JP3795431B2 - (メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの解砕方法 - Google Patents
(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの解砕方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルを解砕する方法に関する。より詳しくは、解砕機を用いて(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルを解砕する工程を含んでなる解砕方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルは、例えば、医薬分野においては、湿布薬やパップ剤の粘着性や保水性の向上を目的とした添加剤や親水性軟膏基材として使用され、塗料分野においては、カーペット用コンパウンドの増粘剤、塗料の増粘剤や粘着剤や粘着性向上剤として使用されている。また、製造プロセスの分野においては、アルミナ製造時の赤泥沈降剤、ソーダ工業における塩水精製用凝集剤と多用されている。更に、土木・建築分野においては、掘削土処理剤や浚渫土処理剤や調泥剤として使用され、その他一般工業分野において吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤、各種増粘剤としても使用されている。このように(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルは、種々の分野で多岐にわたって使用されている。
【0003】
ところで、このような(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの製造においては、通常では水溶液重合により調製された含水ゲルを乾燥させることにより、含水率を調整する工程を含むことになるが、含水ゲルを解砕しておくと、乾燥性が向上して製造効率や製品の品質が改善されることとなる。しかしながら、含水ゲルは粘着性のあるゲル状の形態を有していることから、工業的な製造において効率よく解砕して乾燥しやすい状態にすることは困難であった。
【0004】
特開平5−70597号公報には、架橋構造を有する含水ゲル状重合体を45〜90℃の温度に加温し、孔径6.5〜18mmの孔を有する多孔板より押し出す粒子状含水ゲル状重合体の製造方法が開示されている。この製造方法においては、多孔板より押し出すことにより製造されることになるが、架橋構造を有する含水ゲル状重合体は、架橋構造を有しないものよりも多孔板より押し出すことが容易であることから、架橋構造を有しない場合においても効率的に含水ゲルを乾燥しやすい状態にするための工夫の余地があった。また、45〜90℃の温度に加温してから押し出しするのは、吸水倍率が高く、水可溶分の少ない粒子状含水ゲル状重合体を得るためや、押し出しの生産性を向上するためであるが、工業的な製造において効率よく解砕するための工夫の余地があった。
【0005】
特開2000−63527には、含水ゲル状架橋重合体をスクリュウ式押出機の供給口から供給し、多孔板を備える押出口から押し出して解砕処理を行う含水ゲル状架橋重合体の細粒化方法において、スクリュウ式押出機として、含水ゲル状架橋重合体が供給口側へ逆戻りすることを防止する逆戻り防止部材を少なくとも押出口近傍に備えているものを用いる含水ゲル状架橋重合体の細粒化方法が開示されている。この細粒化方法においては、防止する逆戻り防止部材を少なくとも押出口近傍に備えているスクリュウ式押出機により細粒化されることになるが、この場合も架橋していない重合体において効率的に含水ゲルを乾燥しやすい状態にするための工夫の余地があった。
【0006】
特開2000−143722には、酸型含水ゲル状重合体の中和を、押出し、細断及び混練の機能を持つ一軸混練機で行う酸型含水ゲル状重合体の連続中和方法が開示されている。しかしながら、実施例においては、N,N′−メチレンビスアクリルアミドが架橋剤として用いられ、また、連続中和するためにミートチョッパーが用いられているが、このような連続中和方法において粘着性を有する架橋していない重合体を用いると、スクリュー式押出機であるミートチョッパーにより押し出しする際に重合体が内部に滞留することとなり、また、それにともない含水ゲル状重合体が過剰に練られてしまうこととなる。更に、完全に中和されていない場合や酸基含有単量体の共重合割合が多い場合の酸系含水ゲル状重合体は、粘着性を有することになるため、これらの場合においても適用することができるように、粘着性を有する含水ゲルを効率的に乾燥しやすい状態にするための工夫の余地があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルを工業的な製造において効率よく解砕して乾燥しやすい状態にすることができる(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの解砕方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の解砕方法に係る発明は、様々な用途分野において有用な(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルが多孔板を有する押出口と逆戻り防止部材とを押出口近傍に備えている解砕機を用いて解砕されると、通常では粘着しやすく解砕しにくい(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルが工業的な製造において効率よく解砕されるうえに、含水ゲルが多孔質化して空気を含んだ状態となり、乾燥しやすい状態になることを見いだして完成されたものである。すなわち(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの解砕において特定の解砕機を用いると、様々な用途分野において有用な(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの解砕効率の面や乾燥性の面で顕著な効果を奏することを見いだして本発明を完成したものである。
【0009】
また解砕機の押出口を出た直後の解砕された(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの温度が40℃以上となるようにすると、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルをより解砕しやすくなり、その結果、含水ゲルの乾燥性も向上することや、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体の中和度が0〜70モル%であると、含水ゲルの粘着性が高くなることから通常では解砕しにくくなるが、本発明においてはこの場合においても作用効果が充分に発揮されること、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの含水率が40〜75質量%であると、解砕機中における含水ゲルの滞留をより充分に防止して解砕効率が向上すること、解砕機に供給する(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの温度を調節すると、本発明の作用効果がより充分に発揮されることも見いだし、本発明に到達したものである。
【0010】
すなわち本発明は、解砕機を用いて(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルを解砕する方法であって、上記解砕機は、上記(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルを押し出すためのスクリューを備えたケーシングに供給口及び多孔板を有する押出口を備え、かつ上記ケーシング内面に逆戻り防止部材を備え、上記解砕機により、上記含水ゲルを解砕する(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの解砕方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
本発明の解砕方法においては、解砕機を用いて(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲル(以下単に、含水ゲルともいう)を解砕することとなる。
上記解砕機は、含水ゲルを押し出すためのスクリューを備えたケーシングに供給口及び多孔板を有する押出口が備え、かつ上記ケーシング内面に逆戻り防止部材が備えられたものである。より具体的には、当該解砕機としては、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルを押し出すためのスクリューを備えたケーシングに供給口及び多孔板を有する押出口を備え、かつ該ケーシング内面に逆戻り防止部材を備えていることを特徴とするスクリュー押し出し部位が具備されている形態が好ましい。
このような解砕機における逆戻り防止部材は、ケーシング内においてラセン状及び/又は同心円状に形成されている帯状突起であることが好ましい。これにより、ケーシング内でスクリューの回転を妨げることなく、簡便に含水ゲルの逆戻りを充分に防止して解砕効率を向上することが可能となる。なお、ケーシング内面に逆戻り防止部材を備えているとは、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルが押出口から解砕されて押し出されることになるように、含水ゲルの逆戻りを充分に防止することができる逆戻り防止部材がケーシングの内面に備えられていることを意味する。すなわち本発明において、解砕機は、多孔板を有する押出口があるケーシングを有し、該ケーシング内面に逆戻り防止部材が備えられたものであるが、より具体的には、逆戻り防止部材は少なくとも押出口の近傍にあればよい。また、ケーシング全面に逆戻り防止部材が設置されていてもよく、部分的に設置されていてもよい。上記重合体含水ゲルの解砕度合いを判断し、逆戻り防止部材の設置場所、設置条件を適宜設定することもできる。
【0012】
本発明の解砕方法においてはまた、解砕機の押出口を出た直後の解砕された(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの温度が40℃以上であることが好ましい。40℃未満であると、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの解砕効率が低下するおそれがある。より好ましくは、50℃以上である。
【0013】
本発明の解砕方法においては更に、解砕機の押出口を出た直後の解砕された(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの温度が40℃以上となるように、解砕機に供給する(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの温度を調節してなることが好ましい。含水ゲルの解砕機中における温度変化を考慮して、解砕機に供給する(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの温度を調節することで、解砕機の押出口における含水ゲルが好適な温度となる。供給する(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの温度としては、30℃以上であることが好ましく、また、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは、45℃以上であり、100℃以下である。
【0014】
本発明における、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルであるが、該含水ゲルを固形分換算として溶媒に対して0.2質量%となるように25℃の水に溶解した時の溶解性が、少なくとも50%以上ある(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルであることが好ましい。例えば、100gの水に対して固形分換算で0.2gの当該水溶性重合体含水ゲルを溶解後、当該水溶性重合体が溶解した溶媒をろ過したときの溶け残りで溶解性を判定する。より好ましい溶解性は60%以上(不溶解分40%以下)である。さらに好ましくは70%以上(不溶解分30%以下)であり、さらに好ましくは80%以上(不溶解分20%以下)である。特に好ましくは90%以上(不溶解分10%以下)である。当該ろ紙上に溶け残りがなく実質的に完全に溶解する状態が最も好ましい。
【0015】
本発明における(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルは、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸塩により構成される(メタ)アクリル酸系単量体を必須とする単量体成分を重合して得られる重合体により形成される、水を含んでなるゲル状物である。また、上記(メタ)アクリル酸系水溶性重合体の重量平均分子量としては、10万〜1000万であることが好ましい。上記重量平均分子量の好ましい範囲は、20万〜600万である。上記重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー;Gel Permeation Chromatography)により求めたものである。
【0016】
上記(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの本発明における好ましい形態としては、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体の中和度が0〜70モル%である形態及び/又は(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの含水率が40〜75質量%である形態である。
上記中和度が0〜70モル%である形態においては、全酸基に対する中和度が0〜70モル%であることとなり、酸基及び中和された形態の基のすべてを100モル%とすると、中和された形態の基の割合が0〜70モル%であることを意味する。より好ましくは、0モル%以上であり、また、60モル%以下であり、更に好ましくは、0モル%以上であり、また、50モル%以下である。なお、中和された形態の基とは、酸基における解離し得る水素イオンが他のカチオンで置換された基である。部分的に中和された形態の重合体においては、塩の形態となっていることから、部分中和塩又は部分中和重合体ともいう。
【0017】
したがって全酸基に対する中和度の求め方としては、例えば、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルを形成する単量体成分がアクリル酸をxモル、アクリル酸の塩としてアクリル酸ナトリウムをyモル、アクリル酸エステルとしてアクリル酸メチルをzモル含むとし、これらがすべて重合したとすると、アクリル酸エステルがイオン性ではなく、中和された形態ではないために、下記式により求められることになる。
【0018】
【式1】
【0019】
なお、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体における全酸基に対する中和度を上記範囲に調整する方法としては、酸型単量体と塩型単量体との比率を、中和度が上記範囲内となるように適宜設定することにより調整することが好ましいが、酸型単量体の重合中に塩基性化合物等を添加することにより、酸型単量体やその重合体を中和しながら重合も行うような反応形式であってもよく、また、重合後に中和を行ってもよく、また、解砕機中で混練するときに塩基性化合物等を添加することにより中和を行ってもよい。
【0020】
上記(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの含水率が40〜75質量%である形態においては、40質量%未満であっても75質量%を超えても、解砕機中において含水ゲルが内部に滞留して過剰に練られてしまうおそれがある。より好ましくは、45質量%以上であり、また、70質量%以下であり、更に好ましくは、50質量%以上であり、また、65質量%以下である。
含水率とは、得られた当該含水ゲルを、恒量になるまで乾燥させることによって算出した水分含有量である。なお必要に応じて、乾燥させる前に、当該含水ゲルをカッター等で細かくしてから測定してもよい。
【0021】
以下では、本発明における解砕機及び(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルについて更に詳細に説明する。
本発明における解砕機の好ましい一形態を図1の概念図に示す。
図1の解砕機は、ケーシング1、台2、スクリュー3、供給口4、ホッパー5、押出口6、多孔板7、回転刃8、リング9、逆戻り防止部材10、モータ11、筋状突起12等から構成されてなる。このような解砕機においては、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルが供給口4から供給され、スクリュー3により押出口6側に搬送され、押出口6に設けられている多孔板7から押し出されることにより解砕されることになる。
【0022】
上記解砕機において、ケーシング1の内部には、ケーシング1の長手方向に沿ってスクリュー3が配置されている。円筒状のケーシング1における一方の端部には、含水ゲルを押し出して解砕する押出口6が設けられており、他端部には、スクリュー3を回転させるためのモータ11や駆動系等が設けられている。ケーシング1の下方には台2が設けられており、これによって解砕機を床に安定して配置させることができる。ケーシング1の上方には、含水ゲルを供給するための供給口4が設けられており、含水ゲルを供給し易くするためのホッパー5が備えられていることが好ましい。
【0023】
上記ケーシング1としては、スクリュー3の形状や大きさに対応するような円筒状の内面を有していればよい。
上記スクリュー3としては、含水ゲルを押出口6に搬送するためのラセン状のひだが設けられており、円筒状のケーシング1内で回転するものであれば、一軸でもよいし多軸でもよい。スクリュー3の回転数としては、解砕機の形状や含水ゲルを供給口4から供給する量によって適宜設定することが好ましい。また、スクリュー3の回転方向についても特に限定されないが、図1に示す解砕機においては、モータ11が接続している側の端部から他端部を見て、右まわりに回転させることになる。
【0024】
上記押出口6には、多孔板7がリング9によって着脱可能に固定されている。図2(a)及び(b)は、多孔板7を示す概念図である。図2(a)及び(b)の多孔板7は、複数の孔7aを有している。このような多孔板7は着脱可能に押出口6に固定されているので、図2(a)及び(b)に示すような孔7aの径が異なるものに適宜取り替えることにより、解砕機より押し出されて解砕される含水ゲルの大きさを調節することが可能となる。
【0025】
上記多孔板7の厚さとしては、1mm〜20mmが好ましい。また、孔7aの径としては、0.8mm〜28mmが好ましい。孔7aの径が上記範囲内にあると、含水ゲルに過剰に機械的外力が加えられることがなく、含水ゲルを効率的に押し出せることになる。より好ましくは、5mm〜24mmである。
【0026】
上記多孔板7の開口率としては、25%以上であることが好ましい。25%未満であると、含水ゲルが押し出されにくくなり生産性が低下するおそれがあり、また、多孔板7への圧送部位で含水ゲルが過度に細かく解砕されてしまうおそれがある。より好ましくは、30%〜40%であり、更に好ましくは、35%前後である。なお、開口率とは、多孔板7の有する孔7aがすべて塞がっているとしたときの多孔板7の総面積に対する孔7aの部分に相当する面積の合計面積の比率を意味する。
【0027】
上記押出口6には、モータ11に接続されていない側のスクリュー3の端部が近接しているが、多孔板7とスクリュー3の端部との間には、多孔板7の表面に実質的に接触して作動するように回転刃8が配置されている。図3は、回転刃8の好ましい一形態を示す概念図である。
【0028】
上記回転刃8の形状としては、多孔板7の表面に実質的に接触して作動するような形態を有していればよいが、図3に示すような十文字型の形状等が好適である。このような回転刃8を用いることにより、含水ゲルをより効率的に押し出して解砕することができることになる。回転刃8の回転方向は、スクリュー3の回転方向と同一の方向とすることが好ましい。また、回転刃8の回転数は、回転刃8の形状等により適宜設定すればよい。
【0029】
上記押出口6には、その近傍に、含水ゲルが供給口4側へ逆戻りすることを防止する逆戻り防止部材10が設けられている。逆戻り防止部材10としては、押出口6の近傍で含水ゲルの逆戻りを抑制できる構成のものであればよく、上述したようにラセン状や同心円状に形成されている帯状突起であることが好ましいが、その他にもスクリュー3の進行方向に平行に形成されている筋状突起、粒状、球状又は角状の突起等が好適である。
【0030】
上記解砕機で(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルを解砕する場合、含水ゲルは多孔板7の小さな孔7aから押し出されることになるが、このとき押出口6付近の圧力が高くなり、含水ゲルは供給口4方向に逆戻りしようとする。従って、上述したような各形状の突起を逆戻り防止部材10として押出口6の近傍に設けることにより、含水ゲルの逆戻りを防止しながら含水ゲルを効率的に押し出して解砕することができることになる。
【0031】
図4及び図5は、押出口6の近傍を示す図であり、図4は逆戻り防止部材10としてのラセン状に形成されている帯状突起10aの好ましい一形態の概念図であり、図5は逆戻り防止部材10としての同心円状に形成されている帯状突起10bの好ましい一形態の概念図である。このように、逆戻り防止部材10が図4及び図5に示すような帯状突起10a又は10bであれば、ケーシング1内でスクリュー3の回転を妨げることなく、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの逆戻りを効果的に防止できることになり、また、解砕機の構成の複雑化も回避することができることになる。また、帯状突起10a又は10bは、スクリュー3に形成されているラセン状のひだに無駄な力がかかって回転を妨げないように配置されているので、スクリュー3の回転による含水ゲルの押し出し時に過剰に摩擦が生じずに、含水ゲルを円滑かつ効率的に押し出すことができることになる。
【0032】
上記逆戻り防止部材10は、ケーシング1における押出口6近傍に設けられていることが必須となり、帯状突起10a又は10bであることが好ましいが、押出口6近傍以外のケーシング1の内面に帯状突起10a又は10bが設けられていてもよく、例えば、ケーシング1の内面全体に帯状突起10a又は10bが設けられていてもよい。ケーシング1内面全体に帯状突起10a又は10bが設けられることで、ケーシング1内のすべての部位において(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの逆戻りが抑制され、含水ゲルに機械的外力が加えられることを効果的に抑制できることになる。また、押出口6近傍以外のケーシング1の内面には、図1に示すようなスクリュー3の軸方向に平行な筋状突起12が設けられていてもよく、何も設けない円滑な面であってもよい。
【0033】
上記逆戻り防止部材10において、帯状突起10a又は10bとスクリュー3との隙間としては、0.1mm〜5mmであることが好ましい。0.1mm未満であると、帯状突起10a又は10bがスクリュー3の回転を妨げるおそれがあり、5mmを超えると、帯状突起10a又は10bが逆戻り防止部材10として機能しなくなるおそれがある。
【0034】
次に、本発明における(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルについて、更に詳細に説明する。
上記(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルは、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸塩により構成される(メタ)アクリル酸系単量体を必須とする単量体成分を重合して得られる重合体により形成される、水を含んでなるゲル状物であるが、(メタ)アクリル酸塩としては、(メタ)アクリル酸を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物、すなわち(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸ナトリウムが好ましい。より好ましくは、アクリル酸ナトリウムである。
【0035】
上記単量体成分としては、(メタ)アクリル酸系単量体以外の酸系単量体やその他の単量体を含んでいてもよく、(メタ)アクリル酸系単量体以外の酸系単量体としては、α−ヒドロキシアクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド等の不飽和スルホン酸系単量体;(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸等の不飽和ホスホン酸系単量体及びこれら酸系単量体を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
上記その他の単量体としては、(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、2−メチルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性単量体;3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ビニルアルコール等の水酸基を有する不飽和単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のカチオン性単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお本発明における(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの重合において、特にアクリルアミド系単量体は、重合性が低く残存しやすいので、残存した場合安全性に問題が出てくるので、上記のその他単量体としてアクリルアミド系単量体の使用量は、全使用モノマーを100モル%として、30モル%以下、より好ましくは20モル%〜0モル%、更に好ましくは10モル%〜0モル%、特に好ましくは5モル%〜0モル%の範囲内とすることが好ましい。
【0037】
上記単量体成分はまた、(メタ)アクリル酸系単量体の含有量が、50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、60モル%以上であり、更に好ましくは、80モル%以上である。
なおモル%の値は、単量体成分のすべてを100モル%としたときの値である。
【0038】
上記(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの製造方法としては、特に限定されず、光重合方法や、熱重合方法等を用いることができる。
上記光重合方法としては、上述した単量体成分、光重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤等を含有する反応溶液に紫外線等の光を照射することで重合を行うことになる。
【0039】
上記光重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、1,1′−アゾビス(1−アミジノ−1−シクロプロピルエタン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノ−4−メチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−N−フェニルアミノアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(1−イミノ−1−エチルアミノ−2−メチルプロパン)、2,2′−アゾビス(1−アリルアミノ−1−イミノ−2−メチルブタン)、2,2′−アゾビス(2−N−シクロへキシルアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノプロパン)及びその塩酸、硫酸、酢酸塩等、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(1,1′−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−1,1′−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ系光重合開始剤、
【0040】
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)とベンゾフェノンとの共融混合物、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア369)と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)との3:7の混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:1の混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:1の液状混合物、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、
【0041】
オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの共融混合物、4−メチルベンゾフェノンとベンゾフェノンとの液状混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドとオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]とメチルベンゾフェノン誘導体との液状混合物、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルファニル)プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、α−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、エチル4−ジメチルアミノベンゾエート、アクリル化アミンシナジスト、ベンゾイン(iso−及びn−)ブチルエステル、アクリルスルホニウム(モノ、ジ)ヘキサフルオロリン酸塩、2−イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルスルフィド、2−ブトキシエチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、
【0042】
ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインヒドロキシアルキルエーテル、ジアセチル及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、ジフェニルジスルフィド及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、ベンジル及びその誘導体等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
上記光重合開始剤の使用量としては、単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また、1g以下が好ましい。これにより、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体の分子量や重合率を充分なものとすることができる。より好ましくは、0.001g以上であり、また、0.5g以下である。
【0044】
上記連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオ酢酸、メルカプトエタノール等の含硫黄化合物;亜燐酸、亜燐酸ナトリウム等の亜燐酸系化合物;次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム等の次亜燐酸系化合物;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、次亜燐酸系化合物が好ましい。より好ましくは、次亜燐酸ナトリウムである。
上記連鎖移動剤の使用量としては、重合濃度や光重合開始剤との組み合わせ等により適宜設定すればよいが、単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また、0.2g以下が好ましい。0.001g以上で0.1g以下が更に好ましく、0.005g以上で0.05g以下が特に好ましい。
【0045】
上記光重合方法では、反応液に紫外線等の光を照射することになるが、照射する光としては、近紫外線が好ましい。
上記近紫外線を照射する装置としては、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光ケミカルランプ、蛍光青色ランプ等が好適である。また、近紫外線の波長領域としては、300nm以上であり、また、500nm以下であることが好適である。
【0046】
上記光重合方法としては、反応液が水溶液の形態である水溶液重合による方法が好ましい。水溶液重合においては、窒素ガスをバブリングする等の方法により、水溶液中に溶解している溶存酸素を予め除去した状態で重合を行うことが好ましい。また、重合操作方法としては、回分式でも連続式でもよいが、静置重合による方法が好ましい。
【0047】
上記光重合方法における重合条件としては、単量体成分の組成、光重合開始剤や連鎖移動剤の種類や使用量等に応じて適宜設定すればよいが、重合開始時における単量体成分の反応液中の濃度(単量体濃度)としては、20質量%以上であり、また、99質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは、25〜60質量%である。また、光の照射強度としては、1W/m2以上が好ましく、また、100W/m2以下が好ましい。より好ましくは、5W/m2以上であり、また、50W/m2以下である。更に好ましくは、10W/m2以上であり、また、40W/m2以下である。更に、重合温度としては、−5℃以上であり、また、150℃以下であることが好ましいが、重合を開始する温度としては、50℃以下であることが好ましい。より好ましくは、30℃以下であり、更に好ましくは、20℃以下である。重合開始温度が低い方が突沸等の異常反応に基づく危険がなくなると共に、高濃度での反応が容易となるため、生産性の面で有利である。また更に、重合時間としては、1分以上であり、また、90分以下であることが好ましいが、より好ましくは、60分以下であり、更に好ましくは、30分以下である。
【0048】
上記(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの製造方法において、熱重合方法では、上述したような単量体成分、熱重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤等を含有した反応液を加熱して重合を行うことになる。
上記熱重合方法における重合温度としては、50〜150℃が好ましいが、重合を開始する温度としては20℃以上であることが好ましい。20℃未満の低い温度の場合、重合が開始しない場合がある。好ましくは30℃以上である。また、重合時間としては、0.5〜10時間が好ましい。より好ましくは、1〜3時間である。更に、重合開始時における単量体成分の反応液中の濃度(単量体濃度)としては、上述した光重合方法における場合と同様である。
【0049】
本発明の解砕方法により解砕された含水ゲルの形態としては、顆粒状、ペレット状、紐状等が好適である。これらの解砕された含水ゲルは、解砕機の中で空気を含んで多孔質化するので、乾燥性が向上することになる。解砕された含水ゲルは、乾燥すると軽量化されるので、輸送や保存等に有利となる。
【0050】
上記解砕された含水ゲルの乾燥・粉砕物としては、湿布薬やパップ剤用の添加剤や親水性軟膏基材、カーペット用コンパウンドの増粘剤、塗料の増粘剤や粘着剤や粘着性向上剤、アルミナ製造時の赤泥沈降剤、ソーダ工業における塩水精製用凝集剤、掘削土処理剤や浚渫土処理剤や調泥剤、吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤、各種増粘剤等に用いることができるものである。
【0051】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0052】
実施例1
容量500mlのステンレス製容器にアクリル酸199.74g、イオン交換水244.63gを入れた。該アクリル酸水溶液を窒素バブリングすることにより溶存酸素を除去した。次いで該アクリル酸水溶液を5℃に温度調整した後、光重合開始剤であるダロキュア1173(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、化学名;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−オン)の2%アクリル酸溶液2.81g及び連鎖移動剤である次亜燐酸ナトリウムの3%水溶液2.81gを添加し均一混合した。
該反応液中の単量体(アクリル酸)濃度は45質量%であった。ダロキュアの添加量は単量体1モルに対して0.02gであった。次亜燐酸ナトリウムの添加量は単量体1モルに対して0.03gであった。
【0053】
実施例で用いた重合容器は、上部と下部により構成されるものであり、これを図6に概念図により示した。(a)は重合容器の上部13の平面図、(b)は重合容器の上部13の側面図、(c)は重合容器の下部14の平面図、(d)は重合容器の下部14の側面図である。この重合容器はステンレス(SUS304)製であって、重合容器の上部13の内面はテフロン(R)加工が施されている。また、重合容器の下部14には、ジャケットに冷却水等を導入するためのソケット15及び排出するためのソケット16を有し、冷却水等が下側のソケット15より入り、上側のソケット16より排出されるような構造となっている。実施例においては、上部13を下部14にかぶせるようにして合わせ、パッキンを装着し、ボルト・ナットで8ヶ所固定して使用した。
【0054】
このような重合容器の下部14のソケット15から5℃の冷水を導入し、ソケット16から排出すると共に、重合容器の上部13をサランラップで覆って反応液が導入される空間部分を窒素置換した。次いで反応液を重合容器の上部13に導入した後、波長範囲300〜450nmの近紫外線をブラックライト水銀ランプ(東芝社製、形名H400BL−L)を用いて強度17W/m2で15分間照射重合を完結した。
得られた中和度0モル%、含水率55質量%、重量平均分子量192万のポリアクリル酸からなるゲル状重合体を押出口から排出されるゲルの温度が50℃に調温した後、図1に示した逆戻り防止部材を押出口近傍に備えている解砕機(スクリュー式押出機、ダイス径9.5mm)に供給した。ゲルは押出口から順調に排出された。
【0055】
なお、実施例における重量平均分子量の測定方法は、GPCでその条件を以下に示す。
<GPC測定条件>
ポンプ:L7110(日立製作所社製)
キャリア液:燐酸水素2ナトリウム12水和物34.5g及び燐酸2水素ナトリウム2水和物46.2gに超純水を加えて全量を5000gにした水溶液
サンプル濃度:0.05%(キャリア液で調製)
流速:0.5ml/min
カラム:水系GPCカラムGF−7MHQ 1本(昭和電工社製)
検出器:UV検出器 L−7400(日立製作所社製)波長214nm
分子量計算ソフト:SIC480データステーション(SICシステムインスツルメンツ社製)
分子量標準サンプル:ポリアクリル酸ナトリウム(創和科学社製)
【0056】
実施例2
容量500mlのステンレス製容器にアクリル酸113.15g、アクリル酸ナトリウム37%水溶液174.54g及びイオン交換水157.73gを入れた。該アクリル酸部分中和塩水溶液を窒素バブリングすることにより溶存酸素を除去した。次いで該水溶液を5℃に温度調整した後、光重合開始剤であるのダロキュア1173の1%アクリル酸溶液2.29g及び連鎖移動剤である次亜燐酸ナトリウムの1%水溶液2.29gを添加し均一混合した。該反応液中には、単量体としてアクリル酸とアクリル酸ナトリウムが含まれ、全単量体中の塩型単量体(アクリル酸ナトリウム)の割合、つまり中和度は30モル%であった。また、反応液中の単量体(アクリル酸とアクリル酸ナトリウム)濃度は40質量%であった。ダロキュア1173の添加量は単量体1モルに対して0.01gであった。次亜燐酸ナトリウムの添加量は単量体1モルに対して0.01gであった。
【0057】
これとは別に、実施例1で用いたのと同じ重合容器の下部14のソケット15から5℃の冷水を導入し、ソケット16から排出すると共に、重合容器の上部13をサランラップで覆って反応液が導入される空間部分を窒素置換した。次いで反応液を重合容器の上部13に導入した後、波長範囲、300〜450nmの近紫外線をブラックライト水銀ランプ(東芝社製、形名H400BL−L)を用いて強度17W/m2で15分間照射し、重合を完結した。得られた中和度30モル%,含水率60質量%、重量平均分子量254万のポリアクリル酸部分中和物からなるゲル状重合体を、押出口から排出されるゲルの温度が40℃になるように調温した後、実施例1で用いた逆戻り防止部材を押出口近傍に備えている解砕機(スクリュー式押出機、ダイス径9.5mm)に供給した。ゲルは押出口から順調に排出された。
【0058】
実施例3
押出口から排出されるゲルの温度を30℃に調温した他は実施例1と同様にして、ゲルを調製し、逆戻り防止部材を押出口近傍に備えている解砕機(スクリュー式押出機、ダイス径9.5mm)に供給した。押出口からのゲルの排出速度は実施例1に比べ悪かった。
【0059】
比較例1
ゲル状重合体の温度を調温せずに供給口に供給すると共に、逆戻り防止部材を押出し口近傍に供えていない解砕機(スクリュー式押出機、平賀工作所社製、No.32E型チョッパー、ダイス径9.5mmφ)を使用した他は、実施例1と同様にゲルを処理したが、ゲルは押出口から全く出てこなかった。
【0060】
【発明の効果】
本発明の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの解砕方法は、上述のような構成であるので、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルを工業的な製造において効率よく解砕して乾燥しやすい状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における解砕機が有する解砕機の好ましい一形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す解砕機における多孔板7を示す図である。
【図3】図1に示す解砕機における回転刃8の好ましい一形態を示す図である。
【図4】図1に示す解砕機における押出口6の近傍を示す図であり、逆戻り防止部材10としてのラセン状に形成されている帯状突起10aの好ましい一形態を示す断面図である。
【図5】図1に示す解砕機における押出口6の近傍を示す図であり、逆戻り防止部材10としての同心円状に形成されている帯状突起10bの好ましい一形態を示す断面図である。
【図6】本発明の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの実施例で用いられた重合容器を示す概念図であって、(a)は重合容器の上部13の平面図、(b)は重合容器の上部13の側面図、(c)は重合容器の下部14の平面図、(d)は重合容器の下部14の側面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 台
3 スクリュー
4 供給口
5 ホッパー
6 押出口
7 多孔板
7a 孔
8 回転刃
9 リング
10 逆戻り防止部材
10a、10b 帯状突起(逆戻り防止部材)
11 モータ
12 筋状突起
13 重合容器の上部
14 重合容器の下部
15、16 ソケット
Claims (4)
- 解砕機を用いて(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルを解砕する方法であって、
該解砕機は、該(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルを押し出すためのスクリューを備えたケーシングに供給口及び多孔板を有する押出口を備え、かつ該ケーシング内面に逆戻り防止部材を備え、当該解砕機により、当該含水ゲルを解砕し、
該解砕機に供給する(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの温度は、30℃以上、150℃以下であり、該解砕機の押出口を出た直後の解砕された(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの温度は、40℃以上であり、
該解砕機に供給する(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの含水率が40〜75質量%である
ことを特徴とする(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの解砕方法。 - 前記(メタ)アクリル酸系水溶性重合体は、中和度が0〜70モル%である
ことを特徴とする請求項1記載の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの解砕方法。 - 前記(メタ)アクリル酸系水溶性重合体は、アクリルアミド系単量体の使用量が、全使用モノマーを100モル%として、30モル%以下である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの解砕方法。 - 前記(メタ)アクリル酸系水溶性重合体は、(メタ)アクリル酸系単量体の含有量が、単量体成分のすべてを100モル%としたとき50モル%以上である
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体含水ゲルの解砕方法。
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