JP4943214B2 - (メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
また本発明者は、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルを乾燥するに際し、乾燥した後の不溶解分が含水ゲルの多孔質性に関連していることを見いだした。すなわち、多孔質(表面積が大)化したゲルと多孔質化していないゲルとを比較した場合、前者のゲルを用いる方が、不溶解分が少なくなることを見いだした。
多孔質化の程度は、ゲルにどの程度の比動力(ゲルを成形するために押出すときにかかる動力)をかけたか、又は、ゲルの単位容積当たりの表面積で表すことができる。比動力の好ましい範囲は、0.06kWh/kg以上であり、また表面積の好ましい範囲は、9cm2/cm3以上である。高比動力で押出した場合にゲルの表面積が大きくなり、乾燥性能が向上する点で、比動力が影響することになる。
なお、本発明においては、ゲルを成形するために押出機としてミートチョッパーを用いて得られたゲルのようにさほど大きくない比動力で押出したゲルや表面積が9cm2/cm3未満のゲルも使用可能である(つまり本発明の技術的範囲内である)。
また上記したミートチョッパーであっても、条件によっては本発明の乾燥工程におけるゲルの好ましい形態である、多孔質のゲルになる。この場合は、得られたゲルの表面積が9cm2/cm3以上となり、本発明の乾燥工程に好ましく適応可能となる。すなわち、ゲルが多孔質となることにより、その表面積が大きくなって乾燥性が良好になる。
つまり、ミートチョッパーで通常の条件で押出した場合でも本発明のゲルとして用いることができ、本発明の乾燥工程に適応可能であり、またその押出条件によっては多孔質のゲルとすることができ、本発明にとって好ましいゲルの形態(乾燥性が良好になるゲルの形態)、すなわち表面積が大きくなったゲルにすることが可能である。
本発明においては、上述したように高比動力(0.06kWh/kg以上、上限は制限がなく、押出機でゲルを押出すときにかけることができる最大の比動力が上限となる)で押出したゲルや、高表面積(9cm2/cm3以上、上限は制限がなく、ゲルを高表面積にすることができる技術において可能な最大の表面積が上限となる)のゲルを乾燥に供することが高品質(低不溶解分)を得るという点で最適な実施形態であるといえるが、設備の点、ゲルに不用意な、余分な比動力を与えすぎないという点で、比動力の上限は0.6kWh/kgであることが好ましく、0.2kWh/kgであることがより好ましい。
これらのことをまとめると、ゲルが多孔質(多孔性)であると、乾燥性が向上する。多孔質のゲルを乾燥させると速やかに乾燥し、不溶解分が少なく制御できる。水溶性含水ゲルを乾燥させるには、ゲルが多孔質となるような、乾燥前に成形するときの押出機の条件(比動力)を採用したり、ゲルの単位容積当たりの表面積が大きくなるようなゲルの調製法を採用したりすることが、不溶解分を少なく制御し、より高品質(低不溶解分)を得るという点から好適である。不溶解分を少なく制御するためには、ゲルを成形するときの比動力が一つのポイントであることを見いだしたものである。
以下に本発明を詳述する。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体とは、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体又は(メタ)アクリル酸塩系水溶性重合体を意味する。
上記露点は、露点計を用いて測定することができる。露点計としては、特に限定されないが、例えば、株式会社東陽テクニカ社製 高露点測定用鏡面冷却露点計(UHQ−4P)が挙げられる。
上記線速は、乾燥機内の気流全体の平均値であり、例えば、風速計のセンサー部を乾燥機の側壁から挿入することにより測定することができ、またブロワー排気能力から計算で求めることもできる。
風速計としては、特に限定されないが、例えば、KANOMAX社製アネモマスター風速計(モデル6162)が挙げられる。
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の製造方法において、上記間隙を有する含水ゲルは、顆粒状、若しくは紐状の押出ゲル、微解砕ゲル、又は、微細切断ゲルであることが好ましい。
押出ゲルは、重合工程で得られた重合体のゲル状物を押出機を用いて押し出しすることにより、乾燥しやすいように押出成形されたゲルをいう。
顆粒状の押出ゲルの場合、複数の顆粒状の押出ゲルが乾燥機内に積載され、一つの顆粒状の押出ゲルと他の顆粒状の押出ゲルとの間の間隙を熱風が通過して、含水ゲル表面に満遍なく熱風が供給されることになる。
また、紐状の押出ゲルの場合、複数の紐状の押出ゲルが乾燥機内に積載され、一つの紐状の押出ゲルと他の紐状の押出ゲルとの間の間隙を熱風が通過して、含水ゲル表面に満遍なく熱風が供給されることになる。
ゲル内部に存在する気泡が熱風の通り道となることもある。
微解砕ゲルは、重合工程で得られた重合体のゲル状物を破砕機などによって解砕した微細なゲルをいう。
微細切断ゲルは、重合工程で得られた重合体のゲル状物を切断機などによって切断した微細なゲルをいう。
微解砕ゲル、微細切断ゲル等の場合についても同様に、複数の含水ゲルが乾燥機内に積載され、複数の含水ゲルの間の間隙を熱風が通過して、含水ゲル表面に満遍なく熱風が供給されることになる。
含水ゲルの中まで充分に乾燥が促進する点で、押出ゲルが特に好ましい。すなわち、上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルは、押出ゲルであることが好ましい。
上記乾燥工程は、通気式乾燥機を使用して行うことができる。
上記通気式乾燥機としては、例えば、通気バンド乾燥機、流動層乾燥機、振動流動床乾燥機等が挙げられる。攪拌乾燥機は、ニーダー、パドルドライヤー、CDドライヤー等の攪拌翼を備えた乾燥機であり、このような攪拌翼で含水ゲルを混練しながら乾燥するというような型式の乾燥機であるが、含水ゲル間隙を熱風が特定された線速で通過するという操作を設定しにくく、本発明の製造方法における線速の条件を満たすことができないおそれがあり、好ましくない。
通気バンド乾燥機は、乾燥しようとする材料自体が乾燥プレート上で動かないで乾燥されることになり、後述する振動流動床乾燥機においては、乾燥しようとする材料自体が乾燥プレート上で動いて乾燥されることになる。
本願発明の効果は、ゲル同士が付着しやすく、従って、熱風の通りが悪くなりがちな乾燥機である通気バンド乾燥機を使用した場合が最も顕著な効果を奏する。
また、振動流動床乾燥機の場合もゲル同士の付着が比較的強いため、本願発明の効果が強く現れるものである。
本発明において通気バンド乾燥機を用いる場合には、ゲルが全体的に充分に乾燥するように、乾燥時のゲルの層高が3〜200mm程度となるように供給して乾燥することが特に好ましい。
更に好ましいゲル層高は10〜150mmであり、最も好ましくは20〜120mmである。
本発明において振動流動床乾燥機を用いる場合は、ゲルが全体的に充分乾燥するように、また、振動が充分に伝わるように乾燥時のゲルの層高が3〜100mm程度となるように供給して乾燥することが好ましい。更に好ましいゲル層高は5〜80mmであり、最も好ましくは10〜60mmである。
上記熱風が含水ゲル間隙を線速0.1m/s以上で通過するようにして乾燥することにより、熱風をゲル表面に満遍なく供給することができ、含水ゲル全体の乾燥性能を向上することができる。その結果、後述する実施例で裏付けられているように、不溶解分の充分に低減された(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を製造することが可能となる。不溶解分が充分に低減された(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体が得られる理由は、含水ゲルの中まで充分に乾燥が促進されることにより、固形分の低い含水ゲルの中で重合体が蒸される時間が結果的に短縮され、熱による架橋反応が抑制されるためであると推察される。言い換えれば、乾燥に供するゲルの乾燥性が向上することにより、不溶解分も少なくなることになる。これに対して、例えば、オーブン式の乾燥機では、含水ゲルが乾燥プレート上に載せられ、通常、含水ゲルの上面側又は下面側で熱風が循環しており、含水ゲル間隙を通過する熱風は線速0.1m/s未満となる。この場合、熱風が含水ゲル間隙を充分に通過しないために、乾燥プレート上に載せられた含水ゲルの上面部や下面部の乾燥が促進されるが、含水ゲルの中まで充分に乾燥が促進されることはない。
線速が0.1m/sより小さいと、乾燥性能が充分でなくなり、含水ゲルの中まで充分に乾燥が促進されなくなる。下限は、0.3m/s以上が好ましく、0.5m/s以上がより好ましい。上限は、3.0m/s以下が好ましい。すなわち、上記乾燥工程における熱風の線速は、0.5〜3.0m/sであることが好ましい。
線速が3.0m/sより大きいと、後述する実施例で裏付けられているように、乾燥中に乾燥物の一部が気流と共に飛散してしまうおそれがある。
また、上記熱風の温度を230℃以下とすることにより、乾燥対象である重合体が熱分解を起こすのを防ぐことができる。上記温度は、220℃以下が好ましく、210℃以下がより好ましい。
乾燥時間は、100分以内が好ましい。
なお、上記重合体としては、酸基を持つ酸型重合体でも酸基を持たない塩型重合体でもよく、塩型重合体を製造する場合、最初から酸部分を中和した塩型の単量体を使用してもよい。
通常固形分20〜60質量%の含水ゲルは、水分を80〜40質量%含むものである。
ここで、固形分は、以下のようにして求めることができる。
また、上記含水ゲルを本発明の条件で乾燥させることでより効率よく短時間で不溶解分を増加させることなく乾燥できる。
本発明の製造方法においては、高表面積(9cm2/cm3以上、上限は制限がなく、ゲルを高表面積にすることができる技術において可能な最大の表面積が上限となる)のゲルを乾燥に供することにより乾燥性が向上する。これにより、高品質(低不溶解分)の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を得ることができる。
粉砕が不可能なゲルの場合
ゲルをハサミを使用して粒径が約3mm程度になるようにきざむ。(以下、ハサミ処理品Aともいう。)該ゲル約2gをアルミシャーレ No.1072(宮野医療器(株)製)に精秤し、予め200℃に調整された熱風循環式乾燥機(ヤマト社製、Constant Temperature Oven、DN600型)で1時間乾燥したあとの残量を精秤する。乾燥する前の質量に対する乾燥後の残量の質量の割合を固形分(質量%)とする。
粉砕可能な含水重合体の場合
重合体を卓上型粉砕機(Osterizer)で粉砕し、20メッシュパスとなるように分級する。(以下、分級品Bという。)分級品B約1gをアルミニウム製のホイールコンテナに精秤し、予め200℃に調整された熱風循環式乾燥機(ヤマト社製、Constant Temperature Oven、DN600型)で1時間乾燥した後の残量を精秤する。乾燥する前の質量に対する乾燥後の残量の質量の割合を固形分(質量%)とする。
つまり上記のように、含水ゲルの乾燥状態によっては、例えば水の含有量が多い場合には、ハサミで切断できる状態である。そして、更に乾燥状態が進み水の含有量が少なくなってくると、ハサミで切断できなくなり、また粉砕可能な含水重合体の状態になってくる。その2種の固形分の測定方法の使いわけは、当該重合体の固形分が測定できるのであれば適宜行うことができる。
また重合体が酸型である場合、溶液粘度が5mPa・S以上であることが好適である。より好ましくは10mPa・S以上であり、更に好ましくは15mPa・S以上である。溶液粘度とは、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を0.2質量%含む水溶液の30℃におけるB型粘度を意味し、該粘度がこのような値を示すことにより、特に、水に溶解したときに高粘度となるようなものが賞用される増粘剤や加泥剤、排土の流動性低下剤等として好適に使用されることとなる。
上記溶液粘度は、以下のようにして求めることができる。
容量500mlのビーカーにメタノール20mlを入れた後、結果として固形分が97質量%以上に乾燥している上記重合体粉末(例えば上記分級品B)を純分として1g添加する。マグネチックスターラーで攪拌しながら、イオン交換水500mlを添加した後、ジャーテスターを使用し100rpmで50分間攪拌溶解させた後、30℃に温度調整してB型粘度計(東京計器社製)で測定する(30rpm)。
容量500mlのビーカーにメタノール20mlを入れた後、結果として固形分が97質量%以上に乾燥している上記重合体粉末(例えば上記分級品B)を純分として1g添加する。マグネチックスターラーで撹拌しながら、イオン交換水500mlを添加した後、ジャーテスターを使用し100rpmで50分間攪拌溶解させた後、32メッシュのフィルターを用いて濾過することにより、含水状態の不溶物を取り出す。そして、この不溶物が乾燥しないように素早く秤量し、下記計算式(1)に基づいて不溶解分を算出する。なお、上記濾過及び秤量は、25℃、相対湿度60%の状態で行う。
不溶解分(質量%)={不溶物の質量(g)/500(g)}×100 (1)
上記重量平均分子量の測定方法は、ダイナミック光散乱光度計を用いて以下の条件により測定するものである。
装置:ダイナミック光散乱光度計(大塚電子社製、商品名:DSL−700)
溶媒:0.16MのNaClの水溶液
試料濃度:0.05〜2mg/ml
試料pH:10(at25℃)
測定温度:25℃
(重合工程)
重合工程では、上述したように(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸塩により構成される(メタ)アクリル酸(塩)単量体を必須とする単量体成分を重合することとなる。上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルは、このようにして得られる重合体により形成される、重合溶媒としての、水を含んでなるゲル状物であるが、(メタ)アクリル酸塩としては、(メタ)アクリル酸を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物、すなわち(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも(メタ)アクリル酸ナトリウムが好ましい。より好ましくは、アクリル酸ナトリウムである。
なお、上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルの重合において、特にアクリルアミド系単量体は、重合性が充分ではなく残存しやすいため、また、残存した場合には安全性が充分とはならないことや高温で加水分解を起こしやすいことから、上記のその他単量体としてのアクリルアミド系単量体の使用量は、全使用単量体100モル%に対して、30モル%以下とすることが好ましい。より好ましくは20〜0モル%、更に好ましくは10〜0モル%、特に好ましくは5〜0モル%の範囲内とすることである。
尚、熱重合や光重合等において、重合温度や重合時間、光重合の場合には光強度や波長等の重合条件については、(メタ)アクリル酸(塩)単量体を必須とする単量体成分を重合して(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を調製するときに通常行われている条件で適宜設定すればよい。すなわち、この明細書に開示された原料やその他用いることができる原料を使用して、アクリル酸(塩)系単量体を必須とする単量体成分を重合して目的とする分子量や重合率の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体が調製されるように重合条件を適宜設定すればよい。
上記熱重合は、単量体を、熱重合開始剤の存在下で重合させる静置重合法が好ましい。静置重合法を行うとき、(メタ)アクリル酸系重合体を調製する場合は、アミン類の存在下で行うことが好ましく、(メタ)アクリル酸塩系重合体を調製する場合は、多価アルコール及びアミン類の存在下で行うことが好ましい。
2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、1,1′−アゾビス(1−アミジノ−1−シクロプロピルエタン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノ−4−メチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−N−フェニルアミノアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(1−イミノ−1−エチルアミノ−2−メチルプロパン)、2,2′−アゾビス(1−アリルアミノ−1−イミノ−2−メチルブタン)、2,2′−アゾビス(2−N−シクロへキシルアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノプロパン)及びその塩酸、硫酸、酢酸塩等、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(1,1′−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−1,1′−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ系光重合開始剤。
上記連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオ酢酸、メルカプトエタノール等の含硫黄化合物;亜燐酸、亜燐酸ナトリウム等の亜燐酸系化合物;次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム等の次亜燐酸系化合物;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類が好適である。これらの中でも、次亜燐酸系化合物が好ましい。より好ましくは、次亜燐酸ナトリウムである。上記連鎖移動剤の使用量としては、重合濃度や光重合開始剤との組み合わせ等により適宜設定すればよいが、重合に使用される単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また、0.2g以下が好ましい。また、更に好ましくは、0.001g以上であり、また、0.15g以下であり、特に好ましくは、0.005g以上であり、また、0.10g以下である。
押出工程では、重合工程で得られた含水ゲルを押出により成形することとなる。これにより得られる押出ゲルは、ゲルの表面積を大きくすることができ、高圧で押出した場合、押出機の中で空気を含んで多孔質化するので乾燥性能が向上することになる。言い換えれば、ゲルが多孔質であると、乾燥性が向上する。ゲルの乾燥性が向上すれば、上述したように不溶解分が少なくなることになる。すなわち、多孔質のゲルを乾燥させると速やかに乾燥し、不溶解分を少なく制御することができる。したがって、本発明の製造方法において多孔質のゲルを乾燥する形態が特に好ましい。またこのような押出ゲルは、乾燥すると軽量化されるので、輸送や保存等に有利となる。
上記押出ゲルの形態としては特に限定されないが、例えば、顆粒状、紐状等が好適であり、ダイス径が0.5〜20mmである押出機を用いて押し出したものであることが好ましい。3mm以下のダイス径で押し出すことで含水ゲルが適度に空気を含んで多孔質化するので本発明では好ましい形態となる。しかし、ダイス径が0.5mm未満の場合、押出時の吐出圧が異常に高圧となりゲルがうまく押出されない可能性がある。また、20mmを超える場合、乾燥効率が低下する場合がある。15mm以下であることがより好ましく、8mm以下であることが更に好ましい。
上記押出ゲルが顆粒状である時の最長径は、0.5〜20mmであることが好ましい。上限は、15mmであることがより好ましく、8mmであることが更に好ましい。
また、上記押出ゲルが紐状である場合は、直径が15mm以下、長さが50cm以下であることが好ましい。更に好ましくは直径が10mm以下、長さが40cm以下で、特に好ましくは直径が8mm以下で長さが30cm以下である。
例えば、押出工程により、上記押出ゲルの単位容積当たりの表面積を9cm2/cm3以上に調整することが可能である。このような表面積とすることにより、上述したように乾燥性が向上し、本発明の製造方法により製造された水溶性重合体の不溶解分を低減させることができる。
上記押出ゲルの大きさ及び形状は、ダイス径や押出速度等の条件によって変化し得る。
(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルを乾燥させるには、ゲルが多孔質になるような、押出機の条件を適用することが好ましい。
押出機を用いて押し出しする場合の動力のフローを図2に概略的に示す。
図2において、P0(kW)は、三相交流電力(モーター入力)であり、下記式(2);
P0(kW)=√3×電圧〔V〕×電流〔A〕×力率cosθ(0.85)/1000 (2)
で求められる。
P1(kW)は、三相交流出力(モーター出力)であって、P0からモーターでの損失を除いた電力であり、下記式(3);
P1(kW)=P0×モーター効率ηm(0.78)
=√3×電圧〔V〕×電流〔A〕×力率cosθ(0.85)×モーター効率ηm(0.78)/1000 (3)
で求められる。
P2(kW)=P1×減速機効率ηc(0.8)
=√3×電圧〔V〕×電流〔A〕×力率cosθ(0.85)×モーター効率ηm(0.78)×減速機効率ηc(0.8)/1000
=√3×電圧〔V〕×電流〔A〕×全効率η(0.53)/1000 (4)
で求められる。
なお、上記式(4)において、全効率は、力率、モーター効率及び減速機効率を考慮した値であり、また、減速機出口動力=軸動力である。
以上より、比動力ESP〔kWh/kg〕は、下記式(5);
比動力ESP〔kWh/kg〕=減速機出口動力P2(kW)/処理量〔kg/h〕 (5)
により求めることができる。
なお、上記力率cosθ、モーター効率ηm、減速機効率ηc、全効率ηとして記載した数値は一つの好ましい例示であり、これらに限定されるものではなく、押出機に応じて適宜設定すればよい。
上記比動力(kWh/kg)としては、0.07kWh/kg以上であることがより好ましい。更に好ましくは、0.08kWh/kg以上である。
比動力の上限の制限はないが、0.6kWh/kgを超えるような極めて高比動力でゲルを押出した場合、ゲルの分子鎖が切断し、低分子量化し好ましくない場合がある。0.2kWh/kg以下が更に好ましい。
なお、アクリル酸塩系水溶性重合体含水ゲルの処理量(kg/h)としては、比動力や、後述するスクリュー回転数等を考慮し、適宜最適な量を決定すればよい。
本発明で使用されるスクリュー押出機は、例えば、単軸押出機、2(多)軸同方向回転スクリュー押出機、2(多)軸異方向回転スクリュー押出機、二段押出機(単軸/単軸、単軸/2軸、2軸/2軸)等特に制限されないが、単軸押出機又は二段押出機(単軸/単軸)が好ましい。その理由として、内部構造がシンプルでゲル流れが均一であるため、製品品質のばらつきがないものが得られる。逆に複雑な構造になる程、局部的な滞留部分の発生や複雑な流路の発生等が起こり、僅かな圧力や温度変化で品質のばらつきが発生してしまう可能性がある。
なお、スクリュー押出機の構造としては、例えば、後述する実施形態(実施例19)で用いられているものが例示できる。このような押出機では、固定円筒(シリンダー)と回転スクリューからなり押出部にダイスが設けられ、しぼりを加えることにより捏和効果を上げる方法が採られている。
またスクリューの回転数としては、処理量に応じて適宜設定すればよいが、例えば、30〜110rpmであることが好ましく、このような形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。この形態では、含水ゲルをより多孔質のものとすることができ、充分に不溶解分が低減され、高分子量のアクリル酸塩系水溶性重合体をより効率的に得ることが可能となる。より好ましくは、40〜100rpmである。
上記押出機としては、特に限定されないが、例えばミートチョッパー、一軸押出機、プランジャ押出機、二軸押出機、二軸一軸押出機等を好適に用いることができる。
乾燥工程では、上述したように、露点70℃以下であり、かつ、温度160〜230℃である熱風が含水ゲル間隙を線速0.1m/s以上で通過するようにして含水ゲルを乾燥することとなる。
含水ゲルは、押出工程を経て作られた顆粒状、紐状の押出ゲルであることが好ましい。
(粉砕工程)
粉砕工程では、上記乾燥工程により乾燥された乾燥物を一定の大きさ(粒度)に砕くこととなるが、粉砕工程としては特に限定されず、通常行われる方法が採用される。
(分級工程)
分級工程では、上記粉砕工程により砕かれた粉粒体の粒度を調製することとなり、分級方法としてもまた、特に限定されず、通常行われる方法が採用される。
上記乾燥温度は、下限が170℃が好ましく、180℃がより好ましい。上限は、220℃が好ましく、210℃がより好ましい。また、風量は、熱風がゲル間隙を線速0.1m/s(好ましくは0.5〜3.0m/s)となるように適宜選択すればよい。乾燥温度、風量を上記範囲内とすることは、乾燥速度を速めるうえで好ましい条件である。
乾燥工程において一定時間毎にサンプリングを行い、該サンプルについて、粉砕が不可能なゲルと粉砕可能な含水重合体のそれぞれの場合について、上述の(固形分の測定方法)に従って固形分(質量%)を測定する。
乾燥時間を横軸にその時の固形分を縦軸にグラフにプロットし、作図法により乾燥速度(固形分97質量%への到達時間)を求める。
上記製造方法において、上記間隙を有する含水ゲルは、顆粒状若しくは紐状の押出ゲル、微解砕ゲル、又は、微細切断ゲルであることが好ましいが、押出ゲルが更に好ましい。
上記本発明の熱風の導入条件を上掲の乾燥機に好ましく応用することができる。
上記乾燥の中でも本願の効果が最も発揮する通気バンド乾燥及び振動流動床乾燥が好ましい。特に通気バンド乾燥が好ましい。
尚、通気バンド乾燥については、上述した通りである。
上記振動流動床乾燥機としては、例えば、三菱マテリアルテクノ社製Qユニット(連続式及び回分式)等が挙げられる。例えば、その振動数が1000cpm前後の振動流動床乾燥機を使用する場合、ゲルが全体的に充分に乾燥するように、乾燥時のゲルの層高が3〜100mm程度となるように振動流動床乾燥機に供給して乾燥することが好ましい。
振動流動床乾燥機を用いる場合には、振動ストローク等は、振動流動床乾燥機において通常行われる振動ストローク(2〜20mm)に設定すればよい。
本発明の乾燥工程は、上記通気バンド乾燥機又は振動流動床乾燥機を用いて行うことが好ましい。
容量5Lのビーカーにアクリル酸ナトリウム37質量%水溶液4865部、グリセリン36部及び重合開始剤としての過硫酸ナトリウム0.111部を入れて攪拌混合することにより、これらを均一に溶解させた。この水溶液に少量の水酸化ナトリウムを添加することにより、該水溶液のpHを12.0に調整した。その後、該水溶液にイオン交換水を加えることにより反応液5000部を調製した。また、反応液に含まれる溶存酸素は、窒素ガスをバブリングすることにより除去した。該反応液におけるアクリル酸ナトリウムの濃度は36質量%であった。そして、アクリル酸ナトリウムに対するグリセリンの添加量は2.0質量%であり、アクリル酸ナトリウム1モルに対する過硫酸ナトリウムの添加量は0.0058g(2.5×10−5モル)であった。
この重合容器を予め35℃に調整された恒温水槽(加熱装置)に浸漬し、重合(静置重合)を開始した。従って、重合開始時の水槽温度(加熱温度)は35℃である。
容量5Lのビーカーにアクリル酸ナトリウム37質量%水溶液1929部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸846.2部、イオン交換水1820部及びグリセリン41.3部を仕込み溶解した。該溶液に水酸化ナトリウム48質量%水溶液約340部を添加することにより液のpHを12.8に調整した。更に重合開始剤としての過硫酸ナトリウム0.117部を入れて攪拌溶解した後、少量のイオン交換水を加えることにより反応液5000部を調製した。反応液に含まれる溶存酸素は、窒素ガスをバブリングすることにより除去した。該反応液におけるアクリル酸ナトリウム及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムからなる単量体の濃度は33質量%であった。そして、単量体に対するグリセリンの添加量は2.5質量%であり、単量体1モルに対する過硫酸ナトリウムの添加量は0.010gであった。
この重合容器を予め38℃に調整された恒温水槽(加熱装置)に浸漬し、重合(静置重合)を開始した。従って、重合開始時の水槽温度(加熱温度)は38℃である。
容量5Lのビーカーにアクリル酸ナトリウム37質量%水溶液1490部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸993.2部、イオン交換水2070部及びグリセリン41.3部を仕込み溶解した。該溶液に水酸化ナトリウム48質量%水溶液約400部を添加することにより液のpHを12.8に調整した。更に重合開始剤としての過硫酸ナトリウム0.106部を入れて攪拌溶解した後、少量のイオン交換水を加えることにより反応液5000部を調製した。反応液に含まれる溶存酸素は、窒素ガスをバブリングすることにより除去した。該反応液におけるアクリル酸ナトリウム及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムからなる単量体の濃度は33質量%であった。そして、単量体に対するグリセリンの添加量は2.5質量%であり、単量体1モルに対する過硫酸ナトリウムの添加量は0.010gであった。
この重合容器を予め38℃に調整された恒温水槽(加熱装置)に浸漬し、重合(静置重合)を開始した。従って、重合開始時の水槽温度(加熱温度)は38℃である。
容量500mlのビーカーにアクリル酸76.1g、アクリル酸ナトリウム37%水溶液402.6g、イオン交換水16.58g、光重合開始剤として2,2′−(2−アミジノプロパン)2塩酸塩の5%水溶液2.13g及び次亜リン酸ナトリウム1%水溶液2.64gを添加した。
該反応液中のアクリル酸とアクリル酸ナトリウムからなる単量体の濃度は50%であり、中和度は60モル%であった。2,2′−(2−アミジノプロパン)2塩酸塩の使用量は単量体1モルに対して0.04gの割合であった。また、次亜リン酸ナトリウムの使用量は単量体1モルに対して0.01gの割合であった。該重合液を攪拌混合した後、該反応液を図5に示した底面に厚さが0.08mmのテフロン(登録商標)フィルム(接着剤は厚み0.05mmのシリコーン系)を貼り付けると共に下部には温度35℃に調整された水が循環通液しているSUS304製の重合容器に導いた。
サランラップ(登録商標)で重合容器を覆った後、窒素バブリングすることにより反応液中の溶存酸素を除去した。
光照射を開始すると直ちに重合が開始して、16分後に一次ピーク温度の73℃に達した。
その後、3分間放置後、図7に示したように高さ15.5cmの上部より縦向けにした反射笠付きブラックライト水銀ランプ(東芝ライテック株式会社製、H400BL−L)を7分間照射し重合を完結した。尚、光強度は反応液の上面位置で17W/m2となっている。
このようにして得られたゲル状重合体を重合容器から取り出したところ、容器に重合体が付着残留することなしに容易に離型した。ポリアクリル酸部分中和物からなる重合体を得た。固形分は、52質量%であった。
実施例1(通気バンド乾燥機の実施例)
合成例1で得られた板状ゲルを短冊状に切断した後、ミートチョッパー(平賀工作所製、No.32型、ダイス径4.5mmΦ)に供給し、イクラ状(顆粒状)の押出ゲルを得た。
次に、図8に示した熱風乾燥機(大川原製作所製、通気式乾燥機)を使用し、循環系内に温度が200℃、露点が50℃の熱風(空気)を、風量として積載ゲル層の線速が1.0m/sとなるように通気した。
ゲルを入れる乾燥容器は幅40cm、長さ40cm、高さ20cmのステンレス製であり、底部には20メッシュの金網が張ってある。側面はステンレスの板であり、従って側面から風が流出することはない。熱風は全量、乾燥容器の底部から入るように、乾燥機の棚板の周囲は目張りが施してある。
乾燥容器に上記押出ゲルをゲル層厚が50mmとなるように積載し、乾燥機内に導くことにより乾燥を開始した。一定時間毎にサンプリングを行い、乾燥速度、不溶解分及び溶液粘度を測定し、その結果を表1に示した。
表1に示した性状の熱風を用い、ゲル層高を表1に示した値とした他は実施例1と同様にして乾燥を行い、実施例1と同様にして乾燥速度、不溶解分及び溶液粘度を測定し、その結果を表1に示した。参考例13は、乾燥中に、乾燥物が少し気流と共に飛散した。
合成例1で得られた板状ゲルを幅約10mm、長さ約50mm、厚さ約2mmに切断したゲルを用いた他は実施例1と同様にして乾燥を行い、実施例1と同様にして乾燥速度、不溶解分及び溶液粘度を測定し、その結果を表1に示した。
合成例2で得られた板状ゲルを短冊状に切断した後、ミートチョッパー(平賀工作所製、No.32型、ダイス径4.5mmΦ)に供給し、イクラ状(顆粒状)の押出ゲルを得た。
該押出ゲルを用いると共に表1に示した性状の熱風を用い、ゲル層高を表1に示した値とした他は実施例1と同様にして乾燥を行い、実施例1と同様にして乾燥速度、不溶解分及び溶液粘度を測定し、その結果を表1に示した。
合成例3で得られた板状ゲルを短冊状に切断した後、ミートチョッパー(平賀工作所製、No.32型、ダイス径4.5mmΦ)に供給し、イクラ状(顆粒状)の押出ゲルを得た。
該押出ゲルを用いると共に表1に示した性状の熱風を用い、乾燥時のゲル層高を表1に示した値とした他は実施例1と同様にして乾燥を行い、実施例1と同様にして乾燥速度、不溶解分及び溶液粘度を測定し、その結果を表1に示した。
合成例4で得られた板状ゲルを短冊状に切断した後、ミートチョッパー(平賀工作所製、No.32型、ダイス径4.5mmΦ)に供給し、イクラ状(顆粒状)の押出ゲルを得た。
該押出ゲルを用いると共に表1に示した性状の熱風を用い、乾燥時のゲル層高を表1に示した値とした他は実施例1と同様にして乾燥を行い、実施例1と同様にして乾燥速度、不溶解分及び溶液粘度を測定し、その結果を表1に示した。
合成例1で得られた板状ゲルを短冊状に切断した後、ミートチョッパー(平賀工作所製、No.32型、ダイス径4.5mmΦ)に供給し、イクラ状(顆粒状)の押出ゲルを得た。
上記イクラ状ゲルを振動流動床乾燥機(三菱マテリアルテクノ社製、QAD、バッチ式 ストローク5mm)に層高20mmになるように供給し、乾燥を開始した。乾燥期間中は熱風の風速1.0m/S、熱風の露点30℃、熱風温度は200℃とした。
実施例1と同様にして乾燥速度、不溶解分及び溶液粘度を測定し、その結果を表1に示した。
合成例1で得られた板状ゲルを短冊状に切断した後、スクリュー径30mm、L/D=17、スクリュー回転数45rpmのスクリュー式押出機を用い直径1mmφのノズルより押出し直径3mmφの紐状ゲルを得た。該紐状ゲルはゲル中に空気を巻き込んでいるため、多孔質で色は白色であった。また、その単位容積当たりの表面積は13cm2/cm3であった。
該紐状ゲルを用いた他は実施例1と同様に乾燥した。また、実施例1と同様にして一定時間毎にサンプリングを行い、乾燥速度、不溶解分及び溶液粘度を測定した。乾燥速度(固形分97%への到達時間)は62分、不溶解分は0.01%、溶液粘度は670mPa・Sであった。乾燥速度は速く、不溶解分は極めて少なく良好な品質であった。結果を表1に示した。
先ず、図9及び10に使用したベルト重合機について詳述する。
ベルトはその上部に隣接する形態で高さ50mmの堰31(エッジロープ)を有し、幅300mm、材質はSUS301である。ベルト上の空間部は酸素濃度が4容量%となるように連続的に窒素が供給されている。また、ベルト上部には近紫外線ランプ26(東芝ライテック社製、商品名ブラックライト水銀ランプH250BL−L)が一列に6本取り付け点灯されている。
なお、重合液の供給口から数えて4本までのブラックライトは重合液の上面位置での光強度が約3.7W/m2となるように減光板27(パンチングメタル、開口率10.7%)で減光してある。また、重合液の供給口から数えて5〜6本のブラックライトは重合液の上面位置での光強度が約17W/m2となるように減光板28(パンチングメタル、開口率51%)で減光してある。ベルトはスピード10.9cm/minで連続的に動いている。重合熱の除去のため、ベルト下部より温度35℃の水がスプレーノズル30より噴霧されている。また、ベルト重合機出口にはスクレーパー29が取り付けられていて、含水ゲルはベルト面に残留することなしに排出される。スプレーノズル30は、上部のベルトに下方から水を噴霧する構造となっており、上部のベルトの温度を調節することができる。通常は、重合反応により、上部のベルトが熱せられ、スプレーノズル30から噴霧される水により、ベルト面を冷却することになる。なお、噴霧された水は、ベルト下部から回収される。
該重合液中の単量体(アクリル酸ナトリウム)濃度は36%であった。また、グリセリンの添加量は単量体に対して2.5%であった。また、V−50の添加量は単量体1モルに対して0.04gであった。重合液の温度は20℃となるように、ベルト重合機に供給される前に調温されている。
該重合液はベルト上での厚みが15mmとなるように流量を調整して供給した。
重合液は最初、3.7W/m2の光強度で約17分間、次いで17W/m2の強度で約8分間、合計25分間反応された。ベルト出口より厚み14mm程度のポリアクリル酸ナトリウム含水ゲルが連続的に排出された。
該含水ゲルを破砕機(10型、日本スピンドル社製)で粗砕した。
次に該粗砕ゲルを図11に示した押出機(大阪精機社製、特殊2段式130耗押出機)に比動力0.12kWh/kg剪断を与えて押出した。
該ゲルを用いた他は実施例1と同様に乾燥した。また、実施例1と同様にして一定時間毎にサンプリングを行い、乾燥速度、不溶解分及び溶液粘度を測定した。
乾燥速度(固形分97%への到達時間)は59分、不溶解分は0.00%、溶液粘度は660mPa・Sであった。乾燥速度は速く、不溶解分は極めて少なく良好な品質であった。結果を表1に示した。
下記表1〜3の「乾燥機」の欄において、Aは、通気バンド乾燥機を表し、Bは、振動流動床乾燥機を表し、Cは、熱風循環式乾燥機を表す。
合成例1で得られた板状ゲルを短冊状に切断した後、ミートチョッパー(平賀工作所製、No.32型、ダイス径4.5mmΦ)に供給し、イクラ状(顆粒状)の押出ゲルを得た。
20メッシュのステンレス製の金網で製作された籠(幅30cm×長さ30cm×高さ7cm)に、上記押出ゲルを層高が約9.0mm(つまり二層)となるように均一に積載した後、予め温度が200℃に調整された熱風循環式乾燥機(ヤマト科学社製、Constant Temperature Oven、型式DN600)に入れることにより乾燥した。
該乾燥実験における乾燥速度、不溶解分及び溶液粘度を実施例1と同様にして測定しその結果を表2に示した。
合成例1で得られた板状ゲルを短冊状に切断した後、ミートチョッパー(平賀工作所製、No.32型、ダイス径9.5mmΦ)に供給し、イクラ状(顆粒状)の押出ゲルを得た。
該押出ゲルを用い、ゲル層高を表2に示した通りとした他は実施例1と同様にして乾燥速度、溶液粘度及び不溶解分を測定し、その結果を表2に示した。
乾燥速度を表2に示した通りとした他は実施例1と同様にして乾燥速度、溶液粘度及び不溶解分を測定し、その結果を表2に示した。
合成例1で得られた板状ゲルをハサミで幅10mm、長さ50mm、厚さ5mmに切断した。該ゲルを用いゲル層を5mmとした他は実施例1と同様にして乾燥速度、溶液粘度及び不溶解分を測定し、その結果を表2に示した。
表3に示した性状の熱風を用い、ゲル層高を表3に示した値とした他は実施例1と同様にして乾燥を行い、乾燥速度、不溶解分及び溶液粘度を測定し、その結果を表3に示した。
比較例11(通気バンド乾燥機の比較例)
露点が80℃の熱風を用いた他は実施例15と同様にして乾燥を行い、乾燥速度、不溶解分及び溶液粘度を測定し、その結果を表3に示した。
上述した実施例及び比較例で明確に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。
2:反応液注入口
3:反応液パージ口
4:パッキング
5:温度計
6:重合部
7:離型材
8:伝熱性基材
9:サランラップ(登録商標)(旭化成工業株式会社製)
10:温度計
11:水(冷却水)
12:水入り口
13:水出口
14:ブラックライト水銀ランプ(H100BL−L)、東芝ライテック株式会社製
15:ランプホルダー、東芝ライテック株式会社製
16:ブラックライト水銀ランプ(H400BL−L)、東芝ライテック株式会社製
17:反射笠(SN−4057T)、東芝ライテック株式会社製
18:含水ゲル状重合体
19:Fresh air導入管
20:水蒸気導入管
21:排気排出管
22:ブロワー
23:熱交換器
24:熱媒導入管
25:通気バンド乾燥機
26:ブラックライト水銀ランプ(H250BL−L)、東芝ライテック株式会社製
27:減光板(開口率10.7%、パンチングメタル)
28:減光板(開口率51%、パンチングメタル)
29:スクレーパー
30:スプレーノズル
31:堰(エッジロープ)
32:アクリル酸塩系水溶性重合体含水ゲル
33:供給口
34:スクリュー
35:シリンダー
36:ブレーカープレート
37:減速機
38:ジャケット
Claims (2)
- (メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルを乾燥して(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を製造する方法であって、
該製造方法は、露点70℃以下であり、かつ、温度160〜230℃であって、露点と温度との差が130℃以上である熱風が該含水ゲル間隙を線速0.5〜3.0m/sで通過するようにして乾燥する工程を含み、
該乾燥工程は、通気バンド乾燥機又は振動流動床乾燥機を用い、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルを、乾燥時のゲルの層高が3〜100mmになるように供給し、更に、該含水ゲルの固形分濃度が97質量%に達する時間が100分以内になるように乾燥速度を制御して行われ、
該(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルは、押出ゲルであって(メタ)アクリル酸(塩)単量体を60モル%以上含む単量体成分を重合させて得られる重合体の含水ゲルであり、該(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルの固形分は、20〜60質量%であり、
該乾燥工程によって得られる(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体は、不溶解分が0.5質量%以下である
ことを特徴とする(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の製造方法。 - 前記押出ゲルを成形する押出工程は、ダイス径が0.5〜20mmである押出機を用いて行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の製造方法。
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