JP4179865B2 - 水溶性樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性樹脂の製造方法に関する。より詳しくは、光重合性化合物を用いてエチレン性不飽和単量体を必須とする単量体成分を光重合することにより水溶性樹脂を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水溶性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸系重合体等が挙げられ、安全性が高く、凝集剤や増粘剤としての作用等を発揮することが知られており、上下水道の凝集剤、塗料の増粘・粘着性向上剤、表面改質剤、掘削土処理剤やパップ剤用添加剤、浚渫土処理剤等の工業製品に広く用いられている。このような水溶性樹脂を製造する方法としては、単量体成分を重合して製造する方法が挙げられ、中でも、光重合による方法は、生産効率等の点において有利な方法であるが、各種の用途に好適な水溶性樹脂をより効率的にかつ製品の品質を高めて製造することができるような方法とすることが求められている。
【0003】
従来の製造方法においては、水溶性モノマーから重合体及び共重合体を連続的に製造する方法に関し、重合性二重結合並びに場合に応じて触媒及び/又は光重合開始剤を含有する水溶性モノマーを約−10℃乃至120℃の温度範囲において重合させることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。例えば、実施例において、アクリル酸を炭酸水素ナトリウムを用いてpHを調整した後、アゾ系開始剤及び光重合開始剤ベンジルジメチルケタールを触媒系とし、紫外光により重合を開始してゲル塊を形成したことが開示されている。
【0004】
しかしながら、このような製造方法においては、各種の用途に好適な水溶性樹脂をより効率的にかつ製品の品質を高めて製造するための工夫の余地があった。例えば、光重合する際に、重合開始剤の使用方法や添加量、重合開始温度等の光重合条件について、重合時間を短縮してより効率的に生産することができるようにするという点について検討されたものではない。また、重合体に含まれる残存単量体量を低減したり、不溶解分を低減したりすることにより、各種の用途において有用なものを製造することができる方法とするための工夫の余地があった。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−156102号公報(第1、13頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、重合時間を短縮することが可能であり、しかも残存単量体量や不溶解分を低減し、各種の用途に好適な水溶性樹脂を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、エチレン性不飽和単量体を重合して水溶性樹脂を製造する方法について種々検討した結果、光重合性化合物を用いて光重合を行うことにより効率的に製造することができることに着目し、光重合性化合物として、吸光係数が高いものと低いものとを併用し、吸光係数を特定したうえで、その使用量や重合開始温度を特定の範囲内に設定すると、重合時間を短縮することが可能となり、しかも残存単量体量や不溶解分を低減することができるという有利な効果を奏することとなり、これにより各種の用途に好適な水溶性樹脂を製造することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。通常では、吸光係数が高い光重合性化合物を単独で用いる場合、光重合性化合物が重合を開始する前に解裂してしまう等の問題があるため取り扱いにくく、単独での使用は難しい。また、吸光係数が低い光重合性化合物を単独で用いる場合、重合時間がかかることとなる。本発明においては、光重合性化合物を併用し、また、光重合性化合物の使用量や重合開始温度を特定の範囲内に設定することにより、上記の作用効果が発揮されるとともに、水溶性樹脂の分子量が向上し、これらの作用が相まって各種の用途において好適な水溶性樹脂を製造することができることとなる。
【0008】
すなわち本発明は、光重合性化合物を用いてエチレン性不飽和単量体を必須とする単量体成分を光重合することにより水溶性樹脂を製造する方法であって、上記水溶性樹脂の製造方法は、波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数が1×103ml/g・cm以上の光重合性化合物と1×102ml/g・cm以下の光重合性化合物とを併用してなり、全単量体成分量に対する光重合性化合物量を0.1質量%以下とする光重合工程を含んでなる水溶性樹脂の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の水溶性樹脂の製造方法においては、光重合開始剤として、波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数が異なる光重合性化合物、すなわち1×103ml/g・cm以上の吸光係数を示すものと1×102ml/g・cm以下の吸光係数を示すものとを併用することとなる。なお、このような2種類の光重合性化合物が併用される限り、1×103ml/g・cm以上の吸光係数を示す光重合性化合物は、1種又は2種以上を用いることができ、また、1×102ml/g・cm以下の吸光係数を示す光重合性化合物も、1種又は2種以上を用いることができる。
【0010】
上記光重合性化合物としては、光の照射によりラジカルを発生し、光ラジカル重合開始剤として用いることができる光重合性化合物、光の照射によりカチオンを発生し、光カチオン重合開始剤として用いることができる光重合性化合物等を挙げることができ、光ラジカル重合性化合物、アゾ系重合性化合物等の光カチオン重合性化合物等が好適である。
上記吸光係数が1×103ml/g・cm以上の光重合性化合物としては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド等が好適であり、これらの中でも、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドが好ましい。このような化合物としては、イルガキュア369、イルガキュア819、イルガキュア784(いずれも商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、CGI403(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0011】
上記吸光係数が1×102ml/g・cm以下の光重合性化合物としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等が好適であり、これらの中でも、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンが好ましい。このような化合物としては、イルガキュア184、ダロキュア1173、イルガキュア2959(いずれも商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0012】
上記光重合性化合物の好ましい併用形態としては、(1)ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、(2)ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドと1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、(3)ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等が好適であり、これらの中でも(1)の組み合わせが好ましい。
【0013】
上記波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数の測定方法としては、測定するサンプルの0.1質量%メタノール溶液を調製し、これを石英ガラス製セル(幅1cm×厚さ1cm×高さ4.5cm)に4ml入れ、測定装置である分光光度計(UV−3100型、商品名、島津製作所社製)にセットした後、200nmから500nmの波長領域での吸光度を測定することが好ましい。
次に、得られたピークに対して波長365nmでの吸光度をピックアップし、その値を下記式
α=A/cd[ml/g・cm]
に当てはめることによって、所定の吸光係数αを算出する。上記式において、Aは吸光度を表し、cは、溶液の濃度[g/ml]を表し、dは、セルの厚さ[cm]を表す。
【0014】
本発明において、光重合開始剤として用いることができる化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、1,1′−アゾビス(1−アミジノ−1−シクロプロピルエタン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノ−4−メチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−N−フェニルアミノアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(1−イミノ−1−エチルアミノ−2−メチルプロパン)、2,2′−アゾビス(1−アリルアミノ−1−イミノ−2−メチルブタン)、2,2′−アゾビス(2−N−シクロへキシルアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノプロパン)及びその塩酸、硫酸、酢酸塩等、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(1,1′−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−1,1′−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ系光重合性化合物。
【0015】
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの共融混合物、4−メチルベンゾフェノンとベンゾフェノンとの液状混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドとオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]とメチルベンゾフェノン誘導体との液状混合物、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルファニル)プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、α−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、エチル4−ジメチルアミノベンゾエート、アクリル化アミンシナジスト、ベンゾイン(iso−及びn−)ブチルエステル、アクリルスルホニウム(モノ、ジ)ヘキサフルオロリン酸塩、2−イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルスルフィド、2−ブトキシエチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート。
【0016】
ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインヒドロキシアルキルエーテル、ジアセチル及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、ジフェニルジスルフィド及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、ベンジル及びその誘導体等。
本発明においては、これらの中で、吸光係数が上述した範囲内にない光重合性化合物を併せて用いることもできる。
【0017】
本発明の製造方法においてはまた、光重合工程で全単量体成分量に対する光重合性化合物量を0.1質量%以下とすることとなる。0.1質量%を超えると、ラジカルが多く発生することにより重合開始点が多くなり、分子量が充分には上がらないこととなる。好ましくは、0.0001質量%以上であり、また、0.08質量%以下である。より好ましくは、0.001質量%以上であり、また、0.07質量%以下である。
上記吸光係数が1×103ml/g・cm以上の光重合性化合物と1×102ml/g・cm以下の光重合性化合物との使用割合としては、1×103ml/g・cm以上の光重合性化合物の質量(g)をA、1×102ml/g・cm以下の光重合性化合物の質量(g)をBとすると、A/Bが20/1〜1/20であることが好ましい。より好ましくは、10/1〜1/10である。
【0018】
本発明の製造方法においては更に、光重合工程で重合開始温度を20℃以下とすることが好ましい。20℃を超えると、反応が進みすぎることでゲル化し、充分に水溶性を有するものを得ることができないおそれがある。より好ましくは、0℃以上であり、また、15℃以下である。更に好ましくは、5℃以上であり、また、10℃以下である。
このような光重合性化合物を用いてエチレン性不飽和単量体を必須とする単量体成分を光重合することにより水溶性樹脂を製造する方法であって、上記水溶性樹脂の製造方法は、波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数が1×103ml/g・cm以上の光重合性化合物と1×102ml/g・cm以下の光重合性化合物とを併用してなり、重合開始温度を20℃以下とし、全単量体成分量に対する光重合性化合物量を0.1質量%以下とする光重合工程を含んでなる水溶性樹脂の製造方法も、本発明の一つである。
【0019】
本発明の製造方法における光重合工程では、エチレン性不飽和単量体を必須とする単量体成分を含有する反応液に光を照射することが好ましい。照射する光としては、紫外線が好適であり、中でも近紫外線を照射することが好ましい。
照射時間としては、50分以下であることが好ましく、より好ましくは30分以下、更に好ましくは20分以下、更に特に好ましくは15分以下、最も好ましくは10分以下である。
上記近紫外線を照射する装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光ケミカルランプ、蛍光青色ランプ等が挙げられる。また、近紫外線の波長領域としては、300nm以上であり、また、500nm以下であることが好適である。
【0020】
上記光重合工程において、近紫外線の照射強度としては、5W/m2以上であることが好ましく、また、100W/m2以下であることが好ましい。より好ましくは、5W/m2以上であり、また、50W/m2以下である。最も好ましくは、10W/m2以上であり、また、40W/m2以下である。
【0021】
上記光重合工程における重合方法としては、上記反応液が水溶液の形態である水溶液重合による方法が好ましい。水溶液重合においては、例えば、窒素ガスをバブリングする等の方法により、水溶液中に溶解している溶存酸素を予め除去した状態で重合を行うことが好ましい。また、重合操作方法としては、回分式でも連続式でもよいが、静置重合による方法が好ましく、このような静置重合としては、可動式ベルトを用いた連続重合がより好ましい。
【0022】
上記光重合工程における重合条件としては、単量体成分の組成、光重合性化合物の種類や使用量等に応じて適宜設定すればよいが、重合開始時における単量体成分の反応液中の濃度(単量体濃度)としては、10質量%以上であり、また、99質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは、20〜80質量%であり、更に好ましくは、30〜70質量%であり、最も好ましくは、40〜60質量%である。単量体濃度が高い方が分子量を上げたり、生産性を向上したりする面で有利である。また、重合開始後の温度としては、−5℃以上であり、また、150℃以下であることが好ましいが、低い方が突沸等の異常反応に基づく危険がなくなると共に、高濃度での反応が容易となるため生産性の面で有利である。更に、重合時間としては、1分以上であり、また、90分以下であることが好ましいが、より好ましくは、60分以下であり、更に好ましくは、30分以下である。
【0023】
本発明の製造方法においては、上記光重合工程により得られる重合物を好ましくは50℃〜150℃で乾燥させることにより、乾燥物である水溶性樹脂を得ることができる。重合物を乾燥させる方法としては、例えば、乾燥しやすいように、重合物を切断する等の方法により重合物の表面積を大きくしたり、減圧乾燥したりすることが好ましい。乾燥温度が50℃よりも低いと、重合物を充分に乾燥させることができないおそれがあり、150℃よりも高いと、重合物の熱架橋が起こり、不溶解分が多くなるおそれがある。また、180℃よりも高い場合には、重合物の主鎖や架橋点の切断が起こり、分子量が低下するおそれがある。なお乾燥時間としては、重合物に含まれる水分量や乾燥温度等に応じて適宜設定すればよい。
【0024】
本発明の製造方法においては、エチレン性不飽和単量体を必須とする単量体成分を光重合することとなるが、このようなエチレン性不飽和単量体としては、以下のような化合物が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
(メタ)アクリル酸、及び、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等の(メタ)アクリル酸を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物等の(メタ)アクリル酸系単量体。
【0025】
α−ヒドロキシアクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体及びこれらの1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体及びこれらの1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド等の不飽和スルホン酸系単量体及びこれらの1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物;(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸等の不飽和ホスホン酸系単量体及びこれらの1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物等。
【0026】
(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアミド系単量体;(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、2−メチルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性単量体;3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ビニルアルコール等の水酸基を有する不飽和単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のカチオン性単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体等。
【0027】
これらの中でも、エチレン系不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸系単量体であることが好ましい。すなわち本発明によって得られる水溶性樹脂は、(メタ)アクリル酸系重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル酸系重合体とは、(メタ)アクリル酸系単量体を含有する単量体成分を重合して得られる重合体を意味し、全単量体成分100モル%中の(メタ)アクリル酸系単量体の含有量としては、好ましくは、50モル%以上であり、より好ましくは、70モル%以上であり、更に好ましくは、80モル%以上である。
【0028】
上記光重合工程においては、連鎖移動剤を1種又は2種以上を用いてもよく、例えば、チオグリコール酸、チオ酢酸、メルカプトエタノール等の含硫黄化合物;亜燐酸、亜燐酸ナトリウム等の亜燐酸系化合物;次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム等の次亜燐酸系化合物;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類等が好適である。これらの中でも、次亜燐酸系化合物が好ましい。より好ましくは、次亜燐酸ナトリウムである。
上記連鎖移動剤の使用量としては、重合濃度や光重合性化合物との組み合わせ等により適宜設定すればよいが、単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また、0.2g以下が好ましい。0.001g以上で0.1g以下が更に好ましく、0.005g以上で0.05g以下が特に好ましい。
【0029】
本発明の製造方法により得られる水溶性樹脂としては、不溶解分が、0.7質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以下であり、更に好ましくは、0.3質量%以下である。
上記不溶解分の測定方法としては、イオン交換水500gに水溶性樹脂1.0gを添加し、2時間攪拌した後に32メッシュのフィルタを用いて濾過することにより、含水状態の不溶物を取り出し、そして、この不溶物を乾燥する前に1分以内に秤量し、下記計算式に従って不溶解分を算出することが好ましい。なお上記測定は25℃、60%湿度雰囲気の条件で行うことが好ましい。
不溶解分(質量%)={不溶物の質量(g)/500(g)}×100
【0030】
本発明による水溶性樹脂としてはまた、残存単量体量が、8000ppm以下であることが好ましい。より好ましくは、5000ppm以下であり、更に好ましくは、3000ppm以下である。
上記残存単量体量は、下記測定条件により測定を行うことが好ましい。
装置:D−7000型HPLC(日立製作所社製)
カラム:Shodex RSpak DE−41(商品名、昭和電工社製)
溶離液:0.1質量%リン酸水溶液
流速:1mL/min
カラム温度:40℃
UV波長:200nm
測定液:0.02質量%水溶液
【0031】
本発明による水溶性樹脂としては更に、粘度が2000mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、1000mPa・s以下であり、更に好ましくは、700mPa・s以下である。
上記粘度の測定方法としては、水溶性樹脂の0.2質量%水溶液を調製し、B 型粘度計を用いて測定する方法が好ましい。
【0032】
本発明における水溶性樹脂としては、酸基が中和された形態であってもよい。このような水溶性樹脂の中和度としては、0〜100モル%であるが、好ましくは、0〜80モル%であり、より好ましくは、0〜50モル%である。中和度とは、水溶性樹脂が有する酸基と中和された状態の基の総和を100モル%として示したときの、中和された状態の基の含有量を意味する。なお中和された状態の基とは、酸基における解離し得る水素イオンが他のカチオンで置換された基である。したがって中和度の求め方としては、例えば、水溶性樹脂を形成する単量体成分がアクリル酸をxモル、アクリル酸の塩としてアクリル酸ナトリウムをyモル、アクリル酸エステルとしてアクリル酸メチルをzモル含むとし、これらがすべて重合したとすると、アクリル酸エステルがイオン性ではなく、中和された形態ではないために、下記式により求められることになる。
【0033】
【式1】
Figure 0004179865
【0034】
本発明の製造方法により得られる水溶性樹脂である(メタ)アクリル酸系重合体は、掘削土処理剤又はパップ剤用添加剤に好適に用いることができ、このような本発明による(メタ)アクリル酸系重合体を主成分とする掘削土処理剤又はパップ剤用添加剤は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
上記掘削土処理剤は、掘削工事等により発生する含水土壌を改質して粒状等の固化物とするために含水土壌に添加されるものであるが、本発明による(メタ)アクリル酸系重合体を用いると、安全性に優れ、しかも低添加量で含水土壌を強度の高い土に改質することができるものとなる。
【0035】
上記掘削土処理剤が用いられる含水土壌としては、例えば、地中連続壁工法、泥水シールド工法等を採用した掘削工事の掘削時に発生する土を土砂と泥水とに分離し、脱水プレス等により泥水の固液分離を行った後に得られる脱水ケーキ等としての汚泥;建設作業にともなって発生する泥水を沈殿槽に静置して得られる沈殿物としての汚泥;掘削残土、軟弱残土;採石場及び砕石場にて発生する含水石粉等の汚泥;粘土やシルト等が挙げられる。このような含水土壌は、ベントナイト等を含有するものであってもよい。また、JIS A 1203の含水比試験方法に基づいて測定される含水比が20〜200%となるものが好ましい。含水比は、下記式により計算されることになる。
{水(g)/含水土壌の固形分(g)}×100
200%を超えると、水の含有量が多くなり過ぎることから、掘削土処理剤の使用量が多くなり、コストが高くなるおそれがある。
【0036】
本発明による(メタ)アクリル酸系重合体は、上記含水土壌の中でも、関東地方で発生したものに用いることが適している。関東地方における建設発生土の発生量は、全国の中で最も多く、一般的に関東ローム(火山灰質粘性土)、シルト、粘土等を多く含み、粒状の固化物とすることが困難なものであるが、本発明による(メタ)アクリル酸系重合体を適用することにより、このような含水土壌を再利用することが可能となる。また、通常汚泥として廃棄される含水土壌を処理することで、トラック等で運搬することが可能になる。また、環境保全、省資源及び廃棄場所の延命、含水土壌の処分費用の低減が可能となる。
【0037】
上記掘削土処理剤の含水土壌に対する添加量としては、例えば、含水土壌100重量部に対して(メタ)アクリル酸系重合体が0.01重量部以上となるように、また、5重量部以下となるように添加することが好ましい。0.01重量部未満であると、含水土壌を充分に改質することができないおそれがあり、5重量部を超えると、改質効果がほとんど変わらないこととなる。より好ましくは、0.02重量部以上であり、また、1重量部以下である。なお、上記添加量になるような配合で、かつ使用時に問題が起きないように上記掘削土処理剤中の(メタ)アクリル酸系重合体の含有量を設定すればよい。また、必要に応じて、掘削土処理剤が用いられた含水土壌に水硬性物質、具体的にはセメントや生石灰や消石灰やせっこう等、あるいはこれらの混合物を更に添加して処理することができる。
【0038】
上記パップ剤用添加剤は、パップ剤に粘着性を付与するためにパップ剤用基材に添加されるものであるが、本発明による(メタ)アクリル酸系重合体を用いると、高い粘着性と賦型性とを発現させることができるものとなる。
上記パップ剤用添加剤のパップ剤用基材に対する添加量としては、例えば、パップ剤用基材100重量部に対して(メタ)アクリル酸系重合体が0.01重量部以上となり、また、30重量部以下となるように添加することが好ましい。0.01重量部未満であると、パップ剤用基材を増粘して高い粘着性や賦型性を発現させることができないおそれがあり、30重量部を超えると、増粘効果がほとんど変わらないこととなる。より好ましくは、0.1重量部以上であり、また、10重量部以下である。また、パップ剤用添加剤においても、上記添加量になるような配合で、かつ使用時に問題が起きないように、上記パップ剤用添加剤中の(メタ)アクリル酸系重合体の含有量を設定すればよい。
【0039】
上記パップ剤としては、公知の添加剤を所望の量で配合してもよく、本発明による(メタ)アクリル酸系重合体を使用するパップ剤用添加剤以外のその他の添加剤としては、グリセリン等のグリコール類、ゼラチン、界面活性剤、メントール等の香料、サリチル酸メチルやカンフルやハッカ油等の薬効成分等が挙げられる。本発明による(メタ)アクリル酸系重合体を含有するパップ剤用添加剤と、それ以外の添加剤から形成されるパップ剤は本発明の実施形態の1つである。
【0040】
本発明による(メタ)アクリル酸系重合体は粘着性、増粘性、凝集性に優れているので、上記した土壌処理剤やパップ剤用添加剤以外の用途として、増粘剤、粘着剤、紙力増強剤、凝集剤等にも使用することもできる。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0042】
実施例1
内径20cm、容量1500mlのステンレス製容器に窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水131.69g、アクリル酸ソーダ339.39g、アクリル酸220.02gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで充分に窒素置換した。この時、ステンレス製容器を氷水で冷却しながら内温を10℃以下に保った。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液4.45g及び光重合開始剤ダロキュア1173(波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数7.388×101ml/g・cm、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)とイルガキュア819(波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数2.309×103ml/g・cm、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を質量比8:2で溶かした1%アクリル酸溶液4.45gを入れ均一に混合して反応液を得た。この溶液を窒素置換されている直径200mmのテフロン(R)製重合容器に移し替え、22W/mの紫外線を10分間照射した。重合発熱ピーク温度は約105℃であった。重合終了後、約700gの無色透明ゲルが得られた。このゲル状物をミートチョッパー(増幸社製)で粗砕し、熱風乾燥機により120℃で1.5時間乾燥した。更にこの乾燥物を卓上ミルで粉砕し、20メッシュパスの粉末を約680g得た。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ490mPa・sであり、不溶解分は0.2%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーで残アクリル酸量を測定したところ、700ppmであった。
【0043】
実施例2
内径20cm、容量1500mlのステンレス製容器に窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水131.69g、アクリル酸ソーダ339.39g、アクリル酸220.02gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで充分に窒素置換した。この時、ステンレス製容器を氷水で冷却しながら内温を10℃以下に保った。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液4.45g及び光重合開始剤ダロキュア1173(波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数7.388×101ml/g・cm、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)とイルガキュア819(波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数2.309×103ml/g・cm、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を質量比9:1で溶かした1%アクリル酸溶液4.45gを入れ均一に混合して反応液を得た。この溶液を窒素置換されている直径200mmのテフロン(R)製重合容器に移し替え、22W/mの紫外線を10分間照射した。重合発熱ピーク温度は約107℃であった。重合終了後、約700gの無色透明ゲルが得られた。このゲル状物をミートチョッパー(増幸社製)で粗砕し、熱風乾燥機により120℃で1.5時間乾燥した。更にこの乾燥物を卓上ミルで粉砕し、20メッシュパスの粉末を約680g得た。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ485mPa・sであり、不溶解分は0.3%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーで残アクリル酸量を測定したところ、1100ppmであった。
【0044】
比較例1
内径20cm、容量1500mlのステンレス製容器に窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水131.69g、アクリル酸ソーダ339.39g、アクリル酸220.02gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで充分に窒素置換した。この時、ステンレス製容器を氷水で冷却しながら内温を10℃以下に保った。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液4.45g及び光重合開始剤ダロキュア1173(波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数7.388×101ml/g・cm、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を溶かした1%アクリル酸溶液4.45gを入れ均一に混合して反応液を得た。この溶液を窒素置換されている直径200mmのテフロン(R)製重合容器に移し替え、22W/m2の紫外線を10分間照射した。重合発熱ピーク温度は約106℃であった。重合終了後、約700gの無色透明ゲルが得られた。このゲル状物をミートチョッパー(増幸社製)で粗砕し、熱風乾燥機により120℃で1.5時間乾燥した。更にこの乾燥物を卓上ミルで粉砕し、20メッシュパスの粉末を約680g得た。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ430mPa・sであり、不溶解分は1.2%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーで残アクリル酸量を測定したところ、21000ppmであった。
【0045】
比較例2
内径20cm、容量1500mlのステンレス製容器に窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水131.69g、アクリル酸ソーダ339.39g、アクリル酸220.02gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで充分に窒素置換した。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液4.45g及び光重合開始剤ダロキュア1173(波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数7.388×101ml/g・cm、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を溶かした1%アクリル酸溶液4.45gを入れ均一に混合して反応液を得た。この溶液を窒素置換されている直径200mmのテフロン(R)製重合容器に移し替え、22W/m2の紫外線を10分間照射した。この時の重合開始温度は25℃であり、重合発熱ピーク温度は約106℃であった。重合終了後、約700gの無色透明ゲルが得られた。このゲル状物をミートチョッパー(増幸社製)で粗砕し、熱風乾燥機により120℃で1.5時間乾燥した。更にこの乾燥物を卓上ミルで粉砕し、20メッシュパスの粉末を約500g得た。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ400mPa・sであり、不溶解分は4.9%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーで残アクリル酸量を測定したところ、18000ppmであった。
【0046】
実施例3
内径20cm、容量1500mlのステンレス製容器に窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水344.94g、アクリル酸345.33gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで充分に窒素置換した。この時、ステンレス製容器を氷水で冷却しながら内温を10℃以下に保った。その後、3%次亜リン酸ソーダ水溶液4.86g及び光重合開始剤ダロキュア1173(波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数7.388×101ml/g・cm、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)とイルガキュア819(波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数2.309×103ml/g・cm、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を質量比8:2で溶かした5%アクリル酸溶液4.86gを入れ均一に混合して反応液を得た。この溶液を窒素置換されている直径200mmのテフロン(R)製重合容器に移し替え、22W/m2の紫外線を15分間照射した。重合発熱ピーク温度は約105℃であった。重合終了後、約700gの無色透明ゲルが得られた。このゲル状物をミートチョッパー(増幸社製)で粗砕し、熱風乾燥機により120℃で1.5時間乾燥した。更にこの乾燥物を卓上ミルで粉砕し、20メッシュパスの粉末を約400g得た。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ13mPa・sであり、不溶解分は0.2%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーで残アクリル酸量を測定したところ、1800ppmであった。
【0047】
比較例3
内径20cm、容量1500mlのステンレス製容器に窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水344.94g、アクリル酸345.33gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで充分に窒素置換した。この時、ステンレス製容器を氷水で冷却しながら内温を10℃以下に保った。その後、3%次亜リン酸ソーダ水溶液4.86g及び光重合開始剤ダロキュア1173(波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数7.388×101ml/g・cm、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を溶かした5%アクリル酸溶液4.86gを入れ均一に混合して反応液を得た。この溶液を窒素置換されている直径200mmのテフロン(R)製重合容器に移し替え、22W/m2の紫外線を20分間照射した。重合発熱ピーク温度は約104℃であった。重合終了後、約700gの無色透明ゲルが得られた。このゲル状物をミートチョッパー(増幸社製)で粗砕し、熱風乾燥機により120℃で1.5時間乾燥した。更にこの乾燥物を卓上ミルで粉砕し、20メッシュパスの粉末を約400g得た。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ11mPa・sであり、不溶解分は0.9%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーで残アクリル酸量を測定したところ、12700ppmであった。
【0048】
【発明の効果】
本発明の水溶性樹脂の製造方法は、上述のような構成よりなり、重合時間を短縮することが可能であり、しかも残存単量体量や不溶解分を低減し、例えば、掘削土処理剤やパップ剤用添加剤、浚渫土処理剤等の各種の用途に好適な水溶性樹脂を製造することができる方法である。

Claims (6)

  1. 光重合性化合物を用いてエチレン性不飽和単量体を必須とする単量体成分を光重合することにより水溶性樹脂を製造する方法であって、
    該水溶性樹脂の製造方法は、波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数が1×10ml/g・cm以上の光重合性化合物と1×10ml/g・cm以下の光重合性化合物とを併用してなり、全単量体成分量に対する光重合性化合物量を0.1質量%以下とする光重合工程を含んでなり、
    該光重合工程は、近紫外線の照射強度が5〜50W/m、照射時間が20分以下である
    ことを特徴とする水溶性樹脂の製造方法。
  2. 光重合性化合物を用いてエチレン性不飽和単量体を必須とする単量体成分を光重合することにより水溶性樹脂を製造する方法であって、
    該水溶性樹脂の製造方法は、波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数が1×10ml/g・cm以上の光重合性化合物と1×10ml/g・cm以下の光重合性化合物とを併用してなり、重合開始温度を20℃以下とし、全単量体成分量に対する光重合性化合物量を0.1質量%以下とする光重合工程を含んでなり、
    該光重合工程は、近紫外線の照射強度が5〜50W/m、照射時間が20分以下である
    ことを特徴とする水溶性樹脂の製造方法。
  3. 前記光重合工程は、重合開始時における単量体成分の反応液中の濃度が40〜99質量%である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の水溶性樹脂の製造方法。
  4. 前記エチレン性不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸系単量体である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水溶性樹脂の製造方法。
  5. 前記(メタ)アクリル酸系単量体の含有量は、全単量体成分100モル%中、50モル%以上である
    ことを特徴とする請求項4に記載の水溶性樹脂の製造方法。
  6. 前記波長365nmにおけるメタノール溶液中での吸光係数が1×10ml/g・cm以上の光重合性化合物と1×10ml/g・cm以下の光重合性化合物との使用割合は、10/1〜8/2である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水溶性樹脂の製造方法。
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