JP5215246B2 - エアバッグ装置のバッグカバー - Google Patents

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Description

この発明は、衝撃の入力時にガス圧によって袋体を展開させる車両用エアバッグ装置のバッグカバーに関するものである。
車両用エアバッグ装置として、衝撃入力時にガス圧によって展開する袋体が長尺に折り畳まれ、その袋体が、袋体の車内側の外側域を覆うバッグカバーとともに車体側に取り付けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のエアバッグ装置は、車両のサイドドアの車室内側面に配置されるエアバッグ装置であり、折り畳まれた袋体は上方に開口するリテーナを介してドア本体に取り付けられ、バッグカバーはリテーナの開口の上方を覆うようしてリテーナとともにドア本体に取り付けられている。
バッグカバーには、肉薄の破断誘導部によって囲まれたリッド部が設けられ、袋体の展開時に破断誘導部が破断することによってリッド部がヒンジ部を回動支点として跳ね上がり、袋体の展開用の開口が形成されるようになっている。また、リッド部は、袋体の展開方向前方側を覆うリッド主壁と、リッド主壁のドア本体に近接する側の端部に略L字状に屈曲して設けられた屈曲壁と、を備え、リッド主壁のドア本体と離間する側にドア本体と略並行にヒンジ部が配置されている。屈曲壁は、エアバッグ装置がドアパネルに取り付けられた状態において、その外側面がウエザーストリップ等のドア本体側の部材に密接する。
ここで採用されるバッグカバーにおいては、リッド主壁の端部に設けられた屈曲壁により、リッド主壁の端部の剛性が維持されるとともに、ドア本体側の部材との隙間を少なくして外観品質の向上が図られている。
特開2008−213621号公報
しかし、このエアバッグ装置のバッグカバーにおいては、袋体が長尺物状に折り畳まれてドア本体に設置される関係で、リッド部の車体前後方向の延出長さが長くなってしまう。このため、袋体の展開時に袋体によって内側から押圧されるリッド主壁は、長手方向の中央領域が端部側に比較して大きく撓み変形する傾向となる。
このとき、リッド主壁部分には肉厚の薄い板厚方向に主に曲げ荷重が入力されるが、屈曲壁部分には板厚方向と交差する高さ方向に主に曲げ荷重が入力されることになる。このため、屈曲壁部分はリッド主壁部分に比較して曲げ変形による応力の分散が為され難くなる。
そこでこの発明は、袋体の展開時にリッド部に作用する応力を効率良く広い範囲に分散させることのできるエアバッグ装置のバッグカバーを提供しようとするものである。
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、折り畳まれた袋体(例えば、後述の実施形態における袋体19)の車室内側を覆うとともに、前記袋体がインフレータ(例えば、後述の実施形態におけるインフレータ18)からのガス圧導入によって展開するときに、袋体の展開を許容するための開口(例えば、後述の実施形態における開口40)が形成されるエアバッグ装置のバッグカバー(例えば、後述の実施形態におけるバッグカバー21)であって、前記袋体の収納状態において前記開口を閉塞するリッド部(例えば、後述の実施形態におけるリッド領域42及びリッド壁48)と、車体側に固定されるリテーナ(例えば、後述の実施形態におけるリテーナ20)に結合される支持部(例えば、後述の実施形態における側壁38,46)と、前記リッド部と支持部を連結するとともに前記リッド部の回動時に回動支点となるヒンジ部(例えば、後述の実施形態における曲げ基線部44及び帯状片53)と、を備え、前記リッド部は、前記袋体の展開方向前方側を覆うリッド主壁(例えば、後述の実施形態におけるリッド主壁37a)と、このリッド主壁の車体に臨む側の端部に略L字状に屈曲して連設された屈曲壁(例えば、後述の実施形態における屈曲壁39a)を備え、前記リッド部の屈曲壁には変形容易な弱化部(例えば、後述の実施形態における薄肉部60)が設けられ、前記リッド部は、基材(例えば、後述の実施形態における基材35A)と、この基材に比較して軟質な表皮材(例えば、後述の実施形態における表皮材35B)とから成る2層構造とされ、前記弱化部は前記屈曲壁の基材のみに肉抜き部が設けられて成ることを特徴とする。
これにより、リッド主壁の端部は屈曲壁によって補強され、リッド部は、屈曲壁部分で車体に対して充分な幅をもって対向するようになる。また、袋体の展開時に、袋体からリッド部に押圧力が作用すると、リッド主壁が板厚方向に湾曲変形し、リッド部全体がヒンジ部を中心に回動して開口を押し開くようになる。リッド主壁が板厚方向に湾曲変形するときには、屈曲壁には板厚方向と交差する方向に曲げ荷重が作用する。このとき、屈曲壁は基材の肉抜き部を中心として変形するようになる。また、屈曲壁の外側面は軟質な表皮材によって覆われているため、基材の肉抜き部は外部に露出せず、しかも、表皮材は肉抜き部での変形を阻害しなくなる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載のエアバッグ装置のバッグカバーにおいて、前記肉抜き部は前記屈曲壁の長手方向に沿って複数形成されていることを特徴とする。
これにより、袋体の展開時にリッド部に荷重が入力されると、屈曲壁は複数箇所の肉抜き部において屈曲壁の変形を許容するようになる。
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載のエアバッグ装置のバッグカバーにおいて、前記弱化部は、前記袋体の展開時に破断して前記リッド部を開放する破断誘導部(例えば、後述の実施形態における破断誘導部41)の近傍に設けられていることを特徴とする。
これにより、袋体の展開時にリッド部に荷重が入力されると、屈曲壁は破断誘導部の近傍の弱化部を中心として変形するようになる。
請求項1に記載の発明によれば、リッド部のリッド主壁の端部に連設された略L字状の屈曲壁によってリッド主壁の端部の剛性を高め、かつ車体側との隙間を狭めて外観品質を含む商品性を高めることができるとともに、屈曲壁に弱化部が設けられていることから、袋体の展開時には、弱化部を中心として屈曲壁を容易に変形させてリッド部に作用する応力を効率良く広い範囲に分散させることができる。
請求項に記載の発明によれば、袋体の展開時に2層構造から成るリッド部に荷重が入力されたときに、屈曲壁が基材の肉抜き部を中心として変形することで応力を広い範囲に効率良く分散させることができ、しかも、肉抜き部の外側が軟質な表皮材によって覆われることから、変形性を阻害することなく外観品質を良好に保つことができる。
請求項に記載の発明によれば、肉抜き部が屈曲壁の長手方向に沿って複数形成されていることから、袋体の展開時における屈曲壁の変形が複数箇所を中心として為されるようになり、その結果、屈曲壁に作用する応力をより広範囲に効率良く分散させることが可能になる。
請求項に記載の発明によれば、弱化部が屈曲壁の破断誘導部の近傍に設けられていることから、袋体の展開時に、屈曲壁が破断誘導部の近傍の弱化部を中心として変形することによって破断誘導部の早期の破断を促すことができる。
この発明の第1の実施形態のエアバッグ装置を採用した車両用ドアの車室内側から見た正面図である。 この発明の第1の実施形態のエアバッグ装置の取付状態を示す車両用ドアの車室内側から見た正面図である。 この発明の第1の実施形態を示す図1のA−A断面に対応する断面図である。 この発明の第1の実施形態のエアバッグ装置の分解斜視図である。 この発明の第1の実施形態のエアバッグ装置の背面図である。 この発明の第1の実施形態のエアバッグ装置のバッグカバーの斜視図である。 この発明の第1の実施形態のエアバッグ装置の図3のB部の拡大断面図である。 この発明の第1の実施形態のエアバッグ装置の作動状態を模式的に示す斜視図である。 この発明の第2の実施形態のエアバッグ装置の図6に対応する断面図である。 この発明の第3の実施形態のエアバッグ装置の一部の背面図である。 この発明の第3の実施形態のエアバッグ装置の図10のC−C断面に対応する断面図である。 この発明の第4の実施形態のエアバッグ装置の一部の背面図である。
以下、この発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面において、車両の上側と前側はそれぞれ矢印UPとFRで示すものとする。また、各実施形態においては、同一部分に同一符号を付して重複する説明を省略するものとする。
最初に、図1〜図8に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、車両の進行方向右側のフロントサイドドア1を車室内側から見た図であり、図2は、図1のフロントサイドドア1からドアライニング2等の一部の部材を取り去った図、図3は、図1のA−A断面に対応する断面図である。
フロントサイドドア1は、窓枠部を持たないいわゆるサッシュレスタイプのドアであり、ドア本体3にはドアガラス4が昇降自在に保持されている。ドア本体3は、ドア骨格部5と、ドア骨格部5の車外側に取り付けられるドアスキン6(図3参照)等によって構成されている。
図2に示すように、ドア本体3の前部上端側には図示しないドアミラーを取り付けるためのミラーベース8が一体に設けられ、ドア本体3の車室内側の上縁部には、モジュール化されたエアバッグ装置9(以下「エアバッグモジュール9」と呼ぶ。)を取り付けるための取付ブラケット10が設けられている。
取付ブラケット10は、図2に示すように、ドア本体3の上端部に沿うように車体前後方向に延出する平板状のベースプレート部11を備え、ベースプレート部11の上縁部には、エアバッグ締結片12Aと、3つのエアバッグ係止爪13A,13B,13Cが上方に向かって延設されている。エアバッグ締結片12Aはベースプレート部11の車体前部寄り位置に配設され、エアバッグ係止爪13A,13B,13Cはベースプレート部11の車体中央領域にほぼ等間隔に配設されている。また、ベースプレート部11の車体前部寄りの下縁部にはエアバッグ締結片12B,12Cが延設されている。
また、取付ブラケット10は、図3に示すように、ドア骨格部5の上部に接した状態でドア本体3に固定されており、エアバッグ係止爪13A,13B,13Cは、その状態においてドア骨格部5から離間して上方に突出している。また、ドア骨格部5の上縁に形成されたフランジ部15aには、ドアガラス4の車内側面に摺動自在に密接する車内側のウェザーストリップ16が取り付けられている。なお、図3中17は、ドアスキン6の上端部に取り付けられてドアガラス4の車外側面に摺動自在に密接する車外側のウェザーストリップである。
図4は、エアバッグモジュール9を分解した状態を示す斜視図であり、図5は、エアバッグモジュール9の背面図である。
これらの図にも示すように、エアバッグモジュール9は、図示しないセンサによって衝撃が検知されたときに高圧ガスを発生する筒状のインフレータ18と、インフレータ18で発生したガス圧を受けて展開する折り畳まれた袋体19(図2,図3参照)と、インフレータ18と袋体19を保持する金属製のリテーナ20と、折り畳まれた袋体19の車室内側の外側域を覆い、袋体19の展開時に一部が開口することによって袋体19の展開を許容するバッグカバー21と、を備えている。
インフレータ18には、外周面に複数のガス導出口(図示省略)が形成されたガイド筒22(図3参照)が直列に接続され、そのガイド筒22に袋体19が接続されている。袋体19は前後の縁部を折り返した状態で上下方向に畳まれ、ガイド筒22の長手方向に沿うように長尺物状に配置されている。
リテーナ20は、車体前後方向に長いほぼ平板状のベースプレート23と、ベースプレート23の車室内側に一体に結合されて、ガイド筒22と袋体19の車室内側の側方と底部側を抱持する断面略L字状の抱持プレート24とによって構成されている。インフレータ18とガイド筒22はベースプレート23の車内側面に結合され、抱持プレート24は、図4に示すように、ベースプレート23と結合する前にバッグカバー21の内側部に一体に結合される。ベースプレート23と抱持プレート24は、インフレータ18や袋体19をベースプレート23に結合した組付体(以下、「ベースプレート23を含む組付体」と呼ぶ。)にバッグカバー21を最終的に組み付けるときに、ボルト結合やリベット止め等によって相互に結合される。
インフレータ18は、ベースプレート23の前端部側に結合されている。具体的には、インフレータ18には、インフレータ18の外周面を抱持するブラケット30が取り付けられ、そのブラケット30に延設された下部アーム31がベースプレート23にボルト結合されている。また、ブラケット30には上方側に延出する上部アーム32が設けられ、その上部アーム32が取付ブラケット10のエアバッグ締結片12Aにボルト結合されるようになっている。なお、図中33aは、上部アーム32をエアバッグ締結片12Aにボルト締結するためのボルト孔であり、33b,33cは、ベースプレート23の前部側下縁を取付ブラケット10のエアバッグ締結片12B,12Cにボルト締結するためのボルト孔である。また、ベースプレート23の後端部はボルト孔33dを通して取付ブラケット10にボルト締結されている。
また、抱持プレート24の長手方向(車体前後方向)の各端部には、略L字状の基本断面部の内側領域を閉塞するように端部壁25(図4参照)が延設され、その端部壁25に連設された接合フランジ25aがベースプレート23に対して最終的にリベット固定されるようになっている。ベースプレート23に抱持プレート24が結合されて構成されるリテーナ20は袋体19の収容部の上方が略長方形状に開口し、上方側を除く面が袋体19の周域をほぼ取り囲んでいる。
また、ベースプレート23のドア本体3側の上縁部には、波形の板部材26が複数箇所で固定され、板部材26の固定部間に鞘状の爪受部27A,27B,27Cが形成されている。この爪受部27A,27B,27Cは下方側に開口し、エアバッグモジュール9を取付ブラケット10に対して上方から被せることによって対応するエアバッグ係止爪13A,13B,13Cに嵌合し得るようになっている。
図6は、バッグカバー21を車外側斜め下方から見た状態を示す図である。
同図にも示すように、バッグカバー21は、ドアライニング2(図1参照)とともにフロントサイドドア1の車室内側の外形を成すカバーアウタ35と、カバーアウタ35の内側面に溶着固定されてバッグカバー21上の各部の剛性調整や他部品との連結機能を担うカバーインナ36と、を備えている。
カバーアウタ35は、図3に示すように、比較的硬質な樹脂材料から成る基材35Aの外側に軟質樹脂から成る表皮材35Bが一体に接合された2層構造とされている。また、カバーアウタ35は、リテーナ20の開口(袋体収容部)の上方側を覆う上壁37に、リテーナ20の車室内側を覆う側壁38が滑らかに連続して形成されている。側壁38は、図1,図2に示すように、側面視で上辺が略水平な略五角形状を呈するように形成されている。なお、ベースプレート23を含む組付体にバッグカバー21が最終的に取り付けられた状態では、インフレータ18とベースプレート23の前端部分はカバーアウター35の前方に突出する。また、上壁37のドア本体3側の端部には下方に略L字状に屈曲する屈曲壁39が設けられている。この屈曲壁39は、エアバッグモジュール9がドア本体3に取り付けられた状態において、図3に示すように車室内側のウエザーストリップ16の近傍部まで延出し、その外側面にウエザーストリップ16の外側リップ16aが密接するようになっている。
カバーアウタ35の上壁37と屈曲壁39には、図4,図6に示すように、袋体19の展開を許容する開口40を形成するための破断誘導部41が設けられている。破断誘導部41は、例えば、カバーアウタ35の基材35Aの裏面にV字溝を形成することにより構成される。また、破断誘導部41は、折り畳まれた袋体19の前後位置に対応して設けられ、袋体19の展開時には、カバーアウタ35上の破断誘導部41によって囲まれた領域が袋体19に押圧されて蓋状に跳ね上がるようになっている。この袋体19の展開時に蓋状に跳ね上がるカバーアウタ35上の略長方形状の領域を、以下ではリッド領域42と呼ぶものとする。リッド領域42の基部側の辺は、その前後の端縁を除く中央領域がリッド領域42の回動起点となる曲げ基線部44(ヒンジ部)とされる。この実施形態の場合、リッド領域42の前後の破断誘導部41はリッド領域42の基部側の辺の一部まで略L字状に回り込んで設けられている。破断誘導部41のうちのリッド領域42の基部側の辺に回り込む領域は図4中41aで示す。
カバーインナ36は、比較的硬質な樹脂材料から成り、図3,図6に示すように、カバーアウタ35の上壁37と側壁38にそれぞれ溶着固定される上壁45と側壁46を備えている。上壁45には車体前後方向に長い略長方形状の切欠き部47(図6参照)が設けられ、その切欠き部47内に、カバーアウタ35のリッド領域42に対応する略長方形状のリッド壁48が配置されている。リッド壁48はカバーアウタ35のリッド領域42の裏面に一体に溶着固定されている。また、側壁46の下縁には複数の隆起部49が設けられ、その各隆起部49に係止孔50が設けられている。各係止孔50には、図3に示すように、リテーナ20の抱持プレート24に延設された係止フック51が挿入係合されるようになっている。したがって、カバーインナ36の側壁46はリテーナ20に係止され、リテーナ20を介してドア本体3側に支持される支持部とされている。なお、図3,図6に示すように、カバーアウタ35の側壁38の裏面にはカバーインナ36とは別に樹脂製の締結ブロック52が溶着固定され、抱持プレート24はこの締結ブロック52に対してビス止め固定されている。
リッド壁48は、切欠き部47の底部側で複数の帯状片53…を介して側壁46の上部に一体に連結されている。各帯状片53は下方側に膨出するように円弧状に湾曲し、カバーアウタ35に対して溶着されずに離間している。これらの帯状片53…は、リッド壁48が跳ね上げ回動するときのヒンジ部として機能する。
ここで、この実施形態のバッグカバー21では、カバーアウタ35とカバーインナ36が一体に溶着された状態において、カバーアウタ35側のリッド領域42とカバーインナ36側のリッド壁48が袋体19の展開時に開口40を開くリッド部を構成し、カバーアウタ35側の曲げ基線部44とカバーインナ36側の帯状片53…がリッド部の回動支点となるヒンジ部を構成している。また、以下では、カバーアウタ35の屈曲壁39のうちの、リッド領域42内の屈曲壁39部分をリッド部の屈曲壁39aと呼ぶものとする。
また、図6に示すように、カバーインナ36の切欠き部47の前後方向の外側位置には、上壁45と側壁46とに跨るフランジ壁54,54が夫々突設され、これらのフランジ壁54がリテーナ20の抱持プレート24の端部壁25,25に対してボルト55(図4参照)によって結合されるようになっている。
また、カバーインナ36のうちのリッド壁48の自由端寄りの下面には、破断が容易な肉薄の連結部(図示省略)を介して固定壁56が連設されていいる。この固定壁56の下縁には複数の連結片57…が離間して設けられ、この各連結片57がリテーナ20のベースプレート23にリベット固定されている。この連結片57のリベット固定は、例えば、ベースプレート23を含む組付体にバッグカバー21を最終的に組み付けるときに、波形の板部材26とともにベースプレート23に固定するようにしても良い。
ところで、カバーアウタ35のリッド領域42は、図7に示すように、リテーナ20に保持された袋体19の上方側を覆うリッド主壁37aと、リッド主壁37aのドア本体3に臨む側の端部に略L字状に屈曲して設けられた屈曲壁39aと、を備え、これらの各壁37a,39aが前述したように硬質の基材35Aと軟質の表皮材35Bを接合した2層構造とされている。
屈曲壁39aの基材35Aの肉厚t1は、リッド主壁37aの基材35Aの肉厚t2と同じではなく、リッド主壁37aの基材35Aの肉厚t2に比較して薄肉に設定されている。この実施形態の場合、屈曲壁39aの基材35Aの全域がほぼ同様に薄肉に形成され、この基材35Aの薄肉部60(肉抜き部)によって屈曲壁39aの全域の曲げ剛性の低下が図られている。この実施形態では、基材35Aの薄肉部60が弱化部を構成している。
また、屈曲壁39aの表皮材35Bは基材35Aを薄肉にした分だけ肉厚に設定され、屈曲壁39a全体の肉厚がリッド主壁37aの肉厚に比較して大きく薄肉にならないように調整されている。
以上のように構成されたエアバッグモジュール9をドア本体3に取り付ける場合には、ドア本体3の上部に取付ブラケット10を予め取り付けておき、その状態で取付ブラケット10のエアバッグ係止爪13A,13B,13Cにエアバッグモジュール9の爪受部27A,27B,27Cを上方から嵌合することにより、エアバッグモジュール9をドア本体3に対して仮止めする。
この後、エアバッグモジュール9をドア本体3に対して正確に位置決めし、エアバッグモジュール9のリテーナ20(ベースプレート23)を取付ブラケット10に対してボルト結合する。
そして、ドア本体3の車室内側には、この後にエアバッグモジュール9のバッグカバー21と付き合わせるようにしてドアライニング2が取り付けられる。
前述のようにエアバッグモジュール9がドア本体3に取り付けられると、インフレータ18や袋体19はリテーナ20を介してドア本体3に固定され、袋体19の上方側はバッグカバー21のリッド部(リッド領域42とリッド壁48)によって覆われることになる。
また、このとき、バッグカバー21の屈曲壁39は、ドアガラス4の車室内側面に微小隙間をもって対峙し、屈曲壁39の外側面には、ドア本体3側のウェザーストリップ16の外側リップ16aが密接する。したがって、バッグカバー21の上端部は、屈曲壁39部分で充分な高さ方向の幅をもってドア本体3の上部に対向するとともに、屈曲壁39にウェザーストリップ16が密接することによって両者の間の隙間が埋められる。また、このバッグカバー21では、上壁37(リッド主壁37a)のドア本体3側の端部に略L字状の屈曲壁39(39a)が連設されているため、上壁37の端部の剛性が充分に高く維持されている。したがって、このバッグカバー21を採用することにより、外観品質を含む商品性を高めることができる。
車両に大きな衝撃が入力されてエアバッグモジュール9が作動する場合には、インフレータ18から袋体19へのガス圧の導入によって袋体19が展開を開始し、袋体19がリテーナ20から上方に飛び出そうとする。このとき、袋体19がバッグカバー21のリッド部(リッド壁48及びリッド領域42)を裏面側から押圧すると、カバーインナ36のリッド壁48の端部が固定壁56から分離し、カバーアウタ35が破断誘導部41で破断して、カバーインナ36のリッド壁48とカバーアウタ35のリッド領域42が一体となって車内側に押し開かれるようになる。これにより、バッグカバー21の上壁37に開口40が形成され、開口40から車室内の上方に袋体19が展開することになる。
ところで、このエアバッグモジュール9の場合、袋体19がドア本体3の前後方向に沿って長尺に配置されることから、バッグカバー21のリッド部は前後方向に長くなる。このため、リッド部が袋体19に押圧されて開口40を開くときには、図8に示すように、リッド主壁37aが中央側を上方に膨出させるように板厚方向に撓み変形し、それに追従して屈曲壁39aに対して板厚方向と交差する方向に曲げ荷重が作用することになる。このとき、屈曲壁39aは基材の全域に薄肉部60が設けられているため、荷重の入力に対して容易に変形する。したがって、このとき屈曲壁39aに作用する曲げ応力は基材35Aの容易な変形によって広い範囲に速やかに分散されるようになる。
また、屈曲壁39aは、基材35Aに薄肉部60が設けられて変形が容易にされているものの、基材35Aを薄肉にした分だけ表皮材35Bが厚肉にされているため、外観上の急激な変化が少なく、見栄えの低下を招くこともない。
なお、ここで説明した第1の実施形態では屈曲壁39aの基材35Aの肉厚をほぼ均一に薄肉にしたが、図9に示す第2の実施形態のように屈曲壁39aの基材35Aの一部にのみ薄肉部160を設けるようにしても良い。
図10,図11は、この発明の第3の実施形態のバッグカバー221を示すものである。
この実施形態のバッグカバー221は、リッド部の屈曲壁39aの破断誘導部41の近傍部分に薄肉部(弱化部)を形成する断面弧状の溝70が設けられている。この溝70は、基材35Aの上面(表皮材35Bに接合される側の面)に形成され、屈曲壁39aの付根部から先端部側に向かって破断誘導部41から次第に遠ざかるように傾斜している。
このバッグカバー221の場合、袋体の展開によってリッド主壁37aが上方側に曲げ変形し、それに伴って屈曲壁39aに曲げ荷重が入力されると、斜めに傾斜した溝70部分を基点にして屈曲壁39aが容易に曲げ変形するようになる。このため、この実施形態の場合にも、屈曲壁39aに作用する曲げ応力が広い範囲に速やかに分散されるようになる。
特に、この実施形態の場合、袋体による押圧によってリッド主壁37aが中央側を上方に膨出させるように変形するときに、リッド主壁37aの中央領域から屈曲壁39aに作用する引張荷重の作用方向と交差するように溝70が形成されているため、屈曲壁39aをより容易に曲げ変形させることができる。
また、この実施形態のバッグカバー221においては、弱化部を形成する溝70が屈曲壁39aの端部の破断誘導部41の近傍に設けられているため、袋体の展開時に、屈曲壁39aが破断誘導部41の近傍の溝70部分を起点して曲げ変形することによって破断誘導部41の早期の破断を促すことができる。
図12は、この発明の第4の実施形態のバッグカバー321を示すものである。
この実施形態のバッグカバー321は、第3の実施形態と同様の断面弧状の溝70A,70B,70Cがリッド部の屈曲壁39aに複数形成されている。これらの溝70A,70B,70Cは、屈曲壁39aの付根部から先端部側に向かって破断誘導部41から次第に遠ざかるように傾斜し、各溝70A,70B,70C同士が相互に平行になるように離間して配置されている。
この実施形態の場合にも、第3の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができるが、屈曲壁39aに相互に平行な溝70A,70B,70Cが長手方向に離間して複数配置されているため、袋体の展開時における屈曲壁39aの変形が複数箇所を中心として為されるようになる。このため、袋体の展開時に屈曲壁39aに作用する応力をより広い範囲に効率良く分散させることができる。
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である
9…エアバッグモジュール(エアバッグ装置)
18…インフレータ
19…袋体
20…リテーナ
21,221,321…バッグカバー
35A…基材
35B…表皮材
37a…リッド主壁
38…側壁(支持部)
39a…屈曲壁
40…開口
41…破断誘導部
42…リッド領域(リッド部)
44…曲げ基線部(ヒンジ部)
46…側壁(支持部)
48…リッド壁(リッド部)
53…帯状片(ヒンジ部)
60,160…薄肉部(肉抜き部,弱化部)
70,70A,70B,70C…溝(弱化部)

Claims (3)

  1. 折り畳まれた袋体の車室内側を覆うとともに、前記袋体がインフレータからのガス圧導入によって展開するときに、袋体の展開を許容するための開口が形成されるエアバッグ装置のバッグカバーであって、
    前記袋体の収納状態において前記開口を閉塞するリッド部と、車体側に固定されるリテーナに結合される支持部と、前記リッド部と支持部を連結するとともに前記リッド部の回動時に回動支点となるヒンジ部と、を備え、
    前記リッド部は、前記袋体の展開方向前方側を覆うリッド主壁と、このリッド主壁の車体に臨む側の端部に略L字状に屈曲して連設された屈曲壁を備え、
    前記リッド部の屈曲壁には変形容易な弱化部が設けられ
    前記リッド部は、基材と、この基材に比較して軟質な表皮とから成る2層構造とされ、
    前記弱化部は前記屈曲壁の基材のみに肉抜き部が設けられて成ることを特徴とするエアバッグ装置のバッグカバー。
  2. 前記肉抜き部は前記屈曲壁の長手方向に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置のバッグカバー。
  3. 前記弱化部は、前記袋体の展開時に破断して前記リッド部を開放する破断誘導部の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のエアバッグ装置のバッグカバー。
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