JP5213708B2 - 弾性表面波装置の製造方法 - Google Patents

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    • H03H9/02559Characteristics of substrate, e.g. cutting angles of lithium niobate or lithium-tantalate substrates

Description

本発明は、例えば共振子や帯域フィルタとして用いられる弾性表面波装置の製造方法に関し、より詳細には、LiNbO基板上にIDT電極及び酸化ケイ素膜が形成されている構造を有し、かつSH波を利用した弾性表面波装置の製造方法に関する。
携帯電話機のRF段などに用いられている帯域フィルタでは、広帯域でありかつ良好な温度特性を有することが求められている。そのため、従来、回転Y板X伝搬のLiTaO基板や回転Y板X伝搬のLiNbO基板からなる圧電性基板上に、IDT電極が形成されており、かつIDT電極を被覆するように、酸化ケイ素膜を形成した弾性表面波装置が用いられている。この種の圧電性基板は、周波数温度係数が負の値を有する。従って、温度特性を改善するために、正の周波数温度特性を有する酸化ケイ素膜がIDT電極を被覆するように形成されている。
しかしながら、このような構造において、IDT電極を汎用されているAlまたはAlを主成分とする合金などにより形成した場合、IDT電極において、十分な反射係数を得ることができなかった。そのため、共振特性にリップルが生じがちであるという問題があった。
このような問題を解決するものとして、下記の特許文献1には、以下の弾性表面波装置が開示されている。ここでは、電気機械結合係数Kが0.025以上のLiNbOからなる圧電性基板上に、Alよりも密度の大きい金属を主体とするIDT電極が形成されており、該IDT電極が形成されている残りの領域に第1の酸化ケイ素膜が電極と等しい膜厚に形成されており、該電極及び第1の酸化ケイ素膜を被覆するように第2の酸化ケイ素膜を積層されている。
特許文献1に記載の弾性表面波装置では、上記IDT電極の密度が、第1の酸化ケイ素膜の密度の1.5倍以上とされており、それによってIDT電極の反射係数が十分に高められ、共振特性に現れるリップルを抑圧することができるとされている。
また、特許文献1では、レイリー波が利用されており、上記電極材料として、AuやCuなどが例示されている。Cuからなる電極の場合にその膜厚は0.0058λ〜0.11λとした構成が開示されている。この場合、LiNbO基板としては、オイラー角が(0°±5°,62°〜167°,0°±10°)、好ましくは(0°±5°,88°〜117°,0°±10°)のLiNbO基板が示されており、上記第2の酸化ケイ素膜の膜厚は、表面波の波長λとしたとき、0.15λ〜0.4λの範囲とされている。
WO2005−034347
特許文献1に記載の弾性表面波装置では、上記のように、LiNbO基板のオイラー角のθと、Cuからなる電極の厚みと、第2の酸化ケイ素膜の厚みとを上記特定の範囲とすることにより、利用するモードの電気機械結合係数を大きくすることができ、スプリアスとなるモードの電気機械結合係数を小さくすることができるとされている。
すなわち、スプリアスとなるモードの電気機械結合係数が小さくなるように、LiNbO基板のオイラー角等を設定すればよいことが、特許文献1に記載されている。
しかしながら、例えば、携帯電話機のデュプレクサに弾性表面波フィルタ装置を帯域フィルタとして用いる場合、送信側フィルタでは、相手方のフィルタである受信側フィルタの通過帯域において減衰量を大きくすることが求められる。このように、相手方の通過帯域における減衰量を大きくするためにIDT電極のデューティを変化させる手法が知られている。
すなわち、通常、IDT電極のデューティは0.5とされているが、特定の周波数帯域における減衰量を大きくするために、デューティを0.5よりも大きくしたい場合がある。特許文献1に記載の弾性表面波装置では、スプリアスとなるモードの電気機械結合係数が小さくなるLiNbO基板のオイラー角について記載されているが、上記のように、IDT電極のデューティを変化させた場合、特許文献1に記載のオイラー角を選んだとしても、実際には、スプリアスが大きくなることがあった。すなわち、特許文献1に記載の弾性表面波装置では、IDT電極のデューティは考慮されていなかった。
また、弾性表面波装置を製造した際の条件によっては、加工時の電極指の幅方向寸法のばらつき等により、スプリアスが生じることもあった。
本発明の目的は、上述した従来記述の欠点を解消し、LiNbO基板上にCuを主体とするIDT電極が形成されている弾性表面波装置の製造方法であって、デューティが0.5から変化された場合でも、利用するモードの電気機械結合係数が大きく、スプリアスとなるモードの電気機械結合係数が十分に小さくされている弾性表面波装置の製造方法を提供することにある。
本発明によれば、オイラー角(0°±5°,θ±5°,0°±10°)のLiNbO 基板上にCuを主体とするIDT電極を含む電極を形成する工程と、前記電極が形成されている領域を除いた残りの領域において、前記電極と等しい厚みとなるように第1の酸化ケイ素膜を形成する工程と、前記電極及び第1の酸化ケイ素膜を被覆するように第2の酸化ケイ素膜を形成する工程とを備えるSH波を利用した弾性表面波装置の製造方法であって、前記IDT電極のデューティDが0.52以上であり、かつ前記オイラー角(0°±5°,θ±5°,0°±10°)のθが、IDT電極のデューティD及びIDT電極膜厚を波長λで規格化した値であるCとの間に、下記の式(1A)または(1B)を満たす範囲となるように、前記デューティDを決定し、前記IDT電極を形成することを特徴とする、弾性表面波装置の製造方法が提供される。

(発明の効果)
本発明に係る弾性表面波装置の製造方法では、LiNbO基板上に、Cuを主体とするIDT電極が形成されており、上記第1,第2の酸化ケイ素膜が形成されているので、SH波を利用した弾性表面波装置において、周波数温度係数の絶対値を小さくして温度特性を改善することができる。また、IDT電極のデューティが、0.52以上とされており、それによって、高域側の減衰量の拡大を図ることができる。従って、例えば、携帯電話機のデュプレクサにおいて、送信フィルタとして用いた場合、相手方の通過帯域である受信フィルタの通過帯域における減衰量を大きくすることができる。
加えて、LiNbO基板のオイラー角のθが、デューティDを考慮して上記式(1A)または(1B)の範囲内とされているので、スプリアスとなるレイリー波の電気機械結合係数K を小さくできる。従って、SH波を利用しており、スプリアスが抑圧された良好な共振特性またはフィルタ特性を得ることができる。
図1(a),(b)は本発明の一実施形態に係る弾性表面波装置の模式的平面図及びその要部を拡大して示す部分切欠拡大正面断面図である。 図2は、携帯電話機のデュプレクサの回路構成を示すブロック図である。 図3は、WCDMA用デュプレクサの送信側フィルタの周波数特性を示す図であり、IDT電極のデューティが0.50、0.52及び0.54の場合の各周波数特性を示す図である。 図4は、WCDMA用デュプレクサにおいて、送信側フィルタを構成するのに用いた1ポート型弾性表面波共振子としての弾性表面波装置の位相周波数特性を示す図である。 図5は、(0°,θ,0°)のオイラー角のLiNbO基板上に、膜厚0.06λのCuからなるIDT電極を形成し、第1,第2の酸化ケイ素膜を形成し、第2の酸化ケイ素膜の膜厚を0.25λとした場合のオイラー角のθとIDT電極のデューティと、スプリアスとなるレイリー波の電気機械結合係数K との関係を示す図である。 図6(a)は、オイラー角(0°,θ,0°)のLiNbO基板上に、膜厚0.06λのCuからなるIDT電極が形成されており、第1,第2の酸化ケイ素膜が形成されており、第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.25λである弾性表面波装置において、スプリアスとなるレイリー波の電気機械結合係数K が0.04%以下となるオイラー角のθ及びデューティの関係を示す図、(b)は、オイラー角(0°,θ,0°)のLiNbO基板上に、CuからなるIDT電極が形成されており、第1,第2の酸化ケイ素膜が形成されており、第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.25λ、IDT電極のデューティが0.60である弾性表面波装置において、スプリアスとなるレイリー波の電気機会結合係数K が0.04%以下となるオイラー角のθ及びIDT電極であるCu電極の膜厚との関係を示す図である。 図7は、オイラー角(0°,θ,0°)のLiNbO基板上に、厚み0.06λかつデューティ=0.50のCuからなるIDT電極を形成した構造における第2の酸化ケイ素膜の膜厚と、オイラー角のθと、レイリー波の電気機械結合係数K との関係を示す図である。 図8は、図5〜図7に示した結果を得るために想定した弾性表面波装置の計算モデルを模式的に示す模式図である。 図9は、オイラー角のθ=84°のLiNbO基板上に、デューティ=0.5、0.6または0.7のIDT電極を形成してなる複数種の弾性表面波装置のインピーダンス−周波数特性及び位相−周波数特性を示す図である。 図10は、オイラー角のθ=81.5°のLiNbO基板上に、デューティ=0.5、0.6または0.7のIDT電極を形成してなる複数種の弾性表面波装置のインピーダンス−周波数特性及び位相−周波数特性を示す図である。
1…弾性表面波装置
2…LiNbO基板
3…IDT電極
4,5…反射器
6…第1の酸化ケイ素膜
7…第2の酸化ケイ素膜
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る弾性表面波装置の模式的平面図であり、(b)はその要部を示す部分切欠拡大正面断面図である。
弾性表面波装置1は、回転Y板X伝搬のLiNbO基板2を用いて構成されている。LiNbO基板2の結晶方位は、オイラー角で(0°±5°,θ,0°±10°)とされている。
また、LiNbO基板2上には、図1(b)に示すように、IDT電極3が形成されている。図1(a)に示すように、IDT電極3の表面波伝搬方向両側には、反射器4,5が形成されている。
これらの電極が形成されている領域の残りの領域には、第1の酸化ケイ素膜6が形成されている。第1の酸化ケイ素膜6の膜厚は、IDT電極3及び反射器4,5の膜厚と等しくされている。そして、これらの電極3,4及び第1の酸化ケイ素膜6を覆うように第2の酸化ケイ素膜7が形成されている。
弾性表面波装置1では、LiNbO基板は、負の周波数温度係数を有する。これに対して、酸化ケイ素膜6,7は、正の周波数温度係数を有する。従って、周波数特性を改善することができる。
本実施形態では、IDT電極3は、Cuからなり、その密度は8.93g/cmである。他方、第1の酸化ケイ素膜の密度は2.21g/cmである。
従って、前述した特許文献1に開示されているように、IDT電極3の反射係数を高めることができる。それによって、共振特性上に現れるリップルを抑圧することが可能とされている。
本実施形態では、上記1ポート型弾性表面波共振子としての弾性表面波装置1を複数用いることにより、図2に示すデュプレクサ11の送信側フィルタ12が構成されている。なお、デュプレクサ11では、アンテナ側の入力端子14に、上記送信フィルタ12と受信フィルタ13とが接続されている。
上記送信フィルタ12の回路構成は特に限定されず、上記弾性表面波装置1のような1ポート型弾性表面波共振子を複数、ラダー型回路構成を有するように接続した構造などを挙げることができる。
上記送信側フィルタを、弾性表面波装置1を複数用い作製した。この場合、1ポート型弾性表面波共振子としての弾性表面波装置1は、以下の仕様で作製した。
171.5°回転Y板X伝搬のLiNbO基板、すなわちオイラー角表示で(0°,81.5°,0°)のLiNbO基板上に、Cuからなる膜厚108nmのIDTを形成した。IDT上のSiOからなる酸化ケイ素膜の膜厚は459nmとした。更に、周波数調整用に、最上層にSiN膜を成膜した。このSiN膜の厚みを調整したり、成膜後にRIEやイオンミリングなどでエッチングすることにより、所望の周波数に調整することができる。本実験例では、周波数調整後のSiN膜の膜厚は約15nmとした。なお、送信側フィルタは、ラダー型の回路構成を有し、直列腕共振子と並列腕共振子とを有する。直列腕共振子と並列腕共振子では、共振周波数は異なっている。また、複数の直列腕共振子の中でも、共振周波数を微妙に異ならせ、複数の並列腕共振子間においても共振周波数を微妙に異ならすのが普通である。従って、直列腕共振子及び並列腕共振子における波長λは一定ではないため、それに応じて、Cuからなる電極の規格化膜厚や、SiOの規格化膜厚も異ならされている。本実験例では、λを1.76〜1.89μmの範囲で、Cu膜の規格化膜厚h/λを0.057〜0.061の範囲内で、SiOの規格化膜厚h/λを0.244〜0.260の範囲内で適宜設定した。
上記弾性表面波装置1において、デューティを0.50、0.52または0.54と変化させ、それぞれの弾性表面波装置1を用いた上記送信フィルタの周波数特性を測定した。結果を図3及び図4に示す。図3は、上記送信フィルタの周波数特性を示し、図4は、上記送信フィルタに用いた1ポート型弾性表面波共振子の位相特性を示す。
図3に示すように、デューティ=0.5の場合には、すなわち送信フィルタの通過帯域よりも高域側の周波数域であって、相手方のフィルタである受信側フィルタの通過域、すなわち2110〜2170MHzにおける減衰量が小さくなり、アイソレーション特性が劣化していることがわかる。他方、図4から明らかなように、メインの応答の高周波側に、位相に符号Aで示す浮きが見られる。これは、上記バルク波に起因するものであり、上記のようにアイソレーション特性を劣化させている要因である。
これに対して、図3から明らかなように、デューティを0.50より大きくすることにより、通過帯域よりも高域側における減衰量が十分な大きさとされ、すなわちアイソレーション特性を改善し得ることがわかる。特に、図3から、デューティを0.52以上とすることにより、上記アイソレーション特性を効果的に改善し得ることがわかる。
本発明においては、IDT電極のデューティは0.52以上とされており、それによって、例えば上記携帯電話機のデュプレクサの送信側フィルタを構成するのに適用された場合、アイソレーション特性を効果的に改善することができる。もっとも、本発明の弾性表面波装置においては、IDT電極のデューティは、0.52以上とされれば、0.50の場合と比べて、通過帯域外の減衰量の拡大を様々な周波数位置で図ることができる。すなわち、本発明の弾性表面波装置は、上記デュプレクサの送信フィルタに用いられるものに限られるものではない。
なお、図3及び図4に示したようにアイソレーション特性を劣化させる原因となったバルク波は、圧電基板の表面状態には余り影響されず、バルク波の波長により上記位相特性における浮きが生じる位置が決定されることになる。本実施形態では、上記デューティを0.52以上とすることにより、メインの応答と、バルク波との周波数間隔が拡げられ、それによってアイソレーション特性が改善される。すなわち、デューティが0.52以上とされることにより、SH波を利用したメインの応答の周波数位置と、上記バルク波の周波数位置との間隔が拡げられている。
もっとも、アイソレーション特性を改善するために、デューティを0.5よりも大きくした場合、レイリー波の応答によるスプリアスが大きく現れることがわかった。
これに対して、本実施形態では、LiNbO基板のオイラー角のθを下記式(1A)または(1B)で満たす範囲内とすることにより、SH波を利用した場合のレイリー波に基づくスプリアスを効果的に抑圧することができる。これをより具体的に説明する。
図5は、オイラー角(0°,θ,0°)のθが、82°、83°または84°のLiNbO基板上に、0.06λの膜厚のCuからなるIDT電極を形成し、第1の酸化ケイ素膜として、CuからなるIDT電極と同じ膜厚のSiO膜を形成し、IDT電極及び第1の酸化ケイ素膜を覆うように、0.25λの厚みのSiO膜を第2の酸化ケイ素膜として積層した構造におけるIDT電極のデューティとスプリアスとなるレイリー波の電気機械結合係数K との関係を示す図である。
なお、図5及び後述の図6,図7における結果は、図8に示した計算モデルに基づいて有限要素法により計算した結果である。図8から明らかなように、無限の厚みのLiNbO基板21上に、IDT電極22及び第1の酸化ケイ素膜23が形成されており、その上に第2の酸化ケイ素膜24が形成されている構造をモデルとした。
図5から明らかなように、θ=82°では、デューティが0.5の場合に、レイリー波の電気機械結合係数K は0.04%以下となっている。ところが、デューティが0.5より小さくなるに従って、レイリー波の電気機械結合係数K が大きくなり、レイリー波によるスプリアスが無視できないことがわかる。
他方、θ=83°またはθ=84°の場合には、デューティを0.5では、レイリー波の電気機械結合係数K は0.02%以下であるが、0.5より大きくなるにつれて、レイリー波の電気機械結合係数がかなり大きくなっていくことがわかる。従って、図5よりデューティが0.5より大きい場合には、オイラー角のθを調整する必要のあることがわかる。
図6(a)は、オイラー角(0°,θ,0°)のLiNbO基板に、上記と同様に、0.06λのCu膜からなるIDT電極を形成し、同じ膜厚のSiO膜を形成した後に、0.25λの厚みのSiO膜を形成した構造におけるレイリー波の電気機械結合係数K が0.04%以下の領域を示す図である。図6(a)の斜線のハッチングを付している領域がレイリー波の電気機械結合係数K が0.04%以下の領域である。また、図4の縦方向に延びるデューティ=0.75の線は、デューティがこれ以上大きくなると、弾性表面波装置のIDT電極を実質的に製造することが困難な上限を示す。
従って、図6(a)より、デューティが0.52以上、0.75以下である場合に、図6(a)のハッチングを付した領域にオイラー角のθを選択することにより、スプリアスとなるレイリー波の電気機械結合係数K を0.04%以下と小さくすることができる。この図6(a)の斜線のハッチングを付した領域を、数式で示すと、式(2A)または(2B)で示す値となる。
式(2A)または(2B)は、CuからなるIDT電極の膜厚が0.06λの場合に成立する関係である。そして、上記CuからなるIDT電極の膜厚により、レイリー波の電気機械結合係数K が小さくなるθ及びデューティは変化する。そこで、デューティを0.60、SiO膜の膜厚を0.25λとした構造において、CuからなるIDT電極の膜厚を変化させた場合のレイリー波の電気機械結合係数K が0.04%以下となるθを求めた。結果を図6(b)に示す。
図6(b)に示すように、電気機械結合係数K が0.04%以下となる領域は、Cu電極の膜厚に依存する。従って、電極膜厚による依存性を考慮すると、式(2A)または(2B)は、前述した式(1A)または(1B)のように表すことができる。
なお、式(1A)または(1B)の関係は、第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.15λ〜0.4λの範囲では大きくは変化しない。これを、図7を参照して説明する。
図7は、オイラー角(0°,θ,0°)のLiNbO基板上に、0.06λの膜厚のCuからなるIDT電極をデューティ=0.50となるように形成した構造において、第2の酸化ケイ素膜の膜厚を0.20λ、0.25λまたは0.30λと変化させた場合のオイラー角のθと、レイリー波の電気機械結合係数K との関係を示す図である。図7から明らかなように、SiOの膜厚を0.20λ〜0.30λの範囲で変化させたとしても、オイラー角のθと、レイリー波の電気機械結合係数K との関係は余り変化していないことがわかる。本願発明者の実験によれば、SiO膜の膜厚を0.15λ〜0.40λの範囲で変化させた場合においても、図7に示した結果と同様に、レイリー波の電気機械結合係数K と、θとの関係はほとんど変化しないことが確かめられている。
なお、本発明においては、好ましくは、IDT電極の膜厚は、0.03λ〜0.064λの範囲とされる。すなわち、上述した式(1A)または(1B)によれば、Cuの膜厚が0.064λ付近で、θの上限値及び下限値が逆転することとなる。すなわち、0.064λを超えると、レイリー波の電気機械結合係数K が0.04%以下になる範囲は存在しなくなる。従って、IDT電極の膜厚は、0.064λ以下が好ましい。
また、レイリー波のスプリアスについて考慮すると、IDT電極の膜厚が薄いほど、レイリー波の電気機械結合係数K が小さくなる範囲は広がることになり、IDT電極の膜厚が薄ければ薄いほど望ましい。しかしながら、IDT電極の膜厚が薄過ぎると、弾性表面波の音速が遅い横波の音速よりも高くなり、減衰量が大きくなるおそれがある。この点を考慮すると、IDT電極の膜厚は、0.03λ以上であることが望ましい。従って、Cuを主体とするIDT電極の膜厚は、0.03λ〜0.064λの範囲が望ましい。
次に、上記実施形態に基づき、実際に弾性表面波装置を作製した実施例を説明する。
オイラー角(0°,81.5°〜84°,0°)の回転Y板X伝搬のLiNbO基板を用意した。このLiNbO基板上に、第1の酸化ケイ素膜として、SiO膜を107nm(0.057λ)の厚みとなるように成膜した。しかる後、このSiO膜上にレジストパターンを形成した後、該レジストパターンを用い反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO膜を選択的にエッチングし溝を形成した。この溝に、Cuを充填するように、Cu膜を成膜し、IDT電極を形成した。しかる後、IDT電極以外のCu膜を上記レジストパターンとともにリフトオフ法により除去した後、第2の酸化ケイ素膜として厚み460nm(0.24λ)のSiO膜を成膜した。
さらに、最上部に、周波数調整するために、SiN膜を成膜し、SiN膜をエッチングすることにより、周波数を調整した。周波数調整後のSiN膜の膜厚は約15nm程度である。
なお、周波数調整膜としては、SiN膜の他、SiC膜やSi膜などを用いてもよい。
このようにして、λ=1.89μm、すなわち1.9GHz帯の共振周波数を有する1ポート型弾性表面波共振子を作製した。
図9及び図10に、上記のようにして得られた1ポート型弾性表面波共振子のインピーダンス−周波数特性及び位相−周波数特性を示す。図9では、オイラー角のθが84°であり、IDT電極のデューティが0.5、0.6または0.7の場合の結果が示されており、図10では、オイラー角のθが81.5°であり、デューティが0.5、0.6または0.7の場合の特性が示されている。
図9から明らかなように、オイラー角のθ=84°の場合には、デューティ=0.5で消えていたスプリアスが、デューティが0.6あるいは0.7と大きくなるに従って、矢印X1,X2で示すように、スプリアスが大きく現れていることがわかる。
これに対して、図10から明らかなように、オイラー角のθ=81.5°の場合には、デューティが0.5、0.6または0.7のいずれの場合においても、上記のようなスプリアスがほとんど現れていないことがわかる。このデューティ=0.6及び0.7の場合は、上述した式(1A)または(1B)を満たす範囲内である。
なお、IDT電極は、Cuを主体とする限り、Cuからなる電極層の下方に下地膜としての密着層が積層されていてもよく、あるいは主たる電極層の上面に、保護層が積層されていてよい。さらに、主たる電極層についても、Cu単体からなる必要は必ずしもなく、Cuを主体とする合金から構成されていてもよい。また、CuやCuを主体とする合金からなる電極膜に、他の金属からなる従たる金属膜が積層されていてもよい。
LiNbO基板のオイラー角は、上記実施形態では、(0°,θ±5°,0°)とされていたが、本願発明者の実験によれば、オイラー角(φ,θ,ψ)におけるφは0°±5°の範囲であればよく、ψは0°±10°の範囲であればよく、いずれの場合においても、上記実施形態と同様の効果が得られることが確認されている。
さらに、前述した1ポート型弾性表面波共振子やデュプレクサの帯域フィルタ部に限らず、様々な共振子や様々な回路構成の表面波フィルタに本発明を適用することができる。

Claims (1)

  1. オイラー角(0°±5°,θ±5°,0°±10°)のLiNbO基板上にCuを主体とするIDT電極を含む電極を形成する工程と、
    前記電極が形成されている領域を除いた残りの領域において、前記電極と等しい厚みとなるように第1の酸化ケイ素膜を形成する工程と、
    前記電極及び第1の酸化ケイ素膜を被覆するように第2の酸化ケイ素膜を形成する工程とを備えSH波を利用した弾性表面波装置の製造方法であって、
    前記IDT電極のデューティDが0.52以上であり、かつ前記オイラー角(0°±5°,θ±5°,0°±10°)のθが、IDT電極のデューティD及びIDT電極膜厚を波長λで規格化した値であるCとの間に、下記の式(1A)または(1B)を満たす範囲となるように、前記デューティDを決定し、前記IDT電極を形成することを特徴とする、弾性表面波装置の製造方法
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