紫外線発生器設置室が複数個の室によって構成されていて、ベルト進行方向に沿って第1室から第8室まで設置され、そのうち第1室から第5室までが一次重合ゾーン(低密度部)用であり、第6室から第8室が二次重合ゾーン(高密度部)用である。蛍光灯型紫外線発生器の設置方法については、複数個の室のうち、第1室においては蛍光灯型紫外線発生器の長軸方向(長軸方向の長さ1198mm)がベルト基材の進行方向に対して横断する向きに設置され、第2室から第8室においては蛍光灯型紫外線発生器の長軸方向(長軸方向の長さ1198mm)がベルト基材の進行方向に沿った向きに設置されている。蛍光灯型紫外線発生器の使用本数は、一次重合ゾーン(低密度部)用の第1室が3本であり、第2室から第5室までが各9本であって、ほとんどが220mm間隔で設置されている。二次重合ゾーン(高密度部)用の第6室から第8室が19本であって、70mm間隔で設置されている。
紫外線発生器の仕様は、ブラックライト蛍光ランプ(UV蛍光ランプ)であり、メロウライン(商品名、管長1.2m、定格ランプ電力45Wのブラックライト、型名「FHF32BLB」、東芝ライテック社製)である。
紫外線発生器設置室の下側(ベルト基材側)に取り付けられた強化ガラスの仕様は、タフライト(商品名、厚み4mmの強化ガラス、日本板硝子社製)である。
すなわち、気相部酸素濃度が8vol%となるように、重合室内は重合室のガス入り口より連続的に窒素ガスが導入されている。重合室内における一次重合ゾーンにおけるベルト基材上における近紫外線強度は、平均値が5.5W/m2となるように調光され、二次重合ゾーンにおけるベルト基材上における近紫外線強度は、平均値が17.0W/m2となるように調光されている。また、ベルトスピードは36.5cm/minとなるように調整されている。
このような条件下、表1に示すように排気温度を調節しながら、重合工程を行って重合体含水ゲルの製造を実施した。排気温度の調整は、図1に示されるように各紫外線発生器設置室において、紫外線発生器が並列して設置され、紫外線発生器の長尺方向に平行な辺側からガスを吸気し、紫外線発生器の端部が並んでいる辺側の中央部からガスを排気する構造となっている。当該紫外線発生器設置室はまた、複数個の室に分かれた構造を有し、各室が独立して排気ガスの温度を制御する構造を備えたものであり、吸気ガス及び排気ガスの温度を測定し、ガスの排気量を排気管の途中(排気ガスの温度測定器付近)に取り付けられたバルブによって制御することにより、排気ガスの温度を制御する構造を有するものとなっている。なお、表1中における吸入ガス(Air)量は、第1次重合ゾーン各室の吸気ガス量を合わせた合計のガス量、第2次重合ゾーン各室の吸気ガス量を合わせた合計のガス量、これらの合計量を示している。
重合工程によって得られた含水ゲルをミートチョッパー(平賀工作所製、No.32E型、ダイス径4.5mmΦ)で押出を行った。該押出しゲルを200℃で40分間乾燥した。風向はUPフロー(含水ゲルに対して上方に熱風が流れるようにした)、その線速は1.5m/Sとした。このようにして乾燥された乾物を卓上粉砕機で粉砕した後、20メッシュパスとなるように分級して乾燥粉末を得た。
このように得られた乾燥粉末は、重合体の分子量が高く、重合体中に残留する単量体の量等が少なくて高品質の重合体粉末として有用であり、工業製品として供給するのに適するものである。本実施形態により連続的に生産された水溶性重合体の乾燥粉末は、増粘剤、めん類のほぐれ促進剤や豚の胃潰瘍防止剤用等のように、食品用添加剤や飼料用添加剤等として好適に用いることができるものである。
上記比較例においては、排気温度が10〜60℃から外れているため、低温側(10℃)においては、UV照射強度が低下し、高温側(70℃)においても、UV照射強度が低下したり、UVランプの寿命低下が生じたりすることになる。このような形態においては、安定的に高い照射強度を得ることはできず、また、光量の分布をより均一化することも困難となる。
なお、本発明における上記特定の形態の紫外線照射装置とすれば、上記実施例において示された結果から、各紫外線発生器が高い照射強度を確保できることは明らかであり、本明細書に記載された種々の形態において発明の有利な効果を発現すると言える。少なくとも、本発明の紫外線照射装置において、紫外線発生器が蛍光灯型紫外線発生器であり、各紫外線発生器設置室からでる排気ガスの温度を10〜60℃に制御する場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。
2:蛍光灯型紫外線発生器の安定器部
3:蛍光灯型紫外線発生器を取り付けるソケット部
4:防護用ガラス
5:紫外線発生器設置室の上部を覆う板(安定器の上側にある保護板)
6:天井板(紫外線発生器が取り付けられる板)
7:側板(紫外線発生器設置室において、ベルト基材の進行方向に沿った方向に取り付けられる側板)
8:側板(紫外線発生器設置室において、ベルト基材の進行方向に対向する方向に取り付けられる側板)
9:天井板に空けられた排気口
11:排気管
13:吸気ガスの流れ
15:含水ゲルが重合室から出てくるところに設置されたカーテン
16:重合室のガス入口
17:重合室のガス出口
18:重合用溶液の供給口
19:ベルト基材
20:エッジロープ
21:重合用溶液(又はゲル)
22:ベルト基材の進行方向
23:紫外線発生器設置室
24:紫外線照射装置
25:ベルト重合機
26:モノマー槽
27:触媒槽
28:混合器
29:ギヤーポンプP1
30:ギヤーポンプP2
Claims (6)
- 可動式ベルト基材上に供給されてなる、重合性単量体を含む重合用溶液に光を照射し、連続的に重合を行うために使用する紫外線照射装置であって、
該紫外線照射装置は、ベルト基材面を照射する向きに取り付けられた紫外線発生器が備わった紫外線発生器設置室によって構成され、
該紫外線発生器設置室は、複数個の室に分かれた構造を有し、外部との間にガスの吸気と排気とを行う構造を備え、且つ、各室が独立して排気ガスの温度を10〜60℃に制御する構造を備え、ガスの排気量を制御することによって排気ガスの温度を制御し、
該複数個の紫外線発生器設置室は、各室が別個に、又は、各室に仕切られて形成され、かつ、1次重合ゾーン及び2次重合ゾーンに分かれ、
該1次重合ゾーン及び2次重合ゾーンは、重合反応が1次重合ゾーンで行われた後に2次重合ゾーンで行われ、
該1次重合ゾーンにおける光量は、1〜10W/m2であり、
該2次重合ゾーンにおける光量は、10W/m2を超え、100W/m2以下であることを特徴とする紫外線照射装置。 - 前記紫外線発生器設置室は、紫外線発生器が並列して設置され、紫外線発生器の長尺方向に平行な辺側からガスを吸気し、紫外線発生器の端部が並んでいる辺側の中央部からガスを排気する構造を有することを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
- 前記紫外線発生器は、蛍光灯型紫外線発生器であり、
該蛍光灯型紫外線発生器の設置密度が低い領域である一次重合ゾーンと設置密度が高い領域である二次重合ゾーンとのベルト基材の進行方向における長さの比が、(低い領域の長さ)/(高い領域の長さ)=60/40〜95/5であることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線照射装置。 - 前記紫外線発生器のランプ表面温度は、10〜70℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の紫外線照射装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線照射装置を備えたことを特徴とするベルト重合機。
- 請求項5に記載のベルト重合機を用いて、重合性単量体を含む重合用溶液に光を照射し、連続的に重合を行う工程を含むことを特徴とする重合体の製造方法。
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