JP2007528912A - 水溶性多孔質ポリマーの製造方法および水溶性多孔質ポリマー - Google Patents

水溶性多孔質ポリマーの製造方法および水溶性多孔質ポリマー Download PDF

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Abstract

水溶性多孔質ポリマーの効率的な製造方法および水溶解性に優れる水溶性多孔質ポリマーを提供する。エチレン性不飽和単量体を含む単量体水溶液が、気泡を含有して重合されることを特徴とする、水溶性多孔質ポリマーの製造方法である。当該方法によれば、乾燥および粉砕工程を簡略化でき、かつ得られた水溶性多孔質ポリマーは水溶解性に優れる。

Description

技術分野
本発明は、水溶性多孔質ポリマーの製造方法に関する。より詳細には、エチレン性不飽和単量体を含む単量体水溶液に気泡を含有させつつ重合することにより水溶性多孔質ポリマーを製造する方法、および空隙率が5〜80%であり、水不溶解分が10質量%以下である水溶性多孔質ポリマーに関する。
背景技術
従来から水溶性ポリマーには、ゼラチンや多糖類などの天然高分子、ポリアクリル酸、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどの合成高分子等の各種の製品がある。これらは、創傷被覆剤、コンタクトレンズ、人工筋肉、人工臓器などの医療用品や、植物栽培用材料、人工栽土等の育種関連材料、その他増粘剤、廃水洗浄剤、分散剤、顔料、粘着剤や生物固定化担体などに多用されている。また、水溶性ポリマーの需要の拡大に伴い、大量かつ安価に高品質の水溶性ポリマーを製造する技術が求められている。
従来から、アクリル酸系単量体に光エネルギーを照射することにより重合体を得ることは知られている。例えば、アクリル系重合体ゲルを連続的に製造する方法として、アクリル系単量体と光重合開始剤とを含む単量体溶液を酸素1mg/l以下とした後に、単量体溶液を薄層状に供給し、薄膜への光エネルギーの照射によって単量体溶液を重合させて重合体ゲルを連続的に製造する方法がある(特開平1−138210号公報)。品質の良好な重合体を安定して製造するには重合段階のゲルの層厚が一定に制御されることが必要である。ゲル中のアクリル酸濃度が高い場合には、重合時の重合熱によって突沸状態になり、ゲル濃度が不均一になるため重合度のバラツキが発生したり、突沸により単量体が飛散することがある。これらの欠点を考慮し、20〜80重量%の単量体水溶液を調製し、未重合部分の発生をなくすために酸素濃度を1mg/l以下とし、3〜20mmの層厚で供給して重合させている。単量体混合溶液供給開始後180分の重合体ゲルの固形分は40.8%であり、得られた帯状重合体ゲルは、チップ状または粒状に解砕され、粉砕機によって約3mmの粒子に粉砕させた後、80℃で約1時間乾燥される。
低分子量水溶性重合体の製造方法としては、ビニル系単量体をその水溶液中で亜硫酸水素イオン及び光重合開始剤の存在下で光重合させて低分子量水溶性重合体を製造する方法もある(特開2002−69104号公報)。高濃度の単量体水溶液を薄層状に供給し、上方より紫外線を薄膜に照射することによって高分子凝集剤などの用途に有効な分子量の高い水溶性重合体を得る従来の方法に対し、この方法は分子量分布のシャープな水溶性重合体を製造する目的で開発されたものであり、5〜85重量%のビニル系単量体水溶液に連鎖移動剤である亜硝酸水素イオンと光重合開始剤とを添加し、反応液を撹拌しつつ重合を行い、重量平均分子量が2,000〜10,000の水溶性重合体を製造している。なお、実施例での固形分は36〜44重量%である。
また、30℃における固有粘度およびイオン交換水に対する不溶解分が特定された部分中和(メタ)アクリル酸系重合体を製造するため、酸型単量体および活性炭処理された(メタ)アクリル酸塩を主成分として含む単量体成分を重合することを特徴とする、部分中和(メタ)アクリル酸系重合体の製造方法も開示されている(特開2000−212222号公報)。該発明は、従来品は重合度が十分でなく、硬くてしかも粘着性を有する基材ができないことに鑑みて、重合度が高い部分中和(メタ)アクリル酸系重合体を製造することを目的としたものである。
水溶性ポリマーの製造には水溶性単量体が使用されるため、反応溶液は必然的に水溶液である。従って、水溶性ポリマー製造後には反応液に使用された水と該ポリマーとを分離し、反応物を乾燥する必要がある。また、用途によっては得られた水溶性ポリマーを解砕、粉砕する場合もあり、この際の水分含有量によって解砕または粉砕効率も変化する。特に連続的に水溶性ポリマーを製造する場合に重合速度に合わせて連続運転を行うと、乾燥工程の所要時間が長くなる。短時間に乾燥処理するには当該処理を高温で行う必要があり、過量の乾燥エネルギーが必要となり、ひいては製造コストの増加にも繋がる。特に、対象物が水溶性ポリマーの場合にはその性質上乾燥が困難である。従って、このような水溶性ポリマーの乾燥工程を簡便に行い得ることは、生産効率の向上および製造コストの低下に繋がる重要な要素である。
上記現状に鑑みて、本発明の目的は、製造工程が簡便で、製造コストも安価な水溶性ポリマーの製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明者は、エチレン性不飽和単量体を含む単量体水溶液の重合に際して、反応液中に積極的に気泡を供給して重合すると水溶性多孔質ポリマーが製造できること、重合物の表面積が拡大するため含まれる水分と重合熱の放散が容易で乾燥時間を短縮でき、その後の粉砕工程でも粉砕効率が向上しかつ製品コストを低減でき、および該水溶性多孔質ポリマーはこれをスライスおよび粉砕しても非多孔質ポリマーと同様の粘度を発揮し得ること、および該水溶性多孔質ポリマーは未発泡のものよりも残存モノマー量が少なく重合反応をより均一に行うことができ、かつ高分子量化も可能なことを見出し本発明を完成させた。
本発明によれば、簡便に水可溶性多孔質ポリマーを製造することができる。
本発明は特に、エチレン性不飽和単量体を含む単量体水溶液が、気泡を含有して重合されることを特徴とする。前記単量体水溶液の重合前の体積に対する重合終了時の多孔質ポリマーの体積を1.1〜20倍とすると、残存モノマー量が少なく、高分子量の水溶性多孔質ポリマーが得られる。
本発明の水溶性多孔質ポリマーは、水不溶解分が10質量%以下と極めて水溶性が高く、かつ多孔質体に調製したことで、より水溶解性に優れる。
発明を実施するための最良の形態
本発明の第一は、単量体水溶液が気泡を含有して重合される段階を有する、水不溶解分が10質量%以下の水溶性多孔質ポリマーの製造方法である。吸水特性を向上させる目的で多孔質ポリマーを製造する技術は存在するが、かようなポリマーは内部架橋剤を含有する単量体成分を重合して得られる親水性ポリマーであり水に溶解しない。水溶性ポリマーの重合時間は長いため、気泡を含有させ、この状態を維持したまま重合することは困難である。このため水溶性多孔質ポリマーの開発は全くなされていなかった。しかしながら本発明では、単量体水溶液に光重合開始剤を含め、紫外線または近紫外線領域の波長を照射することで重合時間を短縮し、または単量体水溶液の粘度を調整することで発泡を長時間に維持させ、水溶性多孔質ポリマーの開発を可能とした。以下、本発明を詳細に説明する。
(1)単量体水溶液の調製
本発明の水溶性多孔質ポリマーは、単量体を溶媒中で重合して製造できる。このような単量体としては、エチレン性不飽和単量体、カルボニル化合物、アルコール類、カルボン酸類等がある。
エチレン性不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のアニオン性単量体やそのリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩;(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニルアセトアミド等のノニオン性親水性基含有単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体やそれらの4級化物等を具体的に挙げることができる。なお、N−ビニルピロリドンは共重合用として具体的に挙げることができる。また、得られる重合体の水溶性を阻害しない程度の量で、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル類や酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の疎水性単量体を使用してもよい。
また、カルボニル化合物としては、アルデヒドやケトン類、環状エーテルやラクトン類が挙げられる。アルコール類としては、脂肪族アルコールや芳香族アルコール、ジオール等がある。また、カルボン酸類としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、アミン類やチオール類等がある。なお、これらの単量体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明では、上記単量体成分の中でもエチレン性不飽和単量体を使用することが好ましい。とりわけ(メタ)アクリル酸およびその塩、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸およびその塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩、(メタ)アクリルアミド、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはその4級化物からなる群から選ばれる1種以上のものが好ましく、(メタ)アクリル酸またはその塩を必須成分として含むものがさらに好ましい。単量体成分がアクリル酸塩などの「塩」の場合には、酸型のアクリル酸を単量体成分として含有する水溶液を調製した後にアルカリを添加して中和塩としたものでもよく、予め中和塩型を単量体成分として使用してもよい。なお、「塩」としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩が挙げられる。
単量体水溶液の粘度は特に制限されないが、0.001〜1.2Pa・sに調整すると気泡を単量体水溶液中により安定に分散させることができる。好ましくは0.001〜1.0Pa・s、より好ましくは0.001〜0.6Pa・sである。なお、粘度が1.2Pa・sよりも高いと、本発明で使用可能な発泡剤等を添加した時に、その剤を均一に分散させることが困難となることがある。また、粘度が高いと単量体水溶液をポンプ等により移送することが困難となることもある。
単量体水溶液の濃度は特に制限されない。しかしながら、40質量%以上に調整すると得られたポリマーの乾燥や粉砕等の工程を簡便にすることができる。好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、最も好ましくは70質量%以上である。単量体水溶液の濃度が40質量%よりも低いと、水分量が多く乾燥を高温で長時間行う必要があり装置も大きくなるため非効率である。なお、単量体水溶液の濃度が高いほど製造されるポリマー中の水分量が少なくなるため、乾燥や粉砕等の処理の効率が向上する。また、場合によっては乾燥工程を省略することが可能である。また、単量体水溶液を高濃度で重合すれば重合後すぐに粉砕することができ、所定の粉体を容易に得ることができる。なお、単量体水溶液の濃度が高いと単量体水溶液の粘度が高まるため、後記するように気泡の保持力が増強し、高品質の水溶性多孔質ポリマーを製造することができる。
単量体水溶液の粘度を高めるには、上記単量体水溶液に増粘剤を添加してもよい。該増粘剤は水溶性ポリマーであり、例えば、オリゴアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等を用いることができる。増粘剤として利用されるこれらの水溶性ポリマーは、重量平均分子量が1,000〜10,000,000、好ましくは10,000〜5,000,000である。平均分子量が1,000未満の場合には増粘剤の添加量が多くなり、水溶性が低下する場合があり好ましくない。また、増粘剤の添加量は、単量体水溶液の粘度が1.2Pa・s以下となるのであれば特に制限されるものではなく、一般に単量体に対し0.01〜3質量%、好ましくは0.1〜1質量%の範囲とする。該増粘剤の添加量が0.01質量%未満では十分な増粘効果が得られない場合がある。
上記範囲の粘度に調整するために、例えば単量体成分がエチレン性不飽和単量体である場合には、中和塩型単量体の配合量を5〜100モル%、好ましくは10〜100モル%としてもよい。エチレン性不飽和単量体は酸型と中和塩型によって水溶液中の粘度が相違する場合があり、一般には中和塩型の方がより粘度が高い。このため、中和塩の配合量を調整して粘度を制御することができる。なお、重合の際の単量体水溶液の中和塩型の配合量を上記範囲に調整すると粘度の調整ができ、重合の際の気泡の維持に好適であるが、重合後に得られた水溶性多孔質ポリマーを酸で処理すれば酸型に戻すことができ、またはアルカリで処理すれば全中和塩型に調整することができる。さらに、アルカリ量を調整すれば所望の中和塩を含む水溶性多孔質ポリマーを得ることができる。該方法によれば、増粘剤などの添加物を配合することなく粘度が調整できる点で好ましい。
これまで、積極的に気泡を供給して架橋構造を有する親水性重合体が製造されてきたが、本発明のような水不溶解分の少ない水溶性重合体の場合において、気泡を供給する方法によって水溶性多孔質ポリマーは製造されていない。架橋構造を有する親水性重合体の場合には反応液の粘度が非常に高く、容易に反応液に気泡を保持できたものと考えられる。これに対して、本発明の水不溶解分の少ない水溶性重合体は架橋構造を有しない親水性重合体であり、架橋構造がないために反応液の粘度が低く、重合終了時まで気泡を保持することができない。そこで今回、上記した方法で反応液の粘度を調整することで気泡の保持力を高め、また、下記の種々の発泡手段を用いることで、水溶性多孔質ポリマーの合成が可能となった。
該単量体水溶液を重合させる際には、ラジカル重合開始剤を単量体水溶液中に予め溶解もしくは分散させておくことがより好ましい。ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾニトリル化合物、アゾアミジン化合物、環状アゾアミジン化合物、アゾアミド化合物、アルキルアゾ化合物、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド)等のアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、過酸化水素、メチルエチルケトンパーオキシド、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物;上記過酸化物と、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ホルムアミジンスルフィン酸、アスコルビン酸等の還元剤とを組み合わせてなるレドックス開始剤等がある。これらラジカル重合開始剤は、単独で用いてもよく、また二種類以上を併用してもよい。本発明で好ましく使用されるラジカル重合開始剤の配合量は、エチレン性不飽和単量体100質量部に対して0.0001〜10質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは0.0005〜5質量部、特には0.001〜1質量部の範囲がより好ましい。
また本発明では、ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アゾ化合物等の光重合開始剤を重合開始剤として使用してもよく、光重合開始剤と紫外線および/または近紫外線を用いるのも好ましい方法である。
このような光重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−アミノジノプロパン)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、1、1’−アゾビス(1−アミジノ−1−シクロプロピルエタン)、2,2’−アゾビス(2−アミジノ−4−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−N−フェニルアミノアミジノプロパン)、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−エチルアミノ−2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(1−アリルアミノ−1−イミノ−2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−N−シクロヘキシルアミジノプロパン)、2,2’−アゾビス(2−N−ベンジルアミノプロパン)及びその塩酸、硫酸、酢酸塩など、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)およびそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−1,1’−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ系光重合開始剤、
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)とベンゾフェノンとの共融混合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル)]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア369)と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)との3:7の混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(イルガキュア819)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンとの1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−クロロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI4034)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:1の混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:1:の液状混合物、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどのベンゾイル系光重合開始剤、
オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの共融混合物、4−メチルベンゾフェノンとベンゾフェノンとの液状混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドとオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]およびメチルベンゾフェノン誘導体との液状混合物、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルファニル)プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、α−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、エチル4−ジメチルアミノベンゾエート、アクリル化アミンシナジスト、ベンゾイン(iso−及びn−)ブチルエステル、アクリルスルホニウム(モノ、ジ)ヘキサフルオロリン酸塩、2−イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、2−ブトキシエチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、
ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインヒドロキシアルキルエーテル、ジアセチル及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、ジフェニルジスルフィド及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、ベンジル及びその誘導体等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明ではこれらの中でもベンゾイン系光重合開始剤を用いることが好ましく、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等の光重合開始剤が好適に用いられる。
上記光重合開始剤の使用量としては、単量体100質量部に対して、0.0001〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.0005〜5質量部、特には0.001〜1質量部である。開始剤量が0.0001質量部よりも少ないと、重合速度が非常に遅くなる。また10質量部よりも多い場合には、発熱が大きすぎて水不溶解分が多くなってしまう恐れがある。
本発明では連鎖移動剤を添加してもよい。このような連鎖移動剤としては、含硫黄化合物、亜燐酸系化合物、次亜燐酸系化合物、アルコール類等がある。連鎖移動剤を添加すると架橋反応を調整でき、水不溶解分を10質量%未満に抑制でき、また、短鎖ポリマーの発生を抑制することができる。
例えば含硫黄化合物としては、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウムなどの次亜リン酸(塩)、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、チオ酢酸、メルカプトエタノール、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、及び2−メルカプトエタンスルホン酸などのチオール類、チオール酸類がある。亜燐酸系化合物としては、亜燐酸、亜燐酸ナトリウム等が、次亜燐酸系化合物としては、次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム等が、アルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも次亜燐酸系化合物が好ましく、より好ましくは、次亜燐酸ナトリウムである。
連鎖移動剤の配合量は、重合粘度や光重合開始剤との組み合わせ等により適宜設定すればよいが、単量体100質量部に対して0.0001〜10質量部の範囲内が好ましく、0.005〜5質量部の範囲がより好ましい。
重合開始剤と連鎖移動剤との関連は、モノマー1mol当たりの質量で考えた場合、それらの配合比(重合開始剤/連鎖移動剤)が10以下、好ましくは5以下、最も好ましくは3以下である。配合比が10を超えると、得られる多孔体および粉体の水不溶解分が10質量%を超えてしまう恐れがあり好ましくない。
更に、単量体水溶液には、気泡の発生および維持を容易にするために界面活性剤を添加してもよい。配合し得る界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、有機金属界面活性剤等がある。
アニオン性界面活性剤としては、混合脂肪酸ナトリウム石けん、半硬化牛脂脂肪酸ナトリウム石けん、ステアリン酸ナトリウム石けん、オレイン酸カリウム石けん、ヒマシ油カリウム石けん等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩;アルキルリン酸カリウム等のアルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキル(またはアルキルアリル)硫酸エステル塩;特殊反応型アニオン界面活性剤;特殊カルボン酸型界面活性剤;β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、特殊芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等がある。
ノニオン性界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ポリオキシエチレン誘導体;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;アルキルアルカノールアミド等がある。
カチオン性界面活性剤および両面界面活性剤としては、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライト、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩;ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキルベタイン;ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイドがある。カチオン性界面活性剤を用いることにより得られる水溶性重合体に抗菌性を付与することもできる。
さらに、界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤がある。フッ素系界面活性剤を用いることにより、単量体水溶液中に不活性ガスの気泡を長時間安定に分散させることができる。また気泡の量、孔径のコントロールも容易である。そして得られる水溶性重合体は多孔質な発泡体となる。また、抗菌性を付与することもできる。本発明において使用されるフッ素系界面活性剤としては、種々のものがあるが、例えば一般の界面活性剤の親油基の水素をフッ素に置き換えてパーフルオロアルキル基としたものであり、界面活性が格段に強くなっているものである。
フッ素系界面活性剤の親水基を変えると、アニオン型、ノニオン型、カチオン型および両性型の4種類があるが、疎水基の方は同じ構造のフルオロカーボン鎖を用いることが多い。また、疎水基である炭素鎖は直鎖であっても分枝状であっても使用可能である。代表的なフッ素系界面活性剤としては、つぎのものがある。
フルオロアルキル(C〜C10)カルボン酸、N−パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[フルオロアルキル(C〜C11)オキシ]−1−アルキル(C〜C)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C〜C)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸(C〜C13)、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、パーフルオロアルキル(C〜C12)スルホン酸塩(Li、K、Na)、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C〜C10)アルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩(K)、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)、モノパーフルオロアルキル(C〜C16)エチルリン酸エステル、パーフルオロアルキル第四級アンモニウムヨウ化物(商品名 フロラードFC−135、住友スリーエム株式会社製カチオン性フッ素系界面活性剤)、パーフルオロアルキルアルコキシレート(商品名 フロラードFC−171、住友スリーエム株式会社製ノニオン性界面活性剤)、パーフルオロアルキルスルホン酸カリウム塩(商品名 フロラードFC−95およびFC−98、住友スリーエム株式会社製アニオン性界面活性剤)。
更に、有機金属界面活性剤を用いることができる。有機金属界面活性剤とは、分子の主鎖や側鎖にSi、Ti、Sn、Zr、Ge等の金属を有するものをいうが、好ましくは分子の主鎖にSiを有するものが好ましく、より好ましくはシロキサン系界面活性剤である。
代表的な有機金属界面活性剤としては、下式(1)〜(19)に示すもの(吉田、近藤、大垣、山中、“新版 界面活性剤ハンドブック”,工学図書(1966),34頁)等が挙げられる。
Figure 2007528912
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Figure 2007528912
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なお、上式(1)〜(19)に代表される有機金属界面活性剤に含まれる金属としては、SiまたはTiの代わりにSn、Zr、Ge等を用いることができる。
上記した界面活性剤は、それ自体が発泡し、または気泡を単量体水溶液に含有させる作用はないが、これを単量体水溶液に添加すると、撹拌混合操作や発泡剤の使用によって該水溶液が発泡した後の気泡を維持させることができる。
単量体水溶液のpHなどによって適宜選択することができ、また配合量も上記界面活性剤の添加量に準じて使用することができる。なお、上記界面活性剤類は、使用する状況に応じて整泡剤として利用することができる。
これらは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。本発明では、これらのなかでも、ショ糖脂肪酸エステルやソルビタン系の界面活性剤が好ましく、より好ましくはソルビタンモノステアレートである。
これらの界面活性剤は、使用される単量体100質量部当り0.001〜100質量部、好ましくは0.005〜80質量部、特に好ましくは0.01〜30質量部である。0.001質量部未満では、重合終了時の多孔質ポリマーの体積を重合開始時の単量体水溶液の体積の1.1〜20倍に調整することが困難な場合があり、一方、100質量部を越えても添加量に見合っただけの効果がでない場合がある。
本発明で使用する単量体水溶液には、更にデンプン、デンプンの誘導体、セルロースの水溶性高分子、ポリアクリル酸ナトリウムやポリエチレンオキサイド等の水溶液を配合してもよい。
なお、水溶性多孔質ポリマーを製造するために用いられる溶媒としては、水が好適であるが、エチレン性不飽和単量体の溶解度を増すために亜硫酸水素イオンの溶解性を阻害しない範囲で、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類を添加した水溶液を使用することもできる。
(2)気泡の調製
本発明では、上記単量体水溶液が気泡を含有して重合されることを特徴とし、重合の際に気泡を含有させるには、予め重合体水溶液に不活性ガスを撹拌・混合させて得た調製物を重合する方法(I)や、単量体水溶液に発泡剤を添加し、重合熱で発泡させつつ重合する方法(II)、沸点重合法(III)などがある。
(I)の不活性ガスを撹拌・混合する方法としては、例えば単量体水溶液をムース状に押出て重合装置に供給する方法(I−1)や、単量体水溶液を混合装置で不活性ガスが混入できるように撹拌・混合する方法(I−2)、バブリングによってシャボン玉状の気泡を発生させる方法(I−3)、加圧下に窒素ガスや二酸化炭素を溶かし込む方法(I−4)等がある。なお、混合する不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウムなどがある。
(I−1):単量体水溶液をムース状に調製するには、例えば上記単量体水溶液をポンプ式ノズルからムース状に排出させる。この際、単量体水溶液に界面活性剤が配合される場合には、重合時の気泡の維持に有効であり、界面活性剤の種類や量を適宜コントロールすることにより、得られる水溶性多孔質ポリマーの孔径や水溶性をコントロールすることもできる。
(I−2):単量体水溶液を混合装置で不活性ガスを撹拌・混合して気泡を含有させるには、例えば上記界面活性剤を配合した単量体水溶液をスタティックミキサーにより発泡させる方法がある。スタティックミキサーは、パイプ内に左右エレメントを交互に配したミキサーであり、そこに単量体水溶液と不活性ガスとを流し込むと両者が混合され、ガスを含有した単量体水溶液を得ることができる。
また撹拌・混合により気泡を含有させる方法として、例えば特開平10−251310号公報に記載されるように、単量体水溶液と不活性ガスのどちらか一方の流体の流れの中に、その流れと並流に他方の流体をノズルから噴射することにより両者を混合させる方法でもよい。単量体水溶液と不活性ガスとの両者を流体状態で混合することにより、単量体水溶液中に不活性ガスを均一かつ安定に分散させることが出来る。そして、不活性ガスがあらかじめ単量体水溶液中に分散した状態で該単量体を重合することにより、孔径のコントロールが容易となり、水溶性の高い多孔質なポリマーを得ることができる。具体的には、単量体水溶液と不活性ガスのどちらか一方の流体の流れの中に、他方の流体をノズルから噴射することにより両者を混合させる方法があり、例えば、ノズルから噴出した単量体水溶液の流体に対し別のノズルから不活性ガスを並流に流し両者を混合したり、ノズルから噴出した不活性ガスの流体に対し別のノズルから単量体水溶液を並流に流し両者を混合する方法がある。また、単量体水溶液の流体の中に不活性ガスを直接吹き込んでもよい。流体を撹拌・混合する場合、両者は並流、向流、あるいは垂直に噴射することができる。好ましくは、並流に噴射することである。並流に噴射することで気泡を均一に分散させることができる。向流に噴射すると飛沫が壁等に付着し、重合してしまう恐れがある。
撹拌・混合する装置としては、アスピレーターやエジェクター等を使用することができる。次いで単量体水溶液と不活性ガスとの混合物を、流体の流れを阻害する凹凸または/および充填物を有する混合域に導入すると両者をより均一に混合させることができる。このような流体の流れを阻害する凹凸や充填物としては、突起、羽、邪魔板、充填物等を有する混合域が例示できる。このような混合装置については、特開平10−251310号公報に準じて実施することができる。
前記単量体水溶液の重合前の体積に対する重合終了時の多孔質ポリマーの体積を1.1〜20倍とするには、ガスの混合量で調整する。
(I−3):バブリングによってシャボン玉状の気泡を発生させる方法とは、単量体水溶液に上記界面活性剤を添加しておき、窒素ガスや二酸化炭素、アルゴンなどの不活性ガスを導入した際に生ずる泡状物を随時重合相に導入する方法である。
(I−4):加圧下に窒素ガスや二酸化炭素を溶かし込む方法とは、予め単量体水溶液に不活性ガスを混入し、重合時に重合熱によって該ガスを放散させつつ重合し、気泡を含有させる方法である。
オートクレープ等の耐圧容器に単量体水溶液を入れておき、窒素ガスや二酸化炭素等の不活性ガスを導入後、5MPa以下の圧力を維持し、単量体水溶液に不活性ガスを溶かし込むことで気泡を含有させる方法である。常圧に比べ、加圧下の方が単量体水溶液に溶ける不活性ガス量は増大するため、気泡の含有率が向上する。また、容器を開圧することで、単量体水溶液を重合相に移送でき効率的である。この時、圧力が5MPaを超えると操作上危険であるため好ましくない。
(II):発泡剤を配合する方法としては、予め発泡剤を単量体水溶液に混合、分散または溶解し、重合時に重合熱によって気泡を発生させる方法である。発泡技術としては、化学的発泡剤や物理的発泡剤を用いる方法が知られている。一般に、化学発泡剤と物理発泡剤とはそれぞれ有機系と無機系とに大別でき、化学発泡剤では、更にそれぞれ熱分解型と反応型とに大別できる。有機系熱分解型の化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、AIBNなどのアゾ化合物、ヒドラジド化合物、セミカルバジド化合物、ヒドラゾ化合物、テトラゾール化合物、トリアジン化合物、マロン酸などのエステル化合物などがあり、有機系反応型の化学発泡剤としては、イソシアネート化合物がある。
また、無機系熱分解型の化学発泡剤としては、重炭酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム等の炭酸塩、亜硝酸塩、水素化物などがあり、無機系反応型の化学発泡剤としては、重炭酸塩と酸との組み合わせ、過酸化水素とイースト菌との組み合わせ、アルミニウムと酸やアルカリとの組み合わせなどがある。また、有機系の物理発泡剤としては、ブタン、ペンタンなどの揮発性液体からなる脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素類などがある。また、無機系の物理発泡剤としては、窒素ガス、炭酸ガスなどがある。
なお、炭酸ナトリウムや炭酸アンモニウム等を酸と組み合わせて気泡を発生させる場合には、混合直後は多くの気泡を発生するが中和反応の進行に伴って気泡の発生が止まる。そこで上記組み合わせで使用する際には、無機系の化学発泡剤と酸とを混合したのち速やかに、具体的には混合後2時間以内、好ましくは1時間以内に重合を開始することが好ましい。
さらに、コア部に低沸点有機溶剤を含み、ニトリル系のコポリマーでシェル部を形成した発泡微粒子、例えばニトリル系熱膨張性マイクロカプセル(商品名「マツモトマイクロスフェアF−36」)、ニトリル系熱膨張性マイクロカプセル(マツモトマイクロスフェアF−20)などを使用することもできる。
本発明では、これらの1種を単独で使用できるほか、2種以上を併用してもよい。本発明で好ましく使用できる発泡剤としては、上記のなかでもペンタン、ブタン、フレオンなどの低沸点有機溶剤、またはそれらの揮発性液体を包含する熱膨張性マイクロカプセル、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどの無機発泡剤、アゾジカルボン酸アミド、AIBNなどの有機発泡剤がある。その他、特開平11−35691号公報、特開平11−292919号公報、特開平11−302391号公報、特開2000−63527号公報記載の発泡剤も好ましく使用できる。
発泡剤を添加する場合、その使用量は単量体の合計量100質量部当り、0.001〜100質量部の範囲、より好ましくは0.005〜80質量部、特には0.01〜30質量部の範囲が適切である。得られる発泡体の空隙の連続性独立性、大きさ、形状、分布、大きさの均一性等の特性は、目的に応じて適宜発泡条件を設定することにより、制御することができる。
より具体的には、単量体水溶液を調製し、該溶液に炭酸塩系発泡剤を添加して炭酸化モノマー溶液を形成し、該溶液を重合させて水溶性多孔質ポリマーを得て、または、ヘキサン等の低沸点有機溶剤の分散下に単量体水溶性を重合させて微孔性の水溶性多孔質ポリマーを製造し、または単量体水溶液に水不溶性発泡剤を界面活性剤を用いて分散させ、ついで発泡させて重合する方法がある。また、10時間半減期が30〜120℃の範囲のアゾ開始剤を使用して重合する方法(WO95/17455参照)、アゾ化合物のアクリル酸塩錯体よりなる発泡剤存在下に水溶性モノマーを重合する方法(WO96/17884参照)等の方法が採用できる。
従来、発泡剤を用いた重合では、気泡を保持するために反応液の粘度が必要であった。このため、架橋構造を含む場合には十分な液粘度があり多孔質ポリマーを得ることができたが、架橋構造を含まない場合には気泡を保持できず、多孔質ポリマーを得ることができなかった。しかしながら本発明で製造する水溶性ポリマーは重合速度が速いこと、および重合温度を低く調整できるため、重合の開始から終了に至る間の気泡維持性に優れ、高性能の水溶性多孔質ポリマーを得ることができる。特に、界面活性剤を添加すると気泡の孔径が維持される。
(III):沸点重合法とは、重合の開始温度を単量体水溶液の沸点近くで開始することで、放熱を抑制し重合速度を速くする方法である。また、沸点付近での重合温度を維持できることから、重合時の熱量をほぼ一定にでき、架橋反応を抑制できる点も有利に働く。この時、沸騰を利用して気泡を発生させることができる。すなわち、気泡が消失する前に重合を完了させることで、重合体に気泡を含有させる方法である。
上述の気泡の調製から下記に示す重合を行うまでの時間は2時間以内であることが好ましい。より好ましくは1時間以内、さらに好ましくは30分以内、最も好ましくは10分以内である。不活性ガスを攪拌・混合して気泡を調整する場合には、2時間を越えて放置すると気泡が消滅してしまう場合がある。また、単量体がアクリル酸の場合に炭酸塩類などの塩基性の発泡剤を使用する場合にも、時間の経過によってガスの発生が低減する場合がある。
(3)重合
単量体の重合方法は、予め重合開始剤を配合した単量体水溶液に気泡を含有しつつ重合することができれば特に限定されるものではなく、一般には重合促進のために熱重合を行う。この熱重合としては、水溶液重合、逆相懸濁重合、バルク重合、沈殿重合等の公知の方法を採用することができる。反応温度や反応時間等の反応条件は、用いる単量体成分の組成、気泡の発生のさせ方、発泡剤の種類や量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
本発明では熱重合とは別に、光重合開始剤を予め単量体水溶液に配合し、ガンマ線、X線、電子線等の放射線や紫外線、近紫外線、可視光線を照射して光重合することもできる。また、上記熱重合と光重合とを併用し、ガンマ線、X線、電子線等の放射線や紫外線、近紫外線、可視光線を照射して光重合を行いつつ熱重合を行うこともできる。本発明では、光重合単独、または熱重合と光重合とを併用することが好ましい。光重合によると、重合時間が短くかつ低温で重合を行うことができこのため気泡の維持特性に優れ、かつ残存モノマーが少なく重量平均分子量の大きな水溶性多孔質ポリマーを製造することができる。得られた水溶性多孔質ポリマーは、残存モノマーが少ないために衛生材料などとして使用した場合にも皮膚に対する刺激が少なく、かつ重量平均分子量が高いために、該ポリマーを溶解して得られる水溶液の固有粘度を高くすることができる。
光照射装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光ケミカルランプ、蛍光青色ランプ、ブラックライト水銀ランプ、キセノンランプ等が挙げられる。また、波長は、100〜800nm、より好ましくは100〜500nm、特に好ましくは200〜500nmである。100nmを下回ると、その重合促進効果が強力であるため重合制御が困難となり、場合によっては突沸が発生し、または不溶解分が増える場合があるが、一方、波長800nmを超える波長を照射すると、重合時間が長く必要となり、最初は強度を弱くして次いで強度を強くするとこのような問題を解決し得る。
照射強度は、100W/m以下、好ましくは80W/m以下、より好ましくは50W/m以下である。これにより重合を短時間で促進させ、残存モノマーが少なく、かつ重量平均分子量の比較的大きな水溶性多孔質ポリマーを製造することができる。また、光照射は、照射強度を一定にして行ってもよいが、100W/m以下の範囲内で、重合開始時よりも重合の中盤でその強度を強くすることがより好ましい。
なおこのような光重合の場合には、単量体水溶液を厚さ100mm以下、好ましくは50mm以下、より好ましくは30mm以下、最も好ましくは10mm以下の層状に供給し、これに光照射を行う。重合が開始されると重合熱が発生するが、重合時の温度は、気泡の発生方法などによって異り、一般的には温度20〜200℃、好ましくは50〜180℃、より好ましくは60〜150℃に制御する。
本発明では、前記単量体水溶液の重合前の体積に対する重合終了時の多孔質ポリマーの体積が1.1〜20倍、好ましくは1.3〜20倍、特に好ましくは1.5〜20倍とすることが好ましい。従来から行なわれている撹拌下の重合反応操作では、泡が混入してもそれによる体積変化は1.01倍にも満たず、1.1倍以上の体積変化は意識的に泡を混入させる操作を行なった結果といえる。なお、重合の際の単量体水溶液の体積変化は喫水線の高さの変化として表れるため、体積変化の確認は容易である。重合終了時の水溶性多孔質ポリマーの体積が重合開始時の単量体水溶液の1.1倍を下回ると、発泡による高分子量化やプロセスの低コスト化などの効率化が低下する場合があり、一方20倍を超えると嵩高さに比例する乾燥や解砕の効率化が低下する場合がある。
なお、熱重合の場合には、加熱し始めたときが重合開始時であり、光重合の場合には、光を照射したときが重合開始時である。なお、重合終了時とは、重合反応が終了した時点であり、熱重合の場合には熱を切ったとき、光重合の場合には光照射をやめたときとなる。
例えば、単量体水溶液を上記(I−1)の方法でムース状に気泡を含有させた場合には、気泡含有率によっても相違するが、一般には該ムースを厚さ1〜30mm、より好ましくは1〜20mmに押出し、該ムースに5〜100W/mの波長200〜600nmの光を30秒〜30分間、より好ましくは1〜20分、特に好ましくは1〜15分間照射する。厚さが30mmより厚い場合には、底部まで光が届きにくくなり、重合時間が長くなってしまう。また、光強度が100W/mより強い場合、および照射時間が30分より長い場合には、架橋反応が進行してしまう恐れがあり好ましくない。このように単量体水溶液をムース状に供給した場合に光照射によって重合を行うと、熱重合に比較して重合時間を短くすることができ、重合温度が低くても重合がスムーズに進行するため気泡の維持が良好で、しかも高濃度の生産が可能となる。
一方、上記(I−2)の方法で気泡を含有させた場合に水溶液重合するには、前記単量体水溶液を高さ1〜20mm、より好ましくは1〜10mmにフィードし、5〜100W/mの波長200〜600nmの光を2〜30分間、より好ましくは2〜20分間照射する。この時、重合温度は20〜150℃の範囲内で行うのが好ましい。より好ましくは30〜120℃である。上記条件範囲から外れると、重合終了時の体積を1.1〜20倍に調整することが困難になる場合がある。
上記(I−3)の方法でシャボン玉状の気泡を発生させた場合には、気泡の厚さ1〜30mm、より好ましくは1〜20mmに押出し、該気泡に5〜100W/mの波長200〜600nmの光を2〜30分間、より好ましくは2〜20分間、特に好ましくは2〜15分間照射する。厚さが30mmより厚い場合には、底部まで光が届きにくくなり、重合時間が長くなってしまう。また、光強度が100W/mより強い場合、および照射時間が30分より長い場合には、気泡が消失してしまう恐れがあり好ましくない。
上記(I−4)の方法で気泡を単量体水溶液に溶かし込んだ場合には、前記単量体水溶液を液高さ1〜20mm、より好ましくは1〜10mmにフィードし、5〜100W/mの波長200〜600nmの光を2〜30分間、より好ましくは2〜20分間照射する。この時、重合温度は20〜150℃の範囲内で行うのが好ましい。より好ましくは30〜120℃である。上記条件範囲から外れると、重合終了時の体積を1.1〜20倍に調整することが困難になる場合がある。
また、上記(II)により光重合開始剤を含む単量体水溶液に発泡剤を溶解または分散した場合には、単量体水溶液をムース状に供給した場合と同じ条件で光重合を行うことが好ましい。なお、発泡前の単量体水溶液の供給量は、単量体水溶液の厚さを0.5〜30mm、より好ましくは1〜20mm、特に好ましくは1〜10mmとする。これにより発泡により体積が増加した場合でも、十分に光照射による重合を開始および進行することができる。
その他、(III)の沸点重合による場合においても、上記(II)と同様の条件下で重合を行うのが好ましい。
重合反応は、連続式重合、回分式重合のいずれの方式を採用してもよく、また、減圧、加圧、常圧のいずれの圧力下で実施してもよい。なお、重合は、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガス等の不活性ガスの気流下で行なうことが好ましい。ただし、単量体水溶液の酸素濃度が十分に低減されている場合には、空気雰囲気下での実施も可能である。
(4)水溶性多孔質ポリマー
上記によって得られた水溶性多孔質ポリマーの形状は重合方法によって異なり、粒子状、帯状、板状、粘土状など種々の形態をとり得る。上記方法によって得られた水溶性多孔質ポリマーは、ポリアクリル酸換算のGPC法による重量平均分子量が1,000〜10,000,000、好ましくは5,000〜10,000,000、より好ましくは5,000〜8,000,000である。気泡を含有させつつ重合することで、重合が均一に行われ、その結果、従来よりも高分子量のポリマーを製造することができる。一方、該ポリマーの水不溶解分は、10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、最も好ましくは5質量%以下であり、従来の多孔質ポリマーと比較して、極めて水溶性に優れる多孔質ポリマーとなっている。なお、水不溶解分は、後記する実施例に記載した方法によるものとする。
また、該水溶性多孔質ポリマーは、気泡含有率が2〜90%、または5〜80%である。空隙率が上記範囲にあるため、水溶解性が向上する。なお、空隙率は、走査型電子顕微鏡(SEM:S−3500N型、株式会社日立製作所製)を用いて該多孔体の断面を写真撮影し、この写真から画像解析装置(株式会社日本触媒製)にて気泡の全面積を計算し、下記式により空隙率を算出する。
Figure 2007528912
また、上記方法で得られた水溶性多孔質ポリマーは、粘度が0.001〜10Pa・sであることが好ましく、より好ましくは0.002〜5Pa・s、特に好ましくは0.003〜2Pa・sである。粘度が上記範囲にあると、凝集剤や増粘剤として極めて優れた効果を発揮し得る。なお、粘度は、この粉体の0.2質量%水溶液を作成し、25℃でB型粘度計で粘度を測定した数値である。本発明では、光重合によって短時間かつ低温で重合できること、および連鎖移動剤の配合によって重合は短時間であるが高分子量の水溶性多孔質ポリマーを製造することができる。水溶性ポリマーの粘度は分子量に依存するが、本発明では簡便な工程によって粘度の高い水溶性多孔質ポリマーを製造することができる。
なお、重合によって得られた該水溶性多孔質ポリマーは、そのままスライスまたは粉砕して使用し、またはスライスや粉砕後に乾燥してもよいが、予め乾燥した後にスライスまたは粉砕することもできる。
(5)乾燥
得られた含水水溶性多孔質ポリマーの乾燥温度は特に限定されるものではないが、例えば、常圧の場合、50〜250℃の範囲内、より好ましくは100〜200℃の範囲内とする。減圧での乾燥の場合は、その圧力での水の沸点〜200℃の範囲が特に好ましい。また、乾燥時間も特に限定されるものではないが、10秒〜5時間程度が好適である。なお、乾燥させる前に、含水水溶性多孔質ポリマーを酸処理し、または塩基性物質で中和処理してもよい。これにより、酸型、中和塩型などの水溶性多孔質ポリマーを得ることができる。
乾燥方法としては、流動相乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸による脱水、高温の水蒸気を用いた高湿乾燥等、種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。上記例示の乾燥方法のうち、流動相乾燥、熱風乾燥がより好ましい。
本発明の水溶性多孔質ポリマーは、その名の示すとおり多孔質体であるため外気との接触面積が多く、非多孔質のものと比較して乾燥効率に優れ、乾燥時間を短縮することができる。
また、同様の理由で冷却効率にも優れるため、重合後や乾燥後に冷却時間を短縮することができる。その結果解砕および/または粉砕までの工程も効率的になる。
(6)解砕および/または粉砕
乾燥後または場合によっては重合後の水溶性多孔質ポリマーは、所定の方法によって、10μm〜1000mm、好ましくは10μm〜100mm、特に好ましくは10μm〜10mmの破片に解砕および/または粉砕することができる。上記方法によって乾燥した後の水溶性多孔質ポリマーは、含水率が15質量%、より好ましくは10質量%、特に好ましくは5質量%以下であり、該含水率に適した解砕および/または粉砕装置によって解砕および/または粉砕すればよい。特に、本発明の方法によって得られる水溶性多孔質ポリマーは組織中に多数の気泡によって形成された多孔を含有し、該孔を構成するポリマー層は薄層である。このため、従来の未発泡の水溶性ポリマーを解砕する場合と同じ動力を負荷しても、より微細な破片に解砕または粉砕することができる。このような粉砕装置としては、衝撃式、圧縮式、せん断式等の装置が使用できるが、具体的にはカッターミル、振動ミル、ロールグラニュレーター、ナックルタイプ粉砕機、ロールミル、ジョークラッシャー、プレーナークラッシャー、シュレッドクラッシャー、高速回転式粉砕機(ピンミル、ハンマミル、スクリューミル、ロールミル)、円筒状ミキサー等がある。
なお、上記含水率は、アルミカップに該サンプルを1g秤りとり、熱風乾燥機(タバイ製)で130℃、2時間乾燥させ、乾燥前後の重量差から算出する。
本発明の第二は、エチレン性不飽和単量体を含む単量体水溶液を重合させてなる水溶性多孔質ポリマーであって、ポリマーの体積を基準とした空隙率が5〜80%であり、水不溶解分が10質量%以下の水溶性多孔質ポリマーである。このような水溶性多孔質ポリマーは、本発明の第一の方法によっても製造することができるが、製造方法はこれに限られるものではない。
本発明の水溶性多孔質ポリマーの特徴は、水溶性の目安として不溶解分が10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、最も好ましくは5質量%以下である。従来は、水溶性ポリマーを発泡させる技術がなく、水溶性の多孔質ポリマーは存在しなかった。しかしながら本発明では、例えば上記第一の発明の製造方法に従って、水溶性多孔質ポリマーを製造することができ、これは従来の多孔質ポリマーと比較して極めて水溶性が高い。すなわち、従来から存在する発泡体または多孔質は、低密度かつ吸水性、保持性、断熱性、防音性などの特性を有するものとなり、建築材料、オーディオ製品、園芸、容器など数々の分野で使用されているが、いずれも水溶性を有していない。本発明の多孔質ポリマーは、水溶性であり、かつ空隙率が5〜80%である点に特徴がある。多孔質体に調製すると表面積が増大し、これによって水溶解性が向上する。また、該ポリマーを薄膜で使用する場合に、多孔質体の方が薄膜に調製することが容易な場合が多く、本発明の水溶性多孔質ポリマーは、非多孔質ポリマーに比較して格段に用途が拡大される。
本発明の水溶性多孔質ポリマーは、空隙率が5〜80%、より好ましくは10〜80%、特には15〜80%である。5%を下回ると、水溶解性向上効果が少なく、一方80%を超えると、粉砕した後の粉体の強度が低下する恐れがある。なお、空隙率は、上記(4)水溶性多孔質ポリマーの項で記載した方法で算出する。また、本発明における「多孔質」とは、樹脂の内部に多くの気泡による空隙が存在する、見かけ密度の小さいものを意味する。なお、水溶性多孔質ポリマーの平均孔径については、気泡の数と孔径によって一定ではないが、3μm〜100mm、好ましくは5μm〜50mm、特に好ましくは10μm〜30mmである。
本発明の第三は、上記水溶性多孔質ポリマーを粉砕してなる、粉末状水溶性多孔質ポリマーである。水溶性ポリマーを粉砕し、必要時に水溶液に溶解する場合にも、多孔質体から得た粉末のほうが水溶性が高い。これは、粉砕前の水溶性ポリマーが多孔質であるため、単位重量あたりの表面積が増大したためと考えられる。また、粉末状水溶性多孔質ポリマーの方が、前記水溶性多孔質ポリマーを溶液に調製する際の定量も容易であり、これをそのまま下水処理剤、壁剤用増粘剤などの用途に使用する際にも取り扱いが簡便である。従って、粉砕によって得られた粉状状水溶性多孔質ポリマーのサイズによっては、粉末自体に多孔が存在しない場合があるが、本発明では上記水溶性多孔質ポリマーの粉砕物であれば、粉末に多孔が存在しない場合であっても本願の粉末水溶性多孔質ポリマーに含まれるものとする。
本発明の粉末状水溶性多孔質ポリマーは、上記水溶性多孔質ポリマーを、約10μm〜10mm、より好ましくは約30μm〜5mm、特には約50μm〜3mmの破片に解砕または粉砕して調製することができる。このような粉砕や解砕は、粉砕前の水溶性多孔質ポリマーの含水率によって適宜選択することができ、例えば含水率が10質量%であれば、上記した粉砕機が使用できる。特に、本発明の方法によって得られる粉末状水溶性多孔質ポリマーは多孔質を粉砕して調製され、従来の非多孔質の水溶性ポリマーを解砕する場合と同じ動力を負荷して、より微細な破片に解砕または粉砕することができる。
水溶性多孔質ポリマーのかさ比重は0.1〜1.2g/mlが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0g/ml、最も好ましくは0.1〜0.7g/mlである。かさ比重が0.1g/mlより小さいと微粉が多くなりすぎて、粉体としての取扱いが困難である。また、1.2g/mlより大きい場合には、水に対する溶解速度が低下する。なお、かさ比重は、粉末状水溶性多孔質ポリマーを正確に100ml秤りとり、その重量を測定することにより算出する。
本発明の水溶性多孔質ポリマーや粉末状水溶性多孔質ポリマーは、これを溶液に溶解した場合の粘度に制限はないが、好ましくは0.001〜10Pa・sであり、より好ましくは0.002〜5Pa・s、特に好ましくは0.003〜2Pa・sである。上記(4)水溶性多孔質ポリマーの項でも記載したが、粘度が上記範囲にあると、凝集剤や増粘剤として極めて優れた効果を発揮し得るからである。なお、粘度は、この粉体の0.2質量%水溶液を作成し、25℃でB型粘度計で粘度を測定した数値である。
本発明の水溶性多孔質ポリマーや粉末水溶性多孔質ポリマーは、さらに、必要に応じて、消臭剤、香料、染料、親水性短繊維、可塑剤、粘着剤、界面活性剤、肥料、酸化剤、還元剤、水、塩類等を添加し、これにより、水溶性多孔質ポリマーや粉末水溶性多孔質ポリマーに種々の機能を付与してもよい。
本発明で得られる水溶性多孔質ポリマーや粉末水溶性多孔質ポリマーは、創傷被覆剤、コンタクトレンズ、人工筋肉、人工臓器などの医療用品や、植物栽培用材料、人工栽土等の育種関連、その他増粘剤、廃水洗浄剤、分散剤、掘削土処理剤、粘着剤、コンクリート混和剤や生物固定化担体等、下水処理・産業廃水処理用凝集剤、壁材用増粘剤、掘削用保水剤、分散液粘度安定剤、水処理剤、イオン封鎖剤、洗浄用ビルダー、セラミック減水剤等にも好適に用いることができる。また、粉砕時の粒度や形状をコントロールすることにより、顔料や塗料としても使用することができる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に具体的に説明する。
実施例1
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に、窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水2.57g、37%アクリル酸ソーダ水溶液58.18g、アクリル酸37.73gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで十分に窒素置換した。この際、ステンレス製容器を氷水で冷却しながら内温を10℃以下に保った。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液0.76gおよび光重合開始剤イルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液0.76g、発泡剤マツモトマイクロスフェアF−36(松本油脂製薬株式会社製)0.50gを入れ均一に混合して反応液を得た。
この溶液を、発泡剤添加後5分以内に窒素置換されている直径200mmのテフロン(登録商標)製重合容器に厚さ3mmにフィードし、22W/mの紫外線を3分間照射した。重合発熱ピーク温度は101℃であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.4倍に膨れ上がった白色の発泡体が得られた。この発泡体の空隙率は30%であった。この発泡体を熱風乾燥機により水分が5質量%以下になるまで乾燥させたところ、140℃で10分であった。さらにこの発泡体を卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉末を全量の55%得た。この粉末のかさ比重は0.32g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ390mPa・sであり、水不溶解分は0.2質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度を定量し、計算により粉体中の残アクリル酸量を算出したところ、700ppmであった。
<空隙率>
なお、空隙率は、走査型電子顕微鏡(SEM:S−3500N型、株式会社日立製作所製)を用いて該多孔体の断面を写真撮影し、この写真から画像解析装置(株式会社日本触媒製)にて気泡の全面積を計算し、下記式により空隙率を算出した。
Figure 2007528912
<水不溶解分>
また、水不溶解分は、サンプル0.80gを固形分として正確に秤量し、合計で400.0gになるようにイオン交換水に溶かして0.20質量%サンプル液を調製し、これに目開き250μmの篩(JIS Z 8801−1953年)に通して瀘過することで含水状態の不溶解物を取り出し、下記式により算出した。
Figure 2007528912
実施例2
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に窒素導入管、排気管、温度計、泡を作り出すためのポンプ式ノズルを装備したシリコンゴム栓を装着した。これに0.1質量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液122.68g、37%アクリル酸ソーダ水溶液135.75g、アクリル酸88.01g、ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製、商品名「レオドールSP−S10」)4.2gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで十分に窒素置換した。この時、ステンレス製容器を氷水で冷却しながら内温を10℃以下に保った。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液1.78gおよび光重合開始剤ダロキュア1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液1.78gを入れ均一に混合して反応液を得た。この溶液を窒素置換されている直径200mmのテフロン製重合容器にポンプ式ノズルからムース状に厚さ10mmにフィードし、すぐに22W/mの紫外線を10分間照射した。重合発熱ピーク温度は92℃であった。重合終了後に白色のムース状発泡体を得た。この発泡体の空隙率は21%であった。この発泡体をミートチョッパー(増幸株式会社製)で粗砕し熱風乾燥機により水分が5質量%以下になるまで乾燥させたところ140℃で15分であった。さらにこの乾燥物を卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉末を全量の28%得た。この粉末のかさ比重は0.41g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ490mPa・sであり、水不溶解分は0.2質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度を定量し、計算により粉体中の残アクリル酸量を算出したところ、1,700ppmであった。
実施例3
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これにアクリル酸67.60gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで十分に窒素置換した。この時、ステンレス製容器を氷水で冷却しながら内温を10℃以下に保った。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液0.94gおよび光重合開始剤ダロキュア1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液0.94gを入れ均一に混合して反応液を得た。これとは別に純水48.25gに炭酸ナトリウム14.93gを溶かした液を準備し、同様に窒素置換しておく。これらの液を均一に混合後、すぐに窒素置換されている直径200mmのテフロン製重合容器に厚さ3.5mmにフィードし、22w/mの紫外線を15分間照射した。重合発熱ピーク温度は108℃であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.7倍に膨れ上がった白色の発泡体が得られた。この発泡体の空隙率は41%であった。
この発泡体を熱風乾燥機により水分が5質量%以下になるまで乾燥させたところ、140℃で10分であった。さらにこの発泡体を卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉末を全量の39%得た。この粉末のかさ比重は0.38g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ390mPa・sであり、水不溶解分は0.3質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度を定量し、計算により粉体中の残アクリル酸量を算出したところ、1,900ppmであった。
比較例1
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水122.68g、37%アクリル酸ソーダ水溶液135.75g、アクリル酸88.01gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで十分に窒素置換した。この時、ステンレス製容器を氷水で冷却しながら内温を10℃以下に保った。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液1.78gおよび光重合開始剤ダロキュア1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液1.78gを入れ均一に混合して反応液を得た。この溶液を窒素置換されている直径200mmのテフロン製重合容器にテフロンチューブを通して厚さ10mmに移し変え、22W/mの紫外線を30分間照射した。重合発熱ピーク温度は88℃であった。重合終了後、約350gの無色透明ゲルが得られた。このゲルの空隙率は0.1%であった。このゲル状物をミートチョッパー(増幸株式会社製)で粗砕し、熱風乾燥機により水分が5質量%以下になるまで乾燥させたところ140℃で90分を要した。また、ミートチョッパーにより粗砕しなければ、水分が5質量%以下になるまで乾燥させるために140℃で180分を要した。さらにこの乾燥物を卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉体を全量の5%得た。この粉末のかさ比重は0.91g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ490mPa・sであり、水不溶解分は0.2質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度を定量し、計算により粉体中の残アクリル酸量を算出したところ、4,500ppmであった。
実施例4
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水122.68g、37%アクリル酸ソーダ水溶液135.75g、アクリル酸88.01gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで十分に窒素置換した。この時、ステンレス製容器を氷水で冷却しながら内温を10℃以下に保った。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液1.78gおよび光重合開始剤ダロキュア1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液1.78gを入れ均一に混合して反応液を得た。この溶液を窒素置換されている直径200mmのテフロン製重合容器に厚さ10mmにフィードすると同時に、窒素バブリングを開始し泡立たせながら、22W/mの紫外線を20分間照射した。重合発熱ピーク温度は85℃であった。
重合終了後に細かい気泡を無数にかんだゲルを得た。このゲルの空隙率を測定すると17%であった。このゲルをミートチョッパー(増幸株式会社製)で粗砕し、熱風乾燥機により水分が5質量%以下になるまで乾燥させたところ140℃で40分であった。さらにこの乾燥物を卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉体を全量の28%得た。この粉末のかさ比重は0.59g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ460mPa・sであり、水不溶解分は0.7質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度を定量し、計算により粉体中の残アクリル酸量を算出したところ、3,800ppmであった。
実施例5
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水2.57g、37%アクリル酸ソーダ水溶液58.18g、アクリル酸37.73gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで十分に窒素置換した。この時、ステンレス製容器をオイルバスで加温しながら内温を70℃に保った。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液0.76gおよび光重合開始剤イルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液0.76gを入れ均一に混合して反応液を得た。この溶液を、窒素置換されている直径200mmのテフロン製重合容器に厚さ3mmにフィードし、30W/mの紫外線を10分間照射した。重合発熱ピーク温度は100℃であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.3倍に膨れ上がった白色のゲルが得られた。このゲルの空隙率は29%であった。このゲルを熱風乾燥機により水分が5質量%以下になるまで乾燥させたところ、140℃で40分であった。さらにこの発泡体を卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉体を全量の24%得た。この粉末のかさ比重は0.49g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ350mPa・sであり、水不溶解分は1.2質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度を定量し、計算により粉体中の残アクリル酸量を算出したところ、5,600ppmであった。
実施例6
内径10cm、容量800mlのステンレス製オートクレープに窒素導入管、排気管、温度計、撹拌翼、圧力計を装着した。これに純水122.68g、37%アクリル酸ソーダ水溶液135.75g、アクリル酸88.01gを入れ撹拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで十分に置換した。この時、ステンレス製容器の内温を10℃以下に保った。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液1.78gおよび光重合開始剤ダロキュア1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液1.78gを入れ均一に混合して反応液を得た。系内を密閉して窒素を導入し内圧を3MPaに上げて5分間保持しながら窒素の溶かし込みを行った。開圧するに併せて、この溶液を窒素置換されている直径200mmのテフロン製重合容器に厚さ10mmにフィードし、22W/mの紫外線を20分間照射した。重合発熱ピーク温度は94℃であった。重合終了後、細かい気泡を無数にかんだゲルが得られた。このゲルの空隙率は20%であった。このゲルをミートチョッパー(増幸株式会社製)で粗砕し、熱風乾燥機により水分が5質量%以下になるまで乾燥させたところ140℃で35分であった。さらにこの乾燥物を卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉体を全量の48%得た。この粉末のかさ比重は0.49g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ410mPa・sであり、水不溶解分は0.7質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度を定量し、計算により粉体中の残アクリル酸量を算出したところ、3,100ppmであった。
実施例7
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水19.77g、37%アクリル酸ソーダ水溶液12.26g、アクリル酸27.11g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸9.91gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで十分に窒素置換した。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液0.48gおよび光重合開始剤イルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液0.48g、発泡剤マツモトマイクロスフェアF−36(松本油脂製薬株式会社製)0.10gを入れ均一に混合して反応液を得た。この溶液を、発泡剤添加後5分以内に窒素置換されている直径200mmのテフロン(登録商標)製重合容器に厚さ2mmにフィードし、22W/mの紫外線を5分間照射した。重合発熱ピーク温度は94℃であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.5倍に膨れ上がった白色の発泡体が得られた。この発泡体の空隙率は33%であった。この発泡体を熱風乾燥機により水分が5質量%以下になるまで乾燥させたところ、140℃で10分であった。さらにこの発泡体を卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉体を全量の48%得た。この粉末のかさ比重は0.37g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ110mPa・sであり、水不溶解分は0.2質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸濃度とを定量し、計算により、粉体中の残アクリル酸量と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸量とを算出したところ、それぞれ2,100ppmと4,000ppmであった。
実施例8
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水2.37g、37%アクリル酸ソーダ水溶液153.04g、アクリル酸42.18gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで十分に窒素置換した。この時、ステンレス製容器を氷水で冷却しながら内温を10℃以下に保った。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液1.20gおよび光重合開始剤ダロキュア1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液1.20g、発泡剤マツモトマイクロスフェアF−20(松本油脂製薬株式会社製)0.50gを入れ均一に混合して反応液を得た。この溶液を、発泡剤添加後5分以内に窒素置換されている直径200mmのテフロン(登録商標)製重合容器に厚さ5mmにフィードし、40W/mの紫外線を5分間照射した。重合発熱ピーク温度は108℃であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.6倍に膨れ上がった白色の発泡体が得られた。この発泡体の空隙率は36%であった。この発泡体を熱風乾燥機により水分が5質量%以下になるまで乾燥させたところ、140℃で8分であった。さらにこの発泡体を卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉体を全量の61%得た。この粉末のかさ比重は0.32g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ550mPa・sであり、水不溶解分は0.6質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度を定量し、計算により粉体中の残アクリル酸量を算出したところ、5,100ppmであった。
実施例9
評価土壌(評価値:1)100質量部をビーター型攪拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで攪拌しながら、実施例1で得られた粉末水溶液多孔質ポリマー0.20質量部を添加し150秒間攪拌した。その後、ポルトランドセメント(水硬性物質:太平洋セメント株式会社製)5質量部を添加し、さらに20秒間攪拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を下表に示す基準に従って評価した。評価値は6であった。
<評価土壌>
豊浦標準砂:5質量部、シルト:75質量部、粘土:270質量部、および水道水:350質量部を十分に混合してなる含水土壌である。この評価土壌のフロー値は250mmであった。
Figure 2007528912
処理後の評価値が4以上のものが合格、3以下が不合格である。なお、評価値4および5のものについては、トラックなどで運搬が容易な程度に粒状化が達成されており、適用場所などによっては埋め戻し材としての使用も可能である。さらに評価値の6のものについては、埋め戻し材として好適に使用できる。
<フロー値の算出法>
内径:55mm、高さ:55mmの中空円筒をテーブル上に置き、該円筒内に評価土壌を詰めた後、円筒を垂直に持ち上げた際に、テーブルに広がった含水土壌の直径を2方向について測定し、この平均値をフロー値とする。
実施例10
評価土壌(評価値:1)100質量部をビーター型攪拌翼を供えた混合機に仕込み、160rpmで攪拌しながら、実施例7で得られた粉末水溶液多孔質ポリマー:0.18質量部を添加し、120秒間攪拌した。その後、ポルトランドセメント(水硬性物質:太平洋セメント株式会社製):5質量部を添加し、さらに20秒間攪拌して評価土壌の処理を行った。処理後の評価土壌の状態を上表に示す基準に従って評価した。評価値は6であった。
実施例11
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に、窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水7.12g、37%アクリル酸ソーダ水溶液38.54g、アクリル酸85.21g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸31.16g、分散剤レオドールSP−S10V(花王株式会社製)0.66gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで室温で十分に窒素置換した。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液1.51gおよび光重合開始剤イルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液1.51g、発泡剤マツモトマイクロスフェアF−36(松本油脂製薬株式会社製)0.50gを入れ均一に混合して反応液を得た。
この溶液を、窒素置換されている直径200mmのテフロン(登録商標)製重合容器に厚さ5mmにフィードし、22W/mの紫外線を4分間照射した。重合発熱ピーク温度は106℃であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.3倍に膨れ上がった白色の発泡体が得られた。この発泡体の空隙率は23%であった。また、この発泡体の水分量は8%であった。この発泡体を乾燥させることなく卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉末を全量の47%得た。この粉末のかさ比重は0.38g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ76mPa・sであり、水不溶解分は0.1質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸濃度とを定量し、計算により、粉体中の残アクリル酸量と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸量とを算出したところ、それぞれ4,000ppmと2,100ppmであった。
実施例12
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に、窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水16.99g、37%アクリル酸ソーダ水溶液36.13g、アクリル酸79.88g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸29.21g、分散剤レオドールSP−S10V(花王株式会社製)0.62gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで室温で十分に窒素置換した。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液1.41gおよび光重合開始剤イルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液1.41g、発泡剤マツモトマイクロスフェアF−36(松本油脂製薬株式会社製)0.50gを入れ均一に混合して反応液を得た。
この溶液を、窒素置換されている直径200mmのテフロン(登録商標)製重合容器に厚さ5mmにフィードし、22W/mの紫外線を5分間照射した。重合発熱ピーク温度は104℃であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.3倍に膨れ上がった白色の発泡体が得られた。この発泡体の空隙率は21%であった。また、この発泡体の水分量は13%であった。この発泡体を乾燥させることなく卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉末を全量の41%得た。この粉末のかさ比重は0.39g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ106mPa・sであり、水不溶解分は0.7質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸濃度とを定量し、計算により、粉体中の残アクリル酸量と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸量とを算出したところ、それぞれ12,000ppmと7,300ppmであった。
実施例13
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に、窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水53.71g、37%アクリル酸ソーダ水溶液67.44g、アクリル酸149.11g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸54.52g、分散剤レオドールSP−S10V(花王株式会社製)1.16g、発泡剤マツモトマイクロスフェアF−36(松本油脂製薬株式会社製)0.99gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで室温で十分に窒素置換した。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液2.63gおよび光重合開始剤イルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液2.63gを入れ均一に混合して反応液を得た。
この溶液を、窒素置換されている直径200mmのテフロン(登録商標)製重合容器に厚さ10mmにフィードしフィードし、22W/mの紫外線を10分間照射した。重合発熱ピーク温度は106℃であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.4倍に膨れ上がった白色の発泡体が得られた。この発泡体の空隙率は30%であった。また、この発泡体の水分量は16%であった。この発泡体を乾燥させることなく卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉末を全量の33%得た。この粉末のかさ比重は0.39g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ121mPa・sであり、水不溶解分は0.9質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸濃度とを定量し、計算により、粉体中の残アクリル酸量と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸量とを算出したところ、それぞれ13,000ppmと5,900ppmであった。
実施例14
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に、窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水16.99g、37%アクリル酸ソーダ水溶液36.13g、アクリル酸79.88g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸29.21g、分散剤レオドールSP−S10V(花王株式会社製)0.62gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで室温で十分に窒素置換した。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液1.41gおよび光重合開始剤イルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液1.41g、発泡剤マツモトマイクロスフェアF−36(松本油脂製薬株式会社製)0.50gを入れ均一に混合して反応液を得た。
この溶液を、直径200mmのテフロン(登録商標)製重合容器に厚さ5mmにフィードし、空気雰囲気下で22W/mの紫外線を5分間照射した。重合発熱ピーク温度は98℃であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.3倍に膨れ上がった白色の発泡体が得られた。この発泡体の空隙率は20%であった。また、この発泡体の水分量は13%であった。この発泡体を乾燥させることなく卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉末を全量の39%得た。この粉末のかさ比重は0.39g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ100mPa・sであり、水不溶解分は0.5質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸濃度とを定量し、計算により、粉体中の残アクリル酸量と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸量とを算出したところ、それぞれ19,000ppmと9,000ppmであった。
実施例15
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に、窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水8.92g、37%アクリル酸ソーダ水溶液88.64g、アクリル酸53.14g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸12.01g、分散剤レオドールSP−S10V(花王株式会社製)0.50gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで室温で十分に窒素置換した。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液1.16gおよび光重合開始剤イルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液1.16g、発泡剤マツモトマイクロスフェアF−36(松本油脂製薬株式会社製)0.50gを入れ均一に混合して反応液を得た。
この溶液を、直径200mmのテフロン(登録商標)製重合容器に厚さ5mmにフィードし、空気雰囲気下で22W/mの紫外線を5分間照射した。重合発熱ピーク温度は101℃であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.4倍に膨れ上がった白色の発泡体が得られた。この発泡体の空隙率は29%であった。また、この発泡体の水分量は27%であった。この発泡体を熱風乾燥機により水分が5質量%以下になるまで乾燥させたところ、140℃で8分であった。さらにこの発泡体を卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉体を全量の53%得た。この粉末のかさ比重は0.37g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ510mPa・sであり、水不溶解分は0.2質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸濃度とを定量し、計算により、粉体中の残アクリル酸量と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸量とを算出したところ、それぞれ9,300ppmと4,700ppmであった。
実施例16
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に、窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水5.42g、48%水酸化ナトリウム水溶液57.98g、アクリル酸98.82g、分散剤レオドールSP−S10V(花王株式会社製)1.16gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで室温で十分に窒素置換した。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液1.39gおよび光重合開始剤ダロキュア1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液1.39g、発泡剤マツモトマイクロスフェアF−36(松本油脂製薬株式会社製)0.17gを入れ均一に混合して反応液を得た。
この溶液を、窒素置換されている直径200mmのテフロン(登録商標)製重合容器に厚さ5mmにフィードし、22W/mの紫外線を5分間照射した。重合発熱ピーク温度は108℃であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.5倍に膨れ上がった白色の発泡体が得られた。この発泡体の空隙率は31%であった。また、この発泡体の水分量は14%であった。この発泡体を乾燥させることなく卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉末を全量の28%得た。この粉末のかさ比重は0.37g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ572mPa・sであり、水不溶解分は0.4質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度を定量し、計算により、粉体中の残アクリル酸量を算出したところ、8,800ppmであった。
実施例17
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に、窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水39.51g、アクリル酸122.05g、分散剤レオドールSP−S10V(花王株式会社製)1.17gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで室温で十分に窒素置換した。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液1.72gおよび光重合開始剤イルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液1.72g、発泡剤マツモトマイクロスフェアF−36(松本油脂製薬株式会社製)0.34gを入れ均一に混合して反応液を得た。
この溶液を、窒素置換されている直径200mmのテフロン(登録商標)製重合容器に厚さ5mmにフィードし、22W/mの紫外線を5分間照射した。重合発熱ピーク温度は109℃であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.3倍に膨れ上がった白色の発泡体が得られた。この発泡体の空隙率は27%であった。また、この発泡体の水分量は10%であった。この発泡体を乾燥させることなく卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉末を全量の21%得た。この粉末のかさ比重は0.37g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ11mPa・sであり、水不溶解分は0.9質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度を定量し、計算により、粉体中の残アクリル酸量を算出したところ、9,900ppmであった。
実施例18
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に、窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水16.99g、37%アクリル酸ソーダ水溶液36.13g、アクリル酸79.88g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸29.21g、分散剤レオドールSP−S10V(花王株式会社製)0.62gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで室温で十分に窒素置換した。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液1.41gおよび熱重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)を溶かした1%水溶液1.41g、発泡剤マツモトマイクロスフェアF−36(松本油脂製薬株式会社製)0.50gを入れ均一に混合して反応液を得た。
この溶液を、直径200mmのテフロン(登録商標)製重合容器に厚さ5mmにフィードし、空気雰囲気下で22W/mの紫外線を5分間照射した。重合発熱ピーク温度は103℃であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.4倍に膨れ上がった白色の発泡体が得られた。この発泡体の空隙率は27%であった。また、この発泡体の水分量は12%であった。この発泡体を乾燥させることなく卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉末を全量の31%得た。この粉末のかさ比重は0.37g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ94mPa・sであり、水不溶解分は0.7質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸濃度とを定量し、計算により、粉体中の残アクリル酸量と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸量とを算出したところ、それぞれ10,000ppmと6,600ppmであった。
実施例19
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に、窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水16.99g、37%アクリル酸ソーダ水溶液36.13g、アクリル酸79.88g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸29.21g、分散剤レオドールSP−S10V(花王株式会社製)0.62gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで室温で十分に窒素置換した。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液1.41gおよび光重合開始剤イルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液0.70g、熱重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)を溶かした1%水溶液0.70g、発泡剤マツモトマイクロスフェアF−36(松本油脂製薬株式会社製)0.50gを入れ均一に混合して反応液を得た。
この溶液を、直径200mmのテフロン(登録商標)製重合容器に厚さ5mmにフィードし、空気雰囲気下で22W/mの紫外線を4分間照射した。重合発熱ピーク温度は105℃であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.5倍に膨れ上がった白色の発泡体が得られた。この発泡体の空隙率は35%であった。また、この発泡体の水分量は11%であった。この発泡体を乾燥させることなく卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉末を全量の41%得た。この粉末のかさ比重は0.35g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ108mPa・sであり、水不溶解分は0.5質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸濃度とを定量し、計算により、粉体中の残アクリル酸量と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸量とを算出したところ、それぞれ4,100ppmと3,800ppmであった。
比較例2
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これにアクリル酸67.60g、純水48.25gおよび炭酸ナトリウム14.93gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで室温で十分に窒素置換した。その後、1%次亜リン酸ソーダ水溶液0.94gおよび光重合開始剤ダロキュア1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液0.94gを入れ均一に混合して反応液を得た。この反応液を遮光した状態で、窒素置換しながら3時間静置した。最初の約10分間でアクリル酸と炭酸ナトリウムが反応したため激しく発泡したが、その後発泡は見られなかった。これを窒素置換されている直径200mmのテフロン(登録商標)製重合容器に厚さ3.5mmにフィードし、22w/mの紫外線を20分間照射した。この間、発泡は全く見られなかった。重合発熱ピーク温度は107℃であった。重合終了後、全く気泡を含まない無色透明ゲルが得られた。このゲルの空隙率は0%であった。このゲル状物をミートチョッパー(増幸株式会社製)で粗砕し、熱風乾燥機により水分が5質量%以下になるまで乾燥させたところ140℃で90分を要した。また、ミートチョッパーにより粗砕しなければ、水分が5質量%以下になるまで乾燥させるために140℃で195分を要した。さらにこの乾燥物を卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉体を全量の5%得た。この粉末のかさ比重は0.93g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ440mPa・sであり、水不溶解分は3.1質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度を定量し、計算により、粉体中の残アクリル酸量を算出したところ、11,500ppmであった。
実施例20
内径5cm、容量250mlのプラスチック製容器に、窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水33.00g、メトキシポリエチレングリコール(エチレンオキサイドの平均付加モル数25モル)110.08g、メタクリル酸21.92g、メルカプトプロピオン酸1.45gおよび光重合開始剤ダロキュア1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)1.52gを入れ遮光下でマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで室温で十分に窒素置換した。その後、発泡剤マツモトマイクロスフェアF−36(松本油脂製薬株式会社製)1.65gを入れ均一に混合して反応液を得た。
この溶液を、発泡剤添加後5分以内に窒素置換されている直径200mmのテフロン(登録商標)製重合容器に厚さ5mmにフィードし、22W/mの紫外線を3分間照射した。重合発熱ピーク温度は90℃であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.2倍に膨れ上がった褐色の発泡体が得られた。この発泡体の空隙率は19%であった。また、この発泡体の水分量は13%であった。この発泡体を乾燥させることなく卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉末を全量の41%得た。この粉末のかさ比重は0.39g/mlであった。0.2質量%水溶液を作成し、B型粘度計で粘度を測定したところ106mPa・sであり、水不溶解分は0.7質量%であった。また、0.1質量%水溶液を作成し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸濃度とを定量し、計算により、粉体中の残アクリル酸量と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸量を算出したところ、それぞれ12,000ppmと7,300ppmであった。
実施例21
容量100mlのステンレス製容器に窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに純水3.39g、アクリル酸15.57g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸2.43g、48%水酸化ナトリウム水溶液3.91gを入れマグネティックスターラーで撹拌、溶解させた後、0.5%次亜リン酸塩ソーダ水溶液0.23g、及び光重合開始剤イルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸水溶液0.47gを入れ均一に混合して反応液を得た。この時、ステンレス製容器を氷水で冷却しながら内温を30度以下に保った。次に窒素バブリングを行い、反応液の溶存酸素が0.1ppm以下になるまで十分に窒素置換して窒素バブリングを終了し、30秒以内に横5.5cm、縦8.5cmのテフロン製バットに移し替え、22W/mの紫外線を5分間照射した。重合発熱ピーク温度は124度であった。重合終了後、重合開始時の体積の1.8倍に膨れあがった白色の発泡体が得られた。この発泡体の空隙率は45%であった。0.2wt%水溶液を調製し、B型粘度計で粘度を測定したところ275mPa・sであり、水不溶解分量は0.5%であった。0.02wt%水溶液を調製し、液体クロマトグラフィーでアクリル酸濃度と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸濃度とを定量し、計算により、粉体中の残アクリル酸量と残2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸量を算出したところ、それぞれ8,000ppmと12,000ppmであった。
実施例22
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に、窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに37%アクリル酸ソーダ36.5g、アクリル酸63.5g、発泡剤マツモトマイクロスフェアーF−36(松本油脂製薬株式会社製)0.50gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで十分に窒素置換した。この際、ステンレス製容器を氷水で冷却しながら内温を10℃以下に保った。その後、45%次亜リン酸ソーダ水溶液0.45gおよび光重合開始剤イルガキュアー819(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸水溶液0.76gを入れ均一に混合して反応液を得た。
この溶液を、窒素置換されている直径200mmのテフロン製重合容器にフィードし、22W/mの紫外線を3分間照射した。重合発熱ピーク温度は113℃であった。発泡体の発泡前との体積変化は4倍であり、固形分87%であった。この発泡体を熱風乾燥機により水分が5%以下になるまで乾燥させたところ、140℃で13分であった。乾燥した発泡体の空隙率は70%であった。さらにこの発泡体を卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉末を全量の55質量%得た。この粉末のかさ比量は0.33g/mlであった。実施例1と同様の方法により、粉体中の残アクリル酸量を算出したところ7,000ppmであった。ゲルパーミエーションクロマトグラフによる測定で重量平均分子量は、400,000であった。
実施例23
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に、窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに37%アクリル酸ソーダ36.5g、アクリル酸63.5g、発泡剤マツモトマイクロスフェアーF−36(松本油脂製薬株式会社製)0.50gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで十分に窒素置換した。この際、ステンレス製容器を氷水で冷却しながら内温を10℃以下に保った。その後、45%次亜リン酸ソーダ水溶液2.0gおよび光重合開始剤イルガキュアー819(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸溶液0.76gを入れ均一に混合して反応液を得た。
この溶液を、窒素置換されている直径200mmのテフロン製重合容器にフィードし、22W/mの紫外線を3分間照射した。重合発熱ピーク温度は113℃であった。発泡体の発泡前との体積変化は2.2倍であり、固形分85%であった。この発泡体を熱風乾燥機により水分が5%以下になるまで乾燥させたところ、140℃で17分であった。乾燥した発泡体の空隙率は52%であった。さらにこの発泡体を卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉末を全量の59%得た。この粉末のかさ比量は0.34g/mlであった。実施例1と同様の方法により、粉体中の残アクリル酸量を算出したところ2,000ppmであった。ゲルパーミエーションクロマトグラフによる測定で重量平均分子量は、180,000であった。
実施例24
内径10cm、容量500mlのステンレス製容器に、窒素導入管、排気管、温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。これに37%アクリル酸ソーダ36.5g、アクリル酸63.5g、発泡剤マツモトマイクロフェアーF−36(松本油脂製薬株式会社製)0.50gを入れマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで十分に窒素置換した。この際、ステンレス製容器を氷水で冷却しながら内温を10℃以下に保った。その後、45%次亜リン酸ソーダ水溶液4.56gおよび光重合開始剤イルガキュアー819(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)を溶かした1%アクリル酸水溶液0.76gを入れ均一に混合して反応液を得た。
この溶液を、窒素置換されている直径200mmのテフロン製重合容器にフィードし、22W/mの紫外線を3分間照射した。重合発熱ピーク温度は113℃であった。発泡体の発泡前との体積変化は1.6倍であり、固形分88.8%であった。この発泡体を熱風乾燥機により水分が5%以下になるまで乾燥させたところ、140℃で10分であった。乾燥した発泡体の空隙率は30%であった。さらにこの発泡体を卓上ミルにより15,700rpmで30秒間粉砕し、80メッシュパスの粉末を全量の56%得た。この粉末のかさ比量は0.34g/mlであった。実施例1と同様の方法により、粉体中の残アクリル酸量を算出したところ1,500ppmであった。ゲルパーミエーションクロマトグラフによる測定で重量平均分子量は、80,000であった。
本発明によれば、簡便に水可溶性多孔質ポリマーを製造することができる。該方法によれば、残存モノマー量が少なく、かつ多孔質体に調製したことで、より水溶解性に優れ有用である。

Claims (12)

  1. 単量体水溶液が気泡を含有して重合される段階を有する、水不溶解分が10質量%以下の水溶性多孔質ポリマーの製造方法。
  2. 前記単量体水溶液が、エチレン性不飽和単量体を含む、請求項1記載の水溶性多孔質ポリマーの製造方法。
  3. 前記単量体水溶液の重合前の体積に対する重合終了時の水溶性多孔質ポリマーの体積が、1.1〜20倍である、請求項1または2記載の製造方法。
  4. 前記気泡が、発泡剤の添加によって発生したものである、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記単量体水溶液が、更に界面活性剤を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記気泡が、気体の撹拌および混合によって含有されたものである、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記重合が、熱重合および/または光重合によるものである、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記エチレン性不飽和単量体が、アクリル酸および/またはその塩類である、請求項2〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. エチレン性不飽和単量体を含む単量体水溶液を重合させてなる水溶性多孔質ポリマーであって、ポリマーの体積を基準とした空隙率が5〜80%であり、水不溶解分が10質量%以下である、水溶性多孔質ポリマー。
  10. 請求項9記載の水溶性多孔質ポリマーを粉砕してなる、粉末状水溶性多孔質ポリマー。
  11. 増粘剤、廃水洗浄剤、分散剤、顔料、塗料、掘削土処理剤、コンクリート混和剤、粘着剤、生物固定化担体、下水処理・産業廃水処理用凝集剤、壁材用増粘剤、掘削用保水剤、分散液粘度安定剤、水処理剤、イオン封鎖剤、洗浄用ビルダーおよびセラミック減水剤から選択される1種以上として利用される請求項9記載の水溶性多孔質ポリマー。
  12. 増粘剤、廃水洗浄剤、分散剤、顔料、塗料、掘削土処理剤、コンクリート混和剤、粘着剤、生物固定化担体、下水処理・産業廃水処理用凝集剤、壁材用増粘剤、掘削用保水剤、分散液粘度安定剤、水処理剤、イオン封鎖剤、洗浄用ビルダーおよびセラミック減水剤から選択される1種以上として利用される請求項10記載の水溶性多孔質ポリマー。
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